JP2016014615A - ガスセンサ素子組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】断面矩形で軸方向に延びる平板状のセンサ素子を収容固定する筒状の絶縁体の外周面の一部を平面状に切り欠いた回り止め部を設けたり、ガラス外径を極限まで細くしたりしても、絶縁体の機械的強度の低下を抑制しつつ、絶縁体と封止ガラスとの密着性の向上を図った信頼性の高いガスセンサ素子組立体を提供する。
【解決手段】回り止め部33を具備する絶縁体3に設けた封止ガラス2を充填するためのガラス充填空間32の内周面を断面楕円形状又は角を丸めた断面角丸多角形状に形成することで、封止ガラス2を断面楕円形状又は角を湾曲させた断面角丸多角形状とすると共に、ガスセンサ素子1の対角線の延長線上における封止ガラス2のガラス対角位置肉厚T20が、封止ガラス2の他の部分の肉厚T21、T22よりも薄く、かつ、絶縁体3の対角位置肉厚T30が、絶縁体3の他の部分T31、T33の肉厚よりも薄くなるように設定する。
【選択図】図1C

Description

本発明は被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出するためのガスセンサ素子と、そのガスセンサ素子を収容保持する筒状の絶縁体と、ガスセンサ素子と絶縁体とを気密に固定する封止ガラスとからなるガスセンサ素子組立体に関する。
従来、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するためのガスセンサとして、先端側に検出部を有したガスセンサ素子と、該センサ素子を内側に挿入保持する略筒状の絶縁碍子と該絶縁碍子が挿入配設されたハウジングと、該ハウジングの先端側に配設され上記センサ素子を保護するカバー体とによって構成されたものが知られている。
このようなガスセンサに用いられるガスセンサ素子として、ジルコニア等の特定のイオンに対して伝導性を有する固体電解質層と、少なくともその対向する表面に形成した一対の電極対と、アルミナ等の絶縁性材料を用いて形成された素子保持部材や発熱体を内蔵したヒータ層等を積層し、断面矩形で、軸方向に伸びる平板状に形成した積層型のガスセンサ素子が広く用いられている。
特許文献1には、封止ガラスを介して略筒状の絶縁体の内側に軸方向に延びる平板状のセンサ素子を収納固定したガスセンサ素子であって、封止ガラスとセンサ素子との境界部において、センサ素子の外周を覆いつつ、封止ガラスの表面の80%以上を覆うように無機材料からなり、多粒子構造を有するコーティング層を設けたガスセンサ素子とその製造方法が開示されている。
従来のガスセンサ素子では、絶縁体の基端側にセンサ素子の外周を取り囲む環溝状のガラス充填空間を設けて、封止ガラスを充填し、加熱熔融した後、冷却固化させることで、センサ素子と絶縁体とを気密に固定している。
特開2010−243422号公報
ところが、図10に比較例1として示す従来のガスセンサ素子組立体4zにおいて、絶縁体3zの基端側外周面の一部を平面状に切り欠いて回り止め部33を形成すると、その部分の肉厚T33zが他の部分の肉厚(T30)よりも薄肉となり、絶縁体3zの組み付け荷重に対する機械的強度が低下し、組み付け時に割れ不良を発生させる虞があった。
また、絶縁体3zを金型等を用いて成型する際に、回り止め部33を形成するためのキャビティが狭く、材料の充填性が低下して、局所的な密度低下による歪みを招く虞もあった。
そこで、比較例2として図11に示すように、回り止め部33が形成され、断面小判型に形成された絶縁体3yの外周面と並行となるように、ガラス充填空間32yの内周面を断面小判型に形成することで、絶縁体3yの回り止め部33を形成位置の肉厚T33yを他の部分の肉厚(T30)と均等にして、機械的強度の向上を図ることができると考えられた。
一方、従来のセンサ素子1の固定に用いられる封止ガラス2には、耐熱性を考慮して、結晶化ガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス等の高融点ガラスが用いられている。このような、耐熱性ガラスは、熔融時に作用する表面張力が大きく、絶縁体との接触面が丸くなり易い傾向がある。
さらに、センサ素子1の表面には、外部との接続を図るための端子電極や、被測定ガスに晒される検出電極などが設けられているため、過剰な高温環境に晒されると電極を構成する金属粒子の凝集による電極寿命の低下を招く虞がある。
このため、電極が過剰な高温環境に晒されないよう、封止ガラスを熔融する際の加熱温度が制限され、封止ガラスの流動性も制限されている。
このため、断面小判型に形成された絶縁体3の外周面と並行となるような断面小判型の内周面を設けてガラス充填空間32yを形成すると、図11に示すように、断面小判型に穿設されたガラス充填空間32yの内周面と表面張力によって断面楕円状となった封止ガラス2yの表面との間に間隙GPが形成され、気密性の低下を招く虞があった。
さらに、図12に比較例3として示すガスセンサ素子組立体4xように、絶縁体3xの外周面に回り止め部を形成していない構成において、ガスセンサの更なる小型化を図るべく、環溝状のガラス充填空間32xを形成する絶縁体3xの基端側外周面が周壁面として形成可能な極限まで薄くして、絶縁体3xの外径φD3xを細くした場合には、組付け時の荷重を受ける断面積が小さくなるため、薄肉部全体が組み付け荷重に耐え切れなくなり、組み付け時に割れ不良を発生させる虞もある。
そこで、かかる実情に鑑み、本発明は、断面矩形で軸方向に延びる平板状のセンサ素子を収容固定する筒状の絶縁体の機械的強度の低下を抑制しつつ、絶縁体と封止ガラスとの密着性の向上を図った信頼性の高いガスセンサ素子組立体を提供することを目的とする。
本発明のガスセンサ素子組立体(4、4a〜4d)では、被測定ガスに晒され、被測定ガス中の特定成分を検出する検出部(10)を具備し、断面矩形で軸方向に延びる平板状のガスセンサ素子(1)と、内側に断面矩形で軸方向に延びる貫通孔(31)を具備し、該貫通孔に前記ガスセンサ素子を収容保持する筒状の絶縁体(3、3a〜3d)と、該絶縁体の一部を窪ませて区画したガラス充填空間(32、32a〜32d)に配設した筒状の封止ガラス(2、2a〜2d)と、を有し、前記封止ガラスを熔融固化して前記ガスセンサ素子と前記絶縁体とを気密に固定したガスセンサ素子組立体において、前記ガラス充填空間の横断面形状を、楕円形状、又は、角を丸めた角丸多角形状とすることで、前記封止ガラスの横断面形状を、楕円形状、又は、角を丸めた角丸多角形状となしたことを特徴とする。
本発明によれば、前記絶縁体が所定の荷重に対して割れを生じない強度を維持しつつ、前記ガラス充填空間の内周面と前記封止ガラスの表面との間に間隙を形成することなく、前記絶縁体と前記ガスセンサ素子とが気密に固定された信頼性の高いガスセンサ素子組立体が実現できる。
本発明の第1の実施形態におけるガスセンサ素子組立体4の全体概要を示す斜視図 図1Aのガスセンサ素子組立体4の縦断面図 本発明の要部であるガラス充填空間32の詳細を示し、図1B中C−Cに沿った横断面図 ガラス充填空間32の断面形状の最適化のために行った試験方法を説明するための要部平面図 比較例と共に本発明の第1の実施形態における効果を示す特性図 本発明の第2の実施形態におけるガスセンサ素子組立体4aの要部であるガラス充填空間32aの横断面図 ガラス充填空間32aの断面形状の最適化のために行った試験方法を説明するための要部平面図 比較例と共に本発明の第2の実施形態における効果を示す特性図 本発明の第3の実施形態におけるガスセンサ素子組立体4bの要部であるガラス充填空間32bの横断面図 ガラス充填空間32bの断面形状の最適化のために行った試験方法を説明するための要部平面図 比較例と共に本発明の第3の実施形態における効果を示す特性図 本発明の効果をまとめた特性図 本発明の第4の実施形態におけるガスセンサ素子組立体4cの要部であるガラス充填空間32cの横断面図 本発明の第5の実施形態におけるガスセンサ素子組立体4dの要部であるガラス充填空間32dの横断面図 比較例1として示す、従来のガスセンサ素子組立体4zの要部であるガラス充填空間32zの横断面図 比較例2として示す、ガスセンサ素子組立体4yの要部であるガラス充填空間32yの横断面図 比較例3として示す、ガスセンサ素子組立体4xの要部であるガラス充填空間32xの横断面図 本発明のガスセンサ素子組立体を用いたガスセンサの全体概要を示す縦断面図
図1A、図1B、図1Cを参照して本発明の第1の実施形態におけるガスセンサ素子組立体4について説明する。
センサ素子組立体4(以下、組立体4と略す。)は、燃焼機関の燃焼排気流路に設けられ被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を測定するガスセンサに用いられるものである。
なお、以下の説明においては、自動車エンジン等の内燃機関から排出される燃焼排気を被測定ガスとし、被測定ガス中の酸素成分濃度を検出する酸素センサを例に説明するが、本発明のガスセンサ素子組立体4は、酸素センサに限定されるものではなく、被測定ガス中の検出対象に応じて、NHセンサ、NOxセンサ、Oセンサ、PMセンサ等の様々なガスセンサ素子の組み付けに適用し得るものである。
なお、以下の説明において、断面矩形で軸方向に延びる平板状のガスセンサ素子1(以下、素子1と略す。)の横断面において、素子1の短辺に平行な方向を短手方向、素子1の長辺に平行な方向を長手方向と称する。
組立体4は、素子1と絶縁体3と封止ガラス2とによって構成されている。
素子1は、被測定ガスに晒され、被測定ガス中の特定成分を検出する検出部10を具備し、断面矩形で軸方向に延びる平板状に形成されている。
絶縁体3は、アルミナ等の公知の絶縁材料が用いられ、筒状に形成されている、
絶縁体3の内側には、断面矩形で軸方向に延びる貫通孔31を具備する。
貫通孔31には素子1が収容保持される。
絶縁体3には、基端側端部の一部を窪ませて区画したガラス充填空間32が形成されている。
ガラス充填空間32には、公知の耐熱性ガラスを予め筒状に形成した封止ガラス2が配設されている。
封止ガラス2を熔融固化することで、素子1と絶縁体3とが気密に固定され、組立体4を構成している。
絶縁体3には、その外周面の一部を平面状に切り欠くように形成した回り止め部33が形成されている。
本実施形態におけるガラス充填空間32は、その横断面形状を、楕円形状としている。
本実施形態における封止ガラス2の横断面形状は、楕円形状となっている。
素子1は、断面矩形で軸方向に伸びる平板状に形成された、いわゆる積層型のセンサ素子である。
素子1の先端側には、被測定ガス中に晒される検出部10が設けられている。
検出部10には、特定のイオンに対して伝導性を示す部分安定化ジルコニアからなる平板状の固体電解質層(図示しない。)と、固体電解質層を挟んで対向し、被測定ガスに接する測定電極(図示しない。)と、基準ガスに接する基準電極(図示しない。)とが設けられている。
また、検出部10を加熱活性化すべく、アルミナ等の絶縁材料を平板状に形成した絶縁層(図示しない。)に埋設され、通電により発熱するヒータ(図示しない。)が設けられている。
検出部10の表面は、多孔質保護層11によって覆われている。
素子1の基端には、検出部10の内側に基準ガスとして大気を導入する基準ガス室12が開口している。
素子1の基端側表面には、外部に設けた図略の演算部と基準電極層及び測定電極層との導通を図る一対の信号端子13と、検出部10に設けたヒータと外部に設けた電源との導通を図る一対の通電端子14が設けられている。
以下の説明において、素子1の中心点CPから素子1の短辺に向かって垂直に下ろした直線を長辺方向中心線CLとし、素子1の中心点CPから素子1の長辺に向かって垂直に下ろした直線を短辺方向中心線CLとする。
素子1は、断面矩形で中心点CPから対角線に沿った素子1の頂点となる素子対角位置端点P10までの距離を素子対角長さT10とし、中心点CPから素子長手方向端点P11までの距離を素子長手方向長さT11とし、中心点CPから素子短手方向端点P12までの距離を素子短手方向長さT12としたとき、T10 =T11 +T12 の関係にある。
封止ガラス2には、B−znO−SiO−Al−BaO−MgOなどの結晶化ガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス等の高融点ガラスが用いられている。
封止ガラス2は、粉末状の封止ガラス原料を組付け容易にするために筒状に形成し、絶縁体3に設けたガラス充填空間32内に挿入する。
本実施形態においては、封止ガラス2は、断面楕円形状に形成され、中心に素子1を挿入するための貫通孔が設けられている。
素子1と絶縁体3と封止ガラス2とを仮組みしたものを900℃程度に加熱して、封止ガラス2を結晶析出処理すると、封止ガラス2を介して素子1が絶縁体3内に気密に保持された状態となる。
より具体的には、素子1の対角線の延長線と封止ガラス2の端縁との交わるガラス対角位置端点P20までの肉厚をガラス対角位置肉厚T20とし、素子1の素子長手方向端点P11から封止ガラス2のガラス長手方向端点P21までの距離をガラス長手方向肉厚T21とし、素子1の素子短手方向端点P12から封止ガラス2のガラス短手方向端点P22までの距離をガラス短手方向肉厚T22としたとき、T20≦T21<T22の関係が成り立つ。
なお、封止ガラス2を成形する都合から、ガラス対角位置肉厚T20は、1.0mm以上とすることを要する。
さらに、封止ガラス2のガラス対角位置端点P20からガラス長手方向端点P21までの短辺側端縁は、素子1の素子対角位置端点P10を中心とする半径R20=T20の円弧と素子1の短辺側側面に平行な直線とを結んだ曲線ないし、素子1の中心点CPを中心とし、半径R21=T10+T20の円弧によって形成されている。
素子1の中心点CPから封止ガラス2の短辺側端縁までの距離L21は、T11+T20≦L21≦T10+T20の範囲で適宜変更可能である。
また、封止ガラス2のガラス対角位置端点P20からガラス短手方向端点P22までの長手方向側端縁は、仮想中心点VCPを中心とする長径a、短径bの楕円状となっている。
本実施例における仮想中心点VCPは、素子1の対角線の延長線と封止ガラス2の外周縁とが交わる点から素子1の中心点CPを通り、素子1の長辺に直交する直線に垂直に下ろした直線との交点となっている。
素子1の中心点CPから封止ガラス2の長辺側端縁までの距離W22は、T12+T20<W22≦T10+T20−H33の範囲で適宜変更可能である。
また、封止ガラス2の流動性の点から、1.25mm≦W22とすることが望ましいことが判明した。
但し、仮想中心点VCPの位置はこれに限定するものではなく、後述する試験によって明らかとなった範囲で適宜変更可能である。
絶縁体3は、高純度アルミナ等の公知の耐熱性絶縁材料を用いて筒状に形成されている。
絶縁体3は、絶縁体基部30と、センサ素子挿通孔31と、封止ガラス収容空間32と、回り止め部33と、絶縁体拡径部34とによって構成されている。
絶縁体基部30は、外形φD(=2(T10+T20+T30))の円柱状に形成されている。
センサ素子挿通孔31は、絶縁体基部30を貫通するように穿設され、素子1の断面形状に対して、所定のクリアランスを設けた素子1を挿入可能な断面形状となっている。
本実施形態における封止ガラス収容空間32は、封止ガラス2の外周面との間に間隙が形成されるのを抑制するため、内周面が楕円状に湾曲している。
また、局所的な機械的強度の低下を防ぐため、絶縁体基部30が所定の肉厚を有するように封止ガラス収容空間32の内周面が形成されている。
絶縁体対角位置肉厚T30は、素子1の対角線の延長線と、封止ガラス2の外周縁との交点(ガラス対角位置端点P20)から、絶縁体基部30の外周縁との交点(絶縁体対角位置端点P30)までの距離である。
絶縁体長手方向肉厚T31は、封止ガラス2のガラス長手方向端点P21から絶縁体3の絶縁体長手方向端点P31までの距離である。
ガスセンサ素子の1中心から封止ガラス2の長辺に向かって垂直に下ろした短辺方向中心線CLと封止ガラス2の外周縁との交点(ガラス短手方向端点)P22から、短辺方向中心線CLと絶縁体3の外周縁との交点(絶縁体短手方向端点P32)までの距離を絶縁体短手方向肉厚T32としたとき、
30≦T31<T32の関係が成り立っている。
絶縁体回り止め部肉厚T33は、封止ガラス2の素子短手方向端点P12から絶縁体3の回り止め部33の端点(絶縁体回り止め位置端点)P33までの距離である。
切欠深さH33は、回り止め部33の深さである。
30≦T31≦T30+T10−T11
10+T30−H33−T12<T33≦T10+T20−H33の関係が成り立つ。
絶縁体拡径部34は、絶縁体基部30の一部を外径方向に向かった径大となるように張り出した鍔状に形成され、後述するガスセンサに組み付けされる際にタルク粉末等の公知の封止部材を介してハウジングによって気密に保持されるようになっている。
図2A、図2Bを参照して、本発明の第1の実施形態におけるガラス充填空間32の断面形状の最適化のために行った試験とその結果について説明する。
素子1として、断面方向の横幅4.0mm、板厚1.6mmを用いた。
即ち、前述のT11=2.0mm、T12=0.8mm、T10≒2.15mmとなっている。
絶縁体3の外形φDを7.60mmとし、回り止め部深さH33を0.25mmとし、ガラス対角位置肉厚T20を1.0mm、絶縁体対角位置肉厚T30を0.65mmとしたとき、回り止め部33の端縁から封止ガラス2の端縁までの距離、即ち、回り止め部肉厚T33を0.5mmから1.75mmまで段階的に変化させ、絶縁体3の軸方向に圧縮荷重を負荷して、割れの発生した限界荷重を計測した。
その結果、従来の比較例1では、800N以下の圧縮荷重によって割れを生じた。
本発明の第1の実施形態においては、回り止め部肉厚T33を0.68mm以上とした場合に、900N以上の目標荷重に対抗できる強度を発揮できることが判明した。
また、回り止め部肉厚T33を1.5mmよりも厚くすると、機械的強度は目標荷重を超えることができるが、封止ガラス2のガラス断面長手方向肉厚T21が薄くなるため、成形時の充填密度が低下するのに加え、ガラス充填空間32の内周面と封止ガラス2の外周縁との間に間隙GPが大きくなることが判明した。
以上のことから、本実施形態においては、絶縁体回り止め部肉厚T330.68mm以上、1.5mm以下とするのが望ましいことが判明した。
図3、図4A、図4Bを参照して、本発明の第2の実施形態における組立体4aについて説明する。
なお、以下の実施形態においては、前記実施形態と同様の構成について同じ符号を付し、それぞれの実施形態における特徴的な部分に枝番としてアルファベットの記号を付したので、前記実施形態と同じ部分については説明を省略し、それぞれの実施形態における特徴を中心に説明する。
本実施形態におけるガラス充填空間32aは、角部がR状に湾曲する断面角丸八角形状に形成されている。
本実施形態では、素子1の対角線の延長線上において、ガラス対角位置肉厚T20、ガラス長手方向肉厚T21、ガラス短手方向肉厚T22との間に、T20≦T21<T22の関係が成り立つ。
また、素子1の対角線の延長線上において、絶縁体対角位置肉厚T30、絶縁体長手方向肉厚T31、絶縁体回り止め部肉厚T33との間に、T30≦T31≦T33の関係が成り立つ。
また、八角形の各頂角は、半径R=T20で湾曲する丸角に形成されている。
さらに、ガラス充填空間32aの内周面の内、素子1の長手方向平面に対して平行で、回り止め部33が形成された側の回り止め側内周面と、素子1の短手方向側面に対して平行な短手側内周面との間を繋ぐ多角内周面傾斜辺の傾斜角度θaは、45°に設定してある。
本実施形態においても、図4Aに示すように、絶縁体回り止め部肉厚T33aを、0.5mm〜1.75mmまで変化させて、割れ荷重を調査したところ、図4Bに示すように、0.62mm以上で所定の目標荷重(900N)以上の強度を発揮できることが判明した。
図5、図6A、図6Bを参照して、本発明の第3の実施形態における組立体4bについて説明する。
本実施形態においては、多角内周面傾斜辺の傾斜角度θbを30°に設定してある。
本実施形態においては、図6Aに示すように、絶縁体回り止め部肉厚T33bを0.45mm〜1.75mm迄変化させたとき、0.45mm以上で、割れ荷重の向上を図ることができることが判明した。
また、本実施形態においても、前記実施形態と同様、絶縁体回り止め部肉厚T33bが1.5mmを超えると、封止ガラス2bの充填性の低下や、流動性の低下により間隙GPの形成が懸念される。
表1は、比較例とともに、各実施例における割れ発生荷重の変化に対する調査結果を示す。
本発明によれば、いずれの実施形態においても、目標割れ荷重以上の強度を発揮できることが判明した。
Figure 2016014615
さらに、図7に示すように、本発明の効果をまとめると、いずれの実施形態においても、回り止め部肉厚T33、T33a、T33bを、0.68mm以上、とすることで、局所的な強度低下を回避し、目標荷重を超える、耐久性の高い組立体4、4a、4bを形成できることが判明した。
なお、上記実施形態においては、封止ガラス2a、2bの横断面形状を角丸八角形とした場合において、傾斜角度θa、θbをそれぞれ45°と30°とした例を示したが、本発明においては、ガラス充填空間32a、32bの内周縁の形状に沿った封止ガラス2a、2bの外周縁の形状をこれらに限定するものではなく、角丸六角形や、角丸十二角形や、角丸二十四角形など様々な角丸多角形状としても良い。
この場合においても、素子1の対角線の延長線上におけるガラス対角位置肉厚T20及び絶縁体対角位置肉厚T30が、最薄となるように、ガラス断面短手方向肉厚T22及び回り止め部肉厚T33を設定することで、絶縁体3の軸方向に作用する荷重に対して十分な強度を発揮することができる、
また、ガラス充填空間32の内周面を多角形に形成した場合、隣り合う二辺が交叉することで形成される角部に所定のRを設けることで、封止ガラス2、2a、2bの外周縁との間に間隙が形成され難くなり、気密性を確保できる。
図8を参照して、本発明の第4の実施形態におけるスセンサ素子組立体4cについて説明する。
前記実施形態においては、絶縁体3に回り止め部33を設けた構成について説明したが、本実施形態における絶縁体3cにおいては、回り止め部を設けておらず、絶縁体3cの外径φD3cをガラス充填空間32cを構成する内周面が外径に内接するほど極限まで細くしている。
本実施形態においては、ガラス充填空間32cの横断面形状を、第1の実施形態におけるガスセンサ素子組立体1と同様の楕円形状、とすることで、封止ガラス2cの横断面形状を楕円形状に形成してある。
本実施形態においても、T30≦T31<T32cの関係が成り立っている、
さらに、本実施形態においても、T20≦T21<T22の関係が成り立っている。
本実施形態においては、ガラス充填空間32の横断面形状を楕円状とすることで、絶縁体3cの絶縁体短手方向肉厚T32cを厚肉に形成することで、最薄部となる絶縁体対角位置の強度不足を補い、絶縁体3cの基端側の強度を相対的に強くすることができる。
本実施形態においては、前記実施形態と同程度の大きさの素子1(例えば、板厚2T12=1.6mm×横幅2T11=4.0mm)を使用した場合、絶縁体3cの基端側においてガラス充填空間32cを形成する周壁部の最薄部となる絶縁体対角位置肉厚T30が、例えば、0.65mm以上、最厚部となる絶縁体短手方向肉厚T32cが0.83mm以上であれば、本発明の効果を発揮し得ることが判明した。
図9を参照して、本発明の第5の実施形態における組立体4dについて説明する。
本実施形態においても、第4の実施形態と同様、回り止め部を設けておらず、絶縁体3dの外径φD3dを極限まで細くしている。
さらに、本実施形態においては、ガラス充填空間32dの横断面形状を、第2、第3の実施形態におけるガスセンサ素子組立体4a、4bと同様、角を丸めた角丸多角形状とすることで、封止ガラス2dの横断面形状を、角を丸めた角丸多角形状としている。
このような構成とすることで、第3の実施形態と同様の効果を発揮できる。
図10、図11、図12に、それぞれ、比較例1、比較例2、比較例3として示す、本発明の効果を発揮し得ない組立体4z、4y、4xについて説明する。
比較例1では、ガラス充填空間32zの内周面が円形に形成されており、回り止め部33を形成した部分の肉厚T33zが他の部分の肉厚(T30)よりも薄肉となっている。
このため、絶縁体3zの組み付け荷重に対する機械的強度が低下し、組み付け時に割れ不良を発生させる虞があった。
また、絶縁体3zを金型等を用いて成型する際に、回り止め部33を形成するためのキャビティが狭く、材料の充填性が低下して、局所的な密度低下による歪みを招く虞もあった。
比較例2では、回り止め部33が形成され、断面小判型に形成された絶縁体3yの外周面と並行となるようにガラス充填空間32yの内周面を断面小判型に形成することで、絶縁体3yの回り止め部33を形成位置の肉厚T33yを他の部分の肉厚T30と均等に形成してある。
ガラス充填空間32yの内周面と表面張力によって断面楕円状となった封止ガラス2yの表面との間に間隙GPが形成され、気密性の低下を招く虞があった。
比較例3では、絶縁体3xの外周面に回り止め部を形成していない構成において、ガスセンサの更なる小型化を図るべく、環溝状のガラス充填空間32xを形成する絶縁体3xの基端側外周面が周壁面として形成可能な極限まで薄くして、絶縁体3xの外径φD3xを細くしている。
絶縁体3の基端側における肉厚T30xが極めて薄くなるので、成形時に用いられる金型に形成されるキャビティが狭く、緻密性が低下する上に、組付け時の荷重を受ける断面積が小さくなるため、薄肉部全体が組み付け荷重に耐え切れなくなり、組み付け時に割れ不良を発生させる虞がある。
図13を参照して、本発明の組立体4を含む、ガスセンサ8の概要について説明する。
ガスセンサ8は、組立体4と、ハウジング5と、カバー体6と、ガスセンサ基端部7とによって構成されている。
ハウジング5は、鉄、ニッケル、これらの合金、炭素鋼、ステンレス等の公知の金属材料が用いられている。
ハウジング5は、ハウジング基体50と、組立体収容部51と、組立体係止部52と、大径筒部53と、加締め部54と、カバー加締部55と、ネジ部56とによって構成されている。
ハウジング基体50の内側には、組立体収容部51が形成され、組立体収容部51の基端側には、基端側に向かって径大となるように径変する組立体係止部52が設けられ、さらに基端側には、絶縁体拡径部34が挿通可能な大径筒部53が形成されている。
組立体収容部51内には、本発明に係る組立体4の先端側が収容されている。
組立体4の絶縁体拡径部34の先端側の面が、直接又は間接的に組立体係止部52に当接している。
さらに、絶縁体拡径部34と加締め部54と大径筒部53とによって区画された空間内に、タルク等の公知の粉末充填剤57やシール部材が充填され、加締め部54によって軸力を作用させて絶縁体拡径部34を押圧するようにして、気密に固定している。
ネジ部56は、被測定ガス80の流れる被測定ガス流路81に螺結され、素子1の先端に設けた検出部10を被測定ガス80内に保持している。
カバー体6は、有底筒状に設けられている。カバー体基部60には、内側に被測定ガスを導入するための導入孔61が穿設されている。
カバー体6の基端側はハウジング5の先端に設けたカバー体加締め部55によって加締め固定されている。
本図には、二重筒構造のカバー体を示してあるが、本発明においては、特に限定すべきものではなく、適宜変更し得るものである。
ガスセンサ基端部7は、ケーシング70と、絶縁体71と、一対の信号端子金具72と、一対の通電端子金具73と、一対の信号線74と、一対の通電線75と、撥水フィルタ76と、グロメット78とによって構成されている。
ケーシング70は、ステンレス等の公知の金属材料を用いて筒状に形成されている。
ケーシング70は、ハウジング5の基端側を覆いつつ、内側に、絶縁体71、一対の信号端子金具72、一対の通電端子金具73、一対の信号線74、一対の導通線75を収容すると共に、基端側をグロメット78を介して気密に保持している。
ケーシング70には、通気孔761、762が穿設され、撥水フィルタ76を介してガスセンサ8の内側と大気との連通を図っている。
撥水フィルタ76は、液体は遮断し、気体は透過する公知の撥水性多孔質膜からなり、基準ガスとして大気を導入する際の水滴の侵入を阻止している。
素子1の基端に設けられた一対の信号電極13と一対のヒータ電極14が形成されており、信号端子金具72、通電端子金具73、一対の信号線74、通電線75を介して外部に設けた図略の演算部及び電源制御部に接続されている。
信号端子金具72、通電端子金具73は、ステンレス、銅等の公知の導電性材料からなり、先端側がバネ状に形成され、信号端子13、通電端子14と弾性的に当接し、基端側に、信号線74、通電線75が圧着され、素子1と外部との導通を図っている。
絶縁体71は、アルミナ等の公知の絶縁材料によって形成され、信号端子金具72、通電端子金具73とケーシング70との絶縁を保持している。
また、組立体4の絶縁体3に設けられた回り止め部33と絶縁体71とが勘合して素子1に設けた電極13、14の向きと信号端子金具72、通電端子金具73の押圧方向とを一致させている。
ケーシング70は、ハウジング5の大径筒部53の外周を覆うように嵌着され、固定されている。
加締め部77は、グロメット78を圧縮してケーシング70の基端側を気密に封止している。
本発明のガスセンサ素子組立体は、酸素センサ、空燃比センサ、アンモニアセンサ、NOxセンサ、PMセンサ、湿度センサ等、センサ素子が断面矩形で、軸方向に延びる平板状に形成されているものであれば、測定対象となる流体の如何にかかわらず、様々なセンサに利用できるものである。
1 ガスセンサ素子
10 検出部
2 封止ガラス
3 絶縁体
30 絶縁体基部
31 センサ素子挿通孔
32 ガラス充填空間
33 回り止め部
4 ガスセンサ素子組立体
20 ガラス対角位置肉厚(最薄厚)
21 ガラス長手方向肉厚
22 ガラス短手方向肉厚
30 絶縁体対角位置肉厚(最薄厚)
31 絶縁体長手方向肉厚
32 絶縁体短手方向肉厚(最大厚)
33 絶縁体回り止め部肉厚
33 回り止め部切り欠き深さ
21 ガラス長手方向長さ
22 ガラス短手方向長さ
充填空間長径
充填空間短径
φD 絶縁保持部材外径
CP 中心点
VCP 仮想中心点
CL 長辺方向中心線
CL 短辺方向中心線
20 ガラス対角位置端点
21 ガラス長手方向端点
22 ガラス短手方向端点
30 絶縁体対角位置端点
31 絶縁体長手方向端点
32 絶縁体短手方向端点
33 絶縁体回り止め位置端点

Claims (5)

  1. 被測定ガスに晒され、被測定ガス中の特定成分を検出する検出部(10)を具備し、断面矩形で軸方向に延びる平板状のガスセンサ素子(1)と、
    内側に断面矩形で軸方向に延びる貫通孔(31)を具備し、該貫通孔に前記ガスセンサ素子を収容保持する筒状の絶縁体(3)と、
    該絶縁体の一部を窪ませて区画したガラス充填空間(32)に配設した筒状の封止ガラス(2)と、を有し、
    前記封止ガラスを熔融固化して前記ガスセンサ素子と前記絶縁体とを気密に固定したガスセンサ素子組立体において、
    前記ガラス充填空間の横断面形状を、楕円形状、又は、角を丸めた角丸多角形状とすることで、
    前記封止ガラスの横断面形状を、楕円形状、又は、角を丸めた角丸多角形状となしたことを特徴とするガスセンサ素子組立体(4、4a、4b、4c、4d)
  2. 前記絶縁体が、その外周面の一部を平面状に切り欠くように形成した回り止め部(33)を具備する請求項1に記載のガスセンサ素子組立体(4、4a、4b)
  3. 前記ガスセンサ素子の対角線の延長線と、前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス対角位置端点P20)から、前記絶縁体の外周縁との交点(絶縁体対角位置端点P30)までの距離を絶縁体対角位置肉厚T30とし、
    前記ガスセンサ素子の中心点(CP)から前記ガスセンサ素子の短辺に向かって垂直に下ろした長辺方向中心線(CL)と前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス長手方向端点P21)から、前記長辺方向中心線と前記絶縁体の外周縁との交点(絶縁体長手方向端点P31)までの距離を絶縁体長手方向肉厚T31とし、
    前記ガスセンサ素子の中心から前記封止ガラスの長辺に向かって垂直に下ろした短辺方向中心線(CL)と前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス短手方向端点P22)から、前記短辺方向中心線と前記絶縁体3の外周縁との交点(絶縁体短手方向端点P32)までの距離を絶縁体短手方向肉厚T32としたとき、
    30≦T31<T32の関係が成り立つ請求項1又は2に記載のガスセンサ素子組立体(4、4a、4b、4c)
  4. 前記ガスセンサ素子の対角線の延長線と、前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス対角位置端点P20)から、前記絶縁体の外周縁との交点(絶縁体対角位置端点P30)までの距離を絶縁体対角位置肉厚T30とし、
    前記ガスセンサ素子の中心(CP)から前記ガスセンサ素子の短辺に向かって垂直に下ろした長辺方向中心線(CL)と前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス長手方向端点P21)から、前記長辺方向中心線と前記絶縁体の外周縁との交点(絶縁体長手方向端点P31)までの距離を絶縁体長手方向肉厚T31とし、
    前記ガスセンサ素子の中心から前記封止ガラスの長辺に向かって垂直に下ろした短辺方向中心線(CL)と前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス短手方向端点P22)から、前記短辺方向中心線と前記回り止め部の端縁との交点(絶縁体回り止め位置端点P33)までの距離を絶縁体回り止め部肉厚T33としたとき、
    30≦T31≦T33の関係が成り立つ請求項2に記載のガスセンサ素子組立体(4、4a、4b)
  5. 前記ガスセンサ素子の頂点(素子対角位置端点P10)から、前記ガスセンサ素子の対角線の延長線と、前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス対角位置端点P20)までの距離をガラス対角位置肉厚T20とし、
    前記ガスセンサ素子の中心(CP)から前記ガスセンサ素子の短辺に向かって垂直に下ろした長辺方向中心線(CL)と前記ガスセンサ素子の短辺との交点(素子長手方向端点P11)から前記長辺方向中心線と前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス長手方向端点P21)までの距離をガラス長手方向肉厚T21とし、
    前記ガスセンサ素子の中心から前記ガスセンサ素子の長辺に向かって垂直に下ろした短辺方向中心線(CL)と前記ガスセンサ素子の長辺との交点(素子短手方向端点P12)から前記封止ガラスの外周縁との交点(ガラス短手方向端点P22)までの距離をガラス短手方向肉厚T22としたとき、
    20≦T21<T22の関係が成り立つ請求項1ないし4のいずれかに記載のガスセンサ素子組立体(4、4a、4b、4c、4d)
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