JP2014170701A - マイクロ波処理装置および処理方法 - Google Patents

マイクロ波処理装置および処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014170701A
JP2014170701A JP2013042815A JP2013042815A JP2014170701A JP 2014170701 A JP2014170701 A JP 2014170701A JP 2013042815 A JP2013042815 A JP 2013042815A JP 2013042815 A JP2013042815 A JP 2013042815A JP 2014170701 A JP2014170701 A JP 2014170701A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microwave
microwave introduction
introduction port
processing apparatus
long side
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013042815A
Other languages
English (en)
Inventor
Taro Ikeda
太郎 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electron Ltd
Original Assignee
Tokyo Electron Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electron Ltd filed Critical Tokyo Electron Ltd
Priority to JP2013042815A priority Critical patent/JP2014170701A/ja
Publication of JP2014170701A publication Critical patent/JP2014170701A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)

Abstract

【課題】 複数のマイクロ波導入ポートの間における電力損失を抑制し、電力の利用効率及び加熱効率に優れたマイクロ波処理装置および処理方法を提供する。
【解決手段】 天井部11の下面には、略十字形をなすように、マイクロ波伝播抑制手段としての凸部である仕切り壁50が設けられている。仕切り壁50は、各マイクロ波導入ポート10の長辺に対応して、該長辺に平行な壁面を有する直線状壁部50a,50b,50c,50dを備えている。仕切り壁50は、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波や、その反射波が、他のマイクロ波導入ポート10へ入射することを抑制するマイクロ波伝播抑制手段として機能する。
【選択図】図5

Description

本発明は、マイクロ波を処理容器に導入して所定の処理を行うマイクロ波処理装置およびこのマイクロ波処理装置を用いて被処理体を処理する処理方法に関する。
LSIデバイスやメモリデバイスの微細化が進むに伴い、トランジスタ作製工程における拡散層の深さが浅くなっている。従来、拡散層に注入されるドーピング原子の活性化は、ランプヒーターを用いるRTA(Rapid Thermal Annealing)と呼ばれる急速加熱処理により行われてきた。しかし、RTA処理では、ドーピング原子の拡散が進むため、拡散層の深さが許容範囲を超えて深くなってしまい、微細設計の障害となるという問題が生じていた。拡散層の深さのコントロールが不完全であると、リーク電流の発生などデバイスの電気的特性を低下させてしまう要因となる。
近年、半導体ウエハに対して熱処理を施す装置として、マイクロ波を使用する装置が提案されている。マイクロ波加熱でドーピング原子の活性化を行う場合、マイクロ波がドーピング原子に直接作用することから、余剰加熱が起こらず、拡散層の拡がりを抑制できるという利点がある。
マイクロ波を利用した加熱装置として、例えば、特許文献1には、矩形導波管から正四角錐ホーンにマイクロ波を導入して試料を加熱するマイクロ波加熱装置が提案されている。この特許文献1では、矩形導波管と正四角錐ホーンとの角度を軸心方向に45度回転させて配置することにより、TE10モードの直交2偏波のマイクロ波を同位相で試料に照射できるとされている。
また、特許文献2には、被加熱物を曲げ加工するための加熱装置として、加熱室内を導入マイクロ波の自由空間波長のλ/2〜λの寸法の正方形断面に設定したマイクロ波加熱装置が提案されている。
特開昭62−268086号公報 実開平6−17190号公報
ところで、マイクロ波加熱によってドーピング原子の活性化を行う場合、ある程度大きな電力を供給する必要がある。そのためには、複数のマイクロ波導入ポートを設けて処理容器内にマイクロ波を導入する方法が効率的である。ところが、複数のマイクロ波導入ポートを設けた場合、一つのマイクロ波導入ポートから導入されたマイクロ波が、他のマイクロ波導入ポートへ進入することによって、電力の利用効率及び加熱効率が低下してしまう、という問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数のマイクロ波導入ポートの間における電力損失を抑制し、電力の利用効率に優れたマイクロ波処理装置および処理方法を提供することにある。
本発明のマイクロ波処理装置は、内部にマイクロ波放射空間を有するとともに被処理体を収容する処理容器と、前記被処理体を処理するためのマイクロ波を生成して前記処理容器に導入するマイクロ波導入装置と、を備えている。本発明のマイクロ波処理装置において、前記処理容器は、上壁、底壁及び互いに接続された4つの側壁を有し、前記マイクロ波導入装置は、マイクロ波源として、複数のマイクロ波源を有し、前記上壁は、前記複数のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する複数のマイクロ波導入ポートを有しており、前記複数のマイクロ波導入ポートは、それぞれ、長辺と短辺とを有する平面視矩形をなしており、その長辺と短辺が、前記4つの側壁の内壁面と平行になるように設けられている。そして、本発明のマイクロ波処理装置において、前記上壁は、前記複数のマイクロ波導入ポートの中の互いに隣り合う2つのマイクロ波導入ポートの間に、一のマイクロ波導入ポートから放射されたマイクロ波が他のマイクロ波導入ポートへ伝播し、進入することを抑制するマイクロ波伝播抑制手段を有していることを特徴とする。
本発明のマイクロ波処理装置において、前記マイクロ波伝播抑制手段は、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺と平行な壁面を有する凸部であってもよい。この場合、前記平行な壁面の長さが、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺の長さ以上であってもよい。また、前記凸部の角が面取り加工もしくは丸め加工されていてもよい。さらに、前記複数のマイクロ波源として、第1ないし第4のマイクロ波源を有していてもよい。また、前記上壁は、前記第1ないし第4のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する第1ないし第4のマイクロ波導入ポートを有していてもよい。さらに、各マイクロ波導入ポートは、互いに90°角度を変えた回転位置に配置され、かつ、前記長辺と垂直な方向に平行移動させた場合に、平行な長辺を有する他のマイクロ波導入ポートに重ならないように配置されていてもよい。また、前記凸部が、平面視十字形をなしていてもよい。
本発明のマイクロ波処理装置において、前記マイクロ波伝播抑制手段は、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺と平行な壁面を有する凹部であってもよい。この場合、前記平行な壁面の長さが、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺の長さ以上であってもよい。また、前記凹部の角が面取り加工もしくは丸め加工されていてもよい。さらに、前記複数のマイクロ波源として、第1ないし第4のマイクロ波源を有していてもよい。また、前記上壁は、前記第1ないし第4のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する第1ないし第4のマイクロ波導入ポートを有していてもよい。さらに、各マイクロ波導入ポートは、互いに90°角度を変えた回転位置に配置され、かつ、前記長辺と垂直な方向に平行移動させた場合に、平行な長辺を有する他のマイクロ波導入ポートに重ならないように配置されていてもよい。また、前記凹部が、平面視十字形をなしていてもよい。
本発明のマイクロ波処理装置において、前記マイクロ波導入ポートの長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)が、4以上であってもよい。
本発明の処理方法は、上記いずれかのマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理体にマイクロ波を照射して処理することを特徴とする。
本発明のマイクロ波処理装置および処理方法では、一のマイクロ波導入ポートから放射されたマイクロ波が他のマイクロ波導入ポートへ伝播し、進入することを抑制するマイクロ波伝播抑制手段を有しているため、処理容器内に放射されたマイクロ波の損失が低減され、電力の利用効率に優れている。
本発明の第1の実施の形態に係るマイクロ波処理装置の概略の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波導入装置の高電圧電源部の概略の構成を示す説明図である。 図1に示した処理容器の天井部の下面を示す平面図である。 マイクロ波導入ポートを拡大して示す説明図である。 図1に示した処理容器の天井部の下面を示す斜視図である。 図1に示した制御部の構成を示す説明図である。 仕切り壁の第1の変形例の説明に供する要部斜視図である。 仕切り壁の第2の変形例の説明に供する処理容器の天井部の下面を示す斜視図である。 マイクロ波導入ポートから放射されるマイクロ波の電磁界ベクトルを模式的に示す説明図である。 マイクロ波導入ポートから放射されるマイクロ波の電磁界ベクトルを模式的に示す他の説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係るマイクロ波処理装置の概略の構成を示す断面図である。 図11に示した処理容器の天井部の下面を示す平面図である。 図11に示した処理容器の天井部の下面を示す斜視図である。 仕切り溝の第1の変形例の説明に供する要部斜視図である。 仕切り溝の第2の変形例の説明に供する処理容器の天井部の下面を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロ波処理装置の概略の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るマイクロ波処理装置の概略の構成を示す断面図である。本実施の形態に係るマイクロ波処理装置1は、連続する複数の動作を伴って、例えば半導体デバイス製造用の半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す。)Wに対して、マイクロ波を照射してアニール処理を施す装置である。
マイクロ波処理装置1は、被処理体であるウエハWを収容する処理容器2と、処理容器2内にマイクロ波を導入するマイクロ波導入装置3と、処理容器2内においてウエハWを支持する支持装置4と、処理容器2内にガスを供給するガス供給機構5と、処理容器2内を減圧排気する排気装置6と、これらマイクロ波処理装置1の各構成部を制御する制御部8とを備えている。
<処理容器>
処理容器2は、金属材料によって形成されている。処理容器2を形成する材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等が用いられる。マイクロ波導入装置3は、処理容器2の上部に設けられ、処理容器2内に電磁波(マイクロ波)を導入するマイクロ波導入手段として機能する。マイクロ波導入装置3の構成については、後で詳しく説明する。
処理容器2は、上壁としての板状の天井部11および底壁としての底部13と、天井部11と底部13とを連結する側壁としての4つの側壁部12と、天井部11を上下に貫通するように設けられた複数のマイクロ波導入ポート10と、側壁部12に設けられた搬入出口12aと、底部13に設けられた排気口13aとを有している。ここで、4つの側壁部12は、水平断面が直角に接続された角筒状をなしている。従って、処理容器2は、内部が空洞の立方体状をなしている。また、各側壁部12の内面は、いずれも平坦になっており、マイクロ波を反射させる反射面としての機能を有している。
天井部11の下面には、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波や、その反射波が、他のマイクロ波導入ポート10へ入射することを抑制するマイクロ波伝播抑制手段としての凸部である仕切り壁50が設けられている。この仕切り壁50については、後述する。
側壁部12に設けられた搬入出口12aは、処理容器2に隣接する図示しない搬送室との間でウエハWの搬入出を行うためものである。処理容器2と図示しない搬送室との間には、ゲートバルブGVが設けられている。ゲートバルブGVは、搬入出口12aを開閉する機能を有し、閉状態で処理容器2を気密にシールすると共に、開状態で処理容器2と図示しない搬送室との間でウエハWの移送を可能にする。
<支持装置>
支持装置4は、処理容器2の底部13のほぼ中央を貫通して処理容器2の外部まで延びる中空管状のシャフト14と、シャフト14の上端付近からほぼ水平方向に設けられた複数(例えば3つ)のアーム部15と、各アーム部15のそれぞれに着脱可能に装着された、複数の支持ピン16と、シャフト14を回転させる回転駆動部17と、シャフト14を上下に変位させる昇降駆動部18と、シャフト14を支持するとともに、回転駆動部17と昇降駆動部18とを連結する可動連結部19と、を有している。回転駆動部17、昇降駆動部18及び可動連結部19は、処理容器2の外部に設けられている。なお、処理容器2内を真空状態にする場合は、シャフト14が底部13を貫通する部分の周囲に、例えばベローズなどのシール機構20を設けることができる。
支持装置4において、シャフト14、アーム部15、回転駆動部17及び可動連結部19は、支持ピン16に支持されたウエハWを水平方向に回転させる回転機構を構成している。また、支持装置4において、シャフト14、アーム部15、昇降駆動部18及び可動連結部19は、支持ピン16に支持されたウエハWの高さ位置を調節する高さ位置調節機構を構成している。複数の支持ピン16は、処理容器2内においてウエハWの裏面に当接してウエハWを支持する。複数の支持ピン16は、その上端部がウエハWの周方向に並ぶように配置されている。複数のアーム部15は、回転駆動部17を駆動させることによって、シャフト14を回転中心にして回転し、各支持ピン16を水平方向に公転させる。また、複数の支持ピン16及びアーム部15は、昇降駆動部18を駆動させることによって、シャフト14とともに、上下方向に昇降変位するように構成されている。
複数の支持ピン16およびアーム部15は、誘電体材料によって形成されている。複数の支持ピン16およびアーム部15を形成する材料としては、例えば、石英、セラミックス等を用いることができる。
回転駆動部17は、シャフト14を回転させ得るものであれば、特に制限はなく、例えば図示しないモータ等を備えていてもよい。昇降駆動部18は、シャフト14及び可動連結部19を昇降変位させ得るものであれば、特に制限はなく、例えば図示しないボールねじ等を備えていてもよい。回転駆動部17と昇降駆動部18は一体の機構であってもよく、可動連結部19を有しない構成であってもよい。なお、ウエハWを水平方向に回転させる回転機構及びウエハWの高さ位置を調節する高さ位置調節機構は、それらの目的を実現できれば、他の構成であってもよい。なお、マイクロ波処理装置1において、回転駆動部17、昇降駆動部18及び可動連結部19は任意の構成であり、これらを設けなくてもよい。
<排気機構>
排気装置6は、例えば、ドライポンプ等の真空ポンプを有している。マイクロ波処理装置1は、更に、排気口13aと排気装置6とを接続する排気管21と、排気管21の途中に設けられた圧力調整バルブ22と、を備えている。排気装置6の真空ポンプを作動させることにより、処理容器2の内部空間が減圧排気される。なお、マイクロ波処理装置1は、大気圧での処理も可能であり、その場合は、真空ポンプは不要である。排気装置6としてドライポンプ等の真空ポンプを用いる替わりに、マイクロ波処理装置1が設置される施設に設けられた排気設備を用いることも可能である。
<ガス導入機構>
マイクロ波処理装置1は、更に、処理容器2内にガスを供給するガス供給機構5を備えている。ガス供給機構5は、図示しないガス供給源を備えたガス供給装置5aと、ガス供給装置5aに接続され、処理容器2内に処理ガスを導入する複数の配管23(1本のみ図示)と、を備えている。複数の配管23は、処理容器2の側壁12に接続されている。
ガス供給装置5aは、複数の配管23を介して、処理ガスまたは冷却ガスとして、例えば、N、Ar、He、Ne、O、H等のガスを処理容器2内へサイドフロー方式で供給できるように構成されている。なお、処理容器2内へのガスの供給は、例えばウエハWに対向する位置(例えば、天井部11)にガス供給手段を設けて行ってもよい。また、ガス供給装置5aの代りに、マイクロ波処理装置1の構成には含まれない外部のガス供給装置を使用してもよい。図示しないが、マイクロ波処理装置1は、更に、配管23の途中に設けられたマスフローコントローラおよび開閉バルブを備えている。処理容器2内に供給されるガスの種類や、これらのガスの流量等は、マスフローコントローラおよび開閉バルブによって制御される。
<温度計測部>
マイクロ波処理装置1は、更に、ウエハWの表面温度を測定する図示しない複数の放射温度計と、これら複数の放射温度計に接続された温度計測部27とを備えている。
<マイクロ波導入装置>
次に、図1及び図2を参照して、マイクロ波導入装置3の構成について説明する。図2は、マイクロ波導入装置3の高電圧電源部の概略の構成を示す説明図である。
前述のように、マイクロ波導入装置3は、処理容器2の上部に設けられ、処理容器2内に電磁波(マイクロ波)を導入するマイクロ波導入手段として機能する。図1に示したように、マイクロ波導入装置3は、マイクロ波を処理容器2に導入する複数のマイクロ波ユニット30と、複数のマイクロ波ユニット30に接続された高電圧電源部40とを備えている。
(マイクロ波ユニット)
本実施の形態では、複数のマイクロ波ユニット30の構成は全て同一である。各マイクロ波ユニット30は、ウエハWを処理するためのマイクロ波を生成するマグネトロン31と、マグネトロン31において生成されたマイクロ波を処理容器2に伝送する導波管32と、マイクロ波導入ポート10を塞ぐように天井部11に固定された透過窓33とを有している。マグネトロン31は、本発明におけるマイクロ波源に対応する。
マグネトロン31は、高電圧電源部40によって供給される高電圧が印加される陽極および陰極(いずれも図示省略)を有している。また、マグネトロン31としては、種々の周波数のマイクロ波を発振することができるものを用いることができる。マグネトロン31によって生成されるマイクロ波は、被処理体の処理毎に最適な周波数を選択し、例えばアニール処理においては、2.45GHz、5.8GHz等の高い周波数のマイクロ波であることが好ましく、5.8GHzのマイクロ波であることが特に好ましい。
導波管32は、断面が矩形且つ角筒状の形状を有し、処理容器2の天井部11の上面から上方に延びている。マグネトロン31は、導波管32の上端部の近傍に接続されている。導波管32の下端部は、透過窓33の上面に接している。マグネトロン31において生成されたマイクロ波は、導波管32および透過窓33を介して処理容器2内に導入される。
透過窓33は、誘電体材料によって形成されている。透過窓33の材料としては、例えば、石英、セラミックス等を用いることができる。透過窓33と天井部11との間は、図示しないシール部材によって気密にシールされている。透過窓33の下面から支持ピン16に支持されたウエハWの表面までの距離(ギャップ)は、ウエハWへマイクロ波が直接放射されることを抑制する観点から、例えば25mm以上とすることが好ましく、25〜50mmの範囲内で可変に調節することがより好ましい。
マイクロ波ユニット30は、更に、導波管32の途中に設けられたサーキュレータ34、検出器35およびチューナ36と、サーキュレータ34に接続されたダミーロード37とを有している。サーキュレータ34、検出器35およびチューナ36は、導波管32の上端部側からこの順に設けられている。サーキュレータ34およびダミーロード37は、処理容器2からの反射波を分離するアイソレータを構成する。すなわち、サーキュレータ34は、処理容器2からの反射波をダミーロード37に導き、ダミーロード37は、サーキュレータ34によって導かれた反射波を熱に変換する。
本実施の形態では、例えば4つのマイクロ波ユニット30を備えている。ここで、図示は省略するが、4つのマイクロ波ユニット30のマグネトロン31は、互いに近接するように、天井部11の上方において偏在して配置されている。これに伴い、各マイクロ波ユニット30におけるマグネトロン31からサーキュレータ34までの導波管32の形状は、それぞれ異なる形状になっている。このように、複数のマグネトロン31を近接した位置に集中して配置することによって、複数のマグネトロン31のメンテナンスを容易に行うことができる。
検出器35は、導波管32における処理容器2からの反射波を検出するためのものである。検出器35は、例えばインピーダンスモニタ、具体的には、導波管32における定在波の電界を検出する定在波モニタによって構成されている。定在波モニタは、例えば、導波管32の内部空間に突出する3本のピンによって構成することができる。定在波モニタによって定在波の電界の場所、位相および強さを検出することにより、処理容器2からの反射波を検出することができる。また、検出器35は、進行波と反射波を検出することが可能な方向性結合器によって構成されていてもよい。
チューナ36は、マグネトロン31と処理容器2との間のインピーダンスを整合する機能を有している。チューナ36によるインピーダンス整合は、検出器35における反射波の検出結果に基づいて行われる。チューナ36は、例えば、導波管32の内部空間に出し入れすることができるように設けられた導体板(図示省略)によって構成することができる。この場合、導体板の、導波管32の内部空間への突出量を制御することにより、反射波の電力量を調整して、マグネトロン31と処理容器2との間のインピーダンスを調整することができる。
(高電圧電源部)
高電圧電源部40は、マグネトロン31に対してマイクロ波を生成するための高電圧を供給する。図2に示したように、高電圧電源部40は、商用電源に接続されたAC−DC変換回路41と、AC−DC変換回路41に接続されたスイッチング回路42と、スイッチング回路42の動作を制御するスイッチングコントローラ43と、スイッチング回路42に接続された昇圧トランス44と、昇圧トランス44に接続された整流回路45とを有している。マグネトロン31は、整流回路45を介して昇圧トランス44に接続されている。
AC−DC変換回路41は、商用電源からの交流(例えば、三相200Vの交流)を整流して所定の波形の直流に変換する回路である。スイッチング回路42は、AC−DC変換回路41によって変換された直流のオン・オフを制御する回路である。スイッチング回路42では、スイッチングコントローラ43によってフェーズシフト型のPWM(Pulse Width Modulation)制御またはPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御が行われて、パルス状の電圧波形が生成される。昇圧トランス44は、スイッチング回路42から出力された電圧波形を所定の大きさに昇圧するものである。整流回路45は、昇圧トランス44によって昇圧された電圧を整流してマグネトロン31に供給する回路である。
<マイクロ波放射空間>
本実施の形態のマイクロ波処理装置1では、処理容器2内において、天井部11、4つの側壁部12及び底部13で区画される空間がマイクロ波放射空間Sを形成している。このマイクロ波放射空間Sには、天井部11に設けられた複数のマイクロ波導入ポート10からマイクロ波が放射される。処理容器2の天井部11、4つの側壁部12及び底部13は、いずれも金属材料によって形成されているため、マイクロ波を反射し、マイクロ波放射空間S内に散乱させる。
<マイクロ波導入ポートと仕切り壁の配置>
次に、図1、図3、図4及び図5を参照して、本実施の形態におけるマイクロ波導入ポート10と仕切り壁50の配置について詳しく説明する。図3は、図1に示した処理容器2の天井部11の下面を処理容器2の内部から見た状態を示す平面図である。また、図4は、一つのマイクロ波導入ポート10を拡大して示す平面図である。図5は、図1に示した処理容器2の天井部11を下面側からみた斜視図である。
図3では、ウエハWの大きさと位置を2点鎖線で天井部11に重ねて示した。符号OはウエハWの中心を表し、かつ、本実施の形態では、天井部11の中心も表している。従って、符号Oを通る2つの線は、天井部11と側壁部12の境界となる4つの辺において、対向する辺の中点どうしを結ぶ中央線Mを表している。なお、ウエハWの中心と天井部11の中心とは必ずしも重ならなくてもよい。また、図3では、説明の便宜上、天井部11と処理容器2の4つの側壁部12の内壁面との接合部分に、4つの側壁部12を区別して符号12A、12B、12C、12Dを付し、それらの位置を示している。
図3に示したように、本実施の形態では、天井部11において4つのマイクロ波導入ポート10を有している。以下、4つのマイクロ波導入ポート10を互いに区別して表す場合には、符号10A,10B,10C,10Dを付して表す。なお、本実施の形態では、各マイクロ波導入ポート10にそれぞれマイクロ波ユニット30が接続されている。つまり、マイクロ波ユニット30の数は4つである。また、本実施の形態では、複数のマイクロ波導入ポートとして4つのマイクロ波導入ポート10A,10B,10C,10Dを有する場合を例に挙げるが、マイクロ波導入ポート10の数は任意であり、例えば2〜8個の範囲内の数で設けることが可能である。
図4に示すように、マイクロ波導入ポート10は、長辺と短辺とを有する平面視矩形をなしている。マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)は、例えば2以上100以下であり、4以上であることが好ましく、5〜20がより好ましい。前記比L/Lを2以上、好ましくは4以上とするのは、マイクロ波導入ポート10から処理容器2内に放射されるマイクロ波の指向性をマイクロ波導入ポート10の長辺と垂直な方向(短辺と平行な方向)に強めるためである。この比L/Lが2未満であると、マイクロ波導入ポート10から処理容器2内に放射されるマイクロ波がマイクロ波導入ポート10の長辺と平行な方向(短辺と垂直な方向)に向かいやすくなる。また、前記比L/Lが2未満であると、マイクロ波導入ポート10の直下の方向へもマイクロ波の指向性が強くなるため、ウエハWに直接マイクロ波が照射され、局所的な加熱が生じやすくなる。一方、前記比L/Lが20を超えると、マイクロ波導入ポート10の直下やマイクロ波導入ポート10の長辺と平行な方向(短辺と垂直な方向)へ向かうマイクロ波の指向性が弱くなりすぎるため、ウエハWの加熱効率が低下する場合がある。
マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLは、例えば導波管32の管内波長λgに対して、L=n×λ/2(ここで、nは整数を意味する)とすることが好ましく、n=2がより好ましい。各マイクロ波導入ポート10の大きさや、前記比L/Lは、マイクロ波導入ポート10毎に異なっていてもよいが、ウエハWに対する加熱処理の均一性を高めるとともに制御性をよくする観点から、4つのマイクロ波導入ポート10のすべてが同じ大きさ及び形状であることが好ましい。
本実施の形態では、4つのマイクロ波導入ポート10は、そのすべてがウエハWの直上に重なるように配置されている。ここで、天井部11において、ウエハWの径方向における各マイクロ波導入ポート10の位置は、ウエハW上の電界分布を均一化する観点から、例えばウエハWの中心Oを基準に、その径外方向に、ウエハWの半径の1/5〜3/5までの距離の範囲内に上下に重なるようにすることが好ましい。なお、ウエハWの面内での均一加熱が実現可能であるならば、必ずしもウエハWとマイクロ波導入ポート10との位置が重なる必要はない。
本実施の形態において、4つのマイクロ波導入ポート10は、それぞれ、その長辺と短辺が、4つの側壁部12A,12B,12C,12Dの内壁面と平行になるように設けられている。例えば、図3では、マイクロ波導入ポート10Aの長辺は、側壁部12B,12Dと平行であり、その短辺は、側壁部12A,12Cと平行である。図3では、マイクロ波導入ポート10Aから放射されるマイクロ波について、支配的な指向性を示す電磁界ベクトル100を実線の矢印で示し、側壁部12B,12Dによって反射されたマイクロ波の指向性を示す電磁界ベクトル101を破線の矢印で示した。マイクロ波導入ポート10Aから放射されるマイクロ波は、大部分がその長辺に対して垂直な方向(短辺に平行な方向)へ進行し、伝搬していく。また、マイクロ波導入ポート10Aから放射されたマイクロ波は、2つの側壁部12B及び12Dによってそれぞれ反射される。これら側壁部12B及び12Dは、マイクロ波導入ポート10Aの長辺に対して平行に設けられているため、生成する反射波の指向性(電磁界ベクトル101)は、進行波の指向性(電磁界ベクトル100)の180度逆向きになり、他のマイクロ波導入ポート10B、10C、10Dへ向かう方向へ散乱することは殆どない。このように、比L/Lが例えば2以上である4つのマイクロ波導入ポート10を、それぞれの長辺と短辺が、4つの側壁部12A,12B,12C,12Dの内壁面と平行になるように配置することで、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波の方向を制御できる。
また、本実施の形態では、上記比L/Lが例えば2以上である4つのマイクロ波導入ポート10は、互いに90°角度を変えた回転位置に配置されている。つまり、4つのマイクロ波導入ポート10は、天井部11の中心Oを基準に回転対称に配置されており、その回転角は90°である。そして、各マイクロ波導入ポート10は、それぞれの長辺と垂直な方向に平行移動させた場合に、平行な長辺を有する他のマイクロ波導入ポート10に重ならないように配置されている。例えば、図3では、互いに隣接する2つのマイクロ波導入ポート10は、それらの長辺の方向と平行な中心軸ACが互いに直交するように、90度ずつ角度をずらして配置されている。そして、マイクロ波導入ポート10Aを、その長辺と垂直な方向に平行移動させた場合でも、平行な長辺を有する他のマイクロ波導入ポート10Cには重ならない。換言すれば、マイクロ波導入ポート10Aの長辺の長さの範囲内において、このマイクロ波導入ポート10Aの長辺と平行な2つの側壁部12B及び12Dの間には、マイクロ波導入ポート10Aと長辺の向きが同方向である他のマイクロ波導入ポート10(マイクロ波導入ポート10C)は配置されていない。このような配置によって、マイクロ波導入ポート10Aから、その長辺に対し垂直な方向へ強い指向性を持って放射されるマイクロ波及びその反射波が、他のマイクロ波導入ポート10に進入することを極力回避できる。すなわち、マイクロ波導入ポート10Aと、平行な2つの側壁部12B及び12Dとの間に、その長辺の長さの範囲内で、同じ向きの他のマイクロ波導入ポート10が介在すると、マイクロ波の励起方向が同じであるため、その同じ向きのマイクロ波導入ポート10にマイクロ波及びその反射波が進入しやすく、電力損失が大きくなる。それに対し、マイクロ波導入ポート10Aの長辺の長さの範囲内で、平行な2つの側壁部12B及び12Dとの間にマイクロ波導入ポート10Aと同じ向きの他のマイクロ波導入ポート10が存在しなければ、マイクロ波導入ポート10Aから放射されたマイクロ波及びその反射波が、他のマイクロ波導入ポート10へ進入することに伴う電力の損失を抑えることができる。
なお、図3において、マイクロ波導入ポート10Aから放射されたマイクロ波、及びその反射波は、マイクロ波導入ポート10Aに対して90度角度を変えて配置された隣接するマイクロ波導入ポート10B,10Dとは励起方向が異なるため、マイクロ波導入ポート10B,10Dにはほとんど入射しない。従って、マイクロ波導入ポート10Aを、その長辺と垂直な方向に平行移動させた場合に、長辺の向きが異なるマイクロ波導入ポート10B,10Dに重なる場合があってもよい。
また、本実施の形態では、4つのマイクロ波導入ポート10のうち、互いに隣接しない2つのマイクロ波導入ポート10は、それぞれの中心軸ACが同一直線上に重ならないように配置されている。例えば、図3では、マイクロ波導入ポート10Aの中心軸ACに対して、マイクロ波導入ポート10Aと隣接しないマイクロ波導入ポート10Cの中心軸ACは、方向は同じであっても、互いに重ならないように位置をずらして配置されている。このように、4つのマイクロ波導入ポート10のうち、互いに隣接しない2つのマイクロ波導入ポート10を、互いの中心軸ACが重ならないように配置することによって、中心軸ACの方向が同じ2つのマイクロ波導入ポート10の間で、それぞれの短辺に垂直な方向に放射されたマイクロ波が進入し合い、電力損失が生じることを抑制できる。従って、例えば、各マイクロ波導入ポート10を、中央線Mから大きく離れた位置、例えば各マイクロ波導入ポート10の長辺が側壁部12に近接するような位置に配置してもよい。
以上、マイクロ波導入ポート10Aを例に挙げたが、マイクロ波導入ポート10B、10C、10Dについても、それぞれ他のマイクロ波導入ポート10及び側壁部12との間で、上記関係が成立するように配置されている。
上記マイクロ波導入ポート10の配置を前提に、本実施の形態のマイクロ波処理装置1では、天井部11の下面に略十字形をなすように、マイクロ波伝播抑制手段としての凸部である仕切り壁50が設けられている。仕切り壁50は、4つのマイクロ波導入ポート10の中の互いに隣り合う2つのマイクロ波導入ポート10の間に介在して設けられている。この仕切り壁50によって、本実施の形態のマイクロ波処理装置1では、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波及びその反射波が、他のマイクロ波導入ポート10へ入射することをさらに抑制できる。
仕切り壁50は、天井部11と一体でもよいし、別部材でもよい。本実施の形態では、仕切り壁50として、十字形をなす別部材を装着している。仕切り壁50は、天井部11に例えば螺子等の固定手段(図示省略)で装着されている。
仕切り壁50の材質は、マイクロ波を透過する材質でもよいし、マイクロ波を反射させる材質でもよい。なお、「マイクロ波を透過させる」とは、マイクロ波を100%透過させるという意味ではなく、相対的に透過が反射や損失を上回るという意味である。マイクロ波を透過させる材質としては、例えば石英、合成樹脂等を挙げることができる。仕切り壁50がマイクロ波を透過する材質で構成されている場合、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波の大部分は、仕切り壁50を透過する際に屈折し、その位相が変化することによって他のマイクロ波導入ポート10への入射が抑制される。
また、仕切り壁50がマイクロ波を反射させる材質で構成されている場合、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波の一部分が、仕切り壁50で反射し、他のマイクロ波導入ポート10への入射が抑制される。図3では、代表的にマイクロ波導入ポート10Aから放射され、仕切り壁50で反射したマイクロ波の指向性(電磁界ベクトル102)を破線の矢印で示している。仕切り壁50は、マイクロ波導入ポート10Aから放射されたマイクロ波のうち、指向性が水平に近いものの多くを反射する。なお、他のマイクロ波導入ポート10B、10C、10Dから放射されたマイクロ波についても、同様に仕切り壁50によって反射される。
仕切り壁50は、各マイクロ波導入ポート10の長辺に対応して、該長辺に平行な壁面を有する直線状壁部50a,50b,50c,50dを備えている。例えば、マイクロ波導入ポート10Aの長辺には、これに対応して直線状壁部50aが平行な壁面を形成している。同様に、マイクロ波導入ポート10Bの長辺には、これに対応して直線状壁部50bが平行な壁面を形成している。マイクロ波導入ポート10Cの長辺には、これに対応して直線状壁部50cが平行な壁面を形成している。マイクロ波導入ポート10Dの長辺には、これに対応して直線状壁部50dが平行な壁面を形成している。直線状壁部50a〜50dは、それぞれ、各マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLに対して、同等以上の長さで形成されている。図5では、直線状壁部50a〜50dの長さを符号Lで示した。直線状壁部は、各マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波の電磁界ベクトル100,101に対して垂直な壁面である。
直線状壁部50a〜50dは、各マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLに対して、同等以上の長さで形成されている。直線状壁部50a〜50dの長さLとマイクロ波導入ポート10の長辺の長さLとの関係は、L≧Lであればよいが、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波を遮る効果を大きくするため、L≧1.2×Lとすることが好ましく、L≧1.5×Lとすることがより好ましい。
仕切り壁50の高さLは、特に限定されるものではないが、マイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波もしくはその反射波の伝播を効果的に遮るために、アニール処理時のウエハWの上面に出来るだけ近接させることが好ましい。具体的には、仕切り壁50の高さLは、天井部11の下面から支持ピン16によって支持されたウエハWの上面までの距離の1/10以上9/10以下の範囲内とすることが好ましく、例えば3/10以上9/10以下の範囲内とすることがより好ましい。
仕切り壁50の幅Lは、特に限定されるものではないが、マイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波もしくはその反射波の伝播を効果的に遮るために、マイクロ波導入ポート10の配置を考慮した上で出来るだけ幅広にすることが好ましい。具体的には、仕切り壁50の幅Lは、互いに隣接するマイクロ波導入ポート10間において、片方のマイクロ波導入ポート10の短辺に平行な仮想の直線と、もう片方のマイクロ波導入ポート10の長辺に平行な仮想の直線との間の最短距離Lに対し、例えば1/10以上8/10以下の範囲内とすることが好ましく、4/10以上8/10以下の範囲内とすることがより好ましい。
図3では、2本の中央線Mに対して十字型の仕切り壁50が対称に設けられ、十字形の仕切り壁50の中心と天井部11(又はウエハW)の中心Oが重なっているが、仕切り壁50は非対称な形状であってもよい。
<制御部>
マイクロ波処理装置1の各構成部は、それぞれ制御部8に接続されて、制御部8によって制御される。制御部8は、典型的にはコンピュータである。図6は、図1に示した制御部8の構成を示す説明図である。図6に示した例では、制御部8は、CPUを備えたプロセスコントローラ81と、このプロセスコントローラ81に接続されたユーザーインターフェース82および記憶部83とを備えている。
プロセスコントローラ81は、マイクロ波処理装置1において、例えば温度、圧力、ガス流量、マイクロ波出力等のプロセス条件に関係する各構成部(例えば、マイクロ波導入装置3、支持装置4、ガス供給装置5a、排気装置6、温度計測部27等)を統括して制御する制御手段である。
ユーザーインターフェース82は、工程管理者がマイクロ波処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードやタッチパネル、マイクロ波処理装置1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有している。
記憶部83には、マイクロ波処理装置1で実行される各種処理をプロセスコントローラ81の制御によって実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や、処理条件データ等が記録されたレシピ等が保存されている。プロセスコントローラ81は、ユーザーインターフェース82からの指示等、必要に応じて、任意の制御プログラムやレシピを記憶部83から呼び出して実行する。これにより、プロセスコントローラ81による制御下で、マイクロ波処理装置1の処理容器2内において所望の処理が行われる。
上記の制御プログラムおよびレシピは、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVD、ブルーレイディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納された状態のものを利用することができる。また、上記のレシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用することも可能である。
[処理手順]
次に、ウエハWに対してアニール処理を施す際のマイクロ波処理装置1における処理の手順について説明する。まず、例えばユーザーインターフェース82から、マイクロ波処理装置1においてアニール処理を行うように、プロセスコントローラ81に指令が入力される。次に、プロセスコントローラ81は、この指令を受けて、記憶部83またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に保存されたレシピを読み出す。次に、レシピに基づく条件によってアニール処理が実行されるように、プロセスコントローラ81からマイクロ波処理装置1の各エンドデバイス(例えば、マイクロ波導入装置3、支持装置4、ガス供給装置5a、排気装置6等)に制御信号が送出される。
次に、ゲートバルブGVが開状態にされて、図示しない搬送装置によって、ウエハWが、ゲートバルブGVおよび搬入出口12aを通って処理容器2内に搬入され、複数の支持ピン16の上に載置される。複数の支持ピン16は、昇降駆動部18を駆動させることによって、シャフト14、アーム部15とともに、上下方向に昇降し、ウエハWが所定の高さ位置(初期高さ位置)にセットされる。次に、ゲートバルブGVが閉状態にされて、必要な場合は排気装置6によって、処理容器2内が減圧排気される。次に、ガス供給装置5aによって、所定の流量の処理ガスおよび冷却ガスが処理容器2内に導入される。処理容器2の内部空間は、排気量およびガス供給量を調整することによって、所定の圧力に調整される。
次に、高電圧電源部40からマグネトロン31に対して電圧を印加してマイクロ波を生成する。マグネトロン31において生成されたマイクロ波は、導波管32を伝搬し、次に、透過窓33を透過して、処理容器2内において回転するウエハWの上方の空間に導入される。本実施の形態では、例えば、複数のマグネトロン31において順次マイクロ波を生成し、各マイクロ波導入ポート10から交互にマイクロ波を処理容器2内に導入する。なお、複数のマグネトロン31において同時に複数のマイクロ波を生成させ、各マイクロ波導入ポート10から同時にマイクロ波を処理容器2内に導入するようにしてもよい。
処理容器2に導入されたマイクロ波は、ウエハWの表面に照射されて、ジュール加熱、磁性加熱、誘導加熱等の電磁波加熱により、ウエハWが迅速に加熱される。その結果、ウエハWに対してアニール処理が施される。本実施の形態では、マイクロ波の伝播を遮る仕切り壁50を設けている。また、本実施の形態では、マイクロ波導入ポート10の形状、特に上記比L/Lと、その形状に起因するマイクロ波の放射指向性と、さらに処理容器2の側壁部12の形状と、を考慮してマイクロ波導入ポート10を配置している。これらの構成によって、一つのマイクロ波導入ポート10から導入されたマイクロ波が、他のマイクロ波導入ポート10へ進入することを出来るだけ回避し、電力の損失を最小限に抑制している。なお、アニール処理の間に、支持装置4によって、ウエハWを水平方向に回転させてもよいし、さらにウエハWの高さ位置を変化させてもよい。アニール処理の間にウエハWを回転させたり、ウエハWの高さ位置を変位させたりすることによって、ウエハWに照射されるマイクロ波の偏りを少なくし、ウエハW面内の加熱温度を均一化することができる。
プロセスコントローラ81からマイクロ波処理装置1の各エンドデバイスにアニール処理を終了させる制御信号が送出されると、マイクロ波の生成が停止されると共に、処理ガスおよび冷却ガスの供給が停止されて、ウエハWに対するアニール処理が終了する。次に、ゲートバルブGVが開状態にされて、支持ピン16上のウエハWの高さ位置を調整した後、図示しない搬送装置によって、ウエハWが搬出される。
マイクロ波処理装置1は、例えば半導体デバイスの作製工程において、拡散層に注入されたドーピング原子の活性化を行うためのアニール処理などの目的で好ましく利用できる。
以上のように、本実施の形態では、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波やその反射波の指向性(電磁界ベクトル100,101)に対して垂直な直線状壁部50a〜50dを有する仕切り壁50を設けたことによって、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波やその反射波が他のマイクロ波導入ポート10へ進入することを抑制できる。従って、本実施の形態のマイクロ波処理装置1によれば、処理容器2内に放射されたマイクロ波の損失が低減され、電力の利用効率及び加熱効率に優れている。
<変形例>
次に、図7及び図8を参照しながら、仕切り壁50の変形例について説明する。
図7は、第1の変形例を示している。本変形例の仕切り壁501は、角部を面取り加工しており、斜面部501aを有している。このように、角部を面取り加工することによって、角部における異常放電の発生を防止できるので、マイクロ波導入ポート10から放射するマイクロ波のパワーのマージンを広げることが可能になる。なお、同様の効果を得るため、面取り加工に代えて丸め加工を施してもよい。
図8は、第2の変形例を示している。本変形例の仕切り壁502は、一体ではなく、複数の部分に分割している。すなわち、仕切り壁502は、第1の部分502A、第2の部分502B、第3の部分502C、第4の部分502Dに分かれている。第1の部分502A、第2の部分502B、第3の部分502C、第4の部分502Dは、それぞれ直線状壁部50a,50b,50c,50dを有している。このような形状でも、各直線状壁部50a〜50dの長さLとマイクロ波導入ポート10の長辺の長さLとの関係は、L≧Lであればよいが、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波を遮る効果を大きくするため、L≧1.2×Lとすることが好ましく、L≧1.5×Lとすることがより好ましい。このように、一体ではなく、複数の部分に分割された仕切り壁502についても、図3に例示した平面視十字形状の仕切り壁50と同様に、マイクロ波及びその反射波を遮る効果を有している。
以上、代表的な変形例を挙げたが、仕切り壁50,501,502は、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波やその反射波の指向性(電磁界ベクトル100,101)に対して垂直な壁面を有する直線状壁部50a〜50dを備えていればよく、その形状には種々のバリエーションが存在する。また、マイクロ波導入ポート10の個数と配置は、図3に例示した個数と配置に限らず、種々の変形が可能であり、それに応じて仕切り壁50の形状についても変形が可能である。
次に、本実施の形態のマイクロ波処理装置1の作用効果について説明する。本実施の形態では、マイクロ波導入ポート10の特徴的な形状及び配置と、処理容器2の側壁部12の形状と、仕切り壁50,501,502との組み合わせによって、一つのマイクロ波導入ポート10から処理容器2内に放射されたマイクロ波が、他のマイクロ波導入ポート10へ進入することを極力抑制している。図9,図10は、長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)が4以上であるマイクロ波導入ポート10におけるマイクロ波の放射指向性を模式的に示している。図9は、マイクロ波導入ポート10を天井部11(図示せず)の下方から見た状態を示している。図10は、マイクロ波導入ポート10を短辺方向における天井部11の断面において示したものである。図9,図10において、矢印は、マイクロ波導入ポート10から放射される電磁界ベクトル100を示しており、矢印が長いほど、マイクロ波の指向性が強いことを示している。なお、図9,図10において、X軸及びY軸は、いずれも天井部11の下面と平行な方向であり、X軸はマイクロ波導入ポート10の長辺に対し垂直な方向、Y軸はマイクロ波導入ポート10の長辺に対し平行な方向を意味し、また、Z軸は、天井部11の下面に対して垂直な方向を意味する。
本実施の形態では、前述のように、天井部11に、長辺と短辺とを有する平面視矩形のマイクロ波導入ポート10を4つ配置している。そして、本実施の形態で用いる各マイクロ波導入ポート10は、比L/Lを例えば2以上、好ましくは4以上としている。このため、図9に示すように、マイクロ波の放射指向性は、X軸に沿って(長辺と垂直な方向(短辺と平行な方向))が強く、支配的となる。従って、あるマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波は、主に処理容器2の天井部11に沿って伝搬し、その長辺と平行な側壁部12の内壁面を反射面として反射される。ここで、本実施の形態では、処理容器2の4つの側壁部12は、互いに直交して接続されており、4つのマイクロ波導入ポート10は、それぞれ、その長辺と短辺が、4つの側壁部12A,12B,12C,12Dの内壁面と平行になるように設けられている。従って、4つの側壁部12A,12B,12C,12Dで生成する反射波の方向は、進行波のほぼ180度逆向きとなり、反射波が他のマイクロ波導入ポート10へ向かうことは殆どない。
また、本実施の形態では、比L/Lを2以上、好ましくは4以上としていることにより、図10に示すように、マイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波は、横方向(X軸方向)への指向性が強くなり、主に天井部11の下面に沿って横方向へ広がる。従って、マイクロ波導入ポート10の直下に位置するウエハWへ直接マイクロ波が照射されることが少なく、局所的な加熱が生じにくくなる。その結果、本実施の形態のマイクロ波処理装置1では、ウエハWに対して均一な処理を行うことが可能になる。
さらに、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波の大部分は、仕切り壁50によって屈折又は反射することによって他のマイクロ波導入ポート10への入射が抑制される。天井部11から突出した仕切り壁50は、マイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波のうち、主に処理容器2の天井部11に沿って伝搬し、指向性が水平に近いものを遮る上で効果的である。
以上のように、本実施の形態では、マイクロ波導入ポート10の形状に起因するマイクロ波の放射指向性と、処理容器2の側壁部12の形状と、仕切り壁50,501,502との組み合わせによって、一つのマイクロ波導入ポート10から導入されたマイクロ波が、他のマイクロ波導入ポート10へ進入することを出来るだけ回避し、電力の損失を最小限に抑制している。従って、本実施の形態のマイクロ波処理装置1によれば、処理容器2内に放射されたマイクロ波の損失が低減され、電力の利用効率及び加熱効率に優れている。
[第2の実施の形態]
次に、図11〜13を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロ波処理装置について説明する。図11は、本実施の形態に係るマイクロ波処理装置1Aの概略の構成を示す断面図である。図12は、マイクロ波処理装置1Aの天井部11を処理容器2内からみた平面図であり、図13はマイクロ波処理装置1Aの天井部11を下面側からみた斜視図である。
本実施の形態に係るマイクロ波処理装置1Aは、連続する複数の動作を伴って、例えば半導体デバイス製造用の半導体ウエハWに対して、マイクロ波を照射してアニール処理を施す装置である。以下の説明では、第1の実施の形態のマイクロ波処理装置1との相違点を中心に説明し、図11〜13に示すマイクロ波処理装置1Aにおいて、第1の実施の形態のマイクロ波処理装置1と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
マイクロ波処理装置1Aは、被処理体であるウエハWを収容する処理容器2と、処理容器2内にマイクロ波を導入するマイクロ波導入装置3と、処理容器2内においてウエハWを支持する支持装置4と、処理容器2内にガスを供給するガス供給機構5と、処理容器2内を減圧排気する排気装置6と、これらマイクロ波処理装置1Aの各構成部を制御する制御部8とを備えている。そして、マイクロ波処理装置1Aは、処理容器2の天井部11の下面に、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波や、その反射波が、他のマイクロ波導入ポート10へ入射することを抑制するマイクロ波伝播抑制手段としての凹部である仕切り溝60を有している。なお、本実施の形態に係るマイクロ波処理装置1Aにおいて、マイクロ波導入ポート10の配置は第1の実施の形態と同様である。
<仕切り溝>
本実施の形態おいて、仕切り溝60は全体として十字形をなす溝である。仕切り溝60は、天井部11の下面に開口した凹部である。本実施の形態では、仕切り溝60は平面視十字形をなしている。
仕切り溝60は、天井部11の下面に沿って伝播するマイクロ波を反射させることによって遮る作用を有している。すなわち、仕切り溝60は、マイクロ波導入ポート10Aから放射されたマイクロ波のうち、指向性が水平に近いものの多くを反射する。図12では、代表的にマイクロ波導入ポート10Aから放射され、仕切り溝60で反射したマイクロ波の指向性(電磁界ベクトル102)を破線の矢印で示している。なお、他のマイクロ波導入ポート10B、10C、10Dから放射されたマイクロ波についても、同様に仕切り溝60によって反射される。
仕切り溝60は、一つのマイクロ波導入ポート10の長辺に対応して、該長辺に平行な壁面を有する直線状溝部60a〜60dを備えている。例えば、マイクロ波導入ポート10Aの長辺には、これに対応して直線状溝部60aが平行な壁面を形成している。同様に、マイクロ波導入ポート10Bの長辺には、これに対応して直線状溝部60bが平行な壁面を形成している。マイクロ波導入ポート10Cの長辺には、これに対応して直線状溝部60cが平行な壁面を形成している。マイクロ波導入ポート10Dの長辺には、これに対応して直線状溝部60dが平行な壁面を形成している。直線状溝部60a〜60dは、それぞれ、各マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLに対して、同等以上の長さで形成されている。図13では、直線状溝部60a〜60dの長さを符号Lで示した。直線状溝部60a〜60dは、各マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波の電磁界ベクトル100,101に対して垂直な壁面を有している。
直線状溝部60a〜60dは、各マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLに対して、同等以上の長さで形成されている。各直線状溝部60a〜60dの長さLと各マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLとの関係は、L≧Lであればよいが、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波を遮る効果を大きくするため、L≧1.2×Lとすることが好ましく、L≧1.5×Lとすることがより好ましい。
仕切り溝60の深さLは、特に限定されるものではないが、マイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波もしくはその反射波を効果的に遮るために、天井部11の厚みの制約の中で出来るだけ深いことが好ましい。具体的には、仕切り溝60の深さLは、例えば天井部11の厚みLの1/10以上9/10以下の範囲内とすることが好ましく、3/10以上9/10以下の範囲内とすることがより好ましい。
仕切り溝60の幅L10は、特に限定されるものではないが、マイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波もしくはその反射波を効果的に遮るために、マイクロ波導入ポート10の配置を考慮した上で出来るだけ幅広にすることが好ましい。具体的には、仕切り溝60の幅L10は、互いに隣接するマイクロ波導入ポート10間において、片方のマイクロ波導入ポート10の短辺に平行な仮想の直線と、もう片方のマイクロ波導入ポート10の長辺に平行な仮想の直線との間の最短距離L11に対し、例えば1/10以上8/10以下の範囲内とすることが好ましく、4/10以上8/10以下の範囲内とすることがより好ましい。
なお、図12では、2本の中央線Mに対して十字型の仕切り溝60が対称に設けられ、十字形の仕切り溝60の中心と天井部11(又はウエハW)の中心Oが重なっているが、仕切り溝60は非対称な形状であってもよい。
本実施の形態では、マイクロ波の伝播を遮る仕切り溝60によって、一つのマイクロ波導入ポート10から導入されたマイクロ波が、他のマイクロ波導入ポート10へ進入することを出来るだけ回避し、電力の損失を最小限に抑制している。
<変形例>
次に、図14及び図15を参照しながら、仕切り溝の変形例について説明する。
図14は、第1の変形例を示している。本変形例の仕切り溝601は、角部を面取り加工しており、斜面部601aを有している。このように、角部を面取り加工することによって、角部における異常放電の発生を防止できるので、マイクロ波導入ポート10から放射するマイクロ波のパワーのマージンを広げることが可能になる。なお、同様の効果を得るため、面取り加工に代えて丸め加工を施してもよい。
図15は、第2の変形例を示している。本変形例の仕切り溝602は、一体ではなく、複数の部分に分割している。すなわち、仕切り溝602は、第1の部分602A、第2の部分602B、第3の部分602C、第4の部分602Dに分かれている。第1の部分602A、第2の部分602B、第3の部分602C、第4の部分602Dは、それぞれ直線状溝部60a,60b,60c,60dを有している。このような形状でも、直線状溝部60a〜60dの長さLとマイクロ波導入ポート10の長辺の長さLとの関係は、L≧Lであればよいが、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波及びその反射波を遮る効果を大きくするため、L≧1.2×Lとすることが好ましく、L≧1.5×Lとすることがより好ましい。このように、一体ではなく、複数の部分に分割された仕切り溝602についても、図13に例示した平面視十字形状の仕切り溝60と同様に、マイクロ波及びその反射波を遮る効果を有している。
以上、代表的な変形例を挙げたが、仕切り溝60,601,602は、マイクロ波導入ポート10から放射されるマイクロ波やその反射波の指向性(電磁界ベクトル100,101)に対して垂直な壁面を有する直線状溝部60a〜60dを備えていればよく、その形状には種々のバリエーションが存在する。また、マイクロ波導入ポート10の個数と配置は、図12に例示した個数と配置に限らず、種々の変形が可能であり、それに応じて仕切り溝60の形状についても変形が可能である。
以上のように、本実施の形態では、マイクロ波導入ポート10の形状に起因するマイクロ波の放射指向性と、処理容器2の側壁部12の形状と、仕切り溝60,601,602との組み合わせによって、一つのマイクロ波導入ポート10から導入されたマイクロ波が、他のマイクロ波導入ポート10へ進入することを出来るだけ回避し、電力の損失を最小限に抑制している。従って、本実施の形態のマイクロ波処理装置1Aによれば、処理容器2内に放射されたマイクロ波の損失が低減され、電力の利用効率及び加熱効率に優れている。
本実施の形態のマイクロ波処理装置1Aにおける他の構成及び効果は、第1の実施の形態のマイクロ波処理装置1と同様であるので説明を省略する。
[シミュレーション実験]
次に、マイクロ波処理装置1,1Aと同様の構成のマイクロ波処理装置によるウエハWの電力吸収効率をシミュレーションした結果について説明する。
シミュレーションにおける共通条件は、以下のとおりである。処理容器は、角筒形の側壁部12を有する形状とした。4つのマイクロ波導入ポート10は、その長辺と短辺が、4つの側壁部12の内壁面と平行になるように設けられており、マイクロ波導入ポート10の長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)は4である。また、4つのマイクロ波導入ポート10は、互いに、一つのマイクロ波導入ポート10をその長辺と垂直なX軸方向に平行移動させた場合に、平行な長辺を有する他のマイクロ波導入ポート10に重ならないように配置されている。ウエハWとしては、不純物としてヒ素などをドープしたシリコンを想定した。
ここで、ウエハWの吸収電力は、散乱パラメータ(Sパラメータ)により計算することができる。第1ないし第4のマイクロ波導入ポート10A〜10Dから処理容器2内に導入されるマイクロ波(以下、入射マイクロ波と言う。)と、処理容器2から第1ないし第4のマイクロ波導入ポート10A〜10Dに反射される反射マイクロ波との関係は、下記の式(1)で表される。
Figure 2014170701
式(1)において、a〜aは、それぞれ第1ないし第4のマイクロ波導入ポート10A〜10Dによって導入される入射マイクロ波を表し、b〜bは、それぞれ第1ないし第4のマイクロ波導入ポート10A〜10Dに反射される反射マイクロ波を表している。
そして、4つのマイクロ波導入ポート10からシリアルにX[W]の出力でマイクロ波を入力する場合に、ウエハWが吸収する全吸収電力をPabsとすると、全吸収電力Pabsは、以下の式(2)によって求めることができる。ここで、i、jは、それぞれ1以上4以下の整数を表すものとする。
Figure 2014170701
<第1のシミュレーション>
マイクロ波処理装置1と同様の構成の平面視十字形の仕切り壁50を想定した。仕切り壁50の材質はアルミニウムに設定した。仕切り壁50の高さLを5〜30mmの範囲内で5mm毎に変化させるとともに、平面視十字形をなす仕切り壁50の中心(図3の中心Oと同じ)から各直線状壁部50a〜50dの先端までの距離L12を10〜150mmの範囲内で10mm毎に変化させる条件でウエハWが吸収する全電力をPabsのシミュレーションを行った。その結果、仕切り壁50を設けることによって、設けない場合に比べてウエハWの電力吸収効率が約20%増大した。特にL=25mm、L12=110mmでウエハWの電力吸収効率が最も増大した。
<第2のシミュレーション>
仕切り壁50に代えて、角部を面取り加工した仕切り壁501を使用する以外は、第1のシミュレーションと同様の条件でウエハWが吸収する全電力をPabsのシミュレーションを行った。その結果、斜面部501aを有する仕切り壁501では、設けない場合に比べてウエハWの電力吸収効率が約27%増大した。特にL=25mm、L12=120mmでウエハWの電力吸収効率が最も増大した。
<第3のシミュレーション>
仕切り壁50の材質をアルミニウムから石英に変更した以外は、第1のシミュレーションと同様の条件でウエハWが吸収する全電力をPabsのシミュレーションを行った。その結果、仕切り壁50を設けない場合に比べてウエハWの電力吸収効率が約32%増大した。特にL=25mm、L12=100mmでウエハWの電力吸収効率が最も増大した。
<第4のシミュレーション>
マイクロ波処理装置1Aと同様の構成の平面視十字形の仕切り溝60を想定した。仕切り溝60の深さLを5〜30mmの範囲内で5mm毎に変化させるとともに、平面視十字形をなす仕切り溝60の中心(図12の中心Oと同じ)から各直線状溝部60a〜60dの先端までの距離L13を10〜150mmの範囲内で10mm毎に変化させる条件でウエハWが吸収する全電力をPabsのシミュレーションを行った。その結果、仕切り溝60を設けることによって、設けない場合に比べてウエハWの電力吸収効率が約10%増大した。特にL=30mm、L13=70mmでウエハWの電力吸収効率が最も増大した。
以上の結果から、天井部11に仕切り壁又は仕切り溝を設けることによって、一つのマイクロ波導入ポート10から放射されたマイクロ波やその反射波が他のマイクロ波導入ポート10へ進入することを抑制し、マイクロ波の損失が低減され、電力の利用効率及び加熱効率が向上することが確認できた。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明のマイクロ波処理装置は、半導体ウエハを被処理体とする場合に限らず、例えば太陽電池パネルの基板やフラットパネルディスプレイ用基板を被処理体とするマイクロ波処理装置にも適用できる。
また、マイクロ波ユニット30の数(マグネトロン31の数)や処理容器2に同時に導入されるマイクロ波の数は、上記実施の形態で説明した数に限られない。
1…マイクロ波処理装置、2…処理容器、3…マイクロ波導入装置、4…支持装置、5…ガス供給機構、5a…ガス供給装置、6…排気装置、8…制御部、10,10A,10B,10C,10D…マイクロ波導入ポート、12…側壁部、14…シャフト、15…アーム部、16…支持ピン、17…回転駆動部、18…昇降駆動部、30…マイクロ波ユニット、31…マグネトロン、32…導波管、33…透過窓、34…サーキュレータ、35…検出器、36…チューナ、37…ダミーロード、40…高電圧電源部、50…仕切り壁、W…半導体ウエハ。

Claims (13)

  1. 内部にマイクロ波放射空間を有するとともに被処理体を収容する処理容器と、
    前記被処理体を処理するためのマイクロ波を生成して前記処理容器に導入するマイクロ波導入装置と、
    を備えたマイクロ波処理装置であって、
    前記処理容器は、上壁、底壁及び互いに接続された4つの側壁を有し、
    前記マイクロ波導入装置は、マイクロ波源として、複数のマイクロ波源を有し、
    前記上壁は、前記複数のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する複数のマイクロ波導入ポートを有しており、
    前記複数のマイクロ波導入ポートは、それぞれ、長辺と短辺とを有する平面視矩形をなしており、その長辺と短辺が、前記4つの側壁の内壁面と平行になるように設けられ、
    前記上壁は、前記複数のマイクロ波導入ポートの中の互いに隣り合う2つのマイクロ波導入ポートの間に、一のマイクロ波導入ポートから放射されたマイクロ波が他のマイクロ波導入ポートへ伝播し、進入することを抑制するマイクロ波伝播抑制手段を有していることを特徴とするマイクロ波処理装置。
  2. 前記マイクロ波伝播抑制手段は、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺と平行な壁面を有する凸部である請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
  3. 前記平行な壁面の長さが、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺の長さ以上である請求項2に記載のマイクロ波処理装置。
  4. 前記凸部の角が面取り加工もしくは丸め加工されている請求項2又は3に記載のマイクロ波処理装置。
  5. 前記複数のマイクロ波源として、第1ないし第4のマイクロ波源を有しており、
    前記上壁は、前記第1ないし第4のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する第1ないし第4のマイクロ波導入ポートを有しており、
    各マイクロ波導入ポートは、互いに90°角度を変えた回転位置に配置され、かつ、前記長辺と垂直な方向に平行移動させた場合に、平行な長辺を有する他のマイクロ波導入ポートに重ならないように配置されている請求項2から4のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  6. 前記凸部が、平面視十字形をなしている請求項5に記載のマイクロ波処理装置。
  7. 前記マイクロ波伝播抑制手段は、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺と平行な壁面を有する凹部である請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
  8. 前記平行な壁面の長さが、前記一のマイクロ波導入ポートの長辺の長さ以上である請求項7に記載のマイクロ波処理装置。
  9. 前記凹部の角が面取り加工もしくは丸め加工されている請求項7又は8に記載のマイクロ波処理装置。
  10. 前記複数のマイクロ波源として、第1ないし第4のマイクロ波源を有しており、
    前記上壁は、前記第1ないし第4のマイクロ波源の各々において生成された前記マイクロ波を前記処理容器に導入する第1ないし第4のマイクロ波導入ポートを有しており、
    各マイクロ波導入ポートは、互いに90°角度を変えた回転位置に配置され、かつ、前記長辺と垂直な方向に平行移動させた場合に、平行な長辺を有する他のマイクロ波導入ポートに重ならないように配置されている請求項7から9のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  11. 前記凹部が、平面視十字形をなしている請求項10に記載のマイクロ波処理装置。
  12. 前記マイクロ波導入ポートの長辺の長さLと短辺の長さLとの比(L/L)が、4以上であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理体にマイクロ波を照射して処理することを特徴とする処理方法。
JP2013042815A 2013-03-05 2013-03-05 マイクロ波処理装置および処理方法 Pending JP2014170701A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013042815A JP2014170701A (ja) 2013-03-05 2013-03-05 マイクロ波処理装置および処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013042815A JP2014170701A (ja) 2013-03-05 2013-03-05 マイクロ波処理装置および処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014170701A true JP2014170701A (ja) 2014-09-18

Family

ID=51692935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013042815A Pending JP2014170701A (ja) 2013-03-05 2013-03-05 マイクロ波処理装置および処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014170701A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115157401A (zh) * 2022-07-20 2022-10-11 山东利沃微波设备有限公司 一种木材用微波除虫装置及方法
CN115164531A (zh) * 2022-07-20 2022-10-11 山东利沃微波设备有限公司 一种木材快速除湿干燥装置及方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115157401A (zh) * 2022-07-20 2022-10-11 山东利沃微波设备有限公司 一种木材用微波除虫装置及方法
CN115164531A (zh) * 2022-07-20 2022-10-11 山东利沃微波设备有限公司 一种木材快速除湿干燥装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5490192B2 (ja) マイクロ波加熱処理装置および処理方法
US20150090708A1 (en) Microwave heating apparatus and processing method
JP5490087B2 (ja) マイクロ波加熱処理装置および処理方法
JP6296787B2 (ja) 基板処理装置及び基板処理方法
KR101747498B1 (ko) 마이크로파 가열 처리 장치 및 마이크로파 가열 처리 방법
JP5657059B2 (ja) マイクロ波加熱処理装置および処理方法
JP2015135782A (ja) マイクロ波処理装置及びマイクロ波処理方法
US20140034636A1 (en) Microwave irradiation apparatus
JP6348765B2 (ja) マイクロ波加熱処理装置及びマイクロ波加熱処理方法
KR20150060567A (ko) 매칭 방법 및 마이크로파 가열 처리 방법
KR20140109291A (ko) 마이크로파 처리 장치 및 마이크로파 처리 방법
JP2014090058A (ja) マイクロ波加熱処理装置および処理方法
JP2014170701A (ja) マイクロ波処理装置および処理方法
US20150129586A1 (en) Microwave heating apparatus and processing method
JP2014170787A (ja) マイクロ波加熱処理装置および処理方法
JP2014192372A (ja) マイクロ波加熱処理装置
JP2016015278A (ja) マイクロ波加熱処理装置及びマイクロ波加熱処理方法