JP2016003698A - 変速機のブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦板を応答性良く且つ効率良く冷却することができる変速機のブレーキ装置を提供する。【解決手段】固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが交互に配置された摩擦板セット110と、摩擦板セット110の軸方向一方側に配置されたピストン116とを有する変速機のブレーキ装置100において、固定側摩擦板111は、固定側摩擦板内部を巡る潤滑油通路と、潤滑油を導入する潤滑油導入口と、回転側摩擦板との対向面に開口し、潤滑油通路を流れる潤滑油を回転側摩擦板112に向けて供給する潤滑油供給口とを備え、潤滑油通路に潤滑油貯留部が設けられ、潤滑油供給口は、潤滑油貯留部に連通するように設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、車両に搭載される変速機のブレーキ装置に関し、車両用変速機の技術分野に属する。
自動変速機等の車両に搭載される変速機は、遊星歯車機構等でなる動力伝達経路を複数の油圧式摩擦締結要素の選択的な締結によって変速段を自動的に切り換えるように構成されたもので、各変速段は、基本的には2つの摩擦締結要素の締結によって形成されるようになっており、発進時の1速では、例えば、1速を含む所定の低変速段で締結されるロークラッチ等の摩擦締結要素と、1速と後退速とで締結されるローリバースブレーキ等の摩擦締結要素とが締結される。
近年、自動変速機の多段化や軽量化要求等に応じてトルクコンバータを廃止する傾向があり、この場合、発進時には2つの摩擦締結要素の一方をスリップさせることにより、エンジンストールを回避しながら円滑な発進を実現することが行われている。その場合、油圧室が回転するクラッチに比べて油圧室が回転しないブレーキの方が締結時の制御性が良いことから、ローリバースブレーキ等の発進用ブレーキをスリップ制御することが考えられる。このことは、トルクコンバータを備えた自動変速機において、エンジンの燃費性能の向上のために発進時にもロックアップクラッチを締結するように制御する場合も同様である。
このように構成された自動変速機では、発進用ブレーキはスリップ制御の実施頻度が多くなり、所要の耐久性を維持するためにはスリップによる摩擦板の発熱を効果的に抑制する必要が生じる。
これに対し、変速機の軸心側から供給される潤滑油の量を多くし、発進用ブレーキに対する冷却性を高めることが考えられるが、この場合、ブレーキ周辺に滞留する油量が多くなり、潤滑油の粘性によってブレーキ解放時に回転部材に作用する抵抗が増大し、エンジンの燃費性能を悪化させる要因となる。
このような問題に対処するために、特許文献1には、トルクコンバータを廃止した自動変速機において、1速と後退速で締結されるブレーキ装置に潤滑油を強制的に供給するようにした冷却構造が開示されている。
図13に示すように、このブレーキ装置201では、固定側摩擦板202と回転側摩擦板203とが交互に配置された摩擦板セット204と、摩擦板セット204の軸方向の一方側に配置されたピストン205と、摩擦板セット204の軸方向の他方側に配置されたリテーニングプレート206とを有している。
そして、固定側摩擦板202と回転側摩擦板203とにそれぞれ貫通穴202a、203aが形成され、固定側摩擦板202と回転側摩擦板203とのスリップ制御時や締結時に、潤滑油を、矢印で示すように、ピストン205から固定側摩擦板202と回転側摩擦板203の貫通穴202a、203aを通じてリテーニングプレート206に流すことで、固定側摩擦板202と回転側摩擦板203との間に生じる摩擦熱を冷却するようになっている。
特開2009−236234号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載のブレーキ装置201では、ピストン205から固定側摩擦板202と回転側摩擦板203の貫通穴202a、203aに潤滑油を供給する際に、コントロールバルブユニットから油路を介してピストン205まで潤滑油が供給されるのに時間がかかるために、摩擦板の冷却を開始するときの応答性の低下を引き起こし得る。また、固定側摩擦板と回転側摩擦板との間に生じる摩擦熱を効率良く冷却することが望まれる。
そこで、本発明は、摩擦板を応答性良く且つ効率良く冷却することができる変速機のブレーキ装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る変速機のブレーキ装置は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、変速機ケースに係合された固定側摩擦板と所定の回転部材に係合された回転側摩擦板とが交互に配置されてなる摩擦板セットと、該摩擦板セットの軸方向の一方側に配置され、油圧室への締結用油圧の供給時に前記固定側摩擦板と前記回転側摩擦板とを締結するピストンとを有する変速機のブレーキ装置であって、前記固定側摩擦板は、固定側摩擦板内部を巡る潤滑油通路と、該潤滑油通路に潤滑油を導入する潤滑油導入口と、該潤滑油通路に連通すると共に前記回転側摩擦板との対向面に開口し、前記潤滑油通路を流れる潤滑油を前記回転側摩擦板に向けて供給する潤滑油供給口とを備え、前記潤滑油通路に、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられ、前記潤滑油供給口は、前記潤滑油貯留部に連通するように設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の変速機のブレーキ装置において、前記潤滑油供給口は、前記潤滑油貯留部の近傍に設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の変速機のブレーキ装置において、前記潤滑油通路は、前記固定側摩擦板の上方側から下方側に前記固定側摩擦板に沿って延びる主通路と、該主通路から分岐する分岐通路とを有し、該分岐通路に、前記潤滑油貯留部が設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3の何れか1項に記載の変速機のブレーキ装置において、前記潤滑油供給口は、前記固定側摩擦板の前記回転側摩擦板との対向面における上方側及び下方側に設けられ、固定側摩擦板の下方側に設けられた前記潤滑油供給口の開口面積が、固定側摩擦板の上方側に設けられた前記潤滑油供給口の開口面積に比して小さく設定されていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4の何れか1項に記載の変速機のブレーキ装置において、前記固定側摩擦板は、前記潤滑油通路を流れる潤滑油を該潤滑油通路から排出する潤滑油排出口を備えていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の変速機のブレーキ装置において、前記潤滑油排出口から潤滑油通路内の潤滑油の排出を制御する潤滑油排出制御手段を備え、前記潤滑油排出制御手段は、前記固定側摩擦板と前記回転側摩擦板とがスリップ状態にあるときに前記潤滑油排出口からの潤滑油の排出を制限することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6の何れか1項に記載の変速機のブレーキ装置において、前記潤滑油導入口から潤滑油通路内への潤滑油の導入を制御する潤滑油導入制御手段を備え、前記潤滑油導入制御手段は、前記固定側摩擦板と前記回転側摩擦板とが解放状態にあるときに前記潤滑油導入口からの潤滑油の導入を制限することを特徴とする。
上記の構成により、本願の請求項1に記載の発明によれば、固定側摩擦板は、固定側摩擦板内部を巡る潤滑油通路と、潤滑油を導入する潤滑油導入口と、回転側摩擦板との対向面に開口し、潤滑油通路を流れる潤滑油を回転側摩擦板に向けて供給する潤滑油供給口とを備えている。
これにより、固定側摩擦板と回転側摩擦板とがスリップ状態にあるときに固定側摩擦板と回転側摩擦板との間に潤滑油を直接的に供給して固定側摩擦板と回転側摩擦板との間に生じる摩擦熱を冷却することができ、摩擦板、特に回転側摩擦板を効率良く冷却することができる。
また、潤滑油通路に、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられ、潤滑油供給口は、潤滑油貯留部に連通するように設けられることにより、潤滑油供給口から潤滑油を回転側摩擦板に向けて供給して摩擦板の冷却を開始するときに潤滑油貯留部からの潤滑油を供給することができるので、摩擦板を応答性良く冷却することができ、摩擦板を応答性良く且つ効率良く冷却することができる。また、ブレーキ装置の締結時には、潤滑油供給口が回転側摩擦板により閉鎖されることから、潤滑油の供給を抑制することができ、摩擦板をさらに効率良く冷却することができる。
特に、トルクコンバータを廃止した場合等において、当該ブレーキ装置を発進用ブレーキとして使用し、円滑な発進のために頻繁にスリップ制御する場合に有効である。
また、請求項2に記載の発明によれば、潤滑油供給口は、潤滑油貯留部の近傍に設けられることにより、摩擦板の冷却を開始するときに摩擦板をより応答性良く冷却することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、潤滑油通路は、固定側摩擦板の上方側から下方側に固定側摩擦板に沿って延びる主通路と、主通路から分岐する分岐通路とを有し、分岐通路に、潤滑油貯留部が設けられていることにより、潤滑油供給口から潤滑油貯留部に貯留した潤滑油を応答性良く供給することができ、前記効果を具体的に実現することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、固定側摩擦板の下方側に設けられた潤滑油供給口の開口面積が、固定側摩擦板の上方側に設けられた潤滑油供給口の開口面積に比して小さく設定されることにより、固定側摩擦板の上方側の潤滑油供給口から供給された潤滑油が下方側に流れて潤滑油の供給量を固定側摩擦板の上方側及び下方側において略一定にすることができ、摩擦板を略均一に冷却することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、固定側摩擦板は、潤滑油通路を流れる潤滑油を該潤滑油通路から排出する潤滑油排出口を備えていることにより、ブレーキ装置の締結時に潤滑油導入口から導入された潤滑油を潤滑油排出口から排出することができ、ブレーキ装置の締結時に摩擦板をさらに冷却させることができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、潤滑油排出口からの潤滑油の排出を制御する潤滑油排出制御手段を備え、潤滑油排出制御手段は、固定側摩擦板と回転側摩擦板とがスリップ状態にあるときに潤滑油排出口からの潤滑油の排出を制限することにより、潤滑油排出口からの潤滑油の排出を抑制して潤滑油供給口から回転側摩擦板に潤滑油を供給することができるので、潤滑油排出口から潤滑油が排出される場合に比して摩擦板を冷却することができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、潤滑油導入口から潤滑油通路内への潤滑油の導入を制御する潤滑油導入制御手段を備え、潤滑油導入制御手段は、固定側摩擦板と回転側摩擦板とが解放状態にあるときに潤滑油導入口からの潤滑油の導入を制限することにより、ブレーキ解放時に潤滑油供給口から回転側摩擦板に向けて潤滑油が供給されることを抑制することができるので、回転側摩擦板に係合される回転部材に作用する抵抗を低減することができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。 摩擦締結要素の締結の組み合わせと変速段との関係を示す表である。 第1実施形態に係るブレーキ装置の断面図である。 第1実施形態に係るブレーキ装置の他の断面で切断した断面図である。 第1実施形態に係るブレーキ装置のさらに他の断面で切断した断面図である。 図3におけるY6−Y6線に沿ったブレーキ装置の断面図である。 図3におけるY7−Y7線に沿ったブレーキ装置の断面図である。 図7の要部を拡大して示す要部拡大図である。 第1実施形態に係るブレーキ装置のクリアランス調整用油圧室への油圧供給時の状態を示す断面図である。 第1実施形態に係るブレーキ装置の変形例の断面図である。 本発明の第2実施形態に係るブレーキ装置の断面図である。 本発明の第3実施形態に係るブレーキ装置の断面図である。 従来の自動変速機のブレーキ装置を示す断面図である。
以下、本発明を自動変速機に適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機の構成を示す骨子図であって、この自動変速機1は、エンジン出力がトルクコンバータ等(図示せず)を介して入力される入力軸2を有し、該入力軸2上に、駆動源側(図の右側)から、第1、第2、第3プラネタリギヤセット(以下、「第1、第2、第3ギヤセット」という)10、20、30が配置されている。
また、前記入力軸2上には、前記ギヤセット10、20、30で構成される動力伝達経路を切り換えるための摩擦締結要素として、入力軸2からの動力をギヤセット10、20、30側へ選択的に伝達するロークラッチ40及びハイクラッチ50が備えられ、さらに、各ギヤセット10、20、30の所定の回転要素を固定するLR(ローリバース)ブレーキ60、26ブレーキ70、及びR35ブレーキ80が、駆動源側からこの順序で配置されている。
前記第1、第2、第3ギヤセット10、20、30のうち、第1ギヤセット10と第2ギヤセット20はシングルピニオン型であって、サンギヤ11、21と、これらのサンギヤ11、21に噛み合った各複数のピニオン12、22と、これらのピニオン12、22をそれぞれ支持するキャリヤ13、23と、ピニオン12、22に噛み合ったリングギヤ14、24とで構成されている。
また、第3ギヤセット30はダブルピニオン型であって、サンギヤ31と、該サンギヤ31に噛み合った複数の第1ピニオン32aと、該第1ピニオン32aに噛み合った第2ピニオン32bと、これらのピニオン32a、32bを支持するキャリヤ33と、第2ピニオン32bに噛み合ったリングギヤ34とで構成されている。
そして、第3ギヤセット30のサンギヤ31に前記入力軸2が直接連結されていると共に、第1ギヤセット10のサンギヤ11と第2ギヤセット20のサンギヤ21とが結合されて、前記ロークラッチ40の出力部材41に連結されており、また、第2ギヤセット20のキャリヤ23に前記ハイクラッチ50の出力部材51が連結されている。
また、第1ギヤセット10のリングギヤ14と第2ギヤセット20のキャリヤ23とが結合されて、これらと変速機ケース3との間にLRブレーキ60が配設され、第2ギヤセット20のリングギヤ24と第3ギヤセット30のリングギヤ34とが結合されて、これらと変速機ケース3との間に26ブレーキ70が配設され、さらに、第3ギヤセット30のキャリヤ33と変速機ケース3との間にR35ブレーキ80が配設されている。そして、第1ギヤセット10のキャリヤ13に、自動変速機1の出力を駆動輪(図示せず)側へ出力する出力ギヤ4が連結されている。
以上の構成により、この自動変速機1は、ロークラッチ40、ハイクラッチ50、LRブレーキ60、26ブレーキ70及びR35ブレーキ80の締結状態の組み合わせにより、図2に示すように、Dレンジでの1〜6速と、Rレンジでの後退速とが形成されるようになっている。
ここで、この実施形態における第1ギヤセット10の外周側に配置されたLRブレーキ60が本発明に係るブレーキ装置に相当し、以下、このLRブレーキ60を本発明に係るブレーキ装置として説明する。
図3〜図5に示すように、まず第1実施形態に係るブレーキ装置100は、外周部が前記変速機ケース3の内周面に形成されたスプライン3aに係合された複数枚の固定側摩擦板111と、内周部が回転部材としてのハブ部材113の外周面に形成されたスプライン113aに係合された複数枚の回転側摩擦板112とが交互に配置されてなる摩擦板セット110を有し、前記ハブ部材113は、図1に示す第1ギヤセット10のリングギヤ14と、第2ギヤセット20のキャリヤ23とに結合されている。
前記摩擦板セット110の反駆動源側(以下、反駆動源側を「後方」、駆動源側を「前方」とする)には、固定側摩擦板111と同様に変速機ケース3のスプライン3aに係合され、スナップリング114により後方に対して抜け止めされたリテーニングプレート115が配設されている。
前記摩擦板セット110の前方には、ブレーキ装置100、具体的には固定側摩擦板111と回転側摩擦板112を締結するための締結用ピストン116、締結用ピストン116を摩擦板セット側へ移動させてクラッチクリアランスを調整するためのクリアランス調整用ピストン117、及び両ピストン116、117が収容されたシリンダ118が順に配設されている。クリアランス調整用ピストン117は、ブレーキ装置100の締結時に、予めクラッチクリアランスを小さくしておくためのピストンである。
前記シリンダ118は、金属薄板で形成された断面略コ字状のリング状部材で構成され、その外周面部118aが変速機ケース3の内周面に嵌合された状態で、該外周面部118aに設けられた突起118bが変速機ケース3に係合されることにより回り止めされており、また、スナップリング119により前方への抜け止めが図られている。
前記クリアランス調整用ピストン117は、外周側及び内周側のフランジ部117a、117bと、両フランジ部117a、117bの径方向の中間に設けられて後方の摩擦板セット110側へ膨出する断面略コ字状の膨出部117cとを有する。そして、該クリアランス調整用ピストン117は前記シリンダ118に後方から嵌入され、前記両フランジ部117a、117bの周端縁に装着されたシール部材117d、117eが、シリンダ118の外周面部118aの内周面と内周面部118cの外周面とにそれぞれ摺動可能にかつ油密的に圧接されることにより、前記シリンダ118とクリアランス調整用ピストン117とによりクリアランス調整用油圧室120が油密的に形成されている。
前記クリアランス調整用油圧室120に対しては、図5に示すように、変速機ケース3を貫通して該変速機ケース3内に突入し、前記シリンダ118の外周面部118aに設けられた開口部118dに接続された調整油圧供給路130が設けられている。調整油圧供給路130は、変速機ケース3の下方に配設されたコントロールバルブユニットに通じ、該コントロールバルブユニットは、クリアランス調整用油圧室120に所定のクリアランス調整用油圧を供給できるようになっている。
前記クリアランス調整用油圧室120にクリアランス調整用油圧が供給されたときにクリアランス調整用ピストン117が摩擦板セット110側へ移動し、クリアランス調整用ピストン117を介して締結用ピストン116を摩擦板セット110側へ移動させ、両摩擦板111、112の締結に際して、予め所定のクラッチクリアランスになる位置に調整される。
クリアランス調整用ピストン117には、クリアランス調整用油圧室120にクリアランス調整用油圧が供給されたときの摩擦板セット110側へのストロークを所定のクラッチクリアランスになる位置で規定し、前記クラッチクリアランスを極力小さくしておくためのストッパ部材119が設けられている。
クリアランス調整用ピストン117の外周側フランジ117aの摩擦板セット110側の面には、締結用ピストン116の外周側を通過して摩擦板セット110側に延びる櫛歯状のストッパ部材119が固着されている。このストッパ部材119は、変速機ケース3の内周面の内周側且つ回転側摩擦板112の外周側において延設されている。
ストッパ部材119の周方向に並ぶ複数の歯119aは、図6及び図7に示すように、固定側摩擦板111の外周におけるスプラインの谷部を通過して、先端がリテーニングプレート115の前面に対向し、両ピストン116、117の後退位置において、各歯119aの先端面とリテーニングプレート115の前面との間に、図5に示すように所定寸法Xの隙間が生じるように設定されている。
一方、前記締結用ピストン116は、後方の摩擦板セット110側へ膨出する断面略コ字状の膨出部116cを有する。この締結用ピストン116の膨出部116cの内部に、クリアランス調整用ピストン117の膨出部117cが嵌め込まれ、その嵌め込まれた部分の外周及び内周がシール部材116d、116eによってそれぞれ摺動可能に且つ油密的にシールされている。
前記締結用ピストン116の膨出部116cの外周壁116a及び内周壁116bにそれぞれ形成されたシール部材用溝部にシール部材116d、116eが装着され、締結用ピストン116とクリアランス調整用ピストン117とによって締結用油圧室121が油密的に形成されている。
ここで、締結用ピストン116に対するクリアランス調整用ピストン117の摩擦板セット110側への相対移動を所定位置で規制し、締結用油圧室121となる所定容量の空間を確保するために、クリアランス調整用ピストン117の膨出部117cには、締結用ピストン116の内面に対向する突出部117fが設けられている。
図4に示すように、前記締結用ピストン116の膨出部116cの外周壁116aには給油口116fが設けられていると共に、変速機ケース3の外側のコネクタ部125から延びる給油パイプ126が変速機ケース3に設けられた開口部3bを貫通し、前記給油口116fに向けて径方向の内方に向けて延びている。
この給油パイプ126は、パイプ本体126aと、その先端に取り付けられたラバーや柔軟な樹脂等で形成された弾力性を有するシール部材126bとを有し、このシール部材126bの先端が前記給油口116fを囲んだ状態で締結用ピストン116の膨出部外周壁116aの外周面に圧着されることにより、締結用ピストン116のストローク範囲で、給油パイプ126と給油口116fないし締結用油圧室121とが油密的に連通されるようになっている。
なお、給油パイプ126は、ストッパ部材119との干渉を避けるため、ストッパ部材119の隣接する歯と歯の間の隙間を通って径方向の外方から締結用ピストン116に向かって延びている。
前記パイプ本体126aの上端部におけるコネクタ部125への装着部にもシール部材126cが用いられており、また、図示しないが、前記変速機ケース3の開口部3bも給油パイプ126が貫通した状態でシールされるようになっている。前記コネクタ部125は、前記コントロールバルブユニットに接続され、該コントロールバルブユニットは、締結用油圧室121に所定の締結用油圧を供給できるようになっている。
そして、クリアランス調整用油圧室120にクリアランス調整用油圧が供給された状態で、締結用油圧室121に締結用油圧が供給されたときに締結用ピストン116が摩擦板セット110側へ移動し、該摩擦板セット110を構成する固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが該締結用ピストン116とリテーニングプレート115の間に挟みつけられることによりブレーキ装置100が締結され、前記ハブ部材113ないし第1ギヤセット10のリングギヤ14及び第2ギヤセット20のキャリヤ23が固定される。
また、前記ブレーキ装置100では、隣接する固定側摩擦板111の間にそれぞれ付勢部材127が配設され、付勢部材127は、隣接する固定側摩擦板111を離反方向に弾性的に付勢するように設けられている。リテーニングプレート115と該プレート115に隣接する固定側摩擦板111との間にも同様に構成された付勢部材127が配設されている。これら付勢部材127は、回転側摩擦板112の外周側に配置されている。
付勢部材127は、これに限定されるものではないが、図3から図6に示すように、ワイヤ部材を曲げ加工して成形され、環状に形成された環状本体部127aを備え、該環状本体部127aに周方向の複数箇所に、隣接する固定側摩擦板111を、あるいは隣接する固定側摩擦板111とリテーニングプレート115とを離反方向に付勢する付勢部分127bが設けられている。
各付勢部分127bは、ワイヤ部材が断面略V字状に折曲されて後方に凸状に突出するように形成されている。付勢部分127bは、略V字状に形成される1対の傾斜部分の間の開き角度が弾性的に変化可能に形成され、軸方向に圧縮された状態で配設されて軸方向に付勢力を付与することができるようになっている。
隣接する固定側摩擦板111の間、及び隣接するリテーニングプレート115と固定側摩擦板111との間にはそれぞれ同様に構成された付勢部材127が配設され、付勢部材127は、クラッチクリアランスが各隣接固定側摩擦板間に分散されるように設けられている。また、これら付勢部材127は、締結用ピストン116を反摩擦板セット側へ移動させるリターンスプリングとしても機能する。
本実施形態に係るブレーキ装置100では、図7及び図8に示すように、摩擦板セット110の固定側摩擦板111に、固定側摩擦板内部を巡る潤滑油通路111aが設けられ、該潤滑油通路111aは、固定側摩擦板111の上方側(図の上側)から固定側摩擦板111の下方側(図の下側)に亘って形成されている。潤滑油通路111aについては後にさらに説明する。
固定側摩擦板111にはまた、固定側摩擦板111の上端部において潤滑油を導入する潤滑油導入口111bと、固定側摩擦板111の下端部において潤滑油を排出する潤滑油排出口111cとが設けられ、潤滑油導入口111bと潤滑油排出口111cとはそれぞれ潤滑油通路111aに連通されている。
潤滑油導入口111bには、前記コントロールバルブユニットに接続された導入パイプ128が取り付けられ、前記コントロールバルブユニットは、潤滑油導入口111bから潤滑油通路111a内への潤滑油の導入を制御するように構成されている。前記コントロールバルブユニットは、ブレーキ装置100の非締結時において固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが解放状態にあるときに潤滑油導入口111bからの潤滑油の導入を制限して停止できるように、またブレーキ装置100の非締結時において固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態にあるときやブレーキ装置100の締結時に潤滑油導入口111bから潤滑油が導入できるようになっている。
潤滑油排出口111cには、前記コントロールバルブユニットに接続された排出パイプ129が取り付けられ、前記コントロールバルブユニットは、潤滑油排出口111cから潤滑油の排出を制御するように構成されている。前記コントロールバルブユニットは、ブレーキ装置100の非締結時や締結時に潤滑油排出口111cから潤滑油の排出を制限して停止できるようになっているが、必要に応じてブレーキ装置100の締結時に潤滑油排出口111cから潤滑油を排出できるようになっている。
なお、変速機ケース3には、導入パイプ128が貫通するための開口部3cが形成されると共に、排出パイプ129が貫通するための開口部3dが形成され、開口部3c及び3dはそれぞれ導入パイプ128及び排出パイプ129が貫通した状態でシールされるようになっている。
固定側摩擦板111にはまた、潤滑油通路111aに連通されて潤滑油通路111aを流れる潤滑油を回転側摩擦板112に向けて供給する円形の潤滑油供給口111dが設けられ、潤滑油供給口111dは、固定側摩擦板111における回転側摩擦板112との対向面111eに開口するように設けられている。潤滑油供給口111dは、回転側摩擦板112との両側の対向面111eに開口しているが、一方の対向面111eにのみ開口するようにしてもよい。
潤滑油供給口111dは、周方向において複数設けられ、固定側摩擦板111の上方側及び下方側にそれぞれ複数設けられている。これら潤滑油供給口111dは、固定側摩擦板111の下方側に設けられた潤滑油供給口111dの開口面積が、固定側摩擦板111の上方側に設けられた潤滑油供給口111dの開口面積に比して小さく設定されている。本実施形態では、図6及び図7に示す中心線L1の下方側に設けられた7つの潤滑油供給口111dの開口面積の総和が、中心線L1の上方側に設けられた9つの潤滑油供給口111dの開口面積の総和に比して小さく設定されている。
潤滑油供給口111dはそれぞれ、ブレーキ装置100の締結時において固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが締結状態にあるとき回転側摩擦板112により閉鎖され、ブレーキ装置100の非締結時において固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態や解放状態にあるとき開放される。
前述した潤滑油通路111aは、具体的には、固定側摩擦板111の内周側において固定側摩擦板111の上方側から下方側に固定側摩擦板111に沿って環状に延びる主通路111fと、主通路111fから外方に分岐する分岐通路111gとを有している。
分岐通路111gは、主通路111fから分岐され、その先端に潤滑油を貯留する潤滑油貯留部111hを備えている。潤滑油貯留部111hは、主通路111fの外側で上下方向に所定長さを有するように固定側摩擦板111に沿って周方向に延び、主通路111fから分岐通路111gに流れる潤滑油を貯留できるようになっている。
本実施形態では、潤滑油通路111aは、主通路111fから上下方向において異なる位置で分岐される複数の分岐通路111gを有し、各分岐通路111gに設けられた潤滑油貯留部111hに連通するように潤滑油供給口111dが設けられている。潤滑油供給口111dは、潤滑油貯留部111hの近傍に設けられ、潤滑油貯留部111hの上方側で潤滑油貯留部111hに連通するように設けられている。
次に、このようにして構成されたブレーキ装置100の作用を説明すると、ブレーキ装置100を締結するとき、図3から図5に示す状態から調整用油圧供給路130を通じてクリアランス調整用油圧室120に油圧が供給される。この油圧により、クリアランス調整用ピストン117が摩擦板セット110側にストロークすると共に、該クリアランス調整用ピストン117の膨出部117cの先端に設けられた突出部117fが締結用ピストン116の内面に当接することにより、該締結用ピストン116も摩擦板セット110側にストロークする。
そして、クリアランス調整用ピストン117が前記寸法Xだけストロークした時点で該クリアランス調整用ピストン117に設けられた櫛歯状のストッパ部材119の歯119aの先端がリテーニングプレート115の前面に当接し、この状態で両ピストン116、117のストロークが規制される。
このとき、付勢部材127の付勢力に抗して、図9に示すように、隣接する固定側摩擦板111、111の間隔、及び、最後方の固定側摩擦板111とリテーニングプレート115との間の間隔がつめられ、前記クラッチクリアランスが0に近いごく小さな値、例えば1mmとされる。このクラッチクリアランスは、各隣接固定側摩擦板間に分散される。
次いで、給油パイプ126を通じて締結用油圧室121に油圧が供給され、締結用ピストン116が摩擦板セット110を押圧してリテーニングプレート115に押し付けることにより、固定側摩擦板111及びリテーニングプレート115の間に回転側摩擦板112が挟み付けられ、当該ブレーキ装置100が締結される。
このとき、前記クラッチクリアランスが予め0に近いごく小さな値とされているので、締結用油圧の供給により速やかにブレーキ装置100が締結され、その締結動作の高い応答性が得られる。
締結用油圧室121への油圧の供給によりブレーキ装置100が締結される際は、ブレーキ装置100はスリップ制御された後に締結され、すなわち固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態を経た後に固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが締結状態とされる。
そのとき、固定側摩擦板111には、潤滑油導入口111bから潤滑油が導入されると共に潤滑油排出口111cからの潤滑油の排出が制限されて停止されているので、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態にあるとき潤滑油が潤滑油供給口111dから回転側摩擦板112に向けて供給され、摩擦板111、112、特に回転側摩擦板112を冷却する。そして、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが締結状態になると潤滑油供給口111dが回転側摩擦板112により閉鎖されて潤滑油供給口111dからの潤滑油の供給が停止される。
一方、ブレーキ装置100を解放するときは、締結用油圧室121から油圧が排出され、締結用ピストン116の内面がクリアランス調整用ピストン117の膨出部117cの先端に設けられた突出部117fに当接するまで締結用ピストン116が反摩擦板セット側に移動され、その後に、クリアランス調整用油圧室120から油圧が排出され、両ピストン116、117が後退位置まで移動されてブレーキ装置100が解放される。
両ピストン116、117の後退位置においては、大きなクラッチクリアランスが確保されるので、固定側摩擦板111及びリテーニングプレート115と回転側摩擦板112との摺接による回転抵抗の増大が抑制され、解放状態におけるエンジンの燃費性能の向上等が得られる。
締結用油圧室121からの油圧の排出によりブレーキ装置100が解放される際においても、ブレーキ装置100はスリップ制御された後に解放され、すなわち固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態を経た後に固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが解放状態とされる。
そのとき、固定側摩擦板111には、潤滑油導入口111bから潤滑油が導入されると共に潤滑油排出口111cからの潤滑油の排出が制限されて停止されているので、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態にあるとき潤滑油が潤滑油供給口111dから回転側摩擦板112に向けて供給され、摩擦板111、112、特に回転側摩擦板112を冷却する。そして、締結用ピストン116がクリアランス調整用ピストン117に当接して固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが解放状態になると潤滑油導入口111bからの潤滑油の導入が制限されて停止されて潤滑油による回転抵抗の増大を抑制することができる。
本実施形態では、摩擦板セット100を構成する3つの固定側摩擦板111のうち2つの固定側摩擦板111から潤滑油が回転側摩擦板112に向けて供給するように構成されているが、3つ又は1つの固定側摩擦板111から潤滑油を供給するようにしてもよい。1つの固定側摩擦板111から潤滑油を供給する場合には、軸方向中央側に位置する固定側摩擦板から潤滑油を供給することが好ましい。
また、本実施形態では、ブレーキ装置100の締結時に潤滑油排出口111cからの潤滑油の排出が制限されて停止されているが、ブレーキ装置100の締結時に潤滑油導入口111bから潤滑油が導入されると共に潤滑油排出口111cから潤滑油を排出するようにして摩擦板111、112を冷却するようにすることも可能である。また、変速機ケース3に、ブレーキ装置100における摩擦板セット110に外部から潤滑油を供給するための給油口をさらに設けて、該給油口から摩擦板セットに潤滑油を供給してさらに冷却することも可能である。
このように、第1実施形態に係るブレーキ装置100では、固定側摩擦板111は、固定側摩擦板内部を巡る潤滑油通路111aと、潤滑油を導入する潤滑油導入口111bと、回転側摩擦板112との対向面111eに開口し、潤滑油通路111aを流れる潤滑油を回転側摩擦板112に向けて供給する潤滑油供給口111dとを備えている。
これにより、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態にあるときに固定側摩擦板111と回転側摩擦板112との間に潤滑油を直接的に供給して固定側摩擦板111と回転側摩擦板112との間に生じる摩擦熱を冷却することができ、摩擦板111、112、特に回転側摩擦板112を効率良く冷却することができる。
また、潤滑油通路111aに、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部111hが設けられ、潤滑油供給口111dは、潤滑油貯留部111hに連通するように設けられることにより、潤滑油供給口から潤滑油を回転側摩擦板に向けて供給して摩擦板の冷却を開始するときに潤滑油貯留部からの潤滑油を供給することができるので、摩擦板を応答性良く冷却することができ、摩擦板を応答性良く且つ効率良く冷却することができる。また、ブレーキ装置100の締結時には、潤滑油供給口111dが回転側摩擦板112により閉鎖されることから、潤滑油の供給を抑制することができ、摩擦板111、112をさらに効率良く冷却することができる。
さらに、潤滑油供給口111dは、潤滑油貯留部111hの近傍に設けられることにより、摩擦板の冷却を開始するときに摩擦板をより応答性良く冷却することができる。
また、潤滑油通路111aは、固定側摩擦板111の上方側から下方側に固定側摩擦板111に沿って延びる主通路111fと、主通路111fから分岐する分岐通路111gとを有し、分岐通路111gに、潤滑油貯留部111hが設けられていることにより、潤滑油供給口から潤滑油貯留部に貯留した潤滑油を応答性良く供給することができる。
また、固定側摩擦板111の下方側の潤滑油供給口111dの開口面積が、固定側摩擦板111の上方側の潤滑油供給口111dの開口面積に比して小さく設定されることにより、固定側摩擦板111の上方側の潤滑油供給口111dから供給された潤滑油が下方側に流れて潤滑油の供給量を固定側摩擦板111の上方側及び下方側において略一定にすることができ、摩擦板を略均一に冷却することができる。
さらに、固定側摩擦板111は、潤滑油通路111aを流れる潤滑油を潤滑油通路111aから排出する潤滑油排出口111cを備えていることにより、ブレーキ装置100の締結時に潤滑油導入口111bから導入された潤滑油を潤滑油排出口111cから排出することができ、ブレーキ装置の締結時に摩擦板をさらに冷却させることができる。
また、前記コントロールバルブユニットは、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態にあるときに潤滑油排出口111cからの潤滑油の排出を制限することにより、潤滑油排出口111cからの潤滑油の排出を抑制して潤滑油供給口111dから回転側摩擦板112に潤滑油を供給することができるので、潤滑油排出口から潤滑油が排出される場合に比して摩擦板を冷却することができる。
また、前記コントロールバルブユニットは、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とが解放状態にあるときに潤滑油導入口111bからの潤滑油の導入を制限することにより、ブレーキ解放時に潤滑油供給口111dから回転側摩擦板112に向けて潤滑油が供給されることを抑制することができるので、回転側摩擦板に係合される回転部材に作用する抵抗を低減することができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
なお、第1実施形態に係るブレーキ装置100では、潤滑油供給口111dは、潤滑油貯留部111hの上方側の部分で潤滑油貯留部111hに連通するように設けられているが、潤滑油貯留部の他の部分で連通するように設けることも可能である。
図10に示すように、固定側摩擦板111において、主通路111fから上下方向において異なる位置で分岐される複数の分岐通路111gにそれぞれ設けられた潤滑油貯留部111hに、該潤滑油貯留部111hの下方側において連通するように潤滑油供給口111d’を設けるようにしてもよい。
また、第1実施形態に係るブレーキ装置100において、図11に示す第2実施形態に係るブレーキ装置140のように、回転側摩擦板に、固定側摩擦板の潤滑油供給口と径方向同位置に貫通穴を設けることも可能である。なお、図11では、第2実施形態に係るブレーキ装置140を、第1実施形態に係るブレーキ装置100の図9に示す断面に対応する断面で示している。
この第2実施形態に係るブレーキ装置140においても、固定側摩擦板111は、固定側摩擦板内部を巡る潤滑油通路と、潤滑油を導入する潤滑油導入口と、潤滑油通路に連通すると共に回転側摩擦板との対向面に開口し、潤滑油通路を流れる潤滑油を回転側摩擦板112に向けて供給する潤滑油供給口111dとを備え、潤滑油通路に、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられ、潤滑油供給口111dは、潤滑油貯留部に連通するように設けられている。
本実施形態ではまた、回転側摩擦板112に、固定側摩擦板111の潤滑油供給口111dと径方向同位置に貫通穴112aが設けられている。貫通穴112aは、周方向に長い長穴形状に形成され、回転側摩擦板112の周方向に離間して複数設けられている。
この実施形態においても、第1実施形態に係るブレーキ装置100と同様に、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態にあるときに固定側摩擦板111と回転側摩擦板112との間に潤滑油を直接的に供給して摩擦熱を冷却することができ、摩擦板を効率良く冷却することができる。また、潤滑油通路に潤滑油貯留部が設けられ、潤滑油供給口は潤滑油貯留部に連通するように設けられることにより、摩擦板を応答性良く冷却することができ、摩擦板を応答性良く且つ効率良く冷却することができる。
また、ブレーキ装置140では、回転側摩擦板112に、固定側摩擦板111の潤滑油供給口111dと径方向同位置に貫通穴112aが設けられていることにより、駆動源側の固定側摩擦板111と該固定側摩擦板111に隣接する回転側摩擦板112との間に生じる摩擦熱、及びリテーニングプレート115と該リテーニングプレート115に隣接する回転側摩擦板112との間に生じる摩擦熱を冷却することができ、摩擦板をさらに冷却することができる。
また、第1実施形態に係るブレーキ装置100において、図12に示す第3実施形態に係るブレーキ装置160のように、締結用ピストンやリテーニングプレートに潤滑油通路を設けて締結用ピストン側やリテーニングプレート側から回転側摩擦板に潤滑油を供給することも可能である。なお、図12では、第3実施形態に係るブレーキ装置160を、第1実施形態に係るブレーキ装置100の図9に示す断面に対応する断面で示している。
この第3実施形態に係るブレーキ装置160においては、締結用ピストン116’は、駆動源側の固定側摩擦板111’と結合され、締結用ピストン116’と固定側摩擦板111’とによって、前述した固定側摩擦板111と同様に、潤滑油通路166aと、潤滑油を導入する潤滑油導入口166bと、潤滑油通路166aに連通すると共に回転側摩擦板112との対向面に開口し、潤滑油通路166aを流れる潤滑油を回転側摩擦板112に向けて供給する潤滑油供給口166dとが形成されている。
図12に示すように、締結用ピストン116’の摩擦板セット側に潤滑油通路166aが形成され、締結用ピストン116’の膨出部116cの外周壁116aに潤滑油導入口166bが設けられ、締結用ピストン116’に結合される固定側摩擦板111’に、締結用ピストン116’の潤滑油通路166aに連通される潤滑油供給口166dが形成されている。潤滑油通路166aにはまた、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられ、潤滑油供給口166dは、潤滑油貯留部に連通するように設けられている。
また、締結用ピストン116’の潤滑油導入口166bには、径方向外方に延びる第1導入パイプ167及び第2導入パイプ168が順に取り付けられ、第2導入パイプ168は、前記コントロールバルブユニットに接続されている。前記コントロールバルブユニットはまた、潤滑油導入口111bと同様に、潤滑油導入口166bから潤滑油通路166a内への潤滑油の導入を制御するように構成されている。
なお、締結用ピストン116’の下端部には、前述した固定側摩擦板111と同様に、潤滑油を排出する潤滑油排出口が設けられ、前記コントロールバルブユニットは、潤滑油排出口111cと同様に、前記潤滑油排出口から潤滑油の排出を制御するように構成されている。
ブレーキ装置160ではまた、リテーニングプレート115’に、前述した固定側摩擦板111と同様に、潤滑油通路175aと、潤滑油を導入する潤滑油導入口175bと、潤滑油通路175aに連通すると共に回転側摩擦板112との対向面に開口し、潤滑油通路175aを流れる潤滑油を回転側摩擦板112に向けて供給する潤滑油供給口175dとが形成されている。
図12に示すように、リテーニングプレート115’内に潤滑油通路175aが形成され、リテーニングプレート115’の反摩擦板セット側に潤滑油導入口175bが設けられ、リテーニングプレート115’の摩擦板セット側に、潤滑油通路175aに連通される潤滑油供給口175dが形成されている。潤滑油通路175aにはまた、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられ、潤滑油供給口175dは、潤滑油貯留部に連通するように設けられている。
また、リテーニングプレート115’の潤滑油導入口175bには、径方向外方に延びる導入パイプ178が取り付けられ、導入パイプ178は、前記コントロールバルブユニットに接続されている。前記コントロールバルブユニットはまた、潤滑油導入口111bと同様に、潤滑油導入口175bから潤滑油通路175a内への潤滑油の導入を制御するように構成されている。
なお、リテーニングプレート115’の下端部にも、前述した固定側摩擦板111と同様に、潤滑油を排出する潤滑油排出口が設けられ、前記コントロールバルブユニットは、潤滑油排出口111cと同様に、前記潤滑油排出口から潤滑油の排出を制御するように構成されている。
この実施形態においても、第1実施形態に係るブレーキ装置100と同様に、固定側摩擦板111と回転側摩擦板112とがスリップ状態にあるときに固定側摩擦板111と回転側摩擦板112との間に潤滑油を直接的に供給して摩擦熱を冷却することができ、摩擦板を効率良く冷却することができる。また、潤滑油通路に潤滑油貯留部が設けられ、潤滑油供給口は潤滑油貯留部に連通するように設けられることにより、摩擦板を応答性良く冷却することができ、摩擦板を応答性良く且つ効率良く冷却することができる。
また、この実施形態では、締結用ピストン116’側やリテーニングプレート115’側から回転側摩擦板112に潤滑油を供給することができ、締結用ピストン116’に結合された固定側摩擦板111’と該固定側摩擦板111’に隣接する回転側摩擦板112との間に生じる摩擦熱、及びリテーニングプレート115’と該リテーニングプレート115’に隣接する回転側摩擦板112との間に生じる摩擦熱を冷却することができ、摩擦板をさらに冷却することができる。
なお、前述した実施形態は、本発明を図1に骨子を示す自動変速機1のLRブレーキ60に適用したものであるが、その他のブレーキ70、80にも同様に適用することができ、また変速機構の構成の異なる自動変速機、さらに、この種のブレーキ装置が備えられる無段変速機等におけるブレーキ装置にも同様に適用される。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、摩擦板を応答性良く且つ効率良く冷却することができるので、固定側摩擦板と回転側摩擦板とを備えた摩擦板セットを有する変速機のブレーキ装置ないしこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1 自動変速機
3 変速機ケース
100、140、160 ブレーキ装置
110 摩擦板セット
111、111’ 固定側摩擦板
111a、166a、175a 潤滑油通路
111b、166b、175b 潤滑油導入口
111c 潤滑油排出口
111d、111d’、166d、175d 潤滑油供給口
111f 主通路
111g 分岐通路
111h 潤滑油貯留部
112 回転側摩擦板
113 ハブ部材
116、116’ 締結用ピストン
117 クリアランス調整用ピストン
120 クリアランス調整用油圧室
121 締結用油圧室

Claims (7)

  1. 変速機ケースに係合された固定側摩擦板と所定の回転部材に係合された回転側摩擦板とが交互に配置されてなる摩擦板セットと、該摩擦板セットの軸方向の一方側に配置され、油圧室への締結用油圧の供給時に前記固定側摩擦板と前記回転側摩擦板とを締結するピストンとを有する変速機のブレーキ装置であって、
    前記固定側摩擦板は、固定側摩擦板内部を巡る潤滑油通路と、該潤滑油通路に潤滑油を導入する潤滑油導入口と、該潤滑油通路に連通すると共に前記回転側摩擦板との対向面に開口し、前記潤滑油通路を流れる潤滑油を前記回転側摩擦板に向けて供給する潤滑油供給口とを備え、
    前記潤滑油通路に、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられ、
    前記潤滑油供給口は、前記潤滑油貯留部に連通するように設けられている、
    ことを特徴とする変速機のブレーキ装置。
  2. 前記潤滑油供給口は、前記潤滑油貯留部の近傍に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速機のブレーキ装置。
  3. 前記潤滑油通路は、前記固定側摩擦板の上方側から下方側に前記固定側摩擦板に沿って延びる主通路と、該主通路から分岐する分岐通路とを有し、該分岐通路に、前記潤滑油貯留部が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変速機のブレーキ装置。
  4. 前記潤滑油供給口は、前記固定側摩擦板の前記回転側摩擦板との対向面における上方側及び下方側に設けられ、固定側摩擦板の下方側に設けられた前記潤滑油供給口の開口面積が、固定側摩擦板の上方側に設けられた前記潤滑油供給口の開口面積に比して小さく設定されている、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の変速機のブレーキ装置。
  5. 前記固定側摩擦板は、前記潤滑油通路を流れる潤滑油を該潤滑油通路から排出する潤滑油排出口を備えている、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の変速機のブレーキ装置。
  6. 前記潤滑油排出口から潤滑油通路内の潤滑油の排出を制御する潤滑油排出制御手段を備え、
    前記潤滑油排出制御手段は、前記固定側摩擦板と前記回転側摩擦板とがスリップ状態にあるときに前記潤滑油排出口からの潤滑油の排出を制限する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の変速機のブレーキ装置。
  7. 前記潤滑油導入口から潤滑油通路内への潤滑油の導入を制御する潤滑油導入制御手段を備え、
    前記潤滑油導入制御手段は、前記固定側摩擦板と前記回転側摩擦板とが解放状態にあるときに前記潤滑油導入口からの潤滑油の導入を制限する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の変速機のブレーキ装置。
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