JP2016011240A - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のガラス基板の積層体に対する熱処理後のガラス基板の熱収縮率のばらつきを低減することができるガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】複数のガラス基板をそれぞれシート体の間に挟んだ状態で厚さ方向に積層してガラス基板の積層体を作製する積層工程と、積層工程で作製された積層体を炉に搬入し、炉内に設けられた熱源により炉内の雰囲気を加熱して、ガラス基板の熱収縮率を低下させる熱処理工程と、を備え、熱処理工程では、ガラス基板の熱収縮率が均一になるよう雰囲気を撹拌して前記積層体を加熱する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス基板の熱処理工程を含むガラス基板の製造方法に関する。
近年、ディスプレイパネルの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進展している。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイパネルに用いるガラス基板にも寸法精度が高いことが望まれている。例えば、ディスプレイパネルの製造工程中に、ガラス基板が高温で熱処理されても寸法が変化しにくいように、熱収縮の小さいガラス基板が求められている。
一般に、ガラス基板の熱収縮率は、ガラスの歪点が高いほど小さくなる。また、ガラス基板の熱収縮率は、ガラス基板の製造工程中の徐冷速度を小さくするほど小さくなることが知られている。しかし、徐冷速度を小さくするとガラス基板の徐冷工程を行う徐冷炉を長くする必要があるが、製造ライン上の徐冷装置を長くすることは困難である。
そこで、製造ラインで作製された複数のガラス基板に対し、オフラインにおいて時間をかけて熱処理を施すことで、熱収縮率をより低くすることが行われる。例えば、複数のガラス基板の間に紙を挟んだ状態で積層した積層体を所定の温度で所要時間保持することで熱収縮率を低減するガラス基板の処理方法が知られている(特許文献1)。
特開平8−151224号公報
上記ガラス基板の処理方法では、複数のガラス基板の積層体に対して熱処理を行うので、複数のガラス基板に対して同時に熱収縮率を低減することはできるが、各ガラス基板において、熱処理によって受ける熱履歴がガラス基板の主表面の場所によって異なり、ガラス基板の熱収縮の程度が上記場所によって異なり易い。この場合、ガラス基板の熱収縮率は低減するものの、ガラス基板の熱収縮の程度の差異によってガラス基板に歪が発生し易い。熱処理開始時、例えば、ガラス基板の縁を含む端部領域は、高温の雰囲気から熱の伝導を受けて、ガラス基板の端部領域に囲まれた中央領域に比べて早く昇温する。また、熱処理終了前、例えば、雰囲気を降温し、低温となった雰囲気に高温状態のガラス基板の端部領域は晒されて放熱し、ガラス基板の中央領域に比べて速く降温する。このようなガラス基板につくられる歪は、ガラス基板に反りやゆがみを生じさせるため、好ましくない。
そこで、本発明は、複数のガラス基板の積層体に対する熱処理後のガラス基板の熱収縮率のばらつきを低減することができるガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ガラス基板の製造方法であって、
複数のガラス基板をそれぞれシート体の間に挟んだ状態で厚さ方向に積層してガラス基板の積層体を作製する積層工程と、
前記積層工程で作製された積層体を炉に搬入し、前記炉内に設けられた熱源により前記炉内の雰囲気を加熱して、前記ガラス基板の熱収縮率を低下させる熱処理工程と、を備え、
前記熱処理工程では、前記ガラス基板の熱収縮率が均一になるよう前記雰囲気を撹拌して前記積層体を加熱する、
ことを特徴とする。
前記熱処理工程では、前記ガラス基板の面方向に延在する回転軸を中心として前記積層体を回転して、前記雰囲気を撹拌する、ことが好ましい。
前記熱源は、前記ガラス基板の面に対向する位置に設けられる、ことが好ましい。
前記シート体は、カーボングラファイト、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、及び、多孔質セラミックスから選ばれた一種、又は、それらの組合せからなる、ことが好ましい。
上述のガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の積層体を均一に加熱できるため、複数のガラス基板の積層体に対する熱処理後のガラス基板の熱収縮率のばらつきを低減することができる。
本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。 本実施形態で行なわれる熱処理においてガラス基板の積層体が載せられたパレット及びパレットを回転させる回転台を示す側面図である。 (a)は、回転台を示す上面図であり、(b)は、回転台を示す側面図である。 回転台の構成を示す図である。 (a)は、積層体を回転させないときの温度分布の概要を示す図であり、(b)は、積層体を回転させたときの温度分布の概要を示す図である。
以下、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。製造されるガラス基板は、特に制限されないが、例えば縦寸法及び横寸法のそれぞれが500mm〜3500mmであることが好ましい。ガラス基板の厚さは、0.1〜1.1(mm)の極めて薄い矩形形状の板であることが好ましい。
まず、熔融されたガラスが、例えばフュージョン法あるいはフロート法等の公知の方法により、所定の厚さの帯状ガラスであるシートガラスが成形される(ステップS1)。
次に、成形されたシートガラスが所定の長さの素板であるガラス基板に採板される(ステップS2)。採板により得られたガラス基板は、ガラス基板を保護するシート体と交互に積層してガラス基板の積層体を作製する(ステップS3)。次に、このガラス基板の積層体に対して熱処理を行なう(ステップS4)。このステップS3の処理およびステップS4の処理が本実施形態のアニーリング工程である。アニーリング工程の詳細については後述する。
熱処理後のガラス基板は切断工程に搬送され、製品のサイズに切断され、ガラス基板が得られる(ステップS5)。得られたガラス基板には、端面の研削、研磨およびコーナカットを含む端面加工が行われた後、ガラス基板は洗浄される(ステップS6)。洗浄されたガラス基板はキズ、塵、汚れあるいは光学欠陥を含む傷が無いか、光学的検査が行われる(ステップS7)。検査により品質の適合したガラス基板は、ガラス基板を保護する紙と交互に積層された積層体としてパレットに積載されて梱包される(ステップS8)。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
このようなガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。つまり、以下のガラス組成のガラス基板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
SiO2 55〜80モル%、
Al23 8〜20モル%、
23 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
SiO2は60〜75モル%、さらには、63〜72モル%であることが、熱収縮率を小さくするという観点から好ましい。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜10モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、SiO2、Al23、B23、及びROを少なくとも含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.5以上であるガラスであってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/ROは0.1以上であることが好ましい。
また、モル%表示のB23の含有率の2倍とモル%表示のROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
〔アニーリング工程〕
次に、アニーリング工程について詳細に説明する。まず、ステップS2で採板された複数のガラス基板11と複数のシート体12とを交互に1枚ずつ積層してガラス基板の積層体10を作製する(ステップS3)。本実施形態では、複数のガラス基板11を積層したガラス基板の積層体10を熱処理する場合を記載するが、ガラス基板11を1枚ずつ搬送しながら熱処理を行う枚葉方式の熱処理でもよい。
図2は、ガラス基板の積層体10(以下、積層体10という)が載せられたパレット20、及び、パレット20を回転させる回転台24を示す側面図である。ここで、図2の左側をパレット20の前側、図2の右側をパレット20の後側とする。パレット20には、積層体10が積層方向をほぼ前後方向として載置される。積層体10が載置されたパレット20は、炉40内に搬送されて、炉40内において積層体10を熱処理する。炉40には、炉40の雰囲気(空気)を加熱するための発熱装置41が設けられ、発熱装置41が熱源となって、炉40の雰囲気が温められる。熱処理を行う際、炉40内は閉鎖空間となっており、雰囲気の熱が積層体10に伝わり、積層体10(ガラス基板11)の熱処理が行われる。ここで、積層体10の積層方向は前後方向と完全に一致している必要はない。例えば、図2に示すように、ガラス基板11を斜めに立てかける場合、積層方向と前後方向とのなす角はガラス基板11の上下方向とのなす角となる。また、積層体10の積層方向が上下方向になるように、積層体10を平置きにして、パレット20に載置してもよい。
パレット20は、基台部21と、載置部22と、背面板23と、等を備える。
基台部21、載置部22および背面板23は、例えば鋼鉄等の金属からなり、溶接等により一体に形成されている。
基台21は略長方形の板状であり、端面にフォークリフトの爪を挿入するための開口21aが設けられている。
載置部22は基台21の上部に固定されており、載置部22の上部にガラス基板の積層体10が載せられる。ここで、載置部22の上面は完全に水平である必要はない。例えば、図2に示すように、ガラス基板11を斜めに立てかける場合、ガラス基板11の立てかけ角度に応じて載置部22の上面を傾斜させておいてもよい。例えば、5°〜15°の角度だけ傾斜した載置部22に積層体10を載置すると、積層体10を垂直な姿勢よりも5°〜15°の角度だけ斜め立てた状態なる。積層体10を所定の角度だけ傾斜させると、積層体10の自重により、積層体10が倒れにくくなる。このため、後述する回転台30に積載した積層体10を、ガラス基板11の面方向に延在する回転軸を中心に回転させることにより発生する遠心力により、積層体10(ガラス基板11)が転倒するのを防止することができる。
背面板23は略長方形の板状であり、基台21の上部において、載置部22の後端に載置部22とほぼ垂直に固定されている。背面板23は載置部22の上部に載せられる積層体10の積層方向の後端部を支持する。ここで、背面板23は完全に垂直である必要はない。例えば、図2に示すように、ガラス基板11を斜めに立てかける場合、ガラス基板11の立てかけ角度に応じて背面板23を傾斜させておいてもよい。
回転台30は、パレット20を台に積載し、台上でパレット20を回転させる装置である。図3(a)は、回転台30を示す上面図であり、図3(b)は、回転台30を示す側面図である。また、図4は、回転台30の構成を示す図である。回転台30は、同図に示すように、パレット20を積載するパレット積載台30aと、パレット積載台30aの動作を制御する台制御装置30bとからなる。
パレット積載台30aは、パレット20を積載するためにほぼ水平からなる台であり、積層体10を乗せたパレット20の重量に耐えうる剛性、耐性を有する。パレット積載台30aは、台制御装置30bからの指示に基づいて、回転開始、回転継続、回転停止し、パレット20に積載された積層体10の周囲の温度分布が均一になるようパレット20を回転させる。パレット積載台30aは、熱処理を行う炉40内において使用できるように耐熱性を有する。また、パレット積載台30aの形状は、例えば、円形、長方形からなり、パレット20の大きさ、形状に合わせて、任意に変更できる。
台制御装置30bは、図4に示すように、モータ部301と、制御部302と、電源部303と、入出力部304と、を備える。操作者が入出力部304を操作して、回転速度、回転時間等を入力すると、制御部302は、電源部303からの電力を受けて動作し、入出力部304からの入力に基づいて、モータ部301の動作を制御する。モータ部301は、制御部302からの指示に基づいて、パレット積載台30aを回転させる。これにより、積層体10を乗せたパレット20を、任意の回転速度で、任意の時間だけ、回転させることができる。なお、台制御装置30bは、パレット積載台30aと同様に、熱処理を行う炉40内において使用できるように耐熱性を有してもよく、また、モータ部301と制御部302との間を耐熱ケーブル等により接続し、制御部302から入出力部304を炉40外に設置することもできる。
次に、積層体10について説明する。積層体10は、複数のガラス基板11と、複数のシート体12と、を有する。
シート体12は、ガラス基板11同士の間に挟まれる。シート体12は積層されるガラス基板11同士の密着を防ぐ役割を果たす。シート体12には、積層体10を熱処理する際の温度に耐えうる耐熱性を有する材料を用いることができる。シート体12は、ガラス基板11よりも高い熱伝導率を有することが好ましい。
このようなシート体12の材料として、例えば、カーボングラファイト、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、及び、多孔質セラミックスから選ばれた一種、又は、それらの組合せを選択することができる。
シート体12の厚さは、ガラス基板11の面内方向の熱伝導率を高めるために厚いことが好ましい。一方、積層体10の体積を低減するためにシート体12の厚さは薄いことが好ましい。このため、シート体12の厚さは、0.02mm〜2mm程度であることが好ましい。シート体12の面積は、ガラス基板11同士の密着を防ぐ役割から、ガラス基板11と同程度またはそれ以上であることが好ましい。
なお、任意の複数のガラス基板11の間に、シート体12に代えて、又はシート体12とともに、積層体10を加熱するための加熱板を介在させてもよい。加熱板として、例えば、電流が流されることで発熱する電極板を用いることができる。この場合、電極板の抵抗値が電極板の温度に応じて変化するため、電極板の温度に応じて電極板を流れる電流量が変化する。このため、電極板を流れる電流量に基づいて加熱板の温度を制御することができる。これにより、複数のガラス基板11間の熱分布を均等に調整することができる。
また、シート体12として、再生紙、パルプ紙を用いることもできる。
本実施形態においては、上記の積層体10を、1対の断熱板15a、15bで挟んだ状態で、積層体10に対し熱処理が行われる。
1対の断熱板15a、15bは、積層体10の積層方向の両端部に配置されている。図2では、断熱板15aが後端部に、断熱板15bが前端部に配置されている。断熱材15a、15bは、ガラス基板よりも熱伝導率が低い材料からなる。ガラス基板よりも熱伝導率が低い材料として、例えば、セラミック、アルミナ、シリカ、及び、ロックウールから選ばれた一種、又は、それらの組合せを選択することができる。
断熱板15a、15bの熱抵抗は、断熱性能を維持するために0.1℃/W以上であることが好ましい。一方、積層体10の端部に配置されるガラス基板11の加熱および冷却を妨げないように、断熱板15a、15bの熱抵抗は10℃/W以下であることが好ましい。断熱板15a、15bの厚さは、断熱性能を維持するために厚いことが好ましい。一方、断熱板15a、15bの厚さは、積層体10の体積を低減するために薄いことが好ましい。このため、断熱板15a、15bの厚さは、10〜50mm程度であることが好ましい。断熱板15a、15bの面積は、積層体の積層方向の外側から端部のガラス基板11への同士の密着を防ぐ役割から、ガラス基板11と同程度またはそれ以上であることが好ましい。
積層体10の積層方向の両端部を断熱板15a、15bで挟み込むと、積層体10の前方の端(前端部)に位置するガラス基板11は、雰囲気からこのガラス基板11の主表面を介してガラス基板11に流れる熱が抑えられ、ガラス基板11の積層方向の中央に位置するガラス基板11の主表面の面方向の外側から流れる熱伝導の形態と同様の形態にすることができる。つまり、積層されたすべてのガラス基板11において、ガラス基板11の縁を含む端部領域から熱が入り、端部領域に囲まれた中心領域に向かって熱が進行していく。この結果、積層された複数のガラス基板11を、厚さ方向で熱分布を等しくすることができる。
次に、ステップS4の熱処理について説明する。
ステップS3の処理で作製された積層体10に対して、製造ラインから外れたオフラインで熱処理が行われる。この熱処理では、ガラス基板の積層体を回転させながら所定の温度の雰囲気下に所定時間放置し、ガラス基板の端部領域から端部領域により囲まれた中央領域にかけての熱分布を一様にすることで、端部領域から中央領域にかけての歪分布が一様になるように調整する。
具体的には、熱処理を行う炉40に上記の積層体10が載せられたパレット20を搬入し、発熱装置41の動作を制御して炉40内の空気(雰囲気)を加熱することにより、ガラス基板11を熱処理する。炉40内の雰囲気温度は、発熱装置41(熱源)のある位置では高く、熱源から離れるほど低くなるため、不均一になっている。雰囲気温度が不均一であると、積層体10に流れる熱量が積層体10の位置によって異なり、積層された複数のガラス基板11において、熱分布(熱履歴)が一様とならない。このため、積層体11を積載したパレット20を回転台30に乗せてパレット20を回転させる。回転台30(パレット積載台30a)を例えば、0.2rpmから5rpmの回転速度でガラス基板11の面方向に延在する回転軸を中心に回転させて、積層体10を回転させると、積層体10周辺の雰囲気(空気)が攪拌され、積層体10周辺の雰囲気温度が均一になる。ガラス基板11の縦寸法及び横寸法は、例えば500mm〜3500mmであるため、積層体10(ガラス基板11)を回転させると、炉40の空気が積層体10に当たる。熱処理を行う際、炉40内は閉鎖空間となっているため、回転する積層体10に空気が当たると、炉40内の空気が攪拌されることとなる。これにより、雰囲気温度が不均一であっても、積層体11に加える熱を均等にすることができる。また、0.2rpmから5rpmの回転速度であれば、積層体10にかかる遠心力は小さく、所定の角度だけ傾斜して積層された積層体10にかかる自重により、転倒を防止することができる。
図5(a)は、積層体10を回転させないときの温度分布の概要を示す図であり、図5(b)は、積層体10を回転させたときの温度分布の概要を示す図である。発熱装置41から放出された熱は、発熱装置41を中心として同心円状に伝わっていき、発熱装置41からの距離に応じて変化した、図5(a)に示すような温度分布D1となる。炉40内において不均一となっている温度分布D1を有する空気により、積層体10が加熱されるため、積層体10の温度分布D2は不均一となる。温度分布D2のように、積層体10の一部が加熱されると、ガラス基板11の熱分布(熱履歴)が一様とならないため、ガラス基板11の熱収縮率にばらつきが生じる。このため、ガラス基板11の面方向に延在する回転軸Cを中心として積層体11を回転することにより、炉40内の雰囲気を撹拌する。炉40内の雰囲気を撹拌すると、発熱装置41を中心とした同心円状に広がる温度分布が均一になり、図5(b)に示すような温度分布D3となる。炉40内において均一となっている温度分布D3を有する空気により積層体10が加熱されると、積層体10の温度分布D4は均一となる。積層体10が均一に加熱されると、ガラス基板11の熱分布(熱履歴)が一様となるため、ガラス基板11の熱収縮率のばらつきを抑制することができる。
熱処理の温度は、ガラス基板11の歪点−400℃の温度から歪点の温度範囲であることが、熱収縮率を低減させ、ガラス基板の歪分布を一様とする点から好ましい。熱処理の時間は、例えば1〜120時間である。熱処理における雰囲気中の温度の時間履歴は特に制限されず、雰囲気の温度が、歪点−400℃の温度から歪点の温度範囲にある時間が少なくとも1時間以上あるとよい。1時間未満であると、熱収縮率が十分に低下せず、120時間より長いと、熱収縮率は十分低減するが、ガラス基板11の生産効率が低下する。
なお、歪点はガラスの種類によって異なるが、ガラス基板11は、熱収縮を小さくするために、歪点が高いガラス組成を有することが好ましく、ガラス基板11のガラスの歪点は、600℃〜760℃であることが好ましく、より好ましくは655℃以上であり、例えば661℃である。この場合、熱処理温度の最低温度は、200℃(=600℃―400℃)以上である。また、LTPS、IGZOから構成される半導体層をガラス基板11に形成する温度は、400℃〜600℃(歪点が661℃である場合、歪点より60℃〜260℃低い温度)であるため、この温度範囲におけるガラス基板11の熱収縮率を低減できればよい。このため、ガラス基板11の温度が、400℃〜600℃の温度範囲になるよう熱処理を行ってもよい。
ガラス基板の積層体が晒される高温の雰囲気は、特に制限されず、酸素含率が5〜50%である雰囲気であってもよく、例えば空気からなる大気雰囲気であってもよい。
このような熱処理により、ガラス基板11の熱収縮率を0〜15ppmとすることができる。ガラス基板11の熱収縮率は、0〜12ppmとすることが好ましく、0〜6ppmとすることがより好ましい。このような熱収縮率が、ガラス基板のガラス組成と、熱処理の温度と熱処理時間を調整することにより達成することができる。
本実施形態では、ガラス基板11よりも熱伝導率が低い1対の断熱板15a、15bでガラス基板11の積層体10を積層方向に挟んだ状態で、積層体10を熱処理を行う炉に搬入し、積層体10を回転させながら炉内の雰囲気の温度を上昇させる。積層体10回転させることにより、積層体10周辺の空気が攪拌され、積層体10周辺の雰囲気温度が均一になる。積層体10の積層方向の外側から熱がガラス基板11に伝わることを断熱板15a、15bにより抑制され、さらに、均一となった積層体10周辺の雰囲気の熱が積層体10を構成する全てのガラス基板11に面内方向外側のみから加えられることとなり、複数のガラス基板11間の熱分布を一様にすることができる。したがって、熱処理後の各ガラス基板11の熱収縮率のばらつきを低減することができる。
ここで、積層体10の積層方向の任意の位置に加熱板を配置し、複数のガラス基板11間の熱分布が一様となるように加熱板により積層体10を加熱してもよい。
さらに、シート体12としてガラス基板11よりも高い熱伝導率を有する材料を用いることで、ガラス基板11の面内方向の伝熱を促進し、ガラス基板11の端部領域と中央領域との熱分布を一様にすることができる。このため、ガラス基板の歪分布を一様にすることができる。
また、炉40内に雰囲気を撹拌するための攪拌装置を設けて、撹拌装置を動作させて、雰囲気を撹拌することもできる。攪拌装置の設置位置は、任意であり、例えば、発熱装置41が発した熱の分布が均一になるように、発熱装置41に隣接して設けることもできる。また、炉40の床面付近と天井面付近との温度差がなくなるように、攪拌装置を、炉40内の床面、天井面に設けることもできる。
本実施形態で製造されるガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板あるいは、有機ELディスプレイ用のガラス基板として好適である。さらに、本実施形態で製造されるガラス基板は、高精細ディスプレイに用いるLTPS(Low-temperature poly silicon)・TFTディスプレイ用ガラス基板、あるいは、酸化物半導体・TFTディスプレイ用のガラス基板として特に好適である。
本実施形態における熔融ガラスからシートガラスを成形する方法として、フロート法やフュージョン法等が用いられるが、本実施形態のガラス基板のオフラインにおける熱処理を含むガラス基板の製造方法では、フュージョン法(オーバーダウンドロー法)において製造ライン上の徐冷装置を長くすることが困難である点から、フュージョン法に適している。
(実験例)
下記ガラス組成を有するガラス基板をフュージョン法の1つであるオーバダウンドロー法により複数作製した。ガラス基板の歪点は660℃であった。
(ガラス組成)
SiO2 67.0モル%、
Al23 10.6モル%、
23 11.0モル%、
RO 11.4モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
〔アニーリング〕
このガラス基板に対し、アニーリングを行った。実施例では、複数のガラス基板をそれぞれ紙の間に挟んだ状態で厚さ方向にガラス基板を積層した積層体を形成し、積層体を0.5rpmの速度で回転させながら熱処理を行なった。比較例では、ガラス基板の積層体を回転させずに熱処理を行った(従来例)。熱処理は、雰囲気温度を500℃とし、放置時間を8時間とした。
〔熱収縮率の測定〕
熱処理前に所定のサイズの長方形にガラス基板を切りだし、長辺両端部にケガキ線を入れ、短辺中央部で半分に切断し、2つのガラスサンプルを得る。このうちの一方のガラスサンプルを、熱処理(昇温速度が10℃/分、450℃で1時間放置)する。熱処理をしない他方のガラスサンプルの長さを計測する。さらに、熱処理したガラスサンプルと未処理のガラスサンプルとをつき合わせてケガキ線のずれ量を、レーザ顕微鏡等で測定して、ガラスサンプルの長さの差分を求めることでサンプルの熱収縮量を求めることができる。この熱収縮量である差分と、熱処理前のガラスサンプルの長さを用いて、以下の式により熱収縮率が求められる。このガラスサンプルの熱収縮率をガラス基板の熱収縮率とした。
熱収縮率(ppm)=(差分)/(熱処理前のガラスサンプルの長さ)×10
アニーリング前のガラス基板について熱収縮率を調べたところ、50ppmであった。
アニーリング後のガラス基板について熱収縮率を調べたところ、実施例では、積層方向の端部のガラス基板の熱収縮率は2ppm、積層方向の中央部のガラス基板の熱収縮率は3ppmであった。一方、従来例では、積層方向の端部のガラス基板の熱収縮率は10ppm、積層方向の中央部のガラス基板の熱収縮率は18ppmであった。
また、ガラス基板の縁領域と中央領域との熱履歴の差が低減されて、縁領域の熱収縮率は2ppm、中央領域の熱収縮率は3ppmであった。一方、従来例では、縁領域の熱収縮率は11ppm、中央領域の熱収縮率は18ppmであった。
このように、ガラス基板の積層体を回転させて、熱処理工程において複数のガラス基板間の熱分布を均等に調整することで、熱処理後のガラス基板の熱収縮率のばらつきを低減することができる。
以上、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例等に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 積層体
11 ガラス基板
12 シート体
15a、15b 断熱板
20 パレット
21 基台部
22 載置部
23 背面板
30 回転台
30a パレット積載台
30b 台制御装置
40 炉
41 発熱装置

Claims (4)

  1. 複数のガラス基板をそれぞれシート体の間に挟んだ状態で厚さ方向に積層してガラス基板の積層体を作製する積層工程と、
    前記積層工程で作製された積層体を炉に搬入し、前記炉内に設けられた熱源により前記炉内の雰囲気を加熱して、前記ガラス基板の熱収縮率を低下させる熱処理工程と、を備え、
    前記熱処理工程では、前記ガラス基板の熱収縮率が均一になるよう前記雰囲気を撹拌して前記積層体を加熱する、
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記熱処理工程では、前記ガラス基板の面方向に延在する回転軸を中心として前記積層体を回転して、前記雰囲気を撹拌する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記熱源は、前記ガラス基板の面に対向する位置に設けられる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記シート体は、カーボングラファイト、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、及び、多孔質セラミックスから選ばれた一種、又は、それらの組合せからなる、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス基板の製造方法。
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