JP2015517485A - 抗がん化合物としてのヘキサデプシペプチド類縁体 - Google Patents

抗がん化合物としてのヘキサデプシペプチド類縁体 Download PDF

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Abstract

本発明は、単離された式(1)の化合物、その誘導体、又はその薬学的に許容される塩に関する。本発明は、式(1)の化合物又はその誘導体のすべての異性体及び互変異性体も含む。本発明は、更に、放線菌株(PM0895172/MTCC 5684)を発酵させることによって、式(1)の化合物を製造する方法と、式(1)の化合物を活性成分として含む医薬組成物と、前記化合物又は前記化合物を含有する組成物の、がんの治療への使用とに関する。

Description

本発明は、式(1)(後述)の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその誘導体に関する。本発明は、更に、放線菌株(PM0895172/MTCC 5684)に属する単離された微生物から、式(1)の化合物を製造する方法に関する。本発明は、式(1)の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその誘導体を活性成分として含む医薬組成物、及びこれの、がんの治療への使用にも関する。
がんは、体のいずれかの部分に影響を及ぼし得る、細胞の無制御な増殖及び転移に起因する多くの疾患群の総称である。現在、がんには、局部的な疾患に対する化学療法、手術、及び放射線治療、又は前記治療の組み合わせを含め、多くの治療選択肢がある。療法の選択は、がんの位置に加え、診断時点におけるがんの転移の程度に左右される。化学療法は、がんに対する最も一般的な治療形態の1つであり、この療法は、がん細胞を破壊できる抗がん薬の使用を伴う。がんに対する治療レジメンの継続的な進歩にもかかわらず、この疾患は依然として、世界における主な死因の1つである。その理由は、利用可能な治療の選択肢が、望ましくない副作用を伴い、効能が限定的である可能性が高いことである。したがって、がんを治療するための臨床効果を示す新たな抗がん剤/抗がん薬が必要とされている。
天然源由来のタキソール、ビンクリスチン、トレヤン酸、及びカンプトテシンなどの抗がん化合物に関する報告が存在する(Natural Product Communications,2009,4(11),1513)。
地球の表面の70%、かつ地球の熱帯生物圏の95%を覆う海洋環境は、動物界の36門中、34門に相当し、陸環境の生物多様性を上回る魅力的な変化に富む生物多様性をもたらす(Life Sciences,2005,78,442−453)。海洋天然物のバイオプロスペクティング(市販の遺伝及び生化学資源の生物多様性及び原住民の知識の探索、抽出、及びスクリーニング)によって、相当数の薬剤候補を得てきている(Drug Discovery Today,2003,8(12),536−544)。
海洋生物及び微生物由来の天然物のスクリーニングに伴い、多くの医薬剤の発見に関する報告がなされてきた。海洋源に由来する抗がん剤の例としては、シタラビン、ブリオスタチン−1、アプリジン、ドラスタチン10、及びET−743が挙げられる(Current Opinion in Pharmacology,2001,1,364−369)。
当該技術分野では、多くのヘキサデプシペプチドが報告されている。例えば、特開平09−040559号公報は、アレルギー性炎症及び非アレルギー性炎症の両方に対して有効である抗炎症活性を有するヘキサデプシペプチド類の化合物を開示している。
天然源から多くの治療有効化合物が得られていることを考慮すると、この研究分野を探究して、がんのような疾患の治療に効果的に用いることのできる新たな化合物を得るのが賢明であろう。本特許出願の発明者らは、がんの治療に用いることのできる新規化合物を提供すべく努力した。また、発酵によってこの化合物を製造する方法、及び、更に、式(1)の化合物の化学的修飾を行って、その誘導体を得ることも提供する。
本発明は、(本明細書に記載されているような)本明細書において式(1)の化合物と呼ぶ化合物に関する。
本発明は、式(1)の化合物の異性体、互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその誘導体に関する。
本発明によれば、式(1)の化合物は、式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物である。
本発明によれば、式(1)の化合物の誘導体は、式(1c)の化合物に包含される。
本発明は、精製された式(1)の化合物であって、海洋放線菌株(PM0895172/MTCC 5684)、又はその多様体若しくは変異体の1つを発酵させることによって得た培養ブロスから単離された化合物にも関する。したがって、本発明の化合物は、単離された式(1)の化合物である。
本発明は、式(1)の化合物、及び/又はその異性体若しくは互変異性体を海洋放線菌株(PM0895172/MTCC 5684)から製造する方法にも関する。
本発明は、更に、培養したときに式(1)の化合物、又はその異性体若しくは互変異性体を産生する放線菌株(PM0895172/MTCC 5684)に属する微生物を単離する方法に関する。
式(1)の化合物、その異性体若しくは互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその誘導体は、がんの治療に有用である。
本発明は、治療対象動物のがんを治療する方法であって、その治療対象動物に、式(1)の化合物、その異性体若しくは互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその誘導体を治療有効量投与することを含む方法に関する。
本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、担体、又はビヒクルと併せて、活性成分として、式(1)の化合物、その異性体若しくは互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその誘導体を含む医薬組成物にも関する。
図1は、式(1a)の化合物の1H NMR(CDCl3、500MHz、装置:ブルカー(Bruker))スペクトルを示す。 図2は、式(1a)の化合物の13C NMR(CDCl3、75MHz、装置:ブルカー)スペクトルを示す。 図3は、式(1b)の化合物の1H NMR(CDCl3、500MHz、装置:ブルカー)スペクトルを示す。 図4は、式(1b)の化合物の13C NMR(CDCl3、75MHz、装置:ブルカー)スペクトルを示す。 図5は、式(1a)の化合物が、HeLaがん細胞のアポトーシスに及ぼす作用を示す。
本発明は、以下のように表される式(1)の化合物を提供する。
Figure 2015517485
式(1)の化合物において、
Figure 2015517485
の結合が単結合を表し、R1がHであるときには、その化合物を式(1a)の化合物といい、
Figure 2015517485
の結合が二重結合であり、R1が存在しないときには、その化合物を式(1b)の化合物という。従って、式(1)の化合物は、式(1a)の化合物(式中、
Figure 2015517485
の結合は単結合を表し、R1はHである)、式(1b)の化合物(式中、
Figure 2015517485
の結合は二重結合であり、R1は存在しない)、又はこれらの混合物である。
式(1)の化合物は、ヘキサデプシペプチド類の化合物に属する。
式(1a)の化合物及び式(1b)の化合物は、物理化学的特性及びスペクトル特性(本明細書の後段で述べるような高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高分解能質量分析スペクトル(HRMS)、赤外(IR)分光データ、及び核磁気共鳴(NMR)分光データなど)のいずれか1つ以上によって特徴付けることができる。
本発明の一態様によれば、式(1)の化合物は、分子式がC3762813、分子量が826.9である式(1a)の化合物である。
式(1a)の化合物は、以下のように表される。
Figure 2015517485
式(1a)の化合物の化学名は、N−(6,18−ジヒドロキシ−22−イソプロピル−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソテトラコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−23−イル)−2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパンアミドである。
本発明の一態様によれば、式(1)の化合物は、分子式がC3760813、分子量が824.4である式(1b)の化合物である。
式(1b)の化合物は、以下のように表される。
Figure 2015517485
式(1b)の化合物の化学名は、N−(6,18−ジヒドロキシ−22−イソプロピル−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソ−3,4,4a,5,6,7,8,9,10,11,13,14,15,16,16a,17,18,19,20,22,23,24−ドコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−23−イル)−2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパンアミドである。
式(1)の化合物の製造に用いることができる微生物は、インド、マハーラーシュトラ州ムンバイの沖合領域から採取した深海底堆積物から単離された放線菌株(PM0895172/MTCC 5684)であり、以下では、培養物番号PM0895172と称する。
本発明の一態様は、式(1)の化合物を培養物番号PM0895172から製造する方法であって、
a)湛水好気条件下、1種以上の炭素源、1種以上の窒素源、栄養無機塩、及び/又は微量元素を含有する栄養培地中で、培養物番号PM0895172、又はその多様体若しくは変異体の1つを培養して、式(1)の化合物を含有する培養ブロスを得る工程と、
b)式(1)の化合物を培養ブロスから単離する工程と、
c)式(1)の化合物を精製する工程とを含む方法を提供する。
上記の方法に従って製造される式(1)の化合物は、式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物であり得る。
一実施形態では、上記工程(a)における上記培養ブロスは、式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物を含有する。
一実施形態では、上記方法の工程(b)において、式(1)の化合物が式(1a)の化合物である。
一実施形態では、上記方法の工程(b)において、式(1)の化合物が式(1b)の化合物である。
一実施形態では、上記方法の工程(c)において、式(1)の化合物が式(1a)の化合物である。
一実施形態では、上記方法の工程(c)において、式(1)の化合物が式(1b)の化合物である。
一実施形態では、本発明は、式(1a)の化合物を培養物番号PM0895172から製造する方法であって、
a)湛水好気条件下、1種以上の炭素源、1種以上の窒素源、栄養無機塩、及び/又は微量元素を含有する栄養培地中で、培養物番号PM0895172、又はその多様体若しくは変異体の1つを培養して、式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物を含有する培養ブロスを得る工程と、
b)式(1a)の化合物を培養ブロスから単離する工程と、
c)式(1a)の化合物を精製する工程とを含む方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、式(1b)の化合物を培養物番号PM0895172から製造する方法であって、
a)湛水好気条件下、1種以上の炭素源、1種以上の窒素源、栄養無機塩、及び/又は微量元素を含有する栄養培地中で、培養物番号PM0895172、又はその多様体若しくは変異体の1つを培養して、式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物を含有する培養ブロスを得る工程と、
b)式(1b)の化合物を培養ブロスから単離する工程と、
c)式(1b)の化合物を精製する工程とを含む方法を提供する。
上記方法のいずれか1つにおける工程(c)は、式(1)の化合物の精製を含み、この工程(c)は、関連技術分野において一般に用いられている精製手順を用いて行われる。
本発明の方法に従って製造される式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物及び式(1b)の化合物は、実質的に純粋な化合物である。したがって、式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物は、単離された純粋化合物である。
典型的には、式(1a)の化合物及び式(1b)の化合物は、カラムクロマトグラフィー法によって精製される。
本明細書で使用する場合、「変異体」という用語は、本発明に係る化合物を産生する能力を担うゲノム中の遺伝子が1つ以上改変されている生物又は細胞を指す。このような変異体は、物理的手段(例えば紫外線若しくはX線の照射)、又は化学的変異剤を用いる、それ自体は公知の方法で製造できる。
本明細書で使用する場合、「多様体」という用語は、その生物種における任意の標準型に対して認識可能な相違を有する個別の生物を指す。
「全ブロス」という用語を、「栄養ブロス」、「培養ブロス」、又は「発酵ブロス」という用語と同義に用いることがある。
「哺乳動物」という用語は、本明細書で使用する場合、ヒト、及び非ヒト哺乳動物(ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、及びネコが挙げられるが、これらに限らない)を指す。「哺乳動物」という用語を、「患動物(patient)」又は「治療対象動物(subject)」という用語と同義に用いることがある。
「活性成分」又は「活性化合物」という用語を同義に用いることがあり、本明細書で使用する場合、前記用語は、式(1)の化合物、式(1a)の化合物、式(1b)の化合物、これらの異性体、これらの互変異性体、これらの薬学的に許容される塩、又はこれらの誘導体を指す。本発明の文脈において、「活性成分」又は「活性化合物」という用語は、本明細書に記載されているような式(1)の化合物の誘導体を包含する式(1c)の化合物も指す。
「式(1)の化合物」という用語は、式(1a)の化合物、式(1b)の化合物、又はこれらの混合物と、これらの異性体、互変異性体、又は薬学的に許容される塩とを含む。
「式(1c)の化合物」という用語は、式(1)の化合物の誘導体(式(1a)の化合物若しくは式(1b)の化合物の誘導体を含む)、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む。
「実質的に純粋な」という用語は、本明細書で使用する場合、式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物若しくは式(1b)の化合物、又はこれらの異性体が、更に精製しても、その化合物の物理的特性、化学的特性、酵素活性、及び生物学的活性が、検出可能なほどには変化しない程度に、十分に純粋であることを意味する。式(1)の化合物は、当業者に知られている下記の方法によって実質的に純粋に精製できる。
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物若しくは式(1b)の化合物、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくはこれらの誘導体(式(1c)の化合物(本明細書に記載されているようなもの))を用いて、がん(本明細書に列挙されているようながん)を治療することに関しては、本発明の化合物を投与される治療対象動物において、(i)腫瘍増殖のある程度の抑制(減速及び完全な増殖停止を含む)、(ii)腫瘍細胞数の減少、(iii)腫瘍の縮小、(iv)末梢器官への腫瘍細胞の浸潤の抑制(すなわち軽減、減速、若しくは完全な阻止)、(v)転移の抑制(すなわち軽減、減速、若しくは完全な阻止)、(vi)抗腫瘍免疫反応の増強(必ずしもそうとは限らないが、腫瘍の退縮をもたらし得る)、及び/又は(vii)治療しているがんに伴う1つ以上の症状のある程度の緩和という作用のうちの1つ以上をもたらすことのできる量を指す。
「薬学的に許容される塩(単一又は複数)」という用語は、本明細書で使用する場合、式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物、及びこれらの誘導体(式(1c)の化合物)を含む本発明の化合物(1種又は複数)の塩であって、哺乳動物において安全かつ有効であるとともに、所望の生物学的活性を有する塩を意味する。薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、又はp−トルエンスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限らない。好適な塩基付加塩としては、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、又は亜鉛塩が挙げられるが、これらに限らない。
式(1)の化合物の原料である培養物番号PM0895172の予備的同定は、そのコロニー性状を調べることによって行った。単離された培養物番号PM0895172の株を、改変放線菌単離用寒天培地上で、顕微鏡によって観察した。この観察は、20〜22日間、20℃〜30℃でインキュベートした後に、コロニーが観察されるまで行った。培養物番号PM0895172は、海洋放線菌株として同定されている。
培養物番号PM0895172は、微生物系統保存機関(Microbial Type Culture Collection)(MTCC)、(微生物工学研究所(Institute of Microbial Technology)、160 036、インド、チャンディーガル、セクター39−A、世界知的所有権機関(WIPO)公認の国際寄託当局(IDA))に寄託されており、MTCC 5684という受託番号が付与されている。
本明細書に記載されている特定の微生物に加えて、PM0895172の変異体(X線、紫外線などの化学的又は物理的な変異源を用いて製造されたもの、及び、分子生物学的技法によって遺伝子構造が改変された生物など)を培養して、式(1)の化合物を製造してもよいことを理解すべきである。
本発明に係る化合物を産生できる好適な変異体及び多様体のスクリーニングは、HPLC、NMR、IR、MS、及び/若しくは、例えば化合物の抗がん活性を試験することによって、培養ブロスに蓄積した活性化合物の生物学的活性を測定すること、又はこれらの組み合わせによって確認できる。
式(1)の化合物を産生する培養物番号PM0895172の単離及び培養のために用いる培地及び/又は栄養培地は、炭素源と、窒素源と、栄養無機塩とを含有するのが好ましい。この炭素源は、例えば、デンプン、グルコース、スクロース、デキストリン、フルクトース、糖蜜、グリセロール、ラクトース、又はガラクトースのうちの1つ以上である。好ましい炭素源はグルコースである。窒素源は、例えば、大豆ミール、ピーナッツミール、酵母エキス、牛肉エキス、ペプトン、麦芽エキス、コーンスティープリカー、ゼラチン、又はカザミノ酸のうちの1つ以上である。好ましい窒素源は、ペプトン及び酵母エキスである。栄養無機塩は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化コバルト、臭化カリウム、フッ化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、クエン酸第二鉄、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、又はホウ酸のうちの1つ以上である。塩化ナトリウム及び塩化カルシウムが好ましい。
培養物番号PM0895172の維持は、24℃〜32℃の範囲の温度で行うことができる。典型的には、培養物番号PM0895172は、27℃〜29℃で維持される。十分に増殖した培養物は、冷蔵庫で4℃〜8℃にて保存することができる。
培養物番号PM0895172の種母培養は、27℃〜33℃の範囲の温度、pH約5.5〜8.5で60〜80時間、210〜260rpm(1分当たりの回転数)で行うことができる。典型的には、培養物番号PM0895172の種母は、29℃〜31℃、pH約6.5〜7.5で70〜74時間、230〜250rpmで培養される。
式(1)の化合物の製造は、培養物番号PM0895172を振盪フラスコ中で、27℃〜33℃の範囲の温度、pH約5.5〜8.5で80〜110時間、200〜250rpmで発酵させることによって培養することによって行うことができる。典型的には、培養物番号PM0895172は、29℃〜31℃、pH6.5〜7.5で90〜100時間、210〜230rpmで培養される。
式(1)の化合物の製造は、培養物番号PM0895172を発酵槽中で、27℃〜33℃の範囲の温度、pH約5.5〜8.5で20〜40時間、40〜70rpm、通気量200〜300lpm(1分当たりのリットル数)で発酵させることによって培養することによって行うことができる。典型的には、培養物番号PM0895172は、28℃〜31℃、pH6.5〜7.5で20〜30時間、50〜60rpm、通気量240〜260lpmで培養される。
式(1)の化合物の製造は、培養物番号PM0895172を好適な栄養ブロス中で、本明細書に記載されている条件下、好ましくは湛水好気条件下にて、例えば振とうフラスコ中で培養することによって行うことができる。発酵の進行、及び式(1)の化合物の産生は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、かつ、種々のがん細胞株に対する試験によって培養ブロスの生物活性を測定することによって検出できる。
発酵は、各種の化学化合物又は医薬化合物を産生させるために、微生物を培養するプロセスである。微生物は通常、特定の条件下、栄養源の存在下でインキュベートされる。発酵プロセスの完了後、全ブロスが得られる。この全ブロスを遠心分離にかけると、細胞塊及び培養濾液が形成され、これを更に、本明細書に記載されているプロセスによって処理することができる。
培養ブロス中に存在する式(1)の化合物は、式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物の形であることができ、前記式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物は、種々の抽出方法及びクロマトグラフィー技法を用いて単離できる。
式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物は、石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジエチルエーテル、若しくはブタノールなどの水非混和性溶媒での抽出によって、又は「Diaion(登録商標) HP−20」(三菱化成工業株式会社、日本)、「Amberlite(登録商標) XAD」(ローム・エンド・ハース・インダストリーズ(Rohm and Haas Industries)、米国)などのようなポリマー樹脂を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー、若しくは活性炭への吸着によって、培養濾液から回収できる。これらの技法は、繰り返し用いても、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物は、メタノール、アセトン、アセトニトリル、n−プロパノール、若しくはイソプロパノールなどの水混和性溶媒、又は石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、若しくはブタノールなどの水非混和性溶媒で抽出することによって、細胞塊から回収できる。
あるいは、全ブロスは、石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、アセトン、アセトニトリル、n−プロパノール、イソプロパノール、又はブタノールから選択される溶媒で抽出される。
典型的には、式(1)の化合物は、全ブロス又は培養ブロスから、酢酸エチルを溶媒として用いて抽出される。抽出物の濃縮により、式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物を含有する活性粗物質が得られる。
本発明による式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物は、順相クロマトグラフィー(アルミナ若しくはシリカゲルを固定相として用い、石油エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、クロロホルム、メタノール、イソプロピルアルコール、若しくはこれらの組み合わせなどの溶離液を用いる)、逆相クロマトグラフィー(ジメチルオクタデシルシリルシリカゲル(RP−18)若しくはジメチルオクチルシリルシリカゲル(RP−8)などの逆相シリカゲルを固定相として用い、水、緩衝液(例えばリン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩(pH2〜8))、及び有機溶媒(例えばメタノール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、若しくはこれらの溶媒の組み合わせ)などの溶離液を用いる)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(メタノール、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、若しくはこれらの組み合わせなどの溶媒中で、Sephadex(登録商標) LH−20(Pharmacia Chemical Industries、スウェーデン)、TSKgel(登録商標) Toyopearl(登録商標) HW(TosoHaas、東ソー株式会社、日本)などの樹脂を用いる)、又は向流クロマトグラフィー(水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、石油エーテル、ベンゼン、及びトルエンなどの2種以上の溶媒から構成される二相溶離液系を用いる)という技法のいずれかを用いる分画によって、粗物質から回収できる。これらの技法は、繰り返し用いても、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。典型的な方法は、順相シリカゲル及びRP−18などの逆相シリカゲルによるクロマトグラフィーである。
本明細書で使用する場合、「異性体」という用語は、それらの原子の空間配置のみが異なる、式(1)の化合物のすべての異性体に用いる総称である。異性体という用語は、鏡像異性体(エナンチオマー)、鏡像異性体の混合物(ラセミ化合物、ラセミ混合物)、及び、互いに鏡像関係ではない2つ以上のキラル中心を有する、化合物の異性体(ジアステレオマー)を含む。本発明の化合物は、不斉中心を有するとともに、ラセミ化合物、ラセミ混合物、個々のジアステレオマー、若しくはエナンチオマーとして存在しても、幾何異性体として存在してもよく、前記化合物のすべての異性体が本発明に含まれる。
本明細書で使用する場合、「互変異性体」という用語は、1つ(又は2つ以上)の移動可能な原子の位置及び電子配置のみが互いに異なる2つ(又は3つ以上)の化合物の共存(例えばケト−エノール互変異性体)を指す。
式(1)の化合物、その異性体又は互変異性体は、それらの薬学的に許容される塩、又は誘導体に変換でき、これらはいずれも、本発明によって想定されるものである。
式(1)の化合物の薬学的に許容される塩は、当業者に知られている標準的な手順によって調製でき、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩のような塩は、式(1)の化合物、その異性体、その互変異性体、又はその誘導体を、適切なナトリウム塩基又はカリウム塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどで処理することによって調製できる。同様に、塩酸塩及び硫酸塩のような塩は、式(1)の化合物、その異性体、その互変異性体、又はその誘導体を、適切な酸、例えば塩酸、硫酸などで処理することによって調製できる。
式(1)の化合物、詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物の誘導体はすべて、本発明の範囲に包含される。本発明に係る式(1)の化合物の誘導体、詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物の誘導体のうち、特に関心のある誘導体は、式(1)の化合物のアミノ基及びヒドロキシ基の1つ以上、詳細にはN−ヒドロキシ基、さらに詳細には式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物のN−ヒドロキシ基が誘導体化されているものである。
したがって、本発明の一態様では、下記の式(1c)
Figure 2015517485
(式中、
1及びR4は独立して、Hを表すか、又は存在せず、
2及びR3は独立して、H、ヒドロキシ、−O(C1−C6)アルキル、及び−OC(O)(C1−C6)アルキルから選択され、
Figure 2015517485
は単結合又は二重結合を表し、
(C1−C6)アルキルは、非置換であるか、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、−O(C1−C6)アルキル、ニトロ、シアノ、−COOH、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N[(C1−C6)アルキル]2、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリール、−NH−PEG、若しくは(C6−C10)アリールから独立して選択される1つ以上の基で置換されており、
(C6−C10)アリールは、非置換であるか、又は、ハロゲン、ハロ(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−COOH、及び−NH2から独立して選択される1つ以上の基で置換されており、
PEGは、O,O’−ビス[2−(N−スクシンイミジル−サクシニルアミノ)エチル]ポリエチレングリコール(α,ω−ビス−NHS−PEG)、メチル−PEG−NHSエステル(MS(PEG)n、n=24)、並びにポリエチレングリコールの分岐状のトリメチル及びスクシンイミドエステル誘導体(TMS(PEG)n、n=12)から選択されるポリエチレングリコールであり、
ただし、R2及びR3の両方がヒドロキシである場合には、R1及びR4が存在せず、
Figure 2015517485
が二重結合を表す)
によって表される、式(1)の化合物の誘導体と、そのすべての異性体及び互変異性体、又は薬学的に許容される塩とを提供する。
「置換」、「置換された」、又は「〜で置換されている」は、特定の部位の1つ以上の水素が、適切な置換基に置き換えられていることを意味し、暗黙の前提として、その置換が、置換される原子の許容される原子価と置換基とに従ったものであり、かつ、安定な化合物を生じることは分かるであろう。
「(C1−C6)アルキル」又は「アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、単独であるか、又は別の基の一部であるかにかかわらず、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、及びヘキシルなどのように、1〜6個の炭素を含有する非置換又は置換の直鎖又は分岐鎖の炭化水素を指す。置換アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、−O(C1−C6)アルキル、ニトロ、シアノ、−COOH、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N[(C1−C6)アルキル]2、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリール、−NH−PEG、又は(C6−C10)アリール(これらに限らない)から選択される1つ以上の基で置換された(C1−C6)アルキルを指す。
本明細書で使用する場合、「(C6−C10)アリール」又は「アリール」という用語は、最大で10個の環炭素原子を有する単環又は二環の炭化水素環系であって、少なくとも1つの炭素環がπ電子系を有する炭化水素環系を指す。(C6−C10)アリール環系の例としては、フェニル又はナフチルが挙げられるが、これらに限らない。特に示されていない限り、アリール基は、非置換であっても、ハロゲン、ハロ(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−COOH、及び−NH2(これらに限らない)から独立して選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「−O(C1−C6)アルキル」又は「アルコキシ」という用語は、酸素が結合している非置換又は置換の(C1−C6)アルキル基を指す。代表的なアルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ、n−ブトキシ、1−メチルプロポキシ、2−メチルプロポキシ、又は1,1−ジメチルエトキシが挙げられるが、これらに限らない。置換アルコキシ基は、ハロゲン、ヒドロキシ、−O(C1−C6)アルキル、ニトロ、シアノ、−COOH、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N[(C1−C6)アルキル]2、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリール、−NH−PEG、又は(C6−C10)アリール(これらに限らない)から選択される1つ以上の基でアルキルが置換されている−O(C1−C6)アルキル基を指す。
本明細書で使用する場合、「ハロ(C1−C6)アルキル」又は「ハロアルキル」という用語は、そのアルキル基の水素原子の1つ以上が、1つ以上のハロゲンで置換されている基を指す。モノハロアルキル基は、例えば1つの塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はフッ素原子を有し得る。ジハロアルキル基及びポリハロアルキル基は、同じ又は異なるハロゲン原子を2つ以上有し得る。「ハロ(C1−C6)アルキル」又は「ハロアルキル」の例としては、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ジクロロエチル、ジクロロプロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、又はジフルオロプロピルが挙げられるが、これらに限らない。
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
本明細書で使用する場合、「PEG」という用語は、ポリエチレングリコールポリマーを指す。PEGは、無毒性、非免疫原性、非抗原性であり、水に対して高溶解性である。PEGは、その分子内におけるエチレンオキシド(すなわち−OCH2CH2−)の繰り返しサブユニットの数に基づき、様々に分子量を変化させた形で市販されている。例えば、PEGは、シグマ−アルドリッチ・カンパニー、エルエルシー(Sigma-Aldrich Co.LLC)又は日油株式会社などのような供給業者から入手可能である。PEGのいくつかの例は、(a)分子量が2000Da〜10,000Daの範囲であり、下記の式によって構造が示されるO,O’−ビス[2−(N−スクシンイミジル−サクシニルアミノ)エチル]ポリエチレングリコール(α,ω−ビス−NHS−PEG)、
Figure 2015517485
(b)分子量が1214.39Daであり、下記の式によって構造が示されるメチル−PEG−NHSエステル(MS(PEG)n、n=24)、
Figure 2015517485
及び
(c)ポリエチレングリコールの分岐状のトリメチル及びスクシンイミドエステル誘導体(TMS(PEG)n、n=12、分子量2420.80Daであるが、これらに限らない。本明細書に記載されているような化合物のPEGコンジュゲートの調製に用いるには、典型的には、分子量が1000〜20,000Daの範囲であるPEGが好ましい。
本発明の文脈において、「式(1c)の化合物」、「式(1)の化合物の誘導体」、又は「式(1c)の誘導体」は同義的に用いられており、これらの各用語は、式(1c)によって表される、式(1)の化合物の誘導体、及びその異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を指す。
一実施形態によれば、本発明は、式(1c)の化合物であって、
式中、
1及びR4が、Hであり、
2が、−O(C1−C6)アルキル又は−OC(O)(C1−C6)アルキルであり、
3が、ヒドロキシ又は−O(C1−C6)アルキルであり、
(C1−C6)アルキルが、非置換であるか、又は、−NH2、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリール、若しくは−NH−PEGで置換されている化合物と、
そのすべての異性体及び互変異性体、又はその薬学的に許容される塩とを提供する。
別の実施形態によれば、本発明は、式(1c)の化合物であって、
式中、
1及びR4が独立して、Hを表すか、又は存在せず、
2及びR3が独立して、H及びヒドロキシから選択され、
Figure 2015517485
が単結合又は二重結合を表し、
ただし、R2及びR3の両方がヒドロキシである場合には、R1とR4が存在せず、
Figure 2015517485
が二重結合を表す化合物と、
そのすべての異性体及び互変異性体、又はその薬学的に許容される塩とを提供する。
本発明に従って包含される式(1c)の代表的な化合物としては、
Figure 2015517485
Figure 2015517485
Figure 2015517485
Figure 2015517485
Figure 2015517485
Figure 2015517485
Figure 2015517485
Figure 2015517485
、並びにこれらのすべての異性体及び互変異性体、又はこれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
式(1c)によって表される、式(1)の化合物の誘導体は、当該技術分野において知られている方法によって調製できる。式(1c)の化合物を調製する方法に用いる試薬は、市販されているものであっても、当該技術分野において知られている方法によって調製してもよい。
式(1c)の化合物であって、式中のR1及びR4がHであり、R2及びR3が独立してヒドロキシ及び−O(C1−C6)アルキルから選択され、R2及びR3の少なくとも一方が−O(C1−C6)アルキルである化合物は、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノールから選択されるアルコールをトルエン又はベンゼンと組みわせたものに入れた式(1)の化合物(式(1a)の化合物)を、ヘキサン又はトルエンなどの有機溶媒中で、トリメチルシリルジアゾメタンなどのアルキル化試薬と、−5℃〜5℃の範囲の温度で1時間〜5時間反応させることによって調製できる。化合物1及び2は、この方法によって調製される。
式(1c)の化合物であって、式中のR1及びR4がHであり、R2及びR3が独立してヒドロキシ及び−OC(O)(C1−C6)アルキルから選択され、R2及びR3の少なくとも一方が−OC(O)(C1−C6)アルキルであり、(C1−C6)アルキルが、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリールで置換されている化合物は、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロフォスフェート(PyPOP)、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロフォスフェート(BOP)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、又はプロパンホスホン酸無水物(T3P)などのようなカップリング剤と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン、又は4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などのような塩基との存在下で、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、又はジメチルホルムアミド(DMF)などのような溶媒中で、式(1)の化合物(式(1a)の化合物)を、N−ベンジルオキシカルボニル−L−アラニン(Cbzアラニン)又はN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アラニン(Fmocアラニン)などのような試薬と、−5℃〜5℃の範囲の温度で1時間〜20時間反応させることによって調製できる。化合物3は、この方法によって調製される。このようにして得られた化合物は、希HClなどの酸を用いて作製される酸性条件で、メタノール、エタノール、酢酸エチル、又はTHFなどのような溶媒中で、Pd/C又はPt/Cなどのような触媒を用いる接触還元によって脱保護することができ、それにより、式(1c)の化合物であって、式中のR2及びR3が独立して、ヒドロキシ及び−OC(O)(C1−C6)アルキルから選択され、R2及びR3の少なくとも一方が−OC(O)(C1−C6)アルキルであり、(C1−C6)アルキルが−NH2で置換されている化合物を得ることができる。化合物4は、この方法によって調製される。
式(1c)の化合物であって、式中のR1及びR4がHであり、R2及びR3が独立してヒドロキシ及び−OC(O)(C1−C6)アルキルから選択され、R2及びR3の少なくとも一方が−OC(O)(C1−C6)アルキルであり、(C1−C6)アルキルが−NH2で置換されている化合物は、トリエチルアミン又はDIPEAなどのような塩基の存在下で、DCM、メタノール、又はDMFなどのような有機溶媒に前記化合物を溶解させ、O,O’−ビス[2−(N−スクシンイミジル−サクシニルアミノ)エチル]ポリエチレングリコール(α,ω−ビス−NHS−PEG)又はメチル−PEG−NHSエステルなどのようなポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを加え、25℃〜35℃の範囲の温度で10時間〜20時間攪拌することによってPEG化に用いることができ、それによって、式(1c)の化合物であって、式中のR2及びR3が独立してヒドロキシ及び−OC(O)(C1−C6)アルキルから選択され、R2及びR3の少なくとも一方が−OC(O)(C1−C6)アルキルであり、(C1−C6)アルキルが−NH−PEGで置換されている化合物を得ることができる。化合物8は、この方法によって調製される。
式(1)の化合物は、25℃〜35℃の範囲の温度で10〜20時間、ジクロロメタン又はジクロロエタンから選択される有機溶媒中のm−クロロ過安息香酸などのような試薬を用いることによって、酸化してR1及びR4の位置の水素を除去することができ、それによって、式(1c)の化合物であって、式中のR1及びR4が存在せず、R2及びR3がヒドロキシである化合物を得ることができる。化合物5は、この方法によって調製される。
式(1)の化合物のN−ヒドロキシ基は、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)ジクロライド及び活性化亜鉛などのような試薬をTHF、DCM、又はDMFなどのような溶媒に溶解させた溶液に、メタノール、エタノール、又はDMFから選択される有機溶媒中の式(1)の化合物を加え、−5℃〜−50℃の範囲の温度で0.1時間〜1時間攪拌することによって、NHに変換(脱酸素)することができ、それによって、式(1c)の化合物であって、式中のR1及びR4がHであるか、又は存在せず、R2及びR3がHである化合物を得ることができる。化合物6は、この方法によって調製される。
式(1)の化合物のN−ヒドロキシ基のアシル誘導体は、ピリジン、TEA、又はDMAPなどのような塩基の存在下で、ジクロロメタン、ピリジン、又はジクロロエタンなどのような溶媒中の式(1)の化合物を、塩化アセチル又は無水酢酸などのような試薬と−5℃〜30℃の範囲の温度で1時間〜5時間反応させることによって、調製することができ、それによって、式(1c)の化合物であって、式中のR2及びR3が独立してヒドロキシ及び−OC(O)(C1−C6)アルキルから選択され、R2及びR3の少なくとも一方が−OC(O)(C1−C6)アルキルである化合物を得ることができる。化合物7は、この方法によって調製される。
式(1)の化合物の誘導体である式(1c)の化合物は、必要に応じて、その薬学的に許容される塩に変換できる。
式(1)の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその式(1c)の誘導体は、抗がん活性を有する。これは、それぞれ式(1)、式(1a)、式(1b)、及び式(1c)の化合物の試験を含む、本発明の代表的な化合物の、広範ながん細胞に対する試験によって示されている。
式(1)の化合物、その異性体、その互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその式(1c)の誘導体は、その投与を必要とする治療対象動物に、医薬として、医薬組成物の形で投与できる。式(1)の化合物、その異性体、その互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその式(1c)の誘導体は、がんと診断されている患動物に投与できる。
したがって、本発明は、がん治療薬の製造のための、式(1)の化合物(特に、式(1a)の化合物若しくは式(1b)の化合物)、又はその異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、若しくは式(1c)の誘導体の使用にも関する。
本発明は、更に、治療有効量の式(1)の化合物、その異性体、その互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその式(1c)の誘導体と、薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含む医薬組成物に関する。この医薬組成物は、がんの治療に用いるために提供される。医薬製剤中における活性成分としての式(1)の化合物、その立体異性体、その互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその式(1c)の誘導体の治療有効量は、約0.01mg〜1000mgの範囲であっても、約0.1mg〜750mgの範囲であっても、約0.5mg〜500mgの範囲であっても、約1mg〜250mgの範囲であってもよい。
式(1)の化合物、その異性体、その互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその式(1c)の誘導体を含む本発明の化合物は、がんの治療に用いられる。本発明の化合物は、腫瘍細胞の増殖を減少させるか、抑制するか、又は弱めるのに用いられ、腫瘍を縮小させることができる。本発明の化合物によって治療できる代表的ながんとしては、白血病、肺がん、脳腫瘍、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、尿路がん、乳がん、頭頸部がん、子宮体がん、リンパ腫、メラノーマ、子宮頸がん、甲状腺がん、胃がん、胚細胞腫瘍、胆管癌、頭蓋外がん、肉腫、中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫、網膜芽腫、食道がん、多発性骨髄腫、膵臓がん、上衣腫、神経芽腫、皮膚がん、卵巣がん、再発卵巣がん、前立腺がん、睾丸がん、大腸がん、リンパ増殖症、難治性多発性骨髄腫、耐性多発性骨髄腫、又は骨髄増殖性疾患が挙げられるが、これらに限らない。
本発明の一実施形態によれば、がんは、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、成人急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、脳幹神経膠腫、神経膠肉腫、星状細胞腫(小脳星状細胞腫及び大脳星状細胞腫を含む)、視路神経膠腫、視床下部神経膠腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、松果体瘍、髄芽腫、中枢神経原発リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ホジキン病、肝細胞癌、腎細胞癌、ウィルムス腫瘍、膀胱がん、尿路がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟部組織肉腫、中皮腫、乳がん、子宮体がん、口腔がん、メラノーマ、子宮頸がん、甲状腺がん、胃がん、胚細胞腫瘍、胆管癌、頭蓋外がん、骨の悪性線維性組織球腫、網膜芽腫、食道がん、多発性骨髄腫、膵臓がん、上衣腫、神経芽腫、皮膚がん、卵巣がん、再発卵巣がん、前立腺がん、睾丸がん、大腸がん、リンパ増殖症、難治性多発性骨髄腫、耐性多発性骨髄腫、又は骨髄増殖性疾患などから選択される。
本発明の別の実施形態によれば、がんは、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、成人急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、脳幹神経膠腫、神経膠肉腫、星状細胞腫(小脳星状細胞腫及び大脳星状細胞腫を含む)、視路神経膠腫、松果体瘍、髄芽腫、中枢神経原発リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ホジキン病、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱がん、尿路がん、骨肉腫、乳がん、子宮体がん、口腔がん、メラノーマ、子宮頸がん、甲状腺がん、胃がん、骨の悪性線維性組織球腫、網膜芽腫、食道がん、多発性骨髄腫、膵臓がん、神経芽腫、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がん、睾丸がん、大腸がん、リンパ増殖症、又は骨髄増殖性疾患などから選択される。
本発明の更なる実施形態によれば、がんは、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、成人急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、脳幹神経膠腫、神経膠肉腫、星状細胞腫(小脳星状細胞腫及び大脳星状細胞腫を含む)、髄芽腫、腎細胞癌、膀胱がん、尿路がん、乳がん、口腔がん、メラノーマ、子宮頸がん、甲状腺がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、又は大腸がんなどから選択される。
一実施形態によれば、本発明は、治療有効量の式(1)の化合物、その式(1c)の誘導体、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を治療対象動物に投与することによって、その治療対象動物のがんを治療する方法を提供する。
別の実施形態によれば、本発明は、治療有効量の式(1a)の化合物若しくは式(1b)の化合物、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を治療対象動物に投与することによって、その治療対象動物のがんを治療する方法を提供する。
更に別の実施形態によれば、本発明は、治療有効量の式(1c)の誘導体、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を治療対象動物に投与することによって、その治療対象動物のがんを治療する方法を提供する。
式(1)の化合物、その薬学的に許容される塩、若しくはその式(1c)の誘導体、又はその異性体、その互変異性体、若しくはその薬学的に許容される塩は、経口投与、経鼻投与、局所投与、皮下投与、筋内投与、静脈内投与、又はその他の投与方法によって投与できる。
特定の症例に適する投与方法は、治療するがんの種類と、そのがんのステージとによって決まる。更に、投与方法は、当該技術分野において知られている方法を用いて、医師が最適化できる。
通例のように、特定の症例に適する投与量の範囲は、治療するがんの種類と、それぞれの病気又は疾患の状態とによって決まる。選択する投与量のレベルは、治療する病気(がん)と、個々の患動物の年齢、体重、身体的健康、反応、薬物動態、疾患の重症度などといった多くの因子に応じて選択された投与経路と、医療技術分野において知られている因子とを含む、関連する状況に鑑みて、熟練した医師が容易に決定することができる。本発明の医薬組成物中における活性成分の実際の投与量のレベルは、患動物に対して有毒になることなく、特定の患動物(治療を必要とする対象動物)にとって望ましい治療反応性、組成、及び投与方法を実現させるのに有効な活性成分量が得られるように変更できる。平均して、活性化合物(本発明の1つ以上の化合物)の、1患動物に対する1日当たりの投与量は、1kg当たり約0.05mg〜約500mg、1kg当たり約0.5mg〜約200mg、若しくは1kg当たり約1mg〜約100mgの範囲、又は、本明細書に示されているような、もっと広い投与量範囲内に入るいずれかの投与量範囲とすることができる。治療を必要とする治療対象動物の体重が重めである場合、活性化合物の投与量は、約1mg〜約1000mg、又は約5mg〜約500mgの範囲とすることができる。活性化合物、すなわち本発明の化合物の望ましい投与量は、広範囲にわたって選択できる。1日当たりの投与量は、がん治療の対象の動物に所望の治療効果をもたらすように選択される。必要に応じて、多め又は少なめの1日当たりの投与量を投与することもできる。
式(1)の化合物、その異性体、その互変異性体、その薬学的に許容される塩、又はその式(1c)の誘導体を、湿潤剤、界面活性剤などの溶解補助剤、ビヒクル、等張化剤、充填剤、着色剤、マスキングフレーバー、潤沢剤、崩壊剤、希釈剤、結合剤、可塑剤、乳化剤、軟膏基剤、軟化剤、増粘剤、ポリマー、脂質、油、共溶媒、錯化剤、又は緩衝物質などのようなその他の薬学的に許容される賦形剤とともに含有する医薬組成物は、錠剤、コーティング錠、カプセル、顆粒、粉末、クリーム、軟膏、ゲル、シロップ、乳剤、懸濁剤、又は非経口投与に適する溶液の形状である。
本発明の一実施形態では、式(1)の化合物、若しくは式(1c)の誘導体、又はその異性体、その互変異性体、若しくはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物は、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、アミノグルテチミド、5−アザシチジン、クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジンモノフォスフェート、フルダラビンフォスフェート、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、イダルビシン、インターフェロン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メドロキシプロゲステロンアセテート、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、テニポシド、テストステロンプロピオネート、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジン、ビノレルビン、アルスターパウロン、ブチロラクトンI、2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−6−(3−クロロアニリノ)−9−イソプロピルプリン、インジルビン−3’−モノオキシム、ケンパウロン、オロモウシン、イソ−オロモウシン、N9−イソプロピル−オロモウシン、プルバラノールA、ロスコビチン、(S)体のロスコビチン、及びWHI−P180[4−(3’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン]など、本明細書に記載されているようながんを治療するための1種以上の抗がん剤と併用できる。
本発明の各種実施形態の活性に実質的に影響を及ぼさない変更は、本明細書に開示されている本発明の範囲内に含まれることが分かる。したがって、下記の実施例は、本発明の範囲を限定するのではなく、本発明の例を示すことを意図している。
下記の用語/符号/略語/化学式を実施例で用いる。
Figure 2015517485
〔実施例1〕
培養物番号PM0895172の海洋源からの単離
a)単離用培地の組成:
1%ペプトン、2%グルコース、0.2%炭酸カルシウム、0.001%塩化コバルト6H2O、1.5%寒天、(25℃における)pH7.5
人工海水(ASW)の組成:2.46%塩化ナトリウム、0.067%塩化カリウム、0.136%塩化カルシウム、0.629%硫酸マグネシウム、0.466%塩化マグネシウム、0.018%炭酸水素ナトリウム、水
b)手順
深海底堆積物の試料をインド、マハーラーシュトラ州ムンバイの沖合領域から採取し、インド、ムンバイ、ゴーイーガアン(イースト)のピラマル・エンタープライジーズ・リミテッド(Piramal Enterprises Limited)(前・ピラマル・ヘルスケア・リミテッド(Piramal Healthcare Limited))のNCE研究部門(NCE Research Division)(ピラマル・ライフ・サイエンシーズ部門(Piramal LifeSciences division))への移動中、−20℃で保存した。
採取した堆積物試料から、未培養の海洋放線菌を単離するために、分子的アプローチを行った。このアプローチでは、ポリケチド合成酵素(PKS)及び非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)の存在を確認するために、ゲノムDNAを堆積物試料から単離して増幅した。続いて、NRPS経路を有する堆積物試料から、目的の培養物を単離した。
試料を、−20℃〜−22℃で保存し、その後、上記微生物を単離するために、室温(25±2℃)まで解凍した。オートクレーブ滅菌された乳鉢及び乳棒で、堆積物試料(約2g)を25mlの滅菌人工海水(ASW)に懸濁させ、十分に粉砕した。この懸濁液1mlを試験管に移し、30秒ボルテックスした。この試験管を30秒ボルテックスした。10-5倍までの段階希釈液を滅菌ASWで調製した。10-3倍希釈液100μlを、単離用培地の入ったプレートに表面塗抹した。コロニーが観察されるまで、このプレートを室温(25±2℃)でインキュベートした。20〜22日間インキュベート後、この培地上に出現したコロニーを、上述のような単離用培地の入ったペトリプレート上に画線した。この単離株を精製し、PM0895172という培養物ID番号を付した。すなわち、培養物番号PM0895172は、増殖している微生物の中から、単一の単離株として単離されたものである。
〔実施例2〕
培養物番号PM0895172の精製
a)精製用培地の組成:
1%ペプトン、2%グルコース、0.2%炭酸カルシウム、0.001%塩化コバルト6H2O、1.5%寒天、(25℃における)pH7.5
b)手順:
培養物番号PM0895172を、精製用培地の入ったペトリプレート上に画線した。このペトリプレートを10日間、27℃でインキュベートした。ISP4寒天(ハイメディア(HiMedia)、インド)を含有する新鮮な斜面培地に、ペトリプレートから単離したコロニーの1つを移した。この斜面培地を10日間、27℃でインキュベートした。
〔実施例3〕
産生株−培養物番号PM0895172の維持
ISP4培地(ハイメディア、インド)を含有する斜面培地上で、この特定の株を維持した。この培地を加熱して完全に溶解させた後、得られた溶液を複数の試験管に分配し、121℃で30分間滅菌した。これらの試験管を冷却し、傾けた状態で固化させた。寒天斜面培地に、十分増殖した培養物番号PM0895172を白金耳で画線し、良好な増殖が観察されるまで27℃〜29℃でインキュベートした。十分に増殖した培養物を、冷蔵庫で4℃〜8℃にて保存した。
〔実施例4〕
振盪フラスコ中での培養物番号PM0895172の発酵
a)種母培地の組成:
0.2%炭酸カルシウム、0.5%塩化ナトリウム、0.5%コーンスティープリカー、0.75%ペプトン、1.5%グルコース、0.75%酵母エキス、脱塩水、pH7
b)手順:
上記の種母培地50mlを複数の容量500mlの三角フラスコに分配し、121℃で30分間オートクレーブ滅菌した。それらのフラスコを室温(25±2℃)まで冷却し、各フラスコに、斜面培地上の、十分に増殖した産生株(培養物番号PM895172)1白金耳分を植菌し、ロータリーシェーカーで72時間、230rpm〜250rpm、30℃(±1℃)で振盪して、種母培養液を得た。
c)産生用培地の組成:
1%ペプトン、2%グルコース、0.2%炭酸カルシウム、0.001%塩化コバルト6H2O、1.5%寒天、(25℃における)pH7.5
d)手順:
容量500mlの各三角フラスコ内の産生用培地100mlを121℃で30分間オートクレーブ滅菌し、29℃〜30℃まで冷却し、これに、実施例4bに記載の種母培養液を3%(v/v)播種した。
e)発酵パラメーター:
上記の各産生用フラスコをシェーカー上で、30℃、220rpmにて96時間インキュベートした。各産生用フラスコを集菌し(集菌pH:7.0〜8.0)、各培地フラスコから得た全培養ブロスを等体積の溶媒混合物[メタノール:酢酸エチル(1:9)]で抽出した。抽出のために、集菌したこれらのフラスコを室温で4〜6時間保持してから、上清を分離した。この上清を抗がん活性試験に用いた。
〔実施例5〕
バッチ発酵槽用の振盪フラスコ中での種母培養液の調製
a)種母培地274(1)の組成:
グルコース15g、コーンスティープリカー5g、ペプトン7.5g、酵母エキス7.5g、炭酸カルシウム2g、塩化ナトリウム5g、脱塩水1.0L、pH6.5〜7.5(滅菌前)
b)手順:
上記の培地200mlを複数の1000mlの三角フラスコに分配し、121℃で30分間オートクレーブ滅菌した。それらのフラスコを室温まで冷却し、各フラスコに、斜面培地上の、十分に増殖した産生株(培養物番号PM895172)1白金耳を植菌し、ロータリーシェーカーで70〜74時間、230〜250rpm、29℃〜30℃で振盪して、種母培養液を得た。
〔実施例6〕
発酵槽中での培養物番号PM0895172の培養
a)産生培地の組成:
大豆ペプトン10g、グルコース20g、炭酸カルシウム2g、塩化コバルト0.001g、脱塩水1.0L、pH7.0(滅菌前)
b)手順:
消泡剤としてのDesmophen(登録商標)200mlとともに、1000Lの発酵槽内に入れた産生用培地500Lをインサイチューで20分間、121℃で滅菌し、29℃〜30℃まで冷却し、実施例5bで得た種母培養液を8〜10L播種した。
c)発酵パラメーター:
温度29℃〜30℃、先端速度0.94m/s、通気量250lpm、集菌時間24時間とした。培養ブロスの集菌pHは6.5〜7.5であった。発酵ブロス中の活性な式(1a)の化合物又は式(1b)の化合物の産生をHPLCによって測定し、抗がん活性に関して、生物活性を試験した。
〔実施例7〕
式(1a)の化合物の単離及び特性評価
酢酸エチル(500L)を用いて、実施例6の工程c)で得た集菌済みの全ブロス(500L)を抽出した。ディスク型遠心分離機[アルファ・ラバル(Alfa Laval)(米国)、型番LAPX404]を用いて有機層を分離し、濃縮して、粗抽出物(150g)を得た。
この粗抽出物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶媒:イソプロピルアルコール/クロロホルム)によって処理した。活性化合物を1〜2%イソプロピルアルコール・クロロホルム溶液で溶離し、濃縮して、濃縮された化合物(30g)を得た。
この物質をカラムクロマトグラフィー(RP C−18シリカゲル、溶媒:水/アセトニトリル)によって精製した。この活性化合物を40%アセトニトリル水溶液で溶離し、蒸発乾固させて、所望の半純粋な式(1)の活性化合物[式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物]2gを得た。
以下のような逆相分取HPLCによって、更なる精製を行った。
カラム:ウォーターズ(Water's) X−Bridge RP−18(250mm×19mm、10μ)
溶離液:アセトニトリル:水(50:50)
流速:25ml/min
検出波長(UV):220nm
採取した活性ピーク物を蒸発乾固させて、活性化合物(式(1a)の化合物)1gを得た。
以下のようなシリカゲル分取HPLCによって、この活性化合物の最終精製を行った。
カラム:ウォーターズ sunfireシリカ(150mm×19mm、5μ)
溶離液:クロロホルム:メタノール(98.5:1.5)
流速:15ml/min
検出波長(UV):240nm
保持時間:8〜9分
繰り返し注入によって得られた、活性化合物を含有する溶出液を濃縮して、純粋な式(1a)の化合物145mgを得た。
式(1a)の化合物の物理的特性及びスペクトル特性を第1表に示す。
分析的HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:Kromasil(登録商標) RP−18(150mm×4.6mm、3.5μ)
溶離液:グラジエント(水に対して20分で10%アセトニトリルから100%アセトニトリルとなってから、更に5分間100%アセトニトリルとなる)
流速:1ml/min
検出波長(UV):220nm
保持時間:17〜18分(純度>99%)
Figure 2015517485
〔実施例8〕
式(1b)の化合物の単離及び特性評価
実施例7のRP−18分取HPLCの後に得られた、式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物を含有する半純粋な化合物をRP−18分取HPLCにかけて、純粋な式(1b)の化合物15mgを得た。
式(1b)の化合物の物理的特性及びスペクトル特性を第2表に示す。
分析的HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:Kromasil RP−18(150mm×4.6mm、3.5μ)
溶離液:グラジエント(水に対して20分で10%アセトニトリルから100%アセトニトリルとなってから、更に5分間100%アセトニトリルとなる)
流速:1ml/min
検出波長(UV):220nm
保持時間:15〜17mins(純度>99%)
Figure 2015517485
〔実施例9〕
2−ヒドロキシ−N−(18−ヒドロキシ−22−イソプロピル−6−メトキシ−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソテトラコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−23−イル)−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパンアミド(化合物1)、及び
2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−N−(22−イソプロピル−6,18−ジメトキシ−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソテトラコサヒドロジジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデカン−23−イル)プロパンアミド(化合物2)の調製
式(1a)の化合物[実施例7に記載されているもの、20mg、0.024mmol]をメタノール(1ml)及びトルエン(1ml)に溶解させた溶液に、TMSCHN2(トリメチルシリルジアゾメタン)(48μl、0.097mmol、2Mヘキサン溶液)を滴下し、得られた反応混合物を0℃で3時間攪拌してから、室温まで昇温した。反応の終了後、溶媒を除去して固体を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1%メタノール・ジクロロメタン溶液)によって精製して、5mgの化合物1及び3mgの化合物2を得た。
化合物1:1HNMR(CDCl3、300MHz):δ 7.98、7.10、6.92、6.54、6.20、5.52、5.50、5.30、5.16、5.14、5.07、4.96、4.54、4.51、4.13、4.05、3.80、3.18、3.12、2.79、2.14、2.04、1.98、1.95、1.77、1.71、1.68、1.60、1.52、1.45、1.15、1.10、1.05、0.98、0.95、0.90、0.88、0.85;ESI−MS:m/e 839(M−H)-
化合物2:1HNMR(CDCl3、300MHz):δ 7.85、7.15、7.10、6.20、5.82、5.42、5.38、5.30、5.15、4.98、4.80、4.60、4.15、3.95、3.85、3.70、3.25、3.15、2.85、2.23、2.15、1.98、1.95、1.77、1.71、1.68、1.65、1.60、1.52、1.44、1.15、1.10、1.05、0.98、0.95、0.90、0.88、0.85;ESI−MS:m/e 853(M−H)-
〔実施例10〕
18−ヒドロキシ−23−(2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパンアミド)−22−イソプロピル−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソイコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−6(7H,13H,22H)−イル3−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)プロパノエート(化合物3)の調製
方法I:
式(1a)の化合物[実施例7に記載されているもの、40mg、0.048mmol]をTHF(5ml)に溶解させた溶液に、Cbzアラニン(27mg、0.12mmol)及びPyBOP(75mg、0.14mmol)を0℃で加えてから、DIPEA(51μl、0.29mmol)を滴下した。得られた反応混合物を一晩、室温で攪拌した。続いて、この反応混合物を水(5ml)で希釈し、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3及び食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1%メタノール・ジクロロメタン溶液)によって精製して、純粋な化合物3を得た。
収量:12mg;1HNMR(CDCl3、300MHz):δ 7.90、7.39、7.2、6.45、6.34、6.15、5.65、5.50、5.38、5.30、5.15、5.10、4.90、4.60、4.50、4.10、3.85、3.7、3.65、3.55、3.4、3.2、3.15、2.7、2.6、2.5、2.3、2.19、1.98、1.95、1.77、1.71、1.68、1.65、1.60、1.52、1.44、1.15、1.10、1.05、0.98、0.95、0.90、0.88、0.85;ESI−MS:m/e 1030(M−H)-
方法II:
Cbzアラニン(67.5mg、0.302mmol)をアセトニトリル(20ml、0.121mmol)に溶解させて冷却した溶液に、T3P(0.216ml、0.363mmol、50重量%酢酸エチル溶液)を窒素雰囲気下で加え、10分間攪拌した。上記の溶液に対して、式(1a)の化合物[実施例7に記載されているもの、100mg、0.121mmol]をアセトニトリル(20ml、0.121mmol)に溶解させた溶液を加えてから、トリエチルアミン(0.051ml、0.363mmol)を滴下した。得られた反応混合物を4時間連続攪拌した。反応の終了後、水(10ml)を反応混合物に加え、反応混合物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3、食塩水、及び水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1〜2%メタノール・ジクロロメタン溶液)によって精製して、化合物3を得た。収量:38mg
〔実施例11〕
18−ヒドロキシ−23−(2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパンアミド)−22−イソプロピル−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソイコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−6(7H,13H,22H)−イル3−アミノプロパノエート(化合物4)の調製
実施例10で得たような化合物3(30mg、0.029mmol)をメタノール(3ml)に溶解させた溶液に、1当量のHClと、触媒量の10%Pd/Cとを加え、得られた反応混合物を2時間、室温で攪拌した。反応の終了後、この反応混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮して化合物4を得た。
収量:15mg;1HNMR(DMSO−d6、300MHz):δ 7.92、7.30、7.10、6.75、5.85、5.45、5.35、5.15、5.00、4.85、4.16、3.86、3.46、3.10、2.85、2.73、2.56、2.15、1.85、1.80、1.70、1.68、1.65、1.60、1.52、1.44、1.15、1.10、1.05、0.98、0.95、0.88、0.82、0.80;ESI−MS:m/e 896(M−H)-
〔実施例12〕
N−(6,18−ジヒドロキシ−22−イソプロピル−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソ−3,4,4a,5,6,7,8,9,10,11,15,16,16a,17,18,19,20,22,23,24−イコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−23−イル)−2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパンアミド(化合物5)の調製
実施例7で得たような式(1a)の化合物(30mg、0.036mmol)をジクロロメタン(6ml)に溶解させた溶液に、m−クロロ過安息香酸(18mg、0.104mmol)を0℃で加え、得られた反応混合物を一晩、室温で攪拌した。この反応混合物を水(20ml)で希釈し、ジクロロメタン(3×25ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水及び水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して粗化合物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5%メタノール・ジクロロメタン溶液)によって精製して、化合物5を得た。
収量:20mg;1HNMR(DMSO−d6、300MHz):δ 10.34、9.62、7.84、7.52、7.45、7.43、7.07、6.68、6.19、5.77、5.64、5.51、5.41、5.04、5.02、4.94、4.17、4.12、2.20、1.98、1.90、1.60、1.51、1.33、1.23、1.04、0.90、0.87、0.82;ESI−MS:846(M+Na)
〔実施例13〕
2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−N−(22−イソプロピル−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソテトラコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−23−イル)プロパンアミド(化合物6)の調製
攪拌子を備えた清浄な火炎乾燥した丸底フラスコを脱気し、Arでパージした。Cp2TiCl2(193mg、0.774mmol)及び活性化亜鉛(411mg、6.29mmol)の脱気THF溶液(3ml)を室温でAr下にて45分間攪拌した。反応混合物の色が、暗赤色からオリーブグリーン色に変化した。この反応混合物を−30 0℃まで冷却し、実施例7で得たような式(1a)の化合物(40mg、0.048mmol)のメタノール溶液(3ml)を3分かけて滴下した。バス温度を−30℃〜−10℃に維持しながら、この反応混合物を45分間攪拌した。反応混合物を室温まで昇温し、飽和5%K2CO3(5ml)と酢酸エチル(20ml)とに分液した。有機層をピペットで除去し、whatman製ガラスマイクロファイバーフィルター(タイプGF/F)で濾過して、不溶性チタニウム塩を除去した。水層を酢酸エチル(4×20ml)で抽出し、抽出後毎回、有機層をワットマン(whatman)製ガラスマイクロファイバーフィルター(タイプGF/F)で濾過した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して固体を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、70%酢酸エチル・ヘキサン溶液)によって精製して、化合物6を得た。
収量:8mg;1HNMR(DMSO−d6、300MHz):δ 8.32、7.78、6.87、6.65、6.25、5.75、5.59、5.32、5.28、5.21、5.15、4.95、4.77、4.73、4.45、4.23、4.12、3.94、3.34、2.73、2.27、2.18、2.08、1.99、1.88、1.63、1.35、1.30、1.23、1.04、0.90、0.87;ESI−MS:817(M+Na)
〔実施例14〕
18−ヒドロキシ−23−(2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−5−イソブチル−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパンアミド)−22−イソプロピル−7,19−ジメチル−5,8,11,17,20,24−ヘキサオキソイコサヒドロジピリダジノ[6,1−f:6’,1’−o][1,4,7,10,13,16]オキサペンタアザシクロノナデシン−6(7H,13H,22H)−イルアセテート(化合物7)の調製
実施例7で得たような式(1a)の化合物(0.050g、0.060mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解させた溶液に、ピリジン(0.0255ml、0.30mmol)を0℃で加え、15分間攪拌してから、塩化アセチル(0.043ml、0.60mmol)を加えた。得られた反応混合物を2時間、室温で攪拌した。この反応混合物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を希1%HCl(5ml)及び水(10ml)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(2%メタノール・ジクロロメタン溶液)によって精製して、化合物7を得た。
収量:15mg;1HNMR(CDCl3、300MHz):δ 7.92、7.28、6.85、6.45、6.15、5.45、5.36、5.20、5.15、4.90、4.85、4.65、4.21、3.80、3.15、2.35、2.25、2.12、1.98、1.95、1.77、1.71、1.68、1.60、1.52、1.40、1.15、1.05、0.98、0.95、0.90、0.88、0.86;ESI−MS:891(M+Na)
〔実施例15〕
PEG化コンジュゲート(化合物8)の調製
実施例11で得たような化合物4(200mg、0.223mmol)をDMF(10ml、0.223mmol)に溶解させた溶液に、N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(135ml、0.779mmol)を0℃で加え、O,O’−ビス[2−(N−スクシンイミジル−サクシニルアミノ)エチル]ポリエチレングリコール(722mg、1.448mmol)を一気に加え、得られた反応混合物を一晩、室温で攪拌した。DMFを高速真空下で室温にて除去して固体を得、これをsephadex(登録商標) G−15というサイズ排除クロマトグラフィーカラムで精製した。
DMF及び水における遊離した式(1a)の化合物の一連の濃度と、269nmにおけるそれらの吸光度との関係を用いて、検量線を作成した。式(1a)の化合物の含有率に基づき、下記の式を用いて、PEG化コンジュゲートの濃度を算出した。
PEGコンジュゲートの濃度=PEG化コンジュゲートの吸光度−(切片/傾き)
PEG化コンジュゲート形態(化合物8)における式(1a)の化合物の含有率は、10%であることが分かった。
〔実施例16〕
式(1a)の化合物の生物学的評価:
下記の用語/符号/略語/化学式を薬理学的アッセイで用いる。
Figure 2015517485
インビトロアッセイ
このアッセイは、参考文献のBMC Cancer,2010,10,610,1−11(この文献のインビトロアッセイの教示に関する開示内容は、参照により組み込まれる)におけるものと同様に設計した。
単層アッセイ
工程1
細胞株の維持
AMIMED(バイオコンセプト(BioConcept)−スイス)から得たイーグル基礎塩含有最小必須培地(MEM−EBS)中で、ヒト腫瘍細胞株Panc−1(膵臓がん)、HCT116(大腸がん)、ACHN(腎細胞癌)、Calu−1(肺癌)、MiaPaca2(膵臓がん)、FADU(頭頸部がん)、PC3(前立腺がん)、G361(メラノーマ)、MDA−MB435S(メラノーマ)、HeLa(子宮頸がん)を培養した。腫瘍細胞株MDA−MB231(乳がん)、JURKAT(T細胞白血病)、H460(小細胞肺がん)をRPMI1640(AMIMED、バイオコンセプト、スイス)培地中で培養した。いずれの腫瘍細胞株にも、10%ウシ胎児血清(FBS)(GIBCO(登録商標))、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(シグマ(Sigma))、及び1%Anti−Anti(GIBCO)を添加し、組織培養用フラスコT−175(ヌンク(Nunc))で培養した。標準的な添加剤をすべて含む乳房上皮細胞用基礎培地(MEBM)(ロンザ(Lonza)、カタログ番号CC−3150)中で、非造腫瘍細胞株のMCF−10Aを培養した。すべての細胞を37℃の5%CO2インキュベーターで培養した。細胞は、80〜90%コンフルエントになったら継代した。接着細胞は、トリプシン−EDTA(シグマ)を用いてトリプシン処理し、維持した。いずれの細胞株も、ATCC(米国メリーランド州ロックビル)から購入した。
工程2
試料調製
式(1a)の化合物[実施例7に記載されているもの]をDMSOに溶解させて、必要なストック溶液20mMを得た。最終的に(試験濃度と比べて)200倍高い濃度が得られるように、ストック溶液を段階希釈することによって、8種類の濃度の式(1a)の化合物を調製した。式(1a)の化合物は、0.0001μM、0.001μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、及び3μMの濃度でそれぞれ試験した。各濃度について3回評価を行った。
工程3
アッセイ
式(1a)の化合物のIC50を測定する方法:
a)組織培養グレードの96ウェルプレートに、種々のがん細胞/正常細胞を3000細胞/200μLウェルの密度で播種し、37±0.5℃で5±0.2%CO2加湿インキュベーター中で24時間回復させた。
b)がん細胞/正常細胞を播種した上記の組織培養プレートに、24時間後、200×(必要濃度よりも200倍高いことを200×と称する)の式(1a)の化合物1μLをDMSOに溶解させた溶液を加えた。ウェルにおけるDMSOの終濃度は0.5%であった。DMSOをビヒクルコントロールとして用いた。
c)24時間後、培養プレートをCO2インキュベーターから取り出し、各ウェルにCCK−8(ドウジンドウ・モレキュラー・テクノロジーズ,インク(Dojindo Molecular Technologies,Inc.)、米国、カタログ番号CK04−20)5μLを加えた。
d)続いて、培養プレートを37℃で2時間置いた。
e)吸光度を450nmで記録した。
f)下記の式を用いてパーセント細胞毒性を算出した。
Figure 2015517485
IC50値は、濃度−作用曲線の目視確認によって推定した。試験した14種の細胞株におけるIC50平均値の算出には、幾何平均を選択した。
結果を下記の第3表に示す。
Figure 2015517485
結論
インビトロでの検討により、種々のがん細胞においては、式(1a)の化合物が0.0013μM〜0.025μMの範囲のIC50を示し、正常細胞(MCF−10A)においては、式(1a)の化合物が0.019μMのIC50を示すことが明らかになった。このデータは、式(1a)の化合物が、高度に増殖するがん細胞株に対する活性を有することを示している。
〔実施例17〕
アッセイ
FITCアネキシンVアポトーシスの検出:
アポトーシスを検出するための古典的技法であるアネキシンVアッセイは、フローサイトメトリーによってアポトーシスを検出する方法として最も一般的なものである。アポトーシスの最も初期の特徴の1つは、ホスファチジルセリンが細胞膜の内葉から外葉にトランスロケーションすることによって、ホスファチジルセリンが外部環境に露出することである。
アネキシンV(カタログ番号556420、BDバイオサイエンス(BD Biosciences)、米国)は、細胞表面に露出したホスファチジルセリンに結合し、アポトーシスの初期段階の細胞を認識する。
a)組織培養グレードの96ウェルプレートに、HeLaがん細胞[実施例16の工程1で言及したもの]を0.5×106細胞/2000μLウェルの密度で播種し、37±0.5℃で5±0.2%CO2加湿インキュベーター中で12時間回復させた。
b)HeLaがん細胞を播種した上記の組織培養プレートに、12時間後、200×(必要濃度よりも200倍高いことを200×と称する)の式(1a)の化合物5μLをDMSOに溶解させた溶液[実施例16、工程2]を加えた。式(1a)の化合物の最終試験濃度は、0.0003μM、0.003μM、及び0.01μMであった。ウェルにおけるDMSOの終濃度は0.5%であった。
c)48時間後、培養プレートをCO2インキュベーターから取り出し、アポトーシス検出キット(カタログ番号:556547、BDバイオサイエンス、米国)をメーカーの取扱説明書に従って用いて、FITCアネキシンVで染色した。
d)アネキシンV検出のために、処理した細胞をBD製フローサイトメーターで分析した。FACS解析を用いて、M1及びM2に存在する個体数を測定した。
結果:ビヒクルコントロール細胞では、アネキシンV陽性細胞(M2)は2.01%であり、式(1a)の化合物に12時間曝露した細胞では、アネキシンV染色による陽性細胞(M2)は、0.0003μMの濃度で33.80%、0.003μMの濃度で40.27%、0.01μMの濃度で59.05%であった(図5に示す)。
結論:このデータは、式(1a)の化合物が、HeLaがん細胞中において、アポトーシスによって細胞死を誘発することを示している。
〔実施例18〕
アッセイ
ハイコンテントスクリーニングによるタンパク質発現の検討
サイクリンD、核因子−κB(p65)[NFκB(p65)]、リボソームタンパク質S6(pS6)、腫瘍タンパク質53(p53)、タンパク質c−junN末端キナーゼ(pJNK)、切断カスパーゼ9、切断カスパーゼ3、及び切断ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)のタンパク質発現を、HeLa細胞[実施例16の工程1で言及したもの]中でCellomics(登録商標)のハイコンテントイメージングによって、行った。これらの一次抗体は、米国のサンタクルーズバイオテクノロジー(Santacruz Biotechnology)から購入した。簡潔に言えば、底面が透明な組織培養グレードの96ウェルブラックプレート(ヌンク、米国)に、1×104個の細胞を播種し、24時間接着させてから、新鮮な培地に交換し、濃度0.01μM、0.003μM、及び0.0003μMの式(1)の化合物[実施例16の工程2で言及したもの]で細胞を処理し、それぞれ1時間、及び3時間インキュベートした。各時点で、細胞を3.7%ホルムアルデヒド(シグマ、ミズーリ州セントルイス)で10分間、RTにて固定した後、0.15%トリトンX−100(シグマ、ミズーリ州セントルイス)で10分間透過処理した。続いて、細胞を5%ウシ血清アルブミンで2時間ブロックした。ブロック工程後、特異的一次抗体を1時間かけて加え、Dylight548(赤色)(サーモフィッシャー(Thermofisher)、米国)で標識した二次抗体によって、種々のタンパク質の一次抗体の位置を特定した。2回目のインキュベーションの後、核をHoechst3342(青色)(シグマ、米国)で染色した。Cellomics(登録商標) Array ScanVTI HCS Reader(サーモフィッシャー・サイエンティフィック,インク(Thermo-Fisher Scientific Inc.)、マサチューセッツ州ウォルサム)でプレートを走査することによって、免疫蛍光を測定した。CellomicsのバイオアルゴリズムCompartmental Analysisを用いてすべてのデータ点を解析し、未処理細胞と比べた場合のパーセント活性化として、定量的データを表した。各レプリケートウェルにおいて1000個の細胞を計数し、結果を平均±S.E.として表した。
結果を第4表及び第5表にまとめて示す。
Figure 2015517485
Figure 2015517485
結論
式(1a)の化合物は、がん細胞におけるNFκB(p65)、pS6、及びサイクリンDのタンパク質発現を有意にダウンレギュレートする。また、式(1a)の化合物は、p53、pJNK、切断カスパーゼ9の発現をアップレギュレートした後に、切断カスパーゼ3及び切断PARPの顕著なアップレギュレーションを誘発し、このアップレギュレーションは、がん細胞をアポトーシスへと導く。
〔実施例19〕
式(1b)の化合物及び化合物1〜8の生物学的評価
このアッセイは、上記の実施例16に記載されているように設計した。インビトロアッセイ用の試料調製と、式(1b)の化合物(実施例8に記載されているもの)及び実施例9〜15で得たような化合物[化合物1〜8に対応するもの]のIC50値の測定とは、上記の実施例16に記載されているように行った。
IC50値は、濃度−作用曲線の目視確認によって推定した。試験した6種の細胞株(PC3、MDA MB、HCT116、MCF7、MIAPaCa2、MCF10A)におけるIC50平均値の算出には、幾何平均を選択した。
結果を下記の第6表に示す。
Figure 2015517485
結論
インビトロでの研究により、(i)種々のがん細胞では、式(1b)の化合物が0.018μM〜0.071μMの範囲のIC50を示し、正常細胞(MCF−10A)では、式(1b)の化合物が0.030μMのIC50を示すこと、ii)種々のがん細胞では、化合物1〜8が0.009μM〜1.045μMの範囲のIC50を示し、正常細胞(MCF−10A)では、化合物1〜8が<0.010μM〜0.830μMのIC50を示すことが明らかになった。
これらのデータは、式(1b)の化合物、及び化合物1〜8が、高度に増殖するがん細胞株に対する活性を有することを示している。

Claims (22)

  1. 式(1)
    Figure 2015517485
    (式中、式(1)の化合物において、
    Figure 2015517485
    の結合が単結合を表し、R1がHであるときには、前記化合物を式(1a)の化合物といい、
    Figure 2015517485
    の結合が二重結合であり、R1が存在しないときには、前記化合物を式(1b)の化合物という)
    の化合物、その異性体、その互変異性体、若しくはその混合物、誘導体、又はその薬学的に許容される塩。
  2. 前記化合物が、
    a)分子量826.9、
    b)分子式C3762813
    c)IR(KBr)スペクトル 3325、2960、2872、1755、1641、1524、1445、1331、1306、1288、及び1254cm-1
    d)1H NMRスペクトル(500MHz、CDCl3):δ 9.20、8.00、7.10、6.90、6.40、6.10、5.40、5.38、5.29、5.10、4.90、4.80、4.70、4.60、3.90、3.70、3.15、2.70、2.30、2.10、1.98、1.95、1.77、1.71、1.68、1.60、1.52、1.40、1.15、1.10、1.05、0.98、0.95、0.90、0.88、及び0.85(図1に示されている)、
    e)13C NMRスペクトル(75MHz、CDCl3):δ 176.0、172.0(3)、171.0、170.0、169.0、99.9、78.9、77.2、71.7、53.5、52.9、49.3、49.0、47.1、46.7、46.2、42.2、41.0、39.8、29.9、27.4、24.8、24.6、24.2、24.1、23.2、21.7、21.5(2)、20.6、19.9、19.4、18.1、12.9、及び11.7(図2に示されている)、
    によって特徴付けられる式(1a)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記化合物が、
    a)分子量824.4、
    b)分子式C3760813
    c)IR(KBr):3342、3030、2953、1752、1650、1524、1421、1293、1255、及び1239cm-1
    d)1H NMRスペクトル(500MHz、CDCl3):δ 9.20、8.00、7.19、7.0、6.18、6.14、5.80、5.41、5.39、5.30、5.10、4.80(2)、4.20、3.70、3.19、2.62、2.27、2.10、2.01、1.98、1.77、1.71、1.62、1.58、1.44、1.40、1.39、1.37、1.20、1.10、1.05、0.96、0.91、0.90、0.86、及び0.85(図3に示されている)、
    e)13C NMRスペクトル(75MHz、CDCl3):δ 176.0、171.8、171.7、170.8、170.6、170.3、168.9、144.6、98.8、79.0、77.2、71.7、53.6、53.5、50.6、49.1、47.1、46.4、42.6、41.0、39.8、29.9、27.4、24.7、24.6、24.2、24.0、22.1、21.5、21.4、19.8、19.5、19.4、18.1、17.2、12.9、及び11.8(図4に示されている)、
    によって特徴付けられる式(1b)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記化合物が、式(1c)
    Figure 2015517485
    (式中、
    1及びR4は独立して、Hを表すか、又は存在せず、
    2及びR3は独立して、H、ヒドロキシ、−O(C1−C6)アルキル、及び−OC(O)(C1−C6)アルキルから選択され、
    Figure 2015517485
    は単結合又は二重結合を表し、
    (C1−C6)アルキルは、非置換であるか、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、−O(C1−C6)アルキル、ニトロ、シアノ、−COOH、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N[(C1−C6)アルキル]2、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリール、−NH−PEG、若しくは(C6−C10)アリールから独立して選択される1つ以上の基で置換されており、
    (C6−C10)アリールは、非置換であるか、又は、ハロゲン、ハロ(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−COOH、及び−NH2から独立して選択される1つ以上の基で置換されており、
    PEGは、O,O’−ビス[2−(N−スクシンイミジル−サクシニルアミノ)エチル]ポリエチレングリコール(α,ω−ビス−NHS−PEG)、メチル−PEG−NHSエステル(MS(PEG)n、n=24)、並びにポリエチレングリコールの分岐状のトリメチル及びスクシンイミドエステル誘導体(TMS(PEG)n、n=12)から選択されるポリエチレングリコールであり、
    ただし、R2及びR3の両方がヒドロキシである場合には、R1及びR4が存在せず、
    Figure 2015517485
    が二重結合を表す)
    によって表される、式(1)の化合物の誘導体、その異性体、その互変異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
  5. 式(1c)の化合物であって、
    1及びR4が、Hであり、
    2が、−O(C1−C6)アルキル又は−OC(O)(C1−C6)アルキルであり、
    3が、ヒドロキシ又は−O(C1−C6)アルキルであり、
    (C1−C6)アルキルが、非置換であるか、又は、−NH2、−NHC(O)O(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリール、若しくは−NH−PEGで置換されている化合物、
    、その異性体、その互変異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項4に記載の化合物。
  6. 式(1c)の化合物であって、
    1及びR4が独立して、Hを表すか、又は存在せず、
    2及びR3が独立して、H及びヒドロキシから選択され、
    Figure 2015517485
    が単結合又は二重結合を表し、
    ただし、R2及びR3の両方がヒドロキシである場合には、R1及びR4が存在せず、
    Figure 2015517485
    が二重結合を表す化合物、
    、その異性体、その互変異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項4に記載の化合物。
  7. 前記化合物が
    Figure 2015517485
    Figure 2015517485
    Figure 2015517485
    Figure 2015517485
    Figure 2015517485
    Figure 2015517485
    Figure 2015517485
    Figure 2015517485
    、その異性体、その互変異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. 治療有効量の請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、及び/又は担体とを含む医薬組成物。
  9. がん治療に用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩。
  10. 前記がんが、白血病、肺がん、脳腫瘍、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、尿路がん、乳がん、頭頸部がん、子宮体がん、リンパ腫、メラノーマ、子宮頸がん、甲状腺がん、胃がん、胚細胞腫瘍、胆管癌、頭蓋外がん、肉腫、中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫、網膜芽腫、食道がん、多発性骨髄腫、頭頸部がん、膵臓がん、上衣腫、神経芽腫、皮膚がん、卵巣がん、再発卵巣がん、前立腺がん、睾丸がん、大腸がん、リンパ増殖症、難治性多発性骨髄腫、耐性多発性骨髄腫、又は骨髄増殖性疾患から選択される、請求項9に記載の用途の化合物。
  11. 前記がんが、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、成人急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、脳幹神経膠腫、神経膠肉腫、星状細胞腫(小脳星状細胞腫及び大脳星状細胞腫を含む)、視路神経膠腫、松果体瘍、髄芽腫、中枢神経原発リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ホジキン病、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱がん、尿路がん、骨肉腫、乳がん、子宮体がん、口腔がん、メラノーマ、子宮頸がん、甲状腺がん、胃がん、骨の悪性線維性組織球腫、網膜芽腫、食道がん、多発性骨髄腫、膵臓がん、神経芽腫、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がん、睾丸がん、大腸がん、リンパ増殖症、又は骨髄増殖性疾患から選択される、請求項9又は10に記載の用途の化合物。
  12. 前記がんが、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、成人急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、脳幹神経膠腫、神経膠肉腫、星状細胞腫(小脳星状細胞腫及び大脳星状細胞腫を含む)、髄芽腫、腎細胞癌、膀胱がん、尿路がん、乳がん、口腔がん、メラノーマ、子宮頸がん、甲状腺がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、又は大腸がんから選択される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の用途の化合物。
  13. がんの治療に用いられる、請求項8に記載の用途の医薬組成物。
  14. がん治療薬の製造のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩の使用。
  15. 治療対象動物のがんを治療する方法であって、前記治療対象動物に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、その異性体、その互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含む方法。
  16. 請求項1に記載の化合物を調製する方法であって、
    a)湛水好気条件下、炭素源、炭素源、栄養無機塩、及び/又は微量元素を含有する栄養培地中で、培養物番号PM0895172、又はその多様体若しくは変異体の1つを培養して、式(1)の化合物を含有する培養ブロスを得る工程と、
    b)式(1)の化合物を培養ブロスから単離する工程と、
    c)式(1)の化合物を精製する工程とを含む方法。
  17. 式(1)の化合物を、その薬学的に許容される塩に変換することを更に含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記工程(a)における前記培養ブロスが、式(1a)の化合物と式(1b)の化合物との混合物を含有する、請求項16に記載の方法。
  19. 前記工程(b)において、式(1)の化合物が式(1a)の化合物である、請求項16に記載の方法。
  20. 前記工程(b)において、式(1)の化合物が式(1b)の化合物である、請求項16に記載の方法。
  21. 前記工程(c)において、式(1)の化合物が式(1a)の化合物である、請求項16に記載の方法。
  22. 前記工程(c)において、式(1)の化合物が式(1b)の化合物である、請求項16に記載の方法。
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