JP2012136684A - 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 絶縁性を維持し、熱伝導性、機械強度および成形性が良好で、かつ耐湿絶縁性に優れる成形品を提供できる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 マトリックス樹脂に、無機充填材として粒子単体の平均粒径が18μm以上である六方晶窒化ホウ素と、平均粒径が20μm以上であり、かつ、吸湿率が0.4%以下である酸化マグネシウムとを含める。無機充填材の含有量を、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して20〜50体積%とし、かつ、六方晶窒化ホウ素の含有量を、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して15〜30体積%とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱伝導性及び成形性に優れた樹脂成形品を提供できる熱可塑性樹脂組成物、及びその樹脂成形品に関する。
近年、各種電気・電子機器の高性能化・小型軽量化が進んでおり、実装部品、あるいは周囲部品の発熱によって機器が高温状態にさらされるため、各種部材の劣化や実装部品の機能低下の懸念がある。特に、自動車の制御システムは、従来、機械的に動作していた各部の機構を電動化し、それらを電気的に連携させ制御する方式へ移行しつつあり、電子部品はより分散してより熱源に近い位置に配置される傾向にある。更に、パワートレインの電動化の流れの中で、実装部品そのものに対する高出力化(高電圧化、大電流化)、コンパクト化の要求も増大の一途を辿っており、発熱量も急速に増大している。このような高発熱化、高温化の傾向は、車載機器に限らず、あらゆる電気・電子機器において同様に見受けられ、また、益々顕著になると予想される。そのような状況に対応するため、電気・電子機器を構成する各部材の放熱性を向上させる技術への要求が高まっている。
熱可塑性樹脂成形品は、多くの電気・電子機器において、構造部材等に用いられている。熱可塑性樹脂成形品は、絶縁性であるため、熱可塑性樹脂成形品を、従来金属材料が用いられていた構造部材等に適用することで、構造部材等の絶縁構造を簡略化することができる。これにより、構造部材等の成形加工性が向上し、コストダウン、ならびに軽量化することができる。
しかし、熱可塑性樹脂成形品の熱伝導率は金属材料やセラミック材料に比べて低く、放熱性の観点からその適用範囲が制限される。そのため、樹脂よりも熱伝導率の高い充填材を添加し、高熱伝導化、高放熱化がされている。一般には熱伝導率の高い、金属やカーボンなどの導電性物質を充填する。絶縁性の充填材としては、タルク、シリカ、アルミナ、マグネシア等が挙げられる。高い熱伝導率を有する物質を(体積分率で)多く充填するほど、熱伝導率を向上させることができる。しかし、充填材の添加により、成形性、機械特性、絶縁性が低下する。また、充填材の種類によっても、特性、特徴は種々異なり、目的に合った充填材の組合せや配合の調整が必要になる。
特開2004−137401号公報(特許文献1)や特開2005−162918号公報(特許文献2)には、金属ダイキャスト部材の代替など、絶縁性を求めない用途でカーボン繊維や黒鉛を添加することにより放熱性を高める方法が開示されている。
また、特許第2878921号公報(特許文献3)には、代表的な高熱伝導性の充填材として、アルミナ(酸化アルミニウム)、ベリリア(酸化ベリリウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物、あるいは炭化ケイ素等の炭化物が開示されている。
特開2004−137401号公報 特開2005−162918号公報 特許第2878921号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示された導電性の充填材を用いる方法は、樹脂の絶縁性を低下させる。絶縁性を損なうことにより、熱可塑性樹脂成形品よりなる部材の適用範囲が限定されることとなる。また、金属材料を充填する場合は、重量増をもたらす。さらに導電性充填材の添加量を少なくすれば、高熱伝導化の目的が達成しづらいという問題がある。
一方、特許文献3に開示された非導電性の充填材の場合、絶縁性を低下させる問題はないものの、ベリリアは毒性が高く、使用に難がある。また、アルミナは硬度が高く、混練機、成形機等の加工機器の摩耗が問題となる。また、マグネシアは吸湿劣化し易い問題がある。さらに、窒化物や炭化物は、一般に硬度が高い点で、アルミナと同様に適用に課題が多い。またこれらの非導電性の充填材は熱伝導率が低いため、樹脂中に高充填しても、高熱伝導化の目的が達成しづらいという問題がある。
なお、非導電性のセラミックで鱗片状の結晶である六方晶系の窒化ホウ素は、結晶の面方向の熱伝導率が200〜400W/m・Kと非常に高い熱伝導率を有する。また硬度が低く、加工機器の摩耗の問題がない。しかし鱗片状の形状をしているため、丸みを帯びた形状の充填材に比べると増粘しやすく、樹脂の成形性が低下するという問題がある。また窒化ホウ素は樹脂との濡れ性が低いため、高充填すると樹脂成形品の機械強度が低下するという問題がある。また、六方晶系の窒化ホウ素は、鱗片状であるため配向性が非常に高く、樹脂成形品における熱伝導率(冷却能力)の異方性が高くなる。このため、樹脂成形品の形状や冷却構造に制限があり、小型化、低コスト化に不利となる。
本発明が解決しようとする課題は、絶縁性を維持し、熱伝導性、機械強度、成形性が良好で、かつ耐湿絶縁性に優れる成形品を提供できる熱可塑性樹脂組成物及び、それからなる樹脂成形品を提供することである。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、無機充填材として、粒子単体の平均粒径が18μm以上である六方晶窒化ホウ素と、平均粒径が20μm以上であり、かつ、吸湿率が0.4%以下である酸化マグネシウムとを含む。ここで「粒子単体の平均粒径」とは、一次粒子の平均粒径を意味する。平均粒径は、公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」)を用いて測定したもので、粒度分布を測定して得られた累積重量が50%であるときの粒子径である。また、レーザー回折・散乱法とは、充填材粒子にレーザー光を照射したとき、粒子径により散乱光の強度パターンが変化することを利用した測定法である。
そして、無機充填材は、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して20〜50体積%、好ましくは、20〜40体積%であり、かつ、六方晶窒化ホウ素は、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して15〜30体積%である。このような条件の熱可塑性樹脂組成物を用いると、無機充填材の含有量を抑制しつつ厚み方向の熱伝導率を高めることができる。これにより、十分な熱伝導性と流動性を得ることができ、樹脂成形品の放熱特性を向上することができる。
マトリックス樹脂は、特に限定するものではないが、例えば、ポリアリーレンサルファイド樹脂や溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂等を使用することができる。
マトリックス樹脂として使用可能なポリアリーレンサルファイド樹脂は、繰り返し単位が下記式で示される重合体である。
Figure 2012136684
好ましくは、ポリアリーレン基がフェニレン基であるポリフェニレンサルファイド樹脂である。フェニレン基としては、下記式で表わされる構造のものを使用することができる。これらの構成を有するホモポリマー、コポリマー、あるいはそれらの混合物でもよい。
Figure 2012136684
そして、300℃における溶融粘度が170Pa・s以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂であれば、十分な耐熱性と流動性を得ることができる。なお、溶融粘度が低いほど樹脂の成形性は向上するため、ポリフェニレンサルファイド樹脂の300℃における溶融粘度の下限値は特に定めていない。
また、溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂であれば、分子鎖が成形時に配向して、熱伝導率の高い樹脂成形品を得ることができる。なお、主鎖に全芳香族ポリエステル骨格を有し、モノマー中における芳香族ポリエステルの割合が高いほど、より高い熱伝導率の樹脂成形品が得られる。その中でも、290℃における溶融粘度が90Pa・s以下であると、流動性が良好で、分子鎖が成形時に配向し易く、熱伝導率のより高い樹脂成形品を得ることができる。なお、溶融粘度が低いほど樹脂の成形性は向上するため、溶融液晶性樹脂の290℃における溶融粘度の下限値は特に定めていない。
また、使用するマトリックス樹脂の熱伝導率が0.5W/m・K以上であれば、熱伝導率が高い、放熱特性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
なお、溶融粘度は、公知の粘度測定装置を用いて、所定の条件下でノズルから押し出した際の溶融粘度として測定した。
上記のほか、本発明で使用できるマトリックス樹脂は、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体などのスチレン系(共)重合体;ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂などのゴム強化樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などの炭素数2〜10のα−オレフィンの少なくとも一種からなるα−オレフィン(共)重合体及びその変性重合体(塩素化ポリエチレン等)、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのエチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体などのアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリブチレンテレフタート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂(POM);ポリカーボネート樹脂(PC);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトン系のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等の樹脂が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらの中では、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂及びこれらのアロイ、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい。
無機充填材として用いる六方晶窒化ホウ素は、形状が鱗片状であり、かつ、粒子単体の平均粒径が18μm以上のものを使用する。これにより、同じ充填量であっても、無機充填材同士の接触確率が高くなり、かつ熱伝導の接触抵抗が低減するため、鱗片状結晶の凝集体(形状が球状、塊状である)や、粒子単体の平均粒径が18μm未満の窒化ホウ素を使用する場合と比較して、厚み方向の熱伝導率を高くすることができる。このため、所望の熱伝導率を確保するための窒化ホウ素の充填量を少なくすることができ、しかも良好な成形性・機械強度が確保できる。特に、粒子単体の平均粒径が35μm以上の六方晶窒化ホウ素であれば、成形性が良好で、成形時の樹脂流れ方向の熱伝導率がより高い樹脂成形品を得ることができる。なお、平均粒径が大きいほど樹脂成形品の熱伝導率は向上するため、平均粒径の上限値は特に規定するものではない。ただし、平均粒径が45μmを超える六方晶窒化ホウ素は、現時点では市場での入手が困難である。
上記の六方晶窒化ホウ素は、各種シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤等で表面処理がなされていてもよい。
そして、六方晶窒化ホウ素の含有量は、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して15〜30体積%とする。窒化ホウ素の含有量が少ないと樹脂成形品の熱伝導性が低下する傾向があり、また窒化ホウ素の含有量が多いと成形性(流動性)や樹脂成形品の機械強度が低下する傾向がある。六方晶窒化ホウ素の含有量を前述の範囲とすることにより、十分な熱伝導性と流動性を得ることができる。
本発明では、無機充填材として、窒化ホウ素以外に酸化マグネシウムを含む。これにより、樹脂成形品の熱伝導率の異方性を低減し、またコストダウンをすることができる。
酸化マグネシウムは、特に限定するものではないが、凝集体や球形のものを使用することができる。そして、酸化マグネシウムは、平均粒径が20μm以上のもの、好ましくは50μm以上のものを使用する。これにより、同じ充填量でも、無機充填材同士の接触確率が高くなり、かつ熱伝導の接触抵抗が低減するため、平均粒径が20μm未満の酸化マグネシウムを用いる場合と比較して、厚み方向の熱伝導率を高くすることができる。なお、平均粒径が大きいほど樹脂成形品の熱伝導率は向上するため、平均粒径の上限値は特に規定するものではない。ただし、平均粒径が100μmを超える酸化マグネシウムは、現時点では市場での入手が困難である。また、樹脂成形品の絶縁性を低下させる心配がある。
また、本発明では、吸湿率が0.4%以下の酸化マグネシウムを使用する。例えば、シラン系やシリコーン系の表面処理を行うことにより、吸湿率を0.4%以下にすることができる。酸化マグネシウムの表面処理は、好ましくは、ビニルシラン処理である。これにより、熱伝導性・吸湿処理後の絶縁性に優れた樹脂組成物とすることができる。ここで、吸湿率は、温度90℃、相対湿度90%の雰囲気下で、48時間処理した際の質量変化率である。なお、酸化マグネシウムの吸湿率が0.4%を超える場合は、耐湿絶縁性が低下する。なお、吸湿率が小さいほど耐湿絶縁性は向上するため、吸湿率の下限値は特に規定するものではない。ただし、吸湿率が0.1%未満の酸化マグネシウムは、現時点では市場での入手が困難である。
そして、無機充填材の含有量は、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して20〜50体積%、好ましくは、20〜40体積%とする。無機充填材の含有量を前述の範囲とすることにより、十分な熱伝導性と流動性を得ることができる。なお、無機充填材の含有量は、六方晶窒化ホウ素及び酸化マグネシウムの総含有量である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を逸脱しない範囲で、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム等の安価な無機充填材や絶縁性の無機繊維を配合してもよい。例えば、アルミナ、もしくはアルミナ繊維であれば、機械強度、成形時の樹脂流れ方向における熱伝導率の高い樹脂成形品を得ることができる。絶縁性の無機繊維は、例えば、繊維径が0.5〜5μm、繊維長が5〜500μmである。絶縁性の無機繊維は、各種シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤等で表面処理がなされていてもよい。
本発明に係る樹脂成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物を成形して構成することができる。
本発明に係る樹脂成形品は、上記の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものであり、特にその用途を限定するものではなく、例えば、筐体、放熱機能を有する電気・電子機器部品等に用いることができる。成形方法としては、射出成形、トランスファ成形、圧縮成形等が挙げられる。
本発明によれば、無機充填材としての窒化ホウ素及び酸化マグネシウムの特性、配合量を規定することにより、絶縁性を維持し、熱伝導性、機械強度、成形性が良好で、かつ耐湿絶縁性に優れた樹脂成形品を提供することができる。
本発明に係る樹脂成形品の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形した樹脂成形品である。この樹脂成形品の成形に用いる熱可塑性樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、無機充填材として、粒子単体の平均粒径が18μm以上である六方晶窒化ホウ素と、平均粒径が20μm以上であり、かつ、吸湿率が0.4%以下である酸化マグネシウムとを含む。そして、無機充填材は、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して20〜50体積%、好ましくは、20〜40体積%であり、かつ、六方晶窒化ホウ素は、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して15〜30体積%である。このような熱可塑性樹脂組成物は、後述のように無機充填材の含有量を抑制しつつ厚み方向の熱伝導率を高めることができる。これにより、充分な熱伝導性と流動性を得ることができ、樹脂成形品の放熱特性を向上することができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物に係る実施例を説明する。なお、本実施例では、下記に示す材料を使用した。本例では、溶融粘度は、島津製作所製フローテスタCFT−500A型を用いて測定したものであり、所定温度で加熱溶融された樹脂を0.2kNの加重下で、内径:2mm,長さ:10mmのノズルから押した際の溶融粘度である。また、平均粒径は、公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」)を用いて測定したものであり、粒度分布を測定して得られた累積重量が50%であるときの粒子径である。
マトリックス樹脂
(a)ポリフェニレンサルファイド樹脂:DIC製「LR−300G」(300℃における溶融粘度:170Pa・s)
(b)ポリフェニレンサルファイド樹脂:東レ製「A503F1」(300℃における溶融粘度:230Pa・s)
(c)主鎖に全芳香族ポリエステル骨格を有し、溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂:住友化学製「E7008」(融点:275℃、290℃における溶融粘度:85Pa・s)
(d)主鎖に全芳香族ポリエステル骨格を有し、溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂:Ueno製薬製「Ueno LCP5540G」(融点:293℃、290℃における溶融粘度:98Pa・s)
無機充填材
(1)窒化ホウ素:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製「PT110」(粒子単体の平均粒径:45μm、形状:鱗片状)
(2)窒化ホウ素:電気化学工業製「SGP」(粒子単体の平均粒径:18μm、形状:鱗片状)
(3)窒化ホウ素:電気化学工業製「HGPE」(粒子単体の平均粒径:6μm、形状:鱗片状)
(4)窒化ホウ素:昭和電工社製「UHP−EX」(凝集体の平均粒径:50μm、形状:塊状(鱗片状結晶の凝集体))
(5)酸化マグネシウム:宇部興産社製「RF−50−C」(凝集体の平均粒径:50μm、形状:塊状(凝集体)、吸湿率:0.3%、表面処理:ビニルシラン処理)
(6)酸化マグネシウム:宇部興産社製「RF−20C−HR」(凝集体の平均粒径:20μm、形状:塊状(凝集体)、吸湿率:0.4%、表面処理:シリコーン処理)
(7)酸化マグネシウム:宇部興産社製「RF−10C−HR」(凝集体の平均粒径:10μm、形状:塊状(凝集体)、吸湿率:0.4%、表面処理:シリコーン処理)
(8)酸化マグネシウム:協和化学工業製「パイロキスマ3320」(凝集体の平均粒径:20μm、形状:塊状(凝集体)、吸湿率:0.6%)
実施例1〜16、比較例1〜16
マトリックス樹脂と無機充填材をヘンシェルミキサで混合した後、2軸混練機を用いて溶融混練(シリンダ温度260〜320℃)し、ペレット(樹脂組成物)を作製した。なお、各例で使用したマトリックス樹脂及び無機充填材は、下記の表1〜4に示す。また、無機充填材の配合は、表1〜4に示した量となるよう調整した。
上記ペレット(樹脂組成物)を、シリンダ温度280〜340℃、金型温度150℃、射出速度80mm/s、保圧力40MPaの条件で射出成形を行い、樹脂成形品を作製した。
なお、本実施例における樹脂成形品は、図1に示すように、金属部品1(材質:銅(C1100)、形状:直径φ15mm)の一部が熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂成形部3に埋設され、金属部品1が露出している部分には発熱部品5(熱抵抗器)が接続されている。そして、金属部品1が埋設された部分から熱可塑性樹脂層3Aを介して放熱板7(アルミニウム板、材質:5052、形状:縦200mm×横100mm×高さ45mm)に放熱を行うようにしている。このとき、樹脂成形部3の形状は、縦55mm×横90mm×高さ30mmである。なお、金属部品1は、樹脂成形部3からの突出高さを2mmとし、金属部品1の高さを調節することで、熱可塑性樹脂層3Aの厚み(図1において「t」で示す)を、0.4mmとなるようにしている。
上記の各実施例と比較例における樹脂成形品について、熱伝導率、熱抵抗器温度、曲げ強さ、耐電圧性、耐湿絶縁性を評価した。また、樹脂組成物について、成形性を評価した。その結果を表1〜4に示した。表中に示した各特性は、次のようにして評価した。
熱伝導率:フラッシュ法装置(NETZSCH社製XeフラッシュアナライザLFA447型)を用いて行った(ASTM E1461準拠)。同装置で測定した熱拡散率に、アルキメデス法により測定した密度とDSC法により測定した比熱を乗じて、熱伝導率を求めた。なお、熱可塑性樹脂層の面方向および厚み方向について熱伝導率を評価した。
曲げ強さ:樹脂成形品から100mm×100mm×厚さ2mmの大きさに切り出したサンプルを用いて、JIS K7171に準じて室温での三点曲げ強さを測定した。
耐電圧性:図1に示す樹脂成形品を用いて、耐電圧性を評価した。なお、この評価では、放熱板7の代わりとして、金属部品1の直下に上記熱可塑性樹脂層3Aを介して、アルミニウム板(材質:5052、形状φ30mm、厚さ0.5mm)を配置した。金属部品1とアルミニウム板との間にAC3.0kVの電圧を60秒間印加し、漏れ電流値を確認した。漏れ電流値が600μA以下の場合を「○」、漏れ電流値が600μAを超える場合を「×」とした。
耐湿絶縁性:図1に示す樹脂成形品を用いて、AC600Vを連続で印加した状態で、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で、1000時間処理した。この樹脂成形品を、上記耐電圧性に準じて評価した。
成形性:金属インサート成形品を作製し、その外観から次のように成形性を判断した。○:射出成形が可能である、△:射出成形が可能であるが、表面外観が一部不良であった、×:ショートショットとなり、射出成形ができなかった。
Figure 2012136684
Figure 2012136684
Figure 2012136684
Figure 2012136684
表1〜4から明らかなように、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、無機充填材として、粒子単体の平均粒径が18μm以上である六方晶窒化ホウ素と、平均粒径が20μm以上であり、かつ、吸湿率が0.4%以下である酸化マグネシウムとを含む熱可塑性樹脂組成物とし、無機充填材を、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して20〜50体積%、好ましくは、20〜40体積%、かつ、六方晶窒化ホウ素を、マトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して15〜30体積%とすることにより、絶縁性を維持し、熱伝導性、機械強度、成形性が良好で、かつ耐湿絶縁性に優れる成形品を提供できることが理解できる(実施例1〜8と比較例1〜8及び実施例9〜16と比較例9〜16の対照)。
比較例1及び9では、無機充填材の含有量が少ないため、樹脂成形品の熱伝導性が不十分である。また、比較例4及び12では、無機充填材の含有量が多いため、成形性(流動性)や樹脂成形品の機械強度が低下している。
比較例2及び10では、窒化ホウ素の含有量が少ないため、樹脂成形品の熱伝導性が不十分である。また、比較例3及び11では、窒化ホウ素の含有量が多いため、成形性(流動性)や樹脂成形品の機械強度が低下している。なお、窒化ホウ素の含有量が多い比較例3及び11では、樹脂成形品における熱伝導率(冷却能力)の異方性が生じるため好ましくない。
比較例5及び13では、粒子単体の平均粒径が18μm未満の窒化ホウ素を、また、比較例6及び14では、鱗片状結晶の凝集体である窒化ホウ素を使用しているため、樹脂成形品の熱伝導性が不十分である。なお、好ましくは、粒子単体の平均粒径は、35μm以上である(実施例3と実施例6及び実施例11と実施例14の対照)。
比較例7及び15では、平均粒径が20μm未満の酸化マグネシウムを使用しているため、樹脂成形品の熱伝導性が不十分である。また、比較例8及び16では、吸湿率が0.4%以下である酸化マグネシウムを使用しているため、耐湿絶縁性が低下している。
なお、酸化マグネシウムの平均粒径を50μm以上にすると、樹脂成形品の熱伝導性を向上させることができる。この場合、酸化マグネシウムは、ビニルシラン処理による表面処理がなされている(実施例3と実施例7及び実施例11と実施例15の対照)。
また、マトリックス樹脂としてポリフェニレンサルファイド樹脂を用いる場合に、300℃における溶融粘度が170Pa・s以下のポリフェニレンサルファイド樹脂を用いると、樹脂成形品の成形性を向上させることができる(実施例3と実施例8の対照)。また、マトリックス樹脂として溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂を用いる場合に、290℃における溶融粘度が90Pa・s以下の溶融液晶性樹脂を用いると、樹脂成形品の熱伝導性を向上させることができる。(実施例11と実施例16の対照)。
このように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて樹脂成形品を成形すると、無機充填材の含有量を抑制しつつ樹脂成形品の厚み方向の熱伝導率を高めることができる。これにより、十分な熱伝導性と流動性を得ることができ、樹脂成形品の放熱特性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく変更が可能であるのは勿論である。
1 金属部品
1A 露出している部分
3 樹脂成形部
3A 熱可塑性樹脂層
5 発熱部品
7 放熱板

Claims (6)

  1. マトリックス樹脂と、
    無機充填材として、粒子単体の平均粒径が18μm以上である六方晶窒化ホウ素と、平均粒径が20μm以上であり、かつ、吸湿率が0.4%以下である酸化マグネシウ
    ムとを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記無機充填材は、前記マトリックス樹脂と前記無機充填材の合計体積に対して20〜50体積%であり、
    前記六方晶窒化ホウ素は、前記マトリックス樹脂と前記無機充填材の合計体積に対して15〜30体積%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記酸化マグネシウムは、平均粒径が50μm以上であり、かつ、ビニルシラン処理されている請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記マトリックス樹脂は、ポリアリーレンサルファイド樹脂である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ポリアリーレンサルファイド樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂であり、かつ、300℃における溶融粘度が170Pa・s以下である請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記マトリックス樹脂は、溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂であり、かつ、290℃における溶融粘度が90Pa・s以下である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
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