JP2016006418A - 蛍光体スクリーン及びフラットパネルディテクタ - Google Patents

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一海 堀田
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Abstract

【課題】トレードオフの関係にある感度及び鮮鋭度を両立した蛍光体スクリーンと、それを利用した高品質フラットパネルディテクタを提供する。
【解決手段】蛍光体スクリーン1は、基板4上にシンチレータ層6を形成したもので、該シンチレータ層6表面に凹凸パターンを有し、その寸法が、h(凸)/20≦h(凹)≦h(凸)を満たす。ここで、h(凸)は、シンチレータ層の最大膜厚を表し、h(凹)は、シンチレータ層の凹部の深さを表す。
【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体スクリーン及びフラットパネルディテクタに存する。
従来、医療現場において、フィルムを用いたX線画像が広く用いられてきた。しかし、フィルムを用いたX線画像はアナログ画像情報であるため、近年、コンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等のデジタル方式のフラットパネルディテクタが開発されている。
放射線を可視光に変換する間接方式のフラットパネルディテクタ(FPD:フラットパネルディテクタ)においては、放射線を可視光に変換するために、放射線像変換スクリーンが使用される。放射線像変換スクリーンは、タリウム賦活のヨウ化セシウム(CsI:Tl)やテルビウム賦活の酸硫化ガドリニウム(Gd22S:Tb)(GOS)等のX線蛍光体を含み、照射されたX線に応じて、該X線蛍光体が可視光を発光して、その発光をTFTやCCDで電気信号に変換することにより、X線の情報をデジタル画像情報に変換する。
FPDには、より照射X線に対する感度が高く、かつ高鮮鋭度のものが望まれている。感度を高めるためには蛍光体スクリーンにおける蛍光体量を多くすることが有効であるが、蛍光体量を多くすると、蛍光体スクリーンの厚みが増して蛍光体から発光した可視光がより広がりやすくなり鮮鋭度が低下する。この光の拡散の影響を抑え、鮮鋭度を保ったまま感度を向上させるために、例えば、特許文献1では、蛍光体の平均粒径や充填率、膜厚などを調整する方法が開示されている。
特開2007−248283号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、感度及び鮮鋭度が不十分である場合があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、即ち、本発明は、トレードオフの関係にある感度及び鮮鋭度を両立した蛍光体スクリーンを提供する。
また、本発明は、上記蛍光体スクリーンを含む、高品質なフラットパネルディテクタを提供する。
本発明者等は鋭意検討を行った結果、蛍光体スクリーンにおけるシンチレータ層の表面に、凹凸パターンを形成することで、上記課題を解決しうることを見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、基板上に、シンチレータ層を含む蛍光体スクリーンにおいて、該シンチレータ層が、凹凸パターンを有し、下記式(I)を満たすことを特徴とする蛍光体スクリーン及びフラットパネルディテクタに存する。
h(凸)/20≦h(凹)≦h(凸) (I)
(上記式中、
h(凸)は、シンチレータ層の最大膜厚を表し、
h(凹)は、シンチレータ層の凹部の深さを表す。)
本発明は、トレードオフの関係にある感度及び鮮鋭度を両立した蛍光体スクリーンを提供することが可能となる。
また、本発明は、上記蛍光体スクリーンを含む、高品質なフラットパネルディテクタを提供することが可能となる。
本発明の蛍光体スクリーンを含むフラットパネルディテクタの構成を模式的に表した断面図である。 本発明の蛍光体スクリーン(シンチレータ層の凹凸パターン)の構成の一例を模式的に表した上視図である。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
尚、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
以下、図1を用いて本発明の蛍光体スクリーンおよびそれを用いたフラットパネルディテクタ(以下、「FPD」と称する場合がある)の好ましい構成について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
フラットパネルディテクタ1は、蛍光体スクリーン2、出力基板3、および電源部11からなる。蛍光体スクリーン2は、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの範囲の電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる範囲の電磁波(光)を発光する。
蛍光体スクリーン2は、基板4と、シンチレータ層を有する。
尚、本発明におけるシンチレータ層は、凹凸のパターンを有する。
図1中の出力基板3は、基板10上にフォトセンサとTFTからなる画素が2次元状に形成された光電変換層8および出力層9を有する。蛍光体スクリーン2の出光面と出力基板3の光電変換層8とを、保護層7を介して、接着又は密着させることでフラットパネルディテクタ1となる。蛍光体スクリーン2で発光した光が光電変換層8に到達し、光電変換層8で光電変換を行い、出力する。
これらについて、順次説明していく。
<蛍光体スクリーン>
本発明における蛍光体スクリーンは 基板上に、シンチレータ層を含む蛍光体スクリーンにおいて、該シンチレータ層が、凹凸パターンを有し、下記式(I)を満たす。
h(凸)/20≦h(凹)≦h(凸) (I)
(上記式中、
h(凸)は、シンチレータ層の最大膜厚を表し、
h(凹)は、シンチレータ層の凹部の深さを表す。)
[基板]
本発明の蛍光体スクリーンに用いられる基板は、放射線透過性を有する基板であれば特に制限はなく、公知の材料、例えば、各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができる。
例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどのガラスからなる板ガラス;サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミックからなるセラミック基板;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素などの半導体からなる半導体基板;セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム);アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート;金属酸化物の被覆層を有する金属シートやアモルファスカーボン基板などを用いることができる。
蛍光体スクリーンの持ち運びの利便性の点で蛍光体スクリーンの軽量化が進められていることから、基板の厚みは2.0mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0mm以下である。
また、基板が高反射率であると、蛍光体によって発光した可視光を光電変換素子の方向に反射することによって蛍光体スクリーンのフラットパネルディテクタの感度を高くすることができ好ましい。反射率を高くするために、上述のガラスや高分子フィルム中に顔料やセラミックス粉末を分散させた基板を用いることが可能であるし、基板と蛍光体層との間に、反射率の高いセラミックスや金属膜などの緩衝層を有していてもよい。
[シンチレータ層]
本発明におけるシンチレータ層は、蛍光体を含む層のことを意味する。
尚、本発明における蛍光体とは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する物質をいう。
シンチレータ層に含まれる蛍光体の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、X線から可視光への変換効率が高く、また発光された可視光を吸収しにくいものが好ましい。
例えば、特開2000−162394号公報や特開2003−82347号公報に記載の如く、酸硫化ガドリニウム蛍光体(Gd22S)に、テルビウム(Tb)、ジルプロシウム(Dy)、セシウム(Ce)などの賦活物質を含有するものを用いることができる。
また、特開2011−7522号公報に記載の如く、CsIや、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものや、特開2001−59899号公報に記載の如く、CsIにンジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIを用いてもよい。
上記した蛍光体は、1種を単独で用いてもよく、異なる2種以上を併用してもよい。
また、シンチレータ層に含まれる蛍光体の平均粒径は、通常30μm以下、好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下、また通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上である。
上記範囲内であると、光を散乱する効果が大きく、シンチレータ層上の凹部に、蛍光体から発光した光を集光しやすい点で好ましい。
(式(I)について)
本発明の蛍光体スクリーンは、下記式(I)を満たす。
h(凸)/20≦h(凹)≦h(凸) (I)
(上記式中、
h(凸)は、シンチレータ層の最大膜厚(nm)を表し、
h(凹)は、シンチレータ層の凹部の深さ(nm)を表す。)
本発明におけるシンチレータ層の最大膜厚h(凸)は、通常100nm以上、好ましくは200nm以上、更に好ましくは300nm以上、また通常1000nm以下、好ましくは800nm以下、更に好ましくは600nm以下である。
上記範囲内であると、感度と鮮鋭度を適切なバランスに調節できる点で好ましい。すなわち上記範囲より膜厚が薄いと感度が十分でなく、膜厚が厚いと鮮鋭度が低下する。
また、本発明におけるシンチレータ層の凹部の深さh(凹)は、通常h(凸)/20以上、好ましくはh(凸)/5以上、さらに好ましくはh(凸)/2以上、また通常シンチレータ層の最大膜厚h(凸)以下である。
上記範囲内であると、光電変換層から遠くで発光した光を効率的に光電変換層まで伝達できるため、好ましい。
尚、凹凸パターンは、特に限定されないが、格子状もしくはストライプ状が好ましい。図2のような格子状のパターンを形成する場合、凸部のピッチ(P)は30μm〜300μmであることが好ましい。ピッチが30μm未満であると、加工時のパターン形成が困難となる。また、ピッチが大きすぎると、得られるシンチレータパネルを用いて高精度の画像撮影を行うことが困難となる。
凹部の形状は、正方形、長方形、平行四辺形、台形などの形状が、適宜選択可能である。
本発明の蛍光体スクリーンにおいては、凹部の底部幅の均一性や、1画素内における蛍光体発光強度の均一性の観点から、凹部の形状が正方形となるようなパターンが好ましいが、これに限定されるものではない。
尚、h(凸)=h(凹)である場合、凸部は、層が途切れていても、連続していてもよい。
h(凹)の測定方法は、本発明の構成を特定し得るものであれば特に制限はないが、例えば、高精度非接触段差測定機や断面SEM(走査型電子顕微鏡)などを用いることができる。
(蛍光体の充填率)
シンチレータ層における蛍光体の充填率が、通常40%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、また通常100%以下である。
上記範囲内であると、入射するX線を効率的に可視光に変換できる点で好ましい。
尚、充填率の測定方法は、下記の通り行う。
塗布前の基板の重さ(W0)と、シンチレータ層を形成した後の重さ(W1)を測定する。形成された蛍光体を含む層の膜厚及び面積と、測定した膜の重さ(W1−W0)から、単位体積当りの重さを算出する。
一方、蛍光体と媒質の重さの比より、層中に含有される蛍光体の単位体積当りの重さを算出する。算出された蛍光体の単位体積当りの含有量と、蛍光体の比重から、蛍光体の充填率(体積%)を算出することが可能となる。
[シンチレータ層の形成方法]
シンチレータの形成方法としては、真空蒸着法により層を形成する方法や湿式成膜法が挙げられる。
以下、蛍光体含有組成物を用いる湿式成膜法の形成方法について詳説するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下は、湿式成膜法における場合を説明する。
本願におけるシンチレータ層の形成方法は、塗布工程、乾燥工程、凹凸形成工程を含む。尚、凹凸形成工程後に、後処理工程(洗浄、乾燥などを行う工程)を任意に含んでいてもよい。
(塗布工程)
本発明における塗布工程では、蛍光体含有組成物を用いる。
本発明における蛍光体含有組成物は、形状は粉末であってもスラリー状のものであってもよい。
湿式成膜法で形成する場合、前記蛍光体と必要に応じてその他の媒質、例えば、バインダー樹脂、分散剤、可塑剤、光重合性開始剤/熱重合開始剤等を含む組成物を用いる。
また、必要に応じて、組成物の粘度を調整する為に、有機溶剤などを含んでいてもよい。
上記の蛍光体含有組成物に含有されていてもよいバインダー樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、硝化綿の外に酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、線状ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキル−(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキストリン等のポリサッカライド、アラビアゴムなどが挙げられる。
また、分散剤としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、フタル酸、ステアリン酸などが挙げられる。
更に、可塑剤としては、リン酸トリフェニル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。
これら材料は、1種を単独で用いてもよく、異なる2種以上を併用してもよい。
蛍光体含有組成物に含有されていてもよい有機溶剤としては、上記蛍光体及び媒質を溶解又は分散できるものであれば特に制限はないが、例えば、エタノール、メチルエチルエーテル、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチルエーテル、キシレンなどが挙げられる。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、異なる2種以上を併用してもよい。
尚、蛍光体と媒質との屈折率差が大きいほど、蛍光体粒子における光散乱効果が大きく、蛍光体から発光した光を凹部に集光しやすい点で、媒質の屈折率は、1.3以下が好ましく、1.1以上が更に好ましい。
上記の様に調整した組成物(又は塗布液)を用いて塗膜を形成する。
塗膜の形成方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく公知の技術が適用可能であるが、例えば、ダイコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スピンコーター法などが挙げられる。
塗膜を形成した後、光硬化性組成物(又は塗布液)の場合は、必要に応じて加熱乾燥工程を経て、紫外線照射装置などを用いて塗膜を硬化させる方法が挙げられる。
また、熱硬化性組成物(又は塗布液)の場合、ホットプレートや温風乾燥機等を使って硬化させる方法が挙げられる。
シンチレータ層は、異なる2種以上の膜を重畳して複数の膜で、層を形成していてもよい。
異なる2種以上の層とは、例えば、蛍光体の平均粒径や粒度分布、又は含有される媒質などが異なるものが挙げられる。
(凹凸形成工程)
本発明の蛍光体スクリーンを形成する場合、凹凸形成工程を含む。
凹凸パターンの形成方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、サンドブラスト法、スクリーン印刷法、リフトオフ法などが挙げられる。これらの中で、製造が比較的容易である点で、サンドブラスト法が好ましい。
以下、サンドブラスト法にて、シンチレータ層に凹凸パターンを形成する場合について説明する。
基板上に塗布などで形成したシンチレータ層上に、所望の開口部を有するマスクを形成し、その開口部に研磨剤粒子を混合したエアーあるいは水を噴射する。
これにより、シンチレータ層のマスク開口部の領域を削り取り、その後マスクを剥離することで、シンチレータ層に凹凸が形成される。
(後処理工程)
本発明の蛍光体スクリーンは、前記(凹凸形成工程)後、洗浄工程、加熱工程などの後処理工程を含んでいてもよい。
洗浄工程に用いる洗浄液としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、塩酸などが挙げられる。
また、洗浄方法としても同様に、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、浸漬法、スプレー法、ブラシ法、超音波法等が挙げられる。
[凹部の充填物について]
本発明の蛍光体スクリーンは、シンチレータ層の表面に凹凸を有する。この凹部は、空気であってもよく、本発明の効果を損なわない限り、充填物を含んでいてもよい。
凹部の充填物としては、シンチレータ層に含まれる蛍光体の発光波長域で光吸収をせず、且つ、光散乱をしない成分であることが好ましい。このような成分としては、前記(塗布工程)の項で記載した、蛍光体含有組成物に含まれるバインダー樹脂や水ガラスなどが挙げられる。
尚、凹部に上記成分を充填する場合、上記後処理工程後に行うことが好ましい。
[効果を奏する理由について]
本発明の構成とすることで、トレードオフの関係にある感度及び鮮鋭度を両立しうるとの効果を奏する理由について、下記の通り推測する。
シンチレータ層の凹凸表面と反対側に含まれる蛍光体からの発光は、光電変換層に直接到達するまでの距離よりも、凹部に到達する距離の方が短くなる。
本発明の構成とした場合、凹部に入射した光は、光散乱性の高い蛍光体粒子からなる凸部で散乱・反射されて凹部に閉じ込められるため、光電変換層から遠い距離にある蛍光体から発光した光も基板と平行方向に広がらずに光電変換層に到達しやすい。また、凹部においては光が吸収、散乱されることなく効率よく光電変換層に到達するため、本発明の蛍光体スクリーンにおいては、フラットパネルディテクタの鮮鋭度を損なうことなく感度を向上することができる。
更に、前記した通り、凹部に入射された光は、凸部に戻りにくいため、発光が凹部に集光される。このため、凹部の位置を光電変換層の画素の位置と合わせることで、画素に入射する光の量が選択的に多くなるため、本発明の蛍光体スクリーンにおけるフラットパネルディテクタの感度が向上する。
[保護層]
上記シンチレータ層を形成後、更にシンチレータ層の上に保護層を形成していてもよい。
保護層を形成する材料は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C)多官能(メタ)アクリレートを含有する放射線硬化性組成物の硬化物等や、粘着層を有するPET等のフィルムがある。前述の放射線硬化性組成物中には、必要に応じて適宜上記以外の材料が含有されていてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
(h(凸)及びh(凹)の測定方法)
h(凸)及びh(凹)の測定は、高精度非接触段差測定機ハイソメットII DH2−T5(ユニオン光学社製)を用いて測定を行った。
(蛍光体スクリーンの反射率の測定方法)
反射率は、分光光度計U−3310(日立ハイテクノロジーズ社製)、付属装置60φ積分球を用いて、光源波長を800〜300nmまで変えて測定した。543nmにおける反射率の測定値は、標準白板(日立計器サービス社製)の反射率を1としたときの標準白板に対する相対値である。
[蛍光体スクリーンの作成例]
(実施例1)
白色のポリエチレンテレフタレート基板に、隔壁用蛍光体スラリーポリビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂及び可塑剤の混合物20重量部を、トルエン、2-ブタノール、キシレン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールの混合溶剤100重量部に溶解、撹拌して結合剤を作成した。この結合剤15重量部と平均粒子径3μmのGd22S:Tb蛍光体(以下、「GOS蛍光体」と称する場合がある)85重量部を混合して充分に攪拌し、蛍光体スラリーを調製した。白色のポリエチレンテレフタレート基板に、蛍光体スラリーを乾燥厚さがおよそ230μmになるように塗布後、乾燥して、100mmx100mmのシンチレータ層を作成した。
次に、ドライフィルムレジストをシンチレータ層に貼付し、ピッチ127μm、線幅40μmである格子状開口部を有するクロムマスクを介して、高圧水銀灯を用いて28mJ/cm2で露光した。その後、0.3%の炭酸ナトリウム水溶液で現像し、未露光部分を除去して、格子状のドライフィルムレジストを形成した。
次に、ドライフィルムレジスト開口部をサンドブラスト法で切削して、開口部切削深さh(凹)が200〜210μmである凹凸を有するシンチレータ層(隔壁ピッチ127μm、隔壁頂部幅(33μm)を有する蛍光体スクリーン得た。
(実施例2)
基板に、高反射率シートであるルミレックス(三菱樹脂社製:550nmの波長における反射率99%以上)に変更した他は、実施例1と同様にして蛍光体スクリーンを得た。
(実施例3)
実施例1において、開口部切削深さh(凹)を200〜210μmを、106〜140μmに変更した他は、実施例1と同様にして蛍光体スクリーンを得た。
(実施例4)
実施例1と同様にシンチレータ層を作成したあと、厚さ6μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムをシンチレータ層上部に貼付して、蛍光体スクリーンを得た。
(比較例1)
実施例1において、シンチレータ層の乾燥膜厚を230μmから200μmに変更し、かつシンチレータ層に凹凸を作成しなかった以外(即ち、ドライフィルムレジストの貼付以降の工程を行わなかった以外)は、実施例1と同様にして蛍光体スクリーンを得た。
[感度および鮮鋭度評価]
実施例1〜4および比較例1の蛍光体スクリーンを、CMOSセンサーRemote RadEye 2EV(Radicon社製)にセットしてフラットパネルディテクタを作製し、管電圧80kVのX線を照射して感度-鮮鋭度の評価を行った。感度の評価は蛍光体スクリーンの凹部に対応するピクセルのシグナル値を平均することで行った。また鮮鋭度を評価するために、厚さ1mmのタングステン板をフラットパネルディテクタの受光素子配列方向に対して3°傾けて配置した状態で取得したX線画像から、Edge spread Functionを測定した。この Edge spread Functionを微分してLine spread Functionを算出し、得られたLine spread Functionをフーリエ変換することで、空間周波数に対する Modulated Tranfer Function (MTF)を計算した。
表1に実施例1〜4および比較例1のフラットパネルディテクタの感度と鮮鋭度の評価結果を示した。また、543nmにおける反射率の測定結果も示した。
Figure 2016006418
表1に示すが如く、シンチレータ層の表面に凹凸パターンを有する実施例1〜4の蛍光体スクリーンは、凹凸パターンを有さない比較例1に比べ、感度が大きく向上している。これは蛍光体粒子から発光した光が、シンチレータ層の表面の凹部に集光されること、また該発光の内、光電変換層に到達する割合が向上したことにより感度が向上しているものと推測される。
また、本発明の蛍光体スクリーンは、GOS蛍光体を用いている。GOS蛍光体の発光ヒ゜ーク波長が、543nmである。この為、543nmにおける反射率が高いことは、GOS蛍光体の主発光波長を吸収しにくいことを意味する。
この為、本発明の蛍光体スクリーンは、543nmにおける反射率が高いので、シンチレータ層内で発光した光が再吸収されることなく、効率よく光電変換層に到達することができる。
[シュミレーションについて]
本発明におけるフラットパネルディテクタ1について、種々の蛍光体スクリーン2を想定し、各フラットパネルディテクタの感度および鮮鋭度特性を光線追跡シミュレーションによって算出し、当該算出結果(シミュレーション結果) の評価を行った。
蛍光体の屈折率は、2.2、X線に対する線吸収係数は、60 cm-1 、吸収した X 線の可視光への変換効率は蛍光体粒径に関わらず一定とした。
光電変換層8における画素間隔は127μm、一画素における光電変換素子のサイズは100 μm×100μm、とした。また、蛍光体スクリーン表面には、開口サイズが97μm×97μmの正方形の凹部が127μm 間隔で2次元配列した凹凸パターンを形成し、凹部の中心と光電変換層8の各画素の中心が一致するよう位置合わせした。蛍光体スクリーンの凸部の厚さは210μm、蛍光体スクリーンにおける蛍光体の粒径、体積分率および媒質屈折率はそれぞれ3μm、60v/v%、1.0 に設定した。そして、蛍光体スクリーンの表面から測った凹部の深さとして種々の場合を想定し、Synopsis社の照明設計解析ソフトウェアであるLightTools(登録商標)を用いて、光線追跡法によりシミュレーションを実施した。シミュレーションにおける鮮鋭度の評価は幅10μmのスリットを用いたスリット法によって MTF を算出することで行い、感度の評価は一定量のX線照射に対し、光電変換層8の受光部に到達した変換光の総量を比較することで行った。
参考実施例として、表面に凹凸パターンを形成した蛍光体スクリーン2を有するフラットパネルディテクタの感度と鮮鋭度をシミュレーションによって算出した。また、参考比較例1として、表面に凹凸パターンを有さないフラットな蛍光体スクリーン2を有するフラットパネルディテクタについての感度と鮮鋭度を計算した。
以下の表2に、参考比較例1および参考実施例1〜4における「凹部の深さ (μm)」、「フラットパネルディテクタの感度」、「フラットパネルディテクタのMTF (2lp/mm)」を示す。ここで「フラットパネルディテクタの感度(%)」とは蛍光体スクリーン表面に凹凸形状がパターニングされていないフラットパネルディテクタ (参考比較例1) において光電変換素子に到達した変換光強度を1としたときの、各試料における変換光強度の相対値である。
Figure 2016006418
表2に示すが如く、シンチレータ層の表面に凹凸形状をパターニングした参考実施例1〜4のフラットパネルディテクタにおいては、表面に凹凸パターンを有さない参考比較例1のフラットパネルディテクタに比べ、鮮鋭度が低下することなく感度が向上することが予測された。
(実施例5)
実施例1において、開口部切削深さh(凹)を200〜210μmを、163〜194μmに変更し、後処理工程で洗浄処理をした他は、実施例1と同様にして蛍光体スクリーンを得た。
(実施例6)
実施例1において、開口部切削深さh(凹)を200〜210μmを、107〜159μmに変更し、後処理工程で洗浄処理をした他は、実施例1と同様にして蛍光体スクリーンを得た。
表1に実施例5及び6のフラットパネルディテクタの穴部の感度、鮮鋭度、543nmにおける反射率の測定結果を示した。
Figure 2016006418
※表3における穴部感度比は、比較例1の感度に対する比である。
表3に示すが如く、本発明の蛍光体スクリーンは、比較例1の蛍光体スクリーンと比較して、感度、特に、凹部の感度が良好である。その為、このように、本発明の蛍光体スクリーンは、感度と鮮鋭度が、共に高い為、出力基板側のピッチと合せることで、鮮鋭度と感度が両立した、フラットパネルディテクタを提供することが可能となる。
1 フラットパネルディテクタ
2 蛍光体スクリーン
3 出力基板
4 基板
5 緩衝層
6 シンチレータ層
7 保護層
8 光電変換層
9 出力層
10 基板
11 電源部

Claims (5)

  1. 基板上に、シンチレータ層を含む蛍光体スクリーンにおいて、
    該シンチレータ層が、凹凸パターンを有し、
    下記式(I)を満たすことを特徴とする、蛍光体スクリーン。

    h(凸)/20≦h(凹)≦h(凸) (I)
    (上記式中、
    h(凸)は、シンチレータ層の最大膜厚を表し、
    h(凹)は、シンチレータ層の凹部の深さを表す。)
  2. シンチレータ層に含まれる蛍光体が、Gd22S:Tbであることを特徴とする、請求項1に吉舎の蛍光体スクリーン。
  3. シンチレータ層に含まれる蛍光体の平均粒径が、0.01μm以上、30μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の蛍光体スクリーン。
  4. シンチレータ層において、基板と反対側に、保護層を含むことを特徴とする、蛍光体スクリーン。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体スクリーンを含むことを特徴とする、フラットパネルディテクタ。
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