JP6433910B2 - レボノルゲストレルの新規結晶混合物及びその製造方法 - Google Patents

レボノルゲストレルの新規結晶混合物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、緊急避妊薬などとして有用なレボノルゲストレルの新規結晶混合物及びその製造方法に関する。
レボノルゲストレル(18a−ホモ−19−ノル−17β−ヒドロキシ−17α−プレグン−4−エン−20−イン−3−オン)は、主に排卵抑制作用により避妊効果を示すステロイド化合物として知られており、日本や米国、欧州を含む世界各国において緊急避妊薬として販売されている。
レボノルゲストレルの結晶として、WO2009/035527号公報(特許文献1)には、粉末X線回折チャートに基づいたレボノルゲストレル結晶が開示されている。この文献には、還流温度のメタノールにレボノルゲストレルを溶解した溶液に、水をゆっくりと加え、その後冷却することにより、レボノルゲストレルの結晶を製造する方法が開示されている。また、レボノルゲストレルの酢酸エチル溶液にn−ヘプタンを加えて冷却する方法や、レボノルゲストレルのメタノール溶液を冷却する方法によりレボノルゲストレルの結晶を製造することについても開示されている。
上記結晶と同一のレボノルゲストレル結晶を含む医薬品として、「ノルレボ錠(登録商標)0.75mg」が販売されている。この医薬品のインタビューフォーム(非特許文献1)には、上記結晶の融点が232〜239℃であり、上記結晶には結晶多形を認めないことが開示されている。
WO2009/035527号公報(特許請求の範囲、実施例、図4)
医薬品インタビューフォーム「ノルレボ錠(登録商標)0.75mg」(III.有効成分に関する項目)
従って、本発明の目的は、緊急避妊薬などとして有用なレボノルゲストレルの新規形態及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、安定性に優れるレボノルゲストレルの新規形態及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため、レボノルゲストレルの結晶化条件について鋭意検討した結果、結晶多形を認めないと認識されていたにも拘わらず、特定の結晶化条件により、従来の結晶とは結晶構造の異なる2種の新規なレボノルゲストレル結晶を調製できること、前記2種の新規なレボノルゲストレル結晶は単独では安定性が低いものの、両者を混合することにより安定性が向上することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物(又は混合結晶)は、粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の2θで表される回折角度(α)に回折ピークを有するレボノルゲストレルの結晶多形αと、以下の2θで表される回折角度(β)に回折ピークを有するレボノルゲストレルの結晶多形βとを含んでいる。前記結晶多形αと前記結晶多形βとの割合(重量比)は、前者/後者=5/95〜90/10(例えば、15/85〜60/40)程度であってもよく、20/80〜50/50程度であってもよい。
(α):17.2°±0.2°,18.6°±0.2°,22.7°±0.2°,31.1°±0.2°及び35.5°±0.2°
(β):13.9°±0.2°,14.5°±0.2°,21.3°±0.2°,24.9°±0.2°及び28.2°±0.2°
本発明は、前記レボノルゲストレルの結晶多形αと前記レボノルゲストレルの結晶多形βとを混合する工程を含むレボノルゲストレル結晶混合物(又は混合結晶)の製造方法、並びに前記レボノルゲストレル結晶混合物(又は混合結晶)を含む医薬組成物(錠剤など)も包含する。
本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物(又は混合結晶)は、特定の2種の新規なレボノルゲストレル結晶の混合物であり、安定性に優れている。また、本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物は、摩擦又は圧壊に対する安定性が高いため、摩擦又は圧縮力が作用する方法、例えば、粉砕及び打錠により医薬製剤を調製するのに適している。
図1は、実施例1のレボノルゲストレルの結晶多形αの粉末X線回折スペクトルを示すグラフである。 図2は、実施例1のレボノルゲストレルの結晶多形αの示差走査熱量スペクトルを示すグラフである。 図3は、実施例1のレボノルゲストレルの結晶多形βの粉末X線回折スペクトルを示すグラフである。 図4は、実施例1のレボノルゲストレルの結晶多形βの示差走査熱量スペクトルを示すグラフである。
本発明のレボノルゲストレル結晶混合物(又は混合結晶)は、レボノルゲストレルの結晶多形α及び結晶多形βを含んでいる。結晶多形α及び結晶多形βは、粉末X線回折スペクトルにおける回折ピークにより特徴付けられる。なお、粉末X線回折スペクトルは、慣用の方法、例えば、後述の実施例の条件で測定できる。回折ピークを示す回折角度2θは、測定条件および試料の調製などによって±0.2°(例えば、±0.1°)程度変動する場合がある。
[結晶多形α]
レボノルゲストレルの結晶多形αは、回折角度2θが、2θ=17.2°±0.2°,18.6°±0.2°,22.7°±0.2°,31.1°±0.2°及び35.5°±0.2°の角度に回折ピークを有する。これら回析ピークのうち、結晶多形αは、2θ=18.6°±0.2°での回折ピークにより特徴付けられるが、この回折ピークは必ずしも他の回折ピークより強く(回折ピークが高く)現れるとは限らない。また、結晶多形αでは、結晶多形βに特徴的な回折角度2θ=24.9°±0.2°での回折ピークはほとんど現れず、たとえ現れたとしても小さな回折ピークが現れる。
各回折角度2θでの回折ピークの強度(高さ)を以下のようにX〜Xとしたとき、
:2θ=17.2°±0.2°
:2θ=18.6°±0.2°
:2θ=22.7°±0.2°
:2θ=31.1°±0.2°
:2θ=35.5°±0.2°
結晶多形αの回折ピークの強度(回折ピークの高さ)の順序は、次のような関係を示してもよい。結晶多形αでは、通常、XがX〜Xと比較して最も強く(回折ピークが最も高く)現れる。XとXとはほぼ同等の強度(高さ)であってもよく、XとXとはほぼ同等の強度(高さ)であってもよい。また、X及びXは、X及びXより強く(高く)てもよい。すなわち、X〜Xの順序は、X>X≒X>X≒Xの関係を示していてもよい。
なお、X〜Xの順序は必ずしもこの順序に限定されず、例えば、XがXより強く(高く)てもよい。
〜Xのそれぞれの強度比(高さの比)は、結晶多形αの特徴的な回折ピークの強度Xを基準として、以下のようであってもよい。例えば、X/X=200/100〜2000/100、好ましくは250/100〜1000/100(例えば、300/100〜600/100)程度であってもよい。また、X/X又はX/X=10/100〜200/100、好ましくは20/100〜150/100(例えば、25/100〜100/100)程度であってもよい。また、X/X=25/100〜400/100、好ましくは30/100〜300/100(例えば、50/100〜200/100)程度であってもよい。
また、前記結晶多形αは、上述の回折ピークの他に、2θ=21.3°±0.2°、21.9°±0.2°、23.0°±0.2°、23.4°±0.2°、29.1°±0.2°、29.5°±0.2°及び/又は41.8°±0.2°の回折角度で回折ピークを有していてもよい。
前記結晶多形αは、示差走査熱量(DSC)スペクトルにおいて、238〜245℃、好ましくは240〜243℃、より好ましくは241〜242℃程度に吸熱ピークを有し、DSCの補外開始温度(DSCチャートにおける外接交点)で表される融点は237.5〜240.0℃、例えば、238.7℃±1℃(特に、238.7℃±0.5℃)程度である。なお、示差走査熱量スペクトルは、慣用の方法、例えば、後述の実施例の条件で測定できる。
[結晶多形β]
レボノルゲストレルの結晶多形βは、回折角度2θが、2θ=13.9°±0.2°,14.5°±0.2°,21.3°±0.2°,24.9°±0.2°及び28.2°±0.2°の角度に回折ピークを有する。これらの回折ピークのうち、結晶多形βは、2θ=24.9°±0.2°での回折ピークにより特徴付けられるが、この回折ピークは必ずしも他の回折ピークより強く(回折ピークが高く)現れるとは限らない。また、結晶多形βでは、結晶多形αに特徴的な2θ=18.6°±0.2°での回折ピークはほとんど現れず、たとえ現れたとしても小さな回折ピークが現れる。
各回折角度2θでの回折ピークの強度(高さ)を以下のようにY〜Yとしたとき、
:2θ=13.9°±0.2°
:2θ=14.5°±0.2°
:2θ=21.3°±0.2°
:2θ=24.9°±0.2°
:2θ=28.2°±0.2°
結晶多形βの回折ピークの強度(回折ピークの高さ)の順序は、次のような関係を示してもよい。結晶多形βでは、通常、Y及びYがY〜Yと比較して強く(回折ピークが最も高く)現れる。YはYより強く(高く)てもよく、弱く(低く)てもよく、同等の強度(高さ)でもよい。Yは、Y及びYより強く(高く)てもよく、YとYとはほぼ同等の強度(高さ)であってもよい。すなわち、Y〜Yの順序は、Y,Y>Y>Y≒Yの関係を示してもよい。なお、Y〜Yの順序は必ずしもこの順序に限定されず、例えば、YがYより強く(高く)てもよい。
〜Yのそれぞれの強度比(高さの比)は、結晶多形βの特徴的な回折ピークの強度Yを基準として、以下のようであってもよい。例えば、Y/Y又はY/Y=200/100〜40000/100、好ましくは250/100〜30000/100(例えば、300/100〜15000/100)程度であってもよい。また、Y/Y=100/100〜2000/100、好ましくは200/100〜1500/100(例えば、400/100〜1000/100)程度であってもよい。また、Y/Y=10/100〜1000/100、好ましくは20/100〜500/100(例えば、40/100〜250/100)程度であってもよい。また、YとYとの強度比は、例えば、Y/Y=5/100〜2000/100、好ましくは20/100〜1500/100(例えば、80/100〜1000/100)程度であってもよい。
また、前記結晶多形βは、上述の回折ピークの他に、2θ=19.9°±0.2°、22.6°±0.2°、31.4°±0.2°、35.3°±0.2°及び/又は43.3°±0.2°の回折角度での回折ピークを有していてもよい。
前記結晶多形βは、示差走査熱量(DSC)スペクトルにおいて、238〜245℃、好ましくは240〜243℃、より好ましくは241〜242℃程度に吸熱ピークを有し、DSCの補外開始温度(DSCチャートにおける外接交点)で表される融点は、238.5〜240.5℃、例えば、239.4℃±1℃(特に、239.4℃±0.5℃)程度である。
前記結晶多形α及びβの粒子サイズは、特に制限されず、例えば、レーザー回折法に基づいて測定した平均粒子径は、0.01〜500μm、好ましくは0.1〜300μm(例えば、1〜250μm)程度であってもよく、通常、0.1〜50μm(例えば、0.5〜10μm)程度であり、0.1〜5μm(例えば、0.2〜2μm)程度である場合が多い。
[結晶混合物]
前記結晶多形α及び前記結晶多形βは、それぞれ単体では摩擦又は圧力(機械的応力)に弱く、安定性が低い。特に、前記結晶多形αは熱にも弱く、熱により変色しやすい。本発明では、前記結晶多形αと前記結晶多形βとを混合することにより、前記結晶多形α単体または前記結晶多形β単体と比較して、安定性の高いレボノルゲストレル結晶混合物を調製できる。
前記結晶多形αと前記結晶多形βとの割合は、機械的応力及び圧力に対する安定性が高められる範囲であればよく、前記結晶多形βに対して前記結晶多形αが少なくてもよい。結晶混合物は、結晶多形αと結晶多形βとを、前者/後者=5/95〜95/5(例えば、5/95〜90/10、好ましくは10/90〜80/20(例えば、15/80〜60/40)、さらに好ましくは17/83〜55/45(例えば、20/80〜50/50)程度の重量割合で含んでいてもよい。前記割合(重量比)は、通常、例えば、結晶多形α/結晶多形β=5/95〜60/40(例えば、10/90〜55/45)、好ましくは15/85〜50/50、さらに好ましくは20/80〜45/55(例えば、25/75〜45/55)程度であってもよく、例えば、30/70〜50/50(例えば、33/67〜47/53)程度であってもよい。
なお、結晶多形αと結晶多形βとを、例えば、前者/後者=5/95〜70/30(例えば、10/90〜60/40)、好ましくは15/85〜55/45(例えば、20/80〜50/50)、さらに好ましくは25/75〜45/55(例えば、30/70〜45/55)程度の重量割合で含む混合物を粉砕すると、組成(結晶多形αと結晶多形βとの割合)の変化が比較的少ないようである。
なお、医薬組成物の製造に供される前記結晶混合物に限らず、打錠などにより圧縮成形された医薬組成物において、結晶多形αと結晶多形βとの重量割合は、前記と同様の範囲であってもよい。
なお、上記割合は、粉末X線回折スペクトルにおける前記結晶多形α及び前記結晶多形βの特徴的な回折ピークの強度比(ピーク高さ比)により測定することができる。本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物は、前記結晶多形αと前記結晶多形βに由来する構造特性を有するため、前記結晶多形α及び前記結晶多形βの回折ピークの強度比は、各結晶多形の配合割合に対応している。
本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物(又は混合結晶)は、結晶多形αと結晶多形βとの単なる混合物(物理的混合物)や結晶多形αと結晶多形βとが緊密に接触した混合物であってもよく、結晶多形αと結晶多形βとが一体化した混晶であってもよい。前記混晶では、結晶多形α及び結晶多形βのうち一方の結晶多形の周囲に他方の結晶多形が付着、沈着又は析出していてもよく、混晶は、結晶多形αの相と結晶多形βの相とが混在又は順次積層した形態を有していてもよい。前記結晶混合物は、結晶多形αと結晶多形βとが緊密に接触した形態の混合物、例えば、粉砕混合物である場合が多い。
前記結晶混合物の平均粒子径は、特に制限されず、例えば、レーザー回折法に基づく測定方法において、0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μm(例えば、0.1〜2μm)程度であってもよく、通常、0.01〜1μm程度である場合が多い。
[製造方法]
本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物(又は混合結晶)は、上記結晶多形αと上記結晶多形βとを混合することにより得ることができる。混合方法は特に限定されず、例えば、均一に混合できる方法、例えば、ブレンダー(例えば、V型混合機、S型混合機、二重円錐型混合機などの回転容器型混合機、旋回スクリュー型混合機、リボン型混合機などの固定容器型混合機など)、粉砕機(例えば、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミルなど)などを利用して混合できる。なお、粉砕機を用いる場合には、通常、結晶多形αと結晶多形βとの混合物を短時間内に粉砕でき、結晶多形αと結晶多形βとが緊密に接触又は混合した混合物を得ることができる。なお、少量の混合物であれば、混合物を短時間内に乳鉢で混合することにより得ることができる。得られた結晶混合物は、必要により、篩などを用い、所定サイズの粒子群に分級してもよい。
なお、上記混合時において上記結晶多形α及び上記結晶多形βに粉砕などにより摩擦が作用すると、上記結晶多形αや上記結晶多形βの結晶形が変化することがある。そのため、これら結晶多形の変化を加味した上で、上記結晶多形αと上記結晶多形βとの割合を適宜調整し、上記結晶混合物を調製するのが望ましい。
(結晶多形αの製造方法)
レボノルゲストレルの結晶多形αは、例えば、ヘテロ原子として2つの酸素原子を含む飽和5又は6員環化合物からなる良溶媒に、レボノルゲストレルを溶解して調製されるレボノルゲストレル溶液と、析出溶媒とを混合して、レボノルゲストレルの結晶多形αを析出させることにより製造できる。前記良溶媒(前記5又は6員環化合物)としては、例えば、ジオキサン、ジオキソランなどが使用され、単独で又は2種以上を使用してもよい。前記良溶媒のうち、ジオキサンが好ましい。
前記レボノルゲストレルは、慣用の方法、例えば、Synthetic Communications, 26, 1461(2010)に記載の方法などにより製造できる。
上記レボノルゲストレル溶液中のレボノルゲストレルの濃度は、例えば、0.1〜20重量%(例えば、0.5〜10重量%)、好ましくは0.5〜7重量%、より好ましくは1〜5重量%(例えば、2〜4重量%)程度であってもよい。上記レボノルゲストレル溶液は、結晶多形αを効率的に析出させるために高濃度が望ましく、析出系の温度(例えば、冷却下)でレボノルゲストレルが過飽和であってもよい。高濃度のレボノルゲストレル溶液は、例えば、30〜70℃、好ましくは35〜60℃、より好ましくは35〜50℃程度で加温して調製してもよい。
上記析出溶媒は、水単独であってもよく、水と良溶媒との混合溶媒であってもよい。混合溶媒中の良溶媒としては、前記と同様、ヘテロ原子として2つの酸素原子を含む飽和5又は6員環化合物(例えば、ジオキサン、ジオキソラン)などが使用され、単独で又は2種以上を使用してもよい。また、混合溶媒中の良溶媒の種類は、レボノルゲストレルの前記良溶媒と異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
上記析出溶媒は、水と良溶媒(例えば、ジオキサン)との混合溶媒が好ましい。この混合溶媒中の水と上記良溶媒(例えば、ジオキサン)との重量比は、例えば、水/良溶媒=50/50〜95/5、好ましくは60/40〜90/10、さらに好ましくは65/35〜85/15(例えば、70/30〜80/20)程度であってもよい。
析出系(上記レボノルゲストレル溶液と上記析出溶媒を混合した状態)での上記貧溶媒と上記良溶媒との重量比は、例えば、貧溶媒/良溶媒=50/50〜99/1、好ましくは60/40〜97/3(例えば、60/40〜90/10)、さらに好ましくは65/35〜85/15(例えば、67/33〜80/20)程度であってもよい。上記水などの貧溶媒が少なすぎると、レボノルゲストレルの結晶多形αを効果的に析出できず、多すぎると、大量の貧溶媒(水など)が必要となり、経済性が低下する。
上記レボノルゲストレル溶液と上記析出溶媒とは、短時間内に混合するのが好ましい。混合方法としては、例えば、上記析出溶媒を上記レボノルゲストレル溶液中に添加してもよいが、操作が容易であることから、上記レボノルゲストレル溶液を上記析出溶媒中に添加するのがより好ましい。なお、上記析出溶媒と上記レボノルゲストレル溶液とを複数回(例えば、2〜5回)に分けて混合してもよく、一度に混合してもよいが、通常、上記レボノルゲストレル溶液を上記析出溶媒中に一度に添加するのが好ましく、短時間内に添加するのがより好ましい。また、加温した高濃度であってもよい上記レボノルゲストレル溶液を、上記析出溶媒と混合してもよい。
さらに、析出系を攪拌し、析出系から結晶多形αを析出させてもよい。攪拌時間は特に限定されず、例えば、1分〜1日(例えば、5分〜8時間)程度であってもよく、10分〜3時間程度(例えば、10分〜1時間)が好ましい。
上記析出系での析出は、通常、冷却下で行うことができ、例えば、−10〜25℃、好ましくは−10〜15℃、特に−5〜10℃程度の温度条件下(例えば、氷冷下)にて行ってもよい。温度が高すぎると、レボノルゲストレルの結晶多形αを効果的に析出できないことがある。
なお、結晶多形αは摩擦に弱く、粒子サイズを小さくするために粉砕などにより摩擦が作用すると、摩擦により性状変化してしまうことがある。そのため、過度に結晶成長させないことが望ましい。
上記混合物中に析出した結晶多形αは、濾過などの方法により上記混合物から分離して、単離することができる。さらに、結晶多形αを洗浄し、乾燥させてもよい。
上記分離方法は、例えば、自然濾過、真空濾過などであってもよいが、結晶多形αに摩擦が作用しない方法、例えば、自然濾過(濾布上から析出物を含む混合物を自然落下させ、濾布上に固体を分離する方法)により行うのが好ましい。分離された結晶多形αを水などの貧溶媒で洗浄した後、例えば、自然乾燥、真空乾燥、加熱乾燥などにより乾燥してもよいが、結晶多形αに摩擦を作用させないよう自然乾燥により乾燥させるのが好ましい。
(結晶多形βの製造方法)
レボノルゲストレルの結晶多形βは、結晶多形αを製造するための析出溶媒に代えて、C4−10アルカン(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)あるいはC4−10シクロアルカン(シクロペンタン、シクロヘキサンなど)又はそれらの混合溶媒からなる貧溶媒を析出溶媒として用いること以外は、前記結晶多形αと同様の方法で製造できる。前記貧溶媒(前記アルカン又は前記シクロアルカン)のうち、ヘキサンが好ましい。また、析出溶媒は、貧溶媒と良溶媒との混合溶媒であってもよい。
析出系での上記貧溶媒と上記良溶媒との重量比は、例えば、貧溶媒/良溶媒=50/50〜97/3、好ましくは60/40〜95/5、さらに好ましくは70/30〜93/7(例えば、75/25〜90/10)程度であってもよい。上記貧溶媒が少なすぎると、レボノルゲストレルの結晶多形βを効果的に析出できず、多すぎると、大量の貧溶媒が必要となり、経済性が低下する。
上記レボノルゲストレル溶液と上記析出溶媒とは、時間をかけて徐々に混合するのが好ましい。混合方法としては、例えば、上記析出溶媒を上記レボノルゲストレル溶液中に添加してもよいが、操作が容易であることから、上記レボノルゲストレル溶液を上記析出溶媒中に添加するのがより好ましい。添加方法としては、例えば、上記レボノルゲストレル溶液に上記貧溶媒または混合溶媒を滴下する方法などにより行ってもよい。また、レボノルゲストレル溶液は加温した高濃度であってもよく、上記レボノルゲストレル溶液を、上記析出溶媒と混合してもよい。
混合速度は上記レボノルゲストレル溶液の濃度などにより選択され、例えば、上記レボノルゲストレル溶液全体の重量を100重量部としたとき、上記レボノルゲストレル溶液は0.01〜50重量部/分、好ましくは0.1〜10重量部/分、特に0.5〜5重量部/分程度で析出溶媒と混合してもよい。
さらに、析出系を攪拌し、析出系から結晶多形βを析出させてもよい。攪拌時間は特に限定されず、例えば、1分〜1日(例えば、3分〜8時間)程度であってもよく、10分〜3時間程度(例えば、10分〜1時間)が好ましい。
上記析出系は、通常、冷却下で行うことができ、例えば、−10〜25℃、好ましくは−10〜15℃、特に−5〜10℃程度の温度条件下(例えば、氷冷下)にて行ってもよい。温度が高すぎると、レボノルゲストレルの結晶多形βを効果的に析出できないことがある。
なお、結晶多形βは摩擦に弱いため、過度に結晶成長させないことが望ましい。
上記混合物中に析出した結晶多形βは、結晶多形αと同様の単離方法により単離できる。
(混晶)
結晶多形α及び結晶多形βのうち一方の結晶多形が存在する析出系で、他方の結晶多形を析出又は晶析し、混晶を生成させてもよい。例えば、前記結晶多形αの製造方法では、析出系に結晶多形βを添加して、結晶多形βの周囲に結晶多形αを析出させ、結晶多形αと結晶多形βとの混晶を析出させることができる。同様に、前記結晶多形βの製造方法では、析出系に結晶多形αを添加して、結晶多形αの周囲に結晶多形βを析出させ、混晶を析出させることができる。
このようにして析出した混晶は、結晶多形αと同様の単離方法により単離できる。
[用途および医薬組成物]
本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物(又は混合結晶)は、緊急避妊薬として好適に用いられ、単独で医薬として用いてもよく、担体(薬理学的又は生理学的に許容可能な担体など)と組み合わせて医薬組成物(又は製剤)として用いてもよい。
本発明の医薬組成物において、担体は、医薬組成物(又は製剤)の形態(すなわち、剤形)、投与形態、用途などに応じて、適宜選択される。剤形は特に制限されず、固形製剤[粉剤、散剤、粒剤(顆粒剤、細粒剤など)、丸剤、ピル、錠剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤など)、ドライシロップ剤、坐剤、フィルム状製剤、シート状製剤など]、半固形製剤(クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、グミ剤など)などであってもよい。
また、前記粉剤などのスプレー剤、エアゾール剤なども含まれる。なお、カプセル剤は、液体充填カプセルであってもよく、顆粒剤などの固形剤を充填したカプセルであってもよい。また、製剤は凍結乾燥製剤であってもよい。さらに、本発明の製剤は、薬剤の放出速度が制御された製剤(徐放性製剤、速放性製剤)であってもよい。また、製剤は経口投与製剤(顆粒剤、散剤、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠など)、カプセル剤、フィルム製剤など)であってもよく、非経口投与製剤(吸入剤、経皮投与製剤、経鼻投与製剤など)であってもよい。さらに、製剤は局所投与製剤(軟膏剤、貼付剤、パップ剤など)であってもよい。
前記担体は、例えば、日本薬局方(局方)の他、(1)医薬品添加物ハンドブック、丸善(株)、(1989)、(2)「医薬品添加物事典2007」(薬事日報社、2007年7月発行)、(3)薬剤学、改訂第5版、(株)南江堂(1997)、及び(4)医薬品添加物規格2003(薬事日報社、2003年8月)などに収載されている成分(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤など)の中から、投与経路及び製剤用途に応じて選択できる。例えば、固形製剤の担体としては、賦形剤、結合剤および崩壊剤から選択された少なくとも一種の担体を使用する場合が多い。また、医薬組成物は脂質を含んでいてもよい。
前記賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖類又は糖アルコール類;トウモロコシデンプンなどのデンプン;結晶セルロース(微結晶セルロースも含む)などの多糖類;軽質無水ケイ酸などの酸化ケイ素又はケイ酸塩などが例示できる。結合剤としては、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプンなどの可溶性デンプン;アラビアゴム、デキストリン、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類;ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリ乳酸、ポリエチレングリコールなどの合成高分子;メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロースエーテル類などが例示できる。崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが例示できる。これらの担体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、前記コーティング剤としては、例えば、糖類、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリオキシエチレングリコール、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、オイドラギット(メタクリル酸・アクリル酸共重合物)などが用いられる。コーティング剤は、セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体などの腸溶性成分であってもよく、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートなどの塩基性成分を含むポリマー(オイドラギットなど)で構成された胃溶性成分であってもよい。また、製剤は、これらの腸溶性成分や胃溶性成分を剤皮に含むカプセル剤であってもよい。
製剤においては、投与経路や剤形などに応じて、公知の添加剤を適宜使用することができる。このような添加剤としては、例えば、滑沢剤、崩壊補助剤、抗酸化剤又は酸化防止剤、安定剤、防腐剤又は保存剤、殺菌剤又は抗菌剤、帯電防止剤、矯味剤又はマスキング剤、着色剤、矯臭剤又は香料、清涼化剤、消泡剤などが挙げられる。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、本発明の医薬組成物(又は医薬製剤)は、必要に応じて、他の生理活性成分又は薬理活性成分(例えば、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストラジオール安息香酸エステル、エストリオール、エストリオール酢酸エステル又は安息香酸エステルなどの卵胞ホルモン製剤など)を含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物は、有効成分の他、担体成分、必要により添加剤などを用いて、慣用の製剤化方法、例えば、第十六改正日本薬局方記載の製造法又はこの製造方法に準じた方法により調製できる。
本発明のレボノルゲストレル結晶混合物は、摩擦に対する安定性が高い。そのため、摩擦が作用する方法、例えば、粉砕及び打錠により医薬製剤(例えば、錠剤)を調製するのに適している。
本発明のレボノルゲストレルの結晶混合物は、毒性も低く、その安全性も優れており、ヒト及び非ヒト動物、通常、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サルなど)の雌に対して、安全に投与される。投与量は、投与対象の種、年齢、体重、及び状態(一般的状態、病状、合併症の有無など)、投与時間、剤形、投与方法などに応じて、選択できる。例えば、ヒトに対する投与量(1日用量)は、例えば、0.01〜50mg/日、好ましくは0.05〜10mg/日(例えば、0.5〜5mg/日)程度である。
投与方法は、経口投与であってもよく、局所投与又は非経口投与(例えば、皮下投与、筋肉内投与、直腸投与、膣投与など)であってもよい。
投与回数は、特に制限されず、例えば、1日1回であってもよく、必要に応じて1日複数回(例えば、2〜3回)であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[粉末X線回折スペクトル]
粉末X線回折スペクトルは、線源:Cu K(α1)、管電圧:40kV、管電流:40mA、サンプリング間隔:0.1°、スキャン速度10°/分の条件で測定した。なお、粉末X線回折チャートにおいて、回折ピークは、ピーク幅の閾値を0.1°として、二次微分法によりサーチした。
[示差走査熱量スペクトル]
示差走査熱量スペクトルは、示差走査熱量計(リガク社製,型式:DSC8230L)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
[HPLCによる純度測定]
試料0.5mgに対して、アセトニトリル1mLの割合で加え、溶解して試料溶液とした。試料溶液10μLを、次の条件で液体クロマトグラフィーに供し、面積百分率法により、各ピークの割合%を算出した。
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長240nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシル化シリカゲルを充填したカラム
カラム温度:35℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比(体積%)を、注入開始から40分間に亘り、移動相A/移動相B=80/20から20/80に濃度勾配を変えて制御する(流量1.0mL/分)。
実施例1
(結晶多形αの作製)
レボノルゲストレル(Industriale Chimica社製)700mgをジオキサンに溶かし、25mLのレボノルゲストレル溶液とした。この溶液を氷冷下、水500mL及びジオキサン200mLの混合溶媒に一度に加え、20分間撹拌後、自然ろ過して得られた湿結晶を水で洗浄した。前記湿結晶を30℃で18時間通風乾燥して、レボノルゲストレルの結晶多形α653mgを得た。
得られたレボノルゲストレルの結晶多形αの粉末X線回折スペクトルの測定結果を図1に示し、示差走査熱量スペクトルの測定結果を図2に示す。図2より、DSCの補外開始温度(融点)は238.7℃であった。
(結晶多形βの作製)
レボノルゲストレル(Industriale Chimica社製)700mgをジオキサンに溶かし、25mLのレボノルゲストレル溶液とした。この溶液を氷冷下、74分かけてヘキサン1Lに滴下し、20分間撹拌後、自然ろ過して得られた湿結晶をヘキサンで洗浄した。前記湿結晶を30℃で18時間通風乾燥して、レボノルゲストレルの結晶多形β629mgを得た。
得られたレボノルゲストレルの結晶多形βの粉末X線回折スペクトルの測定結果を図3に示し、示差走査熱量スペクトルの測定結果を図4に示す。図4より、DSCの補外開始温度(融点)は239.4℃であった。
(結晶混合物の調製)
得られたレボノルゲストレルの結晶多形α(10mg)と、レボノルゲストレルの結晶多形β(90mg)とを乳鉢に入れ、自動乳鉢粉砕器(アズワン社製,めのう製マグネット乳鉢)を用いて、条件(乳棒重量124g、50回転/分)により1分間粉砕しつつ混合して、結晶多形α/結晶多形β=12/88の重量割合で含むレボノルゲストレル結晶混合物を得た。なお、上記重量割合は、下記のように、粉末X線回折スペクトルのピーク強度比に基づいて換算した。
実施例2
得られたレボノルゲストレルの結晶多形α(30mg)と、レボノルゲストレルの結晶多形β(70mg)とを、実施例1と同様に乳鉢により1分間粉砕しつつ混合して、結晶多形α/結晶多形β=19/81の重量割合で含むレボノルゲストレル結晶混合物を得た。
実施例3
得られたレボノルゲストレルの結晶多形α(50mg)と、レボノルゲストレルの結晶多形β(50mg)とを、実施例1と同様に乳鉢により1分間粉砕しつつ混合して、結晶多形α/結晶多形β=38/62の重量割合で含むレボノルゲストレル結晶混合物を得た。
実施例4
得られたレボノルゲストレルの結晶多形α(70mg)と、レボノルゲストレルの結晶多形β(30mg)とを、実施例1と同様に乳鉢により1分間粉砕しつつ混合して、結晶多形α/結晶多形β=47/53の重量割合で含むレボノルゲストレル結晶混合物を得た。
実施例5
得られたレボノルゲストレルの結晶多形α(90mg)と、レボノルゲストレルの結晶多形β(10mg)とを、実施例1と同様に乳鉢により1分間粉砕しつつ混合して、結晶多形α/結晶多形β=79/21の重量割合で含むレボノルゲストレル結晶混合物を得た。
比較例1
実施例1で得られた結晶多形αを比較例1として用いた。
比較例2
実施例1で得られた結晶多形βを比較例2として用いた。
[安定性試験]
(1)熱安定性
熱に対する安定性を調べるため、比較例1,2で得られた結晶(多形α及びβ)、並びに実施例1〜5で得られた結晶混合物10mgを、100℃雰囲気下の恒温機内にて1月間放置した後、HPLCにより純度の変化を確認した。その結果、比較例1の結晶多形αでは0.84%、比較例2の結晶多形βでは0.43%の純度低下が見られた。また、比較例1の結晶多形αでは、7日放置時点より黄色化が見られた。
これに対して、実施例1〜5の結晶混合物では、純度に変化はなく、外観の変化も見られなかった。
(2)乳鉢粉砕下での安定性
粉砕に対する安定性を調べるため、比較例1の結晶(多形α)、比較例2の結晶(多形β)、実施例1〜5の結晶混合物100mgを乳鉢に入れ、自動乳鉢粉砕器(アズワン社製,めのう製マグネット乳鉢)を用いて、所定の条件(乳棒重量124g、50回転/分)により1時間に亘り粉砕を続けた後、粉末X線回折スペクトルの測定を行った。
レボノルゲストレル中に含まれる結晶多形α及び結晶多形βの重量割合は、結晶多形αの特徴的な角度2θ=18.6°±0.2°での回折ピーク高さ(ピーク強度)と、結晶多形βの特徴的な角度2θ=24.9°±0.2°での回折ピーク高さ(ピーク強度)との割合に基づいて算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006433910
表1から明らかなように、1時間粉砕を続けた結果、比較例1では、結晶多形αは全体の56%しか確認されず、比較例2では、結晶多形βは全体の86%しか確認されなかった。このように、比較例ではなかなか安定混合比に達しない。これに対し、実施例1〜5の結晶混合物では、1時間の粉砕により、結晶多形αと結晶多形βとの割合に大きな変化は認められず、多形α/多形β=20/80〜45/55(重量比)の安定混合比に達した。これらのデータは、結晶多形αと結晶多形βとを、結晶多形α/結晶多形β=10/90〜90/10(例えば、20/80〜50/50、特に30/70〜50/50)程度の重量割合で混合した混合物を粉砕すると、粉砕後には、結晶多形α/結晶多形β=20/80〜45/55(例えば、25/75〜45/55、特に30/70〜40/60や30/70〜35/65)程度の割合で安定化した混合物が得られることを示唆している。
上記安定性試験(1)及び(2)から明らかなように、実施例のレボノルゲストレル結晶混合物は、比較例1,2の結晶多形α,βと比較して、高い安定性を示す。特に、結晶多形αと結晶多形βとを所定の割合で含む混合物を粉砕すると、組成(結晶多形αと結晶多形βとの重量割合)の変化が比較的小さい。また、摩擦又は圧壊力を繰り返し受けても、所定の割合に収束するようである。
本発明のレボノルゲストレル結晶混合物は、緊急避妊剤などとして好適に用いられる。
また、本発明のレボノルゲストレル結晶混合物は、例えば、粉砕、打錠などの方法で医薬製剤を調製するのに適しており、錠剤などの形態で利用できる。

Claims (7)

  1. 粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の2θで表される回折角度(α)に回折ピークを有するレボノルゲストレルの結晶多形αと、
    粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の2θで表される回折角度(β)に回折ピークを有するレボノルゲストレルの結晶多形βとを含み、レボノルゲストレルの結晶多形αとレボノルゲストレルの結晶多形βとの割合(重量比)が、前者/後者=5/95〜90/10であるレボノルゲストレル結晶混合物。
    (α):17.2°±0.2°,18.6°±0.2°,22.7°±0.2°,31.1°±0.2°及び35.5°±0.2°
    (β):13.9°±0.2°,14.5°±0.2°,21.3°±0.2°,24.9°±0.2°及び28.2°±0.2°
  2. 示差走査熱量スペクトルの補外開始温度で表されるレボノルゲストレルの結晶多形αの融点が237.5〜240.0℃であり、レボノルゲストレルの結晶多形βの融点が238.5〜240.5℃である請求項1に記載の結晶混合物。
  3. レボノルゲストレルの結晶多形αとレボノルゲストレルの結晶多形βとの割合(重量比)が、前者/後者=15/85〜60/40である請求項1又は2記載の結晶混合物。
  4. レボノルゲストレルの結晶多形αとレボノルゲストレルの結晶多形βとの割合(重量比)が、前者/後者=20/80〜50/50である請求項1〜3のいずれかに記載の結晶混合物。
  5. 請求項1及び/又は2記載のレボノルゲストレルの結晶多形αと、請求項1及び/又は2記載のレボノルゲストレルの結晶多形βとを混合し、請求項1〜4のいずれかに記載の結晶混合物を製造する方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の結晶混合物を含む医薬組成物。
  7. 錠剤である請求項6記載の医薬組成物。
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