JP2016012442A - ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法 - Google Patents

ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016012442A
JP2016012442A JP2014132776A JP2014132776A JP2016012442A JP 2016012442 A JP2016012442 A JP 2016012442A JP 2014132776 A JP2014132776 A JP 2014132776A JP 2014132776 A JP2014132776 A JP 2014132776A JP 2016012442 A JP2016012442 A JP 2016012442A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nickel
negative electrode
storage alloy
secondary battery
hydrogen storage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014132776A
Other languages
English (en)
Inventor
拓也 甲斐
Takuya Kai
拓也 甲斐
石田 潤
Jun Ishida
潤 石田
木原 勝
Masaru Kihara
勝 木原
明 佐口
Akira Saguchi
明 佐口
裕介 新海
Yusuke Shinkai
裕介 新海
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
FDK Corp
Original Assignee
FDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by FDK Corp filed Critical FDK Corp
Priority to JP2014132776A priority Critical patent/JP2016012442A/ja
Publication of JP2016012442A publication Critical patent/JP2016012442A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】高容量と優れた高温放置特性との両立を図ることができるニッケル水素二次電池を提供する。【解決手段】ニッケル水素二次電池2は、放電リザーブ蓄積率が20.0%以下であり、表面に酸化物層を有する水素吸蔵合金を用いて形成された負極26を備え、水素吸蔵合金は、一般式:Ln1-xMgxNiy-zAlz(ただし、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字x、y、zは、それぞれ、0.05≦x≦0.30、2.8≦y≦3.8、0.05≦z≦0.30で示される関係を満たしている。)で表される組成を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法に関する。
ニッケル水素二次電池は、ニッケルカドミウム二次電池に比べて高容量で、且つ、環境安全性にも優れているという点から携帯電子機器、電動工具、ハイブリッド電気自動車等の各種機器に使用されるようになっており、用途が拡大している。このように用途が拡大していることから、ニッケル水素二次電池には、より高容量化が望まれている。
ニッケル水素二次電池の正極の容量及び負極の容量は、正極の極板に保持される水酸化ニッケル及び負極の極板に保持される水素吸蔵合金の量によってそれぞれ決定されるので、ニッケル水素二次電池の高容量化を図るには、これら水酸化ニッケル及び水素吸蔵合金の量を増やす必要がある。
ここで、ニッケル水素二次電池は、特に大電流放電において正極の利用率が負極の利用率に比べて高い。このため、放電時に正極が未放電の容量を持ったまま放電終了とならないように、負極には、過剰に放電可能な容量、すなわち、放電リザーブを設けている。つまり、ニッケル水素二次電池においては、正極の容量に比べて負極の容量が大きく設定されている。従って、ニッケル水素二次電池を高容量化するには、正極の容量を増大させるとともに放電リザーブを含む負極の容量も増大させなければならないので、放電リザーブに相当する分だけ水素吸蔵合金を多く負極に保持させなければならない。しかしながら、電池内の容積には限度があるので、電池内に入れられる水素吸蔵合金の量にも制約がある。そこで、特許文献1に代表されるニッケル水素二次電池のように、水素吸蔵合金粉末を含む負極合剤層を保持した負極芯体を高い圧延荷重をかけて圧延して、負極における水素吸蔵合金の充填密度を高めることが行われている。
ところで、ニッケル水素二次電池には、近年、益々用途が拡大していることから、更なる高容量化が望まれている。ニッケル水素二次電池の更なる高容量化を図るための対策として、負極の放電リザーブの量をなるべく下げて、相対的に正極の容量を増やすような対策が取られている。このような対策が取られたニッケル水素二次電池を表す指標として、正負極容量比又は放電リザーブ蓄積率が用いられる。つまり、正負極容量比又は放電リザーブ率が通常のニッケル水素二次電池よりも低い値を示す電池は上記した対策が取られて高容量化されたニッケル水素二次電池となる。具体的には、正負極容量比が1.25以下、放電リザーブ率が20%以下のニッケル水素二次電池は、通常、高容量タイプのニッケル水素二次電池となる。
ここで、正負極容量比とは、下記の(I)式で表される負極の容量と正極の容量との比のことである。
正負極容量比=(負極の容量/正極の容量)・・・(I)
一方、放電リザーブ蓄積率とは、下記の(II)式で表される放電リザーブと電池容量(電池全体としての容量)との比率のことである。
放電リザーブ蓄積率%=(放電リザーブ/電池容量)×100・・・(II)
特開2000−228201号公報
ところで、上記したような高容量タイプのニッケル水素二次電池は、高容量を発揮するものの高温環境下に放置されると、その後の使用に際し自己放電が進行し易くなる性質を持っているため、例えば、暖房等の熱源の近くや夏場の車内への放置が想定されるような用途には使用できず、使用環境が制限されているといった問題がある。ここで、電池が高温に曝された後の自己放電の進行のし易さを高温放置特性と表現すると、高温に曝された後の使用において自己放電が進行し難い電池は高温放置特性に優れており、自己放電が進行し易い電池は高温放置特性に劣る。従来の高容量タイプのニッケル水素二次電池は、この高温放置特性に劣っていると言える。
従来の高容量タイプのニッケル水素二次電池においては、上記したように用途が拡大していることから、高容量を維持しつつ、高温放置特性に優れる電池の開発が望まれている。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、高容量と優れた高温放置特性との両立を図ることができるニッケル水素二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、放電リザーブ蓄積率が20.0%以下であるニッケル水素二次電池において、表面に酸化物層を有する水素吸蔵合金を用いて形成された負極を備えている、ニッケル水素二次電池が提供される。
また、本発明によれば、(負極の容量/正極の容量)で表される正負極容量比が1.25以下であるニッケル水素二次電池において、表面に酸化物層を有する水素吸蔵合金を用いて形成された負極を備えている、ニッケル水素二次電池が提供される。
好ましくは、前記水素吸蔵合金は、一般式:Ln1-xMgxNiy-zAlz(ただし、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字x、y、zは、それぞれ、0.05≦x≦0.30、2.8≦y≦3.8、0.05≦z≦0.30で示される関係を満たしている。)で表される組成を有している構成とする。
また、本発明によれば、水酸化ニッケルを含む正極及び水素吸蔵合金を含む負極を備えたニッケル水素二次電池の製造方法において、前記水素吸蔵合金の粉末をアルカリ水溶液中に浸漬し、前記水素吸蔵合金の表面に酸化物層を形成するアルカリ処理を施してアルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を得、前記ニッケル水素二次電池の全体としての容量である電池容量の値と、前記負極の放電リザーブの値とを次式:放電リザーブ蓄積率%=(放電リザーブ/電池容量)×100に当てはめて求められる放電リザーブ蓄積率が20.0%以下となる量の前記アルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を用いて前記負極を形成する、ニッケル水素二次電池の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、水酸化ニッケルを含む正極及び水素吸蔵合金を含む負極を備えたニッケル水素二次電池の製造方法において、前記水素吸蔵合金の粉末をアルカリ水溶液中に浸漬し、前記水素吸蔵合金の表面に酸化物層を形成するアルカリ処理を施してアルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を得、前記正極の容量の値と、前記負極の容量の値とを次式:正負極容量比=(負極の容量/正極の容量)に当てはめて求められる正負極容量比が1.25以下となる量の前記アルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を用いて前記負極を形成する、ニッケル水素二次電池の製造方法が提供される。
好ましくは、前記アルカリ水溶液は、水酸化カリウム水溶液である構成とする。
また、好ましくは、前記水酸化カリウム水溶液の規定度は、7N以上である構成とする。
また、好ましくは、前記水素吸蔵合金の粉末を40℃以上に保持されている前記アルカリ水溶液中に浸漬する構成とする。
また、好ましくは、上記したニッケル水素二次電池の製造方法において、前記水素吸蔵合金は、一般式:Ln1-xMgxNiy-zAlz(ただし、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字x、y、zは、それぞれ、0.05≦x≦0.30、2.8≦y≦3.8、0.05≦z≦0.30で示される関係を満たしている。)で表される組成を有している構成とする。
本発明のニッケル水素二次電池は、高容量タイプの電池であり、しかも、水素吸蔵合金の表面に形成された酸化物層の働きにより高温環境下に放置された後であっても、自己放電の進行を抑制することができる。つまり、本発明のニッケル水素二次電池は、高容量と優れた高温放置特性との両立を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を部分的に破断して示した斜視図である。
以下、本発明に係るニッケル水素二次電池(以下、単に電池と称する)2を、図面を参照して説明する。
本発明が適用される電池2としては特に限定されないが、例えば、図1に示すAAサイズの円筒型の電池2に本発明を適用した場合を例に説明する。
図1に示すように、電池2は、容器として、上端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を備えている。外装缶10は導電性を有し、その底壁35は負極端子として機能する。外装缶10の開口には、封口体11が固定されている。この封口体11は、蓋板14及び正極端子20を含み、外装缶10を封口するとともに正極端子20を提供する。蓋板14は、導電性を有する円板形状の部材である。外装缶10の開口内には、蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁37をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁37に固定されている。即ち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
ここで、蓋板14は中央に中央貫通孔16を有し、そして、蓋板14の外面上には中央貫通孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状をなす金属製の正極端子20が電気的に接続されている。この正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。なお、正極端子20には、図示しないガス抜き孔が開口されている。
通常時、中央貫通孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、中央貫通孔16を開き、その結果、外装缶10内から中央貫通孔16及び正極端子20のガス抜き孔を介して外部にガスが放出される。つまり、中央貫通孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
外装缶10には、アルカリ電解液(図示せず)とともに電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28からなり、これらは正極24と負極26との間にセパレータ28が挟み込まれた状態で渦巻状に巻回されている。即ち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、外装缶10の内周壁と接触している。即ち、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
そして、外装缶10内には、電極群22と蓋板14との間に正極リード30が配置されている。詳しくは、正極リード30は、その一端が正極24に接続され、その他端が蓋板14に接続されている。従って、正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の上部絶縁部材32が配置され、正極リード30は上部絶縁部材32に設けられたスリット39を通して延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の下部絶縁部材34が配置されている。
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されている。注入されたアルカリ電解液は電極群22に保持されており、その大部分はセパレータ28に保持されている。そして、このアルカリ電解液は、正極24と負極26との間での充放電反応を進行させる。このアルカリ電解液としては、特に限定されるものではないが、KOHを溶質の主体として含むアルカリ電解液が用いられる。ここで、KOHを溶質の主体として含むアルカリ電解液とは、アルカリ電解液に含まれるアルカリ金属元素のモル数の総和に対し、Kのモル数が50%以上となるようにKOHが含まれているアルカリ電解液のことをいう。本実施形態におけるアルカリ電解液としては、溶質として、KOHに加えて、NaOH及びLiOHのうちの少なくとも一方を含んでいるものが好適に用いられる。このとき、溶質全体の50%以上をKOHが占めている態様とすることが好ましい。本発明において採用可能なアルカリ電解液としては、具体的には、水酸化カリウム水溶液が挙げられ、また、必要に応じて水酸化カリウム水溶液に水酸化ナトリウム水溶液や水酸化リチウム水溶液が適宜添加された混合水溶液が挙げられる。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものを用いることができる。具体的には、スルホン化処理が施されてスルホン基が付与されたポリオレフィン繊維からなる不織布を用いることが好ましい。ここで、スルホン基は、硫酸又は発煙硫酸等の硫酸基を含む酸を用いて不織布を処理することにより付与される。このようにセパレータにスルホン化処理を施すと、親水性が付与されるだけではなく電池の自己放電の抑制にも寄与する。
正極24は、多孔質構造をなし多数の空孔を有する導電性の正極基材と、前記した空孔内及び正極基材の表面に保持された正極合剤とからなる。
このような正極基材としては、例えば、ニッケルめっきが施された網状、スポンジ状若しくは繊維状の金属体、あるいは、発泡ニッケル(ニッケルフォーム)を用いることができる。
正極合剤は、正極活物質粒子、導電材、正極添加剤及び結着剤を含む。この結着剤は、正極活物質粒子、導電材及び正極添加剤を結着させると同時に正極合剤を正極基材に結着させる働きをなす。ここで、結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)ディスパージョンなどを用いることができる。
正極活物質粒子は、水酸化ニッケル粒子又は高次水酸化ニッケル粒子である。なお、これら水酸化ニッケル粒子には、亜鉛、マグネシウム及びコバルトのうちの少なくとも一種を固溶させることが好ましい。
導電材としては、例えば、コバルト酸化物(CoO)やコバルト水酸化物(Co(OH)2)などのコバルト化合物及びコバルト(Co)から選択された1種又は2種以上を用いることができる。この導電材は、必要に応じて正極合剤に添加されるものであり、添加される形態としては、粉末の形態のほか、正極活物質の表面を覆う被覆の形態で正極合剤に含まれていてもよい。
正極添加剤は、正極の特性を改善するために、必要に応じ適宜選択されたものが添加される。主な正極添加剤としては、例えば、酸化イットリウムや酸化亜鉛が挙げられる。
正極24は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、正極活物質粒子からなる正極活物質粉末、導電材、正極添加剤、水及び結着剤を含む正極合剤スラリーを調製する。得られた正極合剤スラリーは、例えばニッケルフォームに充填され、乾燥させられる。乾燥後、水酸化ニッケル粒子等が充填されたニッケルフォームは、ロール圧延されてから裁断される。これにより、正極合剤を保持した正極24が作製される。
次に、負極26について説明する。
負極26は、帯状をなす導電性の負極芯体を有し、この負極芯体に負極合剤が保持されている。
負極芯体は、貫通孔が分布されたシート状の金属材からなり、例えば、パンチングメタルシートを用いることができる。負極合剤は、負極芯体の貫通孔内に充填されるばかりでなく、負極芯体の両面上にも層状にして保持されている。
負極合剤は、水素吸蔵合金の粒子、負極添加剤、導電材及び結着剤を含む。ここで、水素吸蔵合金は、負極活物質である水素を吸蔵及び放出可能な合金である。上記した結着剤は水素吸蔵合金の粒子、負極添加剤及び導電材を互いに結着させると同時に負極合剤を負極芯体に結着させる働きをなす。ここで、結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等を用いることができ、導電材としては、カーボンブラック、黒鉛、ニッケル粉等を用いることができる。
負極添加剤は、負極の特性を改善するために、必要に応じ適宜選択されたものが添加される。
本発明で用いられる水素吸蔵合金粒子は、その表面に、水素吸蔵合金の酸化物からなる酸化物層を有している。
ここで、ニッケル水素二次電池の自己放電の原因の一つに水素の解離がある。詳しくは、負極に含まれる水素吸蔵合金の表面がアルカリ電解液により腐食されると、その腐食反応により水素ガスが発生し、水素が解離する。このように水素が解離することで負極が放電し、自己放電が起こる。また、解離した水素は、正極に到達すると正極を還元するので、この還元反応によって正極が放電し、これによっても自己放電が起こる。
上記した酸化物層は、水素吸蔵合金の内部から表面へ移動する水素原子の速度を低下させるため、電池を充電後に放置しても、水素吸蔵合金表面の近傍に移動する水素元素は少ないので水素解離を抑制することができる。そのため電池の自己放電の進行を抑制できると考えられる。上記した酸化物層が水素吸蔵合金の表面に存在する表面状態は、電池が高温環境下に放置されている間及びその後においても変化せず、安定的に維持されていると考えられる。よって、ニッケル水素二次電池が高温環境下に放置されている間及びその後においても水素原子が水素吸蔵合金表面に移動することは抑制されるので、水素解離にともなう自己放電が抑制され、電池の高温放置特性の向上が図られる。
水素吸蔵合金粒子における水素吸蔵合金の種類としては、特に限定はされないが、希土類元素、Mg及びNiを含む希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金が好適なものとして用いられる。この希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金は電気化学容量が大きく、高温放置時の劣化も起こり難いことから、電池の高容量化及び高温放置特性の向上により貢献する。
上記した希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、具体的には、以下に示す一般式(III)で表される組成を有している。
Ln1-xMgxNiy-zAlz・・・(III)
ただし、一般式(III)中、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字x、y、aは、それぞれ、0.05≦x≦0.30、2.8≦y≦3.8、0.05≦z≦0.30で示される関係を満たしている。
ここで、上記した一般式(III)で示される水素吸蔵合金の酸化物層は、例えば、Ni、希土類元素、Mg及びAlを含む合金の酸化物からなる。この酸化物層は、Mg、Alの比率が少なく、合金のバルク部分よりもNiの比率が高い構成をなしている。
水素吸蔵合金粒子は、例えば、以下のようにして得られる。
まず、所定の組成となるよう金属原材料を計量して混合し、この混合物を例えば誘導溶解炉で溶解してインゴットにする。得られたインゴットに、900〜1200℃の不活性ガス雰囲気下にて5〜24時間加熱する熱処理を施す。この後、インゴットを粉砕し、篩分けを行うことにより所望粒径の水素吸蔵合金粒子の中間製品を得る。
次いで、得られた中間製品を所定温度のアルカリ水溶液の中に所定時間浸漬するアルカリ処理を施す。このアルカリ処理において、使用されるアルカリ水溶液の種類及び規定度は特に限定はされない。ここで、好適なアルカリ処理の条件としては、例えば、7N以上の水酸化カリウム水溶液を準備し、この水酸化カリウム水溶液の温度を40℃以上に設定し、この水酸化カリウム水溶液中に水素吸蔵合金粉末を0.5〜2.0時間浸漬させる。好ましくは、水酸化カリウム水溶液は、その規定度が7〜9Nであり、その温度が40℃〜100℃に設定する。より好ましくは、7Nの水酸化カリウム水溶液を準備し、この水酸化カリウム水溶液の温度を40〜60℃に設定し、この水酸化カリウム水溶液中に水素吸蔵合金粉末を1.0時間浸漬させる。
上記した中間製品にこのようなアルカリ処理を施すことにより表面に上記した酸化物層が形成された水素吸蔵合金粒子を得ることができる。
また、負極26は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記のようなアルカリ処理を経た水素吸蔵合金粒子からなる水素吸蔵合金粉末と、導電材と、結着剤と、水とを準備し、これらを混練して負極合剤スラリーを調製する。なお、必要に応じて負極添加剤を更に添加しても構わない。得られた負極合剤スラリーは負極芯体に塗着され、乾燥させられる。乾燥後、水素吸蔵合金粒子等が付着した負極芯体はロール圧延を施されて水素吸蔵合金の充填密度を高められた後、所定形状に裁断され、これにより負極26が作製される。
ここで、正極24及び負極26においては、上記した製造に際し、所定の正極の容量及び負極の容量が得られるように正極活物質粉末及び水素吸蔵合金粉末の量が所定量に設定される。本発明では、得られるニッケル水素二次電池が高容量タイプとなるように、放電リザーブ蓄積率が20.0%以下、あるいは、正負極容量比が1.25以下とされる。よって、放電リザーブ蓄積率及び正負極容量比が所定値となるように、正極24に含まれる正極活物質粉末の量及び負極26に含まれる水素吸蔵合金粉末の量が所定量に設定される。
以上のようにして作製された正極24及び負極26は、セパレータ28を介在させた状態で、渦巻き状に巻回され、これにより電極群22が形成される。
このようにして得られた電極群22は、外装缶10内に収容される。引き続き、当該外装缶10内にはアルカリ電解液が所定量注入される。
その後、電極群22及びアルカリ電解液を収容した外装缶10は、正極端子20を備えた封口体11により封口され、本発明に係る電池2が得られる。得られた電池2は、初期活性化処理が施され、使用可能状態とされる。
以上のようにして得られた本発明に係る電池2は、放電リザーブ蓄積率が20.0%以下、あるいは、正負極容量比が1.25以下とされているので、高容量を発揮する。しかも、水素吸蔵合金粒子の表面には、アルカリ処理により高温環境下でも安定している酸化物層が形成されているので、電池が高温環境下に置かれても水素吸蔵合金の表面近傍に水素原子が移動することが抑えられる。このため、電池が高温環境下に放置された後であっても水素吸蔵合金からの水素解離が抑制され、自己放電の進行が抑えられる。よって、本発明のニッケル水素二次電池は、高容量及び優れた高温放置特性の両立が図れるので、高容量を発揮しつつ、夏の車内などの高温環境下に置かれる用途にも十分対応することができる。
[実施例]
1.電池の製造
(実施例1)
(1)正極の作製
ニッケルに対して亜鉛4質量%、コバルト0.7質量%となるように、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛及び硫酸コバルトを計量し、これらを、アンモニウムイオンを含む1Nの水酸化ナトリウム水溶液に加え、混合水溶液を調整した。得られた混合水溶液を攪拌しながら、この混合水溶液に10Nの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させ、ここでの反応中、pHを13〜14に安定させて、水酸化ニッケルを主体とし、亜鉛及びコバルトを固溶したベース粒子を生成させた。
得られたベース粒子を10倍の量の純水で3回洗浄した後、脱水、乾燥した。なお、得られたベース粒子についてレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により粒径を測定した結果、ベース粒子の粒径は、積算値50%にあたる平均粒径は10μmであった。またベース粒子は球状をなしている。
次に、得られたベース粒子をアンモニア水溶液中に投入し、その反応中のpHを9〜10に維持しながら硫酸コバルト水溶液を加えた。これにより、ベース粒子を核として、この核の表面に水酸化コバルトが析出し、厚さ約0.1μmの水酸化コバルトの層を備えた中間体粒子を得た。ついで、この中間体粒子を80℃の環境下にて酸素を含む高温空気中に対流させ、12Nの水酸化ナトリウム水溶液を噴霧して、45分間の加熱処理を施した。これにより、上記した中間体粒子の表面の水酸化コバルトが、導電性の高いオキシ水酸化コバルトとなるとともに、オキシ水酸化コバルトの層中にナトリウムが取り込まれ、ナトリウムを含有したコバルト化合物からなる導電層が形成される。その後、斯かるオキシ水酸化コバルトの層を備えた中間体粒子を水酸化ナトリウム水溶液中に投入する。そして、この水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら、ここへ酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウムを所定量滴下した。その後、中間体粒子を濾取し、水洗いしたのち、60℃で乾燥させた。このようにして、ベース粒子の表面にナトリウムを含有したオキシ水酸化コバルトからなる導電層を有した正極活物質粒子を得た。なお、この正極活物質粒子におけるベース粒子は、ニッケルの価数の平均値が2よりも大きい高次水酸化ニッケル粒子である。
次に、上記したように作製した正極活物質粒子からなる正極活物質粉末100質量部に、水酸化コバルトの粉末10質量部を混合し、更に、0.5質量部の酸化イットリウム、0.3質量部の酸化亜鉛、40質量部のHPCディスバージョン液を混合して正極合剤スラリーを調製し、この正極合剤スラリーを正極基材としてのシート状のニッケルフォームに充填した。正極合剤を保持したニッケルフォームを乾燥後、ロール圧延した。正極合剤を保持したニッケルフォームは、圧延加工後に所定形状に裁断された。これによりAAサイズ用の正極24が得られた。
(2)水素吸蔵合金及び負極の作製
先ず、80質量%のLa、19質量%のSm及び1質量%のZrを含むLn成分を調製した。得られたLn成分、Mg、Ni、Alを計量して、これらがモル比で次の(IV)式の割合となる混合物を調製した。
Ln成分:Mg:Ni:Al=0.80:0.20:3.50:0.20・・・(IV)
得られた混合物は、アルゴンガス雰囲気中にて高周波誘導溶解炉で溶解され、その溶湯が鋳型に流し込まれた後、室温まで冷却され水素吸蔵合金のインゴットとされた。このインゴットより採取したサンプルにつき、高周波プラズマ分光分析法(ICP)によって組成分析を行った。その結果、水素吸蔵合金の組成は、(La0.80Sm0.19Zr0.010.80Mg0.20Ni3.50Al0.20であった。
次いで、このインゴットに熱処理を施した。この熱処理としては、前記インゴットをアルゴンガス雰囲気中にて温度1000℃に加熱して10時間保持するというものである。そして、この熱処理の後、室温(25℃)まで冷却された水素吸蔵合金のインゴットをアルゴンガス雰囲気中で機械的に粉砕して篩分けし、400メッシュ〜200メッシュの間に残る水素吸蔵合金粒子からなる粉末を選別した。得られた水素吸蔵合金の粉末の粒径をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により測定した結果、水素吸蔵合金粒子の粒径は、積算値50%にあたる平均粒径は30μm、最大粒径は45μmであった。
次いで、得られた水素吸蔵合金粒子からなる粉末には、以下のアルカリ処理を施した。
すなわち、7Nの水酸化カリウム水溶液を準備し、この水酸化カリウム水溶液を加熱して温度を40℃にした。そして、この40℃の水酸化カリウム水溶液中に上記した水素吸蔵合金の粉末を投入し1.0時間浸漬させた。これにより水素吸蔵合金の粒子表面に酸化物層を形成させた。その後、水素吸蔵合金粉末を水酸化カリウム水溶液から引き上げ、イオン交換水で洗浄後、減圧乾燥した。
アルカリ処理を経た水素吸蔵合金粒子からなる粉末100質量部に対し、ポリアクリル酸ナトリウム0.4質量部、カルボキシメチルセルロース0.1質量部、スチレンブタジエンゴム(SBR)のディスバージョン1.0質量部、カーボンブラック1.0質量部、および水30質量部を添加してこれらを混練し、負極合剤スラリーを調製した。
この負極合剤スラリーを負極芯体としての鉄製の孔あき板の両面に均等、且つ、厚さが一定となるように塗布した。このとき、負極合剤のスラリーは孔あき板の貫通孔内にも充填される。なお、この孔あき板は60μmの厚みを有し、その表面にはニッケルめっきが施されている。
スラリーの乾燥後、水素吸蔵合金の粉末等を含む負極合剤を保持した孔あき板を更にロール圧延して体積当たりの合金量を高めた後、所定形状に裁断し、AAサイズ用の負極26を作成した。
(3)ニッケル水素二次電池の組み立て
得られた正極24及び負極26をこれらの間にセパレータ28を挟んだ状態で渦巻状に巻回し、電極群22を作製した。ここでの電極群22の作製に使用したセパレータ28はスルホン化処理が施されたポリプロピレン繊維製不織布から成り、その厚みは0.1mm(目付量40g/m2)であった。
一方、溶質としてKOH、NaOH及びLiOHを含む水溶液からなるアルカリ電解液を準備した。このアルカリ電解液は、KOHが5.0N、NaOHが3.0N、LiOHが0.7Nとされ、KOHを主体として含む。
次いで、有底円筒形状の外装缶10内に上記した電極群22を収納するとともに、準備したアルカリ電解液を所定量注入した。この後、封口体11で外装缶10の開口を塞ぎ、公称容量が2700mAh、正負極容量比が1.15のAAサイズのニッケル水素二次電池2を組み立てた。なお、1It=2700mAである。
ここで、ニッケル水素二次電池2は、同条件で2個作製し、一方を放電リザーブ蓄積率測定用とし、他方を高温放置特性評価用とした。
(4)初期活性化処理
得られた実施例1の電池に、温度25℃の環境下にて、0.1Itで16時間の充電を行った後に、0.2Itで電池電圧が0.5Vになるまで放電させる初期活性化処理を2回繰り返した。このようにして、使用可能状態の電池を得た。
(実施例2)
水素吸蔵合金粒子のアルカリ処理において、水酸化カリウム水溶液の温度を60℃としたこと以外は、実施例1の電池と同様にしてニッケル水素二次電池を得た。
(比較例1)
水素吸蔵合金粒子のアルカリ処理を施さなかったこと以外は、実施例1の電池と同様にしてニッケル水素二次電池を得た。
2.ニッケル水素二次電池の評価
(1)放電リザーブ率
初期活性化処理済みの実施例1、2及び比較例1の電池のうち、放電リザーブ蓄積率測定用の電池について、25℃の環境下にて、0.1Itで16時間充電を行い、その後、25℃の環境下で0.2Itで放電終止電圧が1.0Vになるまで放電させたときの電池の放電容量を測定した。この充放電の操作を2回繰り返し、各回の放電容量の平均値を求め、この平均値を電池容量とした。
次に、電池容量を測定した後の電池について、封口体11を外して開放状態の開放電池とした。そして、この開放電池の正極端子及び負極端子にそれぞれリード線を取り付けた。その後、この開放電池をポリプロピレン製容器内に収容した。次いで、このポリプロピレン製容器内に8.1Nの水酸化カリウム水溶液を注入して開放電池がこの水酸化カリウム水溶液に完全に浸漬されるようにするとともに、この容器中に参照極(Hg/HgO)を配置した。ついで、開放電池のリード線を外部放電回路に接続し、開放電池を0.2Itで強制放電した。
このとき、正極が転極(正極から水素が発生)してから、負極が転極(負極から酸素が発生)するまでの開放電池の放電容量を測定し、残存正極容量及び残存負極容量を求めた。そして、以下の(V)式により放電リザーブを計算して求めた。
放電リザーブ=残存負極容量−残存正極容量・・・(V)
以上のようにして得られた電池容量及び放電リザーブの値を上記した(II)式に当てはめて放電リザーブ蓄積率を求めた。この放電リザーブ蓄積率の結果を表1に示した。
(2)高温放置特性
初期活性化処理済みの実施例1、2及び比較例1の電池のうち、高温放置特性評価用の電池について、25℃の環境下にて、0.1Itで16時間充電を行い、その後、25℃の環境下で0.2Itで放電終止電圧が1.0Vになるまで放電させる充放電操作を2回繰り返した。この充放電操作を2回繰り返した後の高温放置特性評価用の各電池を80℃の環境下に2週間放置した。その後、各電池を25℃まで冷却し、25℃の環境下にて、1.0Itで充電を行った。このとき、電池電圧が最大値に達した後、この最大値から10mV低下したときに充電を終了する、いわゆる−ΔV制御での充電(以下、単に−ΔV充電という)を行った。この−ΔV充電終了後、1.0Itで電池電圧が1.0Vに到達するまで放電した。そして、このときの電池の放電容量を測定した。この放電容量を初期容量aとした。その後、各電池を25℃の環境下に置き、1.0Itで−ΔV充電を行った。−ΔV充電後の各電池を25℃の環境下で1週間放置した。1週間放置後の各電池を同じ25℃の環境下にて、1.0Itで電池電圧が1.0Vに到達するまで放電した。このときの放電容量を測定した。この放電容量を放置後容量bとした。
以上のようにして得られた初期容量a及び放置後容量bの値を以下に示す(VI)式に当てはめて容量残存率を求めた。
容量残存率(%)=(放置後容量b/初期容量a)×100・・・(VI)
得られた結果を25℃1週間放置後の容量残存率として表1に示した。この容量残存率が高いほど自己放電が抑制されており、高温放置特性に優れていることを表す。
Figure 2016012442
3.考察
(1)実施例1、2、比較例1の電池は、放電リザーブ蓄積率が20.0%以下であり高容量タイプのニッケル水素二次電池である。
(2)比較例1の電池は、25℃で1週間放置後の容量残存率が0.1%であった。つまり、比較例1の電池は、80℃といった高温に放置された後には、充電されても自己放電が進行しやすくなっており、1週間放置後には、ほとんど容量が残っていない。つまり、従来の高容量タイプのニッケル水素二次電池は、高温放置特性に劣っていると言える。
(3)これに対し、実施例1、2の電池は、25℃で1週間放置後の容量残存率が44.8%及び87.3%であり、比較例1の電池に比べて25℃で1週間放置後の容量残存率が大幅に改善されていることがわかる。これは、負極に含まれる水素吸蔵合金粒子をアルカリ水溶液に浸漬してアルカリ処理を施すことにより、水素吸蔵合金粒子の表面に酸化物層が形成され、この酸化物層が高温環境下においても安定的に存在し水素吸蔵合金の内部から表面への水素原子の移動速度を低下させるためであると考えられる。つまり、水素吸蔵合金の表面に移動する水素原子の速度が遅ければ、表面に移動する水素原子は少なくなり、水素解離が起こり難くなる。その結果自己放電は抑制されるものと考えられる。
(4)実施例1よりも実施例2の方が25℃で1週間放置後の容量残存率が高く、高温放置特性に優れていることがわかる。このことから、水素吸蔵合金粒子のアルカリ処理の際にアルカリ水溶液の温度が高いほど、25℃で1週間放置後の容量残存率の改善効果が大きいと言える。
(5)本実施例では、7Nの水酸化カリウム水溶液を使用したが、KOHをNaOHに変更したり、アルカリ水溶液の濃度を変更しても酸化物層は形成できるため、同様の効果が期待できる。また、本実施例では、40℃及び60℃のアルカリ水溶液を使用したが、これ以外の温度でも同様の効果が期待できる。また、本実施例からも明らかなように、より高い温度のアルカリ水溶液でアルカリ処理した方がより優れた効果が期待できる。
(6)以上より、高容量タイプのニッケル水素二次電池は、水素吸蔵合金粒子をアルカリ水溶液に浸漬し表面に酸化物層を形成することで、高容量と、高温環境下への放置後の自己放電抑制の効果とを両立した使い勝手の良いニッケル水素二次電池となると言える。
なお、本発明は、上記した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、ニッケル水素二次電池は、角形電池であってもよく、機械的な構造は格別限定されることはない。
2 ニッケル水素二次電池
10 外装缶
22 電極群
24 正極
26 負極
28 セパレータ

Claims (9)

  1. 放電リザーブ蓄積率が20.0%以下であるニッケル水素二次電池において、
    表面に酸化物層を有する水素吸蔵合金を用いて形成された負極を備えている、ニッケル水素二次電池。
  2. (負極の容量/正極の容量)で表される正負極容量比が1.25以下であるニッケル水素二次電池において、
    表面に酸化物層を有する水素吸蔵合金を用いて形成された負極を備えている、ニッケル水素二次電池。
  3. 前記水素吸蔵合金は、一般式:Ln1-xMgxNiy-zAlz(ただし、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字x、y、zは、それぞれ、0.05≦x≦0.30、2.8≦y≦3.8、0.05≦z≦0.30で示される関係を満たしている。)で表される組成を有している、請求項1又は2に記載のニッケル水素二次電池。
  4. 水酸化ニッケルを含む正極及び水素吸蔵合金を含む負極を備えたニッケル水素二次電池の製造方法において、
    前記水素吸蔵合金の粉末をアルカリ水溶液中に浸漬し、前記水素吸蔵合金の表面に酸化物層を形成するアルカリ処理を施してアルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を得、
    前記ニッケル水素二次電池の全体としての容量である電池容量の値と、前記負極の放電リザーブの値とを次式:放電リザーブ蓄積率%=(放電リザーブ/電池容量)×100に当てはめて求められる放電リザーブ蓄積率が20.0%以下となる量の前記アルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を用いて前記負極を形成する、ニッケル水素二次電池の製造方法。
  5. 水酸化ニッケルを含む正極及び水素吸蔵合金を含む負極を備えたニッケル水素二次電池の製造方法において、
    前記水素吸蔵合金の粉末をアルカリ水溶液中に浸漬し、前記水素吸蔵合金の表面に酸化物層を形成するアルカリ処理を施してアルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を得、
    前記正極の容量の値と、前記負極の容量の値とを次式:正負極容量比=(負極の容量/正極の容量)に当てはめて求められる正負極容量比が1.25以下となる量の前記アルカリ処理済み水素吸蔵合金の粉末を用いて前記負極を形成する、ニッケル水素二次電池の製造方法。
  6. 前記アルカリ水溶液は、水酸化カリウム水溶液である、請求項4又は5に記載のニッケル水素二次電池の製造方法。
  7. 前記水酸化カリウム水溶液の規定度は、7N以上である、請求項6に記載のニッケル水素二次電池の製造方法。
  8. 前記水素吸蔵合金の粉末を40℃以上に保持されている前記アルカリ水溶液中に浸漬する、請求項4〜7の何れかに記載のニッケル水素二次電池の製造方法。
  9. 前記水素吸蔵合金は、一般式:Ln1-xMgxNiy-zAlz(ただし、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字x、y、zは、それぞれ、0.05≦x≦0.30、2.8≦y≦3.8、0.05≦z≦0.30で示される関係を満たしている。)で表される組成を有している、請求項4〜8の何れかに記載のニッケル水素二次電池の製造方法。
JP2014132776A 2014-06-27 2014-06-27 ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法 Pending JP2016012442A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014132776A JP2016012442A (ja) 2014-06-27 2014-06-27 ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014132776A JP2016012442A (ja) 2014-06-27 2014-06-27 ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016012442A true JP2016012442A (ja) 2016-01-21

Family

ID=55229046

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014132776A Pending JP2016012442A (ja) 2014-06-27 2014-06-27 ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016012442A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000080429A (ja) * 1998-08-31 2000-03-21 Toshiba Corp 水素吸蔵合金および二次電池
JP2002117842A (ja) * 2000-10-06 2002-04-19 Yuasa Corp アルカリ蓄電池用正極活物質およびその製造方法、アルカリ蓄電池用正極並びにアルカリ蓄電池
JP2005105356A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Yuasa Corp 水素吸蔵合金、水素吸蔵合金電極および密閉型ニッケル水素蓄電池
JP2010262763A (ja) * 2009-04-30 2010-11-18 Panasonic Corp 水素吸蔵合金粉末の表面処理方法、ニッケル水素電池用負極活物質、ニッケル水素電池用負極、ならびにニッケル水素電池
JP2012102343A (ja) * 2010-11-05 2012-05-31 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 水素吸蔵合金、水素吸蔵合金電極及びニッケル水素二次電池

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000080429A (ja) * 1998-08-31 2000-03-21 Toshiba Corp 水素吸蔵合金および二次電池
JP2002117842A (ja) * 2000-10-06 2002-04-19 Yuasa Corp アルカリ蓄電池用正極活物質およびその製造方法、アルカリ蓄電池用正極並びにアルカリ蓄電池
JP2005105356A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Yuasa Corp 水素吸蔵合金、水素吸蔵合金電極および密閉型ニッケル水素蓄電池
JP2010262763A (ja) * 2009-04-30 2010-11-18 Panasonic Corp 水素吸蔵合金粉末の表面処理方法、ニッケル水素電池用負極活物質、ニッケル水素電池用負極、ならびにニッケル水素電池
JP2012102343A (ja) * 2010-11-05 2012-05-31 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 水素吸蔵合金、水素吸蔵合金電極及びニッケル水素二次電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6282007B2 (ja) ニッケル水素二次電池
JP5959003B2 (ja) ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池用の負極
JP6112822B2 (ja) ニッケル水素二次電池
CN106463786B (zh) 镍氢二次电池
JP6730055B2 (ja) アルカリ二次電池用の負極、この負極を含むアルカリ二次電池及びこの負極の製造方法
CN107408683B (zh) 储氢合金粉末以及使用该储氢合金粉末的镍氢二次电池
JP7129288B2 (ja) アルカリ二次電池用の正極及びこの正極を含むアルカリ二次電池
JP2016149299A (ja) ニッケル水素二次電池
JP6057369B2 (ja) ニッケル水素二次電池
JP7261059B2 (ja) ニッケル水素二次電池用の負極、この負極の製造方法、この負極を用いたニッケル水素二次電池及び水素吸蔵合金粉末
JP6996960B2 (ja) ニッケル水素二次電池
JP6120362B2 (ja) ニッケル水素二次電池用の負極及びこの負極を用いたニッケル水素二次電池
CN113451552A (zh) 用于碱性二次电池的正极以及碱性二次电池
JP2017021896A (ja) 水素吸蔵合金粉末の製造方法及びニッケル水素二次電池
WO2017169163A1 (ja) アルカリ二次電池用の負極及びこの負極を含むアルカリ二次電池
JP2016012442A (ja) ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法
JP7128069B2 (ja) アルカリ二次電池用の正極及びこの正極を備えたアルカリ二次電池
JP7495196B2 (ja) アルカリ二次電池用の正極及びアルカリ二次電池
JP6049048B2 (ja) ニッケル水素二次電池
JP6234190B2 (ja) ニッケル水素二次電池
CN114203999A (zh) 储氢合金、含储氢合金的负极及含负极的镍氢二次电池
JP2017068976A (ja) アルカリ二次電池用の負極及びこの負極を用いたアルカリ二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170424

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20170424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180214

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180822