JP2016000394A - 多相混合物から液体を分離するための方法 - Google Patents

多相混合物から液体を分離するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに懸濁液中を上方に流れる気相からなる多相混合物から、液体の分離を可能にする方法の提供。【解決手段】容器1内に含まれ、かつ共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物2から液体を分離するための方法および装置であり、混合物の少なくとも一部は、容器外部に配置される少なくとも1つのクロスフローろ過器5中を循環し、混合物の一部を、ろ過された液体と濃縮物とに分離し、混合物の一部は、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環を使用してクロスフローろ過器中を循環し、ろ過された液体が連続的に取り出される多相混合物の接線速度は、ろ過された液体のろ材通過速度の400〜2000倍とする方法。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本願は、参照により本明細書中に組み込まれる、2009年6月5日発行の欧州特許出願公開第091620955号明細書の便益を主張するものである。
本発明は、容器内に収容され、かつ共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに懸濁液中を上方に流れる気相を含む多相混合物から液体を分離するための方法および装置に関する。本発明は、また、前記分離方法または前記装置を使用する工程を含む過酸化水素の製造のための方法に関する。
共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子と少なくとも1つの液相との混合物と、懸濁液中を上方に流れる気相を含む三相スラリー反応器は当業者に周知である。これらの反応器内では、固体触媒粒子は、液相中をバブリングされる気相により分散されるか、または液相内に懸濁した状態に維持される。動作時、前記反応器は、一般に、スラリー領域とフリーボード領域とを含み、スラリー領域は、液体に懸濁される固体粒子と、スラリー中をバブリングされる気体反応物と、スラリーの上方に位置し、主として気体生成物および/または反応物からなるフリーボード領域とからなる。
三相スラリー反応器内で実施される化学プロセスの例には、固体触媒粒子および少なくとも1つの気体反応物を使用して、反応状況下で液体の生成物を生成するものがある。そのようなプロセスの例には、水素添加法、ヒドロホルミル化、アルカノール合成、一酸化炭素を使用した芳香族ウレタンの調製、Koelbel−Engelhardt合成、ポリオレフィン合成、およびフィッシャートロプシュ合成を含む。
多相混合物から液体の少なくとも一部を分離するため多くの方法が提案されている。
例えば、欧州特許第0609079号明細書では、ろ過領域がその上面に近接するスラリー床内に配置されている。液体生成物は、濾過材中を第1の方向に通過させることにより固体粒子から分離されるため、固体粒子のケークが濾過材上に形成する。しかしながら、そのような全量ろ過は、ケークをフィルタリング材から取り除くために、フィルタリング材が第1の方向とは逆の第2の方向に定期的に逆流洗浄されることを示唆する。逆流洗浄のために使用される液体は、同じくろ過しなければならない余分な量となる。全体的なプロセスの生産性は逆流洗浄のためにしたがって低下する。
国際公開第94/16807号パンフレットでは、ろ過領域が反応容器を囲み、フィルタエレメントが、ろ材からなる、反応容器それ自体の壁の一部により設けられうる。そのような設計により、スラリーの乱流運動のために固体物質はフィルタエレメント上に蓄積されない。しかし、そのようなろ過システムは精巧なため高額であり、実施が困難である。さらに、そのような内部ろ過システムは、例えば、ろ過材に化学洗浄が必要な場合、保守のため容器が停止されることを示唆する。
米国特許第5,900,159号明細書では、液体サイクロンまたは特定の連続的な離脱法による分離を使用する多相混合物の脱ガス、およびそれに続く、生じたスラリーの、容器外部に配置されるクロスフローろ過器による、液体と濃縮スラリーへの分離を開示している。前記スラリーはポンプを介してクロスフローろ過器に運ばれる。クロスフローろ過システムのおもな利点は、ろ過材上への固体物質の蓄積が回避されることである。
クロスフローろ過は、残渣(保持液)が、フィルタに沿ってろ過材に対して十字流で流れるスラリーのシアーによりろ過材から連続的に除去される、周知のろ過方法である。シアーは、回転するフィルタまたは回転子などの回転要素により生成することができるが、シアーは、通常、スラリーの濾過材に対する相対速度により生成される。クロスろ過の全般的な概要は、参照により本明細書中に組み込む、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (2003)、 Chapter “Filtration”、 pages 383−388 (DOI 10.1002/0471238961.0609122019220118.a01.pub2)に記載されている。
米国特許第5,900,159号明細書の方法は、脱ガス手段とクロスフローろ過器との間にポンプの使用を必要とする。前記ポンプの使用に関する第1の欠点は、少なくともいくらかの固体粒子の摩耗、または粒子が摩耗に全く敏感でない場合、ポンプの腐食につながることである。第2の欠点は、ポンプがガスに敏感であり、ガスの存在下においてあまり適切に機能しない傾向にあることであり、これはポンプの上流におけるスラリーの完全な脱ガスを示唆する。第3の欠点はポンプがエネルギを消費することである。
本発明の目的は、上記の欠点のない新規な方法を提供することである。特に、本発明の目的は、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに懸濁液中を上方に流れる気相からなる多相混合物から、液体の分離を可能にする方法および装置を提供することである。
本発明は、したがって、容器内に含まれ、かつ共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに容器内部でガスリフト効果が起こるように懸濁液中を上方に流れる気相からなる多相混合物から、液体を分離するための方法に関し、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる混合物の少なくとも一部は、容器外部に配置される少なくとも1つのクロスフローろ過器中を循環し、したがって混合物の前記一部を、液体と濃縮物、すなわち液体を取り出した多相混合物の残余部分とに分離し、混合物の前記一部は、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環を使用するクロスフローろ過器中を循環する。
実際、意外なことに、本発明の枠組みにおいて、クロスフローろ過器を通過して容器外部を循環する混合物の少なくとも一部を作製するため、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環を使用できることが判明している。スラリー反応器内でガスリフト効果が起こり、さらに上昇流と下降流間でガス滞留量の差が生じる。この差がこれら2つの領域間の密度差および容器内部のスラリーの自然再循環を生じさせる。本方法によれば、ガスリフト効果により生じる再循環は、クロスフローろ過システム内で十字流として使用される。パイプおよび連結部を介してクロスフローろ過システムを通過する下降流れの少なくとも一部の循環は、上昇流と下降流間の密度差と、多相混合物の高さと、ろ過システムの抵抗の関数である。
多相混合物をクロスフローろ過器中に循環させるポンプはしたがって必要なく、有利である。実際、これにより固体粒子の摩耗および/またはポンプの腐食が回避される。それにより、また、ポンプ上流における脱ガス工程の必要がなくなる。最後に忘れてはならないのが、それはいくらかの費用およびエネルギを節約になるということである。
特に好適な実施形態によれば、クロスフローろ過器中を循環する混合物の一部は容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環のみを使用して循環する。特に、混合物は、クロスフローろ過器上流のポンプを使用することなくクロスフローろ過器中を循環する。
本方法において、多相混合物の、容器から出る、および少なくとも1つのクロスフローろ過器を通過する(十字流)循環流は、少なくとも1つのクロスフローろ過器ならびにクロスフローろ過器供給パイプおよび排出パイプを含む外部回路を通過するそのような流量により得られた総圧力損失と、システム内で利用可能な総推進力間の平衡から、および特に特定の容器および工程条件に利用可能な総推進力から生じる。
利用可能な総推進力は、容器内に含まれる液相のガス滞留量および容器内の多相混合物の高さにより画定される。ガス滞留量は、いかなるガスも添加しない液相と、液相に気相を通過させた場合の、膨張した気液混合物の体積間の体積増加に相当する。本方法において、容器内のガス滞留量(すなわち容器内に含まれる液相のガス滞留量)は、通常少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、例えば少なくとも15%である。容器内のガス滞留量は可能な限り多くすることができるが、一般に多くて70%、特に多くて50%、およびさらに特に多くて30%である。ガス滞留量、したがって利用可能な総推進力は、おもに、容器の底部および上部のガス速度、ガス密度、容器内部の圧力などの動作条件、およびその表面張力、粘度および密度などの液体の物理的特性、および容器の幾何学的形状、特にその高さおよびその直径に依存する。特定の容器において、利用可能な実推進力は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量と比した、容器内部に含まれる多相混合物内のガス滞留量の割合に依存する。利用可能な推進力がより高くなることは、同じシステムが設置されていてもクロスフローろ過器を通過する十字流は速くなることを意味する。
したがって、利用可能な特定の総推進力において、循環流は、少なくとも1つのクロスフローろ過器ならびにクロスフローろ過器供給および排出パイプを含む外部回路の幾何学的形状に依存し、それがこの回路に関する圧力損失を決定する。
本発明の方法において、多相混合物内の固体粒子は、通常、少なくとも部分的に触媒粒子であり、多相混合物内にある液相は一般に少なくとも部分的に反応生成物であり、気相は通常少なくとも部分的に、例えば、水素、酸素、一酸化炭素等の合成ガスである。
本発明の方法において、多相混合物内にある固体粒子はガスおよび/または液体空塔速度によって容器内に懸濁状態に維持される。本方法において、気相は、多くの場合、反応器の底部において0.1m/sに等しいかまたは0.1m/sを超える、有利には0.1から1m/s、例えば0.1から0.5m/sの速度を有する。反応器の上部のガス速度は通常より低く、例えば0.02から0.1m/sである。固体粒子の最大可能平均粒度は、ガスおよび液体速度ならびに固体粒子と液体間の密度差にとりわけ依存しうる。通常、平均粒度は1mm以下、好ましくは600μm以下である。効率的なろ過を可能にするため、通常、平均粒度は1μmを超え、好ましくは5μmを超え、より好ましくは10μmを超える。好適な平均粒度は、通常10から600μm、好ましくは60から250μmである。摩耗のため、平均固体粒度は、粒子の動作時に時間と共に減少してもよい。所望であれば、触媒粒子と他の固体粒子の混合物、例えば、ガラスビーズなどの多孔性または非多孔性の固体、IIIB、IVB、VB族の無機酸化物、ランタニド類およびアクチニド類、珪藻土、キースラガーまたはゼオライトなどの不活性物質との混合物、または異なる密度、活量、生産性または選択性を有する、他の触媒的に活性な固体粒子との混合物を使用してもよい。他の固体粒子は、触媒粒子の平均粒度とは異なる平均粒度を有してもよい。
本発明に使用されるクロスフローろ過器は容器外部に配置される。前記クロスフローろ過器は、通常、1つまたは複数の管を含み、それぞれの管の壁の少なくとも一部はろ過材でできており、好ましくは管のほぼ全長がろ過材でできている。第1の実施形態において、多相混合物は管外部のクロスフローろ過器中を流れ、ろ過された液体は管内部を流れ、管内部に収集される(外圧)。第2の実施形態において、多相混合物は、管内部のクロスフローろ過器中を流れ、ろ過された液体は管外部で収集される(内圧)。この少なくとも1つの管が第1の実施形態により動作する場合(外圧)、それは水平にまたは垂直に、好ましくは水平に配置してもよい。少なくとも1つの管が第2の実施形態により動作する場合(内圧)、垂直方向に配置しなければならず、容器からの下降流れは下方に流れる。
本発明の方法において、多相混合物は少なくとも1つのクロスフローろ過器中を循環する。2つ以上のクロスフローろ過器がまた並列で配置されて存在してもよい。好ましくは、多相混合物は、並列で配置される1つより多いクロスフローろ過器、特に少なくとも3つのクロスフローろ過器、好ましくは少なくとも5つのクロスフローろ過器中を循環する。
本発明によれば、管の数は、通常少なくとも1、好ましくは少なくとも5、特に少なくとも10である。管の数を制限せず、300までとすることもできる。容器によっては、管の数は、250まで、特に200まで、例えば100と200の間でもよい。
クロスフローろ過器内にあるそれぞれの管の直径は、通常1から10cm、好ましくは1.5から5cm、例えば約2から3cmの範囲である。それぞれの管の長さは、クロスフローろ過器入口とクロスフローろ過器出口間の所望の圧力損失およびクロスフローろ過器の出口の濃縮物内の固体の所望の濃度に依存する。それぞれの管の長さは、1から10m、特に1から5m、例えば約2または3mであってもよい。
クロスフローろ過器内にある管のろ過材は、セラミックス、焼結ステンレス鋼などの多孔質金属などのあらゆる周知のろ過材またはその他でできていてもよい。例えば、ろ過材は、Rigismesh K(登録商標)(Pall社)、Poral(登録商標)(Federal Mogul社)、GKN Sinter MetalsまたはMott Metallurgical CorporationのHyPulse(登録商標)LSXから選択可能である。
本発明によれば、ろ過材の孔開口部は、前記粒子がいくらか摩耗した後でさえも粒子を大量に通過させないようなサイズを有する。したがって、粒子の平均サイズおよびそれらの粒径分布により、ろ過材の孔開口部は、0.1から100μm、好ましくは0.5から50μm、より好ましくは1から30μmの範囲内の直径を有するべきである。
本発明において、ろ過の推進力は通常ろ過材全体の圧力差である。ろ過材全体の圧力損失は、通常少なくとも0.05bar、特に少なくとも0.1barである。圧力損失は多くの場合、多くて10bar、特に10bar未満、特に多くて5barである。通常、ろ過材全体の圧力損失は、0.05から10bar、好ましくは0.05から10bar未満、より好ましくは0.1から5barの範囲内である。ろ過材および容器内部の圧力により、圧力損失は1から5barであってもよく、またはせいぜい1bar、特に1bar未満、例えば0.1から0.2barであってもよい。あらゆる理論に拘束されることなく、ろ過材全体の大きすぎる圧力損失、特に、10barを上回る圧力損失はファウリング、特にろ過材の重度のファウリングにつながる可能性がある。実際、高い圧力損失により、小さな粒子がろ過材内部に入り込み、ろ過材に沿ってろ過されるろ材の十字流により除去されない。
有利には、クロスフローろ過器の入口と出口間の多相混合物の圧力損失(すなわちクロスフローろ過器中を流れるストリームの圧力損失)はろ過材全体の圧力損失より小さい。クロスフローろ過器の入口と出口間の圧力損失は、通常、クロスフローろ過器を含む全外部回路の総圧力損失の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%である。実際、ろ過効率は、多相混合物の、クロスフローろ過器に沿う接線速度に関連する。したがって、外部回路(少なくとも1つのクロスフローろ過器およびその供給および排出パイプ)に沿う圧力損失が、クロスフローろ過器の入口と出口間に集中する場合に達成されうる、可能な限り速い接線速度を達成することが非常に望ましい。これは、例えば、クロスフローろ過器の供給および排出パイプの直径を大きくすることにより、ろ過管直径を小さくすることにより、および/またはろ過管長さを長くすることにより達成することができる。
連続的に液体を取り出した多相混合物の、クロスフローろ過器の濾過材に沿う接線速度は、利用可能な総推進力、および少なくとも1つのクロスフローろ過器ならびに供給および排出パイプを含む外部回路の幾何学的形状の関数である。本発明の方法において、前記接線速度は、通常0.5から6m/s、特に1から5m/s、例えば2から3m/sの範囲内である。より低いおよびより高い接線速度が可能であるが、6m/sを超える接線速度では、ろ過材を通過する液体の適度な流束を発生させるためろ過材全体の圧力損失を多少大きくすべきである。0.5m/s未満の接線速度では、シアーによってろ塊の除去を可能にするためろ過材全体の圧力損失を多少小さくすべきである。この低い圧力損失は、さらにはろ過材を通過する液体の流束の低下につながる。
本発明の方法によれば、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、好ましくは15m/hに等しいかまたは15m/h未満、好ましくは10m/hに等しいかまたは10m/h未満、例えば8m/hに等しいかまたは8m/h未満の値に維持される。ろ過された液体のろ材通過速度が前記閾値未満に維持される場合、濾過材の化学洗浄を何ら必要とすることなくろ過流を持続および維持することができる。したがって、ろ材通過速度は流束の維持に影響する。ろ材通過速度は、また、ろ過を行うことを可能にするためろ過材全体に最低限必要とされる圧力差に影響する。しかしながら、ほとんどの場合においてこれは制約要因ではない。ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、通常0.5m/hに等しいかまたは0.5m/hを超える、特に1m/hに等しいかまたは1m/hを超える、特に5m/hに等しいかまたは5m/hを超える。ろ過された液体のろ材通過速度の、前記値未満の値は、通常、同じ仕事量でも必要とされるろ過面が不必要に大きくなる可能性が高いため非効率な操作につながる。したがって、この発明のろ過システムは、経済的に実施不可能となる可能性があり、他の標準的なろ過システムに対してその利点を失う可能性が高い。ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、通常1から15m/h、好ましくは5から10m/hであってもよい。
本発明の方法の好適な実施形態において、ろ過された液体を連続的に取り出した多相混合物の、ろ過材に沿う接線速度は、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度の400から2000倍、好ましくは700から1500倍、例えば約1000倍である。
クロスフローろ過管のろ過材を通過するろ過された液体の特定のろ材通過ろ過速度において、クロスフローろ過器の出口の濃縮物内の固体粒子の濃度およびクロスフローろ過器の入口と出口間の圧力損失は両方とも、管の長さを長くすることにより増加する。管の長さの制限は、システムの推進力である最大許容圧力損失により、およびクロスフローろ過器から出る濃縮物内の固体粒子の最大許容濃度により行われる。
本発明によれば、クロスフローろ過器ユニット内の特定の完全ろ過領域では、管の直径および数を変えることができる。クロスフローろ過器ユニット内において完全濾過材領域を得るため、管の直径を大きくし、かつそれらの数を減らすことよりもむしろ、管の数を増やし、かつその直径を小さくすることが特に有利である。あらゆる理論に拘束されることなく、それぞれの管内で必要とされる接線速度を生じさせることができる、多相混合物の、クロスフローろ過器ユニットに沿う、必要とされる流量の合計は、管の数を増やし、かつそれらの直径を小さくすると減少すると考えられる。クロスフローろ過器を通過する多相混合物の循環の推進力である、システムの利用可能な圧力損失の合計が反応器の幾何学的形状および工程条件により固定されるため、ろ過器ユニットに沿う総流を可能な限り少なく維持し、ろ過器外部で消費される圧力損失を減らすことが好ましい。クロスフローろ過器ユニット内の特定の完全濾過材領域では、また、管の長さを長くして、それらの数を減らすことが好ましい。実際、これは多相混合物の、クロスろ過器ユニットに沿う総流を減らし、次いで、ろ過器外部で消費される圧力損失を最小化する。これがまた、ろ過器ユニット容器の直径を小さくすることを可能にし、したがってその建設に必要とされる投資額も削減される。
本発明の特定の実施形態において、クロスフローろ過器はダイナミッククロスフローろ過器、すなわち回転要素を備えたクロスフローろ過器とすることができる。そのようなダイナミッククロスフローろ過器は、例えば、参照により本明細書中に組み込む、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (2003)、 Chapter “Filtration”、 pages 383−387 (DOI 10.1002/0471238961.0609122019220118.a01.pub2)に記載されている。そのようなダイナミッククロスフローろ過器において、ろ過材上の懸濁液の十字流はろ過材の近くに位置する回転要素により少なくとも部分的に発生するため、高い流体シアーが発生する。この高いシアーのクロスフローの高い速度勾配により固体がろ過材上に堆積物を形成することを防ぐ。同時に、懸濁液は、ろ過材近辺の高固体濃度の層を防ぐ回転要素により完全に混合される。例えば、回転するディスクまたは回転する円筒状の要素を使用することができる。ダイナミッククロスフローろ過器は、ろ液流量を2から10倍多くできるため、従来のクロスフローろ過器と比較してより高い歩留りが得られるという利点を有する。そのようなダイナミッククロスフローろ過器は、また、例えば、多相混合物内に存在しうる微粉、特に、特定の閾値未満のサイズを有する粒子を除去することにより粒子の分級を可能にするという利点を有するため、フィルタのファウリングおよびろ過材の逆洗の必要性がさらに低下する。そのような場合において、ろ液は、ろ過された液体および微粉(または規定された閾値未満のサイズを有する粒子)を含み、ろ過された液体を回収するためさらなる精製工程を必要とする。ダイナミッククロスフローろ過器の例には、直列で配置されるディスク形状のフィルタモジュール(固定子)および固定子間に挿入された回転子ディスクの集積であり、固定子ディスクにろ液のための排水路が設けられる、Bokela社のDyno Filter(登録商標)がある。
本発明の種々の実施形態において、クロスフローろ過器内の分離は、通常、反応容器内の多相混合物とほぼ同じ温度で実施される。この分離は、一般に、反応容器内に印加されるのとほぼ同じ圧力で実施される。
本発明によるクロスフローろ過は多くの固液分離の問題に適用できる。フィルタのファウリング(ろ塊蓄積)を最小化するという利点を有する。ろ過材の逆洗は、したがって、かなり低減されるか、またはさらには抑えられる。
本発明では、多相混合物は、クロスフローろ過器の出口において、ろ過された液体と濃縮物とに分離される。「濃縮物」とは、多相混合物の残余部分、すなわち液体を取り出した、または固体粒子および任意選択でガスが濃縮された多相混合物を意味する。クロスフローろ過器を出る濃縮物は、5から35体積%、特に10から20体積%の固体粒子濃度(最終濃度)を有しうる。従来の(管状)クロスフローろ過器が使用される場合、最終濃度は、例えば10から20体積%であってもよい。ダイナミッククロスフローろ過器が使用される場合、最終濃度は、例えば50体積%まで、例えば65体積%までであってもよい。ろ過された液体が純粋反応生成物である場合、最終生成物として収集することができる。ろ過された液体が一部のみ反応生成物である場合、残りの液体から反応生成物を分離するため吸着または蒸留などのさらなる公知の分離工程を要してもよい。本発明の方法の好適な実施形態において、濃縮物の少なくとも一部は容器に戻される。これは固体粒子の少なくとも一部が容器内で実施される工程においてなお活性な触媒粒子である場合に特に好適である。濃縮物の循環は、容器内部にある粒子の、スラリー内における懸濁状態の維持に寄与してもよい。
本発明のさらなる実施形態において、容器内に含まれる多相混合物の少なくとも一部は、少なくとも1つのクロスフローろ過器中を循環される前に少なくとも部分的に脱ガスされる。実際、利用可能な実推進力は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量と比した、容器内部に含まれる多相混合物内のガス滞留量の割合に依存するため、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量を減らすと、利用可能な実推進力の増加につながり、容器外部およびクロスフローろ過器内部の多相混合物の循環に好都合となり有利である。
前記脱ガスは、いかなる特定の追加手段もなく容器の上部で自然に発生してもよい。内部および/または外部脱ガス補助部を、下降流、および特にクロスフローろ過器を通過して送られる流れへのガス巻込みを制限するためにも使用してよい。そのような内部および/または外部脱ガス補助部は、通常、容器内に含まれる多相混合物内にあるガスの気泡サイズ分布が、容器内部で十分な、自然な脱ガスが起こらないようなものである場合に必要となる。当技術分野において公知のあらゆる外部または内部脱ガス補助部または機器または設計を使用してもよい。内部補助の例にはバッフルの使用がある。外部補助の例には、多相混合物の空塔速度を減少し、したがってガスの少なくとも一部を分離させ、独立したパイプを介して容器に戻ることを可能にする、パイプ径または外部室の拡張がある。
好適な実施形態において、容器内に含まれる多相混合物は、少なくとも部分的に脱ガスされる、好ましくは、クロスフローろ過器を含む外部回路中を循環される前に、特に図2に示されるものなどの内部反応器アセンブリ、すなわち液体と気相間に実質的に完全な分離を設ける、円筒状の部分(8b)を覆う円錐形の部分(8a)を含む、内部補助部を使用してほぼ完全に脱ガスされる。この好適な実施形態によれば、容器内に含まれる多相混合物(液体+気体+固体)は容器内部を上方に流れ、円形のバッフル(8)の円錐形の部分(8a)に達すると、直径の制限により運動エネルギおよび流体の軸方向運動量の増加が促進される。前記運動量の上昇後、円形のバッフル(8)の円筒状の部分(8b)は、流体ジェットを促進するよう作用し、脱ガス位置(9)の内部領域(9a)内、すなわち円形のバッフル(8a)の円筒状の部分の上方の、容器の上部に、より高い軸方向速度を有するコアが生成される。脱ガス位置の外部領域(9b)内、すなわち円形のバッフル(8a)の円筒状の部分の側部上の、容器の上部に、脱ガスされた混合物の下向きの流れが反応器の出口ノズルおよび少なくとも1つのクロスフローろ過器(5)に供給するパイプおよび連結部(4)に流れる。触媒が脱ガス補助部の円筒状の部分(8a)上に堆積することを避けるため、触媒の一部が流下して容器内に戻るよう、いくつかの開口部が脱ガス補助部の円筒状の部分(8a)、通常脱ガス補助部と容器間の接合部に近い、特に前記脱ガス補助部の最も低い部分に設けられてもよい。別の実施形態において、多相混合物(容器反応器の内部、すなわち上昇流にある)から反応器の出口ノズルならびにパイプおよび連結部(4)に直接進むガス気泡の短絡を避けるため開口部の下にバッフルが据え付けられてもよい。
本発明の別の態様によれば、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物から液体を分離するための装置が設けられ、前記装置は、
多相混合物を含み、容器の底部にガス入口および容器の上部に任意のガス出口を備え、気相は容器内部でガスリフト効果が起こるように懸濁液中を上方に流れる容器と、
任意選択で、容器内部または外部に配置される脱ガス補助部と、
容器外部に配置される少なくとも1つのクロスフローろ過器と、
供給および排出パイプならびに容器をクロスフロー濾過器に連結する連結部であって、前記パイプおよび連結部は、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる混合物の少なくとも一部が、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然な再循環を使用してクロスフローろ過器中を循環するように設計される供給および排出パイプならびに連結部と、を含む。
本発明の特に好適な実施形態において、容器をクロスフローろ過器(供給および排出パイプ)に連結するパイプおよび連結部は、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる混合物の少なくとも一部が、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環のみを使用するクロスフローろ過器中を循環するように設計される。特に、本発明の装置は、容器の混合物出口とクロスフローろ過器の入口との間にいかなる手段も含まず、特に、本発明の装置はクロスフローろ過器上流にポンプを含まない。
本発明によれば、容器の幾何学的形状および動作条件は、通常、容器内のガス滞留量が少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%となるように設計される。容器内のガス滞留量は可能な限り高くすることができるが、一般に、容器の幾何学的形状および動作条件は、容器内のガス滞留量は多くて70%、特に多くて50%、およびさらに特に多くて30%になるように設計される。容器の幾何学的形状は、おもにその高さおよびその直径を含む。動作条件は、おもに容器の底部および上部のガス速度、ガス密度、容器内部の圧力、およびその表面張力、粘度および密度などの液体の物理的特性を含む。容器内のガス滞留量が利用可能な総推進力を画定し、それがさらには少なくとも1つのクロスフローろ過器を通過する多相混合物の循環を生じさせる。
特に、本発明のパイプおよび連結部は、外部回路に相当するクロスフローろ過器と組み合わせて、利用可能な総推進力が、関連する圧力損失が前記推進力に一致するようにシステムを通過する流れを生じるよう設計される。したがって、そのような流れは、クロスフローろ過器の濾過材に沿って連続的に液体を取り出した多相混合物の0.5から6m/sの範囲内の接線速度を生じる。本発明において、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、好ましくは15m/hに等しいかまたは15m/h未満、好ましくは10m/hに等しいかまたは10m/h未満、例えば8m/hに等しいかまたは8m/h未満、および通常0.5m/hに等しいかまたは0.5m/hを超える、特に1m/hに等しいかまたは1m/hを超える、特に5m/hに等しいかまたは5m/hを超える値に維持される。ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、通常1から15m/h、好ましくは5から10m/hであってもよい。
有利には、本発明のパイプおよび連結部は、容器の設計および動作条件ならびにクロスフローろ過器設計と組み合わせて、いずれの特定の管のろ過材のいずれの特定の箇所においても、ろ過材に沿ってろ過された液体を連続的に取り出した多相混合物の接線速度が、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度の400から2000倍、好ましくは700から1500倍、例えば約1000倍になるように設計される。
特定の容器において、利用可能な実推進力は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量と比した、反応器内部に含まれる多相混合物内のガス滞留量の割合に依存する。したがって、上記されたものなどの内部および/または外部の機械的脱ガス補助部は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量を低減し、したがって利用可能な実推進力を増加させるため、本発明の方法を向上させることができる。
本発明の好適な実施形態において、クロスフローろ過器は、クロスフローろ過器に供給し、容器の上部であるが、なお多相混合物の上部の下に位置する、容器の出口に相当する少なくとも1つのパイプおよび/または連結部を介して容器に連結される。特に好適な実施形態において、クロスフローろ過器は、1つが、クロスフローろ過器に供給し、容器の上部であるが、なお多相混合物の上部の下に配置される容器の出口に相当し、もう1つがクロスフローろ過器の出口から濃縮物を供給され、容器の下部に配置される容器の入口に相当する、少なくとも2つのパイプおよび/または連結部を介して容器に連結される。通常、前記出口と入口は、容器内部にある多相混合物の高さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%に相当する高さだけ離される。
さらに別の好適な実施形態において、クロスフローろ過器には逆パルスシステムが備えられる。逆パルスは、ろ過材を通過するろ過された液体の流束の方向の瞬間的な変化(逆流束)であり、ろ過材に堆積する粒子の除去を可能にする。有利には、逆パルスシステムは、パルス挙動を向上させ、かつパルス流体の少ない消費を達成し、ならびに高効率のろ過材洗浄を達成するよう設計されるオンライン洗浄装置である。例えば、逆パルスシステムは、クロスフローろ過器から取り出されるろ過された液体の一部がろ過された液体の主流から分離され、逆パルス液体として使用されるように設計してもよい。ろ過された液体の主流から分離されるろ過された液体の量は、逆流システム設計と、逆パルスの周波数と、特にクロスフローろ過器の設計に依存するが、通常0.5から10体積%、特に1から5体積%、例えば約2.5体積%である。逆パルスの周波数および総パルス時間は、逆流システムの設計、特にクロスフローろ過器の設計に依存するが、逆パルスの周波数は、通常、1分あたり0.1から10パルス、好ましくは1分あたり0.5から5パルス、有利には1分あたり約1パルスであり、約1秒の総パルス時間が一般に使用されている。逆パルス圧力は、ろ過材を通過するろ過された液体のろ過力よりも、通常1.5から10倍、好ましくはろ過力の2から5倍高い。
並列で配置される2つのクロスフローろ過器の使用に基づく本発明の方法および装置の実施形態が図1に示される。内部および外部脱ガス補助部の例が図2および図3に示される。本発明の方法または装置に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の機構が図4に示される。逆パルスシステム設計の例が図5に示される。
並列で配置される2つのクロスフローろ過器の使用に基づく本発明の方法および装置の実施形態を示す。 内部脱ガス補助部の例を示す。 外部脱ガス補助部の例を示す。 本発明の方法または装置に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の機構を示す。 本発明の方法または装置に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の機構を示す。 ろ過管の詳細を示す。 逆パルスシステム設計の例を示す。
図1は、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物(2)を含む容器(1)の全体的な工程図を示し、気相は容器(1)の底部に配置されたガス入口(3)により供給され、多相混合物はパイプおよび連結部(4)を通過して流れ、垂直に配置される管を含むクロスフローろ過器(5)を通過して下方へ循環する。クロスフローろ過器(5)内において、多相混合物(2)は、クロスフローろ過器(5)から収集されるろ過された液体(6)と、パイプおよび連結部(7)を介して容器(1)に再循環される濃縮物(7)とに分離される。
図2は、図1の装置に類似するが、円筒状の部分(8b)を覆う円錐形の部分(8a)を含む円形のバッフル(8)の形態の内部脱ガス補助部を含む装置を記載する。この特定の実施形態によれば、多相混合物(2)は容器内部を上方に流れ、円形のバッフル(8)の円錐形の部分(8a)に達すると、直径の制限が、運動エネルギおよび流体の軸方向運動量の増加を促進する。前記運動量の上昇後、円形のバッフル(8)の円筒状の部分(8b)は、流体ジェットを促進するよう作用し、より高い軸方向速度を有するコアが脱ガス位置(9)の内部領域(9a)、すなわち円形のバッフル(8a)の円筒状の部分の上方の容器の上部に生成される。この少なくとも部分的に脱ガスされる多相混合物は、脱ガス位置の外部領域(9b)内のバッフル(8)の外部を流下する。図1のように、この少なくとも部分的に脱ガスされた多相混合物はパイプおよび連結部(4)を通過して流れ、クロスフローろ過器(5)を通過して下方へ循環し、クロスフローろ過器(5)から収集されるろ過された液体(6)と、パイプおよび連結部(7)を介して容器(1)に再循環される濃縮物(7)とに分離される。
図3は、図1の装置に類似するが、1つのクロスフローろ過器(5)のみを含み、かつ外部脱ガス補助部(9)を含む装置を示す。この他の特定の実施形態によれば、多相混合物(2)は、多相混合物(2)内に含まれるガスの少なくとも一部が分離され、パイプおよび連結部(11)を通って容器(1)に再循環される外部室に相当する外部脱ガス補助部(9)内に、パイプおよび連結部(4)を介して流れる。少なくとも部分的に脱ガスされた多相混合物はパイプおよび連結部(10)を通って流れ、クロスフローろ過器(5)を通過して下方へ循環し、クロスフローろ過器(5)から収集されるろ過された液体(6)と、パイプおよび連結部(7)を介して容器(1)に再循環される濃縮物(7)とに分離される。
図4aおよび4bは、本発明の方法または装置に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の方式である。単管(図4a)および多管(図4b)クロスフローろ過器の2つのタイプが示される。図4cはろ過管の詳細を示す。図4aおよび図4bの両方において、クロスフローろ過器(5)は、ろ過管シート(12)内に1つまたはいくつかのろ過管(13)を含む。1つより多い管がある場合、それらを種々のピッチ(すなわち管のレイアウトまたはパターン)、例えば、三角ピッチ(14)で配置することができる。多相混合物は、パイプおよび連結部(10)を通り、クロスフローろ過器(5)および特にろ過管(13)内部を通過して下方に流れる。ろ過管(13)に流れる多相混合物は、ろ過された液体がろ過材(15)中を流れる際、継続的に液体が取り出されて濃縮物になる。連続的に液体を取り出した多相混合物(または濃縮物)は、矢印(16)として示される接線速度でろ過材(15)に沿ってろ過管(13)内部を流れる。濃縮物は、クロスフロー濾過器(5)の底部のろ過管の内部からパイプおよび連結部(7)を介して収集される。ろ過された液体は、矢印(17)として示されるろ材通過速度でろ過材(15)を通過して流れ、クロスフローろ過器(5)のシェル部分内に収集され、シェル側部(6)上のノズルから出される。
図5は、ろ過された液体(6)がパイプ(18)を通過して、かつバルブ(19)を通過してクロスフローろ過器を出る逆パルスシステム設計の例である。ろ過された液体(6)は、主流(20)と流れ(21)とに分離され、逆パルスシステム(逆流流体)のための供給タンクとしての役割を果たすバッファタンク(22)に供給される。ポンプ(23)は、逆流流体をバッファタンク(22)から逆パルス容器(24)に押し出す。逆パルス容器(24)は窒素などの不活性ガスで加圧されるため、通常、約50%が逆流流体で満たされ、容器の上部は不活性ガスを含む。逆パルスバルブ(25)が開くと、逆パルス容器(24)内部でガスの急激な膨張が生じ、それが大量の瞬間的な液体の流れを、容器(24)から、パイプ(18)を通じて、クロスフローろ過器(5)へと促す。効果的な逆パルスを促進するため、すべての逆流をクロスフィルタに押しやるため逆パルスバルブ(25)を開く前にバルブ(19)を閉める必要がある。好ましくは、バルブはろ過器の動作を最大化し、かつ逆流流体の消費を最小化するため高速作動バルブである。図5によれば、逆パルスの順序は以下の通りである。(a)バルブ(19)を閉じ、(b)逆パルスバルブ(25)を開き、(c)逆パルスバルブ(25)を閉じ、(d)バルブ(19)を開く。
本発明は、また、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物から液体を分離するための本発明の方法および装置の使用に関する。
本発明の好適な実施形態において、上記の方法および装置は、過酸化水素製造のためのアントラキノン(またはAO)ループ法に使用される。
語句「アルキルアントラキノン法」とは、少なくとも1種のアルキルアントラキノンおよび/または少なくとも1種のテトラヒドロアルキルアントラキノンの作動溶液を、希釈液中で水素添加工程に供し、1種または複数種のアルキルアントラヒドロキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを生成することからなる、水性過酸化水素溶液を生成するための方法を意味するものである。水素添加工程を経た作動溶液は、次いで、酸素、空気または酸素富化空気を用いた酸化に供され、過酸化水素を生成し、かつアルキルアントラキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを再生する。生じた過酸化水素は、次いで、抽出工程によって作動溶液から、例えば水を使用して分離され、過酸化水素は粗製水性過酸化水素溶液の形態で回収される。抽出工程を経た作動溶液は、次いで、過酸化水素製造サイクルを再開するため水素添加工程に再循環される。
用語「アルキルアントラキノン」は、例えば、1、2または3位が、少なくとも1個の炭素原子を含む直鎖状または分岐鎖状の脂肪族型の少なくとも1つのアルキル側鎖で置換された9,10−アントラキノンを意味するものである。これらのアルキル鎖は、通常、9個未満の炭素原子、好ましくは6個未満の炭素原子からなる。そのようなアルキルアントラキノンの例には、2−エチルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−sec−および2−tert−ブチルアントラキノン、1,3−、2,3−、1,4−および2,7−ジメチルアントラキノンおよび2−iso−および2−tert−アミルアントラキノン、およびこれらキノンの混合物がある。
用語「アルキルアントラヒドロキノン」は、上に明記された9,10-アルキルアントラキノンに相当する9,10-ヒドロキノンを意味するものである。
したがって、本発明はまた、過酸化水素の製造のためのアルキルアントラキノン法の水素添加工程における本発明の方法または装置の使用に関し、容器は水素添加反応器であり、固体粒子は水素添加触媒であり、気相は水素を含み、液相は水素添加された作動溶液である。
本発明のさらなる態様によれば、過酸化水素の調製のための方法が提供され、その方法には、以下の工程を含む。
a)水素添加反応容器内において、気相としての水素ガスを、固体触媒粒子の存在下で、少なくとも1種の有機溶剤および少なくとも1種のアントラキノン化合物を含む作動溶液と接触させ、液相としての水素添加された作動溶液を生成し、容器内部でガスリフト効果が起こり、固体粒子は液相内部で懸濁状態となるように、気相は液相を通過して上方に流れ、
b)本発明の方法により、または本発明の装置を使用することにより多相混合物から水素添加された作動溶液を含む液体を分離し、濃縮物を水素添加反応容器に再循環させ、
c)過酸化水素を形成するため工程b)から回収した水素添加された作動溶液を酸化させ、
d)水性媒体を用いて過酸化水素を抽出し、
e)任意選択で、抽出された水性過酸化水素溶液に安定剤を添加する。
公知のアントラキノン法およびその多数の改良物の概要は、“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”、 Fifth Edition、 1989、Volume 3、 pages 447−457に記載されている。特質的な方法の工程のそれぞれについて、Ullmannの参考文献は多数の異なる可能性を開示している。
本発明において、水素添加工程a)は、通常、45から80℃の温度で、および0.2から5barの圧力で実施される。前記工程a)において、水素は、通常、生成される過酸化水素1トンあたり650から750m/h(normal)の量で容器内に供給される。
上記に鑑み、本発明はまた、過酸化水素の製造のためのアルキルアントラキノン(1つまたは複数)法における本発明の方法および装置の使用に関する。
本発明を、それに対する範囲を限定することなく以下にさらに示す。
本例は図3に記載されるような装置に基づくものである。
本例において、容器(1)は水素添加反応器であり、多相混合物(2)は、固体相としての粒子の形態の水素添加触媒と、気相としての水素と、液相としての溶剤およびアントラキノン化合物からなる水素添加された作動溶液からなるものであった。多相混合物(2)内の固体粒子の濃度は46kg/mであった。気相(水素ガス)は、容器(1)の底部に配置されたガス入口(3)により供給された。ガスの流れおよび容器(1)内部の圧力は多相混合物(2)内の平均ガスホールドアップが15.5%になるようにされた。多相混合物(2)の65℃における見掛け密度は969kg/mであった。容器(1)の高さは35mであった。
容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環は、容器外部(1)の多相混合物(2)の一部をパイプおよび連結部(4)を介して外部脱ガス補助部(9)内に同伴した。外部脱ガス補助部(9)の出口において、多相混合物内の平均ガスホールドアップは5%であった。多相混合物(2)から分離されたガスはパイプおよび連結部(11)を介して容器(1)に再循環された。
部分的に脱ガスされた多相混合物は、クロスフローろ過器(5)中をパイプおよび連結部(10)を介して循環させた。クロスフローろ過器(5)は、「内圧」モードにより運転された。すなわち、多相混合物はろ過管内部を流れた。クロスフローろ過器(5)には、垂直方向に配置され、かつ三角形のピッチ配列(すなわち管のレイアウトまたはパターン)を有する60のろ過管が含まれた。ろ過管ピッチ(すなわち隣接する管の中心間距離)は52.5mmであった。ろ過管は25mmの内径および2152mmの濾過材長さを有した。
多相混合物の自然循環に加え、部分的に脱ガスされた多相混合物はクロスフローろ過器(5)に(クロスフローろ過器の入口の)ろ過管に沿って2.5m/sの接線速度で投入された。クロスフローろ過器の入口における、ろ過された液体のろ材通過速度は8.4m/hであった。クロスフローろ過器中を流れるストリームの総圧力損失は、50mbarであった。クロスフローろ過器のろ過材中の圧力損失は200mbarであった。
多相混合物の濃縮物は、クロスフローろ過器(5)の底部の管の内部から収集された。前記濃縮物は、パイプおよび連結部(7)を介して水素添加容器(1)に再循環された。ろ過された水素添加された作動溶液は、クロスフローろ過器(5)のシェル側のノズルから流れ(6)として収集された。
参照により本明細書中に組み込むいずれかの特許、特許出願および刊行物の開示が、用語を不明確にする恐れのあるほど本願の記載と矛盾する場合、本明細書の記載が優先する。
関連出願の相互参照
本願は、参照により本明細書中に組み込まれる、2009年6月5日発行の欧州特許出願公開第091620955号明細書の便益を主張するものである。
本発明は、容器内に収容され、かつ共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに懸濁液中を上方に流れる気相を含む多相混合物から液体を分離するための方に関する。本発明は、また、前記分離方法含む過酸化水素の製造のための方法に関する。
共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子と少なくとも1つの液相との混合物と、懸濁液中を上方に流れる気相を含む三相スラリー反応器は当業者に周知である。これらの反応器内では、固体触媒粒子は、液相中をバブリングされる気相により分散されるか、または液相内に懸濁した状態に維持される。動作時、前記反応器は、一般に、スラリー領域とフリーボード領域とを含み、スラリー領域は、液体に懸濁される固体粒子と、スラリー中をバブリングされる気体反応物と、スラリーの上方に位置し、主として気体生成物および/または反応物からなるフリーボード領域とからなる。
三相スラリー反応器内で実施される化学プロセスの例には、固体触媒粒子および少なくとも1つの気体反応物を使用して、反応状況下で液体の生成物を生成するものがある。そのようなプロセスの例には、水素添加法、ヒドロホルミル化、アルカノール合成、一酸化炭素を使用した芳香族ウレタンの調製、Koelbel−Engelhardt合成、ポリオレフィン合成、およびフィッシャートロプシュ合成を含む。
多相混合物から液体の少なくとも一部を分離するため多くの方法が提案されている。
例えば、欧州特許第0609079号明細書では、ろ過領域がその上面に近接するスラリー床内に配置されている。液体生成物は、濾過材中を第1の方向に通過させることにより固体粒子から分離されるため、固体粒子のケークが濾過材上に形成する。しかしながら、そのような全量ろ過は、ケークをフィルタリング材から取り除くために、フィルタリング材が第1の方向とは逆の第2の方向に定期的に逆流洗浄されることを示唆する。逆流洗浄のために使用される液体は、同じくろ過しなければならない余分な量となる。全体的なプロセスの生産性は逆流洗浄のためにしたがって低下する。
国際公開第94/16807号パンフレットでは、ろ過領域が反応容器を囲み、フィルタエレメントが、ろ材からなる、反応容器それ自体の壁の一部により設けられうる。そのような設計により、スラリーの乱流運動のために固体物質はフィルタエレメント上に蓄積されない。しかし、そのようなろ過システムは精巧なため高額であり、実施が困難である。さらに、そのような内部ろ過システムは、例えば、ろ過材に化学洗浄が必要な場合、保守のため容器が停止されることを示唆する。
米国特許第5,900,159号明細書では、液体サイクロンまたは特定の連続的な離脱法による分離を使用する多相混合物の脱ガス、およびそれに続く、生じたスラリーの、容器外部に配置されるクロスフローろ過器による、液体と濃縮スラリーへの分離を開示している。前記スラリーはポンプを介してクロスフローろ過器に運ばれる。クロスフローろ過システムのおもな利点は、ろ過材上への固体物質の蓄積が回避されることである。
クロスフローろ過は、残渣(保持液)が、フィルタに沿ってろ過材に対して十字流で流れるスラリーのシアーによりろ過材から連続的に除去される、周知のろ過方法である。シアーは、回転するフィルタまたは回転子などの回転要素により生成することができるが、シアーは、通常、スラリーの濾過材に対する相対速度により生成される。クロスろ過の全般的な概要は、参照により本明細書中に組み込む、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (2003)、 Chapter “Filtration”、 pages 383−388 (DOI 10.1002/0471238961.0609122019220118.a01.pub2)に記載されている。
米国特許第5,900,159号明細書の方法は、脱ガス手段とクロスフローろ過器との間にポンプの使用を必要とする。前記ポンプの使用に関する第1の欠点は、少なくともいくらかの固体粒子の摩耗、または粒子が摩耗に全く敏感でない場合、ポンプの腐食につながることである。第2の欠点は、ポンプがガスに敏感であり、ガスの存在下においてあまり適切に機能しない傾向にあることであり、これはポンプの上流におけるスラリーの完全な脱ガスを示唆する。第3の欠点はポンプがエネルギを消費することである。
本発明の目的は、上記の欠点のない新規な方法を提供することである。特に、本発明の目的は、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに懸濁液中を上方に流れる気相からなる多相混合物から、液体の分離を可能にする方を提供することである。
本発明は、したがって、容器内に含まれ、かつ共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに容器内部でガスリフト効果が起こるように懸濁液中を上方に流れる気相からなる多相混合物から液体を分離するための方法に関し、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる混合物の少なくとも一部は、容器外部に配置される少なくとも1つのクロスフローろ過器中を循環し、したがって、混合物の前記一部を、液体と濃縮物、すなわち液体を取り出した多相混合物の残余部分とに分離し、混合物の前記一部は、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環を使用するクロスフローろ過器中を循環し、ろ過材に沿ってろ過された液体を連続的に取り出した多相混合物の接線速度は、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度の400から2000倍である
実際、意外なことに、本発明の枠組みにおいて、クロスフローろ過器を通過して容器外部を循環する混合物の少なくとも一部を作製するため、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環を使用できることが判明している。スラリー反応器内でガスリフト効果が起こり、さらに上昇流と下降流間でガス滞留量の差が生じる。この差がこれら2つの領域間の密度差および容器内部のスラリーの自然再循環を生じさせる。本方法によれば、ガスリフト効果により生じる再循環は、クロスフローろ過システム内で十字流として使用される。パイプおよび連結部を介してクロスフローろ過システムを通過する下降流れの少なくとも一部の循環は、上昇流と下降流間の密度差と、多相混合物の高さと、ろ過システムの抵抗の関数である。
多相混合物をクロスフローろ過器中に循環させるポンプはしたがって必要なく、有利である。実際、これにより固体粒子の摩耗および/またはポンプの腐食が回避される。それにより、また、ポンプ上流における脱ガス工程の必要がなくなる。最後に忘れてはならないのが、それはいくらかの費用およびエネルギを節約になるということである。
特に好適な実施形態によれば、クロスフローろ過器中を循環する混合物の一部は容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環のみを使用して循環する。特に、混合物は、クロスフローろ過器上流のポンプを使用することなくクロスフローろ過器中を循環する。
本方法において、多相混合物の、容器から出る、および少なくとも1つのクロスフローろ過器を通過する(十字流)循環流は、少なくとも1つのクロスフローろ過器ならびにクロスフローろ過器供給パイプおよび排出パイプを含む外部回路を通過するそのような流量により得られた総圧力損失と、システム内で利用可能な総推進力間の平衡から、および特に特定の容器および工程条件に利用可能な総推進力から生じる。
利用可能な総推進力は、容器内に含まれる液相のガス滞留量および容器内の多相混合物の高さにより画定される。ガス滞留量は、いかなるガスも添加しない液相と、液相に気相を通過させた場合の、膨張した気液混合物の体積間の体積増加に相当する。本方法において、容器内のガス滞留量(すなわち容器内に含まれる液相のガス滞留量)は、通常少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、例えば少なくとも15%である。容器内のガス滞留量は可能な限り多くすることができるが、一般に多くて70%、特に多くて50%、およびさらに特に多くて30%である。ガス滞留量、したがって利用可能な総推進力は、おもに、容器の底部および上部のガス速度、ガス密度、容器内部の圧力などの動作条件、およびその表面張力、粘度および密度などの液体の物理的特性、および容器の幾何学的形状、特にその高さおよびその直径に依存する。特定の容器において、利用可能な実推進力は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量と比した、容器内部に含まれる多相混合物内のガス滞留量の割合に依存する。利用可能な推進力がより高くなることは、同じシステムが設置されていてもクロスフローろ過器を通過する十字流は速くなることを意味する。
したがって、利用可能な特定の総推進力において、循環流は、少なくとも1つのクロスフローろ過器ならびにクロスフローろ過器供給および排出パイプを含む外部回路の幾何学的形状に依存し、それがこの回路に関する圧力損失を決定する。
本発明の方法において、多相混合物内の固体粒子は、通常、少なくとも部分的に触媒粒子であり、多相混合物内にある液相は一般に少なくとも部分的に反応生成物であり、気相は通常少なくとも部分的に、例えば、水素、酸素、一酸化炭素等の合成ガスである。
本発明の方法において、多相混合物内にある固体粒子はガスおよび/または液体空塔速度によって容器内に懸濁状態に維持される。本方法において、気相は、多くの場合、反応器の底部において0.1m/sに等しいかまたは0.1m/sを超える、有利には0.1から1m/s、例えば0.1から0.5m/sの速度を有する。反応器の上部のガス速度は通常より低く、例えば0.02から0.1m/sである。固体粒子の最大可能平均粒度は、ガスおよび液体速度ならびに固体粒子と液体間の密度差にとりわけ依存しうる。通常、平均粒度は1mm以下、好ましくは600μm以下である。効率的なろ過を可能にするため、通常、平均粒度は1μmを超え、好ましくは5μmを超え、より好ましくは10μmを超える。好適な平均粒度は、通常10から600μm、好ましくは60から250μmである。摩耗のため、平均固体粒度は、粒子の動作時に時間と共に減少してもよい。所望であれば、触媒粒子と他の固体粒子の混合物、例えば、ガラスビーズなどの多孔性または非多孔性の固体、IIIB、IVB、VB族の無機酸化物、ランタニド類およびアクチニド類、珪藻土、キースラガーまたはゼオライトなどの不活性物質との混合物、または異なる密度、活量、生産性または選択性を有する、他の触媒的に活性な固体粒子との混合物を使用してもよい。他の固体粒子は、触媒粒子の平均粒度とは異なる平均粒度を有してもよい。
本発明に使用されるクロスフローろ過器は容器外部に配置される。前記クロスフローろ過器は、通常、1つまたは複数の管を含み、それぞれの管の壁の少なくとも一部はろ過材でできており、好ましくは管のほぼ全長がろ過材でできている。第1の実施形態において、多相混合物は管外部のクロスフローろ過器中を流れ、ろ過された液体は管内部を流れ、管内部に収集される(外圧)。第2の実施形態において、多相混合物は、管内部のクロスフローろ過器中を流れ、ろ過された液体は管外部で収集される(内圧)。この少なくとも1つの管が第1の実施形態により動作する場合(外圧)、それは水平にまたは垂直に、好ましくは水平に配置してもよい。少なくとも1つの管が第2の実施形態により動作する場合(内圧)、垂直方向に配置しなければならず、容器からの下降流れは下方に流れる。
本発明の方法において、多相混合物は少なくとも1つのクロスフローろ過器中を循環する。2つ以上のクロスフローろ過器がまた並列で配置されて存在してもよい。好ましくは、多相混合物は、並列で配置される1つより多いクロスフローろ過器、特に少なくとも3つのクロスフローろ過器、好ましくは少なくとも5つのクロスフローろ過器中を循環する。
本発明によれば、管の数は、通常少なくとも1、好ましくは少なくとも5、特に少なくとも10である。管の数を制限せず、300までとすることもできる。容器によっては、管の数は、250まで、特に200まで、例えば100と200の間でもよい。
クロスフローろ過器内にあるそれぞれの管の直径は、通常1から10cm、好ましくは1.5から5cm、例えば約2から3cmの範囲である。それぞれの管の長さは、クロスフローろ過器入口とクロスフローろ過器出口間の所望の圧力損失およびクロスフローろ過器の出口の濃縮物内の固体の所望の濃度に依存する。それぞれの管の長さは、1から10m、特に1から5m、例えば約2または3mであってもよい。
クロスフローろ過器内にある管のろ過材は、セラミックス、焼結ステンレス鋼などの多孔質金属などのあらゆる周知のろ過材またはその他でできていてもよい。例えば、ろ過材は、Rigismesh K(登録商標)(Pall社)、Poral(登録商標)(Federal Mogul社)、GKN Sinter MetalsまたはMott Metallurgical CorporationのHyPulse(登録商標)LSXから選択可能である。
本発明によれば、ろ過材の孔開口部は、前記粒子がいくらか摩耗した後でさえも粒子を大量に通過させないようなサイズを有する。したがって、粒子の平均サイズおよびそれらの粒径分布により、ろ過材の孔開口部は、0.1から100μm、好ましくは0.5から50μm、より好ましくは1から30μmの範囲内の直径を有するべきである。
本発明において、ろ過の推進力は通常ろ過材全体の圧力差である。ろ過材全体の圧力損失は、通常少なくとも0.05bar、特に少なくとも0.1barである。圧力損失は多くの場合、多くて10bar、特に10bar未満、特に多くて5barである。通常、ろ過材全体の圧力損失は、0.05から10bar、好ましくは0.05から10bar未満、より好ましくは0.1から5barの範囲内である。ろ過材および容器内部の圧力により、圧力損失は1から5barであってもよく、またはせいぜい1bar、特に1bar未満、例えば0.1から0.2barであってもよい。あらゆる理論に拘束されることなく、ろ過材全体の大きすぎる圧力損失、特に、10barを上回る圧力損失はファウリング、特にろ過材の重度のファウリングにつながる可能性がある。実際、高い圧力損失により、小さな粒子がろ過材内部に入り込み、ろ過材に沿ってろ過されるろ材の十字流により除去されない。
有利には、クロスフローろ過器の入口と出口間の多相混合物の圧力損失(すなわちクロスフローろ過器中を流れるストリームの圧力損失)はろ過材全体の圧力損失より小さい。クロスフローろ過器の入口と出口間の圧力損失は、通常、クロスフローろ過器を含む全外部回路の総圧力損失の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%である。実際、ろ過効率は、多相混合物の、クロスフローろ過器に沿う接線速度に関連する。したがって、外部回路(少なくとも1つのクロスフローろ過器およびその供給および排出パイプ)に沿う圧力損失が、クロスフローろ過器の入口と出口間に集中する場合に達成されうる、可能な限り速い接線速度を達成することが非常に望ましい。これは、例えば、クロスフローろ過器の供給および排出パイプの直径を大きくすることにより、ろ過管直径を小さくすることにより、および/またはろ過管長さを長くすることにより達成することができる。
連続的に液体を取り出した多相混合物の、クロスフローろ過器の濾過材に沿う接線速度は、利用可能な総推進力、および少なくとも1つのクロスフローろ過器ならびに供給および排出パイプを含む外部回路の幾何学的形状の関数である。本発明の方法において、前記接線速度は、通常0.5から6m/s、特に1から5m/s、例えば2から3m/sの範囲内である。より低いおよびより高い接線速度が可能であるが、6m/sを超える接線速度では、ろ過材を通過する液体の適度な流束を発生させるためろ過材全体の圧力損失を多少大きくすべきである。0.5m/s未満の接線速度では、シアーによってろ塊の除去を可能にするためろ過材全体の圧力損失を多少小さくすべきである。この低い圧力損失は、さらにはろ過材を通過する液体の流束の低下につながる。
本発明の方法によれば、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、好ましくは15m/hに等しいかまたは15m/h未満、好ましくは10m/hに等しいかまたは10m/h未満、例えば8m/hに等しいかまたは8m/h未満の値に維持される。ろ過された液体のろ材通過速度が前記閾値未満に維持される場合、濾過材の化学洗浄を何ら必要とすることなくろ過流を持続および維持することができる。したがって、ろ材通過速度は流束の維持に影響する。ろ材通過速度は、また、ろ過を行うことを可能にするためろ過材全体に最低限必要とされる圧力差に影響する。しかしながら、ほとんどの場合においてこれは制約要因ではない。ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、通常0.5m/hに等しいかまたは0.5m/hを超える、特に1m/hに等しいかまたは1m/hを超える、特に5m/hに等しいかまたは5m/hを超える。ろ過された液体のろ材通過速度の、前記値未満の値は、通常、同じ仕事量でも必要とされるろ過面が不必要に大きくなる可能性が高いため非効率な操作につながる。したがって、この発明のろ過システムは、経済的に実施不可能となる可能性があり、他の標準的なろ過システムに対してその利点を失う可能性が高い。ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、通常1から15m/h、好ましくは5から10m/hであってもよい。
本発明の方法の好適な実施形態において、ろ過された液体を連続的に取り出した多相混合物の、ろ過材に沿う接線速度は、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度700から1500倍、例えば約1000倍である。
クロスフローろ過管のろ過材を通過するろ過された液体の特定のろ材通過ろ過速度において、クロスフローろ過器の出口の濃縮物内の固体粒子の濃度およびクロスフローろ過器の入口と出口間の圧力損失は両方とも、管の長さを長くすることにより増加する。管の長さの制限は、システムの推進力である最大許容圧力損失により、およびクロスフローろ過器から出る濃縮物内の固体粒子の最大許容濃度により行われる。
本発明によれば、クロスフローろ過器ユニット内の特定の完全ろ過領域では、管の直径および数を変えることができる。クロスフローろ過器ユニット内において完全濾過材領域を得るため、管の直径を大きくし、かつそれらの数を減らすことよりもむしろ、管の数を増やし、かつその直径を小さくすることが特に有利である。あらゆる理論に拘束されることなく、それぞれの管内で必要とされる接線速度を生じさせることができる、多相混合物の、クロスフローろ過器ユニットに沿う、必要とされる流量の合計は、管の数を増やし、かつそれらの直径を小さくすると減少すると考えられる。クロスフローろ過器を通過する多相混合物の循環の推進力である、システムの利用可能な圧力損失の合計が反応器の幾何学的形状および工程条件により固定されるため、ろ過器ユニットに沿う総流を可能な限り少なく維持し、ろ過器外部で消費される圧力損失を減らすことが好ましい。クロスフローろ過器ユニット内の特定の完全濾過材領域では、また、管の長さを長くして、それらの数を減らすことが好ましい。実際、これは多相混合物の、クロスろ過器ユニットに沿う総流を減らし、次いで、ろ過器外部で消費される圧力損失を最小化する。これがまた、ろ過器ユニット容器の直径を小さくすることを可能にし、したがってその建設に必要とされる投資額も削減される。
本発明の特定の実施形態において、クロスフローろ過器はダイナミッククロスフローろ過器、すなわち回転要素を備えたクロスフローろ過器とすることができる。そのようなダイナミッククロスフローろ過器は、例えば、参照により本明細書中に組み込む、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (2003)、 Chapter “Filtration”、 pages 383−387 (DOI 10.1002/0471238961.0609122019220118.a01.pub2)に記載されている。そのようなダイナミッククロスフローろ過器において、ろ過材上の懸濁液の十字流はろ過材の近くに位置する回転要素により少なくとも部分的に発生するため、高い流体シアーが発生する。この高いシアーのクロスフローの高い速度勾配により固体がろ過材上に堆積物を形成することを防ぐ。同時に、懸濁液は、ろ過材近辺の高固体濃度の層を防ぐ回転要素により完全に混合される。例えば、回転するディスクまたは回転する円筒状の要素を使用することができる。ダイナミッククロスフローろ過器は、ろ液流量を2から10倍多くできるため、従来のクロスフローろ過器と比較してより高い歩留りが得られるという利点を有する。そのようなダイナミッククロスフローろ過器は、また、例えば、多相混合物内に存在しうる微粉、特に、特定の閾値未満のサイズを有する粒子を除去することにより粒子の分級を可能にするという利点を有するため、フィルタのファウリングおよびろ過材の逆洗の必要性がさらに低下する。そのような場合において、ろ液は、ろ過された液体および微粉(または規定された閾値未満のサイズを有する粒子)を含み、ろ過された液体を回収するためさらなる精製工程を必要とする。ダイナミッククロスフローろ過器の例には、直列で配置されるディスク形状のフィルタモジュール(固定子)および固定子間に挿入された回転子ディスクの集積であり、固定子ディスクにろ液のための排水路が設けられる、Bokela社のDyno Filter(登録商標)がある。
本発明の種々の実施形態において、クロスフローろ過器内の分離は、通常、反応容器内の多相混合物とほぼ同じ温度で実施される。この分離は、一般に、反応容器内に印加されるのとほぼ同じ圧力で実施される。
本発明によるクロスフローろ過は多くの固液分離の問題に適用できる。フィルタのファウリング(ろ塊蓄積)を最小化するという利点を有する。ろ過材の逆洗は、したがって、かなり低減されるか、またはさらには抑えられる。
本発明では、多相混合物は、クロスフローろ過器の出口において、ろ過された液体と濃縮物とに分離される。「濃縮物」とは、多相混合物の残余部分、すなわち液体を取り出した、または固体粒子および任意選択でガスが濃縮された多相混合物を意味する。クロスフローろ過器を出る濃縮物は、5から35体積%、特に10から20体積%の固体粒子濃度(最終濃度)を有しうる。従来の(管状)クロスフローろ過器が使用される場合、最終濃度は、例えば10から20体積%であってもよい。ダイナミッククロスフローろ過器が使用される場合、最終濃度は、例えば50体積%まで、例えば65体積%までであってもよい。ろ過された液体が純粋反応生成物である場合、最終生成物として収集することができる。ろ過された液体が一部のみ反応生成物である場合、残りの液体から反応生成物を分離するため吸着または蒸留などのさらなる公知の分離工程を要してもよい。本発明の方法の好適な実施形態において、濃縮物の少なくとも一部は容器に戻される。これは固体粒子の少なくとも一部が容器内で実施される工程においてなお活性な触媒粒子である場合に特に好適である。濃縮物の循環は、容器内部にある粒子の、スラリー内における懸濁状態の維持に寄与してもよい。
本発明のさらなる実施形態において、容器内に含まれる多相混合物の少なくとも一部は、少なくとも1つのクロスフローろ過器中を循環される前に少なくとも部分的に脱ガスされる。実際、利用可能な実推進力は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量と比した、容器内部に含まれる多相混合物内のガス滞留量の割合に依存するため、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量を減らすと、利用可能な実推進力の増加につながり、容器外部およびクロスフローろ過器内部の多相混合物の循環に好都合となり有利である。
前記脱ガスは、いかなる特定の追加手段もなく容器の上部で自然に発生してもよい。内部および/または外部脱ガス補助部を、下降流、および特にクロスフローろ過器を通過して送られる流れへのガス巻込みを制限するためにも使用してよい。そのような内部および/または外部脱ガス補助部は、通常、容器内に含まれる多相混合物内にあるガスの気泡サイズ分布が、容器内部で十分な、自然な脱ガスが起こらないようなものである場合に必要となる。当技術分野において公知のあらゆる外部または内部脱ガス補助部または機器または設計を使用してもよい。内部補助の例にはバッフルの使用がある。外部補助の例には、多相混合物の空塔速度を減少し、したがってガスの少なくとも一部を分離させ、独立したパイプを介して容器に戻ることを可能にする、パイプ径または外部室の拡張がある。
好適な実施形態において、容器内に含まれる多相混合物は、少なくとも部分的に脱ガスされる、好ましくは、クロスフローろ過器を含む外部回路中を循環される前に、特に図2に示されるものなどの内部反応器アセンブリ、すなわち液体と気相間に実質的に完全な分離を設ける、円筒状の部分(8b)を覆う円錐形の部分(8a)を含む、内部補助部を使用してほぼ完全に脱ガスされる。この好適な実施形態によれば、容器内に含まれる多相混合物(液体+気体+固体)は容器内部を上方に流れ、円形のバッフル(8)の円錐形の部分(8a)に達すると、直径の制限により運動エネルギおよび流体の軸方向運動量の増加が促進される。前記運動量の上昇後、円形のバッフル(8)の円筒状の部分(8b)は、流体ジェットを促進するよう作用し、脱ガス位置(9)の内部領域(9a)内、すなわち円形のバッフル(8a)の円筒状の部分の上方の、容器の上部に、より高い軸方向速度を有するコアが生成される。脱ガス位置の外部領域(9b)内、すなわち円形のバッフル(8a)の円筒状の部分の側部上の、容器の上部に、脱ガスされた混合物の下向きの流れが反応器の出口ノズルおよび少なくとも1つのクロスフローろ過器(5)に供給するパイプおよび連結部(4)に流れる。触媒が脱ガス補助部の円筒状の部分(8a)上に堆積することを避けるため、触媒の一部が流下して容器内に戻るよう、いくつかの開口部が脱ガス補助部の円筒状の部分(8a)、通常脱ガス補助部と容器間の接合部に近い、特に前記脱ガス補助部の最も低い部分に設けられてもよい。別の実施形態において、多相混合物(容器反応器の内部、すなわち上昇流にある)から反応器の出口ノズルならびにパイプおよび連結部(4)に直接進むガス気泡の短絡を避けるため開口部の下にバッフルが据え付けられてもよい。
本発明の方法は、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物から液体を分離するための装置において実施され、前記装置は、
多相混合物を含み、容器の底部にガス入口および容器の上部に任意のガス出口を備え、気相は容器内部でガスリフト効果が起こるように懸濁液中を上方に流れる容器と、
任意選択で、容器内部または外部に配置される脱ガス補助部と、
容器外部に配置される少なくとも1つのクロスフローろ過器と、
供給および排出パイプならびに容器をクロスフロー濾過器に連結する連結部であって、前記パイプおよび連結部は、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる混合物の少なくとも一部が、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然な再循環を使用してクロスフローろ過器中を循環するように設計される供給および排出パイプならびに連結部と、を含む。
本発明の特に好適な実施形態において、容器をクロスフローろ過器(供給および排出パイプ)に連結するパイプおよび連結部は、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる混合物の少なくとも一部が、容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環のみを使用するクロスフローろ過器中を循環するように設計される。特に、本発明において使用される装置は、容器の混合物出口とクロスフローろ過器の入口との間にいかなる手段も含まず、特に、本発明において使用される装置はクロスフローろ過器上流にポンプを含まない。
本発明によれば、容器の幾何学的形状および動作条件は、通常、容器内のガス滞留量が少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%となるように設計される。容器内のガス滞留量は可能な限り高くすることができるが、一般に、容器の幾何学的形状および動作条件は、容器内のガス滞留量は多くて70%、特に多くて50%、およびさらに特に多くて30%になるように設計される。容器の幾何学的形状は、おもにその高さおよびその直径を含む。動作条件は、おもに容器の底部および上部のガス速度、ガス密度、容器内部の圧力、およびその表面張力、粘度および密度などの液体の物理的特性を含む。容器内のガス滞留量が利用可能な総推進力を画定し、それがさらには少なくとも1つのクロスフローろ過器を通過する多相混合物の循環を生じさせる。
特に、本発明のパイプおよび連結部は、外部回路に相当するクロスフローろ過器と組み合わせて、利用可能な総推進力が、関連する圧力損失が前記推進力に一致するようにシステムを通過する流れを生じるよう設計される。したがって、そのような流れは、クロスフローろ過器の濾過材に沿って連続的に液体を取り出した多相混合物の0.5から6m/sの範囲内の接線速度を生じる。本発明において、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、好ましくは15m/hに等しいかまたは15m/h未満、好ましくは10m/hに等しいかまたは10m/h未満、例えば8m/hに等しいかまたは8m/h未満、および通常0.5m/hに等しいかまたは0.5m/hを超える、特に1m/hに等しいかまたは1m/hを超える、特に5m/hに等しいかまたは5m/hを超える値に維持される。ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度は、通常1から15m/h、好ましくは5から10m/hであってもよい。
有利には、本発明のパイプおよび連結部は、容器の設計および動作条件ならびにクロスフローろ過器設計と組み合わせて、いずれの特定の管のろ過材のいずれの特定の箇所においても、ろ過材に沿ってろ過された液体を連続的に取り出した多相混合物の接線速度が、ろ過材を通過するろ過された液体のろ材通過速度の400から2000倍、好ましくは700から1500倍、例えば約1000倍になるように設計される。
特定の容器において、利用可能な実推進力は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量と比した、反応器内部に含まれる多相混合物内のガス滞留量の割合に依存する。したがって、上記されたものなどの内部および/または外部の機械的脱ガス補助部は、クロスフローろ過器に供給される多相混合物内のガス滞留量を低減し、したがって利用可能な実推進力を増加させるため、本発明の方法を向上させることができる。
本発明の好適な実施形態において、クロスフローろ過器は、クロスフローろ過器に供給し、容器の上部であるが、なお多相混合物の上部の下に位置する、容器の出口に相当する少なくとも1つのパイプおよび/または連結部を介して容器に連結される。特に好適な実施形態において、クロスフローろ過器は、1つが、クロスフローろ過器に供給し、容器の上部であるが、なお多相混合物の上部の下に配置される容器の出口に相当し、もう1つがクロスフローろ過器の出口から濃縮物を供給され、容器の下部に配置される容器の入口に相当する、少なくとも2つのパイプおよび/または連結部を介して容器に連結される。通常、前記出口と入口は、容器内部にある多相混合物の高さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%に相当する高さだけ離される。
さらに別の好適な実施形態において、クロスフローろ過器には逆パルスシステムが備えられる。逆パルスは、ろ過材を通過するろ過された液体の流束の方向の瞬間的な変化(逆流束)であり、ろ過材に堆積する粒子の除去を可能にする。有利には、逆パルスシステムは、パルス挙動を向上させ、かつパルス流体の少ない消費を達成し、ならびに高効率のろ過材洗浄を達成するよう設計されるオンライン洗浄装置である。例えば、逆パルスシステムは、クロスフローろ過器から取り出されるろ過された液体の一部がろ過された液体の主流から分離され、逆パルス液体として使用されるように設計してもよい。ろ過された液体の主流から分離されるろ過された液体の量は、逆流システム設計と、逆パルスの周波数と、特にクロスフローろ過器の設計に依存するが、通常0.5から10体積%、特に1から5体積%、例えば約2.5体積%である。逆パルスの周波数および総パルス時間は、逆流システムの設計、特にクロスフローろ過器の設計に依存するが、逆パルスの周波数は、通常、1分あたり0.1から10パルス、好ましくは1分あたり0.5から5パルス、有利には1分あたり約1パルスであり、約1秒の総パルス時間が一般に使用されている。逆パルス圧力は、ろ過材を通過するろ過された液体のろ過力よりも、通常1.5から10倍、好ましくはろ過力の2から5倍高い。
並列で配置される2つのクロスフローろ過器の使用に基づく本発明の方の実施形態が図1に示される。内部および外部脱ガス補助部の例が図2および図3に示される。本発明の方に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の機構が図4に示される。逆パルスシステム設計の例が図5に示される。
並列で配置される2つのクロスフローろ過器の使用に基づく本発明の方法の実施形態を示す。 内部脱ガス補助部の例を示す。 外部脱ガス補助部の例を示す。 本発明の方法に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の機構を示す。 本発明の方法に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の機構を示す。 ろ過管の詳細を示す。 逆パルスシステム設計の例を示す。
図1は、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物(2)を含む容器(1)の全体的な工程図を示し、気相は容器(1)の底部に配置されたガス入口(3)により供給され、多相混合物はパイプおよび連結部(4)を通過して流れ、垂直に配置される管を含むクロスフローろ過器(5)を通過して下方へ循環する。クロスフローろ過器(5)内において、多相混合物(2)は、クロスフローろ過器(5)から収集されるろ過された液体(6)と、パイプおよび連結部(7)を介して容器(1)に再循環される濃縮物(7)とに分離される。
図2は、図1の装置に類似するが、円筒状の部分(8b)を覆う円錐形の部分(8a)を含む円形のバッフル(8)の形態の内部脱ガス補助部を含む装置を記載する。この特定の実施形態によれば、多相混合物(2)は容器内部を上方に流れ、円形のバッフル(8)の円錐形の部分(8a)に達すると、直径の制限が、運動エネルギおよび流体の軸方向運動量の増加を促進する。前記運動量の上昇後、円形のバッフル(8)の円筒状の部分(8b)は、流体ジェットを促進するよう作用し、より高い軸方向速度を有するコアが脱ガス位置(9)の内部領域(9a)、すなわち円形のバッフル(8a)の円筒状の部分の上方の容器の上部に生成される。この少なくとも部分的に脱ガスされる多相混合物は、脱ガス位置の外部領域(9b)内のバッフル(8)の外部を流下する。図1のように、この少なくとも部分的に脱ガスされた多相混合物はパイプおよび連結部(4)を通過して流れ、クロスフローろ過器(5)を通過して下方へ循環し、クロスフローろ過器(5)から収集されるろ過された液体(6)と、パイプおよび連結部(7)を介して容器(1)に再循環される濃縮物(7)とに分離される。
図3は、図1の装置に類似するが、1つのクロスフローろ過器(5)のみを含み、かつ外部脱ガス補助部(9)を含む装置を示す。この他の特定の実施形態によれば、多相混合物(2)は、多相混合物(2)内に含まれるガスの少なくとも一部が分離され、パイプおよび連結部(11)を通って容器(1)に再循環される外部室に相当する外部脱ガス補助部(9)内に、パイプおよび連結部(4)を介して流れる。少なくとも部分的に脱ガスされた多相混合物はパイプおよび連結部(10)を通って流れ、クロスフローろ過器(5)を通過して下方へ循環し、クロスフローろ過器(5)から収集されるろ過された液体(6)と、パイプおよび連結部(7)を介して容器(1)に再循環される濃縮物(7)とに分離される。
図4aおよび4bは、本発明の方に適した「内圧」式で動作するクロスフローろ過器の方式である。単管(図4a)および多管(図4b)クロスフローろ過器の2つのタイプが示される。図4cはろ過管の詳細を示す。図4aおよび図4bの両方において、クロスフローろ過器(5)は、ろ過管シート(12)内に1つまたはいくつかのろ過管(13)を含む。1つより多い管がある場合、それらを種々のピッチ(すなわち管のレイアウトまたはパターン)、例えば、三角ピッチ(14)で配置することができる。多相混合物は、パイプおよび連結部(10)を通り、クロスフローろ過器(5)および特にろ過管(13)内部を通過して下方に流れる。ろ過管(13)に流れる多相混合物は、ろ過された液体がろ過材(15)中を流れる際、継続的に液体が取り出されて濃縮物になる。連続的に液体を取り出した多相混合物(または濃縮物)は、矢印(16)として示される接線速度でろ過材(15)に沿ってろ過管(13)内部を流れる。濃縮物は、クロスフロー濾過器(5)の底部のろ過管の内部からパイプおよび連結部(7)を介して収集される。ろ過された液体は、矢印(17)として示されるろ材通過速度でろ過材(15)を通過して流れ、クロスフローろ過器(5)のシェル部分内に収集され、シェル側部(6)上のノズルから出される。
図5は、ろ過された液体(6)がパイプ(18)を通過して、かつバルブ(19)を通過してクロスフローろ過器を出る逆パルスシステム設計の例である。ろ過された液体(6)は、主流(20)と流れ(21)とに分離され、逆パルスシステム(逆流流体)のための供給タンクとしての役割を果たすバッファタンク(22)に供給される。ポンプ(23)は、逆流流体をバッファタンク(22)から逆パルス容器(24)に押し出す。逆パルス容器(24)は窒素などの不活性ガスで加圧されるため、通常、約50%が逆流流体で満たされ、容器の上部は不活性ガスを含む。逆パルスバルブ(25)が開くと、逆パルス容器(24)内部でガスの急激な膨張が生じ、それが大量の瞬間的な液体の流れを、容器(24)から、パイプ(18)を通じて、クロスフローろ過器(5)へと促す。効果的な逆パルスを促進するため、すべての逆流をクロスフィルタに押しやるため逆パルスバルブ(25)を開く前にバルブ(19)を閉める必要がある。好ましくは、バルブはろ過器の動作を最大化し、かつ逆流流体の消費を最小化するため高速作動バルブである。図5によれば、逆パルスの順序は以下の通りである。(a)バルブ(19)を閉じ、(b)逆パルスバルブ(25)を開き、(c)逆パルスバルブ(25)を閉じ、(d)バルブ(19)を開く。
本発明は、また、共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物から液体を分離するための本発明の方の使用に関する。
本発明の好適な実施形態において、上記の方法および装置は、過酸化水素製造のためのアントラキノン(またはAO)ループ法に使用される。
語句「アルキルアントラキノン法」とは、少なくとも1種のアルキルアントラキノンおよび/または少なくとも1種のテトラヒドロアルキルアントラキノンの作動溶液を、希釈液中で水素添加工程に供し、1種または複数種のアルキルアントラヒドロキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを生成することからなる、水性過酸化水素溶液を生成するための方法を意味するものである。水素添加工程を経た作動溶液は、次いで、酸素、空気または酸素富化空気を用いた酸化に供され、過酸化水素を生成し、かつアルキルアントラキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを再生する。生じた過酸化水素は、次いで、抽出工程によって作動溶液から、例えば水を使用して分離され、過酸化水素は粗製水性過酸化水素溶液の形態で回収される。抽出工程を経た作動溶液は、次いで、過酸化水素製造サイクルを再開するため水素添加工程に再循環される。
用語「アルキルアントラキノン」は、例えば、1、2または3位が、少なくとも1個の炭素原子を含む直鎖状または分岐鎖状の脂肪族型の少なくとも1つのアルキル側鎖で置換された9,10−アントラキノンを意味するものである。これらのアルキル鎖は、通常、9個未満の炭素原子、好ましくは6個未満の炭素原子からなる。そのようなアルキルアントラキノンの例には、2−エチルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−sec−および2−tert−ブチルアントラキノン、1,3−、2,3−、1,4−および2,7−ジメチルアントラキノンおよび2−iso−および2−tert−アミルアントラキノン、およびこれらキノンの混合物がある。
用語「アルキルアントラヒドロキノン」は、上に明記された9,10-アルキルアントラキノンに相当する9,10-ヒドロキノンを意味するものである。
したがって、本発明はまた、過酸化水素の製造のためのアルキルアントラキノン法の水素添加工程における本発明の方の使用に関し、容器は水素添加反応器であり、固体粒子は水素添加触媒であり、気相は水素を含み、液相は水素添加された作動溶液である。
本発明のさらなる態様によれば、過酸化水素の調製のための方法が提供され、その方法には、以下の工程を含む。
a)水素添加反応容器内において、気相としての水素ガスを、固体触媒粒子の存在下で、少なくとも1種の有機溶剤および少なくとも1種のアントラキノン化合物を含む作動溶液と接触させ、液相としての水素添加された作動溶液を生成し、容器内部でガスリフト効果が起こり、固体粒子は液相内部で懸濁状態となるように、気相は液相を通過して上方に流れ、
b)本発明の方法により多相混合物から水素添加された作動溶液を含む液体を分離し、濃縮物を水素添加反応容器に再循環させ、
c)過酸化水素を形成するため工程b)から回収した水素添加された作動溶液を酸化させ、
d)水性媒体を用いて過酸化水素を抽出し、
e)任意選択で、抽出された水性過酸化水素溶液に安定剤を添加する。
公知のアントラキノン法およびその多数の改良物の概要は、“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”、 Fifth Edition、 1989、Volume 3、 pages 447−457に記載されている。特質的な方法の工程のそれぞれについて、Ullmannの参考文献は多数の異なる可能性を開示している。
本発明において、水素添加工程a)は、通常、45から80℃の温度で、および0.2から5barの圧力で実施される。前記工程a)において、水素は、通常、生成される過酸化水素1トンあたり650から750m/h(normal)の量で容器内に供給される。
上記に鑑み、本発明はまた、過酸化水素の製造のためのアルキルアントラキノン法における本発明の方の使用に関する。
本発明を、それに対する範囲を限定することなく以下にさらに示す。
本例は図3に記載されるような装置に基づくものである。
本例において、容器(1)は水素添加反応器であり、多相混合物(2)は、固体相としての粒子の形態の水素添加触媒と、気相としての水素と、液相としての溶剤およびアントラキノン化合物からなる水素添加された作動溶液からなるものであった。多相混合物(2)内の固体粒子の濃度は46kg/mであった。気相(水素ガス)は、容器(1)の底部に配置されたガス入口(3)により供給された。ガスの流れおよび容器(1)内部の圧力は多相混合物(2)内の平均ガスホールドアップが15.5%になるようにされた。多相混合物(2)の65℃における見掛け密度は969kg/mであった。容器(1)の高さは35mであった。
容器内部で起こるガスリフト効果により生じる自然再循環は、容器外部(1)の多相混合物(2)の一部をパイプおよび連結部(4)を介して外部脱ガス補助部(9)内に同伴した。外部脱ガス補助部(9)の出口において、多相混合物内の平均ガスホールドアップは5%であった。多相混合物(2)から分離されたガスはパイプおよび連結部(11)を介して容器(1)に再循環された。
部分的に脱ガスされた多相混合物は、クロスフローろ過器(5)中をパイプおよび連結部(10)を介して循環させた。クロスフローろ過器(5)は、「内圧」モードにより運転された。すなわち、多相混合物はろ過管内部を流れた。クロスフローろ過器(5)には、垂直方向に配置され、かつ三角形のピッチ配列(すなわち管のレイアウトまたはパターン)を有する60のろ過管が含まれた。ろ過管ピッチ(すなわち隣接する管の中心間距離)は52.5mmであった。ろ過管は25mmの内径および2152mmの濾過材長さを有した。
多相混合物の自然循環に加え、部分的に脱ガスされた多相混合物はクロスフローろ過器(5)に(クロスフローろ過器の入口の)ろ過管に沿って2.5m/sの接線速度で投入された。クロスフローろ過器の入口における、ろ過された液体のろ材通過速度は8.4m/hであった。クロスフローろ過器中を流れるストリームの総圧力損失は、50mbarであった。クロスフローろ過器のろ過材中の圧力損失は200mbarであった。
多相混合物の濃縮物は、クロスフローろ過器(5)の底部の管の内部から収集された。前記濃縮物は、パイプおよび連結部(7)を介して水素添加容器(1)に再循環された。ろ過された水素添加された作動溶液は、クロスフローろ過器(5)のシェル側のノズルから流れ(6)として収集された。
参照により本明細書中に組み込むいずれかの特許、特許出願および刊行物の開示が、用語を不明確にする恐れのあるほど本願の記載と矛盾する場合、本明細書の記載が優先する。

Claims (15)

  1. 容器内に含まれ、かつ共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに前記容器内部でガスリフト効果が起こるように前記懸濁液中を上方に流れる気相からなる多相混合物から液体を分離するための方法であって、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる前記混合物の少なくとも一部は、前記容器外部に配置される少なくとも1つのクロスフローろ過器中を循環し、したがって前記混合物の前記一部を、ろ過された液体と濃縮物とに分離し、前記混合物の前記一部は、前記容器内部で起こる前記ガスリフト効果により生じる自然再循環を使用して前記クロスフローろ過器中を循環する、方法。
  2. 共に少なくとも1つの懸濁液を形成する固体粒子および少なくとも1つの液相ならびに気相からなる多相混合物から液体を分離するための装置であって、
    前記多相混合物を含み、前記容器の底部にガス入口および前記容器の上部にガス出口を備え、前記気相は前記容器内部でガスリフト効果が起こるように前記懸濁液中を上方に流れる、容器と、
    任意選択で、前記容器内部または外部に配置される脱ガス補助部と、
    前記容器外部に配置される少なくとも1つのクロスフローろ過器と、
    供給および排出パイプならびに前記容器を前記クロスフロー濾過器に連結する連結部であって、前記パイプおよび連結部は、任意選択で、少なくとも部分的に脱ガスされる前記混合物の少なくとも一部が、前記容器内部で起こる前記ガスリフト効果により生じる前記自然再循環を使用して前記クロスフローろ過器中を循環するように設計される、供給および排出パイプならびに連結部と、
    を含む、装置。
  3. 前記クロスフローろ過器は、少なくとも1つの管を含み、前記管の壁の少なくとも一部はろ過材でできている、請求項1または2に記載の方法または装置。
  4. 前記容器内のガス滞留量は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法または装置。
  5. 前記ろ過材全体の圧力損失は、0.05から10bar、好ましくは0.05から10bar未満、より好ましくは0.1から5barである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法または装置。
  6. 前記ろ過材を通過する前記ろ過された液体のろ材通過速度は、1から15m/h、好ましくは5から10m/hである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法または装置。
  7. 前記ろ過される混合物は、前記少なくとも1つの管の外部の前記クロスフローろ過器を通過して流れ、前記ろ過された液体は前記管内部で収集され、前記少なくとも1つの管は水平または垂直、好ましくは水平に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法または装置。
  8. 前記ろ過される混合物は、前記少なくとも1つの管の内部の前記クロスフローろ過器を通過して流れ、前記ろ過された液体は前記管の外部で収集され、前記クロスフローろ過器内に含まれる前記少なくとも1つの管は、垂直方向に配置され、前記ろ過される混合物は下方に流れる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法または装置。
  9. いずれの管の前記ろ過材のいずれの箇所において、前記ろ過材に沿う前記濃縮物の前記接線速度は、前記ろ過材を通過する前記ろ過された液体の前記ろ材通過速度の400から2000倍、好ましくは700から1000倍である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法または装置。
  10. 前記クロスフローろ過器はダイナミッククロスフローろ過器である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法または装置。
  11. 前記濃縮物は前記容器内に再循環される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法または装置。
  12. 前記クロスフローろ過器の上流において、前記ろ過される混合物は少なくとも部分的に脱ガスされる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法または装置。
  13. 固体粒子と、少なくとも1つの液相と、気相とからなる多相混合物から液体を分離するための請求項1から12のいずれか一項に記載の方法または装置の使用。
  14. 前記容器は水素添加反応器であり、前記固体粒子は水素添加触媒であり、前記気相は水素を含み、前記液相は前記水素添加された作動溶液である、過酸化水素の前記製造のためのアルキルアントラキノン法の前記水素添加工程における請求項1から13のいずれか一項に記載の方法または装置の使用。
  15. 過酸化水素の調製のための方法であって、
    a)水素添加反応容器内において、気相としての水素ガスを、固体触媒粒子の存在下で、少なくとも1つの有機溶剤および少なくとも1つのアントラキノン化合物を含む作動溶液と接触させ、液相としての水素添加された作動溶液を生じさせ、前記容器内部でガスリフト効果が起こり、前記固体粒子は前記液相内部で懸濁状態となるように、前記気相は前記液相を通過して上方に流れる工程と、
    b)請求項1または3から12に記載の方法により、または請求項2から12に記載の装置を使用することにより、前記多相混合物から前記水素添加された作動溶液を含む前記液体を分離し、かつ前記濃縮物を前記水素添加反応容器に再循環させる工程と、
    c)過酸化水素を形成するため、工程b)から前記回収した水素添加された作動溶液を酸化させる工程と、
    d)水性媒体を用いて前記過酸化水素を抽出する工程と、
    e)任意選択で、前記抽出された水性過酸化水素溶液に安定剤を添加する工程と、
    を含む、方法。
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