JP2016002654A - 樹脂−金属複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂体と金属部材との接着力をより向上させた樹脂−金属複合体を提供する。
【解決手段】樹脂−金属複合体(1)は、表面が粗化処理された金属部材(11)と、金属部材における粗化処理された表面に接触し、かつ、熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の内部に分散する粒状フィラー(14)及び板状フィラー(15)とを含有する樹脂体(10)とを備える。そして、樹脂体の内部において、板状フィラーは粒状フィラーよりも金属部材側に偏在している。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂−金属複合体に関する。詳細には本発明は、樹脂体と金属部材との間の接着力に優れた樹脂−金属複合体に関する。
樹脂体と金属部材との接着方法としては接着剤を使用する方法が知られているが、接着剤を使用すると、作業効率が低下したりコストが増大する恐れがある。そのため、金属部材に表面処理を行い、樹脂体と金属部材との間の接着力を向上させる方法が検討されている。
特許文献1では、ステンレス材にアルミニウム材が重ね合わされたクラッド材に、直径が40〜100nmの孔を有する陽極酸化皮膜を形成し、陽極酸化皮膜の孔に合成樹脂部品の一部を侵入させている。これにより、クラッド材と合成樹脂部品とが接着した複合品を作製している。また、特許文献2では、金属合金の表面に5〜500nm周期の超微細凹凸を形成し、熱硬化性樹脂組成物が超微細凹凸に侵入した状態で硬化することにより接着されている金属合金と熱硬化性樹脂組成物の複合体が開示されている。
さらに特許文献3では、アルミニウム製部品の表面をエッチング剤によって粗化処理する粗化工程と、粗化処理した表面に樹脂組成物を付着させる付着工程とにより、アルミニウム−樹脂複合体を製造することが記載されている。また、アルミニウム製部品の表面に形成された凹凸の窪みに多数の熱伝導性フィラーが入り込んでいるため、接触界面の熱抵抗を低減できることが記載されている。
特開2010−173298号公報 特開2010−274600号公報 特開2013−52671号公報
しかしながら、特許文献1及び2のように、ナノサイズの微細孔に樹脂体の一部を侵入させた場合、金属部材と樹脂体との間の接着力はある程度向上するが、大幅に接着力を高めることは難しかった。また、通常、樹脂組成物を構成するフィラーとマトリックス樹脂との間の接着力は弱い。そのため、特許文献3のように、金属部材表面の凹凸の窪みに多数の熱伝導性フィラーを入り込ませた場合、窪みの内部でフィラーとマトリックス樹脂が剥離してしまい、その結果、金属部材と樹脂体との間の接着力が低下する恐れがあった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、樹脂体と金属部材との接着力をより向上させた樹脂−金属複合体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る樹脂−金属複合体は、表面が粗化処理された金属部材を備える。さらに樹脂−金属複合体は、金属部材における粗化処理された表面に接触し、かつ、熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の内部に分散する粒状フィラー及び板状フィラーとを含有する樹脂体を備える。そして、樹脂体の内部において、板状フィラーは粒状フィラーよりも金属部材側に偏在している。
本発明の態様に係る樹脂−金属複合体は、樹脂体の内部において、板状フィラーが粒状フィラーよりも金属部材側に偏在している。そのため、穴部の内部には主にバインダー樹脂(マトリックス樹脂)が充填され、穴部におけるバインダー樹脂が樹脂体のアンカーとして作用することから、樹脂体と金属部材との接着力を高めることが可能となる。
本実施形態に係る樹脂−金属複合体の断面を示す概略図である。 (a)は本実施形態に係る樹脂−金属複合体における断面を示す走査型電子顕微鏡写真であり、(b)は(a)における符号Bの部分の拡大写真であり、(c)は(b)における符号Cの部分の拡大写真である。 本実施形態に係る樹脂−金属複合体における樹脂体の内部構造を示す概略図である。(a)は樹脂体を構成する熱伝導性樹脂の概略図であり、(b)は当該熱伝導性樹脂の部分拡大図である。 樹脂体を構成する熱伝導性樹脂の走査型電子顕微鏡写真である。 本実施形態に係るLEDユニットを示す分解斜視図である。 本実施形態に係るLEDユニットを示す斜視図である。 (a)は本実施形態に係るLEDユニットの平面図を示し、(b)は本実施形態に係るLEDユニットの底面図を示す。 本実施形態に係るLEDユニットの一例を示す断面図である。(a)は図7中のD−D’線に沿った断面図であり、(b)は図7中のE−E’線に沿った断面図である。 (a)は、ブラスト処理を施したアルミニウム板の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。(b)は、アルマイト処理を施したアルミニウム板の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。(c)は、エッチング処理を施したアルミニウム板の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例で作成した試験サンプルを示す写真である。 試験サンプルの接着強度の評価方法を示す概略図である。 ブラスト処理、アルマイト処理、エッチング処理を施した試験サンプルにおける、接着強度の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る樹脂−金属複合体について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[樹脂−金属複合体]
本実施形態に係る樹脂−金属複合体1は、図1に示すように、樹脂体10と、表面が粗化処理された金属部材11とを備えている。樹脂体10は、金属部材11における粗化処理された表面に接触しており、さらにバインダー樹脂12と、当該バインダー樹脂12の内部に分散するフィラー13とを含有している。そして、樹脂体10では、強度及び/又は熱伝導性を向上させるために、フィラー13として粒状フィラー14と板状フィラー15とを組み合わせて使用している。
図1に示すように、金属部材11の表面には、粗化処理されることにより複数の凹凸が形成されている。さらに金属部材11の表面には、断面が壺状の穴部16が形成されている。そして、本実施形態の樹脂−金属複合体1では、樹脂体10の内部において、板状フィラー15は粒状フィラー14よりも金属部材11側に偏在している。つまり、板状フィラー15は、粒状フィラー14よりも金属部材11の表面にある穴部16の近傍に偏在している。
ここで、特許文献3では、金属部材の表面の窪みに多数のフィラーを意図的に入り込ませ、フィラーを介して金属部材と樹脂体との熱伝導率を向上させていた。しかし、この場合、窪みの内部でフィラーとマトリックス樹脂が剥離してしまい、その結果、金属部材と樹脂体との間の接着力が低下する恐れがあった。これに対し、本実施形態の樹脂−金属複合体1では、フィラー13として粒状フィラー14と板状フィラー15とを使用し、さらに樹脂体10の内部において、板状フィラー15を粒状フィラー14よりも金属部材11側に偏在させている。そのため、板状フィラー15の集合体が、金属部材11の穴部16の内部にフィラーが侵入することを阻害するため、穴部16の内部には、主にバインダー樹脂12が充填される。その結果、穴部16の内部でバインダー樹脂12とフィラー13とが剥離することが抑制される。さらに、穴部16におけるバインダー樹脂12が樹脂体10のアンカーとして作用することから、樹脂体10と金属部材11との接着力を高めることが可能となる。
図1及び図2に示すように、金属部材11における粗化処理された表面には、複数の穴部16が設けられていることが好ましい。さらに、穴部16の深さ方向Aに垂直な方向において、穴部16の開口部16aの断面積は、穴部16の内部16bの断面積よりも小さいことが好ましい。つまり、穴部16は、開口部16aが狭く、内部16bが広い壺状であることが好ましい。穴部16が壺状であることにより、穴部16にフィラー13が侵入し難くなり、その代わりにバインダー樹脂12が充填される。さらに、充填されたバインダー樹脂12が、開口部が狭い穴部16により嵌合されるため、樹脂体10と金属部材11との接着力を高めることが可能となる。
また、金属部材11における粗化処理された表面は、算術平均粗さRaが2μm〜10μmであり、最大高さ粗さRzが8μm〜70μmであることが好ましい。この場合、穴部16の大きさがミクロンサイズとなるため、穴部16に充填されるバインダー樹脂12が増加し、さらに接着力を向上させることが可能となる。なお、算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzは、日本工業規格JIS B0601:2013(製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ)に基づき測定することができる。
図2では、本実施形態に係る樹脂−金属複合体における断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。図2(a)に示すように、樹脂体10では、バインダー樹脂12の内部に粒状フィラー14と板状フィラー15が分散していることが分かる。さらに、図2(b)に示すように、金属部材11の表面には壺状の穴部16が形成されており、さらに板状フィラー15は粒状フィラー14よりも金属部材11側に偏在していることが分かる。また、図2(c)に示すように、金属部材11の穴部16の内部には、粒状フィラー14及び板状フィラー15が殆ど存在せず、バインダー樹脂12が充填されていることが確認できる。
金属部材11を構成する金属は特に限定されないが、アルミニウム、銅、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、ステンレスなどを挙げることができる。これらの金属は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの金属と他の金属との合金を使用してもよい。また、これらの金属から成る金属部材11は、磨耗を抑制し、樹脂体10との密着性を向上させるために、粗化処理以外の表面処理を行ってもよい。つまり、金属部材11として、金属カップリング剤で処理を行うことにより金属酸化皮膜で覆った金属部材を使用してもよい。
金属部材11は熱伝導率が高いことが好ましいため、金属部材11はアルミニウムを含有することが好ましい。また、粗化処理の容易化の観点から、金属部材11はアルミニウムを主成分とすることがより好ましい。具体的には、金属部材11はアルミニウムを50mol%以上含有していることが好ましく、70mol%以上含有していることがより好ましく、90mol%以上含有していることが特に好ましい。
樹脂体10は、図1及び図3に示すように、粒状フィラー14及び板状フィラー15を有するフィラー13と、バインダー樹脂12と含んでなる。粒状フィラー14の形状は球状又は多面体状であることが好ましい。また、粒状フィラー14のアスペクト比は、1.0〜2.0の範囲内であることが好ましい。粒状フィラー14がこのような形状であることにより、後述するように板状フィラー15との接触率が向上し、熱伝導率を高めることが可能となる。なお、当該アスペクト比は、粒子の顕微鏡像において、(最大長径/最大長径に直交する幅)で定義される粒子の形状を表す指数をいう。
樹脂体10において、板状フィラー15の形状は薄肉形状を有する板状であり、いわゆる鱗片状、薄片状、フレーク状等であることが好ましい。板状フィラー15としてこのような形状のものを用いることにより、図1及び図2に示すように、金属部材11の穴部16にバインダー樹脂12を充填しやすくなる。そのため、板状フィラー15の厚さとその主面の最大径との比率であるアスペクト比(主面の最大径/厚さ)は、1〜40であることが好ましい。また、板状フィラー15のアスペクト比は、3〜30であることがより好ましく、5〜20であることがさらに好ましい。なお、粒状フィラー14及び板状フィラー15の平均粒子径及びアスペクト比は、樹脂体10を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより測定することができる。
粒状フィラー14及び板状フィラー15の平均粒子径は特に限定されないが、5μm〜200μmであることが好ましい。粒状フィラー14及び板状フィラー15の平均粒子径がこの範囲内であることにより、樹脂体10の内部で分散されやすくなり、樹脂体10の強度及び熱伝導性だけでなく、成形性も高めることが可能となる。
本実施形態の樹脂体10は、粒状フィラー14及び板状フィラー15を合計で40〜70体積%含有することが好ましい。粒状フィラー14及び板状フィラー15の合計含有量が40体積%以上である場合には、樹脂体10の熱伝導率を大きく向上させることが可能となる。また、粒状フィラー14及び板状フィラー15の合計含有量が70体積%以下である場合には、樹脂体10を成形する際における過度の粘度上昇を抑制し、成形性の悪化を防ぐことが可能となる。
粒状フィラー14及び板状フィラー15を構成する材料は特に限定されないが、例えば熱伝導性及び電気絶縁性を有する無機化合物を用いることができる。無機化合物としては、例えば、ホウ化物、炭化物、窒化物、酸化物、ケイ化物、水酸化物及び炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができる。具体的には、無機化合物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、二酸化ケイ素(SiO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、クレー、タルク、マイカ、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができる。熱伝導性の観点から、無機化合物としては、MgO、Al、BN及びAlNからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
粒状フィラー14及び板状フィラー15はバインダー樹脂12との相溶性を向上させるために、カップリング処理などの表面処理を行ったり分散剤などを添加して、バインダー樹脂中への分散性を向上させてもよい。
表面処理には、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、硬化油等の有機系表面処理剤を用いることができる。また、表面処理には、シリコーンオイル、シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、シリル化材等の無機系表面処理剤も用いることができる。これらの表面処理剤を用いることにより、耐水性が向上する場合があり、さらに樹脂中への分散性が向上する場合がある。処理方法としては特に限定されないが、乾式法、湿式法、インテグラルブレンド法等がある。
バインダー樹脂12としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能であり、これらの樹脂を組み合わせて使用してもよい。粒状フィラー14及び板状フィラー15をより高密度に充填でき、熱伝導性の向上効果が高いという観点から、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、アルキド樹脂、付加硬化型ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性エラストマー(シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム)などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、これらのうちの一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂は、接着性、耐熱性、電気絶縁性及び機械特性に優れるため好ましい。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いることができる。また、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルヒダントイン等)を用いることもできる。さらに、これらのエポキシ樹脂を種々の材料で変性させた変性エポキシ樹脂等を使用することができる。また、これらのエポキシ樹脂の臭素化物、塩素化物等のハロゲン化物も用いることができる。エポキシ樹脂は、これらのうちの一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物であれば、如何なる化合物を用いることができる。公知のエポキシ硬化剤を適宜用いることができるが、特にアミノ基、酸無水物基、ヒドロキシフェニル基を有する化合物が適している。例えば、ジシアンジアミド及びその誘導体、有機酸ヒドラジット、アミンイミド、脂肪族アミン、芳香族アミン、3級アミン、ポリアミンの塩、マイクロカプセル型硬化剤、イミダゾール型硬化剤、酸無水物、フェノールノボラック等が挙げられる。硬化剤は、これらのうちの一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記の硬化剤と併用して各種の硬化促進剤を用いることができる。例えば熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化促進剤としては、第3級アミン系硬化促進剤、尿素誘導体系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、ジアザビシクロウンデセン(DBU)系硬化促進剤を挙げることができる。また、有機りん系硬化促進剤(例えば、ホスフィン系硬化促進剤等)、オニウム塩系硬化促進剤(例えば、ホスホニウム塩系硬化促進剤、スルホニウム塩系硬化促進剤、アンモニウム塩系硬化促進剤等)を挙げることができる。さらに、金属キレート系硬化促進剤、酸及び金属塩系硬化促進剤等も挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、一般に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合を主鎖に有するものである。また、熱可塑性樹脂は、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合、カルボニル結合からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合を主鎖に有していてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマー系(スチレン系、オレフィン系、ポリ塩化ビニル(PVC)系、ウレタン系、エステル系、アミド系)樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、エンジニアリングプラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、エチレンアクリレート樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂が挙げられる。さらに、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルエラストマー樹脂、ポリアミドエラストマー樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート樹脂等も挙げられる。熱可塑性樹脂は、これらのうちの一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態において、バインダー樹脂12は熱硬化性樹脂を主成分とすることが好ましい。つまり、バインダー樹脂12における熱硬化性樹脂の含有量は50mol%以上であることが好ましく、80mol%以上がより好ましく、90mol%以上が特に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、特に成形性や機械的強度に優れるという点で、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂の少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。バインダー樹脂12として熱硬化性樹脂を使用することにより、機械的強度を高め、金属部材11との接着力をより向上させることが可能となる。
樹脂体10には、本実施形態の効果を阻害しない程度であれば、着色剤、難燃剤、難燃助剤、繊維強化材、製造上の粘度調整のための減粘剤、トナー(着色剤)の分散性向上のための分散調整剤、離型剤等が含まれていてもよい。これらは公知のものを使用することができるが、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン等の無機系顔料、有機系顔料等、あるいはそれらを主成分とするトナーを用いることができる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤などが挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、樹脂に難燃剤を含有させる場合は難燃助剤を併用することが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどが挙げられる。また、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄なども挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
樹脂体10の製造に用いる混練機械装置としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を供えた混合容器、横型混合槽などを挙げることができる。
ここで、フィラー13は、モース硬度が5以上の粒状フィラー14と、モース硬度が3以下の板状フィラー15とを含有していることがより好ましい。このようなモース硬度の異なる二種類のフィラーを組み合わせて用いることにより、フィラー同士の接触率を向上させ、フィラーによる熱伝導パスを増加させることが可能となる。つまり、図3(a)及び図3(b)に示すように、樹脂体10を成形する際に板状フィラー15が粒状フィラー14により押圧され、粒状フィラー14と板状フィラー15との接触部分17において板状フィラー15の変形が起こる。それにより、粒状フィラー14と板状フィラー15との間の接触が面接触となり、熱伝導パスの幅が大きくなる。このため、樹脂体10は、同一のフィラー量であっても、粒状フィラー14を単独で使用した場合と比べ、板状フィラー15を組み合わせて使用する方が効率よく熱伝導性を向上させることができる。
より詳細に説明すると、樹脂体10を成形して形状を固定化する際に、バインダー樹脂12の内部で板状フィラー15が粒状フィラー14により押圧され、板状フィラー15の表面が粒状フィラー14の表面形状に沿って湾曲する。その結果、図3(b)に示すように、粒状フィラー14と板状フィラー15とが面接触するため、熱伝導パスが増加する。ここで、「面接触」とは、2つの物体の接触する部分が面となるように接触することをいう。例えば、粒状フィラー14と板状フィラー15の接触面積が0.01μm〜25μm、好適には0.05μm〜10μm、より好適には0.1μm〜5μmとなるように、粒状フィラー14と板状フィラー15とが接触することを意味する。
ここで、粒状フィラー14を構成する材料としては、モース硬度が5以上であれば如何なる材料を用いることができる。粒状フィラー14としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、溶融シリカ、結晶シリカ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。
また、板状フィラー15を構成する材料としては、モース硬度が3以下であれば如何なる材料を用いることができる。板状フィラー15としては、例えば、珪藻土、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。この中でも、板状フィラー15の材料として、窒化ホウ素を用いることが好ましい。ここで、モース硬度とは、引掻きに対する傷の付き易さを示すものであり、ここでは10段階のモース硬度を採用する。
なお、樹脂体10中におけるフィラー13の含有率(含有量)は、次のように求めることができる。ます、樹脂体10を硬化して得られた成形体を所定形状の試験片に切り出し、アルキメデス法により体積を算出する。その後、当該成形体をマッフル炉を用いて625℃で焼成し、残った灰分の重量を計測する。灰分はフィラー13であるため、後述する方法で算出したフィラーの重量比と各フィラーの密度から樹脂体10中に含まれるフィラーの総体積率を算出する。なお、総体積率の算出において、各フィラーの密度は、酸化マグネシウムが3.6g/cm、酸化アルミニウムが4.0g/cm、水酸化アルミニウムが2.4g/cm、窒化ホウ素が2.2g/cmとする。
また、樹脂体10中に含まれる粒状フィラー14と板状フィラー15との体積割合は、下記式(1)に示すように95:5〜50:50の範囲内であることが好ましい。
粒状フィラー/板状フィラー=95/5〜50/50 ・・・(1)
粒状フィラー14と板状フィラー15との体積割合が上記範囲に含まれる場合、粒状フィラー14による板状フィラー15の変形が十分に起こるため、樹脂体10は高い熱伝導率を得ることができる。
なお、樹脂体10中における粒状フィラー14と板状フィラー15との体積割合は、次のように求めることができる。まず、X線光電子分光分析装置を用いて、硬化した樹脂体10(成形体)の1mm角の分析エリアにX線を照射し、分析を行う。深さ方向の分析は、アルゴンイオン照射によるスパッタリングで試料表面を切削した後に、深部における分析を行い、特定深さにおける成形体に含まれる無機フィラーに由来する元素濃度(atm.%)を算出する。X線光電子分光分析より算出した粒状フィラー14、板状フィラー15に由来する元素濃度比とそれぞれの無機フィラーの密度から、樹脂体10中における粒状フィラー及び板状フィラーの重量比と体積比を算出する。なお、体積比率の算出において、上述した各フィラーの密度を使用する。
樹脂体10では、バインダー樹脂12中で、硬い粒状フィラー14と柔らかい板状フィラー15とが面接触し、熱伝導パスが形成されている。そのため、粒状フィラー又は板状フィラー単体を樹脂中に含む場合と比較して、樹脂体10は熱伝導性が良好となる。また、板状フィラーを含むため樹脂の流動性が向上し、成形性が良好となる。さらに樹脂の流動性が向上するため、成形時の金型磨耗が低減され、金型交換の頻度を抑えることができる。したがって、熱伝導性フィラーの含有量を増加させなくても高熱伝導化が可能であり、成形性が良好なものとなる。
図4では、バインダー樹脂12としてエポキシ系アクリレート樹脂を使用し、粒状フィラー14として酸化マグネシウムを使用し、板状フィラー15として窒化ホウ素を使用した樹脂体10の走査型電子顕微鏡写真を示す。なお、酸化マグネシウムのモース硬度は6であり、窒化ホウ素のモース硬度は2である。図4に示すとおり、板状フィラー15は粒状フィラー14により押圧されて湾曲し、粒状フィラー14と板状フィラー15との接触面積が向上している。その結果、熱伝導パスが増大し、高熱伝導率の樹脂体10を得ることが可能となる。
本実施形態の樹脂−金属複合体1は、表面が粗化処理された金属部材11と、金属部材11における粗化処理された表面に接触し、かつ、熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の内部に分散する粒状フィラー14及び板状フィラー15とを含有する樹脂体10とを備える。そして、 樹脂体10の内部において、板状フィラー15は粒状フィラー14よりも金属部材11側に偏在している。そのため、金属部材11の表面に存在する穴部16の内部には、主にバインダー樹脂12が充填される。その結果、穴部16におけるバインダー樹脂12が樹脂体10のアンカーとして作用することから、樹脂体10と金属部材11との接着力を高めることが可能となる。さらに、樹脂体10は粒状フィラー14及び板状フィラー15を含有することから、樹脂体10の熱伝導率を高めることができる。また、金属部材11も熱伝導率が高いため、樹脂−金属複合体1全体でも高い熱伝導率を得ることができる。
[樹脂−金属複合体の製造方法]
次に、本実施形態の樹脂−金属複合体の製造方法について説明する。本実施形態では、まず、金属部材11の表面を粗化処理し、凹凸を形成する。粗化処理は当該凹凸が形成されれば特に限定されないが、例えばウェットエッチング処理とすることが好ましい。ウェットエッチング処理により金属部材11の表面を粗化することで、壺状の穴部16を容易に形成することが可能となる。また、金属部材11の表面の算術平均粗さRaを2μm〜10μmとし、最大高さ粗さRzが8μm〜70μmとすることが可能となる。
ウェットエッチングは、反応性のエッチング液を金属部材11に接触させて表面を粗面化する方法であり、高価な設備を必要とせず、容易に粗面化を行うことができる。貯留したエッチング液に金属部材11を浸漬させてもよいし、金属部材11の上に所定量のエッチング液を塗布してもよい。また、エッチング液をスプレー状に吹き付ける方法でもよい。エッチング液は、金属部材11の材質に応じ、公知のエッチング液の中から適宜選択すればよい。
樹脂体10の作製方法は特に限定されないが、熱伝導性樹脂の一般的は成形方法、例えば圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等により作製することができる。具体的には、まず、樹脂体10を作製するために必要な各原料、つまりフィラー及び熱硬化性樹脂を所定の割合で配合する。そして、これらをミキサーやブレンダーなどで混合し、ニーダーやロール等で混練することにより、未硬化状態の熱硬化性樹脂組成物(コンパウンド)を得る。
次に、上述のように粗面処理した金属部材11を予め金型に固定した後、未硬化状態の熱硬化性樹脂組成物を金型に充填する。その後、金属部材11と共に熱硬化性樹脂組成物を固化させることにより、樹脂−金属複合体1を得ることができる。このように、金型を用いて成形することにより、樹脂体10の内部において、板状フィラー15は粒状フィラー14よりも金属部材11側に偏在させ、穴部16の内部にバインダー樹脂12を充填することが可能となる。
[LEDユニット]
本実施形態の樹脂−金属複合体は、樹脂体10と金属部材11との接着力が高く、さらに樹脂体10は熱伝導性及び電気絶縁性を備えている。そのため、樹脂−金属複合体は、照明装置として、消費電力が少なく長寿命のLED(発光ダイオード)を光源とするLEDユニットの部品として用いることができる。具体的には、発光時に熱を発生するLED基板を実装するためのベースユニットに用いることができる。
本実施形態のLEDユニット100は、ベースユニット1Aを備えている。さらにLEDユニット100は、実装基板3bと、実装基板3b上に設けられ、LEDチップを有する発光部3aとを有し、ベースユニット1Aの表面に配置される発光装置3を備えている。そして、ベースユニット1Aは、金属部材11が電気絶縁性を有する熱伝導性樹脂(樹脂体10)で覆われている成形体からなり、発光装置3と金属部材11との間に熱伝導性樹脂が介在している。
図5に示すように、本実施形態のLEDユニット100は、円盤状のベースユニット1Aと、ベースユニット1Aの表面側に配置された発光装置3とを備えている。発光装置3において、実装基板3bの一面側に、LEDチップを用いた発光部3aと発光部3aへ給電するための端子部3cとが設けられている。そして、実装基板3bの他面がベースユニット1Aに対向するように配置されている。
また、LEDユニット100は、発光装置3におけるベースユニット1A側とは反対側に配置され、ベースユニット1Aとの間に実装基板3bを保持するホルダ2を備えている。さらにLEDユニット100は、ホルダ2におけるベースユニット1A側とは反対側に配置され、ベースユニット1Aに取り付けられるカバー20及びカバー押え部材21を備えている。ここで、ホルダ2は、発光装置3から放射される光を取り出すための窓孔2aを有している。また、カバー20は、発光装置3から放射された光を透過させる機能を有している。
LEDユニット100は、ホルダ2に設けられたねじ挿入孔2dの各々に挿入され、ホルダ2とベースユニット1Aとを結合する2つの組立ねじ23dを備えている。さらに、LEDユニット100は、発光装置3の端子部3cの各々に電気的に接続される給電用の電線4を備えている。
発光装置3は、複数個のLEDチップを具備する発光部3aと、発光部3aが実装される実装基板3bとを備えている。発光部3aは、複数個のLEDチップと、これらのLEDチップを覆う封止部3dとを有する。LEDチップとしては、例えば青色LEDチップを用いることができる。さらに封止部3dは、青色LEDチップから放射される青色光により励起されて黄色光を放射する黄色蛍光体が、透光性封止材料に混合されている構成とすることができる。これにより、発光装置3より白色光を得ることが可能となる。
実装基板3bは、例えば、金属ベースプリント配線板を用いて形成されている。そして、実装基板3bは平面形状が長方形状であり、長手方向の寸法が、円形状のベースユニット1Aの外形寸法よりも小さく設定されている。さらに実装基板3bには、発光部3aに電気的に接続された端子部3cが形成されている。各端子部3cには、半田からなる接着部を介して、電線4が電気的に接続される。ここで、一方の電線4が発光部3aのプラス側に接続された端子部3c(図5における左側の端子部3c)に接続され、他方の電線4が発光部3aのマイナス側に接続された端子部3c(図5における右側の端子部3c)に接続される。
ベースユニット1Aは、表面側に、発光装置3に接続された各電線4の一部を収納するための円形状の凹所1eが形成されている。また、この凹所1eの内底面の中央に、突台部1fが設けられている。そして、突台部1fの先端面1faに実装基板3bの他面が対向する。
突台部1fの平面形状は、発光装置3の実装基板3bよりも大きな長方形状に形成されている。LEDユニット100では、ベースユニット1Aの中心に突台部1fの中心が位置しており、突台部1fの中心と発光装置3の中心とを揃えてある。つまり、LEDユニット100は、発光装置3の光軸とベースユニット1Aの厚み方向に沿った中心線とを揃えてある。
ベースユニット1Aにおける凹所1eの内底面には、突台部1fの短手方向の両側において、円柱状のボス部1rが1つずつ設けられている。各ボス部1rには、組立ねじ23dが嵌め合うねじ孔1dが形成されている。
ベースユニット1Aの周縁部には、LEDユニット100を図示しない照明器具に取り付けるための取付ねじを挿入するねじ挿入孔1bが設けられている。ベースユニット1Aには、ねじ挿入孔1bが2つ設けられており、ベースユニット1Aの周方向に離間して設けられている。取付ねじは、ベースユニット1Aの表面側からねじ挿入孔1bに挿入される。
本実施形態では、発光装置3とベースユニット1Aとの間の熱伝導性を向上させる観点から、実装基板3bと突台部1fとの間に、サーマル・インターフェース・マテリアル(TIM)50を塗布している。サーマル・インターフェース・マテリアルとしては、例えばシリコーン系グリース、ポリ−α−オレフィン系グリースを用いることができる。また、サーマル・インターフェース・マテリアルとしては、高熱伝導タイプを使用する方が放熱性の観点からより好ましい。
ホルダ2は、突台部1fとの間に発光装置3の実装基板3bを挟持して保持する上壁部2eを有している。さらにホルダ2は、上壁部2eの周縁からベースユニット1A側に設けられた周壁部2fを有している。ホルダ2は、上壁部2eが円板状に形成されており、上壁部2eの中央には、発光装置3の発光部3aを露出させるための窓孔2aが形成されている。窓孔2aの内径は、円形状の発光部3aの外径よりも大きく設定してある。
ホルダ2は、上壁部2eの周縁部において各電線4に対応する部位それぞれに孔2bが形成されている。各孔2bは、発光装置3の各端子部3cに接続された電線4が、上壁部2eに干渉することを防止するために設けてある。また、各孔2bは、窓孔2aに連通するように形成されている。
ホルダ2は、上壁部2eにおける、ベースユニット1Aのねじ孔1dに対応する部位からベースユニット1A側へ突出するボス部2g(図8(b)参照)を設けている。そして、組立ねじ23dを挿入するねじ挿入孔2dが、ボス部2gを貫通するように形成されている。なお、各ねじ挿入孔2dの開口形状は円形状である。また、ねじ挿入孔2dに関し、上壁部2eにおけるベースユニット1A側とは反対側の第1内径が組立ねじ23dの頭部23daの外径よりもやや大きくなっている。また、ねじ挿入孔2dに関し、ベースユニット1A側での第2内径が組立ねじ23dの頭部23daの外径よりも小さくなっている。
本実施形態のLEDユニット100では、ホルダ2のボス部2gのねじ挿入孔2dにおいて第2内径となっているところに、ベースユニット1Aのボス部1rの先端部が挿入されている。また、ベースユニット1Aは、一方のボス部1r(図5及び図8(b)における右側のボス部1r)と一体に形成されているリブ1hcによって、ホルダ2のベースユニット1A側への押し込み量が制限されている。
また、ベースユニット1Aの周縁部には、発光装置3に電気的に接続された電線4をLEDユニット100の外部へ導出するための導出部1cが設けられている。導出部1cは、ベースユニット1Aの周縁部に形成された切欠き部であって、電線4をLEDユニット100の外部へ導出する方向を変更することが可能となっている。
導出部1cは、ベースユニット1Aの周縁部において、ベースユニット1Aの表面、裏面及び側面が開放されている。ただし、ベースユニット1Aの周縁部において、ベースユニット1Aの表面側にはカバー押え部材21が配置される。したがって、LEDユニット100は、導出部1cを通して電線4をLEDユニット100の外部へ導出する方向を、図6のようなベースユニット1Aの裏面1sに沿った方向と、図7のような裏面1sに交差する方向との間で変更することが可能となる。
ベースユニット1Aの凹所1eの内底面には、導出部1cの近傍において各電線4を凹所1eの内周面との間に挟持するリブ1haが設けられている。この2つのリブ1haは、ベースユニット1Aの凹所1eの内底面に設けられた連結片1heを介して連結されている。したがって、発光装置3に電気的に接続された各電線4を、ベースユニット1Aにおいて保持することによって、別部品を追加することなく、電線4の張力止め機能を付与することが可能となる。
ホルダ2は、ホルダ2の周壁部2fから、ベースユニット1Aの導出部1c付近においてベースユニット1Aとの間に電線4を挟持する挟持部2cを設けている。そのため、発光装置3に電気的に接続された各電線4を、ホルダ2の挟持部2cとベースユニット1Aとで挟持することが可能となる。
カバー20は、透光性材料により形成されている。また、カバー20は、ベースユニット1A側が開口され、ベースユニット1Aの外周端よりも内側で発光装置3などを覆う本体部20aを有する。さらにカバー20は、本体部20aの開口縁から外方へ突出し、カバー20をベースユニット1Aに取り付けるための鍔部20bを有する。本体部20aは、円筒状に形成された筒状部20aaと、筒状部20aaにおいてベースユニット1Aから遠い一端側を塞ぎ、円形状に形成された光出射部20abとを有している。そして、光出射部20abを通じて、発光装置3側からの光を外部へ出射させることができる。なお、本体部20aは、筒状部20aaと光出射部20abとが、滑らかに連続するように形成されている。
また、カバー20におけるホルダ2側には、ホルダ2の各ねじ挿入孔2dに挿入された組立ねじ23dと、ホルダ2の各孔2bにより露出した各電線4とを覆う環状の内カバー40が配置されている。内カバー40は、非透光性材料により形成されており、カバー20の本体部20aに収納されるように配置される。
カバー20は、鍔部20bにおけるベースユニット1Aとの対向面に、円環状のリブ20e(図8参照)が設けられている。また、ベースユニット1Aの表面側には、カバー20のリブ20eに対応する部位に、リブ20eを収納可能な円環状の溝部1tが形成されている。この溝部1tは、導出部1cと連通している。LEDユニット100は、円環状の溝部1tの幅寸法を円環状のリブ20eの幅寸法よりも大きく設定してある。そして、溝部1tの内面とカバー20の鍔部20bとリブ20eとで囲まれた空間が、気密封止用の封止材からなるシール部により封止されている。したがって、LEDユニット100内への水分や不純物などの侵入を抑制することが可能となる。
また、内カバー40は、円形状の開口窓40aを有している。開口窓40aの開口面積は、発光装置3の近傍では発光部3aの面積と略同一となっている。しかし、発光装置3の近傍以外では、発光装置3の光軸方向において、発光装置3から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる形状となっている。そして、内カバー40は、内径が最小径となる小径部40dが実装基板3bの上記一面に接している。また、内カバー40は、小径部40dに連続して形成され、実装基板3bの厚み方向において小径部40dから離れるにつれて内径が徐々に大きくなるテーパー部40eを設けている。また、内カバー40の周縁部に、ホルダ2の周縁部に接する接触部40fを有している。
カバー押え部材21は、非透光性材料により形成されており、発光装置3から放射されてカバー20の本体部20aから出射される光をできるだけ妨げないように扁平な円環状に形成されている。また、カバー押え部材21は、カバー20の鍔部20bをベースユニット1Aとの間に挟持する。
また、カバー押え部材21におけるベースユニット1Aとの対向面には、ベースユニット1A側へ突出する複数個の円柱状のボス部21cが設けられている。また、カバー20の鍔部20bの外周縁部には、カバー押え部材21の各ボス部21cに対応する部位に、各ボス部21cを挿入する半円状の切欠き部20dが形成されている。また、ベースユニット1Aの周縁部には、カバー押え部材21の各ボス部21cに対応する部位に、ボス部21cを貫通させる貫通孔1aが形成されている。
ここで、カバー20をベースユニット1Aに取り付ける場合は、まず、カバー押え部材21の各ボス部21cをベースユニット1Aの各貫通孔1aに挿入させる。そして、ベースユニット1Aの裏面1s側から各ボス部21cの先端部をレーザー光などの照射により塑性変形させ、先端部を貫通孔1aよりも広げる。これにより、カバー押え部材21がベースユニット1Aに固定されるため、ベースユニット1Aにカバー20が取り付けられる。要するに、ボス部21cは、最終的にはマッシュルーム状の形状となる。
図7(b)に示すように、ベースユニット1Aの裏面1s側には、各貫通孔1aに対応する部位に、マッシュルーム状のボス部21cの頭部21caが収納される収納部1jが形成されている。そして、収納部1jは、貫通孔1aに連通して形成されている。各収納部1jの深さ寸法は、ベースユニット1Aの裏面1sからボス部21cの頭部21caが突出しないように設定されている。
カバー押え部材21の外周縁部には、ベースユニット1Aの各ねじ挿入孔1bに対応する部位に、図示しない取付ねじを挿入する切欠き部21bが形成されている。また、カバー20の鍔部20bの外周縁部には、ねじ挿入孔1b及び切欠き部21bに対応する部位に、取付ねじを挿入する切欠き部20cが形成されている。なお、カバー押え部材21の切欠き部21b及びカバー20の切欠き部20cは共に半円状に形成されている。したがって、LEDユニット100は、ベースユニット1Aをカバー20側から照明器具に取り付けることが可能となる。
LEDユニット100において、電線4の一端は発光装置3の端子部3cに接続され、他端はコネクタ4aに接続されている。このコネクタ4aは、電源に対して、着脱自在に接続することが可能である。
本実施形態のLEDユニット100で使用するベースユニット1Aは、図8に示すように、熱伝導性樹脂としての樹脂体10からなるユニット本体10Aと、ユニット本体10Aの内部に配置された金属部材11とを備えている。
ユニット本体10Aは、上述のように、表面側に円形状の凹所1eが形成され、凹所1eの底面の中央に突台部1fが形成されている。そして、突台部1fの先端面1faに、発光装置3の実装基板3bが配置される。また、ユニット本体10Aは、裏面1sに金属部材11を挿入するための凹部10aが形成されている。凹部10aは、金属部材11の形状に沿って略直方体状に形成されている。
金属部材11は、図8に示すように略直方体状に形成されている。つまり、発光装置3が固定される突台部1fは、図5及び図8に示すように、略直方体状に形成されている。そのため、発光装置3からの放熱性を向上させる観点から、金属部材11は、突台部1fの形状に沿った略直方体状となっている。
ユニット本体10Aは、熱伝導性及び電気絶縁性を備えた樹脂体10から形成されている。そのため、発光装置3と金属部材11との間に電気絶縁性を確保することが可能となる。ユニット本体10Aに用いられ得る熱伝導性樹脂としては、熱伝導率が1.5W/m・K以上の樹脂を用いることが好ましい。この場合、発光装置3から金属部材11への放熱性を高め、発光装置の発光効率を向上させることが可能となる。なお、熱伝導性樹脂の熱伝導率の上限は特に限定されないが、例えば10W/m・Kとすることができる。熱伝導率の高い樹脂は、放熱性の面では問題はないが、樹脂の流動性が不十分となり、成形性が悪化する可能性がある。そのため、ユニット本体10Aを構成する熱伝導性樹脂の熱伝導率は、1.5〜10W/m・Kとすることが好ましい。
金属部材11を構成する金属としては、発光装置3で発生する熱を十分に放熱できるものであれば、如何なるものも使用することができる。ただ、放熱性をより向上させる観点から、金属部材11を構成する金属は、熱伝導率が50W/m・K以上であることが好ましい。この場合、ベースユニット1Aの放熱性を高め、発光装置の発光効率を向上させることが可能となる。なお、金属部材11を構成する金属の熱伝導率の上限は特に限定されないが、例えば400W/m・Kとすることができる。熱伝導率の高い金属は、放熱性の面では問題はないが、物質として入手困難で高価なものが多く、加工性にも優れない場合がある。そのため、金属部材11を構成する金属の熱伝導率は、50〜400W/m・Kとすることが好ましい。なお、放熱性をより向上させる観点から、金属部材11を構成する金属の熱伝導率は、100〜400W/m・Kとすることがより好ましい。
熱伝導率が50W/m・K以上である金属としては、上述のようにアルミニウム、銅、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、ステンレスなどを挙げることができる。これらの金属は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの金属と他の金属との合金を使用してもよい。
上述のように、金属部材11は、ユニット本体10Aの凹部10aの内部に挿入されている。そのため、金属部材11の裏面11a以外は、熱伝導性樹脂により被覆されている。そして、金属部材11の裏面11a以外の表面及び側面は、ユニット本体10Aの凹部10aの内面と接触している。そのため、発光装置3の実装基板3bと金属部材11との間には樹脂層10bが介在している。このような樹脂層10bが介在することにより、発光装置3と金属部材11との間の電気絶縁性を確保することが可能となる。
ベースユニット1A及び発光装置3の積層方向に対する樹脂層10bの厚さT1は、電気絶縁性が確保されるならば特に限定されないが、0.3mm以上1mm以下とすることが好ましい。この範囲とすることにより、発光装置に対する電気絶縁性を確保しつつも、熱伝導率の低下を抑制することが可能となる。なお、本実施形態のベースユニット1Aでは、樹脂層10bの厚さT1は0.5mmとなっている。
また、ベースユニット1A及び発光装置3の積層方向に対する金属部材11の厚さT2は特に限定されない。ただ、金属部材11の強度、放熱性及び形状加工のし易さの観点から、金属部材11の厚さT2は1mm以上6mm以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るベースユニット1Aにおいて、金属部材11の裏面11aは、ベースユニット1Aの裏面1sから露出していることが好ましい。この場合、発光装置3で発生した熱が、ユニット本体10Aの樹脂層10b及び金属部材11を通じて裏面11aに伝導する。そして、裏面11aと接触する図示しない照明器具に放熱することが可能となる。そのため、発光装置3の発光効率の低下をより抑制することが可能となる。
なお、ユニット本体10Aの裏面10sと金属部材11の裏面11aは、同一平面上にあることが好ましい。また、金属部材11の裏面11aは、ユニット本体10Aの裏面10sよりも、発光装置3とは反対側に突出していることも好ましい。これにより、LEDユニット100を取り付ける照明器具と金属部材11の裏面11aとが接触しやすくなり、放熱性を向上させることが可能となる。
本実施形態に係るベースユニット1Aにおいて、ベースユニット1Aの表面と裏面1sとの間における絶縁破壊電圧が、5kV/mm以上であることが好ましい。絶縁破壊電圧が5kV/mm以上であることにより、発光装置3と金属部材11との間の短絡を防止し、発光装置3の誤作動や異常発熱を防止することが可能となる。なお、ベースユニット1Aの絶縁破壊電圧の上限は特に限定されないが、例えば40kV/mm以下とすることができる。ベースユニット1Aの絶縁破壊電圧は、JIS C2110−1(固体電気絶縁材料−絶縁破壊の強さの試験方法−第1部:商用周波数交流電圧印加による試験)に準じて測定することができる。
また、ベースユニット1A及び発光装置3の積層方向において、金属部材11の面積は、発光装置3の実装基板3bの面積よりも大きいことが好ましい。これにより、発光装置3からの熱が金属部材11に伝導されやすくなり、発光効率の低下をより抑制することが可能となる。
本実施形態のLEDユニット100において、ベースユニット1Aは、金属部材11が熱伝導性樹脂としての樹脂体10で覆われている成形体で構成されている。つまり、本実施形態で使用されるベースユニット1Aは、熱伝導性樹脂及び金属部材から構成される樹脂/金属複合ヒートシンクである。そのため、発光装置3で発生した熱を、ベースユニット1Aを通じてLEDユニット100が取り付けられる照明器具に効率よく放熱させることが可能となる。また、金属部材11は熱伝導性樹脂により被覆されており、発光装置3と金属部材11との間に熱伝導性樹脂が介在している。そのため、これらの間の電気絶縁性を確保することが可能となる。また、熱伝導性樹脂としての樹脂体10と金属部材11は、上述のように接着力が高いため、使用時に金属部材11がユニット本体10Aから脱離することを抑制することが可能となる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態は実施例に限定されるものではない。
[試験サンプルの作製]
まず、縦25mm横25mmのアルミニウム板に、以下のブラスト処理、アルマイト処理及びエッチング処理を、それぞれ8枚ずつ施した。
ブラスト処理は、ショットブラスト法又はサンドブラスト法により、算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzが表2の値となるように行った。
アルマイト処理(陽極酸化処理)は、算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzが表2の値となるように行った。具体的には、処理液として硫酸及び/又はしゅう酸を用い、液温を0〜20℃付近とし、電流密度を1〜3A/dm程度として、アルマイト処理を行った。
エッチング処理は、特許文献3の記載の方法により、算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzが表2の値となるように行った。
次に、樹脂体の原料であるコンパウンドを次のように調製した。なお、コンパウンドの作製に際し、次の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、希釈剤、重合禁止剤、粘度調整剤、硬化触媒、離型剤、無機フィラー、難燃剤、及びガラス繊維を用いた。
(熱硬化性樹脂)
エポキシ系アクリレート樹脂(日本ユピカ株式会社製「ネオポール(登録商標)8250H」)
不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子株式会社製「M−640LS」)
(熱可塑性樹脂)
ポリスチレン樹脂(日油株式会社製「モディパー(登録商標)SV10B」)
(希釈剤)
スチレン
(重合禁止剤)
p−ベンゾキノン
(粘度調整剤)
ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK−W9010」
(硬化触媒)
t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート
(離型剤)
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
(無機フィラー)
酸化マグネシウム(メジアン径:50μm、球状)
酸化マグネシウム(メジアン径:5μm、球状)
窒化ホウ素(メジアン径:8.5μm、板状)
なお、上記酸化マグネシウムは、死焼焼成法で製造されたものである。
(難燃剤)
臭素化エポキシ、三酸化二アンチモン(Sb
(ガラス繊維)
BMC成形材料強化材用チョップドストランド(日東紡績株式会社製「CS3E−227」)
まず、上述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、希釈剤、重合禁止剤、粘度調整剤、硬化触媒、離型剤を表1の配合量で混合した。次に、加圧ニーダー(株式会社トーシン製「TD3−10MDX」)を用い、加圧蓋を開放した状態でこれらの混合物を攪拌することにより、樹脂溶液を作製した。なお、熱硬化性樹脂は、事前に希釈剤に溶解し、溶液状態で混合した。
次に得られた樹脂溶液に、表1の配合量の無機フィラー及び難燃剤を投入し、50〜60℃で20分間混練りした。さらに、表1の配合量のガラス繊維を投入し、20℃で5分間混練りした。これにより、ユニット本体の原料であるコンパウンドを作製した。
得られたコンパウンドを用い、次のようにして試験サンプルを作製した。まず、成形装置として低圧封止用トランスファー成形機(株式会社神藤金属工業所製「ETA−30D」)を使用し、金型へ上述のように表面処理したアルミニウム板を固定した。次に、金型を165℃に加熱し、金型へコンパウンドを充填した。これにより、コンパウンド中の熱硬化性樹脂が加熱により溶融・軟化して所定の形状に変形し、次いで硬化することで、図10に示すような、円錐台状の樹脂体10をアルミニウム板上に接着させた。なお、円錐台状の樹脂体における上底の直径は9mmであり、下底の直径は11mmであり、高さは10mmである。
このようにして、未処理、ブラスト処理、アルマイト処理及びエッチング処理のアルミニウム板を用いて、それぞれ8個の試験サンプルを作製した。
[顕微鏡観察]
ブラスト処理、アルマイト処理及びエッチング処理をそれぞれ施したアルミニウム板の表面を走査型電子顕微鏡により観察した。図9(a)は、ブラスト処理を施したアルミニウム板の表面を示す。図9(b)は、アルマイト処理を施したアルミニウム板の表面を示す。図9(c)は、エッチング処理を施したアルミニウム板の表面を示す。
[表面粗さ評価]
ブラスト処理、アルマイト処理及びエッチング処理をそれぞれ行ったアルミニウム板に加え、これらの処理を行わなかったアルミニウム板の表面の算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzを、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製)を用いて測定した。各試験サンプルの算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzを表1に示す。
[接着強度評価]
図11に示すように、各試験サンプルの樹脂体に、メカニカルフォースゲージ(株式会社イマダ製)の先端の鉤部を引っ掛けた後に水平に引っ張った。その際、アルミニウム板から樹脂体が完全に剥離したときの荷重を接着強度とした。なお、樹脂体における鉤部を引っ掛ける位置は、樹脂体の高さの下から3分の1の箇所とした。各試験サンプルの接着強度の平均値を表1及び図12に示す。
表1に示すように、ブラスト処理を施したアルミニウム板は、算術平均粗さRaが7〜12μmであり、さらに最大高さ粗さRzが120〜230μmであるため、図9(a)に示すように、凹凸の間隔が粗い粗面となった。そのため、アルミニウム板と樹脂体との間に物理的作用が生じ難く、接着力は十分に向上しなかった。
同様に、アルマイト処理を施したアルミニウム板は、算術平均粗さRaが0.3〜0.6μmであり、さらに最大高さ粗さRzが8〜18μmであるため、図9(b)に示すように、凹凸の間隔が非常に狭い、ナノサイズの凹凸となった。そのため、ブラスト処理を施したアルミニウム板と同様に、アルミニウム板と樹脂体との間に物理的作用が生じ難く、接着力は十分に向上しなかった。
これに対し、表1に示すように、エッチング処理を施したアルミニウム板は、算術平均粗さRaが2〜10μmであり、さらに最大高さ粗さRzが8〜70μmである。さらに図9(c)に示すように、アルミニウム板の表面には、穴部16が形成されていることが確認できる。
また、図2は、エッチング処理を施したアルミニウム板の表面に樹脂体を形成した試験サンプルの断面写真である。図2に示すように、アルミニウム板の表面には壺状の穴部が形成されており、さらに板状フィラーは粒状フィラーよりもアルミニウム板側に偏在していることが分かる。また、アルミニウム板の穴部の内部には、粒状フィラー及び板状フィラーが殆ど存在せず、バインダー樹脂が充填されていることが確認できる。その結果、表1に示すように、エッチング処理を施した試験サンプルは、ブラスト処理及びアルマイト処理を施した試験サンプルに比べて二倍以上の接着強度が得られた。
以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
1 樹脂−金属複合体
10 樹脂体
11 金属部材
14 粒状フィラー
15 板状フィラー
16 穴部
16a 開口部
16b 内部

Claims (7)

  1. 表面が粗化処理された金属部材と、
    前記金属部材における粗化処理された表面に接触し、かつ、熱硬化性樹脂と前記熱硬化性樹脂の内部に分散する粒状フィラー及び板状フィラーとを含有する樹脂体と、
    を備え、
    前記樹脂体の内部において、前記板状フィラーは前記粒状フィラーよりも前記金属部材側に偏在している樹脂−金属複合体。
  2. 前記金属部材における粗化処理された表面には複数の穴部が設けられており、
    前記穴部の深さ方向に垂直な方向において、前記穴部の開口部の断面積は、前記穴部の内部の断面積よりも小さい請求項1に記載の樹脂−金属複合体。
  3. 前記金属部材における粗化処理された表面は、算術平均粗さRaが2μm〜10μmであり、最大高さ粗さRzが8μm〜70μmである請求項1又は2に記載の樹脂−金属複合体。
  4. 前記金属部材は、アルミニウムを含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂−金属複合体。
  5. 前記熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂の少なくとも一方を含有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂−金属複合体。
  6. 前記樹脂体は、前記粒状フィラー及び板状フィラーを合計で40〜70体積%含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂−金属複合体。
  7. 前記粗化処理は、ウェットエッチング処理である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂−金属複合体。
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