JP2016011231A - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のガラス基板の積層体に熱処理を行って熱収縮率を低減したガラス基板を複数製造するとき、熱処理によって生じるガラス基板の歪を除去する。【解決手段】ガラス基板の製造方法は、複数のガラス基板をそれぞれシート体の間に挟み、ガラス基板をガラス基板の厚さ方向に積層した構成の積層体を、ガラス基板の面内方向外側から加熱することで、複数のガラス基板の熱収縮率を低減させる熱処理工程と、熱処理工程の処理時間に基づいて変化するガラス基板の熱収縮率のばらつきによって生じる歪が、所定の閾値以上となるガラス基板の縁領域の縁からの幅を定め、定めた幅の縁領域をガラス基板から切り落とす除去工程と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス基板の製造方法に関する。
近年、ディスプレイパネルの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進展している。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイパネルに用いるガラス基板にも寸法精度が高いことが望まれている。例えば、ディスプレイパネルの製造工程中に、ガラス基板が高温で熱処理されても寸法が変化しにくいように、熱収縮率の小さいガラス基板が好ましい。
一般に、ガラス基板の熱収縮率は、ガラスの歪点が高いほど小さくなる。また、ガラス基板の熱収縮率は、ガラス基板の製造工程中の徐冷速度を小さくするほど小さくなることが知られている。しかし、徐冷速度を小さくするとガラス基板の徐冷工程を行う徐冷炉を長くする必要があるが、製造ライン上の徐冷装置を長くすることは困難である。
そこで、製造ラインで作製された複数のガラス基板に対し、オフラインにおいて時間をかけて熱処理を施すことで、熱収縮率をより低くすることが行われる。例えば、複数のガラス板の間に紙を挟んだ状態で積層した積層体を所定の温度で所要時間保持することで熱収縮率を低減するガラス板の処理方法が知られている(特許文献1)。
特開平8−151224号公報
上記ガラス基板の処理方法では、複数のガラス基板の積層体に対して熱処理を行うので、複数のガラス基板に対して同時に熱収縮率を低減することはできるが、各ガラス基板において、熱処理によって受ける熱履歴がガラス基板の主表面の場所によって異なり、ガラス板の熱収縮の程度が上記場所によって異なり易い。この場合、ガラス板の熱収縮率は低減するものの、ガラス基板の熱収縮の程度の差異によってガラス基板に歪が発生し易い。熱処理開始時、例えば、ガラス板の縁を含む縁領域は、高温の雰囲気から熱の伝導を受けて、ガラス板の縁領域に囲まれた中央領域に比べて早く昇温する。また、熱処理終了前、例えば、雰囲気を降温し、低温となった雰囲気に高温状態のガラス板の縁領域は晒されて放熱し、ガラス板の中央領域に比べて速く降温する。このようなガラス基板につくられる歪は、ガラス基板に反りやゆがみを生じさせるため、好ましくない。
なお、熱処理の上記開始時及び上記終了前の熱履歴の影響を抑えてガラス基板の上記歪の発生を抑制するために、雰囲気を最高温度に維持する時間を長時間にして、ガラス基板を熱処理することも考えられるが、熱処理に多大の時間を要し、ガラス基板の生産効率の点から好ましくない。
そこで、本発明は、複数のガラス基板の積層体に熱処理を行って熱収縮率を低減したガラス基板を複数製造するとき、熱処理によって生じるガラス基板の歪を除去することができるガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、複数のガラス基板をそれぞれシート体の間に挟み、前記ガラス基板を前記ガラス基板の厚さ方向に積層した構成のガラス基板の積層体を作製する積層体作製工程と、
前記積層体作製工程で作製されたガラス基板の積層体を、前記ガラス基板の面内方向外側から加熱することで、前記複数のガラス基板の熱収縮率を低減させる熱処理工程と、
前記熱処理工程の処理時間に基づいて変化する前記ガラス基板の熱収縮率のばらつきによって生じる歪が、所定の閾値以上となる前記ガラス基板の縁を含む縁領域の前記縁からの幅を定め、定めた前記幅の縁領域を前記ガラス基板から切り落とす除去工程と、を備える、ことを特徴とするガラス基板の製造方法である。
このとき、前記処理時間が長いほど前記幅は小さいことが好ましい。
前記積層体の積層方向の両端には、前記ガラス基板及び前記シート体に比べて熱伝導率の低い断熱板が配されており、前記熱処理工程では、前記積層体を囲む雰囲気を加熱あるいは冷却し、前記積層体の各ガラス基板を、各ガラス基板の周辺から昇温あるいは降温させ、前記断熱板の間に位置する各ガラス基板の、前記除去工程における前記幅はお互いに同じである、ことが好ましい。
前記シート体は、カーボングラファイト、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、及び、多孔質セラミックスから選ばれた一種、又は、それらの組合せからなることが好ましい。
前記所定の閾値は、4kgf/cm2〜9kgf/cm2であることが好ましい。
上述のガラス基板の製造方法によれば、複数のガラス基板の積層体に熱処理を行って熱収縮率を低減したガラス基板を複数製造するとき、熱処理によって生じるガラス基板の歪を除去することができる。
本実施形態のガラス板の製造方法の流れを示すフローチャートである。 本実施形態で行なわれる熱処理においてガラス基板の積層体が載せられたパレットを示す側面図である。 熱処理によって生じる歪みを説明する図である。
以下、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。製造されるガラス基板は、特に制限されないが、例えば縦寸法及び横寸法のそれぞれが500mm〜3500mmであることが好ましい。ガラス基板の厚さは、0.1〜1.1(mm)の極めて薄い矩形形状の板であることが好ましい。
本実施形態における熔融ガラスからシートガラスを成形する方法として、フロート法やフュージョン法等が用いられるが、本実施形態のガラス基板のオフラインにおける熱処理を含むガラス基板の製造方法では、フュージョン法(オーバーフローダウンドロー法)において製造ライン上の徐冷装置を長くすることが困難である点から、フュージョン法に適している。
まず、熔融されたガラスが、例えばフュージョン法やフロート法等の公知の方法により、所定の厚さの帯状ガラスであるシートガラスが成形される(ステップS1)。
次に、成形されたシートガラスが所定の長さの素板であるガラス基板に順次採板される(ステップS2)。採板により順次得られる複数のガラス基板をそれぞれシート体の間に挟み、ガラス基板をガラス基板の厚さ方向に積層した構成のガラス基板の積層体を作製する(積層体作製工程:ステップS3)。次に、このガラス基板の積層体に対して作製されたガラス基板の積層体を、ガラス基板の面内方向外側から加熱する熱処理を行なう(熱処理工程:ステップS4)。この後、ガラス基板の縁領域をガラス基板から除去する(除去工程:ステップS5)。ステップS4〜S5はオフラインで行なわれる。
ステップS3,S4,S5各工程の詳細については後述する。
熱処理後のガラス基板は切断工程に搬送され、製品のサイズに切断され、ガラス基板が得られる(ステップS6)。得られたガラス基板には、端面の研削、研磨およびコーナカットを含む端面加工が行われた後、ガラス基板は洗浄される(ステップS7)。洗浄されたガラス基板はキズ、塵、汚れあるいは光学欠陥を含む傷が無いか、光学的検査が行われる(ステップS8)。検査により品質の適合したガラス基板は、ガラス基板を保護する紙と交互に積層された積層体としてパレットに積載されて梱包される(ステップS9)。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
本実施形態で製造されるガラス基板は、ディスプレイパネルに用いるガラス基板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板あるいは、有機ELディスプレイ用のガラス基板として好適である。さらに、本実施形態で製造されるガラス基板は、高精細ディスプレイに用いるLTPS(Low-temperature poly silicon)・TFTディスプレイ用ガラス基板、あるいは、酸化物半導体・TFTディスプレイ用のガラス基板として特に好適である。
本実施形態のガラス基板は、熱収縮率は10ppm以下であることが、高精細なディスプレイパネル用のガラス基板に用いられる点から好ましく、熱収縮率は6ppm以下であることがより好ましい。ガラス基板の歪は、9kgf/cm2以下であることが反りを発生させず、歪による光学特性の変化、例えば屈折率の変化を抑える点から好ましく、4 kgf/cm2以下であることが好ましい。歪の下限は特に制限されないが、実質的には2 kgf/cm2である。
ガラス基板の歪点は、高精細ディスプレイ用ガラス基板とするために、600℃〜760℃であることが好ましい。例えば、歪点は、661℃である。
このようなガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。つまり、以下のガラス組成のガラス基板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
SiO2 55〜80モル%、
Al23 8〜20モル%、
23 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
SiO2は60〜75モル%、さらには、63〜72モル%であることが、熱収縮率を小さくするという観点から好ましい。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜10モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、SiO2、Al23、B23、及びROを少なくとも含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.5以上であるガラスであってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/ROは0.1以上であることが好ましい。
また、モル%表示のB23の含有率の2倍とモル%表示のROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As、Sb及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
[積層体作製工程]
図2は、ステップS3の積層体積層工程で用いる、ガラス基板11の積層体10(以下、積層体10という)を載せるパレット20を示す側面図である。ここで、図2の左側をパレット20の前側、図2の右側をパレット20の後側とする。パレット20には、積層体10が積層方向をほぼ前後方向として載置される。ここで、積層体10の積層方向は前後方向と完全に一致している必要はない。例えば、図2に示すように、ガラス基板11を斜めに立てかける場合、積層方向と前後方向とのなす角はガラス基板11の上下方向とのなす角となる。
パレット20は、基台部21と、載置部22と、背面板23と、等を備える。
基台部21、載置部22および背面板23は、例えば鋼鉄等の金属からなり、溶接等により一体に形成されている。
基台21は略長方形の板状であり、端面にフォークリフトの爪を挿入するための開口21aが設けられている。
載置部22は基台21の上部に固定されており、載置部22の上部にガラス基板の積層体10が載せられる。ここで、載置部22の上面は完全に水平である必要はない。例えば、図2に示すように、ガラス基板11を斜めに立てかける場合、ガラス基板11の立てかけ角度に応じて載置部22の上面を傾斜させておいてもよい。
背面板23は略長方形の板状であり、基台21の上部において、載置部22の後端に載置部22とほぼ垂直に固定されている。背面板23は載置部22の上部に載せられる積層体10の積層方向の後端部を支持する。ここで、背面板23は完全に垂直である必要はない。例えば、図2に示すように、ガラス基板11を斜めに立てかける場合、ガラス基板11の立てかけ角度に応じて背面板23を傾斜させておいてもよい。
次に、積層体10について説明する。積層体10は、複数のガラス基板11と、複数のシート体12と、を有する。
シート体12は、ガラス基板11同士の間に挟まれる。積層体10では、シート体12、ガラス基板11、シート体12、ガラス基板11、・・・シート体12の順番に積まれる。
シート体12は積層されるガラス基板11同士の密着を防ぐ役割を果たす。シート体12には、積層体10を熱処理する際の温度に耐えうる耐熱性を有する材料を用いることができる。シート体12は、ガラス基板11よりも高い熱伝導率を有することが、後述する熱処理工程において、複数のガラス基板11の熱処理の程度を揃えることができる点から好ましい。このようなシート体12の材料は、例えば、カーボングラファイト、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、及び、多孔質セラミックスから選ばれた一種、又は、それらの組合せからなることが好ましい。
シート体12の厚さは、ガラス基板11の面内方向の熱伝導率を高めるために厚いことが好ましい。一方、積層体10の体積を低減するためにシート体12の厚さは薄いことが好ましい。このため、シート体12の厚さは、0.02mm〜3mm程度であることが好ましい。シート体12の面積は、ガラス基板11同士の密着を防ぐ役割から、ガラス基板11と同程度またはそれ以上であることが好ましい。
本実施形態においては、上記の積層体10を、ガラス基板11及びシート体12に比べて熱伝導率の低い1対の断熱板15a、15bで挟んでいることが、後述する熱処理において、複数のガラス基板11の熱処理の程度を揃える点から好ましい。この場合、1対の断熱板15a、15bは、積層体10の積層方向の両端部に配置されていることが好ましい。図2では、断熱板15aが後端部に、断熱板15bが前端部に配置されている。これにより、積層体10の前方の端(前端部)に位置するガラス基板11は、雰囲気からこのガラス基板11の主表面を介してガラス基板11に流れる熱を抑え、ガラス基板11の積層方向の中央部がガラス基板11の主表面の面方向の外側から流れる熱伝導の形態と同様の形態にすることができる。
断熱材15a、15bは、ガラス基板よりも熱伝導率が低い材料からなることが好ましい。ガラス基板よりも熱伝導率が低い材料として、例えば、セラミック、アルミナ、シリカ、及び、ロックウールから選ばれた一種、又は、それらの組合せを選択することができる。
断熱板15a、15bのガラス基板11の主表面に垂直方向に沿った熱抵抗は、断熱性能を維持するために0.1℃/W以上であることが好ましい。断熱板15a、15bの厚さは、断熱性能を維持するために厚いことが好ましい。一方、断熱板15a、15bの厚さは、積層体10の体積を低減するために薄いことが好ましい。このため、断熱板15a、15bの厚さは、10〜50mm程度であることが好ましい。断熱板15a、15bの面積は、積層体の積層方向の外側から端部のガラス基板11への同士の密着を防ぐ役割から、ガラス基板11と同程度またはそれ以上であることが好ましい。
[熱処理工程]
次に、ステップS4の熱処理について説明する。
積層体作製工程で作製された積層体10に対して、製造ラインから外れたオフラインで熱処理が行われる。この熱処理では、ガラス基板11の積層体を所定の温度の雰囲気下に所定時間放置する。これにより、ガラス基板11の熱収縮率を低減させる。
具体的には、熱処理を行う炉に上記の積層体10が載せられたパレット20を搬入し、炉内の空気を加熱して雰囲気の温度を室温から昇温したのち、温度を一定に維持して(最高温度に維持して)所定時間放置した後、雰囲気の温度を降温して室温に戻すことによりガラス基板11を熱処理する。本実施形態では、最高温度を一定に維持するが、熱処理における雰囲気の温度プロファイルは、特制限されない。しかし、熱処理における雰囲気の温度は、少なくとも、ガラス基板11の歪点−400℃の温度から歪点の温度範囲であることが、熱収縮率を低減させる点から好ましい。雰囲気の温度が上記温度範囲にある時間は、例えば1〜120時間である。雰囲気の温度が上記温度範囲にある時間が1時間未満であると、熱収縮率が十分に低下せず、120時間より長いと、熱収縮率は十分低減するが、ガラス基板11の生産効率が低下する。
なお、歪点はガラスの種類によって異なるが、ガラス基板11は、熱収縮を小さくするために、歪点が高いガラス組成を有することが好ましく、例えばガラス基板11のガラスの歪点は、600℃〜760℃であることが好ましく、655℃以上であることがより一いっそう好ましい。例えば、歪点は、661℃である。歪点が低いガラス基板であっても、熱処理することにより、歪点が高いガラス基板と同程度の熱収縮率を実現することができる。この場合、熱処理温度の最低温度は、200℃(=600℃―400℃)以上である。
ガラス基板11の積層体10が晒される高温の雰囲気は、特に制限されず、酸素含率が5〜50%である雰囲気であってもよく、例えば空気からなる大気雰囲気であってもよい。
このような熱処理により、ガラス基板11の熱収縮率を0〜12ppmとすることができる。ガラス基板11の熱収縮率は、0〜6ppmとすることが好ましく、0〜3ppmとすることがより好ましい。このような熱収縮率が、ガラス基板のガラス組成と、熱処理の温度と熱処理時間を調整することにより達成することができる。
なお、上述の熱処理では、熱処理によってガラス基板11は熱収縮するため、これ以降においてガラス基板に熱を加えても熱収縮は起こり難く、熱収縮率は小さくなる。しかし、上述したように、ガラス基板11の縁領域と中央領域では、熱処理における熱履歴が異なることから、熱処理によって生じる熱収縮の程度は異なる(熱収縮率はばらつく)。このため、上述したように、ガラス基板11には熱収縮率の低減のために行う熱処理によって生じる熱収縮の程度の差異(熱収縮率のばらつき)に起因してガラス基板11の縁領域に歪が生じる。そこで、本実施形態は、縁領域を除去するために、ステップS5の除去工程を備える。
[除去工程]
除去工程は、ステップS4の熱処理工程の処理時間に基づいて変化するガラス基板11の歪が、所定の閾値以上となるガラス基板11の縁領域の縁からの幅を定め、定めた幅の縁領域をガラス基板11から切り落とす工程である。縁領域は、ガラス基板11の四辺の縁を含んだ、縁に沿った領域をいう。ここで、処理時間とは、熱処理の開始から終了までの全処理時間の他に、ガラス基板11を囲む雰囲気を加熱して昇温する昇温時間、雰囲気を一定の最高温度の状態に維持する最高温度維持時間、雰囲気を降温する降温時間等を含む。ここで、所定の閾値は、4 kgf/cm2〜9kgf/cm2の範囲内の値であることが好ましく、より好ましくは、7kgf/cm2〜9kgf/cm2の範囲内の値である。
ガラス基板11に熱処理によって生じる熱収縮の程度の差によってつくられる歪は、熱処理工程の処理時間に基づいて変化する。例えば、処理時間が短いときは、熱履歴がガラス基板11の縁領域と中央領域の間で大きく異なることから、熱収縮の程度が異なり、ガラス基板11の縁領域に大きな歪が生じ、歪が所定閾値以上となる縁領域の幅は大きい。一方、処理時間が長いときは、ガラス基板11の縁領域と中央領域の間の熱履歴は余り変化しないので、ガラス基板11の縁領域に生じる歪は小さく、所定の閾値以上となる縁領域の幅は小さい。
図3は、処理時間と歪の関係を模式的に説明する図であり、図3では、ガラス基板11の縁からの距離によってどのように歪が異なるかを示している。
図3では、ガラス基板11の主表面の中心(図心)に位置する地点Aと、一辺の中央部分から中心点Aに向かって縁から50mm内側に入った地点Bと、一辺の中央部分から中心点Aに向かって縁から20mm内側に入った地点Cにおける熱処理の処理時間に対する歪の変化を示している。処理時間については、上述した最高温度維持時間を用いている。
図3によると、地点A〜Cのいずれも、処理時間が増えるにつれて歪が低下している。しかし、閾値以上の歪を有する地点は、処理時間によって異なる。
例えば、処理時間T1では、地点B,Cの歪は閾値以上である。地点Aの歪は閾値未満である。このため、地点Bを含んだ幅の大きな縁領域を定めて、この定めた縁領域を除去する。すなわち、歪が、所定の閾値以上となるガラス基板11の縁領域の縁からの幅を定め、定めた幅の縁領域をガラス基板11から切り落とす。
処理時間T2では、地点Cの歪は閾値以上であるが、地点A,Bの歪は閾値未満である。このため、地点Bを含み、縁から例えば45〜49mmの範囲に縁領域の幅を定め、この定めた幅の縁領域を除去する。
処理時間T3では、地点A〜Cの歪みは閾値未満であるので、縁から例えば15〜19mmの範囲に縁領域の幅を定め、この定めた幅の縁領域を除去する。
図3に示す例は、地点B,Cの2地点を用いて切り落とす縁領域の幅を定める例であるが、勿論、縁からの距離が異なる3つ以上の地点における処理時間と歪の対応関係の情報を用いることで、切り落とす縁領域の幅をより細かく定めることができる。
また、図3では、処理時間として、雰囲気の温度の最高温度維持時間を例としてあげて説明したが、全処理時間の他に、昇温時間、降温時間等と歪の対応関係を情報として用いて、この対応関係の情報を予め取得しておき、この情報を用いて、切り落とす縁領域の幅を定めることができる。さらに、処理時間に代えて、雰囲気を加熱あるいは冷却するときの加熱速度の逆数や冷却速度の逆数と歪との対応関係を情報として用いて、切り落とす縁領域の幅を定めることができる。また、処理時間に代えて、ガラス基板が雰囲気から受ける熱の積算量と歪との対応関係を予め情報として取得しておき、この情報を用いて、切り落とす縁領域の幅を定めることができる。
このように、熱処理工程の処理時間に基づいて変化するガラス基板11の歪が、所定の閾値以上となるガラス基板11の縁領域の縁からの幅を定め、定めた幅の縁領域をガラス基板11から切り落とすことにより、熱収縮率を低減したガラス基板11を複数製造するとき、ガラス基板11の歪を除去できる。
図3に示す処理時間が長いほど、切り落とす縁領域の幅は小さくすることができるので、ガラス基板11から必要以上に大きな縁領域を切り落とすことを防止でき、生産の歩留まりを高めることができる。
図2に示すように、積層体10の積層方向の両端に、ガラス基板11及びシート体12に比べて熱伝導率の低い断熱板15a,15bが配される場合、ガラス基板11は、積層体10の積層方向の場所によらず、いずれのガラス基板11も同じような熱履歴を主表面の面内外側から与えることができる。すなわち、ステップS4における熱処理工程では、積層体10を囲む雰囲気を加熱あるいは冷却し、積層体10の各ガラス基板を、各ガラス基板の周辺から昇温あるいは降温させる。このとき、断熱板15a,15bの間に位置する各ガラス基板11の、切り落とすべき縁領域の幅は、お互いに同じにすることができる。このため、除去工程を効率よく行なうことができる。
[実験例]
以下に示すガラス組成を有するガラス基板をオーバフローダウンドロー法により複数作製した。ガラス基板の歪点は660℃であった。
(ガラス組成)
SiO2 67.0モル%、
Al23 10.6モル%、
23 11.0モル%、
RO 11.4モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
実施例及び従来例では、ガラス基板を積層して積層体を形成し、熱処理を行なった。熱処理は、実施例及び従来例ともに同じ条件とし雰囲気温度を500℃とし、放置時間を8時間とした。実施例では、さらにガラス基板の熱処理によって生じる歪が所定の閾値以上となる縁領域の幅を定め、この縁領域をガラス基板から切り落とした。縁領域の幅は、30mmであった。一方、従来例では、ガラス基板にステップS5の工程を行なわなかった。
実施例及び従来例で作製されたガラス基板の熱収縮率と歪を計測した。
〔熱収縮率の測定〕
熱処理前に所定のサイズの長方形にガラス基板を切りだし、長辺両端部にケガキ線を入れ、短辺中央部で半分に切断し、2つのガラスサンプルを得る。このうちの一方のガラスサンプルを、熱処理(昇温速度が10℃/分、450℃で1時間放置)する。熱処理をしない他方のガラスサンプルの長さを計測する。さらに、熱処理したガラスサンプルと未処理のガラスサンプルとをつき合わせてケガキ線のずれ量を、レーザ顕微鏡等で測定して、ガラスサンプルの長さの差分を求めることでサンプルの熱収縮量を求めることができる。この熱収縮量である差分と、熱処理前のガラスサンプルの長さを用いて、以下の式により熱収縮率が求められる。このガラスサンプルの熱収縮率をガラス基板の熱収縮率とした。
熱収縮率(ppm)=(差分)/(熱処理前のガラスサンプルの長さ)×10
[歪の測定]
ガラス基板は、歪によってガラス基板の屈折率が変化することから、ガラス基板の複屈折率に起因するリターデーション値を測定した。リターデーション値が大きいほど、歪が大きいことを表す。リターデーション値の測定には、ユニオプト社製の複屈折率測定器ABR−10Aを使用した。
実施例及び従来例のガラス基板の熱収縮率は、それぞれ6ppm、20ppmであり、極めて低かった。
また、実施例及び従来例のガラス基板のリターデーション値については、実施例のガラス基板の最大測定値は2kgf/cm2であり、従来例のガラス基板の最大測定値は15kgf/cm2であった。これより、実施例のガラス基板は歪みが小さいことがわかる。
これより、本実施形態のガラス基板の製造方法の効果は明らかである。
以上、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更してもよいのはもちろんである。
10 積層体
11 ガラス基板
12 シート体
15a、15b 断熱板
20 パレット
21 基台部
22 載置部
23 背面板

Claims (5)

  1. 複数のガラス基板をそれぞれシート体の間に挟み、前記ガラス基板を前記ガラス基板の厚さ方向に積層した構成のガラス基板の積層体を作製する積層体作製工程と、
    前記積層体作製工程で作製されたガラス基板の積層体を、前記ガラス基板の面内方向外側から加熱することで、前記複数のガラス基板の熱収縮率を低減させる熱処理工程と、
    前記熱処理工程の処理時間に基づいて変化する前記ガラス基板の熱収縮率のばらつきによって生じる歪が、所定の閾値以上となる前記ガラス基板の縁を含む縁領域の前記縁からの幅を定め、定めた前記幅の縁領域を前記ガラス基板から切り落とす除去工程と、を備える、
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記処理時間が長いほど前記幅は小さい、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記積層体の積層方向の両端には、前記ガラス基板及び前記シート体に比べて熱伝導率の低い断熱板が配されており、
    前記熱処理工程では、前記積層体を囲む雰囲気を加熱あるいは冷却し、前記積層体の各ガラス基板を、各ガラス基板の周辺から昇温あるいは降温させ、
    前記断熱板の間に位置する各ガラス基板の、前記除去工程における前記幅はお互いに同じである、請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記シート体は、カーボングラファイト、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、及び、多孔質セラミックスから選ばれた一種、又は、それらの組合せからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記所定の閾値は、4kgf/cm2〜9 kgf/cm2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
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