詳細な説明
糖化バイオマスからの糖(および/または糖から作られる物質)の製造の効率を増大する方法が、本明細書中で提供される。当該方法は、1つ以上の糖または物質が負のフィードバックを生じて、精製され得る糖または物質の量を限定する場合に特に有用である。
典型的には、当該方法は、バイオマスを糖化することで開始する。糖化は、通常は、糖の混合物を生成する。混合物は、有用な物質に転化され得る糖を含む。しかしながら、糖の混合物は、微生物により代謝され得ない糖を含み得る。これらの非利用可能な糖は、濃度が増大すると、それらは代謝的「行き止まり」を表す。さらに、いくつかの糖は、フィードバック抑制の基礎を形成し、所望の糖または他の所望の物質を作る代謝経路の処理量を限定し得る。
このようなフィードバック抑制を防止し、バイオマスの糖化からの糖およびその他の有用な物質の量を増大するための方法が、本明細書中で開示される。
糖化中に生成されるグルコースは、グルコースのさらなる産生を抑制し得る。したがって、一実施形態では、本発明は、それをフルクトース(これは、糖化を抑制しない)に転化し、それにより付加的グルコースの産生を可能にするグルコースの有効除去を包含する。グルコースは、酵素(例えばキシロースイソメラーゼ)、強酸または化学物質(例えばポリスチレンスルホン酸)の作用により、フルクトースに転化され得る。同様に、キシロース(これは多数の微生物により代謝され得ない)は、キシロースイソメラーゼによりキシルロースに転化され、これは、多数の微生物により代謝され得る。さらに、キシルロースは、しばしば、グルコースと違って、それ自身の産生を抑制しない。
例えば、バイオマスは、糖化されて、グルコースおよびキシロースを含めた糖の混合物を生じ得る。ほとんどの酵母株は、グルコースを、例えばアルコールに代謝し得るが、しかしキシロースは代謝し得ない。したがって、所望の最終産物がアルコールである場合には、酸化増大およびグルコース産生増大とその後の発酵は、より多くのアルコールを生じるが、しかしそれはより多くのキシロースも生成する。キシロースは有害ではないが、それは代謝的「行き止まり」を表し得る。キシロースがキシルロースに転化される場合、それは発酵されてアルコールとなり、産生効率が増大され得る。
図1に示したように、例えば糖化中、セルロース基質(A)は、最初に、無作為位置でエンドグルカナーゼ(i)により加水分解されて、オリゴマー中間体(例えばセルロース)を生じる(B)。これらの中間体は、その場合、グルカナーゼ(ii)、例えばセロビオヒドロラーゼを外分解して、セルロースポリマーの末端からセロビオースを生成するための基質である。セロビオースは、グルコースの水溶性1,4‐連結二量体である。最後に、セロビアーゼ(iii)はセロビオースを切断して(C)、グルコースを生じる(D)。したがって、エンドグルカナーゼは、セルロースの結晶部分を攻撃するのに、そしてエキソセルラーゼの有効性を増大してセロビオースを生成し、これは次に、グルコースを生成するためにセロビオースの特異性を要する。したがって、セルロース基質の性質および構造によって、3つの異なる酵素の量および種類が改質される必要があり得る、ということは明白である。
図2に示したように、セルロース(200)のセロビオース(210)への加水分解は、エンドグルカナーゼ(EG)およびエキソグルカナーゼ/セロビオヒドロラーゼ(CBH)(205)の相乗作用による固体‐液体海面での初期分解を包含する多段階工程である(A)。この初期分解は、ベータグルコシダーゼ(BG;215)によりグルコース(220)に触媒的に切断される(B)オリゴ糖およびセロビオースのような可溶性中間体生成物の加水分解によるさらなる液相分解を伴う。しかしながら、セロビオース(210)は、CBHおよびEG(205)を直接的に抑制し(D)、グルコース(220)は、BG(215)だけでなく、CBHおよびEG(205)も直接的に抑制する(C、E)。本明細書中に記載されるように本発明は、この抑制を低減するかまたは回避する。
図3は、供給原料(300)から物質(340)を製造するための工程を示す。供給原料は、例えば供給原料のサイズおよび難分解性の低減により、前処理され得る。これは、例えば、供給原料を任意に機械的に処理すること、そしてこの処理の前および/または後に、任意に別の処理で、例えば粒子衝撃で供給原料を処理して、その難分解性をさらに低減することを包含する。上流処理供給原料(300)は、次に、セルラーゼ(305)および流体と併合されて(A)、混合物(310)を生成し、これは次に、糖化されて(B)、糖(320)を生じる。本明細書中に開示されるように、添加物(325)は、糖(320)の混合物と併合されて(C)、糖と添加物の混合物(330)を作る。添加物(325)は、例えば、セロビオースおよび/またはグルコースによるセルラーゼの抑制を低減することにより、糖化中のセルラーゼの有効性を増大する。糖化の有効性増大は、糖のレベル増大を生じ、これは次に、下流加工処理に用いられて(D)、1つ以上の物質(340)、例えばアルコール、乳酸、または糖それ自体のうちの1つ以上を生成する。
糖化中、供給原料は、一般的に、流体媒質、例えば水溶液中で供給原料および酵素(305)を組み合わせることにより、1つ以上のセルロース分解酵素で処理される。いくつかの場合、米国特許出願公告2012/0100577 A1(2011年10月18日出願、2012年4月26日公開済み)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、供給原料は、糖化前に熱水中で煮沸され、浸され、または煮られる。
添加物は、例えばバイオマスおよびセルラーゼとともに、糖化(B)の開始時に付加され得る。代替的には、添加物は、糖化(B)のうちのいくつかまたは全部が起きた後に、付加され得る。それは、物質生成の開始時にも付加され得る。
添加物は、化学物質または酵素であり得る。適切な添加物の例としては、酸および塩基が挙げられる。塩基は、以下でさらに詳細に記載されるように、Lobry−de−Bruyn−Alberda−van−Ekenstein変換を触媒し得る。酸は、セロビオースの加水分解を触媒し得る。ボロン酸は、グルコースのシス‐ジオールと複合体を形成するために用いられ得る。キシロースイソメラーゼ(a.k.a.グルコースイソメラーゼ)は、グルコースをフルクトースに異性化するために用いられ得る。
添加物は、物理的に支持され得る。有用な支持体としては、陽イオン性ポリマー支持体、陰イオン性ポリマー支持体、中性ポリマー支持体、金属酸化物支持体、金属炭酸塩支持体、金属ハロゲン化物支持体および/またはその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。支持体は、混合糖に付加され得るし、あるいは固定されており、混合糖が支持添加物中またはその上を通され得る。
添加物を含有する混合物(330)は、バイオマスおよびセルラーゼ段階(310)に戻されて、より多くの糖を放出した後、さらに加工処理される。これは、好ましくは、添加物の作用の方を選ぶ条件というよりむしろ、セルロースの糖化を引き起こす状態に条件を戻すことを包含し得る。例えば、pHは、酸性領域(pH7以下、pH6以下、pH5以下)で、そしてpH2以上(pH3以上、pH4以上)で糖化のために最適化され得る。温度は、セルラーゼの作用のために、例えば30℃以上に(40℃以上、50℃以上、60℃以上)、そして90℃以下(80℃以下、70℃以下、60℃以下)に最適化され得る。付加的バイオマス、セルラーゼおよび添加物は、糖の生成増大のために任意に付加され得る。
糖化により生成される糖溶液または懸濁液は、下流加工処理に付されて、所望の物質を得る。例えば、糖のうちの1つ以上が単離され、および/または溶液が発酵され得る。発酵が利用される場合、発酵産物は蒸留され得る。例えば糖は、水素添加され、糖アルコールが単離され得る。
任意の特定の理論に縛られることなく考えると、この転化は、糖の混合物からグルコースを有効に除去する。図2に示したように、この除去は、抑制ステップCおよびEを除去する。これは、バイオマス中のセルロースの全体的糖化を増大する。
多くの場合、グルコースイソメラーゼを用いるための最適温度は、60〜80℃の範囲である。本明細書中に記載される工程では、経費のため、そして工程の他の構成成分に関する最適温度が異なり得るため、最適より低い温度が好ましい。例えば、セルラーゼ添加物は、一般的に、30℃〜65℃で最適である。したがって、特にグルコースイソメラーゼおよびセルラーゼが組み合わされ、同時に用いられる場合、約60℃〜約65℃の温度範囲が選択され得る。それらが一緒に用いられない場合には、各酵素に関する最適温度が選択され得る。
グルコースイソメラーゼ活性に関する最適pH範囲は、pH7〜9である。温度範囲の選択に関する場合と同じように、いくつかの場合、工程の他の構成成分は低pHを必要とし得るため、本発明を実行するに際しては、低pHが好ましい。例えばセルラーゼは、約3〜7のpH範囲に亘って活性である。したがって、組合せ酵素のための好ましいpHは、一般的にpH7またはそれより低い。グルコースイソメラーゼおよびセルラーゼが一緒に用いられない場合には、各酵素に関する最適pH範囲が選択され得る。
グルコースイソメラーゼは、任意の量で付加され得る。例えば、その濃度は、約500U/セルロース1gより低い(100U/セルロース1g以下、50U/セルロース1g以下、10U/セルロース1g以下、5U/セルロース1g以下)。濃度は、少なくとも約0.1U/セルロース1g〜約500U/セルロース1g、少なくとも約0.5U/セルロース1g〜約250U/セルロース1g、少なくとも約1U/セルロース1g〜約100U/セルロース1g、少なくとも約2U/セルロース1g〜約50U/セルロース1gであり得る。
いくつかの場合、グルコースイソメラーゼの付加は、生成される糖の量を、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100%)増大する。
本発明に用いられ得る別の添加物は、例えば、糖化剤の活性を増大する化学物質である。化学物質は、例えば、Lobry−de−Bruyn−Alberda−van−Ekenstein変換(Lobry−de−Bruyn−van−Ekenstein変換とも呼ばれる)を助長する化学物質であり得る。この反応は、アルドースからエノールを生成し、これは次に、ケトースを生成し得る。例えば、11〜13のpH範囲で、20℃の温度で、アルカリはD‐グルコースのD‐フルクトースおよびD‐マンノースへの変換を触媒する。典型的には、反応は塩基触媒されるが、しかしそれは酸触媒もされ得るし、または中性条件下で起こり得る。グルコースイソメラーゼの使用に関する場合と同様に、この反応はグルコースを有効に除去する。
別の例として、酸は、セロビオースの加水分解を触媒するために用いられ得る。酵素的または微生物的手段というよりむしろ、セロビオースをグルコースに切断するために化学的手段を用いることによって、グルコースによるこれらの反応の抑制は起こらない。
別の例では、化学物質は、グルコースと反応するもの、例えばシス‐ジオールと優先的に結合するボロン酸であり得る。
化学物質は、例えばポリスチレンスルホネート(例えば、アンバーリスト(商標))またはポリスチレンアミンにより、支持体上に存在し得る。混合糖は、支持化学物質を通り抜け得るし、またはその上を流動し得る。例えば化学物質は、ポリスチレン支持化ボロン酸であり得る。グルコースは、ポリスチレン支持体によりボロン酸塩として閉じ込められ、次いで、例えば塩基の付加により、後期段階で放出され得る。
キシロースイソメラーゼ
キシロースイソメラーゼ(ES5.3.1.5)は、D‐キシロースおよびD‐キシルロース間で、両方向に化学反応を触媒する酵素である。それは、グルコースイソメラーゼおよびD‐キシロースアルドース‐ケトースイソメラーゼとして系統的にも既知であり、イソメラーゼの一ファミリーに、具体的には、アルドースおよびケトース間で相互転化する分子内オキシドレダクターゼに属する。一般に用いる他の名称としては、D‐キシロースイソメラーゼ、D‐キシロースケトイソメラーゼおよびD‐キシロースケトールイソメラーゼが挙げられる。当該酵素は、ペントースおよびグルクロネート相互転化ならびにフルクトースおよびマンノース代謝に関与する。それは、高フルクトースコーンシロップの製造においてグルコースをフルクトースに転化するために工業的に用いられる。それは、時として、「グルコースイソメラーゼ」と呼ばれる。「キシロースイソメラーゼ」および「グルコースイソメラーゼ」は、本明細書中で互換的に用いられる。in vitroでは、グルコースイソメラーゼは、グルコースおよびフルクトースの相互転化を触媒する。in vivoでは、それはキシロースおよびキシルロースの相互転化を触媒する。
いくつかの型の酵素が、キシロースイソメラーゼとみなされる。第一の種類は、シュードモナス・ヒドロフィラから生成される。この酵素は、グルコースに対する親和性がキシロースの160分の1であるが、しかしそれにもかかわらず、グルコースの存在下でフルクトースの量を増大するために有用である。酵素の第二の種類は、エシェリキア・インターメディアにおいて見出される。この酵素は、ホスホグルコースイソメラーゼ(EC5.3.1.9)であり、砒酸塩の存在下でのみ、非リン酸化糖を異性化し得る。グルコースイソメラーゼ(EC5.3.16)は、バシラス・メガテリウムAIから単離され、NAD結合されて、グルコースに特異的である。同様の活性を有する別のグルコースイソメラーゼは、パラコロバクテリウム・アエロゲノイデスから単離される。ヘテロ乳酸菌により産生されるグルコースイソメラーゼは、誘発因子としてキシロースを必要とし、高温で相対的に不安定である。キシロースイソメラーゼ(EC5.3.1.5)は、高価な補助因子、例えばNAD+またはATPを必要とせず、そして相対的に熱安定性であるので、商業的用途のために最も有用である。
グルコースイソメラーゼは、通常は、細胞間で産生されるが、しかしグルコースイソメラーゼの細胞外分泌という報告が既知である。用いられる酵素は、多数の細菌から、例えば以下の細菌から単離され得るが、これらに限定されない:アクチノマイセス・オリボシネレウス、アクチノマイセス・フェオクロモゲネス、アクチノプラネス・ミッソウリエンシス、アエロバクター・アエロゲネス、アエロバクター・クロアケ、アエロバクター・レバニクム、アルスロバクター種、バシラス・ステアロテルモフィルス、バシラス・メガバクテリウム、バシラス・コアグランス、ビフィズス菌種、ブレビバクテリウム・インセルツム、ブレビバクテリウム・ペントソアミノアシジクム、カイニア種、コリネバクテリウム種、コルトバクテリウム・ヘルボルム、エシェリキア・フレウンジイ、エシェリキア・インターメディア、大腸菌、フラボバクテリウム・アルボレッセンス、フラボバクテリウム・デボランス、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・ブキネリ、ラクトバシラス・フェルメンチ、ラクトバシラス・マンニトポエウス、ラクトバシラス・ガヨニイ、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・リコペルシシ、ラクトバシラス・ペントズス、リューコノストック・メセンテロイデス、ミクロビスポラ・ロゼア、ミクロエロボスポリア・フラベア、ミクロモノスポラ・コエルラ、マイコバクテリウム種、ノカルジア・アステロイデス、ノカルジア・コラリア、ノカルジア・ダッソンビレイ、パラコロバクテリウム・アエロゲノイデス、シュードノカルジア種、シュードモナス・ヒドロフィラ、サルシナ種、スタフィロコッカス・ビブリア、スタフィロコッカス・フラボビレンス、スタフィロコッカス・エキナツス、ストレプトコッカス・アクロモゲネス、ストレプトコッカス・フェオクロモゲネス、ストレプトコッカス・フラクリエ、ストレプトコッカス・ロゼオクロモゲネス、ストレプトコッカス・オリバセウス、ストレプトコッカス・カリフォルニコス、ストレプトコッカス・ベヌセウス、ストレプトコッカス・ビルギニアル、ストレプトミセス・オリボクロモゲネス、ストレプトコッカス・ベネゼリエ、ストレプトコッカス・ウェドモレンシス、ストレプトコッカス・グリセオルス、ストレプトコッカス・グラウセッセンス、ストレプトコッカス・ビキニエンシス、ストレプトコッカス・ルビギノズス、ストレプトコッカス・アキナツス、ストレプトコッカス・シンナモネンシス、ストレプトコッカス・フラジエ、ストレプトコッカス・アルブス、ストレプトコッカス・グリセウス、ストレプトコッカス・ヒベンス、ストレプトコッカス・マテンシス、ストレプトコッカス・ムリヌス、ストレプトコッカス・ニベンス、ストレプトコッカス・プラテンシス、ストレプトスポランギウム・アルブム、ストレプトスポランギウム・オウルガレ、テルモポリスポラ種、テルムス種、キサントモナス種およびザイモモナス・モビリス。
グルコースイソメラーゼは、溶液中に遊離して用いられ得るし、または支持体上に固定され得る。支持体構造物は、任意の不溶性材料である。支持体構造物は、陽イオン性、陰イオン性または中性材料、例えばジエチルアミノエチルセルロース、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩およびポリスチレンであり得る。固定化は、任意の適切な手段により成し遂げられ得る。例えば固定化は、溶媒、例えば水中で支持体を全細胞または酵素と接触させ、次いで、溶媒を除去することにより成し遂げられ得る。溶媒は、任意の適切な手段、例えば濾過または蒸発または噴霧乾燥により除去され得る。別の例として、全細胞または酵素を支持体とともに噴霧乾燥することは、有効であり得る。
グルコースイソメラーゼは、工程中に酵素を産生する生細胞中にも存在し得る。例えば、グルコースイソメラーゼ産生細菌は、当該工程においてエタノール発酵細菌と同時培養され得る。代替的には、グルコースイソメラーゼ産生細菌は、先ず基質と接触された後、エタノール産生基質に接種され得る。
グルコースイソメラーゼは、さらにまた、糖のさらに有用な変換が可能である細胞内に存在し得るし、その細胞から分泌され得る。例えば、グルコース発酵種は、グルコースイソメラーゼの生成のための遺伝子を含有し、発現するよう遺伝子修飾され得る。
I.バイオマス材料の処理
A.粒子衝撃
エネルギー粒子衝撃による1つ以上の処理を用いて、広範囲の異なる供給源からの生供給原料を加工処理して、供給原料から有用な物質を抽出し、部分的に分解された有機材料(これはさらなる加工処理ステップおよび/またはシーケンスへのインプットとして機能する)を提供し得る。粒子衝撃は、供給原料の分子量および/または結晶性を低減し得る。いくつかの実施形態では、その原子軌道から電子を放出する材料中に預託されたエネルギーが、材料を処理するために用いられ得る。衝撃は、重度荷電粒子(例えばアルファ粒子または陽子)、電子(例えば、ベータ崩壊または電子線加速器で生成される)または電磁線(例えばガンマ線、X線または紫外線)により提供され得る。代替的には、放射性物質により生成される放射線は、供給原料を処理するために用いられ得る。これらの処理の、任意の順序での、または同時発生的での、任意の組合せが利用され得る。別のアプローチでは、電磁線(例えば、電子線放出器を用いて生成)を用いて、供給原料を処理し得る。
各型のエネルギーは、特定の相互作用によりバイオマスをイオン化する。重度荷電粒子は、主にクーロン散乱により物質をイオン化する;さらに、これらの相互作用は、物質をさらにイオン化し得るエネルギー性電子を生じる。アルファ粒子は、ヘリウム原子の核と同一であり、種々の放射性核、例えばビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、いくつかのアクチニド、例えばアクチニウム、トリウム、ウラニウム、ネプツニウム、キュリウム、カリフォルニウム、アメリシウムおよびプルトニウムの同位体のアルファ崩壊により生成される。
粒子が利用される場合、それらは中性(非荷電)、正電荷または負電荷であり得る。荷電される場合、荷電粒子は、単一の正または負電荷、あるいは多重電荷、例えば1、2、3または4つ、あるいはそれ以上の電荷を保有し得る。鎖切断が望まれる場合、一部はそれらが酸性であるために、正荷電粒子が望ましい。粒子が利用される場合、当該粒子は、静止電子の質量、あるいはそれ以上、例えば静止電子の質量の500、1000、1500または2000倍またはそれ以上の質量を有し得る。例えば、粒子は、約1原子単位〜約150原子単位、例えば約1原子単位〜約50原子単位、または約1〜約25、例えば1、2、3、4、5、10、12または15原子単位の質量を有し得る。粒子を加速するために用いられる加速器は、静電DC、電気力学的DC、RFリニア、磁気誘導型リニアまたは連続波であり得る。例えば、サイクロトロン型加速器、例えばRhodotron(商標)系は、IBA(Ion Beam Accelerators, Louvain−la−Neuve, Belgium)から入手可能であり、一方、DC型加速器、例えばDynamitron(商標)は、RDI(現在、IBA Industrial)から入手可能である。イオンおよびイオン加速器は、Introductory Nuclear Physics, Kenneth S. Krane, John Wiley & Sons, Inc. (1988), Krsto Prelec, FIZIKA B 6 (1997) 4, 177−206;Chu, William T., “Overview of Light−Ion Beam Therapy”, Columbus−Ohio, ICRU−IAEA Meeting, 18−20 Mar. 2006; Iwata, Y. et al., “Alternating−Phase−Focused IH−DTL for Heavy−Ion Medical Accelerators”, Proceedings of EPAC 2006, Edinburgh, Scotland;およびLeitner, C. M. et al., “Status of the Superconducting ECR Ion Source Venus”, Proceedings of EPAC 2000, Vienna, Austriaで考察されている。
適用される線量は、所望の作用および特定の供給原料によって決まる。例えば、高線量は、供給原料構成成分内の化学結合を分断し得るし、低線量は、供給原料構成成分内の化学結合(例えば架橋)を増大し得る。
いくつかの場合には、鎖切断が望ましいか、および/またはポリマー鎖官能化が望ましい場合、電子より重い粒子、例えば陽子、ヘリウム核、アルゴンイオン、ケイ素イオン、ネオンイオン、炭素イオン、リンイオン、酸素イオンまたは窒素イオンが利用され得る。開環鎖切断が所望される場合、開環鎖切断増強のために、正荷電粒子がそれらのルイス酸特性のために利用され得る。例えば、酸素含有官能基が所望される場合、酸素の存在下での処理、または酸素イオンでの処理でさえ、実施され得る。例えば、窒素含有官能基が望ましい場合、窒素の存在下での処理、または窒素イオンでの処理さえ、実施され得る。
B. 他の型のエネルギー
電子は、クーロン散乱、または電子の速度の変化により生成される制動放射線により相互作用する。電子は、ベータ崩壊を受ける放射性核、例えばヨウ素、セシウム、テクネチウムおよびイリジウムの同位体により生成され得る。代替的には、熱電子放出による電子供給源として、電子銃が用いられ得る。
電磁放射線は、3工程を介して相互作用する:すなわち、光電吸収、コンプトン散乱および電子対生成である。優位相互作用は、入射放射線のエネルギーおよび材料の原子数により確定される。セルロース材料中の吸収放射線に寄与する相互作用の合計は、質量吸収係数により表され得る。
電磁放射線は、波長によって、ガンマ線、X線、紫外線、赤外線、マイクロ波または電波として細分類される。
例えば、ガンマ線は、材料を処理するために用いられ得る。ガンマ線は、試料中の種々の材料中への有意の浸透深度という利点を有する。ガンマ線の供給源としては、放射性核、例えば、コバルト、カルシウム、テクネチウム、クロム、ガリウム、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、サマリウム、セレニウム、ナトリウム、タリウムおよびキセノンの同位体が挙げられる。
X線の供給源としては、金属標的、例えばタングステンまたはモリブデンまたは合金との電子線衝突、あるいは小型光源、例えばLynceanにより商業的に製造されるものが挙げられる。
紫外線のための供給源としては、重水素またはカドミウムランプが挙げられる。
赤外線のための供給源としては、サファイア、亜鉛またはセレン化合物ウィンドウセラミックランプを包含する。
マイクロ波のための供給源としては、クリプトン、スレビン型RF源、あるいは水素、酸素または窒素ガスを用いる原子線源が挙げられる。
種々のその他の装置、例えばフィールドイオン化源、静電イオン分離器、フィールドイオン化発生器、熱電子放出源、マイクロ波放電イオン源、再循環または静電加速器、動的直線型加速器、ファンデグラーフ加速器、および折り返し型タンデム加速器が、本明細書中に開示される方法に用いられ得る。このような装置は、例えば米国特許第7,931,784 B2号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。
C.電子衝撃
1.電子線
供給原料は、電子衝撃で処理されて、その構造を改変し、それによりその難分解性を低減し得る。このような処理は、例えば、供給原料の平均分子量を低減し、供給原料の結晶構造を変え、および/または供給原料の表面積および/または多孔度を増大する。
電子線による電子衝撃が一般的に好ましいが、それは、非常に高い処理量を提供するためであり、そして相対的低電圧/高出力電子線装置は、「セルフシールド」され、安全で効率的工程を提供するので、このような装置の使用が高価なコンクリート製丸天井型遮蔽の必要性を排除するためである。「セルフシールド」装置は遮蔽(例えば金属板遮蔽)を包含するが、それらは、コンクリート製丸天井の構築を必要とせず、資本支出を大きく低減し、そしてしばしば、高価な修正なしに現存製造設備の使用を可能にする。電子線加速器は、例えばIBA(Ion Beam Applications, Louvain−la−Neuve, Belgium)、Titan Corporation(San Diego, California, USA)およびNHV Corporation(Nippon High Voltage, Japan)から入手可能である。
電子衝撃は、10MeV未満、例えば7MeV未満、5MeV未満または2MeV未満、例えば約0.5〜1.5MeV、約0.8〜1.8MeV、約0.7〜1MeVまたは約1〜3MeVの公称エネルギーを有する電子線装置を用いて実施され得る。いくつかの実行において、公称エネルギーは約500〜800keVである。
電子線は、相対的に高い総ビーム出力(全加速ヘッドの併合ビーム出力、または多重加速器が用いられる場合、全加速器および全ヘッドの併合ビーム出力)、例えば少なくとも25kW、例えば少なくとも30、40、50、60、65、70、80、100、125または150kWを有し得る。いくつかの場合、出力は、500kW、750kWまたは1000kW以上という高さでさえある。いくつかの場合、電子線は、1200kW以上のビーム出力を有する。
この高い総ビーム出力は、通常は、多重加速ヘッドを利用することにより達成される。例えば電子線装置は、2、4またはそれより多い加速ヘッドを包含し得る。その各々が相対的低ビーム出力を有する多重ヘッドの使用は、当該材料中の過剰温度上昇を防止し、それにより当該材料の燃焼を防止し、さらにまた、材料の層の厚みを通して線量の均一性を増大する。
いくつかの実行においては、電子衝撃中に材料を冷却することが望ましい。例えば、当該材料は、例えば単軸押出機またはその他の搬送装置により搬送されている間、冷却され得る。
難分解性低減工程により必要とされるエネルギーを低減するために、できるだけ迅速に材料を処理することが望ましい。概して、処理は約0.25Mrad/秒より大きい、例えば約0.5、0.75、1、1.5、2、5、7、10、12、15より大きく、あるいは約20Mrad/秒より大きいことさえあり、例えば約0.25〜2Mrad/秒の線量率で実施される、ということが好ましい。材料の熱分解を回避するためには、線量率が高いほど、一般的に高ライン速度を要する。一実行において、加速器は、3MeV、50mAmpビーム流に設定され、約20mmの試料厚に関してはライン速度は24フィート/分である(例えば、0.5g/cm3の嵩密度を有する細砕トウモロコシ穂軸材料)。
いくつかの実施形態では、電子衝撃は、材料が少なくとも0.5Mrad、例えば少なくとも5、10、20、30または少なくとも40Mradの総線量を受けるまで実施される。いくつかの実施形態では、処理は、約0.5Mrad〜約150Mrad、約1Mrad〜約100Mrad、約2Mrad〜約75Mrad、10Mrad〜約50Mrad、例えば約5Mrad〜約50Mrad、約20Mrad〜約40Mrad、約10Mrad〜約35Mradまたは約25Mrad〜30Mradの線量を材料が受けるまで実施される。いくつかの実行において、25〜35Mradの総線量が選択され、理想的には2〜3秒間、例えば5Mrad/通過(pass)で適用され、各通過(pass)は、約1秒間適用される。7〜8Mrad/通過(pass)より多い線量の適用は、いくつかの場合、供給材料の熱分解を引き起こす。
上記のような多重ヘッドを用いて、当該物質は、多重通過(pass)で、例えば2通過(pass)を、10〜20Mrad/通過(pass)で、例えば12〜18Mrad/通過(pass)で、2〜3秒のクールダウンを挟んで、あるいは3通過(pass)を、7〜12Mrad/通過(pass)、例えば9〜11Mrad/通過(pass)で、処理され得る。上記のように、1つの高線量でというよりむしろ、いくつかの相対的に低い線量での材料の処理は、材料の過熱を防止し、さらにまた材料の厚み全体を通しての線量均一性を増大する傾向がある。いくつかの実行において、材料は各通過(pass)の最中または後に撹拌されるか、そうでなければ混合されて、次に、再び均一層にならした後、次の通過(pass)に進んで、処理均一性をさらに増強する。
いくつかの実施形態では、電子は、例えば光の速度の75%より速い速度に、例えば光の速度の85、90、95または99%より速い速度に加速される。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される任意の加工処理は、獲得された場合の乾燥を保持する、または、例えば熱および/または減圧を用いて乾燥されたリグノセルロース材料において生じる。例えば、いくつかの実施形態では、セルロースおよび/またはリグノセルロース材料は、25℃で50%の相対湿度で測定して、約5重量%未満の保持水分量を有する。
電子衝撃は、セルロースおよび/またはリグノセルロース材料が空気、酸素濃化空気に、または酸素それ自体にも曝露されるか、あるいは不活性ガス、例えば窒素、アルゴンまたはヘリウムによりおおわれる間、適用され得る。最大酸化が所望される場合、酸化環境、例えば空気または酸素が利用され、ビーム源からの距離が最適化されて、反応性ガス生成、例えばオゾンおよび/または窒素の酸化物を最大にする。
いくつかの実施形態では、2つ以上の電子供給源、例えば2つ以上のイオン化源が用いられる。例えば、試料は、任意の順序で、電子のビームで、その後、ガンマ線及び紫外線(約100nm〜約280nmの波長を有する)で処理され得る。いくつかの実施形態では、試料は3つのイオン化放射線源、例えば電子のビーム、ガンマ線およびエネルギー性UV光で処理される。バイオマスは、それが電子で衝撃を与えられ得る処理帯を通して搬送される。バイオマス材料床は、処理されている間、前記のように、相対的に均一の厚みを有する、というのが一般的に好ましい。
バイオマスの難分解性をより十分に低減し、および/またはバイオマスをさらに改質するために処理を反復することは有益であり得る。特に、工程パラメーターは、材料の難分解性によって、第一(例えば、第二、第三、第四またはそれ以上の)通過(pass)後に調整され得る。いくつかの実施形態では、バイオマスが上記のような種々の工程を通して多重回数搬送される循環系を含むコンベヤーが用いられ得る。いくつかの他の実施形態では、多重処理装置(例えば、電子線発生器)を用いて、バイオマスを多数(例えば、2、3、4またはそれ以上)回、処理する。さらに他の実施形態では、単一電子線発生器は、バイオマスの処理のために用いられ得る多重ビーム(例えば2、3、4またはそれ以上のビーム)の供給源であり得る。
バイオマス材料の分子/超分子構造を変えるに際して、および/または難分解性を低減するに際しての有効性は、用いられる電子エネルギーおよび適用される線量によって決まり、一方、曝露時間は出力および線量によって決まる。
いくつかの実施形態では、処理(任意の電子源または供給源の組合せを用いる)は、少なくとも約0.05Mrad、例えば少なくとも約0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175または200Mradの線量を当該材料が受容するまで、実施される。いくつかの実施形態では、処理は、0.1〜100Mrad、1〜200、5〜200、10〜200、5〜150、5〜100、5〜50、5〜40、10〜50、10〜75、15〜50、20〜35Mradの線量を受容するまで実施される。
いくつかの実施形態では、処理は、5.0〜1500.0キロrads/時、例えば10.0〜750.0キロrads/時または50.0〜350.0キロrads/時の線量率で実施される。他の実施形態では、処理は、10〜10000キロrads/時、100〜1000キロrad/時または500〜1000キロrads/時の線量率で実施される。
2.電子供給源
電子は、クーロン散乱、および電子の速度の変化により生成される制動放射線により相互作用する。電子は、ベータ崩壊を受ける放射性核、例えばヨウ素、セシウム、テクネチウムおよびイリジウムの同位体により生成され得る。代替的には、熱電子放出による電子供給源として、電子銃が用いられ、加速電位により加速され得る。電子銃は、電子を生成し、それらを大電位(例えば約500,000より大きい、約100万より大きい、約200万より大きい、約500万より大きい、約600万より大きい、約700万より大きい、約800万より大きい、約900万より大きい、または1000万ボルトより大きいことさえある)により加速し、そして次に、x‐y平面で機械的にそれらを走査するが、この場合、電子は、最初は管を下がってz方向に加速され、そしてフォイルウィンドウを通して引き出される。電子線を走査することは、走査ビームを通して搬送される材料、例えばバイオマスを照射する場合、照射表面を増大するために有用である。電子線の走査は、さらにまた、ウィンドウ上に均質に熱負荷を分配し、電子線による局所加熱のためのフォイルウィンドウ破裂を低減するのを助ける。ウィンドウフォイル破裂は、その後に必要な修復および電子銃の再開のために有意の休止時間の一因である。
種々のその他の照射装置、例えばフィールドイオン化源、静電イオン分離器、フィールドイオン化発生器、熱電子放出源、マイクロ波放電イオン源、再循環または静電加速器、動的直線型加速器、ファンデグラーフ加速器、および折り返し型タンデム加速器が、本明細書中に開示される方法に用いられ得る。このような装置は、例えば米国特許第7,931,784号(Medoff等;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。
電子のビームは、放射線源として用いられ得る。電子のビームは、高線量率(例えば1、5または10Mrad/秒でさえある)、高処理量、低汚染物質、および低閉じ込め設備という利点を有する。電子線は、高電気効率(例えば80%)も有し、他の放射線法に比して低いエネルギー使用量を可能にし、これが、より少量の使用エネルギーに対応して、低操作経費および低温室ガス放出に変え得る。電子は、例えば静電発生器、カスケード型発電機、変圧発電機、走査系を有する低エネルギー加速器、線形陰極を有する低エネルギー加速器、線形加速器およびパルス化加速器により生成され得る。
電子は、さらにまた、例えば鎖切断の機序により、バイオマス材料の分子構造における変化を引き起こす時点でより効率的であり得る。さらに、0.5〜10MeVのエネルギーを有する電子は、低密度物質、例えば本明細書中に記載されるバイオマス材料、例えば0.5g/cm3未満の嵩密度および0.3〜10cmの深度を有する材料を貫通し得る。イオン化放射線源としての電子は、例えば、約0.5インチ未満、例えば約0.4インチ未満、0.3インチ、0.25インチまたは約0.1インチ未満の、相対的に薄いパイル、材料の層または床に関して有用であり得る。いくつかの実施形態では、電子線の各電子のエネルギーは、約0.3MeV〜約2.0MeV(ミリオン電子ボルト)、例えば約0.5MeV〜約1.5MeVまたは約0.7MeV〜約1.25MeVである。物質の照射方法は、米国特許出願公告2012/0100577 A1(2011年10月18日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で考察されている。
電子線照射装置は、Ion Beam Applications(Louvain−la−Neuve,Belgium)、the Titan Corporation(San Diego,California,USA)およびNHV Corporation(Nippon High Voltage,Japan)から商業的に入手され得る。典型的電子エネルギーは、0.5MeV、1MeV、2MeV、4.5MeV、7.5MeVまたは10MeVであり得る。典型的電子線照射装置出力は、1KW、5KW、10KW、20KW、50KW、60KW、70KW、80KW、90KW、100KW、125KW、150KW、175KW、200KW、250KW、300KW、350KW、400KW、450KW、500KW、600KW、700KW、800KW、900KWであり、または1000KWでさえあり得る。
電子線照射装置出力仕様書を考察するに際しての相殺条件としては、運転費用、資本費、減価償却および装置設置面積が挙げられる。電子線照射の曝露線量レベルを考察するに際しての相殺条件は、エネルギー費用、ならびに環境、安全性および健康(ESH)問題である。典型的には、発電機は、特に工程において生成されるX線からの産生のために、例えば鉛またはコンクリートの丸天井中に収容される。電子エネルギーを考察するに際しての相殺条件としては、エネルギー費用が挙げられる。
電子線照射装置は、固定ビームまたは走査ビームを生じ得る。走査ビームは、これが大型固定ビーム幅に有効に取って代わる場合、大きい走査スイープの長さおよび高さ走査速度に関して有益であり得る。さらに、0.5m、1m、2mまたはそれ以上の利用可能なスイープ幅が利用可能である。走査ビームは、より大きい走査幅、ならびに局所加熱およびウィンドウの不全の可能性低減のため、本明細書中に記載されるほとんどの実施形態において選択される。
3.電子銃‐ウィンドウ
電子銃で処理される場合、バイオマスは、一般的に金属フォイル(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウムおよび/またはケイ素)であるウィンドウ下を通過するときに照射される。ウィンドウは、ガスに対して不透過性であり、さらに電子は、ガスに不透過性である一方で低抵抗性で通過し得る。フォイルウィンドウは、好ましくは約10〜100ミクロン厚(例えば、ウィンドウは、10ミクロン厚、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100ミクロン厚であり得る)である。薄いウィンドウは、電子ビームがそれらを通過すると、低エネルギーを消散させ(例えば、出力=I2Rであるため、抵抗加熱は少ない)、これは、できるだけ多くのエネルギーを伴って標的材料(例えばバイオマス)を照射することに関して、有益である。薄いウィンドウは、機械的強度がより低く、役に立たないと思われ、このために費用が嵩み、設備のための休止時間がより多くなる。
フォイルウィンドウは、ウィンドウ全体に空気または不活性ガスを通すことにより冷却され得る。封入物を用いる場合、封入物にウィンドウを載せて、封入搬送系の外側の側面からウィンドウを冷却して、照射されている材料の任意の微粒子を高く飛ばさないようにする。
当該系は、1つ以上のウィンドウ、例えば第一ウィンドウおよび第二ウィンドウを包含し得る。2つのウィンドウは、パージ用ガスおよび/または冷却用ガスを含有するために封入物を形成し得る。第二ウィンドウは、「犠牲」ウィンドウとしての機能を供して、第一ウィンドウを保護し得る。電子線装置は、電子供給源と第一ウィンドウとの間に真空を含み、第一ウィンドウの破損は、バイオマス材料を電子線装置中に吸い取らせて、損害、修復費用および設備休止時間を引き起こす。
ウィンドウは、ポリマー、セラミック、被覆セラミック、複合材料または被覆複合材料であり得る。第二ウィンドウは、例えばポリマーまたは被覆ポリマーの連続シート/ロールであって、これは、連続的にまたは間隔を開けて進行して、清浄なまたは新規の区分を提供して、第二ウィンドウとして役立つ。
第一ウィンドウおよび第二ウィンドウは、同一材料から、または異なる材料から作られ得る。例えば、第一ウィンドウフォイルは、チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、プラチナ、イリジウム、あるいはこれらのいずれかの合金または混合物から作られ得る。第二シングル型ウィンドウフォイルは、チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、プラチナ、イリジウム、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素、あるいはこれらのいずれかの合金または混合物から作られ得る。第一および第二ウィンドウは、同一材料、材料の混合物、または合金、あるいは異なる材料、材料の混合物または合金のものであり得る。ウィンドウの一方または両方が、同一または異なる材料、材料の混合物、または合金の薄板であり得る。
ウィンドウの1つ以上が、その面を横断する支持構造を有し得る。「シングル型ウィンドウ」という用語は、本明細書中で用いる場合、その面を横断する支持構造を有さないウィンドウを意味する。「ダブル型ウィンドウ」という用語は、本明細書中で用いる場合、その面を横断する支持構造を有するウィンドウを意味し、この場合、支持構造物はウィンドウの表面を2つの部分に有効に分ける。このようなダブル型ウィンドウは、米国特許第5,877,582号(Nishimura)に示されている。付加的支持構造も用いられ得る。
第一ウィンドウフォイルおよび第二ウィンドウフォイルはともに、低原子番号元素から作られ得る。代替的には、第一ウィンドウフォイルは、高原子番号元素から作られ、第二ウィンドウフォイルは低原子番号元素から作られ得る。
本明細書中に記載される実施形態は、保護機能を有し得る、または放射線曝露を修正するために具組まれ得る付加的ウィンドウの含入を排除しない。
ウィンドウは、凹面、平面または凸面であり得る。ウィンドウは、冷却流体の方向から離れた方向で、わずかに凸面である、というのが一般的に好ましい。この湾曲の程度は、ウィンドウの機械的強度を改良し、容認温度レベルを増大し、ならびに冷却流体のためのより良好な流路を可能にする。走査隆起部の側では、湾曲は、真空(例えば約10−5〜10−10torr、約10−6〜10−9torr、約10−7〜10−8torr)のために、真空方向に向かう(例えば、冷却流体から離れて)傾向がある。
ウィンドウの冷却および/またはウィンドウの凹面形状は、抵抗加熱が上記のように電流の二乗におよそ関連しているため、例えば少なくとも約100mA電子銃電流(例えば、少なくとも約110mA、少なくとも約120mA、少なくとも約130mA、少なくとも約140mA、少なくとも約150mA、少なくとも約200mA、少なくとも約500mA、少なくとも約1000mA)での高ビーム電流に関して特に重要になる。ウィンドウは、任意の形状であり得るが、しかし典型的には、ほぼ長方形で、高アスペクト比の幅対長さを有する(この場合、幅方向は、搬送方向と垂直の搬送系の幅と同一で、長さは搬送方向と同一である)。搬送材料までのウィンドウの距離は、約10cm未満(例えば約5cm未満)そして約0.1cmより大きい(例えば、約1cmより大きく、約2cmより大きく、約3cmより大きく、約4cmより大きい)。異なる且つ種々の形状を有し、異なるように改造された多重ウィンドウ(例えば、3、4、5、6またはそれ以上)を用いることも可能である。例えば、第一または第二フォイルウィンドウは、1、2またはそれ以上のウィンドウを同一平面に包含し、あるいは層化され得るし、1つ以上の指示構造物を包含し得る。例えば、支持構造物は、同一平面でのそしてウィンドウに接触する棒または格子であり得る。
いくつかの実施形態では、封入搬送系上に載せられるウィンドウは、走査電子線のための2つのフォイルウィンドウ抽出系の第二フォイルウィンドウである。他の実施形態では、バイオマス材料を搬送するための封入物は存在せず、例えばバイオマスは、照射装置下で空気中で搬送される。
走査電子線のための2‐フォイルウィンドウ抽出系は、2つのウィンドウ、すなわち第一および第二ウィンドウを有する。一般的に、第一ウィンドウは、電子供給源に最も近く、そしてウィンドウのその面上の真空のため、走査隆起部の上部に対して凹面である。第二フォイルウィンドウは、より平らである傾向があるが、しかし同一方向で凹面でもある。この湾曲は、ウィンドウに構造的支持を提供するのに役立ち、平坦ウィンドウより機械的に強い。代替的には、ウィンドウは、平坦であるかまたは任意の方向に湾曲され得る。ウィンドウフォイルは、典型的には、少なくとも約10ミクロン厚〜約30ミクロン厚(例えば約15〜40ミクロン、約20〜30ミクロン、約5〜30ミクロン、約8〜25ミクロン、約10〜20μ、約20〜25ミクロン厚)である。第一ウィンドウフォイルの表面と第二ウィンドウフォイルの裏面との間の距離は、好ましくは30cm未満、さらに好ましくは20cm未満、最も好ましくは10cm未満である。側壁は、第一および第二ウィンドウを組合せて、内部空間を限定し得る。電子は、両ウィンドウを通して移動して、下に配置された材料(例えばバイオマス)に衝突し、貫通する。第一入口は、一側壁上に含まれ、冷却流体(例えば液体または気体)を第一ウィンドウフォイルに衝突させるよう整列され得る。冷却流体は、ウィンドウに沿って進み、次いで離れた(向かい側の)壁にぶつかって逆方向に進み、一般的に、内部空間の中央を通って戻って流れて、次いで、排出口および/または出口を通って外に出る。第二入口は、側壁上に含まれ、同様に第二ウィンドウフォイルに冷却流体を衝突させるよう整列され得る。任意に、さらに多くの入口(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)が、冷却流体を第一および第二ウィンドウ表面に運び、そして多重出口(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)が冷却流体を内部空間から出させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の側壁は、ウィンドウに構造的支持を提供しながら、それを通って冷却ガスが流動し得る多数の開口を有するメッシュ、スクリーンまたはゲートであり得る。
このようなウィンドウ系は、米国特許仮出願61/711,801(Medoff等;2012年10月10日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。このような系のための種々の立体配置が、当業者に既知である。
4.電子銃‐ウィンドウ間隔
ウィンドウ間の大きな間隔は、例えば上記の理由のために有益であり得るが、しかし、大きな間隔はいくつかの欠点を保有する。ウィンドウ間の大きい間隔の一欠点は、電子線が大容積の冷却用ガスを通過し、これが、エネルギー損失を引き起こし得る、という点である。例えば、1MeVビームは約0.2MeV/Mのエネルギーを失い、5MeVビームは約0.23MeV/Mを失い、そして10MeVビームは約0.26MeV/Mを失う。したがって、1cmの空気を通過する1 MeVビームの電子に関しては、当該ビームはそのエネルギーの0.2%を失うだけであり、10cmの空気では、ビームはそのエネルギーの2%を失い、20cmでは、これはそのエネルギーの4%であるが、一方、50cmでは、エネルギー損失は10%である。電子は、さらにまた、第二フォイルウィンドウからバイ付加的空気を通してオマスに移動しなければならないため、ウィンドウ間のギャップは注意深く制御されなければならない。好ましくは、エネルギー損失は、約20%未満(例えば、10%未満、5%未満、または1%未満でさえある)である。したがって、エネルギー損失を減少させるには、ウィンドウ間の間隔を最小限にするのが有益である。上記のような冷却のための、そしてエネルギー損失を低減するためのウィンドウ間(例えば、電子ウィンドウフォイルの表面側と第二ウィンドウフォイルの直面する面との間)の最適間隔(例えば、平均間隔)は、約2〜20cm(例えば、約3〜20cm、約4〜20cm、約5〜20cm、約6〜20cm、約7〜20cm、約8〜20cm、約3〜15cm、約4〜15cm、約5〜15cm、約6〜15cm、約7〜15cm、約8〜15cm、約3〜10cm、約4〜10cm、約5〜10cm、約6〜10cm、約7〜10cm、約8〜10cm)である。
それらの必要性に合わせるためのウィンドウ間隔の利点および欠点を、当業者は釣り合わせる。
いくつかの実施形態では、ウィンドウのための支持構造物は、ウィンドウを横断して用いられ得るが、しかし、これらの種類の構造物にぶつかる場合の電子線に対して生じ得るエネルギー損失のため、これらの型の構造物は、あまり選択されない。
ウィンドウ間の大きい間隔は、それがウィンドウ間のより大きい容積を限定し、非常に効率的な冷却のための大容積の冷却用ガスの迅速な流動を可能にするため、有益であり得る。入口および出口は、直径1mm〜120mm間に存在する(例えば約2mm、約5mm、約10mm、約20mm、約50mm、または約100mmでさえある)。冷却用ガス流は、約500〜2500CFM(例えば、約600〜2500CFM、約700〜2500CFM、約800〜2500CFM、約1000〜2500CFM、約600〜2000CFM、約700〜2000CFM、約800〜2000CFM、約1000〜2000CFM、約600〜1500CFM、約700〜1500CFM、約800〜1500CFM、約1000〜1500CFM)であり得る。いくつかの実施形態では、約50%のガスが、約60秒以下当たりで(例えば、約50秒以下で、約30秒以下で、約10秒以下で、約1秒以下で)交換される。
5.電子銃‐冷却およびパージ用ガス
2つのフォイルウィンドウ抽出系における冷却用ガスは、パージ用ガスまたは混合物、例えば空気または純粋ガスであり得る。一実施形態では、ガスは不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムおよび/または二酸化炭素である。電子線へのエネルギー損失は最小限であるため、液体よりむしろガスを用いるのが好ましい。ウィンドウに衝突する前に一列に予備混合または混合された、あるいはウィンドウ間の空間中の、純粋ガスの混合物も用いられ得る。冷却用ガスは、例えば熱交換系(例えば、チラー)を用いることにより、および/または凝縮ガス(例えば、液体窒素、液体ヘリウム)からの蒸発を用いることにより、冷却され得る。
封入物を用いる場合、低減酸素レベルで大気を保持するために、封入コンベヤーも不活性ガスでパージされ得る。酸素レベルを低く保持することは、いくつかの場合にはその反応性および毒性のために望ましくないオゾンの生成を回避する。例えば、酸素は、約20%未満(例えば、約10%未満、約1%未満、約0.1%未満、約0.01%未満、または約0.001%未満の酸素)であり得る。パージは、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムまたは二酸化炭素(これらに限定されない)を用いて実行され得る。これは、例えば、液体供給源(例えば、液体窒素またはヘリウム)の蒸発から供給される、in situで空気から生成または分離される、あるいはタンクから供給され得る。不活性ガスは、再循環され、任意の残留酸素が、触媒、例えばどう触媒床を用いて除去される。代替的には、パージ、再循環および酸素除去の組合せが実行されて、酸素レベルを低く保持し得る。
封入物は、バイオマスと反応し得る反応性ガスを用いてもパージされ得る。これは、照射工程の前、最中または後に実行され得る。反応性ガスは、亜酸化窒素、アンモニア、酸素、オゾン、炭化水素、芳香族化合物、アミド、過酸化物、アジ化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、ホスフィド、ホスフィン、アルシン、硫化物、チオール、ボランおよび/または水素化物であり得るが、これらに限定されない。反応性ガスは、例えば、照射により(例えば、電子線、UV照射、マイクロ波照射、加熱、IR放射線)、封入物中で活性化され、したがって、それはバイオマスと反応する。バイオマスそれ自体は、例えば照射により活性化され得る。好ましくは、バイオマスは、電子線により活性化されて、ラジカルを生じ、これは次に、例えばラジカルカップリングまたはクエンチングにより、活性化または不活性化反応性ガスと反応する。
封入コンベヤーに供給されるパージ用ガスは、さらにまた、例えば約25°Cより低く、約0°Cより低く、約−40°Cより低く、約−80°Cより低く、約−120°Cより低く冷却され得る。例えば、当該ガスは、圧縮ガス、例えば液体窒素、から蒸発されるか、または固体二酸化炭素から昇華され得る。代替的例として、当該ガスは、チラーにより冷却され得るし、あるいはコンベヤーの一部または全部が、冷却され得る。
6.電子銃‐ビーム遮断
いくつかの実施形態では、当該系および方法は、ビーム遮断(例えばシャッター)を包含する。例えば、ビーム遮断は、電子線装置を停止することなく、材料の照射を迅速に停止するかまたは低減するために用いられ得る。代替的には、ビーム遮断は、電子線を始動しながら用いられ、例えばビーム遮断は、所望レベルのビーム流が達成されるまで、電子線を停止し得る。ビーム遮断は、第一フォイルウィンドウおよび第二フォイルウィンドウ間に配置され得る。例えば、ビーム遮断は、それが可動性であるよう、すなわちそれがビーム経路の内外に移動され得るよう、設置され得る。例えば照射の線量を制御するためには、ビームの部分的適用範囲でさえ用いられ得る。ビーム遮断は、床に、バイオマスのためのコンベヤーに、壁に、放射線装置(例えば、走査隆起部に)に、または任意の構造的支持に設置され得る。好ましくは、ビームがビーム遮断により有効に制御され得るよう、ビーム遮断は走査隆起部に関連して固定される。ビーム遮断は、ヒンジ、レール、ホイール、スロット、またはその他の手段を組み入れて、その操作によりビームを内外に動かせるようにする。ビーム遮断は、電子の少なくとも5%を、例えば電子の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を、または約100%でさえ停止する任意の材料から作られ得る。
ビーム遮断は、金属、例えばステンレススチール、鉛、鉄、モリブデン、銀、金、チタン、アルミニウム、スズまたはこれらの合金、あるいはこのような金属で作られる薄板(層化材料)(例えば、姻族被覆セラミック、金属被覆ポリマー、金属被覆複合材料、多層化金属材料)(これらに限定されない)から作られ得る。
ビーム遮断は、例えば冷却流体、例えば水溶液またはガスを用いて冷却され得る。ビーム遮断は、部分的にまたは完全に中空性であり、例えば空洞を有する。ビーム遮断の内部空間は、流体およびガスを冷却するために用いられ得る。ビーム遮断は、任意の形状、例えば平坦、湾曲、球形、卵形、正方形、長方形、斜面および楔形形状を有し得る。
ビーム遮断は、多少の電子を通すための穿孔を有し、したがって、ウィンドウの全領域を横断する、またはウィンドウの特定領域における放射線のレベルを制御(例えば、低減)する。ビーム遮断は、例えば繊維またはワイヤから形成されるメッシュであり得る。多重ビーム遮断は、照射を制御するために、一緒にまたは独立して用いられ得る。ビーム遮断は、例えば無線信号により遠隔制御され得るし、または所在位置の内外にビームを動かすためにモーターにしっかり有線接続され得る。
D.バイオマス材料の処理 ‐ 音波処理、熱分解、酸化、水蒸気爆発
所望により、バイオマス材料の難分解性をさらに低減するために、他の処理に加えて、またはその代わりに、1つ以上の音波処理、熱分解、酸化または水蒸気爆発法が用いられ得る。これらの方法は、別の単数または複数の処理の前、最中および/または後に適用され得る。これらの方法は、米国特許第7,932,065号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に詳細に記載されている。
II.バイオマス材料
本明細書中で用いる場合、「バイオマス材料」という用語は、リグノセルロース、セルロース、デンプンおよび微生物材料を包含する。
リグノセルロース材料としては、木材、パーティクルボード、林業系廃棄物(例えば、おがくず、アスペン材、木材チップ)、草(例えば、スイッチグラス、ススキ、ミクリ、クサヨシ)、穀粒残渣(例えば、コメ籾殻、オートムギ籾殻、コムギ籾殻、オオムギ籾殻)、農業廃棄物(例えば、貯蔵牧草、キャノーラ藁、コムギ藁、オオムギ藁、オートムギ藁、コメ藁、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザルアサ、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ飼葉、ダイズ飼葉、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココヤシ表面毛)、糖加工残渣(例えば、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス)、藻類、海藻、堆肥、下水汚物、およびこれらのいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの場合、リグノセルロース材料はトウモロコシ穂軸を包含する。粉砕または破砕トウモロコシ穂軸は、照射のために相対的に均一な厚みで広げられ、照射後、さらなる加工処理のために媒質中に分散するのが容易になる。収穫および収集を助長するために、いくつかの場合には、トウモロコシ植物全体、例えばトウモロコシ茎、トウモロコシ穀粒、そしていくつかの場合には、植物体の根系でも用いられ得る。
エタノール製造に関しては、トウモロコシ穂軸あるいは有意量のトウモロコシ穂軸を含有するセルロースまたはリグノセルロース材料の発酵中は、付加的栄養成分(窒素源、例えば尿素またはアンモニア以外)を必要としない、というのが有益である。他の生成物は、微量金属、ビタミンまたは緩衝能の付加を必要とし得るが、しかしこれらの調整は、十分に当業者の知識の範囲内である。
トウモロコシ穂軸は、細砕の前および後に、搬送および分散するのも容易であり、他のセルロースまたはリグノセルロース材料、例えば干し草および草より空気中で爆発性混合物を生じ難い。
セルロース材料としては、例えば紙、紙製品、紙廃棄物、紙パルプ、着色紙、上塗り紙、被覆紙、充填紙、雑誌、印刷物(例えば、書物、カタログ、マニュアル、ラベル、カレンダー、挨拶状、小冊子、内容見本、新聞印刷用紙)、印刷用紙、ポリコーティング紙、硬い厚紙、ボール紙、板紙、高α‐セルロース含量を有する材料、例えば綿、ならびにこれらのいずれかの混合物が挙げられる。例えば、米国特許出願13/396,365(“Magazine Feedstocks”;Medoff等;2012年2月14日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されたような紙製品。
セルロース材料は、脱リグニン化されたリグノセルロース材料も含み得る。
デンプン材料としては、デンプンそれ自体、例えばコーンスターチ、コムギデンプン、ジャガイモデンプンまたはコメデンプン、デンプンの誘導体、あるいは食料品または穀物のようなデンプンを含む材料が挙げられる。例えば、デンプン材料は、アラカチャ、ソバ、バナナ、オオムギ、キャッサバ、葛、アンデスカタバミ、サゴヤシ、モロコシ、普通の家庭用ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤムイモ、あるいは1つ以上の豆類、例えばソラマメ、レンズマメまたはエンドウであり得る。任意の2つ以上のデンプン材料の配合物も、デンプン材料である。デンプン、セルロースおよび/またはリグノセルロース材料の混合物も、用いられ得る。例えばバイオマスは、全植物、植物の一部分、または植物の異なる部分、例えばコムギ植物体、綿植物体、トウモロコシ植物体、コメ植物体または樹木であり得る。デンプン材料は、本明細書中に記載される方法のいずれかにより処理され得る。
微生物材料としては、任意の天然または遺伝子修飾微生物、または炭水化物(例えばセルロース)の供給源を含有するかまたは提供し得る生物体、例えば原生生物、例えば動物原生生物(例えば、鞭毛虫類、アメーバ類、繊毛虫類および胞子虫類のような原生動物)および植物原生生物(例えば、藻類、例えばアルベオラータ類、クロロラクニオン藻類、クリプトモナド類、ミドリムシ類、灰色藻類、ハプト藻類、紅藻類、黄金色藻類および緑藻類)が挙げられるが、これらに限定されない。その他の例としては、海藻、プランクトン(例えば、マクロプランクトン、メソプランクトン、ミクロプランクトン、ナノプランクトン、ピコプランクトンおよびフェムトプランクトン)、植物プランクトン、細菌(例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌および好極限性細菌)、酵母および/またはこれらの混合物が挙げられる。いくつかの場合には、微生物バイオマスは、天然供給源から、例えば海、湖、水本体、例えば塩水または真水から、あるいは陸上で得られる。代替的にはまたはさらに、微生物バイオマスは、培養系、例えば大規模乾燥および湿潤培養および発酵系から得られる。
バイオマス材料は、腐肉および同様の材料供給源も包含し得る。
他の実施形態では、バイオマス材料、例えばセルロース、デンプンおよびリグノセルロース供給材料は、野生型変種に関して修飾されたトランスジェニック微生物および植物から獲得され得る。このような修飾は、例えば、植物における所望の形質をえるための選択および育種の反復ステップによるものであり得る。さらに、植物は、野生型変種に関して除去され、修飾され、サイレンス化され、および/または付加される遺伝物質を有し得た。例えば遺伝子修飾植物は、組換えDNA法(この場合、遺伝子修飾は、親変種からの特定遺伝子を導入するかまたは修飾することを包含する)により、あるいは例えば、トランスジェニック育種(この場合、単数または複数の特定遺伝子が異なる種の植物および/または細菌からある植物に導入される)を用いることにより、産生され得る。遺伝子変異を作成するための別の方法は、突然変異育種による(この場合、新規対立遺伝子は、内因性遺伝子から人工的に作成される)。人工遺伝子は、種々の方法により、例えば化学的突然変異誘発因子(例えば、アルキル化剤、エポキシ度、アルカロイド、過酸化物、ホルムアルデヒドを使用する)、照射(例えば、X線、ガンマ線、中性子、ベータ粒子、アルファ粒子、陽子、重水素、UV線)および温度ショックまたはその他の外的ストレス、ならびにその後の選択技法により、作成され得る。修飾遺伝子を提供するその他の方法は、エラープローンPCRおよびDNAシャッフリングとその後の所望の修飾DNAの所望の植物または種子への挿入による。種子または植物における所望の遺伝子変異を導入する方法としては、例えば、細菌キャリア、微粒子銃、リン酸カルシウム沈降、電気穿孔、遺伝子スプライシング、遺伝子サイレンシング、リポフェクション、マイクロインジェクションおよびウィルスキャリアが挙げられる。付加的遺伝子修飾材料は、米国特許出願13/396,369(2012年2月14日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
本明細書中に記載される方法のいずれかが、本明細書中に記載される任意のバイオマス材料の混合物で実行され得る。
III.バイオマス材料調製 ‐ 機械的処理
バイオマスは、乾燥形態であり、例えば約35%未満(例えば、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、あるいは約1%未満でさえある)の含水量を有する。バイオマスは、さらにまた、湿潤状態で、例えば湿潤固体、スラリーまたは懸濁液として送達され、少なくとも約10重量%(例えば、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%)固体を有し得る。
本明細書中に開示される工程は、低嵩密度材料、例えば約0.75g/cm、例えば約0.7未満、0.65、0.60、0.50、0.35、0.25、0.20、0.15、0.10、0.05またはそれ未満、例えば約0.025g/cm3未満の嵩密度を有するセルロースまたはリグノセルロース供給材料を利用し得る。嵩密度は、ASTM D1895Bを用いて確定される。要するに、当該方法は、既知容積のメスシリンダーに試料を充填すること、そして思慮の重量を得ることを包含する。嵩密度は、試料の重量(グラム)をシリンダーの既知容積(立方センチメートル)で割ることにより算定される。所望により、例えば米国特許第7,971,809号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された方法により、低嵩密度材料は密度を上げられ得る。
いくつかの場合、前処理工程は、バイオマス材料のスクリーニングを包含する。スクリーニングは、メッシュを通して、または所望の開口サイズ、例えば約6.35mm(1/4インチ、0.25インチ)未満、(例えば、約3.18mm(1/8インチ、0.125インチ)未満、約1.59mm(1/16インチ、0.0625インチ)未満を有するメッシュまたは穿孔プレートにより、約0.79mm(1/32インチ、0.03125インチ)、例えば約0.51mm(1/50インチ、0.02000インチ)未満、約0.40mm(1/64インチ、0.015625インチ)未満、約0.23mm(0.009インチ)未満、約0.20mm(1/128インチ、0.0078125インチ)未満、約0.18mm(0.007インチ)未満、約0.13mm(0.005インチ)未満、または約0.10mm(1/256インチ、0.00390625インチ)未満でさえある)である。一形状では、所望のバイオマスは、穿孔またはスクリーンを通して落下し、したがって、穿孔またはスクリーンより大きいバイオマスは照射されない。これらの大型材料は、例えば細砕により再加工処理され得るし、あるいはそれらは、単に加工処理から除去され得る。別の形状では、穿孔より大きい材料が照射され、より小さい材料はスクリーニング工程により除去されるか、または再循環される。この種類の形状では、コンベヤーそれ自体(例えばコンベヤーの一部分)が穴を開けられるか、またはメッシュで作られ得る。例えば、特定の一実施形態では、バイオマス材料は湿潤性であり得るし、照射前に、穿孔またはメッシュがバイオマスから水を排出できる。
材料のスクリーニングは、手動方法により、例えば望ましくない材料を除去するオペレーターまたはメカノイド(例えば、色、反射性またはその他のセンサーを装備したロボット)によりなされ得る。スクリーニングは、磁気スクリーニングによってもなされ得るが、この場合、時期は搬送材料近くに配置され、磁性材料は磁気的に除去される。
任意の前処理加工は、材料を加熱することを包含し得る。例えば、コンベヤーの一部分は、加熱帯を通して送られ得る。加熱帯は、例えばIR放射線、マイクロ波、燃焼(例えば、ガス、石炭、油、バイオマス)、抵抗加熱および/または誘導コイルにより、作成され得る。加熱は、少なくとも一側面から、または1つより多い側面から適用され、転属的または定期的であり、そして材料の一部分だけ、または材料全体に適用され得る。例えば、搬送溝の一部分は、加熱外被の使用により加熱され得る。加熱は、例えば材料を乾燥するという目的のためであり得る。材料を乾燥するという場合、これは、それが搬送されるものである場合、バイオマスの上の、および/または通した、ガス(例えば空気、酸素、窒素、He、CO2、アルゴン)の移動により、加熱を伴っても伴わなくても、助長され得る。
任意に、前処理加工は、材料を冷却することを包含し得る。材料の冷却は、米国特許第7,900,857号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。例えば、冷却は、冷却用流体、例えば水(例えば、グリセロールを伴う)または窒素(例えば、液体窒素)を搬送溝の底に供給することによりなされ得る。代替的には、冷却用ガス、例えば冷却窒素は、バイオマス材料の上に、または搬送系の下に吹き付けられ得る。
別の任意の前処理加工方法は、バイオマスに材料を付加することを包含し得る。付加的材料は、例えば、搬送される場合、バイオマス上に材料を浴びせること、撒き散らすこと、および/または注ぐことにより、付加され得る。付加され得る材料としては、米国特許出願公告2010/0105119 A1(2009年10月26日出願)および米国特許出願公告2010/0159569 A1(2009年12月16日出願)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、例えば金属、セラミックおよび/またはイオンが挙げられる。付加され得る任意の材料としては、酸および塩基が挙げられる。付加され得る他の材料は、酸化剤(例えば、過酸化物、塩素酸塩)、ポリマー、重合可能単量体(例えば、不飽和結合を含有する)、水、触媒、酵素および/または生物体である。材料は、例えば純粋形態で、溶媒(例えば水または有機溶媒)中の溶液として、および/または溶液として付加され得る。いくつかの場合、溶媒は揮発性であり、例えば前記のようなガスを加熱および/または煮沸することにより蒸発させられ得る。付加材料は、バイオマス上の均質コーチングを形成し得るし、あるいは異なる構成成分(例えばバイオマスおよび付加材料)の均質混合物であり得る。付加材料は、照射の効率を増大し、照射を減衰し、または照射の効果を変える(例えば電子線からX線または熱に)ことにより、その後の照射ステップを調整し得る。当該方法は、照射に影響を及ぼし得ないが、しかしさらなる下流加工処理のために有用であり得る。付加材料は、例えば塵埃レベルを低下させることにより、材料を搬送するのに役立ち得る。
バイオマスは、ベルトコンベヤー、空気コンベヤー、スクリューコンベヤー、ホッパー、パイプにより、手動で、またはこれらの組合せにより、コンベヤーに送達され得る。バイオマスは、例えば、これらの方法のいずれかにより、コンベヤー上に滴下され、注がれ、および/または配置され得る。いくつかの実施形態では、材料は、封入材料分配系を用いてコンベヤーに送達されて、低酸素大気を保持し、および/または塵埃および細粒を制御するのに役立つ。飛ばされたり空気懸濁されたバイオマスの微粒および塵埃は、爆発の危険を生じたり、電子銃のウィンドウフォイルを損害し得るため(このような装置が材料を処理するために用いられる場合)、望ましくない。
材料は、約0.0312〜5インチ(例えば、約0.0625〜2.000インチ、約0.125〜1インチ、約0.125〜0.5インチ、約0.3〜0.9インチ、約0.2〜0.5インチ、約0.25〜1.0インチ、約0.25〜0.5インチ、0.100+/−0.025インチ、0.150+/−0.025インチ、0.200+/−0.025インチ、0.250+/−0.025インチ、0.300+/−0.025インチ、0.350+/−0.025インチ、0.400+/−0.025インチ、0.450+/−0.025インチ、0.500+/−0.025インチ、0.550+/−0.025インチ、0.600+/−0.025インチ、0.700+/−0.025インチ、0.750+/−0.025インチ、0.800+/−0.025インチ、0.850+/−0.025インチ、0.900+/−0.025インチ、0.900+/−0.025インチの均一厚を形成するために、均一化され得る。
一般的に、電子銃を介して最大処理量に、できるだけ迅速に材料を搬送するのが好ましい。例えば材料は、少なくとも1ft/分、例えば少なくとも2ft/分、少なくとも3ft/分、少なくとも4ft/分、少なくとも5ft/分、少なくとも10ft/分、少なくとも15ft/分、20、25、30、35、40、45、50ft/分の速度で搬送され得る。搬送速度はビーム電流に関連しており、例えば、1/4インチ厚バイオマスに関して、100mAでは、コンベヤーは約20ft/分移動して、有用な照射投与量を提供し、50mAでは、コンベヤーは約10ft/分移動して、ほぼ同一の照射投与量を提供し得る。
バイオマス材料が放射線帯を通って搬送された後、任意の後処理加工が実行され得る。任意の後処理加工は、例えば、前照射加工処理に関して記載した工程であり得る。例えばバイオマスは、スクリーニングされ、加熱され、冷却され、および/または添加物と併合され得る。後照射に独自に、ラジカルのクエンチング、例えば圧力、熱および/またはラジカル掃去剤の付加を用いる流体またはガス(例えば、酸素、亜酸化窒素、アンモニア、液体)の付加によるラジカルのクエンチングが起こり得る。例えばバイオマスは、封入コンベヤーの外側に搬送されて、ガス(例えば酸素)に曝露され、ここでそれは区園地され、カルボキシル化基を生成し得る。一実施形態では、バイオマスは、照射中に反応性ガスまたは流体に曝露される。照射されたバイオマスのクエンチングは、米国特許第8,083,906号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
所望により、バイオマス材料の難分解性をさらに低減するために、照射のほかに、1つ以上の機械的処理が用いられ得る。これらの工程は、照射の前、最中および/または後に適用され得る。
いくつかの場合、機械的処理は、受容時の供給原料の初期調製、例えば細砕による、例えば切断し、磨り潰し、剪断し、粉々にし、または切り刻むことによる、材料のサイズ低減を包含し得る。例えば、いくつかの場合、剪断または細断により、目の粗い供給原料(例えば、リサイクル紙、デンプン材料またはスイッチグラス)が調製される。機械的処理は、バイオマス材料の嵩密度を低減し、バイオマス材料の表面積を増大し、および/またはバイオマス材料の1つ以上の寸法を減少する。
代替的には、またはさらに、供給材料は、先ず、他の物理的処理方法、例えば化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発のうちの1つ以上により物理的に処理され得る。この一連の方法は、他の処理、例えば照射または熱分解のうちの1つ以上により処理される材料がより脆くなる傾向があり、したがって、機械的処理により材料の構造をさらに変えることが容易であり得るため、有益であり得る。例えば供給材料は、本明細書中に記載されるようにコンベヤーを用いて放射線をイオン化することにより搬送されて、次に機械的に処理され得る。化学的処理は、リグニンのうちのいくつかまたはすべてを除去し(例えば化学的パルプ化)、そして部分的にまたは完全に材料を加水分解し得る。当該方法は、前加水分解化材料に関しても用いられ得る。当該方法は、前加水分解されていない材料に関しても用いられ得る。当該方法は、例えば約50%以上の非加水分解化材料、約60%以上の非加水分解化材料、約70%以上の非加水分解化材料、約80%以上の非加水分解化材料を伴い、90%以上でさえある非加水分解化材料を有する加水分解化および非加水分解化材料の混合物に関して、用いられ得る。
加工処理の最初および/または後期に実施され得るサイズ低減のほかに、機械的処理は、バイオマス材料を「開口し」、「圧迫し」、分断するかまたは打ち砕き、当該材料のセルロースを、物理的処理中の鎖切断および/または結晶構造の崩壊に対してより感受性にするためにも、有益である。
バイオマス材料を機械的に処理する方法としては、例えば粉砕または磨り潰しが挙げられる。粉砕は、例えばハンマーミル、ボールミル、コロイドミル、コニカルまたはコーンミル、ディスクミル、エッジミル、ウィリーミル、グリストミルまたはその他のミルを用いて実施され得る。磨り潰しは、例えば切断/衝撃型グラインダーを用いて実施され得る。いくつかの例示的グラインダーとしては、石材用グラインダー、ピングラインダー、コーヒーグラインダーおよびブーア(burr)グラインダーが挙げられる。磨り潰しまたは粉砕は、例えば、ピンミルの場合のように、往復運動ピンまたは他の要素により、提供され得る。その他の機械的処理方法としては、機械的切り裂きまたは引き裂き、繊維に圧力を適用する他の方法、および空気磨滅粉砕が挙げられる。適切な機械的処理はさらに、以前の加工処理ステップにより開始された材料の内部構造の崩壊を継続する任意の他の技法を包含する。
機械的供給調製系は、例えば、特定最大サイズ、特定の長さ対幅、または特定の表面積比のような特定の特質を有する流れを生じるよう設計され得る。物理的調製は、反応速度を増大し、コンベヤー上の材料の動きを改良し、材料の照射プロフィルを改良し、材料の放射線均一性を改良し、または材料を切開して、それらが加工および/または試薬、例えば溶液中の試薬により近づけるようにすることによって必要とされる加工時間を低減し得る。
供給原料の嵩密度は、制御され(例えば増大され)得る。いくつかの状況では、例えば材料の密度を上げて(高密度化は、別の部位に運搬するのを容易に且つ低コストにし得る)、次に材料をより低い嵩密度状態に戻す(例えば運搬後に)ことにより、低嵩密度材料を調製することが望ましい。当該材料は、例えば、約0.2g/cc未満から約0.9g/ccより大に(例えば、約0.3未満〜約0.5より大、約0.3未満〜約0.9g/ccより大、約0.5未満〜約0.9より大、約0.3未満〜約0.8g/ccより大、約0.2未満〜約0.5g/ccより大)、高密度化され得る。例えば、材料は、米国特許第7,932,065号(Medoff)および国際公告WO 2008/073186(2007年10月26日出願;英語で公開;米国を指名)(これらの記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に開示された方法および設備により高密度化され得る。高密度化材料は、本明細書中に記載される方法のいずれかにより加工処理され得るし、あるいは本明細書中に記載される方法のいずれかにより加工処理される任意の材料は、その後、高密度化され得る。
いくつかの実施形態では、加工処理されるべき材料は、繊維源を剪断することにより提供される繊維を含む繊維性材料の形態である。例えば、剪断は、回転式ナイフカッターで実施され得る。
例えば、難分解性であるか、または低減されたその難分解性レベルを有する繊維源は、例えば回転式ナイフカッターで剪断されて、一次繊維性材料を提供し得る。一次繊維性材料は、例えば1.59mm以下(1/16インチ、0.0625インチ)の平均開口サイズを有する一次スクリーンに通されて、二次繊維性材料を提供する。所望により、繊維源は、例えばシュレッダーで、剪断前に切断され得る。例えば、紙が繊維源として用いられる場合、紙は、シュレッダー、例えばMunson(Utica,N.Y.)製造の卓上回転式スクリュー式シュレッダーを用いて、細片(例えば、1/4〜1/2インチ幅)に先ず切断され得る。細断に代わるものとして、ギロチンカッターを用いて、所望サイズに切断することにより、紙はサイズを低減され得る。例えば、ギロチンカッターは、例えば幅10インチ、長さ12インチのシートに紙を切断するために用いられ得る。
いくつかの実施形態では、繊維源の剪断、およびその結果生じる一次繊維性材料を一次スクリーンに通すことは、同時発生的に実施される。剪断および通過は、バッチ型工程でも実施され得る。
例えば、回転式ナイフカッターを用いて、同時発生的に、繊維源を剪断し、一次繊維性材料をスクリーニングし得る。回転式ナイフカッターは、繊維源を細断することにより調製される細断済み繊維源を載せられ得るホッパーを包含する。細断済み繊維源。
いくつかの実行において、供給原料は、糖化および/または発酵前に物理的に処理される。物理的処理工程は、本明細書中に記載される工程、例えば機械的処理、化学的処理、照射、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発のいずれかのうちの1つ以上を包含し得る。処理方法は、これらの技法のうちの2、3、4、またはすべての組合せ(任意の順序で)で用いられ得る。1つより多い処理方法が用いられる場合、当該方法は、同時に、または異なる時点で適用され得る。バイオマス供給原料の分子構造を変える他の工程も、単独で、または本明細書中に開示される工程と組合せて用いられ得る。
用いられ得る機械的処理、ならびに機械的処理されるバイオマス材料の特質は、米国特許出願公告2012/0100577 A1(2011年10月18日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)にさらに詳細に記載されている。
IV.処理済みバイオマス材料の使用
本明細書中に記載される方法を用いて、出発バイオマス材料(例えば、植物バイオマス、動物バイオマス、紙および地方自治体廃棄物バイオマス)は、供給原料として用いられて、有用な中間物質および生成物、例えば有機酸、有機酸の塩、無水物、有機酸のエステルおよび燃料、例えば内燃エンジンのための燃料または燃料電池のための供給原料を生成し得る。容易に入手可能であるが、しかししばしば加工処理するのが困難であり得るセルロースおよび/またはリグノセルロース材料、例えば地方自治体廃棄物ストリームおよび廃棄物紙ストリーム、例えば新聞、クラフト紙、段ボール紙またはこれらの混合物を含むストリームを供給原料として用い得るシステムおよび工程が、本明細書中で記載される。
容易に加工処理され得る形態に供給原料を転換するために、供給原料中のグルカン‐またはキシラン‐含有セルロースは、糖化剤、例えば酵素または酸により、低分子量炭水化物、例えば糖に加水分解され得る(糖化と呼ばれる工程)。次に、低分子量炭水化物は、例えば現存製造プラントにおいて、例えば単一細胞タンパク質プラント、酵素製造プラント、または燃料プラント、例えばエタノール製造施設において、用いられ得る。
供給原料は、酵素を用いて、例えば溶媒中で、例えば水溶液中で、材料および酵素を併合することにより、加水分解され得る。
代替的には、酵素は、バイオマス、例えばバイオマスのセルロースおよび/またはリグニン部分を分解し、種々のセルロース分解酵素(セルラーゼ)、リグニナーゼまたは種々の小分子バイオマス分解代謝物質を含有するかまたは製造する生物体により供給され得る。これらの酵素は、結晶セルロースまたはバイオマスのリグニン部分を分解するために相乗的に作用する酵素の複合体であり得る。セルロース分解酵素の例としては、以下のものが挙げられる:エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼおよびセロビアーゼ(ベータ・グルコシダーゼ)。
糖化中、セルロース性物質は、最初は、無作為位置でエンドグルカナーゼにより加水分解されて、オリゴマー中間体を生成し得る。これらの中間体は、その場合、セルロースポリマーの末端からセロビオースを生成するためのセロビオヒドロラーゼのような外分割グルカナーゼのための基質である。セロビオースは、グルコースの水溶性1,4‐結合二量体である。最後に、セロビアーゼは、セロビオースを切断して、グルコースを産生する。この工程の効率(例えば、加水分解するための時間および/または加水分解の終始)は、セルロース性物質の難分解性によって決まる。
V.中間体および生成物
本明細書中で記載される工程を用いて、バイオマスは、1つ以上の生成物、例えばエネルギー、燃料、食物および材料に転化され得る。生成物の具体的例としては、水素、糖(例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、二糖、オリゴ糖および多糖)、アルコール(例えば、一価アルコールまたは二価アルコール、例えばエタノール、n‐プロパノール、イソブタノール、sec‐ブタノール、tert‐ブタノールまたはn‐ブタノール)、水和または水性アルコール(例えば、10%、20%、30%より多い、または40%より多いことさえある水を含有)、バイオディーゼル、有機酸、炭化水素(例えば、メタン、エタン、プロパン、イソブテン、ペンタン、n‐ヘキサン、バイオディーゼル、バイオガソリンおよびその混合物)、共生成物(例えば、タンパク質、例えばセルロース分解タンパク質(酵素)または単一細胞タンパク質)、ならびに任意の組合せまたは相対濃度での、ならびに任意に、任意の添加物(例えば、燃料添加物)と組合せたこれらのいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。その他の例としては、カルボン酸、カルボン酸の塩、カルボン酸とカルボン酸の塩およびカルボン酸のエステルの混合物(例えば、メチル、エチルおよびn‐プロピルエステル)、ケトン(例えば、アセトン)、アルデヒド(例えば、アセトアルデヒド)、アルファおよびベータ不飽和酸(例えば、アクリル酸)およびオレフィン(例えば、エチレン)が挙げられる。その他のアルコールおよびアルコール誘導体としては、プロパノール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、糖アルコールおよびポリオール(例えば、グリコール、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールおよびポリグリシトール、ならびにその他のポリオール)、ならびにこれらのアルコールのメチルまたはエチルエステルが挙げられる。その他の生成物としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、乳酸、クエン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、カプロン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、オレイン酸、リノール酸、グリコール酸、ガンマ−酪酸、およびその混合物、これらの酸のいずれかの塩、酸の混合物およびそれらのそれぞれの塩のいずれかの混合物が挙げられる。
上記の生成物と互いとのおよび/または上記生成物と他の生成物(他の生成物は、本明細書中に記載される工程により、または他の方法で製造され得る)との任意の組合せは、一緒に包装され、製品として販売され得る。当該生成物は、併合され、例えば混合され、配合され、または共溶解され得るし、あるいは単に一緒に包装され、販売され得る。
本明細書中に記載される生成物または生成物の組合せのいずれかは、製品販売の前に、例えば精製または単離後、あるいは包装後でも、生成物(単数または複数)中に存在し得る1つ以上の潜在的に望ましくない夾雑物を中和するために、衛生的にされるかまたは滅菌され得る。このような衛生処理は、電子衝撃で実行され、例えば約20Mrad未満、例えば約0.1〜15Mrad、約0.5〜7Mrad、または約1〜3Mradの投与量であり得る。
本明細書中に記載される工程は、プラントの他の部分で用いられるべき、あるいは公開市場で販売されるべき水蒸気および電気(共発生)を生成するために有用な種々の副産物ストリームを産生し得る。例えば、燃焼副産物ストリームから生成される水蒸気は、蒸留工程に用いられ得る。別の例として、燃焼副産物ストリームから生成される電気は、前処理に用いられる発電機を作動するために用いられ得る。
水蒸気および電気を生成するために用いられる副産物は、工程全体を通して多数の供給源から得られる。例えば廃水の嫌気性消化は、メタン濃度が高いバイオガスと、少量の廃棄物バイオマス(スラッジ)を生じ得る。別の例として、糖化後および/または蒸留後固体(例えば、前処理および一次工程から残存する非転化リグニン、セルロースおよびヘミセルロース)が用いられ、例えば燃料として燃焼され得る。
得られる生成物の多くは、例えばエタノールまたはn‐ブタノールは、車、トラック、トラクター、船または汽車を動かすための燃料として、例えば内燃燃料として、または燃料電池供給原料として、利用され得る。得られる生成物の多くは、航空機、例えばジェットエンジンを有する飛行機またはヘリコプターを動かすためにも利用され得る。さらに、本明細書中に記載される生成物は、発電のために、例えば慣用的水蒸気生成プラントで、または燃料電池プラントで利用され得る。
その他の中間体および生成物、例えば食品および薬学的製品は、米国特許出願公告2010/0124583 A1(Medoff;2010年5月20日公開;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
VI. 微生物による酵素の産生
セルラーゼを産生する糸状菌または細菌は、典型的には、炭素源およびセルラーゼの産生のための誘導物質を必要とする。
リグノセルロース材料は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの異なる組合せを含む。セルロースは、グルコースの線状ポリマーで、有意のらせん化を伴わないわずかに堅い線状構造を形成する。この構造および水素結合し得るヒドロキシル基の配置のため、セルロースは、結晶および非結晶部分を含有する。結晶部分はさらにまた、鎖間の水素結合の位置によって、例えばI(アルファ)およびI(ベータ)として表される異なる型を有し得る。ポリマー長それ自体は、変化して、セルロースの形態により多くの変種を加える。ヘミセルロースは、いくつかのヘテロポリマーのいずれか、例えばキシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシランおよびキシログルカンである。存在する主な糖単量体はキシロースであるが、しかし他の単量体、例えばマンノース、ガラクトース、ラムノース、アラビノースおよびグルコースが存在する。典型的には、ヘミセルロースは、セルロースより低い分子量を有する分枝鎖構造を形成する。したがって、ヘミセルロースは、一般的に酵素的加水分解に感受性の非晶質材料である。リグニンは、一般的に複雑な高分子量ヘテロポリマーである。すべてのリグニンがその組成に変異を示すが、しかしそれらは、フェニルプロペン単位の非晶質樹上網目構造ポリマーとして記載されている。特定の生体材料中のセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの量は、生体材料の供給源によって決まる。例えば、木材由来の生体材料は、型によって、セルロース約38〜49%、ヘミセルロース7〜26%、およびリグニン23〜34%であり得る。草は、典型的には、セルロース約33〜38%、ヘミセルロース24〜32%、およびリグニン17〜22%である。明らかに、リグノセルロース性バイオマスは、大クラスの基質を構成する。
バイオマス材料の多様性は、前処理により、例えばポリマーの結晶性および分子量を変えることにより、さらに増大され得る。
セルラーゼ産生生物は、バイオマスと接触されると、生物の成長に有益な分子、例えばグルコースを放出する酵素を産生する傾向がある。これは、上記のような酵素誘導の現象により実行される。特定の生体材料中には種々の基質が存在するため、種々のセルラーゼが、例えば上記のエンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼおよびセロビアーゼが存在する。誘導物質として特定のリグノセルロース材料を選択することにより、これらの酵素の相対濃度および/または活性は調整され、したがってその結果生じる酵素複合体は、誘導物質または同様の材料として用いられるリグノセルロース材料において効率的に働く。例えば、結晶セルロースの割合の高い生体材料ほど、結晶セルロースをほとんど有さない生体材料より有効なまたは多量のエンドグルカナーゼを誘導し得る。」
酵母抽出物、トウモロコシ浸出液、ペプトン、アミノ酸、アンモニウム塩、リン酸塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、亜鉛塩、コバルト塩またはその他の添加物および/または栄養素および/または炭素源を付加することにより、微生物によって、当業者は酵素の産生を最適化し得る。有用な生成物の所望の産生を最適化するための加工処理中に、種々の構成成分が付加され、除去され得る。
微生物の増殖および酵素の産生のために最適な温度、pHおよびその他の条件は、一般的に当該技術分野で既知である。
VII.糖化
処理済みバイオマス材料は、一般的に、流体媒質中、例えば水溶液中で当該材料とセルラーゼ酵素を組み合わせることにより、糖化され得る。いくつかの場合、米国特許出願公告2012/0100577 A1(MedoffおよびMasterman;2012年4月26日公開)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、当該材料は、糖化前に熱水中で煮沸され、浸され、または煮られる。
糖化工程は、製造プラントにおいてタンク(例えば、少なくとも4000、40,000または500,000Lの容積を有するタンク)中で部分的にまたは完全に実施され得るし、および/または輸送中に、例えば鉄道車輛、タンカートラックにおいて、またはスーパータンカーまたは船の船倉で、部分的にまたは完全に実施され得る。完全糖化に要する時間は、工程条件、ならびに用いられるバイオマス材料および酵素によって決まる。糖化が制御条件下で製造プラントにおいて実施される場合、セルロースは、約12〜96時間で、実質的に完全に、糖、例えばグルコースに転化され得る。糖化が輸送中に部分的にまたは完全に実施される場合、糖化はより長い時間を要し得る。
例えば、国際出願PCT/US2010/035331(2010年5月18日出願;WO 2010/135380として英語で公開され、米国を指定;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されたようなジェットミキシングを用いて、糖化中にタンク内容物が混合される、というのが一般的に好ましい。
界面活性剤の付加は、糖化の速度を増強し得る。界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤、例えばトゥイーン(登録商標)20またはトゥイーン(登録商標)80ポリエチレングリコール界面活性剤、イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤が挙げられる。
糖化に起因する糖溶液の濃度は、相対的に高く、例えば40重量%より高く、あるいは50、60、70、80、90より高く、あるいは95重量%より高いことさえある、というのが一般的に好ましい。水は、例えば蒸発により除去されて、糖溶液の濃度を増大し得る。これは、出荷されるべき容積を低減し、溶液中での微生物増殖も抑制する。
代替的には、低濃度の糖溶液が用いられ得るが、この場合、抗菌性添加物、例えば広範囲抗生物質を、低濃度で、例えば50〜150ppmで付加するのが望ましい。その他の適切な抗生物質としては、アンフォテリシンB、アンピシリン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、ヒグロマイシンB、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン、プロマイシン、ストレプトマイシンが挙げられる。抗生物質は、運搬および貯蔵中の微生物の増殖を抑制し、適切な濃度で、例えば15〜1000重量ppm、例えば25〜500ppmまたは50〜150ppmで用いられ得る。所望により、抗生物質は、糖濃度が相対的に高い場合でも、含まれ得る。代替的には、防腐特性を有する抗菌性のその他の添加物が用いられ得る。好ましくは、抗菌性添加物(単数または複数)は、食品等級である。
酵素を有するバイオマス材料に付加される水の量を限定することにより、相対的に高濃度の溶液が得られる。濃度は、例えば糖化が起きる程度を制御することにより、制御され得る。例えば、濃度は、溶液により多くのバイオマス材料を付加することにより、増大され得る。溶液中に生成されている糖を保持するために、界面活性剤、例えば上記の界面活性剤の1つが付加され得る。溶液の温度を増大することにより、溶解度も増大される。例えば、溶液は、40〜50℃、60〜80℃、またはそれより高く保持され得る。
VIII.糖化剤
適切なセルロース分解酵素としては、以下の属の種からのセルラーゼが挙げられる:バシラス属、ヒトヨタケ属、ミセリオフィトラ属、セファロスポリウム属、シタリジウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、シュードモナス属、フミコラ属、フザリウム属、チエラビア属、アクレモニウム属、クリソスポリウム属およびトリコデルマ属、特にアスペルギルス種(例えば、欧州特許公開番号0 458 162参照)、フミコラ・インソレンス(シタリジウム・テルモフィルムとして再分類;例えば、米国特許第4,435,307号参照)、コプリヌス・シエレウス、フザリウム・オキシスポルム、ミセリオフィトラ・テルモフィラ、メリピルス・ギガンテウス、チエラビア・テレストリス、アクレモニウム種(例えば、A.ペルシシヌム、A.アクレモニウム、A.ブラキペニウム、A.ジクロモスポルム、A.オブクラバツム、A.ピンケルトニエ、A.ロゼオグリセウム、A.インコロラツムおよびA.フラツム(これらに限定されない))。好ましい菌株としては、フミコラ・インソレンス DSM1800、フザリウム・オキシスポルム DSM2672、ミセリオフィトラ・テルモフィラ CBS117.65、セファロスポリウム種 RYM−202、アクレモニウム種 CBS478.94、アクレモニウム種 CBS265.95、アクレモニウム・ペルシシヌム CBS169.65、アクレモニウム・アクレモニウム AHU9519、セファロスポリウム種 CBS535.71、アクレモニウム・ブラキペニウム CBS866.73、アクレモニウム・ジクロモスポルム CBS683.73、アクレモニウム・オブクラバツム CBS311.74、アクレモニウム・ピンケルトニエ CBS157.70、アクレモニウム・ロゼオグリセウム CBS134.56、アクレモニウム・インコロラツム CBS146.62およびアクレモニウム・フラツム CBS299.70Hが挙げられる。セルロース分解酵素は、クリソスポリウム属、好ましくはクリソスポリウム・ルクノウエンスの菌株からも得られる。用いられ得る付加的菌株としては、トリコデルマ属(特に、T.ビリデ、T.リーセイおよびT.コニンギー)、好アルカリ性バシラス属(例えば米国特許第3,844,890号および欧州特許公開番号0 458 162参照)、ならびにストレプトミセス属(例えば、欧州特許公開番号0 458 162参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
バイオマス材料を糖化し、糖を生成するために用いられ得る多数の微生物はさらにまた、糖を有用な生成物に発酵し、転化するために用いられ得る。
IX.糖
本明細書中に記載される工程において、例えば糖化後、糖(例えば、グルコースおよびキシロース)が単離され得る。例えば糖は、沈降、結晶化、クロマトグラフィー(例えば、擬似移動床クロマトグラフィー、高圧クロマトグラフィー)、遠心分離、抽出、当該技術分野で既知の任意の他の単離方法、およびその組合せにより単離され得る。
X.水素添加およびその他の化学的変換
本明細書中に記載される工程は、水素添加を包含し得る。例えば、グルコースおよびキシロースは、それぞれソルビトールおよびキシリトールに水素添加され得る。水素添加は、高圧(例えば、10〜12000psi)下で、H2と組合せて、触媒(例えば、Pt/ガンマ‐Al2O3、Ru/C、ラネーニッケル、または当該技術分野で既知のその他の触媒)の使用により成し遂げられ得る。本明細書中に記載される工程からの生成物の他の型の化学的変換、例えば有機糖由来生成物(例えば、フルフラルおよびフルフラル由来生成物)の生成が、用いられ得る。糖由来生成物の化学的変換は、米国特許仮出願第61/667,481号(2012年7月3日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
XI.発酵
例えば、酵母およびザイモモナス属細菌は、アルコール(単数または複数)への糖(単数または複数)の発酵または転化のために用いられ得る。他の微生物は、以下で考察される。発酵のための最適pHは、約pH4〜7である。例えば、酵母のための最適pHは約pH4内s5であるが、一方、ザイモモナス属のためのpHは約5〜6である。典型的発酵時間は、約24〜168時間(例えば24〜96時間)で、温度は20℃〜40℃(例えば、26℃〜40℃)の範囲であるが、しかしながら好熱性微生物はより高温を選択する。
いくつかの実施形態では、例えば嫌気性生物が用いられる場合、発酵の少なくとも一部分は、酸素の非存在下で、例えば不活性ガス、例えばN2、Ar、He、CO2またはその混合物のブランケット下で、実行される。付加的には、混合物は、発酵の一部または全部の間、タンクを通して流れる不活性ガスの不断のパージを有し得る。いくつかの場合、嫌気性条件は、発酵中の二酸化炭素生成により達成されるかまたは保持され、付加的不活性ガスは必要でない。
いくつかの実施形態では、発酵工程の全部または一部は、低分子量糖が完全に生成物(例えば、エタノール)に転化される前に、遮断され得る。中間発酵産物としては、高濃度での糖および炭水化物が挙げられる。糖および炭水化物は、当該技術分野で既知の任意の手段により単離され得る。これらの中間発酵産物は、ヒトまたは動物消費のための食物の調製に用いられ得る。付加的には、または代替的には、中間発酵産物は、ステンレススチール製の実験室ミルで微細粒子サイズに磨り潰されて、小麦粉様物質を生じる。
ジェットミキシングは、発酵中に用いられ、いくつかの場合、糖化および発酵は、同一タンク中で実施される。
微生物のための栄養素は、糖化および/または発酵中に付加され、例えば食物ベースの栄養素パッケージは、米国特許出願公告2012/0052536(2011年7月15日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
「発酵」は、米国特許仮出願61/579,559(2012年12月22日出願)および米国特許仮出願61/579,576(2012年12月22日出願)(これらの記載内容はともに、参照により本明細書中で援用される)に開示されている方法および生成物を包含する。
国際出願PCT/US2007/074028(2007年7月20日出願;WO2008/011598として英語で公開され、米国を指定)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、可動性発酵槽が利用され得る。同様に、糖化設備は、可動性であり得る。さらに、糖化および/または発酵は、輸送中に、一部または完全に実施され得る。
XII.発酵剤
発酵に用いられる微生物(単数または複数)は、天然微生物および/または工学処理微生物であり得る。例えば、微生物は、細菌(例えば、セルロース分解性細菌(これに限定されない))、真菌(例えば酵母(これに限定されない))、植物、原生生物、例えば原生動物または真菌様原生生物(例えば、粘菌(これに限定されない))、または藻類であり得る。生物体が適合性である場合、生物体の混合物が利用され得る。
適切な発酵微生物は、炭水化物、例えばグルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、オリゴ糖または多糖を発酵産物に転化する能力を有する。発酵微生物としては、以下の属の菌株が挙げられる:サッカロミセス種(例えば出芽酵母(パン酵母)、S.ディスタチクス、S.ウバルム(これらに限定されない))、クルイベロミセス属(例えば、K.マルキシアヌス、K.フラギリス(これらに限定されない))、カンジダ属(例えば、C.シュードトロピカリスおよびC.ブラッシケ(これらに限定されない))、ピキア・スチピチス(カンジダ・シェハテの共通系統)、クラビスポラ属(例えば、C.ルシタニエおよびC.オプンチエ(これらに限定されない))、パチソレン属(例えば、P.タンノフィルス(これに限定されない))、ブレタンノミセス属(例えば、B.クラウセニイ(Philippidis, G. P., 1996, Cellulose bioconversion technology, in Handbook on Bioethanol: Production and Utilization, Wyman, C.E., ed., Taylor & Francis, Washington, DC, 179−212))。その他の適切な微生物としては、例えば、ザイモモナス・モビリス、クロストリジウム種(例えば、C.テルモセルム(Philippidis, 1996,上記)、C.サッカロブチラセトニクム、C.サッカロブチリクム、C.プニセウム、C.ベイジェルンキイおよびC.アセトブチリクム(これらに限定されない))、モニリエラ・ポリニス、モニリエラ・メガチリエンシス、ラクトバシルス種、ヤロウィア・リポリチカ、アウレオバシジウム種、トリコスポロノイデス種、トリゴノプシス・バリアビリス、トリコスポロン種、モニリエラアセトアブタンス種、チフラ・バリアビリス、カンジダ・マグノリエ、ウスチラギノミセテス種、シュードザイマ・ツクバエンシス、ジゴサッカロミセス属、デバリオミセス属、ハンセヌラ属およびピキア属の酵母種、ならびにトルラ属類皮の真菌が挙げられる。
例えば、クロストリジウム種は、エタノール、ブタノール、酪酸、酢酸およびアセトンを生成するために用いられ得る。ラクトバシルス種は、乳酸を生成するために用いられ得る。
多数のこのような微生物菌株は、商業的に、あるいは例えばATCC(American Type Culture Collection, Manassas, Virginia, USA)、NRRL(Agricultural Research Sevice Culture Collection, Peoria, Illinois, USA)またはDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany)のような保管所を通して、公的に入手可能である。
市販の酵母としては、例えばレッドスター(Red Star)(登録商標)/レサッフレ・エタノールレッド(Lesaffre Ethanol Red)(Red Star/Lesaffre,USAから入手可能)、FALI(登録商標)(Fleischmann’s Yeast, a division of Burns Philip Food Inc., USAから入手可能)、スーパースタート(SUPERSTART)(登録商標)(Alltech、現在はLalemandから入手可能)、GERT STRAND(登録商標)(Gert Strand AB,Swedenから入手可能)およびFERMOL(登録商標)(DSM Specialtiesから入手可能)が挙げられる。
バイオマス材料を糖化し、糖を生成するために用いられ得る多数の微生物は、それらを発行し、有用な生成物に転化するためにも用いられ得る。
XIII.蒸留
発酵後、その結果生じた流体は、例えば「ビールカラム」を用いて蒸留されて、大多数の水および残留固体からエタノールおよびその他のアルコールを分離し得る。ビールカラムを出る蒸気は、例えば、35重量%エタノールであり、精留塔に供給され得る。精留塔からのほぼ共沸混合性(92.5%)のエタノールおよび水の混合物は、蒸気相分子篩を用いて、純(99.5%)エタノールに精製され得る。ビールカラム底は、三重効用蒸発器の第一効用に送られ得る。精留塔還流冷却器は、この第一効用のために熱を提供する。第一効用後、個体は、遠心分離器を用いて分離されて、回転乾燥機中で乾燥される。遠心分離流出液の一部分(25%)は、発酵に再循環され、残りは第二および第三蒸発器効用に送られる。蒸発器凝縮物のほとんどが、かなり透明な凝縮物として当該工程に戻され、小部分が、廃水処理に分けられて、低沸点化合物の増加を防止する。
実施例
実施例1.糖化に及ぼす外因性フルクトースの作用
この実施例は、外因性フルクトースが糖化酵素を抑制するか否かを試験する。
3個の225mLエーレンマイヤーフラスコを用意して、各々に、10gの処理済みトウモロコシ穂軸バイオマス(メッシュサイズ15〜40、電子線で35Mradに照射)、100mLの水および2.5mLのデュエット・アクセレラーゼ(Duet Accelerase)(商標)(Danisco)を入れた。第一、第二および第三フラスコに、それぞれ、以下のものを付加した:0g、5gおよび10gのフルクトース。フラスコをアルミホイルで覆い、50°C、200rpmで4日間、インキュベーター振盪器中に置いた。キシロースおよびグルコースの量を、HPLCによりモニタリングした。糖化の結果を、以下の表に示す。
グルコース(セロビアーゼの既知の阻害剤)と違って、5%または10%付加フルクトースは、トウモロコシ穂軸の糖化を抑制しない。
実施例2.糖化に及ぼすキシロースイソメラーゼの作用
グルコースは、セロビアーゼの既知の阻害剤である。この実施例は、キシロースイソメラーゼによる異性体フルクトースへのグルコースの転化が糖化を増大し得るか否かを試験する。
4個の225mLエーレンマイヤーフラスコを用意して、各々に、10gの処理済みトウモロコシ穂軸バイオマスおよび100mLの水を入れた。バイオマスを、実施例1に記載したとおりに処理した。第一、第二および第三フラスコに、2.5mLのデュエット・アクセレラーゼ(Duet Accelerase)(商標)(Danisco)を付加した。第二、第三および第四フラスコに、それぞれ、以下のものを付加した:1g、0.1gおよび0.1gのグルコースイソメラーゼ(Sweetzyme(商標)、 Aldrich)。フラスコをアルミホイルで覆い、50°C、200rpmで4日間、インキュベーター振盪器中に置いた。キシロースおよびグルコースの量を、HPLCによりモニタリングした。糖化の結果を、以下の表に示す。
グルコースイソメラーゼの付加は、セルラーゼ酵素の有効性を増大することが観察された。フラスコ2は、フラスコ1より約25%多い糖を生成した。
実施例3.セロビオースを切断するための強酸の使用
この実施例は、セロビオースをグルコースに切断し、糖化収量を増大するための強酸の使用を試験する。用いられる強酸は、Amberlyst−15(商標)(ポリスチレンスルホン酸)であった。これは、架橋スチレンジビニルベンゼンコポリマーを基礎にした強酸性スルホン酸マクロ網状高分子樹脂である。発表済み試験は、Amberlyst−15が二量体セロビオースをグルコースに切断し得る、ということを示している。
3個の225mLエーレンマイヤーフラスコを用意して、各々に、10gの処理済みトウモロコシ穂軸バイオマス、100mLの水および2.5mLのデュエット・アクセレラーゼ(商標)を入れた。バイオマスを、実施例1に記載したとおりに処理した。第二フラスコ中に、1gのグルコースイソメラーゼ(Sweetzyme(商標)、 Aldrich)を付加し;第三フラスコ中に、1gのグルコースイソメラーゼおよび0.1gのポリスチレンスルホン酸(Amberlyst−15(商標)、DOW)を付加した。
フラスコをアルミホイルで覆い、50°C、200rpmで4日間、インキュベーター振盪器中に置いた。キシロースおよびグルコースの量を、HPLCによりモニタリングした。糖化の結果を、以下の表に示す。
結果は、グルコースイソメラーゼの付加に伴う糖化の改良を示す。実験は、ポリスチレンスルホン酸の付加に伴う糖化の改良も示す。
実施例4.セロビアーゼの除去
この実施例は、セロビアーゼが除去されたが、一方、エンド‐およびエキソ‐セルラーゼは保持されていた場合の糖化を調べる。
クロマトフォーカシングを用いて、酵素を分離した。デュエット・アクセレラーゼ(Duet Accelerase)(商標)(Danisco)を、AKTA系を用いて、Mono Pカラム上に注入した。エンド−およびエキソ−セルラーゼはカラムと結合したが、一方、セロビアーゼは通過して、除去された。次に、エキソ−およびエンド−セルラーゼを、pHを4.0にシフトすることにより、カラムから溶離した。その結果生じた分画を併合し、直ちに、糖化反応に適用した。
予測結果は、セロビオースなしで、セロビオースの蓄積が存在する、というものであった。収量は低かったが、しかし以下の表は、検出可能量のセロビオースが実際に生成された、ということを示す。
本明細書中の実施例における以外に、または別記しない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲の以下の部分における、数的範囲、量、値およびパーセンテージ、例えば材料、元素含量、反応の時間および温度、量の比率等はすべて、「約」という用語が値、量または範囲を伴って明らかに出現し得ない場合でも、「約」という語が前置きされているかのように理解され得る。したがって、そうでないことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において記述される数的パラメーターは、本発明により得られることが求められる所望の特性によって変わり得る概数である。非常に少なくではあるが、そして本発明の範囲と糖化の見解の適用を限定するものではなく、各数的パラメーターは、少なくとも、報告された有意の数字の数にかんがみて、そして普通の丸め技法を適用することにより、解釈されるべきである。
本発明の広範囲を記述する数的範囲およびパラメーターが概数であるにもかかわらず、具体例に記述される数値は、できるだけ精確に報告される。しかしながら、任意の数値は、その基礎をなすそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差に必然的に起因する誤差を固有に含有する。さらに、数的範囲が本明細書中で記述される場合、これらの範囲は、列挙範囲終点(すなわち、終点が用いられ得る)を含む。重量パーセンテージが本明細書中で用いられる場合、報告される数値は、総重量に対する割合である。
さらにまた、本明細書中で列挙される任意の数的範囲は、そこに組み込まれたすべての亜範囲を包含するよう意図される、と理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、1という記載最小値と10という記載最大値との間の(含めた)すべての亜範囲を包含する、すなわち、1または1より大きい最小値、および10以下の最大値を有するよう意図される。「1つの(one)」、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、本明細書中で用いる場合、別記しない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を包含するよう意図される。
参照により本明細書中で援用されると言われる特許、出版物、またはその他の開示は、全体でまたは一部は、組み入れられた試料がこの開示に記述される現存する定義、記述またはその他の開示と矛盾しない程度に本明細書中で援用される。このようなものとして、そして必要な程度に、本明細書中に明白に記述されるような開示は、参照により本明細書中に組み入れられた任意の相反する資料に取って代わる。本明細書中に参照により組み入れられるといわれる、しかし本明細書中に記述される現行の定義、記述またはその他の開示資料と相反する任意の資料またはその部分は、組み入れられた資料と現行開示資料との間に相反が生じない程度に援用されるに過ぎない。
本発明を特定的に示しその好ましい実施形態に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱しない限り、形態および詳細における変更がなされ得る、当業者は理解する。