JP2015535690A - ミトコンドリア毒性試験 - Google Patents

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Abstract

薬物スクリーニングの新規な方法。該方法はミトコンドリアに対する物質の効果、薬物物質又は薬物候補物質の顕著な毒性効果又は有益な効果を試験するのに有用である。該方法は、活性ヒトミトコンドリアをex vivoでありながら、可能な限りin vivoに近い設定で測定することに基づく。該方法は、物質のミトコンドリア呼吸に与える影響を試験することにも有用である。該方法は、下記の用途で使用可能である:i)健康な個人から採取した血液に由来する細胞、又は血小板及び白血球細胞の濃縮された溶液、いわゆるバフィーコートにおいて初期又は後期段階の薬物候補をスクリーニングし、かつ選択すること、ii)既知のミトコンドリア毒性物質に対する患者の感受性を試験すること、iii)臨床試験においてミトコンドリアに対する薬物の毒性を分析すること、及び/又は、iv)ミトコンドリア機能を改善することを意図する薬物の有益な効果を分析すること。【選択図】 図13

Description

本願発明は、薬物スクリーニングに有用な新規方法を提供する。特に該方法はミトコンドリアに対する物質の効果、薬物物質又は薬物候補物質の顕著な毒性や有益な効果を試験するのに有用である。該方法は活性ヒトミトコンドリアをex vivoで測定することを礎とするが、可能な限りin vivoに近い設定で測定する。該方法はミトコンドリア呼吸に対する物質の影響を試験することにも有用である。
薬物開発においては、ヒトに使用された場合に、薬物がエネルギーを産生するミトコンドリアに影響するかどうか評価することは困難である。近年、FDAにより認可された多くの新薬は、後に心臓毒性又は肝臓毒性のような毒性効果のために取り下げられてきた。そのため、1994年から2006年の間にFDAにより登録された新薬について、38種の薬物がミトコンドリア毒性の典型的症状である肝臓及び心臓への毒性効果が原因で取り下げられている。明らかに、これら新薬は認可前に実施された標準的な毒性試験に合格しており、毒性効果は、多くの患者にそれら薬物が処方された後にのみ観察された。Dykens及びWillの文献(2007)は、市場から回収され厳しい制約の下でのみ再導入されたいくつかの薬物物質の毒性において、ミトコンドリアの異常が一つの役割を果たすことが、証拠から示されると、指摘している。
さらに近年、ミトコンドリアの機能には多くの関心が寄せられており、ミトコンドリアの異常は多くの病気(例えば、筋疾患、神経疾患、心筋疾患、脳障害、敗血症に誘導される多臓器異常)の病理に寄与する因子であると一般に信じられている。
現在、薬物候補のミトコンドリア毒性は主として、動物や培養細胞において評価されており、その結果を将来的なヒトへの使用として解釈することは困難である。
そのため、高感度で再現性がよく、信頼性が高くて簡便であり、かつ薬物開発試験に使用できるミトコンドリアへの毒性試験を開発することの要望がある。
(発明の詳細な説明)
本願発明はミトコンドリアを含むヒト血液構成要素を伴う方法に関する。該開発された方法の利点は、薬物の毒性(又は有益な効果)の活性ヒトミトコンドリアを用いたex vivoでの測定であるが、可能な限りin vivoの状況に近い測定である。ミトコンドリアを含むヒト血液の構成要素(白血球及び/又は血小板)を血漿中で調べる。ここではin vivoとの密接な関係が提供される。そのため、すべての緩衝容量、血清アルブミン、電解質、加水分解酵素などは測定中存在する。
該新規な方法は、ヒトにおける実際的な毒性物血中濃度の評価に直接結びつく。これは、使用されている現在の方法である、培養細胞実験又は動物実験では不可能である。そのため、候補薬物物質について現在可能な段階よりずっと早期の段階で、ヒトへの毒性を試験し、かつスクリーニングすることが可能となる。同様に、このことは、毒性を有する薬物候補を早い段階で排除することを可能とし、結果として多くの動物実験や将来的なヒトの苦しみを回避する。それは候補薬物物質の選択を早い段階で行うことを促し、結果として全体にかかる時間と薬物開発にかかる費用を少なくするであろう。
該方法は、該方法の目的に応じた設備の変動に伴う異なる設定下においても、使用することができる:
そのため、範囲をそこに限定することなく、本願発明の該方法は以下の用途で使用することができる。
1.健常者からの血液由来の細胞における、又はいわゆるバフィーコート、つまり血小板及び白血球細胞が濃縮された液体において、初期、又は後期段階の薬物候補のスクリーニング、及び選択すること。
2.既知のミトコンドリア毒性物質に対する患者の感受性を試験すること。
3.臨床試験においてミトコンドリア毒性を分析すること。
4.ミトコンドリア機能を改善することを意図する薬物の有益な効果を分析すること。
潜在的薬物候補のスクリーニングと選択又はミトコンドリアに作用する物質に対するヒトの感受性の試験(すなわち、前記項目1、及び2)に適した方法は、
i)ヒト血液サンプルより単離された活性ミトコンドリアを含む細胞サンプルを高解像度の呼吸計測にかけること、
ii)該細胞サンプルをミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質と接触させること、
iii)ビヒクル中に試験物質を含む試験サンプルを加えること、
iv)該試験サンプルを加える前と後の酸素消費量の比較、及び該試験サンプルの酸素消費量とビヒクル中の対照サンプルの酸素消費量との比較を行うこと;ここで酸素消費量の減少はミトコンドリアに対する負の効果を示す、
v) iii)で得られたサンプルをロテノンのようなミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤と接触させ、複合体II−基質の酸化に依存する細胞呼吸を明らかにすること、及び
vi) v)で得られたサンプルをアンチマイシン-Aのようなミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤と接触させ、該サンプルの自動酸化のようなミトコンドリア非依存的な酸素消費活性を決定すること、を含む。
潜在的薬物候補をスクリーニングし、かつ選択する、又はミトコンドリアに影響する物質へのヒトの感受性を試験する(上記の項目1、及び2)ための代替のプロトコルは、複合体IIスクリーニングアッセイにおいて、そのような試験物質の効果を調べることである。そのような方法は図11に図示され、かつ
i)ヒト血液サンプルから単離された活性ミトコンドリアを含む細胞サンプルを高解像度の呼吸計測にかけること、
ii)該細胞サンプルを複合体I呼吸を阻害する物質と接触させること、
iii)ビヒクル中に試験物質を含む試験サンプルを加えること、
iv)細胞膜を透過する物質を加えること、
v) 参照物質をiv)で得られたサンプルに加えること、及び
v)複合体III呼吸を阻害する物質を加えること、を含む。
前記試験結果を、用いた試験物質が参照物質と同じものである、前記方法で得られた結果と比較する。典型的な結果を図11に示す。ここでは、候補薬物がある一定の度合いで細胞膜を透過できることが示されている(すなわち、呼吸の増加が達成されている)。細胞膜を透過性にするジギトニンを添加しても、さらなる呼吸の増加に至らない。すなわち、試験物質にはそれ以上の効果はない。参照物質(コハク酸のような複合体II結合性基質)を加えた場合(これは典型的にはコハク酸のような内在的基質である)、呼吸の増加が観察され、かつ最大容量が達成される。次いでアンチマイシン-Aのような複合体IIIを加え、該サンプルの自動酸化のようなミトコンドリア非依存的な酸素消費活性が決定される。
コハク酸のような内在基質である、参照物質を用いた結果と比較すると、該参照物質は細胞膜を透過しないように見える。該膜を透過性にしたとき(例えばジギトニンを用いて)のみ、該呼吸は増加する。内在物質をさらに加えても呼吸は変化しないが、一方で、複合体IIIの阻害剤を加えるとミトコンドリアの呼吸は停止する。
明らかに、試験物質について観察されるパターンは図11に示すパターンと異なっている。該方法は試験物質が細胞膜を透過でき、かつミトコンドリアの酸素消費活性に正の様式で影響を与える(すなわち、複合体IIのミトコンドリア呼吸を増加させる)ことができるか否かに関する貴重な情報を提供する。それゆえに、最も理想的な試験物質はレベルaがa'より高いものであり、かつレベルaはレベルb'と等しいか、又は近似するものである。さらなる詳細は本明細書中の実施例で提供される。
もう一つのアプローチは、複合体I、複合体II及び/又は複合体IV呼吸に対する試験物質の影響を調べるものである。複合体I、II、及び/又はIVの呼吸を調べることで、特定の物質のミトコンドリア呼吸に対する影響に関してより詳細を得ることができ、かつミトコンドリアの機能に対する正または負の効果を評価することができる。図14はメトホルミンの濃度を上げることが複合体I、II、及びIVのミトコンドリア呼吸に与える影響を示している。前記図はメトホルミン濃度を上げたときに複合体Iの呼吸に特異的機能不全が現れることを示している。一方で複合体II及びIVの呼吸に対しては影響がないようである。
該複合体Iの呼吸(OXPHOSCI)はADP、それに続けて追加の複合体Iの基質であるグルタミン酸(図3参照)、それに続けて量を上げて加える試験物質(例えば、メトホルミン)を続けて加えることで刺激された。
複合体II呼吸を細胞サンプルに複合体Iの阻害剤(例えば、ロテノン)を加え、続いて量を上げた試験物質を加えることで得た。
複合体IV呼吸を複合体IVへの電子供与体N,N,N',N'-テトラメチル-p-フェニレンジアミン(TMPD、0.5 mM)を加えることにより得た。高レベルのTMPDの自動酸化に帰因して、複合体IVの阻害剤であるアジ化ナトリウム(10 mM)を加え、得られた2つのレベルの差を特異的複合体IV活性として算出した。
臨床試験又は治療投薬における薬物候補のミトコンドリアへの影響を調べるための適切な方法(すなわち前記項目3及び4)は、下記を含む方法である:
i)ヒト血液サンプルから単離した活性ミトコンドリアを含む細胞サンプルを、高解像度の呼吸計測にかけること、ここで、該細胞サンプルは臨床研究又は治療投薬下にあるヒトから採取したものであり、かつここで、臨床研究又は治療投薬の期間中、試験物質を該被験者に投与した;
ii)ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質と、該細胞サンプルを接触させること、
iii)臨床研究下又は治療投薬下にあるヒトから採取したサンプルの酸素消費量と、対照群から採取した対照サンプルの酸素消費量とを比較すること、ここで、酸素消費量の減少はミトコンドリアへの負の効果を示す;
iv) iii)で得られる該サンプルを、ロテノンのようなミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤と接触させることで、複合体II−基質の酸化に依存する細胞呼吸を明らかにすること、及び
v) iv)で得られる前記サンプルをアンチマイシン-Aのようなミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤と接触させることで、該サンプルの自動酸化のようなミトコンドリア非依存的な酸素消費活性を決定すること。
前記のように、該方法はほとんど同一であり、ただ試験されるサンプルに関する点において、すなわち試験するものが試験物質であるか、あるいは臨床試験又は治療投薬下にある被験者の細胞サンプルであるか、という点においてのみ異なる。臨床試験又は治療投薬下にある被験者は、該臨床試験又は該治療投薬に沿って試験物質、薬物物質あるいは潜在的薬物物質を受ける。このことは、このような被験者から採取した血液サンプルから単離したミトコンドリアが、問題となる薬物物質や潜在的薬物物質に曝露されていることを意味する。その結果、本明細書に記述された該方法により、そのような物質がミトコンドリア呼吸に与えるいかなる影響をも観察することができる。
ミトコンドリア呼吸は呼吸計測の使用によって追跡する。適切な設定は本明細書の実施例中に記載されているが、当業者は必要に応じ、又はほかの装置を用いるときに、どのように設定を変えたり、調節したりすればいいか判るであろう。
血液サンプルは静脈血のサンプルでもよい。血小板、又は白血球、あるいはこれらの組み合わせを単離し、かつ用いてもよい。
ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質の適切な例は、カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、又は他のプロトンチャネル開口剤(protonophore)である。
本明細書の実施例と添付した請求項において、該方法についてはさらに詳細を記載している。
上記方法に関して以下の詳細が与えられている。
(1.健常者から採取した血液、又はいわゆるバフィーコートと呼ばれる血小板と白血球の濃縮された溶液由来の細胞における、初期又は後期の段階にある薬物候補のスクリーニング及び選択)
そのような方法は、下記を含む方法である:
i)ヒト静脈血サンプルから単離した活性ミトコンドリアを含む細胞サンプルを、37℃の恒温下400-25 μM O2の範囲の酸素濃度で高解像度呼吸計測にかけること、
ii) 該細胞サンプルをカルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、又はその他のプロトンチャネル開口剤のような、ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質と接触させることで、血小板中に存在するミトコンドリアの電子伝達系の最大容量を得ること、
iii)ビヒクル中に試験物質を含む試験サンプルを加えること、ここで、ビヒクルの追加と比較して、追加は標準的には段階的に投与量を上げながら加える;
iv)試験サンプルを加える前と後の酸素消費量を比較し、試験及びビヒクルの間の酸素消費量を比較すること、ここで、酸素消費量の減少がミトコンドリアに対する負の効果を示す;
v) 複合体II基質の酸化に依存的な細胞呼吸を明らかにするために、iii)で得られた前記サンプルをロテノンのようなミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤と接触させること、
及び、
vi) v)で得られる該サンプルをアンチマイシン-Aのようなミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤と接触させ、該サンプルの自動酸化のようなミトコンドリア非依存的な酸素消費活性を決定すること。
減少は有意であるか、又は投与量依存的であり得る。
上記のように、ヒト血液サンプルは健常者より採取したものである。通常、該サンプルは本明細書の実施例に記載した通りに得られる。細胞は通常は血小板又は白血球細胞あるいはそれらの組み合わせである。
該細胞はヒトの血漿(一部のケースでは被験者本人の血漿)に懸濁させてもよいし、又は例えばスクロース、HEPES、K-ラクトビオン酸、塩化マグネシウム、リン酸二水素カリウム、EGTA及びBSA、又はその他の適当な緩衝液を含む、水性の緩衝液に懸濁してもよい。pHは通常pH 7.0及び7.5の間、特に7.1に調節する。可能な限りin vivoの状態を再現するため、通常、未処置の血小板又は白血球は血漿に溶解することが望ましい。しかしながら、一定の状況下であったり、又は血漿への溶解を補完する方法として、5 mMグルコース(血漿を用いた試行と比較するのに用いてもよい)を加えたリン酸緩衝生理食塩水、又はクレブス回路の中間体などを含む、より細胞内に近いタイプの緩衝液を、透過処理した血小板や白血球の溶解に用いることができる。細胞内に近いタイプは透過処理した血小板(及びWBC)に対して使用され、かつここでミトコンドリアの呼吸基質が過剰量(飽和量)存在し、これにより電子伝達が最大化し、アッセイの解像度が高まる。
ヒト血液サンプルより得た細胞は未処置でも、透過処理後でもアッセイに用いてよい。
未処置の血小板又は白血球を用いるか、又は透過処理したものを用いるかで、異なる実験プロトコルを使用してもよい(SUITプロトコル−基質−脱共役剤−阻害剤滴定)。一般に、未処置の血小板又は白血球が使用される。透過処理した血小板又は白血球は一つの実験中に異なる呼吸複合体の許容範囲について可能な限り多くの情報を集める時に使用される。血小板の透過処理は、ジギトニンや、又は細胞膜を基質及びADPを透過するように変える、その他の基質を細胞に作用させることで行われる。その他の基質としてサポニン又はトリトン-xがあり得る。本明細書の実施例にある通り、ジギトニンの至適投与量は1 μg/1×106血小板であることが見出されている。
該細胞は通常、装置のガラスチャンバー中で200×106/mlから400×106/mlの濃度で懸濁する。
ミトコンドリアに対する負の効果(すなわち毒性効果)を与える最低濃度を同定するために、試験サンプルは濃度を上げて複数回加える。該試験物質の最初と最終の濃度は物質の潜在性に依存するが、通常、サブマイクロモーラーからミリモーラーの範囲である。
そのため、該方法を用いて、安全である投与量レベル、及びそうでない、従って避けるべき投与量レベルを決定することができる。
また該方法を用いて、2以上の薬物物質又は薬物候補物質を互いに比較し、最も安全なプロファイルを有する物質を同定することができる。そのため、該方法を研究段階にあるほかの物質に対し繰り返し適用し、得られた結果を比較する。通常のレベルと比較して呼吸の減少が最も低い物質が、ミトコンドリア毒性効果に関して最も安全な物質である。
図7から9はそのような比較の結果を示している。図7は抗糖尿病薬についての2つの実験から得られた結果を示している;一方は薬物物質トログリタゾンの滴定に関するものであり、もう一方はロシグリタゾンの使用に関する実験である。
図7は、ミトコンドリア毒性に関して、ロシグリタゾンの方がトログリタゾンよりも安全な薬物であることを明確に示している。トログリタゾンは毒性効果のためにすでに市場にはない。
図8は、ミノサイクリンとドキシサイクリンを用いた2つの実験から得られた結果を示し、ドキシサイクリンの方がミノサイクリンより安全であることが示されている。
図9は、セリバスタチンとシムバスタチンを用いた2つの実験から得られた結果を示しており、シムバスタチンの方がセリバスタチンより安全であることを示している。実際、セリバスタチンはすでに市場から回収されているのに対し、シムバスタチンはまだ市場に残っている。
カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、又はミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させるその他の物質を加え、血小板中に存在するミトコンドリアの電子伝達系の最大容量を得る。本明細書に示す実施例にみられるように、約5から約100 μMの濃度が適当な応答を与える。血漿を用いて血小板ペレットを溶解する場合、至適濃度は約100 μMで適当な範囲は約50から200 μMであった。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いた場合、より低い濃度、すなわち約6 μM、2から約20 μMの範囲が至適であった。
試験物質が加えられてから(例えば1から10分)適当な時間が経過した時点において、ロテノンのような複合体I(CI)の阻害剤、及びアンチマイシン-Aのような複合体III(CIII)の阻害剤を続けて加えて電子伝達系を阻害して、残りのミトコンドリア非依存的な酸素消費を求め、後の解析において異なる呼吸パラメーターから差し引く。この手順は、特異的なミトコンドリア呼吸の評価を可能とし、かつ試験した化合物の自動酸化特性をも明らかにし得る。
ロテノンをサンプルに最終濃度約2 μM相当、範囲として約1から約5 μMの量を加える。もし他の複合体Iの阻害剤を用いる時は、最終濃度は、ロテノンを用いたときと同じ効果を引き起こす濃度とすべきである。
アンチマイシン-Aはサンプルに最終濃度約1 μg/ml相当、範囲として約0.1から10 μg/mlの量を加える。もし他の複合体IIIの阻害剤を用いる時は、最終濃度は、アンチマイシン-Aを用いたときと同じ効果を引き起こす濃度とすべきである。
アンチマイシン-Aは常にロテニンの後に加え、複合体Iの阻害後の複合体IIの活性を決定する。
前記実験の詳細は本明細書に示す実施例と請求項に記載する。
(2.ミトコンドリア毒性を示す公知物質に対する患者の感受性の試験)
今日、多くのミトコンドリア毒性を示す公知物質が登録され、かつ使用されている。しかしながら、医師が知りたいのは、薬物治療を開始する前に、患者がそれらの薬物に感受性があるかどうかである。一つの例は広く使用される抗てんかん薬、バルプロ酸であり、適当でない患者に投与すると重篤な脳又は肝臓の障害を引き起こす。
そのような方法は、本質的に前記1)に記載したことと同じである。該方法は、下記を含む:
i)ヒト静脈血サンプルから単離された、活性ミトコンドリアを含む細胞を、37℃の恒温下400-25 μM O2の範囲の酸素濃度で、高解像度の呼吸計測にかけること、
ii)該細胞サンプルを、カルボニルシアニドp−(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、又はその他のミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質と接触させ、血小板中に存在するミトコンドリアの電子伝達系の最大容量を得ること、
iii) ビヒクルの追加と比較して、該物質を含む試験サンプルを段階的に投与量を上げて加えること、
iv)試験サンプルを加える前と後の酸素消費量を比較すること、ここで、酸素消費量の減少はミトコンドリアに対する負の効果を示す;
v) iv)で得られたサンプルを、ロテノンのような複合体Iの機能阻害剤と接触させ、複合体II-基質の酸化に依存的な細胞呼吸を明らかにすること、
及び
vi) v)で得られたサンプルを、アンチマイシン-Aのようなミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤と接触させ、該サンプルの自動酸化のような、ミトコンドリア非依存的な酸素消費活性を決定すること。
ここで、該ヒト血液サンプルは、特定の薬物物質又は薬物候補物質による特定の治療を受けている患者より採取し、該試験サンプルは、特定の薬物物質又は薬物候補物質を含む。
上記1)以下に記載したように、ミトコンドリアに対する負の効果(すなわち毒性効果)を与える最低濃度を同定するために、試験サンプルは濃度を上げながら複数回加えてもよい。最初と最終の試験物質の濃度は、物質の潜在性に依存するが、通常は組織への薬物の蓄積の原因となる通過状態又は安定状態のレベルの10倍までであろう。
そのため、該方法を用いて、安全である投与量レベル、及びそうでない、従って避けるべき投与量レベルを決定することができる。
また、該方法を用いて、特定の患者のために、一連の可能性の中からどの薬物物質を選択するべきかを決定することもできる。そこで、問題の患者にとって最も安全なプロファイルを有する物質を同定するために、該方法は2以上の薬物物質又は候補薬物物質を互いに比較することを含むことができる。そのため、該方法を別の物質を用いて繰り返し、かつ得られた結果を比較する。通常のレベルと比較して、呼吸の減少が最も低い物質が問題の患者にとって、ミトコンドリア毒性に関して最も安全な物質となる。
該方法の個別の部分に関係する全ての詳細は、本明細書中に前記記載した通りであり、かつそれに対し参照がなされる。
(3.臨床試験におけるミトコンドリアに対する薬物毒性の分析)
臨床試験はどのような試験でもよく、例えば、投与量を決定する試験、ヒトを用いた安全性試験等があり、該方法は単純な血液サンプルに基づいている。短期、急性、長期、そして慢性のいずれの効果も評価できる。特徴的な例はHIVの治療薬であり、これは長期の使用後に、ミトコンドリアの異常を示す症状を与え得る(ミトコンドリアDNAの喪失に起因する)。この目的で、薬物物質の複合的な毒性並びに対象の血漿中の循環代謝物を決定することを可能とする、本願方法は大きな利点がある。
そのような方法は、本質的には前記記載の方法と同じであるが、ヒト血液サンプルは研究に参加する被験者や、対照群として機能する健常者から、採取する。従って、被験者は薬物物質又は潜在的薬物物質を、血液サンプルを採取する前に投与される。治療投薬全体にかけて、又は問題の被験者から、血液サンプルを定期的に採取する臨床研究の間中、ミトコンドリア呼吸を追跡してもよい。
そのため、そのような方法はより具体的に、下記を含む:
i) 37℃の恒温下、400-25 μM O2の範囲の酸素濃度において、ヒト静脈血液サンプルから単離した活性ミトコンドリアを含む細胞を、高解像度の呼吸計測にかけること、ここで、臨床研究あるいは治療投薬を受けるヒトから、ヒト血液サンプルを得て、かつここで、臨床研究又は治療投薬の期間中、該ヒトに試験物質が投与される;
ii)細胞サンプルを、カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、またはミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる別の物質と接触させ、血小板中に存在するミトコンドリアの電子伝達系の最大容量を取得すること、
iii)該臨床研究又は治療投薬を受けている被験者から採取したヒト血液サンプルの酸素消費量と、対照群の被験者から採取した血液サンプルの酸素消費量とを比較すること、ここで、対照と比較して酸素消費量が減少することは、ミトコンドリアに対する負の効果を示す;
iv) 複合体II-基質の酸化に依存的な、細胞呼吸を明らかにするために、ii)で得られたサンプルを、ロテノンのようなミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤と接触させること、
及び
v) iv)で得られたサンプルを、アンチマイシン-Aのようなミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤と接触させ、該サンプルの自動酸化のような、ミトコンドリア非依存的な酸素消費活性を決定すること。
これまでの記載に関連して、臨床研究は臨床前研究から長期の安全性試験を含む、あらゆる試験であり得る。前記のように、また、該被験者は疾病又は障害に苦しみ、かつ一以上の数の薬物物質又は候補薬物物質を用いた治療投薬を受けている患者であり得る。
該サンプルは一人の個人から採取したもの、又はより多くの個人から採取したプールされたサンプルであり得る。一部のケースでは、該血漿は臨床試験中の薬物又はその他の薬物による治療を受けている患者から集められる。該血漿は必ず遠心し、分析を行うまで凍結し、保存することができる。血漿は親薬物並びに薬物代謝物(それは、親薬物と同程度あるいはそれ以上ミトコンドリアにとって毒性があるかもしれない)も含む。該血漿を融解し、健康な血小板又は白血球細胞(WBC)をこの血漿に浸漬し、ミトコンドリア機能に影響があるか否か調べる。この方法には、分析のために臨床試験から急いで血液を輸送する必要がないことを含め、いくつかの利点がある。
該方法の、個別の部分にかかる全ての詳細は、本明細書に記載した通りであり、それに対し参照がなされる。
(4.ミトコンドリア機能を改善することを意図する薬物の有益な効果の分析)
臨床試験に先立つ大規模なスクリーニングプログラムを、健常者より採取した血液又はバフィーコートに由来する細胞を用いて遂行することができる。また、治療前、治療中、及び薬物投与量を変えた後に、患者(しばしば子供)の該血液を用いても分析を遂行することが出来る。
該方法は、本質的に3項に記載した方法と同じであるが、ヒト血液サンプルは治療前又は治療中、あるいは薬物投与量又は投与法、もしくは薬剤形態を変えた後の患者から採取する。該サンプルを分析し、結果を比較する。そのため、第一の血液サンプルを治療前(又は該治療が何らかの形で変わる前)に採取してもよく、第二の血液サンプルを治療中又は何らかの形で該治療が変わった後に採取してもよい。該治療の効果は、一般的に治療期間中に採取された試験サンプルによって、追跡され得る。
そのため、そのような方法は、下記を含む:
i) 37℃の恒温下、400−25 μM O2の範囲の酸素濃度で、ヒト静脈血サンプルから単離された活性ミトコンドリアを含む細胞を、高解像度の呼吸計測にかけること、ここで、血液サンプルを採取する前に該ヒトに試験物質が投与される;
ii)該細胞サンプルを、カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、又はミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる他の物質と接触させ、血小板中に存在する該ミトコンドリアの、該電子伝達系の最大容量を取得すること、及び、
iii)第一のヒト血液サンプルの酸素消費量を、第二の血液サンプルの酸素消費量と比較すること、ここで、酸素消費量の減少は、ミトコンドリアに対する負の効果を示し、かつ酸素消費量の上昇は、ミトコンドリアへの正の効果を示す;
iv)複合体II-基質の酸化に依存的な、細胞呼吸を明らかにするために、ii)で得られたサンプルを、ロテノンのような、ミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤と接触させること、
及び、
v) iv)で得たサンプルを、アンチマイシン-Aのような複合体IIIの機能阻害剤と接触させ、該サンプルの自動酸化のような、ミトコンドリア非依存的な酸素消費活性を決定すること。
その結果を、対照又は参照と比較する。
工程i)からv)は、調べる変化の種類に応じて第3、4、5などのサンプルについて繰り返してもよい。
第一のサンプルは、対照サンプル、すなわち、何らかの治療を開始する前に採取された血液サンプルでもよい。それに代わり、該第一、該第二のサンプルは治療投薬の期間中の、異なる時点で採取した血液サンプルを示す。例えば、治療投薬が一週間続いたら、該第一のサンプルを1日目(参照サンプル)に採取し、該第二のサンプルを2日目に採取する(そしてさらなるサンプルは、それに続く日に採取する)。投薬用量が変更されたら、該第一の血液サンプルを該用量が変わる前に採取し、該第二のサンプルを該用量が変わった後に採取してもよい。
図10は、対照と比較した潜在的薬物候補の、ミトコンドリア呼吸に対する有益な効果及び毒性効果の実験的軌跡を示している。
該方法の個別の部分にかかる全ての詳細は、本明細書に記載した通りであり、それに対して参照がなされる。
(ミトコンドリアの機能)
ミトコンドリアの機能不全は、核DNA又はミトコンドリアDNAの変異による第一の呼吸鎖の疾患であると認識されており、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病のような疾患、並びに敗血症のような、過度の炎症の結果に関与する(Brealeyらの文献、2002、 Ferreiraらの文献、2010、Konesの文献、2010、Rosenstockらの文献、2010)。
ミトコンドリア機能の研究は、ミトコンドリア生理及び病理メカニズムの基礎研究並びにミトコンドリア疾患のいずれにも不可欠である。ミトコンドリア機能を研究する共通の方法は、分光光度計により、損傷したミトコンドリアの個別の電子伝達系(ETS)複合体の最大酵素活性を決定することである。この手順の利点は、サンプルが凍結可能であるために、保存が容易であること、及びハイスループット分析を行う研究室の中核の設備に輸送することが容易であることである(Haasらの文献、2008)。しかしながら、該ミトコンドリアとその構成要素は、分離された一単位では機能しない。呼吸鎖複合体はETSの中で相互に連結され、次々に集合し、多酵素超複合体を形成する(Lenaz及びGenovaの文献、2009)。ミトコンドリアは融合と分裂を経てネットワークを形成し、他の細胞内区画と相互作用する(Picardらの文献、2011)。このことは、明らかに、ミトコンドリア機能を、細胞を損傷することなく、又は最小限の損傷で、かつ可能な限り生理状態に近い環境で分析することの必要性を強調する。これは、細胞中でのミトコンドリア呼吸のポーラログラフ測定を用いて達成され得る(Kitchens及びNewcombの文献、1968)。呼吸は未処置の細胞で、血漿のような自然の環境培地を用い、内在基質を利用して分析することができる。さらに、細胞膜の透過によって、外因基質及び阻害剤が、ミトコンドリアに直接アクセスすることが達成でき、細胞の破壊やミトコンドリアの精製を要することなく、ETSの個別の複合体を調べることができる(Hutterらの文献、2006)。
ミトコンドリアの機能不全の証拠を調べるにあたり、どの組織を選ぶかについて、最もよい選択肢は、所定の患者の病的プロセスによって、最も深く影響を受ける組織である。しかしながら、脳、肝臓、心臓などの、内部臓器から採取する生検に伴う侵襲性とリスクのために、この選択が可能となることは滅多にない。そのため、他の組織が使用され、もっとも広く利用されているのは、筋細胞や表皮の繊維芽細胞である(Haasらの文献、2008)。
血小板は、容易に得ることのできる活性ミトコンドリアの取得源で、筋肉や表皮の生検と比較して、採取時の侵襲性が小さい。血小板におけるミトコンドリアの変化は、様々な疾病で実証されており、主に他の臓器系に影響している(Hauptmannらの文献、2006、Krigeらの文献、1992)のと同様に、老化の過程にも影響している(Merlo Pichらの文献、1996、Xuらの文献、2007)。そのため、血小板におけるミトコンドリアの変化を、全身性のミトコンドリア機能不全の潜在的マーカーとして利用することが、提案されている(Sjovallらの文献、2010、Xuらの文献、2007)。また、血小板はポーラログラフ分析にとても向いている(Kitchens及びNewcomb、1968、Sjovallらの文献、2010)。
(本発明の方法の開発)
実施例で報告する研究の目的は、方法論を確立すること、及び未処置の生細胞におけるex vivoでの正常な血小板の呼吸機能、及び透過処理した細胞における、個別の複合体の機能を、高解像度の呼吸計測を用いて詳細に評価することであった。第二に、低温環境と室温での保存の影響、及び性別や年齢の影響を調べ、第三に、異なる参照集団に該方法を適用した時の一貫性を調べた。
実験環境の参照に関する詳細は実施例に記載する。
いくつかの異なる参照集団の、正常な血小板のミトコンドリア呼吸機能を表すデータを提示する。休止期にある血小板の、エネルギー産生の約85%は、酸化的リン酸化に起因し(Kilksonらの文献、1984)、解糖に加え、脂肪酸のβ-酸化もまた、基質の供給に寄与する(Cesarらの文献、1987)。ETS/常態(routine)の差から示されているように(表2)、未処置の血小板の余剰呼吸容量、すなわち、脱共役剤FCCPによって常態からどの程度呼吸が上昇できるかは、血小板が血漿に懸濁されている時に、PBSに懸濁されている時と比較して高くなった。これは、おそらく異なる培地中における、基質供給のタイプと量の変化を反映している。細胞を、生理的基質を供給する被験者本人の血漿中でインキュベートし、かつ分析したときは、約88%であったのに比べ、未処置の血小板の余剰呼吸容量は、実験をグルコースのみを外因基質として含むPBS中で行ったときは約64%であった。オリゴマイシンで処理したときは、余剰呼吸容量は一般的により低く、PBS-グルコース中では約28%、血漿中では25%となった。これはおそらく、ATP産生を阻害された細胞中で、グルコース及び他の基質の損なわれたエネルギー依存的酸化経路を反映しているのだろう。
透過処理した細胞においては、解糖系とβ-酸化の両方が、クエン酸回路の飽和量の基質に提供することにより、迂回される。その結果は、速度を制限する、基質なしで評価し得るETSとプロトン回路である。透過処理した細胞においては、ADPで刺激したとき(共役している場合)、又はFCCPで刺激したとき(脱共益している場合)に、未処置の細胞に比べて、最大でさらに50%最大酸素消費量が増加し得る。常態呼吸は懸濁する培地に関係なく同様であったため、このことは、刺激された未処置の細胞において、休止期には存在しない基質供給の律速段階を示唆している。未処置の血小板は、複合体Iを介して入力されるNADHと電子を利用し、ほとんどそれだけしか行わない。ロテノンにより複合体Iを阻害した後、複合体IIにより駆動される呼吸は検出されなかったことが、これを裏付けている。未処置の細胞のETSの呼吸値が、透過処理した細胞のOXPHOSCIと同じ範囲にあったという発見も、この考えをさらに支持するに資する。このことはまた、透過処理した細胞において最大の電子伝達を確立するためには、ETSに電子を複合体Iと複合体IIの両方からQ-ジャンクションへと供給することが重要であることを強調する。基質の供給に制約がない状況では、複合体Iは収束した電子入力の全体の呼吸の約3分の2に寄与し、複合体IIは3分の1に寄与する。ADP及びFCCPで刺激したときの最大呼吸容量は同程度で、OXPHOSCI+II/ETSCI+IIは1に近い値となり、ATPシンターゼが有意な速度制限をもたらすことは観察されなかった。また、血小板の呼吸はLEAK呼吸が低いことからも示されるように、酸化的リン酸化と強く共役することを示した。このLEAK呼吸は最大呼吸容量と関連しており、これが低いことと対応して、未処置の細胞、及び透過処理した細胞の双方においてETS/LEAK比が高くなる。我々は透過処理した細胞において、未処置の細胞よりも高いLEAK状態を観察した。ジギトニンを用いた細胞膜の透過処理により、ミトコンドリア膜の透過性は影響を受けるが、このことは我々の知見が支持するものではない。ジギトニン滴定実験では、ジギトニン濃度には広い安全域があったからである。外因のシトクロムcによっても呼吸への効果がなかったことから、ミトコンドリア外膜は何の作用も受けなかった。より適当な説明は、基質供給が飽和した状態では、内膜を横切るより高いプロトン勾配が生じて、LEAK呼吸が増加するというものだ。その理由は、この基底呼吸速度は、プロトン駆動力に比例するからである(Nichollsの文献、1977)。
加齢とともに、ミトコンドリア機能が低下することは、広くいわれている(Lesnefsky及びHoppelの文献、2006、Vendelbo及びNairの文献、2011)。血小板においては、加齢とともに複合体IIの呼吸が減少することを観察した。全体の呼吸機能への効果、主に小児集団と成人集団との間の差に関する効果は、観察されなかった。呼吸の低下は、複合体II特異的であると考えられた。その理由は、複合体III、IV、又はATPシンターゼに対するより下流への効果が、最大OXPHOS又はETS活性に影響していたためであろう。
常態呼吸とLEAK呼吸の相違は、一般にATP産生の休止に起因するとされている。LEAK状態は、調べた年齢域全体を通じて同レベルであったため、ここで観察された常態呼吸の増加は、加齢に伴う基底状態のATP産生の増加を示唆している。一般には休止期の代謝速度は、加齢とともに低下する(Johannsen及びRavussinの文献、2010)が、それが様々な組織にどのように影響するかは、明確に示されていない。現在の研究からは、血小板がなぜ加齢とともに基底状態のATP産生を増加させる必要があったのか、明確になっていない。成人スウェーデン人の被験者に比べ、日本の有志被験者は約27%高いLEAK呼吸を示していた。その結果、複合体IIの基質に駆動される呼吸におけるETSCII/LEAKが有意に増加し、OXPHOSCI/LEAK及びOXPHOSCI+II/LEAKが有意に減少した。日本人とコーカソイドは、かかる病気のパターンが異なることが報告されている(Benfanteの文献、1992)。これは遺伝的な相違だけでなく、食生活や生活スタイルの要素も合わせて説明されている。概して、移民においてはこうした相違が失われるからである(Yamoriの文献、2006)。日本食は伝統的に、脱共役特性を有するFFA(Chaらの文献、2001、Davisらの文献、2008)を豊富に含む魚、及び他の海産物を多く取り入れている。プロトン駆動力が低下し、その結果ROSの産生が減少する(Brandの文献、2000)ため、加齢という観点から、緩やかな脱共役は有益であることが示唆されている。日本人のミトコンドリアDNAは、ハプログループHが大勢を占めるヨーロッパ人と比較し、ハプログループDが大勢を占める。サンプルサイズが小さいことに関して、我々の研究にみられた相違は遺伝性、又は生活スタイルのいずれか、あるいは両方の組み合わせに関係しているかもしれない。これらの問題を明らかにするには、さらなる研究を要する。臍帯サンプルの呼吸レベルは、一般に他の集団と比較して高かった。このことはおそらく子宮内、及び子宮外での生活間で要求が異なることを反映している。しかしながら、胎仔の生活におけるミトコンドリア機能に関するデータはほとんどない(Yanicostasらの文献、2011)。
本願方法は、通常、筋肉生検を伴う、現在の標準的な、ミトコンドリア病と疑われる状態の評価に付加情報を潜在的に提供し得る。そのように現在われわれは、神経変性疾患の患者や、ミトコンドリア病の疑いのある新生児のような、異なる複数の集団からデータを集めている。我々はそのため、保存により中断する制約及び、少ないサンプル量を評価したいと考えた。たとえ血小板にとって、EDTAバイアル中の保存が最適な環境でなくとも、血液中なら24時間保存した後でも、呼吸機能にはわずかな変化しか来さないようである。そのため診断目的では、サンプルは中核となる施設へ長い距離を潜在的に輸送されるが、この間も、生きた血小板における呼吸容量を分析する可能性は維持される。非常に小さな子供にあっては、異なる分析のために採血する量がどれだけ得られるかに限界がある。そのため我々は、どれだけ低濃度の血小板を用いることができ、それでも信頼できる値を得られるか評価した。50×106血小板/mlでは、酸素消費の絶対量は実験全体でわずか約25 nmol/mlであった。濃度を変えて評価しても、呼吸状態は影響を受けなかったが、ETSCI+IIについてだけは例外的に、50×106血小板/mlにおいてわずかに減少した。その理由は完全には明らかでないが、細胞量の少ない状況では、注意深く滴定したとしても、FCCPの最大効果及びFCCPの他の細胞の膜に対する非特異的な結合の影響が変わってしまったのかもしれない。
本願の方法の強みは、未処置の血小板と透過処理をした血小板の両方の分析を組み合わせることができることである。未処置の細胞を、被験者自身の血漿に懸濁して分析することは、生理条件に非常に近いと思われる実験設定である。これにより、内因の遺伝的異常を調べるだけでなく、毒物又は医薬のような外因要素によって引き起こされるミトコンドリア異常をも調べることができる。透過処理した細胞を用いて、さらなる情報を得ることができる。この場合、異なる滴定(SUIT)プロトコルを用いて呼吸系の異なる部分への流れの制御を変え、病気がどこで起こっているかを明らかにすることができる。
呼吸計測は、ミトコンドリアの生物エネルギー機能を評価するのに望ましい方法の一つとされ(Brand及びNichollsの文献、2011)、血小板のミトコンドリアは、ヒトの活性ミトコンドリアのよい供給源であるように思われるものの、該方法には限界がある。ミトコンドリアに影響する疾病は、多かれ少なかれ組織特異的であり、ミトコンドリアDNAの変異は異なる組織で異なる割合で発現し、この現象はヘテロプラズミーとして知られている。そのように、分析する組織に十分に変化が存在しないと、それを認識することはできない。細胞にはATPレベルの減少を補償する能力があり、通常補償がもはや起こり得ず、臓器の異常が続いて起こる閾値を有する(Rossignolらの文献、2003)。そのため、どの程度のレベルまでミトコンドリア呼吸が減れば病的と考えるべきかを予測することが困難である。しかしながら、前記すべての限界は、本願方法に特有のものではなく、どの組織を用いても、どんな方法を用いても関係なく伴うものである。本願滴定プロトコルでは、我々は複合体IVに特異的な測定を含めなかった。複合体IVの測定は、通例人工電子供与体TMPDをアスコルビン酸と結び付けて行う。アスコルビン酸は、TMPDを還元状態に保つ働きをする。TMPD/アスコルビン酸は、別の金属タンパク質(シトクロムcなど)によって触媒される自動酸化を受けやすく、酸素濃度依存的である。我々のサンプル調製の性質から、非特異的な細胞物質及び血漿の量は変動し、そのためにTMPD/アスコルビン酸による、自動酸化のバックグラウンド補正は不可能である。
(結論)
血小板の呼吸測定は、ヒトミトコンドリアをex vivoの生理条件で調べるのに適している。微量のサンプルで24時間までの保存の後、高解像度呼吸計測を用いて信頼性の高い結果を得られることが示されている。異なるSUITプロトコルを適用することで、細胞の呼吸容量の詳細な情報が得られ、異なる集団間の相違も得ることができる。我々はこれらの結果を評価する方法を記載する。このアプローチは外因的に引き起こされた、並びに内因的なミトコンドリアの疾患を評価するのに適している。我々は現在、これらの目的で該方法を評価している。
ジギトニン滴定の代表的な軌跡。開始時に5 mMのコハク酸と1 mMのADPを含むMiR05緩衝液に懸濁した、100×106/mlの濃度の血小板。常態呼吸での安定化の後、ロテノンにより複合体Iを阻害し、段階的に(20 μgずつ)ジギトニンを滴定し、それ以上増加が検出されなくなるまで続けた。
未処置血小板の実験プロトコル。内因(常態)呼吸に続き、オリゴマイシン(1 μg/ml)により複合体V非依存的(LEAK)呼吸を誘導した。プロトンチャネル開口剤であるカルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP、PBS中に平均濃度6 μM、血漿中に平均濃度100 μM)の滴定により、最大の呼吸を達成した。引き続き、残存酸素消費量の測定を行うため、それぞれ複合体I及びIIIの阻害であるロテノン(2 μM)とアンチマイシン-A(1 μg/ml)をこの順で加えた。誘導された呼吸状態、及び用いた呼吸基質はグラフの上に示されている。ETS=電子伝達系。
透過処理した血小板の実験プロトコル。基質、脱共役剤、阻害剤滴定プロトコルを用いて酸素消費速度を示した実験の軌跡。誘導された呼吸状態と、活性化された呼吸複合体がグラフ上に明示されている。血小板をジギトニンで透過処理し、複合体I(CI)の基質であるリンゴ酸とピルビン酸(それぞれ5 mM)を同時に加えた。酸化的リン酸化(OXPHOS)を引き続きADP(1 mM)と複合体Iの基質であるグルタミン酸(5 mM)を順に加えることにより刺激した。複合体II(CII)結合基質であるコハク酸(10 mM) を加えることで、複合体Iと複合体IIの両方を介した統合された電子の入力を可能とした。OXPHOSはオリゴマイシン(1 μg/ml)で阻害され、このことから複合体V非依存的(LEAK)呼吸を明らかにした。電子伝達系(ETS)の最大呼吸容量を、プロトンチャネル開口剤であるカルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP、平均濃度6 μM)の滴定により誘導した。ロテノン(2 μM)による複合体Iの阻害により、複合体IIに支持される呼吸が明らかとなった。残りのミトコンドリア非依存的な酸素消費は、複合体III阻害剤アンチマイシン-A(1 μg/ml)を加えることにより露わにされた。TMPD(0.5 mM)とアジド(10 mM)を加えた結果は示さない。誘導された呼吸状態と、用いた呼吸基質はグラフ上に示されている。
血小板のミトコンドリア呼吸についての、年齢と性別の相関。A:常態呼吸と年齢の相関。個々の点は、2回繰り返しにより得た値の平均である。B:ETSCII呼吸およびC:OXPHOSCI+II呼吸と年齢の相関。D:ETSCI+II呼吸の性別間の比較。呼吸状態の定義については図3参照。
透過処理した血小板における、異なる呼吸状態への血小板濃度の効果。50から400×106血小板/mlの濃度範囲における基質、阻害剤、滴定プロトコルの異なる状態での酸素消費量。呼吸状態の定義については図3参照。N = 5、各実験は2回繰り返しにより行った。* = p < 0.05。
透過処理した血小板の、異なる呼吸状態に対する保存の影響。血液は室温又は4℃の下、傾斜台上でK2EDTAバクテイナーチューブに保存した。72時間後、LEAK呼吸を除くすべてのパラメーターが、0時間の時点と比較して有意に減少していた。呼吸状態の定義については、図3参照。N = 4、各実験は2回繰り返しにより行った。* = p < 0.05。
トログリタゾン及びロシグリタゾンのミトコンドリア毒性アッセイの、実験の軌跡。110 mM スクロース、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含む緩衝液中の200×106 cells/mlのヒト血小板。トログリタゾンは、高濃度において酸素の流れが減少することから示されるように、ミトコンドリア毒性を示す。FCCP(2 μM)、ロテノン(2 μM)及びアンチマイシン-A(1 μg/ml)を、示されたところで加えた。FCCP = カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン。
図8はミノサイクリン及びドキシサイクリンのミトコンドリア毒性アッセイから、実験の軌跡を示す。110 mM スクロース、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含む緩衝液中の200×106 cells/mlのヒト血小板。ミノサイクリンは、高濃度において酸素の流れが減少していることから示されるように、ミトコンドリア毒性を示す。ドキシサイクリンもまた毒性を示すが、ミノサイクリンと比較すると目立たない。FCCP(2 μM)、ロテノン(2 μM)およびアンチマイシン-A(1 μg/ml)を示されたところで加えた。FCCP = カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン。
図9はセリバスタチン及びシムバスタチンのミトコンドリア毒性アッセイから、実験の軌跡を示す。110 mM スクロース、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含む緩衝液中の200×106 cells/mlのヒト血小板。セリバスタチンは、高濃度において酸素の流れが減少していることから示されるように、ミトコンドリア毒性を示す。FCCP(2 μM)、ロテノン(2 μM)およびアンチマイシン-A(1 μg/ml)を、示されたところで加えた。FCCP = カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン。
図10は対照と比較した、新規薬物候補のミトコンドリア呼吸への有益な効果および毒性効果の、実験の軌跡を示す。110 mM スクロース、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含む緩衝液中の200×106 cells/mlのヒト血小板。FCCP(2 μM)、ロテノン(2 μM)及びアンチマイシン-A(1 μg/ml)を示されたところで加えた。個々の滴定段階で加えた投与量を軌跡の上に示した。提案された薬物は、2 mM蓄積されるまでミトコンドリア呼吸を増加させた。その後さらに滴定を続けると、呼吸は減少し、ミトコンドリア毒性が示唆された。FCCP = カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン。
図11は、ミトコンドリア複合体IIスクリーニングアッセイの概略図である。この図は、新規の細胞透過性ミトコンドリア基質を評価するプロトコルを示している。該アッセイでは、未処置の細胞ではミトコンドリア機能が、呼吸複合体Iの阻害剤ロテノンにより抑制される。薬物候補を、細胞膜透過処理の前と後に、内在の基質と比較して生物エネルギー的に促進するか阻害するか評価する。
図12は、ミトコンドリア統合呼吸スクリーニングアッセイの概略図である。これは新規の細胞透過性ミトコンドリア基質の潜在性を評価するプロトコルを記載している。該アッセイでは、ミトコンドリア活性を、プロトンチャネル開口剤FCCPでミトコンドリアを脱共役することで刺激する。薬物候補を滴定して、最大統合呼吸(複合体I及び複合体IIに由来する)レベルを得る。ロテノンを加えた後、複合体II依存的な刺激が得られる。複合体IIIの阻害剤アンチマイシン-Aを添加し、ミトコンドリア非依存的な酸素消費を評価する。
図13は、未処置の血小板において、対照(コハク酸二ナトリウム)と比較して薬物を段階的に滴定した際の呼吸(単位当たりの酸素の流れ)の増加を示している(アッセイは図12に記載されている)。
図14は、それぞれミトコンドリア複合体I、II、及びIVに依存する酸素消費を示している。緩衝液中の、異なる濃度のメトホルミン存在下で、酸素消費量を測定した。測定の方法は、前記記載の方法に従った。メトホルミンの濃度を上げると、複合体Iの呼吸の有意な減少がみられる。データは平均と標準偏差で表現される。* p < 0.05、***:p < 0.001 比較はビヒクルのみ(0 mMメトホルミン)のものと行った。110 mM スクロース、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含む緩衝液中の200×106 cells/mlのヒト血小板。
(実施例)
(材料と方法)
(1.1 ヒトサンプルの取得)
本研究はLund、Swedenの地域倫理審査委員会(成人:113/2008、644/2009、子供:59/2009)および東京医科大学(日本)の倫理委員会(許可番号1514)に認可されている。スウェーデンの成人については、Skane University Hospital、Lundの血液ドナーセンターの健康な血液ドナー、および膝の負傷後のリハビリテーションを受けている健康な成人より血液サンプルを集めた。日本の集団は健康な成人ボランティアからなるものであった。サンプルは、明文のインフォームド・コンセントを得てから採取した。実験は、同じ手順及び同じプロトコルに従って、両方の調査地において同じ研究者たちにより行われた。小児の対照サンプルは、軽度の選択性手術を受けている患者から採取した。明文のインフォームド・コンセントを親、又は保護者から得て、血液は麻酔誘導前に採取した。臍帯血は、正常妊娠をしている健康な個人から出産後、採取した。サンプルは明文のインフォームド・コンセントを得た後に採取した。
特に記載がない限り、全ての化学物質はSigma-Aldrich (St Louis、MO、USA)から購入した。
(1.2血小板の調製)
血液ドナーについては、予定血液提供と同時に収集チューブにサンプルを採取した。ほかの成人集団と子供については、静脈穿刺を介してサンプルを採取した。臍帯血は、子供を経膣的に、又は帝王切開により出産した直後に採取した。成人からは21 ml、子供からは
6-12 ml、臍帯血からは3-6 mlの容量をK2EDTAチューブ(Vacuette(登録商標)、Greiner Bio-One GmbH、Kremmunster、Austria)に採取した。予備実験では、K2EDTAが最もよい収量につながり、抗凝固剤として用いるヘパリン、クエン酸及びクエン酸デキストロース(ACD)と比較して血小板の活性化を阻止した(データは示さない)。血液サンプルは採取してすぐに調製し、3-5時間以内に分析した。チューブを300×g、室温で15分遠心し、血小板に富む血漿(PRP)を得た。このPRPをピペットで取り、4600×g、室温で5分遠心し、細胞を含まない血漿に近いものと血小板のペレットを生じた。ペレットを1-3 mlの対照被験者自身の血漿に静かにピペッティングすることで溶解し、平均最終濃度1864×106/ml(941-2498の範囲にわたった)の非常に濃いPRPを得た。
(1.3高解像度の呼吸計測)
高解像度オキシグラフ(Oxygraph-2k Oroboros Instruments、Innsbruck、Austria(Gnaigerらの文献、2000))を用い、撹拌子速度750 rpmで、2 mlのガラスチャンバー中で37℃の恒温下、呼吸を測定した。データをDatLab software 4.3. (Oroboros Instruments、Innsbruck、Austria)を用いて記録した。サンプリング速度は2秒に設定した。すべての実験は210-50 μM O2の酸素濃度で行った。必要に応じ、一時的な空気の平衡化のために、チャンバーのストッパーを部分的に上げることで再酸素化を行った。装置のバックグラウンドの酸素の流れはメーカーの指示書に従って、別セットの実験で測定し、続く実験のために自動で補正を行った。透過処理した細胞の呼吸測定については、血小板を110 mM スクロース、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含むミトコンドリア呼吸培地(MiR05)(Gnaigerらの文献、2000)に懸濁した。未処置の細胞を用いた実験については、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に5 mM グルコースを添加したもの、あるいは対照被験者自身の血漿に、血小板を懸濁した。空気飽和における校正は、各実験日ごとに、実験を始める前にミリポア水又は呼吸培地をオキシグラフチャンバーの空気中で撹拌し、平衡に達して安定信号が得られるまで続けることで行った。酸素濃度は気圧計の圧力と、可溶性係数から自動で計算した。可溶性係数は、水については1.0、MIR05とPBSグルコースについては0.92、血漿については0.89と設定した(Baumgartl及びLubbersの文献、1983)。
(1.3.1未処置の血小板に対する実験プロトコル)
未処置の細胞の、内在のミトコンドリア基質を用いた統合された呼吸は、2つの異なる滴定プロトコルで評価した。血小板は、PBS-グルコース又は対照被験者自身の血漿に懸濁した。最初に、サンプルを常態呼吸状態に安定化した。これにより、休止期の細胞の酸化的リン酸化(OXPHOS)に対するエネルギー要求を明らかにした。ADPのリン酸化に依存しない呼吸の寄与を評価するため、オリゴマイシン(1μg/ml、ATPシンターゼ阻害剤)を続けて加え、LEAK呼吸状態(オリゴマイシン誘導性状態4呼吸としても知られる)を誘導した。ETSの最大容量を、プロトンチャネル開口剤であるカルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)を、それ以上添加しても呼吸の増加が検出されなくなるまで(PBS中では平均濃度6 μM、血漿中では平均濃度100 μM)、注意深く滴定した後に測定した。ロテノン(2 μM、複合体I[CI]阻害剤)及びアンチマイシン-A(1 μg/ml、複合体III[CIII]阻害剤)を続けて加え、ETSを阻害して、後の分析で異なる呼吸パラメーターから差し引く分の、残存酸素消費量を与えた。
ATPシンターゼの阻害による最大呼吸容量への影響を評価するため、第2の実験プロトコルが実施された。ここでは、常態呼吸に安定化した後、FCCPを直接滴定することによりETSの容量を評価し、続いて前記に同じ阻害剤を加えた。対照比は、FCCP刺激時の最大呼吸を、LEAK呼吸(ETS/LEAK)及び常態呼吸(ETS/常態)で除することにより算出した。
(1.3.2透過処理した血小板の実験プロトコル)
飽和した外因の基質と阻害剤をETSへと到達させるため、細胞膜を界面活性剤であるジギトニンで透過処理した。ミトコンドリア外膜又は内膜には影響を与えずに細胞膜の透過性を最大にする、至適ジギトニン濃度を確立するため、一連の実験を行った。血小板(200×106/ml)をMIR05に懸濁し、ADP 1 mM、コハク酸 5 mM、及びロテノン1 μMにプレインキュベートした。10 μg/μlのジギトニンを呼吸の最大応答が得られるまで滴定した(Gnaigerらの文献、1998)。図1に、滴定実験の代表的なグラフを示す。至適用量は1 μg/1×106血小板であった。外因のシトクロムcは呼吸に有意な効果を誘導せず、ミトコンドリア外膜は影響を受けていなかったことが示唆された(データは示さない)。
基質、脱共役剤、阻害剤滴定(SUIT)プロトコルを使用して、複合体I及び複合体II(CII)の両方に分かれる電子の流れの呼吸容量並びにQ-ジャンクション(CI+II)を介して入力される合流電子を確立した(Gnaigerの文献、2009)。常態呼吸が確立した後、ジギトニンにより細胞膜を透過処理することから滴定を開始し、リンゴ酸(5 mM)とピルビン酸(5 mM)を同時に加えた。NADH関連基質により駆動される、複合体IのOXPHOS容量は、ADP(1 mM)を加え、さらにグルタミン酸(5 mM)(OXPHOSCI、または状態3CI)を追加することで評価した。続いて、10 mMコハク酸を加えることで、複合体Iと複合体IIの両方を介した合流入力(OXPHOSCI+IIまたは状態3CI+II)を伴う、最大OXPHOS容量を誘導した。オリゴマイシン(1 μg/ml)はATPシンターゼを阻害し、LEAK呼吸を誘導するために使用した。続いて、FCCP(ETSCI+II、平均濃度6 μM)を滴定することで、ETSの最大合流呼吸容量を得た。複合体Iをロテノン(2 μM)で阻害し、複合体IIのみを通じコハク酸により支持されるETS容量(ETSCII)を評価した。最後に、ETSを通じた電子の流れを、アンチマイシン-A(1 μg/ml)を加えることにより阻害し、ETSと関係しない残存酸素消費量を提供した。対照比は、最大酸化呼吸又はFCCP刺激時の最大呼吸を、LEAK呼吸で除することにより、算出した(それぞれOXPHOSCI+II/LEAK及びETSCI+II/LEAK)。分析したサンプルは、-80℃で保存した。
(1.4データ解析)
統計評価は、Graph Pad PRISM (GraphPad Software version 5.01、La Jolla、CA、USA)を用いて行った。値は平均±SEM、あるいは個別の値として提示した。異なる集団からの全ての値は、臍帯血と未処理の細胞に対する対照比(ETS/LEAK、ETS/常態)を除いて、ディアゴスティーノとピアソンの包括正規性検定において、正規分布を示した。多群比較は、パラメトリックなデータには、一元配置ANOVAを行い、群間の事後検定には、Tukeyの多重比較検定を用いた。ノンパラメトリックなデータには、Kruskal-Wallis検定と、Dunnの多重比較検定を用いた。年齢との相関については、線形回帰を用いた。p-値 < 0.05を統計学的に有意とみなした。
(2.結果)
血液サンプルは46人の健康な成人ボランティア、25人の子供、および22検体の臍帯から血液を採取した。成人46人のうち、24人はスウェーデンで採取し、22人は日本で採取した。その28人が男性であり、18人が女性であった。その年齢は19から65歳におよび、メディアンは37歳であった。子供25人のうち、18人は男性で、7人が女性であった。その年齢は1か月から12歳におよび、メディアンは4歳であった。22検体の臍帯のうち、13検体が帝王切開で生まれたもので、9検体が膣を経て生まれたものであった。
(2.1血小板ミトコンドリアの収量、残存活性、損傷の少なさ)
血小板濃度を全血液より測定し、非常に血小板に富む血漿の調製の後算出された収率は、平均92%(± 8%、n = 16)であった。調製プロトコル後の血小板の生存性を評価するため、一段階の遠心操作を受けた、すなわち300×gで15分の遠心操作を受けた血小板を用いて呼吸計測を行い、ペレットにした後の呼吸と比較した。有意な差は見られず、単離のプロセスを通じて、血小板の安定性及び生存性は良いと結論付けられた(N = 16、データは示さない)。
(2.2未処置の血小板のミトコンドリア呼吸)
未処置の細胞を用いた実験の、代表的なグラフを図2に示し、呼吸パラメーターの値を、表1に示す。未処置の細胞では、呼吸は内在基質によってのみ駆動される。常態呼吸はPBS-グルコースにインキュベートした細胞も、血漿にインキュベートした細胞も、同様であった。LEAK呼吸は非常に低く、1 pmol O2/s/108血小板であった。結果的に対照比ETS/LEAKが高くなることから、非常に強く共役した呼吸をしていることを示唆している。FCCPによるETSの最大刺激は、オリゴマイシンを用いない実験で有意に高く、対照比ETS/常態により示される余剰の呼吸容量は、血漿に懸濁した、オリゴマイシン処理をしていない血小板の方が、PBSグルコースに懸濁したものより、有意に高かった。ロテノンによる複合体Iの阻害は、〜99%の呼吸を抑制し、アンチマイシン-Aを加えた後には、さらなる阻害は見られなかった(表1)。異なる集団間では、日本人の対照群と対する臍帯血のFCCP刺激後の最大呼吸(ETS)の間で有意差があった(15 ± 1.3 vs 23 ±2.3 pmol O2/s/1×106血小板)。その他では差は見られなかった。
(2.2.1透過処理をした血小板のミトコンドリア呼吸)
SUITプロトコルを開発し、1回の実験で、異なる呼吸複合体の容量について、可能な限り多くの情報を得た。基質と阻害剤を加えたときの、代表的な軌跡と異なる状態の定義を、図3に描いた。MiR05中の細胞の常態呼吸は、PBS-グルコース又は血漿中にインキュベートした未処置の血小板と、同じ範囲であった。ジギトニンを加えた後は、細胞質中の基質とアデニンヌクレオチドが周囲の培地へと拡散したため、安定した呼吸の減少がみられた。複合体Iの基質としてのリンゴ酸とピルビン酸の存在下、ADP刺激を行うと、常態呼吸と比較して、〜80%呼吸が増加した。さらに、NADHを生成させ、複合体Iの電子入力を行うために、グルタミン酸を加えると、呼吸はさらに〜10%増加した(表2)。コハク酸を加えた後、複合体Iと複合体IIの両方からETSへの入力を受け合流した電子の流れが得られ、常態呼吸の3倍の呼吸速度と、複合体Iの基質のみ受けたときの呼吸より〜50%増加した呼吸が引き起こされた。LEAK呼吸は、最大共役呼吸OXPHOSCI+IIの〜15%であった。〜7.0のOXPHOSCI+II/LEAK比は、効率よいATP合成と電子伝達との共役を示しており、ほかの組織と同程度である(Kuznetsovらの文献、2002)(表2)。最大呼吸容量ETSCI+IIは、プロトンチャネル開口剤FCCPに誘導され、OXPHOSCI+IIと比較して〜5%高かった。OXPHOS/ETS比は1に近く、外因基質が飽和している状態では、リン酸化システムによる流れの制限がほとんどないことが示唆している。ロテノンによる複合体Iの阻害の後、測定したETSCII活性は、複合体Iと複合体IIの活性が組み合わされたETSCI+IIの、〜35%であった。日本の参照材料では、統合された入力同様に、複合体Iの基質の最大呼吸は、スウェーデンの参照材料を用いたときと、同程度であった。しかしながら、LEAK呼吸と複合体IIに刺激された呼吸は、ともにETSCI+II/LEAK比が低下したスウェーデン及び小児集団からの値と比較して、〜25%高かった(表2)。臍帯血の値は、OXPHOSとETSの両方で、最大呼吸が高い値を示す点で、相違した。結果として得た比が低かったことから、LEAK呼吸は絶対値並びに比の双方において、有意に高かった(表2)。
(2.3年齢と性別の相関)
2つの呼吸状態が、年齢との有意な相関を示した。図4A、Bに示すように常態呼吸は加齢に伴い上昇し(r2 = 0.15, p < 0.05)、ETSCIIは加齢とともにわずかに減少する(r2 = 0.14, p < 0.05)(臍帯血のデータは含まない)。ほかの全ての呼吸パラメーターの間では、図4CのOXPHOSCI+IIに例示されるように、有意な変化はなかった。未処置、透過処理した血小板のいずれにおいても、呼吸パラメーターと性別の間に相関はなかった(図4D)。
(2.4異なる血小板濃度における呼吸の線形性)
異なる血小板濃度における呼吸を評価した。100-400×106 plt/mlの範囲において呼吸は、全ての状態で線形性を残した。50×106 plt/mlの濃度では、最大のFCCP刺激は20-25%減少した(図5)。その後の実験の多くは、血小板濃度200×106/mlで行った。該方法は同じ個人に対し異なる日に行う実験によって評価すると、よい再現性を示した。異なる呼吸パラメーターにおいて、その分散係数は6-13%であった(表3)。
(2.5血液保存期間を延ばした時の呼吸パラメーターへの影響)
全血液保存の、ミトコンドリア呼吸への効果を評価した。採血したばかりの血液を、EDTAバイアルに取り、室温又は4℃で、傾斜台にのせ最長72時間保存した。24時間経過後、呼吸は安定したままであった。48時間経過後、基質で刺激した呼吸状態の呼吸容量、すなわちOXPHOSCI、OXPHOSCI+II及びETSCI+IIは明らかに減少する傾向を示した。72時間経過後、LEAK呼吸を除くすべてのパラメーターが有意に低下した(図6)。
(3.白血球(WBC)のプロトコル)
(3.1サンプル調製)
患者においては、最大40 mlの血液を存在する動脈経路から、K2EDTAチューブ(Vacuette(登録商標)、 Greiner Bio-One GmbH、Kremmunster、Austria)へと採血した。対照群においては、静脈穿刺により、K2EDTAチューブへと血液サンプルを採取した。白血球は、フィコール勾配(Boyum REF)遠心により、全血液から単離した。標準生理食塩水で洗った後、細胞を200-400 μlの生理食塩水に再懸濁した。収量により、50-100 μlの被験者自身の血漿を混ぜた。呼吸計測は、サンプリングより5時間以内に行った。分析の済んだ呼吸計測チャンバーの内容物は、さらに使用まで凍結保存した。
(3.2高解像度呼吸計測)
白血球を、最終濃度2.5-5×106 cells/mlで2 mlのオキシグラフチャンバーに設置した。未処置細胞にあっては、呼吸培地は被験者自身の血漿からなり、透過処理した細胞にあっては、呼吸培地はスクロース 110 mM、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含む(MiR05)(Gnaigerらの文献、2000)。測定は37℃の恒温下で、高解像度オキシグラフ(Oxygraph-2k Oroboros Instruments、Innsbruck、Austria)を用いて行った。酸素濃度(μM)及び酸素の流れ(酸素濃度の負の時間の導関数;pmol O2×s-1×10-6cells)はDatLab software 4.3(Oroboros Instruments、Innsbruck、Austria)によって記録した。全ての実験は、210-50 μM O2の範囲の酸素濃度で行った。空気飽和時の校正は、各日ごとに行った。装置のバックグラウンドの酸素の流れは、メーカーの指示書に従って別セットの実験において測定し、次の実験のために自動で補正した。
酸素濃度は、気圧計の圧力と溶解係数から自動で計算した。溶解係数は、水に対して1.0、MIR05に対して0.92、血漿に対して0.89と設定した。
3つの基質−脱共役剤−阻害剤滴定(SUIT)プロトコルを用いた。1つは未処置の細胞に、2つは透過処理した細胞に適用した(Pesta及びGnaiger、2012)。外因物質による未処置の細胞の刺激は、細胞膜を介した透過性が乏しいため限られる。そのため、内在基質のみによって呼吸は維持される。細胞を被験者自身の血漿に懸濁し、常態呼吸が安定化するように静置した。オリゴマイシン(1 μg/ml)を呼吸チャンバーに加え、状態4様の呼吸(LEAK又は状態4u)を誘導した。ここで、状態4様の呼吸は、主にミトコンドリア内膜を挟んだプロトンの漏れに起因する。脱共役剤FCCPを段階的に(20-40 μM)滴定することにより、最大の酸素の流れが引き続いて得られた。最後にロテノン(2 μM)と、それに続けてアンチマイシン-A(1 μg/ml)を加えることにより、複合体Iと複合体IIIを阻害した。残存する酸素の流れを、ミトコンドリア呼吸の安定状態の値から差し引いた。第2、第3のSUITプロトコルは、透過処理した細胞に適用した。両方のプロトコルとも、第一の工程は同じであった。細胞を常態呼吸に安定化させた後、細胞膜をジギトニン(3 μg/1×106cells、異なる一群の実験により評価された最適濃度、データは示さない)を加えることにより、透過処理した。同時に、複合体Iの基質、リンゴ酸とピルビン酸(それぞれ5 mM)を、呼吸チャンバーに加えた。続けて、ADP(1 mM)を加えることで呼吸を刺激し、特定のNADHと結合した基質の組み合わせに対する、酸化的リン酸化容量(OXPHOS又は状態3)を示した。ピルビン酸は、ミトコンドリアマトリックス中でピルビン酸デヒドロゲナーゼによりアセチルCoAに変換され、そのためにOXPHOS容量は不完全な働き又は阻害された酵素に限定され得た。それに続けてグルタミン酸(5 mM)を加えると、ピルビン酸デヒドロゲナーゼはバイパスされ、最大のNADH結合複合体I呼吸、OXPHOSCIが得られた。それに続けてコハク酸(10 mM)を加えると、Q-ジャンクションを介した、複合体Iと複合体IIの両方からの電子の、統合された入力を伴うOXPHOSCI+IIを刺激した。ここから、SUITプロトコルは個別に分かれた。SUIT-2においては、複合体I結合呼吸がロテノン(2 μM)により阻害され、複合体IIからの電子入力のみを伴うOXPHOSCII容量に分割した。続いて、アンチマイシン-Aを加えることにより、複合体IIIのところで電子伝達系を阻害し、残存する酸素の流れを、ミトコンドリア呼吸の安定状態から差し引いた。
SUIT-3においては、最大OXPHOSCI+II容量に続き、主にミトコンドリア内膜を挟んだプロトンのすり抜け又は漏洩により引き起こされる、LEAKCI+II(状態4)の呼吸を評価するために、オリゴマイシン(1 μg/ml)により、ATPシンターゼを阻害した。酸化的リン酸化を伴わない呼吸を通じた最大の電子伝達、ETSCI+IIを、段階的に(2-4 μM)FCCPで滴定することにより、評価した。酸化的リン酸化と共役しない複合体II結合呼吸、ETSCIIを、ロテノンを加えることに続き、ETSをアンチマイシン-Aにより阻害することで評価した。この時点で再酸素化を行い、SUIT-2及びSUIT-3プロトコルにおいて160-180 μM O2のレベルにおいた。複合体IVの活性は、複合体IVの電子供与体である、N,N,N',N'-タータメチル-p-フェニルジアミン(TMPD 0.5 mM)を加えることにより、評価した。TMPDアジ化ナトリウム(10 mM)は自動酸化するため、複合体IV阻害剤を加え、得られる2つのレベルの差を、複合体IVの活性として計算した。
次に、潜在的薬物候補をスクリーニングする、より具体的なプロトコルを与える。
2つのスクリーニングプロトコルが利用される。
(1)複合体II効果について、110 mM スクロース、HEPES 20 mM、タウリン 20 mM、K-ラクトビオン酸 60 mM、MgCl2 3 mM、KH2PO4 10 mM、EGTA 0.5 mM、BSA 1 g/l、pH 7.1を含む緩衝液中の単離した血小板又は白血球細胞を用いて、第一のスクリーニングを行った。内在の基質による、ベースライン呼吸を確立した後、複合体Iをロテノン2 mMで阻害した。DMSOに溶解した薬物候補を、最終濃度100 μM、500 μM、及び5 mMとなるように段階的に滴定した。
続いて、ジギトニン(1 mg/1×106 plt)により、細胞膜透過処理を行った。呼吸が安定した後、コハク酸10 mMを加え、呼吸が安定した後、アンチマイシン-Aを最終濃度1 μg/mlで加えることにより実験を終了し、残存呼吸を測定した。図11は、新規細胞透過性ミトコンドリア基質を評価するプロトコルを示す。該アッセイにおいて、未処置の細胞におけるミトコンドリア機能は、呼吸複合体Iの阻害剤であるロテノンにより抑制される。細胞膜透過処理の前と後に薬物候補を内在の基質と比較し、生物エネルギーの促進又は阻害を評価する。図11は、ミトコンドリア複合体IIスクリーニングアッセイの概略図である。この図は、新規細胞透過性ミトコンドリア基質を評価するプロトコルを示す。該アッセイにおいては、未処置細胞におけるミトコンドリアの機能を、複合体Iの阻害剤であるロテノンにより抑制する。薬物候補は、細胞膜の透過処理の前と後で内在基質と比較し、生物エネルギーの促進又は阻害を評価する。
(2)第2のプロトコルにおいては、統合された呼吸について、前記同じ呼吸緩衝液、及び細胞濃度を用いた。基底呼吸を確立した後、ミトコンドリア脱共役剤FCCPを、2 mMの濃度で加えた。薬物候補をDMSOで溶解し、最終濃度100 μM、200 μM、400 μM、600 μM、1 mM、2 mM、5 mM及び10 mMとなるように、段階的に滴定した。最大統合呼吸に到達するのに要した濃度を記録した。実験は、2 μMロテノン及び1 μg/mlアンチマイシン-Aを加えることにより終了し、残存呼吸を測定した。図12は、新規細胞膜透過性ミトコンドリア基質の、潜在性を評価するプロトコルを記載している。該アッセイでは、ミトコンドリア活性を、プロトンチャネル開口剤であるFCCPによりミトコンドリアを脱共役することにより刺激する。薬物候補を滴定し、最大統合(複合体I及び複合体IIに由来する)呼吸のレベルを得る。ロテノンを加えた後、複合体II依存的な刺激を得る。複合体III阻害剤アンチマイシン-Aを加えることにより、ミトコンドリア非依存的な酸素消費を評価する。図12は、ミトコンドリア統合呼吸のスクリーニングアッセイの概略図である。ここでは、新規細胞透過性ミトコンドリア基質の、潜在性を評価するプロトコルが記載されている。該アッセイでは、ミトコンドリア活性を、プロトンチャネル開口剤であるFCCPによりミトコンドリアを脱共役することにより刺激する。薬物候補を滴定し、最大統合(複合体I及び複合体IIに由来する)呼吸のレベルを得る。ロテノンを加えた後、複合体II依存的な刺激を得る。複合体III阻害剤アンチマイシン-Aを加えることにより、ミトコンドリア非依存的な酸素消費を評価する。
統合呼吸のスクリーニングアッセイにおいて理想的な化合物は、未処置の細胞内で脱共役されたミトコンドリアにおいて、段階的に滴定することにより、対照と比較してより高い呼吸を示す。図12の概略プロトコルと図13の例として化合物番号3、5、及び13を用いた実験で例示されるグラフを参照されたい。図13は、未処置のヒト血小板において、段階的な薬物滴定により対照(コハク酸二ナトリウム)と比較して、呼吸(単位当たりの酸素の流れ)が増加することが示されている(図12)。
(所望の化合物の特性)
(1)理想の化合物は、CIIスクリーニングプロトコルにおいて、未処置の状態で低濃度でロテノンにより阻害された呼吸を刺激し、透過処理後にコハク酸刺激された呼吸に対する阻害効果を示さないものである。ミトコンドリア毒性物による呼吸の阻害の後、呼吸は休止する。図1と、以下に示すものを参照されたい。
a > bは、aがbより大きいことを意味する。
a >> bは、aがbよりずっと大きいことを意味する。
a → b、はaの値がbに近似することを意味する。
求められる化合物の特性は、
・薬物濃度が低濃度でaの値が最大に達し、
・a >> a'
・a → b'
・c → c'
・d → d'
細胞膜を透過しない化合物は、前記アッセイにおいて以下のように同定される。
・a → a'
薬物候補により誘導されるミトコンドリア非依存的な酸素消費は、以下の時に同定される。
・d > d'
(参考文献)
Figure 2015535690
Figure 2015535690
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Claims (32)

  1. i)ヒト血液サンプルから単離された活性ミトコンドリアを含む細胞のサンプルを、高解像度呼吸計測にかけること、
    ii)ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質に該細胞サンプルを接触させること、
    iii)ビヒクル中に試験物質を含む試験サンプルを加えること、
    iv)該試験サンプルを加える前と後の酸素消費量の比較、及び該ビヒクル中の対照サンプルの酸素消費量と該試験サンプルの酸素消費量の比較を行うこと、ここで酸素消費量の減少はミトコンドリアに対する負の効果を示す;
    v)iii)から得られたサンプルをミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤と接触させること、及び
    vi)v)から得られたサンプルをミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤と接触させること、
    を含む、方法。
  2. i)ヒト血液サンプルから単離した活性ミトコンドリアを含む細胞サンプルを、高解像度呼吸計測にかけること、ここで、該細胞のサンプルは臨床研究下または治療投薬下にあるヒトから採取したものである;
    ii)ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質に該細胞サンプルを接触させること
    iii)臨床研究下、又は治療投薬下にあるヒトから採取した該サンプルの酸素消費量を対照サンプルの酸素消費量と比較すること、ここで酸素消費量の減少はミトコンドリアに対する負の効果を示す;
    iv)iii)で得られたサンプルをミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤に接触させること、及び
    v)iv)で得られたサンプルをミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤に接触させること、
    を含む、方法。
  3. 前記高解像度呼吸計測を37℃の恒温下、400−25 μM O2の範囲の酸素濃度において行う、請求項1、又は2記載の方法。
  4. ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質を加え、前記サンプル中のミトコンドリア電子伝達系の最大容量を得る、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
  5. 前記ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質が、カルボニルシアニドp−(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、及びその他のプロトンチャネル開口剤並びにそれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
  6. 前記ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質が、その濃度を、0.1から10 μM、例えば0.5 μMから5 μM、1 μMから3 μM、約2 μMの範囲で加えられる、請求項1から5のいずれか一項記載の方法。
  7. 前記ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増加させる物質がFCCPである、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記ビヒクルが、有機溶媒、例えば、エタノール、イソプロノール、メタノール、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMF(ジメチルホルムアミド)、又はDMA(ジメチルアセトアミド)である、請求項1、及び3から6のいずれか一項記載の方法。
  9. 前記試験サンプルが液体状であり、かつ濃度既知の前記試験物質を含む、請求項1、及び3から8のいずれか一項記載の方法。
  10. 前記試験サンプルを段階的に濃度を上げて加える、請求項9記載の方法。
  11. 前記試験サンプルを段階的に加えることにより、該試験サンプルの最終濃度を1 μMから10 mMとする、請求項10記載の方法。
  12. iii)の対照サンプルが、前記試験サンプルと同一であるが試験物質を含まないものである、請求項1、及び3から11のいずれか一項記載の方法。
  13. 前記ミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤を加えて、複合体II-基質の酸化に依存的な細胞呼吸を明らかにする、請求項1から12のいずれか一項記載の方法。
  14. 前記ミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤が、その濃度を0.1から10 μM、例えば0.5から5 μM、1から3 μM、又は約2 μMの範囲で加えられる、請求項1から13のいずれか一項記載の方法。
  15. 前記ミトコンドリア複合体Iの機能阻害剤がロテノンである、請求項1から14のいずれか一項記載の方法。
  16. 前記ミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤を加えて、ミトコンドリア非依存的な酸素消費活性、例えば前記サンプルの自動酸化を決定する、請求項1から15のいずれか一項記載の方法。
  17. 前記ミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤を加えて、その最終濃度を、約0.1から10 μg/ml、例えば約0.5から5 μg/ml、約0.75から2 μg/ml、又は1 μg/mlの範囲とする、請求項1から16のいずれか一項記載の方法。
  18. 前記ミトコンドリア複合体IIIの機能阻害剤がアンチマイシン-Aである、請求項1から17のいずれか一項記載の方法。
  19. 前記対照サンプルが対照群から採取されたものである、請求項2から18のいずれか一項記載の方法。
  20. 前記対照サンプルが任意の治療開始前に採取されたものである、請求項2から19のいずれか一項記載の方法。
  21. 薬物候補物質のスクリーニングのための、請求項1、及び3から18のいずれか一項記載の方法。
  22. 薬物物質、又は薬物候補に対する被験者の感受性を検査するための、請求項1から20のいずれか一項記載の方法。
  23. 臨床試験における試験物質のミトコンドリア毒性を評価するための、請求項2から20のいずれか一項記載の方法。
  24. ミトコンドリア機能に対する物質の効果を分析するための、請求項1から20のいずれか一項記載の方法。
  25. 前記細胞サンプルが前記被験者から単離したものである、請求項22記載の方法。
  26. ミトコンドリア呼吸とATP産生を刺激できる化合物を評価するための、請求項1から20のいずれか一項記載の方法。
  27. i)ヒト血液サンプルから単離した活性ミトコンドリアを含む細胞サンプルを高解像度呼吸計測すること、
    ii)該細胞サンプルを複合体I呼吸を阻害する物質に接触させること、
    iii)ビヒクル中に試験物質を含む試験サンプルを加えること、
    iv)細胞膜を透過する物質を加えること、
    v)iv)で得たサンプルに参照物質を加えること、及び
    vI 複合体III呼吸を阻害する物質を加え、かつ得られた酸素消費量を、工程iii)において参照物質を用いて試験サンプルを加えることを省いて該方法を実施した場合に得られる酸素消費量と比較すること
    を含む、方法。
  28. 前記細胞膜を透過する物質が、ジギトニンである、請求項27記載の方法。
  29. ジギトニンを5 μg/mlから約250 μg/mlの濃度で加える、請求項28記載の方法。
  30. 前記参照物質がコハク酸のような複合体II結合基質である、請求項27から29のいずれか一項記載の方法。
  31. 前記参照物質の最終濃度が約0.1から約20 mMである、請求項30記載の方法。
  32. i)からvi)の各工程の詳細が請求項3、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、21、24、及び/又は26のいずれか一項に定義されたものである、請求項27から31のいずれか一項記載の方法。
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