以下に、本願発明を具体化した実施形態について、作業車両であるトラクタを例に挙げて図面に基づき説明する。
まず始めに、図1〜図10を参照しながら、トラクタ1の概要について説明する。実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載した動力源としてのコモンレール式のディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)で後車輪4及び前車輪3を駆動することによって、トラクタ1が前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが配置されている。キャビン7の左右下部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられている。キャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
走行機体2は、前バンパー12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部に着脱自在に固定した左右の機体フレーム15とにより構成されている。前車軸ケース13の左右両端側から外向きに、前車軸16を回転可能に突出させている。前車軸ケース13の左右両端側に前車軸16を介して前車輪3を取り付けている。機体フレーム15の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17を連結している。左右の機体フレーム15及びミッションケース17の下面側には、左右外向きに張り出した底面視矩形枠板状のタンクフレーム18をボルト締結している。実施形態の燃料タンク11は左右二つに分かれている。タンクフレーム18の左右張り出し部の上面側に、左右の燃料タンク11を振り分けて搭載している。ミッションケース17の左右外側面には、左右の後車軸ケース19をから外向きに突出するように装着している。左右の後車軸ケース19には左右の後車軸20を回転可能に内挿している。ミッションケース17に後車軸20を介して後車輪4を取り付けている。左右の後車輪4の上方は左右のリヤフェンダー21によって覆われている。
ミッションケース17の後部上面には、例えばロータリ耕耘機といった作業機を昇降動させる油圧式昇降機構22を着脱可能に取り付けている。ロータリ耕耘機等の作業機は、
左右一対のロワーリンク23及びトップリンク24からなる3点リンク機構を介してミッションケース17の後部に連結される。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機等の作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後ろ向きに突設している。
エンジン5の後側面から後ろ向きに突設するエンジン出力軸(図示省略)には、フライホイル26を直結するように取り付けている。両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、フライホイル26から後ろ向きに突出した主動軸27と、ミッションケース17前面側から前向きに突出した主変速入力軸28とを連結している(図1、図7及び図10参照)。ミッションケース17内には、油圧無段変速機、前後進切換機構、走行副変速ギヤ機構及び後輪用差動ギヤ機構を配置している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17の主変速入力軸28に伝達され、油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構によって適宜変速される。そして、当該変速動力が後輪用差動ギヤ機構を介して左右の後車輪4に伝達される。
ミッションケース17の前面下部から前向きに突出した前車輪出力軸30には、前車輪駆動軸31を介して、前輪用差動ギヤ機構(図示省略)を内蔵する前車軸ケース13から後向きに突出した前車輪伝達軸(図示省略)を連結している。ミッションケース17内の油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構による変速動力は、前車輪出力軸30、前車輪駆動軸31及び前車輪伝達軸から前車軸ケース13内の前輪用差動ギヤ機構を経由して、左右の前車輪3に伝達される。
次に、図1〜図4を参照しながら、キャビン7内部の構造について説明する。キャビン7内における操縦座席8の前方にステアリングコラム32を配置している。ステアリングコラム32は、キャビン7内部の前面側に配置したダッシュボード33の背面側に埋設するような状態で立設している。ステアリングコラム32上面から上向きに突出したハンドル軸の上端側に、平面視略丸型の操縦ハンドル9を取り付けている。
ステアリングコラム32の右側には、ロータリ耕耘機等の作業機を最上昇位置や最下降位置に強制的に移動させるワンタッチ昇降レバー34と、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル35とを配置している。ステアリングコラム32の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー36(リバーサレバー)と、動力継断用のクラッチ(図示省略)を遮断操作するためのクラッチペダル37とを配置している。
ステアリングコラム32の左側で前後進切換レバー36の下方には、前後進切換レバー36に沿って延びる誤操作防止体38(リバーサガード)を配置している。接触防止具である誤操作防止体38を前後進切換レバー36下方に配置することによって、トラクタ1に乗降する際に、オペレータが前後進切換レバー36に不用意に接触するのを防止している。ダッシュボード33の背面上部側には、液晶パネルを内蔵した操作表示盤39を設けている。
キャビン7内にある操縦座席8前方の床板40においてステアリングコラム32の右側には、エンジン5の回転速度又は車速を制御するアクセルペダル41を配置している。なお、床板40上面の略全体は平坦面に形成している。操縦座席8を挟んで左右両側にはサイドコラム42を配置している。操縦座席8と左サイドコラム42との間には、左右両後車輪4を制動状態に維持する操作を実行するための駐車ブレーキレバー43と、トラクタ1の走行速度(車速)を強制的に大幅に低減させる超低速レバー44(クリープレバー)と、ミッションケース17内の走行副変速ギヤ機構の出力範囲を切り換えるための副変速レバー45と、PTO軸25の駆動速度を切り換え操作するためのPTO変速レバー46
とを配置している。操縦座席8の下方には、左右両後車輪4の差動駆動をオンオフするためのデフロックペダル47を配置している。操縦座席8の後方左側には、PTO軸25を逆転駆動させる操作を実行する逆転PTOレバー48を配置している。
操縦座席8と左サイドコラム42との間には、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるためのアームレスト49を設けている。アームレスト49は、操縦座席8とは別体に構成すると共に、トラクタ1の走行速度を増減速させる主変速レバー50と、ロータリ耕耘機といった作業機の高さ位置を手動で変更調節するダイヤル式の作業部ポジションダイヤル51(昇降ダイヤル)とを備えている。なお、アームレスト49は、後端下部を支点として複数段階に跳ね上げ回動可能な構成になっている。
左サイドコラム42には、前側から順に、エンジン5の回転速度を設定保持するスロットルレバー52と、PTO軸25からロータリ耕耘機等の作業機への動力伝達を継断操作するPTOクラッチスイッチ53と、ミッションケース17の上面側に配置する油圧外部取出バルブ430(サブコントロールバルブ、図42参照)を切換操作するための複数の油圧操作レバー54(SCVレバー)とを配置している。ここで、油圧外部取出バルブは、トラクタ1に後付けされるフロントローダといった別の作業機に作動油を供給制御するためのものである。実施形態では、油圧外部取出バルブ430の数(4連)に合わせて、油圧操作レバー54を4つ配置している。
次に、図11〜図27を参照しながら、キャビン7の詳細構造について説明する。走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300を備えている。キャビンフレーム300は、操縦座席8の前方に位置する左右一対の前支柱301と、操縦座席8の後方に位置する左右一対の後支柱302と、前支柱301同士の上端部間を連結する前梁部材303と、後支柱302同士の上端部間を連結する後梁部材304と、前後に並ぶ前支柱301と後支柱302との上端部間を連結する左右の側梁部材305とを備えた略箱枠状のものである。キャビンフレーム300の上端側、すなわち前梁部材303、後梁部材304及び左右の側梁部材305で構成した矩形枠上には屋根体306を着脱可能に取り付けている。
各前支柱301の下端側には、左右内向きに延びる前下部プレート板307の左右外端側を連結している。左右両前下部プレート板307の左右内端側に、ダッシュボード33を固定支持する縦長のボード支持板308を連結し、左右両前支柱301の間にボード支持板308を立設している。一方、左右両後支柱302の下端部間には、後梁部材304と平行状に延びる後中間梁部材309を連結している。後中間梁部材309には、下向きに延びる左右一対の後下部フレーム310の上端側を連結している。前後に並ぶ前下部プレート板307と後下部フレーム310の下端側とには、前後に延びる底フレーム311の長手方向各端部を連結している。
各後支柱302の下端側には、リヤフェンダー21の形状に沿わせて側面視で前方且つ上方に膨らむように湾曲したフェンダフレーム312の後端上部側を連結している。各フェンダフレーム312の前端下部側は、対応する前支柱301の下部から後向きに突出したサイドフレーム313の後端側に連結している。各サイドフレーム313には、前下部プレート板307の左右外端側も連結している。各フェンダフレーム312の左右外面側及びこれに対応する後下部フレーム310の左右外面側に、左右のリヤフェンダー21を取り付けている。
後中間梁部材309と左右の後下部フレーム310とには、後中間梁部材309及び左右の後下部フレーム310で囲まれた領域を覆う後カバー板314を取り付けている。後カバー板314の下端側と左右の底フレーム311とには、側面視L字板状の座席支持板
315を取り付けている。座席支持板315上に操縦座席8が配置される。左右のフェンダフレーム312、後下部フレーム310及び底フレーム311には、後車輪4の前部内面側に沿わせた膨出形状のフェンダ内板316を取り付けている。左右のフェンダ内板316上にサイドコラム42が配置される。左右の前下部プレート板307、底フレーム311の前部側、サイドフレーム313及び座席支持板315の前端側に床板支持プレート317を取り付けて支持している。左右の床板支持プレート317上に床板40が配置される。左右のフェンダフレーム312の前端下部側とこれに対応する底フレーム311の前後中途部とは、左右横長の補助フレーム318で連結している。
キャビンフレーム300の前面側、すなわち左右の前支柱301、前梁部材303及び左右の前下部プレート板307で囲まれる領域には、フロントガラス321を配置している。キャビンフレーム300の後面側、すなわち左右の後支柱302、後梁部材304及び後中間梁部材309で囲まれる領域には、リヤガラス322を配置している。キャビンフレーム300の左右側面側、すなわち前後に並ぶ前支柱301及び後支柱302、側梁部材305、フェンダフレーム312及びサイドフレーム313で囲まれる領域には、透明なガラスで構成したサイドドア323を配置している。各サイドドア323は、対応する後支柱302に上下一対のヒンジ324を介して開閉可能に取り付けている。
フロントガラス321、リヤガラス322及び左右のサイドドア323の配置構造から明らかなように、各支柱301,302及び各梁部材303,304,305はキャビン7(キャビンフレーム300)の側辺部に位置している。このため、キャビンフレーム300の前後左右側面に窓を広く取ることが可能になっている。実施形態では、キャビンフレーム300の前後左右側面に、フロントガラス321、リヤガラス322及び左右のサイドドア323(透明なガラス製)を配置している。その結果、オペレータの前後左右の視界を確保することと、キャビンフレーム300の剛性を確保することとを両立している。
図22〜図25に示すように、左右の前下部プレート板307の前部側は、防振部材としての前防振ゴム体98を介して、左右の機体フレーム15に取り付けた前部支持台96に連結している。また、左右の後下部フレーム310と底フレーム311との連結部(突合せ部)には、左右外向きに張り出したベースブラケット327を設けている。左右のベースブラケット327は、防振部材としての後防振ゴム体99を介して、左右の後車軸ケース19上に取り付けた後部支持台97に連結している。従って、走行機体2は、複数の防振ゴム体98,99を介してキャビン7を防振支持している。
図11〜図27に示すように、キャビンフレーム300には、灯具部材取付け用の各種支持ステー331,335,338,343を設けている。すなわち、前梁部材303の長手中途部には、左右一対の前上段支持ステー331を溶接固定している。各前上段支持ステー331は前方斜め上向きに突出した薄板状のものである。各前上段支持ステー331には、前方下向きに延びる前取付け片332を介して、灯具部材の一例である前上段作業灯333を取り付けている。左右の前上段作業灯333は、トラクタ1の前方を照らすものである。左右の前上段作業灯333は、オペレータの前方視界を妨げないように、正面視で前梁部材303と重なるように位置させている。屋根体306の前部側には、各前上段作業灯333が嵌まるように上向きに凹んだ凹み部334(膨出部ともいえる)を形成している。キャビンフレーム301の上端側に屋根体306を取り付ける際は、前部側の各凹み部334に前上段作業灯333が収まるため、屋根体306と各前上段作業灯333とが干渉することはない。
一方、左右の後支柱302の上端側には、オペレータの前方視界を妨げないように、平面視で後梁部材304及び左右の側梁部材305の両方から遠ざかる左右外向きの後方に
突出した後上段支持ステー335の基端側を溶接固定している。各後上段支持ステー335の先端側に、後向きに延びる後取付け片336を介して、灯具部材の一例である後上段作業灯337を取り付けている。左右の後上段作業灯337は、トラクタ1の後方(作業機等)を照らすものである。実施形態では、後梁部材304ではなく各後支柱302の上端側に後上段支持ステー335を設けることによって、オペレータの後方視界を良好に確保しながら、左右の後上段支持ステー335の間に、屋根体306の後部側の配置スペース(空気調和機364を収容する後部カバー363の配置スペース)を確保している。
左右の前支柱301の上下中途部には、前中段支持ステー338の基端側を溶接固定している。各前中段支持ステー338の先端側に、灯具部材の一例である前複合灯339及び前中段作業灯340を取り付けている。各前中段支持ステー338は、前複合灯339及び前中段作業灯340がオペレータの前方視界を妨げないように、平面視で前梁部材303及び左右の側梁部材305の両方から遠ざかる左右外向きの前方に突出し、長手中途部から前向きに延びるように湾曲している。前複合灯339は、トラクタ1の前方にいる車や人に対してトラクタ1の車幅及び左右回動等の意思を示すものであり、実施形態の前複合灯339は方向指示灯と車幅灯とで構成している。左右の前中段作業灯340はトラクタ1の前方を照らすものである。実施形態では、各前中段支持ステー338の先端側に上下長手の取付けブラケット341を設け、取付けブラケット341の前面側に前複合灯339を取り付けている。取付けブラケット341の上端側に前中段作業灯340を取り付けている。なお、左右の前支柱301において前中段支持ステーより上方には、ミラーステー341を介してサイドミラー342を取り付けている。ミラーステー341も、オペレータの前方視界を妨げないように、平面視で前梁部材303及び左右の側梁部材305の両方から遠ざかる左右外向きの前方に延びている。
左右の後支柱302の下部には、上下長手の後下段支持ステー343の前面側を溶接固定している。各後下段支持ステー343の後面側に、灯具部材の一例である後複合灯344及び後下段作業灯345を取り付けている。各後下段支持ステー343は、後複合灯344及び後下段作業灯345がオペレータの後方視界を妨げないように、背面視で左右の後支柱302から左右外向きに張り出させている。後複合灯344は、トラクタ1の後方にいる車や人に対してトラクタ1の減速、停止、後退及び左右回動等の意思を示すものであり、実施形態の後複合灯344は尾灯と制動灯と後退灯と方向指示灯とで構成している。左右の後下段作業灯345はトラクタ1の左右側方を照らすものである。実施形態では、各後下段支持ステー343の前面側に後複合灯344を取り付けている。後下段支持ステー343の上端側に後下段作業灯345を取り付けている。前複合灯339と後複合灯とはほぼ同程度の上下高さ位置に設定している。
なお、詳細は図示していないが、実施形態ではキャビンフレーム300を中空状に形成し、当該中空状の内部をケーブル類挿通用の配線通路に構成している。そして、各支柱301,302、梁部材303,304及び支持ステーに形成した切欠き穴(図示省略)からケーブルを引き出し、当該ケーブルを各灯具部材333,337,339,340,344,345に接続している。
上記の記載並びに図11〜図27から明らかなように、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は、骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビンフレーム300の上端側に配置した屋根体306とを有する作業車両1において、灯具部材333,337,339,340,344,345を取り付ける支持ステー331,335,338,343を前記キャビンフレーム300に設けているから、前記キャビンフレーム300に前記灯具部材333,337,339,340,344,345を直接取り付けできる。このため、製造ラインでの組付け作業性向上に寄与して、コストダウンを図れる。
また、前記キャビンフレーム300は、左右一対の前支柱301と、左右一対の後支柱302と、前記前支柱301同士の上端部間を連結する前梁部材303と、前記後支柱302同士の上端部間を連結する後梁部材304と、前後に並ぶ前記前支柱301と前記後支柱302との上端部間を連結する側梁部材305とを備え、前記各前支柱301の上下中途部に設けた前記支持ステー338に、前記灯具部材としての前複合灯339及び前中段作業灯340を取り付け、前記各後支柱302の下部に設けた支持ステー343には、前記灯具部材としての後複合灯344及び後下段作業灯345を取り付けているから、前記各前支柱301側の支持ステー338には、前複合灯339及び前中段作業灯340をまとめて取り付けでき、前記各後支柱302側の支持ステー343には、後複合灯344及び後下段作業灯345をまとめて取り付けできる。すなわち、前記各支持ステー338,343を前記複数の灯具部材339,340,344,345に対する支持部材として兼用でき、部品点数の削減に寄与できる。また、前記複数の灯具部材339,340,344,345に対するケーブル類の取り回しも簡単化できる。前記キャビン7内からの前後左右の視界の確保も容易である。
上記の記載並びに図11〜図27から明らかなように、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は、骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビンフレーム300の上端側に配置した屋根体306とを有する作業車両1において、前記キャビンフレーム300は、左右一対の前支柱301と、左右一対の後支柱302と、前記前支柱301同士の上端部間を連結する前梁部材303と、前記後支柱302同士の上端部間を連結する後梁部材304と、前後に並ぶ前記前支柱301と前記後支柱302との上端部間を連結する側梁部材305とを備え、前記前梁部材303の長手中途部に設けた左右一対の支持ステー331に前上段作業灯333をそれぞれ取り付ける一方、前記各後支柱302の上端側に設けた支持ステー335には後上段作業灯337を取り付けているから、前記前梁部材303に前記前上段作業灯333を直接取り付けできると共に、前記後梁部材304に前記後上段作業灯337を直接取り付けできる。このため、製造ラインでの組付け作業性向上に寄与して、コストダウンを図れる。しかも、前記屋根体306に前記各上段作業灯333,337を取り付けたりケーブル類を引き回したりする必要がないから、前記キャビンフレーム300に対する前記屋根体306の組付け作業も簡素化できる。この点においても製造ラインでの組付け作業性向上に貢献する。
また、前記各前上段作業灯333を正面視で前記前梁部材303と重なるように位置させているから、前記操縦座席8に着座したオペレータの前方視界を前記各前上段作業灯333が遮るおそれを格段に低減でき、オペレータの前方視界を良好に確保できる。
次に、図11〜図23を参照しながら、キャビン7の左右下部に設けたステップ10の詳細構造について説明する。図11〜図23に示すように、前後に並ぶ前車輪3と後車輪4との間でキャビン7の左右下部側には、オペレータが乗降するステップ10を吊り下げて設けている。実施形態のステップ10は、複数の踏板段部351(実施形態では二段)と、これら踏板段部351に連結する前後の側板部352,353とを備えている。複数の踏板段部351は、下段に行くほど後車輪4から遠ざかるように前後方向に互いの位置をずらしている。実施形態では、下段側の踏板段部351の方が上段側の踏板段部351よりも前方にずれた位置にある。
この場合、前側板部352は正面視で略L字状に形成している。前側板部352における縦長部354の上端側は、各前支柱301の下端側に溶接固定したブラケット片355にボルト締結している。前側板部352における縦長部354の上下中途箇所には、上段側の踏板段部351の前端側を固定している。前側板部352の下端水平部356には、下段側の踏板段部351の前端側を固定している。前側板部352の下端水平部356は
縦長部よりも前方に張り出している。
後側板部353の上端側は、左右のフェンダフレーム312と底フレーム311とをつなぐ補助フレーム318にボルト締結している。後側板部353の上下中途部には、上段側の踏板段部351の後端側を固定している。後側板部353の下端側には、下段側の踏板段部351の後端側を固定している。後側板部353は前方斜め下向きに傾斜していて上下中途部付近で更に前向きに屈曲している。このように構成すると、キャビン7に乗車するオペレータの移動方向を操縦座席8に向かう後方斜め上向きに向け易くなる(各踏板段部351のずらし配置によってオペレータの動線を操縦座席8に向けることが可能になる)。従って、キャビン7への乗降性を格段に向上できる。
図13、図19、図22及び図23に示すように、後側板部353の左右方向の幅は前側板部352(縦長部354)の左右方向の幅よりも広く設定している。このように構成すると、オペレータが各踏板段部351に足を載せる際に前側板部352(縦長部354)の存在が邪魔にならず、この点でもキャビン7への乗降性向上に貢献する。また、後側板部353が幅広であるから、後側板部353の存在によって後車輪4の泥はねを効果的に抑制できる。
上記の記載並びに図11〜図23から明らかなように、エンジン5を搭載した走行機体2と、前記走行機体2を支持する左右一対の前車輪3及び後車輪4と、前記走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7と、前記キャビン7内に乗降するためのステップ10とを備える作業車両1において、前後に並ぶ前記前車輪3と前記後車輪4との間で前記キャビン7の左右下部側に、前記ステップ10を吊り下げて設けた構造であって、前記ステップ10は、複数の踏板段部351と、これら踏板段部351に連結する前後の側板部352,353とを備え、前記複数の踏板段部351は、下段に行くほど前記後車輪4から遠ざかるように前後方向に互いの位置をずらしているから、前記キャビン7内外に向かうオペレータの動線に沿って前記各踏板段部351を位置させることになり、前記キャビン7への乗降性を格段に向上できる。
また、前記後側板部353の左右方向の幅を前記前側板部352(縦長部354)の左右方向の幅よりも広く設定しているから、オペレータが前記各踏板段部351に足を載せる際に前記前側板部352の存在が邪魔にならず、この点でも前記キャビン7への乗降性向上に貢献する。また、前記後側板部353が幅広であるから、前記後側板部353の存在によって前記後車輪4の泥はねを効果的に抑制できる。
次に、図1、図2、図11、図14、図28及び図29を参照しながら、屋根体306内外の空調構造について説明する。キャビンフレーム301の上端側に取り付けた屋根体306は、外装であるアウタールーフ361と、キャビン7の天井を構成するインナールーフ362と、後梁部材304よりも後方に突出した後部カバー363を備えている。インナールーフ362及び後部カバー363をアウタールーフ361で上方から覆うことによって、屋根体306内部を中空状に構成している。従って、アウタールーフ361の後部側も後梁部材304より後方に延びている。各前上段作業灯333が嵌まる凹み部334(膨出部)はアウタールーフ361の前部側に形成している。
屋根体306内部は、インナールーフ362と後部カバー363とによって前後二室に区画している。インナールーフ362側の空間が前室に相当し、後部カバー363側の空間が後室に相当する。屋根体306内部の後室側(後部カバー363側)には、キャビン7内の空調を管理する空気調和機364を収容している。空気調和機364は、エンジン5の冷却水を利用した暖房や、エンジンによって駆動するコンプレッサ、コンデンサ及びエバポレータ等を利用した冷房によって、キャビン7内の空調(室内温度)を調節するも
のである。空気調和機364を後梁部材304よりも後方に突出した後部カバー363側に配置することによって、キャビン7の全高が必要以上に高くなるのを防いでいる。特に実施形態では、後梁部材304ではなく各後支柱302の上端側に後上段支持ステー335を設けることによって、オペレータの後方視界を良好に確保しながら、左右の後上段支持ステー335の間に、屋根体306の後部側の配置スペース(空気調和機364を収容する後部カバー363の配置スペース)を確保している。
後部カバー363はキャビンフレーム300の後梁部材304に連結している。従って、後部カバー363及び空気調和機364はキャビンフレーム300の後梁部材304で支持している。後部カバー363の周縁部にはシール材365を取り付けている。インナールーフ362及び後部カバー363上にアウタールーフ361を被せて取り付けた状態では、アウタールーフ361の内面側にシール材365が密着し、屋根体306内部の後室側(後部カバー363側)が密閉状になる。
アウタールーフ361の左右側部は、左右内側に向かう斜め下向きに切り落としたように傾斜している。アウタールーフ361の左右側部のうちエンジン5の排気ガスを外部に放出するテールパイプ229(図1〜図10参照)と反対側の側部には、屋根体306内部の後室側(後部カバー363側)を外部と連通させる外気取入れ口366を形成している。この場合、テールパイプ229は、キャビン7の前方右側において下方から上方に向けて延びるように立設している(右前支柱301に沿って延びている)。これに対して外気取入れ口366はアウタールーフ361左側部の後部側(後部カバー363と対応する箇所)に形成している。外気取入れ口366は、後部カバー363の左側壁部に形成した連通口(図示省略)を介して、後部カバー363内の空気調和機364に左側方から臨ませている。外気取入れ口366には、格子状の通気枠体367を装着している。詳細な図示は省略するが、後部カバー363の左側壁部に形成した連通口には除塵フィルタを取り付けている。一方、操縦座席8に着座したオペレータの後頭部に対峙するインナールーフ362の後部側には、後部カバー363内とキャビン7内とを連通させる内気取入れ口368を形成している。内気取入れ口368には格子状の通気枠体369を装着している。
後部カバー363内には、後部カバー363の左側壁部に形成した連通口を開閉する内外気切換シャッター板370を配置している。内外気切換シャッター板370はアクチュエータ371の駆動によって開閉回動するように構成している。内外気切換シャッター板370を開放動させると、後部カバー363の連通口が開放され、後部カバー363内の空気調和機364の駆動によって、外気取入れ口366から連通口を経て後部カバー363内に外部空気が導かれる。内外気切換シャッター板370を閉止動させると、後部カバー363の連通口が閉止されて外気取入れ口366から外部空気が入らなくなり、空気調和機364の駆動によって、内気取入れ口368から後部カバー363内にキャビン7内の空気が導かれる。実施形態では、内外気切換シャッター板370の開度(開閉程度)によって、後部カバー363内の空気調和機364に導かれる外気と内気との割合を調節できる。
空気調和機364の前面側に形成した調整空気放出口372には、後室側(後部カバー363側)から前室側(インナールーフ362側)に調整空気を案内する平面視二股状の空調ダクト373の上流側を接続している。空調ダクト373の上流側は、内気取入れ口368の上方に位置していて、後部カバー363の前面側とインナールーフ362の後面側とを貫通してから左右に二股状に分岐している。空調ダクト373の二股状のダクト部374は、前梁部材303、後梁部材304及び左右の側梁部材305で構成した矩形枠に沿って平面視矩形状に延びている。空調ダクト373の各ダクト部374の中途部分には、インナールーフ362の左右両側部に設けた冷暖房用吹出し口375とダクト部374との連通状態を調節する調節シャッター板376を配置している。左右の調節シャッタ
ー板376はアクチュエータ377及びプッシュプルワイヤー378によって連動して回動するように構成している。空調ダクト373の各ダクト部374の下流側は、インナールーフ362の前部に設けた曇り取り用吹出し口379に連通している。各吹出し口375,379には、空気調和機364からの調整空気の風量や風向を変更調節するフィン(図示省略)を設けている。
左右両調節シャッター板376によって、各ダクト部374の下流側への流れ(各曇り取り用吹出し口379への流れ)を塞ぐと、空気調和機364からの調整空気は、左右の冷暖房用吹出し口375だけからキャビン7内に吹き出す。左右両調節シャッター板376によって、左右の冷暖房用吹出し口375への流れを塞ぐと、空気調和機364からの調整空気は、左右の曇り取り用吹出し口379だけからキャビン7内に吹き出す。左右両調節シャッター板376の回動角度に応じて、冷暖房用吹出し口375からの調整空気の風量と、曇り取り用吹出し口379からの調整空気の風量とを調節できる。
図28及び図48に示すように、屋根体306の前室の天井を構成するインナールーフ362の上面側に吸音材444を配置している。インナールーフ362内に吸音材444を収容している。実施形態の吸音材444は、例えば発泡ウレタンや軟質ウレタン、石膏ボード、グラスウール等からなっている。この場合、インナールーフ362に天井穴445を形成している。インナールーフ362の天井穴445の箇所には、天井穴445を塞ぐ閉塞板446を着脱可能に取り付けている。閉塞板446の上面側に吸音材444を接着剤等によって貼着している。天井穴445を覆うように閉塞板446をインナールーフ362に取り付けることによって、インナールーフ362内(アウタールーフ361とインナールーフ362との間)に吸音材444が収容される。
上記の記載並びに図1、図2、図11、図14、図28及び図29から明らかなように、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は、骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビンフレーム300の上端側に配置した屋根体306とを有する作業車両1において、前記走行機体2に搭載したエンジン5の排気ガスを外部に放出するテールパイプ135を前記走行機体2の左右一方に備え、前記屋根体306の内部を前後二室に区画し、後室363側に空気調和機364を収容し、前記屋根体306の左右側部のうち前記テールパイプ229と反対側に、前記後室363を外部と連通させる外気取入れ口366を形成しているから、前記テールパイプ229からの排気ガスを前記外気取入れ口366に取り込むおそれを格段に防止できる。
また、前記キャビンフレーム300は、左右一対の前支柱301と、左右一対の後支柱302と、前記前支柱301同士の上端部間を連結する前梁部材303と、前記後支柱302同士の上端部間を連結する後梁部材304と、前後に並ぶ前記前支柱301と前記後支柱302との上端部間を連結する側梁部材305とを備え、前記屋根体306の後室363を前記後梁部材304よりも後方に突出させ、前記後室363を前記後梁部材304で支持し、前記各後支柱302の上端側に設けた支持ステー335に後上段作業灯337を取り付けているから、前記キャビン7の全高を高くすることなく前記屋根体306内部に前記空気調和機364を配置できると共に、前記屋根体306の前室362に前記空気調和機364を収容したためにオペレータの前方視界を制限するという問題を回避できる。また、前記各後支柱302の上端側に設けた支持ステー335に後上段作業灯337を取り付けることで、前記屋根体306の後室363側の配置スペースを前記両後上段作業灯337用の前記支持ステー335の間に形成できると共に、オペレータの後方視界も良好に確保できる。また、前記空気調和機364を収容する前記後室363と前記前室362とを区画しているので、前記後室363のシール性向上を図り易い。前記空気調和機364の組み付け作業性向上にも寄与する。
上記の記載並びに図28及び図48から明らかなように、走行機体2上の操縦座席8を覆うキャビン7の骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビンフレーム300の上端側に配置した屋根体306とを備える作業車両1において、前記屋根体306の内部を前後二室に区画し、前記屋根体306の前室の天井を構成するインナールーフ362の上面側に吸音材444を配置し、前記前室内に前記吸音材444を収容しているから、前記キャビン7内の上部側付近の騒音を前記吸音材444によって効率よく吸音できる。
また、前記インナールーフ362に形成した天井穴445を塞ぐ閉塞板446を備え、前記閉塞板446の上面側に前記吸音材444を貼着しているから、前記インナールーフ362に前記閉塞板446を着脱するだけで、前記屋根体306内部に前記吸音材444を簡単に取り付けたり取り外したりできる。
次に、図30(a)〜(d)、図31及び図32を参照しながら、梁部材303,304,305の詳細構造について説明する。前述した通り、屋根体306を支持する矩形枠は、前梁部材303、後梁部材304及び左右の側梁部材305を備えている。前梁部材303、後梁部材304及び左右の側梁部材305はキャビンフレーム300を構成するフレーム部材に相当するものである。図30(a)に示すように、前梁部材303は中空状(断面矩形状)の角パイプ材からなっていて、左右方向に長く延びている。図31(a)(b)に示すように、前梁部材303の左右各端面は前支柱301の上端側面に溶接固定している。
後梁部材304及び左右の側梁部材305はいずれも断面C字状(溝形)の鋼材からなっている。後梁部材304は左右方向に長く延びていて、左右の側梁部材305は前後方向に長く延びている。後梁部材304及び各側梁部材305の開口部には、それぞれの長手方向に沿って延びる補強板304a,305aを嵌め込んで溶接固定している。このため、後梁部材304及び各側梁部材305の少なくとも長手中途部は、角パイプのような中空状(断面矩形状)になっている。
図32(a)(b)に示すように、後梁部材304の左右各端面は後支柱302の上端側面に溶接固定している。図31(a)(b)に示すように、各側梁部材305の前端面は前支柱301の上端側面に溶接固定している。従って、前支柱301の上端側には、前梁部材303の左右いずれかの端面と、左右いずれかの側梁部材305の前端面とが突き合わさっている。前梁部材303と左右の側梁部材305との内側には、筋交い状の補強ブラケット319を溶接固定している。補強ブラケット319の存在によって、前梁部材303と左右の側梁部材305と前支柱301との連結強度を確保している。
図32(a)(b)に示すように、各側梁部材305の後端面は後支柱302の上端側面に溶接固定している。従って、後支柱302の上端側には、後梁部材304の左右いずれかの端面と、左右いずれかの側梁部材305の後端面とが突き合わさっている。後梁部材304と左右の側梁部材305との内側にも、筋交い状の補強ブラケット319を溶接固定している。補強ブラケット319の存在によって、後梁部材304と左右の側梁部材305と後支柱302との連結強度を確保している。
上記の記載並びに図30〜図32から明らかなように、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は、骨組を構成するキャビンフレーム300を有する作業車両1において、前記キャビンフレーム300のうち少なくとも一本のフレーム部材304,305を断面C字状に形成し、前記フレーム部材304,305の長手方向に沿って延びる補強板304a,305aを前記フレーム部材304,305の開口部に溶接固定することによって、前記フレーム部材304,305の少なくとも長手中途部
を中空状に構成しているから、前記従来のような高コストの角パイプ材を用いずに、フレーム部材304,305ひいてはキャビンフレーム300の剛性を向上できると共に、低コスト化を図れる。
次に、図22〜図25及び図33(a)(b)を参照しながら、キャビン7後方下部側の防振支持構造の詳細について説明する。キャビンフレーム300の後方下部側にある左右の突合せ部に、左右外向きに張り出すようにベースブラケット327を取り付けている。この場合、図22〜図25及び図33(a)(b)に示すように、左右の後下部フレーム310と底フレーム311との連結部(突合せ部)に、左右外向きに張り出したベースブラケット327を設けている。そして、走行機体2のミッションケース17から左右外向きに突出する後車軸ケース19上の後部支持台97に、防振部材である後防振ゴム体99を介してベースブラケット327を連結している。実施形態では、底フレーム311の後端上面に後下部フレーム310の下端面を溶接固定している。そして、底フレーム311の後端側にベースブラケット327を予め溶接によって取り付けてユニット化している。
ベースブラケット327は、後防振ゴム体99が取り付く基板プレート328と、基板プレート328と底フレーム311との連結強度を補完する前後一対のつっかい片329及び補強板片330とを備えている。基板プレート328は、底フレーム311の後端下面側に対して、左右外向きに張り出すように溶接固定している。前後一対のつっかい片329は、基板プレート328の上面と底フレーム311の後端側とを連結している。後つっかい片329は、中空状(断面矩形状)の角パイプ材である底フレーム311の後開口端面を塞いでいる。前つっかい片329は、補強板片330を介して底フレーム311の後端側面を支持している。補強板片330は、後下部フレーム310と底フレーム311との突合せ部に側方から重なるように配置している。補強板片330には、後下部フレーム310と底フレーム311との突合せ部に臨む開口穴330aを形成している。開口穴330aの存在によって、後下部フレーム310と底フレーム311との突合せ部のうち補強板片330が被さる部分と、補強板片330とを溶接することが可能になっている。
上記の構成によると、底フレーム311に補強板片330付きのベースブラケット327を予め取り付けてユニット化した上で、底フレーム311に後下部フレーム310を後付けで溶接固定できる。しかも、底フレーム311に後下部フレーム310を溶接固定するにあたり、開口穴330aの存在によって、底フレーム311と後下部フレーム310との突合せ部のうち補強板片330が被さる部分の溶接長を十分に確保できる。従って、底フレーム311及び後下部フレーム310の接合作業性を向上できるものでありながら、底フレーム311及び後下部フレーム310の接合強度向上、ひいてはキャビンフレーム300の剛性向上を図れる。
また、キャビンフレーム300の後方下部側にある左右の突合せ部に、左右外向きに張り出すようにベースブラケット327を取り付け、走行機体2のミッションケース17から左右外向きに突出する後車軸ケース19上の支持台97に、防振部材99を介してベースブラケット327を連結しているから、キャビンフレーム300の後方下部側をそれよりも左右外側から支持でき、キャビンフレーム300の後方下部側を走行機体2に対して防振的且つ安定的に連結できる。
次に、図34及び図35を参照しながら、キャビン7後方下部側の防振支持構造の詳細について説明する。前述の通り、キャビン7の左右各側部(キャビンフレーム300の左右側面側)には、当該箇所を開閉可能に塞ぐ透明な一枚ガラス製のサイドドア323を配置している。サイドドア323は、対応する後支柱302に上下一対のヒンジ324を介して開閉可能に取り付けている。サイドドア323の前部側には、当該サイドドア323
をロック状態とロック解除状態とに切り換えるドアロック部材400を設けている。ドアロック部材400の外面側に設けた把手400aを操作することによって、ドアロック部材400がロックしたりロック解除したりして、サイドドア323の開閉が行われる。サイドドア323の内面側には、当該サイドドア323の強度を高める側面視C字状の補強フレーム401を配置している。
補強フレーム401は、サイドドア323の後縁側に沿って延びる縦フレーム部402と、縦フレーム部402の上端側からサイドドア323の上縁側に沿って前向きに延びる上横フレーム部403と、縦フレーム部402の下端側からサイドドア323の上下を区画するように前向きに延びる下横フレーム部404とを有している。下横フレーム部404はサイドドア323内面の上下中途部に位置していて、サイドドア323の強度を高める前後長手のフレーム体に相当するものである。実施形態では、サイドドア323の上部側を囲うように補強フレーム401が位置している。
補強フレーム401は、ドアロック部材400と上下一対のヒンジ324とに連結している。実施形態では、下横フレーム部404の前端側をドアロック部材400に連結している。下横フレーム部404と縦フレーム部402とのコーナ部を下ヒンジ324の前端側に連結し、縦フレーム部402の上端側を上ヒンジ324に連結している。すなわち、ドアロック部材400及び上下一対のヒンジ324と補強フレーム401とによってサイドドア323を挟持するような状態になっている。上横フレーム部403の前端側は、サイドドア323の上端前部に直接連結している。なお、下ヒンジ324とフェンダフレーム312とはエアシリンダ405を介して連結している。
下横フレーム部404の前後中途部、すなわち、下横フレーム部404のうち操縦座席8に着座したオペレータの手が届く部位には、手で握ることでドアロック部材400をロック解除の方向に切換操作するグリップ体406を設けている。詳細な図示は省略するが、グリップ体406は下横フレーム部404に内装したワイヤ部材を介してドアロック部材400に連動連結している。例えば下横フレーム部404ごとグリップ体406を握れば、ワイヤ部材を介してドアロック部材400がロック解除方向に切換作動する。その結果、ドアロック部材400がロック解除される。オペレータは操縦座席8に着座したまま例えば下横フレーム部404ごとグリップ体406を握るという極めて簡単な動作だけで、ドアロック部材400をロック解除できる。そのままサイドドア323を押せば、スムーズにサイドドア323が開放回動する。
上記の記載並びに図34及び図35から明らかなように、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビン7の左右側部を開閉可能に塞ぐサイドドア323とを有する作業車両1において、前記サイドドア323の内面側に、前記サイドドア323の強度を高める側面視C字状の補強フレーム401を配置し、前記補強フレーム401は、前記サイドドア323の後縁側に沿って延びる縦フレーム部402と、前記縦フレーム部402の上端側から前記サイドドア323の上縁側に沿って前向きに延びる上横フレーム部403と、前記縦フレーム部402の下端側から前記サイドドア323の上下を区画するように前向きに延びる下横フレーム部404とを有しているから、前記サイドドア323の上部側を囲うように前記補強フレーム401が位置することになる。このため、前記キャビン7側方の視界を確保しつつ、前記補強フレーム401を前記サイドドア323自体の強度メンバーに利用して、一枚ガラスで構成されることの多い前記サイドドア323の剛性向上を図れる。また、前記下横フレーム部404を前記キャビン7乗降の際の手摺りとしても利用できる。
また、前記サイドドア323をロック状態とロック解除状態とに切り換えるドアロック
部材400と、前記キャビンフレーム300に前記サイドドア323を開閉可能に連結する上下一対のヒンジ324とに、前記補強フレーム401を連結しているから、前記ドアロック部材400及び前記上下一対のヒンジ324と前記補強フレーム401とによって前記サイドドア323を挟持でき、前記サイドドア323に対して前記補強フレーム401を簡単且つ高強度に連結できる。従って、前記サイドドア323の組付け作業の容易化及び製造コストの低減を図れる。
上記の記載並びに図34及び図35から明らかなように、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビン7の左右側部を開閉可能に塞ぐサイドドア323とを有する作業車両において、前記サイドドア323の前部側に、前記サイドドア323をロック状態とロック解除状態とに切り換えるドアロック部材400を設け、前記サイドドア323内面のうち上下中途部に、前記サイドドア323の強度を高める前後長手のフレーム体404を配置し、前記フレーム体404の前端側に前記ドアロック部材400を連結し、前記フレーム体404のうち前記操縦座席8に着座したオペレータの手が届く部位に、手で握ることで前記ドアロック部材400をロック解除の方向に切換操作するグリップ体406を設けているから、オペレータは前記操縦座席8に着座したまま例えば前記フレーム体404ごと前記グリップ体406を握るという極めて簡単な動作だけで、前記ドアロック部材400をロック解除でき、前記サイドドア323の開放操作性を向上できる。
次に、図36及び図37を参照しながら、サイドドア323を回動可能に支持するヒンジ324の詳細構造について説明する。キャビンフレーム300のうち後支柱302に対してサイドドア323を開閉可能に連結する上下各ヒンジ324は、後支柱302に設けたヒンジステー408と、ヒンジステー408に横回動可能に枢着したヒンジカバー409とを有している。ヒンジカバー409の前半部をサイドドア323の後縁側にボルト締結している。ヒンジステー408は、後支柱302から突出した平板部408aと、平板部408aの先端側に形成した枢支部408bとを備えている。ヒンジステー408の平板部408aには、ヒンジカバー409の内面後部側に当接してサイドドア323の最大開き角を規制するストッパー部材としてのストッパーボルト410を取り付けている。ストッパーボルト410は、ヒンジカバー409の内面後部側には金属製の当接プレート411を設けている。サイドドア323を開放してヒンジカバー409の当接プレート411にストッパーボルト410の頭部又は先端部を当接させた状態がサイドドア323の最大開き角になる。ストッパーボルト410のねじ込み量を調節することによって、ヒンジカバー490の当接プレート411とストッパーボルト410との当接位置が変更されてサイドドア323の最大開き角が調節される。
上記の記載並びに図36及び図37から明らかなように、走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビン7の左右側部を開閉可能に塞ぐサイドドア323とを有する作業車両1において、前記キャビンフレーム300に対して前記サイドドア323を開閉可能に連結するヒンジ324を備え、前記ヒンジ324は、前記キャビンフレーム300に設けたヒンジステー408と、前記ヒンジステー408に横回動可能に枢着したヒンジカバー409とを有し、前記ヒンジステー408には、前記ヒンジカバー409の内面側に当接して前記サイドドア323の最大開き角を規制するストッパー部材410を取り付けているから、前記ヒンジステー408に取り付ける前記ストッパー部材410を利用した簡単な構造だけで、前記サイドドア323の最大開き角の規制を達成できる。従って、前記サイドドア323の最大開き角を規制する構造を安価に製造でき、コストダウンを図れる。
また、前記ストッパー部材410は前記ヒンジステー408にねじ込むストッパーボルトであり、前記ストッパーボルト410のねじ込み量を調節することによって、前記ヒン
ジカバー409との当接位置を変更して前記サイドドア323の最大開き角を調節するから、前記サイドドア323の最大開き角の調節作業を至極簡単に行える。
次に、図38〜図41を参照しながら、開閉窓としてのリヤガラス322の開閉位置を複数段階に切り換える構造について説明する。キャビン7の後側部(キャビンフレーム300の後面側)には、当該箇所を開閉可能に塞ぐ透明な一枚ガラス製のリヤガラス322を配置している。リヤガラス322は、後梁部材304に左右一対の蝶番413を介して開閉可能(跳ね上げ回動可能)に取り付けている。キャビンフレーム300のうち後中間梁部材309上面の左右中央部には、リヤガラス322の開閉位置を決定する被係止部としての被係止ブロック414をボルト締結している。被係止ブロック414は、一方の後支柱302に向けて開口した平面視コ字状に形成している。
リヤガラス322内面の自由端側には回動式ハンドル415を取り付けている。回動式ハンドル415は、リヤガラス322内面の自由端側に締結したハンドル基部416と、ハンドル基部416から前向きに突出した回動軸部417と、回動軸部417から交差する方向に突出したハンドル部418とを備えている。回動軸部417には、その長手方向に適宜間隔を開けて位置する下向き突状の複数の係合突起420a,420bを形成している。実施形態の係合突起420a,420bは二つあり、各係合突起420aと被係止ブロック414との係合の組合せによって、全閉位置を含めてリヤガラス322の開閉位置を四段階に切換可能に構成している。
すなわち、被係止ブロック414のキャビン7内部側の前側面414aに回動軸部417後端側の第一係合突起420aを重ね合わせるように当接させた状態では、キャビン7の後側部がリヤガラス322によって閉塞される(リヤガラス322は全閉位置になる)。被係止ブロック414のコ字状の凹み溝414bに第一係合突起420aを嵌め込んだ状態では、リヤガラス322がキャビン7の後側部から僅かに離れた最小半開位置になる。被係止ブロック414の前側面414aに回動軸部417前端側の第二係合突起420bを重ね合わせるように当接させた状態では、リヤガラス322が最小半開位置よりもキャビン7の後側部から離れた中間半開位置になる。被係止ブロック414の凹み溝414bに第二係合突起420bを嵌め込んだ状態では、リヤガラス322がキャビン7の後側部から最も離れた最大開放位置になる。なお、開閉窓としてはリヤガラス322に限るものではない。また、開閉窓は跳ね上げ回動式のものに限らず、上下回動式のものや水平回動式のものでもよい。
リヤガラス322の外面上部側には、リヤガラス322を清掃するワイパー421を設けている(図38参照)。一方、リヤガラス322の内面上部側には、ワイパー421を駆動させるワイパーモータ(図示省略)等を収容したワイパー駆動ケース422を取り付けている(図39参照)。ワイパー421はリヤガラス322の外面上部側で外向きに飛び出ているため、屋根体306の後部カバー363には、リヤガラス322を大きく跳ね上げ回動させた際にワイパー421が後部カバーに干渉するのを防止する上向きに凹んだ逃し凹み部423を形成している(図29参照)。図38に示すように、リヤガラス322の左側部に取り付けた固定ブラケット424には反射板427を設けている。固定ブラケット424と左側の後支柱302とはエアシリンダ等のダンパー体425を介して連結し、リヤガラス322の右側部と右側の後支柱302はエアシリンダ等のダンパー体426を介して連結している(図39参照)。
上記の記載並びに図38〜図41から明らかなように、走行機体2上の操縦座席8を覆うキャビン7を備え、前記キャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビン7の一側部を開閉可能に塞ぐ回動式の開閉窓322とを有する作業車両1において、前記キャビンフレーム300には、前記開閉窓322の開閉位置を決定する被係止部
414を取り付け、前記開閉窓322の自由端側に設けた回動式ハンドル415には、前記回動式ハンドル415の回動操作によって前記被係止部414に選択的に係脱する複数の係合突起420a,420bを取り付けているから、前記回動式ハンドル415の回動操作という極めて簡単な(ワンタッチ的な)操作だけで、前記開閉窓322の開閉位置を複数段階に切り換えでき、前記開閉窓322を全閉にしたり半開にしたりする開閉作業を簡便に行える。
次に、主に図21、図23、図42及び図43を参照しながら、油圧外部取出機構としての油圧外部取出バルブ430周辺の構造について説明する。図42に示すように、ミッションケース17の上面後部側にある油圧式昇降機構22の上面には、油圧外部取出機構としての複数の油圧外部取出バルブ430を縦向きに並べて配置していて、走行機体2に着脱可能に装着するフロントローダやブームスプレヤ等の作業機に作動油を供給可能なように構成している。各油圧外部取出バルブ430は機械操作式の切換バルブであり、各油圧外部取出バルブ430とこれに対応する油圧操作レバー54とを索条部材としてのプッシュプルワイヤー431によって連動連結している。実施形態では、プッシュプルワイヤー431を介して、各油圧外部取出バルブ430の切換スプールを、これに対応する油圧操作レバー54に連動連結している。各油圧操作レバー54の回動操作によって、対応する油圧外部取出バルブ430が切換作動する。前述の通り、各油圧操作レバー54は左サイドコラム42に配置している(図2参照)。ただし、油圧外部取出バルブ430の数は、必要に応じて装着される作業機用の油圧機器の数に対応して決まり、特に限定されるものではない。
油圧外部取出バルブ430及び油圧操作レバー54は、オプションとして出荷時又は後付けにて取り付け可能に構成している。つまり、トラクタ1にはフロントローダやブームスプレヤ等の作業機を装着可能であり、通常は対地作業機であるロータリ耕耘機を装着して、他の作業機は装着せずに出荷されるが、他の作業機の使用も想定して、オプションにて適宜個数の油圧外部取出バルブ430及び油圧操作レバー54を取り付けできる。オプション設定数は通常4つ以下として、殆どの作業機に対応可能である。
一方、図21、図23、図42及び図43に示すように、操縦座席8の後方に位置する後カバー板314の左右一側部には、各プッシュプルワイヤー431を支持するためのクランプ部432を形成している。実施形態では、後カバー板314の右側部を打ち抜き加工すると共に後向きに曲げ加工することによって、クランプ部432を形成している。右側の後下部フレーム310の左右内側には、上下一対の三角ブロック433を溶接固定している。上下両三角ブロック433と右側の後下部フレーム310とに、後カバー板314のクランプ部432の上下及び右縁部を溶接固定している。
クランプ部432には、プッシュプルワイヤー431を挿通する嵌合穴434を形成している。嵌合穴434は、油圧外部取出バルブ430と同じ数だけ(実施形態では4つ)、クランプ部432に対して縦方向に並べて設けている。各プッシュプルワイヤー431の長手中途部には、軟質弾性材製でリング状のグロメット435を被嵌している。各プッシュプルワイヤー431の長手中途部は、グロメット435を介してクランプ部432の嵌合穴434に強制嵌合によって嵌め込み固定される。クランプ部432の各嵌合穴434は、プッシュプルワイヤー431及びグロメット435によって塞がれている。各プッシュプルワイヤー431は、クランプ部432の嵌合穴434を通じてキャビン7内部側(キャビンフレーム300で囲われた領域内)に差し込まれる。
上記の記載並びに図21、図23、図42及び図43から明らかなように、走行機体2上の操縦座席8を覆うキャビン7の骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記走行機体2に着脱可能に装着する作業機に作動油を供給する油圧外部取出機構430と、前記
油圧外部取出機構430を手動操作する複数の油圧操作レバー54と、前記油圧外部取出機構430と前記各油圧操作レバー54とを連動連結する索条部材431とを備える作業車両1において、前記キャビンフレーム300に取り付けるカバー板314を打ち抜き及び曲げ加工して、前記カバー板314に前記索状部材431用のクランプ部432を形成し、前記クランプ部432を前記キャビンフレーム300に溶接固定しているから、前記各索状部材431の長手中途部を前記カバー体314に形成した前記クランプ部432で支持でき、前記索状部材431同士が絡まるのを的確に防止して、前記各索状部材431を整然と配置できる。前記各索状部材431の配線作業自体もし易くなる。また、前記カバー板314を前記キャビンフレーム300(後下部フレーム310)の強度メンバーに利用でき、前記キャビンフレーム300全体として剛性向上を図れる。
また、前記クランプ部432には前記索状部材431を挿通する嵌合穴434を形成し、弾性材製のグロメット435を介して前記嵌合穴434に前記索状部材431を強制嵌合によって取り付けているから、前記クランプ部432に前記索状部材431をワンタッチ的に挿通して取り付けでき、組み付け工数を削減できる。従って、前記クランプ部432に対する前記索状部材431の取り付け作業性を向上できる。更に、前記グロメット435が弾性材製であるから、前記クランプ部432のシール性を確実に確保できる。
次に、図21、図23及び図42〜図44を参照しながら、キャビン7内圧を管理するための構造について説明する。図42〜図44に示すように、キャビン7の背面下側には、サイドドア323の閉止時にキャビン7内の空気を外部に放出する内気放出部としての内気放出ケース436を設けている。実施形態では、操縦座席8の後方に位置する後カバー板314の左右他側部(クランプ部432と反対側に位置する左側部)に、左右一対の連通穴437を形成している(図21、図23、図43及び図44参照)。後カバー板314の両連通穴437の箇所には、通気穴をマトリクス状に形成した通気板438を後方から重なるように配置している。左右両連通穴437及び通気板438を断面三角形状の内気放出ケース436で後方から覆っている。内気放出ケース436は、通気板438を介して後カバー板314の背面に着脱可能に締結している。すなわち、内気放出ケース436はキャビン7の背面下部に外側から取り付けている。
内気放出ケース436の前面側は前向きに開口している。内気放出ケース436の下面側には左右一対の開口439を形成している。各開口439には、軟質弾性材製であるエア抜き用の放出口体440を嵌め込み固定している。各放出口体440には切り込み441を形成している。通常は切り込み441が閉じていて、キャビン7内の気密性が保たれている。サイドドア323の閉止時は、キャビン7内の空気が急激に圧縮されてキャビン7内圧が高まるため、各放出口体440の切り込み441が開いてキャビン7内の空気が外部に放出され(エア抜きがなされ)、キャビン内7が正圧状態に保持される。
上記の記載並びに図21、図23及び図42〜図44から明らかなように、走行機体2上の操縦座席8を覆うキャビン7と、前記キャビン7の左右側部を開閉可能に塞ぐサイドドア323とを備える作業車両1において、前記キャビン7の背面下側に、前記サイドドア323の閉止時に前記キャビン7内の空気を外部に放出する内気放出部436を設けているから、前記サイドドア323の閉止時には、前記内気放出部436から前記キャビン7内の空気を放出でき、前記キャビン7内を正圧状態に保持し易い。その結果、前記サイドドア323をスムーズに閉止できる。
また、前記内気放出部436は前記キャビン7の背面下部に外側から取り付け、前記内気放出部436の下面側に放出口体440を設けているから、前記放出口体440を経由して前記キャビン7内に雨水等が侵入するのを的確に防止できる。更に実施形態では、内気放出部436に放出口体440を複数(この場合は2つ)設けているから、キャビン7
内での大きな気圧変化(内圧変化)に対処し易いという利点もある。
次に、図19、図22及び図45〜図47を参照しながら、ボード支持板308とその周辺との構造について説明する。図19、図22及び図45に示すように、各前支柱301の下端側に連結した前下部プレート板307の左右内端側に、ダッシュボード33を固定支持する縦長のボード支持板308を連結し、左右両前支柱301の間にボード支持板308を立設している。左右の前支柱301及び前下部プレート板307との連結関係から分かるように、ボード支持板308はキャビンフレーム300の構成要素の一つであり、キャビンフレーム300の強度メンバーを構成している。一方、キャビンフレーム300の前面側、すなわち左右の前支柱301、前梁部材303及び左右の前下部プレート板307で囲まれる領域には、フロントガラス321を配置している。図46及び図47に示すように、ボード支持板308はフロントガラス321よりもキャビン7内部側に位置している。フロントガラス321はボード支持板308の前面側を覆っている。切り欠きを形成することなしに、フロントガラス321をキャビン7前部側に配置している。
図47に示すように、ボード支持板308には、前述したステアリングコラム32及びダッシュボード33を取り付けているだけでなく、走行機体2の車輪3,4を制動させるブレーキバルブ254と、ブレーキバルブ254を操作するブレーキペダル35とを取り付けている。ブレーキバルブ254及びブレーキペダル35をボード支持板308に支持させている。この場合、フロントガラス321及びボード支持板308の両方に、前後に貫通した貫通穴253,442を形成している。当該両貫通穴253,442にブレーキバルブ254を差し込み固定している。ブレーキバルブ254の前端側は両貫通穴253,442からキャビン7前方に突出させている。なお、フロントガラス321の中央付近には、フロントガラス321を清掃するフロントワイパー251を設けている(図46参照)。フロントワイパー251の駆動軸252は、フロントガラス321を貫通してボード支持板308の上部に軸支されている。ボード支持板308の背面上部側には、フロントワイパー251の駆動軸252を駆動させるワイパーモータ(図示省略)等を収容したワイパー駆動ケース443を取り付けている(図47参照)。
上記の記載並びに図19、図22及び図45〜図47から明らかなように、走行機体2上の操縦座席8を覆うキャビン7の骨組を構成するキャビンフレーム300と、前記キャビン7の前面側を覆うフロントガラス321とを備える作業車両1において、前記キャビンフレーム300は、前記操縦座席8前方に位置するダッシュボード33を支持するボード支持板308を備え、前記フロントガラス321よりもキャビン7内部側に前記ボード支持板308を位置させ、前記ボード支持板308を前記キャビンフレーム300の強度メンバーに構成しているから、前記キャビンフレーム300全体としての剛性向上を図りつつ、前記ダッシュボード33を前記ボード支持板308によって高強度に支持できる。切り欠きを形成することなしに前記フロントガラス321を前記キャビン7前部側に取り付けでき、前記フロントガラス321の加工コストやシール性確保のためのコストを低減できる。前記キャビン7の防風及び防水構造を簡単に構成できる。
また、前記走行機体2の車輪3,4を制動させるブレーキバルブ254と、前記ブレーキバルブ254を操作するブレーキペダル35とを前記ボード支持板308に取り付けているから、可動部材である前記ブレーキペダル35と前記ブレーキバルブ254とを、前記キャビンフレーム300の強度メンバーである前記ボード支持板308に高強度に支持できる。
更に、前記フロントガラス321及び前記ボード支持板308に、前後に貫通した貫通穴253,442を形成し、前記貫通穴253,442に前記ブレーキバルブ254を差し込み固定し、前記ブレーキバルブ254の前端側を前記貫通穴253,442から前記
キャビン7前方に突出させているから、前記キャビン7の防風及び防水構造を簡単に構成できるものでありながら、前記キャビン7内に前記ブレーキペダル35を配置した上で、前記ブレーキバルブ254から前記車輪3,4制動のための制動機構までを簡単に連結できる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。