JP2016015278A - マイクロ波加熱処理装置及びマイクロ波加熱処理方法 - Google Patents

マイクロ波加熱処理装置及びマイクロ波加熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理体の裏面側へのマイクロ波の回り込みを極力低減し、被処理体に対して均一かつ効率のよい加熱処理を提供する。【解決手段】マイクロ波加熱処理装置1の処理容器2は、板状の上壁11及びこの上壁11に平行な板状の底壁13と、上壁11と底壁13とを連結する側壁12と、を備えている。側壁12は、全体として筒状をなし、水平断面が四角形をなす上部側壁201と、この上部側壁201に接続し、水平断面が円形をなす下部側壁202と、を有している。ウエハWは、ホルダ15によって、上部側壁201と下部側壁202との境界203と同程度の高さに保持される。【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ波を処理容器に導入して基板に対して加熱処理を行うマイクロ波加熱処理装置及びマイクロ波加熱処理方法に関する。
近年、半導体ウエハなどの基板に対して加熱処理を施す装置として、マイクロ波を使用する装置が提案されている。マイクロ波による加熱処理は、内部加熱、局所加熱、選択加熱が可能であることから、従来のランプ加熱方式や抵抗加熱方式のアニール装置に比べてプロセスメリットが大きいことが知られている。例えば、マイクロ波加熱を利用してドーピング原子の活性化を行う場合、マイクロ波がドーピング原子に直接作用することから、余剰加熱が起こらず、拡散層の拡がりを抑制できるという利点がある。さらに、マイクロ波照射を利用することによって、従来のランプ加熱方式や抵抗加熱方式に比べ、比較的低温での加熱処理が可能であり、サーマルバジェットの増大を抑えることができるという利点もある。
マイクロ波は、波長が数十ミリと長く、しかも、処理容器内で定在波を形成しやすいという特徴を有している。そのため、例えば半導体ウエハをマイクロ波で加熱処理する場合、半導体ウエハの面内で電磁界の強弱に分布が生じ、加熱温度の不均一が生じやすいという傾向がある。このようなマイクロ波による加熱処理に関し、例えば、特許文献1では、電力利用効率の向上及び基板面内での加熱温度の均一性向上を図るため、マイクロ波を処理容器内に導入する矩形のマイクロ波導入ポートの配置について工夫した提案がなされている。
特開2013−152919号公報(例えば、図3)
マイクロ波加熱処理装置において、被処理体である基板は、例えば複数の支持ピンを有する支持部材によって裏面側から支持される。このように支持部材によって支持された状態では、本来加熱すべき部分である処理面とは反対側の基板の裏面側へもマイクロ波の回り込みが生じる。基板の裏面へ回り込んだマイクロ波は、裏面に照射されて消費されてしまうため、電力利用効率が低下するとともに、処理面の加熱効率も低下してしまう。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、被処理体の裏面側へのマイクロ波の回り込みを極力低減し、被処理体に対して均一かつ効率のよい加熱処理を行うことが可能なマイクロ波加熱処理装置およびマイクロ波加熱処理方法を提供することにある。
本発明の第1の観点のマイクロ波加熱処理装置は、被処理体を収容する処理容器と、前記被処理体を加熱処理するためのマイクロ波を生成して一つないし複数のマイクロ波導入ポートから前記処理容器に導入するマイクロ波導入装置と、前記被処理体に当接することによって、前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持部と、を備えている。そして、本発明のマイクロ波加熱処理装置の前記処理容器は、互いに連通する上部空間及び下部空間を形成しており、前記上部空間は、その水平断面が四角形をなし、前記下部空間は、その水平断面が円形をなしている。
本発明の第1の観点のマイクロ波加熱処理装置において、前記上部空間は、上壁と、角筒形状をなす上部側壁と、によって囲まれていてもよく、前記下部空間は、円筒形状をなす下部側壁と、前記上壁に平行な底壁と、によって囲まれていてもよい。
本発明の第2の観点のマイクロ波加熱処理装置は、被処理体を収容する処理容器と、前記被処理体を加熱処理するためのマイクロ波を生成して一つないし複数のマイクロ波導入ポートから前記処理容器に導入するマイクロ波導入装置と、前記被処理体に当接することによって、前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持部と、を備えている。そして、本発明の第2の観点のマイクロ波加熱処理装置において、前記処理容器は、上壁と、水平断面が四角形をなす上部側壁と、水平断面が円形をなす下部側壁と、前記上壁に平行な底壁と、を備えていてもよい。
本発明の第2の観点のマイクロ波加熱処理装置において、前記上部側壁は、角筒形状をなしていてもよく、前記下部側壁は、円筒形状をなしていてもよい。
本発明の第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置において、前記マイクロ波導入ポートは、前記上壁に形成されていてもよい。
本発明の第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置は、前記保持部によって保持された前記被処理体の処理面の高さ位置が、前記上部側壁と前記下部側壁との境界部の位置を基準にしてその上下に、前記マイクロ波の波長λの±6%の範囲内に入る高さ位置であってもよい。
本発明の第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置は、前記被処理体が円板状をなしていてもよく、前記保持部によって保持された前記被処理体の端部と前記下部側壁との距離が、1mm以上であって前記マイクロ波の波長λの25%以下の長さであってもよい。
本発明の第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置は、前記底壁の上面から前記保持部によって保持された前記被処理体の下面までの距離が、前記マイクロ波の波長λに対してλ/2未満であってもよい。
本発明の第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置は、さらに、前記保持部を水平方向に回転させる機構を備えていてもよい。
本発明の第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置において、前記上部側壁は、4つの内壁面を有していてもよく、前記マイクロ波導入装置は、前記複数のマイクロ波源として、第1ないし第4のマイクロ波源を有ししていてもよい。この場合、前記上壁は、前記第1ないし第4のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する第1ないし第4のマイクロ波導入ポートを有していてもよい。さらに、前記第1ないし第4のマイクロ波導入ポートは、それぞれ、長辺と短辺とを有する平面視矩形をなしており、その長辺と短辺が、前記上部側壁の前記内壁面と平行になるように設けられていてもよい。
本発明の第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置は、前記マイクロ波導入ポートの長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)が、4以上であってもよい。
本発明のマイクロ波加熱処理方法は、上記第1の観点及び第2の観点のマイクロ波加熱処理装置によって前記被処理体を加熱処理する。
本発明のマイクロ波加熱処理装置およびマイクロ波加熱処理方法では、被処理体の裏面側へのマイクロ波の回り込みを抑制し、効率の良い加熱処理を行うことが可能である。
本発明の一実施の形態に係るマイクロ波加熱処理装置の概略の構成を示す断面図である。 図1に示したマイクロ波加熱処理装置の処理容器の側壁の形状を示す斜視図である。 図1に示したマイクロ波加熱処理装置において被処理体を支持するホルダの斜視図である。 図1に示した処理容器内における半導体ウエハの高さ位置を示す説明図である。 上部側壁と下部側壁との境界の位置に対する半導体ウエハの高さ位置を示す説明図である。 上部側壁と下部側壁との境界の位置に対する半導体ウエハの高さ位置を示す別の説明図である。 上部側壁と下部側壁との境界の位置に対する半導体ウエハの高さ位置を示すさらに別の説明図である。 図1に示したマイクロ波加熱処理装置の高電圧電源部の概略の構成を示す説明図である。 制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。 図1に示した処理容器の上壁に形成されたマイクロ波導入ポートの配置と電磁界ベクトルの状態を示す説明図である。 マイクロ波導入ポートを拡大して示す説明図である。 水平断面が円形である処理容器における電磁界ベクトルの状態を示す説明図である。 本発明の実施例における処理容器内の縦断面での電磁界強度のシミュレーション結果を示す図面である。 本発明の実施例における処理容器内の水平断面での電磁界強度のシミュレーション結果を示す図面である。 比較例における処理容器内の縦断面での電磁界強度のシミュレーション結果を示す図面である。 比較例における処理容器内の水平断面での電磁界強度のシミュレーション結果を示す図面である。 半導体ウエハの端部と下部側壁との間隔の影響を示すシミュレーション結果を示す図面である。 半導体ウエハの端部と下部側壁との間隔の影響を示す別のシミュレーション結果を示す図面である。 半導体ウエハの端部と下部側壁との間隔の影響を示すさらに別のシミュレーション結果を示す図面である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して、本発明の一の実施の形態に係るマイクロ波加熱処理装置について説明する。図1は、マイクロ波加熱処理装置の概略の構成を示す断面図である。図2は、図1に示したマイクロ波加熱処理装置の処理容器の側壁を示す斜視図である。図3は、図1に示したマイクロ波加熱処理装置の処理容器内において被処理体を支持する保持部としてのホルダの斜視図である。
マイクロ波加熱処理装置1は、連続する複数の動作を伴って、例えば半導体デバイス製造用の半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す。)Wに対して、マイクロ波を照射して加熱処理を施す装置である。ここで、平板状をなすウエハWにおいて、面積の広い上下の面のうち、上面が半導体デバイスの形成面であり、処理面となる。
マイクロ波加熱処理装置1は、被処理体であるウエハWを収容する処理容器2と、処理容器2内にマイクロ波を導入するマイクロ波導入装置3と、処理容器2内において上壁11(後述)に対向する位置でウエハWを支持する支持装置4と、処理容器2内にガスを供給するガス供給機構5と、処理容器2内を減圧排気する排気装置6と、これらマイクロ波加熱処理装置1の各構成部を制御する制御部8とを備えている。マイクロ波導入装置3は、処理容器2の上部に設けられ、処理容器2内に電磁波(マイクロ波)を導入するマイクロ波導入手段として機能する。マイクロ波導入装置3の構成については、後で詳しく説明する。
<処理容器>
処理容器2は、金属材料によって形成されている。処理容器2を形成する材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等が用いられる。処理容器2は、板状の上壁11と、この上壁11に平行な板状の底壁13と、上壁11と底壁13とを連結する側壁12と、を備えている。図2に示すように、側壁12は、全体として筒状をなし、水平断面が四角形をなす上部側壁201と、この上部側壁201に接続し、水平断面が円形をなす下部側壁202と、を有している。図1では、上部側壁201と下部側壁202との境界を符号203で示している。上部側壁201と下部側壁202とは、一体に成型されたものでもよいし、別々に加工したものを接合してもよい。
側壁12は、その内部に、互いに連通する上部空間S1及び下部空間S2を形成している。上部空間S1は、その水平断面が四角形をなし、上壁11と、角筒形状の上部側壁201に囲まれている。上部側壁201は、水平断面が直角に接続された4つの壁を有している。従って、上部空間S1は、直方体状をなしている。また、上部側壁201を構成する4つの壁の内面は、いずれも平坦になっており、マイクロ波を反射させる反射面としての機能を有している。下部空間S2は、その水平断面が円形をなし、円筒形状の下部側壁202と、底壁13とに囲まれている。従って、下部空間S2は、円柱状をなしている。下部側壁202の内壁面は、曲面になっている。
また、処理容器2は、上壁11を上下に貫通するように設けられた複数(例えば4つ)のマイクロ波導入ポート10と、上部側壁201に設けられた搬入出口12aと、上部側壁201に設けられたガス導入口12bと、底壁13に設けられた排気口13aとを有している。なお、マイクロ波導入ポート10の形状、配置については後述する。搬入出口12aは、処理容器2に隣接する図示しない搬送室との間でウエハWの搬入出を行うためものである。処理容器2と図示しない搬送室との間には、ゲートバルブGVが設けられている。ゲートバルブGVは、搬入出口12aを開閉する機能を有し、閉状態で処理容器2を気密にシールすると共に、開状態で処理容器2と図示しない搬送室との間でウエハWの移送を可能にする。
<支持装置>
支持装置4は、図1及び図3に示すように、処理容器2の底壁13のほぼ中央を貫通して処理容器2の外部まで延びる管状のシャフト14と、シャフト14の上端に装着された保持部としてのホルダ15とを有している。ホルダ15は、シャフト14の上端に装着されたホルダ基部15aと、このホルダ基部15aからほぼ水平方向に放射状に設けられた複数(本実施の形態では3本)のアーム部15bと、各アーム部15bに着脱可能に装着された支持ピン16とを有している。複数の支持ピン16は、処理容器2内においてウエハWの下面に当接してウエハWを支持する。複数の支持ピン16は、その上端部がウエハWの周方向に並ぶように配置されている。各支持ピン16は、アーム部15bに着脱可能に装着されている。なお、アーム部15bや支持ピン16の数は、ウエハWを安定して支持できればよく、特に限定されない。ホルダ15は、誘電体材料によって形成されている。これらを形成する誘電体材料としては、例えば、石英、セラミックス等を用いることができる。
さらに、支持装置4は、シャフト14を回転させる回転駆動部17と、シャフト14を上下に変位させる昇降駆動部18と、シャフト14を支持するとともに、回転駆動部17と昇降駆動部18とを連結する可動連結部19と、を有している。回転駆動部17、昇降駆動部18及び可動連結部19は、処理容器2の外部に設けられている。なお、処理容器2内を真空状態にする場合は、シャフト14が底壁13を貫通する部分の周囲に、例えばベローズなどのシール装置20を設けることができる。
支持装置4において、シャフト14、ホルダ15、回転駆動部17及び可動連結部19は、ウエハWを水平方向に回転運動させる回転装置を構成している。ホルダ15は、回転駆動部17を駆動させることによって、シャフト14を回転中心にして回転する。すなわち、各支持ピン16が水平方向に円運動(公転)し、支持ピン16に支持されたウエハWを水平方向に回転させる。回転駆動部17は、シャフト14を回転させ得るものであれば、特に制限はなく、例えば図示しないモータ等を備えていてもよい。
また、支持装置4において、シャフト14、ホルダ15、昇降駆動部18及び可動連結部19は、ウエハWの高さ位置を調節する高さ位置調節装置を構成している。ホルダ15は、昇降駆動部18を駆動させることによって、シャフト14とともに、上下方向に昇降変位するように構成されている。昇降駆動部18は、シャフト14及び可動連結部19を昇降変位させ得るものであれば、特に制限はなく、例えば図示しないボールねじ等を備えていてもよい。
なお、ウエハWを水平方向に回転させる回転装置及びウエハWの高さ位置を調節する高さ位置調節装置は、それらの目的を実現できれば、他の構成であってもよい。また、回転駆動部17と昇降駆動部18は一体の機構であってもよく、可動連結部19を有しない構成であってもよい。
本実施の形態のマイクロ波加熱処理装置1において、支持装置4のホルダ15は、所定の高さでウエハWを保持することができる。ホルダ15によってウエハWを保持する高さ位置は可変に調節できる。ここで、ホルダ15によってウエハWを保持する高さ位置について、図4〜図7を参照して説明する。図4は、処理容器2内におけるウエハWの高さ位置を拡大して示す説明図である。図5から図7は、上部側壁201と下部側壁202との境界203の位置に対するウエハWの高さ位置を示す説明図である。図4に示すように、ウエハWの処理面の高さ位置Hは、上部側壁201と下部側壁202との境界203と同程度に設定することが好ましい。具体的には、図4及び図5に示すように、ウエハWの処理面の高さ位置Hは、境界203の位置H(つまり、底壁13の上面から境界203までの高さ)と同じであることが最も好ましい。H=Hである場合には、ウエハWの処理面が上部空間S1と下部空間S2との境界面に位置することになるとともに、円形のウエハWの端部と側方の下部側壁202との間隔Cが均等になるため、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みを抑制する効果が最も大きくなる。
また、図6は、ウエハWの処理面の高さ位置Hが、境界203の位置Hよりも高い(H>H)場合を示している。この場合、ウエハWは、四角形の水平断面を有する上部側壁201の内側に位置するため、ウエハWの上下で電磁界ベクトルの方向が一致してしまう。加えて、断面が四角形の上部側壁201内では、その角部付近において、円形のウエハWの端部と上部側壁201との間隔Cも広くなる。このような理由から、図6の高さ位置(H>H)では、図5の高さ位置(H=H)に比べて、ウエハWの裏面側へマイクロ波が回り込みやすくなる傾向がある。そのため、H>Hである場合に、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みを効果的に抑制するためには、ウエハWの処理面の高さ位置Hを、境界203の位置Hを基準にして、その上方において、マイクロ波の真空波長(以下、単に「波長」と記すことがある)λの6%以内に入る高さ位置にすることが好ましく、3%以内に入る高さ位置にすることがより好ましい。
また、図7は、ウエハWの処理面の高さ位置Hが、境界203の位置Hよりも低い(H<H)場合を示している。この場合、円形のウエハWは、円形の水平断面を有する下部側壁202の内側に位置するため、間隔Cが均一となり、図6の場合(H>H)よりもウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みは少なくなる。しかし、ウエハWの上下で電磁界ベクトルの方向が一致することから、図5の位置(H=H)に比べると、ウエハWの裏面側へマイクロ波が回り込みやすくなる傾向がある。そのため、H<Hである場合に、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みを効果的に抑制するためには、ウエハWの処理面の高さ位置Hを、境界203の位置Hを基準にしてその下方において、マイクロ波の波長λの6%以内に入る高さ位置にすることが好ましく、3%以内に入る高さ位置にすることがより好ましい。
以上のように、ウエハWの処理面の高さ位置Hは、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みを抑制する観点から、境界203の位置Hを基準にして、H=H(図5)が最も好ましく、次にH<H0(図7)が好ましく、その次にH>H(図6)となるように設定することが好ましい。また、同様の観点から、ウエハWの処理面の高さ位置Hは、境界203の位置Hを基準にして、その上下に、波長λの±6%の範囲内とすることが好ましく、±3%の範囲内とすることがより好ましく、境界203の位置Hと同じであることが最も好ましい。例えば、マイクロ波の周波数が5.8GHzである場合、その波長λは約51.7mmであるため、ウエハWの処理面の高さ位置Hは、境界203の位置Hの上下に、±3.1mm範囲内とすることが好ましく、±1.6mmの範囲内とすることがより好ましく、境界203の位置Hと同じであることが最も好ましい。
また、ウエハWの側方から下方へのマイクロ波の回り込みを抑制する観点から、ホルダ15によって保持されたウエハWの端部と側壁12(上部側壁201又は下部側壁202)との間隔Cは、マイクロ波の波長λの25%以下、好ましくは21%以下の距離であることが好ましい。例えば、マイクロ波の周波数が5.8GHzである場合、その波長λは約51.7mmであるため、ウエハWの端部と側壁12との間隔Cは、13mm以下とすることが好ましく、11mm以下とすることがより好ましい。また、ウエハWの端部と側壁12との間隔Cは、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みを抑制するという観点では小さい程良いが、ウエハWの上下方向への変位や水平方向への回転を支障なく行うために、例えば1mm以上とすることが好ましい。なお、上記H>Hの場合(図6参照)については、間隔Cは、ホルダ15によって保持されたウエハWの端部と上部側壁201との最短距離を意味する。
また、図4に示すように、ウエハWの下方の下部空間S2に発生する定在波のモードを限定する観点から、底壁13の上面からホルダ15によって保持されたウエハWの下面(裏面)までの距離Hは、マイクロ波の波長λに対してH<λ/2とすることが好ましい。距離Hをλ/2未満とすることによって、底壁13の上面からウエハWの下面までの空間に、処理容器2の高さ方向に波長を持つ定在波を発生させず、ウエハWの下面に対して平行な方向の定在波のみが発生するようになる。従って、距離Hをλ/2未満とすることによって、ウエハWの下方空間において発生する定在波のモードを1種類にすることが可能になり、定在波の変動を回避できる。
<排気装置>
排気装置6は、例えば、ドライポンプ等の真空ポンプを有している。マイクロ波加熱処理装置1は、更に、排気口13aと排気装置6とを接続する排気管21と、排気管21の途中に設けられた圧力調整バルブ22と、を備えている。排気装置6の真空ポンプを作動させることにより、処理容器2の内部空間が減圧排気される。なお、マイクロ波加熱処理装置1は、大気圧での処理も可能であり、その場合は、真空ポンプは不要である。排気装置6としてドライポンプ等の真空ポンプを用いる替わりに、マイクロ波加熱処理装置1が設置される施設に設けられた排気設備を用いることも可能である。
<ガス供給機構>
マイクロ波加熱処理装置1は、更に、処理容器2内にガスを供給するガス供給機構5を備えている。ガス供給機構5は、図示しないガス供給源を備えたガス供給装置5aと、ガス供給装置5aに接続され、処理容器2内に処理ガスを導入する複数の配管23(1本のみ図示)と、を備えている。複数の配管23は、処理容器2の側壁12のガス導入口12bに接続されている。
ガス供給装置5aは、配管23を介して、処理ガスとして、例えば、N、Ar、He、Ne、O、H等のガスを処理容器2内へサイドフロー方式で供給できるように構成されている。なお、処理容器2内へのガスの供給は、例えばウエハWに対向する位置(例えば、上壁11)にガス供給手段を設けて行ってもよい。また、ガス供給装置5aの代りに、マイクロ波加熱処理装置1の構成には含まれない外部のガス供給装置を使用してもよい。図示しないが、マイクロ波加熱処理装置1は、更に、配管23の途中に設けられたマスフローコントローラおよび開閉バルブを備えている。処理容器2内に供給されるガスの種類や、これらのガスの流量等は、マスフローコントローラおよび開閉バルブによって制御される。
<温度計測部>
マイクロ波加熱処理装置1は、更に、ウエハWの表面温度を測定する複数の放射温度計26と、複数の放射温度計26に接続された温度計測部27とを備えている。なお、図1では、ウエハWの中央部の表面温度を測定する放射温度計26を除いて、複数の放射温度計26の図示を省略している。
<マイクロ波導入装置>
次に、図1、図8を参照して、マイクロ波導入装置3の構成について説明する。図8は、マイクロ波導入装置3の高電圧電源部の概略の構成を示す説明図である。前述のように、マイクロ波導入装置3は、処理容器2の上部に設けられ、処理容器2内に電磁波(マイクロ波)を導入するマイクロ波導入手段として機能する。図1に示したように、マイクロ波導入装置3は、マイクロ波を処理容器2に導入する複数のマイクロ波ユニット30と、複数のマイクロ波ユニット30に接続された高電圧電源部40とを備えている。
(マイクロ波ユニット)
本実施の形態では、複数のマイクロ波ユニット30の構成は全て同一である。各マイクロ波ユニット30は、ウエハWを処理するためのマイクロ波を生成するマグネトロン31と、マグネトロン31において生成されたマイクロ波を処理容器2に伝送する伝送路としての導波管32と、マイクロ波導入ポート10を塞ぐように上壁11に固定された透過窓33とを有している。マグネトロン31は、本発明におけるマイクロ波源に対応する。
マグネトロン31は、高電圧電源部40によって供給される高電圧が印加される陽極および陰極(いずれも図示省略)を有している。また、マグネトロン31としては、種々の周波数のマイクロ波を発振することができるものを用いることができる。マグネトロン31によって生成されるマイクロ波は、被処理体の処理毎に最適な周波数を選択し、例えば加熱処理においては、2.45GHz、5.8GHz等の高い周波数のマイクロ波であることが好ましく、5.8GHzのマイクロ波であることが特に好ましい。
導波管32は、断面が矩形且つ角筒状の形状を有し、処理容器2の上壁11の上面から上方に延びている。マグネトロン31は、導波管32の上端部の近傍に接続されている。導波管32の下端部は、透過窓33の上面に接している。マグネトロン31において生成されたマイクロ波は、導波管32および透過窓33を介して処理容器2内に導入される。
透過窓33は、誘電体材料によって形成されている。透過窓33の材料としては、例えば、石英、セラミックス等を用いることができる。透過窓33と上壁11との間は、図示しないシール部材によって気密にシールされている。
マイクロ波ユニット30は、更に、導波管32の途中に設けられたサーキュレータ34、検出器35およびチューナ36と、サーキュレータ34に接続されたダミーロード37とを有している。サーキュレータ34、検出器35およびチューナ36は、導波管32の上端部側からこの順に設けられている。サーキュレータ34およびダミーロード37は、処理容器2からの反射波を分離するアイソレータを構成する。すなわち、サーキュレータ34は、処理容器2からの反射波をダミーロード37に導き、ダミーロード37は、サーキュレータ34によって導かれた反射波を熱に変換する。
検出器35は、導波管32における処理容器2からの反射波を検出するためのものである。検出器35は、例えばインピーダンスモニタ、具体的には、導波管32における定在波の電界を検出する定在波モニタによって構成されている。定在波モニタは、例えば、導波管32の内部空間に突出する3本のピンによって構成することができる。定在波モニタによって定在波の電界の場所、位相および強さを検出することにより、処理容器2からの反射波を検出することができる。また、検出器35は、進行波と反射波を検出することが可能な方向性結合器によって構成されていてもよい。
チューナ36は、マグネトロン31と処理容器2との間のインピーダンスのマッチングを行う機能を有している。チューナ36によるマッチングは、検出器35における反射波の検出結果に基づいて行われる。チューナ36は、例えば、導波管32の内部空間に出し入れすることができるように設けられた導体板(図示省略)によって構成することができる。この場合、導体板の、導波管32の内部空間への突出量を制御することにより、反射波の電力量を調整して、マグネトロン31と処理容器2との間のインピーダンスを調整することができる。
(高電圧電源部)
高電圧電源部40は、マグネトロン31に対してマイクロ波を生成するための高電圧を供給する。図8に示したように、高電圧電源部40は、商用電源に接続されたAC−DC変換回路41と、AC−DC変換回路41に接続されたスイッチング回路42と、スイッチング回路42の動作を制御するスイッチングコントローラ43と、スイッチング回路42に接続された昇圧トランス44と、昇圧トランス44に接続された整流回路45とを有している。マグネトロン31は、整流回路45を介して昇圧トランス44に接続されている。
AC−DC変換回路41は、商用電源からの交流(例えば、三相200Vの交流)を整流して所定の波形の直流に変換する回路である。スイッチング回路42は、AC−DC変換回路41によって変換された直流のオン・オフを制御する回路である。スイッチング回路42では、スイッチングコントローラ43によってフェーズシフト型のPWM(Pulse Width Modulation)制御またはPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御が行われて、パルス状の電圧波形が生成される。昇圧トランス44は、スイッチング回路42から出力された電圧波形を所定の大きさに昇圧するものである。整流回路45は、昇圧トランス44によって昇圧された電圧を整流してマグネトロン31に供給する回路である。
<制御部>
マイクロ波加熱処理装置1の各構成部は、それぞれ制御部8に接続されて、制御部8によって制御される。制御部8は、典型的にはコンピュータである。図9は、図1に示した制御部8のハードウェア構成の一例を示している。制御部8は、主制御部101と、キーボード、マウス等の入力装置102と、プリンタ等の出力装置103と、表示装置104と、記憶装置105と、外部インターフェース106と、これらを互いに接続するバス107とを備えている。主制御部101は、CPU(中央処理装置)111、RAM(ランダムアクセスメモリ)112およびROM(リードオンリメモリ)113を有している。記憶装置105は、情報を記憶できるものであれば、その形態は問わないが、例えばハードディスク装置または光ディスク装置である。また、記憶装置105は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体115に対して情報を記録し、また記録媒体115より情報を読み取るようになっている。記録媒体115は、情報を記憶できるものであれば、その形態は問わないが、例えばハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどである。記録媒体115は、本実施の形態に係るマイクロ波加熱処理方法のレシピを記録した記録媒体であってもよい。
制御部8では、CPU111が、RAM112を作業領域として用いて、ROM113または記憶装置105に格納されたプログラムを実行することにより、本実施の形態のマイクロ波加熱処理装置1においてウエハWに対する加熱処理を実行できるようになっている。具体的には、制御部8は、マイクロ波加熱処理装置1において、例えばウエハWの温度、処理容器2内の圧力、ガス流量、マイクロ波出力、ウエハWの回転速度等のプロセス条件に関係する各構成部(例えば、マイクロ波導入装置3、支持装置4、ガス供給装置5a、排気装置6等)を制御する。
<作用>
次に、図10〜図12を参照しながら、本発明の作用について説明する。図10は、マイクロ波導入ポート10の配置と機能の説明に供する図面である。図10は、図1に示した処理容器2の上壁11の下面を処理容器2の内部から見た状態を示すとともに、上部空間S1における電磁界ベクトルの状態を模式的に示している。図11は、1つのマイクロ波導入ポート10を拡大して示す平面図である。図12は、円筒形の処理容器における電磁界ベクトルの状態を模式的に示す説明図である。本実施の形態のマイクロ波加熱処理装置1では、上壁11に設けられた4つのマイクロ波導入ポート10から処理容器2内にマイクロ波が放射される。処理容器2の上壁11、側壁12(上部側壁201、下部側壁202)及び底壁13は、いずれも金属材料によって形成されているため、マイクロ波を反射し、処理容器2内の空間に散乱させる。
本実施の形態では、処理容器2は、上壁11において周方向に等間隔に配置された4つのマイクロ波導入ポート10を有している。以下、4つのマイクロ波導入ポート10を互いに区別して表す場合には、符号10A,10B,10C,10Dを付して表す。なお、本実施の形態では、各マイクロ波導入ポート10にそれぞれマイクロ波ユニット30が接続されている。つまり、マイクロ波ユニット30の数は4つである。
図10では、ウエハWの大きさと位置を2点鎖線で上壁11に重ねて示した。符号OはウエハWの中心を表し、かつ、本実施の形態では、上壁11の中心も表している。従って、符号Oを通る2つの線は、上壁11と側壁12の境界となる4つの辺において、対向する辺の中点どうしを結ぶ中央線Mを表している。なお、ウエハWの中心と上壁11の中心とは必ずしも重ならなくてもよい。また、図10では、説明の便宜上、上壁11と処理容器2の4つの側壁12の内壁面との接合部分に、4つの上部側壁201を区別して符号201A、201B、201C、201Dを付し、それらの位置を示している。
図10に示したように、本実施の形態では、上壁11において全体として略十字形をなすように、等間隔に配置された4つのマイクロ波導入ポート10を有している。本実施の形態では、4つのマイクロ波導入ポート10は、すべてがウエハWの直上に重なるように配置されている。なお、ウエハWの面内での均一加熱が実現可能であるならば、必ずしもウエハWとマイクロ波導入ポート10との位置が重なる必要はない。
マイクロ波導入ポート10は、長辺と短辺とを有する平面視矩形をなしている。マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)は、例えば2以上100以下であり、4以上であることが好ましく、5〜20がより好ましい。前記比L/Lを2以上、好ましくは4以上とするのは、マイクロ波導入ポート10から処理容器2内に放射されるマイクロ波の指向性をマイクロ波導入ポート10の長辺と垂直な方向(短辺と平行な方向)に強めるためである。この比L/Lが2未満であると、マイクロ波導入ポート10から処理容器2内に放射されるマイクロ波がマイクロ波導入ポート10の長辺と平行な方向(短辺と垂直な方向)に向かいやすくなる。また、前記比L/Lが2未満であると、マイクロ波導入ポート10の直下の方向へもマイクロ波の指向性が強くなるため、ウエハWに直接マイクロ波が照射され、局所的な加熱が生じやすくなる。一方、前記比L/Lが20を超えると、マイクロ波導入ポート10の直下やマイクロ波導入ポート10の長辺と平行な方向(短辺と垂直な方向)へ向かうマイクロ波の指向性が弱くなりすぎるため、ウエハWの加熱効率が低下する場合がある。
各マイクロ波導入ポート10の大きさや、前記比L/Lは、マイクロ波導入ポート10毎に異なっていてもよいが、ウエハWに対する加熱処理の均一性を高めるとともに制御性をよくする観点から、4つのマイクロ波導入ポート10のすべてが同じ大きさ及び形状であることが好ましい。
本実施の形態において、4つのマイクロ波導入ポート10は、それぞれ、その長辺と短辺が、4つの上部側壁201A,201B,201C,201Dの内壁面と平行になるように設けられている。例えば、図10に示すように、マイクロ波導入ポート10Aの長辺は、側壁201B,201Dと平行であり、その短辺は、上部側壁201A,201Cと平行である。図10では、マイクロ波導入ポート10Aから放射されるマイクロ波について、支配的な指向性を示す電磁界ベクトル210を実線の矢印で示し、上部側壁201B,201Dによって反射されたマイクロ波の指向性を示す電磁界ベクトル211を破線の矢印で示した。マイクロ波導入ポート10Aから放射されるマイクロ波は、大部分がその長辺に対して垂直な方向(短辺に平行な方向)へ進行し、伝搬していく。また、マイクロ波導入ポート10Aから放射されたマイクロ波は、2つの上部側壁201B及び201Dによってそれぞれ反射される。これら上部側壁201B及び201Dは、マイクロ波導入ポート10Aの長辺に対して平行に設けられているため、生成する反射波の指向性(電磁界ベクトル211)は、進行波の指向性(電磁界ベクトル210)の180度逆向きになり、他のマイクロ波導入ポート10B、10C、10Dへ向かう方向へ散乱することは殆どない。このように、比L/Lが例えば2以上である4つのマイクロ波導入ポート10を、それぞれの長辺と短辺が、4つの上部側壁201A,201B,201C,201Dの内壁面と平行になるように配置することで、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波の方向を制御できる。なお、4つのマイクロ波導入ポート10は、その長辺と短辺が、上部側壁201A,201B,201C,201Dの内壁面と平行であれば、図10に例示した配置に限定されるものではない。
以上、マイクロ波導入ポート10Aを例に挙げたが、マイクロ波導入ポート10B、10C、10Dについても、それぞれ他のマイクロ波導入ポート10及び上部側壁201との間で、上記関係が成立するように配置されている。
図10に示すように、水平断面が四角形をなす上部側壁201に囲まれた上部空間S1では、マイクロ波導入ポート10から導入されるマイクロ波及び反射波の電磁界ベクトル210,211は、上部側壁201の4つの壁面に対して垂直な方向となっている。それに対し、仮に処理容器の水平断面が円形である場合には、図12に模式的に示すように、処理容器300内に導入されたマイクロ波及び反射波の電磁界ベクトルは、円形の壁面の近傍では、境界条件によって円の接線に対して垂直な方向の法線ベクトルとなる。従って、本実施の形態のマイクロ波加熱処理装置1では、上部側壁201と下部側壁202の水平断面の形状を変えることによって、上部空間S1と下部空間S2における電磁界ベクトルの方向を異ならせることができる。長方形のマイクロ波導入ポート10から処理容器2内の上部空間S1に導入されたマイクロ波は、電磁界ベクトルの方向が異なる下部空間S2に入り込みにくくなる。従って、本実施の形態では、上部側壁201と下部側壁202の境界203(つまり、上部空間S1と下部空間S2との境界面)の位置Hとほぼ同等の高さ位置にウエハWを配置することによって、上部空間S1に導入されたマイクロ波が、ウエハWの裏面側へ回り込むことを極力回避している。
次に、図13〜図19を参照しながら、本発明の効果を確認したシミュレーション試験について説明する。図13及び図14は、図1のマイクロ波加熱処理装置1と同様の構成を有するマイクロ波加熱処理装置において1つのマイクロ波導入ポート10からマイクロ波を導入した実施例の電磁界シミュレーションの結果である。図13は、処理容器2内における縦断面の電磁界強度を示し、図14は、ウエハWから下方に4mmの位置における処理容器2(下部側壁202)の水平断面の電磁界強度を示している。シミュレーションでは、ウエハWの処理面の高さ位置Hは、上部側壁201と下部側壁202との境界203の位置Hと同じに設定した。また、ホルダ15によって保持されたウエハWの端部と下部側壁202との間の間隔Cは11mmに設定した。
一方、図15及び図16は、処理容器が直方体状である点以外は、図1のマイクロ波加熱処理装置1と同様の構成を有するマイクロ波加熱処理装置を想定し、1つのマイクロ波導入ポート10からマイクロ波を導入した比較例の電磁界シミュレーションの結果を示している。図15は、処理容器内における縦断面の電磁界強度を示し、図16は、ウエハWから下方に4mmの位置における処理容器の水平断面の電磁界強度を示している。
白黒表記のため、厳密には表現できていないが、図13及び図14と、図15及び図16との比較から、図15、図16では、ウエハWの中央の下方に、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みが原因とみられる電磁界が強い部分が発現している。それに対し、図13、図14では、ウエハWの処理面の高さ(境界203の位置と同じ)よりも下方の空間では、電磁界強度が一様に低くなっており、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みが抑制されていることが確認された。
図17〜図19は、ホルダ15によって保持されたウエハWの端部と下部側壁202との間の間隔Cを変化させた場合のシミュレーション結果である。図17〜図19は、図14と同様に、図1のマイクロ波加熱処理装置1と同様の構成を有するマイクロ波加熱処理装置において、ウエハWから下方に4mmの位置における処理容器2(下部側壁202)の水平断面の電磁界強度を示している。図17では間隔Cを13mm、図18では同15mm、図19では同17mmに設定した。図14(間隔C=11mm)の結果も併せて参照すると、間隔Cが大きくなるに伴い、ウエハWの下方において、電磁界強度が強い色の濃い部分が徐々に増えていく傾向が見て取れるが、間隔Cが13mm(図17)までは、ウエハWの下方の電磁界強度が一様に低くなっている。従って、図14、図17〜図19の結果から、間隔Cは、13mm以下とすることが好ましいことがわかった。
以上のように、マイクロ波加熱処理装置1では、処理容器2の側壁12を、水平断面が四角形をなす上部側壁201と、水平断面が円形をなす下部側壁202と、によって構成した。マイクロ波加熱処理装置1では、ホルダ15によって、ウエハWの処理面の高さ位置Hを調節し、上部側壁201と下部側壁202との境界203の近傍に設定することによって、下部空間S2へのマイクロ波の回り込みを抑制するとともに、電力利用効率を改善し、ウエハWの加熱効率を向上させることができる。
マイクロ波加熱処理装置1は、例えば半導体デバイスの作製工程において、拡散層に注入されたドーピング原子の活性化を行うための加熱処理などの目的で好ましく利用できる。
[マイクロ波加熱処理方法]
次に、マイクロ波加熱処理装置1で行われるマイクロ波加熱処理方法の好ましい実施の形態について説明する。
まず、例えば制御部8の入力装置102から、マイクロ波加熱処理装置1において加熱処理を行うように指令が入力される。次に、主制御部101は、この指令を受けて、記憶装置105またはコンピュータ読み取り可能な記録媒体115に保存されたレシピを読み出す。次に、レシピに基づく条件によって加熱処理が実行されるように、主制御部101からマイクロ波加熱処理装置1の各エンドデバイス(例えば、マイクロ波導入装置3、支持装置4、ガス供給装置5a、排気装置6等)に制御信号が送出される。
次に、ゲートバルブGVが開状態にされて、図示しない搬送装置によって、ウエハWが、ゲートバルブGVおよび搬入出口12aを通って処理容器2内に搬入され、ホルダ15の複数の支持ピン16の上に載置される。
ホルダ15は、昇降駆動部18を駆動させることによって、シャフト14とともに、上下方向に昇降し、ウエハWが所定の高さ位置にセットされる。本実施の形態では、ウエハWの処理面の高さ位置Hが、上部側壁201と下部側壁202との境界203の位置Hを基準にしてその上下に、好ましくは波長λの±6%の範囲内、より好ましくは±3%の範囲内、最も好ましくは境界203の位置Hと一致するように設定する。また、好ましくは、底壁13の上面からウエハWの下面までの距離Hを、波長λに対してH<λ/2となるように、ウエハWを配置する。
また、上記高さ位置で、必要に応じて回転駆動部17を駆動させることによって、ウエハWを水平方向に所定の速度で回転させることが好ましい。なお、ウエハWの回転は、連続的でなく、非連続的であってもよい。
次に、ゲートバルブGVが閉状態にされて、必要な場合は、排気装置6によって、処理容器2内が減圧排気される。また、必要な場合は、ガス供給装置5aによって、所定の流量の処理ガスが処理容器2内に導入される。処理容器2の内部空間は、排気量およびガス供給量を調整することによって、所定の圧力に調整される。
次に、制御部8の制御の下で、高電圧電源部40からマグネトロン31に対して電圧を印加してマイクロ波を生成する。マグネトロン31において生成されたマイクロ波は、導波管32を伝搬し、次に、透過窓33を透過して、処理容器2内の上方空間S1に導入される。例えば、複数のマグネトロン31において順次マイクロ波を生成し、各マイクロ波導入ポート10から交互にマイクロ波を処理容器2内に導入する。なお、複数のマグネトロン31において同時に複数のマイクロ波を生成させ、各マイクロ波導入ポート10から同時にマイクロ波を処理容器2内に導入するようにしてもよい。
処理容器2に導入されたマイクロ波は、ウエハWに照射されて、ジュール加熱、磁性加熱、誘導加熱等の電磁波加熱により、ウエハWが迅速に加熱される。その結果、ウエハWに対して加熱処理が施される。本実施の形態のマイクロ波加熱処理方法では、処理容器2の側壁12を、水平断面が四角形をなす上部側壁201と、水平断面が円形をなす下部側壁202と、によって構成した。そして、ホルダ15によって、ウエハWの処理面の高さ位置Hを上部側壁201と下部側壁202との境界203の位置Hの近傍に設定することによって、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みを効果的に抑制することができる。その結果、ウエハWの処理面へのマイクロ波の照射量が増加し、同じ消費電力でも、加熱効率を向上させることができる。つまり、電力利用効率が改善し、ウエハWの加熱効率を向上させることができる。また、加熱処理の間にウエハWを回転させた場合は、ウエハWの周方向において、マイクロ波の偏りを少なくし、ウエハW面内の加熱温度を均一化できる。なお、ウエハWの回転は、連続的でなく、非連続的であってもよい。
主制御部101からマイクロ波加熱処理装置1の各エンドデバイスに加熱処理を終了させる制御信号が送出されると、マイクロ波の生成が停止されると共に、ウエハWの回転が停止し、処理ガスの供給が停止されて、ウエハWに対する加熱処理が終了する。
所定時間の加熱処理又は加熱処理後の冷却処理が終了した後、ゲートバルブGVが開状態にされて、支持装置4によってウエハWの高さ位置を調整した後、図示しない搬送装置によって、ウエハWが搬出される。
以上のように、本実施の形態のマイクロ波加熱処理方法では、ウエハWの裏面側へのマイクロ波の回り込みを極力抑制し、効率の良い加熱処理を行うことが可能である。特に、ウエハWの表面に、例えば金属膜などのマイクロ波を反射しやすい材料が形成されたウエハWに対して、表面の金属膜を集中的に加熱処理したい場合などには、ウエハWの裏面側で消費されるマイクロ波が少なく、反対にウエハ表面側で消費されるマイクロ波多くなることから、効率の良い加熱処理が可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、マイクロ波加熱処理装置におけるマイクロ波ユニット30の数(マグネトロン31の数)やマイクロ波導入ポート10の数は、上記実施の形態で説明した数に限られない。
1…マイクロ波加熱処理装置、2…処理容器、3…マイクロ波導入装置、4…支持装置、5…ガス供給機構、5a…ガス供給装置、6…排気装置、8…制御部、10…マイクロ波導入ポート、12…側壁、12a…搬入出口、12b…ガス導入口、14…シャフト、15…ホルダ、15a…ホルダ基部、15b…アーム部、16…支持ピン、17…回転駆動部、18…昇降駆動部、30…マイクロ波ユニット、31…マグネトロン、32…導波管、33…透過窓、34…サーキュレータ、35…検出器、36…チューナ、37…ダミーロード、40…高電圧電源部、201…上部側壁、202…下部側壁、203…境界、W…半導体ウエハ

Claims (12)

  1. 被処理体を収容する処理容器と、
    前記被処理体を加熱処理するためのマイクロ波を生成して一つないし複数のマイクロ波導入ポートから前記処理容器に導入するマイクロ波導入装置と、
    前記被処理体に当接することによって、前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持部と、
    を備え、
    前記処理容器は、互いに連通する上部空間及び下部空間を形成しており、
    前記上部空間は、その水平断面が四角形をなし、
    前記下部空間は、その水平断面が円形をなしているマイクロ波加熱処理装置。
  2. 前記上部空間は、上壁と、角筒形状をなす上部側壁と、によって囲まれ、
    前記下部空間は、円筒形状をなす下部側壁と、前記上壁に平行な底壁と、によって囲まれている請求項1に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  3. 被処理体を収容する処理容器と、
    前記被処理体を加熱処理するためのマイクロ波を生成して一つないし複数のマイクロ波導入ポートから前記処理容器に導入するマイクロ波導入装置と、
    前記被処理体に当接することによって、前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持部と、
    を備え、
    前記処理容器は、
    上壁と、
    水平断面が四角形をなす上部側壁と、
    水平断面が円形をなす下部側壁と、
    前記上壁に平行な底壁と、を備えているマイクロ波加熱処理装置。
  4. 前記上部側壁は、角筒形状をなし、
    前記下部側壁は、円筒形状をなしている請求項3に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  5. 前記マイクロ波導入ポートは、前記上壁に形成されている請求項2から4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  6. 前記保持部によって保持された前記被処理体の処理面の高さ位置が、前記上部側壁と前記下部側壁との境界部の位置を基準にしてその上下に、前記マイクロ波の波長λの±6%の範囲内に入る高さ位置である請求項2から5のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  7. 前記被処理体が円板状をなし、前記保持部によって保持された前記被処理体の端部と前記下部側壁との距離が、1mm以上であって前記マイクロ波の波長λの25%以下の長さである請求項2から6のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  8. 前記底壁の上面から前記保持部によって保持された前記被処理体の下面までの距離が、前記マイクロ波の波長λに対してλ/2未満である請求項2から7のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  9. さらに、前記保持部を水平方向に回転させる機構を備えている請求項2から8のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  10. 前記上部側壁は、4つの内壁面を有しており、
    前記マイクロ波導入装置は、前記複数のマイクロ波源として、第1ないし第4のマイクロ波源を有し、
    前記上壁は、前記第1ないし第4のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する第1ないし第4のマイクロ波導入ポートを有しており、
    前記第1ないし第4のマイクロ波導入ポートは、それぞれ、長辺と短辺とを有する平面視矩形をなしており、その長辺と短辺が、前記上部側壁の前記内壁面と平行になるように設けられている請求項5から9のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  11. 前記マイクロ波導入ポートの長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)が、4以上である請求項10に記載のマイクロ波加熱処理装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱処理装置によって前記被処理体を加熱処理するマイクロ波加熱処理方法。
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