JP2016011258A - 抗ヒトcd40モノクローナル抗体及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の抗CD40モノクローナル抗体のような刺激性がなく、さらにより優れたADCC活性を有する、抗腫瘍剤として有用なモノクローナル抗体の提供。【解決手段】ヒトCD40抗原発現細胞に対してエフェクター細胞非存在下で増殖抑制活性を有さず、ヒトCD40アミノ酸配列のアミノ酸残基62-77番目又は105-145番目を含むエピトープに特異的に結合する抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。【選択図】なし

Description

本発明は、抗腫瘍剤として有用な抗ヒトCD40モノクローナル抗体および抗原結合フラグメント及びこれを含有する医薬組成物に関する。
CD40は、ヒトB細胞表面に発現する抗原として同定され(非特許文献1)、アミノ酸配列の相同性から、低親和性NGFレセプターやTNFレセプター、CD27、OX40、CD30などが属しているTNFレセプターファミリーの1つのメンバーである。CD40はタイプIの膜型糖蛋白質であり、Bリンパ球や樹状細胞、単球上皮細胞、線維芽細胞などの多様な細胞タイプや、腫瘍性のヒトB細胞などのある種の腫瘍細胞にも発現していることが知られている。CD40欠損マウスでは、胸腺依存の免疫グロブリンのクラススイッチや胚中心の形成が損なわれ、細胞性と液性免疫反応でのCD40の重要な役割が実証されている(非特許文献2)。
CD40の生理学的リガンドはCD40のLigand(CD154,gp39)である。活性化したTリンパ球にCD40 Lが発現しておりBリンパ球の表面上のCD40と結合によりBリンパ球の分化や増殖、胚中心のBリンパ球の自発的アポトーシスから回避など重要な調節機構を担っている(非特許文献3)。
T細胞悪性疾患およびB細胞悪性疾患の双方では、多くの場合、悪性細胞が正常リンパ球の活性化に至る刺激に曝された際に抗腫瘍作用(アポトーシスによる、またはアポトーシスによらない増殖停止)が生じる。この活性化により誘発される増殖抑制は、抗原受容体または共刺激受容体のいずれかを介したシグナルとともに観察されている(非特許文献4-7)。ある種の刺激性CD40抗体または可溶性CD40LによるCD40刺激は直接B細胞リンパ腫の増殖を阻害する(非特許文献8,9)。
G28-5(ATCC No.HB-9110)、S2C6(ATCC No.PTA-110)等の刺激性抗CD40抗体の親和性と抗体による正常B細胞の活性化には相関がないが、抗体によるCD40リガンド阻害能と正常B細胞の活性化には相関があることが知られている。また、これらの抗体はCD40アミノ酸残基の61番目よりN末端側を認識している(非特許文献10)。他に、刺激性抗体ではなく、CD40Lの結合を完全に阻害する抗CD40抗体であるHCD122は、CD40の82-86番目のエピトープを認識することが知られている(特許文献1)。
国際公開第2005/044294号パンフレット
Clark et al., PNAS USA 1986; 83:4494-4498 Kawabe et al., Immunity 1994; 1:167-168 Kehry, J Immumol 1996; 156:2345-2348 Ashwell et al., Science 1987; 237:61-64 Bridges et al., J Immumol 1987; 139:4242-4549 Page and Defranco, J Immunol 1988; 140:3717-3726 Beckwith et al., J Natl Cancer Inst 1990; 82:501-509 Funakoshi et al., Blood 1994; 83:2787-2794 Francisco et al., Cancer Res 2000; 60:3225-3231 Hager et al., Scand J Immnol 2003; 57:517-524
本発明の課題は、従来の抗CD40モノクローナル抗体のような刺激性がなく、さらにより優れたADCC活性を有するモノクローナル抗体を提供することである。
本発明の課題は、上記の課題を解決するために、ヒトCD40に対する抗体作製を行い、多くの抗CD40モノクローナル抗体を取得した。そしてそれらの抗体群の内に、ヒトCD40エピトープの62-77番目または105-145番目のアミノ酸残基と特異的に結合する抗体が存在することが判明した。さらに、そのCD40エピトープと結合する抗体の多くはCD40発現がん細胞に結合するが、直接的には作用しないが、エフェクター細胞の存在下では強い抗腫瘍作用を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の〔1〕〜〔16〕を提供するものである。
〔1〕ヒトCD40抗原発現細胞に対してエフェクター細胞非存在下で増殖抑制活性を有さず、ヒトCD40アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸残基62-77番目又は105-145番目を含むエピトープに特異的に結合する抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔2〕軽鎖可変領域および重鎖可変領域が下記の1)から7)のいずれかのアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する〔1〕記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
1)配列番号7および配列番号32
2)配列番号8および配列番号33
3)配列番号12および配列番号37
4)配列番号13および配列番号38
5)配列番号15および配列番号40
6)配列番号16および配列番号41
7)配列番号28および配列番号53
〔3〕ヒトCD40アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸残基105-145番目を含むエピトープに特異的に結合するものである〔1〕記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔4〕軽鎖可変領域および重鎖可変領域が下記の1)から4)のいずれかのアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する〔3〕記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
1)配列番号7および配列番号32
2)配列番号8および配列番号33
3)配列番号15および配列番号40
4)配列番号16および配列番号41
〔5〕受託番号NITE P-1435として寄託されているハイブリドーマ細胞株PPAT-P07-04が産生する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の抗CD40モノクローナル抗体の相補性決定領域CDRを含むアミノ酸配列とヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列を用いて、ヒト化された抗CD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔7〕軽鎖可変領域及び重鎖可変領域が配列番号56及び57のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する〔6〕記載のヒト化された抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔8〕エフェクター細胞存在下でCD40抗原発現細胞に対して細胞障害活性を有する〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔9〕細胞傷害薬、または薬物を結合させた〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔10〕放射性同位元素を標識させた〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔11〕〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを含有する医薬組成物。
〔12〕〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを有効成分とする、ヒトCD40を発現する腫瘍に対する抗腫瘍剤。
〔13〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
〔14〕ヒトCD40抗原を発現する腫瘍を治療するための、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
〔15〕ヒトCD40抗原を発現する腫瘍の治療薬製造のための、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原フラグメントの使用。
〔16〕〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを、必要な患者に投与することを特徴とする、ヒトCD40抗原を発現する腫瘍の治療方法。
本発明の抗ヒトCD40モノクローナル抗体は、ヒトCD40の62-77番目または105-145番目のアミノ酸残基をエピトープとする抗体であり、CD40抗原を発現している腫瘍細胞に対して、それ自身では増殖抑制活性を示さないが、エフェクター細胞存在下で強力な増殖抑制活性を有し、抗がん剤として有用である。
本発明の実施例1及び5に係るヒトCD40のアミノ酸配列および作製した部分長CD40のN末端側を示す図である。 本発明の実施例2及び4に係るヒトCD40とマウスCD40のアミノ酸配列を並列した結果を示す図である。 本発明の実施例4に係るヒトCD40とカニクイザルCD40のアミノ酸配列を並列した結果を示す図である。 本発明の実施例5に係る部分長CD40発現CHO細胞でのCD40エピトープ解析の結果を示す図である。 本発明の実施例6に係るRamos細胞に対する各マウス抗体による増殖率を示す図である。 本発明の実施例9に係るマウス抗体PPAT-071-04およびヒト化抗体hSPPAT-071-04 濃度変化において、Ramos細胞とMOLP-8細胞の増殖率を示す図である。 本発明の実施例10に係るマウス骨髄細胞をエフェクター細胞として用いたヒト化抗体hsPPAT-071-04のT24細胞に対するADCC活性を示す図である。 本発明の実施例11に係るRaji細胞での抗体によるCD40リガンド結合阻害の解析結果を示す図である。 本発明の実施例12に係るRamos細胞の担癌マウスモデルでのヒト化抗体hsPPAT-071-04による抗腫瘍効果を示す図である。
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
1.定義
本明細書で使用する用語の定義は以下のとおりである。
ヒトCD40の2つのアイソフォーム(この遺伝子の代替スプライス転写産物改変体によってコードされる)が同定されている。第1のアイソフォーム(「長いアイソフォーム」または「アイソフォーム1」としても公知である)は、277個のアミノ酸の前駆ポリペプチド(配列番号1(GenBankアクセッション番号NP_001241においてアイソフォーム1))として発現され、これは最初の20残基によって表されるシグナル配列を有する。第2のアイソフォーム(「短いアイソフォーム」または「アイソフォーム2」としても公知である)は、203個のアミノ酸の前駆ポリペプチドとして発現され、これも最初の20残基によって表されるシグナル配列を有する。ヒトCD40のこれら2つのアイソフォームの前駆ポリペプチドは、共通してその最初の165残基(すなわち、配列番号1の残基1〜165)を共有する。短いアイソフォームの前駆ポリペプチドは、コードセグメントを欠失する転写産物改変体(これは、翻訳のフレームシフトをもたらす)によってコードされ、得られるCD40アイソフォームは、CD40の長いアイソフォームに含まれるもの(配列番号1の残基166〜277に示されるC末端)とは異なる。本発明では、「CD40抗原」、または「CD40」は、CD40の短いアイソフォームおよび長いアイソフォームの両方を包含する。本発明の抗CD40抗体は、本明細書中で以下に示されるようにヒトCD40のエピトープに結合し、このヒトCD40は、この細胞表面抗原の短いアイソフォームまたは長いアイソフォームのいずれかのうちの同じ位置に存在する。また、「CD40」は、前に付したものがなければ、「ヒトCD40」を意味する。
CD40抗原は、種々の細胞型の表面に提示される。「発現を特徴付ける」および「発現する」とは、CD40抗原のうちのすべてまたは一部が、細胞の外側に曝露されることが意味する。提示または発現されたCD40抗原は、完全にまたは部分的にグリコシル化されていてもよい。
本明細書中で用いる「CD40エピトープ」とは、抗CD40抗体と免疫反応することができる分子(例えば、ペプチド)または該分子の断片を意味し、例えば、モノクローナル抗体により認識されるCD40抗原決定基が含まれる。CD40抗原エピトープはタンパク質、タンパク質断片、ペプチドなどに含まれていてよい。エピトープは最も一般的には、タンパク質、短いオリゴペプチド、オリゴペプチド模倣物(すなわち、CD40抗原の抗体結合特性を模倣する有機化合物)、またはそれらの組合せである。
「抗体」とは、本明細書では、2本の同一の軽(L)鎖と2本の同一の重(H)鎖からなる、典型的には約150,000ダルトンの、ヘテロ四量体糖タンパク質として定義される。各軽鎖は1つのジスルフィド結合によって重鎖と共有結合で連結されて、ヘテロ二量体を形成している。そのようなヘテロ二量体の2本の同一の重鎖間のジスルフィド共有結合によってヘテロ四量体が形成される。軽鎖と重鎖は1つのジスルフィド結合によって一緒に連結されるが、2本の重鎖間のジスルフィド結合の数は免疫グロブリンのアイソタイプにより変化する。それぞれの重鎖および軽鎖はまた、規則的に間隔をあけて配置された鎖内ジスルフィド橋を有する。各重鎖は、アミノ酸の末端に、可変ドメイン(VH)、その後に3または4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、およびCH4)を有し、CH1とCH2の間にヒンジ領域が存在する。各軽鎖は2つのドメイン、すなわち、アミノ末端の可変ドメイン(VL)とカルボキシ末端の定常ドメイン(CL)を有する。VLドメインはVHドメインと非共有結合で会合しており、一方CLドメインは通常はジスルフィド結合を介してCH1ドメインと共有結合で連結されている。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメイン間の界面を形成していると考えられている(Chothia et al., J MoI Biol 1985; 186:651-663)。
「可変」とは、可変ドメインの特定の部分が抗体間で広範囲にわたって配列が異なり、その特定の抗原に対する各々の特定の抗体の結合および特異性に使用される事実をいう。しかし、その可変性は、抗体の可変ドメインの全体にわたって均一に分布しない。可変性は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方で相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインのうちより高度に保存される部分は、フレームワーク領域(framework region;FR)と呼ばれる。
「相補性決定領域(CDR)」とは、可変ドメイン内のある種の配列が抗体間で配列が大きく異なり、その特異的抗原決定基に対する特定の各抗体の結合および特異性に直接関与するある種の残基を含む領域を示す。軽鎖可変ドメインでも重鎖可変ドメインでも、3つのセグメントに集中している。CDRはKabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5thEd. Public Health Service, National Institutes of Health, 1993: Bethesda, MD.の配列比較により定義される。Kabatにより定義されているように、CDR-L1は軽鎖可変ドメインの24〜34残基付近に、CDR-L2は50〜56残基付近に、そしてCDR-L3は89〜97残基付近に位置し、CDR-H1は重鎖可変ドメインの31〜35付近、CDR-H2は50〜65付近、そしてCDR-H3は95〜102付近に位置する。
重鎖および軽鎖の各々の3つのCDRは、変動が少ない傾向にある配列を含むフレームワーク領域(FR)によって隔てられている。重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインのアミノ末端〜カルボキシ末端までは、FRとCDRは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4の順で並んでいる。FRの大まかなβ-シート配置は各鎖内のCDRを互いに近接させるととともに、互いのCDRと近接させる。この結果生じた配置は抗原結合部位に寄与するが、全てのCDR残基が必ずしも直接抗原結合に関与するわけではない。
FR残基およびIg定常ドメインは抗原結合には直接関与しないが、抗原結合に寄与し、かつ/または抗体エフェクター機能を媒介する。いくつかのFR残基は、エピトープと直接非共有結合すること、1以上のCDR残基と相互作用すること、また、重鎖と軽鎖の間の境界に影響を及ぼすことによる、少なくとも3つの方法で抗原結合に有意な作用を持ち得る。定常ドメインは抗原結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、補体依存性細胞傷害性(CDC)および抗体依存性細胞食作用(ADCP)における抗体の関与など、種々のIgエフェクター機能を媒介する。
「抗原結合フラグメント」は、インタクトな抗体の一部、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗原結合フラグメントの例としては、Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメント;二重特異性抗体;直鎖状抗体(Zapata et. Al., Protein Eng 1995; 8(10):1057-1062);単鎖抗体分子;ならびに抗原結合フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、各々単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合フラグメント(「Fab」フラグメントと呼ばれる)、および残りの「Fc」フラグメント(この名称は、容易に結晶化する能力を反映する)が生成される。ペプシン処理により、F(ab')2フラグメントが得られ、これは、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原と架橋結合し得る。
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小の抗原結合フラグメントである。2本の鎖(two-chain)のFv種では、この領域は、固く非共有結合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとのダイマーからなる。単鎖のFv種では、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとが、その軽鎖と重鎖とが2本の鎖のFv種における構造に類似する「ダイマーの」構造に会合し得るように、フレキシブルなペプチドリンカーによって共有結合され得る。この構成において、各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VLダイマーの表面における抗原結合部位を規定する。合わせて、6つのCDRが抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でも、抗原を認識し結合する能力を有するが、完全な結合部位よりは親和性は低い。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明らかに異なる型(カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる)に分類されている。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンが異なるクラスに分類される。ヒト免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5つの主要なクラスが存在する。そしてさらに、1または数個か、さらにサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2)に分けられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元配置は周知である。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有する。例えば、ヒトIgG1アイソタイプおよびIgG3アイソタイプは、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の活性を媒介する。
「細胞傷害薬」とは、細胞の機能を阻害又は抑制し、かつ/または細胞の破壊を生じる物質を指す。この用語は化学療法薬ならびに毒素(細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素)およびそのフラグメントを含むものとする。このような細胞傷害薬は、既知の標準的手順を用いて例えばヒト化CD40抗体などの抗体とカップリングさせ、例えば抗体による療法が指示される患者の治療に使用することができる。
「放射性同位元素」とは、I131、1125、Y90およびRe186などの放射性核種であり、既知の標準的手順を用いて例えばヒト化CD40抗体などの抗体とカップリングさせ、例えば抗体による療法が指示される患者の治療に使用することができる。
「CD40を発現する腫瘍」としては、急性リンパ球性白血病、慢性白血病、リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病)、多発性骨髄腫、癌腫(例えば、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、腎癌、肺癌、または食道癌)などが挙げられる。
「エフェクター細胞」とは、細胞性免疫の中でも強い攻撃力や処理能力を持つ細胞のことをいい、例えばキラーT細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージなどが挙げられる。
2.本発明抗体又はその抗原結合フラグメント
本発明抗体又はその抗体結合フラグメントは、ヒトCD40抗原発現細胞に対してエフェクター細胞非存在下で増殖抑制活性を有さず、ヒトCD40アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸残基62-77番目又は105-145番目を含むエピトープに特異的に結合する抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである。
本発明のヒトCD40に対する抗体または抗原結合フラグメントは、以下の性質を有する。
a.CD40安定発現細胞に対して反応する。
b.CD40発現がん細胞に対して反応する。
c.CD40発現がん細胞に対して増殖を抑制しない。
d.CD40エピトープ62-77番目または105-145番目のアミノ酸残基に反応する。
本発明の抗体は、CD40安定発現細胞、CD40発現がん細胞に対して1.0μg/mL以下の抗体濃度でのFACS解析において、それらの細胞に反応を示す。
本発明の抗体は、CD40発現がん細胞であるRamos細胞(ATCC No.CRL-1596)1x105cells/mLに対して、抗体3.0μg/mLの存在下での3日間の培養により、Ramos細胞の増殖率が70%以上を示す。
本発明の抗体は、ヒトCD40のN末端から短くした6種の部分長CD40を発現する細胞に対して1.0μg/mLの抗体濃度でのFACS解析において、CD40アミノ酸残基62番目以降の部分長CD40を発現する細胞には反応する特徴を有する抗体群の内、CD40アミノ酸残基78番目以降の部分長CD40を発現する細胞には反応しない特徴を有する抗体、または146番目以降の部分長CD40を発現する細胞には反応しない特徴を有する抗体である。
本発明の抗体は、好ましくは、軽鎖可変領域および重鎖可変領域が下記の1)から7)のいずれかのアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する抗ヒトCD40モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
1)配列番号7および配列番号32
2)配列番号8および配列番号33
3)配列番号12および配列番号37
4)配列番号13および配列番号38
5)配列番号15および配列番号40
6)配列番号16および配列番号41
7)配列番号28および配列番号53
より好ましくは、ヒトCD40アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸残基105-145番目を含むエピトープに特異的に結合する抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである。
さらに好ましくは軽鎖可変領域および重鎖可変領域が下記の1)から4)のいずれかのアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する抗ヒトCD40モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
1)配列番号7および配列番号32
2)配列番号8および配列番号33
3)配列番号15および配列番号40
4)配列番号16および配列番号41
また、本発明の抗体としては、ハイブリドーマ細胞株PPAT-075-04、PPAT-071-05、PPAT-071-09、PPAT-071-10、PPAT-071-12、PPAT-071-13、PPAT-071-25が産生する抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントが好ましく、受託番号NITE P-1435として寄託されているハイブリドーマ細胞株PPAT-07-04が産生する抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントがさらに好ましい。
本発明の抗体のうち、上記ハイブリドーマが産生する抗体はマウス由来であるが、ヒト化抗体とすることもできる。ヒト化抗体としては、例えば、前記のマウス由来の抗ヒトCD40モノクローナル抗体の相補性決定領域CDRを含むアミノ酸配列とヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列を用いてヒト化することによる得ることができる。このようなヒト化抗体としては、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域がそれぞれ配列番号56及び57で示されるアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが少なくとも90%以上であるアミノ酸配列を有するものが好ましい。
3.抗体の作製方法
本発明において、ヒトCD40に結合する抗体は当業者に公知の方法により作成することができる。例えば、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、CD40タンパク質またはCD40発現細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって哺乳動物を免疫する。得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞を選択することができる。
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。まず、配列番号Xに示されるCD40のアミノ酸配列にしたがってCD40タンパク質を取得し、これを抗体取得の感作抗原として使用する。すなわち、ヒトCD40をコードする遺伝子配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、その宿主細胞の表面上のCD40安定発現を作製する、または培養上清中から目的のCD40タンパク質を公知の方法で精製する。
次に、この精製CD40タンパク質やCD40安定発現細胞を感作抗原として用いる。あるいは、CD40の部分ペプチドを感作抗原として使用することもできる。この際、部分ペプチドはヒトCD40のアミノ酸配列にしたがって化学合成により得ることも可能である。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、あるいはウサギ、サル等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4-21日毎に数回投与する。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。
このように哺乳動物を免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付される。好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合すべき親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(Kearney et al., J Immnol 1979; 123:1548-1550)、NS-1(Kohler. G. and Milstein, C Eur J Immunol 1976; 6:511-519)、SP2/0(Shulman, M. et al., Nature 1978;276:269-270)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C., Methods Enzymol 1981; 73: 3-46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1-10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FBS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1000-6000程度)を通常30-60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
スクリーニングは、感作抗原として用いたCD40安定発現細胞やCD40の発現を特徴付けるがん細胞を用いたFACS解析により、CD40に反応する抗体を選抜することができる。また精製CD40タンパク質を用いたELISAによっても、CD40に反応する抗体を選抜することができる。本発明における抗体の好ましい態様として治療に用いる抗体の選抜として有望な方法は、CD40の発現を特徴付けるがん細胞を用いたFACS解析である。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法に従って培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
4.ヒト以外の動物種に由来する抗原との交差反応試験
本発明において、好ましい態様としてカニクイザルCD40と交差反応する抗体を挙げることができる。抗体がヒト以外の動物種の抗原との交差反応の解析は当業者に公知の方法により行うことが可能であり、ウェスタンブロッティング法や部分長の抗原発現細胞によるFACSなどにより行うことが可能である。具体的には、カニクイザルCD40またはマウスCD40を発現する細胞を用いてFACS解析により判別することが可能である。
5.CD40エピトープマッピング
本発明において好ましい態様として次の2つのCD40エピトープ:
1)62-77番目のCD40アミノ酸残基
2)105-145番目のCD40アミノ酸残基
と反応する抗体を挙げることができる。
抗体が認識するエピトープの解析は当業者に公知の方法により行うことが可能であり、ウェスタンブロッティング法や部分長の抗原発現細胞によるFACSなどにより行うことが可能である。具体的に、実施例記載のN末端側のアミノ酸残基を除いた6種の部分長CD40を発現させた細胞を用いたFACSにより解析することが可能である。
上記の領域をエピトープとして認識する抗体は、当業者に公知の方法により得ることが可能であり、例えば、ヒトCD40のアミノ酸配列を基に目的の領域のアミノ酸配列を含むペプチドを作製し、該ペプチドを免疫原として抗体を作製することにより、または、通常の方法で抗体を作製した後、得られた抗体が認識するエピトープを決定し、目的のエピトープを認識する抗体を選択することにより得ることが可能である。
6.増殖アッセイ
本発明において好ましい態様として、CD40を発現する細胞に対して増殖に影響を与えない抗体を挙げることができる。増殖アッセイの測定は当業者に公知の方法により行うことが可能であり、H3-チミジンの取り込み法やテトラゾリウム塩であるWST-8を用いた発色法などにより測定が可能である。具体的に、エフェクター細胞が非存在下で抗CD40抗体を添加して培養することで、CD40発現細胞の増殖に与える影響(抑制または促進)もしくは影響を与えない抗体を判別する。
7.抗ヒトCD40抗体の可変領域のクローニング
本発明におけるヒトCD40に結合する抗体について、可変領域のクローニングは当業者に公知の方法により作成することができる。
具体的には、抗ヒトCD40抗体を産生するハイブリドーマから、抗ヒトCD40抗体の可変領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. et al., Biochemistry 1979; 18:5294-5299)、AGPC法(Chomczynski, P.et al., Anal Biochem 1987; 162:156-159)等により行ってtotal RNAを調製し、mRNA Purification Kit (Pharmacia社)等を使用して目的のmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia社)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから抗体可変領域をコードする遺伝子を増幅させる。抗体可変領域の遺伝子の増幅は、マウスIgGまたはマウスκ鎖の定常領域配列に相補的なオリゴヌクレオチドを用い、SMART RACE cDNA Amplication Kit(Clontech社)等で得られることが知られている。または、得られたmRNAから逆転写酵素 Kit(Invitrogen社)等を用いてcDNAを合成し、作製したcDNAを鋳型として、degenerate primer等を用いたPCR法により可変領域をコードする遺伝子を増幅することができる。
得られたPCR増幅物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。そして、目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認する。
DNAの塩基配列は公開されているKabat DatabaseやIMGT(ImMunoGeneTics)Database等により、軽鎖可変領域および重鎖可変領域のアミノ酸残基とCDR等を同定することができる。
8.抗CD40抗体のヒト化作製
本発明において抗体の好ましい態様の一つとして、ヒトCD40に結合するマウス抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域にヒトκ鎖及びヒトIgG1の定常領域を連結させたキメラ抗体を挙げることができる。さらに好ましい態様として、ヒトCD40に結合するヒト化抗体を挙げることができる。ヒト化抗体は既知の方法を用いて製造することができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、これは、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR)をヒト抗体のCDRへ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(WO96/02576号公報)。
具体的には、例えばCDRがマウス抗体由来である場合には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR)とを連結するように設計したDNA配列を、CDRおよびFR両方の末端領域にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法により合成する、または人工的に軽鎖可変領域および重鎖可変領域の遺伝子をコードするDNAを合成することも可能である。
CDRと連結されるヒト抗体のフレームワーク領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するもの等が選択される。必要に応じ、ヒト化抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように、抗体の可変領域におけるフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato K et al., Cancer Res 1993; 53:851-856)。
ヒト化抗体の定常領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えば重鎖では、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4を、軽鎖ではCκ、Cλを使用することができる。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体の定常領域を修飾してもよい。ヒト化の際に用いられるヒト抗体は、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDなど如何なるアイソタイプのヒト抗体でもよいが、本発明においてはIgGを用いることが好ましく、さらにIgG1又はIgG3が好ましく、特にIgG1が好ましい。IgG1は高い細胞傷害活性を有している点で抗体を抗癌剤として利用する場合に有効である(Clark MR, Chemical immunology 1997; 65:88-110)。
なお、ヒト化抗体を作製した後に、可変領域や定常領域中のアミノ酸を他のアミノ酸で置換等してもよい。
ヒト化抗体におけるCDRの由来は特に限定されず、どのような動物由来でもよい。例えば、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ラクダ抗体などの配列を用いることが可能であるが、好ましくはマウス抗体のCDR配列である。
目的とする抗CD40のヒト化抗体の可変領域をコードするDNAを得たのち、これを、所望のヒト抗体定常領域をコードするDNAを含有する発現ベクターへ組み込む。
本発明で使用される抗CD40抗体を製造するには、抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより、宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させる。
抗体遺伝子の発現は、軽鎖または重鎖をコードするポリヌクレオチドを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同時形質転換させてもよいし、あるいは軽鎖および重鎖をコードするポリヌクレオチドを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換させてもよい(WO94/11523号公報)。
抗体のヒト化において、通常、由来となった抗体の機能活性(例えば、細胞の増殖に影響を与えない)を維持したままヒト化を行うことは困難であるが、本発明においては、由来となったマウス抗体と同様に機能活性を有するヒト化抗体の取得に成功した。ヒト化抗体はヒト体内における抗原性が低下しているため、治療目的などでヒトに投与する場合に有用である。
9.抗CD40抗体によるADCC活性測定
本発明において抗CD40抗体の好ましい態様としては、CD40を発現する細胞に対して高いADCC活性を有する抗体または高いCDC活性を有する抗体を挙げることができる。
ヒトCD40を発現する細胞としては、例えば、RamosやT24(ATCC No.HTB-4)などの腫瘍細胞、ヒトCD40をコードする遺伝子を組み込まれた細胞などを挙げることができる。ADCC活性を測定する場合にはT24細胞を用いることが好ましい。
ADCC活性またはCDC活性の測定方法は、当業者に公知の方法により行うことが可能であり、例えば、溶解した細胞から遊離されるラクトースデヒドゲナーゼを測定するCytoTox 96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega社)を用いることにより行うことが可能である。ADCC活性を測定する際の具体的な条件としては、特に限定されないが、例えば、実施例記載の条件を用いて測定することができる。
さらに、本発明の抗体は細胞障害活性が増強された抗体でもよい。細胞障害活性が増強された抗体としては、例えば、フコースが欠損した抗体、糖鎖にバイセクティング(bise cting)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)が付加した抗体、Fc領域のアミノ酸を置換することによりFcγ受容体との結合活性を変化させた抗体などを挙げることができる。これら細胞障害活性が増強された抗体は当業者に公知の方法で作製することができる。
10.抗CD40抗体によるCD40リガンドと結合阻害試験
本発明において、CD40の発現細胞に対して抗CD40抗体を予め結合させた状態で、CD40リガンドの結合が阻害するかどうかを判別する。結合阻害試験は、Tagや蛍光分子を付加した可溶性CD40リガンドやCD40リガンド発現細胞を結合させることで、FACS やBIAcore測定での解析により判別することができる。例えば実施例11に記載の方法により実施することが可能である。
11.細胞傷害薬をコンジュゲートした抗CD40抗体
本発明の別の実施態様として、抗CD40抗体に細胞傷害薬や薬物などの各種分子と結合させた、コンジュゲート抗体を挙げることができる。
本発明で用いられる細胞傷害薬の例としては、デュオカルマイシン、デュオカルマイシンのアナログ及び誘導剤、CC-1065、CBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、MCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、CCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、ドキソルビシン、ドラスタチン、メイタンシン、メイタンシンアナログ、DM1、DM2、DM3、DM4、DMI、アウリスタチンE、アウリスタチンEB(AEB)、アウリスタチンEFP(AEFP)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カルミノマイシン、アミノプテリン、ビンクリスチン、タキソール、タキソテールレチノイン酸、酪酸、N8−アセチルスペルミジン並びにカンプトセシン等を挙げることができるが、これだけに限定されるわけではない。
本発明における細胞傷害薬をコンジュゲートした抗CD40抗体は、前記の薬剤と抗CD40抗体と結合し、公知の方法により作製できる。抗体と薬剤は、それら自身が有する連結基などを介して直接結合されてもよいし、また、リンカーや他の物質を介して間接的に結合されてもよい。
薬剤が直接結合される場合の連結基は、例えばSH基を用いたジスルフィド結合やマレイミドを介する結合が挙げられる。例えば、抗体のFc領域の分子内ジスルフィド結合と、薬剤のジスルフィド結合を還元して、両者をジスルフィド結合にて結合する。また、マレイミドを介する方法もある。また別の方法として、抗体内にシステインを遺伝子工学的に導入する方法もある。
抗体と薬剤を、他の物質(リンカー)を介して間接的に結合することも可能である。リンカーには、抗体または薬剤または両方と反応する官能基を1または2種類以上有することが望ましい。官能基の例としてはアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、マレイミド基、ピリジニル基等を挙げることができる。
リンカーの例としては、スルフォスクシイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Sulfo-SMCC)、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)、p−アミノベンジルオキシカルボンイル(PAB)、N−スクシンイミジル4(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)及びN−スクシンイミジル(4−イオド−アセチル)アミノ安息香酸エステル(SIAB)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、このリンカーは例えば、バリン−シトルリン(Val-Cit)、アラニン−フェニルアラニン(Ala-Phe)のようなペプチドリンカーであってもよいし、上記にあげたリンカーをそれぞれ適時組み合わせて使用しても良い。
薬剤と抗体との結合方法に関しては、例えば、Cancer Research ;68(22) 9280(2008)、Nature Biotechnology;26(8) 925(2008)、Bio Conjugate Chemistry;19、1673(2008)、Cancer Research ;68(15) 6300(2008)、又は特表2008−516896号公報などに記載の方法に準じて行うことができる。
12.放射性同位元素をコンジュゲートした抗CD40抗体
本発明の別の実施態様として、抗CD40抗体に放射性同位元素を標識させたコンジュゲート抗体を挙げることができる。抗腫瘍剤として用いる場合には、細胞傷害性放射性金属元素が好ましい。このような細胞傷害性放射性金属元素としては、例えばイットリウム90(90Y)、レニウム186(186Re)、レニウム188(188Re)、銅67(67Cu)、鉄59(59Fe)、ストロンチウム89(89Sr)、金198(198Au)、水銀203(203Hg)、鉛212(212Pb)、ジスプロシウム165(165Dy)、ルテニウム103(103Ru)、ビスマス212(212Bi)、ビスマス213(213Bi)、ホルミウム166(166Ho)、サマリウム153(153Sm)、ルテチウム177(177Lu)などを挙げることができる。これらの放射性金属元素の中でも、90Y、153Sm、177Luが、半減期、放射線エネルギー、容易な標識反応、標識率、錯体の安定性等の点から好ましい。
これらの放射性金属を抗CD40抗体に結合させるには、該抗体に金属キレート試薬を反応させ、これに放射性金属元素を反応させて錯体とするのが好ましい。このようにして得られたコンジュゲート抗体は、放射性金属元素が金属キレート試薬を介して抗CD40抗体に結合している。
このような錯体形成に用いられる金属キレート試薬の例としては、例えば(1)8−ヒドロキシキノリン、8−アセトキシキノリン、8−ヒドロキシキナルジン、キノリン骨格を有するキノロン系化合物であるノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン等のキノリン誘導体;(2)クロラニル酸、アルミノン、チオ尿素、テトラフェニルアルソニウムクロライド等の化合物;(3)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびこれらに類似した骨格を有するジヒドロキシエチルグリシン、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸塩酸塩、イソチオシアノベンジルEDTA、イソチオシアノベンジルDTPA、メチルイソチオシアノベンジルDTPA、シクロヘキシルイソチオシアノベンジルDTPA、マレイミドプロピルアミドベンジルEDTA、マレイミドデシルアミドベンジルDTPA;(4)1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、イソチオシアノベンジルDOTA等を挙げることができるが、これだけに限定されるわけではない。
これらの金属キレート試薬のうち、イソチオシアノベンジルDOTA、メチルイソチオシアノベンジルDTPA、シクロヘキシルイソチオシアノベンジルDTPAが金属キレートの容易な抗体への導入反応、標識率、錯体の安定性等の点で好ましい。
抗CD40抗体への放射性金属元素の結合は、常法に従って行うことができる。例えば抗CD40抗体に金属キレート試薬を反応させ、予め標識前駆体を調製しておき、次いで放射性金属元素を反応させることにより行うことができる。
13.医薬組成物
本発明において、ヒトCD40を発現する腫瘍に対する医薬組成物として、本発明の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを含有する医薬組成物を挙げることができる。このような医薬組成物は、好ましくは、抗体に加えて、生理学的に許容され得る希釈剤またはキャリアを含んでおり、他の抗体または抗生物質のような他の薬剤との混合物であってもよい。適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、および緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。投与経路は、経口ルート、並びに静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の注射または配薬を含む非経腸的ルートである。
この場合、本発明の抗体の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得るキャリアとの組合せとして投与される有効量は、1回につき体重1kgあたり0.1mg〜100mgであり、2日から8週間間隔で投与される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に技術的範囲が限定されるものではない。
実施例1
実施例1に係る抗原の作製を説明する。ヒトCD40のアミノ酸情報 配列番号1(Genbankアクセッション番号NP_001241、図1)を参照として、全長とアミノ酸残基1-173番目までの可溶性CD40をコードする遺伝子を人工的に合成した。全長CD40に関して、pCXN3ベクターに挿入した。可溶性CD40-Fcを作製するために、マウスIgG2a由来のFc領域の遺伝子が組み込まれたpCXN3ベクターに、アミノ酸残基1-173番目のCD40をコードする遺伝子をFc遺伝子の直前に挿入した。全長CD40をコードする遺伝子を挿入したベクターは293T/17(ATCC No.CRL-11268)、BA/F3(DSMZ No.ACC-300)、またはNIH/3T3(ATCC No.CRL-1658)細胞に導入し、G418の薬剤存在下で培養することにより、安定発現株を得た。全長CD40発現株は、PE標識抗ヒトCD40抗体(Santa Cruz社)を用いて、FACS解析により発現を確認した。 可溶性CD40-Fcのベクターは293T/17に一過性で導入した。その培養上清をサンプルとしHRP標識マウスFc抗体(Jackson ImmunoResearch社)を用いて、上清中に可溶性CD40-Fc蛋白質が分泌されていることを確認した。その後、Protein G sepharoseカラム(GE社)に通すことにより精製し、可溶性CD40-Fc蛋白質はPBSに置換した。SDS-PAGEおよび抗ヒトCD40抗体(BD社)を使ったウエスタンブロティング法により、可溶性CD40-Fcが精製されたことを確認した。
実施例2
実施例2に係るマウスへの免疫およびハイブリドーマの選抜を説明する。ヒトCD40とマウスCD40との相同性は図2に示すように高くなく、マウスに免疫することでヒトCD40に対する抗体が得られると考えられる。Balb/cマウスを免疫動物として、6〜8週令より免疫を開始した。免疫方法は3つの免疫原 1)全長CD40の安定発現株である293T/17または2)NIH/3T3、3)可溶性CD40-Fcを使い分けて実施した。
細胞を使った免疫では、初回免疫はアジュバントとして百日咳毒素 100ng/headと共に、全長CD40発現株293T/17またはNIH/3T3を1x107細胞/headを腹腔内に投与した。2週間後に、アジュバントはない条件下で初回免疫と同じ細胞を1x106細胞/headで免疫をした。以降1週間間隔で、計4回投与した。可溶性CD40-Fcは初回免疫では、CD40-Fcは50μg/headと百日咳毒素100ng/headおよびフロイト完全アジュバントでエマルジョン化したものを腹腔内に投与した。2週間後に、CD40-Fc 25μg/headをフロイト不完全アジュバントでエマルジョン化したもので追加免疫した。以降1週間間隔で、計4回投与した。細胞融合を行う3日前に、全長CD40発現株BA/F3を1.5x106細胞/head、またはPBS中の可溶性CD40-Fc 25μg/headで最終免疫を施した。
細胞融合は脾臓細胞を摘出し、マウスミエローマP3-X63Ag8U1を混合し、PEG1500(ロッシュ・ダイアグノティック社)を使用説明書に従って実施した。RPMI1640培地を加えPEG1500を希釈し、遠心操作によりPEG1500を除去した。細胞ペレットを慎重に10%FBS/RPMI1640培地にて懸濁したものを100μL/wellで96wellプレートに播種し、一晩 培養した。翌日、10%FBS/1x HAT media supplement/1x BM-condimed H1 Hybridoma cloning supplementを含むRPMI1640培地(HAT培地)を100μL/wellで添加した。融合日から2,4日後に培養液の半分を新しいHAT培地に交換し、8日後にその培養上清を用いて、スクリーニングを実施した。
スクリーニングはCD40安定発現細胞株やCD40抗原の発現を特徴づけるがん細胞IM-9(ATCC No.CCL-159)やRaji(ATCC No.CCL-86)を用いたFACS解析、CD40-Fcを固相したELISAにより多数のハイブリドーマを得た。陽性クローンについては限界希釈法によりモノクローン化した。
実施例3
ヒトCD40に対するモノクローナル抗体の調製を説明する。各モノクローナル抗体を得るために、マウス腹水化を実施した。モノクローン化したハイブリドーマを培養した後、遠心して回収した。回収したハイブリドーマはPBSで2回洗浄した。ハイブリドーマ投与1〜2週間前にアジュバントしてプリスタンを予め投与したBalb/cマウスに、ハイブリドーマ1x107個/headを投与して3週間から1.5ヶ月間ほど腹水が十分に溜まった時点で、腹水を回収した。腹水に含まれる抗体は50%硫安沈殿で沈殿させた。沈殿はPBSに溶解し、Protein G SepharoseカラムにてIgG精製を実施した。抗体は0.1M Glycine-HCl pH2.7で溶出させ、中和BufferでpHを中性化した。その後、PBSに置換してIso Stripマウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(ロッシュ・ダイアグノティック社)を用いてIgGサブクラスを同定した。取得したハイブリドーマクローン25株(PPAT-071-01〜25)に関する免疫原と抗体サブクラスを表1に示す。

Figure 2016011258
なお、本実施例を含め以下のいずれの実施例中、並びに実施例における試験結果として示した表または図中においては、各々の本発明のヒト抗ヒトC D 4 0モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンは記号を用いて命名した。また、当該記号の次に「抗体」を付したものは、それぞれのハイブリドーマにより産生される抗体、または当該ハイブリドーマから単離された抗体遺伝子を保持する宿主細胞により生産された組換え抗体を意味する。また文脈上明らかな範囲において、ハイブリドーマクローンの名称が抗体の名称をあらわす場合がある。
実施例4
カニクイザルCD40とマウスCD40発現細胞での交差性分類を説明する。各種の抗CD40モノクローナル抗体が、異種のCD40に対して交差反応を調べるために、カニクイザルとマウスのCD40を発現する細胞株を作製した。カニクイザルCD40の遺伝子のアミノ酸残基(配列番号2、図3)およびマウスCD40のアミノ酸残基(配列番号3、図2)の情報より、それぞれの遺伝子をコードするDNAを人工的に合成した。これらの遺伝子をpCXN3ベクターに挿入したものをCHO細胞に導入し、G418の薬剤存在下で培養することにより安定発現株を得た。カニクイザルCD40発現のCHO細胞(ATCC No.CCL-61)に対してはカニクイザルCD40と交差反応すると報告されている5D12抗体を、マウスCD40発現のCHO細胞に対しては抗マウスCD40抗体(eBioscience社)を使用して、FACS解析により発現していることを確認した。それぞれのCD40発現CHO細胞を抗体と反応させて、FACS解析により交差反応の有無を調べた。その結果を表1に示す。すべての抗体はマウスCD40とは交差反応を示さなかった。PPAT-071-12及びPPAT-071-25以外において、カニクイザルCD40とは交差反応を示した。
実施例5
CD40エピトープ発現細胞によるエピトープ分類を説明する。各種の抗CD40モノクローナル抗体がCD40上のどのエピトープを認識するかの調べるために、Ellmarkら(Immunology 2002; 106:456-463)が公知したCD40のN末端から短くした6種の部分長CD40(D1,D1B2,D2,D2B1,D3,D4、図1に示す)にVSV-Gタグ をC末端付加した遺伝子をコードするDNAを人工的にそれぞれ合成した。これらの遺伝子をpCXN3ベクターに挿入し、293T細胞にそれぞれのベクターを導入し、一過性で発現させた。6種の部分長 CD40の発現は、細胞のライセートをサンプルとした抗VSV-G抗体を用いたウエスタンブロティング法により確認された。それぞれの部分長CD40発現293T細胞は、抗体濃度 1μg/mLと反応させてFACS解析をした。図4に示すように、抗体が認識するCD40エピトープを含まない部分長CD40発現細胞には反応しなくなった。各抗体のCD40エピトープをまとめた結果を表2に示す。D2(CD40の62番目のアミノ酸から発現する293T)にまで反応したのは、軽鎖可変領域と重鎖可変領域がそれぞれ下記の1)から3)に示すマチュア部分のアミノ酸配列を有する抗体であった。
1)配列番号12と37
2)配列番号13と38
3)配列番号28と53
D3(CD40の105番目のアミノ酸から発現する293T)にまで反応したのは、軽鎖可変領域と重鎖可変領域がそれぞれ下記の1)から4)に示すマチュア部分のアミノ酸配列を有する抗体であった。
1)配列番号7と32
2)配列番号8と33
3)配列番号15と40
4)配列番号16と41
選抜したハイブリドーマのうち、PPAT-071-04(NITE P-1435)を独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託した。
Figure 2016011258
実施例6
マウス抗体のヒトCD40発現細胞(Ramos)に対する増殖アッセイを説明する。CD40を発現するB細胞リンパ腫であるRamos細胞(ATCC No.CRL-1596)を用いて、抗体存在下で細胞の増殖に影響を与えるかを調べた。2%FBS/RPMI1640培地中にRamos細胞 2.2x106cells/mLで調製し、24wellsプレートに900μL(2x105cells)/wellで播種した。このwellに同じ培地で調製した抗体溶液 10μg/mLを100μL/wellで添加した。その後、増殖アッセイ用に200μL分を96well plateへ100μL/well(n=2)で写し、37℃ 5%CO2 で培養した。抗体のない培地を10μL/well添加したRamos細胞だけのwellと培地のみのwellを、コントロールとして施した。3日後、96well plateはcell counting Kit-8(同仁化学)を用いて増殖アッセイを実施した。Ramosだけの抗体添加のない培養wellを100%の増殖率として、それぞれの抗体添加wellの増殖率を求めた。その結果を図3に示す。増殖率70%以上を示したwellの抗体について、増殖を抑制しない抗体と見なした。CD40の62-77番目のアミノ酸残基または105-145番目のアミノ酸残基をCD40エピトープとする抗体の多くは、増殖を抑制しないことが明らかになった。
実施例7
実施例7に係る抗ヒトCD40 抗体の可変領域のクローニングを説明する。培養した各ハイブリドーマから調製したtotal RNAを鋳型として、のSuperScript III First Strand Synthesis System(invitrogen社)を用いて添付説明書に従ってcDNAを合成した。重鎖可変領域の増幅は、重鎖シグナル配列をコードする核酸の縮重配列を含むフォワードプライマーと重鎖定常領域特異的なリバースプライマーを用いてExTag polymerase(タカラバイオ)によりcDNAを鋳型としてPCRした。軽鎖可変領域の増幅は、軽鎖シグナル配列をコードする核酸の縮重配列を含むフォワードプライマーと軽鎖定常領域特異的なリバースプライマーを用いてExTag polymeraseによりcDNAを鋳型としてPCRした。増幅したPCR産物をQIAquick Gel Extraction Kit (キアゲン社)を用いて、アガロースゲル電気泳動のシングルバンドから精製した後、pGEM-T easyベクター(プロメガ社)へクローニングして塩基配列の決定を行い、重鎖可変領域と軽鎖可変領域のアミノ酸残基およびCDRを同定した。CD40の62-77番目のアミノ酸残基または105-145番目のアミノ酸残基をCD40エピトープとする抗体の軽鎖および重鎖の各CDR配列を、表3および表4に示す。
Figure 2016011258
Figure 2016011258
実施例8
抗ヒトCD40ヒト化抗体の作製を説明する。IMGTより公開されているヒト抗体の配列データを入手し、軽鎖可変領域、重鎖可変領域に分けてコンセンサス配列を同定した。その結果の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号54、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号55に示す。これらのヒト抗体コンセンサス配列のフレームワーク領域のアミノ酸残基を参照として、PPAT-071-04の各CDRを含むアミノ酸残基を移植して、ヒト化抗体を設計した(表5に示す)。設計したヒト化抗体(hsPPAT-071-04)の配列番号56に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号57に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域の遺伝子をコードするDNAは人工的に合成した。ヒトIgG1由来の定常領域の遺伝子が組み込まれたpCXN3ベクターに重鎖可変領域の遺伝子を、ヒトκ鎖由来の定常領域の遺伝子が組み込まれたpCXN3ベクターに軽鎖可変領域の遺伝子を、それぞれ挿入した発現ベクターをFreeStyle-293F細胞(invitrogen社)に導入して抗体を産生させた。産生した抗体は、Protein Gカラム、陰イオンカラムにより精製し、PBSに置換した。精製したヒト化抗体hsPPAT-071-04は、実施例4,5のように、CD40エピトープや異種動物のCD40の交差性が元のマウス抗体と同じ特性であることが確認された。
Figure 2016011258
実施例9
ヒト化抗体での増殖アッセイを説明する。CD40を発現するRamos細胞とCD40を発現していない多発性骨髄腫であるMOLP-8(DSMZ No.ACC-569)を用いて、マウス抗体またはヒト化抗体の存在下で細胞の増殖に影響を与えるかを調べた。2%FBS/RPMI1640培地中にRamos細胞とMOLP-8細胞共に 3.3x106cells/mLで調製し、96wellsプレートに90μL(3x105cells)/wellで播種した。このwellに、同じ培地で調製した抗体溶液を最終濃度0.01〜3.0μg/mLになるように10μL/wellで添加し、37℃ 5%CO2 で培養した。抗体のない培地を10μL/well添加した細胞だけのwellと培地のみのwellを、コントロールとして施した。3日後、cell counting Kit-8を用いて増殖アッセイを実施した。細胞だけの抗体添加のないwellを100%の増殖率として、それぞれの抗体添加濃度に対してwellの増殖率を示した結果を図6に示す。軽鎖可変領域と重鎖可変領域がそれぞれ配列番号7及び32に示すアミノ酸配列を有するマウス抗体PPAT-071-04とヒト化抗体hsPPAT-071-04は共に3μg/mLでもin vitroでは細胞の増殖を抑制しないことが示された。
実施例10
マウス骨髄細胞を用いたADCC活性の測定を説明する。
マウス骨髄細胞溶液の調製
Balb/cマウスの大腿骨を無菌的に回収し大腿骨の中に存在する骨髄細胞を、25G注射針を用いてRPMI1640培地で採取した。これを40μmフィルターに通した後に遠心(500×g、5分間、20℃)して、細胞を2.0x106細胞/mLにIL-2とGM-CSFを含む10% FBS/RPMI培地中に調整し、6日間培養することでeffector cellに分化させた。使用直前にセルクレーパーで細胞を剥がし回収し、2.5%FBS/RPMI(フェノールレッドなし)培地にて1.25x107細胞/mLに調製した。
標的細胞の調製
10%FBS/McCoys培地で培養したT24細胞(ATCC No.HTB-4)を、トリプシン-EDTA(Invitrogen社)を用いてディッシュから剥離し、96ウェルU字底プレート(Thermo社)の各ウェルに1×104細胞/wellで分注し、1日間培養した。測定する翌日に、2.5%FBS/RPMI(フェノールレッドなし)培地150μL/wellで洗浄した後、40μL/wellを加えた。
ADCC測定(LDH法)
ADCC活性のkit試薬は、CytoTox96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega社)を用いて、添付手順書に従って実施した。具体的には、標的細胞に軽鎖可変領域と重鎖可変領域がそれぞれ配列番号56及び57に示すアミノ酸配列を有するヒト化抗体(hsPPAT-071-04)またはHCD122を3μg/mL 25μL/wellとeffector cell 1.25x107細胞/mL 25μL/well(31x104細胞)を加え、5%CO2中、37℃で4時間培養した。培養終了予定の30分前に、maximum wellにlysis bufferを添加した。培養4時間後、250xg 4分間の遠心で上清50μLのみ回収し新しいプレートを移し、基質液 50μL/wellを添加して室温30分間遮光して放置した。ストップ液50μL/wellを添加し、A492を測定し(A620はレファレンスとして測定)、%細胞毒性を求めた。
%細胞毒性=(A-B-C)/(D-C)×100
Aは抗体とeffector cellの両方を添加したwellのA492値、Bは標的細胞なしで抗体とeffector cellの両方を添加したwellのA492値(effector cellのバックグラウンド)、Cは抗体とeffector cellの両方を添加しなかったwellのA492値(標的細胞のバックグラウンド)、Dは100%LDHの放出を表すmaximum wellのA492値を示す。またA,B,C,DのA492値は、細胞なしの培地のみのバックグランドA492値を差し引いている。試験は三重に行い、ADCC活性(%)について平均値および標準偏差を算出した。その結果を図7に示す。ヒト化抗体hsPPAT-071-04は、マウス骨髄細胞をエフェクター細胞とした時、HCD122よりも強いADCC活性を有することが分かった。
実施例11
ヒト化抗体によるCD40リガンド結合阻害を説明する。CD40発現細胞のCD40に対してCD40リガンドは結合するが、抗体はリガンド結合を阻害するか調査した。CD40を発現するRaji細胞1x105cellsに対して、抗体濃度10μg/mLを100μLに混合し4℃、1時間反応させた。1%BSA/PBSで2回洗浄後、細胞を2μg/mLのhuman CD40 Ligand-mouse CD8α(IDLab社)100μLに混合し、4℃、1時間反応させた。その後、1%BSA/PBSで2回洗浄した細胞を5μg/mLのR-PE標識mouse CD8α抗体と反応させ、FACS解析を行った。その結果を図8に示す。HCD122は公知のように、CD40 リガンドの結合を完全に阻害するが、ヒト化抗体hsPPAT-071-04は結合を全く阻害しなかった。
実施例12
抗CD40ヒト化抗体によるRamos移植モデルにおける抗腫瘍効果を説明する。生後8週齢のC. B. 17/Icr-scidJc 1マウス(日本クレア)に腫瘍細胞としてRamos細胞をマウス1匹当たり5x106個を皮下へ注射した。腫瘍形が平均270mm3に達した日に、ヒト化抗体hSPPAT-071-04を静脈注射した。投与量は抗体をマウス1匹当たり10mg/kgをそれぞれ5個体のマウスに1回/週2回投与した。腫瘍形の平均値の結果を図9に示す。抗体10mg/kgを投与された群では5匹すべてでPBS投与群より腫瘍形の肥大度合は遅延しており、ヒト化抗体hsPPAT-071-04は抗腫瘍効果があることが確認された。
本発明の抗体は、抗腫瘍剤として利用することができる。

Claims (12)

  1. ヒトCD40抗原発現細胞に対してエフェクター細胞非存在下で増殖抑制活性を有さず、ヒトCD40アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸残基62-77番目又は105-145番目を含むエピトープに特異的に結合する抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
  2. 軽鎖可変領域および重鎖可変領域が下記の1)から7)のいずれかのアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する請求項1記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
    1)配列番号7および配列番号32
    2)配列番号8および配列番号33
    3)配列番号12および配列番号37
    4)配列番号13および配列番号38
    5)配列番号15および配列番号40
    6)配列番号16および配列番号41
    7)配列番号28および配列番号53
  3. ヒトCD40アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸残基105-145番目を含むエピトープに特異的に結合するものである請求項1記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
  4. 軽鎖可変領域および重鎖可変領域が下記の1)から4)のいずれかのアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する請求項3記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
    1)配列番号7および配列番号32
    2)配列番号8および配列番号33
    3)配列番号15および配列番号40
    4)配列番号16および配列番号41
  5. 受託番号NITE P-1435として寄託されているハイブリドーマ細胞株PPAT-P07-04が産生する請求項1〜4のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の抗CD40モノクローナル抗体の相補性決定領域CDRを含むアミノ酸配列とヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列を用いて、ヒト化された抗CD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
  7. 軽鎖可変領域及び重鎖可変領域が配列番号56及び57のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され、同一性のレベルが90%以上であるアミノ酸配列を有する請求項6記載のヒト化された抗体又はその抗原結合フラグメント。
  8. エフェクター細胞存在下でCD40抗原発現細胞に対して細胞障害活性を有する請求項1〜7のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
  9. 細胞傷害薬、または薬物を結合させた請求項1〜7のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
  10. 放射性同位元素を標識させた請求項1〜7のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを含有する医薬組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の抗ヒトCD40モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを有効成分とする抗腫瘍剤。
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