JP2016010464A - 歩行補助装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全な使用を可能にする歩行補助装置を提供する。
【解決手段】歩行補助装置は、折り畳み可能な基体と、基体に設けられて、基体を移動させるための駆動輪と、駆動輪を駆動するための駆動部と、基体が折り畳まれた状態であるか否かを検出する折り畳み検出部15と、駆動部を制御する制御部と、を備え、制御部は、折り畳み検出部15により基体は折り畳まれた状態であると検出した場合に、駆動輪への駆動力が、ブレーキ力に変化するように駆動部を制御する。
【選択図】図2

Description

この開示は歩行補助装置に関し、特に、折り畳み可能な歩行補助装置に関する。
高齢者等の歩行が困難な人の歩行を補助する器具として歩行器やシルバーカー等の手押し車が使用されている。このような手押し車は、座席シートを備えており、使用者が休息するために座席シートに座る場合に使用されるパーキングブレーキ、および下り坂の歩行中に手押し車が使用者の歩行速度を超えて加速しようとするのを防ぐために使用されるハンドブレーキ等も備える。このようなブレーキの使用により、安全性を高めている。
このような安全性に着目した技術として特許文献1(特開平7−87621号公報)は、歩行車に人が着座している際の安全性を向上するため、着座センサを搭載し、着座センサがONの場合には他のセンサの入力を無視して強制的にブレーキをかける技術を開示する。
また、特許文献2(特開2009−183407号公報)は、ハンドル部にタッチセンサを搭載し、手を離していることを検出した際にブレーキをかける技術を開示する。
特開平7−87621号公報 特開2009−183407号公報
従来のシルバーカー等の手押し車は、使用しているときには、高い安定性を確保し転倒を防止するために、ホイールベースを大きくとり、左右車輪の間隔を広くする。その一方では、未使用時または自動車で運搬する際には、場所をとらないよう展開形状からコンパクトな収納形状へ折り畳み可能な構造が採用される。
このような折り畳み可能な構造の駆動力付きの手押し車の場合には、十分に展開されていない状態で使用される可能性もある。そのような場合には、手押し車は設計通りの安定した状態にないために、使用した場合には意図しない動作をし、事故を誘発する原因となり得る。
それゆえに本発明の目的は、安全性に優れた折り畳み可能な歩行補助装置を提供することである。
一実施の形態に従う歩行補助装置は、折り畳み可能な基体と、基体に設けられて、基体を移動させるための駆動輪と、駆動輪を駆動するための駆動部と、基体が折り畳まれた状態であるか否かを検出する折り畳み検出部と、駆動部を制御する制御部と、を備え、制御部は、折り畳み検出部により基体は折り畳まれた状態であると検出した場合に、駆動輪への駆動力が、ブレーキ力に変化するように駆動部を制御する。
好ましくは、基体の傾斜を検出する傾斜検出部を、さらに備え、折り畳み検出部は、傾斜検出部が検出する傾斜度から、基体が折り畳まれた状態であるか否かを検出する。
好ましくは、制御部は、さらに、駆動力が傾斜検出部により検出された傾斜度に従い変化するよう、駆動部を制御する傾斜制御部を含む。
好ましくは、基体にかかる作用力を検出する作用力検出部を、さらに備え、制御部は、歩行補助装置が電源OFFからONに操作されたとき、作用力検出部が検出する作用力の大きさに基づき、駆動輪へのブレーキ力が駆動力に変化するように駆動部を制御する。
好ましくは、駆動部を、駆動輪へのブレーキ力を解除して駆動力を出力するように制御するためのユーザが操作可能な操作部を、さらに備える。
本発明によれば、基体は折り畳まれた状態であると検出した場合には、駆動輪への駆動力を、ブレーキ力に変化させることで、折り畳み時の安全性を確保できる。
この発明の上記の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
実施の形態1に係る歩行補助車1の構成を示す図である。 実施の形態1の機能構成図である。 実施の形態1に係る移動制御部とモータの周辺回路を示す図である。 実施の形態1に係る折り畳み機構を模式的に示す図である。 実施の形態1に係る作用力検出に基づくアシスト制御のフローチャートである。 実施の形態1に係るショートブレーキ力の大きさを模式的に説明するタイミングチャートである。 実施の形態2に係る歩行補助車1の機能構成図である。 実施の形態2に係るアシスト力と抑速力の設定値が格納されたテーブルを説明するための図である。 実施の形態2に係る折り畳み機構を模式的に示す図である。 実施の形態3に係る歩行補助車のメインフレームとクロスフレームのヒンジ部の拡大図である。
本実施の形態に係る歩行補助装置について図面を参照し詳細に説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
本実施の形態では、歩行補助装置の一例として、使用者の歩行を補助(アシスト)する歩行補助車を例示するが、これに限定されない。すなわち、移動可能な基体に使用者の身体の少なくとも一部を支持する部材を有して、基体の移動をアシストすることにより、使用者の歩行をアシストするような装置全般に適用することができる。したがって、自立歩行が困難な障害者や高齢者等が使用する歩行補助車に限定せず、人力で操作、移動する車輪を有する手押し器具等の、例えば運搬機能をも備えた車椅子、ベビーカー、荷物運搬に使用する台車等にも歩行補助車同様に適用可能である。
ここでは、歩行補助車の駆動をアシストする、すなわち進行方向へ作用する駆動力をアシスト力と呼ぶ。また、駆動を抑制する、すなわち進行方向とは逆(反対)方向へ作用する力を抑速力と呼ぶ。抑速力には、駆動綸の回転を停止するように作用するブレーキ力(ショートブレーキ力等)が含まれる。
[実施の形態1]
図1(A)〜(C)は実施の形態1に係る歩行補助車1の構成を示す図である。図1(A)と(B)を参照して、歩行補助車1は、基体フレーム(以下、単に基体ともいう)8を備え、基体8は、左フレーム81、右フレーム82および左フレーム81と右フレーム82にブリッジ状に渡されて左右フレームを連結するフレーム(図示せず)を含む。連結フレームの一部は座部である座席シート7を構成する。
さらに、左フレーム81と右フレーム82はそれぞれ、歩行時に使用者が握るグリップ2、図1(A)の矢印進行方向側の前輪車輪3、および進行方向とは反対側に位置する後輪車輪4を備える。さらに、物を収容するためのバッグ26を備える。歩行補助車1の各部に電力を供給するための充電可能な電池部25はバック26内に備えられる。グリップ2は、移動可能な基体8に設けられた部分であって、使用者の身体の少なくとも一部を支持する支持部に相当する。
歩行補助車1は、さらにグリップ2に付随して設けられた手動操作用のブレーキレバー61およびスタート/停止スイッチ2A、基体のフレームに設けられた傾斜センサ6、および歩行補助車1を制御するためのマイクロコンピュータに相当する制御部10の基板を備える。この基板は基体8に設けるとしている。歩行補助車1の駆動車輪は、後輪車輪4およびこれを回転させるためのモータ5を含む。なお、制御部10の基板および電池部25の取り付け位置は、歩行時の妨げにならない位置であればよく限定されない。スタート/停止スイッチ2Aは、歩行補助車1の電源ON/OFFの切替えスイッチとして機能する。なお、傾斜センサ6については、実施の形態2で後述する。
使用者がグリップ2に付随したブレーキレバー61をグリップ2と一緒に握りこむことで駆動輪である後輪車輪4のタイヤにブレーキングバー(図示しない)が押し付けられる構造となって、ブレーキをかけて停止させることができる。また、ブレーキレバー61を握りこむのとは反対側へ開くと、ブレーキングバーがタイヤに押付けられたままの状態に固定することができ、パーキングブレーキとして使用することができる。使用者は停止した歩行補助車1の座席シート7に腰を下ろして座る場合には、安全のためにパーキングブレーキをかけた状態で座るものとする。
制御部10は、パーキングブレーキがかかったと判定する期間はモータ5への電力供給を停止し(アシスト力無し)、解除されると供給再開する(アシスト可能)が、ここでは、説明を簡単にするために、ブレーキレバー61が操作されることはないとする。
図1(C)を参照して、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)21、不揮発性または揮発性の記憶領域に相当するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ22、各種センサからの出力を入力する入力部23、およびモータ5を含む各部に信号を出力するための出力部24を含む。
制御部10は、モータ5の回転を制御する。モータ5は、ここではDC(直流)モータであって、モータ軸に連接された後輪車輪4は、モータ5の回転に連動して回転する。本実施の形態では歩行補助車1は、モータ5を後輪車輪4に設けた後輪駆動であるが、これに限定されず、前輪車輪3に設けた前輪駆動、または前輪車輪3および後輪車輪4の両方に設置した駆動の方式であっても良い。
なお、実施の形態では、モータ5のショートブレーキ(短絡制動)を用いることにより基体8に抑速力を作用させる。ショートブレーキはモータ5のコイル間をスイッチのON/OFFにより短絡させて抑速力を得るものである。
また、歩行補助車1は、上述したように、ブレーキレバー61が手動操作されると自転車のブレーキのように車輪を止める機構を有する。本実施の形態では、CPU21はブレーキレバー61によるブレーキ操作時はモータ5への電流供給を停止することで、モータ5への電流供給された状態でモータ5をブレーキによりロックする状態になることを防止する。
また、歩行補助車1はバッテリ切れ等により制御ができない場合には、モータ5によるアシスト力および抑速力は作用しない、通常の歩行器として使用することができる。
歩行時、使用者はグリップ2を握るように持って歩行補助車1を矢印進行方向側(図1(A)参照)に押すと、制御部10は、押す力を検出し、検出結果からモータ5の回転量(回転方向と角度)を決定し、決定した回転量に従いモータ5を回転させる。モータ5の回転によって後輪車輪4が進行方向に回転し、この回転に連動して前輪車輪3も回転し歩行補助車1は進行方向へ移動する。この移動に伴って、グリップ2を握った状態の使用者は、進行方向への歩行が促されて、すなわち補助されながら歩行することができる。
図2は本実施の形態1の機能構成図である。図2を参照して、歩行補助車1は、移動のために各部を制御する移動制御部14を備え、移動制御部14は、使用者等が基体に加える力を検出する作用力検出部11、モータ5の回転数と回転方向を検出し、検出信号を移動制御部14に出力する回転数検出部13、および基体8が折り畳まれた状態か否かを検出する折り畳み検出部15を接続する。
移動制御部14は、ブレーキ制御信号を生成しリレー回路172(後述する)に出力する。
回転数検出部13は、モータ5の出力決定のために使用される。移動制御部14は、回転数検出部13から検出値から換算した速度値が、予め定められた値より小さければ、車輪4の回転数が多くなるようにモータ5の出力を制御して歩行をアシストし、逆に大きければ、車輪4の回転数が少なくなるように、すなわち抑速力が作用するようにモータ5の出力を制御する。図2の各部は、プログラム、またはプログラムと回路の組合わせにより実現される。プログラムは、予めメモリ22に格納されて、CPU21がプログラムをメモリ22から読出し、実行することにより各部の機能が実現される。
ショートブレーキ(短絡制動)について、図3を参照して説明する。図3は、実施の形態1に係る移動制御部14とモータの周辺回路を示す図である。移動制御部14に付随して設けられたリレー回路172は、移動制御部14からブレーキ制御信号を入力しない期間は、クローズ状態となりモータ5の動力線をショート(短絡)させてブレーキON状態となるように動作する。つまり、モータ5の駆動力(アシスト力)をブレーキ力に変化させるよう動作する。
また、ブレーキ制御信号を入力する期間は、オープン状態となりモータ5の動力線を移動制御部14と接続するように動作して、ブレーキを解除してモータ5に駆動力を伝達させる。なお、電源OFFまたはバッテリ切れのときは、移動制御部14からブレーキ制御信号は出力されないため、ブレーキON状態となる。
(折り畳み状態の検出と制御)
歩行補助車1は、収納時省スペースとなるように基体折り畳み機構を有している。図4は、本実施の形態1に係る折り畳み機構を模式的に示す図である。図4により、歩行補助車1の背面から見た状態が示される。折り畳み機構は、一例として、一対のメインフレームに相当する左右フレーム81,82、クロスフレーム9、およびこれらフレームを繋ぐ図示しないリンク部材を含む。ここでは、4節リンク機構の一種であるシングルブレース型の折り畳み構造としている。
さらに、折り畳み機構に関連して、歩行補助車1は、回転角検出部15aを備える。回転角検出部15aはフレームの接合部等のような、折り畳み時にヒンジとなる位置に配置されている。回転角検出部15aは、図4の展開時および折り畳み時のいずれも含めてヒンジ回転角を常時検出し、検出角度を、折り畳み検出部15に出力する。回転角検出部15aとしては、たとえばロータリーエンコーダ、回転型のポテンショメータ等を利用することができる。折り畳み検出部15は、回転角検出部15aの検出角度と閾値を比較し、比較結果に基づき、図4の展開状態(折り畳み状態ではない)または折り畳まれた状態であるかを判定する。判定結果は移動制御部14に出力する。ここでは、予め定めた角度は、図4に示すような約40度としているが、これに限定されない。
折り畳み検出部15が折り畳まれた状態であると判定したとき、移動制御部14は、ブレーキON状態にするような、ブレーキ制御信号をリレー回路172に出力する。これにより誤使用で手押し車が折り畳まれたまま使用されることによる事故を未然に防ぎ、より安全性を確保することができる。
(作用力に基づくアシスト制御)
作用力検出に基づく歩行補助車1のアシスト制御について説明する。作用力検出部11は、グリップ2に内蔵された図示しない力センサの出力から、基体8に加わる力を検出する。具体的には、グリップ2には、ひずみゲージまたは力覚センサのような、グリップ2にかかる力(押す力/引く力)を検出し、電気信号を出力する力センサ(図示せず)が内蔵される。作用力検出部11は力センサが出力する電気信号から、グリップ2にかかる力の大きさと向きを検出し、押す力であるか、または引く力であるかを検出する。ここでは、図1(A)の矢印方向の力は押す力であり、逆方向の力は引く力であるとする。
図5は、実施の形態1に係る作用力検出に基づくアシスト制御のフローチャートである。このフローチャートに従うプログラムは、予めメモリ22に格納されて、CPU21がプログラムを読出し、実行することにより制御が実現される。
図5を参照して、検出作用力を用いた制御について説明する。この処理は、使用者がグリップ2を把持してスタート/停止スイッチ2AのスタートスイッチをON操作したとき、CPU21はON操作を検出し、各部に電力を供給してアシスト機能制御の処理RTを開始する。
処理RTでは、まず、作用力検出部11は、グリップ2の力センサの出力から、押す力の大きさが予め定めた閾値以上であるかを判定する(ステップS1、S3)。閾値未満であり押す方向の力は加わっていないと判定すると(ステップS3でNO)、S1に戻るが、閾値以上であると判定すると(ステップS3でYES)、移動制御部14は、作用力検出部11の判定に基づき、図3で説明したようにショートブレーキON状態を解除する(ステップS5)。ショートブレーキの解除により、モータ5は回転を開始し、これに連動して車輪4が回転し始めて、歩行アシストが開始される(ステップS7)。
CPU21は、スタート/停止スイッチ2Aの停止スイッチのON操作を検出しなければ(ステップS9でNO)、ステップS1に戻るが、停止スイッチのON操作を検出すれば(ステップS9でYES)、移動制御部14は図3で説明したようにショートブレーキON状態となうように、リレー回路172を制御し(ステップS11)、その後、電源をOFFする。
このように、作用力検出部11が歩行補助車1を押す力を検出したとき、その検出値が一定の閾値を超えている場合には、使用者が歩行しようとしているときであるから、ショートブレーキは解除されるが、それ以外の場合にはブレーキがかかっているようにする。このような構成にすることで、例えば使用者が歩行補助車1に体重を預けたまま立ち休憩をしようとしてバランスを崩したり、座席シート7に座って休憩しようとする際にパーキングブレーキをかけ忘れていて歩行補助車1が動き出したり、坂道等で立ち止まろうとする際に重力によって動き出したりするといった不慮の転倒事故が防げ、さらに、電源を入れ忘れたまま使用しようとした場合や、バッテリが切れた場合でも常にブレーキ力を発生させることが可能となるので、より多くの事故を未然に防ぐことができる。
(作用力に基づく他のアシスト制御)
本実施の形態では、作用力検出部11の検出に基づき、ショートブレーキ力を調整することにより、歩行補助車1が急に動き出すことを防止する。
図6(A)〜(C)は、ショートブレーキ力の大きさを模式的に説明するタイミングチャートであり、横軸に時間経過がとられ、縦軸にブレーキ作用信号の信号レベル(ON/OFF)がとられている。移動制御部14は、ブレーキ作用信号を、例えば図6(A)〜(C)のようにパルス状に変化させる信号生成部を有する。図6では、パルス幅(ON期間)の長さに従い、図6(A)〜(C)のブレーキ力a〜cの関係は、ブレーキ力a>ブレーキ力b>ブレーキ力cを示す。
例えば、歩行補助車1にショートブレーキON状態において歩行補助車1が停止している場合に、使用者が歩行補助車1を押して歩行を始めようとするときに、移動制御部14は、ショートブレーキ力が徐々に低下する(弱くなる)ように上記の信号生成部を制御する。つまり、ブレーキ力a→ブレーキ力b→ブレーキ力cと変化させるように制御することで、歩行補助車1が急に動き出すことを防止できる。
上述の歩行開始は、移動制御部14により判定される。具体的には、移動制御部14は回転数検出部13が検出する車輪の回転数および作用力検出部11の検出力の両方から判定する。つまり回転数が0から増加し始めて、且つグリップ2にかかる作用力が閾値以上であると判定した場合に、歩行を開始したと判定する。
なお、ショートブレーキがかかり歩行補助車1が停止している状態で、物がぶつかるなどして不意に作用力検出部11によって作用力が検出された場合であっても、作用力は一時的に増加するが、その後は検出されなくなる。したがって、一時的にブレーキ力が低下するものの、すぐに元のブレーキ力に戻すことができるため安全性を確保することができる。
[実施の形態2]
上述では、歩行補助車1の折り畳み状態または作用力の検出に基づき、ショートブレーキ力を制御(図5のステップS5参照)したが、本実施の形態2のように、歩行補助車1の基体の傾きからショートブレーキ力を制御することもできる。この制御は、図5のステップS5aにおいて実施される。なお、図5の他のステップの処理は、実施の形態1で説明したものと同様であるから、ここでは説明を繰返さない。
図7は、実施の形態2に係る歩行補助車1の機能構成図である。図2の構成と比較し異なる点は、移動制御部14に代替して移動制御部14aを有し、また傾斜検出部12を追加して備える点にある。図7の他の構成は、図2に示したものと同様であり、説明は繰返さない。移動制御部14aは、実施の形態1の移動制御部14の機能に追加して、歩行補助車1の基体がどちら向きに進んでいるのかを検出する進行方向検出部16の機能を有する。進行方向検出部16は、回転数検出部13の検出出力が示す車輪の回転方向から進行方向(図1(A)の矢印方向)を検出する。また、傾斜検出部12は、傾斜センサ6の検出出力から基体8の傾斜の大きさ(傾斜度)を検出する。なお、進行方向および傾斜の検出方法は、これに限定されない。傾斜センサ6は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはそれらを組合わせたものを適用するが、これらに限定されない。
実施の形態2のステップS5aの処理では、移動制御部14aは、傾斜検出部12の検出値と閾値を比較して歩行補助車1が置かれた面が傾斜しているか否かを判定する。傾斜していると判定した場合に、進行方向検出部16が検出する進行方向(図1(A)の矢印方向)と傾斜度に従い、歩行補助車1は下り坂移動中、または上り坂移動中のいずれであるかを判定する。
移動制御部14aは、下り坂移動中ではショートブレーキ力が増加するように上述のパルス幅(図6(A)〜(C)を参照)を制御して抑速力を増加させる。例えば、ブレーキ制御信号のパルス幅を図6(A)から図6(B)に変更する。一方、上り坂移動中では抑速力であるショートブレーキ力を減少させる。例えば、ブレーキ制御信号のパルス幅を図6(B)から図6(A)に変更して、アシスト力が増加するように制御する。
移動制御部14aは、出力するブレーキ制御信号のパルス幅の変更を、すなわちショートブレーキ力とアシスト力の変更を、傾斜角度に応じて実施する。この変更制御の具体的内容を図8を参照して説明する。
図8は、実施の形態2に係るアシスト力と抑速力(ショートブレーキ力)の設定値が格納されたテーブル30を説明するための図である。テーブル30は、図1(C)のメモリ22に格納されており、またテーブル30の設定値のデータは、予め実験等により取得される。図8を参照して、テーブル30には、基体の傾斜31の各大きさに対応して、移動制御部14aが決定する制御方法32が示す駆動率データが格納される。移動制御部14aは、傾斜検出部12の出力から取得した傾斜度に基づきテーブル30を検索し、対応する制御方法32の駆動率データを読出し、読出した駆動率データが示す駆動率(アシスト力と抑速力)が示すパルス幅のブレーキ制御信号が出力されるように信号生成部を制御する。
手押し車で下り坂を移動する際には、車が自走していかないように使用者は手で支えながら歩行する等の負担がかかっていたが、実施の形態2では、図8の設定値に示すように、下り坂における歩行開始時にショートブレーキを解除していく場合に、抑速力を完全にゼロとすることなく、傾斜角度に応じた値に維持する(傾斜が大きいほど、大きい抑速力を維持する)ことができる。したがって、歩行補助車1が自走していかず、また使用者の体重を支えながら楽に坂道を下ることができるようになり、下り坂での使用者の負担を軽減することができる。
なお、傾斜センサ6によって基体の左右方向の傾斜を検出した時には、音または光を用いて使用者に通知し、基体の姿勢を立て直すように注意を促すとしてもよい。
(実施の形態2の変形例)
本実施の形態2では、傾斜センサ6を、折り畳み状態を検出するため検出部として兼用することもできる。この場合には、折り畳み状態を専用センサ(回転角検出部15a)を用いずに検出することができる。
図9は、実施の形態2に係る折り畳み機構を模式的に示す図である。図9の機構を図4のそれと比較して異なる点は、図9では、折り畳み時(図9(B)参照)と使用時等の展開時(図9(A)参照)で大きく角度が変化するクロスフレーム9の一方に、傾斜センサ6を取付けた制御基板ボックス151を固定して備える点と、図4の回転角検出部15aを備えていない点にある。他の構成は図4と同様であり、説明は繰返さない。図9(A)のスイッチ18については実施の形態4で後述する。
図9(A)の展開時に比べて、図9(B)の折り畳み時は傾斜センサ6が検出する傾斜度は大きくなる。ここでは、傾斜センサ6を、展開状態から折り畳み状態に変化する場合に左右方向に傾きが大きく変化する部位であるクロスフレーム9に取付けたが、取付け部位は、クロスフレーム9に限定されない。
折り畳み検出部15は、傾斜センサ6の出力から左右方向の傾斜度と閾値との比較から、基体が折り畳まれた状態であると判定したとき、判定結果に基づき、移動制御部14aは、歩行補助車1を停止させるブレーキON状態とするようにリレー回路172に出力する。これにより、実施の形態1と同様に、手押し車が折り畳まれたまま使用されることによる事故を防ぎ、安全性を確保することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、実施の形態1と2の変形例として、折り畳み状態を検出するための回転角検出部15aまたは傾斜センサ6に代替してリードスイッチを用いる場合を説明する。
図10は、実施の形態3に係る歩行補助車1のメインフレームとクロスフレームのヒンジ部の拡大図である。図10に示すように、クロスフレーム9にリードスイッチ19を、メインフレームに磁石17を配置してスイッチ回路を構成する。展開状態時(図10(A)参照)にはリードスイッチ19は磁石17と離れた位置にあるのでリードスイッチの出力はOFFとなるが、折り畳み状態時(図10(B)参照)にはリードスイッチ19は磁石17と近接して出力はONに変化する。このような構成とすると、折り畳み動作と同時にスイッチ回路が直接切り替えられる。移動制御部14(または14a)は、スイッチ回路の出力により、電源状態にかかわらずショートブレーキON状態と通常状態(ショートブレーキ解除)を切替えることができるので、バッテリ取り外し時や、電源が切れた状態でも安全性を確保することができる。
[実施の形態4]
実施の形態4では、実施の形態1〜3の変形例として、ショートブレーキON状態を解除するためのスイッチ18(図9(A)参照)を歩行補助車1に備える場合を説明する。ここでは、スイッチ18の操作により、モータ5(すなわち後輪4)がブレーキ力により停止した状態を強制的に解除して、移動可能状態に切替えることができる。
スイッチ18は、ユーザ操作によりON/OFFの切替え操作がされる。外部からのスイッチ18の切替え操作により、リレー回路172が切替えられて、ブレーキ制御信号なしでも常にショートブレーキOFF状態とされる。
使用者のスイッチ18の操作によって、ショートブレーキを解除することができるようにすることで、電池部25のバッテリが切れた時に使用者が身動きを取れなくなったり、使用者以外の人(たとえば介助者)が歩行補助車1を、運搬目的で折り畳んだまま押して移動させる際などに利便性を損なうことがない。
また、ショートブレーキ解除のスイッチ18は、使用中に誤って触れることがないよう、手の届きにくい部位、例えば座席シート7の裏側に配置した制御基板ボックス151上に配置する。なお、スイッチ18の操作により、ショートブレーキを解除する方法については、本実施の形態の方法に限られず、スイッチ18の操作に連動した機構的なクラッチを、後輪4とモータ5の間に設ける等の構造を用いても同じ効果を得ることができる。
1 歩行補助車、2 グリップ、3 前輪車輪、4 後輪車輪、5 モータ、6 傾斜センサ、7 座席シート、8 基体、9 クロスフレーム、10 制御部、11 作用力検出部、12 傾斜検出部、13 回転数検出部、14,14a 移動制御部、15 折り畳み検出部、15a 回転角検出部、16 進行方向検出部、17 磁石、18 スイッチ、19 リードスイッチ、172 リレー回路。

Claims (5)

  1. 折り畳み可能な基体と、
    前記基体に設けられて、前記基体を移動させるための駆動輪と、
    前記駆動輪を駆動するための駆動部と、
    前記基体が折り畳まれた状態であるか否かを検出する折り畳み検出部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記折り畳み検出部により前記基体は折り畳まれた状態であると検出した場合に、前記駆動輪への駆動力が、ブレーキ力に変化するように前記駆動部を制御する、歩行補助装置。
  2. 基体の傾斜を検出する傾斜検出部を、さらに備え、
    前記折り畳み検出部は、前記傾斜検出部が検出する傾斜度から、前記基体が折り畳まれた状態であるか否かを検出する、請求項1に記載の歩行補助装置。
  3. 前記制御部は、さらに、
    前記駆動力が前記傾斜検出部により検出された傾斜度に従い変化するよう、前記駆動部を制御する傾斜制御部を含む、請求項2に記載の歩行補助装置。
  4. 前記基体にかかる作用力を検出する作用力検出部を、さらに備え、
    前記制御部は、
    前記歩行補助装置が電源OFFからONに操作されたとき、前記作用力検出部が検出する作用力の大きさに基づき、前記駆動輪へのブレーキ力が駆動力に変化するように前記駆動部を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の歩行補助装置。
  5. 前記駆動部を、前記駆動輪へのブレーキ力を解除して駆動力を出力するように制御するためのユーザが操作可能な操作部を、さらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の歩行補助装置。
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