JP2015510770A - 組換えペプチドの産生方法 - Google Patents

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Abstract

例えば血管拡張物質ペプチド(VSDL)などの組換えペプチドを産生する方法が開示され、これは、ペプチド切断部位によって隣接されているペプチドのコンカテマー型反復を含む融合ポリペプチドを発現する工程と、融合ポリペプチドからペプチドを切り出すために切断剤(または複数の切断剤)を用いてペプチド切断部位で融合ポリペプチドを切断する工程とを含む、特定の方法を含む。融合ポリペプチドを産生するための発現構築物および宿主細胞および組換えペプチドを精製するための方法もまた開示される。【選択図】図3b

Description

本発明は、ペプチド、特には組換えペプチドの産生方法に関する。ある特定の適用において、本方法は、ペプチドのコンカテマー型コピーを含む融合ポリペプチドの切断を含む。
参考文献の引用
本出願は、2012年3月19日に出願された米国特許出願第61/612817号に基づき優先権を主張する。同出願の全ての内容は参照によって本明細書中に組み込まれる。
組換えで産生されるペプチドの産業および臨床設定における重要性が高まっている。多様な発現系(例えば、細菌、イースト、昆虫、植物または哺乳類細胞などの様々な発現系で真核生物のタンパク質を組換えにより産生することは、合成ペプチド生産に代わる低コストな代替方法を提供する。しかし、組換え発現は予測不可能であり、かつ、多くの組換え発現ペプチドは十分に溶解性ではなく、不安定、ミスフォールドされているまたは不活性、および/または、低収率で発現され、このため、しばしば商業的価値のある十分に高い品質または収率では産生されないため、たびたび問題となる。低分子量の組換え発現ペプチドを発現することは、特に困難となり得る。適切なペプチド融合パートナーにペプチドを作動可能に融合することは、安定性および溶解性を向上させ得るが、治療用途を目的とするペプチド中に融合パートナーを存在させることは、一般的に望ましくない。
ペプチドは、例えば、酵素的な切断剤(すなわち、プロテアーゼ)および化学的な切断剤などを含む多数のペプチド切断剤によって切断され得る。多くのペプチド切断剤は、ペプチド内の特定のアミノ酸配列またはモチーフのアミノ酸を認識および切断する。ペプチドは通常、多くの異なるペプチド切断部位の複数のコピーを含む。例えば、成熟ヒトインターロイキン(IL)−1βペプチド(153アミノ酸ペプチド、Genbank アクセッション番号 AAA74137.1を参照)は、少なくとも20個の異なるペプチド切断剤によって切断されると予測される。成熟IL−1βペプチド配列は、3個のArg−Cプロテイナーゼ予想切断部位、8個のAsp−Nエンドペプチダーゼ予想切断部位、6個の臭化シアン予想切断部位、8個のギ酸予想切断部位、3個のクロストリパイン予想切断部位、17個のトリプシン予想切断部位などを含む。その結果、ペプチドはしばしばより小さなフラグメントへと切断されてしまい、これは望ましくないので、ペプチド切断剤は一般的に、ペプチドの組換え産生においては有用ではない。
本発明者らは、ある種のペプチドは、特定のペプチド切断部位をもたない、または、ペプチド末端に位置する特定のペプチド切断部位の単一配列を含むという点において独特であることに思い至った。例えば、本発明者らは、天然の血管拡張物質(VSDL)ペプチドは異例なことに、単一のトリプシン切断部位を含み、それはVSDLペプチドのC末端に位置していることに気付いた。
血管拡張物質(VSDL)は、126アミノ酸からなる心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、心房ナトリウム利尿因子(ANF)としても知られる)プロホルモン(proANP;Vesely、2003))のプロセッシングを受けてin vivoで産生される、天然に存在する37アミノ酸(aa)からなるペプチドである。VSDLは、ANPプロホルモンの31〜67番目のアミノ酸からなる。VSDLの主要な生物活性は、ナトリウム利尿効果、利尿効果および血行力学的効果を媒介することにより健康な個体の血圧を調節することおよび血漿量を維持することである(Vesely、2003)。例えば、鬱血性心不全(CHF)などの心疾患の処置のためのVSDLの使用についての研究が、前臨床試験およびヒト臨床試験の両方を介して行われてきた。VSDLが、症候性副作用なしにナトリウム利尿、利尿および血行力学的パラメータを顕著に向上させ得ることが示されている。VDSLは、血漿量および血圧(BP)を臨床的に許容可能な範囲内に、かつ深刻的な有害な副作用なしに調節しつつ、追加の有益なナトリウム利尿効果、利尿効果および腎臓に対する効果をともなう、有益な血行力学的効果を媒介するための安全かつ効果的な処置であると考えられている。そのため、急性非代償性うっ血性心不全(ADCHF)の患者へのVSDL投与が提案されている。さらに、VDSLはまた、抗がん作用をもつことが判明しており(Skeltonら、2011)、そして、急性腎不全の処置において有望であることが示されている(Vesely、2003)。よって、VSDLは、多様な疾患の処置のための有望な候補であることが理解されるであろう。天然のVSDL配列に基づいて合成的に生成されたVSDLが臨床試験において利用されており、そして、疾患治療において有用であることが判明している。しかし、ペプチドの合成的な生成は、特に商業規模で必要とされるペプチドのためには高価なプロセスである。
本発明者らは、融合ポリペプチドからのペプチド切断を用いる的確な組換え産生システムを設計した。
よって、第1の態様において、本発明は、
ペプチドを含む融合ポリペプチドを発現する工程であって、前記ペプチドが、1つまたは2つ以上のペプチド切断部位(または複数の切断部位)によって隣接されており、および、そうではない場合、前記ペプチド切断部位(または複数の切断部位)が前記ペプチドに存在しない工程と、
ペプチド切断部位(または複数の切断部位)での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、融合ポリペプチドをペプチド切断部位(または複数の切断部位)で切断する工程と
を含む組換えペプチドの産生方法であって、
融合ポリペプチドを切断する工程が、融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法を提供する。
第2の態様において、本発明は、
1つまたは2つ以上のペプチド切断部位(または複数の切断部位)によって隣接されており、および、そうではない場合、前記ペプチド切断部位(または複数の切断部位)が前記ペプチドに存在しないことを特徴とするペプチドのコンカテマー型コピーを含む融合ポリペプチドを発現する工程と、
ペプチド切断部位(または複数の切断部位)での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、融合ポリペプチドをペプチド切断部位(または複数の切断部位)で切断する工程と
を含む組換えペプチドの産生方法であって、
融合ポリペプチドを切断する工程が、融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法を提供する。
ある実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドの2個〜20個の(またはそれ以上の)コンカテマー型コピーを含む。ある実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドの3個のコンカテマー型コピーを含む。さらなる実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドの10個のコンカテマー型コピーを含む。
ある実施形態において、ペプチドは、片方の末端にペプチド切断部位を含む。さらなる実施形態において、ペプチドは、C末端アルギニン(R)残基を含む。別の実施形態において、ペプチドは、式X−X−…Xn−1−X−(R/K)(配列番号1)であるアミノ酸配列を含み、式中、Xは、アルギニンまたはリジン以外の任意のアミノ酸であり、R/Kは、アルギニンまたはリジンであり、および、nは、アミノ酸の任意の適切な数である。ある実施形態において、ペプチドは、天然の配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、血管拡張物質(VSDL)ペプチドまたはその変異体を含む。特定の実施形態において、VSDLペプチドは、配列番号2であるアミノ酸配列またはその変異型を含む。
ある実施形態において、融合ポリペプチドは、C末端ペプチド切断部位を有するリーダー融合パートナーを含む。好ましい実施形態において、リーダー融合パートナーは、C末端アルギニン残基を含む。ある具体的な実施形態において、リーダー融合パートナーは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
ある実施形態において、ペプチド切断部位(または複数の切断部位)は、トリプシン切断部位(または複数の切断部位)である。ある実施形態において、切断剤は、トリプシンまたはトリプシン様酵素である。
第3の態様において、本発明は、
1つまたは2つ以上のトリプシン切断部位によって隣接されており、および、そうではない場合、トリプシン切断部位が存在しないことを特徴とする少なくとも1つのVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)を含む融合ポリペプチドを発現する工程と、
トリプシン切断部位での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、融合ポリペプチドをトリプシン切断部位で切断する工程と
を含む組換え血管拡張物質(VSDL)ペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の産生方法であって、
融合ポリペプチドを切断する工程が、融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列に作動可能に融合されるリーダー融合パートナー(C末端トリプシン切断部位を有する)をエンコードするヌクレオチド配列を含む発現構築物を提供する。
ある実施形態において、リーダー融合パートナーをエンコードするヌクレオチド配列は、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をエンコードするヌクレオチド配列の2個〜20個の(またはそれ以上の)コンカテマー型コピーに作動可能に融合される。
さらにまた別の態様において、本発明は、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)を組換えによって発現するための宿主細胞であって、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列に作動可能に融合される、C末端トリプシン切断部位を有するリーダー融合パートナーをエンコードするヌクレオチド配列を含む発現構築物を含む宿主細胞を提供する。
VSDLペプチドのアミノ酸配列、ならびに、B72Rと規定されたリーダー融合パートナーと融合されたVSDL1量体および3量体のアミノ酸配列を提供する。イタリック体で示される配列はリーダー融合パートナー(B72R)を表し、および、トリプシン切断部位は矢印によって示される。 隣接する制限酵素切断部位を含む、B72RおよびB72(Q)R−VSDL融合遺伝子のヌクレオチド配列を示す。タンパク質コード領域は太字で示され、イタリック体で示される配列はリーダー融合パートナーのヌクレオチド配列を示す。各融合遺伝子の長さは、括弧内に示される。 VSDLの3、6、8および10個の直列型反復を含むB72R−VSDLおよびB72Rベースの融合ポリペプチドの発現のためのプラスミドの概略のマップである。プラスミド機能は、複製起点(ColE1 ori)、lacリプレッサー遺伝子(lacI)、trcおよびtacプロモーター、VSDL融合遺伝子、転写ターミネーター(rrnBT1T2)およびカナマイシン耐性マーカー(Km)である。 VSDLの3、6、8および10個の直列型反復を含むB72R−VSDLおよびB72Rベースの融合ポリペプチドの発現のためのプラスミドの概略のマップである。プラスミド機能は、複製起点(ColE1 ori)、lacリプレッサー遺伝子(lacI)、trcおよびtacプロモーター、VSDL融合遺伝子、転写ターミネーター(rrnBT1T2)およびカナマイシン耐性マーカー(Km)である。 VSDLの3、6、8および10個の直列型反復を含むB72R−VSDLおよびB72Rベースの融合ポリペプチドの発現のためのプラスミドの概略のマップである。プラスミド機能は、複製起点(ColE1 ori)、lacリプレッサー遺伝子(lacI)、trcおよびtacプロモーター、VSDL融合遺伝子、転写ターミネーター(rrnBT1T2)およびカナマイシン耐性マーカー(Km)である。 VSDLの3、6、8および10個の直列型反復を含むB72R−VSDLおよびB72Rベースの融合ポリペプチドの発現のためのプラスミドの概略のマップである。プラスミド機能は、複製起点(ColE1 ori)、lacリプレッサー遺伝子(lacI)、trcおよびtacプロモーター、VSDL融合遺伝子、転写ターミネーター(rrnBT1T2)およびカナマイシン耐性マーカー(Km)である。 VSDLの3、6、8および10個の直列型反復を含むB72R−VSDLおよびB72Rベースの融合ポリペプチドの発現のためのプラスミドの概略のマップである。プラスミド機能は、複製起点(ColE1 ori)、lacリプレッサー遺伝子(lacI)、trcおよびtacプロモーター、VSDL融合遺伝子、転写ターミネーター(rrnBT1T2)およびカナマイシン耐性マーカー(Km)である。 VSDLの3、6、8および10個の直列型反復を含むB72R−VSDLおよびB72Rベースの融合ポリペプチドの発現のためのプラスミドの概略のマップである。プラスミド機能は、複製起点(ColE1 ori)、lacリプレッサー遺伝子(lacI)、trcおよびtacプロモーター、VSDL融合遺伝子、転写ターミネーター(rrnBT1T2)およびカナマイシン耐性マーカー(Km)である。 B72R−VSDLおよびB72R−(VSDL)発現のSDS−PAGE分析の画像である。分画培養サンプル(P:ペレット/不溶性画分、WCL:全細胞溶解液、およびS:上澄み/可溶性画分)が、還元4〜12%NuPAGE MES ゲル(Invitrogen Corporation、Carlsbad CA、米国)に流され、そして、SimplyBlue(登録商標)Safe(Invitrogen)を用いて染色された。予備染色されている標準タンパク質SeeBlue(登録商標)(Invitrogen)が分子量マーカーとして用いられた。 B72(Q)R−VSDL融合ポリペプチド発現のSDS−PAGE分析の画像である。示される培養サンプルは基準化され、そして細胞溶解液は、分子量マーカーとしての予備染色されている標準タンパク質SeeBlue(登録商標)に対して、還元4〜12%NuPAGE MESゲル上に流され、SimplyBlue(登録商標)Safeを用いて染色された。 流加培養後のB72R−VSDLおよびB72R−(VSDL)発現のSDS−PAGE分析の画像である。示される培養サンプルは基準化され、そして細胞溶解液は、分子量マーカーとしての予備染色されている標準タンパク質SeeBlue(登録商標)に対して、還元4−12%NuPAGE MESゲル上に流され、SimplyBlue(登録商標)Safeを用いて染色された。 温での終夜消化後にB72R−(VSDL)溶解物(3g/L融合ポリペプチド)から生成されたVSDL量に添加された、TrypZean(登録商標)(Sigma−AldrichCo、StLouis Mo、米国)の効果を示す図である。 消化された細胞溶解液からの組換えVSDLのクロマトグラフィーによる分離(Amberchrom CG300C;Rohm and HaasCompany、Philadelphia PA、米国)を示すトレースである。実線=UV280の吸収および破線=伝導度。 消化された細胞溶解液からの組換えVSDLのクロマトグラフィーによる分離(Fractogel TMAE;Merck Inc、WhitehouseStation NJ、米国)を示すトレースである。実線=UV280の吸収および破線=伝導度。 Cary50分光光度計(Varian Inc、PaloAlto CA、米国)を用いて測定された、合成VSDLペプチドおよび組み換えVSDL(右側)のUV280の吸収プロファイルを示す。 温浸された細胞溶解液からの組換えVSDLのクロマトグラフィーによる分離(修飾Amberchrom CG300C プロトコル)を示すトレースであり、囲みは、プールされた溶出液画分を示す。 Chromasorbメンブレンろ過後の、消化された細胞溶解液からの組換えVSDLの分離を示すトレースであり、囲みは、様々なプールされた溶出液画分を示す。
本発明者は、有利なことに、ある種のペプチドのアミノ酸配列は通常、ペプチドの片方の末端に位置する単一のペプチド切断部位を除き特定のペプチド切断部位をもたないこと、または、このような配列をもつように設計され得ることに気付いた。本発明者らはまた、融合ポリペプチドという状況においてペプチドを発現させることにより、さらなるペプチド切断部位が、発現された融合ポリペプチドの切断が融合ポリペプチドからペプチドを切り出すように、対象ペプチドの反対側の末端に提供され得ることを実現した。このような産生システムは、興味の対象であるペプチドを治療上の使用のために十分な品質および量で組換えによって産生するための手段を有利に提供し得るであろう。
よって、第1の態様において、本発明は、
ペプチドを含む融合ポリペプチドを発現する工程であって、前記ペプチドが、1つまたは2つ以上のペプチド切断部位(または複数の切断部位)によって隣接されており、および、そうではない場合、前記ペプチド切断部位(または複数の切断部位)が前記ペプチドに存在しない工程と、
ペプチド切断部位(または複数の切断部位)での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、融合ポリペプチドをペプチド切断部位(または複数の切断部位)で切断する工程と、
を含む組換えペプチドの産生方法であって、
融合ポリペプチドを切断する工程が、融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法を提供する。
「組換え」という用語は、当業者であれば、2つ以上の起源をもつ遺伝物質を含むまたはそれ由来の生物学的物質を指すこと、例えば、組換えペプチドとは一般的に、第2の起源である適切な宿主細胞中で発現または産生される、第1の起源のペプチドをエンコードしているポリヌクレオチド分子から導かれるものであることこと、を把握するであろう。組換えペプチドを産生し得るさまざまな発現系、例えば特定のペプチドの発現に適した条件下での細胞培養での発現などが公知である。宿主細胞としては例えば、細菌細胞(例えば、大腸菌(Escherichia coli)、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)、バチラス種(Bacillus sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、スタフィロコッカス種(Staphylococcus sp.)(例えば、S.ティフィムリウム(S.Typhimurium)など)など)、例えば、酵母細胞(例えば、サッカロミケス セレビシエSaccharomyces cerevisiae、ピキア パストリス(Pichia pastorisなど)などの真菌細胞、カビまたは糸状菌(例えば、アスペルギルスAspergillus sp.など)、昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエ S2(Drosophila S2およびスポドプテラ フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(例えば、スポドプテラ Sf9細胞など)など、および、バキュロウイルスを用いた発現系など)、哺乳類細胞(チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)(Chinese Hampster Ovary)細胞、サル腎由来(COS)細胞、ヒト胎児腎(HEK)細胞、ハムスター腎由来(BHK)細胞、マウスメラノーマ細胞などを含む多数の細胞株が適切である)、および植物細胞などが挙げられる。代替として、組換えペプチドは、遺伝子組換え植物および動物で発現されてもよい。本発明において、融合ポリペプチドを発現させる工程が、発現宿主として大腸菌を用いて行なわれることが好ましい。
当業者であれば、「ペプチド(peptide)」なる用語は、第1のアミノ酸がアミノ(N)末端にあり、そして最後のアミノ酸がカルボキシル(C)末端であるようにペプチド結合によって相互結合されたアミノ酸の、枝分かれのない単鎖ポリマーを指すものとして熟知しているであろう。本発明の文脈において、本明細書中において用いられる「ペプチド」という用語は、発現され、そして、融合ポリペプチドの切断後に融合ポリペプチドから無傷(intact)で切り出されるであろう対象ペプチドを指すものとして理解されるべきである。ペプチドは、完全長ペプチド(すなわち、当業者によって理解されるように、エンコードしているヌクレオチド配列から転写されるであろう完全長のペプチド)であってもよい。しかし、ペプチドはまた、より大きなペプチドまたはポリペプチド由来であってもよく、例えば、ペプチドは、プレプロタンパク質の成熟ペプチド部分または多くのより小さなペプチドへとプロセッシングされ得るポリペプチドの一部分またはより大きなペプチドのフラグメントなどであってもよい。好ましくは、ペプチドは、エンコードしているヌクレオチド配列からその最終的な形へと翻訳され得る、すなわち、ペプチドは、本発明による切断剤(または複数の切断剤)による切断以外のいかなる追加の翻訳後プロセッシングをも受けない。しかし、本発明は、ペプチドが、より大きなペプチド、例えばプレプロタンパク質または多くのより小さなペプチドへとプロセッシングされ得るアミノ酸配列を含むポリペプチドなどの一部分である実施形態を除外することを意図している訳ではない(例えば、より大きなペプチドの一部分(または複数の部分)が、発現後にプロセッシングによって(例えば切断によって)除去され、ここでプロセッシングは、本発明による切断に加えて行われる)。ペプチドは、天然のペプチドまたは以下で記載されるように修飾されたペプチドであってもよい。
当業者であれば、「アミノ側(amino side)」または「アミノ方向(amino direction)」なる用語はペプチドに関連して用いられた場合、ペプチドのN末端への方向を指し、同様に、「カルボキシル側(carboxyl side)」または「カルボキシル方向(carboxyl direction)」なる用語はペプチドに関連して用いられた場合、ペプチドのC末端への方向を指しているということを理解するであろう。
本明細書中において用いられる「融合ポリペプチド(fusion polypeptide)」なる用語は、ペプチド結合によって相互結合されたアミノ酸の、枝分かれのない単鎖ポリマーへと互いに融合された少なくとも2つのペプチドを指し、これにより、第1のペプチドのC末端残基は、第2のペプチドのN末端残基に隣接する(任意には短いリンカー配列によって分離されていてもよい)。当業者であれば、多くのペプチドがこの形式で互いに融合され得、そしてこの場合、第2のペプチドのC末端残基が例えば第3のペプチドのN末端残基に隣接し得る、などを理解するであろう。
当業者であれば、用語「ペプチド切断部位(peptide cleavage site)」は、ペプチド主鎖が切断剤によって切断される部位であって、切断剤のための認識部位として機能する特定のアミノ酸またはアミノ酸の特定の配列と関連付けられる部位であることを熟知しているであろう。アミノ酸の、特定の認識配列の場合、切断剤は、その配列内の部位で、配列のC末端部もしくはN末端部で、またはその配列の外側で、すなわち配列からカルボキシルあるいはアミノ方向に外れたいくつかの残基で、ペプチド主鎖を切断し得る。
本発明によれば、前記ペプチドは、「1つまたは2つ以上のペプチド切断部位によって隣接される(flanked by one or more peptide cleavage sites)」。この文言は、ペプチド切断部位が、融合ポリペプチド内のペプチドの少なくとも1つの末端、より好ましくはペプチドの両末端(例えば、それぞれのペプチドのコピーに対して1つがN末端に、および1つがC末端に位置されているなど)に位置されており、これにより、前記ペプチドが、ペプチド切断部位において切断を行う切断剤を用いた融合ポリペプチドの切断の際に、融合ポリペプチドから遊離され得ることを意味することを意図している。
切断剤は、特異的な方法で、すなわち、特定のアミノ酸または特定のアミノ酸配列と関連付けられる特異的なペプチド切断部位でペプチドを切断する、当業者に公知の任意の適切な切断剤であり得る。切断剤は、化学的切断剤または酵素的切断剤であってもよい。本発明において利用され得る多くの切断剤が表1に挙げられている。
本明細書中、ペプチド切断部位は、切断剤のための認識部位として機能する単独の特定なアミノ酸のアミノ側もしくはカルボキシル側に配置されている矢印によって、または、アミノ側、カルボキシル側もしくは切断剤のための認識部位として機能する特定のアミノ酸配列内に配置されている矢印によって示される。ペプチド切断部位(および本明細書中の全てのアミノ酸配列)に関連して用いられる3文字または1文字アミノ酸コードを表2に示す。

好ましい実施形態において、切断剤は、トリプシンまたはトリプシン様酵素(すなわち、トリプシン切断部位において切断を行う酵素)である。
しかし、他の切断剤、例えば、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン−高特異性、キモトリプシン−低特異性、因子Xa、ギ酸、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、ヒドロキシルアミン、ヨード安息香酸、LysC、LysN、NTCB(2−ニトロ−5−チオシアノ安息香酸)、ペプシン(pH1.3)、ペプシン(pH>2)、プロリン−エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ぶどう球菌ペプチターゼI、サーモリシン、ユビキチンプロテアーゼなどもまた、本発明において使用に適切であり得る。当業者であれば、本発明に従って他の切断剤が利用され得ることを理解し、そして、特定の切断剤を用いた切断にどのような条件が必要であるかを決定するための方法、適切な切断剤のためのペプチド切断部位を決定する方法を熟知しているであろう。
ある実施形態において、ペプチド切断部位は、ペプチドの両端に設けられ、そして、融合ポリペプチドからペプチドを切り出すために2つの切断剤が必要とされるかもしれない。
本発明者らの認識によれば、融合ポリペプチドは、有利には、ペプチドのコンカテマー型コピーを含んでいてもよく、ここでそれぞれのペプチドのコピーは、1つまたは2つ以上のペプチド切断部位によって隣接されている。
よって、第2の態様において、本発明は、
1つまたは2つ以上のペプチド切断部位(または複数の切断部位)によって隣接されており、および、そうではない場合、前記ペプチド切断部位(または複数の切断部位)が前記ペプチドに存在しないことを特徴とするペプチドのコンカテマー型コピーを含む融合ポリペプチドを発現する工程と、
ペプチド切断部位(または複数の切断部位)での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、融合ポリペプチドをペプチド切断部位(または複数の切断部位)で切断する工程と
を含む組換えペプチドの産生方法であって、
融合ポリペプチドを切断する工程が、融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法を提供する。。
「ペプチドのコンカテマー型コピー(concatemeric copies of the peptide)」という文言は、直列型の頭尾結合配置で作動可能に連結された、2つ以上のペプチドを指すものとして理解されるべきである。これにより、第1のペプチドのC末端残基は、第2のペプチドのN末端残基に隣接する。いくつかの実施形態において、2個よりも多くのコンカテマー型ペプチドが企図され、例えば、第2のペプチドのC末端残基は、第3のペプチドのN末端に隣接する。好ましくは、1個のペプチドのC末端残基は、以下のペプチドのN末端残基に直接隣接する。しかし、当業者であれば、ペプチドは、ペプチドのコピーを共に結合するために用いることが可能な短リンカー配列によって結合することが可能であることを理解する。このような実施形態も、本発明の範囲内であることが理解されるべきである。
融合ポリペプチドが十分なレベルまで発現される限り、任意の数のペプチドのコピーが融合ポリペプチド内にコンカテマー型に配置され得る。ある実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドの2個〜20個の(またはそれ以上の)コンカテマー型コピーを含む。例えば、融合ポリペプチドは、ペプチドの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個のコンカテマー型コピーを含み得る。ある実施形態において、融合ポリペプチドは、2個〜10個のコンカテマー型ペプチドを含み得る。一実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドの3個のコンカテマー型コピーを含む。別の実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドの10個のコンカテマー型コピーを含む。しかしながら、融合ポリペプチド中に特定の数のコピー、例えばペプチドの3個のコンカテマー型コピーなどがある場合、合計で3個のペプチドがポリペプチド中にあると理解されるべきである。よって、「ペプチドの3個のコンカテマー型コピー(concatemeric copies of the peptide)」とは、ペプチドの3個の「コピー」に加えて元のペプチドがあることを意味しているわけではない。コンカテマー型ペプチドを含む融合ポリペプチド(および前記融合ポリペプチドをエンコードしているポリヌクレオチド構築物)は、追加で、本明細書中において、例えば3個のコンカテマー型ペプチドが存在する場合「3量体(3-mer)」、6個のコンカテマー型ペプチドが存在する場合「6量体(6-mer)」などと示される。同様に、単一のペプチドを含む融合ポリペプチド(および前記融合ポリペプチドをエンコードしているポリヌクレオチド構築物)は、追加で、本明細書中において、「1量体(1-mer)」と示される。
本発明によれば、前記ペプチドは、「1つまたは2つ以上のペプチド切断部位によって隣接される(flanked by one or more peptide cleavage sites)」。ペプチドのコンカテマーコピーに関連して、この文言は、ペプチド切断部位が融合ポリペプチド内においてペプチドの全てのコピーのそれぞれの少なくとも1つの末端、より好ましくはペプチドの両端(例えば、ペプチドのそれぞれのコピーに関して1つがN末端におよびもう1つがC末端に配置される)に配置されることを意味することを意図しており、これにより、ペプチド切断部位で切断を行う切断剤を用いた融合ポリペプチドが切断にともない、前記ペプチドが融合ポリペプチドから切り出され得る。
好ましい実施形態において、ペプチド切断部位は、ペプチドのそれぞれのコピーの両末端に提供され、その配置は、ペプチドのそれぞれのコピーの間の単一のペプチド切断部位によって、前記部位における単一の切断剤によるペプチド切断が、ペプチドの1つのコピーのC末端および隣接したペプチドのコピーのN末端が同時に産生されるようなものである。本実施形態において、単一のペプチド切断部位がペプチドの全コピーのあいだで同じ型(例えば、R↓など)であることが好ましい。
本発明の第2の形態である方法は、配列内ペプチド切断部位をもたないことに特徴付けられる任意のペプチドを産生するために特に適しているであろう。
ある実施形態において、本発明のペプチドは、天然の配列を有する。本文脈において、「天然(native)」なる用語は、ペプチドの配列が天然で見られる、すなわち、例えばペプチド切断部位を除去するあるいはアミノ酸置換を導入するなどのために修飾されていないことを意味することが意図されている。しかしながら、ペプチドは、トランケートされた天然配列または天然の変異体配列を有していてもよい。
代替的な実施形態において、ペプチドは、修飾されていてもよい。本発明における使用のために適切な修飾ペプチドは、そのような変異(または複数の変異)が生物学的活性における実質的な減少または変化を(すなわち天然のペプチドと比較して)もたらさず、および、さらなるペプチド切断部位(または複数の切断部位)(好ましくは、さらなるトリプシン切断部位)を導入しないという条件で、アミノ酸配列中にマイナーな変異(または複数の変異)を含む、天然ペプチドの誘導体、変異体または模倣物を含み得る。これらの変異(または複数の変異)は、保存的アミノ酸置換を含み得る(例えば、Gly、Ala、Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu、Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg、His;Phe、Tyr、Trp、His;およびPro、Nα−アルキルアミノ酸および非保存的アミノ酸置換)。表3に、一般的な保存的アミノ酸置換を詳細に示す。
適切な修飾ペプチドは、当業者に公知の任意の方法を用いて得られ得る。例えば、ペプチドの模倣物は、二次および三次構造情報がない場合アミノ酸配列に基づき、当業者に公知の任意の方法を用いて設計され得る。(Kirshenbaumら、1999)。
さらに、当業者であれば、既存の配列内ペプチド切断部位を除去するために(例えば、適切なアミノ酸の置換または欠失によって)ペプチドを設計することが可能であるかもしれないことを理解するであろう。例えば、(NCBIの登録番号NP_002045であるヒトグルカゴンプレプロタンパク質のアミノ酸98〜127由来の)天然ヒトグルカゴン様ペプチド(GLP)−1のアミノ酸配列は、C末端アルギニン(R)残基および2個の配列内リジン(K)残基を含む。これら2個の配列内リジン残基は、例えばグルタミン(Q)またはアスパラギン(N)などに修飾され得、これは、配列内トリプシン切断部位を除去する。別の例において、いくつかの膜タンパク質は、細胞質タンパク質と比較して少数のアルギニンおよびリジン残基を有しており、そして、このような残基は、配列内ペプチド切断部位をもたないペプチドを作製するような修飾によって除去され得るであろう。
ある実施形態において、ペプチドのコンカテマー型コピーのそれぞれは、ペプチドの全ての他のコンカテマー型コピーと同一である。しかし、代替的な実施形態において、ペプチドの種々の変異体がコンカテマー内で発現されてもよい。すなわち、「ペプチドのコンカテマー型コピー(concatemeric copies of the peptide)」なる用語は、ペプチドの1つ(またはそれ以上)の「コンカテマー型コピー」が天然の変異体またはペプチドの別のコンカテマー型コピーと比較して修飾されたペプチドである状況を含んでいることを意図する。例えば、ペプチドのあるコンカテマー型コピーが、天然の配列を含んでいてもよく、一方、ペプチドの別のあるコンカテマー型コピーは、ペプチドの天然の変異体を含む。別の例において、ペプチドの種々のコンカテマー型コピーは、切断剤のための認識部位として機能するための一つの異なるアミノ酸または複数のアミノ酸の配列を作製するために、種々の天然のまたは修飾されたアミノ酸配列を含み得る。
ある実施形態において、ペプチド切断部位は、トリプシン切断部位である。
「トリプシン切断部位」なる用語は、当業者であれば、ペプチド主鎖がトリプシンによって切断される、トリプシンのための認識部位として機能する特定のアミノ酸または特定のアミノ酸配列と関連付けられる部位を示していると理解するであろう。トリプシンは、それらの直後にプロリン(P)がある場合を除いて、リジン(K)またはアルギニン(R)アミノ酸残基のカルボキシル側でペプチドを切断する傾向がある。しかし、リジンまたはアルギニン残基の周りの正確なアミノ酸残基は、トリプシン切断の効率に影響を及ぼし得る。トリプシンのための認識部位としては、例えば、DR↓E、QR↓E、SK↓Nなどが挙げられ、ここで、矢印は、ペプチド切断部位(すなわち、ペプチド主鎖が切断される部位)を指定している。しかし、当業者であれば、大部分のアルギニンまたはリジン残基が、トリプシンによるカルボキシル側切断のための部位として機能し得ることを理解するであろう。
切断工程は、当業者により理解されるであろうように、例えば、切断が行なわれるために適切な条件下、トリプシン切断部位で(すなわち、アルギニンまたはリジン残基のカルボキシル側で)切断する切断剤とともに融合ポリペプチドをインキュベートすることによりなされ得る。
ある実施形態において、切断剤はトリプシンである。トリプシンは、セリンプロテアーゼであり、そしてペプチドを切断するために研究室でしばしば用いられる。本発明による使用のためのトリプシンは、多数の種々の種(例えば、ウシ、ブタ、ヒトなどを含む)から単離され得、これらの全ては市販されており、および/または、組換えにより産生されたトリプシン(例えば、ウシ、ブタなどを含む)であって同様に市販されているトリプシンが使用されてもよい。さらに、トリプシンは、例えばトウモロコシ細胞などの植物細胞中で組換えにより産生され得る。TrypZean(登録商標)(例えば、ウシTrypZean、Sigma−Aldrich)は、植物により産生された組換えトリプシンの例である。よって、ある実施形態において、切断剤は、植物細胞によって組換えにより産生されたトリプシンである。植物により産生される組換えトリプシンは、最終的なペプチド産物中に存在する、動物由来の望ましくない混入物の可能性を低減するために、治療上の使用を目的とするペプチドの切断において特に有用である。しかし、トリプシンが動物混入物を実質的に含まない(または受容可能なほどの低レベルでしか含まない)ような方法で産生される他のトリプシン産物も、治療上の使用のためのペプチドのために有用であり得る。例えば、切断剤は、酵母細胞で産成されたトリプシンであってもよい。好ましくは、切断剤は、組換えトリプシンである。
しかし、当業者であれば、本発明によるある状況下でトリプシン切断部位でペプチドを切断するためにまた適切であり得る、トリプシンまたはトリプシン様活性を有する多数の他の酵素(すなわちトリプシン切断部位で切断するトリプシン様酵素)があることを理解するであろう。例えば、トロンビンは、アミノ酸配列LVPR↓GS(配列番号7)を選択的に認識し、そしてアルギニン残基およびグリシン残基のあいだのペプチド切断部位(すなわち、アルギニン(R)残基のカルボキシル側)で切断するトリプシン様セリンプロテアーゼである。よって、トロンビンは、いくつかのトリプシン切断部位でペプチドを切断するであろう。別の例において、クロストリパイン(エンドプロテイナーゼArg−CおよびクロストリジオペプチダーゼBとしても知られる)は、主としてアルギニン残基で切断するが、より少ない程度でリジン残基でも切断し得る。したがって、クロストリパインは、トリプシン切断部位で切断を行うであろう。当業者であれば、本発明のトリプシン切断部位でペプチドを切断するために適切である他の切断剤もまたあることを理解するであろう。よって、ある実施形態において、切断剤は、トリプシンまたはトリプシン様酵素である。ある実施形態において、切断剤は、組換えトリプシンまたは組換えトリプシン様酵素である。
トリプシンによる消化時間は、必要に応じて変更され得る。例えば、融合ポリペプチドは、トリプシンまたはトリプシン様酵素によって、例えば5分間、1時間、2時間、6時間または終夜などで消化され得る。
ある実施形態において、ペプチドは、C末端トリプシン切断部位を含む。ある実施形態において、ペプチドは、以下の式
−X−…Xn−1−X−(R/K) (配列番号1);
式中、Xはアルギニンまたはリジンを除く任意のアミノ酸であり、R/Kはアルギニンまたはリジンであり、およびnはアミノ酸の任意の適切な数である
によるアミノ酸配列を含む。
ある実施形態において、ペプチドは、治療上の使用のために産生される。よって、ペプチドは、サイトカインもしくはホルモン(プロホルモン分子から切り出されるホルモンを含む)、またはエピトープもしくは抗原(例えばワクチンとしての使用のため)を含んでいてもよい。
ペプチドは、例えば、3〜100個のアミノ酸長、より好ましくは5〜50個のアミノ酸長、およびさらにより好ましくは10〜45個のアミノ酸長であり得る。好ましい実施形態において、ペプチドは、30〜40個のアミノ酸長であり、例えば、33個、34個、35個、36個および37個のアミノ酸長などを含むペプチドである。好ましくは、ペプチドは、配列内トリプシン切断部位(または複数の部位)を持たない。
ある実施形態において、ペプチドは、配列内ペプチド切断部位(または複数の部位)を除去するために、必要ならば修飾される、心房ナトリウム利尿ペプチド(ANP)由来のペプチドから選択される。より好ましくは、ペプチドは、血管拡張物質ペプチド(VSDL)またはその変異体もしくは修飾ペプチド、または、配列内ペプチド切断部位、および好ましくは配列内トリプシン切断部位をもたない(すなわち、C末端アルギニンを除き、全アルギニンおよびリジン残基が、好ましくはヒスチジン(H)を用いた保存的アミノ酸置換によって、アミノ酸置換の対象とされている)修飾されたカリウム排泄利尿薬ペプチド(KP)である
よって、ある実施形態において、ペプチドは、(配列内トリプシン切断部位をもたない)修飾KPペプチドであり、および好ましくは、(ヒト心房性ナトリウム利尿プロホルモン(proANP))の残基79〜98由来の)以下のアミノ酸配列:
Ser−Ser−Asp−X−Ser−Ala−Leu−Leu−X−Ser−X−Leu−X−Ala−Leu−Leu−Thr−Ala−Pro−Arg(配列番号20);
式中、Xはアルギニンまたはリジンを除く任意のアミノ酸である
を含む、またはそれからなる修飾ヒトKPである。
好ましい実施形態において、ペプチドは、VSDLペプチドまたはその変異体もしくは修飾ペプチドである。本明細書中において用いられるように、VSDLの変異体は、天然の変異体であり得る。あるいは、変異体VSDLは、修飾されたVSDLペプチドであってもよい。修飾されたVSDLペプチドとしては、変異体ペプチド(すなわち、非天然の変異体)だけではなく、DLVeselyによる米国特許第5,691,310号(参照により本明細書中に組み込まれる)に記載のin vitro血管拡張アッセイ(大動脈片を用いた)によって、または、DLVeselyにより記載の増加した環状GMPレベルのためのアッセイ((Veselyら、1987)によって測定される、生物学的活性において実質的な減少または変化をもたらさず(それが由来するVSDLペプチドの生物学的活性において10%以下の減少または変化しか示さないなど)、および、前記切断剤によって認識されるさらなるペプチド切断部位(好ましくは、さらなるトリプシン切断部位(または複数の部位))を含まないまたは導入しないマイナーな変異をアミノ酸配列中に含む天然のVSDLペプチドの誘導体および模倣物も含まれる。これらの変異としては、例えば上記の表3中に詳述される、保存的アミノ酸置換が挙げられ得る。VSDLペプチド内の適切なアミノ酸置換のいくつかの具体的例としては、例えば、Pro→Gln(特には、proANPの41番目の位置;すなわちVSDLペプチドの10番目の位置における)、Thr→Ala(特には、proANPの59番目の位置;すなわちVSDLペプチドの28番目の位置における)、Glu→Asp(特には、proANPの61番目の位置;すなわちVSDLペプチドの30番目の位置における)、およびSer→Asn(特には、proANPの63番目の位置;すなわちVSDLペプチドの32番目の位置における)が挙げられ得る。
より好ましくは、ペプチドは、例えば以下に示される、ヒトVSDL(ヒトproANPの残基31〜67由来)の天然の配列などの天然の配列を有するVSDLペプチドである:
Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−
Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(配列番号2)。
他の適切な天然のVSDLペプチドとしては、例えば:
ポンゴ ピュグマエウス(Pongob pygmaeus)(一般的にはオランウータン)
Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Gln−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−
Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(配列番号8);
および
フェリス カトウス(Felis catus)
Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Gln−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−
Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Ala−Gly−Glu−Val−Asn−Pro−Ala−Gln−Arg(配列番号9)。
最も好ましくは、ペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるVSDLペプチドである。しかし、他の実施形態において、VSDLペプチドは、代替的に、配列番号8または9に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなっていもよい。
好ましくは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、C末端アルギニン残基を含む。例えば、本明細書中に記載の天然のVSDLペプチドは、C末端アルギニン残基を含むが、配列内アルギニンまたはリジン残基は含まない。そのため、C末端アルギニン残基は、C末端に配置されるペプチド切断部位として機能し得る。すなわち、例えばトリプシンおよびトリプシン様酵素などの、アルギニン残基のカルボキシル側で切断するペプチド切断剤は、融合ポリペプチドから(例えばVSDLペプチドまたはその変異体もしくは修飾ペプチドの隣接するコピーから)VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)を正確にC末端で切断するであろう。
しかし、ヒトVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、配列内アルギニン残基が欠失しているだけでなく、追加でアスパラギン酸、システイン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニンまたはチロシン残基が欠失している。よって、以下に記載されるように、本発明に従って、これらの部位の1つで、すなわち、例えば、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)に関してN末端に配置されているペプチド切断部位で切断するペプチド切断部位を用いることが可能であるかもしれない。代替的にまたは追加的に、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)のC末端アルギニン残基は、別のアスパラギン酸、システイン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニンまたはチロシン残基によって置換され得、これにより、ペプチドはこれらの残基の1つで切断する切断剤によって融合ポリペプチドから切断され得る。当業者であれば、本実施形態が、代替的に、本明細書中に記載の他の適切なペプチドに適用され得ることを理解するであろう。
ある実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチド切断部位を含む、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)に関してN末端に配置されている1つまたは2つ以上のアミノ酸を含む。好ましくは、N末端に配置されているペプチド切断部位は、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の直接隣接するN末端に配置される。本発明の好ましい実施形態において、融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)に、N末端に配置されるペプチド切断部位を提供する、C末端ペプチド切断部位を有するリーダー融合パートナーを含む。
ある実施形態において、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、「トリプシン切断部位によって隣接される(flanked by trypsin cleavage sites)」。これは、トリプシン切断部位が、VSDLペプチドまたはその変異体もしくは修飾ペプチドの両末端で融合ペプチド内に位置されること(すなわち、1つがVSDLペプチドのN末端部に、および、1つがVSDLペプチドのC末端部に)に配置され、これによって、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)が、トリプシン切断部位で切断する酵素を用いた消化により、融合ポリペプチドから切り出され得る。当業者であれば、切断が、トリプシン切断部位のアルギニンまたはリジン残基のカルボキシル側で起こる際に、アルギニンまたはリジン残基が、切り出しにともないVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)から除外され、一方、C末端に配置されているトリプシン切断部位は、アルギニンまたはリジンが切り出しの際にVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)中に含まれているであろう(すなわち、アルギニンまたはリジン残基は、切り出しにともないVSDLペプチドのC末端残基を形成するであろう)ことを意味することを理解するであろう。
好ましくは、融合ポリペプチドから切り出されるVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は無傷(すなわち、完全長のVSDLペプチド)であるが、融合ポリペプチドは、トリプシン切断部位の位置を変化させることにより、トランケートされたまたは伸長されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の変異体を切り出すように設計されてもよいことが理解されるべきである。例えば、本発明は、N末端に配置されたトリプシン切断部位が、ある特定の状況下で、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)のさらに上流(すなわちアミノ方向)に配置されており、酵素切断にともないN末端が延長されたVSDLペプチドを産生する、融合ポリペプチドの発現を含む。同様に、C末端が延長されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、C末端トリプシン切断部位の前に追加のアミノ酸を含むように設計され得る。代替的に、トランケートされたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)が、当業者によって理解されるように、アミノ酸の欠失によって設計されてもよい。
ある実施形態において、融合ポリペプチドは、VSDLペプチドのコンカテマー型コピー(すなわち、VSDLペプチドのコンカテマー型繰り返し)またはその変異体もしくは修飾ペプチドを含む。好ましくは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)のそれぞれのコピーは、それぞれのVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)のC末端にペプチド切断部位(例えば、トリプシン切断部位)を有し、これにより、ペプチド切断部位が追加で、コンカテマー型配置におけるVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)(融合ポリペプチド中の最後のVSDLペプチドを除く)のためのN末端に配置されるペプチド切断部位として機能し、これにより、それぞれのVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、本発明に従いペプチド切断部位によって隣接される。この配置は、それぞれのVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)が、切断剤を用いた切断に際して融合ポリペプチドから個々に切り出されるという有利な結果をもたらす。
融合ポリペプチドが十分なレベルまで発現される限り、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の任意の数のコピーが、融合ポリペプチド内にコンカテマー型に配置され得る。ある実施形態において、融合ポリペプチドは、少なくとも0.01g/Lで発現されるが、好ましくは、融合ポリペプチドは、少なくとも0.5g/L、より好ましくは少なくとも1g/L、より好ましくは少なくとも2g/L、より好ましくは5g/L、またはより好ましくは10g/Lで発現される。好ましくは、融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の2個〜20個の(またはそれ以上の)コンカテマー型コピーを含む。例えば、融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個のコンカテマー型コピーを含み得る。ある実施形態において、融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の2個〜10個のコンカテマー型コピーを含む。ある好ましい実施形態において、融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の3個のコンカテマー型コピーを含む。別の実施形態において、融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の10個のコンカテマー型コピーを含む。いくつかの実施形態において、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の種々の変異体がコンカテマー型に発現され得る。
コンカテマー型VSDLペプチドを含む融合ポリペプチド(および前記融合ポリペプチドをエンコードしているポリヌクレオチド構築物)またはその変異体もしくは修飾ペプチドは、追加で、本明細書中において、例えば3個のコンカテマー型VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)が存在する場合「3量体」、6個のコンカテマー型VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)が存在する場合「6量体」などと称される。同様に、単一のVSDLペプチドを含む融合ポリペプチド、またはその変異体もしくは修飾ペプチド(および前記融合ポリペプチドをエンコードしているポリヌクレオチド構築物)は、追加で、本明細書中において、「1量体」と称される。
ペプチドがC末端ペプチド切断部位を含む、本発明の実施形態において、本発明は、一連のコンカテマー型ペプチド中の第1のペプチドがN末端ペプチド切断部位をもたないために融合ポリペプチドから切り出されない状況をその請求の範囲内に含むことを意図する。同様に、ペプチドがN末端ペプチド切断部位を含む、本発明の実施形態において、本発明は、一連のコンカテマー型ペプチド中の最後のペプチドがC末端ペプチド切断部位をもたないために融合ポリペプチドから切り出されない状況をその請求の範囲内に含むことを意図する。しかし、好ましくは、融合ポリペプチドは、ペプチドのコンカテマー型コピーのそれぞれが融合ポリペプチドから切り出され得るように、ペプチド切断部位をさらに含む(すなわち、C末端ペプチド切断部位を含むペプチドのコンカテマー型コピーに関してN末端に配置される、代替的には、N末端ペプチド切断部位を含むペプチドのコンカテマー型コピーに関してC末端に配置される。
ある実施形態において、融合ポリペプチドは、融合パートナーを含み得る。有利には、融合パートナーはまた、増大した溶解性、安定性、活性(例えば、ミスフォールディングを低減させることによって)をもつ融合ポリペプチドを提供するおよび/または発現効率を向上させ得る。好ましくは、融合パートナーは、ペプチドがその一方の末端にペプチド切断部位を含むかまたは備えている場合に、本発明にしたがってペプチドがペプチド切断部位によって隣接されるように、隣接ペプチドの他方の末端に隣接したペプチド切断部位を提供する。ある実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドと比較して異なるペプチド切断部位を含み得る。この場合、融合ポリペプチドからペプチドを放出するために2つの切断剤が必要になり得る。
ある実施形態において、融合ポリペプチドは、トレイリング融合パートナー、すなわち、ペプチドに関してまたはペプチドのコンカテマー型コピーに関してC末端に配置されているトレイリング融合パートナーを含む。トレイリング融合パートナーは、C末端に配置されるペプチド切断部位をペプチドに(例えば、N末端に配置されたペプチド切断部位を含み、このため本発明によるペプチド切断部位によって隣接されているペプチドに)提供するN末端ペプチド切断部位を含み得る。よって、ある実施形態において、トレイリング融合ペプチドは、N末端ペプチド切断部位を含む。当業者であれば、トレイリング融合パートナーのこのようなN末端ペプチド切断部位が、先頭の(leading)ペプチドのC末端に配置される(すなわち、トレイリング融合パートナーに関してN末端に配置される)ペプチド切断部位として機能し得るであろうことを理解するであろう。
代替的な実施形態において、融合ポリペプチドは、ペプチドまたはペプチドのコンカテマー型コピーに関してN末端に配置されるリーダー融合パートナーを含む。。リーダー融合パートナーは、N末端に配置されるペプチド切断部位をペプチドに(例えば、C末端に配置されたペプチド切断部位を含み、このため本発明によるペプチド切断部位によって隣接されているペプチドに)提供するC末端ペプチド切断部位を含み得る。よって、ある実施形態において、リーダー融合ペプチドは、C末端ペプチド切断部位を含む。当業者であれば、リーダー融合パートナーのこのようなC末端ペプチド切断部位が、次の(following)ペプチドのN末端に配置される(すなわち、リーダー融合パートナーに関してC末端に配置される)ペプチド切断部位として機能し得るであろうことを理解するであろう。
得られるペプチドが十分な品質および量で発現される限り、当業者に公知の任意の適切なペプチドが、融合パートナーとなり得る。公知の融合パートナーの例としては例えば、ユビキチン、ぶどう球菌プロテインA、チオレドキシン、マルトース結合タンパク質、グルタチオン−s−トランスフェラーゼ、プロキモシン、ベータ−ガラクトシダーゼ、T4由来gp55などが挙げられる。例えばHisタグ、Btag、FLAG、c−mycタグ、プロテインCタグ、S−タグ、メチオニンなどの公知の組換えタグもまた、融合パートナーを与え得る。融合パートナーは、任意には、追加のペプチド切断部位を含み得、その結果、融合ポリペプチドの切断にともない多数の小さなペプチドへと切断され、これは、所望のペプチドの精製を助けるかもしれない。
ある実施形態において、融合ポリペプチドは、インターロイキン(IL)−2、例えばウシIL−2など由来のリーダー融合ポリペプチドを含む。より好ましくは、リーダー融合パートナーは、本明細書中においてB72Rと称されるウシIL−2由来72アミノ酸フラグメントであり、以下のアミノ酸配列を有する:
Met−Lys−Glu−Val−Lys−Ser−Leu−Leu−Leu−Asp−Leu−Gln−Leu−Leu−Leu−Glu−Lys−Val−Lys−Asn−Pro−Glu−Asn−Leu−Lys−Leu−Ser−Arg−Met−His−Thr−Phe−Asp−Phe−Tyr−Val−Pro−Lys−Val−Asn−Ala−Thr−Glu−Leu−Lys−His−Leu−Lys−Ala−Leu−Leu−Glu−Glu−Leu−Lys−Leu−Leu−Glu−Glu−Val−Leu−Asn−Leu−Ala−Pro−Ser−Lys−Asn−Leu−Asn−Val−Asp−Arg(配列番号3)。
よって、ある実施形態において、リーダー融合パートナーはB72Rである。
ある実施形態において、B72R融合パートナーの最後から2番目のアスパラギン酸残基は、グルタミン残基に置換されており(本明細書中、B72(Q)Rと称される)、以下のアミノ酸配列を有する:
Met−Lys−Glu−Val−Lys−Ser−Leu−Leu−Leu−Asp−Leu−Gln−Leu−Leu−Leu−Glu−Lys−Val−Lys−Asn−Pro−Glu−Asn−Leu−Lys−Leu−Ser−Arg−Met−His−Thr−Phe−Asp−Phe−Tyr−Val−Pro−Lys−Val−Asn−Ala−Thr−Glu−Leu−Lys−His−Leu−Lys−Ala−Leu−Leu−Glu−Glu−Leu−Lys−Leu−Leu−Glu−Glu−Val−Leu−Asn−Leu−Ala−Pro−Ser−Lys−Asn−Leu−Asn−Val−Gln−Arg(配列番号10)。
よって、ある実施形態において、リーダー融合パートナーは、B72(Q)Rである。
好ましい実施形態において、リーダー融合パートナーは、ペプチド、または代替的には、ペプチドの第1のコンカテマー型コピーの直前に置かれる。コンカテマー型ペプチドに関連する好ましい実施形態において、第1のペプチドは、第2のペプチドの直前に設けられる(以下同様に続く)。
例えば、B72Rリーダー融合ペプチドおよび一つのVSDLペプチドを含む融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、以下のように表すことができる:
Met−Lys−Glu−Val−Lys−Ser−Leu−Leu−Leu−Asp−Leu−Gln−Leu−Leu−Leu−Glu−Lys−Val−Lys−Asn−Pro−Glu−Asn−Leu−Lys−Leu−Ser−Arg−Met−His−Thr−Phe−Asp−Phe−Tyr−Val−Pro−Lys−Val−Asn−Ala−Thr−Glu−Leu−Lys−His−Leu−Lys−Ala−Leu−Leu−Glu−Glu−Leu−Lys−Leu−Leu−Glu−Glu−Val−Leu−Asn−Leu−Ala−Pro−Ser−Lys−Asn−Leu−Asn−Val−Asp−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)(配列番号11)。
矢印は、トリプシン切断部位の位置を示す。
別の例において、B72Rリーダー融合ペプチドおよび3個のコンカテマー型VSDLペプチドを含む融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、以下のように表すことができる:
Met−Lys−Glu−Val−Lys−Ser−Leu−Leu−Leu−Asp−Leu−Gln−Leu−Leu−Leu−Glu−Lys−Val−Lys−Asn−Pro−Glu−Asn−Leu−Lys−Leu−Ser−Arg−Met−His−Thr−Phe−Asp−Phe−Tyr−Val−Pro−Lys−Val−Asn−Ala−Thr−Glu−Leu−Lys−His−Leu−Lys−Ala−Leu−Leu−Glu−Glu−Leu−Lys−Leu−Leu−Glu−Glu−Val−Leu−Asn−Leu−Ala−Pro−Ser−Lys−Asn−Leu−Asn−Val−Asp−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)(配列番号12)。
当業者であれば、より多くのコンカテマー型VSDLペプチドが、本明細書中に記載されるように、融合ポリペプチド中に含まれていてもよいことを理解するであろう。例えば、B72Rリーダー融合ペプチドおよび10個のコンカテマー型VSDLペプチドを含む融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、以下のように表されるであろう:
Met−Lys−Glu−Val−Lys−Ser−Leu−Leu−Leu−Asp−Leu−Gln−Leu−Leu−Leu−Glu−Lys−Val−Lys−Asn−Pro−Glu−Asn−Leu−Lys−Leu−Ser−Arg−Met−His−Thr−Phe−Asp−Phe−Tyr−Val−Pro−Lys−Val−Asn−Ala−Thr−Glu−Leu−Lys−His−Leu−Lys−Ala−Leu−Leu−Glu−Glu−Leu−Lys−Leu−Leu−Glu−Glu−Val−Leu−Asn−Leu−Ala−Pro−Ser−Lys−Asn−Leu−Asn−Val−Asp−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(↓)Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg(配列番号13)、
(以下同様に続く)。
よって、ある実施形態において、単一のペプチド切断部位が、リーダー融合パートナーと次のペプチドとのあいだ(または、コンカテマー型ペプチドを含む融合ポリペプチドの場合、リーダー融合パートナーと第1のペプチドとのあいだ、および、ペプチドのコンカテマー型コピーのそれぞれのあいだ)に配置され得る。しかし、融合ポリペプチドが、ペプチドのコンカテマー型コピーのそれぞれのあいだに短いリンカー配列を含むことが可能であろうことが理解されるべきであり、ここで、リンカー配列はペプチド切断部位に隣接されており、これにより、無傷のペプチドが、本発明にしたがい、切断剤を用いた切断後に融合ポリペプチドから切り出される。
代替的または追加で、融合ポリペプチドがペプチドのそれぞれのあいだに短いリンカー配列を含むことが可能であるかもしれないことが理解されるべきであり、ここで、切断剤を用いた切断後、ペプチドがリンカーで伸長された形状で融合ポリペプチドから切り出されるように、そして、ペプチドがリンカー配列から切り出されるようにリンカー配列がその後任意には代替のペプチド切断部位を使用する第2の切断剤によってペプチドから切り出され得るように、リンカー配列はペプチドの一末端へ連結されたまま残る。
本発明の融合ポリペプチドをエンコードする発現構築物および組換え宿主細胞として大腸菌を用いて、本発明者らは、本発明による1個のVSDLペプチドならびにVSDLペプチドの3個、6個、8個および10個のコンカテマー型コピーをもつ融合ポリペプチドを含む、溶解性の融合ポリペプチドの高レベルの発現を適切に得ることができた。さらに、本発明者らは、得られた融合ポリペプチドが、切り出されるVSDLペプチドを高い濃度で適切に得るために完全消化され得たことを示した。
本発明のある実施形態において、切り出されたペプチドは精製される。ペプチドの精製は、混入物(例えば、宿主細胞タンパク質、核酸、およびエンドトキシンを含む細胞成分など)を、治療上の使用に適する許容可能なレベルまで有利には減少させ得る。ペプチドは、当業者に公知の任意の適切な技術を用いて精製され得る。ある実施形態において、ペプチドは、融合ポリペプチドの切断剤を用いた切断に先立って精製される。ある実施形態において、ペプチドは、切断剤を用いた融合ポリペプチドの切断に続いて精製される。ペプチドが臨床に用いられる場合、精製方法が、ペプチドが高い濃度の毒性、揮発性または可燃性の溶媒(例えば、メタノールなど)中に溶出されることを必要としないならば有利である。
ある実施形態において、方法はさらに、切断される融合ポリペプチドから切り出されるペプチドを精製する工程を含む。当業者であれば、広範囲の精製法、例えばイオン交換法および他の分離法などが、切り出されるペプチドを精製するために適切であり得ることを認識するであろう。ペプチドを精製するために適切であり得るイオン交換法としては、例えば、ChromaSorb(登録商標)メンブレン(Merck−Millipore、Billerica、MA、米国)、Sartobind(登録商標)メンブレン(Sartorious AG、Goettingen、ドイツ)、Mustang(登録商標)メンブレン(Pall Corporation、Port Washington、NY、米国)、CIM(登録商標) QAモノリスメンブレン(BIA Separations GmbH、Villach、オーストリア)、逆相レジン、Capto MMC(マルチモーダルレジン(GE Healthcare、Waukesha、WI、米国)、ヒドロキシアパタイト(マルチモードレジン:BioRad Laboratories、Inc、Hercules CA、米国)、QおよびDEAEモノリス(アニオン交換樹脂;BIA Separations)、Macroprep(登録商標) HQおよびDEAE(アニオン交換樹脂;BioRad)、POROS(登録商標)HQ、PIおよびD(アニオン交換樹脂;PerSeptive Biosystem Inc、Framingham MA、米国)、Nuvia Q(アニオン交換樹脂;BioRad)、UNOsphere Q(アニオン交換樹脂;BioRad)、Q Sepharose FFおよびBB(アニオン交換樹脂;GE Healthcare)、SP Sepharose FF(カチオン交換樹脂;GE Healthcare)、Fractogel(登録商標) TMAE(アニオン交換樹脂;Merck−Millipore)、MEP Hypercel(登録商標)(マルチモード樹脂;Pall Corporation)などの市販の樹脂およびメンブレンが挙げられる。切り出されるペプチドを精製するために適切であろう、イオン交換分離法を用いない方法としては例えば、Blue Sepharose(登録商標)(疑アフィニティー樹脂;GE Healthcare)、Phenomenex社またはVydac社から得られる多数のレジンなどが挙げられる。
VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の場合、一実施形態において、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、消化された融合ポリペプチドおよび他の宿主細胞混入物から、逆相クロマトグラフィーを用いて精製される。例えば、逆相クロマトグラフィーは、不溶性ポリスチレンジビニルベンゼンポリマーレジン、例えばAmberchrom CG300CまたはAmberchrom XTカラム(Rohm and Haas)などを利用してもよい。いくつかの実施形態において、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、40〜20%のイソプロパノール(v/v)を用いて、このようなレジンから溶出され得る。好ましくは、前記溶出は、酢酸の存在下で行われる。例えば、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、0.5%の酢酸の存在下、30%のイソプロパノール中に溶出され得る。代替的な実施形態において、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、10〜20%のイソプロパノールを用いてこのような樹脂から溶出されてもよい。好ましくは、前記溶出は、わずかに塩基性であるpHで行われる。例えば、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、例えば25 mM Tris(pH8)の存在下など、pH8に緩衝された15%イソプロパノール中に溶出され得る。有利なことに、このような低濃度のイソプロパノールは、大規模な組換えタンパク質産生で容認されると考えられる。
別の実施形態において、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、消化された融合ポリペプチドからアニオン交換クロマトグラフィーを用いて精製される。例えば、アニオン交換クロマトグラフィーは、例えばFractogel(登録商標) TMAEカラム(Merck)などの架橋ポリメタクリル酸樹脂を利用する強力なアニオン交換クロマトグラフィーであってもよい。いくつかの実施形態において、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、酢酸ナトリウムを用いてこのようなレジンから高純度で溶出され得る。好ましくは、前記溶出は、酸性のpH(例えば、pH5.0、pH4.0またはpH3.5の10mM 酢酸ナトリウム)で行われる。他の実施形態において、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、低濃度の塩酸(例えば10mM HClなど)を用いてこのようなレジンから高純度で溶出され得る。
別の実施形態において、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、消化された融合ポリペプチドから逆相クロマトグラフィーを用いて精製される。例えば、逆相クロマトグラフィーは、不溶性ポリスチレンジビニルベンゼンポリマーレジン、例えばAmberchrom CG300CまたはAmberchrom XTカラム(Rohm and Haas)などを利用してもよい。ある実施形態において、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、10〜20%のイソプロパノールを用いて、このようなカラムから溶出され得る。好ましくは、前記溶出は、わずかに塩基性であるpHで行われる。例えば、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、例えば25 mM Tris(pH8)の存在下など、pH8に緩衝された15%イソプロパノール中に溶出され得る。
追加的にまたは代替的に、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、Chromasorb(登録商標)メンブレンを用いて精製され、および、10mM 塩酸で溶出されてもよい。
別の実施形態において、切り出されたVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、始めに逆相クロマトグラフィーを用いて、例えば不溶性ポリスチレンジビニルベンゼンポリマーレジンを用いて、消化された融合ポリペプチドから精製され、およびその後、強力なアニオン交換クロマトグラフィーを用いて(例えば、架橋ポリメタクリル酸樹脂を用いて)さらに精製されてもよい。
ある実施形態において、ペプチドは、イソプロパノール、ブタノールおよびアセトニトリルから選択される有機溶媒中に溶出され得る。
当業者であれば、他の精製方法も、切断剤を用いた融合ポリペプチドの切断に続く、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の精製に適切であるかもしれないことを理解する。
ある実施形態において、精製されたペプチドは凍結乾燥されてもよい。凍結乾燥されたペプチドは、その後、再構成され得る。
ある実施形態において、精製されたペプチドは、薬学的または獣医学的に許容可能な賦形剤または担体と共に処方され得る。
第3の態様において、本発明は、
1つまたは2つ以上のトリプシン切断部位によって隣接されており、および、そうではない場合、トリプシン切断部位が存在しないことを特徴とする少なくとも1つのVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)を含む融合ポリペプチドを発現する工程と、
トリプシン切断部位での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、融合ポリペプチドをトリプシン切断部位で切断する工程と
を含む組換え血管拡張物質(VSDL)ペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の産生方法であって、
融合ポリペプチドを切断する工程が、融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法を提供する。
この第2の態様において、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)、融合ポリペプチドおよびトリプシン切断部位のそれぞれは、本発明の第1または第2の態様として上述されるように例示され得ることが理解されるべきである。例えば、融合ポリペプチドは、リーダー融合パートナーを含んでいてもよい;融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)のコンカテマー型コピーを含んでいてもよい;および/または、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、上記で例示されるような配列をもっていてもよい;などである。
第4の態様において、本発明は、
リーダー融合パートナー、および、1つまたは2つ以上のトリプシン切断部位によって隣接されている少なくとも1つのVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)を含む融合ポリペプチドを発現する工程と、
トリプシンまたはトリプシン様酵素を用いて融合ポリペプチドを切断する工程と、
切断された融合ポリペプチドのpHを5未満に調節する工程と、
アニオン交換法(または複数の交換法)を用いて消化された融合ペプチドからペプチドを精製する工程と
を含む組換え血管拡張物質(VSDL)ペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の産生方法
を提供する。
この第4の態様において、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)、融合ポリペプチド、リーダー融合パートナー、トリプシン切断部位、トリプシンまたはトリプシン様酵素などのそれぞれは、本発明の第1または第2の態様として上述されるように例示され得ることが理解されるべきである。例えば、融合ポリペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)のコンカテマー型コピーをんでいてもよい;および/または、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)は、上記で例示されるような配列をもっていてもよい;などである。
第5の態様において、本発明は、本発明の第1〜第4の態様のいずれか1つに規定されるような融合ポリペプチドをエンコードしているヌクレオチド配列を含む発現構築物を提供する。
好ましくは、発現構築物は、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をエンコードしている少なくとも1つのヌクレオチド配列に作動可能に融合されている、C末端トリプシン切断部位を有するリーダー融合パートナーをエンコードしているヌクレオチド配列を含む。
本明細書中で用いられるように、用語「作動可能に融合される(operably fused)」は、ヌクレオチド配列が、終止コドンが存在しない場合、融合ポリペプチドのそれぞれのペプチドが翻訳されるように、同じ読み取りフレーム中の全ての融合ポリペプチドをエンコードすることを意味するものであると当業者によって理解されるであろう。
ある実施形態において、C末端トリプシン切断部位を有するリーダー融合パートナーをエンコードしているヌクレオチド配列は、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をエンコードしている1つのヌクレオチド配列に作動可能に融合されてもよい。別の実施形態において、C末端トリプシン切断部位を有するリーダー融合ペプチドをエンコードしているヌクレオチド配列は、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をそれぞれエンコードしている任意の数のコンカテマー型ヌクレオチド配列に作動可能に融合されてもよい。好ましくは、C末端トリプシン切断部位を有するリーダー融合ペプチドをエンコードしているヌクレオチド配列は、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をそれぞれエンコードしている2個〜20個の(またはそれ以上の)コンカテマー型ヌクレオチド配列に作動可能に融合されてもよい。すなわち、ヌクレオチド配列は好ましくは、C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個のコンカテマー型コピーに作動可能に融合されている、C末端トリプシン切断部位を有するリーダー融合ペプチドを含む融合ポリペプチドをエンコードする。
好ましくは、C末端トリプシン切断部位は、C末端アルギニン残基である。
ある実施形態において、ヌクレオチド配列は、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる融合ポリペプチドをエンコードする。
当業者に公知であるように、発現構築物は、発現プラスミド内にあり得る。
第6の態様において、本発明は、第5の態様の発現構築物を含むペプチドを組換えによって発現するための宿主細胞を提供する。好ましくは、ペプチドは、VSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)である。組換えペプチドを産生し得るさまざまな発現系が、当業者に公知である。さらに、本発明の宿主細胞は、当業者が理解されるであろうような、任意の適切な宿主細胞であり得る。宿主細胞としては例えば、細菌細胞(例えば、大腸菌(Escherichia coli)、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)、バチラス種(Bacillus sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、スタフィロコッカス種(Staphylococcus sp.)(例えば、S.ティフィムリウム(S.Typhimurium)など)など)、例えば、酵母細胞(例えば、サッカロミケス セレビシエSaccharomyces cerevisiae、ピキア パストリス(Pichia pastorisなど)などの真菌細胞、カビまたは糸状菌(例えば、アスペルギルスAspergillus sp.など)、昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエ S2(Drosophila S2およびスポドプテラ フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(例えば、スポドプテラ Sf9細胞など)など、および、バキュロウイルスを用いた発現系など)、哺乳類細胞(チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)(Chinese Hampster Ovary)細胞、サル腎由来(COS)細胞、ヒト胎児腎(HEK)細胞、ハムスター腎由来(BHK)細胞、マウスメラノーマ細胞などを含む多数の細胞株が適切である)、および植物細胞。代替として、組換えペプチドは、遺伝子組換え植物および動物で発現されてもよく、および、したがって、宿主細胞は、適切な植物または動物細胞であってもよい。好ましくは、宿主細胞は大腸菌細胞である。
さらなる態様において、本発明は、C末端トリプシン切断部位を有するペプチドのコンカテマー型コピー(例えば、ペプチドの2個〜20個の、またはそれ以上のコンカテマー型コピー)に連結されているリーダー融合パートナーを含む組換え融合ポリペプチドを提供する。好ましくは、リーダー融合パートナーは、C末端トリプシン切断部位を有する。好ましくは、ペプチドは、配列内トリプシン切断部位を有さない。好ましくは、ペプチドは、VSDLペプチドまたはその変異体もしくは修飾ペプチド、より好ましくは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVSDLペプチドである。
さらなる別の態様において、本発明は、C末端トリプシン切断部位を有するペプチドのコンカテマー型コピー(例えば、ペプチドの2個〜20個の、またはそれ以上のコンカテマー型コピー)を含むかまたはそれらからなる組換え融合ポリペプチドを提供する。好ましくは、ポリペプチドは、ペプチドの3個〜10個のコンカテマー型コピーを含む。好ましくは、ペプチドは、配列内トリプシン切断部位を有さない。好ましくは、ペプチドは、VSDLペプチドまたはその変異体もしくは修飾ペプチド、より好ましくは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVSDLペプチドである。
本発明は、以下の非限定的な実施例および添付図面を参照することによって、以下に説明される。
実施例
実施例1 大腸菌でのVSDLの組換え産生
ヒトVSDL(実施例において、VSDLと規定される)のアミノ酸配列は以下:
Glu−Val−Val−Pro−Pro−Gln−Val−Leu−Ser−Glu−Pro−Asn−Glu−Glu−Ala−Gly−Ala−Ala−Leu−
Ser−Pro−Leu−Pro−Glu−Val−Pro−Pro−Trp−Thr−Gly−Glu−Val−Ser−Pro−Ala−Gln−Arg
(配列番号2)
である。
本実施例において、VSDLの大腸菌での組換え発現が、ペプチド配列中の配列内アルギニン(R)およびリジン(K)残基の非在在、ならびに、トリプシンのための切断部位を簡便に提供するC末端アルギニン(R)の存在を利用しようとするストラテジーにおいて、融合ポリペプチドアプローチを用いて調査された。(図1)
発現構築物の産生
はじめに、以下の2つの融合ポリペプチドが設計された:
(i)B72Rと規定される73アミノ酸融合パートナーと融合された単一のVSDL配列(B72R−VSDLと規定される、および、本明細書中において「1量体」とも称される)、ならびに
(ii)B72Rと融合された三重のVSDLの繰り返し(B72R−(VSDL)と規定される、および、本明細書中において「3量体」とも称される)。
これらの融合ポリペプチドのアミノ酸配列を図1に示す。
次に、融合パートナーの最後から2番目のアスパラギン酸残基(D)がグルタミン残基(Q)によって置換され(B72(Q)Rと規定される)、および、エンコードされた融合ポリペプチドがVSDLペプチド配列の3個、6個、8個および10個の直列型のコピーを含む、2回目の遺伝子融合を作成した。アスパラギン酸残基の置換が、融合パートナー/VSDL接合部での向上された切断をもたらし得ることが予測された。
VSDL融合ポリペプチド遺伝子は、pUC57ベクターサブクローン(GenScript USA Inc、Piscataway NJ、米国)として得た。融合遺伝子のヌクレオチド配列を図2に示す。VSDL遺伝子融合体が、制限酵素NdeIおよびHindIII(Roche Diagnostics Corporation、Indianapolis IN、米国)を用いた消化によってそれぞれのpUC57サブクローンから切り出された。プラスミド消化物は脱塩され、そしてその後、16℃で終夜、T4 DNAリガーゼ(Roche)の存在下でのインキュベートによって、pBRE508発現ベクター(Hospira Adelaide Pty Ltd、ThebartonSA、オーストラリア)と直接ライゲーションされた。ライゲーション反応物がXL1−Blueエレクトロコンピテントセル(Agilent Technologies Inc、SantaClara CA、米国)を形質転換するために使用され、および、陽性の形質転換株がカナマイシン(30μg/mL)を含むVAプレート上において選択された。プラスミドDNAが、個々の形質転換体から、製造業者の取扱説明書に従いQIAprep(登録商標) Spin Miniprep Kit(Qiagen NV、Venlo、オランダ)を用いて調製された。精製されたプラスミドは、その後、成功した候補クローンを特定するために、NdeI/HindIIIを用いて消化された。種々のVSDL遺伝子融合体に期待されるバンドパターンを示しているプラスミドクローンが、pBRE601〜pBRE606と規定された。VSDL発現構築物のマップが図3a〜図3fに示されている。
小規模発現研究
初めの発現実験が10mLの振とうフラスコスケールで行われた。VSDL発現構築物、pBRE601(1量体)およびpBRE602(3量体)で大腸菌宿主株BR067(Hospira Adelaide;MM294 OmpT欠失)が形質転換され、および、形質転換株がカナマイシン(30μg/mL)を含むVAプレート上において選択された。
形質転換プレートからの単一のコロニーがカナマイシン(30μg/mL)を含む3mLのC2限定培地中に無菌的に移され、終夜培養のための3mL培養液が確立された。培養液は、回転式カルーセルを介して攪拌しながら、16時間37℃でインキュベートされた。それぞれの培養物0.875mLを80%グリセロール0.125mLと混合し、−80℃で保存することによってグリセロールストックが調製された。
発現実験のため、終夜培養物(1mL)が、カナマイシン(30μg/mL)を含む10mLのC2限定培地中で無菌的に継代培養された。これら培養液は、攪拌下37℃で2.5時間インキュベートされ、そしてその後IPTG(0.25mMの最終濃度)で誘導された。さらに3時間インキュベートした後、SDS−PAGEサンプルが調製された。分画されたBR067(pBRE601)およびBR067(pBRE602)培養物サンプルのSDS−PAGE分析(図4)は、高いレベルの、溶解性のBR72R−VSDLおよびB72R−(VSDL)融合ポリペプチドの発現を示した。
続いて、同等の発現実験が、VSDLの3個、6個、8個および10個の直列型コピーを含むB72(Q)R融合ポリペプチドをエンコードしている構築物を用いて行われた。図5に示されるように、培養物は同様に、高いレベルの、溶解性の融合ポリペプチド発現を示した。しかし、VSDL配列のコピーの数の増加と共に、融合ポリペプチドの異所転位挙動も非常に増加することが認められた(表4)。これは、VSDLペプチド配列の強く負に帯電している性質の結果である可能性が高い。
流加発酵
流加培養が、BioStat Qplus バイオプロセス制御ユニット(Sartorius)へ連結された1Lの反応容器中で行われた。実験は、BR067(pBRE601)およびBR067(pBRE602)細胞株それぞれの凍結されたグリセロールストックから開始された。栄養素供給は、バッチモードでの37℃の終夜培養に続いて開始された。培養物のOD600が40〜50に達した時点で、培養物はIPTGの添加によって誘導され、そして、培養が5時間継続された。各細胞株において達成された最終のOD600は〜70であり、そして、最終的なバイオマスの湿潤重量は〜80g/Lであった。図6に示される最終的な培養サンプルのSDS−PAGE分析は、BR72−VSDLおよびB72R−(VSDL)の高レベルの発現がこれらの条件下で達成されることが示した。
2つの細胞株の発酵バイオマスが遠心分離によって回収され、そして、25mM Tris HCl pH8.0中に再懸濁された。その後、清澄細胞溶解液が、収集された細胞の高圧破砕(920バールで3回押し出し)および遠心分離(8000rpmで15分間)後に産生された。細胞溶解液はアリコートされ、および−80℃で保存され、そして、この材料が後述される切断および精製実験に使用された。
融合ポリペプチドの切断
B72R−VSDLおよびB72R−(VSDL)融合ポリペプチドを含む細胞溶解液が解凍された。シークエンシング用グレードの修飾ブタトリプシン(Promega V511A;Promega Corporation、Fitchburg WI、米国)が25μg/mLで添加され、室温で終夜インキュベートされた。サンプルは、1.0%HPO/0.2%TFAと1:1で混合され、そして、沈殿物を除去するために遠心分離された。上澄み液が、Waters Alliance HPLC分離モジュールおよびUV検出器(Waters Corporation、Milford MA、米国)のRP−HPLCによって分析された。分析は、Empower 2ソフトウェア(Phenomenex、Inc、Torrance CA、米国)の制御下、Phenomenex Jupiter C4(250×2.1mm、5μm、300 Aカラム(#302))で行われた。VSDL合成ペプチド(すなわち、化学的に合成されたVSDL)の5、10および20μgの3度の注入が、検量線を作成するために使用され、この検量線が、切断された細胞溶解液中に産生された組換えVSDLの量を定量するために使用された。
両方の融合ポリペプチドは、38分の保持時間で溶出し、一方、VSDLは28分で溶出した。組換えVSDLおよび合成VSDLの保持時間は同等であった。融合ポリペプチドは、試験された条件下で消化された。先の実験は、RP−HPLCによってより遅い保持時間で溶出する、部分的に消化された(N末端が延長されている)変異体(NLNVDR−VSDLと規定される)の存在を明らかにした。消化物は、より緩やかな濃度勾配によって分析され、そして、顕著な量のこの変異体が残存していること;より多くの変異体が3量体消化物中よりも1量体消化物中に存在してることが確認された。
0.58g/Lおよび1.49g/LのVSDL濃度が、それぞれ、B72R−VSDLおよびB72R−(VSDL)消化物中でRP−HPLCによって測定された。消化が完了していたならば、すなわち、N末端が延長された変異体NLNVDR−VSDLが全く存在しなくなるまでであったならば、VSDL濃度は、1量体および3量体消化物において、それぞれ、0.91g/Lおよび1.76g/Lへ増加するであろう。
VSDLおよび融合パートナーの相対的分子量を考慮に入れると、融合ポリペプチド濃度は、1量体細胞溶解液および3量体細胞溶解液中でそれぞれ、2.91g/Lおよび3.04g/Lであった。しかし、サンプル調製あいだに、酸性化は、顕著な量の沈殿物をもたらし、そして、未消化の細胞溶解液中でRP−HPLCによって測定された融合ポリペプチド濃度が上記で言及された数字よりもはるかに低いと見積もられたため、顕著な量のB72R−VSDLおよびB72R−(VSDL)融合ポリペプチドが、粗細胞溶解液中に存在する他の大腸菌由来タンパク質とともに沈殿しやすいのかもしれないことが考えられる。
アミノ酸配列の調査は、切断が、融合パートナーB72RのC末端のVDR↓Eである切断部位、および、VSDL配列(または複数の配列)のC末端のAQR↓Eである切断部位で起こる場合に、「標準の(authentic)」VSDL(すなわち、1量体融合ポリペプチドおよび3量体融合ポリペプチドのいずれかからのもの)が産生されることを明らかにしている(ここで、↓は、ペプチド切断部位の位置を示す)。これとは対照的に、N末端が延長された変異体(NLNVDR−VSDL)のペプチド切断部位はPSK↓Nである。VDR↓Eにおける低い切断効率は、この部位に対するトリプシンの親和性を低下させ得る、アルギニン(R)切断部位の直前にあるアスパラギン酸残基(D)の存在に起因する可能性が高い。VSDLおよびNLNVDR−VSDLのあいだの物理化学的特性における比較的小さな違いが、最終生成物から変異体を除去するための精製の困難性を増大させる可能性が高いため、融合パートナーのC末端の切断部位の、VDR↓EからVQR↓Eへの修飾(VSDLペプチド(または複数のペプチド)のC末端のアミノ酸残基と同じである、融合パートナーのC末端の末端および最後から2番目のアミノ酸残基)は、全体的な切断効率を向上させると仮定された。さらに、VSDL配列の数を増加させることはまた、変異体の分布率を低下させ得る一方、融合パートナーの融合ポリペプチドに対する質量比としての収率の増大は低下する。
3量体融合ポリペプチド(すなわち、B72R−(VSDL))は、4mLの細胞溶解液を分取用RP−HPLCカラム(Phenomenex Jupiter C4、250x10mm、5μm、300Å)にロードすることにより精製された。融合ポリペプチドは、0.1%TFAの存在下、60分間にわたる5〜60%アセトニトリルの濃度勾配によって行われた。アセトニトリルおよびTFAは、遠心式凍結乾燥機を用いてタンパク質からエバポレートされ、そして、50mM Tris、1mM CaCl、pH8.0中、0.5mg/mLに再構成された。組換えウシTrypZean(登録商標)(Sigma−Aldrich)の10mgバイアルが、50%グリセロール/50mM 酢酸中、5mg/mLに再懸濁され、そして−20℃で保存された。TrypZean(登録商標)が1:120の質量比で融合ポリペプチドに添加され、そして、消化が室温で終夜行われた。10分後に、サンプルは、消化を終わらせるために1%酢酸を用いて酸性化された。消化されたおよび未消化のサンプルがLC−MSによって分析された。サンプルはまた、Bruker HCTultraイオントラップ質量分析計に連結されたZorbax C3カラム(Agilent)を通されてクロマトグラフが行われ、1%酢酸の存在下、アセトニトリルの濃度勾配によって溶出された。未消化のサンプルは、20091.4Daの質量を与え、これは、3量体融合ポリペプチドの理論質量(すなわち、20091.0Da)に匹敵する。消化後のサンプルは、3877.8Daの質量を与え、これは、VSDLの理論質量(すなわち、3878.3Da)に匹敵する。検出された他のペプチドは、融合パートナーの部分的に消化されたフラグメントに対応する。顕著なことに、VSDLのコンカテマーまたは融合パートナーへの連結の証拠は無かった。NLNVDR−VSDL変異体の非存在は、RP−HPLCによって確認され、そして、切断効率は、TrypZean(登録商標)の利用、および/または、消化に先立つ融合ポリペプチドの精製によって向上されることが示された。細胞溶解液を用いたその後の切断実験は、1:120(w/w)でのTrypZean(登録商標)切断割合が、残渣NLNVDR−VSDLを残存させないことを示した。
TrypZean(登録商標)のための要件は、一定量のB72R−(VSDL)細胞溶解液(3g/Lの融合ポリペプチド)に様々な量を添加し、そして、室温で終夜インキュベートすることによって決定された。切断されたVSDLの量は、Restek Pinnacle DBC8、100×2、1mmおよび1.9μmカラムを用いて、Shimadzu CBM−20A(Shimadzu Corporation、京都、日本)のRP−UPLCによって決定された。合成VSDLペプチドの5、10および15μgの3回の注入が、検量線を作成するために使用され、この検量線が、組換えVSDLを定量するために使用された。6mg/Lを超えるTrypZean(登録商標)では、これは1:480(w/w)のTrypZean(登録商標)と融合ポリペプチドの比に相当するが、産生される組換えVSDLは、プラトーになり始めた(図7)。
精製
この実験の目的は、
(1)1Lの発酵物あたり0.25gより高い精製VSDLの収率を与える、
(2)合成VSDLペプチドに匹敵する純度プロファイルが示す、
(3)エンドトキシンを低いレベルに低下させる、
(4)10mM HCl中にVSDLを処方する、
(5)大規模産生に使用できる有機溶媒の量を用いる、
(6)低圧クロマトグラフィー工程を用いる、および
(7)大規模に実現し得る
である精製プロセスを実証することであった。
最初のプロセス
先の実験において、以下の工程を利用する精製プロセスが開発された
(1)トリプシン切断、(2)酸性化による宿主細胞由来不純物の沈殿、(3)酸/メタノールを用いた逆相分離、(4)pH8への調整、および(5)NaClを用いたアニオン交換分離。
このプロセスは、15mLの消化された3量体細胞溶解液を、1mL Amberchrom XT30カラム(Rohm and Haas)上に、続いて、1mL Q Sepharose HPカラム(GE Healthcare、LittleChalfont、Buckinghamshire、英国)上にロードすることにより繰り返された。約10mgのVSDLが、Qカラムを用いて、1Lの発酵物あたり1.23gの収率で精製された。精製されたVSDLの、RP−HPLCによる溶出位置および不純物プロファイルは合成VSDLペプチドと比較しても遜色なく、N末端が延長されているNLNVDR−VSDL変異体は存在しなかった。しかし、この精製プロセスは、カラムから結合されたVSDLを溶出させるために100%メタノールを利用し、そして、メタノールの揮発性、可燃性および毒性はしたがって、この精製プロセスが大規模産生のためには望ましくないかもしれないことを意味している。
有機溶媒の利用の低減
Amberchrom逆相レジンを用いた精製のあいだの有機溶媒の使用を低減させる可能性がまた調査された。
消化された3量体細胞溶解液が、Amberchrom CG300C(Rohm and Haas)にロードされ、そして、メタノールの濃度勾配を用いて溶出させた。XT30としては、100%メタノールがVSDLを溶出させるためには必要であった。しかし、以下の実験において、メタノールはイソプロパノールによって置換され、そして、VSDLは、0.5%酢酸の存在下、30%イソプロパノールを用いて高い純度で溶出され得ることが発見された。核酸混入物は、VSDLの溶出に先立って、15%イソプロパノールを用いてカラムより洗浄された。pH調整無しの細胞溶解液がまた、カラム上にロードされ、そして、イソプロパノールによる溶出が、0.5%酢酸ではなく25mM Tris(pH8)の存在下で行われた。予期せぬことに、VSDLは、より高いpHにおいて15%イソプロパノールで溶出された。明らかに、15%イソプロパノールの可燃性は、30%イソプロパノールよりも顕著に低く、そして実際、大規模組換えタンパク質産生に一般的に用いられている20%エタノールとほぼ同じである(引火点は35℃で同一であることに留意)。
細胞溶解液は、1:120質量比のTrypZean(登録商標)を用いて、室温で終夜消化した。次の日、宿主細胞由来不純物を沈殿させるために、1M酢酸を用いてpHを4.4へ調整した。沈殿物はその後、遠心分離によって固められ、そして、13mLの上澄みが、0.5%酢酸を用いて事前に平衡化されていた1mL Amberchrom CG300Cカラム上にロードされた。カラムは、0.5%酢酸、15%イソプロパノール/0.5%酢酸、および、25mM Tris pH8を用いて洗浄された(図8)。大きなピークが、15%イソプロパノール/25mM Tris pH8で溶出した。このピーク中のペプチド内容物は18.5mgであり、これは、81%の工程の回収率と解釈される。続いて、1mL Fractogel TMAEカラムが25mM Tris pH8によって事前に平衡化され、そして、6.9mgのこの材料でロードされた。カラムはその後、25mM Tris pH8および10mM 酢酸ナトリウム pH4.5を用いて洗浄された(図9)。大きなピークが、10mM HClで溶出され、ペプチド内容物は5.8mgであり、これは、84%の工程回収率を示している。精製収率は、1L発酵物あたり1.37gであった。
Amberchrom CG300CおよびFractogel TMAEのVSDLに対する結合能力はそれぞれ、〜20mg/mLおよび〜7mg/mLであった。大きなピークが合成VSDLペプチドと、RP−UPLC分析によって比較され、そして、97.0%および93.7%の純度がそれぞれ測定された。合成VSDLペプチドと比較してVSDLに、新しい顕著な不純物ピークは存在しなかった。さらに、合成VSDLペプチドおよび組換えVSDLのUVプロファイルは、ほぼ同じであった(図10)。さらに、同様の様式で精製された、FractogelのVSDLピークのエンドトキシン量は低かった(5EU/mg)。
結論
上記実施例に示される結果は、VSDLを安定した融合ポリペプチドとして良好な収率で発現する細胞株の開発、および、大規模産生で使用可能な方法でのVSDLの精製プロセスを示している。
これは、非動物由来の組換えタンパク質、TrypZean(登録商標)として入手可能である十分に特徴付けられている酵素であるトリプシンのための切断部位としてVSDLのC末端アルギニン残基(R)を利用するための融合ポリペプチドの設計を含んでいた。初めに、以下の2つの融合ポリペプチド:
B72Rと融合された単一のVSDL配列(1量体)および
B72Rと融合された三重のVSDL反復配列(3量体)
が設計され、これらは、溶解性型で発現され、これによって、単離された封入体からの発現タンパク質を精製する必要性が回避された。さらなる実験は、VSDLがまた6量体、8量体および10量体として高レベルで発現され得ることも立証した。
実験室グレードのブタトリプシン原料を用いた予備的なトリプシン切断実験は、融合ポリペプチドがVSDLペプチドを与えるために完全消化され得、そしてそれは以下の工程:
(1)1:120のTrypZean(登録商標):融合ポリペプチド(w/w)を用いた終夜の消化、
(2)pH4.4への調整、
(3)遠心分離、
(4)Amberchrom CG300C逆相クロマトグラフィー、および
(5)Fractogel TMAE アニオン交換クロマトグラフィー
を含む精製プロセスによってその後回収され得ることを示した。フラクトゲル由来物質が、RP−UPLC分析によって合成VSDL調製物と比較され、そして、97.0%および93.7%の純度がそれぞれ測定された。重要なことに、組換えVSDLに、新しい顕著な不純物ピークは存在せず(すなわち、合成VSDLペプチドと比較して)、そして、組換えおよび合成VSDLのUVプロファイルは、ほぼ同一であった。さらに、精製された組換えVSDLのエンドトキシン量は、5EU/mgと見積もられた。
よって、精製プロセスが:
(1)1Lの発酵物あたり1.2〜1.4gである精製組換えVSDL収率を与え、
(2)合成VSDL調製物に匹敵する純度プロファイルを示し、
(3)エンドトキシンを低いレベルへと減少させ、
(4)10mM HCl中にVSDLが処方され、
(5)大規模産生使用できる有機溶媒の量を使用し、
(6)低圧クロマトグラフィー工程を用い、および
(7)大規模に実現し得る
ことが発見された。
実施例2 大腸菌でのVSDL 10量体の組換え産生
細胞溶解液が、VSDLペプチドの10個のコンカテマー型体コピーを有するB72R−(VSDL)10融合ポリペプチド(すなわち10量体)をエンコードする、実施例1に記載のpBRE606発現構築物をもつBR067大腸菌株の発酵物から、実施例1の「流加発酵」の項に記載されるように産生された。
275mLの10量体細胞溶解液が解凍され、そしてpHが1M NaOHを用いて8.0に調整された。(実施例1に記載されるように)TrypZean(登録商標)が融合ポリペプチドに質量比1:120で添加され、そして、消化が室温で2時間行われた。消化された細胞溶解液のpHは、不純物を沈殿させるために1M酢酸を用いて4.4に調整され、そしてその後、、Millistak+Pod LabスケールD0HCフィルター(MD0HC027H2)0.027mを用いてデプスフィルターでろ過された。
ろ液は、逆相Amberchrom CG300Cレジンのカラム上に直接ロードすることにより精製された。カラムは約15カラム当量の0.5%酢酸で、その後、約10カラム当量の0.5%酢酸/15%イソプロパノールで、その後、約15カラム当量の25mM Tris pH8で洗浄された。カラムは、UV吸光度が主ピークの10%に到達するまで、25mM Tris/15%イソプロパノールを用いて溶出された。溶出物はその後、Chromasorbメンブレン(Merck−Millipore)上にロードされ、UVベースラインに到達するまで10mM 酢酸ナトリウム pH5を用いて洗浄され、そしてその後、10mM 酢酸ナトリウム/50mM 塩化ナトリウム pH5を用いて洗浄された。メンブレンはその後、UVベースラインに到達するまで10mM 酢酸ナトリウム/200mM 塩化ナトリウムを用いて溶出された。Chromasorb溶出物はその後、フィルター上へ再度ロードされ、UVベースラインに到達するまで10mM 酢酸ナトリウム pH5を用いて洗浄され、そしてその後、UVベースラインに到達成するまで10mM HClを用いて溶出された。VSDLペプチド、約1mg/mL溶解物の収率で回収された。
Chromasorb溶出物を複数のチューブ/バイアル中にアリコートし、そして−70℃において約30分間凍結した後、Labconco回転型凍結乾燥機へと、以下に記載の凍結乾燥のために移動された。サンプルは、Labconco中、摂氏−25℃で30分間凍結され、そしてその後、サンプルに減圧が適用された。第一の乾燥が−15℃で24時間行われた。第二の乾燥は+17℃で終夜で行われた。凍結乾燥されたチューブ/バイアルはその後−20℃の冷凍庫中に保管された。
凍結乾燥物は、0.9%(w/v)NaCl中で再構成され、そして、標準的な技術(表5)を用いる一連のアッセイによって分析された。
実施例3 大腸菌でのVSDL 3量体の組換え産生
BR067大腸菌株が、VSDLペプチドの3個のコンカテマー型体コピーを有するB72R−(VSDL)融合ポリペプチド(すなわち3量体)をエンコードする、実施例1に記載のpBRE602発現構築物をもつ点を除いて、VSDL細胞溶解液が実施例2と同様に取得された。
B72R−(VSDL)細胞溶解液(175mL)が、15〜25°Cのあいだの温度に到達まで解凍された。1M NaOHを用いて、細胞溶解液のpHが8.0±0.1に調整された。再構成されたTrypZean(登録商標)が25μg/mL細胞溶解液で添加された。消化物は5分間ゆっくり混合され、その後、室温で終夜静置された。消化物のpHは、1M酢酸を用いて4.4±0.1に調整された。溶液はマグネチックスターラーを用いてゆっくりと撹拌された。
その後、細胞溶解液が、Millistak+PodLabスケールD0HCフィルター(MD0HC027H2)0.027mを用いて4.2mL/分でデプスフィルターでろ過され、そしてその後、Amberchrom CG300Cカラム(内径16mm、ベッド高に対するカラム長7.0cm)へ直接ロードされた。カラムは、約50分間、4.2mL/分で0.5%酢酸を用いて、その後、約25分間、4.2mL/分で0.5%酢酸/15%イソプロパノールを用いて、その後、約35分間、4.2mL/分で25mM Trisを用いて、そしてその後4.2mL/分で25mM Tris/3%イソプロパノールを用いて洗浄された。UV吸光度が最大値から減少し始めたとき、洗浄は25mM Tris/15%イソプロパノールに切り替えられた。UV吸光度が主ピークの10%に到達するまで、カラムは、4.2mL/分で25mM Tris/15%イソプロパノールを用いて溶出された。消化された細胞溶解液からのVSDLの分離を図11に示す。
実施例4 リーダー融合パートナーとしてB72QRを有する新規構築物の発酵物の分析
B72R融合パートナーの最後から2番目のアスパラギン酸残基の、グルタミン残基との置換が、リーダーペプチドのC末端アルギニン残基におけるトリプシン切断の向上について調べられた。前記置換をもつリーダー融合ペプチドは、本明細書中においてB72(Q)Rと称される(配列番号10を参照のこと)。実施例1に記載されるものと類似の技術を用いて、B72(Q)Rリーダーペプチドに融合されている、新規のVSDL6量体、8量体および10量体構築物が作製された。得られた構築物は、BR067大腸菌株へと形質転換され、そして、実施例1に記載されるようにスクリーニングされた。
B72R−(VSDL)、B72QR−(VSDL)、B72QR−(VSDL)およびB72QR−(VSDL)10株が実施例1に記載されるように培養された。細胞溶解液は、TypZean(登録商標)を用いて、1:120のモル比で室温で終夜インキュベートされた。VSDLペプチドは、実施例1に記載されるようにRP−UPLCによって定量化された。高い濃度のVSDL(2.5mg/mL)が、表6に示されるように、リーダー融合パートナーとしてB72QRとのVSDL8量体および10量体として記録された。
仮説例1 GLPの組換え産生
天然のヒトグルカゴン様ペプチド(GLP、NCBIの登録番号NP_002045由来)をエンコードするヌクレオチド配列が、対応するアミノ酸配列から2つの配列内リジン(K)残基を除去し、リジン残基がグルタミン(Q)残基へと変換されるように修飾される。天然のアミノ酸配列は生来、C末端アルギニン(R)残基を有する。N末端Hisタグとその後に続く、修飾GLPヌクレオチド配列の3個のまたは8個のいずれかの数のコンカテマー型コピーに作動可能に連結されるアルギニン残基(トリプシン切断部位を提供するため)をエンコードする発現構築物が、標準の大腸菌発現ベクター内に作製される。発現ベクターは大腸菌に形質転換され、そして、形質転換体が選択され、そしてその後実施例1に記載されるように培養される。
細胞溶解液は、1:120のモル比を用いたTrypzeanとの終夜インキュベーションに切断される。融合ペプチドからの組換えGLPの分離は、実施例1〜実施例4に記載されるように評価され得る。GLPの最適な精製は、標準の技術を用いて決定され得るる。
本明細書中全体において、用語「含む(comprise)」またはその変化形である「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などは、記載される要素、整数もしくは工程、または、要素、整数またはス工程の群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数もしくは工程、または、要素、整数または工程の群の除外を意味するものではないと理解されるであろう。
本明細書中に記載される全ての文献は、参照によって本明細書中に組み込まれる。本明細書中に含まれている資料、行為、材料、装置、文献などについての説明は、ひとえに本発明における意味を提供することのみを目的とする。よって、これらの事項のうちのいくつかまたは全部が従来技術の基礎の一部形成する、または本発明に関連する技術分野における、本出願の各請求項の優先日以前にオーストラリアなどに存在していた技術常識であったという承認として認識されるべきではない。
当業者であれば、多数の改変および/または変更が、広範に記載されるように、本発明の意図および範囲から逸脱することなく特定の実施形態で示される発明に行われ得ることを理解するであろう。よって、本実施形態は、全ての点において、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的なものとして解釈されるべきではない。
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Claims (36)

  1. ペプチドを含む融合ポリペプチドを発現する工程であって、前記ペプチドが、1つまたは2つ以上のペプチド切断部位(または複数の切断部位)によって隣接されており、および、そうではない場合、前記ペプチド切断部位(または複数の切断部位)が前記ペプチドに存在しない工程と、
    前記ペプチド切断部位(または複数の切断部位)での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、前記融合ポリペプチドを前記ペプチド切断部位(または複数の切断部位)で切断する工程と
    を含む組換えペプチドの産生方法であって、
    融合ポリペプチドを切断する工程が、前記融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法。
  2. ペプチド切断部位によって隣接されており、および、そうではない場合、前記ペプチド切断部位がペプチドに存在しないことを特徴とするペプチドのコンカテマー型コピーを含む融合ポリペプチドを発現する工程と、
    前記ペプチド切断部位での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、前記融合ポリペプチドを前記ペプチド切断部位で切断する工程と
    を含む組換えペプチドの産生方法であって、
    前記融合ポリペプチドを切断する工程が、前記融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法。
  3. 前記ペプチドが、以下の式
    −X−…Xn−1−X−(R/K)(配列番号1)
    であるアミノ酸配列を含み;
    式中、Xは、アルギニンまたはリジン以外の任意のアミノ酸であり、R/Kは、アルギニンまたはリジンであり、および、nは、アミノ酸の任意の適切な数である
    請求項1または2記載の方法。
  4. 前記ペプチドが、天然の配列を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ペプチドが、血管拡張物質(VSDL)ペプチドまたはその変異体もしくは修飾ペプチドを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるVSDLペプチドである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ペプチド切断部位が、トリプシン切断部位である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記切断剤が、トリプシンまたはトリプシン様酵素である請求項7記載の方法。
  9. 1つまたは2つ以上のトリプシン切断部位によって隣接されており、および、そうではない場合、トリプシン切断部位が存在しないことを特徴とする少なくとも1つのVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)を含む融合ポリペプチドを発現する工程と、
    前記トリプシン切断部位での切断を行う切断剤(または複数の切断剤)を用いて、前記融合ポリペプチドを前記トリプシン切断部位で切断する工程と
    を含む組換え血管拡張物質(VSDL)ペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)の産生方法であって、
    融合ポリペプチドを切断する工程が、前記融合ポリペプチドから前記ペプチドを切り出す方法。
  10. 前記ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるVSDLペプチドである請求項9記載の方法。
  11. 前記融合ポリペプチドを切断する工程が、前記融合ポリペプチドをトリプシンまたはトリプシン様酵素によって切断することを含む請求項9または10記載の方法。
  12. 切断された融合ポリペプチドのpHを5未満に調整する工程と、
    少なくとも1つのアニオン交換法を用いて、消化された融合ポリペプチドから前記ペプチドを精製する工程と
    をさらに含む請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記ペプチドを噴霧乾燥または凍結乾燥することをさらに含む請求項12記載の方法。
  14. 前記融合ポリペプチドが、前記ペプチドの2個〜20個のコンカテマー型コピーを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記融合ポリペプチドが、前記ペプチドの3個のコンカテマー型コピーを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記融合ポリペプチドが、前記ペプチドの10個のコンカテマー型コピーを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記ペプチドが、一末端に前記ペプチド切断部位を含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記ペプチドが、C末端アルギニンまたはリジン残基を含む請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記融合ポリペプチドが、C末端ペプチド切断部位を有するリーダー融合パートナーを含む請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記リーダー融合パートナーが、C末端アルギニンまたはリジン残基を含む請求項19記載の方法。
  21. 前記融合ポリペプチドを発現する工程が、発現宿主として大腸菌を用いて行われる請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. C末端トリプシン切断部位を有するペプチドのコンカテマー型コピーをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列に作動可能に融合されるリーダー融合パートナーをエンコードするヌクレオチド配列を含む発現構築物。
  23. C末端トリプシン切断部位を有するVSDLペプチド(またはその変異体もしくは修飾ペプチド)をエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列に作動可能に融合されるリーダー融合パートナーをエンコードするヌクレオチド配列を含む発現構築物。
  24. 前記リーダー融合パートナーが、C末端トリプシン切断部位を有する請求項22または23記載の発現構築物。
  25. 前記リーダー融合パートナーをエンコードしている前記ヌクレオチド配列が、前記ペプチドをエンコードしている前記ヌクレオチド配列の2個〜20個のコンカテマー型コピーに連結されている請求項22〜24のいずれか1項に記載の発現構築物。
  26. ペプチドを組換えによって発現するための宿主細胞であって、請求項22〜25のいずれか1項に記載の発現構築物を含む宿主細胞。
  27. 請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法により産生される組換えペプチド。
  28. C末端トリプシン切断部位を有するペプチドのコンカテマー型コピーに連結されたリーダー融合パートナーを含む組換え融合ポリペプチド。
  29. 前記リーダー融合パートナーが、C末端トリプシン切断部位を有する請求項28記載のポリペプチド。
  30. 前記リーダー融合パートナーが、前記ペプチドの2個〜20個のコンカテマー型コピーに連結されている請求項28または29記載のポリペプチド。
  31. C末端トリプシン切断部位を有するペプチドのコンカテマー型コピーを含む、またはそれからなる組換え融合ポリペプチド。
  32. 前記ペプチドの2個〜20個のコンカテマー型コピーを含む請求項31記載のポリペプチド。
  33. 前記ペプチドの3個〜10個のコンカテマー型コピーを含む請求項32記載のポリペプチド。
  34. 前記ペプチドが配列内トリプシン切断部位をもたない請求項28〜33のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  35. 前記ペプチドが、VSDLペプチドまたはその変異体もしくは修飾ペプチドである請求項28〜34のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  36. 前記ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるVSDLペプチドである請求項28〜35のいずれか1項に記載のポリペプチド。
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