JP2004519417A - 培地用ペプチド - Google Patents
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Abstract
本発明は、生物活性化合物を迅速に同定するのに有用なペプチドライブラリを提供する。本発明はさらに、細胞増殖に影響を及ぼすペプチドを含むペプチドと、細胞タンパク質の生成を増強しまたは阻害するペプチドを提供する。本発明のペプチドの多くは、組換え技法によって大量に生成することができ、培地に配合して所望の効果を培養細胞および組織にもたらすことができる。本発明のライブラリのいくつかと、それらの中で同定されたペプチドは、コンカテマーをベースとした組換え発現方法に特に有用である。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、培養中の細胞に影響を及ぼすペプチドと、そのようなペプチドを発見し製造する方法に関する。詳細には本発明は、培養中の細胞の増殖に影響を及ぼすペプチドと、細胞タンパク質の生成に影響を及ぼすペプチドに関する。
【0002】
(発明の背景)
組織およびタンパク質の加水分解物は、1800年代後半から細胞培地のペプチド源として日常的に使用されてきた。これらは、細菌学において現在使用されている最も一般的な、不定の培地成分であり、哺乳動物の培養でしばしば血清の代わりに使用される(S. SahaおよびA. Sen、1989、Acta Virol.33:338〜343)。しかし、加水分解物および血清は、その組成が漠然として変動しやすく、また血清はBSEなどの病原体のすみかとなる場合があるので、培地にとって最適なペプチド源ではない。
【0003】
ペプチドは、その構成成分であるアミノ酸に比べ、一般に好ましい栄養素であることが認識されている。増殖または幾つかのその他の生物活性に影響を与える確定されたペプチドを同定するための手段として、細胞培養でどの特定のペプチドが利用されているかを決定しようとしていくつかの手法がとられてきた。一般に実施されているのは、培養中に消費された化合物を同定するために、使用済みの培地を分析することである。この手法では、単離し、調べることができる単一の化合物が得られることはほとんどない。使用済みの培地による手法は、細胞に影響を及ぼし、培地から除去されない化合物(例えばシグナル伝達化合物)を同定することができない。代替の手法では、特定のタンパク質を消化し、HPLC精製されたペプチド断片を再び培地に加えてその効果を評価する。この手法では、全タンパク質の消化物または組織の消化物よりも良く機能するペプチドを同定することができるが、分析可能なペプチドの数が限られている。例えば、ミクロコッカス−カゼオリチカス(Micrococcus caseolyticus)の中性プロテアーゼによって加水分解されたカゼイン(M. J. DesmazeaudおよびJ. H. Hermier、1972、Eur. J. Biochem. 28:190〜198)と、グルカゴンのパパイン消化物(M. J. DesmazeaudおよびJ. H. Hermier、1973、Biochimie 55:679〜684)は、高温性連鎖球菌(Streptococcus thermophilus)の増殖を高めることが報告されている。この場合、刺激性ペプチドを単離し、特徴付けた。トリプシンで消化されたκ−カゼインはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の増殖を増大させることもわかっているが(M. PochおよびA. Bezkorovainy、1991、J. Agric. Food Chem.、39:73〜77)、この結果をもたらす特定のペプチドは同定されなかった。Azuma他(1984、Agric. Biol. Chem. 48:2159〜2162)およびBezkorovainy他(1979、Am. J. Clin. Nutr. 32:1428〜1432)は、酵素で消化されたヒトカゼイン由来のグリコポリペプチドがビフィズス菌(Lactobacillus bifidus)の増殖を促進させることを報告した。また、ヒトβ−カゼインのトリプシン断片は、BALB/c3T3細胞でDNA合成を刺激することも報告されている(N. Azuma他、1989、Agric. Biol. Chem. 53:2631〜2643)。そのような2つのトリプシン断片の配列は決定されている。これらの従来技術の方法は時間がかかり、わずかな改善をもたらす2〜3のペプチドしか同定されなかった。このような成果は、主に、その調製に使用される出発物質および消化剤による制約を受ける、原材料によって制限される。
【0004】
ごく最近、ペプチド合成技術の開発によって、培地強化用の多数の化合物を個々の確定された配列としてまたはペプチドライブラリの様々な配列の混合物として調製し、スクリーニングすることが、少なくともうまく行われるようになった。これらの配列の多くは、従来からの明確にされていない材料中に存在しないか、または検出されないと考えられる。ライブラリの手法により、細胞培養中の望ましい生物学的作用を得るためにより多くのペプチド配列をスクリーニングする機会が与えられたが、これらの主な方法には多くの欠点がある。化合物を個々にアッセイにかけることは、ランダムに生成された配列を含有する何百万ものサンプルをスクリーニングすることを意味する。実際問題として、徹底的にライブラリの合成およびスクリーニングを行うことは、しばしば非常に費用がかかり時間もかかる。コンビナトリアル手法では、溶解度の制約および競合する化合物から生じる可能性があるマスキング効果が原因で、カクテル中の各化合物の発現量が不十分(低濃度)であるために、潜在的リード化合物を見失うという危険が伴う。ライブラリの中でスクリーニングしなければならない配列の数を減少させるために、当業者は、ライブラリの合成中、ある特定の残基位置を「固定」した。すなわち配列中のある位置に存在するある残基をランダムに付加するが、他の位置にある残基は確定されている。そのような合成ペプチドライブラリは、米国特許第5,556,762号に記載されている。さらに、Geysen(WO 86/00991)は、確定されたアミノ酸残基と確定されていないアミノ酸残基の組合せであるペプチド配列を含むライブラリについて記述している。Furka他(1988、14th Int.Cong.Biochem.Vol.5、Abst.FR:013)は、N−およびC−末端残基が固定され、3つの残基のうちいずれか1つが各位置で両者の間に生じるテトラペプチドの比較的簡単な混合物を開示している。Fodor他(1991、Science 251:767〜773)は、フォトマスクを使用してスライドの定められた領域に結合させた所定のアミノ酸を使用する、スライド上での固相ペプチド合成について教示している。このようにして、確定されたC−末端を有する1024個の異なるペプチドのアレイを合成した。これらの技法の全ては、何百万ものペプチドを個々にスクリーニングすることを回避してライブラリ中の所与の配列の量を増加させ、それによって生物学的に活性なペプチドのスクリーニングおよび同定を簡単にしようとするものである。
【0005】
固定位置(すなわち限定された多様性)ライブラリにより、スクリーニングしなければならない配列の数が減少するが、スクリーニングに利用可能な種々の配列の数も制限され、したがって所望の性質を有する配列を同定する可能性が小さくなる。上記論じた文献では、一般に、多様性が限定されたライブラリのものと同様の性質を有すると考えられる追加の配列を同定するために、利用可能な配列の数を「再び広げよう」とする試みがなされていなかった。最近、より限定された配列ライブラリで同定された化合物の性質に関する情報を使用して、初めに同定された化合物と構造が類似している化合物のより多様なライブラリが作成されている。これらの追加の化合物は、初めのライブラリに存在しないものであるが、当初のリード化合物と同様の生物活性を示す可能性がある。この手法は、しばしば標的ライブラリの合理的設計と呼ばれる。例えばS. Cho他、1998、J. Chem. Inf. Comput. Sci. 38:259〜268を参照されたい。
【0006】
培地に適用する場合、所望の強化を行う化合物の同定だけでは不十分である。培地を最適化するプロセス全体に影響を与えるには、リード化合物を急速に増大させて、典型的な培地最適化サイクルに影響を与えることになる時間枠で利用可能にしなければならない。さらに、この化合物を初めに増大させるのに使用される方法は、利益に見合ったコストで化合物を与えることが可能な計画された商用製造プロセスに適合しなければならない。理想的な発見プロセスでは、初期のライブラリ設計を好ましい製造プロセスと結びつけ、それによって、製造することも可能な同様のパフォーマンス特性を有する化合物を見出すことを意図した一連の後続のライブラリが避けられると考えられる。既存の固定ライブラリ設計は、この要求に応えるものではない。実際に、製造態様は偶然にまかせている。
【0007】
したがって当技術分野では、所望の生物学的作用をもたらすために培地に添加することが可能な、十分に特徴付けられた生物活性を有する、化学的に確定されたペプチドが必要とされている。そのようなペプチドは、培地中の未確定の成分の数および量を減少させ、動物由来の成分の必要性を小さくし、培地のコンシステンシーおよび品質管理を改善し、細胞培養性能を精密に制御し調節するための手段を提供する。本発明は、これらの要求に応えるペプチドを選択し同定するためにペプチドライブラリの手法を使用し、特に、細胞増殖に影響を与え(プラスにまたはマイナスに)あるいは細胞タンパク質の生成を高めまたは妨げるペプチドの発見と製造を結びつけるプロセスを使用する。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、培養中の細胞の性質に影響を及ぼす生物活性化合物を迅速に同定するのに有用なペプチドライブラリを提供する。本発明はさらに、これらのライブラリで同定された、細胞増殖増強ペプチド、細胞増殖阻害ペプチド、および細胞タンパク質の生成、特にウェルシュ菌(Clostridium perfringens)によるβ−トキシンの生成を増強しまたは阻害するペプチドを含めたペプチドを提供する。所望の生物活性を有するペプチドの配列が同定されたら、それを大量に生成することができ(例えば化学合成や組換えDNAの発現によって)、培地に配合して所望の効果を培養細胞にもたらすことができる。本発明のライブラリとそこで同定されたペプチドは、ある大規模で経済的な組換え生成法に、特に有用である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
ペプチドを合成する従来の技法を使用して、多様性が限定されたペプチドライブラリを構築し、その後、ある所望の特徴を示す生物活性ペプチドについてスクリーニングを行った。当初の目的は、細胞増殖(すなわち細胞の数)を増大させることによってまたは細胞1個あたり生成されるトキシンの量を増大させることによってウェルシュ菌(C.perfringens)により生成されるβ−トキシンの量を増大させるため、培地中に含めることができるペプチドを同定することであった。最初の候補のライブラリは、いくつかの設計基準に基づいていた。まず、プロテオースペプトンは、ウェルシュ菌の培養に好ましい加水分解物であることが知られている。プロテオースペプトンはペプシンを使用して製造され、したがってロイシンは、加水分解物のペプチドの中でより一般的なC−末端の1つと考えられる。それに応じてテトラペプチドライブラリを構築したが、このときC−末端(ペプチドの第4の位置)としてロイシンを用い、第3の位置でスペーサとしてアラニン(単純なアミノ酸)を用いて構築した。以下に示す、選択された10個のアミノ酸基の代表例は、それぞれが関連するアミノ酸の基を表しているが、これらはペプチドの残りの最初の2つの位置で挿入するために選択した。代表的なアミノ酸基の選択は、一般に、そのアミノ酸を使用することによってペプチドの合成が容易になることに基づいている。
【0010】
【表1】
【0011】
最初の2つの位置のそれぞれで、これら10個のアミノ酸への置換を行い、100個の異なる4量体配列からなる多様性が限定されたライブラリにした。このライブラリはXXALライブラリと呼ばれ、ここで「X」は、クラスタ群を表すよう選択されたアミノ酸を示す。
【0012】
ペプチドライブラリ用のペプチドは、固相ペプチド合成(Merrifield、1965)におけるAthertonおよびSheppard(1989)のFMOC化学法など、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって合成することができる。Boc化学法も、様々な異なる固体支持体上での合成、「ティーバッグ(tea−bag)」合成(Houghten)、スプリット・アンド・ディバイド・コンビナトリアル法(split and divide combinatorial method)と同様に使用することができる。ペプチド合成のための液相法も使用することができる。ライブラリペプチドは、C−末端の修飾(例えばアミドやエステル)、N−末端の修飾(例えばアセチル)、および天然に生じないアミノ酸の修飾(例えばノルロイシン)を含んでよく、そのような修飾がペプチド活性に及ぼす影響が評価される。
【0013】
培養中の細胞増殖にプラスにもマイナスにも影響を及ぼすライブラリのペプチドを同定するには、このライブラリを増殖アッセイでスクリーニングする。選択した細胞を、まずペプチドが補われていない適切な培地で増殖させ、次いでライブラリペプチドのそれぞれを補った培地で継代培養する。スクリーニング培地は、選択した細胞タイプに合わせた複合培地でよいが、このスクリーニング培地は、培地中に存在する明らかにされていない材料に妨げられずにペプチドの影響を評価できるように、確定された培地であることが好ましい。ペプチドのスクリーニングの前に、細胞増殖のため基本培地を最適にすることも好ましいが、最適化されていない培地を使用することもできる。本発明では、アミノ酸に富みかつ必要なビタミン、金属、および簡単な炭素源を含有する基本培地において、ペプチドが存在しまたは存在しない状態でのウェルシュ菌の増殖を評価した。しかし、その他の細胞タイプの増殖スクリーニングに適切な培地の選択は、決まりきった作業であり当業者の範囲内である。適切なインキュベーション時間が過ぎた後、各ペプチドを補った培養の増殖を、補っていない培地での増殖と比較する。増殖の程度は、光学密度(OD600)、CO2生成、O2消費、ATP、蛍光、生物発光、培養皿上での手動または自動コロニー計数、および電場のインピーダンスを含めた通常使用される方法のいずれかを使用して評価することができる。スクリーニングは、標準的な培養またはマイクロタイタープレートフォーマットで行うことができる。
【0014】
細胞生成物の生成にプラスまたはマイナスの影響を及ぼすライブラリのペプチドを同定することが望まれる場合、そのライブラリを、細胞生成物の検出に適切なアッセイでスクリーニングする。この場合も、まず選択した細胞を、ペプチドが補っていない適切な培地で増殖させ、次いでライブラリペプチドのそれぞれが補った培地で継代培養する。スクリーニング培地は、選択した細胞タイプに合わせた複合培地でよいが、このスクリーニング培地は、培地中に存在する明らかにされていない材料に妨げられずにペプチドの影響を評価できるように、確定された培地であることが好ましい。ペプチドのスクリーニングの前に、タンパク質発現のために基本培地を最適にすることも好ましいが、最適化されていない培地を使用することもできる。本発明の特定の目的は、ウェルシュ菌によるβ−トキシンの生成に影響を及ぼすペプチドを同定することである。この場合、細胞から分泌されたβ−トキシンを、2つのマウス抗β−トキシンモノクローナル抗体を使用してサンドイッチELISAアッセイで定量し、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合されたヤギ抗マウスIgG2Aで定量した。トキシンは、培養物を連続希釈して定量し、ペプチドが添加されていない培養物(基本培地培養物)によって生成されたトキシンと比較した。吸光度を492nmで読み取り、B50値(A492シグナルが最大シグナルの50%である希釈度)を計算し、2つの培養物の平均を得た。全総トキシン生成値を得るため、B50値の逆数にOD600を掛けた。細胞1個あたりのトキシンは、トキシン/ODとして表した。このようなELISAアッセイフォーマットは、モノクローナル抗体またはその他の特定のバインダまたはリガンドを利用することができまたは発生させることができるその他の細胞生成物の検出に、容易に適合される。β−トキシンまたはその他の対象となる生成物を定量するには、ここに述べたサンドイッチELISAアッセイに加えてその他の免疫アッセイフォーマットを使用することができる。これらのアッセイには、放射免疫アッセイ(RIA)、直接ELISA、その他の指示酵素を使用するELISA、蛍光レポーター分子を使用するELISA、および表面プラズモン共鳴検出を使用するようなフロースルーアッセイが含まれる。さらに、本発明では、β−トキシンに関するELISAの結果をバイオアッセイで確認した。これは、免疫アッセイによって検出されたβ−トキシンのいかなる増加も機能性トキシンを表すことを確認するために行った。ペプチドが補った培養物からの上澄みを希釈し、各希釈液の0.2mLをマウスに接種した。補っていない培地は、陰性対照としての役割をした。注射の24時間後に死亡率を記録し、50%の死亡率をもたらす最大希釈度を、生成されるβ−トキシンの量の尺度として使用した。
【0015】
細胞増殖に影響を及ぼすいくつかのペプチドを、XXALライブラリの最初のスクリーニングで同定した。GEAL(配列番号1)はウェルシュ菌の増殖を約40%増大させ、一方KLAL(配列番号2)は実質的に増殖を阻害した。配列番号2は増殖に対する阻害作用が大きいので、段階IIの培養は1OD、すなわち段階IIIでの試験に進むための最小要件に到達しなかった。配列番号1と配列番号2の構成成分であるアミノ酸では、基本培地のみと比べた場合に増殖に著しい差が生じなかった。EKAL(配列番号3)も、未処理の形態(増殖が2倍向上)と精製された形態(増殖が3.5倍向上)の両方で増殖を著しく増大させた。ESAL(配列番号4)も、未処理の形態と精製された形態の両方で増殖を著しく増大させることがわかった。未処理の形態と精製された形態の両方で同様の結果が観察されたという事実は、ペプチドの処理中に入り込んだ少量の化学物質ではなくてペプチドそのものが影響を及ぼすことを示している。
【0016】
XXALライブラリのペプチドに応答するトキシン生成を、15時間増殖および2点ELISA値を使用して評価した。このライブラリの100ペプチドのうち75のペプチドについて、トキシンのデータを収集し、4量体1個あたりのレプリケートの数は1〜14に及んだ。総トキシン比は、試験ペプチドを含有する培地に関して得られた総トキシンを、基本培地の総トキシンの値で割った商として計算した。VNAL(配列番号8)、SNAL(配列番号7)、DKAL(配列番号14)、およびNDAL(配列番号5)は、総トキシン比を増大させたことがわかった。LSAL(配列番号15)は増殖に効果がなかったが、トキシン生成を著しく阻害した。
【0017】
XXALにより多様性が限定されたライブラリを、選択した細胞タイプの増殖に最も良く機能する加水分解物のペプチドで認められる主要なC−末端に基づいて合理的に設計した。この概念は、様々な細胞に影響を及ぼすペプチドに関してスクリーニングされるその他のライブラリの設計にまで広げることができる。以下の表は、示した酵素または化学試薬により調製された加水分解物の存在下での培養を好む細胞の増殖に影響を及ぼす化合物に関してスクリーニングされるライブラリを構築するのに好ましい、ペプチドのC−および/またはN−末端を示す。
【0018】
【表2】
【0019】
このように確定した、酵素または化学的な切断によって生成された多くのペプチド末端は当技術分野で知られており、本発明のライブラリおよびペプチドの生成に適合させることができる。当技術分野で知られているように、列挙された酵素のいくつか(例えばトリプシンやキモトリプシン、エンドプロテイナーゼLys−C、リシルエンドプロテイナーゼ、V8プロテアーゼ)は、示されるアミノ酸にプロリンが付随する場合に阻害されることに留意されたい。
【0020】
あるいは、クラスタ群を表す「X」アミノ酸を、テトラペプチドの全ての非C−末端位置に配置することによって(例えばXXXLライブラリ)、より多様性があってより大きいライブラリを構築することができる。あるいは、特定の群の全てのアミノ酸(群を表す単一のアミノ酸だけではなく)を、テトラペプチドの位置1および2に、または全ての非C−末端位置に配置することができる。可能なアミノ酸残基のいずれか1つを表すのに文字Zを使用する場合、そのようなライブラリは、例えばZZALやZZZLと記述されると考えられる。上述のように、C−末端アミノ酸は、タンパク質の既知の酵素切断または化学的切断に関連付けられた残基のいずれかでよい。これらの概念は、5個以上のアミノ酸を含むペプチドのライブラリ、およびその他の酵素または化学物質による切断から得られる末端を含むペプチドのライブラリにもさらに広げることができ、スクリーニングのためにより大きくより多様性に富むペプチドライブラリさえも提供する。ライブラリはXXALからZZALまで発展するので、以下のペプチド、すなわちNDAL(配列番号5)、NNAL(配列番号6)、SNAL(配列番号7)、およびVNAL(配列番号8)は、細胞増殖を著しく増大させることがわかった。対照的に、ペプチドKKAL(配列番号9)は細胞増殖を阻害した。
【0021】
ペプチドEKAL(配列番号3)およびDKAL(配列番号14)は、これら初めの2つのライブラリ設計の組合せによる生成物である。初めのXXALライブラリに見出されるリードを使用して、アミノ酸基(E)の1メンバを同じ基(D)の別のメンバで単に置換することによりZZALスペース中のリードを同定し、それによって、スクリーニングにかかる労力を軽減させた。C−末端はロイシンに固定されているので、どの化合物も、経済的なコンカテマー法によって急速に増大させることができた。
【0022】
さらに、末端が固定されていない、多様性が最大のペンタペプチドライブラリを構築したが、このライブラリでは、アミノ酸配列の全ての順列を、単一のペンタペプチド配列によって表した。したがって、候補ペプチドの数を320万から42,504に減少させることができた。次いでC、R、およびWを含有する全ての配列を排除し、総セット数を20,349に減少させた。これは、労力を非常に要する可能性がある合成であって新しいライブラリ手法の開発には必要ではない合成を回避するために行った。ライブラリ中の別のペプチドと同じ分子式を有する残りのどのペプチドも排除して、最終的に合計が19,243の独自の構造が得られた。このライブラリのスクリーニングによって、以下の結果が得られた。FEFVG(配列番号16)は、総トキシン生成について試験されたペプチドの2番目に高い平均を有しており(8.79)、その結果、複数回にわたって実験を繰り返した場合にも非常に高い再現性があることがわかった。配列番号16についてさらに行われた統計的分析によれば、その総トキシン生成量の平均は、7よりも下の平均よりも統計的に著しく高いことが実証された。最適化された基本培地(加水分解物を含有しない、明らかにされた合成培地)では、配列番号16は、最適化された基本培地のみの場合に比べて増殖を約40%ほど増大させたが、その構成成分であるアミノ酸を培地(F、E、V、G)に添加すると、増殖は約15%しか増大しなかった。配列番号16は、2点ELISAでの総トキシンが、最適化された基本培地のみの場合の総トキシン生成量よりも約2.2倍増大させたが、構成成分のアミノ酸を添加すると、その総トキシン生成量は基本培地のみの場合とほぼ同等になった。3.5%の加水分解物ブレンドを含有する商用培地では、配列番号16は、細胞1個あたり生成されるトキシンの量が倍になるが、増殖を増大させないこともわかった。これが原因で、細胞の数をほとんどまたは全く増加させることなく培養によって生成される総トキシンをほぼ倍増させたのである。これは、追加の細胞集団を処理する必要なくトキシンを増加させることができるので、医薬品会社にとって特に望ましい。
【0023】
総トキシン生成量の平均が最高である10個の5量体は、FSLLE(配列番号17、8.855)、FEFVG(配列番号16、8.786611)、FSFVE(配列番号18、8.727)、NEYLY(配列番号19、8.665)、FDIST(配列番号20、8.395)、NLTEL(配列番号21、8.321)、SQLEL(配列番号22、8.28375)、ETLNL(配列番号23、8.28)、NQLEV(配列番号24、7.81)、およびIKLAS(配列番号25、7.7475)であった。HTVEL(配列番号26)、QNDVY(配列番号27)、LPDLF(配列番号28)、DTHHI(配列番号29)、FVPEK(配列番号30)、GYPEV(配列番号31)、HAPAY(配列番号32)、SNGIY(配列番号33)、KFIEK(配列番号34)、MHAPP(配列番号35)、MPNNF(配列番号36)、PELME(配列番号37)、FMSTA(配列番号38)、VNVQA(配列番号39)、KFIFE(配列番号40)、PLFEQ(配列番号41)、MMELE(配列番号42)、ALFHE(配列番号43)、YEQQN(配列番号44)、GGMPG(配列番号45)、SYIME(配列番号46)、およびYEYIY(配列番号47)も細胞1個あたりのトキシンを平均以上に増加させ、これはVDLLG(配列番号48)、DMLQT(配列番号49)、GHPVE(配列番号50)、NEGLG(配列番号51)、YENLY(配列番号52)、KPLDV(配列番号53)、DKTNG(配列番号54)、EKALE(配列番号55)、SVMEM(配列番号56)、LADTF(配列番号57)、KTVGI(配列番号58)、ESLQM(配列番号59)、VEFTN(配列番号60)、ELSPH(配列番号61)、TKPFF(配列番号62)、LSFIE(配列番号63)、FEFGV(配列番号64)、GDYVS(配列番号65)、ETVNF(配列番号66)についても同様であった。VHVYQ(配列番号67)およびNNNNN(配列番号68)は、0.5%加水分解物培地で得られた平均を超えるトキシン生成量をもたらした。0.5%加水分解物培地でのYEYIG(配列番号69)は、その総トキシン平均値が、3.5%加水分解物を単独で使用して得られた場合よりも2倍大きくなった。5量体AGKAH(配列番号70)、AKHSK(配列番号71)、ATNKK(配列番号72)、およびADPKD(配列番号73)も、増殖を著しく阻害した。
【0024】
XXXXライブラリスペースで同定されたペプチドも、ウェルシュ菌(C. Perfringens)の増殖を阻害することがわかった。SKKA(配列番号10)、KGLK(配列番号11)、VKKG(配列番号12)、およびGLKK(配列番号13)。
【0025】
5量体FEFVG(配列番号16)を修飾して、6量体EFEFVG(配列番号74)、NFEFVG(配列番号75)、FEFVGG(配列番号76)、FEFVGE(配列番号77)、およびFEFVGY(配列番号78)を形成したが、これらの総トキシン値は、総トキシンの平均が3.82である基本培地のみの場合に比べて6から9.7に及んでいた。
【0026】
化学的に確定された培地での細胞増殖は、一般に、加水分解物をベースとした培地の場合よりも遅い。いくつかのペプチドは、化学的に確定された基本培地での増殖を、従来の加水分解物をベースとした培地での増殖に匹敵するほど十分に増大させることがわかった。これらのペプチドには、VFTDK(配列番号:79)、LTKVD(配列番号:80)、LLPKT(配列番号:81)、PLTGG(配列番号:82)、GGTPV(配列番号:83)、PKGTV(配列番号:84)、DDDDD(配列番号:85)、KLGVK(配列番号:86)、TPKTL(配列番号:87)、GDVTK(配列番号:88)、HPAFE(配列番号:89)、FFPTD(配列番号:90)、VNYQA(配列番号:91)およびIILEA(配列番号:92)が含まれ、これらは全て、その平均増殖値が4時間で4であった。化学的に確定されたスクリーニング培地単独では、4時間の増殖に関する平均は3.2ODであった。ESALD(配列番号93)も、基本培地上での増殖を増大させた。
【0027】
所望の性質を有することが明らかにされたペプチドは、様々な方法により、商用としてまたは研究に使用するのに十分な量で生成することができる。ペプチドは、当技術分野で知られるように、化学的にまたは酵素の作用によって合成することができるが、ペプチドは、このペプチドをコードする組換え核酸を発現させる方法を使用して生成することがより好ましい。組換え生成では、選択したペプチド配列を、まず対応する核酸配列、すなわちペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列に変換する。これは、引き続き翻訳されてペプチドを生成するRNA配列でよく、または、次いで後続のmRNAの翻訳と共にDNA配列の転写を可能にするプロモーターの制御下で発現ベクターにクローニングされるDNA配列でよい。所望のペプチドまたはタンパク質配列の組換え生成を行うためのそのような多くの方法は当業者に周知であり、本発明のスキルを実行することなく本発明のペプチドの生成に適用することができる。ペプチドは、必要に応じ、やはり当業者に周知の物理的、化学的、および親和性を利用した分離の標準的な方法を使用して精製することができる。
【0028】
従来からの培地加水分解物中で、酵素作用によりまたは化学的にタンパク質を切断することによって生成されたC−末端およびN−末端に対応するC−末端またはN−末端を含むことは、本発明のペプチドの多くにとって特に有利な特徴である。これは、当技術分野で知られているようなコンカテマー構造を使用して典型的には細菌または酵母で行われるペプチドの組換え生成を容易にする。コンカテマーは、コード配列の何百ものコピーを含有することができる。酵素作用によりまたは化学的に切断されるC−末端またはN−末端を有する本発明のペプチドをコード化するコンカテマー核酸構成物は、都合のよい切断部位によって分離されたペプチドアミノ酸配列の繰返しサブユニットを含むポリペプチドを生成する。適切な酵素または化学手段を使用した切断によって、ペプチドモノマーが放出される。この製造手法は、所望のペプチドの収量を増加させ、製造コストを低下させる。発現後の処理は、コンカテマー構造物のクローニングによって自動的に生成される切断部位により単純化される。例えば、ペプチドNDAL(配列番号5)は、XXALライブラリ手法を使用して迅速に発見され、ペプシンまたはエンドペプチダーゼN−ASNを使用する後続の切断と共にコンカテマー法を使用して効率的に製造することができる。増殖阻害剤KKAL(配列番号9)も、コンカテマー法およびペプシンによる切断を使用して製造することができた。FSFVE(配列番号18)は、コンカテマーとして発現し、V8プロテアーゼを使用して発現の後にモノマーに切断することができた。さらなる例として、HTVEL(配列番号26)およびQNDVY(配列番号27)は共に、培養上澄み中のβトキシンの蓄積を増大させる。これらのペプチドは、同じコンカテマーミニジーンから発現し、ペプシンによってペプチドへと切断され、また共に同じ属性を示すのでさらに分離することなく使用することができた。このような組合せのミニジーンも、1つのペプチドが別のペプチドとのバランスをとるために必要とされるとき、有用と考えられる。例えば、塩基性の配列と酸性の配列を交互にすることによって、全ミニジーン生成物を宿主細胞と共存させることができる。組合せミニジーンはまた、異なる属性を示す複数のペプチドを同じ培地に配合するのに望ましいときに、有用な生成ビヒクルとなる場合がある。この場合、全ての必要なペプチドを、個々のペプチドを分離する必要なく単一の生成プロセスで発現し、処理し、配合することができる。FEFVG(配列番号16)は、各ペプチドコード配列の間のナンセンス配列スペーサと共にコンカテマーとしてクローニングして、コンカテマーから遊離させることができる。例えば、ナンセンスペプチドDEEP(配列番号94)のコード配列は、培地強化ペプチドをコードする配列の両側に位置し、コンカテマーをエンドプロテアーゼAsp−N(アスパラギン酸の前で切断する)およびプロリンエンドペプチダーゼ(プロリンの後で切断する)で切断することができる。この手法は複数の試薬を必要とし、細胞培養と相容性がない場合、スペーサを所望のペプチドから分離することが必要と考えられる。ナンセンススペーサも、コンカテマーのペプチドコード配列間で使用され、切断可能な部位を生成し、他の状況では切断可能ではないペプチド配列での処理を容易にすることができる。
【0029】
本発明のペプチドの好ましい使用は、所望の効果を細胞にもたらす細胞培地(原核生物および真核生物、脊椎動物および無脊椎動物由来の細胞および組織を培養するための培地を含む)中である。そのような効果には、増殖速度の増減、細胞生成物の生成の増減、または環境中の物質(例えばホルモン)に対する応答の増減を含めることができる。ペプチドが添加される基本培地は、化学的に確定された培地か、またはウシ胎児血清(FCS)や酵母加水分解物など確定されていない成分を含有する複合培地でよい。化学的に確定され、または半分確定された培地が好ましいが、それは、本発明のペプチドが、確定されていない培地成分に起因する性能のばらつきを小さくしまたは無くす手段として、また医薬品を製造するのに使用する培地中の動物由来の成分を減少させまたはなくす手段として、最も有利に使用されるからである。
【0030】
選択されたペプチドは、一般に、約0.1〜25mMの濃度で、より好ましくは約1.0mMから12mMの濃度で培地に添加される。しかし、選択された培地での本発明のペプチドの適切な濃度を決定することは、当業者の範囲内である。培地に複数のペプチドを添加して、相乗効果をもたらすことができ(共に同じ効果を細胞にもたらす場合)、または複数の効果をもたらすことができる(各ペプチドが異なる効果を細胞にもたらす場合)。
(発明の分野)
本発明は、培養中の細胞に影響を及ぼすペプチドと、そのようなペプチドを発見し製造する方法に関する。詳細には本発明は、培養中の細胞の増殖に影響を及ぼすペプチドと、細胞タンパク質の生成に影響を及ぼすペプチドに関する。
【0002】
(発明の背景)
組織およびタンパク質の加水分解物は、1800年代後半から細胞培地のペプチド源として日常的に使用されてきた。これらは、細菌学において現在使用されている最も一般的な、不定の培地成分であり、哺乳動物の培養でしばしば血清の代わりに使用される(S. SahaおよびA. Sen、1989、Acta Virol.33:338〜343)。しかし、加水分解物および血清は、その組成が漠然として変動しやすく、また血清はBSEなどの病原体のすみかとなる場合があるので、培地にとって最適なペプチド源ではない。
【0003】
ペプチドは、その構成成分であるアミノ酸に比べ、一般に好ましい栄養素であることが認識されている。増殖または幾つかのその他の生物活性に影響を与える確定されたペプチドを同定するための手段として、細胞培養でどの特定のペプチドが利用されているかを決定しようとしていくつかの手法がとられてきた。一般に実施されているのは、培養中に消費された化合物を同定するために、使用済みの培地を分析することである。この手法では、単離し、調べることができる単一の化合物が得られることはほとんどない。使用済みの培地による手法は、細胞に影響を及ぼし、培地から除去されない化合物(例えばシグナル伝達化合物)を同定することができない。代替の手法では、特定のタンパク質を消化し、HPLC精製されたペプチド断片を再び培地に加えてその効果を評価する。この手法では、全タンパク質の消化物または組織の消化物よりも良く機能するペプチドを同定することができるが、分析可能なペプチドの数が限られている。例えば、ミクロコッカス−カゼオリチカス(Micrococcus caseolyticus)の中性プロテアーゼによって加水分解されたカゼイン(M. J. DesmazeaudおよびJ. H. Hermier、1972、Eur. J. Biochem. 28:190〜198)と、グルカゴンのパパイン消化物(M. J. DesmazeaudおよびJ. H. Hermier、1973、Biochimie 55:679〜684)は、高温性連鎖球菌(Streptococcus thermophilus)の増殖を高めることが報告されている。この場合、刺激性ペプチドを単離し、特徴付けた。トリプシンで消化されたκ−カゼインはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の増殖を増大させることもわかっているが(M. PochおよびA. Bezkorovainy、1991、J. Agric. Food Chem.、39:73〜77)、この結果をもたらす特定のペプチドは同定されなかった。Azuma他(1984、Agric. Biol. Chem. 48:2159〜2162)およびBezkorovainy他(1979、Am. J. Clin. Nutr. 32:1428〜1432)は、酵素で消化されたヒトカゼイン由来のグリコポリペプチドがビフィズス菌(Lactobacillus bifidus)の増殖を促進させることを報告した。また、ヒトβ−カゼインのトリプシン断片は、BALB/c3T3細胞でDNA合成を刺激することも報告されている(N. Azuma他、1989、Agric. Biol. Chem. 53:2631〜2643)。そのような2つのトリプシン断片の配列は決定されている。これらの従来技術の方法は時間がかかり、わずかな改善をもたらす2〜3のペプチドしか同定されなかった。このような成果は、主に、その調製に使用される出発物質および消化剤による制約を受ける、原材料によって制限される。
【0004】
ごく最近、ペプチド合成技術の開発によって、培地強化用の多数の化合物を個々の確定された配列としてまたはペプチドライブラリの様々な配列の混合物として調製し、スクリーニングすることが、少なくともうまく行われるようになった。これらの配列の多くは、従来からの明確にされていない材料中に存在しないか、または検出されないと考えられる。ライブラリの手法により、細胞培養中の望ましい生物学的作用を得るためにより多くのペプチド配列をスクリーニングする機会が与えられたが、これらの主な方法には多くの欠点がある。化合物を個々にアッセイにかけることは、ランダムに生成された配列を含有する何百万ものサンプルをスクリーニングすることを意味する。実際問題として、徹底的にライブラリの合成およびスクリーニングを行うことは、しばしば非常に費用がかかり時間もかかる。コンビナトリアル手法では、溶解度の制約および競合する化合物から生じる可能性があるマスキング効果が原因で、カクテル中の各化合物の発現量が不十分(低濃度)であるために、潜在的リード化合物を見失うという危険が伴う。ライブラリの中でスクリーニングしなければならない配列の数を減少させるために、当業者は、ライブラリの合成中、ある特定の残基位置を「固定」した。すなわち配列中のある位置に存在するある残基をランダムに付加するが、他の位置にある残基は確定されている。そのような合成ペプチドライブラリは、米国特許第5,556,762号に記載されている。さらに、Geysen(WO 86/00991)は、確定されたアミノ酸残基と確定されていないアミノ酸残基の組合せであるペプチド配列を含むライブラリについて記述している。Furka他(1988、14th Int.Cong.Biochem.Vol.5、Abst.FR:013)は、N−およびC−末端残基が固定され、3つの残基のうちいずれか1つが各位置で両者の間に生じるテトラペプチドの比較的簡単な混合物を開示している。Fodor他(1991、Science 251:767〜773)は、フォトマスクを使用してスライドの定められた領域に結合させた所定のアミノ酸を使用する、スライド上での固相ペプチド合成について教示している。このようにして、確定されたC−末端を有する1024個の異なるペプチドのアレイを合成した。これらの技法の全ては、何百万ものペプチドを個々にスクリーニングすることを回避してライブラリ中の所与の配列の量を増加させ、それによって生物学的に活性なペプチドのスクリーニングおよび同定を簡単にしようとするものである。
【0005】
固定位置(すなわち限定された多様性)ライブラリにより、スクリーニングしなければならない配列の数が減少するが、スクリーニングに利用可能な種々の配列の数も制限され、したがって所望の性質を有する配列を同定する可能性が小さくなる。上記論じた文献では、一般に、多様性が限定されたライブラリのものと同様の性質を有すると考えられる追加の配列を同定するために、利用可能な配列の数を「再び広げよう」とする試みがなされていなかった。最近、より限定された配列ライブラリで同定された化合物の性質に関する情報を使用して、初めに同定された化合物と構造が類似している化合物のより多様なライブラリが作成されている。これらの追加の化合物は、初めのライブラリに存在しないものであるが、当初のリード化合物と同様の生物活性を示す可能性がある。この手法は、しばしば標的ライブラリの合理的設計と呼ばれる。例えばS. Cho他、1998、J. Chem. Inf. Comput. Sci. 38:259〜268を参照されたい。
【0006】
培地に適用する場合、所望の強化を行う化合物の同定だけでは不十分である。培地を最適化するプロセス全体に影響を与えるには、リード化合物を急速に増大させて、典型的な培地最適化サイクルに影響を与えることになる時間枠で利用可能にしなければならない。さらに、この化合物を初めに増大させるのに使用される方法は、利益に見合ったコストで化合物を与えることが可能な計画された商用製造プロセスに適合しなければならない。理想的な発見プロセスでは、初期のライブラリ設計を好ましい製造プロセスと結びつけ、それによって、製造することも可能な同様のパフォーマンス特性を有する化合物を見出すことを意図した一連の後続のライブラリが避けられると考えられる。既存の固定ライブラリ設計は、この要求に応えるものではない。実際に、製造態様は偶然にまかせている。
【0007】
したがって当技術分野では、所望の生物学的作用をもたらすために培地に添加することが可能な、十分に特徴付けられた生物活性を有する、化学的に確定されたペプチドが必要とされている。そのようなペプチドは、培地中の未確定の成分の数および量を減少させ、動物由来の成分の必要性を小さくし、培地のコンシステンシーおよび品質管理を改善し、細胞培養性能を精密に制御し調節するための手段を提供する。本発明は、これらの要求に応えるペプチドを選択し同定するためにペプチドライブラリの手法を使用し、特に、細胞増殖に影響を与え(プラスにまたはマイナスに)あるいは細胞タンパク質の生成を高めまたは妨げるペプチドの発見と製造を結びつけるプロセスを使用する。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、培養中の細胞の性質に影響を及ぼす生物活性化合物を迅速に同定するのに有用なペプチドライブラリを提供する。本発明はさらに、これらのライブラリで同定された、細胞増殖増強ペプチド、細胞増殖阻害ペプチド、および細胞タンパク質の生成、特にウェルシュ菌(Clostridium perfringens)によるβ−トキシンの生成を増強しまたは阻害するペプチドを含めたペプチドを提供する。所望の生物活性を有するペプチドの配列が同定されたら、それを大量に生成することができ(例えば化学合成や組換えDNAの発現によって)、培地に配合して所望の効果を培養細胞にもたらすことができる。本発明のライブラリとそこで同定されたペプチドは、ある大規模で経済的な組換え生成法に、特に有用である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
ペプチドを合成する従来の技法を使用して、多様性が限定されたペプチドライブラリを構築し、その後、ある所望の特徴を示す生物活性ペプチドについてスクリーニングを行った。当初の目的は、細胞増殖(すなわち細胞の数)を増大させることによってまたは細胞1個あたり生成されるトキシンの量を増大させることによってウェルシュ菌(C.perfringens)により生成されるβ−トキシンの量を増大させるため、培地中に含めることができるペプチドを同定することであった。最初の候補のライブラリは、いくつかの設計基準に基づいていた。まず、プロテオースペプトンは、ウェルシュ菌の培養に好ましい加水分解物であることが知られている。プロテオースペプトンはペプシンを使用して製造され、したがってロイシンは、加水分解物のペプチドの中でより一般的なC−末端の1つと考えられる。それに応じてテトラペプチドライブラリを構築したが、このときC−末端(ペプチドの第4の位置)としてロイシンを用い、第3の位置でスペーサとしてアラニン(単純なアミノ酸)を用いて構築した。以下に示す、選択された10個のアミノ酸基の代表例は、それぞれが関連するアミノ酸の基を表しているが、これらはペプチドの残りの最初の2つの位置で挿入するために選択した。代表的なアミノ酸基の選択は、一般に、そのアミノ酸を使用することによってペプチドの合成が容易になることに基づいている。
【0010】
【表1】
【0011】
最初の2つの位置のそれぞれで、これら10個のアミノ酸への置換を行い、100個の異なる4量体配列からなる多様性が限定されたライブラリにした。このライブラリはXXALライブラリと呼ばれ、ここで「X」は、クラスタ群を表すよう選択されたアミノ酸を示す。
【0012】
ペプチドライブラリ用のペプチドは、固相ペプチド合成(Merrifield、1965)におけるAthertonおよびSheppard(1989)のFMOC化学法など、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって合成することができる。Boc化学法も、様々な異なる固体支持体上での合成、「ティーバッグ(tea−bag)」合成(Houghten)、スプリット・アンド・ディバイド・コンビナトリアル法(split and divide combinatorial method)と同様に使用することができる。ペプチド合成のための液相法も使用することができる。ライブラリペプチドは、C−末端の修飾(例えばアミドやエステル)、N−末端の修飾(例えばアセチル)、および天然に生じないアミノ酸の修飾(例えばノルロイシン)を含んでよく、そのような修飾がペプチド活性に及ぼす影響が評価される。
【0013】
培養中の細胞増殖にプラスにもマイナスにも影響を及ぼすライブラリのペプチドを同定するには、このライブラリを増殖アッセイでスクリーニングする。選択した細胞を、まずペプチドが補われていない適切な培地で増殖させ、次いでライブラリペプチドのそれぞれを補った培地で継代培養する。スクリーニング培地は、選択した細胞タイプに合わせた複合培地でよいが、このスクリーニング培地は、培地中に存在する明らかにされていない材料に妨げられずにペプチドの影響を評価できるように、確定された培地であることが好ましい。ペプチドのスクリーニングの前に、細胞増殖のため基本培地を最適にすることも好ましいが、最適化されていない培地を使用することもできる。本発明では、アミノ酸に富みかつ必要なビタミン、金属、および簡単な炭素源を含有する基本培地において、ペプチドが存在しまたは存在しない状態でのウェルシュ菌の増殖を評価した。しかし、その他の細胞タイプの増殖スクリーニングに適切な培地の選択は、決まりきった作業であり当業者の範囲内である。適切なインキュベーション時間が過ぎた後、各ペプチドを補った培養の増殖を、補っていない培地での増殖と比較する。増殖の程度は、光学密度(OD600)、CO2生成、O2消費、ATP、蛍光、生物発光、培養皿上での手動または自動コロニー計数、および電場のインピーダンスを含めた通常使用される方法のいずれかを使用して評価することができる。スクリーニングは、標準的な培養またはマイクロタイタープレートフォーマットで行うことができる。
【0014】
細胞生成物の生成にプラスまたはマイナスの影響を及ぼすライブラリのペプチドを同定することが望まれる場合、そのライブラリを、細胞生成物の検出に適切なアッセイでスクリーニングする。この場合も、まず選択した細胞を、ペプチドが補っていない適切な培地で増殖させ、次いでライブラリペプチドのそれぞれが補った培地で継代培養する。スクリーニング培地は、選択した細胞タイプに合わせた複合培地でよいが、このスクリーニング培地は、培地中に存在する明らかにされていない材料に妨げられずにペプチドの影響を評価できるように、確定された培地であることが好ましい。ペプチドのスクリーニングの前に、タンパク質発現のために基本培地を最適にすることも好ましいが、最適化されていない培地を使用することもできる。本発明の特定の目的は、ウェルシュ菌によるβ−トキシンの生成に影響を及ぼすペプチドを同定することである。この場合、細胞から分泌されたβ−トキシンを、2つのマウス抗β−トキシンモノクローナル抗体を使用してサンドイッチELISAアッセイで定量し、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合されたヤギ抗マウスIgG2Aで定量した。トキシンは、培養物を連続希釈して定量し、ペプチドが添加されていない培養物(基本培地培養物)によって生成されたトキシンと比較した。吸光度を492nmで読み取り、B50値(A492シグナルが最大シグナルの50%である希釈度)を計算し、2つの培養物の平均を得た。全総トキシン生成値を得るため、B50値の逆数にOD600を掛けた。細胞1個あたりのトキシンは、トキシン/ODとして表した。このようなELISAアッセイフォーマットは、モノクローナル抗体またはその他の特定のバインダまたはリガンドを利用することができまたは発生させることができるその他の細胞生成物の検出に、容易に適合される。β−トキシンまたはその他の対象となる生成物を定量するには、ここに述べたサンドイッチELISAアッセイに加えてその他の免疫アッセイフォーマットを使用することができる。これらのアッセイには、放射免疫アッセイ(RIA)、直接ELISA、その他の指示酵素を使用するELISA、蛍光レポーター分子を使用するELISA、および表面プラズモン共鳴検出を使用するようなフロースルーアッセイが含まれる。さらに、本発明では、β−トキシンに関するELISAの結果をバイオアッセイで確認した。これは、免疫アッセイによって検出されたβ−トキシンのいかなる増加も機能性トキシンを表すことを確認するために行った。ペプチドが補った培養物からの上澄みを希釈し、各希釈液の0.2mLをマウスに接種した。補っていない培地は、陰性対照としての役割をした。注射の24時間後に死亡率を記録し、50%の死亡率をもたらす最大希釈度を、生成されるβ−トキシンの量の尺度として使用した。
【0015】
細胞増殖に影響を及ぼすいくつかのペプチドを、XXALライブラリの最初のスクリーニングで同定した。GEAL(配列番号1)はウェルシュ菌の増殖を約40%増大させ、一方KLAL(配列番号2)は実質的に増殖を阻害した。配列番号2は増殖に対する阻害作用が大きいので、段階IIの培養は1OD、すなわち段階IIIでの試験に進むための最小要件に到達しなかった。配列番号1と配列番号2の構成成分であるアミノ酸では、基本培地のみと比べた場合に増殖に著しい差が生じなかった。EKAL(配列番号3)も、未処理の形態(増殖が2倍向上)と精製された形態(増殖が3.5倍向上)の両方で増殖を著しく増大させた。ESAL(配列番号4)も、未処理の形態と精製された形態の両方で増殖を著しく増大させることがわかった。未処理の形態と精製された形態の両方で同様の結果が観察されたという事実は、ペプチドの処理中に入り込んだ少量の化学物質ではなくてペプチドそのものが影響を及ぼすことを示している。
【0016】
XXALライブラリのペプチドに応答するトキシン生成を、15時間増殖および2点ELISA値を使用して評価した。このライブラリの100ペプチドのうち75のペプチドについて、トキシンのデータを収集し、4量体1個あたりのレプリケートの数は1〜14に及んだ。総トキシン比は、試験ペプチドを含有する培地に関して得られた総トキシンを、基本培地の総トキシンの値で割った商として計算した。VNAL(配列番号8)、SNAL(配列番号7)、DKAL(配列番号14)、およびNDAL(配列番号5)は、総トキシン比を増大させたことがわかった。LSAL(配列番号15)は増殖に効果がなかったが、トキシン生成を著しく阻害した。
【0017】
XXALにより多様性が限定されたライブラリを、選択した細胞タイプの増殖に最も良く機能する加水分解物のペプチドで認められる主要なC−末端に基づいて合理的に設計した。この概念は、様々な細胞に影響を及ぼすペプチドに関してスクリーニングされるその他のライブラリの設計にまで広げることができる。以下の表は、示した酵素または化学試薬により調製された加水分解物の存在下での培養を好む細胞の増殖に影響を及ぼす化合物に関してスクリーニングされるライブラリを構築するのに好ましい、ペプチドのC−および/またはN−末端を示す。
【0018】
【表2】
【0019】
このように確定した、酵素または化学的な切断によって生成された多くのペプチド末端は当技術分野で知られており、本発明のライブラリおよびペプチドの生成に適合させることができる。当技術分野で知られているように、列挙された酵素のいくつか(例えばトリプシンやキモトリプシン、エンドプロテイナーゼLys−C、リシルエンドプロテイナーゼ、V8プロテアーゼ)は、示されるアミノ酸にプロリンが付随する場合に阻害されることに留意されたい。
【0020】
あるいは、クラスタ群を表す「X」アミノ酸を、テトラペプチドの全ての非C−末端位置に配置することによって(例えばXXXLライブラリ)、より多様性があってより大きいライブラリを構築することができる。あるいは、特定の群の全てのアミノ酸(群を表す単一のアミノ酸だけではなく)を、テトラペプチドの位置1および2に、または全ての非C−末端位置に配置することができる。可能なアミノ酸残基のいずれか1つを表すのに文字Zを使用する場合、そのようなライブラリは、例えばZZALやZZZLと記述されると考えられる。上述のように、C−末端アミノ酸は、タンパク質の既知の酵素切断または化学的切断に関連付けられた残基のいずれかでよい。これらの概念は、5個以上のアミノ酸を含むペプチドのライブラリ、およびその他の酵素または化学物質による切断から得られる末端を含むペプチドのライブラリにもさらに広げることができ、スクリーニングのためにより大きくより多様性に富むペプチドライブラリさえも提供する。ライブラリはXXALからZZALまで発展するので、以下のペプチド、すなわちNDAL(配列番号5)、NNAL(配列番号6)、SNAL(配列番号7)、およびVNAL(配列番号8)は、細胞増殖を著しく増大させることがわかった。対照的に、ペプチドKKAL(配列番号9)は細胞増殖を阻害した。
【0021】
ペプチドEKAL(配列番号3)およびDKAL(配列番号14)は、これら初めの2つのライブラリ設計の組合せによる生成物である。初めのXXALライブラリに見出されるリードを使用して、アミノ酸基(E)の1メンバを同じ基(D)の別のメンバで単に置換することによりZZALスペース中のリードを同定し、それによって、スクリーニングにかかる労力を軽減させた。C−末端はロイシンに固定されているので、どの化合物も、経済的なコンカテマー法によって急速に増大させることができた。
【0022】
さらに、末端が固定されていない、多様性が最大のペンタペプチドライブラリを構築したが、このライブラリでは、アミノ酸配列の全ての順列を、単一のペンタペプチド配列によって表した。したがって、候補ペプチドの数を320万から42,504に減少させることができた。次いでC、R、およびWを含有する全ての配列を排除し、総セット数を20,349に減少させた。これは、労力を非常に要する可能性がある合成であって新しいライブラリ手法の開発には必要ではない合成を回避するために行った。ライブラリ中の別のペプチドと同じ分子式を有する残りのどのペプチドも排除して、最終的に合計が19,243の独自の構造が得られた。このライブラリのスクリーニングによって、以下の結果が得られた。FEFVG(配列番号16)は、総トキシン生成について試験されたペプチドの2番目に高い平均を有しており(8.79)、その結果、複数回にわたって実験を繰り返した場合にも非常に高い再現性があることがわかった。配列番号16についてさらに行われた統計的分析によれば、その総トキシン生成量の平均は、7よりも下の平均よりも統計的に著しく高いことが実証された。最適化された基本培地(加水分解物を含有しない、明らかにされた合成培地)では、配列番号16は、最適化された基本培地のみの場合に比べて増殖を約40%ほど増大させたが、その構成成分であるアミノ酸を培地(F、E、V、G)に添加すると、増殖は約15%しか増大しなかった。配列番号16は、2点ELISAでの総トキシンが、最適化された基本培地のみの場合の総トキシン生成量よりも約2.2倍増大させたが、構成成分のアミノ酸を添加すると、その総トキシン生成量は基本培地のみの場合とほぼ同等になった。3.5%の加水分解物ブレンドを含有する商用培地では、配列番号16は、細胞1個あたり生成されるトキシンの量が倍になるが、増殖を増大させないこともわかった。これが原因で、細胞の数をほとんどまたは全く増加させることなく培養によって生成される総トキシンをほぼ倍増させたのである。これは、追加の細胞集団を処理する必要なくトキシンを増加させることができるので、医薬品会社にとって特に望ましい。
【0023】
総トキシン生成量の平均が最高である10個の5量体は、FSLLE(配列番号17、8.855)、FEFVG(配列番号16、8.786611)、FSFVE(配列番号18、8.727)、NEYLY(配列番号19、8.665)、FDIST(配列番号20、8.395)、NLTEL(配列番号21、8.321)、SQLEL(配列番号22、8.28375)、ETLNL(配列番号23、8.28)、NQLEV(配列番号24、7.81)、およびIKLAS(配列番号25、7.7475)であった。HTVEL(配列番号26)、QNDVY(配列番号27)、LPDLF(配列番号28)、DTHHI(配列番号29)、FVPEK(配列番号30)、GYPEV(配列番号31)、HAPAY(配列番号32)、SNGIY(配列番号33)、KFIEK(配列番号34)、MHAPP(配列番号35)、MPNNF(配列番号36)、PELME(配列番号37)、FMSTA(配列番号38)、VNVQA(配列番号39)、KFIFE(配列番号40)、PLFEQ(配列番号41)、MMELE(配列番号42)、ALFHE(配列番号43)、YEQQN(配列番号44)、GGMPG(配列番号45)、SYIME(配列番号46)、およびYEYIY(配列番号47)も細胞1個あたりのトキシンを平均以上に増加させ、これはVDLLG(配列番号48)、DMLQT(配列番号49)、GHPVE(配列番号50)、NEGLG(配列番号51)、YENLY(配列番号52)、KPLDV(配列番号53)、DKTNG(配列番号54)、EKALE(配列番号55)、SVMEM(配列番号56)、LADTF(配列番号57)、KTVGI(配列番号58)、ESLQM(配列番号59)、VEFTN(配列番号60)、ELSPH(配列番号61)、TKPFF(配列番号62)、LSFIE(配列番号63)、FEFGV(配列番号64)、GDYVS(配列番号65)、ETVNF(配列番号66)についても同様であった。VHVYQ(配列番号67)およびNNNNN(配列番号68)は、0.5%加水分解物培地で得られた平均を超えるトキシン生成量をもたらした。0.5%加水分解物培地でのYEYIG(配列番号69)は、その総トキシン平均値が、3.5%加水分解物を単独で使用して得られた場合よりも2倍大きくなった。5量体AGKAH(配列番号70)、AKHSK(配列番号71)、ATNKK(配列番号72)、およびADPKD(配列番号73)も、増殖を著しく阻害した。
【0024】
XXXXライブラリスペースで同定されたペプチドも、ウェルシュ菌(C. Perfringens)の増殖を阻害することがわかった。SKKA(配列番号10)、KGLK(配列番号11)、VKKG(配列番号12)、およびGLKK(配列番号13)。
【0025】
5量体FEFVG(配列番号16)を修飾して、6量体EFEFVG(配列番号74)、NFEFVG(配列番号75)、FEFVGG(配列番号76)、FEFVGE(配列番号77)、およびFEFVGY(配列番号78)を形成したが、これらの総トキシン値は、総トキシンの平均が3.82である基本培地のみの場合に比べて6から9.7に及んでいた。
【0026】
化学的に確定された培地での細胞増殖は、一般に、加水分解物をベースとした培地の場合よりも遅い。いくつかのペプチドは、化学的に確定された基本培地での増殖を、従来の加水分解物をベースとした培地での増殖に匹敵するほど十分に増大させることがわかった。これらのペプチドには、VFTDK(配列番号:79)、LTKVD(配列番号:80)、LLPKT(配列番号:81)、PLTGG(配列番号:82)、GGTPV(配列番号:83)、PKGTV(配列番号:84)、DDDDD(配列番号:85)、KLGVK(配列番号:86)、TPKTL(配列番号:87)、GDVTK(配列番号:88)、HPAFE(配列番号:89)、FFPTD(配列番号:90)、VNYQA(配列番号:91)およびIILEA(配列番号:92)が含まれ、これらは全て、その平均増殖値が4時間で4であった。化学的に確定されたスクリーニング培地単独では、4時間の増殖に関する平均は3.2ODであった。ESALD(配列番号93)も、基本培地上での増殖を増大させた。
【0027】
所望の性質を有することが明らかにされたペプチドは、様々な方法により、商用としてまたは研究に使用するのに十分な量で生成することができる。ペプチドは、当技術分野で知られるように、化学的にまたは酵素の作用によって合成することができるが、ペプチドは、このペプチドをコードする組換え核酸を発現させる方法を使用して生成することがより好ましい。組換え生成では、選択したペプチド配列を、まず対応する核酸配列、すなわちペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列に変換する。これは、引き続き翻訳されてペプチドを生成するRNA配列でよく、または、次いで後続のmRNAの翻訳と共にDNA配列の転写を可能にするプロモーターの制御下で発現ベクターにクローニングされるDNA配列でよい。所望のペプチドまたはタンパク質配列の組換え生成を行うためのそのような多くの方法は当業者に周知であり、本発明のスキルを実行することなく本発明のペプチドの生成に適用することができる。ペプチドは、必要に応じ、やはり当業者に周知の物理的、化学的、および親和性を利用した分離の標準的な方法を使用して精製することができる。
【0028】
従来からの培地加水分解物中で、酵素作用によりまたは化学的にタンパク質を切断することによって生成されたC−末端およびN−末端に対応するC−末端またはN−末端を含むことは、本発明のペプチドの多くにとって特に有利な特徴である。これは、当技術分野で知られているようなコンカテマー構造を使用して典型的には細菌または酵母で行われるペプチドの組換え生成を容易にする。コンカテマーは、コード配列の何百ものコピーを含有することができる。酵素作用によりまたは化学的に切断されるC−末端またはN−末端を有する本発明のペプチドをコード化するコンカテマー核酸構成物は、都合のよい切断部位によって分離されたペプチドアミノ酸配列の繰返しサブユニットを含むポリペプチドを生成する。適切な酵素または化学手段を使用した切断によって、ペプチドモノマーが放出される。この製造手法は、所望のペプチドの収量を増加させ、製造コストを低下させる。発現後の処理は、コンカテマー構造物のクローニングによって自動的に生成される切断部位により単純化される。例えば、ペプチドNDAL(配列番号5)は、XXALライブラリ手法を使用して迅速に発見され、ペプシンまたはエンドペプチダーゼN−ASNを使用する後続の切断と共にコンカテマー法を使用して効率的に製造することができる。増殖阻害剤KKAL(配列番号9)も、コンカテマー法およびペプシンによる切断を使用して製造することができた。FSFVE(配列番号18)は、コンカテマーとして発現し、V8プロテアーゼを使用して発現の後にモノマーに切断することができた。さらなる例として、HTVEL(配列番号26)およびQNDVY(配列番号27)は共に、培養上澄み中のβトキシンの蓄積を増大させる。これらのペプチドは、同じコンカテマーミニジーンから発現し、ペプシンによってペプチドへと切断され、また共に同じ属性を示すのでさらに分離することなく使用することができた。このような組合せのミニジーンも、1つのペプチドが別のペプチドとのバランスをとるために必要とされるとき、有用と考えられる。例えば、塩基性の配列と酸性の配列を交互にすることによって、全ミニジーン生成物を宿主細胞と共存させることができる。組合せミニジーンはまた、異なる属性を示す複数のペプチドを同じ培地に配合するのに望ましいときに、有用な生成ビヒクルとなる場合がある。この場合、全ての必要なペプチドを、個々のペプチドを分離する必要なく単一の生成プロセスで発現し、処理し、配合することができる。FEFVG(配列番号16)は、各ペプチドコード配列の間のナンセンス配列スペーサと共にコンカテマーとしてクローニングして、コンカテマーから遊離させることができる。例えば、ナンセンスペプチドDEEP(配列番号94)のコード配列は、培地強化ペプチドをコードする配列の両側に位置し、コンカテマーをエンドプロテアーゼAsp−N(アスパラギン酸の前で切断する)およびプロリンエンドペプチダーゼ(プロリンの後で切断する)で切断することができる。この手法は複数の試薬を必要とし、細胞培養と相容性がない場合、スペーサを所望のペプチドから分離することが必要と考えられる。ナンセンススペーサも、コンカテマーのペプチドコード配列間で使用され、切断可能な部位を生成し、他の状況では切断可能ではないペプチド配列での処理を容易にすることができる。
【0029】
本発明のペプチドの好ましい使用は、所望の効果を細胞にもたらす細胞培地(原核生物および真核生物、脊椎動物および無脊椎動物由来の細胞および組織を培養するための培地を含む)中である。そのような効果には、増殖速度の増減、細胞生成物の生成の増減、または環境中の物質(例えばホルモン)に対する応答の増減を含めることができる。ペプチドが添加される基本培地は、化学的に確定された培地か、またはウシ胎児血清(FCS)や酵母加水分解物など確定されていない成分を含有する複合培地でよい。化学的に確定され、または半分確定された培地が好ましいが、それは、本発明のペプチドが、確定されていない培地成分に起因する性能のばらつきを小さくしまたは無くす手段として、また医薬品を製造するのに使用する培地中の動物由来の成分を減少させまたはなくす手段として、最も有利に使用されるからである。
【0030】
選択されたペプチドは、一般に、約0.1〜25mMの濃度で、より好ましくは約1.0mMから12mMの濃度で培地に添加される。しかし、選択された培地での本発明のペプチドの適切な濃度を決定することは、当業者の範囲内である。培地に複数のペプチドを添加して、相乗効果をもたらすことができ(共に同じ効果を細胞にもたらす場合)、または複数の効果をもたらすことができる(各ペプチドが異なる効果を細胞にもたらす場合)。
Claims (30)
- 配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:49、配列番号:50、配列番号:51、配列番号:52、配列番号:53、配列番号:54、配列番号:55、配列番号:56、配列番号:57、配列番号:58、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87、配列番号:88、配列番号:89、配列番号:90、配列番号:91、配列番号:92、配列番号:93および配列番号:94
からなる群から選択されることを特徴とするペプチド。 - ペプチドをコードする組換え核酸配列の発現によって生成されることを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
- 組換え核酸配列の発現が、ペプチドモノマーを放出するように化学的手段または酵素手段によって切断可能なペプチドのコンカテマーを生成することを特徴とする請求項2に記載のペプチド。
- 請求項1に記載のペプチドを含むことを特徴とする細胞または組織培地。
- 化学的に合成されたペプチドを含むペプチドライブラリであって、ペプチドのそれぞれが、ポリペプチドの酵素作用による切断または化学的な切断に関連したN−末端またはC−末端アミノ酸と、1つまたは複数の追加のアミノ酸を含むことを特徴とするライブラリ。
- 追加のアミノ酸の少なくとも1つが、アミノ酸に化学的に関係する基を表すことを特徴とする請求項5に記載のライブラリ。
- ペプチドのC−末端アミノ酸が、D、E、F、K、L、M、N、P、R、Y、およびWからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載のライブラリ。
- ペプチドのN−末端アミノ酸が、A、D、F、I、L、M、S、V、Y、およびWからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載のライブラリ。
- N−末端またはC−末端アミノ酸に隣接するアミノ酸がスペーサアミノ酸であることを特徴とする請求項5に記載のライブラリ。
- スペーサアミノ酸がAであることを特徴とする請求項9に記載のライブラリ。
- テトラペプチド、ペンタペプチド、またはヘキサペプチドを含むことを特徴とする請求項5に記載のライブラリ。
- 請求項5に記載のライブラリから選択されることを特徴とするペプチド。
- ペプチドをコードする組換え核酸配列の発現によって生成されることを特徴とする請求項12に記載のペプチド。
- 発現が、ペプチドモノマーを放出するように酵素手段または化学的手段によって切断可能なペプチドのコンカテマーを生成することを特徴とする請求項13に記載のペプチド。
- 請求項5に記載のペプチドライブラリから選択されたペプチドを含むことを特徴とする細胞または組織培地。
- ペプチドが、
配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:49、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:55、配列番号:56、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87、配列番号:88、配列番号:89、配列番号:90、配列番号:91、配列番号:92および配列番号:93
からなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の培地。 - 化学的に確定された培地、血清を含まない培地、または加水分解物を含まない培地であることを特徴とする請求項15に記載の培地。
- 約0.1〜25mMのペプチドを含むことを特徴とする請求項15に記載の培地。
- 異なる生物活性を有する少なくとも2つのペプチドを含むことを特徴とする請求項15に記載の培地。
- 細胞増殖または細胞タンパク質の生成を増強しまたは阻害するための方法であって、請求項5に記載のペプチドライブラリから選択されたペプチドの存在下で細胞または組織を培養することを含むことを特徴とする方法。
- ペプチドが、
配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:49、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:55、配列番号:56、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87、配列番号:88、配列番号:89、配列番号:90、配列番号:91、配列番号:92および配列番号:93
からなる群から選択されることを特徴とする請求項20に記載の方法。 - ウェルシュ菌(C.perfringens)の増殖が増強されまたは阻害されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
- β−トキシンの生成が増強されまたは阻害されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
- 細胞が、約0.1〜25mMのペプチドの存在下で培養されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
- 細胞が、約1.0〜12mMのペプチドの存在下で培養されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
- 請求項5に記載のペプチドタイブラリから選択されるペプチドを生成するための方法であって、ペプチドのコンカテマーをコードする組換え核酸配列を発現すること、および発現したコンカテマーの酵素作用による切断または化学的な切断によってペプチドモノマーを放出することを含むことを特徴とする方法。
- ペプチドが、
配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:49、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:55、配列番号:56、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87、配列番号:88、配列番号:89、配列番号:90、配列番号:91、配列番号:92および配列番号:93
からなる群から選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。 - ペプチドモノマーが、ペプシン、パパイン、キモトリプシン、トリプシン、臭化シアン、V8プロテアーゼ、サーモリシン、カテプシンG、エンドプロテイナーゼLys−C、エンドプロテイナーゼAsp−N、プロテイナーゼK、またはプロリンエンドペプチダーゼでコンカテマーを切断することによって放出されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
- 異なる生物活性を有する複数のペプチドが単一のコンカテマーとして発現されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
- a)「X」が、化学的に関係するアミノ酸の基を表すアミノ酸を示すXXALライブラリと、
b)「X」が、化学的に関係するアミノ酸の基を表すアミノ酸を示すXXXLライブラリと、
c)「Z」が任意のアミノ酸を表すZZALライブラリと、
d)「Z」が任意のアミノ酸を表すZZZLライブラリと、
e)単一のアミノ酸配列が、アミノ酸配列の全ての順列を表すライブラリと
からなる群から選択されることを特徴とするペプチドライブラリ。
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