JP2016011385A - 前浸漬用洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が良好であり、デンプン分解酵素活性を低下させることなく、保存安定性に優れる、食器類を自動食器洗浄機で本洗浄する前の前洗浄工程に使用する前洗い洗浄、前浸漬洗浄に適した前浸漬用洗浄剤組成物の提供。【解決手段】(A)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル6質量%〜40質量%、(B)デンプン分解酵素、(C)酵素安定化剤、(D)可溶化剤、及び(E)pH調整剤、を含有する前浸漬用洗浄剤組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、食器類を自動食器洗浄機で本洗浄する前の前洗浄工程に使用する前洗い洗浄、前浸漬洗浄に適した前浸漬用洗浄剤組成物に関する。
給食施設などにおいては、食器類の下膳から洗浄までの間に時間を有するため、前記食器類にご飯粒、片栗粉、イモ類などに由来するデンプン汚れがこびり付き、自動食器洗浄機を使用した本洗浄のみでは前記デンプン汚れを十分に除去することが困難であった。そのため、前記食器類を自動食器洗浄機による本洗浄する前に、前洗浄工程として、前記食器類を前浸漬用洗浄剤を含有する浸漬用溶液などに浸漬している。しかし、前記前浸漬用洗浄剤が界面活性剤を含む場合、次の工程である自動食器洗浄機での本洗浄工程において、洗浄水が発泡し、洗浄機に負荷がかかるという問題がある(例えば、特許文献1参照)。一方、自動食器洗浄機において本洗浄の洗浄水の発泡を抑制するために、前記前浸漬用洗浄剤の前記界面活性剤の含有量を少なくすると、油脂汚れによる食器及びシンクの再汚染が問題となる。
前記問題を解決するために、環境負荷が少なく、作業安定性、洗浄性能に優れるカルボン酸類、硫酸塩類、ノニオン性界面活性剤、及びデンプン分解酵素であるアミラーゼを含有する浸漬用洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、前記提案は、カルボン酸類、及び硫酸塩類を主成分としており、アミラーゼの安定化剤も含有されていないため、デンプン洗浄力、及び保存安定性が不十分であるという問題がある。したがって、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が良好であり、デンプン分解酵素の活性を低下させることなく、及び保存安定性に優れる前浸漬用洗浄剤組成物の提供が望まれている。
特開2007−70380号公報 特開2004−196901号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が良好であり、デンプン分解酵素の活性を低下させることなく、保存安定性に優れる前浸漬用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、(A)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル6質量%〜40質量%、(B)デンプン分解酵素、(C)酵素安定化剤、(D)可溶化剤、及び(E)pH調整剤を含有する前浸漬用洗浄剤組成物が、これらの相乗効果によって、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が良好であり、デンプン分解酵素の活性を低下させることなく、保存安定性に優れることを知見した。なお、本発明における前浸漬用洗浄剤組成物とは、自動食器洗浄機などを用いて機械洗浄する本洗浄工程の前に、水溶液中に食器類などの被洗浄物を浸漬させる前洗浄工程において、前記水溶液に添加して使用する洗浄剤組成物をいう。また、保存安定性とは、35℃、及び−5℃での保存時の安定性のことをいう。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> (A)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル6質量%〜40質量%、
(B)デンプン分解酵素、
(C)酵素安定化剤、
(D)可溶化剤、及び
(E)pH調整剤、を含有することを特徴とする前浸漬用洗浄剤組成物である。
<2> (C)酵素安定化剤が安息香酸又はその塩である前記<1>に記載の前浸漬用洗浄剤組成物である。
<3> (D)可溶化剤がプロピレングリコールである前記<1>から<2>のいずれかに記載の前浸漬用洗浄剤組成物である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が良好であり、デンプン分解酵素の活性を低下させることなく、保存安定性に優れる前浸漬用洗浄剤組成物を提供することができる。
(前浸漬用洗浄剤組成物)
本発明の前浸漬用洗浄剤組成物は、(A)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、(B)デンプン分解酵素、(C)酵素安定化剤、(D)可溶化剤、及び(E)pH調整剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<(A)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル>
前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは、油脂洗浄力、再汚染防止力、及び低泡性を向上させるために含有されている。前記前浸漬用洗浄剤組成物が自動食器洗浄機における本洗浄工程に持ち込まれると、泡立ちによる洗浄不良、及び洗浄ポンプへの負荷が懸念されるため、前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは低泡性であることが重要である。
前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのポリオキシエチレン基単位及びポリオキシプロピレン基単位としては、ブロック重合でもよく、ランダム重合でもよい。
前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物などが挙げられる。
RO−(CO)(CO)−H ・・・ 一般式(1)
前記一般式(1)中、Rとしては、再汚染防止力の点から、炭素数6〜18のアルキル基が好ましく、炭素数8〜14がより好ましく、直鎖又は分岐鎖であり、飽和であっても、不飽和であってもよい。
前記一般式(1)中、mとしては、再汚染防止力の点から、エチレンオキシドの平均付加モル数を示し、mは1〜20の整数が好ましく、5〜14の整数がより好ましい。
前記一般式(1)中、nとしては、再汚染防止力の点から、プロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、nは1〜20の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましい。
前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(EO:5〜10)ポリオキシプロピレン(PO:1〜5)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(EO:5)ポリオキシプロピレン(PO:9)オクチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO:9)ポリオキシプロピレン(PO:5)アルキル(炭素数:12〜14)エーテル、ポリオキシエチレン(EO:7)ポリオキシプロピレン(PO:4.5)アルキル(炭素数:12〜14)エーテル、ポリオキシエチレン(EO:7)ポリオキシプロピレン(PO:8.5)アルキル(炭素数:12〜14)エーテル、ポリオキシエチレン(EO:20)ポリオキシプロピレン(PO:7)トリデシルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、油脂洗浄力、及び再汚染防止力の点から、ポリオキシエチレン(EO:5〜10)ポリオキシプロピレン(PO:1〜5)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(EO:5)ポリオキシプロピレン(PO:9)オクチルエーテルが好ましい。なお、前記(EO)は、エチレンオキシドの平均付加モル数を示し、前記(PO)は、プロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、前記(炭素数)は、アルキル基の炭素数を示す。
前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、商品名:ノイゲンLF−60X(ポリオキシエチレン(EO:5〜10)ポリオキシプロピレン(PO:1〜5)デシルエーテル、第一工業製薬株式会社製)、商品名:ペポールA−0638(ポリオキシエチレン(EO:5)ポリオキシプロピレン(PO:9)オクチルエーテル、東邦化学工業株式会社製)、商品名:ライオノールL−950(ポリオキシエチレン(EO:9)ポリオキシプロピレン(PO:5)アルキル(炭素数:12〜14)エーテル、ライオン株式会社製)、商品名:ライオノールL−745(ポリオキシエチレン(EO:7)ポリオキシプロピレン(PO:4.5)アルキル(炭素数:12〜14)エーテル、ライオン株式会社製)、商品名:ライオノールL−785(ポリオキシエチレン(EO:7)ポリオキシプロピレン(PO:8.5)アルキル(炭素数:12〜14)エーテル、ライオン株式会社製)、商品名:ライオノールTD−2007(ポリオキシエチレン(EO:20)ポリオキシプロピレン(PO:7)アルキル(炭素数:13)エーテル、ライオン株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、油脂洗浄力、及び再汚染防止力の点から、商品名:ノイゲンLF−60X(ポリオキシエチレン(EO:5〜10)ポリオキシプロピレン(PO:1〜5)アルキルデシルエーテル、第一工業製薬株式会社製)、商品名:ペポールA−0638(ポリオキシエチレン(EO:5)ポリオキシプロピレン(PO:9)オクチルエーテル、東邦化学工業株式会社製)が好ましい。なお、前記(EO)は、エチレンオキシドの平均付加モル数を示し、前記(PO)は、プロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、前記(炭素数)は、アルキル基の炭素数を示す。
前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、低泡性の点から、(a1)ポリオキシエチレン(EO:5〜10)ポリオキシプロピレン(PO:1〜5)デシルエーテル、(a2)ポリオキシエチレン(EO:5)ポリオキシプロピレン(PO:9)オクチルエーテル、及び(a3)ポリオキシエチレン(EO:5〜10)ポリオキシプロピレン(PO:3〜10)アルキル(炭素数:12〜14)エーテルから選択される2種の併用であることが好ましい。これらの中でも、(a1)ポリオキシエチレン(EO:5〜10)ポリオキシプロピレン(PO:1〜5)デシルエーテル、及び(a2)ポリオキシエチレン(EO:5)ポリオキシプロピレン(PO:9)オクチルエーテルの併用がより好ましい。なお、前記(EO)は、エチレンオキシドの平均付加モル数を示し、前記(PO)は、プロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、前記(炭素数)は、アルキル基の炭素数を示す。
前記(a1)成分の含有量としては、油脂洗浄力、及び再汚染防止力の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、5質量%〜20質量%が好ましく、10質量%〜15質量%がより好ましい。
前記(a2)成分の含有量としては、油脂洗浄力、及び再汚染防止力の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、5質量%〜20質量%が好ましく、10質量%〜15質量%がより好ましい。
前記(a3)成分の含有量としては、油脂洗浄力、及び再汚染防止力の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、5質量%〜20質量%が好ましく、10質量%〜15質量%がより好ましい。
前記(a1)成分の含有量(%)、前記(a2)成分の含有量(%)、及び前記(a3)成分の含有量(%)から選択される2種の質量比(a1/a2、a1/a3、又はa2/a3)としては、保存安定性、油脂洗浄力、及び再汚染防止力の点から、0.25〜4が好ましく、1〜1.5がより好ましく、1〜1.2が特に好ましい。
前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの合計含有量としては、油脂洗浄力、再汚染防止力、及び保存安定性の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、6質量%〜40質量%であり、10質量%〜40質量%が好ましく、15質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%が特に好ましい。前記含有量が、6質量%未満であると、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が不十分となることがあり、40質量%を超えると、油脂洗浄力が頭打ちとなりコストの点で不利となることがあり、また、保存安定性が不十分となることがある。
<(B)デンプン分解酵素>
前記(B)成分のデンプン分解酵素(アミラーゼ)は、デンプン洗浄力を向上させるために含有されている。
前記デンプン分解酵素としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、商品名:Termamyl 300L、商品名:Termamyl Ultra 300L、商品名:Duramyl 300L、商品名:Stainzyme 12L、商品名:Stainzyme Plus 12L、(以上、ノボザイムズジャパン株式会社製);商品名:Purastar ST L、商品名:Purastar HP Am、(以上、ジェネンコア社製);商品名:プルラナーゼアマノ(天野エンザイム株式会社製);商品名:DB−250(生化学工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、デンプン洗浄力の点から、商品名:Stainzyme 12L、商品名:Stainzyme Plus 12L、(以上、ノボザイムズジャパン株式会社製)が好ましく、商品名:Stainzyme 12L(ノボザイムズジャパン株式会社製)がより好ましい。
前記(B)成分のデンプン分解酵素の含有量としては、デンプン洗浄力の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、デンプン洗浄力が不十分となることがあり、5質量%を超えると、デンプン洗浄力が頭打ちとなりコストの点で不利となることがある。
<(C)酵素安定化剤>
前記(C)成分の酵素安定化剤は、前浸漬用洗浄剤組成物を高室温(35℃)又は低温(−5℃)において長期間保存してもデンプン分解酵素の活性を低下させることなく、前記前浸漬用洗浄剤組成物の保存安定性を向上させるために含有されている。
前記(C)成分の酵素安定化剤としては、例えば、カルボキシ基を有する有機酸、及びその塩などが挙げられる。前記カルボキシ基を有する有機酸、及びその塩としては、飽和脂肪酸、飽和脂肪酸塩、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸塩、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、不飽和カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩が好ましく、芳香族カルボン酸塩がより好ましい。
前記飽和脂肪酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記飽和脂肪酸塩としては、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、ポリアクリル酸、メタクリル酸、ポリメタクリル酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記不飽和カルボン酸塩としては、アクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
前記ポリアクリル酸ナトリウム、及び前記ポリメタクリル酸ナトリウムの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、保存安定性の点から、例えば、1,000〜20,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、1,000未満であると又は20,000を超えると、保存安定性が不十分であることがある。前記(B)成分の重量平均分子量としては、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー−多角度光散乱(GPC−MALS)分析を用いて下記条件で測定することができる。
[測定条件]
測定装置:Gel Permeation Chromatography System(株式会社島津製作所製)
測定試料溶液:前記(C)成分の純分濃度が約1,000ppm(移動相で希釈)
カラム:極性有機溶媒用カラム(TSK−GELαカラム、東ソー株式会社製)
移動相:0.5mol/Lの過塩素酸ナトリウム溶液
測定波長:約633nm
検出器:多角度光散乱検出器(MALS)
標準品:分子量既知のポリエチレングリコール
前記ヒドロキシ酸としては、例えば、乳酸などが挙げられる。前記ヒドロキシ酸塩としては、乳酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記芳香族カルボン酸塩としては、例えば、安息香酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、安息香酸又はその塩が好ましく、安息香酸ナトリウムがより好ましい。
前記(C)成分の酵素安定化剤の含有量としては、保存安定性の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると又は5質量%を超えると、保存安定性が不十分となることがある。
<(D)可溶化剤>
前記(D)成分の可溶化剤は、水に前記(A)成分のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを可溶化させ、保存安定性を向上させるために含有されている。
前記(D)成分の可溶化剤としては、例えば、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、二価アルコールが好ましい。
前記一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、プロピレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールの前記重量平均分子量は、前記(C)成分におけるポリアクリル酸ナトリウムと同様にゲルろ過クロマトグラフィー−多角度光散乱(GPC−MALS)分析を用いて測定することができる。
前記三価アルコールとしては、例えば、グリセリンなどが挙げられる。
前記(D)成分の可溶化剤の含有量としては、油脂洗浄力、及び保存安定性の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、油脂洗浄力が不十分となることがあり、20質量%を超えると、保存安定性が不十分となることがある。
<(E)pH調整剤>
前記(E)成分のpH調整剤は、保存安定性を向上させるために含有されている。
前記(E)成分のpH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(C)成分以外のクエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、クエン酸、クエン酸ナトリウムが好ましく、クエン酸ナトリウムがより好ましい。
前記(E)成分のpH調整剤の含有量としては、保存安定性の点から、前浸漬用洗浄剤組成物全量に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜0.2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、pH緩衝作用が得られず、保存安定性が不十分となることがあり、10質量%を超えると、前記(B)成分のデンプン分解酵素の安定性が悪くなり、保存安定性が不十分となることがある。
<その他の成分>
前記前浸漬用洗浄剤組成物としては、前記(A)〜前記(E)の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有することができる。前記その他の成分としては、前浸漬用洗浄剤組成物に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、アルカリ剤;前記(C)成分以外のアミノカルボン酸塩、ホスホン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩等のキレート剤;高分子化合物;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;無機ビルダー;防腐剤;香料;漂白剤;消泡剤;腐食防止剤などが挙げられる。
−pH−
前記前浸漬用洗浄剤組成物の25℃におけるpHとしては、使用性、及び作業者の安全性を考慮した上で、保存安定性の点から、6〜9が好ましく、6.5〜8.5がより好ましく、7〜8.5が特に好ましい、前記pHが、6未満であると又は9を超えると、保存安定性が不十分となることがある。
前記前浸漬用洗浄剤組成物のpHとしては、すべての成分を混合した後に最後にpHを確認しながら前記(E)成分のpH調整剤を加えることで調整できる。より詳しくは、クエン酸ナトリウムなど以外の成分の合計が約98質量%となるように精製水をバランスして混合攪拌する。必要なら加温してもよい。混合攪拌中にクエン酸ナトリウムなどの水溶液を徐々に添加し、それぞれpHを測定しながら目標とするpHまで添加する。目標pHとなったところで、最後に残りの精製水を加えて、全体で100質量%となるように水を加える。なお、前記pHは、例えば、pHメーター(商品名:「HM−30V」、東亜ディーケーケー株式会社製)で測定することができる。
−前浸漬用洗浄剤組成物の製造方法−
前記前浸漬用洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択し、常法に基づき調製することができ、例えば、精製水に、前記(D)成分、前記(A)成分、及び前記(C)成分を添加して溶解させた後、前記(B)成分を添加し混合する。その後、前記その他の成分、前記(E)成分、及び精製水(前浸漬用洗浄剤組成物の全体が100質量%となるように残量含有)を均一に溶解、混合して製造することができる。前記前浸漬用洗浄剤組成物を作製する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断と全体混合できるプロペラ、タービン、ディスパーなどの複数の攪拌羽根を備えた攪拌装置などが挙げられる。なお、前記(A)〜前記(E)成分、及び前記その他の成分は、前記前浸漬用洗浄剤組成物を作製するにあたり、それぞれ単独で使用してもよく、また、2種以上の成分を含む混合物の状態で使用してもよい。
−用途−
前記前浸漬用洗浄剤組成物としては、自動食器洗浄機などを用いて機械洗浄を行う本洗浄工程の前に、浸漬用溶液中に被洗浄物を浸漬する前洗浄工程において、水溶液に添加して使用する洗浄剤組成物として好適である。
前記前洗浄工程としては、例えば、シンク、移動式シンク、立体浸漬槽、かき上げ式自動食器洗浄機に設けられた予備浸漬槽などが好適に用いられる。これらの中でも、前記立体浸漬槽、又は前記かき上げ式自動食器洗浄機に設けられた予備浸漬槽には、洗浄効果を高める点から、例えば、加温機能、保温機能、撹拌機能、噴射機能、ジェット水流機能、バブリング機能、超音波機能などの付加機能があり、前記付加機能を使用するとより効果的に前洗浄することができる。
−洗浄方法−
前記食器類などの洗浄方法としては、次のものが挙げられる。
(I)前記前浸漬用洗浄剤組成物を含有する浸漬用溶液中に、例えば、食器、調理器具類などの被洗浄物を浸漬した後、前記浸漬用溶液中にて前記食器、及び前記調理器具類をスポンジ等で擦るなどの作業を行った後、前記食器、及び前記調理器具類を自動食器洗浄機にて本洗浄工程を行う方法。
(II)前記前浸漬用洗浄剤組成物を含有する浸漬用溶液中に食器、調理器具類などの被洗浄物を浸漬した後、取り出した前記食器、及び前記調理器具類をそのまま自動食器洗浄機にて本洗浄を行う方法。
前記前浸漬用洗浄剤組成物としては、低泡性の点から、(I)及び(II)のいずれの洗浄方法も好適に用いることができる。
前記前洗浄工程での浸漬用溶液中における前記前浸漬用洗浄剤組成物の濃度としては、0.005質量%〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましい。前記濃度が、0.005質量%未満であると、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が不十分となることがあり、0.3質量%を超えると、低泡性が不十分となることがある。
前記前洗浄工程における処理時間としては、デンプン汚れ及び油脂汚れの量、並びに食器及び調理器具類の処理量にもよるが、汚れの除去効率、及び作業効率の点から、1分間〜1時間が好ましく、10分間〜30分間がより好ましい。前記前洗浄工程における浸漬用溶液の温度としては、前記(B)成分のデンプン分解酵素によるデンプン汚れの分解作用を高める点から、30℃〜60℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。
以下に、本発明を実施例、及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例、及び比較例の記載の各成分の含有量は、全て純分換算した値である。
(実施例1〜19、及び比較例1〜7)
下記表1〜表4に示す組成、及び含有量の前浸漬用洗浄剤組成物を以下の方法で調製した。即ち、精製水に、前記(D)成分、前記(A)成分、及び前記(C)成分を添加して溶解させた後、前記(B)成分を添加し混合する。その後、前記(E)成分、及び精製水(前浸漬用洗浄剤組成物の全体が100質量%となるように残量含有)を均一に溶解して前浸漬用洗浄剤組成物を調製した。調製した実施例1〜19及び比較例1〜7の前浸漬用洗浄剤組成物のpHは、6.3〜8.2であった。前記pHは、pHメーター(商品名:「HM−30V」、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて25℃で測定した。
調製した実施例1〜19、及び比較例1〜7の前浸漬用洗浄剤組成物について、以下のようにして、「デンプン洗浄力」、「油脂洗浄力」、「再汚染防止力」、「低泡性」、及び「保存安定性」を評価した。結果を表1〜表4に示した。
<デンプン洗浄力>
市販されている片栗粉25gを水道水500mLで分散させ、加熱溶解したものをステンレス鋼(SUS)製テストピースに乾燥後のデンプン汚れの質量(g)が0.1g〜0.2g/6枚となるように塗布し、塗布物を得た。得られた塗布物を室温(25℃)で24時間風乾させ、80℃で4時間乾固させた後、冷却した。その後、JIS−K−3362に準拠したリーナッツ型洗浄力試験器にデンプン汚れが付着したステンレス鋼(SUS)製テストピース6枚をセットし、各前浸漬用洗浄剤組成物の濃度が0.05質量%となるように水に添加した浸漬用溶液を用いて、50℃の浸漬用溶液に、15分間浸漬することにより洗浄した。洗浄後、80℃、1時間乾燥させ、洗浄前後のデンプン汚れの質量変化率によりデンプン汚れの除去率を測定した。各前浸漬用洗浄剤組成物で洗浄後のステンレス鋼(SUS)製テストピースに残留しているデンプン汚れを確認するため、前記前浸漬用洗浄剤組成物を使用せず水に浸漬したものを対照とし、同様にデンプン汚れの除去率を測定した。各前浸漬用洗浄剤組成物の平均除去率を前記対照の平均除去率と比較してデンプン汚れの平均除去率を測定し、下記評価基準により、「デンプン洗浄力」を評価した。
−デンプン洗浄力の評価基準−
◎ :平均除去率が、対照と比較して80%以上
○ :平均除去率が、対照と比較して50%以上80%未満
△ :平均除去率が、対照と比較して20%以上50%未満
× :平均除去率が、対照と比較して20%未満
<油脂洗浄力>
スダンIV(東京化成工業株式会社製)を0.1質量%添加して着色した牛脂(純正化学株式会社製)1gをメラミン製食器に塗布し、1時間、室温(25℃)で自然乾燥させたものを、40℃の各前浸漬用洗浄剤組成物の濃度を0.05質量%に調整した浸漬用溶液に3分間浸漬させた後、前記浸漬用溶液中でスポンジにて軽く擦り、流水ですすいだ。メラミン製食器表面に残留した汚れの量を目視にて判定した。前記前浸漬用洗浄剤組成物を使用せず水に浸漬したものを対照とし、前記対照と比較して油脂汚れの平均除去率を測定し、下記評価基準により、「油脂洗浄力」を評価した。
−油脂洗浄力の評価基準−
◎:平均除去率が、対照と比較して80%以上
○:平均除去率が、対照と比較して50%以上80%未満
△:平均除去率が、対照と比較して20%以上50%未満
×:平均除去率が、対照と比較して20%未満
<再汚染防止力>
各前浸漬用洗浄剤組成物の濃度を0.05質量%に調製した浸漬用溶液300mLに、大豆油/牛脂/商品名:スダンIV(東京化成工業株式会社製)/クロロホルムを、20g/20g/0.2g/120mLの比率で混合した混合物を添加し、ポリプロピレン板を1分間浸漬して、引き上げた際のポリプロピレン板への前記混合物の汚れの付着を目視で確認し、下記評価基準により、「再汚染防止力」を評価した。
−再汚染防止力の評価基準−
○:汚れの付着が見られず、べたつきがない
△:汚れの付着がやや見られ、ややべたつく
×:汚れの付着が見られ、べたつく
<低泡性>
共栓付100mLエプトン管(東京硝子器械株式会社製)に、各前浸漬用洗浄剤組成物を水に濃度が0.1質量%になるように含有した浸漬用溶液を30mL入れ、50℃に調温した後、上下に10回振盪し、10秒間後の泡高を下記基準で判定し、「低泡性」を評価した。「○」以上で合格とした。
−低泡性の評価基準−
◎:泡高が5mm未満
○:泡高が5mm以上10mm未満
△:泡高が10mm以上15mm未満
×:泡高が15mm以上
<保存安定性>
50mL容量のガラス製ねじ口瓶(日電理化硝子株式会社製)に、40mLの各前浸漬用洗浄剤組成物を入れ、密閉し、35℃又は−5℃で1ヶ月間保存したときの各前浸漬用洗浄剤組成物の外観を目視で確認し、下記評価基準により、「保存安定性」を評価した。35℃での保存安定性は「○」以上、−5℃での保存安定性は「△」以上で合格とした。
−保存安定性(35℃)の評価基準−
○:外観が均一、かつ透明である
△:やや沈殿又は分離が認められる
×:沈殿物、又は分離が認められる
−保存安定性(−5℃)の評価基準−
○:外観が均一、かつ透明である
△:前浸漬用洗浄剤組成物全体が微濁、又は凍結が認められるが、室温(25℃)で復元する
×:沈殿物、又は分離が認められ、室温(25℃)で復元しない
Figure 2016011385
Figure 2016011385
Figure 2016011385
Figure 2016011385
なお、前記実施例、及び前記比較例で使用した各種成分の詳細について、下記表5に示す。
Figure 2016011385
本発明の前浸漬用洗浄剤組成物は、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が良好であり、デンプン分解酵素の活性を低下させることなく、保存安定性に優れるため、例えば、食器類を自動食器洗浄機で本洗浄する前の前洗浄工程に使用する前洗い洗浄、前浸漬洗浄などに好適である。

Claims (3)

  1. (A)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル6質量%〜40質量%、
    (B)デンプン分解酵素、
    (C)酵素安定化剤、
    (D)可溶化剤、及び
    (E)pH調整剤、を含有することを特徴とする前浸漬用洗浄剤組成物。
  2. (C)酵素安定化剤が安息香酸又はその塩である請求項1に記載の前浸漬用洗浄剤組成物。
  3. (D)可溶化剤がプロピレングリコールである請求項1から2のいずれかに記載の前浸漬用洗浄剤組成物。
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