JP2016012999A - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パルスパターンを用いてインバータのスイッチング状態を操作する三相回転機の制御装置において、異なる相同士の同時スイッチングを回避するようにパルスパターンを設定するための演算回数を低減する。【解決手段】パルスパターン設定部は、(1)電気1周期の一相のパルスパターンは、電気角0〜90degの区間を一単位として線対称又は点対称に反転する、(2)他の二相のパルスパターンは、一相のパルスパターンを電気角?120degずらす、という前提の下、電気角0〜90degの区間から抽出した2つのスイッチング位相θ1、θ2について、5つの数式により、異なる相同士の「同時スイッチング」を回避するようにパルスパターンを設定する。<θ1=30、又は、θ2=30・・・(A)、θ1=60、又は、θ2=60・・・(B)、θ1+θ2=60・・・(C)、θ1+θ2=120・・・(D)、|θ1−θ2|=60・・・(E)>【選択図】図11

Description

本発明は、パルス波形の出力電圧を用いて回転機の駆動を制御する回転機の制御装置に関する。
従来、三相交流モータ等の回転機の制御において、PWM制御等に対して特に高回転時におけるスイッチング損失を低減するため、モータの電気角に同期した最適なパルス波形の出力電圧パターン(以下、「パルスパターン」という。)を作成し、当該パルスパターンを用いてインバータのスイッチング状態を操作する技術が知られている。
また、三相インバータにおいて、異なる相同士のスイッチング素子が同時にスイッチングすることによって発生する「サージ電圧の重畳」を回避し、過大な電圧によるスイッチング素子の破損を防止する技術が知られている。
特許文献1に開示された回転機の制御装置は、操作信号生成部において変調率及びスイッチング回数に応じて位相パラメータを仮設定したパルスパターンについて、デッドタイムを考慮しつつ、複数相のレッグ同士で「同時スイッチング」が起きないかを評価する。そして、同時スイッチングが起きる場合、スイッチング回数や位相パラメータを変更したパルスパターンについて同様の評価を繰り返し、同時スイッチングを回避するパルスパターンを探索する。
特開2013−34334号公報
特許文献1に開示された従来技術では、各相の電気1周期のパルスパターンは、電気角0〜90degの区間を一単位として線対称又は点対称に反転させることで設定されている。しかし、スイッチング素子がオン又はオフするスイッチング位相について、制限条件等は何ら規定されていない。そのため、仮設定したパルスパターンに対し、異なる相同士の同時スイッチングが発生するかどうかを評価するとき、三相全てのスイッチング位相から2つを選び出す組合せの数について評価する必要があり、演算回数が膨大となる。したがって、制御装置の演算時間や処理負荷が増大するという問題がある。
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、パルスパターンを用いてインバータのスイッチング状態を操作する三相回転機の制御装置において、異なる相同士の同時スイッチングを回避するようにパルスパターンを設定するための演算回数を低減する回転機の制御装置を提供することにある。
本発明は、三相の回転機の電気角に同期した出力電圧のパルスパターンを設定するパルスパターン設定部を備え、パルスパターン設定部が設定したパルスパターンに基づいてインバータの三相の上下アームのスイッチング素子のオンオフを操作し、バッテリの直流電力を交流電力に変換して回転機に出力することにより回転機の駆動を制御する回転機の制御装置である。
パルスパターン設定部は、前提として以下のようにパルスパターンを設定する。
(1)三相のうち一相のパルスパターンについて、電気角0〜90degの区間を一単位として設定し、電気角90degを中心として電気角0〜90degのパルスパターンを線対称に反転することで電気角90〜180degのパルスパターンを設定し、電気角180degを中心として電気角0〜180degのパルスパターンを点対称に反転することで電気角180〜360degのパルスパターンを設定する。
(2)他の二相のパルスパターンについて、一相のパルスパターンを電気角±120degずらすように設定する。これにより、三相の電圧波形の平衡が確保される。
さらに、一相のパルスパターンにおける電気角0〜90degの区間で、スイッチング素子がオン又はオフする複数のスイッチング位相から抽出した2つのスイッチング位相の全ての組に対して、第1スイッチング位相をθ1、第2スイッチング位相をθ2(0≦θ1、θ2≦90deg)とすると、下記の5つの式(A)〜(E)のいずれか1つ以上に該当する第1スイッチング位相θ1及び第2スイッチング位相θ2の領域を「禁止領域」と定義する。
θ1=30[deg]、又は、θ2=30[deg] ・・・(A)
θ1=60[deg]、又は、θ2=60[deg] ・・・(B)
θ1+θ2=60[deg] ・・・(C)
θ1+θ2=120[deg] ・・・(D)
|θ1−θ2|=60[deg] ・・・(E)
式(A)〜(E)は、異なる相同士の「同時スイッチング」が発生する条件を示す。すなわち、同時スイッチングが発生するスイッチング位相の領域が「禁止領域」である。
そして、パルスパターン設定部は、一相のパルスパターンを構成する全てのスイッチング位相が禁止領域から外れるように一相のパルスパターンを設定する。
ところで、上記の式(A)〜(E)は、スイッチング位相の幅が無限小であることを前提として導出されたものである。これに対し、現実的なスイッチング素子を想定した禁止領域は、式(A)〜(E)に対し所定の電気角又は時間に対応する禁止幅を含むように設定されることが好ましい。
この禁止幅は、例えば、スイッチング素子のスイッチング動作に伴って発生するサージ電圧が所定値以下に低減する時間、スイッチング素子に流れる相電流のリンギングが所定の収束範囲内に収束する時間、又は、スイッチング素子のデッドタイムに応じて設定されることが考えられる。
本発明では、2つのスイッチング位相の間の制限条件を数式によって規定することで、仮設定したパルスパターンが同時スイッチング条件に該当するかどうかを評価する場合、上記の式(A)〜(E)に該当するか否かのみを判定すればよい。これにより、演算回数を低減し、制御装置の演算時間や処理負荷を低減することができる。
また、本発明の回転機の制御装置は、「回転機のトルク又は電流のフィードバック制御により、変調率及び電圧位相を演算する変調率/電圧位相演算部」と、「回転機の回転数に応じて所定の電気角区間におけるパルス数を設定するパルス数設定部」とを備える構成とすることができる。
この場合、パルスパターン設定部は、「変調率及びパルス数に応じて、全てのスイッチング位相が禁止領域から外れるように設定されたパルスパターンを関係づけたマップ」を予め記憶しており、回転機の駆動中に随時変調率/電圧位相演算部によって演算された変調率、電圧位相、並びに、パルス数設定部によって設定されたパルス数に基づき、マップを参照してパルスパターンを設定するようにしてもよい。
本発明の一実施形態によるモータ制御装置の電流フィードバック制御方式での概略構成図。 本発明の一実施形態によるモータ制御装置のトルクフィードバック制御方式での概略構成図。 線間電圧パルスパターンのパルス数を説明する図。 パルスパターンによる同時スイッチングの例を説明する図。 (a)各相パルスパターンのパルスパラメータを説明する図。(b)電気1周期のパルスパターンの作成を説明する図。 本発明の一実施形態によるパルスパターン設定のメインフローチャート。 図6のS20のサブフローチャート。 同時スイッチング条件の導出を説明する説明図(1)。 同時スイッチング条件の導出を説明する説明図(2)。 同時スイッチング条件の導出を説明する説明図(3)。 理論的な禁止領域を示す図。 スイッチング素子のターンON、ターンOFF時間を説明する図。 禁止幅を含む禁止領域を示す図。 本発明の効果を従来技術と比較して説明する図。
以下、本発明の回転機の制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態の同期モータの制御装置の概略構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1、図2に示すように、「回転機の制御装置」としてのモータ制御装置60は、インバータ40のスイッチング状態を操作することでバッテリ11の直流電力を三相交流電力に変換し、「回転機」としてのモータジェネレータ50に出力する。
モータジェネレータ50は、IPMSM(埋込永久磁石式同期モータ)等の同期型三相交流電動機であり、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の動力源として用いられる。モータジェネレータ50は、力行動作により電力を消費してトルクを発生する電動機としての機能、及び、トルクを受けて回生電力を発生する発電機としての機能を兼ね備える。
以下の説明では、モータジェネレータ50が電動機として機能する場合を主に想定し、単に「モータ50」という。モータ50のロータ近傍には、ロータ位置(電気角)θを検出する、例えばレゾルバ等の位置センサ55が設けられる。
バッテリ11は、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の充放電可能な直流電源である。なお、電気二重層キャパシタ等も本発明の「バッテリ」に含むものとする。
インバータ40は、ブリッジ接続された三相の上下アームのスイッチング素子41〜46により構成される。上アームのスイッチング素子41、42、43、及び、下アームのスイッチング素子44、45、46は、それぞれ、U相、V相、W相に対応する。スイッチング素子としては、例えばIGBT等が用いられる。
インバータ40の入力側には、入力電圧を平滑化する平滑コンデンサ31が設けられている。また、平滑コンデンサ31と並列に、インバータ入力電圧VHを検出する電圧センサ35が設けられている。
なお、バッテリ11とインバータ40との間に周知の昇圧コンバータを設け、昇圧コンバータで昇圧された直流電圧をインバータ入力電圧VHとみなしてもよい。
モータ制御装置60は、例えば変調率に応じて、図1に示す電流フィードバック制御方式、及び、図2に示すトルクフィードバック制御方式を切り替えて実行する。
まず図1を参照し、電流フィードバック制御方式の構成について説明する。モータ制御装置60は、電流フィードバック制御の構成として、電流指令演算部61、電流減算器62、制御器63、変調率/電圧位相演算部64を有している。また、共通の構成として、dq変換部65、微分器66、パルス数設定部67、及びパルスパターン設定部70を有している。
電流指令演算部61は、上位の制御装置から取得したトルク指令値trq*に基づき、マップや数式等を用いてdq軸電流指令値Id*、Iq*を演算する。
電流減算器62は、dq変換部65からフィードバックされるdq軸電流検出値Id、Iqをdq軸電流指令値Id*、Iq*から減算してdq軸電流偏差を算出する。
制御器63は、dq軸電流偏差をゼロに収束させるようにPI制御演算等によってdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を算出する。
変調率/電圧位相演算部64は、インバータ入力電圧VH、及び、dq軸電圧指令値Vd*、Vq*に基づき、式(1)を用いて変調率mを演算する。
Figure 2016012999
また、(Vq*/Vd*)のアークタンジェントにより、電圧位相φを演算する。
dq変換部65は、インバータ40からMG50へ接続される電力線に設けられた電流センサ51、52から相電流検出値が入力される。本実施形態では、V相、W相に設けられた電流センサ51、52からV相電流Iv及びW相電流Iwの検出値が入力され、残るU相の電流Iuをキルヒホッフの法則に基づいて推定している。他の実施形態では、どの二相の電流を検出してもよく、三相の電流を検出してもよい。或いは、一相の電流検出値に基づいて他の二相の電流を推定する技術を採用してもよい。
dq変換部65は、位置センサ55から取得した電気角θを用いて、三相電流検出値Iu、Iv、Iwをdq軸電流検出値Id、Iqにdq変換し、電流減算器62にフィードバックする。
微分器66、パルス数設定部67、及びパルスパターン設定部70については、トルクフィードバック制御方式の説明後にまとめて説明する。
次に図2を参照し、トルクフィードバック制御方式の構成について説明する。モータ制御装置60は、トルクフィードバック制御の構成として、指令電圧設定部81、乗算器82、変調率演算部83、トルク推定部84、フィルタ85、トルク減算器86、制御器87を有している。また、共通の構成として、dq変換部65、微分器66、パルス数設定部67、及びパルスパターン設定部70を有している。
指令電圧設定部81は、インバータ入力電圧VH、及び、トルク指令値trq*又はトルク推定値trq_est(破線図示)に基づき、最小電流で最大トルクを得るための最も効率の良い制御を実現できるように、電圧振幅Vaと速度ωbとの比(Va/ωb)をマップにより決定する。ここでωbは、マップを計測したときの速度である。
乗算器82は、指令電圧設定部81が決定した比(Va/ωb)に、微分器66が算出した電気角速度ωを乗算する。
変調率演算部83は、インバータ入力電圧VH、及び、電圧振幅(Va×ω/ωb)=Va’に基づき、変調率mを演算する。
トルク推定部84は、dq変換部65で変換されたdq軸電流Id、Iqに基づいて、マップや周知のトルク式等を用いてトルク推定値trq_estを推定する。
フィルタ85は、過変調領域で生じる電気周期に同期したリプル成分を減衰させるためのフィルタであり、例えば、電気周波数ω1に応じた「1/{(1/kω1)s+1}」のような1次ローパスフィルタ(LPF)である。
トルク減算器86は、トルク推定値trq_estをトルク指令値trq*から減算してトルク偏差を算出する。
制御器87は、トルク偏差をゼロに収束させるようにPI制御演算等によって電圧位相φを算出する。
トルクフィードバック制御方式では、変調率演算部83と制御器87とを合わせた部分が特許請求の範囲に記載の「変調率/電圧位相演算部」を構成する。
続いて、電流フィードバック制御方式(図1)及びトルクフィードバック制御方式(図2)に共通の構成について説明する。
パルス数設定部67は、微分器66が電気角θを時間微分して算出した電気角速度ωに応じて線間電圧パルスパターンのパルス数n(後述)を設定する。
パルスパターン設定部70は、変調率m、電圧位相φ及びパルス数nに基づき、インバータ40を駆動するためのパルスパターンを設定する。
パルスパターン設定部70は、変調率m及びパルス数nに応じて、好ましいパルスパターンを関係づけたマップを予め記憶している。この場合の「好ましい」の判断基準は、例えば、電力損失、電流歪、トルクリプルが小さいこと等、適宜決定してよい。
そして、モータ50の駆動中に随時、変調率演算部64によって演算された変調率m、及びパルス数設定部67によって設定されたパルス数nに基づき、マップを参照して好ましいパルスパターンを選択する。
特に本実施形態のパルスパターン設定部70が記憶しているマップには、異なる相同士の「同時スイッチング」を回避するように設定されたパルスパターンが格納されていることを特徴とする。さらに本実施形態では、パルスパターンをマップに格納する段階において、仮設定したパルスパターンが「同時スイッチング条件」に該当するか否かを特定の数式を用いて判定した上で、同時スイッチング条件を回避可能なパルスパターンのみをマップに格納することを特徴とする。「同時スイッチング」の意味、及び、同時スイッチング条件を示す数式の導出についての詳細は後述する。
ここで、パルスパターンの例を図3に示す。本実施形態で用いる「パルスパターン」の用語は、「各相パルスパターン」及び「線間電圧パルスパターン」の両方を含む。図3には、U相上アームのスイッチング素子41及びV相上アームのスイッチング素子42の各相パルスパターン、及び、U−V相の線間電圧パルスパターンを示している。以下、各相パルスパターンは、原則として、上アームのスイッチング素子のパルスパターンを意味する。また、各相パルスパターンと線間電圧パルスパターンとは相互に対応する。
V相上アームのスイッチング素子42のパルスパターンは、U相上アームのスイッチング素子41のパルスパターンに対して電気角120degずれている。また、各相下アームのスイッチング素子のパルスパターンは、デッドタイムを無視すれば、同相の上アームのスイッチング素子のパルスパターンを相補する形、すなわち上下反転した形となる。
線間電圧パルスパターンは、図3の横軸の電気角60degを0degとするように、負方向に60degシフトさせると、電気角0〜180deg区間の電圧が正の領域と、電気角180〜360deg区間の電圧が負の領域とは符号を反転した関係、すなわち、「半波対称」の関係となる。また、電気角0〜90degの区間と電気角90〜180degの区間とは電気角90degを中心として、電気角180〜270degの区間と電気角270〜360degの区間とは電気角270degを中心として、それぞれ線対称の関係となる。このように、パルスパターンの対称性について考えるときは、適宜、電気角の基準(0deg)をシフトさせる。
また、線間電圧パルスパターンの「パルス数n」とは、電気(1/2)周期、すなわち電気角180deg間のパルスの数をいい、図3の例では「n=7」となる。
以下のパルスパターンの説明では、区別が必要な場合は、「各相パルスパターン」又は「線間電圧パルスパターン」と明示し、いずれを指しているかが自明な場合や、いずれで解釈しても文意が成立する場合は、単に「パルスパターン」と記す。
パルスパターンは、インバータ40の各スイッチング素子41〜46に対するスイッチング信号UU、UL、VU、VL、WU、WLとして出力される。インバータ40の各スイッチング素子41〜46がスイッチング信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに従って動作することにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるようにMG50の駆動が制御される。
モータ制御において広く用いられているPWM信号に代えて、パルスパターンを用いてインバータ40を操作することでスイッチング回数を低減することができるため、特に、高回転の過変調領域等ではスイッチング損失の低減に効果がある。
次に図4を参照して、「同時スイッチングの回避」について説明する。
図4に示すU相及びV相のパルスパターンにおいて、スイッチング状態がオフからオンに切り替わる立上がりエッジ、及び、オンからオフに切り替わる立下がりエッジの位相を「スイッチング位相」という。スイッチング位相では、スイッチング素子に流れる電流Iが急激に変化するため、回路のリアクタンスをLとすると、「V=−L×dI/dt」で表されるサージ電圧が発生する。スイッチング素子は、このサージ電圧に耐えられるだけの耐電圧特性を有している必要がある。
ところが、図4の電気角180deg付近に見られるように、スイッチング位相の設定によっては、U相及びV相パルスパターンのスイッチング位相が一致する、言い換えればU相及びV相のスイッチング素子が同時にスイッチングする可能性がある。このように、三相のうち二相又は三相のスイッチングが同時に行われると、複数相で発生するサージ電圧が重畳し、スイッチング素子の耐電圧特性を超える結果、スイッチング素子が破損するおそれがある。
特許文献1(特開2013−34334号公報)に開示された従来技術は、このような点に着目し、仮設定したパルスパターンを二相間で比較してスイッチング位相が一致する場合にはパルスパターンを変更する。そして、同時スイッチングを回避可能なパルスパターンをマップに格納するというものである。
しかし、特許文献1の技術によると、仮設定したパルスパターンに対し、異なる相同士の同時スイッチングが発生するかどうかを評価するとき、三相の全てのスイッチング位相から2つを選び出す組合せの数について評価する必要があり、演算回数が膨大となる。したがって、制御装置の演算時間や処理負荷が増大するという問題がある。
そこで、本実施形態では、スイッチング位相について同時スイッチング条件が成立するための数式を定立することで、仮設定したパルスパターンが同時スイッチング条件に該当するかどうかを判定するための演算回数を低減することを目的とする。
次に、パルスパターン設定部70による各相パルスパターン設定手順について、図5〜図7を参照して説明する。
図5(a)に示すように、本実施形態による各相パルスパターンは、電気角0〜90degの区間を一単位とするモデルで設定される。図5(a)の例では、電気角0〜90degの区間で3回のオフ期間と3回のオン期間が設定される。電気角90degから電気角0degに戻る側に見て、1回目のオン期間までの角度幅を第1の角度幅δ1とする。また、2回目及び3回目のオフ期間において中心位置をθ1、θ2とし、オフ期間の幅の(1/2)を角度幅δ2、δ3とする。これらの中心位置θ1、θ2及び角度幅δ1、δ2、δ3を「パルスパラメータ」という。各パルスパラメータが決まれば、電気角0〜90degの区間でのパルスパターンが決定する。
以下、明細書中ではθ1、θ2、δ1、δ2、δ3の「1」、「2」、「3」は、下付き文字でなく通常文字で記載する。
そして図5(b)に示すように、電気角90degを中心として電気角0〜90deg(Q部)のパルスパターンを線対称に反転することで電気角90〜180degのパルスパターンを設定する。また、電気角180degを中心として電気角0〜180deg(H部)のパルスパターンを点対称に反転することで電気角180〜360degのパルスパターンを設定する。「点対称」とは、線対称に反転し、さらに、パルスのオン側とオフ側とを反転させることをいう。
以上により、一相(例えばU相)についての電気1周期の各相パルスパターンが確定する。他の二相(V相、W相)については、一相のパルスパターンを電気角±120degずらすことによって設定する。
ところで、パルス数をさらに多く設定した場合は、中心位置θ3以降、角度幅δ4以降のパラメータが追加される。ただし、以下の図5〜図7に関する説明では、図5(a)に示す「5つのパルスパラメータを有するパルスパターン」を前提として説明することとする。つまり、本実施形態において「最適なパルスパターンを設定する」とは、具体的には各パルスパラメータδ1、δ2、δ3、θ1、θ2の最適値を求めることを意味する。
続いて、図6を参照して、各相パルスパターン設定のメインフローについて説明する。なお、以下のフローチャートの説明で記号「S」はステップを意味する。
S11では、変調率/電圧位相演算部64、又は変調率演算部83によって演算された「設計したいパルスパターンの所望の変調率m」をセットする。S12では、候補となるパルスパターン(以下、「候補パルスパターン」という。)における中心位置θ1、θ2の初期値をセットし、S13では、候補パルスパターンにおける角度幅δ2、δ3の初期値をセットする。なお、線間電圧パルスパターンのパルス数が5より大きく、中心位置θ3以降、角度幅δ4以降が存在する場合は、それらを含めてセットする。
S14では、所望変調率m、中心位置θ1、θ2、角度幅δ2、δ3に基づき、式(2)を用いて第1の角度幅δ1を計算する。
Figure 2016012999
S15では、後述する「同時スイッチング条件」の数式により、同時スイッチングの発生の有無を判定する。同時スイッチングが発生しない場合(S15:YES)、S20に進み、同時スイッチングが発生する場合(S15:NO)、S20をスキップしてS31に進む。
S20では、パルスパターン評価により最適解となる候補パルスパターンを保管する。
詳しくは図7のサブフローチャートに示すように、S21では、候補パルスパターンに対する電圧、電流を推定する。
S22では、推定した電圧、電流等を評価関数Hyoに入力する。評価関数Hyoは、電力損失、電流歪、トルクリプルが小さいこと等の観点から、候補パルスパターンの好ましさを評価する指標である。本実施形態では、評価関数Hyoの値が小さいほど好ましいと判断する。
S23では、今回導出した候補パルスパターンの評価関数Hyoが、それまでに導出した候補パルスパターンの評価関数の最小値Hyo_minよりも小さいか否か判断する。
S23でYESの場合、S24にて、今回導出した候補パルスパターンの評価関数Hyoを「評価関数の最小値Hyo_min」とし、最適解候補のパルスパターンとして保管する。すなわち、今回の各パラメータδ1、δ2、δ3、θ1、θ2を、それぞれ最適値δ1_opt、δ2_opt・・・として、S20のサブフローを終了する。一方、S28でNOの場合、そのままS20のサブフローを終了し、図6のメインフローに戻る。
S20の終了後、角度幅δ3、δ2、中心位置θ2、θ1の各パラメータについて探索範囲を終了したか順に判断する(S31、S33、S35、S37)。いずれかのパラメータの探索範囲が終了していなければ、そのパラメータを微小値dδ、dθだけ変化させて(S32、S34、S36、S38)S14に戻り、第1の角度幅δ1を再計算する。
角度幅δ3、δ2及び中心位置θ2、θ1の全ての探索範囲が終了したら(S37:YES)、保管した最適解の候補パルスパターンを最適解として出力する。
パルスパターン設定部70は、モータ50の駆動中、最適解を都度オンラインで演算してもよく、或いは、予め演算した最適解を変調率m及びパルス数nを引数とするマップに記憶してもよい。
次に、同時スイッチング条件を示す数式の導出について、図8〜図11を参照して順に説明する。
図8に示すように、三相のうち基準となる一相(例としてU相を基準とする)のパルスパターンは、電気角0〜90degの区間を一単位とするモデルで設定され、電気角90degを中心として電気角0〜90degのパルスパターンを線対称に反転することで電気角90〜180degのパルスパターンを設定する。また、電気角180degを中心として電気角0〜180degのパルスパターンを点対称に反転することで電気角180〜360degのパルスパターンを設定する。
したがって、パルスパターンのスイッチング状態(オンオフ)が変化する「スイッチング位相θ」は、図8にブロック矢印で示すように、電気角90deg及び270degを基準として対称に現れる。電気1周期の範囲で対称性によって生成される4つのスイッチング位相θを合わせて、「スイッチング位相群」という。
繰り返し述べると、パルスパターンの対称性について考えるときは、適宜、電気角の基準(0deg)をシフトさせる。例えば図4のU相パルスパターンは、図の330degの位置を0degとするように、図4のV相パルスパターンは、図の210degの位置を0degとするように基準をシフトさせることで上記のとおり解釈することができる。
以下、図8の形式の模式図を参照し、スイッチング位相を示すブロック矢印が二つの相において重なる条件を見出すことにより、「同時スイッチング条件」を導出する。以下の全ての式において角度単位は[deg]とし、各式での記載を省略する。
まず、単独のスイッチング位相θによる同時スイッチング条件について、図9を参照して説明する。以下の式(3.1)〜(3.3)で、nu、nv、nwは、それぞれ0又は1である。図9に示すように、U相パルスパターンは、電気角90deg、270degを中心としてスイッチング位相θ(0≦θ≦90)が対称に設定される。電気1周期での第1スイッチング位相群Puは、式(3.1)で表される。
u=90+180×nu±θ ・・・(3.1)
V相パルスパターンは、U相パルスパターンを電気角−120degずらして設定され、電気1周期での第1スイッチング位相群Pvは、式(3.2)で表される。
v=90+180×nv±θ−120 ・・・(3.2)
W相パルスパターンは、U相パルスパターンを電気角+120degずらして設定され、電気1周期での第1スイッチング位相群Pwは、式(3.3)で表される。
w=90+180×nw±θ+120 ・・・(3.3)
2相のパルスパターンのスイッチング位相θ同士が一致する条件は、式(4.1)〜(4.3)のとおりである。
u=Pv
→90+180×nu±θ=90+180×nv±θ−120
→180×(nu−nv)±θ=±θ−120
→±θ=−60−90×(nu−nv) ・・・(4.1)
v=Pw
→90+180×nv±θ−120=90+180×nw±θ+120
→180×(nv−nw)±θ−120=±θ+120
→±θ=120−90×(nv−nw) ・・・(4.2)
u=Pw
→90+180×nu±θ=90+180×nw±θ+120
→180×(nu−nw)±θ=±θ+120
→±θ= 60−90×(nu−nw) ・・・(4.3)
式(4.1)〜(4.3)において、(nu−nv)、(nv−nw)、(nu−nw)に「0又は±1」を代入すると、式(4.4)が得られる。
±θ=−150、−60、−30、30、60、120、150、210
・・・(4.4)
また、式(4.5)が制約条件となる。
0≦θ≦90 ・・・(4.5)
よって、単独のスイッチング位相θによる同時スイッチング条件の式(A)、(B)が導かれる。
θ=30 ・・・(A)
θ=60 ・・・(B)
次に、2つのスイッチング位相θ1、θ2による同時スイッチング条件について、図10を参照して説明する。以下の式(5.1)〜(5.6)で、nu、nv、nwは、それぞれ0又は1である。
図10に示すように、U相パルスパターンは、電気角90deg、270degを中心として第1スイッチング位相θ1及び第2スイッチング位相θ2(0≦θ1、θ2≦90)が対称に設定される。電気1周期での第1スイッチング位相群P1u及び第2スイッチング位相群P2uは、式(5.1)、(5.2)で表される。
P1u=90+180×nu±θ1 ・・・(5.1)
P2u=90+180×nu±θ2 ・・・(5.2)
V相パルスパターンは、U相パルスパターンを電気角−120degずらして設定され、電気1周期での第1スイッチング位相群P1v及び第2スイッチング位相群P2vは、式(5.3)、(5.4)で表される。
P1v=90+180×nv±θ1−120 ・・・(5.3)
P2v=90+180×nv±θ2−120 ・・・(5.4)
W相パルスパターンは、U相パルスパターンを電気角+120degずらして設定され、電気1周期での第1スイッチング位相群P1w及び第2スイッチング位相群P2wは、式(5.5)、(5.6)で表される。
P1w=90+180×nw±θ1+120 ・・・(5.5)
P2w=90+180×nw±θ2+120 ・・・(5.6)
2相のパルスパターンの一方の第1スイッチング位相θ1と他方の第2スイッチング位相θ2とが一致する条件は、式(6.1)〜(6.3)のとおりである。
P1u=P2v
→90+180×nu±θ1=90+180×nv±θ2−120
→180×(nu−nv)±θ1=±θ2−120
→±θ1±θ2=−120−180×(nu−nv) ・・・(6.1)
P1v=P2w
→90+180×nv±θ1−120=90+180×nw±θ2+120
→180×(nv−nw)±θ1−120=±θ2+120
→±θ1±θ2= 240−180×(nv−nw) ・・・(6.2)
P1u=P2w
→90+180×nu±θ1=90+180×nw±θ2+120
→180×(nu−nw)±θ1=±θ2+120
→±θ1±θ2= 120−180×(nu−nw) ・・・(6.3)
式(6.1)〜(6.3)において、(nu−nv)、(nv−nw)、(nu−nw)に「0又は±1」を代入すると、式(6.4)が得られる。
±θ1±θ2=−300、−120、−60、
60、120、240、300、420 ・・・(6.4)
また、式(6.5)、(6.6)が制約条件となる。
0≦(θ1+θ2)≦180 ・・・(6.5)
0≦|θ1−θ2|≦90 ・・・(6.6)
よって、2つのスイッチング位相θ1、θ2による同時スイッチング条件の式(C)、(D)、(E)が導かれる。
θ1+θ2=60 ・・・(C)
θ1+θ2=120 ・・・(D)
|θ1−θ2|=60 ・・・(E)
電気角0〜90degの区間に第1スイッチング位相θ1、第2スイッチング位相θ2を含む2つ以上のスイッチング位相が存在する場合、同時スイッチング条件の式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)に該当する第1スイッチング位相θ1及び第2スイッチング位相θ2は、図11にて実線で表示される。ここで、式(A)、(B)は、第1スイッチング位相θ1及び第2スイッチング位相θ2について、下記のように、それぞれ適用される。
θ1=30、又は、θ2=30 ・・・(A)
θ1=60、又は、θ2=60 ・・・(B)
図11に示される実線領域を、パルスパターンの設定を禁止する領域という意味で「禁止領域」という。本実施形態のパルスパターン設定部70は、基準となる一相のパルスパターンを構成する全てのスイッチング位相が「禁止領域から外れるように」一相のパルスパターンを設定する。
ところで、上記の同時スイッチング条件式の導出では、スイッチング位相θは幅が無限小の値であることを前提とした。この前提は、スイッチング素子のオンオフが一瞬で切り替わり、且つ、切替の瞬間にサージ電圧が理想的なインパルス波として発生することを意味する。しかし現実には、スイッチング動作やサージ電圧の発生は、ある時間幅にわたって継続して行われることを考慮する必要がある。
具体的には、図12(a)に、スイッチング素子(トランジスタ)のスイッチング動作時におけるコレクタエミッタ間電圧VCE、コレクタ電流ICの経時変化を示す。コレクタエミッタ間電圧VCEについてはスイッチングオフ時の電圧を1とし、コレクタ電流ICについてはスイッチングオン時の電流を1とする。
スイッチング素子にオン信号を指令したときから、コレクタエミッタ間電圧VCEが0.9に減少するまでの時間をTd(on)、その後コレクタエミッタ間電圧VCEが0.1に減少するまでの時間をTr、Td(on)とTrとの合計をオン時間Tonとする。
スイッチング素子にオフ信号を指令したときから、コレクタ電流Icが0.9に減少するまでの時間をTd(off)、その後コレクタ電流Icが0.1に減少するまでの時間をTf、Td(off)とTfとの合計をオフ時間Toffとする。
このように、スイッチング素子のスイッチング動作時にはオン時間Ton、オフ時間Toffのような遷移時間が必要である。
スイッチング素子のオンオフ伴って発生するサージ電圧は、「V=−L×dI/dt」からわかるように、電流が変化しているオンオフ時間Ton、Toffの間、継続して発生する。そのため、2つの相で発生するサージ電圧の合計がスイッチング素子の耐電圧特性を超えないように、一相でのスイッチングにより発生したサージ電圧が所定値以下に低減するまで、他相でのスイッチングを禁止する必要がある。
図12(b)に、スイッチング動作時にスイッチング素子に流れるモータ相電流検出値のリンギングを示す。リンギングに関しては、例えば、収束値の上下に収束範囲を設定し、スイッチング後、検出値が設定値到達前に最後に収束範囲に入るまでの時間をリンギング収束時間とする。そして、一相でのスイッチング後、リンギング収束時間まで他相でのスイッチングを禁止する。
また、特許文献1に記載された従来技術のように、上下アームの一方のスイッチング素子のオフタイミングから他方のスイッチング素子のオンタイミングまでのデッドタイムを考慮することも必要である。
以上のように、同時スイッチング回避のための禁止領域は、サージ電圧が所定値以下に低減する時間、リンギングが所定の収束範囲内に収束する時間、スイッチング素子のデッドタイム等に応じて設定される「禁止幅」を含むようにするとよい。
図13に、禁止幅(2α)を含むように設定された禁止領域を破線で示す。この禁止幅は、回転数毎に時間幅を位相幅に換算してマップに記憶するようにしてもよく、或いは、回転数に拘わらず一律の位相幅を採用してもよい。また、オン時間Tonに対応する禁止幅と、オフ時間Toffに対応する禁止幅とをそれぞれ設定してもよい。
次に、本発明の実施形態による演算回数の低減効果について、特許文献1の従来技術と対比しつつ説明する。ここでは、仮設定したパルスパターンが同時スイッチング条件に該当するか否かを探索する探索数を比較する。
従来技術と本発明の実施形態に共通する前提として、(1)電気1周期のパルスパターンは、(1/4)周期に相当する電気角0〜90degの区間のパルスパターンを対称に反転させたものであり、電気角0〜90degの区間で探索すれば足りる。また、(2)三相のパルスパターンは、互いに電気角±120degずらすように設定されている。
まず、説明に用いる用語を定義する。パルスパターンにおけるオフからオンへの立上がり、又は、オンからオフへの立下がりを「エッジ」という。1回のパルスには2回のエッジが含まれる。スイッチング位相θは、エッジの位相と言い換えることもできる。
ある微小位相範囲(以下、「判別単位」という。)にエッジが存在するか否かを判別可能な分解能を、電気1周期中の判別単位の数により「分解能M」と表す。例えば、電気角1deg毎にエッジの有無を判別可能な場合の分解能Mは360である。また、一相あたりの電気角90deg区間のエッジ数を「(スイッチング状態の)変化回数N」とする。
仮設定したパルスパターンについて、判別単位毎にエッジが有るか無いかを探索する回数は「2(M/4)」で表される。従来技術では、90deg区間における三相の全てのエッジ(θu1、θu2・・・、θv1、θv2・・・、θw1、θw2・・・)(=計(3N)個)から2つを抽出し、その2つのエッジが同じ判別単位に存在するか否か評価するため、探索数Xは、式(7.1)のようになる。
X=2(M/4)×(3N2) ・・・(7.1)
一方、本実施形態では、90deg区間における一相(例えばU相)のエッジ(θu1、θu2・・・)(=計N個)について、同時スイッチング条件の式(A)〜(E)が成立するか否かを判定する。
まず、式(A)、(B)について、N個のエッジがそれぞれ30deg又は60degであるか否かの2回の判定をする回数は、(2N)回となる。次に、N個から抽出した2つのエッジに対して、3つの式(C)、(D)、(E)が成立するか否かを判定する回数は、(N2×3)回となる。これらを合計すると、探索数Yは、式(7.2)のようになる。
Y=2(M/4)×(2N+N2×3) ・・・(7.2)
例えばM=360、N=6(電気角90deg区間にパルス3回)として計算すると、探索数X、Yは以下のようになり、本実施形態では従来技術に対し探索数を約37%に低減することができる。
従来技術 :X=2(360/4)×(3×62)=290×153回
本実施形態:Y=2(360/4)×(2×6+62×3)=290×57回
また、M=512としたときの変化回数Nと探索数X、Yとの関係は、図14のように示される。変化回数Nの増加に伴い、探索数の低減効果が増大することがわかる。
(その他の実施形態)
(ア)上記実施形態のモータ制御装置60では、パルスパターン設定部70は、変調率m及びパルス数nに応じて、全てのスイッチング位相が禁止領域から外れるように設定されたパルスパターンを関係づけたマップを予め記憶しており、モータ50の駆動中に、随時要求される変調率m及びパルス数nに基づき、マップを参照して好ましいパルスパターンを選択する。これに対し、他の実施形態のモータ制御装置は、モータの駆動中、随時要求される変調率m及びパルス数nに応じて、オンラインでパルスパターンを演算して仮設定し、且つ、上記実施形態と同様の同時スイッチング条件式を用いて、仮設定したパルスパターンの採用可否を判断するようにしてもよい。
(イ)パルスパターンの「パルス数n」の定義は、図3で例示したものに限らず、例えば線間電圧パルスパターンの電気1周期のパルス数等としてもよい。
(ウ)本発明のパルスパターンを規定するための対称性の定義は、基準位相の取り方によって適宜変更してよい。例えば、図5(b)、図8等において、90degの位置を0degとするように基準を変更すれば、「電気角90degを中心として電気角0〜90degのパルスパターンと電気角90〜180degのパルスパターンとが点対称」、且つ、「電気角180degを中心として電気角0〜180degのパルスパターンと電気角180〜360degのパルスパターンとが線対称」の関係となる。
(エ)本発明の制御対象となる回転機は、IPMSM、SPMSM等の同期電動機に限らず、誘導電動機等を含めた三相以上の多相回転機全般に広く適用可能である。さらに、モータジェネレータ等の回転機は車両の動力源として用いられるものに限らず、車両の補機用や、車両以外の電車、昇降機、一般機械等の用途に用いられてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
11・・・バッテリ、
40・・・インバータ、 41〜46・・・スイッチング素子、
50・・・モータ(モータジェネレータ、回転機)
60・・・モータ制御装置(回転機の制御装置)、
70・・・パルスパターン設定部。

Claims (4)

  1. 三相の回転機(50)の電気角に同期した出力電圧のパルスパターンを設定するパルスパターン設定部(70)を備え、前記パルスパターン設定部が設定したパルスパターンに基づいてインバータ(40)の三相の上下アームのスイッチング素子(41〜46)のオンオフを操作し、バッテリ(11)の直流電力を交流電力に変換して前記回転機に出力することにより前記回転機の駆動を制御する回転機の制御装置(60)であって、
    前記パルスパターン設定部は、
    三相のうち一相のパルスパターンについて、電気角0〜90degの区間を一単位として設定し、電気角90degを中心として電気角0〜90degのパルスパターンを線対称に反転することで電気角90〜180degのパルスパターンを設定し、電気角180degを中心として電気角0〜180degのパルスパターンを点対称に反転することで電気角180〜360degのパルスパターンを設定し、他の二相のパルスパターンについて、前記一相のパルスパターンを電気角±120degずらすように設定する前提において、
    さらに、前記一相のパルスパターンにおける電気角0〜90degの区間で、前記スイッチング素子がオン又はオフする複数のスイッチング位相から抽出した2つの前記スイッチング位相の全ての組に対して、第1スイッチング位相をθ1、第2スイッチング位相をθ2(0≦θ1、θ2≦90deg)とすると、下記の5つの式(A)〜(E)のいずれか1つ以上に該当する第1スイッチング位相θ1及び第2スイッチング位相θ2の領域を禁止領域と定義し、
    θ1=30[deg]、又は、θ2=30[deg] ・・・(A)
    θ1=60[deg]、又は、θ2=60[deg] ・・・(B)
    θ1+θ2=60[deg] ・・・(C)
    θ1+θ2=120[deg] ・・・(D)
    |θ1−θ2|=60[deg] ・・・(E)
    前記一相のパルスパターンを構成する全ての前記スイッチング位相が前記禁止領域から外れるように前記一相のパルスパターンを設定することを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記禁止領域は、前記式(A)〜(E)に対し所定の電気角又は時間に対応する禁止幅を含むように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機の制御装置。
  3. 前記禁止幅は、前記スイッチング素子のスイッチング動作に伴って発生するサージ電圧が所定値以下に低減する時間、前記スイッチング素子に流れる相電流のリンギングが所定の収束範囲内に収束する時間、又は、前記スイッチング素子のデッドタイムに応じて設定されていることを特徴とする請求項2に記載の回転機の制御装置。
  4. 前記回転機のトルク又は電流のフィードバック制御により、変調率及び電圧位相を演算する変調率/電圧位相演算部(64、83、87)と、
    前記回転機の回転数に応じて所定の電気角区間におけるパルス数を設定するパルス数設定部(67)と、を備え、
    前記パルスパターン設定部は、
    変調率及びパルス数に応じて、全ての前記スイッチング位相が前記禁止領域から外れるように設定されたパルスパターンを関係づけたマップを予め記憶しており、
    前記回転機の駆動中に随時前記変調率/電圧位相演算部によって演算された変調率、電圧位相、並びに、前記パルス数設定部によって設定されたパルス数に基づき、前記マップを参照してパルスパターンを設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
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