JP2016003398A - 紡績機、紡績方法、及び、紡績糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】紡績糸の糸品質の向上を図ることができる紡績機、紡績方法、及び、糸品質の向上が図られた紡績糸を提供する。
【解決手段】紡績機は、芯糸Cを供給する芯糸供給装置40と、繊維束Fを供給するドラフト装置6と、芯糸Cを芯として繊維束に撚りを与えて紡績糸Yを生成する空気紡績装置7と、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力を検出する張力センサ9と、紡績糸Yの糸品質を監視するための品質監視用の基準範囲及び張力センサの検出結果に基づいて、紡績糸Yの糸品質を監視する監視部と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】紡績機は、芯糸Cを供給する芯糸供給装置40と、繊維束Fを供給するドラフト装置6と、芯糸Cを芯として繊維束に撚りを与えて紡績糸Yを生成する空気紡績装置7と、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力を検出する張力センサ9と、紡績糸Yの糸品質を監視するための品質監視用の基準範囲及び張力センサの検出結果に基づいて、紡績糸Yの糸品質を監視する監視部と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、紡績機、紡績方法、及び、紡績糸に関する。
従来から、芯糸を供給する芯糸供給装置と、繊維束を供給する繊維束供給装置と、芯糸を芯として繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成する紡績装置と、を備える紡績機が知られている(例えば特許文献1参照)。
上述した紡績機においては、紡績糸の糸品質を高めるため、芯糸の周りに繊維束が適切に撚られている必要がある。このため、本技術分野では、紡績糸の糸品質の向上を図ることが求められている。
そこで、本発明の種々の側面は、紡績糸の糸品質の向上を図ることができる紡績機、紡績方法、及び、糸品質の向上が図られた紡績糸を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る紡績機は、芯糸を供給する芯糸供給装置と、繊維束を供給する繊維束供給装置と、芯糸を芯として繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成する紡績装置と、紡績装置で生成される紡績糸に掛かる張力を検出する張力検出部と、紡績糸の糸品質を監視するための品質監視用閾値及び張力検出部の検出結果に基づいて、紡績糸の糸品質を監視する監視部と、を備える。
このように、紡績糸の糸品質と相関関係を有する紡績糸に掛かる張力(検出装置の検出結果)を用いることで、紡績糸の糸品質を監視することが可能となり、紡績糸の糸品質の向上を図ることができる。
品質監視用閾値は、監視部が監視する紡績糸の種類に応じて設定されてもよい。これにより、生成される紡績糸に応じて適切に糸品質を監視することができる。
監視部は、紡績装置で生成された紡績糸に芯糸が含まれているか否かを監視するための有無監視用閾値及び張力検出部の検出結果に基づいて、芯糸の有無を更に監視してもよい。これにより、紡績糸の糸品質の向上をより一層図ることができる。
芯糸供給装置は、供給する芯糸の有無を検出する芯糸検出部を備え、監視部は、芯糸検出部の検出結果に基づいて、芯糸の有無を更に監視してもよい。これにより、紡績糸の糸品質の向上をより一層図ることができる。
監視部は、糸品質の監視と、芯糸の有無の監視とを切り替え可能であってもよい。この場合には、紡績糸Yの状態及び生成のタイミングなどに応じて糸品質の監視と芯糸の有無の監視とを切り替えることが可能となり、必要な監視を適切に行うことができる。
監視部が紡績糸の糸品質に異常があると判定した場合、紡績装置は、紡績糸の生成を停止してもよい。この場合には、紡績糸の糸品質に異常がある場合に、適切なタイミングで紡績糸の生成を停止することができる。
紡績機は、紡績装置が生成する紡績糸に応じて、紡績糸の紡績条件を設定する設定部を更に備えていてもよい。設定部を備えているので、紡績条件を変更することにより紡績糸の糸品質を変えることができる。従って、監視部の監視結果に基づいて紡績条件を設定することが可能となり、糸品質の高い紡績糸を生成することができる。
紡績機は、紡績装置から紡績糸を引き出す引出し装置を更に備え、繊維束供給装置及び引出し装置は、紡績装置が生成する紡績糸に応じて、繊維束供給装置が芯糸及び繊維束を紡績装置に供給する速度と引出し装置が紡績糸を引き出す速度との比を設定可能であってもよい。芯糸及び繊維束が供給される速度と紡績糸を引き出す速度との比を変えることにより、紡績糸の糸品質を変えることができる。従って、監視部の監視結果に基づいて速度の比を変えることで、糸品質の高い紡績糸を生成することができる。
芯糸供給装置は、芯糸に張力を付与する張力付与部を備え、張力付与部は、紡績装置が生成する紡績糸に応じて、芯糸に付与する張力を設定可能であってもよい。供給される芯糸の張力を変えることにより、紡績糸の糸品質を変えることができる。従って、監視部の監視結果に基づいて芯糸に付与する張力を変えることで、糸品質の高い紡績糸を生成することができる。
紡績機は、張力検出部の検出結果を表示する表示部を更に備えていてもよい。検出結果が表示されることにより、紡績糸に掛かる張力を紡績機のオペレータが容易に把握することができる。
本発明の他の側面は、芯糸を芯として繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成する紡績装置を備える紡績機で実施される紡績方法であって、紡績装置で生成される紡績糸に掛かる張力を検出する工程と、紡績糸の糸品質を監視するための品質監視用閾値及び紡績糸に掛かる張力の検出結果に基づいて、紡績糸の糸品質を監視する工程と、を含む。
このように、紡績糸の糸品質と相関関係を有する紡績糸に掛かる張力を用いることで、紡績糸の糸品質を監視することが可能となり、紡績糸の糸品質の向上を図ることができる。
本発明のさらに他の側面に係る紡績糸は、上記紡績方法によって生成される。上記紡績方法によって生成された紡績糸は、糸品質の監視が行われている。このため、糸品質の向上が図られた紡績糸を提供できる。
本発明の種々の側面によれば、紡績糸の糸品質の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[紡績機の構成]
図1に示されるように、紡績機1は、複数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、ブロワボックス4と、原動機ボックス5と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、一列に配列されている。各紡績ユニット2は、スライバS及び芯糸Cから紡績糸Yを生成してパッケージPに巻き取る。糸継台車3は、紡績糸Yが切断された紡績ユニット2において糸継動作を行う。ブロワボックス4には、紡績ユニット2の各部において吸引流及び旋回流等を発生させるための空気供給源等が収容されている。原動機ボックス5には、紡績ユニット2の各部に動力を供給するための原動機等が収容されている。
図1に示されるように、紡績機1は、複数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、ブロワボックス4と、原動機ボックス5と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、一列に配列されている。各紡績ユニット2は、スライバS及び芯糸Cから紡績糸Yを生成してパッケージPに巻き取る。糸継台車3は、紡績糸Yが切断された紡績ユニット2において糸継動作を行う。ブロワボックス4には、紡績ユニット2の各部において吸引流及び旋回流等を発生させるための空気供給源等が収容されている。原動機ボックス5には、紡績ユニット2の各部に動力を供給するための原動機等が収容されている。
なお、以下の説明では、スライバS及び紡績糸Yの走行経路において、スライバSが供給される側を上流側といい、紡績糸Yが巻き取られる側を下流側という。また、糸継台車3に対して紡績糸Yが走行する側を前側といい、その反対側を後側という。本実施形態では、複数の紡績ユニット2の配列方向に延在する作業通路(図示省略)が紡績機1の前側に設けられている。したがって、オペレータは、その作業通路から各紡績ユニット2の操作及び監視等を行うことができる。
[紡績ユニットの構成]
図1及び図2に示されるように、各紡績ユニット2は、上流側から順に、ドラフト装置(繊維束供給装置)6及び芯糸供給装置40と、空気紡績装置(紡績装置)7と、紡績糸監視装置8と、張力センサ(張力検出部)9と、糸貯留装置(糸引出し装置、設定部)14と、ワキシング装置11と、巻取装置12と、を備えている。これらの装置は、上流側が機台高さ方向において上側となるように(すなわち、下流側が機台高さ方向において下側となるように)、機台フレーム13によって直接的に又は間接的に支持されている。
図1及び図2に示されるように、各紡績ユニット2は、上流側から順に、ドラフト装置(繊維束供給装置)6及び芯糸供給装置40と、空気紡績装置(紡績装置)7と、紡績糸監視装置8と、張力センサ(張力検出部)9と、糸貯留装置(糸引出し装置、設定部)14と、ワキシング装置11と、巻取装置12と、を備えている。これらの装置は、上流側が機台高さ方向において上側となるように(すなわち、下流側が機台高さ方向において下側となるように)、機台フレーム13によって直接的に又は間接的に支持されている。
ドラフト装置6は、スライバSをドラフトして繊維束Fを生成する。ドラフト装置6は、上流側から順に、バックローラ対15と、サードローラ対16と、エプロンベルト17が各ローラに架けられたミドルローラ対18と、フロントローラ対19と、を有している。各ローラ対15,16,18及び19は、原動機ボックス5又は個別に設けられた駆動源(図示しない)からの動力により駆動される。各ローラ対15,16,18及び19は、ケンス(図示省略)から供給されたスライバSをドラフトしつつ上流側から下流側に走行させる。
芯糸供給装置40は、芯糸パッケージCPから芯糸Cを解舒して、ドラフト装置6に芯糸Cを供給する。より詳細には、芯糸供給装置40は、ミドルローラ対18とフロントローラ対19との間から、繊維束Fの走行経路上に芯糸Cを供給する。これにより、芯糸Cは、繊維束Fと共に空気紡績装置7に供給される。
空気紡績装置7は、芯糸Cを芯として繊維束Fに撚りを与えて紡績糸Yを生成する。より詳細には(ただし、図示省略)、空気紡績装置7は、紡績室と、繊維芯糸ガイドと、旋回流発生ノズルと、中空ガイド軸体と、を有している。繊維芯糸ガイドは、ドラフト装置6から供給されたカバー繊維となる繊維束F及び芯糸供給装置40から供給された芯糸Cを紡績室内に案内する。旋回流発生ノズルは、繊維束F及び芯糸Cの走行経路の周囲に配置されており、紡績室内に旋回流を発生させる。この旋回流によって、紡績室内に案内された繊維束Fの繊維端が反転されて旋回させられる。中空ガイド軸体は、紡績された紡績糸Yを紡績室内から空気紡績装置7の外部に案内する。
紡績糸監視装置8は、空気紡績装置7と糸貯留装置14との間において、走行する紡績糸Yを監視する。紡績糸Yに糸欠陥があることを検出した場合、紡績糸監視装置8は、糸欠陥検出信号をユニット制御装置10に送信する。なお、紡績糸監視装置8は、糸欠陥として、例えば、紡績糸Yの太さ異常及び/又は紡績糸Yに含まれる異物を検出する。張力センサ9は、空気紡績装置7と糸貯留装置14との間において、走行する紡績糸Yの張力を測定する。すなわち、張力センサ9は、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力を測定(検出)する。張力センサ9は、測定した張力値をユニット制御装置10に送信する。張力センサ9として、紡績糸Yの張力を測定できるセンサであれば種々のセンサを用いることができる。ワキシング装置11は、糸貯留装置14と巻取装置12との間において、走行する紡績糸Yにワックスを付与する。なお、ユニット制御装置10は、紡績ユニット2ごとに設けられており、上位コントローラである機台制御装置20の制御下において紡績ユニット2の動作を制御する。
糸貯留装置14は、空気紡績装置7と巻取装置12との間において、走行する紡績糸Yを貯留する。糸貯留装置14は、空気紡績装置7から紡績糸Yを安定して引き出す機能、糸継台車3による糸継動作時等に空気紡績装置7から送り出される紡績糸Yを滞留させて紡績糸Yが弛むのを防止する機能、及び巻取装置12側における紡績糸Yの張力を調節して巻取装置12側における紡績糸Yの張力の変動が空気紡績装置7に伝わるのを防止する機能を有している。
糸貯留装置14は、糸貯留ローラ34と、糸掛け部材35と、電動モータ36とを備えている。糸掛け部材35は、紡績糸Yに係合し、紡績糸Yに係合した状態で糸貯留ローラ34と一体回転することにより、糸貯留ローラ34の外周面に紡績糸Yを巻き付ける。糸貯留ローラ34は、外周面に紡績糸Yを一定量巻き付けて貯留する。糸貯留ローラ34は、電動モータ36によって回転駆動される。糸貯留ローラ34の外周面に巻き付けられた紡績糸Yは、糸貯留ローラ34が回転することにより糸貯留ローラ34を締め付けるようにして巻かれ、糸貯留装置14よりも上流側の紡績糸Yを引っ張る。すなわち、外周面に紡績糸Yを巻き付けた状態の糸貯留ローラ34を所定の回転速度で回転させることで、糸貯留装置14は、紡績糸Yに所定の張力を与えて空気紡績装置7から紡績糸Yを所定の速度で引き出し、所定の速度で下流側に搬送する。電動モータ36は、ユニット制御装置10によって制御される。
巻取装置12は、空気紡績装置7で生成された紡績糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置12は、クレードルアーム21と、巻取ドラム22と、トラバース装置23と、を有している。クレードルアーム21は、支軸24によって揺動可能に支持されている。クレードルアーム21は、回転可能に支持するボビンB又はパッケージPの表面を巻取ドラム22の表面に適切な圧力で接触させる。巻取ドラム22は、紡績ユニット2ごとに設けられた電動モータ(図示省略)によって駆動されて、接触するボビンB又はパッケージPを回転させる。トラバース装置23は、複数の紡績ユニット2で共有されるシャフト25によって駆動されて、回転するボビンB又はパッケージPに対して紡績糸Yを所定幅で綾振りする。
糸継台車3は、紡績糸Yが切断された紡績ユニット2まで走行し、当該紡績ユニット2において糸継動作を行う。糸継台車3は、糸継装置26と、第1糸捕捉案内装置27と、第2糸捕捉案内装置28と、を有している。第1糸捕捉案内装置27は、支軸27aによって回動可能に支持されており、空気紡績装置7からの紡績糸Yの糸端を吸い込みつつ捕捉して糸継装置26に案内する。第2糸捕捉案内装置28は、支軸28aによって回動可能に支持されており、巻取装置12からの紡績糸Yの糸端を吸い込みつつ捕捉して糸継装置26に案内する。糸継装置26は、例えばスプライサであり、案内された糸端同士の糸継ぎを行う。
[芯糸供給装置の構成]
図2に示されるように、芯糸供給装置40は、芯糸パッケージ保持部41と、芯糸供給ユニット50と、芯糸案内部43と、を備えている。芯糸パッケージ保持部41は、芯糸パッケージCPの中心線を水平且つ前後方向に延在した状態で芯糸パッケージCPを保持する。芯糸パッケージCPには、芯糸Cとして、例えばモノフィラメント糸又は仮撚り加工糸が巻かれている。モノフィラメント糸は、剛性の高い糸であり、仮撚り加工糸は、伸縮性の高い糸である。芯糸供給ユニット50は、芯糸パッケージCPからガイドローラ42を介して供給された芯糸Cに張力を付与する機能、当該芯糸Cに弛みを付与する機能、及び、当該芯糸Cを送り出す機能を有している。芯糸案内部43は、芯糸Cをドラフト装置6に案内する筒状の部材である。芯糸案内部43の内側には、直線を含むように芯糸Cの走行領域が形成されている。
図2に示されるように、芯糸供給装置40は、芯糸パッケージ保持部41と、芯糸供給ユニット50と、芯糸案内部43と、を備えている。芯糸パッケージ保持部41は、芯糸パッケージCPの中心線を水平且つ前後方向に延在した状態で芯糸パッケージCPを保持する。芯糸パッケージCPには、芯糸Cとして、例えばモノフィラメント糸又は仮撚り加工糸が巻かれている。モノフィラメント糸は、剛性の高い糸であり、仮撚り加工糸は、伸縮性の高い糸である。芯糸供給ユニット50は、芯糸パッケージCPからガイドローラ42を介して供給された芯糸Cに張力を付与する機能、当該芯糸Cに弛みを付与する機能、及び、当該芯糸Cを送り出す機能を有している。芯糸案内部43は、芯糸Cをドラフト装置6に案内する筒状の部材である。芯糸案内部43の内側には、直線を含むように芯糸Cの走行領域が形成されている。
[芯糸供給ユニットの構成]
芯糸供給ユニット50は、張力付与部51と、芯糸送出部52と、弛み付与部53と、を備えている。張力付与部51、芯糸送出部52、及び、弛み付与部53は、ユニットベース55にそれぞれ取り付けられている。
芯糸供給ユニット50は、張力付与部51と、芯糸送出部52と、弛み付与部53と、を備えている。張力付与部51、芯糸送出部52、及び、弛み付与部53は、ユニットベース55にそれぞれ取り付けられている。
張力付与部51は、空気紡績装置7による紡績糸Yの生成時に、芯糸供給ユニット50に案内された芯糸Cに張力を付与する。図3(a)及び図3(b)に示されるように、張力付与部51は、調節ダイヤル(設定部)62と、固定片63と、可動片64と、を有している。張力付与部51は、芯糸Cをジグザグ状に案内することで、芯糸Cに張力を付与する。固定片63は、ユニットベース55に固定されている。固定片63には、芯糸Cが掛けられる複数のシャフト63aが設けられている。
可動片64は、固定片63に設けられた支軸(図示省略)によって、固定片63に対して開閉可能に支持されている。可動片64には、複数のシャフト63aに向けて突出するように複数の突起64aが設けられている。各突起64aは、図3(b)に示されるように、各シャフト63aと交互に位置するように、可動片64に設けられている。各突起64aの先端部には、芯糸Cが挿通される孔64bが形成されている。
調節ダイヤル62は、固定片63に対する可動片64の開閉位置を調節するダイヤルである。調節ダイヤル62をオペレータが操作することで、例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、可動片64の開閉位置を調節することができる。
可動片64の孔64bに芯糸Cが通され且つ各シャフト63aに対して芯糸Cが掛けられた状態で、可動片64の開閉位置を調節することで、芯糸Cに付与される張力を調節することができる。図3(a)に示すように、固定片63に対して可動片64が大きく開いている場合、走行する芯糸Cが大きくジグザグ状に案内されるため、芯糸Cに付与される張力が大きくなる。一方、図3(b)に示すように、図3(a)に示す場合よりも固定片63に対する可動片64の開きが小さい場合、走行する芯糸Cが小さなジグザグ状に案内されるため、図3(a)に示す場合に比べて芯糸Cに付与される張力が小さくなる。
弛み付与部53は、張力付与部51と芯糸送出部52との間において、芯糸Cに弛みを付与する。図2に示すように、弛み付与部53は、アーム状に形成されている。弛み付与部53の基端部は、ユニットベース55に固定された支軸によって回動可能に支持されている。弛み付与部53の基端部から延在する先端部は、張力付与部51と芯糸送出部52との間の芯糸Cと係合する。弛み付与部53は、芯糸Cの走行経路に沿った位置(図2の実線の位置)と、上方の位置(図2の二点鎖線の位置)とに回動可能である。弛み付与部53の先端部が芯糸Cと係合し且つ芯糸送出部52が芯糸Cをクランプした状態で、弛み付与部53が上方の位置に回動することにより、芯糸パッケージCPから芯糸Cが引き出されて芯糸Cに弛みが付与される。弛み付与部53による弛みの付与は、芯糸送出部52による芯糸Cの送り出し前に行われる。
芯糸送出部52は、紡績糸Yの生成の開始時に芯糸Cの糸端をドラフト装置6に送り出す機能と、芯糸Cをクランプする機能と、芯糸Cを切断する機能とを有している。芯糸送出部52は、弛み付与部53が芯糸Cに弛みを付与する前に芯糸Cをクランプして芯糸Cを切断する。これにより、芯糸送出部52より芯糸Cの走行方向の下流側の芯糸Cが切断除去される。芯糸Cの切断後、芯糸送出部52は、圧縮空気の作用によって、芯糸案内部43を介して芯糸Cの糸端をドラフト装置6に送り出す。
[ユニット制御装置の構成]
ユニット制御装置10は、紡績ユニット2の各部の動作を制御する。また、ユニット制御装置10は、生成される紡績糸Yの糸品質を監視する機能を有している。以下、ユニット制御装置10における糸品質の監視機能を中心に説明する。図4に示すように、ユニット制御装置10は、糸品質の監視を行うため、機能的には、監視部71と、停止指示部72と、表示制御部73とを含んで構成されている。
ユニット制御装置10は、紡績ユニット2の各部の動作を制御する。また、ユニット制御装置10は、生成される紡績糸Yの糸品質を監視する機能を有している。以下、ユニット制御装置10における糸品質の監視機能を中心に説明する。図4に示すように、ユニット制御装置10は、糸品質の監視を行うため、機能的には、監視部71と、停止指示部72と、表示制御部73とを含んで構成されている。
ここで、空気紡績装置7によって生成される紡績糸Yの糸品質と、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力との間には相対関係がある。ここでの糸品質とは、カバー繊維による芯糸Cのカバー状態をいう。すなわち、紡績糸Yの糸品質とは、紡績糸Yに芯糸Cが含まれた状態での糸品質である。
張力センサ9で測定される張力値が適正である場合の糸品質について説明する。芯糸C及び繊維束Fに適正な張力が掛かっている場合、芯糸Cがカバー繊維によって適正にカバーされる。このような紡績糸Yは、以下のような性質を有する。例えば、紡績糸Yを引っ張った際に芯糸Cとカバー繊維の部分とが同時(ほぼ同時)に破断する。このため、この紡績糸Yの破断強さは強い。また、この紡績糸Yの表面は均一であり、均性度は良い。均性度が良いと、紡績糸Yを試験機等で擦ったときにカバー繊維が芯糸Cから剥離し難く、切れ難い。
張力センサ9で測定される張力値が、繊維束Fのみで紡績糸を生成した場合に測定される張力値よりも低い場合の紡績糸Yの糸品質について説明する。この場合の紡績糸Yでは、芯糸Cに緩みが生じ、芯糸Cがカバー繊維からループ状に突出する傾向がある。このような紡績糸Yを引っ張った際は、芯糸Cとカバー繊維とが個別のタイミングで破断する。このため、この紡績糸Yの破断強さは弱い。また、この紡績糸Yは、芯糸Cが突出した部分以外の表面は均一であり、均性度の悪化は少ない。均性度の悪化は少ないため、紡績糸Yを試験機等で擦ったときにカバー繊維が芯糸Cから剥離し難く、切れ難い。
張力センサ9で測定される張力値が過剰な場合の糸品質について説明する。この場合の紡績糸Yでは、芯糸Cに必要以上の張力が掛かっているため、カバー繊維が芯糸Cの伸びに耐え切れずにカバー繊維の剥離(浮き)が生じる傾向がある。カバー繊維の剥離が生じた紡績糸Yの場合、紡績糸Yを引っ張った際に芯糸Cとカバー繊維とが個別のタイミングで破断する。このため、この紡績糸Yの破断強さは弱い。また、カバー繊維が剥離しているため、紡績糸Yの表面は均一ではなく、均性度は悪い。均性度が悪いため、紡績糸Yを試験機等で擦ったときにカバー繊維が芯糸Cから剥離し易く、切れ易い。
このように、張力センサ9で測定される張力値を確認することで、紡績糸Yの糸品質を監視することができる。監視部71は、糸品質の監視を行うため、張力センサ9によって測定された張力値が予め設定された品質監視用の基準範囲内であるか否かを判断する。この品質監視用の基準範囲とは、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力値の範囲であって、カバー繊維によって芯糸Cを適正にカバーすることができる張力値の範囲である。品質監視用の基準範囲は、監視部71が監視する紡績糸Yの種類に応じて設定される。品質監視用の基準範囲の上限値(品質監視用閾値)及び下限値(品質監視用閾値)は、紡績糸Yに掛かる張力を変えながら実際に紡績糸Yを生成した結果に基づいて決定してもよい。例えば、品質監視用の基準範囲の下限値を、繊維束Fのみで紡績糸を生成した場合に測定される張力値に基づいて決定してもよい。
空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力は、フィード比、及び、芯糸供給装置40の張力付与部51が芯糸Cに付与する張力を変えることで、変化する。フィード比とは、ドラフト装置6のフロントローラ対19の回転速度と、糸貯留装置14の糸貯留ローラ34の回転速度との比である。例えば、フィード比が「1」の場合、フロントローラ対19の回転速度と糸貯留ローラ34の回転速度とは同じである。フィード比が「1.01」の場合には、糸貯留ローラ34の回転速度がフロントローラ対19の回転速度よりも早く、糸貯留ローラ34が紡績糸Yを少し引っ張りながら空気紡績装置7から紡績糸Yを引き出している。
張力センサ9で測定される張力値は、フィード比を高くすることによって高い値となり、芯糸Cに付与する張力を高くすることによって高い値となる。反対に、張力センサ9で測定される張力値は、フィード比を低くすることによって低い値となり、芯糸Cに付与する張力を低くすることによって低い値となる。
張力センサ9によって測定された張力値が品質監視用の基準範囲以下である場合、監視部71は、芯糸Cがカバー繊維からループ状に突出するなど、紡績糸Yの糸品質に異常があると判定する。張力センサ9によって測定された張力値が品質監視用の基準範囲以上である場合、監視部71は、カバー繊維の剥離(浮き)が生じているなど、紡績糸Yの糸品質に異常があると判定する。張力センサ9によって測定された張力値が品質監視用の基準範囲内である場合、監視部71は、紡績糸Yの糸品質は適正であると判定する。
品質監視用の基準範囲は、紡績糸Yの種類毎に監視部71が予め複数記憶しておき、オペレータが必要な基準範囲を選択することによって設定されてもよい。品質監視用の基準範囲は、その都度、オペレータが値を入力することによって設定されてもよい。
監視部71は、糸品質の監視に加え、空気紡績装置7で生成された紡績糸Yに芯糸Cが含まれているか否かを監視する。監視部71は、芯糸Cの有無の監視を行うため、張力センサ9によって測定された張力値が、予め設定された有無監視用閾値以上であるか否かを判定する。この有無監視用閾値とは、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力値であって、芯糸Cの有無を判定するための閾値である。有無監視用閾値は、監視部71が監視する紡績糸Yの種類に応じて設定される。例えば、有無監視用閾値を、繊維束Fのみで紡績糸を生成した場合に測定される張力値に基づいて決定してもよい。
紡績糸Yに芯糸Cが含まれていない場合、張力センサ9によって測定される張力値は低くなる。このため、張力センサ9によって測定された張力値が有無監視用閾値未満である場合、監視部71は、紡績糸Yに芯糸Cが含まれていないと判定する。張力センサ9によって測定された張力値が有無監視用閾値以上である場合、監視部71は、紡績糸Yに芯糸Cが含まれていると判定する。
監視部71は、糸品質の監視と、芯糸Cの有無の監視とを切り替えることができる。監視部71による芯糸Cの有無の監視は、例えば、紡績糸Yの生成の開始時に行うことができる。これにより、芯糸供給装置40から芯糸Cが正常に供給されているか否かを監視することができる。監視部71による糸品質の監視は、芯糸Cの有無の監視が終了した後、紡績糸Yの生成中に行うことができる。これにより、監視部71は、糸品質の監視と芯糸Cの有無の監視とを適切なタイミングで行うことができる。
停止指示部72は、糸品質の監視時に監視部71によって糸品質に異常があると判定された場合、空気紡績装置7など、紡績ユニット2の各部の動作を停止させて紡績糸Yの生成を停止させる。停止指示部72は、芯糸Cの有無の監視時に監視部71によって芯糸Cが含まれていないと判定された場合、空気紡績装置7など、紡績ユニット2の各部の動作を停止させる。
表示制御部73は、監視部71の監視結果を表示部74(図1参照)に表示させる。例えば、表示制御部73は、糸品質の判定結果、及び、張力センサ9によって測定された紡績糸Yの張力値などを表示部74に表示させる。これにより、オペレータは、紡績糸Yの糸品質、芯糸Cの有無、及び、紡績糸Yの張力値などを把握することができる。表示部74を設ける位置は、図1に示すように原動機ボックス5に限定されず、原動機ボックス5以外の場所に設けてもよい。
オペレータは、表示部74に表示される糸品質の判定結果に基づいて、張力センサ9によって測定された張力値が品質監視用の基準範囲内となるように、紡績糸Yの紡績条件を設定する。本実施形態では、上述したように、フィード比及び芯糸Cに付与する張力のうち少なくとも何れかを変えることで、張力センサ9によって測定される張力値を変化させることができる。すなわち、オペレータは、フィード比及び芯糸Cに付与する張力を変えて張力センサ9によって測定される張力値を変化させることで、糸品質が適正となるように紡績糸Yの糸品質を変化させる。
[フィード比及び芯糸に付与する張力と糸品質との関係]
図5を用いて、フィード比及び芯糸Cに付与する張力と糸品質との関係を説明する。図5に示すように、フィード比が低く且つ芯糸Cに付与する張力が低い場合(図5の「NG1」の領域)、張力センサ9によって測定される張力値が低くなる。この場合、芯糸Cがカバー繊維からループ状に突出した紡績糸Yが生成される傾向がある。フィード比が高く且つ芯糸Cに付与する張力が高い場合(図5の「NG2」の領域)、張力センサ9によって測定される張力値が高くなる。この場合、芯糸Cからカバー繊維が剥離した紡績糸Yが生成される傾向がある。図5の「OK」の領域は、紡績糸Yの張力値が品質監視用の基準範囲内であり糸品質が適正である場合のフィード比と芯糸Cに付与する張力との関係を表している。
図5を用いて、フィード比及び芯糸Cに付与する張力と糸品質との関係を説明する。図5に示すように、フィード比が低く且つ芯糸Cに付与する張力が低い場合(図5の「NG1」の領域)、張力センサ9によって測定される張力値が低くなる。この場合、芯糸Cがカバー繊維からループ状に突出した紡績糸Yが生成される傾向がある。フィード比が高く且つ芯糸Cに付与する張力が高い場合(図5の「NG2」の領域)、張力センサ9によって測定される張力値が高くなる。この場合、芯糸Cからカバー繊維が剥離した紡績糸Yが生成される傾向がある。図5の「OK」の領域は、紡績糸Yの張力値が品質監視用の基準範囲内であり糸品質が適正である場合のフィード比と芯糸Cに付与する張力との関係を表している。
オペレータは、表示部74に表示される判定結果を見て、適正な品質の紡績糸Yが生成されるように、フィード比及び芯糸Cに付与する張力を設定する。フィード比の設定は、例えば、オペレータが機台制御装置20の操作部を操作することで行うことができる。例えば、フロントローラ対19の回転速度に対して、糸貯留ローラ34を駆動する電動モータ36の回転速度を変えることで、フィード比を変えることができる。フロントローラ対19が個別に設けられた駆動源によって駆動されている場合、この駆動源の回転速度を変えてもよい。芯糸Cに付与する張力の設定は、芯糸供給装置40に設けられた張力付与部51の調節ダイヤル62をオペレータが操作することで行うことができる。糸貯留装置14及び張力付与部51は、紡績糸Yの紡績条件を設定する設定部として機能する。
ユニット制御装置10は、物理的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えている。
[糸品質の監視動作]
糸品質を監視する際の動作について説明する。空気紡績装置7によって紡績糸Yが生成されている状態で、張力センサ9は紡績糸Yに掛かる張力を検出する(張力を検出する工程)。次に、監視部71は、張力センサ9によって測定された張力値と、品質監視用の基準範囲とを比較し、糸品質の監視を行う(紡績糸Yの糸品質を監視する工程)。オペレータは、監視結果に基づいて、張力センサ9によって測定される張力値が品質監視用の基準範囲内となるように、フィード比及び芯糸Cに付与する張力の少なくともいずれかを変更する。
糸品質を監視する際の動作について説明する。空気紡績装置7によって紡績糸Yが生成されている状態で、張力センサ9は紡績糸Yに掛かる張力を検出する(張力を検出する工程)。次に、監視部71は、張力センサ9によって測定された張力値と、品質監視用の基準範囲とを比較し、糸品質の監視を行う(紡績糸Yの糸品質を監視する工程)。オペレータは、監視結果に基づいて、張力センサ9によって測定される張力値が品質監視用の基準範囲内となるように、フィード比及び芯糸Cに付与する張力の少なくともいずれかを変更する。
本実施形態は以上のように構成され、この紡績機1では、張力センサ9が、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力を検出する。監視部71は、紡績糸Yの糸品質を監視するための品質監視用の基準範囲と、張力センサ9の測定結果とに基づいて、紡績糸Yの糸品質を監視する。このように、紡績糸Yの糸品質と相関関係を有する紡績糸Yに掛かる張力(張力センサ9の測定結果)を用いることで、紡績糸Yの糸品質を監視することが可能となり、紡績糸Yの糸品質の向上を図ることができる。
品質監視用の基準範囲は、監視部71が監視する紡績糸の種類に応じて設定される。このため、生成される紡績糸Yに応じて適切に糸品質を監視することができる。
監視部71は、有無監視用閾値及び張力センサ9の測定結果に基づいて、芯糸Cの有無を監視する。このため、紡績糸Yの糸品質の向上をより一層図ることができる。
監視部71は、糸品質の監視と、芯糸Cの有無の監視とを切り替えることができる。紡績糸Yの状態及び生成のタイミングなどに応じて糸品質の監視と芯糸Cの有無の監視とを切り替えることが可能となり、必要な監視を適切に行うことができる。
監視部71が紡績糸Yの糸品質に異常があると判定した場合、空気紡績装置7は、紡績糸Yの生成を停止する。これにより、糸品質に異常がある紡績糸YがパッケージPに巻き取り続けられることを回避できる。
紡績機1は、糸貯留装置14の糸貯留ローラ34の回転速度を変えることなどによって、フィード比を変更することができる。フィード比を変えることにより、紡績糸Yの糸品質を変えることができる。従って、監視部71の監視結果に基づいてフィード比を変えることで、糸品質の高い紡績糸Yを生成することができる。
芯糸供給装置40は、供給する芯糸Cに張力を付与する張力付与部51を備えている。芯糸Cの張力を変えることにより、紡績糸Yの糸品質を変えることができる。従って、監視部71の監視結果に基づいて芯糸Cに付与する張力を変えることで、糸品質の高い紡績糸Yを生成することができる。
紡績機1は、監視部71による糸品質の判定結果及び張力センサ9の測定結果を表示する表示部74を備えている。これにより、糸品質の判定結果及び張力センサ9の測定結果をオペレータが容易に把握することができる。オペレータは、把握した測定結果に基づいて、フィード比及び芯糸Cに付与する張力などの設定を行うことができる。
紡績機1は、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力を張力センサ9によって測定する工程と、品質監視用の基準範囲及び張力センサ9の測定結果に基づいて、紡績糸Yの糸品質を監視する工程と行う。紡績糸Yの糸品質と相関関係を有する紡績糸Yに掛かる張力を用いることで、紡績糸Yの糸品質を監視することが可能となり、紡績糸Yの糸品質の向上を図ることができる。
紡績機1によって生成された紡績糸Yは、糸品質の管理が行われているため、糸品質が高い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、監視部71が張力センサ9の検出結果に基づいて芯糸Cの有無を監視することに限定されない。例えば、図2に二点鎖線で示すように、芯糸Cの有無を検出する芯糸検出部54を設けてもよい。芯糸検出部54は、例えば、弛み付与部53と芯糸送出部52との間において、芯糸Cの有無を検出する。この場合であっても、監視部71は芯糸検出部54の検出結果に基づいて芯糸Cの有無についても監視することが可能となり、紡績糸Yの糸品質の向上をより一層図ることができる。
芯糸Cに張力を付与するため、芯糸Cをジグザグ状に走行させる張力付与部51を用いたが、芯糸Cに張力を付与する機構についてはこれに限定されない。フィード比の変更と、芯糸Cに対する張力の付与とを双方とも行うことに限定されず、何れか一方のみを行ってもよい。上記実施形態では、フィード比及び張力付与部51が芯糸Cに付与する張力を変えることによって、空気紡績装置7で生成される紡績糸Yに掛かる張力を変えた。しかし、フィード比及び張力付与部51以外によって、紡績糸Yに掛かる張力を変えてもよい。
芯糸Cの種類は、モノフィラメント糸又は仮撚り加工糸以外であってもよい。例えば、モノフィラメント糸よりも剛性の低いマルチフィラメント系の芯糸C、又は、仮撚り加工糸よりも巻縮性の低い芯糸Cであってもよい。さらに、芯糸Cとして、加工系の芯糸C、エアー加工系の芯糸C(例えば、スパンデックスと加工糸を交絡させた糸であり、加工系と巻縮性が類似した糸)、又はスパン系の芯糸C(一般的に用いられる紡績糸)が用いられてもよい。
紡績機1では、上側で供給された紡績糸Yが下側で巻き取られるように各装置が配置されていたが、下側で供給された糸が上側で巻き取られるように各装置が配置されていてもよい。また、紡績機1では、ドラフト装置6の各ローラ対及びトラバース装置23のトラバース機構が、原動機ボックス5からの動力によって(すなわち、複数の紡績ユニット2共通で)駆動されていたが、紡績ユニット2の各部(例えば、ドラフト装置6、空気紡績装置7、巻取装置12等)が紡績ユニット2ごとに独立して駆動されてもよい。
空気紡績装置7は、繊維束Fの撚りが空気紡績装置7の上流側に伝わるのを防止するために、繊維芯糸ガイドに保持されて紡績室内に突出するように配置されたニードルを更に備えていてもよい。また、空気紡績装置7は、そのようなニードルに代えて、繊維芯糸ガイドの下流側端部によって、繊維束Fの撚りが空気紡績装置7の上流側に伝わるのを防止するものであってもよい。更に、空気紡績装置7は、互いに反対方向に撚りを掛ける一対のエアージェットノズルを備えていてもよい。
紡績糸Yの走行方向において、張力センサ9が紡績糸監視装置8の上流側に配置されてもよい。紡績機1では、糸貯留装置14が空気紡績装置7から紡績糸Yを引き出す機能を有していたが、デリベリローラとニップローラとで紡績糸Yが引き出されてもよい。ワキシング装置11、及び紡績糸監視装置8は、紡績ユニット2に設けられなくてもよい。
巻取装置12は、紡績ユニット2ごとに設けられた駆動モータによって駆動されるのではなく、複数の紡績ユニット2に共通で設けられた駆動源によって駆動されてもよい。この場合において、パッケージPを逆回転させるときには、パッケージPが巻取ドラム22から離間するように、クレードルアーム21がエアシリンダ(図示省略)によって移動させられ、糸継台車3に設けられた逆回転用ローラ(図示省略)によってパッケージPが逆回転させられる。
1…紡績機、6…ドラフト装置(繊維束供給装置)、7…空気紡績装置(紡績装置)、9…張力センサ(張力検出部)、14…糸貯留装置(糸引出し装置、設定部)、40…芯糸供給装置、51…張力付与部、54…芯糸検出部、62…調節ダイヤル(設定部)、71…監視部、C…芯糸、F…繊維束、Y…紡績糸。
Claims (12)
- 芯糸を供給する芯糸供給装置と、
繊維束を供給する繊維束供給装置と、
前記芯糸を芯として前記繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成する紡績装置と、
前記紡績装置で生成される前記紡績糸に掛かる張力を検出する張力検出部と、
前記紡績糸の糸品質を監視するための品質監視用閾値及び前記張力検出部の検出結果に基づいて、前記紡績糸の糸品質を監視する監視部と、を備える、紡績機。 - 前記品質監視用閾値は、前記監視部が監視する前記紡績糸の種類に応じて設定される、請求項1に記載の紡績機。
- 前記監視部は、前記紡績装置で生成された前記紡績糸に前記芯糸が含まれているか否かを監視するための有無監視用閾値及び前記張力検出部の検出結果に基づいて、前記芯糸の有無を更に監視する、請求項1又は2に記載の紡績機。
- 前記芯糸供給装置は、供給する前記芯糸の有無を検出する芯糸検出部を備え、
前記監視部は、前記芯糸検出部の検出結果に基づいて、前記芯糸の有無を更に監視する、請求項1又は2に記載の紡績機。 - 前記監視部は、前記糸品質の監視と、前記芯糸の有無の監視とを切り替え可能である、請求項3又は4に記載の紡績機。
- 前記監視部が前記紡績糸の糸品質に異常があると判定した場合、前記紡績装置は、前記紡績糸の生成を停止する、請求項1から5のいずれか一項に記載の紡績機。
- 前記紡績装置が生成する前記紡績糸に応じて、前記紡績糸の紡績条件を設定する設定部を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の紡績機。
- 前記紡績装置から前記紡績糸を引き出す引出し装置を更に備え、
前記繊維束供給装置及び前記引出し装置は、前記紡績装置が生成する前記紡績糸に応じて、前記繊維束供給装置が前記芯糸及び前記繊維束を前記紡績装置に供給する速度と前記引出し装置が前記紡績糸を引き出す速度との比を設定可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の紡績機。 - 前記芯糸供給装置は、前記芯糸に張力を付与する張力付与部を備え、
前記張力付与部は、前記紡績装置が生成する前記紡績糸に応じて、前記芯糸に付与する張力を設定可能である、請求項1から6,8のいずれか一項に記載の紡績機。 - 前記張力検出部の検出結果を表示する表示部を更に備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の紡績機。
- 芯糸を芯として繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成する紡績装置を備える紡績機で実施される紡績方法であって、
前記紡績装置で生成される前記紡績糸に掛かる張力を検出する工程と、
前記紡績糸の糸品質を監視するための品質監視用閾値及び前記紡績糸に掛かる張力の検出結果に基づいて、前記紡績糸の糸品質を監視する工程と、を含む、紡績方法。 - 請求項11に記載の紡績方法によって生成される、紡績糸。
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