JP2015513121A - 変形可能な非円形膜アセンブリの改良または同アセンブリに関する改良 - Google Patents

変形可能な非円形膜アセンブリの改良または同アセンブリに関する改良 Download PDF

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Abstract

変形可能膜アセンブリは、少なくとも部分的に可撓性のある流体充填エンベロープであって、エンベロープの一つの壁部が、弾性的に曲がることのできる支持リングにより縁部の周囲に保持される弾性膜によって形成される、エンベロープと、エンベロープのための固定された支持体と、エンベロープ内の流体の圧力を調節するために支持リングと支持体との間で相対移動を引き起こさせることによって、前記膜を変形させるための選択的に操作可能な手段とを備える。リングの曲げ剛性は、膜の変形時に、リングが可変的に曲がって膜の形状を所定の形態に制御するように、リング周囲で変化する。移動手段は、離間する制御点においてリングに力を印加するように配置される複数のリング係合部材を備える。少なくとも3つの制御点が存在し、リング上の各点にまたはその近傍にひとつの制御点が存在し、ここで、膜の変形時に所定の形態を生じることが必要なリングの外郭形状が、2つの隣接する点の間の制御点で印加される力の方向の転換点を呈し、ここで、リングの外郭形状は、反対方向への変曲点または転換点を呈する。

Description

本発明は、膜の形状が膜全体の流体圧を変更することによって制御可能に調整可能である変形可能な非円形膜アセンブリ(組立体)における、またはそれに関する改良を提供する。発明は、特に、膜が球状に、または、別のゼルニケ多項式にしたがって選択的に変形可能であるアセンブリに関する。実施の形態によっては、アセンブリは、膜が透明で、本来であればレンズの非円形特性によって生じる光学的歪みを最小にしながら、実質的にレンズ全体の曲率を調節できるレンズの一の光学面を形成する度数可変流体充填レンズであってもよい。他の実施の形態において、膜は、反射鏡状および/または不透明であってもよい。膜アセンブリの他の用途は、音響トランスデューサ等を含んでいる。
可変焦点流体充填レンズは、当該技術分野において公知である。かかるレンズは一般に、流体充填透明エンベロープ(包被体)を備え、レンズの対向する光学面は、エンベロープの離間して対向する2つの壁部によって形成され、少なくとも一方の壁部は可撓性透明膜を備えている。例えば、米国特許第1,269,422号は、それらの周縁部において合体し、互いに向かい、または互いから離れるように調節できる弧状構成の離間して対向する壁部と、壁部間の流体とを有するレンズを開示している。エンベロープ内の流体の圧力は、膜の湾曲度を変化させるよう調節可能であり、それによってレンズの度数を調節する。いくつかの実施例において、エンベロープの容積は、米国特許第1,269,422号または国際公開第99/061940A1号におけるように、調節されてもよい。代替として、エンベロープ内の流体の量は、米国特許第2,576,581号、米国特許第3,161,718号、および米国特許第3,614,215号におけるように、調節されてもよい。いずれの場合においても、エンベロープ内の流体圧によって、可撓性膜の変形が生じる。
調節可能なレンズの種々の用途(例えば、カメラおよび他の光学機器において)に可能性があるが、ひとつの使用例として、メガネ類がある。調節可能レンズは特に、老眼(眼が年齢と共に近い物体に対して焦点を合わせる能力を次第に低下することを示す状態)の矯正に役立つ。調節可能レンズは、着用者が遠距離から近距離に至る距離範囲に渡って正しい視力を得ることができるため、有利である。これは、近距離矯正がレンズの底部範囲に提供され、それによって使用者が下を見た時にだけ近くの物体に焦点を合わせて見ることができる二焦点レンズよりも人間工学的である。
上記文献によって開示される流体充填レンズの欠点は、膜を球状に維持するために、それらが剛体境界を有し、円形であるか、少なくとも実質的に円形である必要があり、そうでなければ、望ましくない光学的歪みが生じることである。しかし、円形は、メガネ類を含む特定の用途に対して好ましい形ではない。なぜなら、それらの用途に対して美的な面で魅力があるとは考えられていないからである。丸いレンズも、光学器械における等、特定の用途に対して適していなかったり、実用的ではなかったりするかもしれない。
したがって、レンズの度数が高くなる際にレンズが歪まない、調節可能な非円形レンズを提供することが望ましい。
米国特許第5,371,629号は、着用者の距離矯正を提供する剛性レンズと、可変の近見追加を提供するよう膨張性の引伸ばされたエラストマ膜に接する流体充填レンズとを含む非円形可変焦点距離レンズを開示している。固定の体積を有する流体は、弾性膜と剛性レンズとの間で視野内に格納されている。流体充填レンズの度数の変化は、引伸ばされたエラストマ膜の外周が取り付けられる膜支持体の変位によって達成される。米国特許第5,371,629号は、膜支持体を、それが移動するにつれて所定の制御された方法で曲げることによって、非円形である膜の周囲にかかわらず、膨張性膜の形状が実質的に球形であることを請求している。特に、膜支持体の厚さは、膜支持体の周囲で変化する。米国特許第5,371,629号は、その周囲の膜支持体の部分の慣性モーメントを適切に釣り合わせることによって、自由な膜形状が円形ではないという事実にもかかわらず、膜支持体の形状が、曲げられた場合に、実質的に球状膜を生じるようにできることを主張している。いずれか特定のレンズに対する所望の変形を生じるのに必要な膜支持体の構成は、有限要素解析法を用いて、または他の方法で計算できる。しかし、米国特許第5,371,629号の流体充填レンズは、種々の理由により実用的ではなく、これまで一度も市販されたことはない。特に、その教示にもかかわらず、米国特許第5,371,629号は、膜が膨張される場合に望ましくない歪みを回避する流体充填レンズを開示できておらず、米国特許第5,371,629号の流体充填レンズに生じる歪みの度合いは、レンズを使用できないものにしてしまう。
国際公開第95/27912A1号は、円形中央開口部を有する非円形膜支持リングの使用を包含する対策を提案しているが、これは、真正の非円形レンズを提供しておらず、美的観点からして最適に達しない、着用しにくい装置である。
同様に、他の非光学的用途に対して膜の形状を制御可能に調節できることが望まれる。例えば、制御可能に可変の球形の表面またはいくつか他のゼルニケ多項式は、スピーカ等の非円形トランスデューサの作成のために音響分野において有用であろう。多くの製品は、スペースの制約および製品、例えば、テレビ、携帯電話の代表的な形状寸法のせいで非円形ドライバの恩恵を受けるだろう。球状変形が、点光源から発せられるが、それにより放射圧力波における干渉パターンを回避するような放射波の動作を確実なものにするため、可変曲率の膜の球形度を維持することは、ドライバの作製において有益であろう。しかし、縁部において保持される非円形膜の修正されていない変形形状は、球形ではない。それ故、選択的に調節可能な非円形面を提供することは、音響的使用に対して非円形ドライバの性能を向上するために望まれるであろう。
したがって、本発明の一の態様において、以下の請求項1に請求されるような、変形可能な膜アセンブリが提供される。
本発明者は、可撓性エンベロープが固定(一定の)体積の流体を含み、エンベロープの容積を調節して内部の流体の圧力を変更することによって、膜が膨張して所定の形態を取る、例えば、流体充填レンズ等の変形可能膜アセンブリにおいて、エンベロープ容積を調節するために力が膜支持リングに印加される制御点を、注意深く位置決めしなければならないことを認識した。力が膜支持リングに印加される制御点を注意深く制御し、膜支持リングが制御点間で自在に曲がることを可能にすることによって、膜の形状のセミアクティブ(準活発な)制御が達成される。支持リングの曲げ剛性は、作動時に、リングが所望の外郭形状(プロファイル)と一致して所定の形態の膜形状を生じるように、リングの周囲で変化する。好適には、曲げ剛性は、リングの断面2次モーメントを変更することによってリング周囲で変更される。
エンベロープの容積を調節するために支持リングと支持体との間で相対移動を生じさせるための手段は、支持リングまたは支持体を移動させる手段を備えていてもよい。前記移動手段は、エンベロープを圧縮してその容積を減少させ、それによって、エンベロープ内の流体圧を高め、膜をエンベロープに対して凸状に外側へ膨張させるよう構成されてもよい。したがって、実施の形態によっては、移動手段は、エンベロープを支持に抗して第1の方向に圧縮してその内部の流体圧を高め、膜を外側へ第2の反対方向に膨張させるよう構成されてもよい。
したがって、本発明の別の態様において、以下の請求項6に請求されるような、変形可能な膜アセンブリが提供される。
代替として、エンベロープの容積を調節するために支持リングまたは支持体を移動するための手段は、エンベロープを膨張させてその容積を増加させ、それによって、エンベロープ内の流体圧を減少させ、膜を凹状に内側へ膨張させるよう構成されてもよい。
エンベロープ容積を調節するために支持リングまたは支持体を移動するための手段は、膜支持リングと支持体間で作用して、一方が他方と相対する支持リングおよび/または支持体を移動させて、エンベロープの容積を調節するよう配列されるひとつ以上の構成要素を備える選択的に操作可能な装置を適切に備えていてもよい。
適切には、可撓性エンベロープは、膜によって画成されるひとつの壁部と、エンベロープを閉じて、封止するような方法で、膜の縁部に接合される別の対向する後壁とを備えていてもよい。実施の形態によっては、対抗する壁部同士が直接互いに接合されてもよい。代替として、エンベロープは、2つの対向する壁部の中間に周囲側壁を備えていてもよい。側壁は、対抗する壁部同士が、エンベロープの容積を調節するように、互いに向かってまたは互いから離間して移動することを可能にするよう可撓性であってもよい。後壁は、剛体または実質的に剛体であってもよく、少なくとも周囲縁部の周りで安定して支持されてもよい。
支持リングまたは支持体を移動するための手段は、膜支持リングと後壁との間で作用するよう構成されてもよい。実施の形態によっては、後壁が調節手段が、反発する安定部分を与えるであろうという点で、後壁は、エンベロープ用の支持体の一部を形成してもよい。
本発明の実施の形態は特に、膜の縁部が、非作動時に平面であり、アセンブリが作動する場合に平面から逸脱する非円形膜に適用できる。しかし、本発明の実施の形態は、所定形態の形状のへこみによって、膜の縁部が、アセンブリが作動する場合に同様に平面から逸脱する円形膜にも等しく適用できる。特に、本発明の実施の形態は、所定形態が非球形である円形膜にも関係している。
作動時に所定の膜形態を生じるために、支持リングは、リングのひとつ以上の領域が、非作動状態のリングによって画成される平面基準から離間する一方向に変位し、および/または、ひとつ以上の領域が、別の反対方向に平面基準から変位しなければならない作動外郭形状を取らなくてはならない。所望の作動外郭形状を達成するために、力が、各制御点において、支持リングに印加される。本発明者は、支持リングの各セクタ内に少なくともひとつの制御点が存在していなければならないことを認識した。それによって、「セクタ」は、外郭形状内の2つの隣接する変曲点または極小点間に位置するリングの一部を意図しており、前記極小点は、膜が変形する場合に、制御点に印加される力の方向、例えば、エンベロープに対して内側の第1の方向におけるリングの変位の極小である。極小点は、隣接する制御点における印加力の方向の大域的最小点ではなく局所的最小点(したがって、印加力の方向と反対の方向、例えば、エンベロープに対して外側の第2の方向における大域的最大点ではなく局所的最大点)として定義されるため、これらの点において、リングは実際に、平面基準からいずれかの方向に変位してもよく、または、全く変位しなくてもよいと理解される。一般に、リングは、すべての点において、周囲形状、表面外郭形状、および要求される動作によって、平面基準からいずれかの方向に移動するか、または、そこに静止したままであってもよい。膜が変形する場合、反対方向を有する力が、隣接する制御点に印加されて、所望のリング外郭形状を達成する実施の形態によっては、制御点は、支持リングの外郭形状において2つの変曲点間に位置決めされてもよい。しかし、制御点に印加される力は、リングのセクタが、上で説明したように、隣接する極小間に画成されるように、通常、全て同じ方向である。
実施の形態によっては、リングは非円形であってもよく、所定の形態は中心を有していてもよい。かかる実施の形態において、最小変位の極小点は、膨張時の支持リングと膜の所定形態の中心との間の距離が極小であるという意味での極小点であってもよい。その中心の位置は、所定形態の形状に左右されると理解できる。実施の形態によっては、中心は、膜の形状寸法中心にあるか、その近傍にあってもよい。代替として、所定形態の中心は、膜の形状寸法中心とは異なる位置にあってもよい。典型的には、変形時、膜は頂点(即ち、大域的(全体で見た)最大変位の点)を有し、中心は頂点に位置してもよい。これは特に、膜がレンズの光学面を形成する光学的用途における事例である。一般に、画成された形態の中心は、支持リングから離間した膜の本体内のある地点に位置決めされる。
実際、膜の形状に従って、リングのいくつかの領域は、これらの領域においてリングの撓み性を減少させるよう支持されてもよい。したがって、本発明者は、無支持極小点間のリングの各セクタ内に少なくともひとつの制御点が存在しなければならないことを認識した。かかる極小点の数が、リングの形状に左右されることは、正しく理解されよう。実施の形態によっては、極小点の数は、リングの角部の数によって決定されてもよい。例えば、4つの角部を備える四辺形リングは、角部間で略等距離の4つの極小点を有しており、膜の所定形態の中心は、四辺形の形状寸法中心にあるか、その近傍にある。実際、中心は、対抗する辺の間で非対称的に位置決めされてもよく、かかる配列は、矩形光学レンズに特に適している。実施の形態によっては、四辺形リングにおける、画成される形態の中心は、一対の対向辺間で略対称的に、そして他の対の対向辺間で非対称的に位置決めされてもよい。
2つの長辺と2つの短辺を備える略矩形のリングにおいて、通常、隣接する制御点において支持リングに印加される力の方向とは反対の方向における平面基準からのリングの変位が極大である4つのかかる極小点が存在し、2つの隣接する角部間の辺のそれぞれにひとつずつ存在する。特に、短辺が長辺よりも実質的に短い実施の形態では、リングの短辺は、補強されて、それらの撓み性を減少させてもよく、その結果、実際、各短辺に沿ったリングは、膜が膨張する際に、実質的に曲がらず、この場合、2つの長辺に沿った2つの無支持極小点のみが存在する。かかる矩形リングにおいて、光学的用途に対して、画成された形態の中心は、他方からよりも一の短辺から遠くに位置決めされてもよい。
本発明者はまた、膜の平面を定義するために、極小点およびセクタの数にかかわらず、少なくとも3つの制御点が存在すべきであることを認識した。
さらに、各セクタ内で、制御点は、極大点において、またはその近傍に位置決めされるべきである。ここで、そのセクタ内の制御点で印加される力の方向において平面基準から離間する作動状態のリングの変位は、例えば、エンベロープに対して内側の第1の方向において、エンベロープの圧縮を達成するよう極大であることを、本発明者は認識した。所定のセクタ内のリングの残りが、作動時に反対方向、例えば、エンベロープに対して外側の第2の方向に変位される場合、その領域内の極大点は、リングが静止する点、即ち、平面基準から離間する変位を受けないか、又は実質的に受けない点であってもよいことは、言うまでもない。さらに、極大点は、リングが平面基準反対方向、例えば、エンベロープに対して外側に実際に変位され、同じセクタ内のリングの残りよりも遠くない点であってもよい。言い換えれば、制御点において印加される力の方向における極大変位の点は、平面基準からの反対方向への極小変位の点と同等である。
実施の形態において、リングが非円形であり、所定形態が中心を有する場合、極大点は、隣接する変曲点または極小点間のリング上の点であってもよい。そこで膨張時のリングと膜の所定形態の中心との間の距離が最大である。そうでない場合には、セクタ内に、セクタ内の制御点よりも中心から遠く、したがって、制御されておらず、膨張時に膜の望ましくない歪みと形状を潜在的に招くリングの一部が存在することになる。
実施の形態によっては、ひとつ以上の前記制御点は、作動点であってもよく、ここで、リング係合部材は、支持体に対して支持リングを変位させるよう能動的に構成される。前記支持リングは、リングをリング係合部材と係合させるために作動点または作動点のうちの少なくともひとつにおいて突出タブと共に形成されてもよい。
膜は、非作動状態と完全に膨張した状態との間で連続的に調節可能であってもよい。支持リングは、非作動時に平面であってもよい。
非作動状態と完全に膨張した状態との間の各位置において、支持リングは、膜の所定形態を生じるために必要な外郭形状を達成するために必要な距離だけ作動点または各作動点において変位されてもよい。これは、非作動状態と完全に膨張した状態との間の各位置において、リングが、リング全体の所望の外郭形状内のその所望位置において作動点または各作動点において位置決めされるために重要である。もし作動点が、その点におけるリング係合部材によって異なる位置に保持されると、リングの所望の外郭形状における局所的な歪みがその点で生じ、膜の形状に望ましくない歪みを潜在的に招いてしまうことは、言うまでもない。
実施の形態によっては、ひとつ以上の前記制御点は、ヒンジ点であってもよく、ここで、リング係合部材は、支持体に対して支持リングを相対的に静止させて保持するよう構成される。支持リングは、非作動状態と完全に膨張した状態との間の各位置において、要求される作動したリング外郭形状を達成して膜の所定形態を生じるために、ヒンジ点または各ヒンジ点において静止したままにする。したがって、作動点と同じ方法で、リングは、非作動状態と完全に膨張した状態との間のリングの各状態においてリングの所望の外郭形状全体に対応する位置にある、その点におけるリング係合部材によって、各ヒンジ点に保持される。リングは各ヒンジ点において変位されないので、各ヒンジ点におけるリングの位置は、非作動状態と完全に膨張した状態との間のリングの各状態に対して同じである。所定形態が中心を有する場合、所定形態の中心から実質的に等距離の複数のヒンジ点が存在してもよい。
実施の形態によっては、2つの隣接するヒンジ点が傾斜軸を画成してもよい。この場合、少なくともひとつの作動点が適切に存在する。この作動点では、リング係合部材は、エンベロープを圧縮するための第1の方向またはエンベロープを膨張させるための第2の方向に前記傾斜軸を中心として支持体に対して相対的にリングを傾かせるために、支持体に対して相対的に支持リングを変位させるよう能動的に構成される。
ある用途に対して、支持リングは、2つの短辺と2つの長辺を有する略矩形であってもよい。かかる場合において、少なくともひとつの作動点は、短辺のうちのひとつの上に位置してもよく、2つの隣接するヒンジ点は、もう一方の短辺上またはその近傍に位置してもよい。所定形態は、膜に対して中心から外れた中心を有してもよく、その中心は一の短辺よりも他方の短辺に近いものであってもよい。一の短辺は、概して画成された形態の中心を中心とする円の弧に追従してもよい。少なくともひとつの作動点は、前記一短辺上で実質的に中央に位置してもよい。
支持リングは、制御点の中間の支持に対して相対的に受動的に自在に曲がるようになっているべきである。しかし、実施の形態によっては、支持リングのひとつ以上の領域を補強する(剛性を高める)ための補強要素によってリングの曲げを制御することが望ましい。
好ましくは、支持リングが2つ以上のリング要素を備え、膜は隣接する2つのリング要素間に挟持される。
したがって、本発明の別の態様において、以下の請求項18に請求されるような変形可能な膜アセンブリが提供される。
適宜、膜は、膜支持リング上で予め張力がかけられてもよい。本発明者は、2つの隣接するリング要素間で膜を挟持することによって、膜によってリングに印加されるねじれ力同士が釣り合うことができ、結果として、正味のねじれ力を生じない(又は、実質的に正味のねじり力を生じない)ことを認識した。リングの形状、したがって膨張時の膜の形状に望ましくない歪みを招くであろうリング上のねじれ力を回避することが望ましいことは、正しく理解されよう。したがって、実施の形態によっては、膜支持リングを、2つのリング要素から構成してもよい。実施の形態によっては、3つ以上のリング要素が備えられてもよい。しかし、配列は、2つの隣接するリング要素間で膜に予め張力をかける場合、膜の上下のリング要素上のねじれ力が、互いに相殺される(又は実質的に互いに相殺される)ようにするべきである。
エンベロープ内の圧力を調節するための手段は、エンベロープ内の流体圧を調節するよう配列されるひとつ以上の構成要素を備える選択的に操作可能な装置を備えていてもよい。実施の形態によっては、膜内の固定(一定の)体積の流体の圧力を調節するための手段は、上記のような、エンベロープを圧縮または膨張させるための手段を備えてもよい。適宜、固定支持体を備えてもよく、支持体に対抗してエンベロープを圧縮または膨張させて、その内部の流体圧を増加または減少させるための手段を備えてもよい。
適宜、支持リングは、実質的に均一の深さと可変幅とを有して、リング周囲の断面2次モーメント、したがって、リングの曲げ剛性を制御してもよい。典型的には、支持リングは、膜が膨張する場合に所定の形態を達成するよう、最も曲がることを必要とする箇所が最も狭くなっていてもよい。
実施の形態によっては、所定の膜形状は、球体であるか、ひとつ以上のゼルニケ多項式によって定義される別の形態であってもよい。これらは、一般式式(1)(以下式は後記の数1に示す。)を有している。ゼルニケ関数または2つ以上のかかる関数の組み合わせによって定義されるような種々の形状は、本発明の実施の形態のレンズアセンブリを用いて可能である。眼科用途に対する優先度は、例えば、式(2)(乱視)および式(3)(距離補正のための球体)の線形重畳による視力矯正を達成できることにある。眼鏡技師は一般に、これらの数式に基づいてレンズを処方する。追加成分式(4)を有する高次面も、追加の制御点が膜の縁部に備えられていれば可能である。ここで、jは制御点の数と同様の大きさに設定する。成分式(5)を有する高次面も、膜縁部の形状が許可する場合に可能であってもよい。
さらに、式(1)形式のスケール変更したゼルニケ多項式の種々の線形重畳は可能である:
式(6)

一般に、それらの周辺を除いて、圧力により膜を変形することによって達成可能な表面は、鞍点に加えて、ひとつ以上の極大値またはひとつ以上の極小値を有してもよいが、両方は持たない。達成可能な形状は、使用中に安定している周囲の形状によって必然的に限定される。
適宜、リング周囲の必要な曲げ剛性を、有限要素解析法(FEA)によって決定してもよい。特に、FEAは、所定形態の膜形状を生じるために、作動時の所望外郭形状を採用するようリングに対するリング周囲の曲げ剛性の必要な変化を計算するために使用されてもよい。準静的または低周波光学および他の用途に対して、静的FEAを適切に用いるべきである。しかし、表面が音響用途を目的とする場合、動的FEAが適切であるかもしれない。FEAは、静的または動的のいずれにしても、実際には制御点に印加される増加力を伴う結果となる膜形状を計算するよう選択したパラメータの入力と共にコンピュータを用いて実行される多数の反復を伴う。要素形状は、実行される計算に適合するよう選択されてもよい。入力されるよう選択されたパラメータは、支持リングの寸法形状、膜の寸法形状、膜の係数、リングの係数がリング周囲でどのように変化するか(実験的に、または適切な数式を用いて定義されてもよい)を含むリングの係数、いずれかの部品における予張力量、温度、および他の環境要因を含んでいてもよい。FEAプログラムは、負荷が制御点においてリングに印加される際に、膜に印加される圧力がどのように増加するかを定義してもよい。
FEAの各反復内において、膜の計算された形状は、所定形態と比較され、計算された形状と所定形態との間のいずれのズレも、次の反復に対して膜支持リング周囲の曲げ剛性を調節するために用いられる。漸次、支持リングの曲げ剛性は、膜の計算された形状が所望の所定形態に収束するように調節される。
支持リングに固定される補強ダイヤフラムが備えられてもよく、ダイヤフラムは、リングの平面においてリングの曲げ方向よりも高い剛性を有している。
したがって、本発明のさらに別の態様において、以下の請求項28に請求されるような、変形可能な膜アセンブリが提供される。
上記のように、膜は、膜支持リング上で適切に予め張力がかけられる。リングがリングと垂直の方向に自在に曲がることを可能にしながら、補強ダイヤフラムは、膜内の予張力によって生じる追加の負荷に対抗して非作動状態の膜の平面においてリングを補強するように働く。代替として、支持リング自体は、非作動状態の膜の平面において、膜の平面の外側よりも大きい曲げ剛性を有してもよい。
適宜、補強ダイヤフラムは、膜における張力がダイヤフラムへ均一に伝達されるように、リング周囲で均一に支持リングに固定されてもよい。
実施の形態によっては、リングの平面内で、膜は、一方の寸法が別の寸法よりも長くてもよい。かかる場合において、補強ダイヤフラムは、一方の寸法において他方の寸法よりも低い剛性を有していてもよい。代替として、アセンブリの寸法形状は、それ自体、膜における結果として生じる差歪みを補償することに役立ってもよい。
エンベロープ内の圧力を調節するための手段は、エンベロープ内の流体圧を増加または減少させるよう配列される一以上の構成要素を備える選択的に操作可能な装置を備えていてもよい。典型的には、一定の体積の流体を含んでいてもよい流体充填エンベロープ内の圧力を調節するための手段は、エンベロープを圧縮または拡張させるようにする手段を備えていてもよい。流体充填圧縮可能エンベロープは、膨張性膜から離間される少なくとも部分的に剛性のある後壁と、膜と後壁との間の可撓性側壁とを備えていてもよい。
実施の形態によっては、膜、後壁、および流体は、膜および後壁が調節可能な光学レンズを形成するように透明であってもよい。補強ダイヤフラムが備えられている場合、これも透明であってよい。
適宜、前記後壁は、固定レンズを備えるよう形状を成してもよい。
アセンブリはさらに、膜を覆う保護用剛性前部カバーを備えていてもよい。前部カバーは透明であってもよい。適宜、前部カバーは、固定レンズを提供するよう形状を成してもよい。
したがって、実施の形態によっては、前部カバーおよび/または後部カバーは、近視および遠視のような屈折異常の矯正のための固定度数を提供してもよい。本発明の実施の形態の調節可能な光学レンズは、老眼矯正用の前部または後部レンズの固定度数に加法(または減法)度数を提供するために用いられてもよい。適宜、前部および/または後部レンズは、乱視矯正用の形状を成してもよく、同様に、本発明の実施の形態の調節可能な光学レンズの膨張した膜の所定形態は、乱視矯正のために成されてもよい。
実施の形態によっては、エンベロープは保持リング内に収容されてもよい。
本発明のさらに別の態様において、本発明の実施の形態による変形可能膜アセンブリを備えるメガネ類の製品が提供される。
前記メガネ類の製品は典型的には、リム部を有するフレームを備えていてもよく、変形可能膜アセンブリがリム部内に取り付けられてもよい。
以下は、単に例示の目的で、添付図面を参照する本発明の実施の形態の説明である。
図1は、本発明の実施の形態による2つの第1のレンズアセンブリと嵌合されるフレームを備える1組のメガネの前部を上から見た斜視図である。 図2は、第1のレンズアセンブリがどのようにフレームに嵌合されるかを示す、図1のメガネの左側を、その左上から見た斜視図である。 図3は、非作動状態の、本発明の実施の形態による第1のレンズアセンブリの正面図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った第1のレンズアセンブリの断面図である。 図5は、図3のV−V線に沿った第1のレンズアセンブリの断面図である。 図6は、図3のVI−VI線に沿った第1のレンズアセンブリの断面図である。 図7は、図3のVI−VI線に沿った切取図を示す、本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの前部を、左下から見た斜視図である。 図8は、アセンブリの部品を示す第1のレンズアセンブリの分解図である。 図9は、リングの幅が、膜の周囲でどのように変化して、リングの断面2次モーメントを制御するかを示す、非作動状態の第1のレンズアセンブリの可撓性膜および膜支持リングの正面図である。 図10は、作動状態にある図9の膜およびリングが、半径Rの概念上の球体に投影された図である。 図11は、図4に対応する第1のレンズアセンブリであるが、作動状態のアセンブリを示す断面図である。 図12は、図5に対応する第1のレンズアセンブリであるが、作動状態のアセンブリを示す断面図である。 図13は、静的有限要素解析法(FEA)によって計算された、作動状態の第1のレンズアセンブリの膜の変位を示す図である。 図14は、FEAによって計算された、作動状態の第1のレンズアセンブリの度数の均一性を示す図である。 図15は、第1のレンズアセンブリと類似するが、補強ダイヤフラムを省略した、FEAによって計算された、非作動状態のレンズアセンブリの膜における予張力の変化を示す図である。 図16は、FEAによって計算された、非作動状態の本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの膜における予張力の変化を示す図である。 図17は、第1のレンズアセンブリと類似するが、補強ダイヤフラムを省略した、FEAによって計算された、作動状態のレンズアセンブリの度数の変化を示す図である。 図18は、FEAによって計算された、本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの度数の変化を示す図である。 図19Aは、非作動状態の本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの断面を略図的に示す図である。 図19Bは、作動状態の本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの断面を略図的に示す図である。 図19Cは、作動停止状態の本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの断面を略図的に示す図である。 図20Aは、非作動状態の本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの正面略図である。 図20Bは、作動状態の本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの正面略図である。 図20Cは、作動停止状態の本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリの正面略図である。 図21Aは、非作動状態の本発明の実施の形態の第2の正方形レンズアセンブリの断面を略図的に示す図である。 図21Bは、作動状態の本発明の実施の形態の第2の正方形レンズアセンブリの断面を略図的に示す図である。 図21Cは、作動停止状態の本発明の実施の形態の第2の正方形レンズアセンブリの断面を略図的に示す図である。 図22Aは、非作動状態の本発明の実施の形態の第2のレンズアセンブリの正面略図である。 図22Bは、作動状態の本発明の実施の形態の第2のレンズアセンブリの正面略図である。 図22Cは、作動停止状態の本発明の実施の形態の第2のレンズアセンブリの正面略図である。 図23は、光学中心と膜支持リングとの間の距離が第1のレンズアセンブリにおいてどのように変化するかを示す図である。 図24は、光学中心と膜支持リングとの間の距離が図21A〜Cおよび図22A〜Cの第2のレンズアセンブリにおいてどのように変化するかを示す図である。 図25は、本発明の実施の形態による可撓性膜および単一の支持リングの断面を略図的に示す図である。 図26は、本発明の実施の形態による第1のレンズアセンブリの可撓性膜および支持リングの断面を略図的に示す図である。
図1を参照すると、一組のメガネ90は、2つのリム部93と2つのテンプルアーム94を有するフレーム92を備えている。リム部93は、ブリッジ95によって接合され、それぞれは、本発明の実施の形態に従って、それぞれの第1のレンズアセンブリ1を担持するような形状および寸法となっている。第1のレンズアセンブリ1のうちのひとつは、メガネの右側に対して使用され、他方は左側に対して使用されている。図1から見て取れるように、左右のレンズアセンブリ1は、互いの鏡像同士であるが、それらの構造はその他の点では同一であり、したがって、左側のひとつだけを以下詳細に説明するが、右側のひとつの構造および操作が同じであることは、正しく理解できよう。
図3で最も良く分かるように、第1のレンズアセンブリ1は、2つの対向する長辺3、5と2つの短辺7、9とを備える略矩形であり、フレーム92と嵌合するようになされているが、図示の第1のレンズアセンブリの形状は、適切な形状の一例にすぎず、本発明の実施の形態に従うレンズアセンブリは、所望のいずれの形状であってもよいことは、正しく理解されよう。本発明は特に、図1および3に示すような非円形レンズに特に適しているが、本発明の実施の形態の教示はまた、円形レンズに適用してもよい。円形レンズにおいて、本発明の実施の形態は、例として、球面波面補正よりも光学システムにおいて求められる収差補正に使用してもよい。
メガネばかりではなく、本発明の実施の形態のレンズアセンブリは、ゴーグル、ヘルメット、および様々な種類の科学および光学機器等の他のレンズ用途に等しく良好に適用可能である。レンズアセンブリ1において、以下で説明する光学部品は透明であるが、本発明の実施の形態はまた、制御可能に調節可能な表面を提供するよう同様の方法で構成され、作動する他の種類の変形可能膜アセンブリも包含している。したがって、本発明の実施の形態に従うかかる膜アセンブリはまた、選択的および制御可能に調節可能な形状を持つ表面が求められ得る音響等の非光学分野に用途を見出してもよい。
第1のレンズアセンブリ1は、老眼の矯正に使用することに特に適している。使用において、第1のレンズアセンブリ1は、遠距離から近距離までの距離範囲における物体に焦点を合わせるために調節できる。この実施の形態において、遠距離に備えた矯正は何もないが、それでも、第1のレンズアセンブリ1は、使用者が遠くの物体から近くの読む距離にある物体へスムーズに焦点を合わせ直すことを可能にしている。
第1のレンズアセンブリ1の厚さは均一であるが、可変幅の一対の膜支持リング2、10を備えている。これらリングの設計は、より詳細に以下説明する。保持リング6は、第1のレンズアセンブリ1の部品を一緒に保持している。
図8において、第1のレンズアセンブリ1の構成部品が、分解した状態で見て取れる。第1のレンズアセンブリ1の前部は、図の下部左側に示されていて、(使用中に着用者の眼の最近傍にあるだろう)アセンブリの後部は上部右側にあるが、他のすべての部品は、前記他の部品に対して取り囲むハウジングを形成する保持リング6に嵌合することは、正しく理解されよう。
第1のレンズアセンブリ1の前部には、ガラスまたは適切な高分子材料でできた透明な前部カバープレート4がある。第1のレンズアセンブリにおいて、前部カバープレートは厚さ1.5mmであるが、これは以下で述べるように変更してもよい。さらに、実施の形態によっては、以下説明するように、前部カバープレート4は、例えば、単焦点(単一度数)、多重焦点(2つ以上の度数)、累進(段階的度数)の固定集光力またはさらには調節可能要素のレンズを備えていてもよい。図4に示すように、例えば、この実施の形態において、前部カバープレート4は平凸である。
前部カバープレート4の後ろには、より詳細に以下説明するように、第1のレンズアセンブリ1の短辺7、9において追加の剛性を提供する2つの補強リブ3a、3bが配設されている。隣には、一対の弾性的に曲げることができる支持リング2のうちの前側のひとつがある。リングは、ステンレス鋼製であってもよく、第1のアセンブリにおいて、厚さ約0.3mmであるが、他の適切な材料であってもよい。また、厚さは、以下で検討するように、所望の剛性を提供するよう、適宜調節してもよい。次には、透明な非多孔性の弾性膜8がある。第1のアセンブリにおいて、膜8はMylar(登録商標)から成り、厚さ約50ミクロンであるが、代わりに適切な弾性率を有する他の材料を用いてもよい。膜8の後ろには、前部支持リング2と実質的に同じ形状寸法の一対の曲げることのできる支持リング10のうちの後側のひとつが配設されている。可撓性膜8は、以下説明するように予め張力がかけられ、第1のレンズアセンブリ1が組み立てられた状態で示されている図3〜7に示すように、その縁部の周囲において安定して支持されるように前後支持リング2、10間に取り付けられ、挟持されている。膜8は、少なくとも後部支持リング10により流体密シールを形成している。
第2の支持リング10の後面は、透明な補強ダイヤフラム24に封止されている。第1の実施の形態において、補強ダイヤフラム24は、ポリカーボネートのシートを備えていてもよいが、代わりに以下説明する必要な特性を提供することに適する材料を用いてもよい。前記ダイヤフラムの後には、可撓性側壁18、後壁19、および前方封止フランジ20を有する皿形部品12がある。第1のアセンブリにおいて、皿形部品12は、透明なデュポン(登録商標)boPETからできており、厚さは約6ミクロンであるが、皿形部品に対する他の適切な材料を用い、厚さを適宜に調節してもよい。皿形部品12の前方封止フランジ20は、例えば、Loctite3555等の適切な接着剤によりダイヤフラム24の後面に封止するように接着される。
例えば、3M(登録商標)8211(不図示)等の適切な透明の感圧接着剤(PSA)の層は、皿形部品12の後壁19を、後面14を有する透明な後部カバープレート16の前面17に接着する。ここで説明する第1のレンズアセンブリ1において、PSAの層は、厚さ約25ミクロンであるが、これは必要に応じて変化させてもよい。後部カバープレート16は、ガラスまたは重合体からできていてもよく、第1のアセンブリ1において、厚さ約1.5mmであるが、所望通りに変化させてもよい。後部カバープレート16は、最後部の層として保持リング6内に位置している。前部カバープレート4と同様に、実施の形態によっては、後部カバープレート16は、固定集光力のレンズを形成していてもよい。この実施の形態において、例えば、図4から分かるように、後部カバープレート16はメニスカスレンズ(片面が凸で、他の片面が凹である1枚のレンズ)である。
保持リング6は、内面23を有する前方に延在する側壁13を備え、側壁13は、前縁部15において終端している。前部カバープレート4は、レンズアセンブリが密閉型ユニットを構成するように、保持リング6の前縁部15上に位置し、それに付着されている。図4、5、11、および12で最も良く分かるように、カバープレート4は、前部膜支持リング2から前方に離間されて、前部カバープレートに突き当たることなく、以下で説明するように、使用中に内部で膜8が前方に膨張できる空間を提供している。
皿形部品12、膜8、第2の支持リング10、およびダイヤフラム24は、したがって、透明な流体を保持するための封止された内部キャビティ22を画成している。ここで説明する第1のレンズアセンブリ1等の光学的用途に対して、膜8および後部カバープレート16の後面14は、調節可能レンズの対向する光学面を形成している。上記のように、後部カバープレート16はメニスカスレンズである。非操作状態において、膜は平面であり、そのため、レンズは、後部カバープレート16によって与えられ、膜8からのゼロ追加による固定度数を有する。しかし、以下で説明するように操作された場合、膜8は膨張して前方に凸形状で突出し、したがって、固定されたメニスカスレンズに正の度数を加える。実施の形態によっては、膜は、後部カバープレート16の後面14と組み合わせてレンズ1が両凹となるように、内側へ凹形状に拡張してもよい。膜8の曲率が大きくなるほど、膜8によって与えられる追加の度数が大きくなる。非光学的用途に対しては、流体がアセンブリの他の部品と共に透明である必要はない。
皿形部品12の側壁18は、後壁19とダイヤフラム24との間に可撓性シールを提供し、したがって、キャビティ22の側面を形成している。この可撓性シールは、第1のレンズアセンブリ1が操作されてレンズの度数を調節する場合に、支持リング2、10と後部カバープレート16との間の相対移動が可能なように備えられる。変形可能な膜8は、例えば、Loctite(登録商標)3555によって第1の支持リング2および第2の支持リング10に接着される。
キャビティ22は、製造中に、後部カバープレート16とできるだけ近い屈折率を有するよう選択される、例えばダウコーニングDC705等の透明オイル11(図7参照)で満たされる。オイル11はまた、洩れた場合に着用者の眼に有害とならないように選択される。
図6および7に示すように、第1のレンズアセンブリ1は、メガネ90のフレーム92のひとつのリム部分93を形成するよう図2に示すような前部リム部93aと接合する(対となる)形状および寸法の後部リム部93bにぴったりと受容されて、着座してもよい。前後リム部93a、93bは、当業者にとって入手可能ないずれか適切な手段によって合体するように固定してもよい。例えば、前後リム部は、2つのリム部を合体して堅固に保持するための固定小ねじを受け入れて、レンズアセンブリ1を間に保持するようなされた対応するねじ孔97と一緒に形成してもよい。実施の形態によっては、後部リム部93bを保持リング6と一体に形成してもよい。
実施の形態によっては、補強ダイヤフラム24は、皿形部品12の封止フランジ20が直接に後部支持リング10の後面に取り付けられる場合は、省略してもよい。
本発明は、上に示した特定の材料および寸法に限定されるものではなく、例として示したにすぎないことは正しく理解されよう。異なる種類の材料を、光学的に透明で、支持リング2、10と比べて全体剛性が低い、ダイヤフラム24または後部支持リング10に接合可能な、皿形部品12に対して適切に用いてもよい。
種々の異なる材料は、それらが:第1のレンズアセンブリ1の全体の深さ(即ち、厚さ0.3mmのオーダー)に対して相対的に薄く作成できるよう十分に高い弾性率を有すること;隣接する構成要素に接合可能であること;(複数の使用にわたって機能を持続するよう)低いクリープを有すること;および、弾性的に変形可能であること;の基準を満たせば、支持リング2、10に対して適切に用いてもよい。他に可能性があるのは、チタン、ガラス、およびサファイアである。「接合可能」とは、接着、圧着、レーザー溶接もしくは超音波溶接、または、当業者にとって明らかで、利用可能ないずれか他の手段によって接合可能であることを意味する。
アセンブリの部品を永続的に結合することができ、クリープ耐性があり、レンズアセンブリを構築するときに適切な塗布粘度を有し、レンズ内に流体が存在する場合に不活性のままであるような、異なる接着剤を適切に選択してもよい。種々の部品に対して選択される材料に応じて特定の接着剤を選択してもよい。
膜8の十分なたわみを許容する種々の他の適切な材料がある。特に、メーカーが多く存在する高屈折率シロキサンオイル族に含まれる、種々の無色オイルを使用してもよい。種々の構成要素に対して選択された材料は、ヒンジおよび作動点(図9および10を参照して以下で説明する)付近で安定性を提供することが求められる。
第1のレンズアセンブリ1は、キャビティ22内の流体11の圧力および曲がることができる支持リング2、10の形状を制御し、よって弾性膜8の変形を所望の外郭形状に制御することにより調節できる集光力を有する調節可能レンズを備える。上記で述べたように、膜8は、レンズの光学面のうちのひとつを形成し、別のひとつは、後部カバープレート16の後面14である。膜8の変形は、膜により提供される光学面の曲率を大きくし、表面間のレンズの光学的厚さを変化させ、それによって膜8が与える追加の度数を高くする。この作動の詳細を以下に示す。
図9で最も良く分かるように、レンズアセンブリ1の前後z軸に垂直なx−y平面における支持リング2、10の幅は、アセンブリ1の周囲で所定の方法で変化する。これにより、より詳細に以下説明するように、結果として、可撓性膜8の変形、したがってレンズの度数を制御する支持リング2、10の所望の変形が与えられる。
図8から、支持リブ3a、3b、支持リング2、10、および補強ダイヤフラム24のそれぞれは、アセンブリ1の短辺7のうちのひとつから第1のレンズアセンブリ1の外側に突出する同様の形状および大きさの突出タブ26を有していることが見て取れる。組み立てた場合、これら部品上のタブ26は互いに整列する。そしてそれぞれが、他の部品の対応する孔と整列するひとつ以上の近接孔28a、28bをもって形成される。これらの孔28a、28bは、使用中にレンズアセンブリを圧縮させるよう作動装置をレンズアセンブリ1に取り付けるための作動点(A)(図中では丸○の中のAで示されている。以下(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(H)、(H1)、(H2)についても同じ)を画成する。レンズ1の圧縮は、より詳細に以下説明する。作動装置は、フレーム92の隣接するテンプルアーム94に収容されてもよい。実施の形態によっては、レンズアセンブリは、キャビティ22内の流体11の圧力を減少させるよう同様の方法で膨張させてもよい。
アセンブリの一短辺7における突出タブ26近傍では、支持リング2、10のそれぞれの内縁部が、図9に最も良く示されるように、外側に偏位して略半円形の凹部30を形成している。皿形部品12の側壁18は、レンズが組み立てられる場合に支持リング2、10の凹部30と整列する同様の対応する凹部30を有している。膜8は、凹部30と整列して膜によって与えられるシールの閉鎖を確実にする対応の半円形突出部分31を有している。補強ダイヤフラム24は、これもタブ26と整列する32aにおいて切り取られている。これにより、前後カバープレート4、16の範囲を超えて突出することによって、すべての部品が組み立てられた後にリザーバ22の充填が可能となる。代替として、図10に示すように、支持リング2、10を貫通する別の孔31’を、前記半円形凹部30の代わりに備えてもよい。
補強ダイヤフラム24は、作動していない状態のリングによって画成される平面における支持リング2、10の剛性を高めるその機能によって、従来の流体充填レンズに勝る著しい改良をもたらす。部品を組み立てる際に膜8に予め張力を付与することが望ましく、さもなければ、流体圧に与える温度および重力または慣性の効果等によって、望ましくない皺やたるみが膜に現れるかもしれない。かかる皺やたるみのリスクを最小限にするひとつの方法は、非可撓性支持リング上に可撓性膜8を支持することがあるが、これは、使用中に支持リング2、10を曲げることの必要性と相容れない。曲げに抵抗するように、支持リング2、10を膜8の平面において補強するが、膜(z軸)を横断するリングの剛性を著しく増加しない補強ダイヤフラム24が、この問題に対する解決策を提供する。
長辺3、5間の距離が短辺7、9間の距離よりも短い、ここで説明する第1のレンズアセンブリ1において、第1のアセンブリを略矩形に作成する。したがって、レンズは、長辺3、5間のN−S方向の幅よりも図9に示すような短辺7、9間のE−W方向の幅が広い。支持リング2、10は、長辺に沿ってより曲がるように構成されている。作動した場合、膜8がN−S方向よりもE−W方向でより伸長することは、正しく理解されよう。ダイヤフラム24は、曲げのみ可能で、膨張しないため、一方向のみ曲がることができ、したがって、レンズのE−W軸に沿って曲がる。梁を曲げさせることにより、その2端は僅かに接近し、これによって、膜24の差歪みを補償する。
実施の形態によっては、ダイヤフラム24は、N−S方向よりもE−W方向でより剛性を持つようにしてもよく、ダイヤフラム24のこの方向剛性を膜8における上記の差歪みの補償に用いてもよい。
第1のレンズアセンブリ1において、補強ダイヤフラム24は、膜8およびキャビティ22内の流体11と屈折率が一致する透明材料から成る。それは、図4および5で最も良く分かるように、組み立てられたレンズ1における可撓性膜8の後ろに位置するように、皿形部品12の封止フランジ20と後部支持リング10との間のレンズの流体内に載置される平坦シートを備える。ダイヤフラム24は、レンズアセンブリ1の他の部品と同様の形状にされ、第1のアセンブリにおいて、厚さ0.55mmであるが、この厚さは、所望するように変更してもよい。ダイヤフラム24は、その縁部を取り巻いて後部支持リング10および皿形部品12に取り付けられるため、支持リング2、10の剛性は、それらが膜8の平面を横切るz方向で要求に応じて依然として曲げることができるように、適宜に調節されねばならない。
本発明の実施の形態に従う補強ダイヤフラム24は、例えば、支持リング2、10の局所支持よりも良好に機能することが見出された。一の実施の形態において、支持リングの大きさおよび剛性は、関連するダイヤフラム24を持たず、それらにだけで皺を防ぐよう十分な剛性を持つ同様の支持リング2、10の大きさと剛性と比較して、約25%だけ削減し得る。可撓性膜8の変形を制御するように曲がる支持リング2、10の必要な能力が損なわれることはない。支持ディスク24に適する材料はポリカーボネートであるが、他の材料を適切に用いてもよい。本発明の実施の形態の補強ダイヤフラム24は、非円形レンズに対するように、円形レンズにおける使用に等しく適しているが、かかる他の実施の形態において、ダイヤフラムは必ずしも異なる軸上に異なる剛性を有する必要はない。
補強ダイヤフラム24の設計は、その主効果がアセンブリ(図10のx−y平面)の前後方向の軸に垂直な面内方向で支持リング2、10の剛性を増加させることにあるが、z方向(即ち、後壁19に垂直)の曲げ剛性についてはわずかな効果しかない。このz方向効果は、支持リング2、10の設計に起因する。したがって、アセンブリ1の剛性は、可撓性膜8における張力を維持するために増加されるが、支持リング2、10は依然として、使用中にz方向に曲げることができる。これは、例えば、x−y平面の剛性を有するがファイバの配向のためにz方向の剛性が低いファイバ材料を選択することによって達成してもよい。ダイヤフラム24は、複数のアパーチャ32a、32bをもって形成され、ここに説明する第1のレンズアセンブリ1においては、一方が前述のタブ26に隣接し、他方がアセンブリの他の対向する短縁部9の角部にある2つが存在している。アパーチャ32a、32bの周囲の材料は、剛性を与えるが、アパーチャ32a、32bにより、流体が通過でき、したがって、可撓性膜8の変形にほとんどまたは何の影響も及ぼさない。アパーチャ32a、32bの正確な数、大きさ、および配置は、所望により変更されてもよく、例えば、ダイヤフラム24を横断して離間される複数のより小さなアパーチャを備えてもよい。ダイヤフラム24は、可撓性膜8と共に変形せず、以下で説明するように、レンズが作動状態にあり、膜が膨張している場合に、膜に対して備えられる支持部は必要ない。第1のレンズアセンブリ1において、補強ダイヤフラム24は、上記で説明したような多数のアパーチャ32a、32bと共に形成される連続シートを備えている。しかし他の実施の形態においては、ダイヤフラムは、それが、所望の面内剛性を提供するために、実質的にその全体範囲を取り巻いて支持リング2、10に接合される限り、網目シートまたはメッシュ等を備えていてもよい。ダイヤフラムは、リングまたは膜8の著しい局所変形を何ら引き起こすことなく、負荷が均一に分散されるならば、その周囲の近くで、実質的に連続して、または離間した位置において、リング2、10に接続されてもよい。非光学的用途では、ダイヤフラムが透明である必要はない。
図6で最も良く分かるように、保持リング6の内面23は、後方棚部34および前方棚部36の2つの離間された周方向棚部34、36をもって形成されている。後方棚部34は、保持リング6の後部近傍に配設されており、後部カバープレート16が、前記後方棚部に支持されている。前方棚部36は、保持リング6の前縁部15の中間に配設され、ダイヤフラム24および前後支持リング2、10を支持することに役立っている。皿形部品12の側壁18は、レンズが組み立てられる際にその前部封止フランジ20が前方棚部36に支持されるような寸法となっている。
第1のレンズアセンブリ1の前記他の短辺9において、保持リング6は、2つのヒンジ点(H1)、(H2)(図10参照)を画成している。図4に示すように、積み重ねられる部品2、3b、8、10、12、24は、レンズが後述のように作動にあるときに、それらの部品が安定しているように、ヒンジ点(H1)、(H2)において保持リング6と一体に形成される構成39によって、保持リング6内の所定の位置に保持される。
支持リブ3bは、ヒンジ点(H1)、(H2)の範囲において、およびそれらの間で、支持リング2、10に対して追加の剛性を提供する。第1のレンズアセンブリ1において、ヒンジ点(H1)、(H2)およびそれらの間の支持リング2、10の範囲は、作動されたときにおいて(図10参照)、レンズの光学中心OCから略等距離であり、そのため、ヒンジ点(H1)、(H2)の中間のリング2、10をそれ程または全く曲げることを要しない。他の支持リブ3aは同様に、より詳細に以下説明するが、膜8の変形が適切に制御されるように、前述の作動点(A)において支持リング2、10に対して追加の剛性を提供する。実施の形態によっては、支持リブ3a、3bは省略されてもよいが、それらは一般に、アセンブリの作動中に著しく変形することを要しない支持リング2、10の範囲に対して有用である。
第1のレンズアセンブリ1の形状は、その美的外観の点でメガネ90に適している。しかし、非円形レンズは、問題に対する解決策がない、所望形状の膜変形からの不均一なまたは望ましくないズレの問題を引き起こす。本発明の実施の形態がこの問題に対処して、解決する手段を、以下で説明する。
図10は、所望形状の表面が、本発明の実施の形態の膜アセンブリを用いて達成される方法を示している。図10において、所望形状は球体であるが、以下でより詳細に説明するように、本発明の実施の形態のアセンブリは、他の形状、例えば、ゼルニケ多項式のうちのひとつまたは組み合わせによって画成される形状を用いることもできる。非光学的用途に対して、異なる形状が求められてもよい。作動状態におけるレンズアセンブリ1を図11および12に示す。
したがって、図10は、正の集光力を与えるよう半径Rの仮想球体上に投影される作動状態における非円形の第1のレンズアセンブリ1の膜8を示している。作動点(A)およびヒンジ点(H1)、(H2)が示されている。力Fを、孔28a、28bを介して接続される作動装置によって作動点(A)に印加してもよい。
図10の下半分は、作動状態における膜8の頂点で光学中心OCを通る上半分の線b−b上の断面を示している。力の印加方向が示されている(図10において下向き)。膜8は、実質的に一部球形構成に膨張し、支持リング2、10によって画成される膜8の縁部は、球体の表面輪郭に実質的に従う外郭形状を有している。非作動状態において、膜8は平坦であり、膜の縁部(したがって、支持リング2、10)も、図10の下半分の線Lによって示すように、平坦である。作動状態において、膜8は、球体の表面に実質的に従い、その縁部はもはや、平面に位置しない(レンズが円形で、膜が球形キャップを形成する場合にはそうなるが)。これは、膜の縁部を線Lと比較することによって見て取ることができる。作動状態においては、膜8は、非作動状態の膜8の平面を示す線Lの下の作動点(A)において変位するが、ここで、膜の長辺3、5は、円形から(内側に)ずれ、線Lの上に変位し、その結果、膜の縁部の大部分が、半径Rの球体の表面に接触して嵌合する。
図10において、光学中心OCは、眼科の慣習に従って、メガネ90のブリッジ95の中心から所定距離に位置決めされる。この距離は、メガネ90の2つのレンズ1の光学中心間の距離であり、ひいてはメガネの着用者にとって最適距離である中心間距離の半分である。図示のレンズ形状により、点OCは、レンズアセンブリの長辺3、5間の略中心であるが、短辺間の軸上の視覚的に観察される幾何学的中心から左側に位置決めされている(即ち、着用した時の眼から鼻まで)。
本発明の実施の形態のレンズアセンブリは、前部カバープレート4および/または後部カバープレート16によって与えられるいかなるレンズ度数にも付加される、典型的には0から+4Dである所望のジオプトリ数Dだけ連続的に調節可能なレンズ度数を提供するよう成されている。一般に、レンズの度数Dは、レンズ材料およびその環境の屈折率における差および界面の曲率の積によって与えられる。したがって、式は以下となる:

D=(n−1)(l/R) (I)

ここで、nは屈折率、1は空気の屈折率として得られ、Rは、(図10に示すような)レンズがその部分を形成する球体の半径である。
図10の下半分において、膜8の縁部は、力Fの印加方向で作動点(A)において最大に変位している。ヒンジ点(H1)、(H2)は、膜8の変形時の変位に実質的に何も関与しない(第1のレンズアセンブリ1において支持リング2、10によって画成されるような)膜8の縁部上の点と一致している。作動位置におけるこれらの点が、線Lから移動せず、実質的にその上に位置していることが見て取れる。(それらは、図10の下半分に示す断面の平面外にあることに留意されたい。)膜8の変形を最適に制御するために、ヒンジ点(H1)、(H2)は、膜8の縁部の最小移動または移動しないことが求められる位置に設置されるべきであり、そうでなければ、膜の縁部の外郭形状は、ヒンジ点(H1)、(H2)において所望の球体(または他の)形状から逸脱し、結果として望まない膜の変形を生じる。適切に、ヒンジ点(H1)、(H2)は、レンズが作動される場合に、それらが同じ円形の変位輪郭、即ち、変位していない輪郭上に位置するように、上で言及したように光学中心OCから略等距離にあってもよい。しかし、レンズアセンブリ1の形状および他のパラメータによっては、これは可能ではないかもしれず、それぞれのヒンジ点(H1)、(H2)と光学中心OCとの間の距離のいくらかの差は、ひとつまたは両方のヒンジ点(H1)、(H2)の近傍で生じる結果としての歪みにもかかわらず、許容できる。図10において、ひとつのヒンジ点(H1)が、もう一方のヒンジ点(H2)よりも中心OCから遠くに位置することが見て取れ、ヒンジ点(H1)、(H2)に隣接するレンズの角部において膜のいくらかの歪みを招くが、中心OCの周りにほとんどまたは全く歪みが生じない主領域が存在するならば、これは許容できる。これは図13に最も良く示されている。
膜8の最大変位が、非作動位置と最大集光力位置との間の球形にフィットする外郭形状を画成するよう膜縁部の変位の所望軌跡上に常に位置すべき作動点(A)において生じることは、正しく理解されよう。作動点(A)を含むレンズの一短辺7における膜8の縁部は、たまたま実質的に円形であるため、作動時に円形の変位輪郭に従うがあるが、これもまた、円形からのいくつかの逸脱は許容可能である。したがって、作動点は、光学中心OCから最も遠い点において、一短辺7上に設置すべきである。ここで考慮する特定の形状は、その外周の線分が光学中心を中心とする円弧を形成するようなものでなければ、(能動的または受動的な)追加の作動点が、表面忠実度を維持するために必要とされてもよい。第1のレンズアセンブリ1において、中心OCから最も遠い点が、長辺3、5と一短辺7との間の、図10において位置(B)および(C)として特定される膜8の角部にあることが図10から分かる。しかし、作動点(A)はそれらの点に隣接しており、補強(剛性を与える)リブ3aは、許容できる程度の膜形状の変形により、膜8の一短辺7に沿った作動点(A)に印加される負荷を分散するよう役に立つ。
当業者は、第1のレンズアセンブリ1の度数が、可撓性膜8によって提供される光学面の曲率を変化させる球体の半径Rを変更することによって、効果的に変化し、したがって、レンズの度数を調節することを理解するであろう。Rが減少すると、膜の曲率がより顕著となるため、レンズの度数が増加する。これは、膜8のより大きな変形によって達成され、ひいては、後部カバープレート16に向かう後方への支持リング2、10の変位を作動点(A)において増加することによって生じ、結果として、キャビティ内のより高い流体圧および膜のより大きい前方膨張を生じる。
この可変膨張が第1のレンズアセンブリ1に対して本発明の実施の形態により達成される方法をより詳細に以下説明する。
図3〜5は、その非作動状態における第1のレンズアセンブリ1を示し、図11および12は、例示の作動状態を示している。実施において、第1のレンズアセンブリ1は、非作動状態とその最大膨張との間で連続的に調節可能であり、図11および12の作動位置は、すべての変形位置の見本として提供されるただひとつの変形位置である。上で説明した通り、支持リング2、10の幅は、それらの範囲を取り巻いて変化する一方で、それらのz方向における厚さは、実質的に一定のままである。特に、リング2、10は、アセンブリ1の短辺7、9において最大幅であり、図9で最も良く分かるように、それらの短辺から長辺3、5の中間に向かって離れるにつれて次第に狭くなっている。それらは、短辺7、9の中間の長辺上の点(D)および(E)において最も薄い(狭い)(図10を参照)。最も薄い点は、2つの長辺間で対称である必要はなく、それらは、上で説明した図10を参照して理解できるように、それらの曲げが最大である必要がある場所であるため、この範囲で最も薄くなっている。
操作において、レンズアセンブリ1の集光力を向上するために、作動力Fが、アセンブリの一短辺7上の点(A)において、直接または間接的に支持リング2、10に印加されて、支持リング2、10と、それらの間に留められた膜8とを後部カバープレート16に向かって後方に移動させる。力は一短辺7に沿った中間付近に印加され、作動装置は、フレーム92のリム93内に保持され、したがって支持として役立つ保持リング6に対して反発するように配置されるべきである。
当業者にとっては明らかな、作動力を印加するであろう種々の手段がある。いくつかの実施の形態を以下で説明する。力は、支持リング2、10の平面に実質的に垂直な方向に印加されるべきである。上で説明したように、支持リング2、10は、アセンブリ1のもう一方の短辺9上の2点(H1)、(H2)においてヒンジ接続される。ヒンジ点は、保持リング6内の構成39によってレンズアセンブリ1の作動中に安定したままでいるよう設計される。レンズアセンブリ1を組み立てる場合に、後部カバープレート16、それに取り付けられる皿形部品12、ダイヤフラム24、および支持リング2、10、それらの間に保持される膜8が、スタックとして予め組み立てられ、次いで、保持リング6に挿入され、ヒンジ点(H1)、(H2)において構成39の下にスライドされる。皿形部品12の側壁18は、僅かな量の移動を可能にし、その結果、支持リング2、10が、皿形部品12の底壁19に向かって接近して移動してキャビティ内の流体圧を高め、次いで、膜8が前部カバープレート4に向かって前方に膨張し、図12に示すような球体(または他の)形状を取り、それによって、上で説明したように、レンズの集光力を向上する。膜が非円形であったとしても、支持リング2、10の構造のおかげで形成される所望の球体(または他の形状)を取ることができる。
キャビティ内の流体によって膜に印加される静水圧と組み合わせて、作動点(A)において支持リング2、10の一短辺7に印加される力は、支持リング2、10を曲げる。図11は、作動力Fの印加時に曲げの程度を表す支持リング2、10を示している。支持リング2、10は、ヒンジ点(H1)、(H2)において実質的に静止したままである(しかし、これらの点において、ある程度の支持リング2、10の局所的な傾きがある)。しかしながら、点(D)と(E)を含むアセンブリの長辺3、5の中間に向かって、リングは、上で説明したように、力Fとは反対方向に、前方に曲がり、その結果、支持リング2、10は、膜8と同じ形状を有する球体(または他の形状)の表面と一致するであろう外郭形状を取る。支持リング2、10が円形であれば、それらは、膜が球状に変形する場合、平面のままであるが、リング2、10の非円形は、膜が膨張した場合にそれらが平面のままではいられないことを暗示している。
支持リング2、10の、この方法で曲がり、したがって、膜8の変形を制御して球体または他の形状の望まないゆがみを回避する能力は、それらの範囲を取り巻く支持リング2、10の幅における所定の変化によって可能となる。また特に、所望の外郭形状を取るよう最大に曲げることを求められる点(箇所)において、それらがより狭く作成されているという事実に鑑みて、可能である。支持リング2、10の幅における所定の変化は、支持リング2、10の断面積における対応する変化を生じ、したがって、支持リングの断面2次モーメントの対応する所定の変化を生じる。特に、支持リング2、10の幅は、リングの周囲で連続的に調節され、曲げが最大になる長辺3、5の中間に向かって最小に達する。他のパラメータにおける著しい変化が無いので、断面2次モーメントの差が曲げ剛性の差という結果となる。
図10〜12に示すように、可撓性膜8は、作動力Fと反対方向に前方へ膨らむ。支持リング2、10が作動点(A)においてキャビティの後部に接近して移動されると、本質的に非圧縮性の流体11は、膜8の弾性によりキャビティ22のより中央範囲を強制的に占有する。したがって、膜8によって画成される光学面の曲率と、アセンブリの光学中心OCにおける後部支持プレート16と膜8との間のキャビティの光学的厚さを増加し、したがって、より高い度数のレンズを生じる。特に、可撓性膜8の変形は、図10に示すように、点OCに集中し、したがって、レンズの頂点を形成する。
従来技術の流体充填レンズにおいて、膜の球状膨らみを確実にするために、膜は、膜の円形部分のみが、拘束されておらず、流体圧の増加時に前方に膨らむことができるように、剛性があり、円形である支持構造によって保持されている。いくつかのレンズにおいて(例えば、英国特許出願公開第2353606Aを参照)、これは、レンズアセンブリ全体の形状を円形に作成することによって達成される。例えば、国際特許出願第95/27912号に開示されているもの等の他のレンズにおいて、支持構造は、膜が前方に膨らむことができる円形中央アパーチャの周囲に剛性境界を備えている。国際特許出願第95/27912号において、境界は、所定位置において、美的に望ましくない、幅広で、大きいものである。一方、本発明の実施の形態では、支持リング2、10の短辺7、9は、図9から見て取れるように、長辺3、5よりもある程度幅広である一方で、それらは依然として、レンズの面積と比較して、相対的に狭い。したがって、美的観点から、膜8の球体(または他の)変形は、非円形および比較的薄い縁部を有するレンズアセンブリ1の外観にいかなる著しい悪影響もなく達成される。
作動時、可撓性膜8が図10および11に示すように前方に膨らんだ場合、キャビティ22に保持される流体11の量は一定のままであるが、膜8が比較的平坦な外郭形状から、図示する膨張した外郭形状へ形状を変化させるため、ある程度の透明オイルは、レンズの中央領域に移動する。オイルの移動は、膜に作動形状を取らせ、したがって、レンズの度数を高める。流体11は、膜8、ダイヤフラム24、および皿形部品12によって、キャビティ22内に封止されている。
図10に示す支持リング2、10および可撓性膜8の球状変形は、アセンブリ1の種々の部品の形状における変化を示すほんの一例として提供され、本発明の実施の形態のアセンブリによって提供される変形は、特に、いずれか所定のレンズアセンブリ1に対して、図示のものから違ってもよいことは、当業者によって理解されよう。特にいかなる所与のレンズアッセンブリにとっても、膜8は、アセンブリ1に対して用いられる実際の構成および材料の特性によって決定されるように、平面であるその非作動位置と完全に膨張した位置との間で連続的に変形可能である。何の度数も提供しない非作動位置と完全に膨張した位置との間の各位置において、支持リング2、10上のヒンジ点(H1)、(H2)は、本質的に静止したままであり、ヒンジ点(H1)、(H2)を含む支持リング2、10の少なくとも大部分または複数の部分は、球形(または他の形の)外郭形状を取る。
上で説明したようなリング周囲の曲げモーメントにおける所定の変化を得るのに要する支持リング2、10の幅における実際の変化は、有限要素解析法(FEA)によって計算されてもよい。準静的または低周波光学および他の用途に対して、静的FEAを適切に採用すべきである。しかし、表面が音響用途を目的とする場合、動的FEAが適切である。当業者が認識するように、FEAは、静的または動的のいずれにしても、実際には作動点に印加される増加力Fをもって実行する結果となる膜形状を計算するよう選択したパラメータの入力をしてコンピュータを用いて実行される多数の反復を伴う。要素形状は、実行される計算に適合するよう選択される。本発明の実施の形態のリング2、10の設計に対して、四面体要素形状が適切であることが見出された。入力されるよう選択されたパラメータは、支持リング2、10の寸法形状、膜8の寸法形状、膜8の係数、リングの係数がリング周囲でどのように変化するか(実験的に、または適切な数式を用いて定義されてもよい)を含むリング2、10の係数、いずれかの部品における予張力量、温度、および他の環境要因を含む。FEAプログラムは、負荷が作動点(A)においてリングに印加される際に、膜8に印加される圧力がどのように増加するかを明確にする。
支持リングに対するFEA解析出力例を、図13に示す。グレースケールは、平面の非作動構成から離れる方向の膜8の変位の程度を示しており、変位の輪郭は、グレースケールに重ね合わされている。膜は、その中央領域における最大前方変形および作動点(A)における(印加力Fの方向での)最大後方変形を、本質的に球状変形を実証する円形輪郭と共に示している。この図は2次元の変形を示しているが、これは、実際には、3次元球状変形に対応することは言うまでもない。本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリ1は、点OCを中心とする実質的な無歪球面レンズを達成している。点OCは、垂直線および水平線が交差する点によって示されるレンズ1の観察された幾何学的中心とは異なっていることが図13から見て取れる。このFEA出力は、以下で「第1のFEA出力」と称する。
光学的使用のためにリング2、10を正確に設計するために、FEA解析の出力は、多項式関数によって定義されるように膜の所望形状に近似されてもよい。一般論として、光学面の形状は、ひとつ以上のゼルニケ多項式関数によって説明してもよい。これらは、一般式式(1)を有している。ゼルニケ関数または2つ以上のかかる関数の組み合わせによって定義されるような種々の形状は、本発明の実施の形態を用いて可能である。種々のゼルニケ多項式の説明は、「光学の原理」(「光学の原理(Principles of Optics)」M.Born、E.Wolf共著、第7版、C.U.P(1999) ISBN0−521−64222−1)において見出すことができる。
眼科用途に対する優先度は、例えば、式(2)(乱視)および式(3)(距離補正のための球体)の線形重畳による視力矯正を達成できることにある。眼鏡技師は一般に、これらの数式に基づいてレンズを処方する。追加成分式(4)を有する高次面も、(以下で説明するような)追加の制御点が膜の縁部に備えられていれば、本発明の実施の形態により可能である。ここで、jは制御点の数と同様の大きさに設定する。成分式(5)を有する高次面も、膜縁部の形状が許す場合に可能であってもよい。
本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリ1の変形は、j=kであるいずれかのかかる多項式に対応する静的膜形状を生成することができる。種々の複合面は、特定用途に対して可能であり、有用であることが公知である。例えば、レーザー視力矯正手術は、特定の高次機能(関数)に対して作用するので、本発明のレンズアセンブリの代替実施の形態は、レーザー手術の代替として使用できるかもしれない。式(1)形式のスケール変更したゼルニケ多項式の種々の線形重畳は可能である:
式(6)
一般に、それらの周辺を除いて、圧力により膜を変形することによって達成可能な表面は、鞍点に加えて、ひとつ以上の極大値またはひとつ以上の極小値を有してもよいが、両方は持たない。達成可能な形状は、使用中に安定する外縁の形状によって必然的に限定される。
本発明の実施の形態のレンズアセンブリの実施の形態によっては、球面ゼルニケ関数が用いられてもよいが、高次球関数も、所望であれば、多数のゼルニケ多項式の合計である形状を作成することによって、用いることができる。
第1のFEA出力は次いで、膜全体の所望のゼルニケ関数(「第2の多項式出力」)と相関され、第1のFEA出力が、選択したゼルニケ関数によって定義されるような所望形状にどのように良好に近似しているかを見る。第1のFEAおよび第2の多項式出力が互いにどのように良好に相関しているかによって、レンズの関連パラメータが調節されて、次の反復への良好な適合を達成できる。言い換えれば、FEAによって計算されたような膜8のシミュレートされた変形が、選択されたゼルニケ多項式関数によって記述されるような所望の表面形状にどのように良好に近似しているかを見ることによって、選択された支持リング2、10のパラメータがどのように良好に実行するかを見ることができる。支持リング2、10のどの領域が、第1および第2の出力の相関関係を向上するよう調整する必要があるのか(または、他のどのパラメータを調節すべきなのか)を決定することは可能である。
上記の反復プロセスは、支持リング2、10の変形(および印加される力F)により連続的に度数が変化するレンズが設計できるように、多くの異なるレンズ度数にわたって実行される。この反復プロセスは、本発明による支持リング2、10の多くの実用的な実施の形態を達成するよう実行された。したがって、支持リング2、10は、それらの範囲を取り巻いて、および、所望のレンズ度数における調節に関して可変的に曲がるよう設計される。それらの範囲を取り巻くレンズの光学z軸に垂直なx−y平面における支持リング2、10の幅の変化も、所望の光学中心OCに対するヒンジ点(H1)、(H2)および作動点(A)の位置を考慮に入れて、異なるレンズ形状に対して調節できる。
一旦、膜8の形状が上で説明したようなFEAによって計算されると、光学レンズ面としての膜の光学的特性は、計算された膜形状を用いて、適切な光線追跡ソフトウェア(例えば、ワシントン州レッドモンドのRadiant Zemax社から市販されているZemax(商標)光学ソフトウェア)によって決定されてもよい。例として、図14は、膨張した場合に第1のレンズアセンブリ1の膜8全体で、球面レンズ度数がどのように変化するのかを示し、膨張形状は静的FEAによって計算される。色の濃い領域は最大レンズ度数を示し、図14から見て取れるように、膨張した膜8が、十分に均一な球面レンズ度数を有するレンズ面を生成している。
可撓性膜8の変形の程度はある範囲を通してスムーズに調節できるという事実に鑑みて、本発明の実施の形態のレンズアセンブリは、着用者が下方をみて近視用レンズを通して見る必要がある従来の二焦点レンズに勝る著しい向上を呈している。本発明の実施の形態のレンズアセンブリ1を用いることによって、レンズ度数は、近見の必要に応じて調節でき、レンズの最適領域、即ち、光学中心の領域に生じる。レンズアセンブリはしたがって、頭の位置や、注視方向を調節することなく、近い物体を見るための使用に適している。
図15および16は、膜補強ダイヤフラム24を設計することからのFEA出力のサンプルを示している。図15は、膜が非作動状態にある、上で説明した第1のレンズアセンブリ1と同様であるが、ダイヤフラム24を省略した本発明の実施の形態によるレンズアセンブリにおいてFEAによって計算される可撓性膜全体の予張力を示す。グレースケールは、比較的大きい張力のいくつかの領域と比較的小さい張力のいくつかの領域をもって、膜の予張力における著しい変化を明らかにしており、膜の張力は、顕著に不均一である。
図16は、ダイヤフラム24を含む第1のレンズアセンブリ1に対して対応するFEA出力を示している。このアセンブリ1において、膜8は、図15のものよりも、非作動時の予張力において著しく少ない変化を呈している。その面積全体にわたって、図15の膜は、予張力において30%の変化を示している一方で、図16の膜は、ほんの8%の変化しか有していない。
図17および18は、第1のレンズアセンブリ1およびダイヤフラム24を省略した同様のレンズアセンブリに対する計算された球面レンズ度数を示している。また、光学球面度数の変化は、図18においてより少ないものであることが見て取れ、グレースケールは、より多くの均一性を示している。
補強ダイヤフラム24はしたがって、非作動時の膜における予張力の均一性と、膨張時、即ち、作動時の、膜の形状とは独立した膜の光学球面度数とを向上する大きな利益を提供する。ダイヤフラム24は、z軸における平面に対して横断するリングの剛性に著しい影響を及ぼすことなく、それらによって画成されるx−y平面における支持リング2、10の剛性を増加させる。上で指摘したように、本発明の実施の形態の補強ダイヤフラム24は、膜の外形にかかわらず、流体充填レンズの光学面等のキャビティの壁部を形成する制御可能な形状の予め張力がかけられた可撓性膜を有するいずれの流体充填アセンブリにおけるこの目的のためにも有利に用いることができる。したがって、ダイヤフラム24は、例えば、円形流体充填レンズに用いられてもよい。
図19および20は、第1のレンズアセンブリ1の作動モードを略図的に示している。レンズアセンブリ1は、「角度を成す圧縮」によって作動されている。前後プレート4、16、保持リング6、ダイヤフラム24、および他の詳細な特長は、明確にするため、省略されている。
図19Aおよび20Aは、非作動状態にあるレンズアセンブリ1を示している。この状態において、膜8は平坦である。
図19Bおよび20Bにおいて、レンズアセンブリ1は、支持リング2、10を皿形部品12の後壁19に向かって付勢する方向に、作動点(A)において支持リング2、10の一辺7に印加される力Fの印加によって、その度数を高めるよう作動される。皿形部品の後壁19は、固定されて保持され、したがって、後部カバープレート16および保持リング6(図19Bでは不図示)によって支持される。これにより、支持リング2、10の一辺7が、皿形部品12の後壁19に接近するよう移動する。支持リング2、10のもう一方の短辺9は、構成39によってヒンジ点(H1)、(H2)に固定される。したがって、支持リング2、10は、力Fの影響下で後方に傾いて、後壁19とで鋭角をなす。図19Bにおいて強調されているこの傾き移動は、皿形部品12の側壁18によって形成される可撓性シールによって可能となる。支持リング2、10および部品12の後壁19を一緒に押し付けた結果、キャビティ内の静水圧は増加し、膜8は膨張し、図示のように凸状で外側に曲がる。
図19Cおよび20Cでは、作動力が除去され、リングの固有弾性の結果として、支持リング2、10がそれらの非作動、弛緩状態に戻っている。したがって、皿形部品12の側壁18は、非圧縮状態となり、又は非圧縮状態となり得ることになり、キャビティ内の静水圧を解放する。そして、膜8は、膨張していない非作動位置に戻る。
以上説明したレンズアセンブリ1は、キャビティ22の容積を減少させる方向に、リング2、10を皿形部品12の後壁19に向かって傾けて、それによって、流体11の圧力を増加させ、膜8を外側に膨張させるように動作する。しかし、当業者は、同じ原理が、キャビティの容積を増加させる方向に、単数または複数の膜支持リングが傾けられ、又は他の態様で後壁から離れる方向に移動され、それによって、流体圧を低減し、その結果、膜を内側に凹ませる膜アセンブリに適用されてもよいことを、正しく理解するであろう。かかる凹状膜の形状は、膜の変形時に、単数または複数のリングが、膜における所望の所定形状を生じることに必要な外郭形状を採用するように、可変断面2次モーメントを有する単数または複数のリングを備えることによって、類似の方法で制御されてもよい。
図21および図22は、本発明の実施の形態による第2のレンズアセンブリ101を示している。図21A〜図21Cのそれぞれは、異なる作動状態における第2のレンズアセンブリ101の断面図を示し、図22A〜図22Cは、対応する正面図を示している。
第2のレンズアセンブリ101の構造は、レンズアセンブリ1のそれと同様であり、第1のレンズアセンブリ1の部品と同一または同様の第2のレンズアセンブリ101の部品を、以下で繰り返し説明しない。ただし、第1のレンズアセンブリ1の対応する部品に対する参照番号と同じ、しかし100だけ増加させた参照番号で呼ぶ。
第2のレンズアセンブリ101は正方形を有している。第1のレンズアセンブリ1は、作動のために流体キャビティ22の「角度を成す圧縮」を用いていたが、第2のレンズアセンブリ101は、以下で説明するような、「クッション」(または、均一な)圧縮を用いる。
図21Aおよび図22Aは、本発明の実施の形態による第2のレンズアセンブリ101の非作動状態を示している。
図21Bおよび22Bにおいて、第2のレンズアセンブリ101は、その度数を高めるような作動状態で示されている。しかし、アセンブリの一辺に力を印加して反対側のヒンジ点を中心としてリングを傾けることによって、皿形部品112の後壁に対して相対的に支持リングを傾ける代わりに、第2のレンズアセンブリ101の支持リング102、110は、リングを取り巻いて離して配置される複数の作動点(A)において押圧され、その結果、各作動点において、リングが、フレーム92によって与えられる支持に対して、相対的に所望の膜形状に従う所定の距離だけ後壁119に向かって変位される。即ち、各作動点において、リング102、110は、所望の膜形状を達成するようそれらの点におけるリングの変位の所望の軌跡に従って変位される。作動点の正確な位置とそれらの変位量は、膜108の外形によって決まるが、一般に、本発明の実施の形態に従って、作動点は、変位が極大であるリング上の各点に位置しているべきである。したがって、第2のレンズアセンブリ101において、作動点(A)は、膜108の各角部121に位置しており、各作動点(A)は、アセンブリ101が作動する際に他の点と同じ量だけ変位される。
膜108の角部121の中間の、膜の正方形外形は、それが円形構成から内側にずれることを意味する。これは、膜が球形に膨張する場合、膜の辺103、105、107、109が角部121よりも少ない量だけz方向に変位されることを意味し、その結果、辺が、角部121間で前方に弓形になり、点(C)、(D)、(E)、および(F)において各辺の中央に向かって、非作動位置に対して相対的に前方に変位されて、要求される球形外郭形状を生じることができる。
代替実施の形態においては、リング102、110は、例えば、ヒンジ点(H1)、(H2)に対して第1のレンズアセンブリ1において用いられる種類の構成、および、図21Bに示すような、z方向で後部カバープレート116に均一に印加される作動力Fによって、角部121において固定されて保持されてもよい。次いで、反作用力が、リングが保持される角部121の代替のヒンジ点(H)においてリングに印加される。
上で説明したように、第2のレンズアセンブリ101を作動させると、皿形部品112の可撓性側壁118は均一に圧縮され、キャビティ122内の流体111の圧力を増加させる。これにより、膜108は凸状に外側へ膨張して、隆起する。膜の形状が正方形であるにもかかわらず、リング102、110の幅、したがって曲げ弾性率は、それらが、例えば、FEAによって計算されるように制御された所定の方法で変形して、球形(または他の予め選択された)外郭形状に維持するべく膜の周りで変化する。このとき、膜は球状に(または、他の予め選択された外郭形状に従って)変形される。特に、図21および22に示す実施の形態において、リング102、110の厚さは、角部間よりも角部121で厚いので、リングは、角部の中間で、上で説明したようにして、角部に対して相対的に前方へ撓むことができる。
後部カバープレート116に向かう支持リング102、110の均一な移動を考慮すると、同様の寸法の「角度を成す圧縮」アセンブリと比較して、支持リング102、110のより小さな合計変位が、膜108を完全に膨張させるために必要とされてもよい。したがって、第2のレンズアセンブリ101の厚さは最小限になり得る。
第2のレンズアセンブリ101を非作動状態に戻すために、作動力を作動点(A)から(または、場合に応じて、後部カバープレートから)除くと、リングは、図21Cおよび22Cに示すような非作動開始位置に戻ることができる。実施の形態によっては、皿形部品112の弾性は、作動力を除いた場合に、リングを元の非作動状態に戻すために十分であればよい。しかし、変形例において、アセンブリは、リング102、110を作動点において反対方向に駆動することによって、またはリング102、110を保持し、逆向きの力−F(図21C参照)を後部カバープレート116に印加してプレートをリングから離れる方向に引くことによって、非作動位置へ能動的に戻してもよい。したがって、キャビティ122内の流体111の圧力は解放され、膜およびリングはそれらの平坦構成に戻ることができる。
第1および第2のレンズアセンブリ1、101は、両方ともアセンブリを押し付けるために力の印加を要する点で互いに類似している。両者の差は主に、作動点(A)およびヒンジ点(H)の数にある。第1のレンズアセンブリ1においては、アセンブリの一短辺7にひとつの作動点(A)があり、もう一方の短辺9に傾斜軸を画成する2つのヒンジ点(H1)、(H2)がある。長辺3、5は、制約を受けず、キャビティ22が圧縮されると、前方へ自在に曲がることができる。第2のレンズアセンブリ101においては、ヒンジ点はないが、作動点(A)は、キャビティ122の最大圧縮が所望の膜形状を達成するのに必要とされる各角部121に備えられている。
一般に、本発明の実施の形態の膜アセンブリは、リング周りの間隔をあけた位置で、ヒンジ点でも作動点でもよい複数の制御点においてリングの位置を能動的に制御することによる、また、リング2、10;102、110が制御点間で自在に曲がることを可能にすることによる、支持リング2、10;102、110の形状のセミアクティブ(準能動的)制御を利用している。作動点とは、リングの変位がキャビティ22;122の圧縮を達成するよう能動的に制御される点、またはリングの変位が、例えばばね等の受動要素によって修正される点のいずれかである。ヒンジ点とは、リングが固定位置に保持されるが、リングは、要求があれば、キャビティが、例えば、第1のレンズアセンブリ1におけるように「角度を成す圧縮」によって圧縮することができるよう傾けることができる点である。当業者は、制御点によって影響されるリング2、10;102、110の領域をできる限り小さくすべきであり、リングが、所望の形状を達成するために必要に応じてリングに沿って曲がることができるよう、隣接する制御点同士を一般に互いに剛に接続すべきではないことを正しく理解するであろう。一般に、膜8の基準面を画成するためには少なくとも3つの制御点(ヒンジ点または作動点)がなければならない。
リング2、10;102、110の各セクタ内に少なくともひとつの制御点があるべきである。「セクタ」によって意味するものは、リング2、10;102、110上の2つの隣接する無支持極小点間のリングの領域であり、ここで、リングは、膜8;108の定義された中心に局所的に最も接近する。これらの極小点において、作動された場合に後壁19に向かうリング2、10;102、110の変位は、極小である。実際、説明した実施の形態において、リング2、10;102、110は、作動された場合に後壁19から離れる方向に前方に実際に変位され、そのため、これらの実施の形態においては、極小点は実際には、アセンブリに対して相対的に前方の極大変位点である。
「中心」は、膜の所望の膨張形状の所定の中心である。レンズアセンブリの場合、中心は、膨張した膜の頂点における光学中心OCであってもよい。各セクタ内で、制御点は、リング2、10;102、110が中心から局所的に最も遠く配設される極大点、言い換えれば、リング2、10;102、110の、後壁19に向かう後方の変位が、作動状態において極大である極大点において、またはその近傍に位置しているべきである。リング2、10;102、110は、制御点の中間の点において制約を受けるべきではなく、ここでは、後壁19に向かうリング2、10;102、110の所望の変位は、隣接する制御点よりも小さい。その結果、リング2、10;102、110の支持領域が光学中心OCに対して相対的に円形軌跡から著しく逸脱しなければ、リング2、10;102、110の短い長さが、例えば、補強リブ3a、3b等の補強リブによって支持されてもよいことを除いて、膜8;108の縁部は、リングが不撓性である場合に採用される位置に対して相対的に前方に弓形を成してもよい。しかし、リングのための支持はそれでも、望ましくない歪みを避けるために、リングに沿った方向を含む、ある程度のリングの曲げを可能にすべきである。
図23は、光学中心OCとリング2、10との間の距離が、どのようにリング2、10の周りで第1のレンズアセンブリ1において変化するかを示している。図23における単位は任意であり、膜が円形であれば、プロット線が平になることは、正しく理解されよう。図10に示すように、第1のレンズアセンブリ1の膜8は、2つの主要セクタ−S1、S2を画成している。セクタS1およびS2はそれぞれ、上で説明したように、膜8の2つの長辺3、5に沿った略中間に配設される2つの隣接する無支持極小点(D)および(E)間に画成されている。セクタS1は、前記他の短辺9および極大点(H1)を含む一方で、セクタS2は、一短辺7および極大点(B)および(C)を含んでいる。作動点(A)は、2つの極大点(B)および(C)の中間に配設される。本発明の実施の形態による完全な膜アセンブリにおいて、作動点は、技術的に極小点である点(A)と共に極大点(B)および(C)のそれぞれに備えられるが、利便性および実用性のために、単一の作動が、点(B)および(C)間の点(A)に提供される。図23において最も良く分かるように、リング2、10から膜の光学中心OCまでの距離は、一般に、2つの極大点(B)および(C)間で一定である。また、作動点(A)が技術的に極小点(局所的に最小の転換点)である一方で、点(A)におけるリングの変位は依然として正であり((A)は、ヒンジ点(H1)および(H2)よりも光学中心から遠い)、極小点として、主要な転換点(E)および(F)と比較しても重要ではなく、補強リブ3bは、(A)の極小点を横切る隣接する極大点(B)および(C)間でリング2、10を支持するよう、および、アセンブリの一短辺7に沿った作動点(A)に印加される負荷を分散するように働く。
セクタS1はまた、ヒンジ点(H2)も含んでいる。ヒンジ点(H1)は、極大または極小点に配設されないが、少なくとも3つの制御点が必要な膜の平面を画成するのに役立つ。上で説明した「角度を成す圧縮」モードで動作する膜アセンブリ、例えば、本発明の実施の形態の第1のレンズアセンブリ1の場合、ヒンジ点は、レンズの作動中にリングが移動しない(または実質的に移動しない)膜支持リング2、10上のいずれの制御点においても使用できる。したがって第1のレンズアセンブリ1のヒンジ点(H1)、(H2)同じセクタ内に配設され、傾斜軸Tと作動点(A)との間の軸によって実質的に垂直に二等分される傾斜軸T(図10を参照)を画成して(定めて)いる。傾斜軸Tも、アセンブリの短辺7、9と略平行である。光学中心OCは、傾斜軸Tと作動点(A)との間に配設されている。実施の形態によっては、隣接するヒンジ点は、それらの間に極小点があれば、隣接するセクタに位置していてもよい。
図24は、光学中心OCとリング102、110との間の距離が、どのようにリング102、110の周りで第2のレンズアセンブリ101において変化するかを示している。見て取れるように、4つの無支持極小点(C)、(D)、(E)、および(F)があり、ここで、リング102、110は、中心OCに局所的に最も接近して配設されている。アセンブリの角部121は、中心OCから最も遠くに離れており、そのため、それらは極大点を備えている。作動点(A)は、各角部121に配置されており、辺103、105、107、109は、制約を受けずにいる。4つの極小点(C)、(D)、(E)、および(F)は、4つのセクタS1〜S4を画成しており、それぞれの作動点(A)は、各セクタ内に配設されている。図21Bに示すような、Z方向に作動力Fが均一に後部カバープレート116に印加される代替の実施の形態において、ヒンジ点(H)は、各角部121に設置されてもよく、これは、各角部121におけるリング102、110の効果的な変位が同一であり、そのため、各ヒンジ点(H)における効果的な変位が同一であるため、可能である。
備えられた制御点が多いほど、膜の変形をより正確に制御できることは言うまでもない。さらに、追加の作動点により、膜表面の改良された制御および可能性のあるレンズ形状の幅広い設定が容易となる。
当業者は、ここで説明する種類のレンズアセンブリ1;101が、図1および2のメガネ90等の一組のメガネに使用される場合、選択的に操作可能な作動機構が、レンズを直接または間接に操作するよう、キャビティ22、122の必要な圧縮およびレンズを作動する流体圧調節を与えるために備えられるべきであることを理解するであろう。かかる作動機構を、ブリッジ94およびテンプルアーム93のうちの一方または両方に便利よく備えてもよい。実施の形態によっては、各レンズアセンブリ1;101に対して別個の作動機構を各アーム93に備えてもよく、機構同士は、2つのアセンブリ1;101の同時作動を提供するよう電気的に連結されてもよい。作動機構は、ここで説明しないが、一般論として、機械的、電気的、磁気的、眼または頭の動きによる自動的なものであってもよく、または、形状記憶合金(SMA)、ワックス、または電気活性ポリマー等の相変化材料の使用に関係させてもよい。レンズアセンブリ1;101の何らかの受動制御が望まれる場合には、ポンプにより流体圧を調節してもよい。
別個の前後支持リング2、10;102、110の使用は、本発明の実施の形態のレンズアセンブリ1;101の基本機能を達成するために必須ではなく、いくつかの変形例において、膜8;108が、単一の可撓性リングによって支持されてもよいことは、正しく理解されよう。しかし、2つ以上の支持リングの使用は、例えば、支持リング2、10においてねじる割合を制御するために、そして特に、アセンブリの製造中に有利であることが判明した。
図25は、接着剤の環状層254を用いた、単一の膜支持リング210への可撓性膜208の取り付けを示している。膜208が接着剤を用いてこの方法で単一リング210に取り付けられる場合、膜208に付与される張力により、膜208が支持リング210の周囲にモーメントを作用させ、支持リング210の一面を引っ張り、それによって、誇張した形式で点線に示すように、支持リング210を局所的にレンズの中心に向かって傾斜させる傾向があることが見出された。これは、リング210がアセンブリの他の構成要素とまっすぐに位置しておらず、リング210の曲げの制御をより難しくしていることを意味するため、望ましくない。リング210におけるかかる望ましくないねじれは、レンズにおけるエッジ効果およびレンズ度数の関数としての光学収差の導入も引き起こす。
本発明の実施の形態は、2つの支持リング2、10;102、110;302、310(図26参照)を用いることによって、この問題に対する解決策を提供する。図26は、可撓性膜308が前後支持リング302、310間に保持された、改良された組立方法を示している。この改良方法において、膜308は以前と同様に予め張力がかけられているが、後部支持リング310の前面に接着剤354の層を塗布することと同様に、接着剤356の層が、前部支持リング302の後面にも塗布される。これは、同時または順次行うことができる。二つの支持リング302、310は次いで、図示のように、膜308のいずれかの面に同時に一緒になって、膜308をそれらの間で挟持する。可撓性膜308は、ひとつのリングのみで保持されることにならないので、両リング302、310によって同時に提供される追加の支持により、それがなければ発生するであろういかなる局所ねじり力ともバランスを取り、したがって、バランスの取れた支持を提供する。次に接着剤が硬化される。したがって、膜308において予張力を保持する実質的な平面挟持構造が形成される。当業者は、膜内の張力が、膜の各辺でリングに均一に加わり、望ましくないねじり力を回避するような方法で、膜が支持リング間に挟持されるのであれば、必要に応じて3つ以上の支持リングを採用することができることを、正しく理解するであろう。したがって、例えば、2つ以上の支持リングを膜の各辺に備えてもよい。
本発明の種々の実施の形態および態様は先に説明しており、そのすべては、可撓性膜8、108の制御された変形を提供している。特に、説明した実施の形態は、弾性膜8、108の実質的な球体変形、またはひとつ以上のゼルニケ多項式または他の表面膨張に従う変形がどのように達成できるかを示している。光学的歪みは最小化され、レンズは、遠距離焦点から近距離焦点へのスムーズな移行を提供するよう用いることができる。かかる制御された変形は、いずれの従来の非円形流体充填レンズによっても達成されていない。当業者は、ゼルニケ多項式に従う変形が必ずしも必須ではなく、本発明の実施の形態を用いて、弾性膜8、108の変形を他の所望形状に制御できることを理解するであろう。本発明の実施の形態のレンズアセンブリは、用途によって生じることになる種々の光学収差を矯正することに使用できる。これは、異なるゼルニケ関数の組み合わせに基づく設計によって達成できる。
先に説明した第1および第2のレンズアセンブリ1;101において、それらの周りの膜支持リング2、10;102、110の剛性の変化は、幅および、したがって、リングの周りの支持リングの断面2次モーメントを変化させることによって達成される一方、z方向におけるリングの深さは、実質的に一定のままである。この剛性は異なる方法で調節できる。例えば、x−y平面におけるリングの幅を変更する代わりに、z方向のリングの深さを調節してもよい。別の代替において、単数または複数のリングは、各部分が選択した剛性の材料から形成され、部分同士の端部と端部とを接合してリングを形成する複数のリングセグメントのアセンブリを備えていてもよい。したがって、リングの異なるセグメントに対する異なる材料の使用により、リングの剛性を、リング周囲で要望通りに調節できる。リングセグメントは、必要に応じて、同じ長さまたは異なる長さを有してもよい。例えば、短いリングセグメントは、剛性が距離とともにより変化することを要するリングの範囲に用いられる。さらに別の代替において、単数または複数のリングの選択領域の熱または化学的処理を、それらの材料特性を変質させるために用いてもよい。さらに別の代替は、単数または複数のリングに対して複合材を用い、材料の構造を変えることによって、例えば、強化繊維の配向を変更することによってリングの周りの選択位置において材料の特性を変化させることであってもよい。
第1および第2のレンズアセンブリ1;101は、可撓性膜8;108が作動時に着用者の眼から離れる方向に前方に隆起するように、1組のメガネ90に適切に組み付けられてもよい。これは、安全上の理由のために好ましいが、膜が使用者の眼に向かって隆起するようにレンズアセンブリ1;101が同じく良好にメガネに組み付けられ得ることは正しく理解されよう。
第1および第2のレンズアセンブリ1;101において、キャビティ22;122は、部分的に皿形部品12;112、後部カバープレート16;316に取り付けられるその後壁19;119によって画成されている。変形において、皿形部品12;112は、省略され、皿形部品の側壁18;118のみに類似し、後部カバープレート16;116と後部支持リング10;110(または、含まれる場合は補強ダイヤフラム24)との間のシールを形成する可撓性封止リング(不図示)によって置き換えてもよい。
また、固定処方レンズ(遠視または近視用)が、本発明の実施の形態のレンズアセンブリ1;101に含まれ得ることに留意されたい。これは、固定度数のレンズを前部カバープレート4;104として、および/または後部カバープレート16;116として使用することにより達成できる。かかる固定度数のレンズは、作動時の調節可能レンズの光学中心OCとできるだけ近く整列される光学中心を有するべきである。
これ以前に説明したような本発明の実施の形態の調節可能レンズアセンブリ1;101は、−8から+4ジオプトリまでの度数の変化を提供できる。負の度数が必要であれば、これを達成するために可撓性膜8;108を内側に曲がるよう配列すべきである。
本発明の実施の形態はまた、例えば、音響等の他の分野における表面の変形を制御することに対しても用いられる。印加力Fを急速に振動させることによって、発振圧力波が、膜と接触している流体に発生する。膜の変形は本発明の実施の形態に従って球状に制御できるので、かかる圧力波は点源から発するように見えるであろう。これは、波が望ましくない干渉パターンを呈することなく、一方でトランスデューサとして膜を組み込んでいる(例えば)スピーカの形状を非円形にすることができる。したがって、それを限定された空間内、例えば、テレビや携帯電話内にパッケージ化することができる。一般論として、上で説明した原理は、表面の寸法形状を制御可能に変更することを要するいずれの用途にも適用できる。
1 第1のレンズアセンブリ
101 第2のレンズアセンブリ
2、10、102、110、302、310 膜支持リング
3、5 長辺
3a、3b 補強リブ
4、104 前部カバープレート
6 保持リング
7、9 短辺
8、108、208、308 可撓性(弾性)膜
12、112 皿形部品
14 後面
15 前縁部
16、316 後部カバープレート
17 前面
18 側壁
19、119 後壁
22 キャビティ
122 キャビティ
23 保持リングの内面
24 補強ダイヤフラム
26 突出タブ
28a、28b 孔
30 凹部
31 半円形突出部分
32a、32b アパーチャ
34 後方棚部
36 前方棚部
39 保持リングと一体に形成される構成
92 フレーム
93 テンプルアーム
94 ブリッジ
103、105、107、109 膜の辺
116 後部カバープレート
119 後壁
121 角部
210 単一の膜支持リング
254 接着剤の環状層
(A) 作動点
(B) (極大)点
(C) 点
(D)、(E) 長辺上の(極小)点
(F) 極小点
(H)、(H1)、(H2) ヒンジ点

Claims (39)

  1. 少なくとも部分的に可撓性のある流体充填エンベロープであって、前記エンベロープの一つの壁部が、弾性的に曲がることのできる支持リングにより縁部の周囲に保持される弾性膜によって形成される、エンベロープと;
    前記エンベロープのための固定された支持体と;
    前記エンベロープ内の前記流体の圧力を調節するために前記支持リングと前記支持体との間で相対移動を引き起こさせることによって、前記膜を変形させるための選択的に操作可能な手段とを備え;
    前記リングの曲げ剛性は、前記膜の変形時に、前記リングが可変的に曲がって前記膜の形状を所定の形態に制御するように、前記リング周囲で変化し、前記移動手段は、離間する制御点において前記リングに力を印加するように配置された複数のリング係合部材を備え;
    少なくとも3つの制御点が存在し、前記リング上の各点にまたはその近傍にひとつの制御点が存在し、ここで、前記膜の変形時に前記所定の形態を生じることが必要な前記リングの外郭形状が、2つの隣接する点の間の前記制御点で印加される力の方向の転換点を呈し、ここで、前記リングの前記外郭形状は、反対方向への変曲点または転換点を呈する;
    変形可能膜アセンブリ。
  2. 前記移動手段は、各制御点において同じ方向に力を前記リングに印加する、
    請求項1に記載の変形可能膜アセンブリ。
  3. 前記移動手段は、前記エンベロープを圧縮するように構成される、
    請求項1または請求項2に記載の変形可能膜アセンブリ。
  4. 前記移動手段は、前記エンベロープを膨張させるように構成される、
    請求項1または請求項2に記載の変形可能膜アセンブリ。
  5. 制御点は、前記リング上の各点に、またはその近傍に配設され、ここで、作動時に前記リングの前記外郭形状が、前記リング上の2つの隣接点の中間の前記エンベロープに対して内向きの方向に極大変位を呈し、ここで、前記方向における前記リングの前記外郭形状が、前記内向きの方向における極小変位を呈する、
    請求項3に記載の変形可能膜アセンブリ。
  6. 流体充填圧縮性エンベロープであって、前記エンベロープのひとつの壁部が、弾性的に曲がることができる支持リングにより縁部の周囲に保持される膨張性膜によって形成される、流体充填圧縮性エンベロープと;
    前記エンベロープのための固定支持体と;
    前記エンベロープを第1の方向に前記支持体へ押し付けて内部の流体の圧力を高め、よって前記膜を第2の反対方向へ外向きに変形させるための、選択的に操作可能な手段とを備え;
    前記リングの曲げ剛性は、前記膜の膨張時に、前記リングが可変的に曲がって前記膜の形状を所定の形状に制御するように、前記リング周囲で変化し、複数のリング係合部材が、押し付け力を前記リングと前記支持体との間に印加するために、選択された離間する制御点において前記リングと係合するように配置され;
    少なくとも3つの制御点が存在し、前記リング上の各点にまたはその近傍にひとつの制御点が存在し、ここで、前記第1の方向における前記リングの変位が、前記リング上の2つの隣接点の中間で極大であり、ここで、前記第2の反対方向における前記リングの変位が極大である、
    変形可能膜アセンブリ。
  7. ひとつ以上の前記制御点は作動点であり、ここで、前記リング係合部材は、前記支持に対して相対的に前記支持リングを能動的に変位させるよう構成される、
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  8. 前記膜は、非作動状態と完全に変形した状態との間で連続的に調節可能であり、前記非作動状態と完全に変形した状態との間の各位置において、前記支持リングは、前記膜の所定の形態を達成するために必要な距離だけ前記または各作動点において、変位させられる、請求項7に記載の変形可能膜アセンブリ。
  9. ひとつ以上の前記制御点はヒンジ点であり、ここで、前記リング係合部材は、前記支持体に対して相対的に前記支持リングを静止させて保持するように構成される、
    請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  10. 前記膜は、非作動状態と完全に変形した状態との間で連続的に調節可能であり、前記支持リングは、非作動状態と完全に変形した状態との間の各点において前記膜の所定の形態を達成するために、前記または各ヒンジ点において静止したままであることを要する、
    請求項9に記載の変形可能膜アセンブリ。
  11. 2つの隣接するヒンジ点が傾斜軸を画成し、少なくともひとつの作動点が存在し、前記作動点で、前記リング係合部材は、前記エンベロープの容積を調節するために前記傾斜軸を中心として前記支持体に対して相対的に前記リングを傾かせるために、前記支持体に対して相対的に前記支持リングを能動的に変位させるよう構成される、
    請求項9または請求項10に記載の変形可能膜アセンブリ。
  12. 前記所定の形態は中心を有し、前記所定形態の前記中心から実質的に等距離の複数のヒンジ点が存在する、
    請求項9、請求項10、または請求項11に記載の変形可能膜アセンブリ。
  13. 前記支持リングは、2つの短辺と2つの長辺を有する略矩形であり、前記少なくともひとつの作動点は、前記短辺のうちのひとつの上に位置し、前記2つの隣接するヒンジ点は、もう一方の短辺上またはその近傍に位置する、
    請求項11または請求項12に記載の変形可能膜アセンブリ。
  14. 前記所定の形態は中心を有し、前記一短辺は概して前記中心を中心とする円の弧に追従し、前記少なくともひとつの作動点は、前記一短辺上で実質的に中央に位置する、
    請求項13に記載の変形可能膜アセンブリ。
  15. 前記支持リングは、前記制御点間の前記支持に対して相対的に受動的に自在に曲がる、
    請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  16. 補強要素が、前記支持リングのひとつ以上の領域を補強するために提供される、
    請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  17. 前記支持リングは2つ以上のリング要素を備え、前記膜は、2つの隣接するリング要素間に挟持される、
    請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  18. 少なくとも部分的に可撓性のある流体充填エンベロープであって、前記エンベロープのひとつの壁が、弾性的に曲がることができる支持リングにより縁部の周囲において保持される膨張性膜によって形成される、流体充填エンベロープと;
    前記エンベロープ内の流体の圧力を調節して前記膜を変形させるための選択的に操作可能な手段とを備え;
    前記リングの曲げ剛性は、前記膜の変形時に、前記リングが可変的に曲がって前記膜の形状を所定の形態に制御するように、前記リング周囲で変化;
    前記リングが複数のリング要素を備え、前記膜が2つの隣接するリング要素間に挟持される、
    変形可能膜アセンブリ。
  19. 前記支持リングは実質的に均一で均質の材料でできており、可変断面2次モーメントを有して前記リング周囲の前記曲げ剛性を制御する、
    請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  20. 前記支持リングは実質的に均一の深さと可変幅とを有して、前記リング周囲の断面2次モーメントを制御する、
    請求項19に記載の変形可能膜アセンブリ。
  21. 前記支持リングは、前記膜が変形するとき前記所定の形態を達成するように、最も曲がることを要する箇所で最も狭い、
    請求項20に記載の変形可能膜アセンブリ。
  22. 前記所定の膜形状は球体である、またはひとつ以上のゼルニケ多項式
    によって定義される形態である、
    請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  23. 前記支持リングは、前記リングを前記リング係合部材と係合させるために前記作動点または前記作動点のうちの少なくともひとつにおいて突出タブをもって形成されている、
    請求項7、請求項8、請求項11、請求項13、請求項14のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  24. 前記支持リングは非作動時に平坦であり、前記膜は前記リング上で予め張力がかけられる、
    請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  25. 前記支持リングに取り付られる補強ダイヤフラムが設けられ、前記ダイヤフラムの剛性は、前記リングの曲げ方向よりも前記リングの平面の方が高い、
    請求項24に記載の変形可能膜アセンブリ。
  26. 前記補強ダイヤフラムは、前記膜における張力が前記ダイヤフラムに均一に伝達されるように、前記リング周囲で均一に前記支持リングに固定されている、
    請求項25に記載の変形可能膜アセンブリ。
  27. 前記リング平面内で、前記膜は、一方の寸法が他方の寸法よりも長く、前記補強ダイヤフラムは、前記一方の寸法において前記他方の寸法よりも低い剛性を有する、
    請求項25または請求項26に記載の変形可能膜アセンブリ。
  28. 少なくとも部分的に可撓性である流体充填エンベロープであって、前記エンベロープひとつの壁部が、弾性的に曲がることができる支持リングにより縁部の周囲に保持される膨張性膜によって形成される、流体充填エンベロープと;
    前記エンベロープ内の流体の圧力を調節して前記膜を変形させるための選択的に操作可能な手段とを備え;
    前記支持リングは非作動時に平坦であり、前記膜の変形時には前記支持リングが可変的に曲がって前記膜の形状を所定の形態に制御するように、前記支持リング周囲で変化する曲げ剛性を有し;
    前記膜は前記支持リング上で予め張力がかけられ、前記支持リングに取り付けられる補強ダイヤフラムが設けられ、前記ダイヤフラムの剛性は、前記支持リングの曲げ方向よりも前記支持リングの平面の方が高い、
    変形可能膜アセンブリ。
  29. 前記補強ダイヤフラムは、前記膜における張力が前記ダイヤフラムに均一に伝達されるように、前記リング周囲で均一に前記支持リングに取り付けられている、
    請求項28に記載の変形可能膜アセンブリ。
  30. 前記支持リングの平面内で、前記膜は一方の寸法が他方の寸法よりも長く、前記補強ダイヤフラムは前記一方の寸法において前記他方の寸法よりも低い剛性を有する、
    請求項28または請求項29に記載の変形可能膜アセンブリ。
  31. 前記流体充填エンベロープは、前記膜から離間される不撓性後壁と、前記膜と前記後壁との間の可撓性側壁とを備える、
    請求項1乃至請求項30のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  32. 前記膜、後壁、および流体は、前記膜および後壁が調節可能な光学レンズを形成するように透明である、
    請求項31に記載の変形可能膜アセンブリ。
  33. 前記後壁は、固定レンズを提供する形状を成す、
    請求項32に記載の変形可能膜アセンブリ。
  34. 前記膜を覆う透明な剛性前部カバーをさらに備え、前記前部カバーは固定レンズを提供する形状を選択的に成す、
    請求項32または請求項33に記載の変形可能膜アセンブリ。
  35. 前記エンベロープは保持リング内に収容される、
    請求項32乃至請求項34のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリ。
  36. 請求項32乃至請求項35のいずれか1項に記載の変形可能膜アセンブリを備えるメガネ類の製品。
  37. リム部を有するフレームを備え、前記変形可能膜アセンブリが前記リム部内に取り付けられている、
    請求項36に記載のメガネ類の製品。
  38. 実質的に、図面の図3〜図12または図19〜図20または図21〜図22を参照してこれまでに説明し、また前記図面に示す変形可能膜アセンブリ。
  39. 実質的に、図面の図2〜図12を参照してこれまでに説明し、また前記図面に示すメガネ。
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