JP2016012798A - 高周波伝送線路、アンテナ及び電子回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】交流抵抗の小さい高周波伝送線路を提供すること。
【解決手段】本発明の一側面に係る高周波伝送線路2は、交流電気信号を伝送する高周波伝送線路2であって、金属及びカーボンナノチューブを含み、カーボンナノチューブが、交流電気信号の伝送方向に垂直な高周波伝送線路2の断面の周縁部8に偏在する。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の一側面に係る高周波伝送線路2は、交流電気信号を伝送する高周波伝送線路2であって、金属及びカーボンナノチューブを含み、カーボンナノチューブが、交流電気信号の伝送方向に垂直な高周波伝送線路2の断面の周縁部8に偏在する。
【選択図】図2
Description
本発明は、高周波伝送線路、アンテナ及び電子回路基板に関する。
電子部品には、電気信号の伝送のための伝送線路が設けられている。近年の高度情報化時代においては、伝送線路が伝送する交流電気信号の周波数帯域が、高周波数帯域へとシフトしている。例えば、携帯情報端末における通信周波数帯域は、数百[MHz]から数[GHz]に及ぶ。このような高周波数帯域の交流電気信号を伝送する高周波伝送線路では、その導電率を高めて、伝送損失を低減することが要求される。
下記特許文献1には、カーボンナノチューブ同士が導体パターン中でネットワークを形成することにより、導体パターンの導電率が向上することが開示されている。
しかしながら、本発明者らは、上記特許文献1に開示された導体パターンによって高周波数帯域の交流電気信号を伝送する場合、導体パターンの交流抵抗が十分には小さくないことを発見した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、交流抵抗の小さい高周波伝送線路、当該高周波伝送線路を備えるアンテナ及び電子回路基板を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る高周波伝送線路は、交流電気信号を伝送する高周波伝送線路であって、金属及びカーボンナノチューブを含み、カーボンナノチューブが、交流電気信号の伝送方向に垂直な高周波伝送線路の断面の周縁部に偏在する。
本発明の一側面に係る高周波伝送線路では、周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が、0.5〜20体積%であってよい。
本発明の一側面に係るアンテナは、上記本発明の一側面に係る高周波伝送線路を備える。
本発明の一側面に係る電子回路基板は、上記本発明の一側面に係る高周波伝送線路を備える。
本発明によれば、交流抵抗の小さい高周波伝送線路、当該高周波伝送線路を備えるアンテナ及び電子回路基板が提供される。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。なお、各図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付す。
図1に示すように、本実施形態に係る電子回路基板16は、高周波伝送線路2と、基板4と、を備えている。高周波伝送線路2は、基板4の表面に沿って設けられている。高周波伝送線路2は、交流電気信号を伝送する。図1に示す直線状の矢印は、交流電気信号の伝送方向を向く。交流電気信号の周波数Fは、例えば、100[MHz]〜3.0[GHz]であってよい。高周波伝送線路2の両端部にはそれぞれ端子10が電気的に接続されている。高周波伝送線路2の形状は、ミアンダパターン(Meander pattern)である。高周波伝送線路2はアンテナ(放射導体及び吸収導体)であってよい。高周波伝送線路2がアンテナである場合、高周波伝送線路2の一方の端部に給電用の端子10が電気的に接続され、給電用の端子10に高周波給電回路(図示せず。)が電気的に接続され、高周波給電回路が接地されていてよい。なお、高周波伝送線路2の形状は、ミアンダパターンに限定されるものではない。高周波伝送線路2は、例えば、直線状であってもよく、曲線状であってもよい。
高周波伝送線路2全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、3〜50μm程度であってよい。高周波伝送線路2全体の厚さとは、基板4の表面に垂直な方向における高周波伝送線路2全体の幅である。基板4の表面に平行な方向における高周波伝送線路2全体の幅は、特に限定されないが、例えば、10μm〜30mm程度であってよい。高周波伝送線路2の線路長は、特に限定されないが、例えば、0.1〜100mm程度であってよい。
高周波伝送線路2は、金属及びカーボンナノチューブを含む。ただし、高周波伝送線路2は、金属及び炭素以外の他の元素を含んでもよい。
高周波伝送線路2に含まれる金属は、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、白金、パラジウム、クロム、チタン及びタンタルからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。高周波伝送線路2に含まれる金属は、上記の金属のうち二種以上を含む合金であってもよい。上記の金属の中でも、銅は、比較的、高い導電率を有し、安価である。
高周波伝送線路2に含まれるカーボンナノチューブは、特に限定されない。カーボンナノチューブとは、例えば、円筒状に閉じた継ぎ目のないグラフェンシートから構成される。カーボンナノチューブはそれを構成する層(グラフェンシート)の数を基準として、一層構造のシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)、二層構造のダブルウォールカーボンナノチューブ(DWCNT)、又は三層以上から構成される構造のマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)に分類される。MWCNTとは、換言すれば、円筒状に閉じた複数のグラフェンシートが入れ子状に積層された構造を有する。カーボンナノチューブは、SWCNT、DWCNT及びMWCNTからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。カーボンナノチューブは直線状であってよい。カーボンナノチューブは屈曲していてもよい。カーボンナノチューブの屈曲部分、又はカーボンナノチューブの断面の閉塞部分には、炭素から構成される六員環以外の環(例えば、五員環又は七員環)が存在していてもよい。カーボンナノチューブが化学的に修飾され、カーボンナノチューブが官能基を有していてよい。カーボンナノチューブは、例えば、化学的蒸着堆積法、触媒気相成長法、アーク放電法、又はレーザー蒸発法によって製造される。
カーボンナノチューブの直径(太さ)は、例えば、1〜50nmであってよい。カーボンナノチューブの長さは、例えば、100〜250000nmであってよい。カーボンナノチューブのアスペクト比は、例えば、100〜5000であってよい。アスペクト比とは、カーボンチューブの長さ(nm)をカーボンチューブの直径(nm)で除した値である。
図2a又は図2bに示すように、交流電気信号の伝送方向に垂直な方向における高周波伝送線路2の断面は、周縁部8と中央部6とを有する。換言すれば、周縁部8と中央部6とを有する断面の垂線(法線)は、交流電気信号の伝送方向に平行である。周縁部8とは、高周波伝送線路2の一部であり、高周波伝送線路2の表面からの距離(深さ)が0.5μm以下である部分である。中央部6とは、高周波伝送線路2の一部であり、周縁部8に囲まれた部分である。図2aに示すように、中央部6は、周縁部8によって完全に囲まれていなくてもよい。中央部6が周縁部8によって囲まれていない部分は、図2aに示すように下面側にある必要はなく、例えば側面側にあってもよく、天面側にあってもよい。図2bに示すように、中央部6は、周縁部8によって完全に囲まれていてもよい。なお、周縁部8は、交流電気信号の伝送方向において連続的に延在しており、周縁部8に囲まれた中央部6も交流電気信号の伝送方向において連続的に延在している。
周縁部8には、多数のカーボンナノチューブが偏在する。つまり、多数のカーボンナノチューブは、交流電気信号の伝送方向において連続的に延在する周縁部8に偏在している。カーボンナノチューブの一部又は全部が、周縁部8の外表面に露出していてもよい。カーボンナノチューブは、周縁部8の外表面側に偏在していてもよい。カーボンナノチューブは、中央部6を覆うように、周縁部8内において均一に分散してよい。
高周波数帯域の交流電気信号を伝送する高周波伝送線路2では、表皮効果が発生する。表皮効果では、高周波電気信号(電流)が高周波伝送線路2を流れるとき、電流密度は、高周波伝送線路2の表面近傍において高くなり、表面から離れるほど低くなる。ここで、高周波伝送線路2の表面近傍とは、例えば、高周波伝送線路2の表面からの距離(深さ)が5μm以下、2μm以下、又は1μm以下である領域である。つまり、高周波伝送線路2の表面近傍とは、表皮効果によって電流が集中する部分である。そして、交流電気信号の周波数が高いほど、電流が高周波伝送線路2の表面近傍に集中し易い。したがって、交流電気信号の周波数が高いほど高周波伝送線路2の交流抵抗は高くなる。このような理由から、高周波伝送線路2の交流抵抗を低減するためには、高周波伝送線路2の表面近傍の導電率を高める必要がある。
しかし、仮に高周波伝送線路2が上記の金属のみならなる場合、高周波伝送線路2の表面近傍に位置する金属が空気中の酸素等により酸化され、高周波伝送線路2の表面近傍の導電率が低下し、高周波伝送線路2の交流抵抗が高まる。
一方、本実施形態では、カーボンナノチューブが周縁部8に偏在し、カーボンナノチューブが高周波伝送線路2の表面近傍に位置する金属の酸化を抑制する。したがって、本実施形態では、高周波伝送線路2の表面近傍の導電率が低下し難く、表皮効果が生じたとしても、高周波伝送線路2の交流抵抗が増加し難い。仮に高周波伝送線路2の表面近傍に位置する金属が酸化されたとしても、周縁部8に偏在するカーボンナノチューブ自体が導電性を有するため、高周波伝送線路2の表面近傍の導電率が低下し難く、高周波伝送線路2の交流抵抗が増加し難い。表皮効果が顕著になる高周波数帯域においては、本実施形態に係る高周波伝送線路2の交流抵抗が、金属単体からなる高周波伝送線路の交流抵抗を下回ることもある。
カーボンナノチューブの導電率は、金属単体(酸化されていない金属)の導電率よりも低い。したがって、仮にカーボンナノチューブが周縁部8に偏在せず、高周波伝送線路2全体に均一に分散していた場合、カーボンナノチューブが、中央部6の導電性を損ない、高周波伝送線路2全体の交流抵抗を増加させてしまう。一方、本実施形態では、カーボンナノチューブが周縁部8に偏在するため、カーボンナノチューブが中央部6の導電性を損ない難い。したがって、本実施形態では、カーボンナノチューブが高周波伝送線路2全体に均一に分散する場合に比べて、高周波伝送線路2全体の交流抵抗が低減され易い。
本実施形態に係る高周波伝送線路2がアンテナである場合、本実施形態に係るアンテナにおける放射効率及び吸収効率は、カーボンナノチューブがアンテナ全体に均一に分散する場合に比べて、向上する。ここで、放射効率とは、例えば、アンテナが放射する全電力の、アンテナに供給される全電力に対する比と定義される。吸収効率とは、例えば、アンテナが吸収する全電力の、アンテナに照射される全電力に対する比として定義される。
周縁部8におけるカーボンナノチューブの含有率は、例えば、周縁部8の全体積に対して0.5〜20体積%であってよい。カーボンナノチューブの含有率が0.5体積%以上である場合、高周波伝送線路2の表面近傍における金属の酸化が抑制され易い。カーボンナノチューブの含有率が20体積%以下である場合、カーボンナノチューブ自体の比較的低い導電率に起因する高周波伝送線路2全体の交流抵抗の増加が抑制され易い。周縁部8はカーボンナノチューブに加えて上記の金属を含んでよい。周縁部8における金属の含有率は、例えば、周縁部8の全体積に対して80〜95.5体積%であってよい。金属の含有率が80体積%以上である場合、周縁部8における金属自体の比較的高い導電率により、高周波伝送線路2全体の交流抵抗が低減され易い。周縁部8はカーボンナノチューブのみからなっていてもよい。
周縁部8におけるカーボンナノチューブの含有率は、例えば、以下の方法で測定されてよい。まず、交流電気信号の伝送方向に垂直な方向における高周波伝送線路2の断面を走査型電子顕微鏡で観察する。この断面の周縁部に露出する各カーボンナノチューブの断面積を測定し、各カーボンナノチューブの断面積の合計値を求める。また、上記断面に露出する周縁部全体の面積を測定する。カーボンナノチューブの断面積の合計値を周縁部全体の面積で除した値に、100を乗じることにより、周縁部8におけるカーボンナノチューブの含有率が算出される。つまり、周縁部8におけるカーボンナノチューブの含有率は、上記断面に露出する周縁部8全体においてカーボンナノチューブの断面積が占める割合(百分率)に等しい。なお、中央部6におけるカーボンナノチューブの含有率は、上記断面に露出する中央部6全体においてカーボンナノチューブの断面積が占める割合(百分率)に等しい。
周縁部8の厚さ(周縁部の深さ)dは、0.1〜0.5μmであってよい。周縁部8の厚さdが0.1μm以上である場合、カーボンナノチューブによって金属の酸化が抑制され易い。周縁部8の厚さdが0.5μm以下である場合、カーボンナノチューブ自体の比較的低い導電率に起因する高周波伝送線路2全体の交流抵抗の増加が抑制され易い。
高周波伝送線路2において露出した部分では、金属は酸化され易い。一方、高周波伝送線路2において露出していない部分(基板4と密着した部分)では、金属は酸化され難く、カーボンナノチューブによって金属の酸化を抑制する必要性は低い。したがって、図2aに示すように、カーボンナノチューブが偏在する周縁部8は、高周波伝送線路2において露出している部分のみに位置していてよい。つまり、カーボンナノチューブが偏在する周縁部8は、高周波伝送線路2において露出していない部分(基板4と密着している部分)に位置しなくてよい。ただし、図2bに示すように、カーボンナノチューブが偏在する周縁部8が、高周波伝送線路2において露出していない部分(基板4と密着している部分)に位置してもよい。中央部6に位置する金属はそもそも酸化され難いので、カーボンナノチューブは中央部6に存在しなくてよい。
カーボンナノチューブの導電率は、金属単体(酸化されていない金属)の導電率より低いので、中央部6におけるカーボンナノチューブの含有率が低いほど、高周波伝送線路2全体の交流抵抗が低減され易い。換言すれば、中央部6における金属の含有率(体積比率)が高いほど、高周波伝送線路2全体の交流抵抗が低減され易い。したがって、中央部6の主成分は、上記の金属であることが好ましい。また、金属を主成分として含む中央部6の面積が、周縁部8の面積よりも大きいほど、高周波伝送線路2全体の交流抵抗が低減され易い。中央部6における金属の含有率は、中央部6の全体積に対して95体積%より大きく100体積%以下であってよく、99体積%以上100体積%以下であってよい。中央部6は上記の金属のみならなっていてよい。ただし、中央部6の導電性を損なわない程度の微量のカーボンナノチューブが、中央部6に含まれていてもよい。
基板4は、例えば、半導体基板であってよく、絶縁性基板であってもよい。基板4を構成する物質は、シリコン、ガリウムヒ素、炭化珪素、若しくは窒化ガリウム等の半導体、エポキシ樹脂が含浸したガラス繊維、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、若しくはアクリル樹脂等の誘電性樹脂、又はガラスセラミック等の誘電性無機化合物であってよい。基板4の厚さは、特に限定されないが、例えば、50μm〜2mmであってよい。
次に、本実施形態に係る高周波伝送線路2の製造方法を、以下に説明する。以下の製造方法は、図2aに示す断面を有する高周波伝送線路2の製造方法である。
図3aに示すように、シード層6aを基板4の表面に形成する。例えば、高周波伝送線路2に含まれる金属が銅である場合、銅及びクロムからなるシード層6aを形成する。シード層6aは、高周波伝送線路2の中央部6の一部を構成する。シード層6aは、例えば、スパッタリングにより形成されてよい。
続いて、図3bに示すように、フォトレジスト30をシード層6aの表面に塗布する。続いて、フォトレジストの露光及び現像を行い、フォトレジスト30で囲まれたミアンダパターン状の凹部30aを形成する。
続いて、図3cに示すように、ミアンダパターン状の中央部6を、凹部30a内に形成する。この中央部6の主成分は、金属である。中央部6は、金属のみからなっていてよい。中央部6の形成方法は、中央部6を構成する金属の種類に応じて、適宜選択されてよい。中央部6の形成方法は、例えば、めっき、スパッタリング、又は化学気相蒸着(CVD)であってよい。めっきは、電解めっき又は無電解めっきであってよい。
続いて、図3dに示すように、フォトレジスト30と、基板4の表面に残存するシード層6aと、を基板4の表面から除去する。金属及びカーボンナノチューブを含むめっき液を用いて、無電解めっきを行う。無電解めっきにより、金属及びカーボンナノチューブを含むめっき膜からなる周縁部8を、中央部6の表面に形成する。めっき液中のカーボンナノチューブの含有量によって、周縁部8におけるカーボンナノチューブの含有率を制御することができる。めっき液の濃度、又はめっきの実施時間により、周縁部8の厚さを制御することができる。めっき液は、カーボンナノチューブを分散させるための分散剤を含んでよい。分散剤は、例えば、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルピロリドン系重合体、水溶性セルロース、又は水溶性セルロース誘導体であってよい。
以上の工程によって、基板4と、基板4の表面に沿って設けられた高周波伝送線路2と、を備える電子回路基板16が完成する。なお、中央部6及び周縁部8の形成方法によっては、シード層6aは必ずしも形成しなくてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
例えば、図2bに示す断面を有する高周波伝送線路2を製造する場合、ミアンダパターン状の凹部30aを形成した後、金属及びカーボンナノチューブを含むめっき膜からなる周縁部8を、凹部30a内のシード層6aの表面に形成する。続いて、中央部6を周縁部8の表面に形成する。続いて、フォトレジスト30と、残存するシード層6aと、を、基板4の表面から除去する。続いて、金属及びカーボンナノチューブを含むめっき膜からなる周縁部8を、中央部6の表面に形成する。これらの工程により、図2bに示す断面を有する高周波伝送線路2が得られる。この場合、シード層6aは、高周波伝送線路2の周縁部8の一部を構成する。
中央部6の形成方法は、上記の方法に限定されない。例えば、金属箔(例えば銅)が積層されたガラスエポキシ基板に、フォトレジストを塗布する。そして露光、現像、金属のエッチング及びレジストの除去を行う。これら一連の工程によって、金属からなるミアンダパターン状の中央部6を基板4の表面に沿って形成してよい。または、ミアンダパターン状の中央部6を、基板4の表面に転写したり、印刷したりしてもよい。
周縁部8の形成方法は、上記の方法に限定されない。例えば、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル又はスズ等の触媒成分を、ミアンダパターン状の中央部6の表面に付着させる。続いて、メタン又はアセチレン等の炭化水素ガスを熱分解して、カーボンナノチューブを触媒成分上に成長させる。続いて、めっき、スパッタリング又はCVDにより、金属成分をカーボンナノチューブ間の隙間に充填させる。これらの工程により、金属及びカーボンナノチューブを含む周縁部8を形成してもよい。
カーボンナノチューブを含む分散液を中央部6の表面に塗布して、分散液中のカーボンナノチューブを、中央部6の表面に物理的に吸着させてもよい。続いて、めっき、スパッタリング又はCVDにより、金属成分をカーボンナノチューブ間の隙間に充填させる。これらの工程により、金属及びカーボンナノチューブを含む周縁部8を形成してもよい。
図4に示すように、高周波伝送線路2は円柱状であってよい。つまり、高周波伝送線路2は、円柱状の中央部6と、中央部6の側面を覆う円筒状の周縁部8、とを備えてよい。このような円柱状の高周波伝送線路2が、電子回路基板のスルーホール又はビアホール内に形成されていてよい。高周波伝送線路は角柱状であってもよい。
上記の高周波伝送線路を備えるトランジスタ、IC、コンデンサ、インダクタ、フィルタ及び電磁シールド等においても、上記実施形態の同様の作用効果が達成される。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表面に熱酸化膜が形成されたシリコン基板を準備した。シリコン基板の寸法は、横30mm×縦30mm×厚さ0.625mmであった。
表面に熱酸化膜が形成されたシリコン基板を準備した。シリコン基板の寸法は、横30mm×縦30mm×厚さ0.625mmであった。
スパッタリングにより、クロム及び銅からなるシード層を、熱酸化膜が形成されたシリコン基板の表面に形成した。
フォトレジストを、シード層の表面に塗布した。続いて、フォトレジストの露光及び現像を行い、ミアンダパターン状の凹部を形成した。
銅を含み、カーボンナノチューブを含まない電解めっき液を用いて、電解めっきを行った。この電解めっきにより、銅からなるミアンダパターン状の中央部を、凹部内に形成した。この中央部は実質的に銅のみからなるものであった。中央部の厚さは均一であった。
続いて、フォトレジストと、残存するシード層と、を、シリコン基板の表面から除去した。銅及びカーボンナノチューブを含む無電解めっき液を用いて、無電解めっきを行った。この電解めっきにより、銅及びカーボンナノチューブを含むめっき膜からなる周縁部を、中央部の表面に形成した。周縁部の厚さは均一であった。周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、0.05g/Lに調整した。
以上の工程を経て、シリコン基板の表面に沿って設けられたミアンダパターン状の高周波伝送線路を作製した。この高周波伝送線路における交流電気信号の伝送方向は、シリコン基板の表面に平行な方向である。シリコン基板の表面に平行な方向における高周波伝送線路の幅は、均一であり、100μmであった。シリコン基板の表面に垂直な方向における高周波伝送線路の厚さは、均一であり、10μmであった。高周波伝送線路全体の線路長は19.7mmであった。シリコン基板の表面(交流電気信号の伝送方向)に垂直な方向における高周波伝送線路の断面を、走査型電子顕微鏡で観察した。この断面は、図2aに示すように、矩形状の中央部6と、中央部6の三辺を囲む周縁部8と、からなることが確認された。周縁部8の厚さは均一であった。周縁部8の厚さは、0.5μmであった。周縁部8におけるカーボンナノチューブの含有率は、周縁部8の全体積に対して0.5体積%であった。中央部6におけるカーボンナノチューブの含有率は、中央部6の全体積に対して0体積%であった。つまり、カーボンナノチューブが周縁部8に偏在していた。
(実施例2〜5)
実施例2〜5では、周縁部の形成に用いる無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率を調整して、周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率を下記表1に示す値に制御した。この点を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2〜5其々の高周波伝送線路を作製した。周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率を除いて、実施例2〜5其々の高周波伝送線路の寸法、形状、断面の構成、及び組成は、実施例1の高周波伝送線路と同様であった。なお、実施例2の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、0.1g/Lであった。実施例3の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、0.5g/Lであった。実施例4の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、1.0g/Lであった。実施例5の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、2.0g/Lであった。下記表1に示す「CNT」とは、カーボンナノチューブを意味する。
実施例2〜5では、周縁部の形成に用いる無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率を調整して、周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率を下記表1に示す値に制御した。この点を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2〜5其々の高周波伝送線路を作製した。周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率を除いて、実施例2〜5其々の高周波伝送線路の寸法、形状、断面の構成、及び組成は、実施例1の高周波伝送線路と同様であった。なお、実施例2の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、0.1g/Lであった。実施例3の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、0.5g/Lであった。実施例4の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、1.0g/Lであった。実施例5の周縁部の形成に用いた無電解めっき液におけるカーボンナノチューブの含有率は、2.0g/Lであった。下記表1に示す「CNT」とは、カーボンナノチューブを意味する。
(比較例1)
比較例1では、実施例1の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例1では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例1では、実施例1と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例1と同様の方法で、比較例1の高周波伝送線路を作製した。比較例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例1の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例1の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例1の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例1の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例1の高周波伝送線路と同様であった。
比較例1では、実施例1の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例1では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例1では、実施例1と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例1と同様の方法で、比較例1の高周波伝送線路を作製した。比較例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例1の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例1の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例1の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例1の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例1の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例1の高周波伝送線路と同様であった。
(比較例2)
比較例2では、実施例2の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例2では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例2では、実施例2と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例2と同様の方法で、比較例2の高周波伝送線路を作製した。比較例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例2の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例2の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例2の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例2の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例2の高周波伝送線路と同様であった。
比較例2では、実施例2の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例2では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例2では、実施例2と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例2と同様の方法で、比較例2の高周波伝送線路を作製した。比較例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例2の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例2の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例2の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例2の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例2の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例2の高周波伝送線路と同様であった。
(比較例3)
比較例3では、実施例3の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例3では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例3では、実施例3と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例3と同様の方法で、比較例3の高周波伝送線路を作製した。比較例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例3の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例3の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例3の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例3の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例3の高周波伝送線路と同様であった。
比較例3では、実施例3の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例3では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例3では、実施例3と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例3と同様の方法で、比較例3の高周波伝送線路を作製した。比較例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例3の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例3の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例3の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例3の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例3の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例3の高周波伝送線路と同様であった。
(比較例4)
比較例4では、実施例4の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例4では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例4では、実施例4と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例4と同様の方法で、比較例4の高周波伝送線路を作製した。比較例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例4の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例4の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例4の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例4の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例4の高周波伝送線路と同様であった。
比較例4では、実施例4の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例4では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例4では、実施例4と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例4と同様の方法で、比較例4の高周波伝送線路を作製した。比較例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例4の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例4の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例4の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例4の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例4の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例4の高周波伝送線路と同様であった。
(比較例5)
比較例5では、実施例5の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例5では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例5では、実施例5と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例5と同様の方法で、比較例5の高周波伝送線路を作製した。比較例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例5の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例5の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例5の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例5の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例5の高周波伝送線路と同様であった。
比較例5では、実施例5の周縁部の形成に用いた無電解めっき液から、中央部を形成した。つまり、比較例5では、電解めっきではなく、無電解めっきにより、中央部を形成した。また、比較例5では、実施例5と同様の方法で、周縁部を形成した。これらの点を除いて実施例5と同様の方法で、比較例5の高周波伝送線路を作製した。比較例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。比較例5の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率は、実施例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。つまり、比較例5の周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率は、比較例5の中央部におけるカーボンナノチューブの含有率と同じであることが確認された。換言すれば、比較例5の高周波伝送線路全体にわたって、カーボンナノチューブが均一に分布していることが確認された。比較例5の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例5の高周波伝送線路と同様であった。
(参考例1)
参考例1では、銅を含み、カーボンナノチューブを含まない無電解めっき液から、周縁部を形成した。この点を除いて実施例1と同様の方法で、参考例1の高周波伝送線路を作製した。参考例1の高周波伝送線路は実質的に銅のみからなっていた。つまり、参考例1の高周波伝送線路は、カーボンナノチューブを含まなかった。参考例1の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例1の高周波伝送線路と同様であった。
参考例1では、銅を含み、カーボンナノチューブを含まない無電解めっき液から、周縁部を形成した。この点を除いて実施例1と同様の方法で、参考例1の高周波伝送線路を作製した。参考例1の高周波伝送線路は実質的に銅のみからなっていた。つまり、参考例1の高周波伝送線路は、カーボンナノチューブを含まなかった。参考例1の高周波伝送線路の寸法及び形状は、実施例1の高周波伝送線路と同様であった。
<交流抵抗の測定>
周波数F[GHz]が下記表1に示す値である交流電気信号を、実施例1の高周波伝送線路に流し、各周波数F[GHz]における高周波伝送線路の交流抵抗R(F)[Ω]を、インピーダンスアナライザで計測した。交流抵抗R(F)とは、高周波伝送線路(ミアンダパターン)の一方の端部と、他方の端部との間の抵抗である。同様の方法で、各周波数F[GHz]における参考例1の高周波伝送線路の交流抵抗Rcu(F)[Ω]を計測した。そして、各周波数F[GHz]におけるR(F)のRcu(F)に対する比r(F)を求めた。r(F)は、下記数式Aで表される。各周波数Fにおける実施例1のr(F)を、下記表1に示す。なお、周波数F[GHz]が0である電気信号とは、直流の電気信号を意味する。よって、R(0)は、実施例1の高周波伝送線路の直流抵抗であり、Rcu(0)は、参考例1の高周波伝送線路の直流抵抗である。
r(F)=R(F)/Rcu(F) (A)
周波数F[GHz]が下記表1に示す値である交流電気信号を、実施例1の高周波伝送線路に流し、各周波数F[GHz]における高周波伝送線路の交流抵抗R(F)[Ω]を、インピーダンスアナライザで計測した。交流抵抗R(F)とは、高周波伝送線路(ミアンダパターン)の一方の端部と、他方の端部との間の抵抗である。同様の方法で、各周波数F[GHz]における参考例1の高周波伝送線路の交流抵抗Rcu(F)[Ω]を計測した。そして、各周波数F[GHz]におけるR(F)のRcu(F)に対する比r(F)を求めた。r(F)は、下記数式Aで表される。各周波数Fにおける実施例1のr(F)を、下記表1に示す。なお、周波数F[GHz]が0である電気信号とは、直流の電気信号を意味する。よって、R(0)は、実施例1の高周波伝送線路の直流抵抗であり、Rcu(0)は、参考例1の高周波伝送線路の直流抵抗である。
r(F)=R(F)/Rcu(F) (A)
下記表1に示す参考例1のr(F)は、Rcu(F)/Rcu(F)と定義される。したがって、下記表1に示す参考例1のr(F)はいずれも、1.00である。
実施例1と同様で、実施例2〜5及比較例1〜5其々のr(F)を求めた。実施例2〜5及比較例1〜5其々のr(F)を、下記表1に示す。
[実施例1、比較例1及び参考例1の比較]
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例1及び比較例1を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例1のr(F)は、比較例1のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例1の交流抵抗R(F)は、比較例1の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。実施例1の小さい交流抵抗R(F)は以下の要因1及び2に依る、と本発明者らは推測する。
<要因1> 実施例1の周縁部に偏在するカーボンナノチューブが、高周波伝送線路の表面近傍における銅の酸化及び導電率の低下を抑制する。仮に銅が酸化されたとしても、カーボンナノチューブ自体の導電性により、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下が抑制される。したがって、高周波数帯域における表皮効果によって交流電気信号が高周波伝送線路の表面近傍に集中した場合であっても、高周波伝送線路の表面近傍における交流電気信号の伝送が阻害され難い。
<要因2> 実施例1の中央部が実質的に銅のみからなる一方で、比較例1の中央部は、銅のみならず、銅よりも導電率が低いカーボンナノチューブを含む。つまり、比較例1では、銅よりも導電率が低いカーボンナノチューブが高周波伝送線路全体に分布している。したがって、実施例1の高周波伝送線路全体の導電率は、比較例1の高周波伝送線路全体の導電率よりも高い。
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例1及び比較例1を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例1のr(F)は、比較例1のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例1の交流抵抗R(F)は、比較例1の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。実施例1の小さい交流抵抗R(F)は以下の要因1及び2に依る、と本発明者らは推測する。
<要因1> 実施例1の周縁部に偏在するカーボンナノチューブが、高周波伝送線路の表面近傍における銅の酸化及び導電率の低下を抑制する。仮に銅が酸化されたとしても、カーボンナノチューブ自体の導電性により、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下が抑制される。したがって、高周波数帯域における表皮効果によって交流電気信号が高周波伝送線路の表面近傍に集中した場合であっても、高周波伝送線路の表面近傍における交流電気信号の伝送が阻害され難い。
<要因2> 実施例1の中央部が実質的に銅のみからなる一方で、比較例1の中央部は、銅のみならず、銅よりも導電率が低いカーボンナノチューブを含む。つまり、比較例1では、銅よりも導電率が低いカーボンナノチューブが高周波伝送線路全体に分布している。したがって、実施例1の高周波伝送線路全体の導電率は、比較例1の高周波伝送線路全体の導電率よりも高い。
実施例1と参考例1とを比較した。周波数F[GHz]が1.00[GHz]以上である場合、実施例1のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例1の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。
周波数F[GHz]が1.00[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例1のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例1の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加より抑制され易いことが確認された。
高周波数帯域における実施例1及び参考例1の上記関係は、以下の要因3及び4に依る、と本発明者らは推測する。
<要因3> 実施例1では、周縁部に偏在するカーボンナノチューブが、高周波伝送線路の表面近傍における銅の酸化及び導電率の低下を抑制する。仮に銅が酸化されたとしても、カーボンナノチューブ自体の導電性により、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下が抑制される。一方、参考例1の高周波伝送線路の周縁部には、カーボンナノチューブが存在しない。したがって、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の銅は、実施例1に比べて、酸化され易く、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、実施例1に比べて、低下し易い。
<要因4> 実施例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、表皮効果によって交流電気信号が高周波伝送線路の表面近傍に集中し易い。したがって、実施例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率が、高周波伝送線路全体の交流抵抗に影響し易くなる。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下によって、高周波伝送線路全体の交流抵抗が増加し易くなる。上記の通り、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、実施例1に比べて、低下し易い。したがって、周波数F[GHz]が高いほど、参考例1の高周波伝送線路全体の交流抵抗は、実施例1に比べて増加し易い。
<要因3> 実施例1では、周縁部に偏在するカーボンナノチューブが、高周波伝送線路の表面近傍における銅の酸化及び導電率の低下を抑制する。仮に銅が酸化されたとしても、カーボンナノチューブ自体の導電性により、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下が抑制される。一方、参考例1の高周波伝送線路の周縁部には、カーボンナノチューブが存在しない。したがって、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の銅は、実施例1に比べて、酸化され易く、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、実施例1に比べて、低下し易い。
<要因4> 実施例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、表皮効果によって交流電気信号が高周波伝送線路の表面近傍に集中し易い。したがって、実施例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率が、高周波伝送線路全体の交流抵抗に影響し易くなる。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下によって、高周波伝送線路全体の交流抵抗が増加し易くなる。上記の通り、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、実施例1に比べて、低下し易い。したがって、周波数F[GHz]が高いほど、参考例1の高周波伝送線路全体の交流抵抗は、実施例1に比べて増加し易い。
比較例1と参考例1とを比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例1のr(F)は、1.00以上であることが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例1の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)以上であることが確認された。これは、参考例1の高周波伝送線路が実質的に銅のみからなる一方で、比較例1では、銅よりも導電率が低いカーボンナノチューブが高周波伝送線路全体に分布していること起因する。
周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例1のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。換言すれば、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例1の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。これは、以下の要因5及び6に依る、と本発明者らは推測する。
<要因5> 比較例1の高周波伝送線路の周縁部に位置するカーボンナノチューブが、高周波伝送線路の表面近傍における銅の酸化及び導電率の低下を抑制する。仮に銅が酸化されたとしても、カーボンナノチューブ自体の導電性により、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下が抑制される。一方、参考例1の高周波伝送線路の周縁部には、カーボンナノチューブが存在しない。したがって、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の銅は、比較例1に比べて、酸化され易く、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、比較例1に比べて、低下し易い。
<要因6> 比較例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、表皮効果によって交流電気信号が高周波伝送線路の表面近傍に集中し易い。したがって、比較例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率が、高周波伝送線路全体の交流抵抗に影響し易くなる。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下によって、高周波伝送線路全体の交流抵抗が増加し易くなる。上記の通り、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、比較例1に比べて、低下し易い。したがって、周波数F[GHz]が高いほど、参考例1の高周波伝送線路全体の交流抵抗は、比較例1に比べて増加し易い。ただし、参考例1の高周波伝送線路が実質的に銅のみからなる一方で、比較例1では、銅よりも導電率が低いカーボンナノチューブが高周波伝送線路全体に分布しているので、参考例1の交流抵抗が比較例1の交流抵抗を上回ることはない。
<要因5> 比較例1の高周波伝送線路の周縁部に位置するカーボンナノチューブが、高周波伝送線路の表面近傍における銅の酸化及び導電率の低下を抑制する。仮に銅が酸化されたとしても、カーボンナノチューブ自体の導電性により、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下が抑制される。一方、参考例1の高周波伝送線路の周縁部には、カーボンナノチューブが存在しない。したがって、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の銅は、比較例1に比べて、酸化され易く、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、比較例1に比べて、低下し易い。
<要因6> 比較例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、表皮効果によって交流電気信号が高周波伝送線路の表面近傍に集中し易い。したがって、比較例1及び参考例1のいずれにおいても、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率が、高周波伝送線路全体の交流抵抗に影響し易くなる。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、高周波伝送線路の表面近傍の導電率の低下によって、高周波伝送線路全体の交流抵抗が増加し易くなる。上記の通り、参考例1の高周波伝送線路の表面近傍の導電率は、比較例1に比べて、低下し易い。したがって、周波数F[GHz]が高いほど、参考例1の高周波伝送線路全体の交流抵抗は、比較例1に比べて増加し易い。ただし、参考例1の高周波伝送線路が実質的に銅のみからなる一方で、比較例1では、銅よりも導電率が低いカーボンナノチューブが高周波伝送線路全体に分布しているので、参考例1の交流抵抗が比較例1の交流抵抗を上回ることはない。
上述した実施例1、比較例1及び参考例1それぞれの各周波数(F)における交流抵抗(R)を、模式的に図5に示す。なお、図5に示す「純Cu」の曲線は、酸化されない理想的な銅のみからなる高周波伝送線路の交流抵抗を示すものである。つまり、「純Cu」の交流抵抗は、銅の酸化に影響されず、表皮効果のみによって増加する。
[実施例2、比較例2及び参考例1の比較]
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例2及び比較例2を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例2のr(F)は、比較例2のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例2の交流抵抗R(F)は、比較例2の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、実施例2のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例2の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例2のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例2の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加より抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例2のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例2の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例2のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例2の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例2及び比較例2を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例2のr(F)は、比較例2のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例2の交流抵抗R(F)は、比較例2の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、実施例2のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例2の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例2のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例2の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加より抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例2のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例2の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例2のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例2の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
[実施例3、比較例3及び参考例1の比較]
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例3及び比較例3を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例3のr(F)は、比較例3のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例3の交流抵抗R(F)は、比較例3の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、実施例3のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例3の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例3のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例3の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加より抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例3のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例3の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例3のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例3の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例3及び比較例3を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例3のr(F)は、比較例3のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例3の交流抵抗R(F)は、比較例3の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、実施例3のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例3の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例3のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例3の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加より抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例3のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例3の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例3のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例3の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
[実施例4、比較例4及び参考例1の比較]
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例4及び比較例4を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例4のr(F)は、比較例4のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例4の交流抵抗R(F)は、比較例4の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、実施例4のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例4の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例4のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例4の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加より抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例4のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例4の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例4のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例4の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例4及び比較例4を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例4のr(F)は、比較例4のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例4の交流抵抗R(F)は、比較例4の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、実施例4のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例4の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が0.75[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例4のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例4の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加より抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例4のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例4の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例4のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例4の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
[実施例5、比較例5及び参考例1の比較]
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例5及び比較例5を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例5のr(F)は、比較例5のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例5の交流抵抗R(F)は、比較例5の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が1.00[GHz]以上である場合、実施例5のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例5の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が1.00[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例5のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例5の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加により抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例5のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例5の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例5のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例5の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
周縁部におけるカーボンナノチューブの含有率が同じである実施例5及び比較例5を比較した。いずれの周波数F[GHz]においても、実施例5のr(F)は、比較例5のr(F)よりも小さいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、実施例5の交流抵抗R(F)は、比較例5の交流抵抗R(F)よりも小さいことが確認された。周波数F[GHz]が1.00[GHz]以上である場合、実施例5のr(F)は、1.00未満であることが確認された。つまり、周波数F[GHz]がある閾値以上である場合、実施例5の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より小さいことが確認された。周波数F[GHz]が1.00[GHz]以上である場合、周波数F[GHz]の増加に伴い、実施例5のr(F)が減少することが確認された。つまり、周波数F[GHz]が高いほど、実施例5の交流抵抗R(F)の増加が、参考例1の交流抵抗Rcu(F)の増加により抑制され易いことが確認された。いずれの周波数F[GHz]においても、比較例5のr(F)は、1.00より大きいことが確認された。つまり、いずれの周波数F[GHz]においても、比較例5の交流抵抗R(F)は、参考例1の交流抵抗Rcu(F)より大きいことが確認された。周波数F[GHz]の増加に伴い、比較例5のr(F)が減少し、1.00に近づくことが確認された。つまり、周波数F[GHz]の増加に伴い、参考例1の交流抵抗Rcu(F)が比較例5の交流抵抗R(F)に近づく傾向があった。
本発明によれば、交流抵抗の小さい高周波伝送線路、当該高周波伝送線路を備えるアンテナ及び電子回路基板が提供される。
2…高周波伝送線路(又はアンテナ)、4…基板、6…中央部、6a…シード層、8…周縁部、10…端子、16…電子回路基板、30…フォトレジスト、30a…凹部、d…周縁部の厚さ。
Claims (4)
- 交流電気信号を伝送する高周波伝送線路であって、
金属及びカーボンナノチューブを含み、
前記カーボンナノチューブが、前記交流電気信号の伝送方向に垂直な前記高周波伝送線路の断面の周縁部に偏在する、
高周波伝送線路。 - 前記周縁部における前記カーボンナノチューブの含有率が、0.5〜20体積%である、
請求項1に記載の高周波伝送線路。 - 請求項1又は2に記載の高周波伝送線路を備えるアンテナ。
- 請求項1又は2に記載の高周波伝送線路を備える電子回路基板。
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