JP2016014814A - 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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裕 高橋
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Keinosuke Kondo
慧之輔 近藤
健太郎 三國谷
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健太郎 三國谷
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Abstract

【課題】組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、濃度変動を抑制できる。【解決手段】現像ローラ50は、複数の磁極を有するマグネットローラ55と、マグネットローラ55を内包する円筒形状で、マグネットローラ55の磁力によって円筒形状の外周面に現像剤を担持し、装置本体に対して回転することによって表面移動する現像スリーブ51と、を有し、現像スリーブ51に対して現像電圧を印加する現像スリーブ電源151を備える現像装置5において、現像ローラ50と感光体1との隙間の現像ギャップの情報を取得する現像ギャップ情報取得手段603と、現像ギャップ情報取得手段603によって取得した現像ギャップに基づいて交流成分を含む現像電圧を制御する制御部600とを備える。【選択図】図31

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置、これを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
従来、潜像担持体上に形成した潜像を現像装置で顕像化する現像装置が知られている。例えば、潜像担持体に形成された潜像を顕像化するために、現像剤としてトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いた二成分方式の現像装置がある。二成分方式の現像装置では、現像剤担持体を構成する現像スリーブの表面の一部と潜像担持体の表面の一部とが対向して現像領域を形成する。そして、現像スリーブ内に配置された磁界発生手段の磁界によって現像スリーブ上に形成した磁気ブラシを現像領域で潜像担持体に接触または近接させて潜像担持体の表面の潜像にトナーを付着させて可視像化している。
この種の現像装置では、現像電圧が印加された現像スリーブの表面電位と、潜像担持体の表面電位との電位差によって現像スリーブから潜像担持体にトナーが移動する。現像スリーブに現像電圧を印加する構成としては、直流成分のみの電圧を印加する構成(以下、「DCバイアス現像」と呼ぶ)と、交流成分を含む電圧を印加する構成(以下、「ACバイアス現像」と呼ぶ)とが知られている(特許文献1等)。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、DCバイアス現像では、作像した画像に現像スリーブの円周の長さに対応した周期的な濃度変動が生じることがわかった。これは、製造誤差等により現像スリーブが偏芯していることで、現像スリーブを回転させると、潜像担持体と現像スリーブとの隙間(以下、「現像ギャップ」と呼ぶ)が現像スリーブの回転周期に応じて周期的に変動するためと考えられる。
一方、本発明者らは、現像ギャップの変動に対する感光体上トナー付着量を測定してみたところ、ACバイアス現像では、DCバイアス現像に比べて上記周期的な濃度変動が改善されることを確認した。
その測定結果を図29に示す。同図に示すように、DCバイアスを印加する場合では、縦軸の現像ギャップが広がるほど、横軸の感光体上トナー付着量が直線的に減少する。ACバイアスを印加する場合では、現像ギャップが広がると、上方に凸の二次曲線状、所謂負の係数の二次曲線状になり、或る値の極大値までは現像ギャップが広がるほど感光体上トナー付着量は増加し、極大値となったあとは現像ギャップが広がるほど減少する。極大値近傍では、現像ギャップの変動に対する感光体上トナー付着量の変動量は小さいが、極大値から離れると現像ギャップの変動に対する感光体上トナー付着量の変動量が大きくなる。
現像ギャップの変動には、上記周期的な現像ギャップの変動以外に、現像装置と感光体とを一体的に支持するプロセスカートリッジに現像装置を組み付けた際の組み付け誤差がある。工業製品はそれぞれの部品にバラツキを持っており、製品の品質を達成できる一定の公差内で製造されている。しかし、部品の精度を高めるとコストが高くなるため部品の精度には限界があった。このため、この組み付けによる現像ギャップの変動は、上記周期的な現像ギャップの変動より大きな変動になる。画像形成装置に対して着脱可能となっているプロセスカートリッジを新しいものに交換したとき、現像ギャップは大きく変動する。
ACバイアス現像では、例えば、図29において、ACバイアスのピークトゥピーク値(以下、「Vpp値」という)が800[V]である場合、組み付けたときの現像ギャップの値が0.22[mm]であれば、極大値に近く、かつ、この状態で現像装置を駆動して、組み付けによる現像ギャップの変動よりも十分に小さい、周期的な現像ギャップの変動が生じても、感光体上トナー付着量の変動量は小さく、濃度変動を防止する。しかし、組み付けたときの現像ギャップの値が0.26[mm]であれば、極大値からかなり離れて、かつ、この状態で現像装置を駆動して周期的な現像ギャップの変動が生じたときに、感光体上トナー付着量の変動量は大きくなってしまい、濃度変動が悪化してしまう。一方、組み付けたときの現像ギャップの値が0.26[mm]のときに、ACバイアスのVppの値を1200[V]に設定すれば、極大値に近く、かつ、この状態で現像装置を駆動して現像ギャップの変動が生じても、感光体上トナー付着量の変動量は小さく、濃度変動を防止できる。ACバイアスのVppの値を1200[V]に固定すると、組み付けたときの現像ギャップの値が0.22[mm]になったときに、感光体上トナー付着量の変動量が大きくなり、濃度変動が悪化してしまう。
以上により、ACバイアス現像でのACバイアスの値を一定としていると、組み付け誤差による現像ギャップの変動によっては、周期的な濃度変動が悪化することがあった。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、濃度変動を抑制できる現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーと磁性キャリアとからなる現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤中のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、該現像剤担持体は、複数の磁極を有する磁界発生手段と、該磁界発生手段を内包する円筒形状で、該磁界発生手段の磁力によって円筒形状の外周面に現像剤を担持し、装置本体に対して回転することによって表面移動する現像スリーブと、を有し、該現像スリーブに対して現像電圧を印加する現像電圧印加手段を備える現像装置において、現像剤担持体と潜像担持体との隙間の現像ギャップの情報を取得する現像ギャップ情報取得手段と、該現像ギャップ情報取得手段によって取得した現像ギャップに基づいて交流成分を含む現像電圧を制御する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、現像ギャップの変動に応じて濃度変動を抑制できるという優れた効果が得られる。
本実施形態に係る複写機の概略構成図である。 作像部の概略構成図である。 本発明に係る現像装置の現像スリーブに印加される現像バイアスの波形の説明図である。 現像カバーを取り外した状態の現像装置の斜視説明図である。 現像装置の説明図、(a)は、現像カバーを取り外した状態の上面図、(b)は、現像装置の側面図、(c)は、現像装置の側方断面図である。 現像装置内における現像剤の長手方向の動きと、現像剤の堆積の状態とを示す概略図である。 本実施例形態に係る現像装置の現像スリーブに印加される現像バイアスの波形の説明図である。 従来のACバイアス現像の現像バイアスVbの波形の一例を示す説明図である。 実験例1の結果を示すグラフである。 実験例2の結果を示すグラフである。 実験例3の結果を示すグラフである。 現像ギャップの変動に対するトナーの付着量の変動を比較したグラフである。 現像ギャップの値を変えたときの、現像ニップの位置よるトナー付着量の変化を示すグラフである。 Vpp値の値を変えた場合と、の現像ギャップに対するトナー付着量の関係を示すグラフである。 DCバイアス現像及びRP現像の現像ギャップに対するトナーの付着量の関係を示すグラフである。 プラス側デューティ比の値を変化させたときの粒状度と濃度ムラとの値を確認した実験結果を示すグラフである。 印刷画像のドット面積標準偏差とトナー帯電量との関係を示すグラフ。 印刷画像のドット面積標準偏差とボソツキランクとの関係を示すグラフ。 シアン用現像装置でAC現像バイアスのプラス側デューティ比を変化させたときの濃度ムラランクと、ボソツキランクとを評価した結果を示すグラフ。 ブラック用現像装置でAC現像バイアスのプラス側デューティ比を変化させたときの濃度ムラランクと、ボソツキランクとを評価した結果を示すグラフ。 現像装置が備える現像ローラの拡大説明図である。 低摩擦膜の膜厚のムラに起因する濃度ムラが生じる推定メカニズムを説明する現像領域近傍の模式図、(a)は膜厚が薄い場合の説明図、(b)膜厚が厚い場合の説明図。 DCバイアス現像での現像ギャップとトナー付着量との関係を示すグラフ。 図23に、プラス側のデューティ比が小さいAC現像バイアスを印加して画像形成を行ったときの現像ギャップとトナー付着量との関係を追加したグラフ。 ゴースト画像発生の概念図。 実験例5の実験結果を示すグラフ、(a)は比較例2、(b)は実施例2。 摩擦係数測定装置の概略構成図である。 DCバイアス現像と、ACバイアス現像とで、現像ギャップGPの変動に対するトナー付着量の変動を比較したグラフである。 ACバイアスのVpp値を変えたときに現像ギャップと感光体に現像されるトナー付着量との関係を示すグラフである。 DCバイアスにACバイアスを重畳したときのVpp値と現像ギャップと感光体トナー付着量の関係の極大になる現像ギャップの関係を示すグラフである。 本実施形態の複写機における制御系の構成を示すブロック図である。 ACバイアスのVpp値の設定処理フローを示す図である。 ACバイアスのVpp値の別の設定処理フローを示す図である。 所定のDCバイアスを印加したときの、現像ギャップと感光体上トナー付着量との関係を示すグラフである。 トナー付着量検知センサを説明する模式図である。 現像ギャップを変えたときに算出されたACバイアス条件で画像濃度ムラを評価した結果を説明するグラフである。
以下、本発明を適用した画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機(以下、複写機500という)の実施形態について説明する。
図1は、複写機500の概略構成図である。複写機500は、画像形成装置の本体部としてのプリンタ部100の上方に、原稿読込部4及び原稿搬送部3を備え、プリンタ部100の下方に給紙部7を備える。原稿搬送部3は、原稿読込部4に原稿を搬送し、原稿読込部4は搬送されてきた原稿の画像情報を読み込む。給紙部7は、記録媒体である転写紙Pを収容する記録媒体収容部であり、転写紙Pが収容される給紙カセット26と、給紙カセット26内の転写紙Pをプリンタ部100に向けて送り出す給紙ローラ27とを備える。図1中の一点鎖線は、複写機500内での転写紙Pの搬送経路を示す。
プリンタ部100の上部は、出力画像が形成された転写紙Pが積載される排紙トレイ30となっている。プリンタ部100は、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像を形成する作像部としての四つの作像ユニット6(Y,M,C,K)と、中間転写ユニット10とを備える。各作像ユニット6(Y,M,C,K)は、各色トナー像が形成される像担持体としてのドラム状の感光体1(Y,M,C,K)、及び、各感光体(Y,M,C,K)の表面上に形成された静電潜像を現像する現像手段としての現像装置5(Y,M,C,K)を備える。
図1に示すように、中間転写ユニット10の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像ユニット6(Y,M,C,K)が並設されている。
中間転写ユニット10は、中間転写ベルト8や一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)を備える。中間転写ベルト8は、各感光体1(Y,M,C,K)の表面上に形成された各色トナー像が重ねて転写され、表面上でカラートナー像が形成される中間転写体である。また、一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)は、各感光体1(Y,M,C,K)の表面上に形成されたトナー像を中間転写ベルト8に転写する一次転写手段である。
プリンタ部100は、中間転写ベルト8上のカラートナー像を転写紙P上に転写するための二次転写バイアスローラ19を備える。また、給紙ローラ27によって送り出された転写紙Pの搬送を一度停止し、中間転写ベルト8と二次転写バイアスローラ19とが対向する二次転写ニップに搬送するタイミングを調整するレジストローラ対28を備える。さらに、プリンタ部100は、二次転写ニップの上方に転写紙P上の未定着トナー像を定着する定着装置20を備える。
また、プリンタ部100内の排紙トレイ30の下方、且つ、中間転写ユニット10の上方には、各色のトナー容器11(Y,M,C,K)が配置されている。各色のトナー容器11(Y,M,C,K)は、各現像装置5(Y,M,C,K)に供給する各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーを収容する。
図2は、四つの作像ユニット6(Y,M,C,K)のうちの一つの拡大説明図である。プリンタ部100に設置される四つの作像ユニット6(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる点以外は、ほぼ同一構造で動作もほぼ同様である。よって、以下の説明、及び、説明に用いる図面では、対応する色を示す符号「Y,M,C,K」を適宜省略して説明する。
図2に示すように、作像ユニット6は、感光体1及び現像装置5を一体的に支持するプロセスカートリッジとなっており、このプロセスカートリッジは複写機500本体に対して着脱可能となっている。これにより、現像装置5を備えた複写機500本体での現像装置5の交換性が容易となり、複写機500のメンテナンス性が向上する。
図2に示すように、作像ユニット6は、感光体1の周囲に現像装置5、感光体クリーニング装置2、潤滑剤塗布装置41、及び、帯電装置40を備える(図2では、感光体1の周囲の装置として現像装置5のみを表示)。本実施形態の作像ユニット6では、感光体クリーニング装置2は、クリーニングブレード2aによってクリーニングする構成であり、帯電装置40は帯電ローラ4aによって帯電する構成である。
画像形成時には、感光体1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体1上に所望のトナー像が形成される。本実施形態では、作像部を作像ユニット6として、感光体1、帯電装置40、現像装置5及び感光体クリーニング装置2を一体化して複写機500の装置本体に着脱自在に設置されるプロセスカートリッジとしている。作像部としては、感光体1、帯電装置40、現像装置5及び感光体クリーニング装置2のそれぞれを画像形成装置本体に対して着脱自在に設置できるように構成してもよい。この構成の場合、それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換される。
以下、本実施形態の複写機500における通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿搬送部3の原稿台に原稿がセットされた状態で、不図示のスタートボタンが押されると、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理を行い、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、不図示の露光装置に送信される。そして、露光装置からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光Lが、それぞれ、対応する感光体1(Y,M,C,K)上に向けて発せられる。
一方、四つの感光体1(Y,M,C,K)は、不図示の駆動部によって図1及び図2中の時計回り方向に回転駆動される。そして、感光体1(Y,M,C,K)の表面は、帯電装置40の帯電ローラ4aとの対向部で、一様に帯電される(帯電工程)。これにより、感光体1(Y,M,C,K)の表面上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体1(Y,M,C,K)の表面は、不図示の露光装置から発せられたレーザ光Lが照射される位置に達する。
露光装置において、四つの光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過して、各感光体1(Y,M,C,K)の表面に照射される(露光工程)。
露光工程について、イエローを例に挙げて説明すると、イエロー成分に対応したレーザ光Lは、図1中の紙面左側から一番目のイエロー用感光体1Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光Lは、高速回転するポリゴンミラーにより、イエロー用感光体1Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。このようにレーザ光Lが走査されることで、帯電装置40によって帯電された後のイエロー用感光体1Yの表面上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光Lは、図1中の紙面左から二番目のマゼンタ用感光体1M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光Lは、図1中の紙面左から三番目のシアン用感光体1C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光Lは、図1中の紙面左から四番目のブラック用感光体1K表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体1(Y,M,C,K)表面は、それぞれ、現像装置5との対向位置に達する。そして、この対向位置で、各色トナーとキャリアとからなる現像剤を収容する現像装置5(Y,M,C,K)から感光体1(Y,M,C,K)の表面上の潜像に各色トナーが供給されて、感光体1(Y,M,C,K)上の潜像が現像される(現像工程)。これにより、感光体1(Y,M,C,K)上に所望のトナー像が形成される。
現像装置5との対向位置を通過した後の感光体1(Y,M,C,K)表面は、それぞれ、中間転写ベルト8との対向位置に達する。それぞれの対向位置には、中間転写ベルト8の内周面に当接するように一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)が設置されている。この中間転写ベルト8を挟んで感光体1(Y,M,C,K)と一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)とが対向することで、一次転写ニップを形成する。そして、この一次転写ニップで、各感光体1(Y,M,C,K)上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト8上に順次重ねて転写される(一次転写工程)。このとき、感光体1の表面上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
一次転写ニップを通過した後の感光体1の表面は、それぞれ、感光体クリーニング装置2との対向位置に達する。そして、感光体クリーニング装置2との対向位置で、感光体1上に残存する未転写トナーがクリーニングブレード2aによって掻き取られ、回収される(感光体クリーニング工程)。
感光体クリーニング装置2との対向部を通過した感光体1の表面は、不図示の除電手段と対向する位置である除電位置に達して、この位置で感光体1の表面上の残留電荷が除去される。
このようにして、感光体1の表面上で行われる一連の作像プロセスが終了し、次の作像動作に備える。
上述したように作像プロセスは、四つの作像ユニット6(Y,M,C,K)で、それぞれ行われる。すなわち、図1中の四つの作像ユニット6の下方に配設された不図示の露光装置から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、それぞれの作像ユニット6(Y,M,C,K)の感光体1上に向けて照射される。詳しくは、露光装置は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体1の表面上に照射する。その後、現像工程を経てそれぞれの感光体1の表面上に形成された各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
上述したように、四つの一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体1(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
中間転写ベルト8は、図2中の矢印方向に表面移動して、各一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体1(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて一次転写される。
四つの感光体1(Y,M,C,K)上の各色トナー像が重ねて転写され、カラートナー像を担持する中間転写ベルト8は、図1中の反時計方向に表面移動して、二次転写バイアスローラ19との対向位置に達する。この対向位置では、二次転写バックアップローラ12が、二次転写バイアスローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで二次転写ニップを形成している。
一方、転写紙Pを収容する給紙カセット26から、給紙ローラ27により給送された転写紙Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ対28に導かれ、レジストローラ対28に突き当たり、一度停止する。レジストローラ対28に突き当たった転写紙Pは、中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像が二次転写ニップに向かうタイミングに合わせて二次転写ニップに向けて搬送される。
詳しくは、給紙カセット26には、被転写材である転写紙Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の転写紙Pがレジストローラ対28のローラニップに向けて給送される。レジストローラ対28に搬送された転写紙Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、転写紙Pが二次転写ニップに向けて搬送される。
そして、中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップで転写紙P上に転写され、転写紙P上に所望のカラー画像が形成される(二次転写工程)。このとき、中間転写ベルト8上には、転写紙Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト8表面は、不図示の中間転写ベルトクリーニング装置との対向部に達する。この対向部で、中間転写ベルト8上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置に回収されて、中間転写ベルト8の表面が初期状態に復帰する。このようにして、中間転写ベルト8の表面上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
一方、二次転写ニップでカラートナー像が転写された転写紙Pは、定着装置20に搬送される。定着装置20では、定着ローラと加圧ローラとによって形成される定着ニップにて、熱と圧力とによってカラートナー像が転写紙P上に定着される(定着工程)。
定着装置20を通過した転写紙Pは、排紙ローラ対25のローラ間を経てプリンタ部100の外に排出される。排紙ローラ対25によって複写機500の装置本体外に排出された転写紙Pは、出力画像として、排紙トレイ30上に順次スタックされる。
このようにして、複写機500における画像形成装置としての一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図3、図4及び図5を用いて作像ユニット6が備える現像装置5の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。
図3は、本実施形態の現像装置5の説明図であり、図3は、現像装置5の断面説明図である。現像装置5は、現像剤を収容する現像ケーシングとしてケーシング58を備え、このケーシング58は、現像下ケース58aと、現像上ケース58bと、現像カバー58cとから構成される。
図4は、現像カバー58cを取り外した状態の現像装置5の斜視説明図である。
図5は、現像装置5の説明図であり、図5(a)は、図4に示す現像カバー58cを取り外した状態の現像装置5の上面図であり、図5(b)は、現像装置5を図4中の矢印「A」方向から見た側面図である。また、図5(c)は、現像装置5を図4中の矢印「A」方向から見た側方断面図である。
現像装置5は、感光体1に対向する現像剤担持体としての現像ローラ50、供給搬送部材である供給スクリュ53、回収搬送部材である回収スクリュ54、現像剤規制部材であるドクタブレード52、及び、仕切り部材57を備える。供給スクリュ53及び回収スクリュ54は、回転軸に螺旋状の羽部を設けたスクリュ部材であり、回転することにより、その回転軸の軸方向に現像剤Gを搬送する。
ケーシング58には、現像ローラ50が感光体1と対向する現像領域で現像ローラ50の表面の一部が露出するように開口部としての現像開口部58eが形成されている。ドクタブレード52は、現像ローラ50の表面に対向するように配設されるとともに、現像ローラ50の表面に担持された現像剤Gの量を規制する。
供給スクリュ53及び回収スクリュ54は、現像装置5内に収容された現像剤Gを長手方向に攪拌、搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材である。この複数の搬送部材のうち、供給スクリュ53は、現像ローラ50に対向配置され、現像剤Gを長手方向に搬送しながら現像ローラ50に現像剤Gを供給し、回収スクリュ54は、現像剤Gを補給されたトナーと混合攪拌しながら搬送する。
現像装置5のケーシング58内の空間のうち、供給スクリュ53が配置された供給搬送路53aと、回収スクリュ54が配置された回収搬送路54aとは仕切り部材57によって空間的に仕切られている。また、仕切り部材57は、軸線方向に直交する断面(図3で説明図を示す断面)における端部が現像ローラ50の表面に対向し、近接して配置されることにより、現像ローラ50の表面上から現像剤Gの離脱を促す分離板としても機能する。仕切り部材57の分離板としての機能により、現像ローラ50に担持され、現像領域を通過した現像剤Gが、供給搬送路53aに到達することを防止し、回収搬送路54a内へ向けて滞りなく移動させることができる。
図3に示すように、現像ローラ50は、内部に固設された複数の磁石からなるマグネットローラ55と、マグネットローラ55の周囲を回転する現像スリーブ51とから構成される。現像スリーブ51はマグネットローラ55を内包し、回転自在な非磁性材料からなる円筒形状の部材である。現像スリーブ51の表面上には、複数の磁極として、第一磁極P1(S極)、第二磁極P2(N極)、第三磁極P3(S極)、第四磁極P4(N極)、及び、第五磁極P5(N極)の五つの磁極がマグネットローラ55によって形成されている。そして、五つの磁極を形成するマグネットローラ55の周囲を現像スリーブ51が回転することで、その回転に伴い現像剤Gが現像ローラ50上を移動することになる。なお、図3中の「P1」〜「P5」は、各磁極によって形成される磁場の現像スリーブ51の表面上における法線方向磁束密度(絶対値)の分布を示している。
現像装置5は、ケーシング58によって形成される空間(供給搬送路53a、回収搬送路54a)内に、トナーとキャリアとからなる二成分の現像剤G(添加剤等を添加する場合も含む)を収容する。そして、現像剤Gを長手方向(現像スリーブ51の回転軸の軸方向)に搬送して循環経路を形成する現像剤搬送部材として、供給スクリュ53及び回収スクリュ54を備える。また、現像装置5では、供給スクリュ53と回収スクリュ54とを上下方向に配置し、供給スクリュ53と回収スクリュ54との間に配置された仕切り部材57によって供給搬送路53aと回収搬送路54aとが形成されている。現像装置5は、供給搬送路53aまたは回収搬送路54a内に収容する現像剤Gのトナー濃度を検出する不図示のトナー濃度センサを備えている。
感光体1と現像スリーブ51との対向部である現像領域に対して、現像スリーブ51の表面移動方向上流側で、現像スリーブ51の表面上に担持され、現像領域に向かう現像剤量を規制するドクタブレード52が現像ローラ50の下方に配置されている。
現像装置5では、二成分の現像剤Gを用いているため、現像装置5内におけるトナー消費に応じて、現像装置の一部に設けられたトナー補給口59から現像装置5内に適宜にトナーが補給される。補給されたトナーは、現像装置5内の現像剤Gとともに、現像剤搬送部材である回収スクリュ54及び供給スクリュ53によって搬送されつつ、撹拌・混合される。このように、現像剤搬送部材によって撹拌・混合された現像剤Gは、その一部が現像剤担持体である現像スリーブ51の表面に供給され、その表面に担持される。現像スリーブ51の表面に担持された現像剤Gは、現像スリーブ51の下方に設置されたドクタブレード52によって適量に規制された後に、現像領域に到達する。現像領域では、現像スリーブ51の表面上の現像剤G中のトナーが感光体1の表面上の潜像に付着する。
本実施形態の現像装置5内には、現像剤Gが一定量充填されている。現像剤Gは、ポリエステル樹脂を主成分とするトナー(平均粒径5.8[μm])と磁性微粒子であるキャリア(平均粒径35[μm])とを、トナー濃度が7[wt%]となるように均一混合したものである。そして、並列に配置された供給スクリュ53と回収スクリュ54とを600〜800[rpm]で回転させることによって、現像剤Gを搬送しつつ、トナーとキャリアとの混合を行い、トナーに対する帯電付与を行っている。また、供給スクリュ53と回収スクリュ54とを回転させることによって、トナー補給口59から補給される新品のトナーを現像剤Gの中で攪拌し、現像剤G内でのトナーの含有率が均一になるように混合する。
均一混合された現像剤Gは現像スリーブ51に近接して平行に設けられた供給スクリュ53によって長手方向に搬送されながら、現像スリーブ51に内包されたマグネットローラ55の第五磁極P5の磁力によって現像スリーブ51の外周表面に受け渡される。現像スリーブ51の表面に受け渡された現像剤Gは、現像スリーブ51が図3中矢印に示すように、反時計回り方向に回転することによって現像領域に到達する。
詳細は後述する現像スリーブ電源151から現像スリーブ51に現像電圧が印加されることにより、現像領域では現像スリーブ51と感光体1との間に現像電界が形成される。この現像電界により、現像領域では現像スリーブ51の表面上の現像剤G中のトナーが感光体1の表面上の潜像に供給され、感光体1上の潜像が現像される。
現像領域を通過した後の現像スリーブ51の表面上の現像剤Gは、現像スリーブ51の回転に伴って現像装置5内の回収搬送路54aに回収されるようになっている。詳しくは、現像スリーブ51の表面から離脱した現像剤Gは、仕切り部材57の上面に落下して滑り落ち、回収スクリュ54で回収されるようになっている。
図5(a)及び図5(c)中の矢印は、現像装置5内での現像剤Gの流れを示している。図5(a)及び図5(c)中の矢印「a」は、回収搬送路54a内を回収スクリュ54によって搬送される現像剤Gの流れを示している。図5(a)中の矢印「b」は、現像スリーブ51に担持され、回収搬送路54aへと搬送される現像剤Gの流れを示しており、図5(c)中の矢印「c」は、供給搬送路53a内を供給スクリュ53によって搬送される現像剤Gの流れを示している。
図5(c)に示すように、供給スクリュ53及び回収スクリュ54の軸方向の端部の領域である回収スクリュ下流端領域α及び供給スクリュ下流端領域βでは、上段の回収搬送路54aと下段の供給搬送路53aとが上下で連通している。そして、回収スクリュ下流端領域αでは、上段の回収搬送路54aから下段の供給搬送路53aへ、供給スクリュ下流端領域βでは、下段の供給搬送路53aから上段の回収搬送路54aへ現像剤Gが搬送されるようになっている。連通部となる回収スクリュ下流端領域α及び供給スクリュ下流端領域βにおけるスクリュの形状は、パドルや逆巻きのスクリュを設けており、搬送方向に対して垂直方向への搬送能力を持たせている。
図6は、現像装置5内における現像剤Gの長手方向(軸方向)の動きと、現像剤Gの堆積の状態とを示す概略図である。図6中の白抜き矢印は現像装置5内での現像剤Gの流れを示している。図5(c)に示すように、仕切り部材57(図6では図示を省略)は、現像装置5の長手方向の両端に供給搬送路53aと回収搬送路54aとを連通する開口部(剤持上げ口72及び剤落下口71)がそれぞれ設けられている。
図6に示すように、供給搬送路53aにおける供給スクリュ53の搬送方向下流側端部に到達した現像剤Gは、矢印「d」で示すように仕切り部材57に設けられた開口部のうちの剤持上げ口72を通って回収搬送路54aにおける搬送方向上流側端部に受け渡される。一方、回収搬送路54aにおける回収スクリュ54の搬送方向下流側端部に到達した現像剤Gは、矢印「e」で示すように仕切り部材57に設けられた開口部のうちの剤落下口71を通って供給搬送路53aにおける搬送方向上流側端部に受け渡される。
図6では、現像スリーブ51への現像剤Gの供給及び回収を模式的に示す都合上、供給搬送路53aと回収搬送路54aとの間にある程度の距離があるように描かれている。しかしながら、供給搬送路53aと回収搬送路54aとは図3及び図5(c)で示すように板状の仕切り部材57によって仕切られており、その開口部である剤持上げ口72及び剤落下口71は板状の仕切り部材57を表から裏に貫通する貫通口である。
図6に示すように、回収搬送路54aに対して下方にある供給搬送路53a内の現像剤Gは供給スクリュ53によって長手方向に搬送されつつ、現像スリーブ51の表面に汲み上げられる。このとき、供給スクリュ53の回転と、汲み上げ磁極としての第五磁極P5の磁力とによって現像剤Gが現像スリーブ51の表面に汲み上げられる。現像スリーブ51の表面に汲み上げられた後、現像領域を通過した現像スリーブ51の表面上の現像剤Gは、現像スリーブ51の表面上から離脱され、回収搬送路54a内に送られる。このとき、現像スリーブ51の表面上の現像剤Gは、隣り合う同極性(N極)の磁極である第四磁極P4と第五磁極P5とによって構成される剤離れ磁極の磁力による作用と、仕切り部材57の分離板としての作用とによって現像スリーブ51の表面上から離脱する。
現像装置5は、第四磁極P4と第五磁極P5とで構成される剤離れ磁極にて反発磁気力を形成する。この反発磁気力が形成された区間に運ばれた現像剤Gは、剤離れ磁極で法線方向と回転接線方向との合成方向にリリースされ、仕切り部材57上に自重落下して回収される。
供給搬送路53aに対して上方にある回収搬送路54a内の回収スクリュ54は、剤離れ磁極の位置で現像スリーブ51から離脱した現像剤Gを長手方向(供給スクリュ53による搬送方向とは逆方向)に搬送する。
供給スクリュ53による搬送経路である供給搬送路53aの下流側と、回収スクリュ54による搬送経路である回収搬送路54aの上流側とは剤持上げ口72を介して連通している。そして、供給搬送路53aの下流側端部に達した現像剤Gは、その位置に留まり後から搬送されてくる現像剤Gによって押し上げられ、回収搬送路54aの上流側端部に到達する。
また、回収搬送路54aの上流側端部には、トナー補給口59が設けられており、新品のトナーがトナー容器11から不図示のトナー補給装置を介して適宜に補給される。また、供給搬送路53aの上流側端部と回収搬送路54aの下流側端部とは剤落下口71を介して連通している。そして、回収搬送路54aの下流側端部に達した現像剤Gは、剤落下口71を自重落下して供給搬送路53aの上流側端部に受け渡される。
現像装置5は、上述したように、供給スクリュ53と回収スクリュ54とが図3中の矢印で示す方向で回転し、現像スリーブ51に内包したマグネットローラ55の磁気吸引力で現像スリーブ51に引き寄せる。さらに、現像スリーブ51を感光体1に対する所定の速度比で回転させることで、現像領域に対して連続的に現像剤Gの汲み上げ供給を行っている。
現像装置5は、供給スクリュ53によって供給搬送路53a内の現像剤Gの攪拌搬送を行いつつ、現像スリーブ51に現像剤Gの供給を行い、現像スリーブ51に供給した現像剤Gは、回収スクリュ54にすべて回収する方式を取っている。このため、供給搬送路53a内における供給スクリュ53の搬送方向下流側ほど、現像剤Gの量が減少し、図6に示すように、供給搬送路53a内の現像剤Gの堆積状態が斜めになる。
ここで、供給スクリュ53の羽部の径、羽部のピッチ及び回転数等から求めることができる供給スクリュ53の現像剤搬送能力を「Wm」とし、現像スリーブ51上の現像剤搬送能力を「Ws」とする。このとき、「Wm」と「Ws」との関係が「Wm>Ws」という条件となる場合に、現像剤Gが現像スリーブ51の表面上に一様に搬送されるようになる。上記条件が成立しないと、供給搬送路53a内における供給スクリュ53の搬送方向下流側において現像剤Gが不足してしまい、この下流側での現像スリーブ51への現像剤Gの供給が不可能となってしまう。よって、供給スクリュ53の現像剤搬送能力は、現像スリーブ51上の現像剤Gの搬送量を上回るように設定する必要がある。
また、同様に現像スリーブ51から回収搬送路54a内へ現像剤Gを回収する。このとき、回収搬送路54a内の現像剤Gの嵩が高くなることにより回収されない現像剤Gが仕切り部材57と現像スリーブ51との隙間から供給搬送路53a内に入り込む。そして、供給スクリュ53によって十分に攪拌されることなく再び現像スリーブ51の表面に供給されてしまう。このような場合、十分に攪拌されていない現像剤Gが、現像領域に到達することで、不良画像の発生の原因となる。よって、回収スクリュ54の現像剤搬送能力も、現像スリーブ51上の現像剤Gの搬送量を上回るように設定する必要がある。このように、供給スクリュ53及び回収スクリュ54の現像剤搬送能力は、現像スリーブ51上の現像剤Gの搬送量を上回るように設定する必要があり、必然的にスクリュは高回転に設定になってしまう。
次に、現像装置5の現像スリーブ51に印加される現像バイアスについて説明する。
図7は、現像装置5が備える現像スリーブ51に現像スリーブ電源151が印加する現像バイアスVbの波形を示す説明図である。図7に示す説明図では、「GND」がアース電圧を示しており、「0[V]」である。また、図1中の上側ほどマイナス極性側に大きい値であり、図7中の下側ほどプラス極性側の大きい値である。図7中の「T」は、交流成分によって周期的に電圧が変化する現像バイアスVbの1[周期]を示している。また、図7中の「T1」は、現像バイアスVbの1[周期]の間にプラス極性側成分の電圧が印加される時間を示しており、図7中の「T2」は、現像バイアスVbの1[周期]の間にマイナス極性側成分の電圧が印加される時間を示している。
図7の現像バイアスVbは、周波数(1/T)が2.0[kHz]以下の交流成分を含む電圧であることが好ましい。また、現像バイアスVbのトナーの正規帯電極性(マイナス極性)とは逆極性(プラス極性)の成分のデューティ比(T1/T×100、以下、「プラス側デューティ比」という)が20[%]以下であることが好ましい。さらに、現像バイアスVbのマイナス極性側の最大値と最小値との差が、1500[V]以下となっている。ここで、マイナス極性側の最小値とは、現像スリーブ51の表面電位がマイナス極性側のみで変動する場合は、0[V]に最も近づく値であり、上記表面電位がプラス極性側にも変動する場合は、プラス極性側の最大値である。
プラス側デューティ比とは、ACバイアスにおいてプラス極性側の成分が印加される時間の比であり、ACバイアスの一周期の間にプラス極性側の電圧が印加される時間(T1)をACバイアスの一周期の時間(T)で割った値である。なお、プラス極性側の電圧が印加される間は、感光体1の静電潜像に付着したトナーを現像スリーブ51側に引き戻す電界が形成される。また、周波数は、一秒間に何周期の波形があるかを示すものであり、一周期の時間を「T」としたときに「1/T」となる。図7に示す波形の例では、周波数が1[kHz]、プラス側デューティ比が7[%]、現像バイアスVbの最大値と最小値との差であるVpp値が1000[V]となっている。
図7中の「Vbav」は、現像バイアスVbの平均値(以下、「現像バイアス平均値」と)であり、図7に示す例では、400[V]である。また、帯電電位Vdは460[V]、露光電位VLは0[V]である。また、現像バイアスVbのマイナス側の上限値と帯電電位Vdとの電位差である図7中のΔV1は10[V]、現像バイアスVbのマイナス側の上限値と現像バイアス平均値Vbavとの電位差である図7中のΔV2は70[V]である。また、帯電電位Vdと現像バイアス平均値Vbavとの電位差である図7中のΔV3は60[V]である。
また、露光電位VLと現像バイアスVbのマイナス側の下限値(プラス側の上限値)との電位差である図7中のΔV4は530[V]である。また、現像バイアス平均値Vbavと現像バイアスVbのマイナス側の下限値(プラス側の上限値)との電位差である図7中のΔV5は930[V]である。さらに、現像バイアス平均値Vbavと露光電位VLとの電位差である現像ポテンシャルVpotは、図7に示す例では400[V]である。
図8は、従来のACバイアス現像の現像バイアスVbの波形の一例を示す説明図である。
図8に示す波形では、周波数が9[kHz]、プラス側デューティ比(T1/T×100)が70[%]、現像バイアスVbの最大値と最小値との差であるVpp値が1500[V]となっている。また、図8に示す波形では、現像バイアス平均値Vbavは、200[V]、帯電電位Vdは420[V]、露光電位VLは0[V]である。
図8に示す例の各電位差を以下に示す。
ΔV1は830[V]、ΔV2は1050[V]、ΔV3は220[V]、ΔV4は250[V]、ΔV5は450[V]であり、現像ポテンシャルVpotは、200[V]である。
図8に示す従来のACバイアス現像の波形と比較して図7に示す現像バイアスの波形は、プラス側の電圧をかける時間がかなり短くなっており、マイナス側の電圧をかける時間が長くなっている。詳しくは、トナーの正規帯電極性がマイナス極性となる従来のACバイアス現像では、プラス側デューティ比が30[%]以上となることが一般的である(図8に示す波形では70[%])。一方、図7の現像バイアスの波形では、プラス側デューティ比が20[%]以下となる7[%]となっている。また、従来のACバイアス現像では、周波数が図8に示す波形では9[kHz]となっているように5[kHz]以上の高周波数のものが主流である。一方、図7の波形の周波数は2[kHz]以下となる990[Hz]である。
このように現像バイアスの波形は、従来のACバイアス現像の波形と比較して、周波数が低く、且つ、トナーの正規帯電極性とは逆極性の成分のデューティ比が低い波形となっている。
以下、図7の波形を示すAC現像バイアスを便宜的に「RP現像バイアス」と呼び、RP現像バイアスを印加する現像方式を、便宜的に「RP現像」と呼ぶ。本発明者らがRP現像を用いて画像形成を行ったところ、現像スリーブ51の回転周期による濃度ムラが抑制できるとともに、周辺白抜けの発生や粒状性の悪化を抑制できることを確認した。本発明者らが現像スリーブ51に印加する現像バイアスの条件のみを変化させて画像形成を行ったところ、粒状性については従来のACバイアス現像よりも改善でき、DCバイアス現像と同等の粒状性を得られた。
図7に波形の例示すRP現像や図8に波形の例示す従来のACバイアス現像では、現像バイアス平均値VbavがDCバイアス現像における現像バイアスVbに相当することとなる。このため、感光体1の表面上の電位が図7及び図8中の現像バイアス平均値Vbavよりも下側、すなわちプラス極性側であれば現像スリーブ51から感光体1の表面上にトナーが移動し、現像がなされる。また、感光体1の表面上の電位が現像バイアス平均値Vbavよりも上側、すなわちマイナス極性側であれば現像スリーブ51から感光体1の表面上にトナーが移動せず、現像がなされない。よって、マイナス極性について、現像バイアス平均値Vbavが、帯電電位Vdよりも小さく、露光電位VLよりも大きければ(Vd>Vbav>VL)、感光体1の静電潜像に対して現像することができる。
なお、露光電位VLとしては、従来の画像形成装置と同様に0[V]〜100[V]の範囲のものを用いることができ、図7及び図8に示す例では、露光電位VLを接地電圧(GND)、すなわち、0[V]としている。
また、RP現像では周波数を低くすることで、周波数の高いACバイアス現像で生じていた周辺白抜けの発生を抑制することができる。さらに、RP現像ではプラス側デューティ比を低くすることで、周波数の低く、且つ、プラス側デューティ比が高いACバイアス現像で生じていた粒状性の悪化を抑制することができる。
ここで、現像スリーブ51の電位と感光体1の電位とについて説明する。一般的な電子写真は、感光体1を帯電手段により一様に帯電し、露光手段により感光体1表面上に静電潜像を形成し、現像スリーブ51に担持された現像剤中のトナーを用いて感光体1表面上の静電潜像をトナーを用いて現像し、トナー像が形成される。このとき、露光されて形成された静電潜像の電位よりもトナーの正規帯電極性側(以下の説明ではマイナス極性側)に大きい電位を現像スリーブ51に与えることで、現像スリーブ51側から感光体1の静電潜像側にトナーを移動させて現像する電位差となっている。
DCバイアスを印加する場合は、現像スリーブ51に印加する電圧が一定で、現像スリーブ51の表面の電位が一定であるため、現像スリーブ51と感光体1の静電潜像との間の電位差は、現像スリーブ51から静電潜像側にトナーを移動させる電位差のみである。
一方、現像スリーブ51にACバイアスを印加する場合は、微小な時間中に静電潜像に対して、現像スリーブ51から感光体1にトナーを現像する電位差と感光体1から現像スリーブ51側にトナーを引き戻す電位差とが交互に形成される。このように感光体1から現像スリーブ51側にトナーを引き戻す電位差が形成されることもあるにも関わらずトナーを静電潜像に現像できるのは、以下の理由による。すなわち、ACバイアスの平均の電位と、感光体1上の静電潜像の電位との電位差が、トナーを感光体1側に移動する電位差となっているからである。
濃度ムラに対しては、DCバイアスを印加するよりもACバイアスを印加する方が軽減する効果がある。これは、トナーを感光体1側から、現像スリーブ51側に引き戻し、再び感光体1側へ移動させることで、感光体1上のトナーの付着量を均一にすることができ、画像上の濃淡差を低減するためと考えられる。本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、この濃度ムラの低減には、ACバイアスの周波数を上げるか、ピークトゥピーク値(現像バイアスの最大値と最小値との差の値)を上げることで効果が大きく表れることが分かった。
しかし、本発明者らがさらに検討を重ねたところ、次のようなことが明らかになった。すなわち、周波数を上げると、トナーの引き戻し作用が強くなることで、高濃度部と低濃度部との境界付近の白抜け(以下、「周辺白抜け」と呼ぶ)が発生し易くなる。この周辺白抜けを低減するためにACバイアスの周波数を2[kHz]以下とすることが望ましい。また、ピークトゥピーク値を上げると、トナーの動きが大きくなり、濃度ムラはより低減されるが、感光体1上の非画像部へのトナーの付着(地汚れ)が発生しやすくなる。そのため、Vpp値は1500[V]以下が望ましい。
この条件下では、ACバイアスのトナーの引き戻し作用によって、画像に粒状性の悪化(ぼそつき)が発生することがある。この粒状性の悪化を低減するために、ACバイアスの一周期の時間に対するトナーの静電極性とは逆極性側の電圧を印加する時間の割合を示すプラス側デューティ比が20[%]以下であることが望ましい。
以下、ピークトゥピーク値、ACバイアスの周波数及びプラス側デューティ比の適切な条件を検討した実験例について説明する。
〔実験例1〕
実験例1では、Vpp値と地汚れとの関係に基づいてVpp値の上限値を確認した。地汚れの評価は、任意の画像を出力したときの非画像部に対するトナーの付着状態を目視で確認した。
以下、実験例1の評価条件を示す。
・画像形成装置:imagio MP C5000
・現像剤 :シアン現像剤
・現像スリーブ:アルミスリーブにテトラヘデラルアモルファスカーボンコーティング(以下、「ta−Cコート」という)
・現像バイアス:DCバイアスのみ、DCバイアスにAC成分を重畳(周波数:990[Hz]、プラス側デューティ比:7[%])
以下、地汚れの評価ランクの基準を示す。
ランク「5」:地汚れ無し
ランク「4」:問題無し
ランク「3」:許容可
ランク「2」:許容不可
ランク「1」:「2」よりも劣位
上述した評価条件にて、現像バイアスの条件を変化させた実験例1の結果を図9に示す。
現像バイアスの条件は、DCバイアスと、ACバイアスとの両方で画像形成を行い、ACバイアスの場合は、Vpp値が1[kV]、1.25[kV]、1.5[kV]及び1.75[kV]の各条件で画像形成を行った。
図9に示す実験例1の結果より、DCバイアスでは地汚れの問題は生じないが、ACバイアスではVpp値を1.75[kV]とすると地汚れが許容不可となった。よって、ACバイアスを印加する際は、Vpp値を1.5[kV]以下とすることが望ましい。
〔実験例2〕
実験例2では、現像バイアスの周波数と周辺白抜けとの関係に基づいて現像バイアスの周波数の上限値を確認した。周辺白抜けの評価には、ベタ部と50[%]濃度部とをチェッカー状に構成した画像を用いて、目視で確認した。
以下、実験例2の評価条件を示す。
・画像形成装置:imagio MP C5000
・現像剤 :シアン現像剤
・現像スリーブ:アルミスリーブにta−Cコート
・現像バイアス:DCバイアスのみ、及び、DCバイアスにAC成分を重畳(Vpp値:800[V]、プラス側デューティ比:7[%])
以下、周辺白抜けの評価ランクの基準を示す。
ランク「5」:周辺白抜け無し
ランク「4」:問題無し
ランク「3」:許容可
ランク「2」:許容不可
ランク「1」:「2」よりも劣位
上述した評価条件にて、現像バイアスの条件を変化させた実験例2の結果を図10に示す。
現像バイアスの条件は、DCバイアスと、ACバイアスとの両方で画像形成を行い、ACバイアスの場合は、周波数が0.99[kHz]、2[kHz]、5.5[kHz]及び9[kHz]の各条件で画像形成を行った。
図10に示す実験例2の結果より、DCバイアスでは周辺白抜けは発生しなかった。一方、ACバイアスでは、実験した範囲では、「許容可」となるランク「3」以上であったが、周波数が5.5[kHz]のときはランク「3」であるのに対して、周波数が2[kHz]のときはランク「4」となり、周辺白抜けが明らかに改善された。よって、ACバイアスを印加する際は、周波数を2[kHz]以下とすることが望ましい。
また、図10に示すように、周波数が0.99[kHz]のときは、周辺白抜け無しの状態となり、周波数を2[kHz]のときより周辺白抜けのランクが向上した。よって、ACバイアスを印加する際は、周辺白抜けの発生を抑制するためには周波数を2[kHz]以下とすることが望ましく、さらに、周波数を1[kHz]以下とすることがより望ましい。
しかし、周波数を低くし過ぎると、ACバイアスの周期に起因する画像濃度ムラが目視で確認できるようになってしまう。具体的には、転写紙の搬送方向の位置によって画像濃度が異なる状態の縞模様が目に見えてくる。
990[Hz]よりも低い値で周波数をシフトさせたところ、800[Hz]までは画像濃度ムラが目視で確認することができなかった。周波数を700[Hz]としたときに、縞模様が目視で確認でき始め、600[Hz]では縞模様を明らかに確認できるようになった。このため、周波数は800[Hz]以上であることが望ましい。
〔実験例3〕
実験例3では、現像バイアスのプラス側デューティ比と、画像の粒状性との関係に基づいて現像バイアスのプラス側デューティ比の上限値を確認した。粒状性の評価には、画像面積率が70[%]の画像を使用して、目視で確認した。
以下、実験例3の評価条件を示す。
・画像形成装置:RICOH imagio MP C5000
・現像剤 :シアン現像剤
・現像スリーブ:アルミスリーブにta−Cコート
・現像バイアス:DCバイアスのみ、及び、DCバイアスにAC成分を重畳(Vpp値:800[V]、周波数:990[Hz])
以下、粒状性の評価ランクの基準を示す。
ランク「5」:粒状性良好
ランク「4」:問題無し
ランク「3」:許容可
ランク「2」:許容不可
ランク「1」:「2」よりも劣位
上述した評価条件にて、現像バイアスの条件を変化させた実験例3の結果を図11に示す。
現像バイアスの条件は、DCバイアスと、ACバイアスとの両方で画像形成を行った。また、ACバイアスの場合は、プラス側デューティ比が、4[%]、7[%]、20[%]及び50[%]の各条件で画像形成を行った。
図11に示す実験例3の結果より、DCバイアスでは粒状性は良好であった。一方、ACバイアスでは、プラス側デューティ比が50[%]のときに「許容不可」となるランク「2」よりも粒状性が悪く、ざらついた画像となった。また、プラス側デューティ比が20[%]のときには「許容可」となるランク「3」よりも粒状性が良い「問題無し」となるランク「4」となった。
図10に示すように、周辺白抜けを防止するためにはACバイアスの周波数を2[kHz]以下とすることが望ましい。しかし、図11で示すように、2[kHz]以下となる1[kHz]のACバイアスを印加して画像形成をおこなったところ、プラス側デューティ比が50[%]のときには、粒状性がDCバイアスを印加する場合に比べて悪化した。これに対して、プラス側デューティ比の値を小さくする(20[%]以下にする)ことで、感光体1の静電潜像から現像スリーブ51にトナーが移動するトナーの引き戻しの作用を小さくすることができ、粒状性の悪化を低減することができる。よって、よって、ACバイアスを印加する構成で周波数を2[kHz]以下とする場合は、プラス側デューティ比の値を20[%]とすることが望ましい。
また、プラス側デューティ比の値が20[%]の場合よりも7[%]の場合の方が、粒状性のランクが高くなっておりより望ましい。
図12は、DCバイアス現像(図中の「DC」)と、従来のACバイアス現像(図中の「AC」)と、RP現像(図中の「RP」)とで、現像ギャップGPの変動に対するトナーの付着量の変動を比較したグラフである。
図12に示すように、現像ギャップGPが0.25[mm]以上の範囲では、何れの現像条件においても現像ギャップGPが広くなるほどトナーの付着量が減少する傾向にある。一方、現像ギャップGPが0.25未満の範囲では、DCバイアス現像は現像ギャップGPが狭くなるほどトナーの付着量が増加する。これに対して、従来のACバイアス現像では、現像ギャップGPを狭くしてもトナーの付着量が0.4[mg/cm]で頭打ちとなっている。さらに、RP現像では、現像ギャップGPを狭めるほどトナー付着量が増加する傾向にあったグラフが、現像ギャップGPが0.2[mm]のときには、現像ギャップGPを狭める前よりもトナーの付着量が減少している。
図12に示すように、現像ギャップGPが変動することによるトナー付着量の変動幅が大きいことがDCバイアス現像の不具合である。このため、現像スリーブ51が製造交差等により偏芯していると、現像スリーブ51が回転して現像ギャップGPが回転周期に合わせて変動したときに、DCバイアス現像の場合は回転周期に合わせた濃度ムラが生じ易い。一方、従来のACバイアス現像やRP現像では、現像ギャップGPが変動することによるトナー付着量の変動幅がDCバイアス現像に比べて小さいため、現像スリーブ51の回転周期に合わせた濃度ムラの発生を抑制することができる。また、現像ギャップGPの変動は現像スリーブ51の回転周期に合わせた変動に限らない。しかし、RP現像は、現像ギャップGPが変動することによるトナー付着量の変動幅が小さいため、現像ギャップGPの変動に起因する濃度ムラの発生を抑制することができる。
図13は、RP現像での現像ニップにおけるトナーの付着量の変動をシミュレーションによって計算した結果を示すグラフである。感光体1と現像スリーブ51との最近接位置を0とし、この最近接位置に対して感光体1の表面上の表面移動方向上流側を「−0.001[mm]」及び「−0.002[mm]」と示している。一方、最近接位置に対して感光体1の表面上の表面移動方向下流側を「0.001[mm]」及び「0.002[mm]」と示している。また、0.2[mm]、0.225[mm]、0.26[mm]及び0.3[mm]の各グラフに対応した数値は、最近接位置における現像ギャップGPの値を示している。
図13に示すグラフは、現像ギャップGPの値を振ったときに、現像ニップの最近接位置の前後でトナーがどのように付いたり離れたりするのか、というのを示している。図13では、RP現像では、現像ニップ内でトナーが感光体に対して付いたり離れたりを繰り返しながら、感光体1の表面移動方向下流側に行くに従いトナーの付着量が飽和していく挙動を示している。
図7に示すように、RP現像は現像スリーブ51に印加する電圧が露光電位VLよりもプラス極性側となるタイミングがあるため、このときに感光体1上の静電潜像に付着したトナーが現像スリーブ51に戻されて、トナーの付着量が一時的に減少する。しかし、露光電位VLよりもプラス極性側となる電圧が印加された後に露光電位VLよりもマイナス極性側となる電圧が印加されることでトナーが再び感光体1上の静電潜像に付着する。また、現像バイアス平均値Vbavが露光電位VLよりもマイナス極性側であるため、図13に示すように、静電潜像に対してトナーが付いたり離れたりを繰り返しながらも、感光体1の表面移動方向下流側ほどトナーの付着量が増加していく。これにより、感光体1の静電潜像に必要な分のトナー付着量を確保している。
図14は、DCバイアス現像と、RP現像におけるVppの値を変化させた場合と、の現像ギャップGPに対するトナー付着量の関係を示すグラフである。図14に示すグラフを得た実験では、RP現像のプラス側デューティ比を4[%]とし、周波数を990[Hz]とした。
図14より、プラス側デューティ比を4[%]とし、周波数を990[Hz]とした条件では、実験した範囲においてはVpp値が800[V]が現像ギャップGPに対するトナー付着量の変動幅が小さい。現像ギャップGPに対するトナー付着量の変動幅が小さいほど、現像スリーブ51の回転周期に合わせた濃度ムラが生じ難くなる。このため、プラス側デューティ比を4[%]とし、周波数を990[Hz]とした条件では、Vpp値を800[V]とすることが望ましい。
図15は、DCバイアス現像と、RP現像におけるプラス側デューティ比の値を変化させた場合と、の現像ギャップGPに対するトナー付着量の関係を示すグラフである。図15に示すグラフを得た実験では、RP現像のVpp値を800[V]とし、周波数を990[Hz]とした。プラス側デューティ比の値としては、4[%]、7[%]及び10[%]の値を用いた。図15より、何れのプラス側デューティ比の条件であってもRP現像はDCバイアス現像よりも現像ギャップGPの変動に対するトナー付着量の変動幅が小さいことが分かる。
図8に示す波形のACバイアス現像に比べて、図7に示す波形のRP現像の方が周辺白抜けを防止できる理由としては以下の理由も考えられる。
すなわち、画像のエッジ部ではエッジ効果によって露光電位VLよりも電位が上がる。図8に示す波形は、図7に示す波形に比べて現像ポテンシャルVpotの値が小さく、少しの電位差の変動で現像し難くなり、エッジ効果の影響を受け易いと考えられる。
エッジ効果によって画像部の電位が露光電位VLよりも20[V]上昇するとする。このとき、図8に示す波形のACバイアス現像では、現像ポテンシャルVpotが200[V]であり、電位差が20[V]小さくなると、現像スリーブ51の表面と静電潜像との電位差が1割も小さくなるため、画像が薄くなり易い。
一方、図7に示す波形のRP現像では現像ポテンシャルVpotが400[V]であり、図8に示す波形よりも現像ポテンシャルVpotの値が大きい。このため、エッジ効果によって電位差が20[V]小さくなっても、現像スリーブ51の表面と静電潜像との電位差が小さくなる割合が図8に示す波形よりも小さい。このように、図7に波形の示すRP現像では、電位差が20[V]小さくなっても電位差が小さくなる割合が小さいため、画像が薄くなる程度も小さく、周辺白抜けの影響が小さくなると考えられる。
図16は、ACバイアス現像におけるVpp値を1[kV]、周波数を990[Hz]で固定し、プラス側デューティ比の値を変化させたときの粒状性と濃度ムラとを評価した実験結果を示すグラフである。図16中の左端の大きめのプロットはDCバイアス現像のときの粒状性(図中の四角プロット)と濃度ムラ(図中の菱形プロット)との評価を示す。
従来のACバイアス現像で、プラス側デューティ比の値が50[%]〜70[%]の範囲のもので、周辺白抜けの発生を抑制するために、周波数を1[kHz]以下にしたところ粒状性が悪化した。このため、プラス側デューティ比を変動させる幅を広げて、粒状性と濃度ムラとの両方が「許容可」となるプラス側デューティ比の範囲を検証した結果が図16に示すグラフである。
図16中の「画像の粒状性ランク」は、上述の粒子性の評価ランクの基準に示したものであり、「濃度ムラランク」は画像の濃度ムラの状態を評価するランクである。
以下、濃度ムラの評価ランクの基準を示す。
ランク「5」:濃度ムラ無し
ランク「4」:問題無し
ランク「3」:許容可
ランク「2」:許容不可
ランク「1」:「2」よりも劣位
図16において、DCバイアス現像は、濃度ムラランクが許容のランクよりも低くなっている。また、ACバイアス現像の場合で、プラス側デューティ比が30[%]以上、80[%]以下の範囲では、粒状性ランクが許容のランクよりも低くなっている。一方、ACバイアス現像の場合で、プラス側デューティ比が4[%]以上、10[%]以下の範囲(図16中のγの範囲)では、濃度ムラランクと粒状性ランクとがともに許容範囲内のランク「3」以上となっており、粒状性と濃度ムラとがともに許容範囲となって両立している。なお、プラス側デューティ比が4[%]未満となると濃度ムラランクが許容のランクよりも低くなっている。よって、濃度ムラの発生を抑制する観点からプラス側デューティ比は4[%]以上であることが望ましい。
また、本発明者らは、現像バイアスとして、図7に示す波形のバイアスを印加した場合と、図8に示す波形を印加した場合とで、感光体1の表面が現像ニップを通過するときのトナーの挙動を確認した。
具体的には、感光体1の代わりに透明ガラスドラムを配置し、現像ニップを透明ガラスドラムの内側から連続的に撮影して、トナーの挙動を画像で確認した。
図8に示す波形のバイアスを印加した場合は、現像スリーブ51側から感光体1側に移動して感光体1の表面に一度付着したトナーは感光体1の表面上で振動しているだけで、ほとんど現像スリーブ51側に戻らなかった。一方、図7に示す波形のバイアスを印加した場合は、感光体1の表面上に付着したトナーのほとんどが周期的に現像スリーブ51側に戻り、再び感光体1に付着する、というような挙動となった。
このような挙動の違いは以下の理由によるものと考えられる。
ACバイアス現像では、現像バイアス平均値Vbavと露光電位VLとの電位差によって現像がなされる。また、現像バイアスVbのプラス極性側の最大値が同じであってもプラス側デューティ比が大きければ大きいほど、現像バイアス平均値Vbavの値がプラス側にシフトする。
図8に示す波形では、プラス側デューティ比が70[%]と比較的大きい。このため、現像バイアスVbのプラス極性側の最大値を大きくしようとすると、現像バイアス平均値Vbavの値の値が露光電位VLよりもプラス側にシフトしたり、マイナス側であっても露光電位VLとの電位差が確保できなくなったりする。このため、図8に示す波形では、プラス極性側の最大値は小さくなり、感光体1上に付着したトナーを現像スリーブ51側に引き戻す電位差(図中のΔV4)は小さく設定されている(図8では250[V])。この電位差が小さいため、感光体1上に付着したトナーを現像スリーブ51側に引き戻そうとする力が弱く、感光体1上に付着したトナーは現像スリーブ51まで戻ることができず、感光体1上で振動する状態で留まると考えられる。
一方、図7に示す波形では、プラス側デューティ比が7[%]と比較的小さい。このため、現像バイアスVbのプラス極性側の最大値を大きくしても、現像バイアス平均値Vbavの値の値と露光電位VLとの間で、トナーを感光体1に移動させる電位差を確保できる。このため、図7に示す波形では、プラス極性側の最大値を大きく設定することができ、感光体1上に付着したトナーを現像スリーブ51側に引き戻す電位差(図中のΔV4)を大きく設定することができる(図7では530[V])。この電位差が大きいため、感光体1上に付着したトナーを現像スリーブ51側に引き戻そうとする力が強くなり、感光体1上に付着したトナーのほとんどを周期的に現像スリーブ51側に戻すことが可能となると考えられる。
図7に示す波形の場合、トナーが感光体1に対して付着しては離間することを繰り返すが、最終的には現像バイアス平均値Vbavと露光電位VLとの電位差によって、所望量のトナーが感光体1に付着した状態となる。図7に示す波形のように、感光体1上に付着したトナーのほとんどを現像スリーブ51に戻せることで、次のような利点が考えられる。
すなわち、現像ギャップGPが狭い場合など、過剰なトナーが感光体1に付着したときに、感光体1上のトナーを現像スリーブ51側に引き戻すことで、感光体1に付着させすぎたトナーを少し回収できる。一方、図8に示す波形の場合は、過剰なトナーが感光体1に付着したときに、感光体1上のトナーを振動させるだけで、現像スリーブ51側に引き戻すことができない。これにより、過剰なトナーが付着したままとなり、画像濃度ムラの原因となる。
図7に示す波形では、感光体1に付け過ぎたトナーを回収でき、足りない分は現像バイアス平均値Vbavと露光電位VLとの電位差によって最終的に感光体に付着させることができるため、画像濃度の均一化を図ることができる。
なお、図12中のRP現像で、現像ギャップGPが0.2[mm]と比較的狭い条件で、トナーの付着量が減少するのは感光体1上のトナーを現像スリーブ51側の戻す作用によるものと考えられる。このように、現像ギャップGPが狭い条件でトナーの付着量が減少するため、現像ギャップが狭いときにトナーの付着量が増え過ぎることを防止できる。
図12に示すように、RP現像の方が現像ギャップGPの変動に対するトナーの付着量の変動幅が小さいため、現像ギャップGPの変動に起因する濃度ムラの発生を抑制することができる。
図3及び図1に示すように、現像ローラ50が感光体1と対向する現像領域では、現像スリーブ51の表面移動方向は感光体1の表面移動方向と同じ方向であり、いわゆる「準現像」である。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、上述したRP現像であっても感光体1の表面移動速度に対する現像スリーブ51の表面移動速度の比である線速比が適切でない場合は粒状性が悪化することがあることが分かった。
RP現像として、Vpp値が1000[V]、周波数が990[Hz]、プラス側デューティ比が7[%]のバイアス条件で、現像スリーブ51の回転速度の値を振った実験を行った。
ここで、現像スリーブ51の表面移動速度をVs[m/s]とし、感光体1の表面移動速度をVg[m/s]とすると、線速比は、「Vs/Vg」で表すことができる。
現像スリーブ51の表面移動速度が、感光体1の表面移動速度と同じ場合、すなわち、線速比「Vs/Vg」が1.0の場合は、粒状性が悪くなっていた。線速比「Vs/Vg」が1.2の場合は、1.0の場合よりも改善したが、十分ではなかった。
線速比「Vs/Vg」が1.3〜1.8の範囲では、粒状性が十分に良好な状態となった。線速比「Vs/Vg」をさらに上げて、1.8よりも大きくすると、再び、粒状性が悪化した。
よって、線速比「Vs/Vg」の範囲としては、1.3以上、1.8以下の範囲が望ましい。
本実施形態の複写機500では複数の作像ユニット6を備え、それぞれの作像ユニット6が使用するトナーの色が異なる現像装置5を備える。複写機500のように複数の現像装置5を備える画像形成装置の場合、使用するトナーの種類によって、上述したRP現像を採用する現像装置5と、他の方式の現像バイアスを印加する方式を採用する現像装置5とを備える構成としても良い。
例えば、ブラックのトナーを使用するブラック用現像装置5KにはDCバイアス現像を採用し、ブラック以外のトナーを使用するカラートナーを用いるの3つ現像装置5には上述したRP現像を採用する構成としてもよい。
ブラック画像については、濃度むらは知覚されにくく、ボソツキが目立ちやすくなることから、ブラック用現像装置5Kの現像スリーブ51には、現像バイアスとしてボソツキ抑制に効果があるDCバイアスを印加する。また、その他の色の現像装置5(Y,M,C)の現像スリーブ51には、プラス側のデューティが小さいRP現像バイアスを印加する。これにより、粒状性の悪化を抑制しつつ、画像濃度ムラも抑制できる。
以下、ブラック画像では、ボソツキが目立ちやすい原因について説明する。
現像剤の帯電量を変化させたときのドット面積標準偏差とボソツキランクとの評価を行った。
図17に印刷画像のドット面積標準偏差とトナー帯電量との関係を示す。ドット面積標準偏差とは、一様に等間隔で約80[μm]のドットを印刷し、その印刷されたドット100個をCCDカメラで取り込み、それぞれの二値化したドットの面積を算出し、そのドットの面積の標準偏差を算出した。
以下、図17に示すグラフを得た実験条件を示す。
・評価装置:RICOH Pro C751EX
・現像装置:ブラック用現像装置、シアン用現像装置、マゼンタ用現像装置
・現像ポテンシャル(現像バイアスと感光体画像部電位の差):画像濃度が1.5になるように設定
・CCDカメラ:Keyence社製 マイクロスコープ VHX−100
図18に印刷画像のドット面積標準偏差とボソツキランク(粒状性)との関係を示す。
図18に示すボソツキランクの基準を示す。
ランク「5」:ボソツキ無し
ランク「4」:ボソツキ問題なし
ランク「3」:ボソツキ許容レベル
ランク「2」:許容不可レベル
ランク「1」:許容不可レベル(「2」よりも劣位)
図17及び図18の結果より、現像剤の帯電量が小さいほど、ドット面積標準偏差が大きくなって、粒状性は悪くなる(ボソツキランクが低くなる)ことが分かる。一方、現像剤の帯電量が大きいほど、ドット面積標準偏差が小さくなって粒状性は良くなる(ボソツキランクが高くなる)ことが分かる。これは、感光体1上のトナー像は帯電量が高いほど、転写性がよいためにドットの形状ばらつきが小さくなるためと考える。
また、図18に示す結果より、ブラック(K)、シアン(C)及びマゼンタ(M)では、ドットの面積標準偏差は同じであっても、帯電量が低いときの画像の粒状性は、シアンとマゼンタとは問題のなくてもブラックは粒状性が悪くなってしまう。
このため、シアン、マゼンタなどのブラック以外の画像は、ドット面積標準偏差が多少大きくなっても、粒状性への影響は小さいが、ブラックはドット面積標準偏差が大きくなると粒状性が悪くなり、ボソついた画像となってしまう。
よって、ブラック画像では、ボソツキが目立ちやすいと考えられる。
このようにブラック画像でボソツキが目立ち易い場合は、ブラックの現像には粒状性が良いDCバイアス現像を採用し、その他の色の現像には、濃度ムラが改善するRP現像を採用することで粒状性の悪化を抑制しつつ、画像濃度ムラも抑制できる。
以下、ボソツキ発生のメカニズムについて説明する。
上述したように、AC現像では、ACバイアスの平均の電位と、感光体1上の静電潜像の電位との電位差が、トナーを感光体1側に移動する電位差となっているため、トナーを静電潜像に現像できる。しかし、感光体1側から現像スリーブ51側にトナーを引き戻す電位差が大きいと、現像した感光体1上のトナー像には、引き戻された跡が残って、完全に静電潜像をトナーで埋めきることができずにところどころ白く抜けたようになる。それがボソツキ画像となってしまう。
感光体1から現像スリーブ51側への引き戻されるトナーを少なくするには、AC現像バイアスのプラス側デューティ比を小さくした上述したRP現像を採用することが有効である。
図19は、シアン用現像装置5CでAC現像バイアスのプラス側デューティ比を変化させたときの濃度ムラランクと、ボソツキランクとを評価した結果を示す。また、図20は、ブラック用現像装置5KでAC現像バイアスのプラス側デューティ比を変化させたときの濃度ムラランクと、ボソツキランクとを評価した結果を示す。図19及び図20に示すグラフを得た実験で、プラス側デューティ比を1[%]〜30[%]の範囲で任意に振ったものであり、図19及び図20中のプラス側デューティ比が「0[%]」は、DC現像バイアスを印加したときの評価である。ここで、濃度ムラの評価するための画像は画像面積率75[%]とし、ボソツキランクを評価するための画像を画像面積率30[%]とした。
図19及び図20に示すグラフを得た実験の条件を以下に示す。
画像形成装置:imagio MP C5000改造機
現像剤:シアン現像剤、ブラック現像剤
現像スリーブ:アルミニウム製スリーブの表面にta−Cコート(0.6[μm]中心で偏差0.3[μm])
現像バイアス:DC成分にAC成分を重畳した電圧
AC成分の周波数:1[kHz]
AC成分の振幅(ピークトゥピークの値):800[V]
ACのプラス側デューティ比:1[%]〜30[%]
DC成分の電圧は、画像濃度が1.5になるように調整した。
以下、ボソツキ画像(画像面積率30[%])及び濃度ムラ(画像面積率75[%])のランク付けの評価基準を示す。
「5」:無し
「4」:問題なし
「3」:許容レベル
「2」:NGレベル
「1」:NGレベル(「2」よりも悪い)
シアン用現像装置5Cでは、プラス側デューティ比が4[%]〜20[%]の範囲で、画像濃度ムラとボソツキランクが両立できている(NGランクがない)。
ブラック用現像装置5Kでは、DC現像バイアスを印加する条件(プラス側デューティ比が0[%])で、濃度ムラランクとボソツキランクがもっとも良い(NGとならない)。
よって、ブラック用現像装置5Kの現像バイアスはDC現像バイアスとし、その他の色の現像バイアスはRP現像バイアスとすることで、画像濃度ムラと粒状性を、すべての色の現像装置5で両立することができる。
次に、現像ローラ50の構成について説明する。
図21は、現像装置5が備える現像ローラ50の拡大説明図である。
図21に示すように、現像装置5が備える現像ローラ50を構成する現像スリーブ51は、円筒形状を形成する基材からなるスリーブ素管51aと低摩擦膜51bとから構成される。低摩擦膜51bは、アルミニウムからなるスリーブ素管51aの表面よりもトナーとの摩擦係数が小さい低摩擦表面層である。
さらに、現像装置5は、図4に示すように、現像スリーブ51のスリーブ素管51aに対して、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加する現像スリーブ電圧印加手段である現像スリーブ電源151を備えている。スリーブ素管51aにアルミニウムを用いることで、非磁性で導電性のある現像スリーブ51を実現できる。
ここで、従来の電子写真方式の画像形成装置について説明する。電子写真方式の画像形成装置では、一般的に帯電手段により一様に帯電された感光体の表面上に向けて、画像情報に基づいたレーザ光が照射され、感光体上に静電潜像を形成する。そして、現像装置が備える現像ローラが担持する現像剤に含まれるトナーを静電潜像に供給して、静電潜像を現像することにより感光体上にトナー像が形成される。このトナー像を転写手段で転写媒体に転写し、定着手段によってトナー像を転写媒体に定着することで、画像を形成する。
感光体上にトナー像を現像するための現像ローラに印加する現像バイアスとしては、直流成分のみからなるDCバイアスを印加する構成と、直流成分(DC)に交流成分(AC)を重畳した重畳バイアスを印加する構成とが一般的である。
また、電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像方式としては、トナーのみからなる現像剤を用いる一成分現像方式と、トナーとキャリアとからなる現像剤を用いる二成分現像方式とが有る。高速機の画像形成装置では主に耐久性の確保の観点から、二成分現像方式が採用されている。高速機の分野は、商業印刷にも対応できるように高画質化も要求されている。
また従来の画像形成装置で使用される現像方式としては、一成分現像方式及び二成分現像方式のほかに、特許文献2のようなハイブリッド現像方式がある。何れの現像方式においても、色再現性に優れ、均一で鮮明なフルカラー画像を得るためには、感光体等の潜像担持体上に供給されるトナー量を静電潜像に忠実に保つ必要がある。
次に、潜像担持体上に付着するトナー量が変動するゴースト画像について説明する。
潜像担持体上に付着するトナー量が変動する原因としては、トナー帯電量の変動などの要因もあるが、特許文献2に記載されるように、前画像の履歴を次画像が引き継ぐ不良画像(ゴースト画像)が知られている。
しかし、特許文献2に示すゴースト画像は、ハイブリッド現像方式固有の課題であり、トナー担持体上のトナー量が、直前画像のトナー消費パターンに応じて変化するために、次画像の画像濃度が変動する現象である。これは、ハイブリッド現像方式では、常に一定量のトナーがトナー担持体へ供給されるため、トナー担持体上のトナー量がトナー供給を受ける回数によって変動してしまうことに起因する。即ち、前画像がトナー消費の少ない画像を印刷時には、トナー担持体上の残トナー量は多く、トナー供給後にはトナー担持体上のトナー量は更に多くなってしまい画像濃度は濃くなる。一方、トナー消費の多い画像を印刷後には、トナー担持体上の残トナー量が少なく、トナー供給後にはトナー担持体上のトナー量が少なくなり画像濃度が薄くなる。
一方、本実施形態の現像装置5のように二成分方式の現像装置であっても、前画像の履歴を次画像が引き継いで次画像上に前画像の影響を受けた濃度ムラが生じる、ゴースト画像が生じることがある。二成分方式の現像装置におけるゴースト画像は次のような原因により発生すると考える。
すなわち、前画像において感光体上の非画像部と対向した現像スリーブの表面と、前画像において感光体上の画像部と対向した現像スリーブの表面とでは、次画像において画像部と対向したときのトナー現像量が異なる。これにより、次画像においてゴースト画像が生じると考えられる。
詳しくは、非画像部は現像スリーブの電位よりもトナーを遠ざける電位となっている。このため、前画像の現像時に現像領域において現像スリーブの表面が感光体上の非画像部と対向すると、非画像部と現像スリーブとの電位差によって、帯電したトナーには、感光体側から現像スリーブ表面側に向かう力が作用する。このため、現像スリーブの表面に担持された二成分現像剤中に含まれるトナーは、現像スリーブ上に形成された磁気ブラシにおいて現像スリーブ表面側となる磁気ブラシの根元側に移動し、トナーの一部が現像スリーブの表面に接触して付着する。
現像領域を通過した現像スリーブの表面上には、現像スリーブ内に配置された磁界発生手段による反発磁気力によってキャリアを現像スリーブから離間させる力が作用する。このとき、キャリアに付着したトナーはキャリアとともに離間しようとするが、現像スリーブの表面とキャリアとの両方に付着したトナーは、より付着力が大きい側と付着したままとなる。よって、現像スリーブに対するトナーの付着力が大きいと、反発磁気力によってキャリアが現像スリーブから離間するときに、現像スリーブの表面に付着したトナーがキャリアとともには現像スリーブから離間せず、現像スリーブの表面に付着したままの状態となる。その後、現像剤供給位置に到達すると、トナーが付着した現像スリーブの表面に新たな二成分現像剤が供給されることとなる。
帯電したトナーが付着した現像スリーブの表面は、トナーが持つ電荷分だけ表面電位が嵩上げされて、トナーの帯電極性側に電位がシフトした状態となる。また、現像領域では、潜像が形成された感光体の表面において、現像スリーブの表面の電位(現像電位)よりもトナーの帯電極性とは逆極性側(プラス極性側)の電位となる画像部にトナーが付着する。このため、表面に新たな二成分現像剤を担持して現像領域で画像部と対向すると、帯電したトナーが付着した現像スリーブの表面は、トナーが付着していない表面よりもトナーを感光体上の画像部に移動させる力が大きくなる。これにより、感光体の画像部に供給するトナーの量が増加する。
一方、前画像の現像時に二成分現像剤を担持した現像スリーブの表面が現像領域で画像部と対向すると、現像スリーブの表面に担持された二成分現像剤中に含まれるトナーは、画像部と現像スリーブとの電位差によって現像スリーブ表面から離れる側に移動する。すなわち、磁気ブラシの先端側に移動する。現像領域では、二成分現像剤中のトナーの一部が静電潜像の画像部に移動してトナー像を形成する。このとき、すべてのトナーがトナー像の形成に使用されるわけではないが、現像領域で磁気ブラシの先端側に移動しているため、トナーが現像スリーブに接触して、付着することはほとんど生じない。そして、反発磁気力によってキャリアが現像スリーブから離間するときには、現像スリーブに担持される二成分現像剤中の略全てのトナーがキャリアとともに現像スリーブから離間し、現像スリーブの表面にトナーがほとんど付着していない状態となる。
その後、現像剤供給位置に到達すると、トナーがほとんど付着していない現像スリーブの表面に新たな二成分現像剤が供給されることとなる。帯電したトナーがほとんど付着していない現像スリーブの表面は、トナーの帯電極性側に電位がシフトせず、新たな二成分現像剤を担持して現像領域で画像部と対向すると、トナーが付着した表面よりもトナーを画像部に移動させる力が小さくなる。
このように、前画像において非画像部と対向した現像スリーブの表面の方が、前画像において画像部と対向した現像スリーブの表面よりも、次画像の画像部にトナーを移動させる力が大きく作用する。よって、次画像の画像部では、前画像において非画像部と対向した現像スリーブの表面によって現像された部分と、前画像において画像部と対向した現像スリーブの表面によって現像された部分とで、付着するトナー量が変動し、画像濃度が変動する。このような濃度変動が生じた画像がゴースト画像となると考える。
トナーと現像スリーブとが接触した際、トナーとキャリアとの間、及び、トナーと現像スリーブとの間の非静電的な付着力が低減する。このときトナーと現像スリーブとの仕事関数が比較的近い場合には、トナーが現像スリーブに付着するかキャリアに付着するかは確率的に決まる。また現像スリーブの仕事関数がトナーの仕事関数より大きい場合には、トナーの現像スリーブに接触した部分の負電荷がスリーブに移動するため(接触帯電)、トナーと現像スリーブとの鏡像力が弱まりトナーはキャリアから離れない(または再付着される)。
白ベタ画像(白紙画像)を現像する際には、現像スリーブが現像領域で対向する感光体の表面は非画像部であるため、白ベタ画像の後の現像スリーブはトナーで汚れた状態となる。このため、白ベタ画像を出力した後の現像スリーブを用いて現像を行うと、現像スリーブに付着したトナーの電荷分の電位が嵩上げされ、感光体上の画像部に付着するトナーの量(トナー現像量)が増加し、画像濃度が濃くなる傾向がある。
一方、ベタ画像を現像する際には、現像領域では感光体側にトナーが移動する現像電界が形成されるため、スリーブ汚れによって現像スリーブ上に付着したトナーのうち正規の電荷を持っているトナーは現像時に感光体側に移動して二成分現像剤中に再付着される。このため、ベタ画像を現像した後の現像スリーブはトナーで汚れていない状態になる。
この状態で引き続きベタ画像が現像されると、現像スリーブが一周して現像される間に、スリーブ汚れによって現像スリーブ上に付着していたトナーが無くなる。よって、ベタ画像を作像した後は、スリーブ汚れのトナー分の現像バイアスの嵩上げがなくなり、トナー現像量が通常どおりになる(非画像部より現像量が低下する)。白ベタ後の黒ベタの場合や、用紙間直後の黒ベタの場合では上述した過程が発生するために、黒ベタの進行方向先端が現像スリーブ一周に相当する距離だけ画像濃度が濃くなる。
このようなゴースト画像の改善方法として、特許文献5に記載された現像装置が備える現像スリーブのように、現像スリーブの表面にテトラヘデラルアモルファスカーボン層等の低摩擦膜を設けることが考えられる。低摩擦膜を設けることで、現像スリーブの表面上にトナーが残留しづらくなり、ゴースト画像の発生を抑制することができる。
現像装置5では、上述したように、現像スリーブ51の表面に低摩擦膜51bを設けているため、ゴースト画像の発生を抑制することができる。しかし、現像スリーブ51の表面に低摩擦膜51bを均等な膜厚で形成するのは困難であり、膜厚にある程度のムラが生じてしまう。そして、この膜厚のムラに対応した周期的な濃度ムラが生じることがあった。この濃度ムラは、以下の理由によって生じるものと推定する。
図22は、低摩擦膜51bの膜厚のムラに起因する濃度ムラが生じる推定メカニズムを説明する現像領域近傍の模式図である。図22(a)は、低摩擦膜51bの膜厚が薄い場合の説明図であり、図22(b)は、低摩擦膜51bの膜厚が厚い場合の説明図である。
図22では、感光体1と現像スリーブ51とが図中左側から右側に向けて表面移動する。図22に示すように、現像領域近傍の現像スリーブ51の表面上では、二成分現像剤中のキャリアCが磁気ブラシを形成しており、その磁気ブラシにトナーTが付着した状態である。図22において、トナーTの粒子中の「−」はトナーがマイナス極性に帯電していることを模式的に示し、図22中の「+」は、プラス極性の電荷があること示している。また、図22に示す構成では、現像スリーブ電源151がスリーブ素管51aに印加する現像バイアスは、直流成分の電圧のみである。
図22では、表面移動方向上流側(図中左側)の磁気ブラシと、表面移動方向下流側(図中右側)の磁気ブラシと、の間に隙間が描かれているが、実際は現像領域近傍の現像スリーブ51の全域に渡って磁気ブラシが形成され、上流側と下流側との間に隙間はない。
図22に示すように、感光体1の表面上の画像部は現像スリーブ51の表面よりもプラス極性側に帯電しており、現像スリーブ51との電位差によって磁気ブラシに付着したトナーTの一部が感光体1の表面に付着する。このとき、マイナス極性に帯電したトナーTが磁気ブラシから離間するため、図22(a)及び(b)中の左側の磁気ブラシのように磁気ブラシにはカウンタージャージの分のプラス極性の電荷が残った状態となる。
一般的に使用されている二成分現像では、通常、感光体1上の画像部(露光部)の電荷量と、磁気ブラシに残るカウンターチャージ分の電荷を含めた現像スリーブ51側の電荷量とが平衡状態となったところでトナーTの移動が無くなり、現像が終了する。
しかし、カウンターチャージ分のプラス極性の電荷を、図22(a)中の矢印Fで示すように、スリーブ素管51aに移動させることができれば、さらに、現像を行うことが可能となる。
テトラヘデラルアモルファスカーボン等からなる低摩擦膜51bは、アルミニウム等の金属からなるスリーブ素管51aよりも電気抵抗が大きいため、その厚みが薄いほどカウンターチャージ分のプラス極性の電荷がスリーブ素管51aに移動し易くなる。
図22中の「H」は画像部の電位としてはさらにトナーTを付着させることができるが、まだ所定量のトナーTが付着していない箇所を示す。このようなトナーTが付着していない箇所が存在すると他の画像部よりも画像濃度が薄くなる。
図22(a)に示すように、低摩擦膜51bが薄い場合、矢印Fで示すように、カウンターチャージ分のプラス電荷がスリーブ素管51aに移動することができる。このため、図22(a)中の左側の磁気ブラシに示すように、一時的に電荷量が平衡状態となっても、カウンターチャージ分のプラス電荷のうち、スリーブ素管51aに移動した分だけ、さらに現像することが可能となる。これにより、図22中の「H」のように所定量のトナーTが付着していない画像部をトナーTで埋めることができ、他の画像部よりも画像濃度が薄い部分が生じ難い。
薄い低摩擦膜51bの一例として、テトラヘデラルアモルファスカーボンのコーティングの厚みが0.1[μm]の場合は、約0.7[msec]でカウンターチャージ分のプラス電荷がスリーブ素管51aに移動する。この移動時間(約0.7[msec])は、現像スリーブ51の表面の有る位置が現像領域(現像ニップ)を通過する時間(7[msec])以下の時間である。このため、現像スリーブ51が現像領域を通過する間にカウンターチャージ分のプラス電荷をスリーブ素管51aに移動させることができ、移動させたプラス電荷の分だけ現像が可能となる。そして、所定量のトナーTが付着していない画像部を埋めることができ、他の画像部よりも画像濃度が薄い部分が生じ難くなる。
一方、図22(b)に示すように、低摩擦膜51bが厚い場合、カウンターチャージ分のプラス電荷がスリーブ素管51aにほとんど移動することができない。このため、図22(b)中の左側の磁気ブラシに示すように、電荷量が平衡状態となると、カウンターチャージ分のプラス電荷がスリーブ素管51aにほとんど移動しないため、さらに現像することができない。これにより、図22(b)中の「H」のように、平衡状態となったときに、所定量のトナーTが付着していない画像部はそのまま維持されて、他の画像部よりも画像濃度が薄くなる部分が生じる。
厚い低摩擦膜51bの一例として、テトラヘデラルアモルファスカーボンのコーティングの厚みが0.6[μm]の場合は、カウンターチャージ分のプラス電荷がスリーブ素管51aに移動するために約70[sec]の移動時間を要する。この移動時間(約70[sec])は、現像スリーブ51の表面の有る位置が現像領域(現像ニップ)を通過する時間(7[msec])以上の時間である。このため、現像スリーブ51が現像領域を通過する間にカウンターチャージ分のプラス電荷をスリーブ素管51aに移動させることができず、所定量のトナーTが付着していない画像部は、他の画像部よりも画像濃度が薄い部分となる。
図22を用いて説明したように、低摩擦膜51bが薄い部分では、画像濃度が薄い部分が生じ難く、低摩擦膜51bが厚い部分では、他の画像部よりも画像濃度が薄い部分が生じる。このため、低摩擦膜51bが厚い部分で画像濃度が薄くなるように膜厚のムラに対応した周期的な濃度ムラが生じる。
なお、現像スリーブ51の表面に設けた低摩擦膜51bの膜厚のムラが生じることで、現像スリーブ51と感光体1との隙間である現像ギャップの変動が考えられる。しかし、本実施形態の現像装置5では、低摩擦膜51bとしてナノオーダーの蒸着膜をコーティングしており、そのコーティング層の厚みのムラといっても0.数[μm]である。現像ギャップは、0.2[mm](=200[μm])であるので、膜厚のムラに起因する現像ギャップの変動は濃度ムラにはあまり影響しないと考えられる。
図22に示すように、現像バイアスが直流成分のみを印加する構成(以下、「DCバイアス現像」とも言う)であると、飽和現像し難い。
ここで、「飽和現像」とは、潜像担持体(感光体1)上の静電潜像と対向電極(現像スリーブ51)との電位差が作る現像電界を、現像したトナー電界でキャンセルし、現像電界が「0」になる状態である。すなわち、感光体1上の静電潜像に対して、これ以上トナーが電界の力で付着しなくなるまでトナーが付着した状態である。
飽和現像し難いと、感光体1と現像スリーブ51との隙間(以下、「現像ギャップ」と呼ぶ)の振れによって静電潜像に対するトナーの付着量が変動し、濃度変動が生じ易いという問題がある。
感光体や現像ローラは、振れ公差や部品公差があり、その公差により現像ギャップが変動し、トナー現像量が変動することによる画像濃度ムラが発生する。特に、DCバイアス現像の場合、トナー付着量が、ACバイアス現像に比べて現像ギャップGPの変動を受け易く、現像ギャップGPが狭くなると画像濃度が濃くなり、現像ギャップGPが広くなると画像濃度が薄くなる。
図23は、以下の条件で画像形成を行ったときの現像ギャップGPとトナー付着量(感光体上の現像された単位面積あたりのトナー量)との関係を示すグラフである。図23中のひし形のプロットがDC現像バイアスを用いたときのプロットであり、破線で示す直線がこのプロットを線形近似したものである。
以下、図23に示すグラフを得た実験条件を示す。
・評価装置:RICOH Pro C751EX
・現像装置:ブラック用現像装置
・現像剤トナー濃度:7[%]
・現像ポテンシャル(現像バイアスと感光体画像部電位の差):500[V]
図23に示す結果より、同じ現像ポテンシャル時であっても現像ギャップが広くなると、トナー付着量が減少する。このため、現像ギャップの変動は濃度ムラの原因のひとつである。
図24は、図23に示すグラフに、プラス側のデューティ比が小さいAC現像バイアス(上述したRP現像バイアス)を印加して画像形成を行ったときの現像ギャップGPとトナー付着量との関係を追加したものである。図24中の正方形のプロットがRP現像バイアスを用いたときのプロットであり、実線で示す直線がこのプロットを線形近似したものである。図24に示すように、AC現像バイアスを印加する構成の方が、DC現像バイアスを印加する構成よりも、現像ギャップGPの変動に対するトナー付着量の変動が小さい。
本発明者らは、現像バイアスとして交流成分のみのものや、直流成分に交流成分を重畳したもののように、交流成分を含む現像バイアスを印加する構成(以下、「ACバイアス現像」とも言う)では、より飽和現像に近い現像を行えることを見出した。
ACバイアス現像を行うことで、飽和現像に近い現像を行うことができる理由は明確ではないが、本出願人による現像の可視化の実験等の結果より検討した結果、以下の理由によりものと考える。
すなわち、二成分現像方式では、現像領域で現像スリーブ上に担持された二成分現像剤に含まれるキャリアが穂立ちし、磁性ブラシを形成する。そして、磁性ブラシの先端近傍を形成するキャリアが感光体の表面に接触する。DCバイアス現像では、感光体上の静電潜像に接触したキャリアに付着したトナーのみが現像に寄与する。すなわち、感光体の表面に接触しないトナーは現像に寄与しない。
それに対して、ACバイアス現像では、静電潜像に接触したキャリアに付着したトナーだけでなく、感光体に接触しない磁気ブラシの中間部などからも交流の電界によりトナーがキャリアから離れ、現像に寄与する。このように、ACバイアス現像では、静電潜像に接触したトナー以外にもトナーを静電潜像に供給することができるので現像能力(現像に寄与させるトナーの量)が大きくなり、より飽和現像に近い現像を行うことができると考える。
また、本発明者らは、現像スリーブ51に低摩擦膜51bを設ける構成でも、ACバイアス現像を行うことで、低摩擦膜51bの膜厚のムラに応じた周期的な画像濃度ムラを抑制することができることを見出した。これは、以下の理由が考えられる。
すなわち、DCバイアス現像で、低摩擦膜51bが薄い箇所で飽和現像を行うことができていないと、低摩擦膜51bが厚く現像能力が低下する箇所では、その現像能力が低下した分だけ画像部へのトナー付着量が低下し、画像濃度が低下する。一方、ACバイアス現像によって、低摩擦膜51bが薄い箇所で飽和現像を行うことができていれば、低摩擦膜51bが厚く現像能力が低下する箇所でも、飽和現像を維持することが可能であり、画像濃度の低下を抑制することができる。また、飽和現像を維持することができないぐらいに現像能力が低下したとしても、現像能力が低下した分よりもトナー付着量の低下を抑制することができ、画像濃度の低下も抑制することができる。
このように、低摩擦膜51bが薄い箇所に比べて低摩擦膜51bの厚い箇所での画像濃度の低下を抑制できることで、低摩擦膜51bの膜厚のムラに応じた周期的な画像濃度ムラを抑制することができる。
現像装置5では、図21に示すように、現像スリーブ51の外周面にアルミニウムよりもトナーとの摩擦係数が小さい低摩擦膜51bを設けているため、スリーブ汚れに起因するゴースト画像の発生を抑制することができる。さらに、現像装置5では、図21に示すように、現像スリーブ51に対して、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することで飽和現像に近い現像を行うことができる。このため、低摩擦膜51bの厚みの変動によって現像条件にある程度の変動が生じても、濃度変動の発生を抑制できる。よって、ゴースト画像の発生を抑制しつつ、低摩擦膜51bの厚みによる濃度ムラの発生も抑制できる。
特許文献3には、ドット再現性の向上とかぶりの低減を両立させることを目的として、現像スリーブに対して次のような交番電圧を印加することが開示されている。すなわち、第一のピークトゥピーク電圧であるVpp(1)を印加する第一の期間と、第一のピーク・ツー・ピーク電圧よりも低い第二のピークトゥピーク電圧であるVpp(2)を印加する第二の期間とを交互に繰り返すように交番電圧を印加する。
特許文献3に記載の構成は、現像スリーブに交流電圧を印加する構成であるが、ゴースト画像を抑制する構成については記載されていない。
〔実験例4〕
次に、ブラック用現像装置5KにDCバイアス現像を採用し、他の色の現像装置5にRPバイアス現像を採用する構成の適正を確認する実験を行った。
実験例4では、ブラック現像剤を使用するDCバイアス現像の構成で、低摩擦膜を備える構成を実施例1とし、シアン現像剤を使用するRPバイアス現像の構成で、低摩擦膜を備える構成を実施例2とした。他の構成を比較例1〜6としてゴースト画像と画像濃度ムラとの評価を行った実験例4について説明する。
実験例4では、市販のデジタルフルカラー複写機(リコー社製 imagio MP C5000)を改造し、条件が異なる現像装置を組み付けて現像剤をセットして、画像形成を行って画像評価を行った。現像装置の条件としては、図4に示す現像装置5に対して、現像スリーブ51の低摩擦膜51bのコーティングの有無と、印加する電圧の組み合わせとを異ならせた。
<ゴースト画像の評価方法>
図25は、実際のゴースト画像発生の概念図である。
ゴースト画像については、画像面積が5[%]のチャートを20[k枚]出力後に、ゴースト確認用画像を印刷し、現像スリーブ51の一周分の画像(a)と一周後以降の画像(b)との画像濃度の差を確認することで評価した。詳しくは、一周分の画像(a)と一周後以降の画像(b)との画像濃度について、X−Rite939(X−Rite社製)を用いて三箇所の平均濃度差(b1−a1,b2−a2,b3−a3)をΔIDとし、以下ランク分けした。
「◎」:非常に良好、「○」:良好、「△」:許容、「×」:実用上使用できないレベルとして、「◎」、「○」、「△」を合格とし、「×」を不合格とした。
「◎」:0.01≦ΔID
「○」:0.01<ΔID≦0.03
「△」:0.03<ΔID≦0.06
「×」:0.06<ΔID
上述したゴースト画像の評価方法に基づいて、ゴースト画像の評価を行なった。
<濃度ムラ評価方法>
A3のサイズで、網点面積率75[%]の画像(シアン単色)を印刷し、画像面内の明度偏差(最大明度−最小明度)を測定した。明度の測定には、X−Rite939(X−Rite社製)を用いた。濃度ムラの評価基準としては、画像面内の明度偏差が2.0未満を「○」(問題ない)とし、2.0以上は「×」(濃度ムラ有り)とした。
〔比較例1〕
現像スリーブ51としてアルミニウム製のスリーブ素管を用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスとしてDC現像バイアスを印加した。比較例1で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが無く、印加する現像バイアスが直流成分のみとなっている。
以下、比較例1の設定条件を示す。
画像形成装置:imagio MP C5000改造機
現像剤:ブラック現像剤
現像スリーブ:アルミニウム製スリーブ
現像バイアス:DC現像バイアス
〔比較例2〕
現像スリーブ51としてアルミニウム製のスリーブ素管を用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスとして直流成分に交流成分を重畳したAC現像バイアスを印加した。比較例2で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが無く、印加する現像バイアスが直流成分に交流成分を印加したAC現像バイアスとなっている。
以下、比較例2の設定条件を示す。
・画像形成装置:imagio MP C5000改造機
・現像剤:ブラック現像剤
・現像スリーブ:アルミニウム製スリーブ
・現像バイアス:AC現像バイアス
周波数:1[kHz]
Vpp値:1000[V]
プラス側デューティ比:4[%]
直流成分の電圧(オフセット):−230[V]
プラス側デューティ比は、周期的に変動する交流成分を含む現像バイアスの一周期中のプラス側の成分比である。言い換えると、現像バイアスが直流成分の電圧である−230[V]よりもプラス側の電位となる時間が現像バイアスの変動の一周期分の時間に占める時間比である。
〔比較例3〕
現像スリーブ51として、アルミニウム製のスリーブ素管51aに低摩擦膜51bとしてta−Cコートを施したものを用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスして直流成分に交流成分を重畳したAC現像バイアスを印加した。比較例3で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが有り、印加する現像バイアスが直流成分に交流成分を印加したAC現像バイアスとなっている。
以下、比較例3の設定条件を示す。
画像形成装置:imagio MP C5000改造機
現像剤:ブラック現像剤
現像スリーブ:アルミニウム製スリーブの表面にta−Cコート(0.6[μm]中心で偏差0.3[μm])
現像バイアス:AC現像バイアス
周波数:1[kHz]
Vpp値:1000[V]
プラス側デューティ比:4[%]
直流成分の電圧(オフセット):−230[V]
〔実施例1〕
現像スリーブ51として、アルミニウム製のスリーブ素管51aに低摩擦膜51bとしてのta−Cコートを施したものを用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスしてDC現像バイアスを印加した。実施例1で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが有り、印加する現像バイアスがDC現像バイアスとなっている。
以下、実施例1の設定条件を示す。
・画像形成装置:imagio MP C5000改造機
・現像剤:ブラック現像剤
・現像スリーブ:アルミニウム製スリーブの表面にta−Cコート(0.6[μm]中心で偏差0.3[μm])
・現像バイアス:DC現像バイアス
〔比較例4〕
現像スリーブ51としてアルミニウム製のスリーブ素管を用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスとしてDC現像バイアスを印加した。比較例4で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが無く、印加する現像バイアスが直流成分のみとなっている。
以下、比較例4の設定条件を示す。
画像形成装置:imagio MP C5000改造機
現像剤:シアン現像剤
現像スリーブ:アルミニウム製スリーブ
現像バイアス:DC現像バイアス
〔比較例5〕
現像スリーブ51としてアルミニウム製のスリーブ素管を用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスとして直流成分に交流成分を重畳したAC現像バイアスを印加した。比較例5で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが無く、印加する現像バイアスが直流成分に交流成分を印加したAC現像バイアスとなっている。
以下、比較例5の設定条件を示す。
・画像形成装置:imagio MP C5000改造機
・現像剤:シアン現像剤
・現像スリーブ:アルミニウム製スリーブ
・現像バイアス:AC現像バイアス
周波数:1[kHz]
Vpp値:1000[V]
プラス側デューティ比:4[%]
直流成分の電圧(オフセット):−230[V]
プラス側デューティ比は、周期的に変動する交流成分を含む現像バイアスの一周期中のプラス側の成分比である。言い換えると、現像バイアスが直流成分の電圧である−230[V]よりもプラス側の電位となる時間が現像バイアスの変動の一周期分の時間に占める時間比である。
〔比較例6〕
現像スリーブ51として、アルミニウム製のスリーブ素管51aに低摩擦膜51bとしてのta−Cコートを施したものを用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスしてDC現像バイアスを印加した。比較例6で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが有り、印加する現像バイアスがDC現像バイアスとなっている。
以下、比較例6の設定条件を示す。
・画像形成装置:imagio MP C5000改造機
・現像剤:シアン現像剤
・現像スリーブ:アルミニウム製スリーブの表面にta−Cコート(0.6[μm]中心で偏差0.3[μm])
・現像バイアス:DC現像バイアス
〔実施例2〕
現像スリーブ51として、アルミニウム製のスリーブ素管51aに低摩擦膜51bとしてta−Cコートを施したものを用い、この現像スリーブ51に印加する現像バイアスして直流成分に交流成分を重畳したAC現像バイアスを印加した。実施例2で用いた画像形成装置は、使用する現像装置が、現像スリーブ51に低摩擦膜51bのコーティングが有り、印加する現像バイアスが直流成分に交流成分を印加したAC現像バイアスとなっている。
以下、実施例2の設定条件を示す。
画像形成装置:imagio MP C5000改造機
現像剤:シアン現像剤
現像スリーブ:アルミニウム製スリーブの表面にta−Cコート(0.6[μm]中心で偏差0.3[μm])
現像バイアス:AC現像バイアス
周波数:1[kHz]
Vpp値:1000[V]
プラス側デューティ比:4[%]
直流成分の電圧(オフセット):−230[V]
実験例4の実験結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2中の濃度ムラの欄とボソツキの欄との括弧内に示す数字は、濃度ムラランク、及び、ボソツキランクである。
表2より、シアン用現像装置5Cでは、現像スリーブ51に低摩擦膜51bを設け、現像バイアスとしてAC現像バイアスを印加することで、ゴースト画像、濃度ムラ及びボソツキが改善できる。また、表1より、ブラック用現像装置5Kでは、現像スリーブ51に低摩擦膜51bを設け、現像バイアスとしてDC現像バイアスを印加することで、ゴースト画像がなく、画像濃度ムラとボソツキとが問題のない画像を提供することができる。
〔実験例5〕
次に、上記比較例2と上記実施例2との設定条件について、現像スリーブ51の表面の低摩擦膜51bの変動と画像濃度の変動との関係を確認した実験例5について説明する。
図26は、実験例5の実験結果を示すグラフであり、現像スリーブ51の表面移動方向における一周分の低摩擦膜51bの膜厚の変動と、当該現像スリーブ51を用いて作像した画像の通紙方向の明度の変動とを示すグラフである。図26(a)は、上記比較例2の設定条件の画像形成装置を用いた場合のグラフであり、図26(b)は、上記実施例2の設定条件の画像形成装置を用いた場合のグラフである。また、図26中の破線のグラフが低摩擦膜51bの膜厚を示しており、図26中の実線のグラフが破線で示した膜厚の位置で現像された画像の明度を示している。明度の変動を測定した画像としては、網点画像面積率75[%]の画像を作像した。
図26(a)に示す比較例2の結果より、現像スリーブ51にコートした低摩擦膜51bの膜厚が薄いほど明度が大きく、膜厚が厚いほど明度が小さいという相関関係が得られている。そして、図26(b)に示す実施例2の結果より、比較例2に対して交流成分を含む現像バイアス(AC現像バイアス)を印加することで濃度ムラが改善したことがわかる。
これは、以下の理由によるものと考える。
すなわち、直流成分のみの現像バイアス(DC現像バイアス)では、ta−Cコーティング層の厚みの差によりカウンターチャージが逃げやすい箇所(低摩擦膜51bの膜厚が薄い部分)と、逃げにくい箇所(低摩擦膜51bの膜厚が厚い部分)がある。このために、低摩擦膜51bの厚みムラが濃度ムラとなったと考える。
一方、AC現像バイアスを印加することで交流成分によりキャリアに発生したカウンターチャージが逃げ易くなり、DC現像バイアスを印加する構成よりも飽和現像に近い現像となることで、低摩擦膜51bの厚みムラが濃度ムラになり難いと考えられる。
AC現像バイアスを印加することでカウンターチャージが逃げやすくなる理由として、瞬間的な大きな電界がかかっているため現像剤や現像ローラの抵抗が高い場合でもDC現像バイアスを印加する構成に比べて電荷が動き易いと考える。AC現像バイアスがDC現像バイアスのよりも飽和現像に近づく理由としては、図22を用いて説明したように、キャリア先端のカウンターチャージが逃げることで、磁気ブラシ先端にトナーが回り込み易くなり、現像されやすくなるためと考える。
低摩擦膜51bの厚みムラに起因する濃度ムラの発生を抑制する構成としては、現像スリーブ51の低摩擦膜51bの厚みムラそのものを低減することが考えられる。しかしながら、濃度ムラの発生を十分に抑制できる程度に現像スリーブ51の低摩擦膜51bの厚みムラを低減しようとすると、歩留まりが発生してしまい、コスト増になってしまうことから、望ましくない。
<低摩擦膜51bのコーティング方法>
図21に示すように、現像装置5が備える現像ローラ50を構成する現像スリーブ51には、その最表面を低摩擦膜51bによってコーティングしている。
現像スリーブ51の最表面の低摩擦化は以下の方法で行った。
本実施形態において、低摩擦膜51bは、フィルター処理陰極真空アーク方式(FCVA:Filtered Cathodic Vacuum Arc)方式によりスリーブ素管51aの表面上に成膜されたta−C膜で構成されている。
FVCA方式によるta−C膜の成膜の概略を説明すると、ほぼ真空状態のチャンバ内にターゲットとして純度の高い炭素(黒鉛)を配置し、当該ターゲットに対しアーク放電を行う。そして、このアーク放電により発生したプラズマを電磁誘導により蒸着対象である現像スリーブ51のスリーブ素管51aに導く。その誘導過程において、電磁気的空間フィルターにより蒸着に不要なマクロ粒子や中性原子・分子などを除去して、イオン化した炭素のみを抽出する。そして、スリーブ素管51aの表面に到達したイオン化した炭素は基材表面に凝集してta−C膜を形成する。
上述した工程により、ta−C膜からなる低摩擦膜51bがスリーブ素管51aの表面に形成される。
このような、ta−C膜からなる低摩擦膜51bは、メッキや塗布などで形成された膜に比べて均一な厚みに形成できるとともに、比較的低温での成膜処理が可能であるので、現像スリーブ51の温度による歪みなどが発生しにくい。そのため、現像スリーブ51の形状精度を高めることができる。
なお、FVCA方式による蒸着技術については、例えば、米国特許第6,031,239号等に開示されており、既に広く実用化されているため、詳細説明は省略する。
または、低摩擦膜51bとしては、中空陰極方式(HCD方式:Hollow Cathode Discharge)によりスリーブ素管51aの表面に成膜されたTiN膜で構成しても良い。
物理蒸着法(PVD)の一つであるイオンプレーティング方式によれば、密着性に優れた膜が比較的容易に得られ、このイオンプレーティング方式の中でも、特にHCD方式を用いることで、均質で且つ膜厚が均一で母材の表面粗さに沿った被膜が得られる。
なお、HCD方式による蒸着技術については、例えば、特開平10−012431号公報や特開平08‐286516号公報等に開示されており、既に広く実用化されているため、詳細説明は省略する。
現像スリーブ51の最表面の低摩擦膜51bは、例えば、テトラヘデラルアモルファスカーボン(ta−C)や窒化チタン(TiN)など、現像スリーブ51のスリーブ素管51aよりトナーとの摩擦係数の低い材料で構成された薄膜である。
もちろんスリーブ素管51aよりもトナーとの摩擦係数の低い材料であれば、本発明の目的に反しない限り、例えば、炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、モリブデン酸など、ta−CやTiN以外の材料を用いても良い。
なお、各材料における摩擦係数は、アルミニウム合金が0.5(以上)、TiNが0.3〜0.4、ta−Cが0.1(以下)程度である。
<摩擦係数の測定方法>
低摩擦膜51bをコーティングした現像スリーブ51や低摩擦膜51bを備えていない現像スリーブ51の表面の摩擦係数の測定には、オイラーベルト方式を用いた。図27は、摩擦係数測定装置の概略構成図である。図27に示す摩擦係数測定装置は、オイラーベルト方式に基づくものである。ベルトとして中厚の上質紙を紙すきが長手方向になるようにして現像スリーブ51の円周1/4に張架し、ベルトの一方に例えば0.98[N](100[g])の荷重を掛け、他方にフォースゲージ(デジタルプッシュプルゲージ)を設置した。そして、上記加重によってフォースゲージを引っ張り、ベルトが移動した時点での荷重を読み取って、摩擦係数μs=2/π×1n(F/0.98)(但し、μ:静止摩擦係数、F:測定値)に代入して算出した。
ゴースト画像の発生するメカニズムは、以下のとおりである。すなわち、現像スリーブ51の表面が現像領域を通過する際に、感光体1上の非画像部と対向した現像スリーブ51の表面は、感光体1上の画像部と対向した表面よりも多くのトナーが付着する。現像スリーブ51に付着したトナーは電荷を持っているために、トナーが付着した現像スリーブ51の表面が再び現像領域に到達して現像を行うときには、現像スリーブ51の表面に付着したトナーの持つ電荷分だけ現像電位が嵩上げされる。トナーの付着量が多いほど嵩上げ量が多くなりトナーの現像量が増加するため、前画像で非画像部と対向した現像スリーブ51の表面によって現像された画像はトナーの現像量が増加してゴースト画像が発生する。
これに対して、本実施形態の現像装置5では、現像スリーブ51に低摩擦膜51bを形成することで、ゴースト画像が改善する。現像スリーブ51に低摩擦膜51bをコートしたことにより、トナーと現像スリーブ51との付着力よりもトナーとキャリアとの付着力のほうが大きくなることから、現像スリーブ51に付着するトナー量が減少する。これにより、トナーが付着することに起因する現像スリーブ51の表面電位の嵩上げが抑制され、ゴースト画像の発生を抑制できる。
次に、本複写機500の特徴部である現像装置5の現像スリーブ51に印加される現像バイアスについて説明する。
図28は、DCバイアス現像(図中の「DC」)と、ACバイアス現像(図中の「AC」)とで、現像ギャップGPの変動に対するトナー付着量の変動を比較したグラフである。図28において、現像装置の現像ローラに印加する現像バイアスとして、DCバイアスとACバイアスとし、現像バイアス条件を固定した。そして、現像装置の現像ギャップを変えて、画像形成装置でベタ画像を印刷したときの感光体上のトナー付着量を測定した結果である。以下、図28に示すグラフを得た実験条件を以下に示す。
・評価装置:RICOH imagio MP C5000改造機
・現像ギャップ:0.225[mm]
・現像剤:シアン現像剤
・現像バイアス
(1)DCバイアス −500[V]
(2)ACバイアス
周波数:990[Hz]
Vpp値:800[V]
プラス側デューティ比:4[%]
波形:矩形波
オフセット電圧:−132[V]
ここで、プラス側デューティ比は、ACバイアスの1サイクル中のプラス側成分比である。
図28に示すように、DCバイアスは、現像ギャップが大きくなると、感光体に現像されるトナー付着量は減少する。ACバイアスは、現像ギャップが0.225[mm]のときに最大となって、現像ギャップがさらに大きくなると、トナー付着量は徐々に少なくなり、現像ギャップに対する感度が鈍くなっている。つまり、現像ギャップが変わっても、感光体に現像されるトナー付着量は、あまり変化しないことから、画像濃度変動が発生しにくい。DCバイアスにACバイアスを重畳したバイアスによる実施例3とDCバイアスによる比較例7において、それぞれのバイアス条件で印刷した75%網点画像の濃度ムラの結果を下記の表3に示す。
評価基準は以下に示す。
「5」:無し
「4」:問題なし
「3」:許容レベル
「2」:NGレベル
「1」:NGレベル(「2」よりも悪い)
図29は、ACバイアスのVpp値を変えたときに現像ギャップと感光体に現像されるトナー付着量の関係を示すグラフである。図29に示すグラフを得た実験条件を以下に示す。
・評価装置:RICOH imagio MP C5000改造機
・現像ギャップ:0.2[mm]、0.225[mm]、0.26[mm]、0.3[mm]
・現像剤:シアン現像剤
・現像バイアス
(1)DCバイアス −500[V]
(2)ACバイアス
周波数:990[Hz]
Vpp値:800[V]、1000[V]、1200[V]
プラス側デューティ比:4[%]
波形:矩形波
オフセット電圧:−132[V]
以上の結果より、ACバイアスのVpp値を変えることで、現像ギャップに対する感光体に現像されるトナー付着量が極大をずらすことができる。ACバイアスのプラス極性側成分は、感光体に現像され付着したトナーを再び、現像ローラ側に引き戻す電界が働く。現像ギャップが大きくなると電界が弱まるので、Vpp値を大きくすれば、トナーを引き戻すことができる。逆に現像ギャップが小さくVpp値が大きいと、感光体からのトナー引き戻し量のギャップ感度が大きくなっていまい、濃度ムラとなってしまうために、適度にVpp値を小さくする必要がある。すなわち、ACバイアスのVpp値が変わることで、現像されるトナー量と感光体から引き戻されるトナー量の平衡状態が変えることができる。よって、現像ギャップに最適なACバイアス条件を変更することで、濃度ムラのない安定した画像が得られる。
図30は、DCバイアスにACバイアスを重畳したときのVpp値と現像ギャップと感光体トナー付着量の関係の極大になる現像ギャップの関係を示すグラフである。図30に示すように、極大になるVpp値と現像ギャップには直線関係が得られ、以下の近似式(1)が得られる。
y=5325.4x−393.49 ・・・(1)
予め現像ギャップがわかっている現像装置を画像形成装置にセットされたときに、この近似式(1)を用いて、ACバイアス条件(Vpp値)を設定することで、濃度ムラのない安定した画像を提供することができる。
次に、本実施形態の現像装置における制御系の構成について説明する。
図31は、本実施形態の現像装置における制御系の構成を示すブロック図である。図31において、制御部600は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)600a、不揮発性メモリたるRAM(Random Access Memory)600b、一時記憶手段たるROM(Read Only Memory)600c等を有している。現像装置全体の制御を司る制御部600には、様々な構成機器やセンサ類が通信可能に電気的に接続されている。更には、DCバイアス電圧印加手段は、図3に示す現像装置5の現像スリーブ51に印加するための直流成分の現像電圧を出力するものである。現像電圧印加手段としてのACバイアス電圧印加手段602は、図3に示す現像装置5の現像スリーブ51に印加するため、交流成分を含む現像電圧を出力するものである。現像ギャップ情報取得手段603は、プロセスカートリッジが交換されたときの組み付け誤差による現像ギャップの値に関する情報を取得するものである。トナー付着量検知手段604は、光学的に感光体上に付着したトナー付着量を検知するものである。
次に、画像形成装置に現像ギャップに応じたACバイアスのVpp値を設定する方法として、現像装置に現像ギャップに関する情報(以下、現像ギャップ情報という)を記憶する記憶手段を備えている。その記憶手段には現像装置の製造時に測定された現像ギャップ情報が記憶されている。この記憶手段は図31のRAM600b、ROM600cやトナー濃度センサのメモリを用いてもよい。この処理フローを図32に示す。同図において、現像装置が画像形成装置にセットされたときに、例えば現像装置の記憶手段に記憶された現像ギャップ情報を読み出す(ステップS101)。現像ギャップ情報と上記近似式(1)とを用いて、例えば画像形成装置の演算手段によって、Vpp値を算出する(ステップS102)。算出したVpp値を、濃度ムラに対して最適となるACバイアスのVpp値として、設定する(ステップS103)。また、図33に示す別の処理フローでは、現像装置が画像形成装置にセットされたとき、画像形成装置は、現像装置が新品であるか否かを検出する(ステップS201、S202)。その検出結果現像装置が新品であれば(ステップS202:YES)、上記ステップ101〜S103と同様な処理を行う(ステップS203〜S205)。ステップS202で現像装置が新品でなければ(ステップS202:NO)、既に設定されている現像バイアス条件のACバイアスのVpp値を用いる。
次に、現像ギャップの検知方法について説明する。
画像形成装置の現像装置の初期セットアップ時に、既知のトナー濃度の現像剤を現像装置にセットし、初期セットアップ動作を実施する。初期セットアップ動作は、主に現像剤の帯電量立ち上げのための現像剤攪拌動作と現像剤のトナー濃度検知手段の調整動作(センサ出力値の調整)である。電子写真式の画像形成装置での初期セットアップ動作としては一般的な作業であるために、説明は省略する。その後、所定の現像条件で付着量測定パターンを印刷し、後述するトナー付着量検知手段にて、トナー付着量を検知する。このとき、現像ギャップに対して、リニアな関係であるDC現像バイアスのみで付着量測定パターンを印刷する。得られたトナー付着量から、DC現像バイアス印加時の現像ギャップとトナー付着量の関係より求める所定の演算を行い、現像ギャップが得られる。
図34は、所定のDCバイアスを印加したときの、現像ギャップと感光体上トナー付着量との関係を示すグラフである。
図34に示すグラフを得た実験条件を以下に示す。
・評価装置:RICOH imagio MP C5000改造機
・現像ギャップ:0.2[mm]、0.225[mm]、0.26[mm]、0.3[mm]
・現像剤:シアン現像剤(RICOH imagio MP C5000の新品現像剤)
・トナー濃度:7[wt%]
・現像バイアス
DCバイアス −500[V]
図34に示すように、感光体上トナー付着量と現像ギャップには直線関係が得られ、以下の近似式(2)が得られる。
y=−2.1215x+0.8751 ・・・(2)
この近似式(2)により、感光体上トナー付着量がわかれば、現像ギャップを算出することができる。
次に、トナー付着量検知方法について説明する。
図35は、トナー付着量検知手段としてのトナー付着量検知センサを説明する模式図である。図35(a)は黒トナー付着量検知センサ152Aの構成を示し、図35(b)は、カラートナー付着量検知センサ152Bの構成を示している。
図35に示すように、中間転写ベルト24の回転方向における二次転写位置の手前側には、中間転写ベルト24上のトナーの付着量、すなわち画像の濃度を検出する濃度検出手段(濃度センサ)としてのトナー付着量検知センサ152が配置されている。実質的に黒トナー付着量検知センサ152Aは位置ずれ検知センサとして機能し、カラートナー付着量検知センサ152Bはトナー付着量検知センサとして機能する。
図35(a)に示すように、黒トナー付着量検知センサ152Aは、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子152A−1と、正反射光を受光する受光素子152A−2とから構成されている。発光素子152A−1は中間転写ベルト24上に光を照射し、この照射光は中間転写ベルト24によって反射される。受光素子152A−2は、この反射光のうちの正反射光を受光する。
一方、図35(b)に示すように、カラートナー付着量検知センサ152Bは、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子152B−1と、正反射光を受光する受光素子152B−2と、拡散反射光を受光する受光素子152B−3とから構成されている。発光素子152B−1は、黒トナー付着量検知センサの場合と同様、中間転写ベルト上に光を照射し、この照射光は、中間転写ベルト表面によって反射される。正反射を受光する受光素子152B−2は、この反射光のうちの正反射光を受光し、拡散反射光受光素子152B−3は、反射光のうち拡散反射光を受光する。
図35に示す例では、発光素子として、発光される光のピーク波長が950[nm]であるGaAs赤外発光ダイオードを用いている。受光素子としては、ピーク受光感度が800[nm]であるSiフォトトランジスタなどを用いているが、ピーク波長及びピーク受光感度がこれと異なるものでも構わない。また、黒トナー付着量検知センサ及びカラートナー付着量検知センサは、検知対象物である中間転写ベルトのベルト表面との間に、5[mm]程度の距離(検出距離)を設けて配設されている。
図35に示す例では、トナー付着量検知センサを中間転写ベルト近傍に設け、中間転写ベルト上のトナー付着量に基づいて作像条件を決定するが、感光体上や転写搬送ベルト上に配設されていても構わない。トナー付着量センサからの出力は付着量変換アルゴリズムによって付着量に変換される。
以下に、現像ギャップを変えたときに算出されたACバイアス条件(Vpp値)で画像濃度ムラを評価した。その結果を図36に示す。現像ギャップに応じて、最適なACバイアス条件に制御することで、濃度ムラが改善する。
図36に示すグラフを得た実験条件を以下に示す。
・評価装置:RICOH imagio MP C5000改造機
・現像ギャップ:0.225[mm]、0.3000[mm]
・現像剤:シアン現像剤
・現像バイアス
(1)DCバイアス 電圧は画像濃度が1.4になるように設定
(2)ACバイアス
周波数:990[Hz]
Vpp値:600[V]、800[V]、1000[V]、1200[V]
プラス側デューティ比:4[%]
波形:矩形波
オフセット電圧:任意(画像濃度が1.4になるように設定)
なお、画像濃度はX-rite900シリーズを用いて測定した。
図36中の評価基準は以下に示す。
「5」:無し
「4」:問題なし
「3」:許容レベル
「2」:NGレベル
「1」:NGレベル(「2」よりも悪い)
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナーと磁性キャリアとからなる現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、感光体1等の潜像担持体と対向する現像領域で潜像担持体の表面の潜像に現像剤中のトナーを供給して現像する現像ローラ50等の現像剤担持体を備え、現像剤担持体は、複数の磁極を有するマグネットローラ55等の磁界発生手段と、磁界発生手段を内包する円筒形状で、磁界発生手段の磁力によって円筒形状の外周面に現像剤を担持し、装置本体に対して回転することによって表面移動する現像スリーブ51と、を有し、現像スリーブに対して現像電圧を印加する現像スリーブ電源151等の現像電圧印加手段を備える現像装置5において、現像剤担持体と潜像担持体との隙間の現像ギャップの情報を取得する現像ギャップ情報取得手段603と、現像ギャップ情報取得手段によって取得した現像ギャップに基づいて交流成分を含む現像電圧を制御する制御部600等の制御手段とを備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、上記検証実験で示したように、現像ギャップの変動に対する感光体上トナー付着量を測定してみたところ、組み付け誤差による、横軸の現像ギャップの変動に応じて、縦軸の潜像担持体上トナー付着量が上方に凸の二次曲線状に変化することがわかった。この二次曲線状の極大値近傍では、現像スリーブの偏心等による周期的な現像ギャップの変動に対するトナー付着量の変動量が小さくなり、画像の濃度変動を抑制できる。組み付け誤差による現像ギャップの変動が二次曲線状の極大値から離れると周期的な現像ギャップの変動に対するトナー付着量の変動量は大きくなってしまい、濃度変動の抑制が困難になってしまうことがわかった。これに対して、現像ギャップ情報取得手段によって現像ギャップの情報を取得し、取得した現像ギャップに基づいて、制御手段は交流成分を含む現像電圧を制御する。具体的には、現像電圧のトナーの正規帯電極性側の最大値と最小値との差であるピークトゥピーク値と現像ギャップとの直線関係をあらわす上記近似式(1)を用いて、現像ギャップ取得手段によって取得した現像ギャップに対する現像電圧のピークトゥピーク値を求める。その求めたピークトゥピーク値の現像電圧を現像スリーブに印加することで、現像ギャップに対する潜像担持体上のトナー付着量が、上記の二次曲線状の変化における極大値近傍となる。周期的な現像ギャップの変動が生じたとしても、周期的な現像ギャップの変動は組み付け誤差による現像ギャップの変動に比べて十分に小さいので、極大値近傍から離れる量は十分に小さい。これにより、潜像担持体上のトナー付着量の変動量は小さく、画像の濃度変動を抑制できる。よって、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、濃度変動を抑制できる。
(態様B)
(態様A)において、現像ギャップの情報を記憶する記憶手段を備え、現像ギャップ情報取得手段は、記憶手段から現像ギャップの情報を読み出して現像ギャップの情報を取得する。これによれば、上記実施形態について説明したように、製造時等でプロセスカートリッジに現像装置を組み付けたとき現像ギャップを測定して、その測定した現像ギャップの値を現像ギャップの情報として、現像装置に備えられている記憶手段に記憶しておく。これにより、プロセスカートリッジが新しいものに交換された場合、記憶手段から現像ギャップの情報を読み出す。上記近似式(1)を用いて、読み出した現像ギャップに対する現像電圧のピークトゥピーク値を求める。その読み出した現像ギャップに対する潜像担持体上のトナー付着量が、二次曲線状の変化における極大値近傍の量になる。これにより、濃度ムラのない安定した画像を提供することができる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、潜像担持体上のトナー付着量を検知するトナー付着量検知センサ152等のトナー付着量検知手段を備え、現像電圧印加手段によって直流成分の所定の現像電圧を現像スリーブに印加したときの潜像担持体上のトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知し、現像ギャップ情報取得手段は、トナー付着量検知手段によって検知したトナー付着量に基づいて現像ギャップを算出して現像ギャップの情報を取得する。これによれば、上記実施形態について説明したように、直流成分の現像電圧を印加する構成のDCバイアス現像では、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対する潜像担持体上トナー付着量は直線的に変動する。この直線的な変動をあらわす近似式(2)により、トナー付着量検知手段によって検知されたトナー付着量から現像ギャップを算出することができる。算出した現像ギャップの値と近似式(1)とを用いて、潜像担持体上のトナー付着量が二次曲線状の変化における極大値近傍となるような現像電圧のピークトゥピーク値を設定する。これにより、濃度ムラのない安定した画像を提供することができる。
(態様D)
(態様A)〜(態様C)のいずれかにおいて、制御手段は、現像ギャップ情報取得手段が取得した現像ギャップが大きいほど、現像電圧のトナーの正規帯電極性側の最大値と最小値との差を大きくする。これによれば、上記実施形態について説明したように、現像ギャップが大きくなると、潜像担持体の表面上で振動しているだけで、ほとんど現像スリーブ側に戻らず、画像濃度ムラの原因となる。これは電位差が小さいため、潜像担持体上に付着したトナーを現像スリーブ側に引き戻そうとする力が弱いためと考えられる。制御手段は、現像電圧のピークトゥピーク値を大きくすることで、潜像担持体上に付着したトナーを現像スリーブ側に引き戻す電位差を大きく設定する。この電位差が大きいため、潜像担持体上に付着したトナーを現像スリーブ側に引き戻そうとする力が強くなり、潜像担持体上に付着したトナーのほとんどが周期的に現像スリーブ側に戻すことが可能になる。よって、画像濃度ムラを抑制することができる。
(態様E)
(態様A)〜(態様D)のいずれかにおいて、現像ギャップ情報取得手段は、トナー付着量が少ないほど、現像ギャップが小さいとする。これによれば、上記実施形態について説明したように、ACバイアス現像では、現像ギャップが小さいため潜像担持体上に過剰に付着したトナーを現像スリーブ側に引き戻そうと電位差を大きく設定している。この結果、潜像担持体上に付着したトナーのほとんどが周期的に現像スリーブ側に戻され、潜像担持体上のトナー付着量は少なくなっている。トナー付着量が少なければ、現像ギャップは小さいと判断できる。
(態様F)
(態様A)〜(態様E)のいずれかにおいて、現像電圧印加手段は、周波数が2.0[kHz]以下の交流成分を含む上記現像電圧を印加し、該現像電圧の交流成分についてのトナーの正規帯電極性とは逆極性の成分のデューティ比が4[%]以上、20[%]以下である。これによれば、上記実施形態について説明したように、周波数を2.0[kHz]以下とすることで、それよりも高い周波数でのACバイアス現像よりも周辺白抜けの程度を軽減することができる。また、低周波数でトナーの正規帯電極性とは逆極性の成分のデューティ比が高いACバイアス現像では、粒状性の悪化が生じていたが、低周波数でトナーの正規帯電極性とは逆極性の成分のデューティ比が低いACバイアス現像であれば、粒状性の悪化を抑制できる。低周波数では粒状度が悪化する傾向にあるが、潜像担持体から現像スリーブにトナーを引き戻す電位差が形成される時間を最小限に抑えることで粒状度の悪化を軽減することができ、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、現像ギャップの変動に応じて濃度変動を抑制できる。
(態様G)
少なくとも潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、現像手段として、(態様A)〜(態様F)のいずれかの現像装置を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、現像ギャップの変動に応じて濃度変動を抑制できるため、安定した画像形成を行うことができる。
(態様H)
(態様G)において、ブラック用現像装置5K等のブラックのトナーを使用するブラック用現像装置と、シアン用現像装置5C等のブラック以外のトナーを使用する非ブラック用現像装置との複数の現像装置を備え、非ブラック用現像装置として(態様A)〜(態様F)のいずれかの現像装置5等の現像装置を用い、ブラック用現像装置としては(態様A)〜(態様F)のいずれかに記載の現像装置5等の現像装置とは異なる構成の現像装置を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、非ブラック用現像装置では、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、現像ギャップの変動に応じて濃度変動を抑制できるため、安定した画像形成を行うことができる。また、濃度ムラが目立ち難いブラック用現像装置では、DCバイアス現像等の濃度ムラは生じるが、粒状度が悪化し難い方式を採用することで、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、現像ギャップの変動に応じて濃度変動を抑制できる。非ブラック用現像装置と、ブラック用現像装置とで組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、現像ギャップの変動に応じて濃度変動を抑制できるため、安定したカラーの画像形成を行うことができる。
(態様I)
潜像を担持する感光体1等の潜像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える複写機500等の画像形成装置における少なくとも該潜像担持体と該現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成した作像ユニット6等のプロセスカートリッジにおいて、現像手段として、(態様A)〜(態様F)のいずれかの現像装置5等の現像装置を用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、これによれば、上記実施形態について説明したように、組み付け誤差による現像ギャップの変動に対して現像バイアスの最適化を図りつつ、現像ギャップの変動に応じて濃度変動を抑制できる現像装置の交換性を向上できる。また、複数のプロセスカートリッジを備える構成で、それぞれのプロセスカートリッジを個別に交換できる構成であれば、寿命や故障による交換が必要なプロセスカートリッジのみを交換できる。このような構成であれば、ユーザにとってコストがかからず、安定した画像を提供することができる。
1 感光体
1Y イエロー用感光体
1C シアン用感光体
1K ブラック用感光体
1M マゼンタ用感光体
2a クリーニングブレード
2 感光体クリーニング装置
3 原稿搬送部
4 原稿読込部
4a 帯電ローラ
5C シアン用現像装置
5K ブラック用現像装置
5 現像装置
6 作像ユニット
7 給紙部
8 中間転写ベルト
9 一次転写バイアスローラ
10 中間転写ユニット
11 トナー容器
12 二次転写バックアップローラ
19 二次転写バイアスローラ
20 定着装置
25 排紙ローラ対
26 給紙カセット
27 給紙ローラ
28 レジストローラ対
30 排紙トレイ
40 帯電装置
41 潤滑剤塗布装置
50 現像ローラ
51 現像スリーブ
51a スリーブ素管
51b 低摩擦膜
52 ドクタブレード
53 供給スクリュ
53a 供給搬送路
54 回収スクリュ
54a 回収搬送路
55 マグネットローラ
57 仕切り部材
58 ケーシング
58a 現像下ケース
58b 現像上ケース
58c 現像カバー
58e 現像開口部
59 トナー補給口
71 剤落下口
72 剤持上げ口
100 プリンタ部
151 現像スリーブ電源
152 トナー付着量検知センサ
152A 黒トナー付着量検知センサ
152B カラートナー付着量検知センサ
500 複写機
600 制御部
600a CPU
600b RAM
600c ROM
601 DCバイアス電圧印加手段
602 ACバイアス電圧印加手段
603 現像ギャップ情報取得手段
604 トナー付着量検知手段
G 現像剤
GP 現像ギャップ
L レーザ光
P 転写紙
P1 第一磁極
P2 第二磁極
P3 第三磁極
P4 第四磁極
P5 第五磁極
T トナー
Vb 現像バイアス
Vbav 現像バイアス平均値
Vd 帯電電位
VL 露光電位
Vpot 現像ポテンシャル
Vpp ピークトゥピーク値
α 回収スクリュ下流端領域
β 供給スクリュ下流端領域
特開平04−157486号公報 特許3356948号公報 特開2010−020281号公報

Claims (9)

  1. トナーと磁性キャリアとからなる現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤中のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、該現像剤担持体は、複数の磁極を有する磁界発生手段と、該磁界発生手段を内包する円筒形状で、該磁界発生手段の磁力によって円筒形状の外周面に現像剤を担持し、装置本体に対して回転することによって表面移動する現像スリーブと、を有し、該現像スリーブに対して現像電圧を印加する現像電圧印加手段を備える現像装置において、
    現像剤担持体と潜像担持体との隙間の現像ギャップの情報を取得する現像ギャップ情報取得手段と、
    該現像ギャップ情報取得手段によって取得した現像ギャップに基づいて交流成分を含む現像電圧を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1記載の現像装置において、
    上記現像ギャップの情報を記憶する記憶手段を備え、
    上記現像ギャップ情報取得手段は、該記憶手段から上記現像ギャップの情報を読み出して上記現像ギャップの情報を取得することを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1又は2に記載の現像装置において、
    上記潜像担持体上のトナー付着量を検知するトナー付着量検知手段を備え、上記現像電圧印加手段によって直流成分の所定の現像電圧を上記現像スリーブに印加したときの上記潜像担持体上のトナー付着量を上記トナー付着量検知手段によって検知し、上記現像ギャップ情報取得手段は、上記トナー付着量検知手段によって検知した上記トナー付着量に基づいて上記現像ギャップを算出して上記現像ギャップの情報を取得することを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置において、
    上記制御手段は、上記現像ギャップ情報取得手段が取得した現像ギャップが大きいほど、上記現像電圧のトナーの正規帯電極性側の最大値と最小値との差を大きくすることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置において、
    上記現像ギャップ情報取得手段が、上記トナー付着量が少ないほど、上記現像ギャップが小さいとすることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置において、
    上記現像電圧印加手段は、周波数が2.0[kHz]以下の交流成分を含む上記現像電圧を印加し、該現像電圧の交流成分についてのトナーの正規帯電極性とは逆極性の成分のデューティ比が4[%]以上、20[%]以下であることを特徴とする現像装置。
  7. 少なくとも潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、
    該現像手段として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7記載の画像形成装置において、
    ブラックのトナーを使用するブラック用現像装置と、ブラック以外のトナーを使用する非ブラック用現像装置との複数の現像装置を備え、
    該非ブラック用現像装置として請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置を用い、該ブラック用現像装置としては請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置とは異なる構成の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  9. 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置における少なくとも該潜像担持体と該現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、
    上記現像手段として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018041042A (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置および濃度補正制御方法
JP2019203950A (ja) * 2018-05-22 2019-11-28 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 画像形成装置

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