JP2015531339A - 無定形ウリプリスタール酢酸エステル - Google Patents

無定形ウリプリスタール酢酸エステル Download PDF

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Abstract

子宮筋腫の予防及び/又は治療薬、避妊剤などとして有用な新規な形態のウリプリスタール酢酸エステル及びその製造方法を提供する。原料ウリプリスタール酢酸エステルをハロゲン化炭化水素に溶解し、この溶液を濃縮することにより、無定形ウリプリスタール酢酸エステル、又は無定形ウリプリスタール酢酸エステルを含む新規ウリプリスタール酢酸エステル物質を得る。無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、示差走査熱量スペクトルにおいて、135〜145℃程度に発熱ピークを有していてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、避妊剤として、若しくは子宮筋腫の予防及び/又は治療剤などとして有用な新規ウリプリスタール酢酸エステル(特に、無定形ウリプリスタール酢酸エステル)及びその製造方法に関する。
ウリプリスタール酢酸エステル[17α−アセトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;以下、UPAと称する場合がある]は、抗プロゲステロン活性と抗グルココルチコイド活性とを有するステロイド化合物であり、米国および欧州にて緊急避妊薬として販売されている。
ウリプリスタール酢酸エステルの結晶として、例えば、特許第2953725号公報(特許文献1)には、メタノールと水との混合溶媒から再結晶された融点118〜121℃のUPA結晶が記載されている。WO96/30390号公報(特許文献2)には、ジエチルエーテルから結晶化された融点183〜185℃のUPA結晶が記載されている。特表2006−519255号公報(特許文献3)には、エタノール水溶液(90%)から再結晶された融点183〜185℃のUPA結晶が記載されている。特表2006−515869号公報(特許文献4)には、エタノール/水=80/20の混合溶媒から再結晶された融点189℃のUPA結晶が記載されている。特表2009−539964号公報(特許文献5)には、エタノール(230mL)と水(260mL)との混合溶媒から再結晶された融点184〜186℃のUPA結晶が記載されている。
溶解性及び/又はバイオアベイラビリティが改善されたウリプリスタール酢酸エステルの新規形態が、未だ要求されている。
特許第2953725号公報(特許請求の範囲、実施例) WO96/30390号公報(特許請求の範囲、実施例) 特表2006−519255号公報(特許請求の範囲、実施例) 特表2006−515869号公報(特許請求の範囲、実施例) 特表2009−539964号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、子宮筋腫の予防及び/又は治療剤などとして有用な新規な無定形ウリプリスタール酢酸エステル及びその製造方法を提供することにある。新規ウリプリスタール酢酸エステルは、避妊剤(避妊薬)(例えば、緊急避妊剤(緊急避妊薬))として有用であってもよい。また、新規な無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、例えば、婦人科疾患(又は障害)(子宮筋腫又は平滑筋腫、子宮内膜症、子宮出血、子宮内膜の脱臼又は転位(dislocation)に関連する疼痛など)の治療及び/又は予防薬としても有用であってもよい。
本発明の他の目的は、溶解性、吸収性などに優れ、バイオアベイラビリティを向上できる新規ウリプリスタール酢酸エステル及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ウリプリスタール酢酸エステルを特定の溶媒に溶解し、この溶液を濃縮(固化又は乾固)することにより、従来の結晶形とは異なる無定形のウリプリスタール酢酸エステルが、他の形態と混在することなく得ることができること、この無定形ウリプリスタール酢酸エステルを含むウリプリスタール酢酸エステル物質が、溶解性、吸収性などの特性に優れ、バイオアベイラビリティを向上できることを見いだした。本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、患者に投与されるウリプリスタール酢酸エステルの投薬量を低減でき、必要な治療的又は避妊的効果を得ることができる。本発明は、上記の知見に基づいて完成した。
本発明の第1の態様は、無定形(アモルファス形態又は非晶質)のウリプリスタール酢酸エステルである。
いくつかの実施形態において、前記無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、図1に示されるX線回折パターンを有する。好ましくは、このX線回折パターンは、Cu K α1線源を備えた回折計を用いて得られる。
いくつかのさらなる又は他の実施形態において、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、示差走査熱量スペクトルにおいて、135〜145℃程度に発熱ピークを有している。本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、さらに、図2に示される示差走査熱量スペクトルを有していてもよい。
本発明の別の態様は、無定形ウリプリスタール酢酸エステルを含むウリプリスタール酢酸エステル物質(本明細書において、「ウリプリスタール酢酸エステル混合物」とも称される)である。
ウリプリスタール酢酸エステル物質(又は組成物又は混合物)は、さらに、ウリプリスタール酢酸エステル結晶(ウリプリスタール酢酸エステルの多形結晶)を含んでいてもよい。ウリプリスタール酢酸エステル結晶は、例えば、
(1)以下の回折角度2θ:9.2±0.2°、11.4±0.2°、11.7±0.2°、12.0±0.2°、15.2±0.2°、17.0±0.2°、17.2±0.2°及び24.4±0.2°に回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有するウリプリスタール酢酸エステルの結晶多形A(A形結晶)、
(2)以下の回折角度2θ:6.4±0.2°、8.4±0.2°、9.4±0.2°、9.6±0.2°、11.8±0.2°、12.8±0.2°、15.3±0.2°、16.7±0.2°、17.5±0.2°、18.6±0.2°、19.3±0.2°、21.0±0.2°及び25.5±0.2°に回折ピークを有する含む粉末X線回折パターンをウリプリスタール酢酸エステルの結晶多形B(B形結晶)、
(3)以下の回折角度2θ:9.0±0.2°、9.3±0.2°、10.8±0.2°、11.5±0.2°、12.2±0.2°、13.1±0.2°、14.3±0.2°、15.6±0.2°、15.7±0.2°、15.9±0.2°、16.6±0.2°、17.6±0.2°、17.9±0.2°、18.9±0.2°、19.3±0.2°及び23.8±0.2°に回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有するウリプリスタール酢酸エステルの結晶多形C(C形結晶)などから選択できる。
ピークを有する回折角度(又はピーク角度)は、±0.2°のバラツキの範囲(可変範囲)を含む。なお、同一の結晶形において、バラツキの範囲を含む複数のピーク角度(回折角度)が重複していても、測定したピーク角度は互いに独立している。例えば、C形結晶は、9.0±0.2°及び9.3±0.2°に回折ピークを有しており、2つの回折角度の範囲が9.1〜9.2°で重複しているが、異なる回折角度位置で2つの独立したピーク(1つは9.0±0.2°でのピーク、もう1つは9.3±0.2°でのピーク)があることを意味する。
無定形ウリプリスタール酢酸エステルとウリプリスタール酢酸エステル結晶との割合は、前者/後者(重量比)=0.5/99.5〜99.5/0.5(例えば、10/90〜99/1)程度であってもよい。なお、上記重量比は、示差走査熱量スペクトルにおいて、無定形ウリプリスタール酢酸エステルとウリプリスタール酢酸エステル結晶とを所定の重量比で含む参照ウリプリスタール酢酸エステルの発熱ピークの発熱量を測定することにより、重量比と発熱量との関係に基づいて分析できる。
本発明は、さらに、本発明に係る無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物に関する。この医薬組成物は、避妊剤、例えば、緊急避妊剤として使用してもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮出血、子宮内膜の脱臼又は転位に関連する疼痛などの婦人科疾患を治療及び/又は予防するために用いられてもよい。
本発明のさらなる態様は、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質の製造方法である。
本発明は、原料ウリプリスタール酢酸エステル(結晶多形A形などのウリプリスタール酢酸エステル結晶など)をハロゲン化炭化水素に溶解し、この溶液を濃縮する工程を経て、無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質を製造する方法も包含する。また、本発明は、原料ウリプリスタール酢酸エステル(結晶多形A形、B形、C形などのウリプリスタール酢酸エステル結晶など)を粉砕することにより、無定形ウリプリスタール酢酸エステルとウリプリスタール酢酸エステル結晶とを含むウリプリスタール酢酸エステル物質(又はウリプリスタール酢酸エステル混合物)を製造する方法も包含する。
本発明では、無定形ウリプリスタール酢酸エステル及び無定形ウリプリスタール酢酸エステルを含むウリプリスタール酢酸エステル物質により、従来の結晶形と比較して溶解性が高く、吸収性などにも優れ、バイオアベイラビリティを向上できる。また、無定形ウリプリスタール酢酸エステルを結晶形ウリプリスタール酢酸エステルと混合することにより、結晶形ウリプリスタール酢酸エステルの溶解性を向上させることができる。本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル及びウリプリスタール酢酸エステル物質(又は組成物又は混合物)は、子宮筋腫の予防及び/又は治療薬などとして有用であり、医薬(又は医薬品)としての安全性にも優れている。本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル及びウリプリスタール酢酸エステル物質は、避妊剤として有用である。
図1は実施例1の無定形ウリプリスタール酢酸エステルの粉末X線回折スペクトルを示すグラフである。 図2は実施例1の無定形ウリプリスタール酢酸エステルの示差走査熱量スペクトルを示すグラフである。 図3は比較例のA形結晶の粉末X線回折スペクトルを示すグラフである。 図4は比較例のA形結晶の示差走査熱量スペクトルを示すグラフである。 図5は実施例3のB形結晶の粉末X線回折スペクトルを示すグラフである。 図6は実施例3のB形結晶の示差走査熱量スペクトルを示すグラフである。 図7は実施例4のC形結晶の粉末X線回折スペクトルを示すグラフである。 図8は実施例4のC形結晶の示差走査熱量スペクトルを示すグラフである。 図9は実施例1の無定形ウリプリスタール酢酸エステルの粉砕時間と粉末X線回折スペクトルとの関係を示すグラフである。 図10は比較例のA形結晶の粉砕時間と粉末X線回折スペクトルとの関係を示すグラフである。
[ウリプリスタール酢酸エステル物質]
本明細書では、ウリプリスタール酢酸エステル物質とは、多形の混合物又は組成物の形態のウリプリスタール酢酸エステルをいう。本発明によるウリプリスタール酢酸エステル物質は、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルを少なくとも含む。いくつかの実施形態において、本発明によるウリプリスタール酢酸エステル物質は、本発明の無定形を少なくとも5重量%含む。重量割合は、ウリプリスタール酢酸エステル物質の総重量に対する割合である。
本明細書において、少なくとも5重量%の無定形は、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%の無定形を包含する。好ましい実施形態において、無定形は、本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質内に存在するウリプリスタール酢酸エステルの主要な多形である。このことは、本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質が、50重量%よりも少なくない量の無定形、好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは少なくとも99.5重量%の無定形を含むことを意味する。本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質中に存在する残りの多形は、ウリプリスタール酢酸エステルの任意の結晶形であってもよい。いくつかの実施形態において、本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質は、実質的に、本明細書に記載される無定形からなる。
本発明の特色は、無定形(アモルファス又は非晶質)のウリプリスタール酢酸エステルにある。そのため、本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質(又は組成物又は混合物)は、少なくとも無定形(アモルファス又は非晶質)のウリプリスタール酢酸エステルを含んでいる。
無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、粉末X線回折パターンにより特徴付けられる。すなわち、ウリプリスタール酢酸エステル物質は、粉末X線回折スペクトルにおいて、少なくとも無定形ウリプリスタール酢酸エステルに由来する回折パターンを示す。
無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、粉末X線回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来する回折ピークを実質的に有しておらず、入射X線の散乱に由来するハロー図形を有している。
いくつかの実施形態において、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、図1に表されるX線回折パターンを示す。
また、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、示差走査熱量パターンにより特徴付けられる。すなわち、無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、示差走査熱量スペクトルにおいて、少なくとも無定形ウリプリスタール酢酸エステルに由来するパターンを示す。
無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、示差走査熱量スペクトルにおいて、95〜130℃(例えば、100〜125℃、好ましくは105〜120℃)程度にベースラインの下方へのシフト(ガラス転移温度(Tg))を示してもよい。
また、無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、示差走査熱量スペクトルにおいて、135〜145℃(例えば、137〜143℃、好ましくは139〜141℃)程度に発熱ピークを有していてもよい。上記発熱ピークは、無定形から結晶形(A形)への転移に起因するピークであると推定される。上記発熱ピークに対応する発熱量は、無定形ウリプリスタール酢酸エステル1g当たり、5〜30J、好ましくは8〜28J、さらに好ましくは10〜25J(例えば、11〜20J)程度であってもよい。なお、上記発熱量は、示差走査熱量計(DSC)に供する無定形ウリプリスタール酢酸エステルの重量および発熱ピーク面積に基づいて算出できる。
さらに、無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、示差走査熱量スペクトルにおいて、180〜192℃、好ましくは183〜190℃程度に吸熱ピークを有していてもよい。上記吸熱ピークは、転移した結晶(A形結晶)の融解に起因するピークであると推定される。
いくつかの実施形態において、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、図2に示される示差走査熱量スペクトルを有する。
本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質は、無定形ウリプリスタール酢酸エステルを含んでいればよく、さらにウリプリスタール酢酸エステル結晶(多形結晶)を含んでいてもよい。ウリプリスタール酢酸エステル結晶としては、
(1)以下の回折角度2θ:9.2±0.2°、11.4±0.2°、11.7±0.2°、12.0±0.2°、15.2±0.2°、17.0±0.2°、17.2±0.2°及び24.4±0.2°に回折ピークを含む粉末X線回折スペクトルを有するウリプリスタール酢酸エステルの結晶多形A(A形結晶)、
(2)以下の回折角度2θ:6.4±0.2°、8.4±0.2°、9.4±0.2°、9.6±0.2°、11.8±0.2°、12.8±0.2°、15.3±0.2°、16.7±0.2°、17.5±0.2°、18.6±0.2°、19.3±0.2°、21.0±0.2°及び25.5±0.2°に回折ピークを含む粉末X線回折スペクトルを有するウリプリスタール酢酸エステルの結晶多形B(B形結晶)、
(3)以下の回折角度2θ:9.0±0.2°、9.3±0.2°、10.8±0.2°、11.5±0.2°、12.2±0.2°、13.1±0.2°、14.3±0.2°、15.6±0.2°、15.7±0.2°、15.9±0.2°、16.6±0.2°、17.6±0.2°、17.9±0.2°、18.9±0.2°、19.3±0.2°及び23.8±0.2°に回折ピークを含む粉末X線回折スペクトルを有するウリプリスタール酢酸エステルの結晶多形C(C形結晶)などが例示できる。
なお、粉末X線回折スペクトルは、慣用の方法、好ましくは、Cu K α−1線源を有する回折計を用いて、例えば、後述の実施例の条件で測定できる。回折ピークを示す回折角度2θは、測定条件および試料状態などによって±0.2°(例えば、±0.1°)程度変動する場合がある。しかし、同一の結晶構造であれば、特徴的な回折ピークの数が大きく変化することはなく、ほぼ同一の粉末X線回折パターンを示す。
ウリプリスタール酢酸エステル結晶としては、示差走査熱量スペクトルにおいて、例えば、180〜192℃(好ましくは183〜190℃)程度に吸熱ピーク(融点)を有する結晶多形A、160〜170℃(例えば、165〜169℃、好ましくは166〜168℃)程度に吸熱ピーク(融点)を有する結晶多形B、135〜145℃(例えば、137〜143℃、好ましくは139〜141℃)程度に吸熱ピーク(融点)を有する結晶多形Cなどが例示できる。
なお、結晶多形C(又は結晶多形Cを含むウリプリスタール酢酸エステル物質)は、示差走査熱量スペクトルにおいて、さらに145〜170℃(例えば、160〜167℃、好ましくは163〜165℃)程度に発熱ピークを有していてもよく、180〜192℃(好ましくは183〜190℃)程度に吸熱ピークを有していてもよい。上記発熱ピークは結晶多形C(C形結晶)から結晶多形A(A形結晶)への転移に起因するピークと推定され、上記吸熱ピークは結晶多形A(A形結晶)の融解に起因するピークと推定される。
例えば、結晶多形Aは、図3に示されるか若しくは表1に記載される粉末X線回折パターン及び/又は図4に示される示差走査熱量スペクトルを有していてもよい。結晶多形Bは、図5に示されるか若しくは表2に記載される粉末X線回折パターン及び/又は図6に示される示差走査熱量スペクトルを有していてもよい。結晶多形Cは、図7に示されるか若しくは表3に記載される粉末X線回折パターン及び/又は図8に示される示差走査熱量スペクトルを有していてもよい。
ウリプリスタール酢酸エステル結晶は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらのウリプリスタール酢酸エステル結晶のうち、好ましいウリプリスタール酢酸エステル結晶は、溶解性の点から、B形結晶、C形結晶(特に、C形結晶)である。
ウリプリスタール酢酸エステル結晶(又は各結晶多形)は、単結晶であってもよく、双晶又は多結晶であってもよい。ウリプリスタール酢酸エステル結晶(又は各結晶多形)の形態(外形)は、特に制限されず、例えば、三斜晶、単斜晶、斜方晶(直方晶)、正方晶、立方晶、三方晶(菱面体晶)、六方晶などであってもよく、球晶、骸晶、樹皮状晶、針状晶(例えば、ヒゲ結晶)などであってもよい。
ウリプリスタール酢酸エステル物質(ウリプリスタール酢酸エステル混合物、組成物又は混晶)において、無定形ウリプリスタール酢酸エステルと、ウリプリスタール酢酸エステル結晶との割合(重量比)は、前者/後者=0.5/99.5〜99.5/0.5(例えば、1/99〜99/1)程度の範囲から選択でき、例えば、10/90〜99/1(例えば、20/80〜99/1)、好ましくは30/70〜98/2(例えば、40/60〜97/3)、さらに好ましくは50/50〜96/4(例えば、60/40〜95/5、好ましくは70/30〜95/5)程度であってもよい。また、上記割合(重量比)は、前者/後者=15/85〜85/15(例えば、25/75〜75/25)、好ましくは30/70〜70/30(例えば、40/60〜60/40)程度であってもよい。
無定形ウリプリスタール酢酸エステルと結晶形ウリプリスタール酢酸エステルとを含むウリプリスタール酢酸エステル物質(ウリプリスタール酢酸エステル混合物、組成物又は混晶)は、各形態に由来する構造特性(粉末X線回折スペクトルにおける回折ピーク、示差走査熱量スペクトルにおける吸熱ピークなど)を有する。なお、各形態の回折ピーク(又は吸熱ピーク)の強度比は、各形態の配合割合に対応している場合が多い。
なお、ウリプリスタール酢酸エステル(ウリプリスタール酢酸エステル物質、混合物、組成物若しくは混晶、又は無定形ウリプリスタール酢酸エステル、又はウリプリスタール酢酸エステルの各結晶多形)は、さらに低分子化合物(又は溶媒)を含有(又は付着)していてもよい。低分子化合物(又は溶媒)としては、薬学的に許容可能である限り特に制限されず、例えば、水、有機溶媒[例えば、ハロゲン化炭化水素(クロロホルムなど)、アルコール類(例えば、1−プロパノール、2−プロパノールなどのC1−4アルカノールなど)、エーテル類(テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)、ケトン類(アセトンなど)、エステル類(ギ酸エチルなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、環状アミン類(ピリジンなど)]などが例示できる。これらの低分子化合物(又は溶媒)は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。低分子化合物の含有量(又は付着量)は、ウリプリスタール酢酸エステル100重量部に対して、例えば、30重量部以下、好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下(例えば、0.001〜1重量部)程度であってもよい。
無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質の粒子サイズは、特に制限されず、例えば、レーザー回折法に基づいて、平均粒子サイズ(平均粒子径)が0.1μm〜1mm(例えば、0.5μm〜1mm)、好ましくは1〜500μm(例えば、2〜100μm)程度であってもよく、通常、5〜50μm(例えば、5〜30μm)程度である。ウリプリスタール酢酸エステルの平均粒子径は、0.1〜5μm(例えば、0.5〜3μm)程度であってもよい。本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、微粉化されていてもよい。
無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、溶媒溶解性が高く、バイオアベイラビリティに優れている。例えば、エタノールと水との混合溶媒[エタノール/水(体積比)=10/90]に対する無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質の溶解度は、37℃において、10〜30μg/mL、好ましくは12〜27μg/mL、さらに好ましくは15〜25μg/mL程度であってもよい。
[ウリプリスタール酢酸エステル物質又は無定形ウリプリスタール酢酸エステルの製造方法]
本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質又は無定形ウリプリスタール酢酸エステルの製造方法は、上記の粉末X線回折スペクトル又は示差走査熱量スペクトルが得られる限り、特に制限されない。本発明のウリプリスタール酢酸エステル物質又は無定形ウリプリスタール酢酸エステルの製造方法は、例えば、原料ウリプリスタール酢酸エステル(例えば、ウリプリスタール酢酸エステル結晶など)をハロゲン化炭化水素に溶解し、この溶液を濃縮する工程(i)を含んでいる。この工程(i)により、結晶形が実質的に混在することなくアモルファス形が効率よく得られる。
(工程(i))
原料ウリプリスタール酢酸エステルは、慣用の方法により製造でき、純度及び収率の点から、例えば、3,3−(1,2−エタンジオキシ)−5α−ヒドロキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−17α−アセトキシ−19−ノルプレグナ−9−エン−20−オンと酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸;塩酸、硫酸、硫酸一カリウム、リン酸などの無機酸)とを反応させることにより調製できる。この反応の詳細は、例えば、特表2006−519255号公報、特表2006−515869号公報などを参照できる。
原料ウリプリスタール酢酸エステルとしては、上記の反応混合物をそのまま使用してもよく、上記の反応混合物を、慣用の精製手段(濾過、遠心分離、クロマトグラフィーなど)により精製した粗精製物を使用してもよい。また、原料ウリプリスタール酢酸エステルとしては、上記の反応混合物(又は粗精製物)と晶析溶媒とを含む溶液(晶析系)から晶析(又は再結晶)したウリプリスタール酢酸エステル結晶を使用してもよい。さらに、原料ウリプリスタール酢酸エステルとしては、晶析工程を複数回(例えば、2〜4回)繰り返して得られたウリプリスタール酢酸エステル結晶を使用してもよい。
ハロゲン化炭化水素のハロゲン原子としては、塩素、臭素などが挙げられる。好ましいハロゲン原子は塩素である。ハロゲン化炭化水素としては、ハロC1−2アルカン、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、四塩化炭素、これらの組み合わせなどが例示できる。これらのハロゲン化炭化水素のうち、ジクロロメタンなどのジクロロC1−2アルカンが好ましい。
ハロゲン化炭化水素の割合は、原料ウリプリスタール酢酸エステル1gに対して、例えば、0.1〜50mL、好ましくは0.5〜40mL、さらに好ましくは1〜30mL(例えば、5〜20mL)程度であってもよい。
濃縮は、室温〜加熱下(例えば、温度20〜100℃、好ましくは25〜95℃、さらに好ましくは30〜90℃程度)で行ってもよい。また、濃縮は、減圧〜常圧下(例えば、圧力50〜1013hPa、好ましくは70〜1000hPa、さらに好ましくは100〜900hPa程度、通常500hPa以下)で行ってもよい。さらに、濃縮速度は、例えば、0.01〜10mL/分、好ましくは0.1〜8mL/分、さらに好ましくは1〜5mL/分程度であってもよい。
濃縮後は、必要により、乾燥(自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥など)を行ってもよく、通常、減圧乾燥[例えば、50hPa以下、好ましくは20hPa以下(例えば、1〜15hPa程度)で乾燥]する場合が多い。乾燥は、室温〜加熱下、好ましくは25〜80℃、さらに好ましくは30〜70℃(例えば、40〜70℃)程度であってもよい。乾燥時間は、例えば、1〜20時間(例えば、5〜20時間)、好ましくは1.5〜18時間(例えば、10〜18時間)程度であってもよい。このような濃縮及び乾燥、特に、原料ウリプリスタール酢酸エステルのハロゲン化炭化水素溶液を加熱及び減圧下で濃縮及び乾燥することにより、無定形ウリプリスタール酢酸エステルを効率よく生成できる。
なお、工程(i)は複数回(例えば、2〜4回)繰り返して行ってもよい。
ウリプリスタール酢酸エステル物質の製造方法は、工程(i)に加えて、溶媒と関連させた結晶化又は転移(溶液からの結晶化、溶液の濃縮、溶媒(分散媒)中での転移)によりウリプリスタール酢酸エステル結晶を形成する工程(ii)と、工程(i)で得られた無定形ウリプリスタール酢酸エステル及び工程(ii)で得られたウリプリスタール酢酸エステル結晶を混合する工程(iii)とを含んでいてもよい。
(工程(ii))
ウリプリスタール酢酸エステル結晶の形成方法としては、特に制限されず、例えば、冷却法(原料ウリプリスタール酢酸エステルを溶媒に溶解し、この溶液を冷却する方法)、貧溶媒添加法(原料ウリプリスタール酢酸エステルを溶媒に溶解し、この溶液に貧溶媒を添加する方法)、蒸発法(原料ウリプリスタール酢酸エステルを溶媒に溶解し、この溶液を濃縮する方法)、攪拌懸濁法(原料ウリプリスタール酢酸エステルを溶媒に分散し、この分散液を攪拌する方法)などが例示できる。
ウリプリスタール酢酸エステル結晶の形成工程に供する原料ウリプリスタール酢酸エステルとしては、例えば、工程(i)の項に記載の原料ウリプリスタール酢酸エステルなどが挙げられる。
溶媒(又は晶析溶媒)としては、水、有機溶媒[例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエンなど)、アルコール類(エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのC1−4アルカノールなど)、エステル類(ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、環状アミン類(ピリジンなど)]などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
溶媒の割合は、原料ウリプリスタール酢酸エステル1gに対して、例えば、0.1〜500mL、好ましくは0.5〜400mL、さらに好ましくは1〜300mL(例えば、2〜200mL)程度であってもよい。
代表的なウリプリスタール酢酸エステル結晶の製造方法として、A形結晶、B形結晶及びC形結晶の製造方法について以下に説明する。
A形結晶は、例えば、ウリプリスタール酢酸エステルのイソプロパノール溶媒和結晶を、エタノールと水との混合溶媒に溶解し、この溶液に種結晶(結晶多形A又はB)を添加して結晶化することにより調製してもよい。
B形結晶は、例えば、原料ウリプリスタール酢酸エステルをエタノールに溶解し、この溶液を冷却(急冷など)することにより調製してもよく、原料ウリプリスタール酢酸エステルを、エタノール、1−プロパノール及び酢酸エチルから選択された少なくとも一種の溶媒に溶解し、この溶液を濃縮することにより調製してもよい。
C形結晶は、例えば、ウリプリスタール酢酸エステルのイソプロパノール溶媒和結晶を、エタノールと水との混合溶媒に溶解し、この溶液に種結晶を添加することなく結晶化することにより調製してもよい。
なお、A形結晶及びC形結晶の製造に用いるエタノールと水との混合溶媒において、エタノールと水との割合(体積比)は、例えば、前者/後者=85/15〜75/25程度であってもよい。
(工程(iii))
無定形ウリプリスタール酢酸エステルとウリプリスタール酢酸エステル結晶との混合方法は特に制限されず、通常、慣用の混合機[例えば、容器回転型混合機(回転円筒形、二重円錐形、V形など)、容器固定型混合機(リボン形、スクリュー形など)など]を用いて混合する場合が多い。無定形ウリプリスタール酢酸エステルとウリプリスタール酢酸エステル結晶との混合割合は、それぞれの形態の含有量に応じて適宜選択できる。
無定形ウリプリスタール酢酸エステルとウリプリスタール酢酸エステル結晶とを含むウリプリスタール酢酸エステル物質は、工程(i)〜(iii)を経て調製してもよいが、生産性の点から、工程(i)〜(iii)を経ることなく、原料ウリプリスタール酢酸エステル(例えば、A形結晶、B形結晶、C形結晶などのウリプリスタール酢酸エステル結晶など)を粉砕(又は微粉砕)する工程(iv)を経て調製してもよい。
(工程(iv))
原料ウリプリスタール酢酸エステル(例えば、ウリプリスタール酢酸エステル結晶など)の粉砕方法は、所望の粒度及び非晶質の割合に応じて適宜選択でき、乳鉢を用いて粉砕する方法であってもよく、クラッシャー、アトマイザー、ハンマーミルなどの圧縮式又は衝撃式粉砕機;カッターミルなどの剪断式粉砕機;ボールミルなどの打撃式粉砕機;ローラーミルなどの摩滅式粉砕機などを用いて粉砕する方法であってもよい。このような粉砕により無定形ウリプリスタール酢酸エステルを含むウリプリスタール酢酸エステル物質を調製できるため、本発明は、粉砕工程や圧縮工程(又は打錠工程)を経て製剤を調製するのに適している。
[用途および医薬組成物]
本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、抗プロゲステロン活性に加えて、抗グルココルチコイド活性を有するため、選択的プロゲステロン受容体調節剤として好適に用いられる。具体的には、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、婦人科疾患[例えば、子宮筋腫又は子宮筋腫に起因する疾患(転移性平滑筋腫、月経困難症、過多月経、貧血、不妊症、便秘、頻尿、腰痛など)など]の予防及び/又は治療に有用である。また、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、緊急避妊剤(例えば、緊急避妊剤)としても有用である。
本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、例えば、婦人科疾患を治療及び/又は予防するための薬剤としても有用であってもよい。本明細書で用いられるように、婦人科疾患としては、子宮筋腫又は平滑筋腫、子宮内膜症、子宮出血、子宮内膜の脱臼に関連する疼痛などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質の治療的有効量を女性患者(好ましくは、婦人科疾患患者)に投与することを含む、女性患者を治療するための方法にも関する。
本発明のさらなる態様は、避妊を必要とする女性を避妊させる方法であり、この方法は、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質の避妊に有効な量を女性に投与することを含む。
本発明の避妊方法は、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質の投与が無防備な性交後120時間以内に行われる緊急避妊方法であってもよい。あるいは、避妊方法は、ウリプリスタール酢酸エステルの投与が月経周期内の連続した数日繰り返される通常の避妊方法であってもよい。あるいは、本発明の避妊方法は、WO2010/119029号公報に記載されるオンデマンド避妊方法であってもよく、この文献の開示は、言及することにより本明細書中に組み入れられる。好ましくは、本発明の避妊方法におけるウリプリスタール酢酸エステルの投与は、経口による。
本発明はさらに、避妊剤の製造又は婦人科疾患を治療するための薬剤の製造における、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質の使用に関する。
上記の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は単独で医薬として用いてもよく、担体(薬理学的又は生理学的に許容可能な担体など)と組み合わせて医薬組成物(又は製剤)として用いてもよい。
さらなる態様において、本発明は、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物中に存在するウリプリスタール酢酸エステルの少なくとも5重量%が本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルであるような組成物である。いくつかのさらなる実施形態において、組成物内に存在するウリプリスタール酢酸エステルは、主に無定形である。このことは、本発明の医薬組成物が、組成物内に存在するウリプリスタール酢酸エステルの総重量に対して、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルを50%よりも少なくない量で含んでいてもよいことを意味する。いくつかの実施形態において、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステルは、組成物内に存在するウリプリスタール酢酸エステルの総重量に対して少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%、さらに少なくとも90重量%を占める。医薬組成物は、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質を0.01重量%〜80重量%、及び賦形剤(単数又は複数)を20重量%〜99.99重量%含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物において、賦形剤は、医薬組成物(又は製剤)の形態(すなわち、剤形)、投与形態、用途などに応じて、適宜選択される。剤形は特に制限されず、固形製剤(粉剤、散剤、粒剤(顆粒剤、細粒剤など)、丸剤、ピル、錠剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤など)、ドライシロップ剤、坐剤など)、半固形製剤(クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、グミ剤、フィルム状製剤、シート状製剤など)、液剤(溶液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、ローション剤、注射剤、点滴剤など)などであってもよい。また、前記粉剤及び/又は液剤などのスプレー剤、エアゾール剤なども含まれる。なお、カプセル剤は、液体充填カプセルであってもよく、顆粒剤などの固形剤を充填したカプセルであってもよい。また、製剤は凍結乾燥製剤であってもよい。さらに、本発明の製剤は、薬剤の放出速度が制御された製剤(徐放性製剤、速放性製剤)であってもよい。また、製剤は経口投与製剤(顆粒剤、散剤、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠など)、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、ゼリー剤、グミ剤、フィルム製剤など)であってもよく、非経口投与製剤(吸入剤、経皮投与製剤、経鼻投与製剤など)であってもよい。さらに、製剤は局所投与製剤(注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤など)、懸濁剤、軟膏剤、貼付剤、パップ剤など)であってもよい。
前記賦形剤は、例えば、日本薬局方(局方)の他、(1)医薬品添加物ハンドブック、丸善(株)、(1989)、(2)「医薬品添加物事典2007」(薬事日報社、2007年7月発行)、(3)薬剤学、改訂第5版、(株)南江堂(1997)、及び(4)医薬品添加物規格2003(薬事日報社、2003年8月)などに収載されている成分(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤など)の中から、投与経路及び製剤用途に応じて選択できる。例えば、固形製剤の賦形剤としては、希釈剤、結合剤および崩壊剤から選択された少なくとも一種の賦形剤を使用する場合が多い。また、医薬組成物は脂質を含んでいてもよい。
前記希釈剤としては、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖類又は糖アルコール類;トウモロコシデンプンなどのデンプン;結晶セルロース(微結晶セルロースも含む)などの多糖類;軽質無水ケイ酸などの酸化ケイ素又はケイ酸塩などが例示できる。結合剤としては、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプンなどの可溶性デンプン;アラビアゴム、デキストリン、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類;ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリ乳酸、ポリエチレングリコールなどの合成高分子;メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロースエーテル類などが例示できる。崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが例示できる。これらの賦形剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記医薬組成物は、コーティング(又は被覆)された形態であってもよい。前記コーティング剤としては、例えば、糖類、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリオキシエチレングリコール、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、オイドラギット(メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)などが用いられる。コーティング剤は、セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体などの腸溶性成分であってもよく、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートなどの塩基性成分を含むポリマー(オイドラギットなど)で構成された胃溶性成分であってもよい。また、製剤は、これらの腸溶性成分や胃溶性成分を剤皮に含むカプセル剤であってもよい。あるいは、前記医薬組成物は、コーティング錠又は素錠であってもよい。
製剤においては、投与経路や剤形などに応じて、公知の添加剤を適宜使用することができる。このような添加剤としては、例えば、滑沢剤、崩壊補助剤、抗酸化剤又は酸化防止剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、pH調整剤又は緩衝剤、安定剤、防腐剤又は保存剤、殺菌剤又は抗菌剤、帯電防止剤、矯味剤又はマスキング剤、着色剤、矯臭剤又は香料、清涼化剤、消泡剤、等張化剤、無痛化剤などが挙げられる。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、本発明の医薬組成物(又は医薬製剤)は、必要に応じて、他の生理活性成分又は薬理活性成分(例えば、卵胞ホルモン剤など)を含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物は、有効成分の他、賦形剤成分、必要により添加剤などを用いて、慣用の製剤化方法、例えば、第十六改正日本薬局方記載の製造法又はこの製造方法に準じた方法により調製できる。
前記医薬組成物は、ウリプリスタール酢酸エステルを、投薬単位あたり1mg〜50mg、好ましくは5mg〜40mg、例えば、投薬単位あたり5、10、15、20又は30mg含んでいてもよい。
本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質(婦人科疾患の予防及び/又は治療剤、避妊剤、医薬組成物も含む)は、毒性も低く、その安全性も優れており、ヒト及び非ヒト動物、通常、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サルなど)の雌に対して、安全に投与される。投与量は、投与対象の種、年齢、体重、及び状態(一般的状態、病状、合併症の有無など)、投与時間、剤形、投与方法などに応じて、選択できる。例えば、ヒトに対する投与量(1日用量)は、例えば、1〜50mg/日、好ましくは5〜40mg/日程度である。
投与方法は、経口投与であってもよく、局所投与又は非経口投与(例えば、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、直腸投与、膣投与など)であってもよい。
投与回数は、特に制限されず、例えば、1日1回であってもよく、必要に応じて1日複数回(例えば、2〜3回)であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[粉末X線回折スペクトル]
粉末X線回折スペクトル(XRD)は、線源:Cu K(α1)、管電圧:40kV、管電流:40mA、サンプリング間隔:0.1°、スキャン速度10°/分の条件で測定した。なお、粉末X線回折チャートにおいて、回折ピークは、ピーク幅の閾値を0.1°として、二次微分法によりサーチした。
[示差走査熱量スペクトル]
示差走査熱量スペクトルは、示差走査熱量計(型式:DSC8230L)を用いて、昇温速度2℃/分の条件で測定した。
[溶解度]
37℃のエタノールと水との混合溶媒[エタノール/水(体積比)=10/90]40mLに、比較例及び実施例のウリプリスタール酢酸エステルの各試料40mg加えて試験サンプルを作製し、試験サンプルをマグネティックスターラーで5分間撹拌した後、その一部をとり、固形分を濾別し、ウリプリスタール酢酸エステル含量を高性能液体クロマトグラフィー(カラム:ODS、カラム温度:40℃、溶離液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル混液(体積比3:2)、流量:1.0mL/分、検出:UV302nm)により定量し、溶解度を算出した。
[イヌでの吸収試験]
比較例及び実施例のウリプリスタール酢酸エステルを、それぞれ、ゼラチンカプセル(製造元:クオリカプス(株)、サイズ:00号、ロット:C0079A)に充填してカプセル剤を作製した。6頭の雌性イヌにカプセル剤を25mg/kg(ウリプリスタール酢酸エステル換算)の用量で経口投与し、経口投与後0.5、1、2、4、6、24及び48時間に血液を採取し、遠心分離により血漿を得た。LC−MS/MS(液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析)法により、上記血漿中のウリプリスタール酢酸エステル濃度を測定し、血漿中濃度消失半減期(T1/2)、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)及び最高血漿中濃度(Cmax)を算出した。なお、雌性イヌには、クロスオーバー法により、カプセル剤を1週間の投与間隔(休薬期間)をおいて2回投与した。
[粉砕安定性(粉砕物の安定性)]
比較例のウリプリスタール酢酸エステル結晶多形A(A形結晶)及び実施例1のアモルファスのウリプリスタール酢酸エステルの各試料500mgを、自動乳鉢粉砕機(重量500gのマグネティック乳棒、50rpm、一回転毎に反転して回転)に入れ、7日間に亘り粉砕した。粉砕開始から1日、2日、4日及び7日にサンプリングし、粉末X線回折スペクトル(XRD)を測定した。
また、粉砕に伴う結晶形の残存率を、粉砕前の当初の値を100%として、XRDのピーク強度の比率で計算した。なお、A形結晶は2θ=15.27°のピークを用いた。また、ピーク強度が測定日によってばらつくため、測定日毎に点検用シリコン標準物質のピーク強度によりピーク強度を補正した。
比較例
3,3−(1,2−エタンジオキシ)−5α−ヒドロキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−17α−アセトキシ−19−ノルプレグナ−9−エン−20−オン[カルビノールアセテート]38.5gを、窒素雰囲気下、20〜22℃の温度でフラスコに入れ、脱イオン水385mLと硫酸水素カリウム17.91gを加えた。得られた懸濁液を、完全に溶解するまで約4時間攪拌した。反応の終了は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって確認した。
反応液に中性Al3.85gを加え、30分間攪拌し、懸濁液を濾過して、不溶粒状物を脱イオン水38.5mLで洗浄した。濾液に酢酸エチルを325mL加え、7%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液でpHを7.0〜7.2の間に調整した。混合液を15分間放置し、相を分離して水相を廃棄した。得られた有機相に脱イオン水192.5mLを加え、10分間攪拌した後、混合液を15分間放置し、相を分離して水相を廃棄した。
得られた有機相を真空濃縮し、粗製ウリプリスタール酢酸エステルの残渣を得て、この残渣にイソプロパノール38.5mLを加えて真空濃縮し、得られた残渣に同量(38.5mL)のイソプロパノールを加えて再び真空濃縮した。得られた固形生成物にイソプロパノール77mLを加え、加熱して溶解した。この溶液を0〜5℃に放冷し、この温度に1時間保持した。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケーキを冷イソプロパノールで洗浄し、イソプロパノールヘミソルベート結晶を収率96モル%で得た。
イソプロパノールヘミソルベート結晶10gを用いて、特表2006−515869号公報に準じてウリプリスタール酢酸エステルを結晶化し、融点189℃のウリプリスタール酢酸エステルの結晶多形A(A形結晶)7.5gを得た。
実施例1
比較例で得られたウリプリスタール酢酸エステル結晶1.5gをジクロロメタン10mLに溶解し、60℃の水浴上、圧力500hPa以下で2〜3分減圧濃縮した。得られた残渣を、温度50℃及び圧力15hPa以下で15時間減圧乾燥し、ウリプリスタール酢酸エステルのアモルファス1.5gを得た。なお、アモルファスの粉末X線回折スペクトルを図1に示し、示差走査熱量スペクトルを図2に示す。
実施例2
比較例で得られたウリプリスタール酢酸エステル結晶0.1gと、実施例1で得られたアモルファス0.1gとを混合することにより、ウリプリスタール酢酸エステル(A形結晶)を得た。なお、A形結晶の粉末X線回折スペクトルを図3に示し、示差走査熱量スペクトルを図4に示す。また、A形結晶の各回折角度(格子間隔d値)における回折ピーク強度及び相対強度を表1に示す。
Figure 2015531339
実施例3
比較例で得られたウリプリスタール酢酸エステル結晶1.3gを、エタノール6.5mLに加熱溶解し、26℃で1時間、次いで4℃で16時間放置した。得られた析出物をろ取し、恒量に達するまで減圧乾燥し、B形結晶1.0gを得た。このB形結晶0.1gと、実施例1で得られたアモルファス0.1gとを混合することにより、ウリプリスタール酢酸エステル(B形結晶)を得た。なお、B形結晶の粉末X線回折スペクトルを図5に示し、示差走査熱量スペクトルを図6に示す。また、B形結晶の各回折角度(格子間隔d値)における回折ピーク強度及び相対強度を表2に示す。
Figure 2015531339
実施例4
比較例で得られたウリプリスタール酢酸エステル結晶1.761gをイソプロパノール10mLに加熱溶解し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にイソプロパノール9mLを加えて加熱溶解し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にイソプロパノール9mLを加えて加熱溶解し、この溶液を氷水浴中で1時間放置した。得られた析出物をろ取し、ウリプリスタール酢酸エステルイソプロパノールヘミソルベートの湿結晶1.782gを得た。この湿結晶1.782gをエタノールと水との混合溶媒[エタノール/水(体積比)=80/20]17.8mLに加熱溶解し、室温で17時間攪拌した。得られた析出物をろ取し、100℃で減圧乾燥し、C形結晶1.0gを得た。このC形結晶0.1gと、実施例1で得られたアモルファス0.1gとを混合することにより、ウリプリスタール酢酸エステル物質を得た。なお、C形結晶の粉末X線回折スペクトルを図7に示し、示差走査熱量スペクトルを図8に示す。また、C形結晶の各回折角度(格子間隔d値)における回折ピーク強度及び相対強度を表3に示す。
Figure 2015531339
比較例及び実施例の結果を表4及び表5に示す。
Figure 2015531339
表4から明らかなように、比較例と比較して実施例1〜4は、溶解度が著しく高く、バイオアベイラビリティに優れている。
Figure 2015531339
表5から明らかなように、比較例と比較して実施例1は、Tmax及びCmaxのいずれの点においても優れており、生体内に素早く吸収される医薬品として良好な体内動態を示すことが分かる。
[粉砕安定性(粉砕物の安定性)]
比較例で得られたウリプリスタール酢酸エステルのA形結晶と、実施例1で得られたウリプリスタール酢酸エステルのアモルファスとについて、粉砕に伴う結晶形の残存率(%)により粉砕安定性を調べたところ、表6、図9及び図10に示す結果を得た。
Figure 2015531339
表6及び図9から明らかなように、アモルファスでは7日間の粉砕でもアモルファス形態が全く変化しなかった。これに対して、表6及び図10から明らかなように、A形結晶は1日間の粉砕で当初の結晶形が急激に変化し、4日間の粉砕で完全にA形結晶が消失した。
製剤例1
実施例1で得られたアモルファスを0号カプセルに充填して、カプセル剤を得た。
製剤例2
次の処方に従って、実施例1で得られたアモルファスと担体成分とを混合し、この混合物を乾式造粒法により造粒し、この造粒物を整粒することにより、顆粒剤を得た。
[処方]
実施例1で得られたアモルファス 300mg
結晶セルロース 590mg
カルボキシメチルスターチナトリウム 50mg
グリセリン脂肪酸エステル 50mg
タルク 10mg
全量 1000mg
製剤例3
次の処方に従って、製剤例2で得られた顆粒剤と担体成分を混合して打錠することにより錠剤を得た。
[処方]
製剤例2で得られた顆粒剤 100mg
結晶セルロース 174mg
グリセリン脂肪酸エステル 20mg
タルク 4mg
軽質無水ケイ酸 2mg
全量 300mg
製剤例4
次の処方のコーティング剤を用いて、製剤例3で得られた錠剤をコーティングすることによりフィルムコーティング錠を得た。
[コーティング剤の処方]
ヒプロメロース 70.5重量%
酸化チタン 20.5重量%
プロピレングリコール 6.9重量%
三二酸化鉄 2.1重量%
本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、従来の結晶形と比較して溶解性が極めて高く、吸収性にも優れており、バイオアベイラビリティを向上できる。そのため、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、選択的プロゲステロン受容体調節剤として好適に用いられる。また、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、婦人科疾患[例えば、子宮筋腫又は子宮筋腫に起因する疾患(転移性平滑筋種、月経困難症、過多月経、貧血、不妊症、便秘、頻尿、腰痛など)など]の予防及び/又は治療に有用である。さらに、本発明の無定形ウリプリスタール酢酸エステル又はウリプリスタール酢酸エステル物質は、緊急避妊剤としても有用である。

Claims (12)

  1. 無定形のウリプリスタール酢酸エステル。
  2. 示差走査熱量スペクトルにおいて、135〜145℃に発熱ピークを有する請求項1記載の無定形ウリプリスタール酢酸エステル。
  3. 請求項1又は2記載の無定形ウリプリスタール酢酸エステルと、ウリプリスタール酢酸エステル結晶とを含むウリプリスタール酢酸エステル物質。
  4. ウリプリスタール酢酸エステル結晶が、以下の回折角度2θに回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する請求項3記載のウリプリスタール酢酸エステル物質。
    回折角度2θ:9.0±0.2°、9.3±0.2°、10.8±0.2°、11.5±0.2°、12.2±0.2°、13.1±0.2°、14.3±0.2°、15.6±0.2°、15.7±0.2°、15.9±0.2°、16.6±0.2°、17.6±0.2°、17.9±0.2°、18.9±0.2°、19.3±0.2°、23.8±0.2°
  5. ウリプリスタール酢酸エステル結晶が、以下の回折角度2θに回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する請求項3記載のウリプリスタール酢酸エステル物質。
    回折角度2θ:9.2±0.2°、11.4±0.2°、11.7±0.2°、12.0±0.2°、15.2±0.2°、17.0±0.2°、17.2±0.2°、24.4±0.2°
  6. ウリプリスタール酢酸エステル結晶が、以下の回折角度2θに回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する請求項3記載のウリプリスタール酢酸エステル物質。
    回折角度2θ:6.4±0.2°、8.4±0.2°、9.4±0.2°、9.6±0.2°、11.8±0.2°、12.8±0.2°、15.3±0.2°、16.7±0.2°、17.5±0.2°、18.6±0.2°、19.3±0.2°、21.0±0.2°、25.5±0.2°
  7. 無定形ウリプリスタール酢酸エステルとウリプリスタール酢酸エステル結晶との割合(重量比)が、前者/後者=0.5/99.5〜99.5/0.5である請求項3〜6のいずれかに記載ウリプリスタール酢酸エステル物質。
  8. 請求項1又は2記載の無定形ウリプリスタール酢酸エステル、若しくは請求項3〜7のいずれかに記載のウリプリスタール酢酸エステル物質と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
  9. 請求項1又は2記載の無定形ウリプリスタール酢酸エステル、若しくは請求項3〜7のいずれかに記載のウリプリスタール酢酸エステル物質を含む子宮筋腫の予防及び/又は治療に使用若しくは避妊のための薬剤。
  10. 原料ウリプリスタール酢酸エステルをハロゲン化炭化水素に溶解し、この溶液を濃縮する工程を含む請求項1又は2記載の無定形ウリプリスタール酢酸エステルを製造する方法。
  11. 原料ウリプリスタール酢酸エステルを粉砕することにより、請求項3〜7のいずれかに記載のウリプリスタール酢酸エステル物質を製造する方法。
  12. 請求項1又は2記載の無定形ウリプリスタール酢酸エステル、若しくは請求項3〜7のいずれかに記載のウリプリスタール酢酸エステル物質の避妊に有効な量を投与する工程を含む、避妊を必要とする女性を避妊させる方法。
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