JP2016006473A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及びその製造方法、重合体並びに化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示素子に要求される各種特性を好適に発現可能な液晶配向膜を形成するための液晶配向剤を提供する。
【解決手段】テトラカルボン酸誘導体と、下記式(1)で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(P)を液晶配向剤に含有させる。
Figure 2016006473

(Rは、炭化水素基の炭素−炭素結合間及び当該炭化水素基と隣り合う位置の少なくともいずれかに、酸素原子又は硫黄原子を有する2価の基であり、X及びXは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及びその製造方法、重合体並びに化合物に関する。
従来、液晶表示素子としては、電極構造や使用する液晶分子の物性、製造工程等が異なる種々の駆動方式が開発されており、例えばTN型やSTN型、VA型、面内スイッチング型(IPS型)、FFS型等の各種液晶表示素子が知られている。これら液晶表示素子は、液晶分子を配向させるための液晶配向膜を有する。液晶配向膜の材料としては、耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などの各種特性が良好である点から、ポリアミック酸やポリイミドが一般に使用されている。
また近年、液晶表示素子は、従来のようにパーソナルコンピュータ等の表示端末に使用されるだけでなく、例えば液晶テレビやカーナビゲーションシステム、携帯電話、スマートフォン、インフォメーションディスプレイなど多種の用途で使用されている。このような背景から、液晶表示素子の高性能化に対する要求は更に高まっており、液晶配向膜としては、液晶表示素子に要求される各種特性を更に良好にできることが求められている。また、このような液晶配向膜を得るための液晶配向剤や、当該液晶配向剤に配合される重合体、当該重合体を得るためのモノマーが種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、1,2−ビス(4−(4−アミノベンジル)フェニル)エタン、1,6−ビス(4−(4−アミノベンジル)フェニル)ヘキサン等といった、極性基を有さないジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応により得られるポリイミドを液晶配向剤の重合体成分として用いることが開示されている。また、特許文献2には、実施例において、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と1,5−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ペンタンとの反応により得られるポリアミック酸を液晶配向剤の重合体成分として用いることが開示されている。
また、液晶表示素子には種々の光学材料が用いられており、中でも位相差フィルムは、表示の着色を解消する目的や、視覚方向によって表示色及びコントラスト比が変化するといった視野角依存性を解消する目的で用いられている。かかる位相差フィルムとしては、TACフィルム等の基板の表面に形成された液晶配向膜と、その液晶配向膜の表面に重合性液晶を硬化させることによって形成された液晶層と、を有するものが知られている。また近年、位相差フィルムにおける液晶配向膜の作製に際して、基板表面に形成した感放射線性の有機薄膜に偏光又は非偏光の放射線を照射することにより液晶配向能を付与する光配向法が利用されており、かかる方法によって液晶配向膜を作製するための位相差フィルム用の液晶配向剤が種々提案されている(例えば、特許文献3参照)。
位相差フィルムを工業的規模で生産する方法としては、ロール・トゥー・ロール方式が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法は、長尺状の基材フィルムの巻回体からフィルムを巻き出し、その巻き出したフィルム上に液晶配向膜を形成する処理、液晶配向膜上に重合性液晶を塗布して硬化する処理、及び必要に応じて保護フィルムを積層する処理までを連続した工程で行い、それら工程を経た後のフィルムを巻回体として回収する方法である。
特許第3658798号公報 国際公開第2004/053583号 特開2012−37868号公報 特開2000−86786号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のポリイミドを液晶配向剤の重合体成分として用いた場合、その液晶配向剤は、基板に対する塗布性が劣る傾向にある。また、この液晶配向剤を用いてFFS型液晶表示素子の液晶配向膜を作製した場合、プレチルト角が高くなりすぎてしまい、視野角特性に劣る。上記特許文献2に記載のポリアミック酸を含む液晶配向剤を用いた液晶表示素子では、電圧保持特性及び耐熱性に劣ってしまう。
また、位相差フィルムについて、上記のロール・トゥー・ロール方式を採用することにより工業的規模で簡便に生産できる反面、液晶配向膜と基材フィルムとの密着性が不十分である場合には、工程終了後にフィルムを巻回体とした際に液晶配向膜が基板フィルムから剥離することがある。かかる場合、製品歩留まりが低下するといった問題が生じ得る。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、液晶表示素子に要求される各種特性を好適に発現可能な液晶配向膜を形成するための液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。また、液晶配向性が良好であり、かつ基板との密着性が良好な位相差フィルム用の液晶配向膜を形成するための液晶配向剤を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定構造を有するジアミンとテトラカルボン酸誘導体との縮重合により得られたポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドの少なくともいずれかの重合体を含有させることにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により以下の液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及びその製造方法、重合体並びに化合物が提供される。
本発明は、一つの側面において、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル化合物及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸誘導体と、下記式(1)で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(P)を含有する液晶配向剤を提供する。
Figure 2016006473
(式(1)中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基の炭素−炭素結合間及び当該炭化水素基と隣り合う位置の少なくともいずれかに、酸素原子又は硫黄原子を有する2価の基であり、当該炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい。X及びXは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基である。但し、X及びXが酸素原子であり、かつRが−O−R−O−(Rは炭素数1〜18のアルカンジイル基である。)の場合、前記テトラカルボン酸誘導体が1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物である場合を除く。)
本発明は、別の一つの側面において、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を提供する。また、上記液晶配向膜を備える液晶表示素子及び位相差フィルムを提供する。さらに、別の一つの側面において、上記液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜に光照射する工程と、その光照射した後の塗膜上に重合性液晶を塗布して硬化させる工程と、を含む位相差フィルムの製造方法を提供する。また更に、上記式(1)で表される化合物、及び当該化合物を含むジアミンと、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル化合物及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸誘導体とを反応させて得られる重合体を提供する。
上記式(1)で表されるジアミンとテトラカルボン酸誘導体との反応により得られた重合体を含む液晶配向剤を用いることにより、液晶表示素子に要求される各種特性を好適に発現可能な液晶配向膜を形成することができる。また、本発明の液晶配向剤によれば、高品位な液晶表示素子を製造することができる。また更に、本発明の液晶配向剤を用いて得られた液晶配向膜は、基板に対する密着性が良好である。したがって、これを巻回体として保管等した場合にも液晶配向膜と基板とが剥離しにくく、よって例えば位相差フィルムの製造に際し、製品歩留まりの低下を抑制することができる。
FFS型液晶表示素子の概略構成図。 トップ電極の平面模式図。(a)はトップ電極の上面図であり、(b)はトップ電極の部分拡大図である。
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(P)を含み、必要に応じてその他の成分を含む。以下に、本発明の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
<重合体(P):ポリアミック酸>
本発明における重合体(P)としてのポリアミック酸(以下、ポリアミック酸(P)ともいう。)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
[テトラカルボン酸二無水物]
ポリアミック酸(P)を合成するのに用いるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、上記テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。また、透明性及び溶剤への溶解性の観点では脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むものであることが好ましく、電気的特性の観点では芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むものであることが好ましい。
[ジアミン]
上記ポリアミック酸(P)を合成するために使用するジアミンとしては、上記式(1)で表される化合物を含む。
上記式(1)におけるRは、炭素数1〜30の炭化水素基の炭素−炭素結合間及び当該炭化水素基と隣り合う位置の少なくともいずれかに、酸素原子又は硫黄原子を有する2価の基である。ここで、本明細書における「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状又は分岐状の炭化水素基を意味し、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。但し、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
炭素数1〜30の炭化水素基の具体例としては、鎖状炭化水素基として、例えばメチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基、デカンジイル基、ドデカンジイル基、テトラデカンジイル基、ペンタデカンジイル基、ヘキサデカンジイル基、オクタデカンジイル基などを挙げることができ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。また、脂環式炭化水素基としては、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、ペンチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等から2つの水素原子を除いた基などを;芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ペンチルベンゼン等から2つの水素原子を除いた基などを;それぞれ挙げることができる。Rにおける炭化水素基としては、中でも2価の鎖状炭化水素基を有することが好ましく、2価の鎖状炭化水素基であることがより好ましく、アルカンジイル基であることが特に好ましい。
なお、Rにおける炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
が有する酸素原子、硫黄原子の数(合計数)は特に限定せず、低プレチルト化や重合体の溶解性向上の観点から、Rの炭素数に応じて適宜選択することができる。好ましくは1〜5個であり、より好ましくは1〜3個である。また、Rがこれらのヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子)を複数個有する場合、酸素原子及び硫黄原子のうちのいずれかのみを有していてもよいし、それら2種を有していてもよい。
酸素原子又は硫黄原子が導入されている位置は、炭化水素基の炭素−炭素結合間であってもよく、炭化水素基と隣り合う位置であってもよく、あるいはその両方であってもよい。なお、「炭化水素基の炭素−炭素結合間」とは、ヘテロ原子Xの位置が「−R10−X−R11−」(但し、R10及びR11は炭化水素基)となる場合であり、「炭化水素基と隣り合う位置」とは、ヘテロ原子Xの位置が「*−X−R12−」(但し、R12は炭化水素基、「*」はRに結合するベンゼン環との結合手)となる場合を意味する。
及びXは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基である。ここで、X及びXにおける「2価の有機基」としては、例えば置換又は無置換のアルカンジイル基、置換又は無置換のアルケンジイル基、カルボニル基、エステル基(−COO−)、アミド基(−CO−NH−)等を好ましい具体例として挙げることができる。X及びXのアルカンジイル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。また、アルケンジイル基は、炭素数2〜10であることが好ましく、2〜5であることがより好ましく、2〜3であることが更に好ましい。なお、アルカンジイル基及びアルケンジイル基に導入される置換基としては、例えば酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基などが挙げられる。
及びXとしては、中でも、酸素原子、エステル基、アミド基、炭素数1〜10のアルカンジイル基又は炭素数2〜10のアルケンジイル基であることが好ましく、酸素原子、アミド基、炭素数1〜5のアルカンジイル基又は炭素数2〜5のアルケンジイル基であることがより好ましく、酸素原子、アミド基、メチレン基、エチレン基又はビニレン基であることが特に好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、上記の中でも下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016006473
(式(1−1)中、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、Xは、酸素原子又は硫黄原子であり、Xは、単結合、酸素原子又は硫黄原子である。X及びXは上記式(1)と同義である。)
上記式(1−1)におけるRの具体例としては、上記式(1)のRの炭素数1〜30の炭化水素基の説明を適用することができる。Rは、2価の鎖状炭化水素基であることが好ましく、アルカンジイル基であることがより好ましい。当該アルカンジイル基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜11であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。
は、酸素原子又は硫黄原子であり、酸素原子であることが好ましい。また、Xは、単結合、酸素原子又は硫黄原子であり、単結合又は酸素原子であることが好ましい。
上記式(1)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば下記式(DA−1)〜式(DA−16)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016006473
Figure 2016006473
上記式(1)で表される化合物の使用割合は、本発明の効果を十分に得る観点から、ポリアミック酸の合成に使用するジアミンの全体量に対して、1〜100モル%の範囲とすることが好ましい。下限値について、より好ましくは5モル%以上であり、更に好ましくは15モル%以上であり、特に好ましくは20モル%以上である。上記式(1)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、上記式(1)で表される化合物は、2つのベンゼン環の間の基「R」が、酸素原子又は硫黄原子を有する炭化水素基であることから、これを用いて得られる重合体は、極性の向上により重合体の溶解性があがり、液晶配向剤の基板に対する塗布性が向上するものと推測される。また、分子の回転性が向上することでラビング延伸性が向上し、これにより液晶配向膜の低プレチルト化(視野角向上)を発現可能となるものと推測される。上記式(1)で表される化合物は、テトラカルボン酸無水物等との縮重合によって、液晶配向性、電圧保持特性、耐熱性等の各種特性が良好な液晶配向膜を形成可能な重合体を得ることができる点でいずれも同様の作用を有する。したがって、以下の実施例に記載されていないものであっても本発明において使用することが可能である。
[上記式(1)で表される化合物の合成]
上記式(1)で表される化合物は、有機化学の定法を適宜組み合わせることにより合成することができる。その一例としては、上記式(1)中の1級アミノ基に代えてニトロ基を有するジニトロ中間体を合成し、その後、得られたジニトロ中間体のニトロ基を適当な還元系を用いてアミノ化する方法が挙げられる。
上記ジニトロ中間体を合成する方法は、目的とする化合物に応じて適宜選択することができる。その一例としては、例えばX及びXが酸素原子の場合、HO−Ph−R−Ph−OH(Phはフェニレン基)で表されるジヒドロ化合物を合成し、このジヒドロ化合物とハロゲン化ニトロベンゼンとを反応させることにより得ることができる。また、X及びXがメチレン基の場合、Bz−R−Bz(Bzはフェニル基)で表される化合物とニトロ安息香酸クロリドとを反応させ、得られた反応生成物が有するカルボニル基をメチレン基に還元することにより得ることができる。X及びXがエステル基の場合、上記ジヒドロ化合物とニトロ安息香酸クロリドとを反応させることにより得ることができる。
上記ジニトロ中間体の還元反応は、好ましくは有機溶媒中、例えばパラジウム炭素、酸化白金、亜鉛、鉄、スズ、ニッケル等の触媒を用いて実施することができる。ここで使用する有機溶媒としては、例えば酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、アルコール系等が挙げられる。但し、上記式(1)で表される化合物の合成手順は上記方法に限定されるものではない。
[その他のジアミン]
上記ポリアミック酸(P)の合成に使用するジアミンは、上記式(1)で表される化合物を単独で使用してもよいが、上記式(1)で表される化合物とともに、当該化合物以外のその他のジアミンを併用してもよい。
ここで、上記その他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらジアミン化合物の具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばm−キシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
芳香族ジアミンとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−6−アミン、3,5−ジアミノ安息香酸、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、2,4−ジアミノ−N,N―ジアリルアニリン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、1,3−ジアミノ−4−オクタデシルオキシベンゼン、3−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、及び下記式(D−1)
Figure 2016006473
(式(D−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、nは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
上記式(D−1)における「−X−(R−XII−」で表される2価の基としては、炭素数1〜3のアルカンジイル基、*−O−、*−COO−又は*−O−C−O−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。
基「−C2c+1」の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位又は3,5−位にあることが好ましい。
上記式(D−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(D−1−1)〜式(D−1−4)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2016006473
なお、ポリアミック酸(P)の合成に使用するジアミンは、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の液晶配向剤をTN型、STN型又は垂直配向型の液晶表示素子の製造に用いる場合、上記その他のジアミンとして、塗膜に対してプレチルト角発現能を付与可能な基(以下、「プレチルト角付与基」ともいう。)を有するジアミンを含むことが好ましい。プレチルト角付与基としては、例えば炭素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜20のフルオロアルキル基、炭素数4〜20のアルコキシ基、炭素数17〜51のステロイド骨格を有する基、多環構造を有する基などが挙げられる。
プレチルト角付与基を有するジアミンの具体例としては、例えばドデカオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカオキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカオキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、上記式(D−1)で表されるジアミン等を挙げることができる。なお、当該ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
プレチルト角付与基を有するジアミンを使用する場合、その使用割合は、十分に高いプレチルト角特性を発現させる観点において、全ジアミンに対して5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましい。また、当該使用割合の上限は特に限定しないが、上記式(1)で表される化合物の使用による効果を損なわないようにする観点において、全ジアミンに対して99モル%以下とすることが好ましく、95モル%以下とすることがより好ましい。
[分子量調節剤]
ポリアミック酸(P)を合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸二無水物及びジアミンとともに、適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく液晶配向剤の塗布性(印刷性)を更に改善することができる。
分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。これらの具体例としては、酸一無水物として、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを;モノアミン化合物として、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどを;モノイソシアネート化合物として、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを;それぞれ挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
[ポリアミック酸の合成]
上記ポリアミック酸(P)の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。また、ポリアミック酸(P)の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間は0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
ここで、有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。これら有機溶媒の具体例としては、非プロトン性極性溶媒として、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを;フェノール系溶媒として、例えばフェノール、m−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノールなどを;
アルコールとして、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを;ケトンとして、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを;上記エステルとして、例えば、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、マロン酸ジエチル、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレートなどを;エーテルとして、例えばジエチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどを;ハロゲン化炭化水素として、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼンなどを;上記炭化水素として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを;それぞれ挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒及びフェノール系溶媒よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される一種以上、又は、第一群の有機溶媒から選択される一種以上と、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される一種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒と第二群の有機溶媒との合計量に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。また、有機溶媒の使用量(α)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜50重量%になるような量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸(P)を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、又は単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。ポリアミック酸の単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
<重合体(P):ポリアミック酸エステル>
本発明の重合体(P)としてのポリアミック酸エステル(以下、ポリアミック酸エステル(P)ともいう。)は、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸(P)と、水酸基含有化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等とを反応させることにより合成する方法、[II]テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法によって得ることができる。なお、本明細書において「テトラカルボン酸ジエステル化合物」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がカルボキシル基である化合物を意味する。「テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がハロゲン化された化合物を意味する。
ここで、方法[I]で使用する水酸基含有化合物としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;フェノール、クレゾール等のフェノール類などが挙げられる。また、ハロゲン化物としては、例えば臭化メチル、臭化エチル、臭化ステアリル、塩化メチル、塩化ステアリル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタン等が挙げられ、エポキシ基含有化合物としては、例えばプロピレンオキシド等が挙げられる。方法[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステル化合物は、例えば上記ポリアミック酸(P)の合成で例示したテトラカルボン酸二無水物を、上記のアルコール類を用いて開環することにより得ることができる。また、方法[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、例えば上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステル化合物を、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。方法[II]及び[III]で使用するジアミンは上記式(1)で表される化合物を含む。また、必要に応じて上記その他のアミンを使用してもよい。なお、ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
<重合体(P):ポリイミド>
本発明の液晶配向剤に含有される重合体(P)としてのポリイミド(以下、「ポリイミド(P)」ともいう。)は、上記の如くして合成されたポリアミック酸(P)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
上記ポリイミド(P)は、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造及びアミック酸エステル構造のうちの一部を脱水閉環し、アミック酸構造及びアミック酸エステル構造のうちの少なくともいずれかと、イミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。ポリイミド(P)は、電圧保持率を高くできる点において、そのイミド化率が30%以上であることが好ましく、40〜99%であることがより好ましく、50〜99%であることが更に好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数と、アミック酸エステル構造の数と、イミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加してイミド化する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
このようにしてポリイミド(P)を含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。これらの精製操作は公知の方法に従って行うことができる。
<重合体の溶液粘度及び重量平均分子量>
以上のようにして得られる重合体(P)としてのポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドは、これを濃度10重量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。また、本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、500〜100,000であることが好ましく、1,000〜50,000であることがより好ましい。
重合体(P)の使用割合は、液晶配向剤中の重合体成分の全体100重量部に対して、50〜100重量部とすることが好ましい。50重量部未満であると、本発明の効果を十分に得ることができないおそれがある。より好ましくは60重量部以上であり、更に好ましくは70重量部以上である。重合体(P)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。液晶配向剤に含有される固形分の全体量100重量部に対する重合体(P)の使用割合は、30重量部以上とすることが好ましく、40重量部以上とすることがより好ましく、50重量部以上とすることが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、上記重合体(P)以外のその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という。)、官能性シラン化合物、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤等を挙げることができる。
[その他の重合体]
上記その他の重合体は、溶液特性や電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体としては、例えば上記式(1)で表される化合物を含まないジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応により得られるポリアミック酸、当該ポリアミック酸の脱水閉環により得られるポリイミド、当該ポリアミック酸のエステル化物であるポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
また、本発明の液晶配向剤を位相差フィルム用とする場合、上記その他の重合体としては、光配向性構造を有する重合体を好ましく用いることができる。ここで、光配向性構造とは、光配向性基及び分解型光配向部の両者を含む概念である。具体的には、光異性化や光二量化、光分解等によって光配向性を示す構造が挙げられ、例えばアゾベンゼン、桂皮酸、カルコン、ベンゾフェノン、クマリン及びイミド環構造並びにこれらの誘導体を基本骨格として含有する基等が挙げられる。これらのうち、光配向性基を有する重合体を含むことが好ましく、桂皮酸構造(桂皮酸又はその誘導体)を有する基が導入された重合体を含むことがより好ましい。中でも、重合体への光配向性基の導入が容易である点において、桂皮酸構造を有するポリオルガノシロキサンを好ましく使用することができる。
なお、光配向性基を有する重合体は、従来公知の方法により合成することができる。例えば、その他の重合体としての光配向性基を有するポリオルガノシロキサンは、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、光配向性基を有するカルボン酸とを、好ましくはエーテル、エステル、ケトン等の有機溶媒中、4級アンモニウム塩等の触媒の存在下で反応させることにより合成することができる。
その他の重合体を液晶配向剤に添加する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、50重量部以下とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましく、0.1〜30重量部以下とすることが更に好ましい。
[エポキシ基含有化合物]
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性や電気特性を向上させるために使用することができる。このようなエポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を好ましいものとして挙げることができる。その他、エポキシ基含有化合物の例としては、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを用いることができる。
これらエポキシ化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、40重量部以下とすることが好ましく、0.1〜30重量部とすることがより好ましい。
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物は、液晶配向剤の印刷性の向上を目的として使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
これら官能性シラン化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、2重量部以下とすることが好ましく、0.02〜0.2重量部とすることがより好ましい。
[金属キレート化合物]
上記金属キレート化合物は、液晶配向剤の重合体成分がエポキシ構造を有する場合に、低温処理によって形成した膜の機械的強度を担保することを目的として液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有される。当該金属キレート化合物としては、アルミニウム、チタニウム及びジルコニウムから選択される金属のアセチルアセトン錯体又はアセト酢酸錯体を用いることが好ましい。具体的には、例えばジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタニウム、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどを挙げることができる。上記金属キレート化合物を添加する場合、その使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、更に好ましくは1〜30重量部である。
[硬化促進剤]
上記硬化促進剤は、液晶配向剤中の重合体成分がエポキシ構造を有している場合に、形成される液晶配向膜の機械的強度及び液晶配向性の経時的安定性を担保するために液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有される。当該硬化促進剤としては、例えばフェノール基、シラノール基、チオール基、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基などを有する化合物を使用することができ、中でもフェノール基又はシラノール基を有する化合物が好ましい。その具体例としては、フェノール基を有する化合物として、例えばシアノフェノール、ニトロフェノール、メトキシフェノキシフェノール、チオフェノキシフェノール、4−ベンジルフェノールなどを;シラノール基を有する化合物として、例えばトリメチルシラノール、トリエチルシラノール、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシロキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、トリフェニルシラノール、トリ(p−トリル)シラノール、ジフェニルシランジオールなどを、それぞれ挙げることができる。硬化促進剤を添加する場合、その使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、更に好ましくは1〜30重量部である。
[界面活性剤]
上記界面活性剤は、液晶配向剤の基板に対する塗布性を向上させることを目的として液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有させることができる。このような界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤の全量100重量部に対して、10重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。
なお、その他の成分としては、上記のほか、分子内に少なくとも一つのオキセタニル基を有する化合物や酸化防止剤などを挙げることができる。
<溶剤>
本発明の液晶配向剤は、上記の重合体(P)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1重量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、液晶配向剤の用途や、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば液晶配向膜用の液晶配向剤について、スピンナー法により基板に塗布する場合には、固形分濃度(液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)が1.5〜4.5重量%の範囲であることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。また、位相差フィルム用の液晶配向剤については、液晶配向剤の塗布性及び形成される塗膜の膜厚を適度にする観点から、液晶配向剤の固形分濃度が0.2〜10重量%の範囲であることが好ましく、3〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
<液晶表示素子及び位相差フィルム>
上記に説明した本発明の液晶配向剤を用いることにより液晶配向膜を製造することができる。また、本発明の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜は、液晶表示素子用の液晶配向膜及び位相差フィルム用の液晶配向膜に好ましく適用することができる。以下に、本発明の液晶表示素子及び位相差フィルムについて説明する。
[液晶表示素子]
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。本発明の液晶表示素子の動作モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB型など種々の駆動方式に適用することができる。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の(I−1)〜(I−3)の工程により製造することができる。工程(I−1)は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程(I−2)及び(I−3)は各動作モード共通である。
[工程(I−1):塗膜の形成]
先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(I−1A)例えばTN型、STN型又はVA型の液晶表示素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(I−1B)IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板の電極形成面と、電極が設けられていない対向基板の一面とに、本発明の液晶配向剤をそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。このとき使用される基板及び透明導電膜の材質、塗布方法、塗布後の加熱条件、透明導電膜又は金属膜のパターニング方法、基板の前処理、並びに形成される塗膜の好ましい膜厚については上記(I−1A)と同様である。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。
上記(I−1A)及び(I−1B)のいずれの場合も、基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、配向膜又は配向膜となる塗膜が形成される。このとき、本発明の液晶配向剤に含有される重合体が、ポリアミック酸であるか、ポリアミック酸エステルであるか、又はイミド環構造とアミック酸構造とを有するイミド化重合体である場合には、塗膜形成後に更に加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
[工程(I−2):配向能付与処理]
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程(I−1)で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理として、該塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程(I−1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対しラビング処理を施してもよい。また、ラビング処理後の液晶配向膜に対して更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。なお、VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA(Polymer sustained alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。塗膜に液晶配向能を付与する処理としては、ラビング処理に代えて光配向法による処理を採用してもよい。
[工程(I−3):液晶セルの構築]
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより液晶セルを製造する。また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより液晶セルを製造する。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。また、液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
[位相差フィルム]
本発明の液晶配向剤を用いて位相差フィルムを製造する場合、工程中にほこりや静電気が発生するのを抑えつつ均一な液晶配向膜を形成することが可能である点、放射線の照射時に適当なフォトマスクを使用することによって基板上に液晶配向方向が異なる複数の領域を任意に形成できる点において、光配向法を利用することが好ましい。具体的には、以下の工程(II−1)〜(II−3)を含む製造方法が挙げられる。
[工程(II−1):液晶配向剤による塗膜の形成]
先ず、本発明の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する。ここで使用される基板としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなる透明基板を好適に例示することができる。これらのうち、TACは、液晶表示素子における偏光フィルムの保護層として一般的に使用されている。また、ポリメチルメタクリレートは、溶媒の吸湿性が低い点、光学特性が良好である点及び低コストである点において位相差フィルム用の基板として好ましく使用することができる。なお、液晶配向剤の塗布に使用する基板に対しては、基板表面と塗膜との密着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に従来公知の前処理が施されていてもよい。
位相差フィルムは、多くの場合、偏光フィルムと組み合わせて使用される。このとき、所期する光学特性を発揮できるように、偏光フィルムの偏光軸に対する角度を特定の方向に精密に制御して位相差フィルムを貼り合わせる必要がある。従って、ここで、所定角度の方向に液晶配向能を有する液晶配向膜を、TACフィルムやポリメチルメタクリレートなどの基板上に形成することにより、位相差フィルムを偏光フィルム上にその角度を制御しつつ貼り合わせる工程を省略することができる。またこれにより、液晶表示素子の生産性の向上に寄与することができる。所定角度の方向に液晶配向能を有する液晶配向膜を形成するには、本発明の液晶配向剤を用いて光配向法によって行うことが好ましい。
基板上への液晶配向剤の塗布は、適宜の塗布方法によることができ、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法、バーコーター法、エクストリューションダイ法、ダイレクトグラビアコーター法、チャンバードクターコーター法、オフセットグラビアコーター法、一本ロールキスコーター法、小径のグラビアロールを使ったリバースキスコーター法、3本リバースロールコーター法、4本リバースロールコーター法、スロットダイ法、エアードクターコーター法、正回転ロールコーター法、ブレードコーター法、ナイフコーター法、含浸コーター法、MBコーター法、MBリバースコーター法などを採用することができる。
塗布後、塗布面を加熱(ベーク)して塗膜を形成する。この時の加熱温度は、40〜150℃とすることが好ましく、80〜140℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.1〜15分とすることが好ましく、1〜10分とすることがより好ましい。基板上に形成される塗膜の膜厚は、好ましくは1〜1,000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmである。
[工程(II−2):光照射工程]
次いで、上記のようにして基板上に形成された塗膜に対し光を照射することにより、塗膜に液晶配向能を付与する。ここで、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行う必要がある。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ(Hg−Xeランプ)などを挙げることができる。偏光は、これらの光源を例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
光の照射量は、0.1mJ/cm以上1,000mJ/cm未満とすることが好ましく、1〜500mJ/cmとすることがより好ましく、2〜200mJ/cmとすることが更に好ましい。
[工程(II−3):液晶層の形成]
次いで、上記のようにして光照射した後の塗膜上に、重合性液晶を塗布して硬化させる。これにより、重合性液晶を含む塗膜(液晶層)を形成する。ここで使用される重合性液晶は、加熱及び光照射のうちの少なくとも一種の処理によって重合する液晶化合物又は液晶組成物である。このような重合性液晶としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、例えば非特許文献1(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999)、pp34〜42)に記載されているネマチック液晶を挙げることができる。また、コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、公知の重合開始剤や適当な溶媒などを更に含有する組成物であってもよい。
液晶配向剤を用いて形成された塗膜上に上記のような重合性液晶を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
次いで、上記のように形成された重合性液晶の塗膜に対して、加熱及び光照射から選択される一種以上の処理を施すことにより、該塗膜を硬化して液晶層を形成する。これらの処理を重畳的に行うことが、良好な配向が得られることから好ましい。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶の種類によって適宜に選択されるべきである。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cmとすることが好ましく、100〜5,000mJ/cmとすることがより好ましい。
形成される液晶層の厚さとしては、所望の光学特性によって適宜に設定される。例えば波長540nmの可視光における1/2波長板を製造する場合は、形成した位相差フィルムの位相差が240〜300nmとなるような厚さが選択され、1/4波長板であれば、位相差が120〜150nmとなるような厚さが選択される。目的の位相差が得られる液晶層の厚さは、使用する重合性液晶の光学特性によって異なる。例えばメルク製のRMS03−013Cを使用する場合、1/4波長板を製造するための厚さは、0.6〜1.5μmの範囲である。
上記のようにして得られた位相差フィルムは、液晶表示素子の位相差フィルムとして好ましく適用することができる。本発明の液晶配向剤を用いて製造された位相差フィルムが適用される液晶表示素子は、その駆動方式に制限がなく、例えばTN型、STN型、IPS型、FFS型、VA型などの公知の各種方式に適用することができる。上記位相差フィルムは、液晶表示素子の視認側に配置された偏光板の外側面に対し、位相差フィルムにおける基板側の面が貼付されて用いられる。従って、位相差フィルムの基板をTAC製又はアクリル基材とし、該位相差フィルムの基板を偏光フィルムの保護膜としても機能させる態様とすることが好ましい。
本発明の液晶表示素子は種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例及び合成例において、重合体の重量平均分子量Mw、イミド化率及びエポキシ当量、並びに重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。
[重合体の重量平均分子量Mw]
Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[重合体のイミド化率]
ポリイミドを含有する溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した。得られたH−NMRスペクトルから、下記数式(1)を用いてイミド化率を求めた。
イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C 2105に記載の塩酸−メチルエチルケトン法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
<ジアミンの合成>
[実施例1−1;化合物(DA−1)の合成]
下記スキーム1にしたがって、上記式(DA−1)で表される化合物(以下、化合物(DA−1)と示す。)を合成した。
Figure 2016006473
温度計、三方コックを備えた3L三口フラスコに、4−(ベンジルオキシ)フェノール105.1g(0.53モル)、1,5−ジブロモペンタン57.5g(0.25モル)、炭酸カリウム138.2g(1.0モル)及びジメチルホルムアミド(DMF)1250mlを加えて混合した。次いで、60℃に昇温し6時間反応させた後、酢酸エチル2000mlと混合し、その後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し、固体を析出させた。得られた固体を酢酸エチル、ヘキサンから再結晶し、ろ過回収し、乾燥することで、上記式(DA−1−1)で表される化合物(化合物(DA−1−1)と示す。)を99.6g(0.21モル)得た。
次に、温度計、三方コック及び滴下ロートを備えた2L三口フラスコに、上記で得た化合物(DA−1−1)を99.6g(0.21モル)及び5%Pd/Cを10g量り取り、系内を真空脱気し、窒素で置換した。次いで、テトラヒドロフラン(THF)1000mlを加え、10℃を超えないように冷却しながら、ヒドラジン・一水和物100mlをゆっくりと滴下した。次いで、室温にて6時間反応させた。なお、反応に用いた溶媒はあらかじめ窒素置換しておいた。反応後、ろ過により無機塩を除去し、ろ液に酢酸エチル1000mlを混合し、その後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し、固体を析出させた。得られた固体を回収し、乾燥することで、上記式(DA−1−2)で表される化合物(化合物(DA−1−2)と示す。)を56.4g(0.20モル)得た。
次に、温度計、三方コックを備えた1L三口フラスコに、上記で得られた化合物(DA−1−2)を56.4g(0.20モル)、4−フルオロニトロベンゼン56.5g(0.40モル)、炭酸カリウム108.1g(0.78モル)及びジメチルホルムアミド(DMF)500mlを加えて混合した。次いで、60℃に昇温し6時間反応させた後、酢酸エチル1000mlと混合し、その後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し、固体を析出させた。得られた固体を酢酸エチル、ヘキサンから再結晶し、ろ過回収し、乾燥することで、上記式(DA−1−3)で表される化合物(ジニトロ中間体(DA−1−3)と示す。)を74.7g(0.14モル)得た。
次に、窒素気流下、2Lオートクレーブに、上記のジニトロ中間体(DA−1−3)を74.7g(0.14モル)、5%Pd/Cを7.5g、エタノール200mL及びテトラヒドロフラン800mLを加えた後、水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。液体クロマトグラフィーにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。ろ液と酢酸エチル3000mLを混合し、その後、蒸留水で分液精製した。得られた有機層から減圧蒸留にて溶媒を除去することにより固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで化合物(DA−1)を58.3g(0.12モル)得た。
[実施例1−2;化合物(DA−2)の合成]
下記スキーム2にしたがって、上記式(DA−2)で表される化合物(以下、化合物(DA−2)と示す。)を合成した。
Figure 2016006473
温度計、三方コックを備えた3L三口フラスコに、3−フェニルプロピルブロミド99.5g(0.5モル)、フェノール51.8g(0.55モル)、炭酸カリウム207.3g(1.5モル)及びジメチルホルムアミド(DMF)2000mlを加えて混合した。次いで、60℃に昇温し6時間反応させた後、酢酸エチル2000mlと混合し、その後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し、固体を析出させた。得られた固体をエタノールから再結晶し、ろ過回収し、乾燥することで、上記式(DA−2−1)で表される化合物(化合物(DA−2−1)と示す。)を77.5g(0.37モル)得た。
次に、温度計及び三方コックを備えた2L三口フラスコに、塩化アルミニウム243.3g(1.83モル)と塩化メチレン1000mLとを混合し、氷冷下、4−ニトロ安息香酸クロリド162.6g(0.88モル)を投入し、溶解させた。次に、化合物(DA−2−1)を77.5g(0.37モル)含む塩化メチレン溶液400mLをゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に戻しながら6時間反応させた。液体クロマトグラフィーで反応の終了を確認したのち、反応液を10規定塩酸と氷の混合物に注ぎ、次いでクロロホルムで抽出した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水及び蒸留水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、減圧蒸留により溶媒を除去し、十分に結晶が析出したところでろ過した。ろ物を水、エタノール、トルエンで順次洗浄し、減圧乾燥させることで、上記式(DA−2−2)で表される化合物(化合物(DA−2−2)と示す。)を95.0g(0.19モル)得た。
次に、温度計、滴下ロート及び三方コックを備えた1L三口フラスコに、化合物(DA−2−2)を95.0gとジクロロメタン500mLを入れ、氷冷下、トリフルオロメタンスルホン酸120gをゆっくり滴下した。続いて、トリエチルシラン120gをゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に戻しながら10時間反応させた。液体クロマトグラフィーで反応の終了を確認したのち、反応液を炭酸ナトリウム水溶液で中和し、水洗した。有機層を濃縮し、固体を析出させた後にトルエン溶媒で再結晶することにより、上記式(DA−2−3)で表される化合物(ジニトロ中間体(DA−2−3)と示す。)を71.9g(0.15モル)得た。
次に、窒素気流下、2Lオートクレーブに、上記のジニトロ中間体(DA−2−3)を71.9g(0.15モル)、5%Pd/Cを7.2g、エタノール200mL及びテトラヒドロフラン800mLを加えた後、水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。HPLCにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。ろ液と酢酸エチル3000mLを混合し、その後、蒸留水で分液精製した。得られた有機層から減圧蒸留にて溶媒を除去することにより固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで化合物(DA−2)を53.3g(0.13モル)得た。
[実施例1−3;化合物(DA−3)の合成]
下記スキーム3にしたがって、上記式(DA−3)で表される化合物(以下、化合物(DA−3)と示す。)を合成した。
Figure 2016006473
温度計及び三方コックを備えた3L三口フラスコに、4−ヒドロキシ−4’−ニトロビフェニル180.8g(0.84モル)、1,3−ジブロモプロパン80.8g(0.4モル)、炭酸カリウム221.1g(1.6モル)及びジメチルホルムアミド(DMF)2000mlを加えて混合した。次いで、60℃に昇温し6時間反応させた後、酢酸エチル4000mlと混合し、その後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し、固体を析出させた。得られた固体をエタノールから再結晶し、ろ過回収し、乾燥することで、上記式(DA−3−1)で表される化合物(ジニトロ中間体(DA−3−1)と示す。)を103.5g(0.22モル)得た。
次に、窒素気流下、2Lオートクレーブに、上記のジニトロ中間体(DA−3−1)を103.5g(0.22モル)、5%Pd/Cを10.3g、エタノール100mL及びテトラヒドロフラン500mLを加えた後、水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。HPLCにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。ろ液と酢酸エチル1000mLを混合し、その後、蒸留水で分液精製した。得られた有機層から減圧蒸留にて溶媒を除去することにより固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで化合物(DA−3)を151.7g(0.37モル)得た。
[実施例1−4;化合物(DA−4)の合成]
下記スキーム4にしたがって、上記式(DA−4)で表される化合物(以下、化合物(DA−4)と示す。)を合成した。
Figure 2016006473
温度計、三方コック及び滴下ロートを備えた1L三口フラスコに、上記実施例1−1と同様の手法で得た化合物(DA−1−2)を43.4g(0.15モル)、トリエチルアミン(TEA)60.7g(0.6モル)及びTHF300mlを混合し、氷冷下、4−ニトロ安息香酸クロリド69.6g(0.38モル)のTHF400ml溶液をゆっくりと滴下した。滴下後、室温にて12時間反応させた後に酢酸エチル1000mlと混合し、その後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し、固体を析出させた。得られた固体を酢酸エチルとヘキサンから再結晶し、ろ過回収し、乾燥することで、上記式(DA−4−1)で表される化合物(ジニトロ中間体(DA−4−1)と示す。)を39.6g(0.07モル)得た。
次いで、窒素気流下、2Lオートクレーブに、上記のジニトロ中間体(DA−4−1)を39.6g(0.07モル)、5%Pd/Cを4g、エタノール100mL及びテトラヒドロフラン250mLを加えた後、水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。HPLCにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。有機層から減圧蒸留にて溶媒を除去することにより固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで化合物(DA−4)を27.4g(0.05モル)得た。
下記スキーム5にしたがって、下記式(DA−16)で表される化合物(以下、化合物(DA−16)と示す。)を合成した。
Figure 2016006473
温度計、三方コック及び滴下ロートを備えた1L三口フラスコに、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンを43.0g(0.15モル)、トリエチルアミン60.7g(0.6モル)及びTHF300mlを混合し、氷冷下4−ニトロ安息香酸クロリド69.6g(0.38モル)のTHF400ml溶液をゆっくりと滴下した。滴下後、室温にて12時間反応させた後に酢酸エチル1000mlと混合し、その後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し、固体を析出させた。得られた固体を酢酸エチルとヘキサンから再結晶し、ろ過回収し、乾燥することで中間体(DA−16−1)46.8g(0.08モル)得た。
次いで、窒素気流下、2Lオートクレーブに、上記のニトロ中間体(DA−16−1)を46.8g(0.08モル)、5%Pd/Cを4.5g、エタノール100mL及びテトラヒドロフラン250mLを加えた後、水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。HPLCにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。有機層を減圧蒸留にて溶媒を除去することにより固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで白色の固体である目的の化合物(DA−16)を31.5g(0.06モル)得た。
<重合体の合成>
[実施例2−1;重合体(PA−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物10.7g(合成に使用したジアミンの全体量100モル部に対して93モル部)、並びにジアミンとして化合物(DA−1)を12.41g(同50モル部)、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート4.82g(同40モル部)及び4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリンを2.07g(同10モル部)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)85g及びγ−ブチルラクトン(GBL)85gの混合溶媒に溶解し、30℃で6時間反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、ポリアミック酸(以下、重合体(PA−1)とする。)を28.2g得た。得られた重合体(PA−1)をNMP:GBL=50:50の溶媒組成にて15重量%となるように調製し、この溶液の粘度を測定したところ550mPa・sであった。また、この重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
[実施例2−2〜実施例2−5、実施例2−7、実施例2−8、合成例1,2]
上記実施例2−1において、反応に使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を下記表1の通り変更した以外は実施例2−1と同様にして重合体を得た。なお、表1中の数値は、テトラカルボン酸二無水物については、反応に使用したテトラカルボン酸二無水物の全体量に対する使用割合(モル%)を示し、ジアミンについては、反応に使用したジアミンの全体量に対する使用割合(モル%)を示す。実施例で得た重合体溶液のそれぞれにつき、20℃で3日間静置したところ、いずれもゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
Figure 2016006473
表1中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの略称は以下の通りである。
(テトラカルボン酸二無水物)
AN−1; 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
AN−2; ピロメリット酸二無水物
AN−3; 2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
AN−4; エチレンジアミン四酢酸二無水物
AN−5; 1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン
(ジアミン)
da−1; 下記式(da−1)で表される化合物
da−2; 4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート
da−3; 4,4’−ジアミノジフェニルメタン
da−4; 4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン
da−5; 2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン
da−6; 4,4’−ジアミノジフェニルアミン
da−7; 3,5−ジアミノ安息香酸
da−8; 3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
da−9; 4−(テトラデカオキシ)ベンゼン−1,3−ジアミン
da−10:上記式(DA−15)で表される化合物
da−11:1,4−ビス−(5−アミノ−ピリジン−2−イル)−ピペラジン
DA−16:上記式(DA−16)で表される化合物
Figure 2016006473
[実施例2−6;重合体(PI−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物16.58g(合成に使用したジアミンの全体量100モル部に対して98モル部)、並びにジアミンとして化合物(DA−2)25.52g(同80モル部)及び3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル7.89g(同20モル部)をNMP200gに溶解し、室温で6時間反応を行った。次いで、NMP250gを追加し、ピリジン11.7g及び無水酢酸15.11gを添加し80℃で5時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、イミド化率約65%のポリイミド(以下、重合体(PI−1)とする。)を得た。得られた重合体(PI−1)をNMPにて15重量%となるように調製した。この溶液の粘度を測定したところ890mPa・sであった。
[合成例3;ポリオルガノシロキサンの合成]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500g及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。ここに脱イオン水100gを滴下漏斗から30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃において6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、これを0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、オキシラニル基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。このオキシラニル基を有するポリオルガノシロキサンについて、H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にオキシラニル基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にオキシラニル基の副反応が起こっていないことが確認された。このオキシラニル基を有するポリオルガノシロキサンのエポキシ当量を測定したところ、186g/当量であった。
次いで、100mLの三口フラスコに、上記で得たオキシラニル基を有するポリオルガノシロキサン9.3g、メチルイソブチルケトン26g、4−フェノキシ桂皮酸3g及びUCAT 18X(商品名、サンアプロ(株)製)0.10gを仕込み、80℃において12時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物をメタノールに投入して生成した沈殿物を回収し、これを酢酸エチルに溶解して溶液とし、該溶液を3回水洗した後、溶剤を留去することにより、オキシラニル基と桂皮酸構造を有するポリオルガノシロキサン(S−1)を白色粉末として6.3g得た。このポリオルガノシロキサン(S−1)についてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは3,500であった。
<液晶配向剤の調製及び評価>
[実施例3−1:FFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として実施例2−1で得た重合体(PA−1)100重量部を、γ−ブチロラクトン(GBL)、NMP及びブチルセロソルブ(BC)からなる混合溶媒(GBL:NMP:BC=40:40:20(重量比))に溶解し、固形分濃度が3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)塗布性の評価
上記で調製した液晶配向剤を、ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間加熱(ポストベーク)することにより、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率100倍の顕微鏡で観察して膜厚ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、膜厚ムラ及びピンホールの双方とも観察されなかった場合を塗布性「良好」、膜厚ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが観察された場合を塗布性「不良」として行った。本実施例では、膜厚ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、塗布性は「良好」であった。
(3)ラビング耐性の評価
上記で得た塗膜に対し、コットン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度20cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を7回実施した。得られた基板上のラビング削れによる異物(塗膜の欠片)を光学顕微鏡にて観察し、500μm×500μmの領域内の異物数を計測した。評価は、異物の数が3個以下の場合をラビング耐性「良好」、4個以上7個以下の場有を「可」、8個以上の場合をラビング耐性「不良」として行った。その結果、この塗膜のラビング耐性は「良好」であった
(4)FFS型液晶表示素子の製造
図1に示すFFS型液晶表示素子を作製した。先ず、パターンを有さないボトム電極15、絶縁層14としての窒化ケイ素膜、及び櫛歯状にパターニングされたトップ電極13がこの順で形成された2系統の電極対を片面に有するガラス基板11aと、電極が設けられていない対向ガラス基板11bとを一対とし、ガラス基板11aの透明電極を有する面と対向ガラス基板11bの一面とに、それぞれ上記(1)で調製した液晶配向剤を、スピンナーを用いて塗布して塗膜を形成した。次いで、この塗膜を80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で230℃にて15分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。トップ電極13の平面模式図を図2に示す。なお、図2(a)は、トップ電極13の上面図であり、図2(b)は、図2(a)の破線で囲った部分C1の拡大図である。本実施例では、電極の線幅d1を4μm、電極間の距離d2を6μmとした。
次いで、ガラス基板上に形成した塗膜の各表面にコットンにてラビング処理を実施し、液晶配向膜12とした。図2(b)に、ガラス基板11a上に形成した塗膜に対するラビング方向を矢印で示す。これらの基板を、互いの基板11a,11bのラビング方向が逆並行となるように直径3.5μmのスペーサーを介して貼り合せ、液晶MLC−6221(メルク社製)を注入し、液晶層16を形成した。さらに、基板11a,11bの外側両面に、偏光板(図示略)を2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより液晶表示素子10を作製した。
(5)液晶配向性の評価
上記で製造したFFS型液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」とし、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。この液晶表示素子では液晶配向性「良好」であった。
(6)電圧保持率の評価
上記で製造したFFS型液晶表示素子につき、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を測定したところ99.2%であった。なお、測定装置としては、(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
(7)耐熱性の評価
上記で製造したFFS型液晶表示素子につき、上記(6)と同様に電圧保持率を測定し、その値を初期VHR(VHRBF)とした。次いで、初期VHR測定後の液晶表示素子につき、100℃のオーブン中に300時間静置した。その後、この液晶表示素子を室温下に静置して室温まで放冷した後、上記同様にして電圧保持率(VHRAF)を測定した。また、下記数式(2)により、熱ストレスの付与前後の電圧保持率の変化率(△VHR(%))を求めた。
△VHR=((VHRBF−VHRAF)÷VHRBF)×100…(2)
耐熱性の評価は、変化率ΔVHRが4%未満であった場合を耐熱性「良好」、4%以上5%未満であった場合を「可」、5%以上であった場合を耐熱性「不良」として行った。その結果、本実施例の液晶表示素子のΔVHRは1.9%であり、耐熱性は「良好」であった。
(8)プレチルト角特性
上記で製造した液晶表示素子につき、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によって液晶分子の基板面からの傾きの角度を測定し、この値をプレチルト角θとした。結晶回転法は、非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))及び非特許文献2(F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠して行った。
評価は、プレチルト角θが1.0°未満であった場合をプレチルト角評価「良好」、1.0°以上であった場合をプレチルト角評価「不良」と評価したところ、この液晶表示素子のプレチルト角変化率は0.3°であり、プレチルト角安定性「良好」と判断された。
(9)駆動ストレス後のコントラスト評価(AC残像特性の評価)
基板の外側両面に偏光板を貼り合わせなかった点以外は上記(4)と同様の操作を行い、FFS型液晶セルを作製した。このFFS型液晶セルにつき、交流電圧10Vで30時間駆動した後に光源と光量検出器の間に偏光子と検光子を配置した装置を使用して、下記数式(3)で表される最小相対透過率(%)を測定した。
最小相対透過率(%)=(β−B)/(B100−B)×100 …(3)
(数式(3)中、Bは、ブランクでクロスニコル下の光の透過量である。B100は、ブランクでパラニコル下の光の透過量である。βは、クロスニコル下で偏光子と検光子の間に液晶表示素子を挟み最小となる光透過量である。)
暗状態の黒レベルは液晶表示素子の最小相対透過率で表され、FFS型液晶表示素子では暗状態での黒レベルが小さいほどコントラストが優れる。最小相対透過率が0.5%未満のものを「良好」とし、0.5%以上1.0%未満のものを「可」とし、1.0%以上のものを「不良」とした。その結果、この液晶セルの最小相対透過率は0.2%であり、「良好」と判断された。
[実施例3−2〜実施例3−5、実施例3−9及び比較例1、2]
上記実施例3−1において、重合体として下記表2に示す種類のものをそれぞれ使用したほかは実施例3−1と同様にして液晶配向剤を調製するとともに、FFS型液晶表示素子を製造して各種評価を行った。評価結果は下記表2に示した。
Figure 2016006473
表2に示すように、実施例3−1〜実施例3−5及び実施例3−9では、液晶配向剤の塗布性及び塗膜のラビング耐性についていずれも良好な結果が得られた。また、液晶表示素子における液晶分子の配向性、電圧保持率、耐熱性、プレチルト角特性及びAC残像特性についても良好な結果であった。これに対し、比較例1では、液晶配向剤の塗布性が「不良」であり、塗膜のラビング耐性については実施例よりも劣る結果であった。また、比較例1の液晶表示素子では、電圧保持率、プレチルト角特性及びAC残像特定が実施例より劣る結果であった。比較例2では、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と化合物(DA−1)とを反応させて得られる重合体を用いたが、電圧保持率が低く、液晶セルの耐熱性が「不良」であった。
[実施例3−6:TN型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として実施例2−5で得た重合体(PA−7)100重量部をNMP及びBCの混合溶媒(NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、固形分濃度6.5重量%の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
(2)印刷性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して印刷ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが僅かに観察された場合を印刷性「可」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが多く見られた場合を印刷性「不良」として行った。本実施例では、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
(3)TN型液晶セルの製造
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。また、上記の操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化型接着剤で液晶注入口を封止することにより、TN型液晶セルを製造した。
(4)液晶配向性の評価
上記(3)で製造したTN型液晶セルにつき、クロスニコル下で5Vの電圧をオン・オフしたときの異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は上記実施例3−1の(5)と同様にして行った。その結果、この液晶セルでは液晶配向性「良好」であった。
(5)プレチルト角安定性の評価
上記(3)で製造したTN型液晶セルにつき、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によって液晶分子の基板面からの傾きの角度を測定し、この値を初期プレチルト角θINとした。結晶回転法は、非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))及び非特許文献2(F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠して行った。
次いで、初期プレチルト角θINを測定した後の液晶セルに、5Vの交流電圧を100時間印加した。その後、上記と同様の方法により再度プレチルト角を測定し、この値を電圧印加後のプレチルト角θAFとした。これらの測定値を下記数式(4)に代入して、電圧印加の前後におけるプレチルト角の変化量(△θ(°))を求めた。
Δθ=|θAF−θIN| …(4)
Δθが、3%未満であった場合をプレチルト角安定性「良好」、3%以上4%未満であった場合をプレチルト角安定性「可」、4%以上であった場合をプレチルト角安定性「不良」と評価したところ、この液晶セルのプレチルト角変化率は2.8%であり、プレチルト角安定性「良好」と判断された。
(6)電圧保持率及び耐熱性の評価
上記実施例3−1の(6)と同様にして電圧保持率(VHRBF)を測定するとともに、上記実施例3−1の(7)と同様にして、熱ストレス付与前後の電圧保持率の変化率により液晶表示素子の耐熱性を評価した。その結果、VHRBFは98.9%であった。また、ΔVHRは2.9%であり、耐熱性「良好」と判断された。
[実施例3−7:VA型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として実施例2−6で得た重合体(PI−1)100重量部をNMP及びBCを加えて、固形分濃度6.5重量%、溶媒の混合比がNMP:BC=50:50(重量比)の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)印刷性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤を用いて、上記実施例3−5の(2)と同様にして印刷性を調べたところ、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
(3)VA型液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板(厚さ1mm)の透明電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)し、さらに200℃のホットプレート上で60分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚800Åの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、透明導電膜上に液晶配向膜を有するガラス基板を一対(2枚)得た。次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することによりVA型液晶セルを製造した。
(4)液晶配向性、電圧保持率及び耐熱性の評価
上記(3)で製造したVA型液晶セルにつき、実施例3−1の(5)と同様に液晶配向性の評価を行ったところ、この液晶セルの液晶配向性は「良好」であった。また、実施例3−1の(6)と同様にして電圧保持率(VHRBF)を測定するとともに、上記実施例3−1の(7)と同様にして耐熱性(熱ストレス付与前後の電圧保持率の変化率)の評価を行った。その結果、VHRBFは99.2%であった。また、ΔVHRは2.4%であり、耐熱性「良好」と判断された。
[実施例3−8:位相差フィルム]
(1)液晶配向剤の調製
実施例2−2で得た重合体(PA−2)100重量部、及び合成例3で得たポリオルガノシロキサン(S−1)5重量部を、NMP及びBCからなる混合溶媒(NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、固形分濃度が3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)位相差フィルムの製造
基板としてのTACフィルムの一面に、上記で調製した液晶配向剤を、バーコーターを用いて塗布し、オーブン内にて120℃で2分間ベークして膜厚100nmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面にHg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線10mJ/cmを基板法線から垂直に照射した。次いで、重合性液晶(RMS03−013C、メルク社製)を孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、この重合性液晶を、光照射後の塗膜上にバーコーターにより塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプを用いて365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cmを塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成することにより、位相差フィルムを製造した。
(3)液晶配向性の評価
上記(2)で製造した位相差フィルムにつき、クロスニコル下での目視及び偏光顕微鏡(倍率2.5倍)によって異常ドメインの有無を観察することにより液晶配向性を評価した。評価は、目視にて配向性が良好かつ偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、目視では異常ドメインが観察されなかったが偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「可」、目視及び偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは液晶配向性「良好」と評価された。
(4)密着性
上記(2)で製造した位相差フィルムを用いて、液晶配向剤により形成した塗膜の基板との密着性について評価した。先ず、ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより位相差フィルムの液晶層側の面から切り込みを入れ、1cm×1cmの範囲に10個×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、液晶層表面から基板厚さの中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察して密着性を評価した。評価は、切込み線に沿った部分及び格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合を密着性「良好」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%未満の場合を密着性「可」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%以上であった場合を密着性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは密着性「良好」であった。
10…液晶表示素子、11a,11b…ガラス基板、12…液晶配向膜、13…トップ電極、14…絶縁層、15…ボトム電極、16…液晶層

Claims (12)

  1. テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル化合物及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸誘導体と、下記式(1)で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(P)を含有する液晶配向剤。
    Figure 2016006473
    (式(1)中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基の炭素−炭素結合間及び当該炭化水素基と隣り合う位置の少なくともいずれかに、酸素原子又は硫黄原子を有する2価の基であり、当該炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい。X及びXは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基である。但し、X及びXが酸素原子であり、かつRが−O−R−O−(Rは炭素数1〜18のアルカンジイル基である。)の場合、前記テトラカルボン酸誘導体が1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物である場合を除く。)
  2. 前記式(1)で表されるジアミンが下記式(1−1)で表されるジアミンである、請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2016006473
    (式(1−1)中、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、X及びXは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基であり、Xは、酸素原子又は硫黄原子であり、Xは、単結合、酸素原子又は硫黄原子である。但し、X、X、X及びXが酸素原子であり、かつRが炭素数1〜18のアルカンジイル基である場合、前記テトラカルボン酸誘導体が1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物である場合を除く。)
  3. 前記Rが、炭素数1〜11のアルカンジイル基である、請求項2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記X及びXが、それぞれ独立に、酸素原子、炭素数1〜10のアルカンジイル基、炭素数2〜10のアルケンジイル基、エステル基又はアミド基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  5. 前記テトラカルボン酸誘導体が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  6. 前記重合体(P)が、プレチルト角発現能を有する側鎖構造を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  8. 請求項7に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
  9. 請求項7に記載の液晶配向膜を具備する位相差フィルム。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に光照射する工程と、
    前記光照射した後の塗膜上に重合性液晶を塗布して硬化させる工程と、を含む位相差フィルムの製造方法。
  11. テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル化合物及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸誘導体と、下記式(1)で表される化合物を含むジアミンと、を反応させて得られる重合体。
    Figure 2016006473
    (式(1)中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基の炭素−炭素結合間及び当該炭化水素基と隣り合う位置の少なくともいずれかに、酸素原子又は硫黄原子を有する2価の基であり、当該炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい。X及びXは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基である。但し、X及びXが酸素原子であり、かつRが−O−R−O−(Rは、炭素数1〜18のアルカンジイル基である。)の場合、前記テトラカルボン酸誘導体が1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物である場合を除く。)
  12. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 2016006473
    (式(1)中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基の炭素−炭素結合間及び当該炭化水素基と隣り合う位置の少なくともいずれかに、酸素原子又は硫黄原子を有する2価の基であり、当該炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい。X及びXは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基である。但し、X及びXが酸素原子であり、かつRが−O−R−O−(Rは、炭素数1〜18のアルカンジイル基である。)である場合を除く。)
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