JP2015524432A - アポリポタンパク質aivを用いて高血糖障害を治療する方法 - Google Patents

アポリポタンパク質aivを用いて高血糖障害を治療する方法 Download PDF

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Abstract

高血糖障害の治療が必要な被験体において、高血糖障害を治療するための方法、および高血糖障害の治療のための薬学的組成物を開示する。該方法には、被験体に、アポリポタンパク質A−IVの有効量を投与する工程が含まれる。やはり開示するのは、耐糖能を実質的に回復する必要がある被験体において、耐糖能を実質的に正常レベルに回復する方法、ならびにインスリン耐性障害、例えば前糖尿病、メタボリックシンドローム、多嚢胞性卵巣疾患、A型症候群、妊娠糖尿病を含む高血糖障害、ならびにクッシング病、グルカゴン過剰(グルカゴン分泌性腫瘍)および先端巨大症を含む高血糖に関連する内分泌状態を含む高血糖障害を有する被験体において、血糖レベルを低下させるための方法である。

Description

[0001]本開示は、高血糖に関連する状態を治療する方法に関する。より具体的には、本開示は、有効量のアポリポタンパク質A−IVを投与することによって、インスリン耐性および内分泌障害を含む、高血糖障害を治療する方法に関する。
関連出願
[0002]本出願は、米国仮特許出願第61/675,549号、2012年7月25日出願に優先権を請求する。優先出願の内容は、その全体が本明細書に援用される。
[0003]糖尿病の発生は広範であり、米国人口のおよそ8%が糖尿病を患う。糖尿病は、体が有効にインスリンを産生しそして/または用いることができないことに起因する高血糖によって特徴付けられる慢性疾患である。糖尿病は、多様な身体的合併症を導く可能性もあり、これらには、限定されるわけではないが、腎不全、失明、神経損傷、心疾患、睡眠時無呼吸、およびセリアック病が含まれる。例えば、米国において、糖尿病は、腎不全、失明、切断、脳卒中、および心臓発作の主因である。やはり米国において、糖尿病は、死因の六番目であり、そして中年成人の平均余命を約5〜10年減少させることが示されてきている。
[0004]糖尿病の最も一般的な型は、高血糖、インスリン耐性、β細胞機能不全、および肝臓糖新生制御不全に関連する、2型糖尿病である。2型糖尿病を患うヒトは、インスリン分泌の第一期において、貯蔵されたインスリン顆粒のβ細胞からの放出不全に関連するグルコース刺激性インスリン分泌喪失を経験する。インスリン分泌の第二期において、2型糖尿病を患うヒトは、グルコース刺激に反応してインスリンを能動的に合成する能力の漸次喪失を経験する。
[0005]II型糖尿病に加えて、全体集団においてやはり増加しつつある高血糖によって定義される、多くの関連状態がある。例えば、2005年〜2008年、20歳またはそれより高齢の米国成人の35パーセントは、前糖尿病(絶食時グルコースまたはA1Cレベルによって定義される;CDCを参照されたい)を有した。
こうしたものとして、高血糖に関連する状態を有効に治療するための新規療法が必要である。
[0006]本開示は、アポリポタンパク質A−IVが、高血糖によって特徴付けられる障害(または高血糖障害)を治療するために有効であるという驚くべき発見に基づく。
[0007]アポリポタンパク質A−IVは、食後耐糖能に寄与し、そして耐糖能の改善における、以前は認識されていなかった仲介因子として働く。したがって、1つの態様において、高血糖障害の治療が必要な被験体において、高血糖障害を治療する方法を開示する。1つの態様において、インスリン耐性障害または高血糖に関連する内分泌障害を含む高血糖障害の治療が必要な被験体において、インスリン耐性障害または高血糖に関連する内分泌障害を含む高血糖障害を治療する方法を開示する。1つの態様において、クッシング病、グルカゴン分泌性腫瘍、グルカゴン過剰、および先端巨大症を含む高血糖に関連する内分泌障害の治療が必要な被験体において、クッシング病、グルカゴン分泌性腫瘍、グルカゴン過剰、および先端巨大症を含む高血糖に関連する内分泌障害を治療する方法を開示する。別の態様において、多嚢胞性卵巣疾患を有する被験体において高血糖を治療する方法を開示する。別の態様において、前糖尿病、メタボリックシンドローム、多嚢胞性卵巣疾患、A型症候群、および妊娠糖尿病からなる群より選択されるインスリン耐性障害を有する被験体において、高血糖を治療する方法を開示する。該方法は、アポリポタンパク質A−IV、あるいはアポリポタンパク質A−IVに少なくとも90、95、96、97、98または99%同一性を有するその生物学的活性類似体の有効量を被験体に投与する工程を含む。
[0008]別の態様において、アポリポタンパク質A−IVを含む薬学的組成物を開示する。該薬学的組成物は、高血糖障害の治療のために被験体に投与するため配合された、アポリポタンパク質A−IV、あるいはアポリポタンパク質A−IVに少なくとも90、95、96、97、98または99%同一性を有するその生物学的活性類似体を含む。
[0009]さらに別の態様において、耐糖能を実質的に回復する必要がある被験体において、耐糖能を実質的に正常レベルに回復するための方法を開示する。該方法は、例えば、アポリポタンパク質A−IVまたはその生物学的活性類似体を全身投与することによって、アポリポタンパク質A−IV、あるいはアポリポタンパク質A−IVに少なくとも90、95、96、97、98または99%同一性を有するその生物学的活性類似体の有効量を被験体に投与する工程を含む。
[0010]さらに別の態様において、血糖レベルを低下させる必要がある被験体において、血糖レベルを低下させるための方法を開示する。該方法は、例えば全身投与によって、アポリポタンパク質A−IV、あるいはアポリポタンパク質A−IVに少なくとも90、95、96、97、98または99%同一性を有するその生物学的活性類似体の有効量を、治療が必要な被験体に投与する工程を含む。「有効量」は以下に記載するとおりであり、そしてこれには、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体の、例えば約0.25〜2μg/gが含まれる。1つの態様において、有効量は約0.1mg/kg〜25mg/kgである。別の態様において、有効量は約1〜1000mgの固定用量である。さらなる態様において、有効量は約1〜10mgの固定用量である。
[0011]さらなる態様において、アポリポタンパク質A−IVまたはその生物学的活性類似体はグリコシル化されていない。
[0012]1つの態様において、本明細書に開示する方法および組成物には、配列番号1、3、4または6〜51のいずれか1つに示すようなアミノ酸配列、あるいはその生物学的活性断片を含むアポA−IVタンパク質が含まれる。1つの態様において、本明細書に開示する方法および組成物には、配列番号1、3、4または6〜51に示すような配列に95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、あるいはその生物学的活性断片を含む、アポA−IVタンパク質が含まれる。
[0013]本開示にしたがったこれらのおよび他の多様な態様のこれらのおよび他の特徴および利点は、本明細書に提供する図、詳細な説明、および請求項を考慮すると、より明らかになるであろう。
[0014]本開示の態様の以下の詳細な説明は、以下の図と組み合わせて読んだ際、よりよく理解可能であり、ここで同様の構造を同様の参照数字で示し、そしてこの中で:
[0015]図1は、本開示の態様にしたがった、薬学的組成物の容器およびシリンジを有するデバイスの側面斜視図である。 [0016]図2は、腹腔内耐糖能試験に関する、雄アポリポタンパク質A−IVノックアウトおよび野生型マウスにおける、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/dL)のグラフである。 [0017]図3は、腹腔内耐糖能試験に関する、16ヶ月齢のアポリポタンパク質A−IV野生型およびノックアウト動物における、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/dL)のグラフである。 [0018]図4は、腹腔内耐糖能試験に関する、組換えアポリポタンパク質A−IV(μg/g)または生理食塩水溶液を腹腔内投与した後の、雄アポリポタンパク質A−IVノックアウトマウスにおける、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/dL)のグラフである。 [0019]図5は、腹腔内耐糖能試験に関する、組換えアポリポタンパク質A−Iまたは生理食塩水溶液を腹腔内投与した後の、アポリポタンパク質A−IVノックアウトマウスにおける、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/dL)のグラフである。 [0020]図6は、組換えアポリポタンパク質A−Iまたは生理食塩水溶液を腹腔内投与した後の、アポリポタンパク質A−IVノックアウトマウスにおける、時間(分)に対するインスリン分泌(ng/mL)のグラフである。 [0021]図7は、腹腔内耐糖能試験に関する、長期高脂肪食餌を与えたアポリポタンパク質A−IVノックアウトおよび野生型マウスにおける、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/mL)のグラフである。 [0022]図8は、腹腔内耐糖能試験に関する、長期高脂肪食餌を与えたアポリポタンパク質A−IVノックアウトマウスにおける、組換えマウス・アポリポタンパク質A−IV(1μg/g)または生理食塩水溶液を腹腔内投与した後の、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/mL)のグラフである。 [0023]図9は、腹腔内耐糖能試験に関する、糖尿病マウスにおける、組換えマウス・アポリポタンパク質A−IV(1μg/g)または生理食塩水溶液を腹腔内投与した後の、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/mL)のグラフである。 [0024]図10は、アポリポタンパク質A−IVノックアウトマウス、野生型マウス、およびアポリポタンパク質A−Iノックアウトマウスにおける、血清アミロイドAタンパク質構成要素レベルのウェスタンブロット分析の結果を示す。 [0025]図11は、腹腔内耐糖能試験(IPGTT)中の、雌アポリポタンパク質A−IVノックアウトおよび野生型マウスにおける、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/dL)のグラフである。 [0026]図12は、腹腔内耐糖能試験中の、野生型マウスにおける、1.0μg/gヒト・アポリポタンパク質A−IVまたは生理食塩水溶液を腹腔内投与した後の、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/dL)のグラフである。 [0027]図13は、腹腔内耐糖能試験中の、雌野生型マウスにおける、1.0μg/g組換えマウス・アポリポタンパク質A−IVまたは生理食塩水溶液を腹腔内投与した後の、時間(分)に対する血漿グルコース(mg/dL)のグラフである。 [0028]図14は、3mMまたは20mMグルコースの存在下で、30mM KClおよび250μMジアゾキシドによって脱分極されたヒト膵島に対する10μg/gヒト・アポA−IVの影響を示す棒グラフである。 [0029]図15は、全長野生型ヒト・アポリポタンパク質A−IVのアミノ酸配列(配列番号1)を持つタンパク質である。 [0030]図16は、全長野生型マウス・アポリポタンパク質A−IVのアミノ酸配列(配列番号2)を持つタンパク質である。 [0031]図17は、N末端にグリシンが付加された全長野生型ヒト・アポリポタンパク質A−IVのアミノ酸配列(配列番号3)を持つタンパク質である。 [0032]図18は、多型置換T347S、Q360H、および/またはE165K、ならびにN末端へのグリシン、アラニンまたはバリンの場合による付加を示す、ヒト・アポリポタンパク質A−IVのアミノ酸配列(配列番号4)を持つタンパク質である。 [0033]図19は、全長野生型ヒト・アポリポタンパク質A−IVをコードするポリヌクレオチド(配列番号5)である。
[0034]当業者は、図面の要素は単純にそして明確にするために例示され、そして必ずしも縮尺通りに描かれていないことを認識する。例えば、本開示の多様な態様の理解を改善するのを補助するため、図面中の要素のいくつかの寸法は、他の要素に比較して強調されるとともに、慣用的な部分が除去される可能性もある。
[0035]以下の用語を本出願において用いる:
[0036]本明細書において、「高血糖障害」または「高血糖に関連する障害」は、被験体の血糖が上昇している障害を指す。生じた血糖増加は、正常範囲の外にレベルを上昇させる可能性もあり、そして被験体に対して不都合な健康上の影響を引き起こす可能性もある。高血糖障害の例には、限定されるわけではないが、インスリン耐性に関連する疾患(限定されるわけではないが、前糖尿病、メタボリックシンドローム、A型インスリン耐性症候群、多嚢胞性卵巣疾患に関連する高血糖またはインスリン耐性、妊娠糖尿病)、および内分泌異常に関連する高血糖(限定されるわけではないが、クッシング病、グルカゴン分泌性腫瘍、および先端巨大症)が含まれる。1つの態様において、高血糖障害にはII型糖尿病は含まれない。
[0037]本明細書において、用語「インスリン耐性に関連する障害」は、インスリンが血糖を低下させる際により有効でなくなる状態を指す。例には、限定されるわけではないが、前糖尿病、メタボリックシンドローム、A型インスリン耐性症候群、多嚢胞性卵巣疾患に関連する高血糖またはインスリン耐性、妊娠糖尿病が含まれる。
[0038]本明細書において、用語「高血糖に関連する内分泌障害」は、高血糖によって特徴付けられる内分泌系の障害を指す。高血糖に関連する内分泌障害の例には、限定されるわけではないが、クッシング病、グルカゴン分泌性腫瘍、および先端巨大症が含まれる。
[0039]本明細書において、用語「前糖尿病」は、以下の要因の1またはそれより多くによって特徴付けられる状態を意味する:抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカーの存在、ランゲルハンス島細胞数の障害、インスリン分泌初期ピークの抑制、耐糖能障害、絶食時糖血症障害および/またはいずれかの糖尿病リスク要因。前糖尿病は、耐糖能または絶食時グルコース障害のいずれかによって特徴付けられ、そしてしばしば、血糖の正常レベルおよび糖尿病レベルの間の「グレー領域」と記載される。前糖尿病は、しばしば、2型糖尿病に先行する。
[0040]本明細書において、用語「有効量」は、望ましい生物学的影響を達成するのに必要なまたは十分な量を記載する。任意の特定の適用に関する有効量は、限定されるわけではないが、投与する特定の組成物、被験体のサイズ、ならびに/あるいは治療中の疾患および/または状態の重症度を含む、多様な要因に応じて多様でありうる。1つの態様において、「有効量」は、アポリポタンパク質A−IVまたはその生物学的活性類似体の約0.25〜10μg/gの用量である。あるいは、「アポA−IVまたはその生物学的活性類似体の有効量」は、約1〜10μg/g、約0.25〜2μg/g、約1μg/g、または0.1mg/kg〜25mg/kgである。別の態様において、有効量は約1〜1000mgの固定用量である。さらなる態様において、有効量は約1〜10mgの固定用量である。アポA−IVまたは生物学的活性類似体を1日1回投与する。あるいは、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体を1日約2回投与する。さらに別の代替法において、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体を、1日2回より多く、例えば1日3回投与する。さらに別の代替法において、アポA−IVを2日、3日、4日、5日または6日ごとに1回、あるいは週1回投与する。
[0041]本明細書において、用語「望ましい生物学的影響」は、疾患または状態の影響を減少させ、これらを妨げ、そして/または排除することを記載する。例えば、高血糖障害の背景において、望ましい生物学的影響には、限定されるわけではないが、血糖低下、耐糖能改善、耐糖能の正常レベルへの実質的な回復、インスリン分泌改善、および/またはインスリン分泌の正常レベルへの実質的な回復が含まれる。
[0042]本明細書において、用語「正常レベル」は、治療の必要がない被験体におけるレベルと実質的に同じレベルを記載する。例えば、高血糖障害を治療する背景において、血糖の正常レベルは、食事前に約70mg/dL〜約130mg/dL、そして食事の約1〜2時間後に約180mg/dL未満、または食事前に約70mg/dL〜約100mg/dL、そして食事の約1〜2時間後に約140mg/dL未満である。高血糖障害を治療する背景における別の例において、耐糖能の正常レベルは、血糖レベルが食事前に約70mg/dL〜約130mg/dL、そして食事の約1〜2時間後に約180mg/dL未満、または食事前に約70mg/dL〜約100mg/dL、そして食事の約1〜2時間後に約140mg/dL未満であるように、被験体が炭水化物を代謝する能力を記載する。高血糖障害を治療する背景におけるさらに別の例において、インスリン分泌の正常レベルは、耐糖能の正常レベルを維持するために必要な量であり、インスリン分泌レベルは、食事の約15時間後に、約1ng/mLより高い。さらなる態様において、血糖の正常レベルは午前絶食血糖試験に関して、約70mg/dl〜100mg/dlである。
[0043]血糖レベルの背景において、用語「回復する」は、被験体の血糖レベルが正常レベルに変化することを記載する。同様に、耐糖能の背景において、用語「回復する」は、被験体の耐糖能が正常レベルに変化することを記載する。また、インスリン分泌の背景において、「回復する」は、被験体のインスリン分泌を、正常レベルまで、または血糖を低下させるのに十分なレベルに変化することを記載する。
[0044]アポリポタンパク質A−IVの背景において、用語「生物学的活性断片」は、高血糖障害を有する被験体において、望ましい生物学的影響を達成することが可能な、例えば耐糖能を回復するアポリポタンパク質A−IVの断片を記載する。用語「生物学的活性類似体」は、高血糖障害を有する被験体において、望ましい生物学的影響を達成することが可能な、例えば耐糖能を回復するアポリポタンパク質A−IVの類似体を記載する。1つの例において、望ましい生物学的影響は、実施例2に記載するように、アポA−IVノックアウトマウスにおいて、耐糖能を回復することである。望ましい生物学的影響の別の例は、実施例7に記載するマウスモデルなどの、2型糖尿病(T2DM)の動物モデルにおいて、異常なグルコースレベルの統計的に有意な低下を引き起こすことである。
[0045]句「同一のパーセント」または「同一性パーセント」は、少なくとも2つの異なる配列間の類似性(例えば95%、96%、97%、98%、または99%)を指す。この同一性パーセントは、標準的整列アルゴリズム、例えば、Altshulら((1990) J. Mol. Biol. 215:403−10)に記載される基本的局所整列検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)(BLAST); Needlemanら((1970) J. Mol. Biol. 48:444−53)のアルゴリズム;またはMeyersら((1988) Comput. Appl. Biosci. 4:11−17)のアルゴリズムによって決定可能である。パラメータセットは、例えば、12のギャップペナルティ、4のギャップ伸長ペナルティ、および5のフレームシフトギャップペナルティを伴う、Blosum 62スコアリングマトリックスであってもよい。2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間のパーセント同一性はまた、MeyersおよびMiller((1989) CABIOS 4:11−17)のアルゴリズムを用いても決定可能であり、該アルゴリズムは、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれている。
[0046]用語「組換えタンパク質」は、組換えDNAから発現されるタンパク質分子を指す。例えば、組換えアポA−IVタンパク質は、組換え宿主細胞において発現されるものである。
[0047]本明細書において、用語「肥満」は、被験体が正常体重をはるかに超えている状態を指す。1つの特定の例において、用語、肥満は、被験体が理想体重を約20%より多く超えており、そして/または約30または約30より高い肥満度指数を有する状態を指す。1つの態様において、治療される被験体は肥満であり;別の態様において、治療される被験体は肥満ではなく;そしてさらに別の態様において、治療される被験体は正常体重を有する。
[0048]本開示の態様は、高血糖障害の治療が必要な被験体において高血糖障害を治療するための方法、および高血糖障害の治療のための薬学的組成物に関する。1つの態様において、糖尿病を治療する方法を開示する。1つの特定の態様において、高血糖障害を治療する必要がある被験体において高血糖障害を治療する方法であって、有効量のアポA−IVまたはその生物学的活性類似体を被験体に投与する工程を含む、前記方法を開示する。
[0049]1つの態様において、高血糖障害を治療する方法は、被験体の血糖レベルを低下させるのに有効である。1つの特定の態様において、方法は、被験体の血糖レベルを約20〜60%低下させるのに有効である。さらなる態様において、方法は、被験体の血糖レベルを約70%低下させるのに有効である。さらなる態様において、方法は、被験体の血糖レベルを約40%低下させるのに有効である。さらにさらなる態様において、方法は、血糖レベルを、以前のレベルより低いレベルに、または正常レベルに、実質的に回復させるのに有効である。
[0050]1つの態様において、高血糖障害を治療する方法は、被験体の血糖レベルの低下を生じる。1つの特定の態様において、方法は、投薬間隔の経過に渡り被験体の血糖レベルを、ベースラインレベルから、約1mg/dl、2mg/dl、3mg/dl、4mg/dl、5mg/dl、6mg/dl、7mg/dl、8mg/dl、9mg/dl、10mg/dl、11mg/dl、12mg/dl、13mg/dl、14mg/dl、15mg/dl、16mg/dl、17mg/dl、18mg/dl、19mg/dl、20mg/dl、40mg/dl、60mg/dl、80mg/dl、100mg/dl、120mg/dl、140mg/dl、160mg/dl、180mg/dl、200mg/dl、220mg/dl、または240mg/dl、低下させるのに有効である。
[0051]別の態様において、高血糖障害を治療する方法は、被験体の耐糖能を正常レベルに実質的に回復させるのに有効である。1つの特定の態様において、方法は、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体の用量を投与した後、約2時間以内に、被験体の耐糖能を正常レベルに実質的に回復させるのに有効である。別の態様において、方法は、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体の用量を投与した後、約3時間以内または約4時間以内に、被験体のグルコースレベルを正常レベルに実質的に回復させるのに有効である。別の態様において、被験体の耐糖能は、約8〜12時間、正常レベルに実質的に回復される。
[0052]さらに別の態様において、治療は、インスリン分泌を正常レベルに実質的に回復させるのに有効である。1つの特定の態様において、治療は、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体の用量を投与した後、約2時間以内に、インスリン分泌を正常レベルに実質的に回復させるのに有効である。別の態様において、インスリン分泌は、約8〜12時間、正常レベルに実質的に回復される。さらに別の態様において、治療は、C反応性タンパク質のレベルを低下させるのに有効である。
[0053]上記のように、高血糖障害の例には、限定されるわけではないが、インスリン耐性に関連する障害が含まれる。インスリン耐性障害の例には、限定されるわけではないが、前糖尿病、メタボリックシンドローム、多嚢胞性卵巣疾患、A型症候群および他のインスリン耐性遺伝子障害、ならびに妊娠糖尿病が含まれる。
[0054]1つの態様において、本発明は、アポA−IVを投与することによって、被験体において前糖尿病を治療する方法を提供する。前糖尿病を有するヒトは、正常より高いが、2型糖尿病と分類されるのに十分なほどは高くない血糖レベルを有する。前糖尿病は、多くの試験を通じて特徴付け可能である。例えば、糖化ヘモグロビン(A1C)試験を用いて前糖尿病を診断することも可能である。A1C血液試験は、被験体の過去2〜3ヶ月間の平均血糖レベルを示す。6〜6.5パーセントの間のA1Cレベルは前糖尿病性と見なされ、一方、2つの別個の試験で、6.5パーセントまたはそれより高いレベルは、糖尿病を示す。
[0055]前糖尿病の他の試験には、絶食時血糖試験および耐糖能試験が含まれる。絶食時グルコース障害は、少なくとも8時間または一晩の絶食後、グルコースレベルを測定することによって決定される。絶食時グルコース障害は、100〜125mg/dL(5.6〜6.9mmol/L)と定義され、一方、デシリットルあたり100ミリグラム(mg/dL)より低い血糖レベル−リットルあたり5.6ミリモル(mmol/L)−は正常である。126mg/dL(7.0mmol/L)またはそれより高い血糖レベルは糖尿病を示す可能性もある。
[0056]あるいは、前糖尿病は、耐糖能障害試験によって特徴付けられることも可能であり、この場合、糖溶液の消費後(一般的に摂取2時間後)にグルコースレベルを測定する。耐糖能障害試験のため、140mg/dL(7.8mmol/L)未満の血糖レベルは正常であり、一方、140〜199mg/dL(7.8〜11.0mmol/L)の血糖レベルは前糖尿病性と見なされ、そしてしばしば耐糖能障害(IGT)と称される。200mg/dL(11.1mmol/L)またはそれより高い血糖レベルは、糖尿病を示す可能性もある。こうしたものとして、本発明は、アポA−IVの投与によって前糖尿病を治療するための手段を提供する。
[0057]1つの態様において、本発明は、アポA−IVの投与によって、被験体においてメタボリックシンドロームを治療する方法を提供する。メタボリックシンドローム(シンドロームXまたはインスリン耐性シンドロームとも称される)は、冠動脈疾患、脳卒中、および2型糖尿病とともに生じ、そしてこれらに対するヒトのリスクを増加させるリスク要因群の名称である。メタボリックシンドロームは、米国においてますます一般的になってきている一方、該症候群がただ1つの原因によるかどうかは不明であるが、該シンドロームのリスクはすべて肥満に関連する。メタボリックシンドロームの2つの最も重要なリスク要因は、1.体の中部および上部周囲の余分な体重(中央部肥満)、および2.体がインスリンを有効に使用できないインスリン耐性である。米国心臓協会および米国心肺血液研究所によれば、メタボリックシンドロームは、以下の徴候の3つまたはそれより多くを有する場合に存在する: 1. 130/85mmHに等しいかまたはそれより高い血圧; 2. 100mg/dに等しいかまたはそれより高い絶食時血糖(グルコース); 3.男性に関しては40インチまたはそれより多い、そして女性に関しては35インチまたはそれより多いと定義される、大きな胴囲(ウェスト周囲の長さ); 4.男性に関しては40mg/dl未満、そして女性に関しては50mg/dl未満と定義される、低HDLコレステロールレベル;および5. 150mg/dLに等しいかまたはそれより多いトリグリセリド。こうしたものとして、本発明は、アポA−IVの投与によってメタボリックシンドロームを治療するための手段を提供する。
[0058]1つの態様において、本発明は、アポA−IVの投与によって、多嚢胞性卵巣疾患を有する被験体において、インスリン耐性および高血糖を治療する方法を提供する。多嚢胞性卵巣疾患(スタイン・レベンタール症候群または多濾胞性卵巣疾患とも称される)は、女性が女性ホルモンの不均衡を有する状態であり、そしてこれは月経周期変化、卵巣中の嚢胞、受胎能力の問題、および他の健康状態の変化を導きうる。多嚢胞性卵巣疾患の原因は、完全には理解されていないが、多嚢胞性卵巣症候群の大きな生化学的特徴の1つは、代償性高インスリン血症(絶食時血液インスリンレベルの上昇)が付随するインスリン耐性である。実際、II型糖尿病は、しばしば、該疾患に関連する長期合併症である。したがって、本発明は、アポA−IVの投与によって、多嚢胞性卵巣疾患を有する被験体において、インスリン耐性および高血糖を治療するための手段を提供する。
[0059]さらなる態様において、本発明の方法および組成物を用いて、限定されるわけではないが、ドナヒュー症候群、ラブソン・メンデンホール症候群、およびA型インスリン耐性を含む、極端なインスリン耐性に関連する遺伝子障害を治療することもまた可能である。ドナヒュー症候群は、他の状態の中でも、子宮内胎児発育遅延、出生後成長不全、グルコース恒常性欠損および高インスリン血症によって特徴付けられる。ドナヒュー症候群と診断された患者は、短縮された平均余命を有し、そして一般的に1年より長くは生きられない。ラブソン・メンデンホール症候群は、他の症状の中でも、成長遅延および高インスリン血症によって特徴付けられる。A型インスリン耐性は、多毛症、皮下脂肪減少、糖尿病、黒色表皮症、および高インスリン血症、ならびに女性における無月経および多嚢胞性卵巣とともに示されうる。インスリン耐性の生物学的マーカーである高インスリン血症は、しばしば、疾患の経過に渡る耐糖能欠損、および進行性に起こる糖尿病を伴う。こうしたものとして、アポA−IVを用いて、極度のインスリン耐性、例えばA型インスリン耐性症候群に関連する先天性疾患を有する患者を治療することも可能である。
[0060]さらなる態様において、本発明の方法および組成物を用いて、妊娠糖尿病を治療することもまた可能である。妊娠糖尿病は、高血糖レベルとして特徴付けられる(妊娠糖尿病を決定するために使用することもまた可能な、前糖尿病に関する上記試験を参照されたい)。妊娠糖尿病は、一般的に、子供の誕生の際に消失するが、母親および赤ん坊の健康のため、糖レベルは、妊娠中、維持されなければならない。さらに、妊娠糖尿病は、しばしば、前糖尿病の前兆である。したがって、アポA−IVを用いて、妊娠糖尿病を有する被験体において、糖レベルを低下させることも可能である。
[0061]上述のように、高血糖障害の例には、限定されるわけではないが、高血糖に関連する内分泌障害が含まれる。高血糖に関連する内分泌障害の例には、限定されるわけではないが、クッシング病、グルカゴン分泌増加、および先端巨大症が含まれる。
[0062]1つの態様において、本発明の方法および組成物を用いて、クッシング病を治療することも可能である。クッシング病は、副腎による過剰なコルチゾール産生によって特徴付けられる。症状には、高血圧、疲労、体上部の肥満ならびに脚および腕の細長さを伴う高血糖レベルが含まれる。
[0063]別の態様において、本発明の方法および組成物を用いて、グルカゴン分泌性腫瘍を治療することも可能である。グルカゴン分泌性腫瘍はまた、グルカゴン産生腫瘍とも称され、そしてホルモンであるグルカゴンの最大1000倍の過剰産生を生じる、膵臓アルファ細胞の稀な腫瘍である。グルカゴン産生腫瘍の主な生理学的影響は、ペプチドホルモンであるグルカゴンの過剰産生であり、これによって、それぞれ糖新生および脂質分解を含む同化および異化プロセスの活性化を通じて血糖レベルが増進される。
[0064]さらに別の態様において、本発明の方法および組成物を用いて、先端巨大症を治療してもよい。先端巨大症は、ヒト成長ホルモンの過剰産生を生じる、下垂体腫瘍によって引き起こされる代謝性障害である。
[0065]1つの態様において、本発明には、前述の障害の1つを有する被験体をまず選択し、そして前記障害の治療のため、アポA−IVまたはその生物学的活性断片を投与する方法が含まれる。
[0066]1つの態様において、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体を全身投与する。アポA−IVまたはその類似体の全身投与は、経口、皮下、静脈内、筋内、および腹腔内投与からなる群より選択される。
[0067]別の態様において、薬学的組成物を開示する。1つの特定の態様において、薬学的組成物は、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体を含む。別の態様において、アポA−IVまたはその類似体を、高血糖障害の治療に関して被験体に投与するために配合する。この特定の態様において、高血糖障害を治療する必要がある被験体において高血糖障害を治療するための方法であって、被験体に、有効量の薬学的組成物を投与する工程を含む、前記方法も提供する。
[0068]「アポリポタンパク質A−IV」(本明細書において、「アポA−IV」とも称される)は、哺乳動物アポA−IVを指し、そして全長アポA−IVおよびアポA−IVの生物学的活性断片を含む。全長ヒト・アポA−IVは376アミノ酸タンパク質(配列番号1)であり、そのアミノ酸配列を図15に示し;全長マウス・アポA−IVのアミノ酸配列(配列番号2)を図16に示す。用語「アポリポタンパク質A−IV」にやはり含まれるのは、全長ヒト配列のアポリポタンパク質A−IVのN末端にグリシンが付加された既知の類似体(配列番号3、図17に示すようなもの)、およびN末端グリシンに関する保存的置換(例えばアラニンおよびバリン)を有するその類似体である。「アポリポタンパク質A−IV」には、また、配列番号1に示すヒト配列または配列番号3の対応する位に対するT347S、Q360H、またはE165K置換を含む、その多型型も含まれる。こうしたものとして、「アポリポタンパク質A−IV」には、図18に示す、配列番号4のタンパク質が含まれる。アポA−IVの変異体型もまた、本発明の方法および組成物中に含まれ、そしてこれには、以下のミスセンス突然変異:P393H、Q385K、Q381K、Q380H、Q377P、T367S、S353A、N352Y、V336M、D335H、G311R、V307L、R305C、R304Q、E291G、V274M、V274A、R264Q、A260T、E250K、N235S、Q231K、R220C、Q214H、E207K、T202M、R200C、D191N、D184N、P181L、A172T、R169W、A161S、R154W、T148M、S147N、A139E、N127K、S95L、R90C、T85A、Q77H、G74S、V13M、またはV6Mを含有する変異体(配列番号6〜50を参照されたい)が含まれる。配列番号51は、シグナル配列を有するアポA−IVのアミノ酸配列を示す。配列番号1、3、4、および6〜51に記載するアミノ酸配列、またはその生物学的活性断片に、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するアポA−IVタンパク質もまた、本発明の方法において意図される。
[0069]アポリポタンパク質A−IVの生物学的活性類似体は、アポリポタンパク質A−IVに少なくとも90、95、96、97、98または99%同一性を有する。先の段落に記載するように、アポリポタンパク質A−IVには、全長哺乳動物アポリポタンパク質A−IV(例えばヒトまたは哺乳動物)、その多型型、配列番号3および4のタンパク質、ならびに前述のいずれかの生物学的活性断片が含まれる。生物学的活性類似体におけるアミノ酸変動は、好ましくは、野生型配列に対して保存的置換を有する。「保存的置換」は、同じ純電荷、ならびにほぼ同じサイズおよび形状を有する、別のアミノ酸でのアミノ酸の置換である。脂肪族または置換脂肪族アミノ酸側鎖を持つアミノ酸残基は、側鎖中の炭素およびヘテロ原子の総数が、約4より多く異ならない場合には、ほぼ同じサイズを有する。これらは、側鎖中の分枝の数が1より多く異ならない場合には、ほぼ同じ形状を有する。側鎖中にフェニルまたは置換フェニル基を持つアミノ酸残基は、ほぼ同じサイズおよび形状を有すると見なされる。以下に列挙するのは、アミノ酸の5つの群である。同じ群由来の別のアミノ酸残基でアミノ酸残基を置換すると、保存的置換を生じる:
群I:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、およびC1〜C4脂肪族またはC1〜C4ヒドロキシル置換脂肪族側鎖(直鎖または一分枝)を持つ非天然存在アミノ酸。
群II:グルタミン酸、アスパラギン酸およびカルボン酸置換C1〜C4脂肪族側鎖(非分枝または一分枝点)を持つ非天然存在アミノ酸。
群III:リジン、オルニチン、アルギニン、およびアミンまたはグアニジノ置換C1〜C4脂肪族側鎖(非分枝または一分枝点)を持つ非天然存在アミノ酸。
群IV:グルタミン、アスパラギン、およびアミド置換C1〜C4脂肪族側鎖(非分枝または一分枝点)を持つ非天然存在アミノ酸。
群V:フェニルアラニン、フェニルグリシン、チロシンおよびトリプトファン。
[0070]アポリポタンパク質A−IVまたはその生物学的活性類似体はグリコシル化されていてもまたはグリコシル化されていなくてもよい。組換え非グリコシル化ヒトおよびマウス・アポリポタンパク質A−IVの調製を実施例11に記載する。全長野生型ヒト・アポリポタンパク質(配列番号1)のポリヌクレオチド配列を図19の配列番号5として示す。実施例1〜11で用いるアポリポタンパク質A−IVはグリコシル化されていない。アポA−IVは、分子生物学分野に知られる方法にしたがって調製可能である。例えば、アポA−IVは、伝統的な分子クローニング技術を通じて調製可能である。
[0071]1つの態様において、細菌宿主を用いて、非グリコシル化アポA−IVを産生することも可能である。細菌宿主の例には、限定されるわけではないが、大腸菌(E. coli)BL−21、BL−21(DE3)、BL21−AITM、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pLysE、BL21 StarTM(DE3)、およびBL21 StarTM(DE3)pLysS、(Invitrogen)が含まれる。コリネバクテリウム属(Corynebacterium)もまた、アポA−IVを発現するための宿主細胞として使用可能である。細菌宿主内への形質転換前に、アポA−IVまたはその類似体をコードするDNAセグメントを、細菌宿主内への形質転換のための任意の適切な発現ベクターに取り込んでもよい。適切な発現ベクターには、例えば、Sambrookら, Molecular Cloning Manual, 第2版, 1989に記載されるような、当業者に多様に知られる、プラスミドベクター、コスミドベクター、およびファージベクターが含まれる。発現ベクターの例には、pETベクター(Invitrogen)、pDESTベクター(Invitrogen)、pRSETベクター(Invitrogen)、およびpJexpressベクター(DNA2.0 Inc.)が含まれる。1つの態様において、大腸菌BL−21(DE3)を、アポA−IVをコードする遺伝子を含有するpET30発現ベクターで形質転換する。
[0072]原核生物に加えて、真核微生物、例えば糸状菌または酵母は、アポA−IVをコードするベクターの適切なクローニングまたは発現宿主である。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)または一般的なパン酵母が、より低次の真核宿主微生物の中で、最も一般的に用いられる。しかし、多くの他の属、種、および株が一般的に利用可能であり、そして本明細書において有用であり、これには例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);クロイベロミセス属(Kluyveromyces)宿主、例えばK.ラクティス(K. lactis)、K.フラジリス(K fragilis)(ATCC 12,424)、K.ブルガリクス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、K.ウィッカーラミー(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、K.ワルティー(K. waltii)(ATCC 56,500)、K.ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906)、K.サーモトレランス(K. thermotolerans)、およびK.マルキシアヌス(K. marxianus);ヤロウィナ属(yarrowia)(EP 402,226);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(EP 183,070);カンジダ属(Candida);トリコデルマ・リーシア(Trichoderma reesia)(EP 244,234);アカパンカビ(Neurospora crassa);シュワニオマイセス(Schwanniomyces)、例えばシュワニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis);ならびに糸状菌、例えばニューロスポラ属、ペニシリウム属(Penicillium)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、およびアスペルギルス属(Aspergillus)宿主、例えばA.ニジュランス(A. nidulans)およびA.ニガー(A. niger)が含まれる。
[0073]アポA−IVの発現に適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物および昆虫細胞が含まれる。多くのバキュロウイルス株および変異体、ならびに宿主、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)、およびカイコ(Bombyx mori)由来の対応する許容昆虫宿主細胞が同定されてきている。トランスフェクション用の多様なウイルス株、例えばオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL−1変異体およびカイコNPVのBm−5株が公的に入手可能であり、そしてこうしたウイルスは、本発明にしたがって本明細書のウイルスとして、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクション用に使用可能である。
[0074]ワタ(cotton)、トウモロコシ(corn)、ジャガイモ(potato)、ダイズ(soybean)、ペチュニア(petunia)、トマト(tomato)、およびタバコ(tobacco)の植物細胞培養物もまた宿主として利用可能である。
[0075]アポA−IVタンパク質を産生するための別の適切な宿主細胞は、脊椎動物細胞である。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓株(例えば、293または懸濁培養中での増殖のため、サブクローニングされた293細胞、Grahamら, J. Gen Virol. 36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、例えばATCC CCL 10);限定されるわけではないが、CHO K1、CHO pro3−、CHO DG44、CHO DUXB11、Lec13、B−Ly1およびCHO DP12細胞を含み、好ましくはCHO DUX(DHFR−)またはそのサブクローン(本明細書において、「CHO DUX」と称する)を含む、チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaubら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216(1980));C127細胞、マウスL細胞;Ltk.sup.−細胞;マウス・セルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod. 23:243−251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル(African green monkey)腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット(buffalo rat)肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス骨髄腫細胞;NS0;ハイブリドーマ細胞、例えばマウス・ハイブリドーマ細胞;COS細胞;マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51); TR1細胞(Matherら, Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44−68(1982)); MRC 5細胞; FS4細胞;およびヒト肝細胞腫株(Hep G2)である。
[0076]宿主細胞を、アポA−IVタンパク質産生用の発現またはクローニングベクターで形質転換し、そしてプロモーターを誘導し、形質転換体を選択するか、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように修飾された、慣用的な栄養培地中で培養する。
[0077]実施例で用いるアポリポタンパク質A−IVノックアウトマウスは、その全解説が本明細書に援用される、J Lipid Res. 1997 Sep;38(9):1782−94に開示される方法にしたがって生成された。
[0078]1つの特定の態様において、薬学的組成物は、薬学的に許容されうるキャリアーをさらに含んでもよい。薬学的に許容されうるキャリアーには、広い範囲の既知の希釈剤(すなわち溶媒)、充填剤、増量剤、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、賦形剤、湿潤剤および本分野で一般的に用いられる同様のものが含まれる。薬学的組成物は、好ましくは水性であり、すなわち液体配合物であり、そして好ましくは発熱物質不含水を含む。薬学的調製物の形にしたがって、これらのキャリアーを単独でまたは組み合わせて用いてもよい。生じる調製物は、必要であれば、1またはそれより多い可溶化剤、緩衝剤、保存剤、着色剤、香料、フレーバー剤および薬剤調製の分野で広く用いられる同様のものを取り込んでもよい。
[0079]アポリポタンパク質A−IVまたはその生物学的活性類似体を、錠剤、カプセル、顆粒、丸剤、注射剤、溶液、エマルジョン、懸濁物、およびシロップからなる群より選択される投薬型に配合してもよい。薬学的組成物のための型および投与経路は限定されず、そして適切に選択可能である。例えば、錠剤、カプセル、顆粒、丸剤、シロップ、溶液、エマルジョン、および懸濁物を経口投与してもよい。さらに、注射剤(例えば皮下、静脈内、筋内、および腹腔内)を単独で、またはグルコース、アミノ酸等を含有する慣用的補充剤と組み合わせて静脈内投与してもよいし、あるいは筋内、皮内、皮下および/または腹腔内に単独で投与してもよい。
[0080]薬学的に許容されうるキャリアーを用いて、この種類の薬学的分野で知られる方法にしたがって、高血糖を治療するための本発明の薬学的組成物を調製してもよい。例えば、錠剤、カプセル、顆粒、丸剤等の経口型を、賦形剤、例えばショ糖、ラクトース、グルコース、デンプン、マンニトール等;結合剤、例えばシロップ、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカント、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等;崩壊剤、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロースまたはそのカルシウム塩、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール等;潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカ等;ならびに湿潤剤、例えばラウリン酸ナトリウム、グリセロール等を用いて、既知の方法にしたがって調製する。
[0081]注射剤、溶液、エマルジョン、懸濁剤、シロップ等を、活性成分を溶解するための溶媒、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油等;界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン、レシチン等;懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース等を含むセルロース誘導体、トラガカント、アラビアゴム等を含む天然ゴム;ならびに保存剤、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸塩等を適切に用いて、既知の方法にしたがって調製可能である。
[0082]高血糖障害を治療するための本発明の薬学的組成物中に含有されるべき活性成分の比率は、広い範囲から適切に選択可能である。
[0083]本発明の方法にやはり含まれるのは、高血糖障害を治療するための併用療法である。アポリポタンパク質A−IVと組み合わせて使用可能なさらなる療法剤の例には、限定されるわけではないが、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、DPP−4阻害剤、インクレチン擬似体およびインスリンが含まれる。さらなる療法剤を、治療が必要な被験体への、アポA−IVの投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて投与してもよい。
[0084]高血糖に関連する障害の治療のために被験体に投与されるアポA−IVの有効量は、例えば、重量に基づく用量(例えばmg/kg)であってもよいし、または別の例において、固定用量(重量非依存性)であってもよい。1つの態様において、約1〜10mg/kg、約0.25〜2mg/kg、約1mg/kg、または0.1mg/kg〜25mg/kgのアポA−IVを、治療が必要な被験体に投与する。別の態様において、治療が必要な被験体に投与するアポA−IVの有効量は、約1〜1000mgの固定用量である。さらなる態様において、有効量は、治療が必要な被験体に投与されるアポA−IVの固定用量であり、約1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、または1000mgである。
[0085]1つの特定の態様において、高血糖障害の治療が必要な被験体は哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ、ブタ、およびウサギ類(lagomorph)からなる群より選択されてもよい。1つの特定の態様において、哺乳動物はヒトである。別の態様において、アポA−IVまたはその生物学的活性類似体を、高血糖障害の治療のために、肥満である被験体に投与してもよい。あるいは、アポA−IVを、高血糖障害の治療のために、肥満でない被験体に投与してもよい。
[0086]図1に関して、さらに別の態様において、デバイス1を開示する。1つの態様において、デバイス1は、上記に先に論じた薬学的組成物の容器10を含む。さらなる態様において、容器10はバイアル12を含む。バイアル12は、薬学的組成物の機能を阻害しない、任意の素材で形成されていてもよい。例えば、バイアル12は、ガラスおよび/またはプラスチックを含んでもよい。さらに、バイアル12は、貫通可能な隔壁14を含んでもよく、これを通じて薬学的組成物を取り出すことも可能である。使用の際、バイアルの隔壁14をシリンジ20の針22によって貫通し、バイアル12からシリンジ20によって薬学的組成物を取り出し、そして該組成物を必要とする被験体に、注射を通じて薬学的組成物を投与する。
[0087]以下の限定されない実施例は、本開示の方法を例示する。
実施例1:アポA−IVノックアウトマウスの耐糖能障害
[0088]実験プロトコル。雄アポA−IVノックアウト(以後、「KO」)マウスを得た。野生型(以後、「WT」)マウスを対照として利用した。アポA−IV KOおよびWTマウスを、シンシナティ大学(オハイオ州シンシナティ)に維持されるコロニーから得た。アポA−IV KOおよびWTマウスには固形飼料を与えた。耐糖能試験を行う前に、アポA−IV KOマウスおよびWTマウスを5時間絶食させた。耐糖能試験において、アポA−IV KOマウスおよびWTマウスに、グルコース約2mg/g体重の用量で、腹腔内注射し、そしてグルコース注射の約0、15、30、60、および120分後に、血漿グルコースを測定した。耐糖能試験を2回行い、3ヶ月齢で1回、そして再び、16ヶ月齢で行った。
[0089]実験結果。図2に示すように、アポA−IV KOマウスは、WTマウスに比較して非耐糖性であった。具体的には、図2は、グルコースの腹腔内注射後、2時間、WTマウスにおける血漿グルコースレベルが、アポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルよりも低かったことを示す。理論によって束縛されるのではないが、これらの研究は、アポA−IVが正常グルコース恒常性に必要である(少なくとも雄において)ことを暗示する。さらに、図3に示すように、アポA−IV KOマウスは、16ヶ月齢で試験した際に、耐糖能障害の増加を示した。具体的には、図3は、16ヶ月齢で試験したアポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルが、3ヶ月齢で試験したアポA−IV KOにおける血漿グルコースレベルより高かったことを示す。理論によって束縛されるのではないが、これらの研究は、アポA−IV KOマウスの耐糖能は、年齢とともに悪化することを暗示した。
[0090]雌野生型およびアポA−IVノックアウトマウスでの実験
雌アポA−IV野生型およびノックアウトマウスを、本実施例1に先に記載するような、雄アポA−IV KOおよびWTマウスに関して用いたものと同じ腹腔内耐糖能試験に供した。結果を図11に示す。雌アポA−IV−/−マウスは、腹腔内グルコースに曝露されると、雌WT動物に比較して、増加した血漿グルコースレベルを有するが、統計的に有意な相違はない。一方、雄はWTおよびKO動物間に有意な相違を有する。
実施例2:アポA−IVノックアウトマウスにおける耐糖能の回復
[0091]実験プロトコル。アポA−IV KOマウスが非耐糖性であることを立証する際、一連の広範な研究を行い、アポA−IV KOマウスへのアポA−IVの投与が、耐糖能を正常レベルに回復させるかどうかを決定した。具体的には、一連の研究を行って、投与しようとするアポA−IVの量だけでなく、耐糖能試験を行う前にアポA−IVを投与するのに最適な時間も決定した。
[0092]アポA−IV雄KOマウスに、重量約0.25、0.5、1、および2μg/gの用量のアポA−IVを腹腔内注射した。アポA−IV KOマウスにはまた、対照として働く生理食塩水溶液を腹腔内注射した。マウス・アポA−IVまたは生理食塩水溶液の注射後、先に論じるように、3ヶ月齢で耐糖能試験を行った。具体的には、アポA−IVまたは生理食塩水溶液の注射の約2時間後に耐糖能試験を行った。実験結果は、アポA−IV KOマウスにおいて耐糖能を回復するのに最適な時間は、耐糖能試験を実施する約2時間前にアポA−IVを投与することであることを示した。
[0093]実験結果。図4に示すように、アポA−IV KOマウスへのアポA−IVの投与は、耐糖能を正常レベルに回復させた。具体的には、図4は、アポA−IVを注射したアポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルが、生理食塩水溶液を注射したアポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルよりも低かったことを示す。さらに、図4に示すように、アポA−IVを注射したアポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルは、最高投薬量のアポA−IVを注射したアポA−IV KOマウスにおいて最低であり;同様に、アポA−IVを注射したアポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルは、最低投薬量のアポA−IVを注射したアポA−IV KOマウスにおいて最高であった。したがって、耐糖能の改善の度合いは、投与するアポA−IV用量に依存し、より高い用量は、耐糖能改善を生じることが発見された。
実施例3:アポA−IVノックアウトマウスにおいて耐糖能を回復させる際のアポA−IVの特異性
[0094]実験プロトコル。アポA−IVの特異性を評価するため、本発明者らは、アポリポタンパク質AI(以後、「アポA−I」)をアポA−IV KOマウスに投与した。アポA−Iは、やはりアポA−IVも産生する小腸上皮細胞によって作製されるタンパク質である。アポA−Iは、アポA−IVの機能の多くを共有する。アポA−IV KOマウスに、重量1μg/gの用量のアポA−Iを腹腔内注射した。アポA−IV KOマウスにはまた、対照として働く生理食塩水溶液も腹腔内注射した。先に論じるように、3ヶ月齢で、アポA−Iまたは生理食塩水溶液を注射した後、耐糖能試験を行った。具体的には、アポA−Iまたは生理食塩水溶液を注射した約2時間後に、耐糖能試験を行った。
[0095]実験結果。図5に示すように、アポA−IV KOマウスへのアポA−Iの投与は、耐糖能を回復するかまたは改善するのに失敗した。
実施例4:アポA−IVノックアウトマウスにおける耐糖能の回復の機構
[0096]実験プロトコル。アポA−IVがアポA−IV KOマウスにおいて耐糖能を改善する機構を評価するため、本発明者らは、アポA−IV KOマウスにおけるグルコース誘導性インスリン分泌を測定した。より具体的には、本発明者らは、先に論じるように、3ヶ月齢で、耐糖能試験中、グルコース誘導性インスリン分泌を測定した。本研究において、アポA−IV KOマウスに、耐糖能試験を行う2時間前に、重量約1μg/gの用量のマウス・アポA−IVを腹腔内注射した。アポA−IV KOマウスに、耐糖能試験を行う約2時間前に生理食塩水を注射して、対照として利用した。
[0097]実験結果。図6に示すように、I期インスリン分泌は、生理食塩水を注射したアポA−IV KOマウスには存在しなかった。しかし、図6に示すように、I期インスリン分泌は、耐糖能試験を実行する2時間前にアポA−IVを腹腔内注射した際、アポA−IV KOマウスにおいて回復した。
実施例5:高脂肪食餌を与えられたアポA−IVノックアウトおよび野生型マウスにおけるアポA−IVの有効性
[0098]実験プロトコル。アポA−IV KOおよびWTマウスに、長期間、Dyets(ペンシルバニア州ベツレヘム)より購入した高脂肪半精製の栄養的に完全な実験食餌(AIN−93M)を10週間与えた。高脂肪食餌は、100gの食餌あたり、約20gの脂肪(すなわち約19gのバター脂肪および必須脂肪酸を提供するための1gのダイズ油)を含有する。アポA−IV KOおよびWTマウスを、温度(約22±1℃)および光(約12時間明期/12時間暗期)を調節した動物施設において、トウモロコシの穂軸(corncob)の寝藁を入れた個々のタブ・ケージ中で飼育した。先に論じるように、3ヶ月齢で耐糖能試験を行った。耐糖能試験を行う前に、アポA−IV KOマウスおよびWTマウスを5時間絶食させた。耐糖能試験において、アポA−IV KOマウスおよびWTマウスに、約2mg/g体重の用量のグルコースを腹腔内注射した。
[0099]実験結果。図7に示すように、アポA−IV KOマウスは、WTマウスに比較して、より大きい耐糖能障害を示した。具体的には、図7は、グルコースの腹腔内注射後、2時間、WTマウスにおける血漿グルコースレベルが、アポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルより低かったことを示す。
実施例6:高脂肪食餌を与えられたアポA−IVノックアウトおよび野生型マウスにおける耐糖能の回復
[00100]実験プロトコル。3ヶ月齢で、14週間、高脂肪食餌(重量20%の脂肪、19%のバター脂肪および1%のベニバナ(safflower)油)を与えたアポA−IV KOおよびWTマウスへのアポA−IVの投与に関する、一連の研究を行った。具体的には、アポA−IV KOおよびWTマウスに、約1μg/g体重の用量のマウス・アポA−IVを腹腔内注射した。アポA−IV KOおよびWTマウスにまた、対照として働く生理食塩水溶液を腹腔内注射した。アポA−IVまたは生理食塩水を注射した後、耐糖能試験を行った。具体的には、アポA−IVまたは生理食塩水溶液注射の2時間後に、耐糖能試験を行った。
[00101]実験結果。図8に示すように、アポA−IV KOマウスにおけるアポA−IVの投与は、耐糖能を有意に改善した。具体的には、図8は、アポA−IVを注射したアポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルが、生理食塩水溶液を注射したアポA−IV KOマウスにおける血漿グルコースレベルよりも低かったことを示す。[先の文は、次の文が同じことを記載しているため、冗長である。本明細書にデータは含まれないが、高脂肪食餌を長期間与えられたWTマウスにおけるアポA−IVの投与がまた、耐糖能を有意に改善することもまた発見された。
実施例7:2型糖尿病を有するマウスにおける耐糖能の回復
[00102]実験プロトコル。アポA−IVが2型糖尿病を有する動物における耐糖能を促進する際に有効であることを確証するため、ヘテロ接合体KK Cg−A/J(以後、「Cg−A/J」)マウスをJackson Laboratories(メイン州バーハーバー)から得た。Cg−A/Jマウスは、8週齢までに、高血糖、高インスリン血症、肥満、および耐糖能障害を発展させる。これらのマウスにおける糖尿病の主因は、アグチ関連タンパク質であり、そしてメラノコルチン−IV受容体のアンタゴニストをコードする、A突然変異を伴う多遺伝子相互作用によって生じるインスリン耐性である。Cg−A/Jマウスには固形飼料を与えた。さらに、固形飼料を与えて10〜14週間に、血糖の顕著な増加があった。
[00103]14週齢で、Cg−A/Jマウスに、腹腔内注射を通じて、マウス・アポA−IV(約1μg/g体重)または生理食塩水溶液(対照として働く)のいずれかを投与した。次いで、血漿グルコースを約0、0.5、1、2、3、4、5、7、11、および24時間で測定した。
[00104]実験結果。図9に示すように、アポA−IVは、生理食塩水対照に比較して、Cg−A/Jマウスの血糖レベルを低下させる際に顕著な効果を有する。生理食塩水溶液を注射されたCg−A/Jマウスが、研究の24時間の期間全体で、定常の血漿グルコースレベルを維持する一方、アポA−IVを注射されたCg−A/Jマウスは、10時間に渡る血漿グルコース減少を経験し、そしてこの期間の大部分の間、血漿グルコースレベルは、研究していたC57BL/6J動物に匹敵した。この研究から、本発明者らは、アポA−IVの投与は、Cg−A/Jマウスにおいて血漿グルコースを低下させるのに有効であると結論づける。
実施例8:アポA−IV KO、アポA−I KO、およびWTマウスにおける血清アミロイドP構成要素のレベル
[00105]実験プロトコル。アテローム生成食餌を与えたアポA−IV KO、アポA−I KO、およびWTマウスにおいて、血清アミロイドAタンパク質構成要素(以後、「SAP」)のレベルを決定することに関連する一連の研究を行った。アポA−IV KO、アポA−I KO、およびWTマウスを、シンシナティ大学から得た。SAPは、アミロイドP構成要素(以後、「AP」)の血清型であり、アミロイドと称されるin vivo病理学的沈着の五角形構成要素として最初に同定された、25kDa五量体タンパク質である。SAPは、ヒトにおいて、C反応性タンパク質のように振る舞う。具体的には、アテローム生成食餌を12週間与えた後、アポA−IV KO、アポA−I KO、およびWTマウスにおいて、アポA−IV KO、アポA−I KO、およびWTマウスにおける血漿SAPレベルを測定した。血漿SAPレベルをウェスタンブロット分析を通じて測定した。
[00106]実験結果。図10に示すように、アポA−IV KOマウス(マウス番号1、8、および10に対応する)におけるSAPのレベルは、アポA−I KOマウス(マウス番号28、29、および30に対応する)およびWTマウス(マウス番号19、20、および25に対応する)におけるSAPのレベルに比較して増加した。
[00107]本開示を記載し、そして定義する目的のため、用語「約」および「実質的に」は、本明細書において、定量的比較、値、測定、または他の提示いずれかに起因しうる内在性の不確実性の度合いを表すように利用されることが注目される。用語「約」および「実質的に」はまた、本明細書において、問題となっている主題の基本的機能において変化を生じることなく、定量的提示が、言及する参照から多様でありうる度合いを提示するためにも利用される。
[00108]上記説明および図面は、本開示の特徴および利点を達成する例示的な態様の例示としてのみ考慮されるべきである。本開示の意図および範囲から逸脱することなく、記載する特徴および工程に、修飾および置換を行うことも可能である。したがって、本開示は、前述の説明および図によって限定されると見なされてはならず、付随する請求項の範囲によってのみ限定される。
実施例9:ヒト・アポA−IVは、腹腔内耐糖能試験を受けている野生型マウスにおいて、血糖レベルを低下させる
[00109]実験プロトコル。野生型マウスにヒト・アポA−IVを投与すると、耐糖能試験を受けているマウスにおける血糖レベルが影響を受けるかどうかを決定する研究を行った。
[00110]3ヶ月齢の野生型マウスに、重量1μg/gの用量のヒト・アポA−IVを腹腔内注射した。対照として、別の群の野生型マウスに、生理食塩水溶液を腹腔内注射した。ヒト・アポA−IVまたは生理食塩水溶液を注射した後、耐糖能試験を行った。具体的には、耐糖能試験を、アポA−IVまたは生理食塩水溶液を注射した約2時間後、そして絶食5時間後に行った。尾の血液を収集し、そして糖測定装置(glucometer)によって測定した。
[00111]実験結果。図12に示すように、ヒト・アポA−IVは、耐糖能試験を受けている野生型マウスにおいて、血糖を低下させるのに有効であった。
実施例10:腹腔内耐糖能試験を受けている野生型雌マウスにおけるマウス・アポA−IVの影響
[00112]実験プロトコル。雌野生型マウスへのマウス・アポA−IVの投与が、耐糖能試験を受けているマウスにおいて、血糖レベルに影響を及ぼすかどうかを決定する研究を行った。
[00113]3ヶ月齢の雌野生型マウスに、重量約1μg/gの用量のマウス・アポA−IVを腹腔内注射した。対照として、別の群の雌野生型マウスに、生理食塩水溶液を腹腔内注射した。ヒト・アポA−IVまたは生理食塩水溶液を注射した後、耐糖能試験を行った。具体的には、アポA−IVまたは生理食塩水を注射した約2時間後、そして絶食5時間後、耐糖能試験を行った。尾の血液を収集し、そして糖測定装置によって測定した。
[00114]実験結果。図13に示すように、マウス・アポA−IVは、耐糖能試験を受けている野生型雌マウスにおいて、血糖を低下させるのに有効であった。
実施例11 ヒト・アポA−IVは、ヒト膵島において、インスリン放出を刺激する
[00115]高純度ヒト膵島は、バージニア大学、Axon Cellsによって提供された。10%FBSおよび11mMグルコースを含有するRPMI 1640中で、95%空気および5%COの加湿大気中、37℃で48時間、膵島を培養した。次いで、50 IEQ膵島の4つの群を、3.0mMグルコースを含有する通常のKRB(129mM NaCl、4.8mM KCl、2.5mM CaCl、1.2mM MgSO、1.2mM KHPO、5mM NaHCO、10mM HEPESおよび0.2% BSA)中で、37℃で1時間、プレインキュベーションした。最初の2群の膵島を、次いで、3.0mMグルコースを含有する通常のKRB中で、10μg/mlヒトA−IVの存在下または非存在下で、1時間インキュベーションし、そしてさらに、20mMグルコースと、10μg/mlヒトA−IVの存在下または非存在下で、さらに1時間インキュベーションした。最後の2群の膵島を、3.0mMグルコースを含有する250μmol/lジアゾキシドを加えた、30mM KCl KRB(103.8mM NaCl、30mM KCl、2.5mM CaCl、1.2mM MgSO、1.2mM KHPO、5mM NaHCO、10mM HEPESおよび0.2% BSA)中で、10μg/mlヒトA−IVの存在下または非存在下で、1時間インキュベーションし、そしてさらに、20mMグルコースと、10μg/mlヒトA−IVの存在下または非存在下で、さらに1時間インキュベーションした。各1時間のインキュベーションの終わりに、培地を収集した。インスリンレベルをELISAキット(Millopore)によって測定した。
[00116]図14からわかるように、ヒト膵島を30mM KClに加えて250μMジアゾキシドによって最大限に脱分極させると、10μg/ml hA−IVは、インスリン分泌に対して有意な刺激性の影響を示した。
実施例12 非グリコシル化アポA−IVの調製
[00117]ヒトおよびマウス・アポA−IV cDNAはpSP65維持ベクター中に含有され、そして成熟アポA−IVタンパク質のコーディング配列のすぐ5’を操作してAflIII制限酵素部位を作製した。遺伝子を維持ベクターから切り出し、そしてpET30発現ベクター内に連結した。構築物を大腸菌(E.Coli)BL−21(DE3)細胞にトランスフェクションし、そしてカナマイシン(30μg/ml)を補ったルリア−ベルタニ培養中で、37℃で増殖させた。細胞におけるアポA−IVタンパク質合成の誘導の後、細胞を採取し、そして超音波処理した。His結合アフィニティカラムクロマトグラフィーおよび透析によって、溶解物由来のアポA−IVタンパク質を精製した。生じたアポA−IVタンパク質を、生理食塩水中、1.0mg/mlの最終濃度まで希釈した。
援用
本明細書に引用するすべての参考文献および特許の内容は、その全体が本明細書に援用される。
同等物
当業者は、ルーチンの実験方法を超えるものを用いずに、本明細書に記載する本発明の特定の態様に対する多くの同等物を認識するかまたは確認することが可能であろう。こうした同等物は、以下の請求項に含まれると意図される。

Claims (32)

  1. 高血糖障害の治療が必要な被験体において、高血糖障害を治療するための方法であって、高血糖障害が治療されるように、被験体に、有効量のアポリポタンパク質A−IVタンパク質またはアポリポタンパク質A−IVタンパク質に少なくとも90%の同一性を有するその生物学的活性類似体を投与する工程を含む、前記方法。
  2. 高血糖障害が、インスリン耐性障害または高血糖に関連する内分泌障害である、請求項1の方法。
  3. インスリン耐性障害が、前糖尿病、メタボリックシンドローム、多嚢胞性卵巣疾患、A型症候群、および妊娠糖尿病からなる群より選択される、請求項2の方法。
  4. 高血糖に関連する内分泌障害が、クッシング病、グルカゴン分泌性腫瘍、および先端巨大症からなる群より選択される、請求項2の方法。
  5. 高血糖障害を有する被験体において、血糖レベルを低下させる方法であって、血糖レベルが低下するように、被験体に、有効量のアポリポタンパク質A−IVタンパク質またはアポリポタンパク質A−IVタンパク質に少なくとも90%の同一性を有するその生物学的活性類似体を投与する工程を含む、前記方法。
  6. 高血糖障害が、インスリン耐性障害または高血糖に関連する内分泌障害である、請求項5の方法。
  7. インスリン耐性障害が、前糖尿病、メタボリックシンドローム、多嚢胞性卵巣疾患、A型症候群、および妊娠糖尿病からなる群より選択される、請求項6の方法。
  8. 高血糖に関連する内分泌障害が、クッシング病、グルカゴン分泌性腫瘍、および先端巨大症からなる群より選択される、請求項6の方法。
  9. 前糖尿病が、耐糖能不全または絶食時グルコース不全のいずれかによって特徴付けられる、請求項3または7の方法。
  10. 多嚢胞性卵巣疾患に関連する高血糖またはインスリン耐性を治療する必要がある被験体において、多嚢胞性卵巣疾患に関連する高血糖またはインスリン耐性を治療する方法であって、多嚢胞性卵巣疾患に関連する高血糖またはインスリン耐性が治療されるように、被験体に、有効量のアポリポタンパク質A−IVタンパク質またはアポリポタンパク質A−IVタンパク質に少なくとも90%の同一性を有するその生物学的活性類似体を投与する工程を含む、前記方法。
  11. その生物学的活性類似体が、アポリポタンパク質A−IVタンパク質に少なくとも95%の同一性を有する、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  12. その生物学的活性類似体が、アポリポタンパク質A−IVタンパク質に少なくとも99%の同一性を有する、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  13. 被験体がヒトである、請求項1〜12のいずれか一項の方法。
  14. アポリポタンパク質A−IVのアミノ酸配列が
    式中、Xは、G、A、Vであるかまたは存在せず;
    はEまたはKであり;
    はTまたはSであり;そして
    はQまたはHである
    であるかまたはその生物学的活性断片である、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  15. アポリポタンパク質A−IVタンパク質が全長ヒト・アポリポタンパク質A−IVタンパク質である、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  16. アポリポタンパク質A−IVタンパク質のアミノ酸が、
    である、請求項15の方法。
  17. アポリポタンパク質A−IVタンパク質のアミノ酸配列が:
    である、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  18. アポリポタンパク質A−IVタンパク質が、配列番号1、3、4、または6〜50のいずれか1つに示すようなアミノ酸配列、あるいはその生物学的活性断片を含む、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  19. アポリポタンパク質A−IVタンパク質が、配列番号1、3、4、または6〜50のいずれか1つに示す配列、あるいはその生物学的活性断片の任意の1つに、少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  20. アポリポタンパク質A−IVタンパク質が、配列番号1、3、4、または6〜50のいずれか1つに示す配列、あるいはその生物学的活性断片の任意の1つに、96%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  21. アポリポタンパク質A−IVタンパク質が、配列番号1、3、4、または6〜50のいずれか1つに示す配列、あるいはその生物学的活性断片の任意の1つに、97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  22. アポリポタンパク質A−IVタンパク質が、配列番号1、3、4、または6〜50のいずれか1つに示す配列、あるいはその生物学的活性断片の任意の1つに、98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  23. アポリポタンパク質A−IVタンパク質が、配列番号1、3、4、または6〜50のいずれか1つに示す配列、あるいはその生物学的活性断片の任意の1つに、99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜10のいずれか一項の方法。
  24. アポリポタンパク質A−IV、またはその生物学的活性類似体が、グリコシル化されていない、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。
  25. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体を全身投与する、請求項1〜24のいずれか一項記載の方法。
  26. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体の全身投与が、経口、皮下、静脈内、筋内、および腹腔内投与からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
  27. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体を、約1〜約10μg/gの用量で投与する、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  28. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体を、約0.25〜約2μg/gの用量で投与する、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  29. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体を、約1μg/gの用量で投与する、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  30. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体を、約1〜1000mgの固定用量として投与する、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  31. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体を、1日1回投与する、請求項1〜30のいずれか一項記載の方法。
  32. アポリポタンパク質A−IVタンパク質、またはその生物学的活性類似体を、1日約2回投与する、請求項1〜30のいずれか一項記載の方法。
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