JP2016000476A - レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版およびフレキソ印刷版 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベタ濃度が高く、印圧依存性が小さく、インキ耐性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるフレキソ印刷版原版、および、上記フレキソ印刷版原版をレーザーにより彫刻することで得られるフレキソ印刷版を提供する。
【解決手段】レーザー彫刻が施される表面側10aに配置された第1樹脂層10と、第1樹脂層10に隣接する第2樹脂層20とを備え、第1樹脂層10が、架橋剤を含有し、第1樹脂層10中の架橋剤の含有量が、2〜20質量%であり、第2樹脂層20中の架橋剤の含有量が、1質量%以下である、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版100。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版およびフレキソ印刷版に関する。
フレキソ印刷は、アニロックスロール等を用いて印刷版状の凸部にインキをつけて、被印刷体に転写する印刷方式である。フレキソ印刷に使用されるフレキソ印刷版としては、フレキソ印刷版原版をレーザーで直接彫刻したものなどが用いられている。
例えば、特許文献1には、「過酸化物及びバインダーポリマーを含有し、架橋構造を有するレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版」が開示されている(請求項1)。
特開2010−100048号公報
ここで、フレキソ印刷版にはベタ部の濃度(ベタ濃度)が高いことと、印圧を変化させたときの網点の濃度変化が小さいこと(すなわち、印圧依存性が小さいこと)が求められる。なお、印圧は、通常、印刷版の押込み量[μm]で表される。
本発明者が特許文献1に記載されたレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版)について検討したところ、得られるフレキソ印刷版は、印圧依存性に大きな問題は見られないが、ベタ濃度が昨今求められるレベルを必ずしも満たしていないことが明らかになった。また、インキに対する耐性(インキ耐性)も昨今求められるレベルを必ずしも満たしていないことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、ベタ濃度が高く、印圧依存性が小さく、インキ耐性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるフレキソ印刷版原版、および、上記フレキソ印刷版原版をレーザーにより彫刻することで得られるフレキソ印刷版を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、彫刻面側に配置された所定量の架橋剤を含有する樹脂層と、上記樹脂層に隣接して、架橋剤の含有量が一定量以下である樹脂層とを備えることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) レーザー彫刻が施される表面側に配置された第1樹脂層と、上記第1樹脂層に隣接する第2樹脂層とを備え、
上記第1樹脂層が、架橋剤を含有し、
上記第1樹脂層中の架橋剤の含有量が、2〜20質量%であり、
上記第2樹脂層中の架橋剤の含有量が、1質量%以下である、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(2) 上記第1樹脂層および上記第2樹脂層の少なくとも一方が、光熱変換剤を含有する、上記(1)に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(3) 上記光熱変換剤が、カーボンブラックを含む、上記(2)に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(4) 上記第1樹脂層中の架橋剤の含有量が、3〜10質量%である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(5) 上記第1樹脂層中の架橋剤の含有量が、5〜8質量%である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(6) 上記第1樹脂層中の架橋剤が、ラジカル発生化合物を含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(7) 上記第1樹脂層中の架橋剤が、過酸化物を含む、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(8) 上記過酸化物が、ジアルキルパーオキサイドである、上記(7)に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(9) 上記第1樹脂層および上記第2樹脂層の少なくとも一方が、ポリブタジエンを含有する、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(10) 上記第1樹脂層が、バインダーポリマーと架橋剤A1と架橋剤B1とを含有する第1樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であり、
上記第2樹脂層が、バインダーポリマーと架橋剤A2とを含有する第2樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であり、
上記架橋剤A1および上記架橋剤A2の10時間半減期温度が、上記架橋剤B1の10時間半減期温度よりも低い、上記(1)〜(9)のいずれかに記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
(11) 上記(1)〜(10)のいずれかに記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、波長が700〜12000nmのレーザーにより彫刻することで得られる、フレキソ印刷版。
(12) 上記レーザーが、700〜1300nmの半導体レーザーである、上記(11)に記載のフレキソ印刷版。
以下に示すように、本発明によれば、ベタ濃度が高く、印圧依存性が小さく、インキ耐性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるフレキソ印刷版原版、および、上記フレキソ印刷版原版をレーザーにより彫刻することで得られるフレキソ印刷版を提供することができる。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の一実施形態の模式的断面図である。
以下に、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版およびフレキソ印刷版について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版]
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版(以下、本発明のフレキソ印刷版原版、または、本発明の原版とも言う)は、レーザー彫刻が施される表面側に配置された第1樹脂層と、上記第1樹脂層に隣接する第2樹脂層とを備え、上記第1樹脂層は、架橋剤を含有し、上記第1樹脂層中の架橋剤の含有量は、2〜20質量%であり、上記第2樹脂層中の架橋剤の含有量は、1質量%以下である。
本発明の原版はこのような構成をとるため、ベタ濃度が高く、印圧依存性が小さく、インキ耐性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるものと考えられる。その理由は明らかではないがおよそ以下のとおりと推測される。
上述のとおり、本発明の原版は、レーザー彫刻が施される表面(以下、彫刻面とも言う)側に所定量の架橋剤を含有する第1樹脂層と、第1樹脂層に隣接して、架橋剤の含有量が一定量以下である第2樹脂層とを備える。そのため、本発明の原版をレーザー彫刻すると、第1樹脂層付近では第1樹脂層中の架橋剤が樹脂層中の樹脂を架橋し、また、樹脂層が重合性化合物を含有する場合には重合性化合物を重合し、三次元的な架橋構造が形成され、第1樹脂層付近の硬度は高く(硬く)なる。一方、第2樹脂層には架橋剤は含有しないか、または含有していても少量であるため、第1樹脂層のようなレーザー彫刻による架橋や重合などによる硬化が生じない(またはほとんど生じない)。そのため、得られるフレキソ印刷版のレリーフ層は印刷面側に硬い層、その内部に柔らかい層を備える積層構造となる。
このような積層構造を有するフレキソ印刷版は、印刷面側の硬い層により網点の変形が抑えられるが、内部に柔らかい層を備えるためフレキソ印刷版を押し込んだ際にはベタが柔軟に潰れる。そのため、ベタ濃度と印圧依存性が高いレベルで両立されるものと考えられる。
さらに、上述のとおり、本発明の原版から得られるフレキソ印刷版は内部(第2樹脂層)に架橋剤をほとんど含有しないため、インキで膨潤した際に架橋剤の流出によるレリーフ層の変形が生じ難い。結果として、ベタ濃度と印圧依存性に加えて、優れたインキ耐性を示すものと考えられる。
まず本発明の原版について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の一実施形態の模式的断面図である。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版100は、第1樹脂層10と、第1樹脂層10と隣接する第2樹脂層20とを備える。
ここで、第1樹脂層10はレーザー彫刻が施される表面(彫刻面)10aを有する。すなわち、フレキソ印刷版原版100は第1樹脂層10側からレーザー彫刻が施される。
また、第1樹脂層10は架橋剤を含有し、第1樹脂層10中の架橋剤の含有量は、2〜20質量%である。
第2樹脂層は架橋剤を含有していても、含有していなくてもよいが、架橋剤を含有する場合、第2樹脂層中の架橋剤の含有量は、1質量%以下である。
以下、各樹脂層について説明する。
〔第1樹脂層〕
第1樹脂層は、架橋剤を含有し、樹脂層中の架橋剤の含有量が2〜20質量%である樹脂層であれば特に制限されない。
第1樹脂層は、後述する第1樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であることが好ましい。すなわち、第1樹脂層は、上記架橋剤に加えて、後述するバインダーポリマー(特にポリブタジエン)またはその架橋体を含有するのが好ましい。第1樹脂層は、さらに後述する光熱変換剤を含有するのが好ましい。第1樹脂層は後述する重合性化合物や重合開始剤(上記架橋剤以外の重合開始剤)を含有していてもよい。
第1樹脂層の厚みは特に制限されないが、0.001〜1mmであることが好ましく、0.01〜0.2mmであることがより好ましい。
<架橋剤>
第1樹脂層は架橋剤を含有する。架橋剤は、上述のとおり、本発明の原版にレーザー彫刻を施したときに第1樹脂層中の樹脂を架橋させて硬化させる役割を有する。また、第1樹脂層が重合性化合物を含有する場合には、重合性化合物の重合開始剤としても機能し得る。
架橋剤はラジカル発生化合物を含むのが好ましい。ラジカル発生化合物の具体例としては、過酸化物、イオウ系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。なかでも、過酸化物、イオウ系化合物が好ましい。
なお、架橋剤は2種以上を併用してもよい。
(過酸化物)
過酸化物としては、具体的には、例えば、ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ヒドロパーオキサイド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネートなどが挙げられ、より具体的には、ジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度:116℃)、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(10時間半減期温度:119℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(10時間半減期温度:118℃)等が挙げられる。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。過酸化物は有機過酸化物であることが好ましい。
本発明において、過酸化物の形態としては、原体のまま使用することも可能であるが、取扱い上の問題(危険性、作業性など)から、原体を炭酸カルシウムなどの無機フィラーに吸着させた濃度40wt%の希釈品(非危険物、粉状)や更に、混練時の粉立ち防止、ポリマーへの分散性改善を目的としたマスターバッチタイプの希釈品をより好ましく用いることができる。
原体としては、例えば、パークミルD(日油株式会社製)、パーブチルZ(日油株式会社製)、PerkadoxBC−FF(化薬アクゾ株式会社製)、ルペロックスDC(アルケマ吉富株式会社製)、パーブチルP(日油株式会社製)、パーカドックス14(化薬アクゾ株式会社製)、ルペロックスF(アルケマ吉富株式会社製)、ルペロックスF90P(アルケマ吉富株式会社製)、パーヘキサ25B(日油株式会社製)、パーヘキシン25B(日油株式会社製)、カヤヘキサAD(化薬アクゾ株式会社製)、ルペロックス101(アルケマ吉富株式会社製)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、希釈品としては、例えば、パークミルD−40(日油株式会社製:不活性充填剤希釈品)、パークミルD−40MB(日油株式会社製:シリカ/ポリマー他希釈品)、カヤクミルD−40C(化薬アクゾ株式会社製:炭酸カルシウム希釈品)、カヤクミルD−40MB−S(化薬アクゾ株式会社製:ゴムマスターバッチ)、カヤクミルD−40MB(化薬アクゾ株式会社製:ゴムマスターバッチ)、パーブチルP−40(日油株式会社製:不活性充填剤希釈品)、パーブチルP−40MB(日油株式会社製:シリカ/ポリマー他希釈品)、パーカドックス14/40(化薬アクゾ株式会社製:炭酸カルシウム希釈品)、パーカドックス14−40C(化薬アクゾ株式会社製:炭酸カルシウム希釈品)、ルペロックスF40(アルケマ吉富株式会社製)、パーヘキサ25B−40(日油株式会社製:シリカ他希釈品)、パーヘキシン25B−40(日油株式会社製)、カヤヘキサAD−40C(化薬アクゾ株式会社製:ケイ酸カルシウム希釈品)、トリゴノックス101−40MB(化薬アクゾ株式会社製:ゴムマスターバッチ)、ルペロックス101XL(アルケマ吉富株式会社製)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(イオウ系化合物)
イオウ系化合物としては、例えば、イオウ(元素状硫黄)、塩化イオウ、二塩化イオウ、メルカプト化合物、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物、ポリスルフィド化合物、チウラム化合物、チオカルバミン酸化合物、多官能メルカプト化合物等が挙げられ、中でも、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、ジスルフィド化合物、チウラム化合物、チオカルバミン酸化合物、多官能メルカプト化合物が好適に挙げられる。
このようなイオウ系化合物の具体例としては、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネート等が挙げられる。
これらのうち、イオウ、アルキルフェノールジスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が好ましく、アルキルフェニールジスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)がより好ましい。
(アゾ系化合物)
アゾ系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
上述のとおり、第1樹脂層中の架橋剤の含有量は2〜20質量%である。なかでも、3〜10質量%であることが好ましく、5〜8質量%であることがより好ましい。
第1樹脂層中の架橋剤の含有量が2質量%未満であると、レーザー彫刻を施したときに第1樹脂層が十分硬化せず、印圧依存性が大きくなる。また、第1樹脂層中の架橋剤の含有量が20質量%を超えると、フレキソ印刷版中に残存する架橋剤によりインキ耐性が不十分になる。
なお、本明細書において、各樹脂層(第1樹脂層、第2樹脂層)中の架橋剤の含有量は、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版から、第1樹脂層および第2樹脂層を剥離し、それぞれテトラヒドロフラン(THF)に一晩浸漬して、高速液体クロマトグラフィーにより各樹脂層中の架橋剤の含有量を測定するものとする。
〔第1樹脂層の形成方法〕
第1樹脂層を形成する方法は特に制限されないが、好適な態様としては、以下の(1)および(2)の工程を備える方法が挙げられる。
(1)バインダーポリマーと架橋剤とを含有する第1樹脂層形成用組成物を用いて第1樹脂層前駆体層を形成する、第1樹脂層前駆体層形成工程
(2)上記第1樹脂層前駆体層を加熱により架橋させて第1樹脂層を形成する、第1樹脂層形成工程
以下、各工程について説明する。
<第1樹脂層前駆体層形成工程>
第1樹脂層前駆体層形成工程は、バインダーポリマーと架橋剤とを含有する第1樹脂層形成用組成物を用いて第1樹脂層前駆体層を形成する工程である。
まず、第1樹脂層形成用組成物に含有される各成分について説明する。
(バインダーポリマー)
第1樹脂層形成用組成物に含有されるバインダーポリマーとしては特に制限されないが、熱可塑性ポリマー、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルブチラール)、ジエン系ポリマーなどが挙げられる。なかでも、ジエン系ポリマーが好ましい。
上記ジエン系ポリマーは特に限定されず、従来公知のジエン系ポリマーを制限なく使用することができる。
具体的には、例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、原版の厚みのばらつきが小さくなる理由から、ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびエチレン−プロピレン−ジエン共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のジエン系ポリマーであるのが好ましい。
本発明において、ポリイソプレンまたはポリブタジエンは、それぞれ、主鎖が主としてイソプレンまたはブタジエンを単量体単位とするポリマーであればよく、一部が水素添加されて飽和結合に変換されていてもよい。また、ポリマーの主鎖中または末端が、アミド、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基等で変性されていてもよく、エポキシ化されていてもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基のことをいう。
また、本発明において、ポリイソプレンまたはポリブタジエンは、それぞれ、主鎖中に占める脂肪族炭化水素(イソプレン、ブタジエンまたはそれらの水素添加物)に由来するモノマー単位の割合が80mol%以上であることが好ましい。
主鎖中に占める脂肪族炭化水素に由来するモノマー単位の割合が80mol%以上であると、彫刻カスのリンス性が良好であるので好ましい。
脂肪族炭化水素に由来するモノマー単位の含有量は、ジエン系ポリマーの主鎖を構成する全モノマー単位の90mol%以上であることがより好ましく、95mol%であることが更に好ましく、99mol%以上であることが特に好ましい。
なお、本発明において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている炭素鎖を表し、側鎖にはヘテロ原子を含んでもよい。
すなわち、例えば、ポリイソプレンは、イソプレン及びイソプレンの水素添加物に由来するモノマー単位の割合が、合計して80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることが更に好ましく、99mol%以上であることが特に好ましい。
同様に、ポリブタジエンは、ブタジエン及びブタジエンの水素添加物に由来するモノマー単位の割合が、合計して80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることが更に好ましく、99mol%以上であることが特に好ましい。
また、ジエン系ポリマーとして、イソプレン/ブタジエン共重合体を使用する場合には、イソプレン、ブタジエン及びそれらの水素添加物に由来するモノマー単位を合計して80mol%以上含有することが好ましく、90mol%以上含有することがより好ましく、95mol%以上含有することが更に好ましく、99mol%以上含有することが特に好ましい。
イソプレンは、触媒や反応条件により、1,2−、3,4−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明は上記のいずれの付加により重合されたポリイソプレンでもよい。これらの中でも所望のムーニー粘度を得る観点から、主成分としてcis−1,4−ポリイソプレンを含有することが好ましい。なお、cis−1,4−ポリイソプレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、ポリイソプレンとしては、天然ゴムを使用してもよく、また、上市されているポリイソプレンを使用することもでき、例えば、NIPOL IRシリーズ(日本ゼオン株式会社製)が例示される。
ブタジエンは、触媒や反応条件により1,2−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明は上記のいずれの付加により重合されたポリブタジエンでもよい。これらの中でも、所望のムーニー粘度を得る観点から、1,4−ポリブタジエンが主成分であることがより好ましい。
なお、1,4−ポリブタジエンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
なお、cis体とtrans体の含有量は特に制限はなく、所望のムーニー粘度の範囲で適宜選択すればよいが、ゴム弾性を発現させる観点から、cis体が好ましく、cis−1,4−ポリブタジエンの含有量が50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
ポリブタジエンとしては、上市されている製品を使用してもよく、例えば、NIPOL BRシリーズ(日本ゼオン株式会社製)、UBEPOL BRシリーズ(宇部興産株式会社製)等が例示される。
一方、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)は、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が25〜90であるポリマーであるのが好ましい。なお、ムーニー粘度ML1+4(100℃)は、ASTM D1646の規定に準じて測定される値である。
また、EPDMは、エチレン含量が40〜70質量%であるポリマーであるのが好ましく、ジエン含量が1〜20質量%であるポリマーであるのが好ましい。
また、EPDMのジエン成分としては、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4ヘキサジエン等が挙げられる。
本発明において、ジエン系ポリマーは、重量平均分子量は200,000以上であることが好ましく、300,000〜2,000,000であることがより好ましく、300,000〜1,500,000であることが更に好ましく、300,000〜700,000であることが特に好ましい。
ここで、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ法(GPC)法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして、TSKgeL Super HZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー株式会社製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35mL/min、サンプル注入量を10μL、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー株式会社製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
また、本発明において、ジエン系ポリマーのムーニー粘度は、耐刷性の観点から、20以上であることが好ましく、25以上であることがより好ましく、35以上であることが更に好ましい。
同様に、ジエン系ポリマーのムーニー粘度は、溶剤溶解性や混合時の取り扱いの簡便さから、90以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、60以下であることが更に好ましい。
ここで、ムーニー粘度は、JIS6300−1に準拠して測定した値である。具体的には、温度制御が可能なダイ間に円筒状の空間を形成して試料室とすると共に、その試料室の中心部にローターを配置し、試料室内に被測定試料を充填してその温度を所定の温度に保った状態で、ローターを規定回転数で回転させ、溶融した試料の粘性抵抗によって生じるローターの反トルクをロードセルで検出することによって測定される。なお、本発明で用いるムーニー粘度の値はL型ローターを用いて、予熱時間1分、ローター回転時間4分、ゴム試料のムーニー粘度は、100℃で1分間の予熱期間をおいてローターを回転させ、4分後のムーニー粘度(ML1+4)を示している。
第1樹脂層形成用組成物において、バインダーポリマーの含有量は、全不揮発成分(沸点が120℃以上)に対して、10〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましい。
(架橋剤)
第1樹脂層形成用組成物に含有される架橋剤の具体例および好適な態様は、上述した第1樹脂層に含有される架橋剤と同じである。
第1樹脂層形成用組成物は、10時間半減期温度の異なる2種の架橋剤A1および架橋剤B1を含有するのが好ましい。ここで、架橋剤A1の10時間半減期温度は、架橋剤B1の10時間半減期温度よりも低い。このような第1樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させた場合、10時間半減期温度の低い架橋剤A1によりバインダーポリマーが架橋され、10時間半減期温度の高い架橋剤B1が第1樹脂層中に残存する。
なお、本明細書において、架橋剤(例えば、ラジカル発生化合物)の10時間半減期温度は以下の測定方法により測定することができる。
不活性な溶媒(本発明においては、ベンゼンを使用)を使用して、0.1mol/L濃度の架橋剤溶液を調製し,窒素置換をおこなったガラス管中に密封する。これを所定温度にセットした恒温槽に浸し熱分解させる。
分解架橋剤量x、分解速度定数k、時間t、架橋剤初期濃度aとすると、下記式の関係が成り立つ。
式(1) dx/dt=k(a−x)
式(2) ln{a/(a−x)}=kx
半減期は,分解により架橋剤濃度が初期の半分に減ずるまでの時間なので,半減期をt1/2で示し(2)式における「x」に「a/2」を代入すると下記式(3)が導き出される。
式(3) kt1/2=ln2
従って、ある一定温度で熱分解させ,時間tとln{a/(a−c)}の関係をプロットし、プロットにより得られた直線の傾きからkを求め,(3)式からその温度における半減期(t1/2)を求めることができる。
一方、分解速度定数kは、下記式で示される。
式(4) k=Aexp(−ΔE/RT)
式(5) lnk=lnA−ΔE/RT
ここで、A:頻度因子(1/h)、ΔE:活性化エネルギー(J/mol)、R:気体定数(8.314J/mol・K)、T:絶対温度(K)で表されるので、数点の温度についてkを測定し、lnkと1/Tの関係をプロットして、プロットにより得られた直線の傾きから、活性化エネルギーを求めることができる。
また、lnkの代わりに,lnt1/2と1/Tの関係をプロットして得られた直線から、任意の温度における架橋剤の半減期、あるいは任意の半減期を得る分解温度が得られる。
なお、架橋剤の10時間半減期温度の数値としては、文献により得ることも可能であり、製造メーカーのカタログ等を参照することができる。具体的には、例えば、日油株式会社のカタログ値(http://www.nof.co.jp/upload_public/sogo/B0100.pdf)などを参照することも可能である。
第1樹脂層形成用組成物において、架橋剤の含有量は特に制限されないが、バインダーポリマー40質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、2〜6質量部であることがさらに好ましく、4〜6質量部であることが特に好ましい。
(任意成分)
第1樹脂層形成用組成物は、上述した成分以外の成分を含有してもよい。そのような成分としては、光熱変換剤、溶剤、架橋助剤、シランカップリング剤、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤、重合性化合物、重合開始剤などが挙げられる。
(ア)光熱変換剤
第1樹脂層形成用組成物はさらに光熱変換剤(光熱変換材料)を含有するのが好ましい。光熱変換材料は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進する成分と考えられる。
そのため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換材料を選択することが好ましい。
例えば、本発明の原版を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合は、光熱変換材料としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
このような光熱変換材料としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換材料のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。染料は黒色染料であることが好ましい。
本発明において使用される光熱変換材料のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものは後述するカーボンブラックである。
カーボンブラックとしては、具体的には、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これらのカーボンブラックは、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができるが、コストの観点から粉体で使用することが好ましい。
本発明においては、カーボンブラックの平均粒子径は、第1樹脂層形成用組成物の粘度や加工性が良好となり、また、耐刷性が良好となる理由から、13nm以上50nm以下であることが好ましく、15nm以上40nm以下であることがより好ましく、15nm以上31nm以下であることが特に好ましい。
ここで、カーボンブラックの平均粒子径は、数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(以下、「N2SA」とも略す。)は、25m2/g以上180m2/g以下が好ましい。用いるカーボンブラックのN2SAは30m2/g以上160m2/g以下であることがより好ましく、40m2/g以上150m2/g以下であることが特に好ましい。
ここで、カーボンブラックのN2SAは、JIS K6217−2:2001によって求められる。
また、上記カーボンブラックとしては、ゴム用カーボンブラックを用いることができ、その具体例としては、SAF、SAF−HS、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、IISAF、IISAF−HS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、LI−HAF、FEF、FEF−HS、MAF、MAF−HS、T−NS等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的には、以下に示す市販のカーボンブラックを使用することができるが、これらに限定されるものではない。括弧内は順に、平均粒子径(nm)、窒素吸着比表面積(m2/g)を表わす。
旭カーボン株式会社製のカーボンブラックとしては、例えば、旭♯78(22nm、124m2/g)、旭♯80(22nm、115m2/g)、旭♯70(28nm、77m2/g)、旭♯70L(27nm、84m2/g)、旭F−200(38nm、51m2/g)、旭♯66(44nm、43m2/g)、旭♯65(44nm、42m2/g)、旭♯60HN(40nm、48m2/g)、旭♯60H(41nm、45m2/g)、旭♯60U(43nm、43m2/g)、旭♯60(45nm、40m2/g)、旭AX−015(19nm、145m2/g)等が挙げられる。
新日化カーボン株式会社製のカーボンブラックとしては、例えば、♯300IH(19nm、120m2/g)、♯300(24nm、117m2/g)、♯200IS(26nm、95m2/g)、♯200(29nm、75m2/g)、♯200L(29nm、81m2/g)、♯200IN(31nm、71m2/g)、♯10(40nm、49m2/g)、♯10K(39nm、48m2/g)、♯10S(42nm、53m2/g)、♯100(44nm、41m2/g)等が挙げられる。
東海カーボン株式会社製のカーボンブラックとしては、例えば、シースト9H(18nm、142m2/g)、シースト9(19nm、142m2/g)、シースト7HM:N234(19nm、126m2/g)、シースト6(22nm、119m2/g)、シースト600(23nm、106m2/g)、シースト5H(22nm、99m2/g)、シーストKH:N339(24nm、93m2/g)、シースト3H(27nm、82m2/g)、シーストNH:N351(29nm、74m2/g)、シースト3(28nm、79m2/g)、シーストN(29nm、74m2/g)、シースト300(28nm、84m2/g)、シースト116HM(38nm、56m2/g)、シースト116(38nm、49m2/g)、シーストFM(50nm、42m2/g)、シーストSO(43nm、42m2/g)等が挙げられる。
三菱化学株式会社製のカーボンブラックとしては、例えば、ダイアブラックA(19nm、142m2/g)、ダイアブラックN234(22nm、123m2/g)、ダイアブラックI(23nm、114m2/g)、ダイアブラックLI(23nm、107m2/g)、ダイアブラックII(24nm、98m2/g)、ダイアブラックN339(26nm、96m2/g)、ダイアブラックSH(31nm、78m2/g)、ダイアブラックH(31nm、79m2/g)、ダイアブラックLH(31nm、84m2/g)、ダイアブラックHA(32nm、74m2/g)、ダイアブラックN550M(43nm、47m2/g)、ダイアブラックE(48nm、41m2/g)等が挙げられる。
また、上記カーボンブラックとしては、カラー用カーボンブラックを用いることができ、その具体例としては、以下に示す市販のカーボンブラックを使用することができるが、これらに限定されるものではない。括弧内は順に、平均粒子径(nm)、窒素吸着比表面積(m2/g)を表わす。
三菱化学株式会社製のカーボンブラックとしては、例えば、♯1000(18nm、180m2/g)、MCF88(18nm、180m2/g)、MA600(20nm、140m2/g)、♯750B(22nm、124m2/g)、♯650B(22nm、124m2/g)、♯52(27nm、88m2/g)、♯47(23nm、132m2/g)、♯45(24nm、120m2/g)、♯45L(24nm、125m2/g)、♯44(24nm、110m2/g)、♯40(24nm、115m2/g)、♯33(30nm、85m2/g)、♯32(30nm、83m2/g)、♯30(30nm、74m2/g)、♯25(47nm、55m2/g)、♯20(50nm、45m2/g)、♯95(40nm、55m2/g)、♯85(40nm、60m2/g)、♯260(40nm、70m2/g)、MA77(23nm、130m2/g)、MA7(24nm、115m2/g)、MA8(24nm、120m2/g)、MA11(29nm、92m2/g)、MA100(24nm、110m2/g)、MA100R(24nm、110m2/g)、MA100S(24nm、110m2/g)、MA230(30nm、74m2/g)、MA14(40nm、56m2/g)等が挙げられる。
第1樹脂層形成用組成物において、光熱変換材料(特にカーボンブラック)の含有量は特に制限されないが、レーザー彫刻時の感度が良好となり、インキ着肉性も良好となる理由から、バインダーポリマー40質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましい。
(イ)重合性化合物
重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」という。)であるのが好ましい。
上記エチレン性不飽和化合物としては、単官能エチレン性不飽和化合物であっても、多官能エチレン性不飽和化合物であってもよいが、多官能エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。具体的には、多官能エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和基を2〜20個有する化合物が好ましい。このような化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限なく用いることができる。
また、上記エチレン性不飽和化合物は、上述したバインダーポリマー以外のエチレン性不飽和化合物であり、分子量1,000未満の化合物であるのが好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物におけるエチレン不飽和基が由来する化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシ基や、アミノ基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアナト基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、ビニル化合物、アリル化合物、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
上記エチレン性不飽和基化合物は、反応性の観点から、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、ビニル化合物、及び、アリル化合物が好ましい。
アリル化合物としては、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、1,4−シクロヘキサンジアリルエーテル、1,4−ジエチルシクロヘキシルジアリルエーテル、1,8−オクタンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールエタントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、リン酸トリアリル等が挙げられる。
これらの中でも、アリル化合物としては、イソシアヌル酸トリアリル、及び、シアヌル酸トリアリルが特に好ましい。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアナト基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCHCH(R’)OH (i)
(ただし、R及びR’は、それぞれ、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、短時間で硬化組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
ビニル化合物としては、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,1,1−トリス〔4−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕エタン、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテル、アジピン酸ジビニル等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和化合物は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記エチレン性不飽和化合物の含有量は、第1樹脂層形成用組成物の全質量に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
(ウ)重合開始剤
第1樹脂層形成用組成物が重合性化合物(特にエチレン性不飽和化合物)を含有する場合は、重合開始剤(上記架橋剤以外の重合開始剤)を併用してもよい。
上記重合開始剤は、従来公知の重合開始剤を制限なく使用することができる。
また、上記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であっても、カチオン重合開始剤であってもよいが、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
また、上記重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、熱重合開始剤であることが好ましい。
(第1樹脂層形成用組成物の調製方法)
第1樹脂層形成用組成物の調製方法は特に制限されず、例えば、上述した各成分を混合して、撹拌する方法などが挙げられる。
(第1樹脂層前駆体層を形成する方法)
第1樹脂層形成用組成物を用いて第1樹脂層前駆体層を形成する方法は特に制限されないが、第1樹脂層形成用組成物をカレンダーロールによりシート状に成形する方法、第1樹脂層形成用組成物をPETフィルムなどの基材上に塗布した後に乾燥して溶剤を除去する方法、などが挙げられる。
<第1樹脂層形成工程>
第1樹脂層形成工程は、上記第1樹脂層前駆体層を加熱により架橋させて第1樹脂層を形成する工程である。架橋工程において、第1樹脂層前駆体層中のバインダーポリマーが架橋剤により架橋されて、第1樹脂層が形成される。なお、第1樹脂層前駆体層中に重合性化合物が含有される場合は、架橋剤または重合開始剤(架橋剤以外の重合開始剤)により重合性化合物が重合する。
架橋に用いる設備としては、熱風加熱炉、加熱プレス機(枚葉型加熱プレス機、連続型プレスコンベア)、加熱ロール等を挙げられるが特に限定するものではない。架橋前にカッターで目的の大きさに裁断した後に架橋する場合は、枚葉型加熱プレス機を使用してもよい。
加熱温度は、100℃〜200℃が好ましく、120℃〜190℃がより好ましく、140℃〜180℃が特に好ましい。加熱時間は、1分〜100分が好ましく、3分〜60分がより好ましく、5分〜30分が特に好ましい。
加熱する際に、プレスしながら加熱してもよい。そのときの圧力は、厚みの精度の点で、1MPa〜20MPaが好ましく、3MPa〜12MPaがより好ましい。この範囲内の圧力だと、プレス機の型板間で受ける圧力とその圧力に対抗するシートの弾性反発力等の反力とが釣り合うことで、プレス機の型板間が所定の距離に維持され、熱架橋されるため、厚みはほとんど変化しない。
上述のとおり、第1樹脂層において、第1樹脂層中の架橋剤の含有量は、2〜20質量%である。このような第1樹脂層を形成する方法としては、例えば、上述したように第2樹脂層形成用組成物中の架橋剤として10時間半減期温度の低い架橋剤と10時間半減期温度の高い架橋剤とを併用する方法、第1樹脂層形成用組成物中の架橋剤の量を増やす方法、第1樹脂層前駆体層を低温で架橋させる方法などが挙げられる。
〔第2樹脂層〕
第2樹脂層は、上述した第1樹脂層に隣接する層であり、樹脂層中の架橋剤の含有量が1質量%以下であれば特に制限されない。
第2樹脂層中の架橋剤の含有量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、架橋剤を実質的に含有していないことがさらに好ましい。
第2樹脂層は、後述する第2樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であることが好ましい。すなわち、第2樹脂層は、後述するバインダーポリマー(特にポリブタジエン)またはその架橋体を含有するのが好ましい。第2樹脂層は、さらに後述する光熱変換剤を含有するのが好ましい。
第2樹脂層の厚みは特に制限されないが、0.1〜5mmであることが好ましい。
〔第2樹脂層の形成方法〕
第2樹脂層を形成する方法は特に制限されないが、好適な態様としては、以下の(1)および(2)の工程を備える方法が挙げられる。
(1)バインダーポリマーと架橋剤とを含有する第2樹脂層形成用組成物を用いて第2樹脂層前駆体層を形成する、第2樹脂層前駆体層形成工程
(2)上記第2樹脂層前駆体層を加熱により架橋させて第2樹脂層を形成する、架橋工程
以下、各工程について説明する。
<第2樹脂層前駆体層形成工程>
第2樹脂層前駆体層形成工程は、バインダーポリマーと架橋剤とを含有する第2樹脂層形成用組成物を用いて第2樹脂層前駆体層を形成する工程である。
第2樹脂層形成用組成物に含有されるバインダーポリマーの具体例および好適な態様は上述した第1樹脂層形成用組成物と同じである。
第2樹脂層形成用組成物に含有されていてもよい任意成分の具体例および好適な態様は上述した第1樹脂層形成用組成物と同じである。
(架橋剤)
第2樹脂層形成用組成物に含有される架橋剤の具体例および好適な態様は、上述した第1樹脂層に含有される架橋剤と同じである。
第1樹脂層形成用組成物が異なる2種の架橋剤A1および架橋剤B1を含有する場合(ここで、架橋剤A1の10時間半減期温度は、架橋剤B1の10時間半減期温度よりも低い)、第2樹脂層形成用組成物は、10時間半減期温度が架橋剤B1の10時間半減期温度よりも低い架橋剤(架橋剤A2)を含有するのが好ましい。このような第2樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させた場合、架橋剤A2が消費され、架橋剤の含有量(残存量)の少ない第2樹脂層が形成される。架橋剤A2は架橋剤A1と同じものであることが好ましい。
第2樹脂層形成用組成物を用いて第2樹脂層前駆体層を形成する方法の具体例は、上述した第1樹脂層前駆体層を形成する方法と同じである。
<第2樹脂層形成工程>
第2樹脂層形成工程は、上記第2樹脂層前駆体層を加熱により架橋させて第2樹脂層を形成する工程である。第2樹脂層前駆体層を加熱により架橋させる方法の具体例および好適な態様は、上述した第1樹脂層を形成する方法と同じである。
上述のとおり、第2樹脂層において、第2樹脂層中の架橋剤の含有量は、1質量%以下である。このような第2樹脂層を形成する方法としては、例えば、上述したように第2樹脂層形成用組成物中の架橋剤として10時間半減期温度の低い架橋剤を使用する方法、第2樹脂層形成用組成物中の架橋剤の量を減らす方法、第2樹脂層前駆体層を高温で架橋させる方法などが挙げられる。
〔その他の層〕
本発明の原版は、第2樹脂層の第1樹脂層が隣接する面とは反対の面に他の層(例えば、支持体)を備えてもよい。
支持体としては特に制限されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、その素材としては、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル));ポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂;スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム;ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など);等が挙げられる。
支持体は、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。
本発明の原版が、第2樹脂層の第1樹脂層が隣接する面とは反対の面に支持体を備える場合、第2樹脂層と支持体との間の接着力を強化する観点から、接着層を設けてもよい。
接着層に用いることができる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
〔レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の好適な態様〕
本発明の原版の好適な態様としては、例えば、第1樹脂層が、バインダーポリマーと架橋剤A1と架橋剤B1とを含有する第1樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であり、第2樹脂層が、バインダーポリマーと架橋剤A2とを含有する第2樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であり、上記架橋剤A1および上記架橋剤A2の10時間半減期温度が、上記架橋剤B1の10時間半減期温度よりも低い態様が挙げられる。
バインダーポリマーと架橋剤A1と架橋剤B1とを含有する第1樹脂層形成用組成物、および、バインダーポリマーと架橋剤A2とを含有する第2樹脂層形成用組成物については、上述のとおりである。
また、各樹脂層を加熱により架橋させる方法の具体例および好適な態様は上述のとおりである。
〔レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法〕
本発明の原版を製造する方法は特に制限されないが、例えば、上述のとおり形成された第1樹脂層および第2樹脂層を貼り合わせる方法、一方の樹脂層上に他方の樹脂層形成用組成物を用いて他方の樹脂層を形成する方法、などが挙げられる。
[フレキソ印刷版]
本発明のフレキソ印刷版は、上述した本発明の原版に対してレーザーにより彫刻することで得られるフレキソ印刷版である。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は特に制限されないが、上述した本発明の原版に対してレーザーにより彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程を備えるのが好ましく、さらに、上記レリーフ層の表面をアルカリ水溶液でリンスし、フレキソ印刷版を得るリンス工程を備えるのがより好ましい。
以下、各工程について説明する。
〔彫刻工程〕
彫刻工程は、上記架橋工程で架橋された架橋レリーフ形成層をレーザーにより彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋された架橋レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、架橋レリーフ形成層に対して走査照射(走査露光)する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、架橋レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、架橋レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で架橋レリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
彫刻工程に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が好ましく用いられる。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率かつ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
レーザーの波長は、700〜12000nmであることが好ましい。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明における彫刻工程には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、「実用レーザー技術」電子通信学会等に記載されている。
また、本発明のフレキソ印刷版原版を用いたフレキソ印刷版の製版方法に好適に用いることができるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これを本発明に係るフレキソ印刷版の製版に使用することができる。
〔リンス工程〕
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、彫刻工程に次いで、レリーフ層の表面をアルカリ水溶液でリンスするリンス工程を有するのが好ましい。本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、リンス工程におけるリンス液として、アルカリ水溶液を使用するのが好ましい。本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、リンス工程を有することにより、レリーフ層の表面の付着・残留する彫刻カスを洗い流し、除去する。
リンスの手段として、アルカリ水溶液に浸漬する方法、アルカリ水溶液に浸漬しながらリンス液を回転させる方法、アルカリ水溶液に浸漬しながら彫刻板をブラシで摺る方法、アルカリ水溶液をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主にアルカリ水溶液の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
本発明に用いることができるリンス液(アルカリ水溶液)のpHは、10.0以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、13以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましい。上記範囲であると、リンス性に優れる。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。
また、リンス液は、水以外の溶剤として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶剤を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、更に、必要に応じて乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
以上のようにして、レリーフ層と支持体とを備えるフレキソ印刷版が得られる。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
レリーフ層がベタ(未彫刻部)と網点とを有する場合、ベタと網点との差(低層化量)は、0〜0.03mmが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法により得られるフレキソ印刷版は、フレキソ印刷機による水性インキでの印刷に特に好適であるが、凸版用印刷機による水性インキ、油性インキ及びUVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造>
(第2樹脂層の作製)
撹拌羽および冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、バインダーポリマーとしてポリブタジエン(宇部興産株式会社製BR150L)40g、光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(ライオン株式会社製)を0.75g、溶媒としてヘキサン47gを入れ、撹拌しながら70℃で2時間加熱してバインダーポリマーを溶解させた。さらにエチレン性不飽和化合物としてブレンマーPDE−200(日油株式会社製)、ブレンマーPME−200(日油株式会社製)、メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ15g、13g、5g、架橋剤としてパーブチルZ(日油和光純薬製)を1.6g配合して30分間撹拌し、流動性のある第2樹脂層形成用組成物を得た。
PETフィルム上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、得られた第2樹脂層形成用組成物をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間加熱し、さらに100℃で3時間加熱することで架橋させた。このようにして、第2樹脂層(厚さ:およそ0.9mm)を得た。
(第1樹脂層の形成)
撹拌羽および冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、バインダーポリマーとしてポリブタジエン(宇部興産株式会社製BR150L)40g、光熱変換剤として黒色染料(BONJET BLACK AS−0850(オリエント化学工業株式会社)を0.75g、溶媒としてヘキサン47gを入れ、撹拌しながら70℃で2時間加熱しポリマーを溶解させた。さらにエチレン性不飽和化合物としてブレンマーPDE−200(日油株式会社製)、ブレンマーPME−200(日油株式会社製)、メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ20g、17g、7g、架橋剤としてパーブチルZ(日油株式会社製)、パーヘキシン25B(日油株式会社製)をそれぞれ0.5g、5.0g配合して30分間撹拌し、流動性のある第1樹脂層形成用組成物を得た。
上記第2樹脂層上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、得られた第1樹脂層形成用組成物をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間加熱することで架橋させ、第2樹脂層上に第1樹脂層(厚さ:およそ0.1mm)を形成した。このようにして、第1樹脂層と、第1樹脂層に隣接する第2樹脂層とを備えるレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を得た。
得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版から、第1樹脂層および第2樹脂層を剥離し、それぞれTHFに一晩浸漬して、高速液体クロマトグラフィーにより各層中の架橋剤の含有量(パーブチルZおよびパーヘキシン25Bの合計の含有量)を測定した。結果、第1樹脂層中の架橋剤の含有量は6質量%であり、第2樹脂層中の架橋剤の含有量は1質量%以下であった。
<フレキソ印刷版の製版>
得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第1樹脂層側から、半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長:915nm)を装備した、特開2010−69864号公報の図1に示されるレーザー記録装置を用いてラスター彫刻し、フレキソ印刷版を得た。なお、彫刻画像は2%網点とし、ベタ濃度評価のため非彫刻部を設けた。(レーザー出力:6W、ヘッド速度:100mm/秒、ピッチ設定:2400DPI)
<評価>
(ベタ濃度および網点濃度変化)
得られたフレキソ印刷版をフレキソ印刷機ITM−4型(伊予機械製)の版胴に両面テープDuploFlex 5.1+で貼り付けた。印刷インキとして溶媒インキ(FBキングX藍、東洋インキ株式会社製)を1−プロパノール/酢酸n−プロピル=7/3の混合溶剤で離合社製ザーンカップ#4で20秒に粘度調整したものを用い、OPPフィルム(東洋紡株式会社製パイレンP2002)に印刷した。
紙面と印刷版の距離を調整し、紙面上にベタ部の着肉が起こる位置を基準とし、さらに20μmづつ、160μm印刷版を紙面に押し込んだ。このときのベタ濃度を反射濃度計(グレタグマクベスRD−19I、グレタグ社製)により測定した。結果を第1表に示す。ベタ濃度は1.75より大きいことが好ましい。
また、40μm押し込んだときの網点濃度、および、160μm押し込んだ時の網点濃度を同様に測定し、下記式から網点濃度変化を求めた。結果を第1表に示す。網点濃度変化が小さいほど印圧依存性が小さいことを表す。印圧依存性の観点から、網点濃度変化は0.03以下であることが好ましい。
(網点濃度変化)=(160μm押し込んだ時の網点濃度)−(40μm押し込んだ時の網点濃度)
(インキ耐性)
得られたフレキソ印刷版を所定の大きさに切り取り、FBキングX藍(東洋インキ製)を1−プロパノール/酢酸n−プロピル=7/3の混合溶剤で離合社製ザーンカップ#4で20秒に粘度調整したものに一晩浸漬したときの重量維持率(=浸漬後の重量/浸漬前の重量×100)(%)を調べた。結果を第1表に示す。重量維持率は90%以上であることが好ましい。
[実施例2〜8、比較例1〜5]
第2樹脂層形成用組成物の調製において、架橋剤として第1表に示される架橋剤Aを使用し、第1樹脂層形成用組成物の調製において、架橋剤として第1表に示される架橋剤(A、B)を使用し、光熱変換剤としてカーボンブラック(ケッチェンブラックEC600JD、ライオン(株)製)を使用し、第1樹脂層の形成時の加熱温度を第1表の「加熱温度」の欄に示される温度に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版およびフレキソ印刷版を得た。また、各種評価を行った。結果を第1表に示す。
また、実施例1と同様に、各樹脂層中の架橋剤の含有量を測定した。第1樹脂層中の架橋剤の含有量を第1表に示す。なお、実施例2〜8および比較例1〜4において、第2樹脂層中の架橋剤の含有量はいずれも1質量%以下であった。また、比較例5において、第2樹脂層中の架橋剤の含有量は1質量%を超えていた。
なお、比較例1、2および5では、第1樹脂層を形成せずに、第2樹脂層のみでフレキソ印刷版を製版し、各種評価を行った。また、比較例5では、第2樹脂層の形成において、パーブチルZの配合量を1.6gから6.4gに変更した。
また、実施例8および比較例2では、半導体レーザー彫刻機の代わりに、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて、以下のとおりフレキソ印刷版を製版した。なお、実施例2のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版と実施例8のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は同じものである。
<実施例8および比較例2におけるフレキソ印刷版の製版>
得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第1樹脂層側から(比較例2は第2樹脂層のみからなるので、第2樹脂層に対して)、炭酸ガスレーザー彫刻機として、高品位COレーザーマーカML−9100シリーズ(KEYENCE(株)製、波長:10600μm)を用いてラスター彫刻し、フレキソ印刷版を得た。なお、彫刻画像は2%網点とし、ベタ濃度評価のため非彫刻部を設けた。(レーザー出力:12W、ラインスピード:20cm/秒)
なお、実施例1のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版において、第1樹脂層は光熱変換剤として黒色染料を含有し、第2樹脂層は光熱変換剤としてカーボンブラックを含有する。また、実施例2〜8のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版において、第1樹脂層と第2樹脂層はいずれも光熱変換剤としてカーボンブラックを含有する。
Figure 2016000476
第1表、架橋剤および光熱変換剤の詳細は以下のとおりである。
・パーブチルZ:パーブチルZ(10時間半減期温度:104.3℃、日本油脂社製)
・パーヘキシン25B:パーヘキシン25B(10時間半減期温度:128.4℃、日本油脂社製)
・パークミルD:パークミルD(10時間半減期温度:116.4℃、日本油脂社製)
・黒色染料: BONJET BLACK AS−0850(オリエント化学工業株式会社)
・CB:カーボンブラック(ケッチェンブラックEC600JD、ライオン(株)製)
第1表から分かるように、本願実施例のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版から得られるフレキソ印刷版はベタ濃度が高く、印圧依存性が小さく、インキ耐性に優れていた。なかでも、第1樹脂層中の架橋剤の含有量が8質量%以下である実施例1〜4および7〜8はインキ耐性により優れていた。
実施例2〜6の対比から、第1樹脂層中の架橋剤の含有量が5質量%以上である実施例2および5〜6は印圧依存性がより小さかった。
実施例1と2との対比から、第1樹脂層が光電変換剤としてカーボンブラックを含有する実施例2の方が、ベタ濃度がより高く、印圧依存性がより小さかった。
一方、樹脂層が1層のみであり、樹脂層中の架橋剤の含有量が1質量%以下である比較例1および2は印圧依存性が大きかった。また、樹脂層が1層のみであり、樹脂層中の架橋剤の含有量が1質量%を超える比較例5はベタ濃度が低く、インキ耐性が不十分であった。なお、比較例5は特許文献1の態様に相当する。
また、樹脂層を2層(第1樹脂層、第2樹脂層)備えるが、第1樹脂層(彫刻面側の樹脂層)中の架橋剤の含有量が2質量%未満である比較例3は印圧依存性が大きかった。また、樹脂層を2層(第1樹脂層、第2樹脂層)備えるが、第1樹脂層(彫刻面側の樹脂層)中の架橋剤の含有量が20質量%を超える比較例4はインキ耐性が不十分であった。
10 第1樹脂層
10a 彫刻面
20 第2樹脂層
100 レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版

Claims (12)

  1. レーザー彫刻が施される表面側に配置された第1樹脂層と、前記第1樹脂層に隣接する第2樹脂層とを備え、
    前記第1樹脂層が、架橋剤を含有し、
    前記第1樹脂層中の架橋剤の含有量が、2〜20質量%であり、
    前記第2樹脂層中の架橋剤の含有量が、1質量%以下である、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  2. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の少なくとも一方が、光熱変換剤を含有する、請求項1に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  3. 前記光熱変換剤が、カーボンブラックを含む、請求項2に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  4. 前記第1樹脂層中の架橋剤の含有量が、3〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  5. 前記第1樹脂層中の架橋剤の含有量が、5〜8質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  6. 前記第1樹脂層中の架橋剤が、ラジカル発生化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  7. 前記第1樹脂層中の架橋剤が、過酸化物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  8. 前記過酸化物が、ジアルキルパーオキサイドである、請求項7に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  9. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の少なくとも一方が、ポリブタジエンを含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  10. 前記第1樹脂層が、バインダーポリマーと架橋剤A1と架橋剤B1とを含有する第1樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であり、
    前記第2樹脂層が、バインダーポリマーと架橋剤A2とを含有する第2樹脂層形成用組成物を加熱により架橋させることで得られる樹脂層であり、
    前記架橋剤A1および前記架橋剤A2の10時間半減期温度が、前記架橋剤B1の10時間半減期温度よりも低い、請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、波長が700〜12000nmのレーザーにより彫刻することで得られる、フレキソ印刷版。
  12. 前記レーザーが、700〜1300nmの半導体レーザーである、請求項11に記載のフレキソ印刷版。
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