JP2016014228A - 木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造 - Google Patents

木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造 Download PDF

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Abstract

【課題】屋根が吹き飛ぶほどの強風が発生した場合、あえて屋根の軒部における垂木を除く屋根構成材を吹き飛ばしやすい構造に形成して屋根本体の吹き飛びを防止する、木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造を提供する。【解決手段】屋根の垂木1における軒部Nを除いた屋根本体部分Hに野地板2が固定されている。野地板2の最下端部と、軒部Nの垂木1とに跨がるようにアスファルトルーフィング3が横貼りされ、前記ルーフィング3の下方部に切断線が設けられ暖簾状に垂下されている。軒部Nの垂木1には化粧用の野地板4が固定されている。前記野地板4、2上にアスファルトルーフィング5が敷設され、さらに当該ルーフィング5上にスレート6が葺かれている。【選択図】図1

Description

この発明は、木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造の技術分野に属し、更にいえば、台風や竜巻により屋根が吹き飛ぶほどの強風(暴風、突風を含む。以下同じ。)が発生した場合、あえて屋根の軒部を吹き飛ばしやすい構造に形成して屋根本体の吹き飛びを防止する、いわゆるトカゲの尻尾切りの如き構成の木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造に関する。
木造住宅の屋根は、例えば、図9A、Bに示したように、軒桁a、母屋b、棟木に対し直交方向に架け渡した垂木cの上に、板材からなる下張りとして野地板(屋根下地材)dを突き合わせた配置で釘打ちして留め、その上からアスファルトルーフィング(屋根下葺き材)eを軒先側から棟側へ一部重ね合わせてビス留め等した後、さらにその上面を覆うようにして、スレート(屋根外装材)fをやはり軒先側から棟側へ一部重ね合わせて葺く構法が一般的に採用されている。
ちなみに図9B中の符号gは野縁、符号hは軒天井、符号iは鼻隠し、符号jは広小舞、符号kは柱材、符号lは外壁材を示している。
従来、台風や竜巻により屋根が吹き飛ぶほどの強風(例えば、風速40〜50m/秒)が発生した場合、軒下部(軒天井h)に強風圧(図9B中の矢印参照)、すなわち強風による振動や繰り返し応力が作用することによって、垂木cが軒桁a、母屋bから離脱する事態が発生し、屋根を構成する野地板d、アスファルトルーフィングe、及びスレートfが垂木cごとめくれ上がり、極端な場合には、屋根全体が吹き飛ばされてしまう被害が現実に起こっている。
ところで、木造住宅の屋根構造を補強する発明は種々開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記特許文献1には、既存の屋根材(スレート等の屋根外装材)の上へ、さらに裏面にクッション材を形成した硬質屋根材を取り付けることにより、屋根の安定性を高めた発明が開示されている。
前記特許文献2には、構造材同士が離脱しないように、桁材と屋根(垂木と推認される。)とを土台補強材で補強する発明が開示されている。
特開平11−141058号公報 特開2004−131933号公報
しかしながら、上記特許文献1に係る発明は、水平方向又は上方向から作用する強風圧に対しては一応の効果が認められるものの、軒下部に作用する強風圧に対しては何ら対策が施されていない。よって、軒下部に屋根が吹き飛ぶほどの強風圧が作用した場合、屋根が垂木ごとめくれ上がる等の問題は依然として解消されない。
また、上記特許文献2に係る発明は、果たしてどの程度の耐風性を発揮できるのか、甚だ疑わしい。近年、人知の想像を超える台風等の自然災害を鑑みると、この程度の補強が不十分であることは想像に難くない。むしろ桁材と屋根(垂木)とを堅固に拘束した構造であるが故に、屋根が吹き飛ぶほどの強風圧が作用すると、屋根だけでなく住宅の損傷を誘発する虞がある。
要するに、従来の木造住宅の屋根構造に関する発明は、耐風性の向上(耐風施工)に着眼するものばかりであり、耐風性向上に着眼するあまり、屋根の軒下部に屋根が吹き飛ぶほどの強風圧が作用すると、てこの原理により、垂木cが軒桁a、母屋bから離脱する事態が発生し、屋根を構成する野地板d、アスファルトルーフィングe、及びスレートfが垂木cごとめくれ上がる等の問題を常に孕んでいる。垂木cごとめくり上がった場合の屋根の修繕費用は1000万円以上になることも珍しくなく、早急なる改善策が求められている。
本発明は、上述した背景技術の問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、台風や竜巻により屋根が吹き飛ぶほどの強風が発生した場合、当該強風圧に対しては無闇に抵抗することなく、あえて屋根の軒部における垂木を除く屋根構成材(野地板等)を吹き飛ばしやすい構造に形成して垂木、ひいては屋根本体の吹き飛びを防止する、いわゆるトカゲの尻尾切りの如き構成の木造住宅の屋根本体(以下適宜、屋根本体部分という。)の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造を提供することにある。
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法は、屋根の垂木における軒部を除いた屋根本体部分に野地板等の屋根下地材を固定すること、
前記屋根下地材の最下端部と、軒部の露出した垂木とに跨がるようにアスファルトルーフィング等の屋根下葺き材を水平方向に横貼りし、当該軒部の露出した垂木に沿って前記屋根下葺き材に切断線を入れ、当該屋根下葺き材の下方部を暖簾状に垂下させること、
前記軒部の露出した垂木に化粧用の屋根下地材を固定すること、
垂木の軒先側から棟側にかけて固定した前記屋根下地材上に屋根下葺き材を敷設し、さらに当該屋根下葺き材上に、必要に応じて桟板等を介在させてスレート等の屋根外装材を葺くことを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法において、前記軒部の露出した垂木に固定する化粧用の屋根下地材は、幅が10cm程度の野地板を複数枚敷き並べて敷設することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法において、前記屋根下葺き材に入れる切断線は、当該垂木の軸線方向に沿って1本とすることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法において、前記垂木と軒桁との接合部は、くら金物を用いて補強することを特徴とする。
請求項5に記載した発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造は、屋根の垂木における軒部を除いた屋根本体部分に野地板等の屋根下地材が固定されていること、
前記屋根下地材の最下端部と、軒部の垂木とに跨がるようにアスファルトルーフィング等の屋根下葺き材が水平方向に横貼りされ、当該軒部の垂木に沿って前記屋根下葺き材に切断線が設けられて当該屋根下葺き材の下方部が暖簾状に垂下されていること、
前記軒部の垂木に化粧用の屋根下地材が固定されていること、
垂木の軒先側から棟側にかけて固定された前記屋根下地材上に屋根下葺き材が敷設され、さらに当該屋根下葺き材上に、必要に応じて桟板等を介在させてスレート等の屋根外装材が葺かれてなることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造において、前記暖簾状に垂下した屋根下葺き材の下端部は、外壁材の内側の通気層へ納められていることを特徴とする。
本発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造によれば、以下の効果を奏する。
1)台風や竜巻により屋根が吹き飛ぶほどの強風が発生した場合、当該強風圧に対し、無闇に抵抗することなく、軒部Nにおける化粧用の野地板4が垂木1から離脱して吹き飛ぶ作用が働く。そうすると自動的に、軒部Nのアスファルトルーフィング5、スレート6も吹き飛ぶ。一方、垂木1は、軒桁10等の横材に結合されたままの状態で原位置に残すことができる(図8参照)。いわばトカゲの尻尾切りの如き構成を実現した。
2)かくして、屋根本体部分Hに対し、下方からの強風圧による悪影響はもはや無く、当該強風圧によるスレート6等の屋根構成材のさらなる吹き飛びを防止することができる。3)軒部Nの化粧用の野地板4、アスファルトルーフィング5、及びスレート6が吹き飛んだ後は、暖簾状に垂れ下がるアスファルトルーフィング3により雨仕舞いが可能となり、木造住宅内への雨水の浸入を防止することができる。
4)修繕については、垂木1が原位置に残されており、かつ、軒部Nを除く屋根本体部分Hの野地板2、アスファルトルーフィング5、及びスレート6は残存しているので、修繕部分も小さく、速やかに行うことができる。また、修繕作業は、住人が居室に居ながらにして実施できる。よって、施工性、経済性に非常に優れている。
5)強風圧により吹き飛ぶ軒部Nのスレート6等の被害も、垂木1ごと吹き飛ぶ虞のある従来技術と比し、格段に抑制することができる。
6)従来一般の屋根構成材で実現することができる。すなわち、従来から用いられている野地板(屋根下地材)、アスファルトルーフィング(屋根下葺き材)、およびスレート(屋根下地材)で実現できるので、経済的、かつ至極合理的である。
本発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造を示す立面図である。 本発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法について、屋根の軒部を除いた屋根本体部分の垂木に野地板を固定(張設)した状態を示す立面図である。 前記野地板の最下端部にアスファルトルーフィングを水平方向に横張りし、その後、当該ルーフィングに切断線を入れて暖簾状に垂下させた状態を示す立面図である。 屋根の軒部の垂木に化粧用の野地板を固定した状態を示す立面図である。 垂木の軒先側から棟側にかけて固定した野地板上に一列目のアスファルトルーフィングを敷設した状態を示す立面図である。 垂木の軒先側から棟側にかけて固定した野地板上に二列目のアスファルトルーフィングを敷設した状態を示す立面図である。 屋根全面に敷設したアスファルトルーフィングを覆うようにしてスレートを葺いた状態を示す立面図である。 本発明にかかる木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造について、屋根が吹き飛ぶほどの強風圧が作用した状態を示す立面図である。 Aは従来の屋根構造を概略的に示した斜視図であり、Bは同立面図である。
次に、本発明に係る木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造を示している。
この木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造は、屋根の垂木1における軒部Nを除いた屋根本体部分Hに野地板等の屋根下地材2が固定されている。
前記屋根下地材2の最下端部と、軒部Nの垂木1とに跨がるようにアスファルトルーフィング等の屋根下葺き材3が水平方向に横貼りされ、当該軒部Nの垂木1に沿って前記屋根下葺き材3に切断線が設けられて当該屋根下葺き材3の下方部が暖簾状に垂下されている。
前記軒部Nの垂木1に化粧用の屋根下地材4が固定されている。
垂木1の軒先側から棟側にかけて固定された前記屋根下地材4、2上に屋根下葺き材5が敷設され、さらに当該屋根下葺き材5上に、必要に応じて桟板等を介在させてスレート等の屋根外装材6が葺かれて成る。
なお、図面上、屋根外装材6の個々の勾配(傾斜角度)は一定ではないが、これは厚さ1mm程度にすぎない屋根下葺き材3、5の構成を、図示の便宜上分かりやすく誇張したからであり、実際の屋根外装材6の個々の勾配はほぼ一定であることを念のため申し添える。以下、本発明の構成を具体的に説明する。
前記垂木1は、軒桁10、母屋、棟木(図示略)に対し直交方向に架け渡されている。垂木1の太さや配置間隔は、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。必要に応じてくら金物を軒桁10、母屋、又は棟木に固定し、垂木1の定着性を高める手法は適宜採用される。
垂木1には、雨仕舞い等に応じて面戸板7、鼻隠し11、広小舞12が適宜取り付けられる。樋は、図示の便宜上省略した。
なお、本実施例は、木造軸組工法(在来工法)を想定しているが、木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)にも適用できる。
また、本実施例は、垂木1を骨材とする軒部Nを備えた屋根構造であれば、方形屋根、切妻屋根、寄棟屋根等を問わず自由に実施できる。方形屋根で実施する場合は、棟木、破風板等は省略される。
屋根の垂木1における軒部Nと屋根本体部分Hとの境界は、本実施例では、軒桁10の前面に設けた外壁用下地材13の外側面の鉛直線上に設定しているがこれに限定されない。当該鉛直線上の左右5cm程度の範囲内であれば好適に実施できる。要するに、暖簾状に垂下する前記屋根下葺き材(アスファルトルーフィング)3の下方部が、木造住宅の外壁材14の内側の通気層15へ弛みなくスムーズに納まるように実施できればよい。
ちなみに、本実施例にかかる前記軒部(軒の出)Nの寸法は、60cm程度を想定しているが勿論これに限定されない。
前記屋根本体部分Hに固定する屋根下地材(野地板)2は、一例として12×910×1820mmの構造用合板(又はコンクリートパネル)が採用され、千鳥貼り等に突き合わせて貼り付けられている。前記野地板2は、当該野地板2の(水勾配の)下端ラインが、前記外壁用下地材13の外側面の鉛直線上にほぼ揃えて貼り付けられている。当該野地板2の下端ラインを揃えて貼り付ける際には墨出ししておくのが効果的である。
かくして、屋根の軒部Nを除いた屋根本体部分H(平面方向からみて木造住宅の室内部分)の全面に野地板2が貼り付けられるのである。
なお、前記構造用合板のサイズは勿論前記寸法に限定されず、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
前記野地板2の(水勾配の)最下端部と、軒部Nの垂木1とに跨がるように設けられる屋根下葺き材3は、幅(せい)が1m程度で、厚み1mm程度のロール状に成形したアスファルトルーフィング3が採用されている。前記ルーフィング3は、一端部から他端部まで水平方向に横貼りされ、その上部の前記野地板2の最下端部にタッカー等の留め具で固定されている。しかる後、カッター等の切断機で、前記軒部Nの垂木1の軸線方向に沿って前記アスファルトルーフィング3に切断線を1本入れ、当該ルーフィング3(以下適宜、捨てルーフィング3という。)の下方部が暖簾状に垂下されている。
なお、暖簾状に垂下する部分の寸法は、軒桁10を覆い隠し、かつ外壁材14の内側の通気層15に納まるのに好適な寸法(30〜60cm程度)に設定されている。
前記軒部N側の垂木1には、化粧用の屋根下地材(野地板)4が固定されている。すなわち、当該野地板4の下方には軒天井を設けない構成で実施されている。
この化粧用の野地板4には、幅(せい)が10cm程度の杉無垢板4が好適に用いられている。この杉無垢板4は水勾配に沿って隙間なく敷設されている。具体的には、屋根本体H側に設けた野地板2の下端縁に前記杉無垢板4を前記捨てルーフィング3を介して突き合わせて配置し、釘等の固定具で留め、以下順に軒先(図示例では広小舞12)側へ隙間なく敷き並べて配置し、釘等の固定具で留めて敷設されている。
かくして、軒部Nを含めた屋根全面に、すなわち垂木1の軒先側から棟側にかけて全面に固定された前記屋根下地材4、2上に、屋根下葺き材5が敷設される。
前記屋根下葺き材5は、アスファルトルーフィング5が採用され、従来と同様の手法で敷設される。すなわち、前記ルーフィング5の継ぎ部は桁方向(横方法)の重ね合わせを200mm程度、流れ方向(縦方向)の重ね合わせを100mm程度として、下側から上側へ、タッカー等の留め具により20〜30cmの間隔で打ち付けて貼り付けられる。ただし、既に前記捨てルーフィング3を貼り付けている部位は、3重貼り構造となる。当該3重貼り構造の部分は、やはりタッカー等の留め具により貼り付けられ、その上位の2重貼り構造の部分は、両面テープ等の接着部材により面タッチ状態に接着されている。
前記アスファルトルーフィング5を屋根全面に敷設した後は、従来工法に倣い、必要に応じて桟板等を介在させてスレート等の屋根外装材6が葺かれている。
図示例ではスレート葺きで実施されているが、施主の要望等に応じて瓦で葺くこともできるし、金属板で葺くこともできる。
次に、構造設計の観点から説明すると、本実施例では、垂木1と横材(特には軒桁10)との結合力を、垂木1と軒部Nにおける化粧用の野地板4(スレート6、ルーフィング4の重さも加味する。)との結合力より大きくなる構造設計で実施している。従来は、前記各結合力の相関関係(大小の関係)について、特に留意することなく構造設計していた。
しかし、本実施例では、前記各結合力の相関関係を明確に設定している。これは、構造設計で確認することもできるが、簡単なモデル実験でも確認できる。例えば、垂木1に固定した化粧用の野地板4を上方へ持ち上げて、垂木1が軒桁10から離脱するよりも前に化粧用の野地板4が垂木1から離脱するか否かを確認するのである。化粧用の野地板4が垂木1から離脱するよりも早く垂木1が軒桁10から離脱しそうな場合は、横材(特には軒桁10の裏側面)にけら金物をビス留めして垂木1との結合力を向上させたり、化粧用の野地板4を垂木1に留める釘寸法を短くしたりする等の工夫を施す。
次に、前記吹き飛び防止構造を実現する木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法について説明する。
この木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法は、上棟(棟上げ)後に行う。まずは、屋根の下地工事を行い、下葺き材(ルーフィングなど)を施工し、最後に屋根の仕上げ工事(スレートなど)を行う。以下、具体的に説明する。
上棟後に先ず、図2に示したように、屋根の垂木1における軒部Nを除いた屋根本体部分Hに野地板(等の屋根下地材)2を固定する。
本実施例にかかる木造住宅は、木造軸組工法で構築している。屋根構造は方形屋根で実施しているので、棟木、破風板等は省略される。前記垂木1は、軒桁10、母屋に対し直交方向に架け渡している。垂木1を架け渡す手法は、ひねり金物を用いる等の従来通りの手法で行っている。ちなみに図中の符号7は、面戸板、符号11は鼻隠し、符号12は広小舞12を示している。樋は、その形状および取り付け手法等、バリエーションに富むため図示の便宜上省略した。
屋根の垂木1における軒部Nと屋根本体部分Hとの境界は、上述した構成で設定している(段落[0021]参照)。本実施例では、軒桁10の前面に設ける予定の外壁用下地材13の外側面(前面)の鉛直線上に沿って墨出しておき、これに野地板2の水勾配の下端ラインを揃えて貼り付け作業を行う。その後は、棟側方向へ前記野地板2の貼り付け作業を行い、もって、屋根の軒部Nを除いた屋根本体部分H(平面方向からみて木造住宅の室内部分)の全面に野地板2が縦横ラインを揃えて(又は千鳥貼り状に)貼り付けられる。ちなみに本実施例にかかる野地板2は、一例として12×910×1820mmの構造用合板を採用している。
次に、図3に示したように、前記野地板2の最下端部と、軒部Nの露出した垂木1とに跨がるようにアスファルトルーフィング(等の屋根下葺き材)3を水平方向に1列分だけ横貼りし(図3の点線参照)、その上部を、前記野地板2の最下端部にタッカー等の留め具で固定する。しかる後、軒部Nの露出した垂木1の軸線方向に沿って前記ルーフィング3にカッターで切断線を1本入れ、当該ルーフィング3の下方部を暖簾状に垂下させる。当該切断作業は、垂木1を損傷しないように留意する。
ちなみに前記ルーフィング3は、一例として、幅(せい)が1m程度、厚み1mm程度、長さ16m程度(又は40m程度)のロール状に成形したものを使用する。
なお、前記ルーフィング3の下方部に切断線を入れる手法はこれに限定されず、要するに、当該ルーフィング3の下方部を暖簾状に垂下させ得る手法であればよい。また、暖簾状に垂下させた部分は、雨仕舞いの効率をさらに高めるべく、隣接するルーフィング3の下方部同士を粘着テープ、接着剤を用いて隙間をなくす等の工夫は適宜行われる。
次に、図4に示したように、前記軒部Nの露出した垂木1に化粧用の野地板(屋根下地材)4を釘等の固定具で固定する。
すなわち、当該野地板4の下方に軒天井を設けない構成で実施する。台風や竜巻により屋根が吹き飛ぶほどの強風圧(風速40〜50m/秒程度)が発生した場合、軒部Nにおける垂木1の上部構成材(野地板4、アスファルトルーフィング5、及びスレート6)を合理的に吹き飛ばす構成を実現するためである。
本実施例にかかる化粧用の野地板4には、一例として、幅(せい)が10cm程度の杉無垢板4を用いている。この杉野地板4を、水勾配に沿って隙間なく敷き並べて敷設する。
構造設計の観点から説明すると、本実施例では、垂木1と軒桁10との結合力を、垂木1と化粧用の野地板4との結合力より大きくなる構造設計で実施している(前記段落[0027]参照)。
なお、本実施例では、屋根本体H側に設けた野地板2の下端縁と、前記捨てルーフィング3を介して当接する杉無垢板4との当接面を互いに面一で実施し、これ以降に敷設する杉無垢板4、4同士を相欠き形状(継手)で実施しているがこれに限定されない。野地板2の下端縁と杉無垢板4との当接部を相欠き形状で実施することも勿論できる。
また、本実施例にかかる杉無垢板4は流れ方向に6列設けて実施しているが、もちろん意匠・構造設計に応じて適宜増減できる。
かくして、軒部Nを含めた屋根全面に化粧用の野地板(杉無垢板)4と前記野地板2とが隙間なく貼り付けられた状態となる。
次に、図5と図6に示したように、屋根全面に固定した前記屋根下地材(野地板2と化粧用の杉無垢板4)上にアスファルトルーフィング(等の屋根下葺き材)5を段階的に敷設する。前記ルーフィング5を貼り付ける手法は上述した通りである(前記段落[0025]参照)。
本実施例では、前記捨てルーフィング3を既に貼り付けている部位は、3重貼り構造として実施する。当該3重貼り構造の部分は、やはりタッカーにより貼り付けている。その上位の2重貼り構造の部分は、念のため両面テープで面タッチ状態に接着して実施する。
次に、図7に示したように、従来工法に倣い、スレート(等の屋根外装材)を葺く作業を行う。この作業によりいわゆる屋根工事が終了する。
続いて、外壁工事へ作業を進める等して木造住宅を完成させるのである(図1参照)。
ここで、前記屋根本体部分Hの基端部(流れ方向の下端側)で、隣接する前記アスファルトルーフィング5、5同士を重ね合わせて留め、その結果、捨てルーフィング3と合わせて3重貼り構造として実施する意義について説明する。
その理由は、屋根本体N側に設けたスレート6に悪影響を及ぼすことなく、軒部N側に貼り付けたアスファルトルーフィング5を合理的に吹き飛ばすために他ならない。
すなわち、隣接する前記ルーフィング5、5同士を、前記基端部より手前側の軒部N側で留め付けて2重貼り構造で実施すると、屋根が吹き飛ぶほどの強風圧が発生した場合、その上位側の前記ルーフィング5が屋根本体N側のスレート6を部分的に吹き飛ばす虞がある。
一方、隣接する前記ルーフィング5、5同士を、前記基端部より奥側の屋根本体H側で留め付けて2重貼り構造で実施すると、屋根が吹き飛ぶほどの強風圧が発生した場合、その下位側の前記ルーフィング5が屋根本体N側のスレート6を部分的に吹き飛ばす虞がある。
以上を考慮した結果、前記屋根本体部分Hの基端部で、隣接する前記アスファルトルーフィング5、5同士を重ね合わせ、捨てルーフィング3との3重貼り構造としたのである。
したがって、上記構成の木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法および吹き飛び防止構造によれば、以下の効果を奏する。
1)軒部Nは、垂木1の上に化粧用の野地板(杉無垢板)4を貼り、軒天井を設けていない構成とした。また、垂木1と横材(特には軒桁10)との結合力を、垂木1と化粧用の野地板4との結合力より大きくなる構造設計で実施した。
よって、台風や竜巻により屋根が吹き飛ぶほどの強風が発生した場合、当該強風圧に対し、無闇に抵抗することなく、軒部Nにおける化粧用の野地板4が垂木1から離脱して吹き飛ぶ作用が働く。そうすると自動的に、軒部Nのアスファルトルーフィング5、スレート6も吹き飛ぶ。一方、垂木1は、軒桁10等の横材に結合されたままの状態で原位置に残すことができる(図8参照)。
なぜなら、化粧用の野地板4が存在している場合は、いわば面で抵抗していた。それが、化粧用の野地板4等が吹き飛んだ後は、残された垂木1が、いわば線で抵抗することになり、強風圧に対する抵抗面積が格段に下がるからである。
2)かくして、屋根本体部分Hに対し、下方からの強風圧による悪影響はもはや無く、当該強風圧によるスレート6等の屋根構成材のさらなる吹き飛びを防止することができる。
3)軒部Nの化粧用の野地板4、前記ルーフィング5、及びスレート6が吹き飛んだ後は、前記捨てルーフィング3、垂木1、面戸板7(特には捨てルーフィング3)により雨仕舞いが可能となり、木造住宅内への雨水の浸入を防止(阻止)することができる。
4)修繕については、垂木1が原位置に残されており、かつ、軒部Nを除く屋根本体部分Hの野地板2、アスファルトルーフィング5、及びスレート6は残存しているので、修繕部分も小さく、速やかに行うことができる。また、修繕作業は、住人が居室に居ながらにして実施できる。よって、施工性、経済性に非常に優れている。
5)強風圧により吹き飛ぶ軒部Nのスレート6等の被害も、垂木1ごと吹き飛ぶ虞のある従来技術と比し、格段に抑制することができる。
6)従来一般の屋根構成材で実現することができる。すなわち、従来から用いられている野地板(屋根下地材)、アスファルトルーフィング(屋根下葺き材)、およびスレート(屋根下地材)で実現できるので、経済的、かつ至極合理的である。
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、図8にかかる吹き飛び後のイメージは一例に過ぎない。強風に煽られたアスファルトルーフィング5’は経時的に留め部から引き裂かれて吹き飛ぶことが予想される。また、部分的に破壊されているスレート6’は、破壊されない場合もあるし、或いは留め部から分断されて吹き飛ぶこともあると考えられる。
その他、前記捨てルーフィング3の下方部を通気層に納めるに当たり、外壁工事の際、外壁用下地材13に両面テープで接着して固定したり、胴縁と干渉する部分に切断線を入れたり、或いは切り欠いたりする等の工夫は適宜行われるところである。
1 垂木
2 野地板(屋根下地材)
3 アスファルトルーフィング(捨てルーフィング)
4 化粧用の野地板(杉無垢板)
5 アスファルトルーフィング(屋根下葺き材)
6 スレート(屋根外装材)
7 面戸板
10 軒桁
11 鼻隠し
12 広小舞
13 外壁用下地材
14 外壁材
15 通気層
N 軒部
H 屋根本体部分

Claims (6)

  1. 木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法であって、
    屋根の垂木における軒部を除いた屋根本体部分に野地板等の屋根下地材を固定すること、
    前記屋根下地材の最下端部と、軒部の露出した垂木とに跨がるようにアスファルトルーフィング等の屋根下葺き材を水平方向に横貼りし、当該軒部の露出した垂木に沿って前記屋根下葺き材に切断線を入れ、当該屋根下葺き材の下方部を暖簾状に垂下させること、
    前記軒部の露出した垂木に化粧用の屋根下地材を固定すること、
    垂木の軒先側から棟側にかけて固定した前記屋根下地材上に屋根下葺き材を敷設し、さらに当該屋根下葺き材上に、必要に応じて桟板等を介在させてスレート等の屋根外装材を葺くことを特徴とする、木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法。
  2. 前記軒部の露出した垂木に固定する化粧用の屋根下地材は、幅が10cm程度の野地板を複数枚敷き並べて敷設することを特徴とする、請求項1に記載した木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法。
  3. 前記屋根下葺き材に入れる切断線は、当該垂木の軸線方向に沿って1本とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載した木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法。
  4. 前記垂木と軒桁との接合部は、くら金物を用いて補強することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構法。
  5. 木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造であって、
    屋根の垂木における軒部を除いた屋根本体部分に野地板等の屋根下地材が固定されていること、
    前記屋根下地材の最下端部と、軒部の垂木とに跨がるようにアスファルトルーフィング等の屋根下葺き材が水平方向に横貼りされ、当該軒部の垂木に沿って前記屋根下葺き材に切断線が設けられて当該屋根下葺き材の下方部が暖簾状に垂下されていること、
    前記軒部の垂木に化粧用の屋根下地材が固定されていること、
    垂木の軒先側から棟側にかけて固定された前記屋根下地材上に屋根下葺き材が敷設され、さらに当該屋根下葺き材上に、必要に応じて桟板等を介在させてスレート等の屋根外装材が葺かれてなることを特徴とする、木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造。
  6. 前記暖簾状に垂下した屋根下葺き材の下端部は、外壁材の内側の通気層へ納められていることを特徴とする、請求項5に記載した木造住宅の屋根本体の吹き飛び防止構造。
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