JPH05303011A - 可変焦点レンズ - Google Patents

可変焦点レンズ

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Publication number
JPH05303011A
JPH05303011A JP16317192A JP16317192A JPH05303011A JP H05303011 A JPH05303011 A JP H05303011A JP 16317192 A JP16317192 A JP 16317192A JP 16317192 A JP16317192 A JP 16317192A JP H05303011 A JPH05303011 A JP H05303011A
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JP
Japan
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lens
transparent
variable focus
transparent film
focus lens
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Application number
JP16317192A
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English (en)
Inventor
Takekazu Terui
武和 照井
Yoshiaki Fukatsu
喜明 深津
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重力等による不均一な湾曲変形を生じさせ
ず、均一で良好なレンズ面を形成することができる可変
焦点レンズを提供する。 【構成】 少なくとも一面を透明膜8で形成されたレン
ズ体10の内部に透明液体11が充填され、透明液体1
1の容量を変えることにより透明膜8の曲率を変化さ
せ、レンズ体10の焦点を変化させる可変焦点レンズで
ある。透明膜8が合成樹脂製フィルムで形成され、透明
膜8の周縁部が支持枠体1、2の内側に固定された環状
のゴム状挟持部材5、6によって挟持され、ゴム状挟持
部材5、6の挟持面が凸状曲面で形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも一面が透明
膜で形成されたレンズ体の内部に透明液体を充填し、そ
の液体の容量を変えることにより透明膜の曲率を変化さ
せ、レンズの焦点距離を変化させる可変焦点レンズに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の可変焦点レンズとして、
円形リング状の支持枠の両側に透明弾性膜を張設し、内
部に透明な液体を充填した構造の可変焦点レンズが、特
開昭55−36857号公報等により提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この可変焦点
レンズは、透明弾性膜として合成ゴムが使用され必然的
に膜の弾性率が低いため、透明弾性膜が重力によって変
形しやすく、レンズ面に不均一な湾曲変形を生じさせ、
レンズ性能を低下させやすい問題があった。また、重力
の影響を少なくするためには、合成ゴムの透明弾性膜を
高い張力で固定する必要があるが、弾性膜を高い初期張
力で円形の支持枠に固定することは容易ではなく、膜に
たるみを生じさせやすい課題があった。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたもので、重力等による不均一な湾曲変形を生じさ
せず、均一で良好なレンズ面を形成することができる可
変焦点レンズを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このために、本発明の可
変焦点レンズは、少なくとも一面が透明膜で形成された
レンズ体の内部に透明液体を充填し、透明液体の量を変
えることにより透明膜の曲率を変化させ、レンズ体の焦
点を変化させる可変焦点レンズにおいて、透明膜が合成
樹脂製フィルムで形成され、透明膜の周縁部が支持枠体
の内側に固定された環状のゴム状挟持部材によって挟持
され、ゴム状挟持部材の挟持面が凸状曲面で形成される
構成とした。
【0006】
【作用】上記構成の可変焦点レンズは、レンズ体内部に
充填する透明液体の量を変えることによって、透明膜つ
まりレンズ面の曲率を変え、レンズの焦点を変化させて
使用される。また、この可変焦点レンズでは、合成樹脂
製フィルムにより透明膜が形成されるため、従来の合成
ゴム製の透明膜に比べ、透明膜の弾性係数が高く、透明
膜を支持枠体に張設する場合、充分な初期張力をもって
容易に張設することができる。
【0007】このため、膜にたるみが生じにくく、ま
た、重力による不均一な湾曲変形が生じにくい。さら
に、透明膜の周囲が、挟持面に凸状曲面を有するゴム状
挟持部材によって挟持されるため、全周にわたり線接触
に近い状態で膜の周縁が挟持され、これによって、組み
付け時や変形動作時に膜にしわやたるみが発生しにくく
なる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0009】図1は可変焦点レンズの正面図を示し、図
2はその断面図を示している。1はレンズ体10のフレ
ーム部を構成する片側の支持枠体であり、環を円柱方向
を含む面で分割した半環状に形成され、同様の形状を持
つ他方の片側の支持枠体2と嵌合して組み立てられる。
そして、レンズ体10のカバーをなす透明板3が嵌合さ
れた支持枠体1、2の内側開口部を閉鎖するように固定
される。
【0010】一方、レンズ体10の背面を構成する透明
球面板4が裏面側に凹状の球面を持つように固定され
る。これは、レンズの使用(焦点範囲)により裏面側に
凸状の球面としてもよく、また、同様に平面でもよい。
透明板3と透明球面板4は、約95%以上の光透過率を
有するガラス板或は透明合成樹脂板から形成される。支
持枠体1、2はチタン合金等の軽量で高強度の金属で形
成される。
【0011】さらに、透明板3と透明球面板4の内側に
は、環状のゴム状挟持部材5、6(例えば、ニトリルゴ
ム製)が各透明板3、4のレンズ体10の内部で各枠体
の内周面に沿って接着され、ゴム状挟持部材5、6の内
側には、各々弾性リング7、7が支持枠体1、2の内周
面にゴム状挟持部材5、6をばね弾性で押し付けるよう
に配設される。
【0012】環状のゴム状挟持部材5、6の挟持面(内
側の面)5a,6aは、図3に示すように、その横断面
が凸状曲面となるように形成される。また、ゴム状挟持
部材5、6が接着される透明板3と透明球面板4のレン
ズ体10の内側に、接着剤溜り15を設けて接着部のシ
ール性を向上させている。
【0013】8はレンズ体10の前面を形成する透明膜
であり、支持枠体1、2内でゴム状挟持部材5、6によ
り挟持されて張設される。この透明膜8は、透明な合成
樹脂製フィルムから形成され、従来の合成ゴム膜などに
比べ、高い弾性係数を有している。透明膜8となる合成
樹脂製フィルムとしては、例えば、厚さ20〜75μ
m,縦弾性係数49.0kg/mm2 のテフロンフィル
ム(デュポン社製)が使用される。
【0014】ゴム状挟持部材5、6を取付けた透明板3
と透明球面板4は、ゴム状挟持部材5、6の挟持面5
a,6a間で、透明膜8の周縁部を張力を与えた状態で
挟持するように、重ね合され、半環状の支持部材1、2
がそれらを包み込むように左右から嵌合され、環状とな
って締付ねじ9により締付固定される。
【0015】ゴム状挟持部材5、6の挟持面5a,6a
は凸状曲面となっているため、相互に押し付けられた場
合、図4に示すように、その凸状挟持面の頂点付近でそ
の面圧が最も高くなり、内周側・外周側になる程、その
面圧は低下する。また、その面圧分布を一定に保つため
に、ゴム状挟持部材5、6の挟持面5a,6aの頂点を
一致させるように、支持部材1、2は半環状に形成さ
れ、左右から組み付ける構造を採用している。
【0016】このため、透明膜8の周縁部はゴム状挟持
部材5、6によって線接触に近い状態で両側から高い面
圧で押圧されるため、透明膜8とゴム状挟持部材間5、
6に滑りが生じず、透明膜8はたるみやしわをつくらず
に良好に張設される。また、透明膜8が高い弾性係数を
有する合成樹脂製フィルムであって、充分高い張力状態
で挟持されるため、液体注入後の重力による不均一な変
形を防止している。
【0017】12は透明液体注入用の注入チューブであ
り、注入チェーブ12の先端は支持枠体2とゴム状挟持
部材6の外周部と内周部に半径方向に穿設された孔に差
し込まれ、接着剤で固定される。
【0018】注入チューブ12の末端は図示しない液体
ポンプに接続され、注入チューブ12を通して透明液体
11がレンズ体10の内部つまり透明膜8と透明球面板
4間の空間に充填される。この透明液体11としては、
例えば、屈折率約1.5、粘度約1のシリコーンオイル
が使用される。また、透明板3と透明膜8間には窒素ガ
ス等の乾燥気体が封入され、透明板3の内面に曇りが生
じないようにしている。
【0019】上記構成の可変焦点レンズは、レンズ体1
0の内部に充填する透明液体11の量を変えることによ
って、透明膜8の曲率を変え、レンズの焦点を変化させ
て使用される。
【0020】透明膜8は高い弾性係数を有する合成樹脂
製フィルムであり、比較的高い張力状態で張設されてい
るため、可変焦点レンズの下部が重力によって膨出する
ような不均一な変形が生じず、変形のない適正なレンズ
形状を保持することができる。
【0021】一般に、レンズの前面曲率をr1 、背面曲
率をr2 、レンズの屈折率をn、レンズ中心の厚さを
d、とした場合、レンズの焦点距離fは、 1/f= (nー1)/r1 +(1ーn)/r2 +d/n×(1ーn)2 /r1 ・r2 の式から求められる。
【0022】したがって、レンズ体10の屈折率nは、
透明液体であるシリコーンオイルの屈折率(例えば1.
5)によって決まるから、注入チューブ12に接続され
たポンプにより、レンズ体10内の透明液体11の量を
増減させると、レンズの前面曲率(又は背面曲率)とな
る透明膜8の曲率、及びレンズ体10の厚さが変化し、
レンズの焦点距離を変えることができる。
【0023】図5は上記構成の可変焦点レンズにおける
実験例のグラフであり、レンズ体10内に注入する透明
液体11の注入量とレンズの焦点距離fとの関係を示し
ている。なお、透明液体(信越化学工業社製シリコーン
オイル)の屈折率nは1.555、透明球面板4の曲率
は無限大である。
【0024】図6〜図8は可変焦点レンズの他の実施例
を示している。レンズ体20のフレーム部を構成する表
側の支持枠体21と裏側の支持枠体22は、環状に形成
され、表側の支持枠体21の前面に、透明板23がカバ
ーとして固定され、裏側の支持枠体22には透明球面板
24が固定される。
【0025】支持枠体22の内周部には、硬質合成樹脂
又は金属製の環状スペーサ27が配設され、透明球面板
24と環状スペーサ27との間にOリング19が、スペ
ーサに設けた溝内にシール用に嵌挿される。
【0026】表側の支持枠体21と裏側の支持枠体22
は重ね合せるように組み付けられ、締付ねじ29により
締付固定されるが、上記と同様の合成樹脂製フィルムの
透明膜28は、環状スペーサ27と表側の支持枠体21
との間に介挿された、2本のOリング25、26を介し
て挟持される。
【0027】即ち、環状スペーサ27の前面に形成され
た溝内にOリング26が嵌挿され、表側の支持枠体21
における環状スペーサ27との対向面に、他のOリング
25がその対向位置に設けられた溝内に嵌挿される。そ
して、それらのOリング25、26を合せ、その間に透
明膜28を挟持するように支持枠体21、22が組み付
けられる。
【0028】ところで、Oリング25、26は各溝内に
その一部を少し突出するように、また殆ど隙間なく嵌挿
されている。したがって、支持枠体21と22が組み付
けられ締付けられた状態における、Oリング25、26
の変形は防止され、その突出した部分間で透明膜28が
強力に挟持される。
【0029】また、透明膜28は、Oリング25、26
の凸状曲面で挟持されるため、上記実施例と同様に、線
接触に近い状態で両側から高い面圧で押圧され、透明膜
28とOリング25、26間に滑りが生じず、透明膜2
8はたるみやしわをつくらずに良好に張設される。
【0030】そして、レンズ体20における透明膜28
と透明球面板24間の空間には、支持枠体21、22の
一部に接続した注入チューブからシリコーンオイル等の
透明液体が注入される。
【0031】図9、図10は可変焦点レンズを使用した
眼鏡の例を示し、この眼鏡は、例えば、老眼等の矯正用
に使用される。
【0032】この眼鏡は、2枚の可変焦点レンズを接続
部16で平行に接続し、両側に図示しない耳掛け部を設
けて形成され、各可変焦点レンズは、上記と同様に、支
持枠体31と裏側の支持枠体32が環状に形成され、表
側の支持枠体31の前面に、透明板33がカバーとして
固定され、裏側の支持枠体32には透明球面板34が固
定される。支持枠体32の内周部には、硬質合成樹脂又
は金属製の環状スペーサ37が配設され、透明球面板3
4と環状スペーサ37との間にOリングが、スペーサに
設けた溝内にシール用に嵌挿される。
【0033】表側の支持枠体31と裏側の支持枠体32
は、重ね合せるように組み付けられて、締付ねじ39に
より締付固定され、合成樹脂製フィルムの透明膜38
が、環状スペーサ37と表側の支持枠体31との間に介
挿された、2本のOリング35、36を介して挟持され
る。
【0034】透明膜38と透明球面板34間の空間に、
シリコーンオイル等の透明液体が注入されて、レンズ体
30が形成されるが、その透明液体を注入・排出するた
めに、環状スペーサ37の一部に注入口17と排出口1
8が設けられる。
【0035】各可変焦点レンズの注入口17は、チュー
ブを介してポンプPの吐出側に接続され、排出口18は
別のチューブを介してポンプPの吸入側に接続される。
また、注入側のチューブには、コントローラ40により
制御される各々バルブV1、V2と流量センサF1、F
2が直列に接続される。
【0036】また、眼鏡中央の接続部16には、距離セ
ンサLが前方を向けて取付けられる。この距離センサL
は、赤外線或は超音波を視覚対象物に向けて放射し、そ
の反射波を受信して発信から受信までの時間に基づき、
視覚対象物までの距離を検出する構造である。
【0037】流量センサF1、F2と距離センサLはコ
ントローラ40の入力回路に接続され、バルブV1、V
2とポンプPがコントローラ40の出力回路に接続され
る。
【0038】コントローラ40は、距離センサLから送
られた視覚対象物までの距離データに基づき、ポンプP
及びバルブV1、V2を駆動制御して可変焦点レンズの
レンズ体30内の透明液体の量を調整することにより、
透明膜38の曲率、及びレンズ体30の厚さを変え、レ
ンズ体30の焦点距離を視覚対象物までの距離に応じて
調整するように構成される。
【0039】例えば、老眼の矯正用にこの可変焦点レン
ズ眼鏡を使用する場合、この眼鏡をかけた老眼者が遠く
を見たとき、コントローラ40は 距離センサLから送
られた視覚対象物までの距離データに基づき、ポンプP
及びバルブV1、V2を駆動制御して可変焦点レンズの
レンズ体30内の透明液体の量を減少させ、レンズ体3
0の焦点距離をより長くするように調整する。これによ
り、老眼者は遠くのものを明確に見ることができる。
【0040】一方、老眼者が近くのものを見たとき、コ
ントローラ40は 距離センサLから送られた視覚対象
物までの距離データに基づき、ポンプP及びバルブV
1、V2を駆動制御して可変焦点レンズのレンズ体30
内の透明液体の量を増大させ、レンズ体30の焦点距離
をより短くするように調整する。これにより、老眼者は
近くのものも明確に見ることができる。
【0041】このように、上記の可変焦点レンズ眼鏡を
老眼の矯正用に使用した場合、老眼者の明確に見える範
囲を、通常の老眼用眼鏡に比べ、近くのものから遠くの
ものまで大きく広げることができる。
【0042】また、可変焦点レンズを使用した眼鏡は、
仮性近視や近視度の進行中の人の矯正用に有効に使用す
ることができる。この場合、上記の距離センサLを設け
る必要はない。仮性近視の矯正用に可変焦点レンズ眼鏡
を使用する場合、コントローラ40によって、ポンプP
及びバルブV1、V2を駆動制御して、可変焦点レンズ
のレンズ体30内の透明液体の量を非常にゆっくりと増
減させ、レンズ体30の焦点距離を徐々に変えるように
し、仮性近視者の目の調整機能を活性化させることがで
きる。
【0043】近視度が進行中の人用の可変焦点レンズ眼
鏡では、コントローラ40にレンズ体30のジオプター
(又は焦点距離)をセットする設定器を設けておき、コ
ントローラ40がその設定器にセットされたジオプター
からレンズ体30内の透明液体の量を算出し、その量に
基づき透明液体の量を調整するように動作させる。これ
により、近視度が進行中の人は、その近視度に応じて設
定器を操作し、眼鏡のレンズ体30の焦点距離を近視度
に応じて徐々に変えていくことができる。このため、近
視度が安定するまでこの眼鏡を使用することができ、レ
ンズを買い替える必要はない。
【0044】なお、上記の可変焦点レンズ眼鏡を、乱視
を含む近視や遠視の矯正用に使用する場合、レンズ体3
0の透明球面板34の球面曲率を乱視軸に応じて変えて
形成することにより、対処することができる。
【0045】図11、図12は上記の可変焦点レンズを
使用した自覚式検眼装置の例を示している。上記と同様
に構成された一対の可変焦点レンズ45は、装置本体4
6の上部に配設され、この一対の可変焦点レンズ45を
通して被検者は装置本体46内を見る。装置本体46内
には、可変焦点レンズ45のすぐ内側に遠視点用レンズ
47、近視点用レンズ48が切り替え可能に配設され、
反射鏡49が設けられ、その下方に検眼用の視標44が
設けられる。被検者は、可変焦点レンズ45、遠視点用
レンズ47又は近視点用レンズ48、反射鏡49を介し
て視標44を視認する構成である。
【0046】一対の可変焦点レンズ45は、上記実施例
と同様に、流量センサF、バルブVを介してチューブに
よりポンプPに接続され、バルブV、ポンプPはコント
ローラ50により駆動制御される。装置本体46の前面
には各可変焦点レンズ45のジオプター(又は焦点距
離)を変えるための調整つまみ43が可変抵抗器等に接
続されて設けられている。
【0047】コントローラ50は、この調整つまみ43
の回転角度により指示されたレンズのジオプターから、
可変焦点レンズ45のレンズ体内部に注入する透明液体
の量を算出し、バルブVとポンプPを駆動してレンズ体
内の透明液体の量を調整し、レンズ体の曲率と厚さを変
えてレンズ45のジオプター(焦点距離)を指示値に合
せるように構成される。また、装置本体46の前面には
各可変焦点レンズ45のジオプターを数値表示する表示
器42が設けられる。
【0048】このように構成された自覚式検眼装置で
は、被検者は、可変焦点レンズ45を通して内部の視標
44を視認しながら、調整つまみ43を操作し、コント
ローラ50の制御により可変焦点レンズ45の焦点距離
が変えられ、視標44が明確に見える状態とする。この
ときの可変焦点レンズ45のジオプターが被検者に最適
な眼鏡のジオプターとなる。
【0049】このように、この検眼装置では、可変焦点
レンズ45を使用するため、従来の検眼装置で切り替え
て使用していた多数の試験用レンズが不要となり、ま
た、可変焦点レンズは連続してジオプターを変えること
ができるため、被検者の目に最適なレンズのジオプター
を細かく決定することができる。
【0050】図13は、可変焦点レンズを使用したズー
ムレンズの例を示している。カメラ等に使用されるズー
ムレンズの内部には、多数のレンズからなるズームレン
ズ群が配設されているが、このズームレンズ群の代りに
上記の可変焦点レンズ45を使用することができる。図
13には省略されているが、この可変焦点レンズ45に
は上記実施例と同様、流量センサ、バルブ、ポンプがチ
ューブにより接続され、コントローラの制御によりその
レンズ体の焦点距離が変えられる。コントローラはズー
ムレンズのズーム操作に応じて、可変焦点レンズ45の
透明液体の量を調整し、そのレンズ体の焦点距離を変え
るように動作する。
【0051】このような可変焦点レンズ45を使用した
ズームレンズでは、従来使用していた複数枚のレンズを
1枚の可変焦点レンズに代えることができるため、ズー
ムレンズの重量を軽量化することができ、その長さも短
くすることができる。
【0052】図14〜図16は、可変焦点レンズを使用
した内視鏡の例を示している。この内視鏡では、対物レ
ンズと照明用レンズに上記と同様な構成の可変焦点レン
ズ55、56が使用される。
【0053】即ち、図15、図16に示すように、本体
51に接続された可撓性の導光部52の先端部53に、
対物用の可変焦点レンズ55と照明用の可変焦点レンズ
56が前方を向けて配設され、各レンズ55、56には
多数の光学ファイバーを束ねた光ファイバー57、58
が接続される。可変焦点レンズ55、56には、導光部
52内に通されたチューブ59が接続され、そのチュー
ブ59は上記実施例と同様、図示を省略した本体51内
の流量センサ、バルブ、ポンプに接続される。また、バ
ルブ等の制御用にコントローラが設けられ、コントロー
ラの制御によりそのレンズ体内の透明液体の量が変えら
れ、可変焦点レンズ55、56の曲率、厚さ、焦点距離
が変えられる。
【0054】可変焦点レンズ55、56の曲率、厚さ、
焦点距離を変えることにより、内視鏡の視野角を変える
ことができるが、その視野角を調整するための視野角調
整つまみ60が本体51の側部に設けられ、視野角調整
つまみ60の操作に応じて視野角の指令値が上記コント
ローラに送られる。
【0055】また、通常の内視鏡と同様に、対物用の可
変焦点レンズ55を先端に接続した光ファイバー57の
末端に、観測用の光学系が本体51内に設けられ、照明
用の可変焦点レンズ56を先端に接続した光ファイバー
58の末端に、光源が接続され、さらに、本体51の側
部には導光部52の先端部53の向きを変えるための方
向切換つまみ61が設けられる。
【0056】このように構成された内視鏡では、観測者
が観測しながら視野角調整つまみ60を一方向に回す
と、図示しないコントローラがバルブ、ポンプを駆動制
御し、チューブ59を通して可変焦点レンズ55、56
に透明液体を注入し、これによってレンズの厚さが増
し、視野角が狭められる。一方、視野角調整つまみ60
を他方向に回すと、チューブ59を通して可変焦点レン
ズ55、56のレンズ体内の透明液体の量が低減され、
これによってレンズの厚さが減少し、視野角が広げられ
る。
【0057】従来の内視鏡では、視野角を変えるため
に、対物レンズを交換する必要があったが、上記のよう
に、可変焦点レンズを対物レンズに使用した内視鏡で
は、レンズ交換せずに視野角を変えることができ、ま
た、照明用レンズも可変焦点レンズとすることにより、
照明範囲も視野角に合わせて変えることができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の可変焦点
レンズによれば、透明膜が合成樹脂製フィルムからな
り、従来の合成ゴム製の透明弾性膜に比べ、高い張力状
態で張設できるため、可変焦点レンズの下部が重力によ
って膨出するような不均一な変形が生じず、変形のない
適正なレンズ面を形成し保持することができる。
【0059】また、透明膜の周縁部が支持枠体の内側に
固定された環状のゴム状挟持部材によって挟持され、ゴ
ム状挟持部材の挟持面が凸状曲面で形成されているた
め、透明膜の周縁部がゴム状挟持部材によって線接触に
近い状態で両側から高い面圧で押圧されることにより、
透明膜とゴム状挟持部材間に滑りが生じず、透明膜をた
るみやしわをつくらずに良好に張設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す可変焦点レンズの正面
図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】同拡大部分断面図である。
【図4】ゴム状挟持部材5、6の状態を示す断面説明図
である。
【図5】透明液体注入量と焦点距離の関係を示すグラフ
である。
【図6】他の実施例の可変焦点レンズの正面図である。
【図7】図6の VII− VII断面図である。
【図8】同拡大部分断面図である。
【図9】可変焦点レンズを適用した眼鏡の実施例の正面
図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】可変焦点レンズを適用した検眼装置の断面説
明図である。
【図12】その検眼装置の正面図である。
【図13】可変焦点レンズを適用したズームレンズの断
面説明図である。
【図14】可変焦点レンズを適用した内視鏡の側面図で
ある。
【図15】内視鏡の先端部の拡大正面図である。
【図16】その先端部の断面図である。
【符号の説明】
1、2−支持枠体、5、6−ゴム状挟持部材、5a,6
a−凸状曲面、8−透明膜、10−レンズ体、11−透
明液体。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一面が透明膜で形成されたレ
    ンズ体の内部に透明液体を充填し、該透明液体の量を変
    えることにより該透明膜の曲率を変化させ、レンズ体の
    焦点を変化させる可変焦点レンズにおいて、 該透明膜が合成樹脂製フィルムで形成され、該透明膜の
    周縁部が支持枠体の内側に固定された環状のゴム状挟持
    部材によって挟持され、該ゴム状挟持部材の挟持面が凸
    状曲面で形成されていることを特徴とする可変焦点レン
    ズ。
  2. 【請求項2】 前記ゴム状挟持部材がOリングで形成さ
    れている請求項1記載の可変焦点レンズ。
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