JP2016012417A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス - Google Patents

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【課題】膜厚変動による色ずれの抑制と、発光効率の低下の抑制とを両立することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。【解決手段】光射出側に設けられた第1電極13と、反射率が10〜70%の第2電極15と、第1電極13と第2電極15とに挟持されている、複数の発光ユニットとを備える有機エレクトロルミネッセンス素子10を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた電子デバイスに関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、発光効率及び駆動寿命の向上が求められている。このため、有機材料を用いて構成された発光層を含む発光機能層を、1つの発光ユニットとし、中間層を介して複数の発光ユニットを積層することにより、発光効率を確保しつつ長寿命化を図ることが可能な、マルチフォトン構造が提案されている。また膜厚方向に複数ユニットを積層させた有機EL素子において、それら複数のユニットが中間電極を介し、それぞれの発光ユニットを個別に駆動できる構成とすることで、色の調整が可能な有機EL素子も提案されている。
マルチフォトン構造の有機EL素子や調色機能を有する有機EL素子としては、例えば、複数の発光ユニットを備える有機EL素子の構成が提案されている(特許文献1、3参照)。これら有機EL素子では、複数の発光ユニットを備えるために総膜厚が大きい。この場合、発光点から直接射出される光と、反射電極で反射した後に射出される光との干渉が、製膜時の膜厚変動により変化しやすく、所望の発光色を得ることができないという問題を有していた。反射光と直接光との干渉を抑制する目的で、陰極を透過率の高い金属もしくは金属酸化物を用い、該陰極の有機発光層に隣接する面と反対側の面に、反射防止層を設けることで、膜厚変動による色ずれを解決できる構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2013/141057号パンフレット 特開2010−177093号公報 特表平10−503878号公報
しかしながら、陰極に隣接する反射防止層を設ける構成では、反射光の多くを吸収してしまうため、発光効率が大きく低下するという問題があった。
上述した問題の解決のため、本発明においては、膜厚変動による色ずれの抑制と、発光効率の低下の抑制とを両立することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子電バイスを提供するものである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.光射出側に設けられた第1電極と、反射率が10〜70%の第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とに挟持されている複数の発光ユニットと、を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記発光ユニットが、中間電極を介して積層されている前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記第2電極の前記発光ユニットとは反対側に設けられた光吸収層を備えることを特徴とする前記1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記第1電極、及び、前記第2電極のうちの少なくともいずれか一方が、銀または銀を主成分とする合金を含むことを特徴とする前記1から3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記中間電極がアルミニウムを含むことを特徴とする前記2から4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記第2電極の反射率が30〜70%であることを特徴とする前記1から5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記1から6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電子デバイス。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、この有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子デバイスによれば、第2電極の反射率を上記範囲とすることにより、第2電極で反射する光を抑制することができ、有機エレクトロルミネッセンス素子内での多重反射を抑制することができる。このため、発光ユニットの厚さにバラツキが発生した場合においても、取り出される光の色調の均一性の低下を抑制することができる。
さらに、第2電極の反射率を上記範囲とすることにより、第2電極で反射する光の一部は、第1電極側から取り出される。このため、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の低下を抑制することができる。
本発明によれば、膜厚変動による色ずれの抑制と、発光効率の低下の抑制とを両立することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子電バイスを提供することができる。
第1実施形態の有機EL素子の構成を示す図である。 第2実施形態の有機EL素子の構成を示す図である。 実施例の有機層の膜厚が5%増加した各試料の色変動の大きさを示すグラフである。 実施例の有機層の膜厚が5%減少した各試料の色変動の大きさを示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第1実施形態)
2.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第2実施形態)
3.電子デバイスの実施形態(第3実施形態)
〈1.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第1実施形態)〉
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の具体的な実施の形態について説明する。図1に、第1実施形態の有機EL素子の構成を示す。
[有機EL素子の構成]
図1に示す有機EL素子10は、第1電極13と、第2電極15とを有し、この第1電極13と第2電極15との間に、発光ユニット群20が挟持されている。そして、これらの各層が、基板11上に積層形成されている。
上記有機EL素子10は、第1電極13が透明電極により構成され、基板11側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。
発光ユニット群20は、複数の発光ユニットを有する。図1に示す有機EL素子10では、発光ユニット群20の一例として、中間電極を介して発光ユニットが積層された構成を有し、第1発光ユニット21、第1中間電極22、第2発光ユニット23、第2中間電極24、及び、第3発光ユニット25が、第1電極13側からこの順に積層された構成を有している。
また、第2電極15に接して光吸収層16が設けられている。光吸収層16は、第2電極15に対して、上記発光ユニット群20と反対側の面に接して形成されている。
さらに、第1電極13は、基板11上に形成されている。また、第2電極15は、発光ユニット群20に隣接して形成されている。
有機EL素子10は、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25に、それぞれ所定の色を発光する発光層を有する。各発光層は、少なくとも発光性の有機材料を含み、例えば、発光性の有機材料として、青(B)、緑(G)、及び、赤(R)の各色の発光ドーパントを有する。
また、有機EL素子10は、第1電極13、第2電極15、第1中間電極22、及び、第2中間電極24が、それぞれ挟持する第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25に対して、一方が陰極として作用し、他方が陽極として作用する。
そして、第1発光ユニット21を挟持する第1電極13及び第1中間電極22、第2発光ユニット23を挟持する第1中間電極22及び第2中間電極24、並びに、第3発光ユニット25を挟持する第2中間電極24及び第2電極15を、それぞれ個別に制御することにより、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25を、それぞれ個別に光らせることができる構成である。このため、有機EL素子10は、各発光層を制御することにより、発光色を自由に調整することが可能な構成である。
有機EL素子10の構成では、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25において発生した光の一部は、そのまま基板11側から射出される。また、残りの光の一部は、第2電極15で反射されることにより、基板11側から射出される。
さらに、一部の光では、有機EL素子10を構成する各界面において反射される。このため、一部の光は、有機EL素子10内で多重反射が発生した後、基板11側から射出される。或いは、減衰により消失する。このように、有機EL素子10では多重反射が起こることにより、特定の波長が強められたり、弱められたりする現象、いわゆるマイクロキャビティ効果が発生する。このマイクロキャビティ効果は、有機EL素子10の厚さ、特に、発光ユニット群20の厚さに依存する。
このため、有機EL素子10の製造において、発光ユニット群20の厚さにバラツキが発生した場合、有機EL素子10から取り出される光の色調の均一性が低下する。特に、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25を構成する有機層は、製造工程中において厚さのバラツキが発生しやすく、有機EL素子10から取り出される光の色調に影響を与えやすい。
このため、有機EL素子10では、第2電極15が金属薄膜により構成され、この第2電極15の反射率が10〜70%、好ましくは、30〜70%に調整されている。そして、第2電極15に接して光吸収層16が設けられている。
第2電極15の反射率を上記範囲とすることにより、第2電極15で反射する光を抑制することができる。そして、第2電極15を透過した光は、光吸収層16により大部分が吸収される。このため、有機EL素子10での多重反射を抑制することができる。そして、多重反射を抑制することにより、特定の波長が強められたり、弱められたりする現象を抑制することができる。従って、有機EL素子10の製造において、発光ユニット群20の厚さにバラツキが発生した場合においても、大きく効率を取り崩すことがなく、取り出される光の色度変動を抑制することができる。
[有機EL素子の各構成の詳細]
以下、上述の図1に示す有機EL素子10を構成する、各構成の詳細について説明する。
[基板]
有機EL素子10が設けられる基板11は、例えばガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましく用いられる基板11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、素子との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理を施した、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成される。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜およびハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
[第1電極]
第1電極13は、金属酸化物や金属の薄膜により形成される。第1電極13は、有機EL素子10において光取り出し側に設けられる電極であるため、薄く形成しても光透過特性が低下しない構成とする必要がある。
第1電極13は、例えば、アルミニウム、又は、銀のいずれか一方を主成分として含む金属層により形成される。第1電極13を構成する銀(Ag)を主成分とする合金は、一例として銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
このような第1電極13の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
また、第1電極13は、図示しない下地層上に形成されていてもよい。
以上のような第1電極13は、上述の金属層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
また、この第1電極13は、厚さが4〜15nmの範囲にあることが好ましい。厚さ15nm以下では、層の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、第1電極13の光透過率が維持されるため好ましい。また、厚さが4nm以上であることにより、層の導電性も確保される。
また、第1電極13は、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料を用いることもできる。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
[第2電極]
第2電極15は、反射率が10〜70%、好ましくは、30〜70%の金属薄膜により形成される。第2電極15は、上述の第1電極13と同様の構成、及び、製法が適用できる。そして、第2電極15の材料の選定、及び、厚さを調整することにより、反射率が上記範囲内となるように形成する。有機EL素子10において、色ずれの抑制が重要となる場合や、効率が重要となる場合等の状況に応じて第2電極15の反射率を上記範囲内で適宣選択することで、所望の特性を得ることができる。なお、第2電極15の反射率とは、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計(U4100)を用いて、発光位置を基準とし、その発光光が初めて照射される電極界面の反射率とする。反射率は、430nm〜650nmの波長での平均値とし、測定波長間隔は2nmおきとする。
また、第2電極の膜厚は、9nm〜27nmが好ましく、14nm〜27nmがより好ましい。
[発光ユニット群]
有機EL素子10は、第1電極13と第2電極15電極との間に発光性を有する発光ユニット群20を備える構成である。
発光ユニット群20は、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25と、これらの間に介在する第1中間電極22、及び、第2中間電極24から構成される。
第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25は、発光性を有する有機材料を含む発光層を少なくとも一層以上備える。また、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25は、発光層と各電極との間に他の層を備えていてもよい。
第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25の代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)発光層
(2)発光層/電子輸送層
(3)正孔輸送層/発光層
(4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
上記構成において、発光層は、単層又は複数層で構成される。発光層が複数の場合は、各発光層の間に非発光性の中間コネクタ層を設けてもよい。
また、必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層)や電子注入層(陰極バッファー層)等を設けてもよい。そして、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層)や正孔注入層(陽極バッファー層)等を設けてもよい。
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層である。電子輸送層には、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層も含まれる。また、電子輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層には、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層も含まれる。また、正孔輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
以下、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25を構成する各層について説明する。
(正孔注入層)
有機EL素子10では、陽極と発光層との間に、正孔注入層(陽極バッファー層)を設けてもよい。なお、正孔注入層は、有機EL素子10の駆動電圧の低下や発光輝度の向上を図るために、陽極と、発光層又は正孔輸送層との間に設けられる。正孔注入層(陽極バッファー層)の形成材料としては、特開2000−160328号公報に記載されている化合物を用いることができる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極から供給された正孔を発光層に輸送(注入)する層である。また、正孔輸送層は、陰極からの電子の流入を阻止する障壁としても作用する。それゆえ、正孔輸送層という用語は、広い意味で、正孔注入層及び/又は電子阻止層を含む意味で用いられることもある。
正孔輸送材料としては、上述した正孔を輸送(注入)する作用、及び、電子の流入を阻止する作用を発現可能な材料であれば、有機材料及び無機材料のいずれの材料も用いることができる。具体的には、正孔輸送材料として、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特に、チオフェンオリゴマー)等の化合物を用いることができる。
また、正孔輸送材料としては、例えば、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物(スチリルアミン化合物)等の化合物を用いることができる。特に、本実施形態では、芳香族第3級アミン化合物を正孔輸送材料として用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン等の化合物を用いることができる。また、芳香族第3級アミン化合物として、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン等のスチリルアミン化合物を用いることができる。さらに、芳香族第3級アミン化合物として、米国特許第5,061,569号明細書に記載されているような2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)や、特開平4−308688号公報に記載されているようなトリフェニルアミンユニットが3つ、スターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などの化合物を用いてもよい。
また、正孔輸送材料としては、例えば、上述した各種正孔輸送材料を高分子鎖に導入した高分子材料、又は、上述した各種正孔輸送材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。なお、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物もまた、正孔輸送材料及び正孔注入層の形成材料として使用することができる。
さらに、正孔輸送材料として、例えば、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)等の文献に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料と呼ばれる材料を用いてもよい。なお、このような材料を正孔輸送材料として用いた場合には、より高効率の発光素子を得ることができる。
また、本実施形態では、正孔輸送層に不純物をドープして、p性の高い(正孔リッチ)の正孔輸送層を形成してもよい。その一例は、例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されている。このような正孔リッチの正孔輸送層を用いた場合には、より低消費電力の有機EL素子10を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極から直接、又は、陽極から正孔輸送層等を介して注入される正孔と、陰極から直接、又は、陰極から電子輸送層等を介して注入される電子とが再結合して発光する層である。なお、発光する部分は、発光層の内部であってもよいし、発光層と、それに隣接する層との界面であってもよい。
また、発光層は、1層だけ設けてもよいし、複数層設けてもよい。なお、発光層を複数設ける場合には、互いに発光色の異なる複数の発光層を積層した構成にしてもよい。また、発光層を複数設ける場合には、隣り合う発光層間に、非発光性の中間層を設けてもよい。この場合、中間層は、発光層内の後述するホスト化合物と同様の材料で形成することができる。
本実施形態では、発光層を、ホスト化合物(発光ホスト)と、発光材料(発光ドーパント)とを含む有機発光性材料で形成する。このような構成の発光層では、発光材料の発光波長や含有させる発光材料の種類等を適宜調整することにより任意の発光色を得ることができる。
(1.ホスト化合物)
発光層に含まれるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が約0.1未満の値である化合物を用いることが好ましい。特に、リン光量子収率が約0.01未満の値である化合物をホスト化合物として用いることが好ましい。また、発光層中のホスト化合物の体積比は、発光層に含まれる各種化合物の中で約50%以上の値とすることが好ましい。
また、ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を用いることができる。その際、1種類のホスト化合物を用いてもよいし、複数種のホスト化合物を併用してもよい。複数種のホスト化合物を用いることにより、電荷(正孔及び/又は電子)の移動度(移動量)を調整することができ、有機EL素子10の発光効率を向上させることができる。
上述のような特性を有するホスト化合物としては、例えば、公知の低分子化合物、繰り返し単位をもつ高分子化合物、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)等の化合物を用いることができる。なお、ホスト化合物としては、正孔輸送機能、電子輸送機能、発光の長波長化を防止する機能、及び、高Tg(ガラス転移温度)を有する化合物を用いることが好ましい。ただし、ここでいう、「ガラス転移温度(Tg)」とは、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量)法を用いて、JIS−K7121に準拠した手法により求められる値である。
具体的には、ホスト化合物として、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等の文献に記載されている化合物を用いることができる。
なお、本実施形態では、ホスト化合物は、カルバゾール誘導体であることが好ましく、特に、カルバゾール誘導体であって、かつ、ジベンゾフラン化合物であることが好ましい。
(2.発光材料)
発光材料(発光ドーパント)としては、例えば、リン光発光材料(リン光性化合物、リン光発光性化合物)、蛍光発光材料等を用いることができる。ただし、発光効率の向上の観点では、発光材料としてリン光発光材料を用いることが好ましい。
リン光発光材料は、励起三重項からの発光が得られる化合物である。具体的には、リン光発光材料は、室温(25℃)においてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において約0.01以上の値の化合物である。ただし、本実施形態では、リン光量子収率が約0.1以上の値であるリン光発光材料を用いることが好ましい。なお、リン光量子収率は、例えば、「第4版実験化学講座7・分光II」(1992年版、丸善)の398頁に記載されている手法により測定することができる。また、溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本実施形態では、リン光発光材料が、任意の溶媒において、約0.01以上の値のリン光量子収率が得られる発光材料であればよい。
また、発光層には、1種類の発光材料を含有させてもよいし、発光極大波長の異なる複数種の発光材料を含有させてもよい。複数種の発光材料を用いることにより、発光波長の異なる複数の光を混ぜることができ、これにより、任意の発光色の光を得ることができる。例えば、青色ドーパント、緑色ドーパント、及び、赤色ドーパント(3種類の発光材料)を発光層に含有させることにより発光を得ることができる。
上述したホスト化合物及びリン光発光材料を含む発光層における発光(リン光発光)の過程(原理)としては、次の2種類の過程が挙げられる。
第1の発光過程は、エネルギー移動型の発光過程である。このタイプの発光過程では、まず、キャリア(正孔及び電子)が輸送される発光層内のホスト化合物上において、キャリアが再結合し、これにより、ホスト化合物の励起状態が生成される。そして、この際に発生するエネルギーがホスト化合物からリン光発光材料に移動し(励起状態のエネルギー準位がホスト化合物の励起準位から発光材料の励起準位(励起三重項)に移動し)、この結果、リン光発光材料から発光が生じる。
第2の発光過程は、キャリアトラップ型の発光過程である。このタイプの発光過程では、発光層において、リン光発光材料がキャリア(正孔及び電子)をトラップする。その結果、リン光発光材料上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光材料から発光が生じる。上述したいずれの発光過程においても、リン光発光材料の励起状態のエネルギー準位は発光ホストの励起状態のエネルギー準位より低くする必要がある。
上述のような発光過程を生じさせるリン光発光材料としては、従来の有機EL素子で用いられる公知の各種リン光発光材料(リン光性化合物)の中から所望のリン光発光材料を適宜選択して用いることができる。例えば、リン光発光材料としては、元素の周期表で8族〜10族の金属元素を含有する錯体系化合物を用いることができる。そのような錯体系化合物の中でも、イリジウム化合物、オスミウム化合物、白金化合物(白金錯体系化合物)、及び、希土類錯体のいずれかをリン光発光材料として用いることが好ましい。本実施形態では、特に、リン光発光材料として、イリジウム化合物を用いることが好ましい。
また、蛍光発光材料(蛍光発光体、蛍光性ドーパント)としては、例えば、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等を用いることができる。
なお、有機EL素子10から発光する光を分光放射輝度計(コニカミノルタセンシング社製、CS−2000)で測定し、その測定結果を、CIE(国際照明委員会)色度座標(例えば、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16参照)に当て嵌めたときの色を、有機EL素子10から発光する光の色とする。
また、発光を得る手法としては、ホスト化合物に、発光波長の異なる複数の発光材料を含有させる手法に限定されない。例えば、青色発光層、緑色発光層及び赤色発光層を積層して発光層を構成し、各色の発光層からそれぞれ発光される光を混ぜることにより発光を得てもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、陰極から供給された電子を発光層に輸送(注入)する層である。また、電子輸送層は、陽極側からの正孔の流入を阻止する障壁としても作用する。それゆえ、電子輸送層という用語は、広い意味で、電子注入層及び/又は正孔阻止層を含む意味で用いられることもある。
発光層の陰極側に隣接する電子輸送層(電子輸送層を一層構造とする場合には当該電子輸送層、電子輸送層を複数設ける場合には最も発光層側に位置する電子輸送層)に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達(輸送)する機能を有する材料であれば任意の材料を用いることができる。例えば、電子輸送材料として、従来の有機EL素子で用いられる公知の各種化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
より具体的には、電子輸送材料として、例えば、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリゾール誘導体、シロール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体を用いることができる。その他の電子輸送材料としては、例えば、メタルフタロシアニンもしくはメタルフリーフタロシアニン、又は、それらの末端基をアルキル基やスルホン酸基等で置換した化合物を用いることもできる。また、本実施形態では、例えば、ジベンゾフラン誘導体を電子輸送材料として用いることもできる。
また、電子輸送層に不純物をゲスト材料としてドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。このような構成の電子輸送層の具体例は、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されている。具体的には、ゲスト材料(ドープ材)として、有機物のアルカリ金属塩を用いることができる。
有機物のアルカリ金属塩をドープ材として用いる場合、有機物の種類は任意であるが、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、アジピン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等の化合物を有機物として用いることができる。これらの中でも、特に、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、又は、安息香酸塩を有機物として用いることが好ましい。さらに好ましい有機物は、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の脂肪族カルボン酸であり、この脂肪族カルボン酸を用いる場合には、その炭素数が4以下であることが好ましい。なお、有機物として最も好ましい化合物は、酢酸塩である。
また、有機物のアルカリ金属塩を構成するアルカリ金属の種類は任意であり、例えば、Li、Na、K、又は、Csを用いることができる。これらのアルカリ金属の中でも、好ましいアルカリ金属は、K、又は、Csであり、さらに好ましいアルカリ金属は、Csである。
それゆえ、電子輸送層のドープ材として用い得る有機物のアルカリ金属塩は、上記有機物と上記アルカリ金属とを組み合わせた化合物になる。具体的には、ドープ材として、例えば、ギ酸Li、ギ酸K、ギ酸Na、ギ酸Cs、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、プロピオン酸Li、プロピオン酸Na、プロピオン酸K、プロピオン酸Cs、シュウ酸Li、シュウ酸Na、シュウ酸K、シュウ酸Cs、マロン酸Li、マロン酸Na、マロン酸K、マロン酸Cs、コハク酸Li、コハク酸Na、コハク酸K、コハク酸Cs、安息香酸Li、安息香酸Na、安息香酸K、又は、安息香酸Csを用いることができる。これらの中でも、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、又は、酢酸Csが好ましいドープ材であり、最も好ましいドープ材は、酢酸Csである。なお、これらのドープ材の好ましい含有量は、ドープ材を添加する電子輸送層に対して、約1.5〜35質量%の範囲内の値であり、より好ましい含有量は、約3〜25質量%の範囲内の値であり、最も好ましい含有量は、約5〜15質量%の範囲内の値である。
(電子注入層)
有機EL素子10では、陰極と発光層との間、又は、陰極と電子輸送層との間に、電子注入層(電子バッファー層)を設けてもよい。電子注入層は、正孔注入層と同様に、有機EL素子10の駆動電圧の低下や発光輝度の向上を図るために、陰極と有機化合物層(発光層又は電子輸送層)との間に設けられる。
ここでは、電子注入層の構成の詳細な説明を省略するが、例えば、「有機EL素子とその工業化最前線」(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に電子注入層の構成が詳細に記載されている。
[中間電極]
第1中間電極22、及び、第2中間電極24は、発光ユニット群20において、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25の間に設けられる。このため、第1中間電極22、及び、第2中間電極24は、多重反射を抑制するために光透過性が高いことが好ましい。第1中間電極22、及び、第2中間電極24は、上述の第1電極13と同様の構成、及び、製法が適用できる。第1中間電極22、及び、第2中間電極24の材料としてはアルミニウムが好ましく、膜厚は5nm〜20nmが好ましく、8nm〜12nmがより好ましい。
[光吸収層]
光吸収層16は、第2電極15上に設けられている。有機EL素子10は、第2電極15上に光吸収層16を備えることにより、第2電極15を透過した光がこの光吸収層16によって吸収される。
光吸収層16は、波長380〜700nmの範囲で入射する光の95%以上を吸収することが好ましく、より好ましく99%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。光吸収率は、市販の分光光度計で測定でき、例えば日立製日立分光光度計U−4100や島津製作所製UV−3101分光光度計に積分球を装着して測定することができる。
光吸収層16としては、例えば、カーボンブラック、カーボン粒子入り銀ペースト材料、アルミニウム−タングステン、及び、アルミニウム−モリブデン等の黒色材料、又は、市販のNDフィルター等を用いることができる。
有機EL素子10では、第2電極15を透過した光は、光吸収層16により大部分が吸収される。このため、有機EL素子10内での多重反射を抑制することができ、特定の波長への影響を抑制することができる。従って、有機EL素子10の製造において、発光ユニット群20の厚さにバラツキが発生した場合においても、発光ユニット群20の厚さに依存した、取り出される光の色調の均一性の低下を抑制することができる。
〈2.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第2実施形態)〉
次に、有機エレクトロルミネッセンス素子の第2実施形態について説明する。
図2に、第2実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の構成を示す。
[有機EL素子の構成]
図2に示す有機EL素子30は、第1電極33と、第2電極35とを有し、この第1電極33と第2電極35との間に、発光ユニット群40が挟持されている。そして、これらの各層が、基板31上に積層形成されている。
上記有機EL素子30は、第1電極33が透明電極により構成され、基板31側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。
発光ユニット群40は、複数の発光ユニットと、発光ユニット間に形成される中間電極とからなる。図2に示す有機EL素子30では、発光ユニット群40の一例として、第1発光ユニット41、中間電極42、及び、第2発光ユニット43が、第1電極33側からこの順に積層された構成を示している。
また、第2電極35に接して光吸収層36が設けられている。光吸収層36は、第2電極35に対して、上記発光ユニット群40と反対側の面に接して形成されている。
さらに、第1電極33は、基板31上に形成されている。第2電極35は、発光ユニット群40に隣接して形成されている。
上述のように、図2に示す第2実施形態の有機EL素子30は、発光ユニット群40の構成のみが、上述の第1実施形態の有機EL素子と異なる。そして、発光ユニット群40以外の各構成は、上述の第1実施形態の有機EL素子と同様の構成である。
従って、第2実施形態の有機EL素子の各構成は、発光ユニット群40の構成が異なることを除き、上述の第1実施形態と同様の構成を適用することができる。このため、第1実施形態と同様の構成については、第2実施形態の有機EL素子の各構成の詳細な説明は省略する。
[発光ユニット群]
発光ユニット群40は、第1発光ユニット41、及び、第2発光ユニット43に、それぞれ所定の色を発光する発光層を有する。例えば、第1発光ユニット41の発光層に、発光性の有機材料として、青(B)の発光ドーパントを有し、第2発光ユニット43の発光層に、発光性の有機材料として、緑(G)、及び、赤(R)の発光ドーパントを有する。
また、有機EL素子30は、第1電極33、第2電極35、及び、中間電極42が、それぞれ挟持する第1発光ユニット41、及び、第2発光ユニット43に対して、一方が陰極として作用し、他方が陽極として作用する。
そして、第1発光ユニット41を挟持する第1電極33及び中間電極42、第2発光ユニット43を挟持する中間電極42及び第2電極35を、それぞれ個別に制御することにより、第1発光ユニット41、及び、第2発光ユニット43をそれぞれ個別に制御して光らせることができる構成である。このため、有機EL素子30は、各発光層を制御することにより、発光色を自由に調整することが可能な構成である。
発光ユニット群40を構成する第1発光ユニット41及び第2発光ユニット43は、上述の第1実施形態の各発光ユニットと同様の構成を適用することができる。また、発光ユニット群40を構成する、中間電極42も、上述の第1実施形態の各中間電極と同様の構成を適用することができる。
従って、図2に示す上述の第2実施形態の有機EL素子30によれば、上述の第1実施形態の有機EL素子と同様の作用効果を得ることができる。つまり、有機EL素子30の製造において、発光ユニット群40の厚さにバラツキが発生した場合においても、第2電極35で反射する光を抑制して、光吸収層36で光を吸収することにより、発光ユニット群40の厚さに依存した、取り出される光の色調の均一性の低下を抑制することができる。
さらに、第2電極35の反射率を調整することにより、第2電極35で反射する光の一部を、基板31側から取り出すことができる。このため、有機EL素子30の発光効率の低下を抑制することができる。
上述の第1実施形態の有機EL素子、及び、第2実施形態の有機EL素子のように、発光ユニット群の構成は特に問わず、第2電極の反射率を上述の範囲の構成とした有機EL素子は、上述の色調の均一性の低下の抑制と、発光効率の低下の抑制という効果を得ることができる。このため、上述の第1実施形態、及び、第2実施形態に示す構成以外にも、種々の構成に上述の第2電極の構成を適用可能である。例えば、発光ユニット群を構成する発光ユニットの積層数を、1層、又は、4層以上とすることも可能である。具体例としては、単層の発光ユニット群内で各色の発光ユニットがマトリクス状の平面配置を有する構成や、各色の発光ユニットが4層以上積層されている構成にも適用することができる。
〈3.電子デバイスの実施形態(第3実施形態)〉
[照明装置−1]
次に、上述の第1実施形態、及び、第2実施形態の有機EL素子が用いられる電子デバイスの実施形態の一例として、照明装置について説明する。
照明装置に用いる有機EL素子は、上述した第1実施形態、及び、第2実施形態の構成の有機EL素子に、共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
なお、有機EL素子に用いられる材料は、任意の色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により任意の色の発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させてもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有させてもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料の組み合わせや、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせでもよい。有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合してもよい。
このような有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の形成にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば導電層を形成でき、生産性も向上する。
また、このような有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上述の有機EL素子の実施形態に記載の金属錯体、また公知の発光材料の中から任意の材料を選択して組み合わせればよい。
以上に説明した有機EL素子を用いれば、任意の調色が可能な照明装置を作製することが可能である。
[照明装置−2]
また、照明装置は、例えば有機EL素子を複数用いることにより、発光面を大面積化することもできる。この場合、基材上に有機EL素子を設けた複数の発光パネルを、支持基板上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化する。支持基板は、封止材を兼ねるものであってもよく、この支持基板と、発光パネルの基材との間に有機EL素子を挟持する状態で各発光パネルをタイリングする。支持基板と基材との間には接着剤を充填し、これによって有機EL素子を封止してもよい。なお、発光パネルの周囲には、陽極及び陰極の端子を露出させておく。
このような構成の照明装置では、各発光パネルの中央が発光領域となり、発光パネル間には非発光領域が発生する。このため、非発光領域からの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面の非発光領域に設けてもよい。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈有機EL素子の作製〉
以下に示す方法により、試料101〜127の各有機EL素子を作製した。以下に、試料101〜127の各有機EL素子の構成、及び、作製手順を示す。
[試料101の有機EL素子の作製]
(第1電極)
まず、50mm×50mmの大きさで、厚さ0.7mmの透明なガラス製の基板11を準備した。そして、この基板11上に、厚さ180nmとなる条件でITOをスパッタ法で成膜、パターニングし、ITOで構成された取り出し電極部分を含む面状の第1電極13を形成した。この第1電極13は、陽極として形成した。
そして、ITOで構成された第1電極13を設けた基板11を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(発光ユニット群)
次に、第1電極13が形成された基板11を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、第1電極13の形成面側に蒸着マスクを対向配置し、真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25を構成する各材料を、それぞれの層の成膜に最適な量で充填し、当該第1真空槽内に取り付けた。尚、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次に、真空蒸着装置の第1真空槽内を4×10−4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を成膜した。
まず、正注入材料として下記構造式HI−1で示す化合物が入った加熱ボートに通電して加熱し、第1電極13上に正孔注入層を形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚を15nmとした。
Figure 2016012417
次に、正孔輸送材料として下記α−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、正孔注入層上に正孔輸送層を形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚を20nmとした。
Figure 2016012417
次に、下記に構造式を示すホスト材料H4が入った加熱ボートと、下記に構造式を示す燐光発光性化合物Ir−9(赤)が入った加熱ボートとを、それぞれの独立に通電し、ホスト材料と各色の燐光発光性化合物とからなる発光層を、正孔輸送層上に成膜した。この際、蒸着速度が、H4:Ir−9=98:2(体積比)となるように、加熱ボートの通電を調節した。また、膜厚を30nmとした。
Figure 2016012417
Figure 2016012417
次に、正孔阻止材料として下記に構造式を示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqからなる正孔阻止層を、発光層上に成膜した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚を10nmとした。
Figure 2016012417
(中間電極)
次に、第1発光ユニット21が形成された基板11を、真空蒸着装置の第2真空槽内に移送し、第2真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、第2真空槽内に取り付けられたアルミニウム(Al)の入った加熱ボードを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.2nm/秒で膜厚10nmのアルミニウムからなる第1中間電極22を形成した。
次に、上述した第1発光ユニット21の形成と同様の工程を繰り返すことにより、第1中間電極22上に、第2発光ユニット23を形成した。さらに、同様の工程を繰り返し、第2中間電極24、及び、第3発光ユニット25を形成した。
なお、第2発光ユニット23の形成には、下記に構造式を示す燐光発光性化合物Ir−48(青)をドーパントとして用いた。また、第3発光ユニット25の形成には、下記に構造式を示す燐光発光性化合物Ir−1(緑)をドーパントとして用いた。この際、第2発光ユニット23の蒸着速度は、H4:Ir−48=92:8(体積比)となるように、第3発光ユニット25の蒸着速度は、H4:Ir−1=94:6(体積比)となるように、加熱ボートの通電を調節した。また膜厚を30nmとした。
Figure 2016012417
Figure 2016012417
(電子輸送・注入層)
次に、電子輸送材料としてAlq3が入った加熱ボートに通電して加熱し、第3発光ユニット25の最上層を構成する電子輸送層を形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚を20nmとした。これにより、上述した正孔注入層からこの電子輸送層までの積層構造を有する第3発光ユニット25を形成した。
Figure 2016012417
(第2電極)
次に、電子輸送層までを形成した基板11を、真空蒸着装置の第2真空槽内に移送し、第2真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、第2真空槽内に取り付けられたアルミニウム(Al)の入った加熱ボートを通電して加熱した。この際、蒸着速度0.3nm/秒、膜厚を100nmとし、反射率が95%のAlからなる第2電極15を形成した。なお、反射率は、430nm〜650nmの波長での平均値である。反射率は、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計(U4100)を用いて測定した。本願における反射率とは、発光位置を基準とし、その発光光が初めて照射される電極界面の反射率のこととする。測定波長間隔は2nmおきとした。
(光吸収層、封止)
次に、光吸収層16としてND=4.0のNDフィルターを、第2電極15と透明封止材との間に配置した状態で、有機EL素子10を透明封止材で覆い、有機EL素子10を囲む状態で、透明封止材と基板11との間に接着剤(シール材)を充填した。透明封止材は、厚さ300μmのガラス基板を用いた。また、接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。
そして、透明封止材と基板11との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板(透明封止材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機EL素子10を封止した。
以上のようにして、試料101の有機EL素子を作製した。
[試料102の有機EL素子の作製]
第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25の第1〜3発光ユニット21,23,25の厚さを、上述の試料101の有機EL素子よりも5%厚く形成した以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料102の有機EL素子を作製した。
[試料103の有機EL素子の作製]
第1発光ユニット21、第2発光ユニット23、及び、第3発光ユニット25の第1〜3発光ユニット21,23,25の厚さを、上述の試料101の有機EL素子よりも5%薄く形成した以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料103の有機EL素子を作製した。
[試料104の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ30nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を75%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料104の有機EL素子を作製した。
[試料105の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ30nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を75%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料105の有機EL素子を作製した。
[試料106の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ30nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を75%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料106の有機EL素子を作製した。
[試料107の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ27nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を70%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料107の有機EL素子を作製した。
[試料108の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ27nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を70%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料108の有機EL素子を作製した。
[試料109の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ27nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を70%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料109の有機EL素子を作製した。
[試料110の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ25nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を65%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料110の有機EL素子を作製した。
[試料111の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ25nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を65%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料111の有機EL素子を作製した。
[試料112の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ25nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を65%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料112の有機EL素子を作製した。
[試料113の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ17nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を35%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料113の有機EL素子を作製した。
[試料114の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ17nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を35%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料114の有機EL素子を作製した。
[試料115の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ17nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を35%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料115の有機EL素子を作製した。
[試料116の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ14nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を30%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料116の有機EL素子を作製した。
[試料117の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ14nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を30%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料117の有機EL素子を作製した。
[試料118の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ14nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を30%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料118の有機EL素子を作製した。
[試料119の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ11nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を25%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料119の有機EL素子を作製した。
[試料120の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ11nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を25%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料120の有機EL素子を作製した。
[試料121の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ11nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を25%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料121の有機EL素子を作製した。
[試料122の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ9nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を10%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料122の有機EL素子を作製した。
[試料123の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ9nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を10%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料123の有機EL素子を作製した。
[試料124の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ9nmの銀(Ag)により形成し、第2電極15の反射率を10%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料124の有機EL素子を作製した。
[試料125の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ100nmのITOにより形成し、第2電極15の反射率を5%とした以外は、上述の試料101と同様の手法により、試料125の有機EL素子を作製した。
[試料126の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ100nmのITOにより形成し、第2電極15の反射率を5%とした以外は、上述の試料102と同様の手法により、試料126の有機EL素子を作製した。
[試料127の有機EL素子の作製]
第2電極15を、厚さ100nmのITOにより形成し、第2電極15の反射率を5%とした以外は、上述の試料103と同様の手法により、試料127の有機EL素子を作製した。
[評価]
試料101〜127で作製した有機EL素子について、RGB各色個別に発光させた。色変動の結果は、試料101、試料104、試料107、試料110、試料113、試料116、試料119、試料122、及び、試料125を基準試料とし、この基準試料から発光ユニットの膜厚を5%変化させた各試料の色変化度合い(ΔExy)を求めた。
分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、試料101〜127の有機EL素子の正面輝度、正面色度x,y、及び、外部量子効率EQEを測定した。ΔExyは、膜厚100%の素子に対して、膜厚を±5%で作製した素子の色度の変化量を、下記式(1)にて算出した。式(1)には、膜厚を105%にした素子の計算例を示している。
ΔExy=((x100%−x105%+(y100%−y105%0.5 ・・・(1)
表1に、各試料の評価結果を示す。
Figure 2016012417
また、図3に、上記基準試料から有機層の膜厚が5%増加した各試料の色変動の大きさと効率とを発光色BGRごとにグラフで示す。同様に、図4に、上記基準試料から有機層の膜厚が5%減少した各試料の色変動の大きさと効率とを発光色BGRごとにグラフで示す。
なお、図3、図4において、横軸は第2電極15の反射率であり、縦軸は、各試料の色変化度合い(ΔExy)及び効率(EQE)である。
表1、及び、図3,4に示す結果から、ΔExyは、反射率95%から反射率70%までは大きく低下し、反射率70%以下では緩やかに低下している。また、EQEは、反射率95%から反射率30%までは緩やかに低下しているが、反射率が30%より低くなると大きく低下している。
以上のことから、第2電極15の反射率が95%である素子(試料101〜103)や、第2電極15の反射率が75%の素子(試料104〜106)に対し、第2電極15の反射率が10%〜70%の素子(試料107〜124)は、効率(EQE)を大きく損なうことなく、膜厚変化における色変動ΔExyを軽減する効果を確認できた。
また、第2電極15の反射率が10%〜70%の素子(試料107〜124)は、第2電極15の反射率が5%の素子(試料125〜127)に対し、ΔExy軽減効果を保ったまま、発光効率が上回る効果を確認できた。
さらに、第2電極15の反射率が30%〜70%の素子(試料107〜118)は、第2電極15の反射率が10〜25%の素子(試料119〜124)に対し、ΔExy軽減効果を保ったまま、発光効率が上回る効果を確認できた。
従って、第2電極15の反射率を10%〜70%とすることにより、有機EL素子の膜厚変動による色ずれを抑制することができるとともに、有機EL素子の発光効率の低下を抑制することができる。特に、第2電極15の反射率を30%〜70%とすることにより、色ずれ及び発光効率の低下がさらに抑制された有機EL素子を構成することができる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,30 有機EL素子、11,31 基板、13,33 第1電極、15,35 第2電極、16,36 光吸収層、20,40 発光ユニット群、21,41 第1発光ユニット、22 第1中間電極、23,43 第2発光ユニット、24 第2中間電極、25 第3発光ユニット、42 中間電極

Claims (7)

  1. 光射出側に設けられた第1電極と、
    反射率が10〜70%の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極とに挟持されている複数の発光ユニットと、を備える
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記発光ユニットが、中間電極を介して積層されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記第2電極の前記発光ユニットと反対側に設けられた光吸収層を備える請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記第1電極、及び、前記第2電極のうちの少なくともいずれか一方が、銀または銀を主成分とした合金を含む請求項1から3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記中間電極がアルミニウムを含む請求項2から4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記第2電極の反射率が30〜70%である請求項1から5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子デバイス。
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