JP2015500010A - 結腸直腸癌の予後のための方法およびキット - Google Patents
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Abstract
本発明は、癌患者の再発のリスクを予測するための方法、ならびにTGF−β刺激に応答して発現が誘導される種々の遺伝子の発現レベルに基づいて前記患者に個別化医療を提供するための方法に関する。本発明はまた、診断および予測的医療法を行うためのキットに関する。
Description
本発明は、診断の分野、より詳しくは、癌患者の再発のリスクを予測するための方法、ならびに前記患者に個別化医療を提供するための方法に関する。本発明はまた、診断および予測的医療法を行うためのキットに関する。
結腸直腸癌(CRC)は、西洋世界で最も多い新生物の1つであり、男性では肺癌および前立腺癌に次いで3番目の死因であり、女性では乳癌に次いで2番目に多い。結腸直腸癌は、世界において、男性では3番目に多い癌(663000例、全体の10.0%)であり、女性では2番目に多い(571000例、全体の9.4%)。世界では、結腸直腸癌からの死者は約608000人と推計され、癌による死亡全体の8%を占め、4番目に多い癌からの死因となっている(GLOBOCAN.iarc.fr)。
結腸直腸癌の主要な治療選択肢は手術であり、個々の患者の病期分類およびその他の医学的因子に応じて補助化学療法および/または放射線療法を伴う場合と伴わない場合がある。
適当な治療の選択は、患者と経済的理由の両方にとって重要である。患者の生存のためには、悪性結腸直腸癌の拡大を防ぐために強い侵襲的な治療プロトコールを即使用するのがいつかを知ることが不可欠である。そうでなければ、患者の生存は脅かされることになるであろう。これに対して、必要とされない場合に強い侵襲的な治療を行うことは、患者によって極めて不利である。このような治療は患者に、患者の生活の質に大きな影響を及ぼし得る有害な毒性からもたらされる一定の程度の苦痛および不自由さを課す。注目すべきは、各患者は、400回のうち1回、療法が致命的な毒性をもたらすという状況を被る。さらに、強い侵襲的な治療は、通常、極めてコストがかかるので、必要な場合にのみ行うべきである。
現在、治療選択は腫瘍病期分類に基づき、通常、米国癌合同委員会(AJCC)からの腫瘍/リンパ節/転移(TNM)検査を用いて行われる。このTNM体系では、3つのカテゴリーに基づいて数字を割り当てる。「T」は腸管壁の浸潤の程度を表し、「N」はリンパ節関与の程度を表し、「M」は転移の程度を表す。より広い癌の病期は、通常、予後により分類されたTNM値から導かれたI、II、III、IVの数字で示され;数字が大きいほどより進行した癌およびおそらくは不良の転帰を示す。この体系の詳細を下表1に示す。
AJCC分類は結腸直腸癌が診断された際の病期に関する有用ないくつかの情報を提供するが、腫瘍悪性度に関する情報は与えず、予後に関するその有用性は限られたものとなる。病期IVの患者の予後は不良であることは明らかであるが、早期の病期の結腸直腸癌の診断が、腫瘍がさらに極めて急速に発達する可能性を阻むものではない。特に、病期II結腸直腸癌(すなわち、診断時に転移もリンパ節浸潤もない初期癌)を有する患者の20〜40%がなぜ急速に悪化して死に至るのかは全く分かっていない。高リスク病期II結腸癌を有する患者のサブグループが補助療法から利益を受け得ることを示唆する研究がいくつかある(Quasar collaborative group et al., Lancet 2007; 370:2020-2029)。依然として、病期II疾患の高リスク特徴などの組織病理学的変量が、療法を階層化する際の唯一の指示因子である。リンパ節に腫瘍細胞が浸潤している場合、TNM検査では予後不良と判定され、その患者には通常、手術と、その後に強い化学療法が施される。臨床試験は、高リスク病期II CRCと同定された全25名の患者で、処置を受けたかどうかにかかわらず20名が治癒することを示している(Quasar collaborative group et al., Lancet 2007; 370:2020-2029)。同様に、手術による処置を受けただけの病期III結腸癌を有する患者のサブグループは、補助療法を行わなくても5年間再発しなかった(Ranghammar et al., Acta Oncologica 2001; 40: 282-308)。補助化学療法は病期III CRCの標準的な推奨であるが、病期III結腸癌を有する患者のこのサブグループの予測的同定は療法を割愛することができる。従って、最大および最小リスク(例えば、「高リスク」病期IIおよび「低リスク」病期III結腸癌)の患者を同定する正確かつ信頼性のある方法は、これらの群内での個別化療法の選択を改善することができる。
このために、分子マーカーの発現レベルに基づいて結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するためのいくつかの方法が記載されている。
Jorissen et al. (Clin. Cancer Res., 2009, 15 :7642-7651)は、病期A CRC(病期Iに相当)および病期D(病期IVに相当)に罹患している患者間に再現性のあるバリエーションを示す128の遺伝子により形成される分類子を記載している。さらに、この分類子の少なくとも2つの遺伝子(NPR3/C5orf23およびFLT1)は、疾患の再発を受けた患者でアップレギュレートされる。
WO2010042228号には、発現レベルがCRCの予後と相関する176の遺伝子により形成されるサインの同定が記載されている。
WO2010124222号には、FLT−1(VEGFR−1としても知られる)の発現レベルが参照値よりも高い結腸癌患者は、外科的切除後に腫瘍の再発を示す高い可能性を示すことが記載されている。
US7695913号明細書には、INHBA、MYBL2、FAPおよびKi67遺伝子の正規化発現レベルの決定を含んでなる、CRC患者の予後を推定する方法が記載され、この方法では、INHBAおよびFAPの発現の増大は、良好な予後の確率の増大と負の相関を示し、MYBL2およびKi67遺伝子の発現は、良好な予後の可能性の増大と正の相関を示す。この文献に記載されている方法は、Oncotype DXキットの基礎をなすが、このキットは、INHBA、MYBL2、FAPおよびKi67遺伝子を含む12の遺伝子の決定を含む。
WO02057787号には、再発性結腸直腸癌を原因とする死亡を予測するためにサバイビンmRNAが使用可能であるかどうかを判定するよう設計された研究の結果が報告されている。この試験は、144名の患者の冷凍腫瘍生検から得られたデータに基づくものであった。報告によると、この試験は、サバイビンの発現が、病期II結腸直腸癌を有する患者における再発癌による死亡の有意に高いリスクと関連していることを示す。
Rosati et al. (Tumour Biol, 2004, 25:258-63)は、結腸直腸腺癌におけるチミジル酸シンターゼ(TS)、p53、bcl−2、Ki−67およびp27タンパク質の発現が無病生存期間または全生存期間の指標となるかどうかを判定するよう設計された研究の結果を報告している。103名の患者からの検体が免疫組織化学で検査された。この参照文献によれば、TS、p53、bcl−2、Ki−67およびp27のいずれかの発現と臨床転帰の間には統計学的に有意な関連はないが、不利な転帰とp53陰性発現、Ki−67陽性発現および病期Cの癌の組合せとの間には統計学的に有意な関連が見られた。
しかしながら、この主題で行われた研究にもかかわらず、今日、CRCの診断およびCRC癌の病期の決定の両方の臨床的見地から有用な腫瘍マーカーは極めて少ない。治療のためにより正確に病期IIIの患者を同定することを目的に、化学療法からの患者利益の見込みを定量することができる検査は極めて有用となる。病期IIの患者と類似の低い再発リスクを有し、化学療法からの利益の見込みが低い患者は、化学療法を見送ることを選択することができる。再発リスクが高く、化学療法に基づく5−FUからの利益に見込みが低い患者は、別の治療を選択することができる。
よって、当技術分野では、CRCの診断および結腸直腸癌の病期分類を高い信頼性で可能とするマーカーまたはマーカーパネルの必要がある。
従って、最大および最小リスク(例えば、「高リスク」病期IIおよび「低リスク」病期III結腸癌)の患者を同定する正確かつ信頼性のある方法は、これらの群内での個別化療法の選択を改善することができる。
発明の概要
第1の態様において、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者において好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性のある患者を選択するための方法であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、
方法に関する。
第1の態様において、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者において好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性のある患者を選択するための方法であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、
方法に関する。
別の態様において、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、または患者において結腸直腸癌の好適な処置を選択するための方法であって、前記患者由来のサンプルにおける、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、
方法に関する。
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、
方法に関する。
別の態様において、本発明は、NPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルを決定するために十分な試薬と、場合により1以上のハウスキーピング遺伝子の発現レベルの決定のための試薬とを含んでなるキットに関する。
さらに別の態様では、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者における好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性がある患者を選択するための、本発明に記載のキットの使用に関する。
さらに別の態様では、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者における好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性がある患者を選択するための、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルを決定するために十分な試薬と、場合により1以上のハウスキーピング遺伝子の発現レベルの決定のための試薬とを含んでなるキットに使用に関する。
本発明の予後法
F−TBRSに基づく、および3または6個の遺伝子を含んでなるミニサインに基づく予後法
本発明の著者らは、再発を受けている最大および最小リスク(例えば、「高リスク」病期IIおよび「低リスク」病期III結腸癌)のCRC患者を同定するために信頼性のある方法を提供する遺伝子セットを特定した。例えば、本出願の実施例2に示すように、正常結腸線維芽細胞(CCD−co−18)においてTGF−βシグナル伝達により誘導される127個の遺伝子のセットは、TGF−βシグナル伝達に応答した癌関連線維芽細胞では、結腸直腸腫瘍から精製された上皮細胞および白血球とは違った発現を示す。この遺伝子セットは、AJCC病期分類よりも優れた感受性で患者の再発を予測することを可能とする。さらに、上記のサインをさらに精密化することにより、本発明の著者らは、127遺伝子のサインから、再発リスクを予測可能とする遺伝子の小サブセットを選択した。よって、第1の態様において、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するための方法(以下、本発明の第1の予後法)であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者の不良な転帰の見込みの増大を示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者の良好な転帰の見込みの増大を示す。
F−TBRSに基づく、および3または6個の遺伝子を含んでなるミニサインに基づく予後法
本発明の著者らは、再発を受けている最大および最小リスク(例えば、「高リスク」病期IIおよび「低リスク」病期III結腸癌)のCRC患者を同定するために信頼性のある方法を提供する遺伝子セットを特定した。例えば、本出願の実施例2に示すように、正常結腸線維芽細胞(CCD−co−18)においてTGF−βシグナル伝達により誘導される127個の遺伝子のセットは、TGF−βシグナル伝達に応答した癌関連線維芽細胞では、結腸直腸腫瘍から精製された上皮細胞および白血球とは違った発現を示す。この遺伝子セットは、AJCC病期分類よりも優れた感受性で患者の再発を予測することを可能とする。さらに、上記のサインをさらに精密化することにより、本発明の著者らは、127遺伝子のサインから、再発リスクを予測可能とする遺伝子の小サブセットを選択した。よって、第1の態様において、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するための方法(以下、本発明の第1の予後法)であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者の不良な転帰の見込みの増大を示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者の良好な転帰の見込みの増大を示す。
用語「転帰を予測する」は、本発明において、患者が、正であれ負であれ、特定の臨床転帰を有する見込みを意味して用いられる。本発明の予測方法は、任意の特定の患者にとって最も適当な治療法を選択することによって治療判断を下すために臨床使用することができる。本発明の予測方法は、患者が化学療法などの治療計画に有利に奏功する可能性があるかどうかを予測する上で有用なツールとなる。予測は予後因子を含み得る。
当業者によって理解されるように、予測は、診断または評価対象の100%に対して正確であることが好ましいが、必ずしも必要ではない。しかしながら、この用語は、対象の統計学的に有意な部分が、ある転帰を有する高い確率を持つと特定できることを必要とする。ある対象が統計学的に有意かどうかは、当業者であれば、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、クロスバリデーション分類率などの様々な周知の統計評価ツールを用いて、容易に決定することができる。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に示されている。好ましい信頼区間は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%である。p値は、好ましくは、0.01、0.005またはそれ未満である。
本発明で用いる場合、用語「患者」は、哺乳動物として分類される総ての動物を意味し、限定されるものではないが、飼育動物および農用動物、霊長類およびヒト、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、または齧歯類を含む。好ましくは、患者は、年齢または人種によらず、男性または女性である。
用語「結腸直腸癌」は最も広い意味で用いられ、(1)大腸および/もしくは直腸の上皮細胞から生じるあらゆる病期およびあらゆる形態の癌、ならびに/または(2)大腸および/または直腸の内層を侵すあらゆる病期およびあらゆる形態の癌を意味する。結腸直腸癌の分類に用いられている病期分類法では、結腸および直腸は1つの器官として扱われる。
好ましい実施形態では、患者は、病期I、病期II、病期IIIまたは病期IVの腫瘍を有し、ここで、病期Iは、T1 N0 M0またはT2 N0 M0のいずれかとして定義され;病期IIは、T3 N0 M0またはT4 N0 M0のいずれかとして定義され;病期IIIは、任意のT、N1〜2、M0として定義され;病期IVは、任意のT、任意のN、M1に相当する。米国癌合同委員会(AJCC)の腫瘍、リンパ節、転移(TNM)病期分類法(Greene et al. (eds.), AJCC Cancer Staging Manual. 6th Ed. New York, N.Y.: Springer; 2002)によれば、結腸直腸癌の様々な病期は次のように定義される。
・腫瘍:T1:腫瘍は粘膜下に浸潤;T2:腫瘍が固有筋層に浸潤;T3:腫瘍が固有筋層から漿膜下層(subserose)へ、または結腸周囲もしくは直腸周囲組織へ浸潤;T4:腫瘍が他の器官または構造へ直接浸潤、および/または穿通。
・リンパ節:N0:所属リンパ節への転移無し;N1:1〜3の所属リンパ節への転移;N2:4以上の所属リンパ節への転移。
・転移:M0:mp遠隔転移;M1:遠隔転移の存在。
・腫瘍:T1:腫瘍は粘膜下に浸潤;T2:腫瘍が固有筋層に浸潤;T3:腫瘍が固有筋層から漿膜下層(subserose)へ、または結腸周囲もしくは直腸周囲組織へ浸潤;T4:腫瘍が他の器官または構造へ直接浸潤、および/または穿通。
・リンパ節:N0:所属リンパ節への転移無し;N1:1〜3の所属リンパ節への転移;N2:4以上の所属リンパ節への転移。
・転移:M0:mp遠隔転移;M1:遠隔転移の存在。
好ましい実施形態では、転帰が予測される患者は、結腸直腸癌を有すると診断され、かつ、癌の外科的切除を受けた患者である。好ましい実施形態では、患者は、病期Iの腫瘍、病期IIの腫瘍、病期IIIの腫瘍または病期IVの腫瘍の外科的切除を受けている。
本発明において、用語「サンプル」または「生体サンプル」は、被験体から単離された生体材料を意味する。生体サンプルは、所望のバイオマーカーの検出に好適な任意の生体材料を含むことができ、被験体の細胞および/または非細胞材料を含んでなり得る。サンプルは任意の好適な組織または体液、例えば、前立腺組織、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液(CSF)または糞便から単離することができる。マーカー遺伝子の決定に使用されるサンプルは、好ましくは、生検により得られる結腸直腸組織サンプルである。
あるいは、サンプルは体液サンプルである。用語「体液(biological fluid)」および「体液(biofluid)」は、本明細書では互換的に使用され、生物起源の水性流体を意味する。
体液は、いずれの場所から得られるものでもよく(例えば、血液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、水性体液もしくは硝子体液、または任意の体分泌液)、滲出液(膿瘍または他の任意の感染もしくは炎症部位から得られる流体)、または関節(例えば、正常関節または関節リウマチなどの疾患に侵された関節)から得られる流体であり得る。
第1の工程において、本発明の第1の方法は、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる。
用語「NPR3/C5orf23」は、本発明で用いる場合、第5染色体に見られるオープンリーディングフレーム23を意味し、FLJ14054または推定タンパク質LOC79614としても知られるNPR3ナトリウム利尿ペプチド受容体C/グアニル酸シクラーゼC(心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体C)に相当する。ヒトNPR3/C5orf23遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NG_028162.1として示されている。
用語「CDKN2B」は、本明細書において、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2Bを意味し、p15、MTS−22、MTS21、p15 CDK阻害剤、INK4B1、P15、p14_CDK阻害剤、TP15、p15INK4b、CDK阻害タンパク質、CDK4I1、p14_INK4B2、多重腫瘍サプレッサー2、サイクリン依存性キナーゼ4および6結合タンパク質、p14−INK4b、p15_INK4B2、p15−INK4bまたはp15INK4B3としても知られる。ヒトCDKN2B mRNAの種々のアイソフォームが、GenBankデータベースで受託番号NM_078487.2およびNM_004936.3として示されている。
用語「FLT1」は、本明細書において、fms関連チロシンキナーゼ1を意味し、血管内皮増殖因子受容体、血管透過性因子受容体またはVEGFR−1としても知られる。FLT1をコードするヒト遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NG_012003.1として示されている。
さらに、上述のマーカーの決定に加え、本発明による方法は、FRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、SETBP1、FLJ10357、DACT、MURCおよびCol10A1からなる群から選択される1以上のマーカーの決定をさらに含んでなってもよく、参照値に比べての前記遺伝子の1以上の発現レベルの増大が、前記患者が高い再発リスクを呈することを示し、または参照値に比べての前記遺伝子の1以上の発現レベルの減少が、前記患者が低い再発リスクを呈することを示す。
用語「FRMD6」は、本明細書において、FRMD6ドメイン含有6を意味し、EX1、Willin、C14orf31、MGC17921、c14_5320としても知られる。ヒトFRMD6遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号AL079307.7として示されている。
用語「IGFBP3」は、本明細書において、インスリン様増殖因子結合タンパク質3を意味し、IBP3またはBP−53としても知られる。ヒトIGFBP3遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NG_011508.1(5001〜14028位)として示されている。
用語「ESM1」は、本明細書において、内皮細胞特異的分子1を意味し、エンドカン(endocan)としても知られる。ヒトESM1遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000005.9(54273695〜54281414位の相補物)として示されている。
用語「FGF1」は、本明細書において、線維芽細胞増殖因子1(酸性)を意味し、AFGF、ECGF、FGFA、ECGFA、ECGFB、HBGF1、GLIO703、ECGF−βまたはFGF−αとしても知られる。ヒトFGF1遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000005.9(141971743〜142077635位の相補物)で示されている。
用語「GEM」は、本明細書において、骨格筋で過剰発現するGTP結合タンパク質を意味し、KIRまたはMGC26294としても知られる。ヒトGEM遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000008.10(95261481〜95274547位の相補物)として示されている。
用語「MEX3B」は、本明細書において、RNA結合タンパク質を意味し、RKHD3、MEX−3B、RNF195、MGC117199またはDKFZp434J0617としても知られる。ヒトMEX3B遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000015.9(82334128〜82338361位の相補物)として示されている。
用語「WNT2」は、本明細書において、ウィングレス型MMTV組込み部位ファミリーメンバー2を意味し、IRPまたはINT1L1としても知られる。ヒトWNT2遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000007.13(116916685〜116963343位の相補物)として示されている。
用語「NGF」は、本明細書において、神経成長因子を意味し、NGFB、HSAN5、β−NGF、MGC161426またはMGC161428としても知られる。ヒトNGF遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NG_007944.1(5001〜57321位の相補物)として示されている。
用語「MSC」は、本明細書において、ムスカリン遺伝子を意味し、ABF1、MYOR、ABF−1またはbHLHa22としても知られる。ヒトMSC遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000008.10(72753777〜72756731位の相補物)として示されている。
用語「SETBP1」は、本明細書において、SET結合タンパク質1を意味し、SEB、KIAA0437またはDKFZp666J1210としても知られる。SETBP1をコードするヒト遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号G_027527.1(5001〜393338位)として示されている。
用語「FLJ10357」は、本明細書において、Rhoグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)40を意味し、ARHGEF40、SOLOまたはプロテインSOLOとしても知られる。FLJ10357をコードするヒト遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000014.8(21538527〜21558036位)として示されている。遺伝子FLJ10357はまた、ARHGEF40としても知られる。
用語「DACT1」は、本明細書において、dapper、β−カテニンアンタゴニスト同族体1を意味し、DAPPER1、FRODO、DPR1、HDPR1、THYEX3、DAPPER、肝細胞癌新規遺伝子3タンパク質、HNG3、またはhDPR1としても知られる。DACT1をコードするヒト遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000014.8(59104757〜59115039位)として示されている。
用語「MURC」は、本明細書において、筋肉関連コイルドコイルタンパク質を意味する。MURCをコードするヒト遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NC_000009.11(103340336〜103350180位)として示されている。
用語「Col10A1」は、本明細書において、X型コラーゲンα1を意味する。Col10A1をコードするヒト遺伝子は、GenBankデータベースで受託番号NG_008032.1(5001〜12212位)として示されている。
本発明による方法は、上記遺伝子の1以上の天然に存在する多型変異体の決定を含んでもよいと理解される。
好ましい実施形態では、本発明の第1の方法で使用するマーカー遺伝子は、FRMD6、ESM1、IGFBP3、FLT1、NPR3/C5orf23およびCDKN2Bであり、患者は病期II CRC患者である。
好ましい実施形態では、本発明の第1の方法で使用するマーカー遺伝子は、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、GEM、FGF1およびMEX3Bであり、患者は病期III CRC患者である。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、遺伝子FRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、NPR3/C5orf23、CDKN2B、SETBP1、FLJ10357、DACT、MURC、FLT1およびCol10A1の発現レベルの決定を含んでなる。
本発明による方法は、F−TBRSを形成する遺伝子、すなわち、癌関連線維芽細胞が富化された細胞集団(富化CAF;EPCAM− CD45−)とEPCAM+細胞集団およびEPCAM− cd45+細胞集団との間で差次的に発現され、かつ、第2および第3の細胞集団に比べて第1の細胞集団で少なくとも2倍の増加を有する遺伝子の1以上の発現レベルの決定をさらに含んでもよく、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者が高い再発リスクを呈することを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者が低再発リスクを呈することを示す。
好ましい実施形態では、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するための方法は、遺伝子ANGPTL2、ANGPTL4、APBB2、BMPR2、BPGM、C13orf33、C5orf13、NPR3/C5orf23、CACHD1、CALD1、CDH6、CDKN2B、CILP、CNTN1、COL10A1、COL12A1、COL27A1、DACT1、DIXDC1、DNAJB5、DNAJC18、ELTD1、EPHA4、ESM1、FAP、FGD6、FGF1、FGF2、FLJ10357、FLT−1、FN1、FRMD4A、FRMD6、GAS1、GEM、GFPT2、GPR161、HAS2、HEY1、HIC1、HS3ST3A1、IGFBP3、IGFBP7、IL11、INHBA、KAL1、KIAA1755、KLF7、LARP6、LMCD1、LMO4、LOC100128178、LOC644242、LOC728264、LOH3CR2A、LRRC8A、MEOX1、MEX3B、MFAP2、MGC16121、MSC、MURC、NEDD9、NGF、NOX4、NPR2、NUAK1、OSGIN2、PALLD、PALM2、PDGFA、PDGFC、PDLIM4、PDPN、PGM2L1、PKNOX2、PMEPA1、PODXL、PPM1E、PTHLH、RASD1、RASGRP3、RASL12、RGS4、RNF150、RUNX1、S1PR5、SEMA6D、SERPINE1、SETBP1、SHISA2、SLC46A3、SNCAIP、SNORD114−3、SOX6、SPSB1、STK38L、SYNE1、SYTL4、TCF4、TGFB2、TIMP3、TMEM88、TNC、TNS1、TPM1、TSHZ3、TSPAN2、VEPH1、WNT2、WNT9AおよびZEB1遺伝子、ならびに配列番号1〜13の配列を有するプローブと特異的にハイブリダイズする遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大を示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大を示す。
用語「特異的にハイブリダイズする」とは、本明細書において、高ストリンジェント条件または中ストリンジェント条件下で2つのポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを可能とする条件を意味する。「高ストリンジェント条件」および「中ストリンジェント条件」という表現は、本発明のキットに関して以下に定義され、本方法に関して等しく適用可能である。
事実上、従来のいずれの方法も、前記マーカー遺伝子を検出し、そのレベルを定量するために、本発明の範囲内で使用可能である。限定されない例を挙げれば、発現レベルは、前記遺伝子によりコードされているmRNAのレベルの定量の手段またはそれらのタンパク質レベルの定量の手段によって決定される。
mRNAの量を決定するための方法は当技術分野で周知である。例えば、まず、サンプル(例えば、患者から調製された細胞または組織)中に含まれる核酸を、標準的な方法に従い、例えば、溶解酵素もしくは化学溶液を用いて抽出するか、または製造者の説明書に従って核酸結合樹脂によって抽出する。抽出されたmRNAを次に、ハイブリダイゼーション(例えば、ノーザンブロット分析、またはmRNAを標識cDNAに変換した後のオリゴヌクレオチドマイクロアレイによる)および/または増幅(例えば、RT−PCR)によって検出する。好ましくは、定量的または半定量的RT−PCRを行う。リアルタイム定量的または半定量的RT−PCRが特に有利である。好ましくは、推定されるゲノム混入からのcDNA増幅を識別するために、プライマー対は、イントロンが重複するように設計した。好適なプライマーは当業者ならば容易に設計することができる。他の増幅方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写を介する増幅(TMA)、鎖置換増幅(SDA)および核酸配列に基づく増幅(NASBA)が挙げられる。好ましくは、mRNAの量は、定量的もしくは半定量的RT−PCRまたはリアルタイム定量的もしくは半定量的RT−PCRによって測定される。
あるいはまた、遺伝子の発現が増加すれば、対応するタンパク質の量の増加が起こるはずであることから、マーカー遺伝子の発現レベルは、前記遺伝子によりコードされているタンパク質の発現レベルの決定の手段によって決定することもできる。種々のタンパク質の発現レベルの決定は、従来のいずれの方法を用いて行ってもよい。限定されない例を挙げれば、前記決定は、決定対象のタンパク質(または抗原決定基を含有するそのフラグメント)に特異的に結合する能力を有する抗体を用い、その後、生じた抗原−抗体複合体の定量により行うことができる。このタイプのアッセイにおいて使用が意図される抗体は、例えば、ポリクローナル血清、ハイブリドーマ上清またはモノクローナル抗体、抗体フラグメント、Fv、Fab、Fab’およびF(ab’)2、scFv、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディーおよびヒト化抗体であり得る。同時に、これらの抗体は標識してもしなくてもよい。使用可能な、限定されるものではないが例示的なマーカーの例としては、放射性同位元素、酵素、蛍光団、化学発光試薬、酵素補因子または基質、酵素阻害剤、粒子、色素などが挙げられる。非標識抗体(一次抗体)および標識抗体(二次抗体)を用いて、本発明で使用可能な周知のアッセイには多様なものがあり、これらの技術としては、ウエスタンブロットまたは免疫ブロット、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、競合的EIA(酵素イムノアッセイ)、DAS−ELISA(二重抗体サンドイッチELISA)、免疫組織化学および免疫組織化学技術、特異的抗体を含むバイオチップもしくはタンパク質マイクロアレイの使用に基づく技術、または試薬ストリップなどの形式におけるコロイド沈殿に基づくアッセイが挙げられる。タンパク質を検出および定量する他の形式としては、アフィニティークロマトグラフィー技術、リガンド結合アッセイなどが挙げられる。
患者由来のサンプル中の上記遺伝子の発現レベルが決定されれば、次に、それらのレベルを前記遺伝子のそれぞれの参照値と比較する。一般に、参照値は、参照サンプルにおける比較する遺伝子の発現レベルである。
「参照サンプル」は、本明細書において、病態または特定の表現型を持たない健常な被験体のプールから得られるサンプルを意味する。例えば、参照サンプルは、結腸癌に罹患していないか、または結腸癌の病歴のない患者の結腸粘膜からのサンプルを含んでなり得る。あるいは、参照サンプルは、低い再発リスクを有する結腸癌のサンプルまたはサンプルプールであり得る。このサンプルまたはサンプルプールは、腫瘍の外科的切除を受け、かつ、好ましくは補助化学療法の不在下で再発を受けていない患者から得ることができる。別の実施形態では、参照サンプルは、I型CRCまたはI型CRCプール由来のサンプルである。
遺伝子の好適な参照発現レベルは、複数の好適な被験体で前記遺伝子の発現レベルを測定することによって決定することができ、このような参照レベルは、特定の被験体集団に対して補正することができる(例えば、ある年齢の被験体のサンプルにおける発現レベルと、ある年齢群における特定の病態、表現型またはその不在に関する参照レベルとの間の比較を行うことができるように、参照レベルを年齢と連関させることができる)。好ましい実施形態では、参照サンプルは、複数の健常な被験体から、またはそれまでに結腸直腸癌の病歴のない被験体から得られる。あるいは、参照サンプルは、腫瘍の外科的切除を受け、かつ、好ましくは補助化学療法の不在下で再発を受けていない患者の結腸癌のサンプルまたはサンプルプールである。当業者ならば、このタイプの参照サンプルが実施される具体的な方法によって異なり得ることを認識するであろう。よって、疾患の診断または予後が行われる場合、参照サンプルは、結腸直腸癌の病歴のない個体もしくは個々の腫瘍組織に対して遠位の非腫瘍組織のプールのいずれかに由来する非腫瘍結腸直腸組織サンプルのプール、または腫瘍の外科的切除を受け、かつ、好ましくは補助化学療法の不在下で再発を受けていない患者由来の結腸癌のサンプルもしくはサンプルプールであり得る。本発明の方法が患者において療法の効果を決定することを目的とする場合、参照サンプルは好ましくは、治療を開始するために前記患者から得たサンプルである。
参照サンプルにおける遺伝子の発現プロフィールは好ましくは、2以上の個体の集団から作製することができる。集団は、例えば、3、4、5、10、15、20、30、40、50またはそれを超える個体を含んでなり得る。さらに、参照サンプルおよび本発明の方法に従って診断しようとする個体のサンプルにおける遺伝子の発現プロフィールは、アッセイされるプロフィールと参照プロフィールが異なる時点で採取された生体サンプルから作製され、互いに比較される限り、同じ個体から作製することができる。例えば、個体のサンプルは試験期間の開始時に得ることができる。次に、このサンプルからの参照バイオマーカープロフィールを、同じ個体のその後のサンプルから作製されたバイオマーカープロフィールと比較することができる。好ましい実施形態では、参照サンプルは、複数個体からのサンプルプールであり、腫瘍領域から離れた、好ましくは、同じ生検で得られたものであるが腫瘍組織のいずれの解剖病理学的特徴も持たない、結腸直腸組織の一部に相当する。
前記遺伝子の参照値に比べてのマーカー遺伝子の発現レベルが決定されれば、前記遺伝子の発現に変化(発現の増大または減少)が存在するかどうかを特定することが必要である。遺伝子の発現は、そのレベルが参照サンプルに比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、またはそれより大きく増大する場合に、試験下の被験体のサンプルにおいて増大とみなされる。同様に、遺伝子の発現は、そのレベルが参照サンプルに比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%(すなわち、存在しない)減少する場合に、減少とみなされる。
最後に、患者は、その後、マーカー遺伝子が参照サンプルに比べて発現レベルの増大を示せば不良な転帰の高いリスクを有する、また、マーカー遺伝子が参照サンプルに比べて発現レベルの減少を示せば不良な転帰の低いリスクを有すると分類される。好ましい実施形態では、患者は、その後、その遺伝子の発現レベルが、腫瘍の外科的切除を受け、かつ、好ましくは補助化学療法の不在下で再発を受けていない患者由来の結腸癌のサンプルまたはサンプルプールにおける同じ遺伝子の発現レベルよりも高ければ、不良な転帰の高いリスクを有すると分類される。
CRCに関して用語「良好な転帰」は、無再発期間(RFI)の延長、全生存期間(OS)の延長、無病生存期間(DFS)の延長、無遠隔再発期間(DRFI)の延長などの当技術分野で慣用される尺度を含む、患者状態の任意の尺度の改善を意味する。良好な臨床転帰の見込みの増大は、癌再発の見込みの減少に相当する。
CRCに関して用語「不良な転帰」は、無再発期間(RFI)の短縮、全生存期間(OS)の短縮、無病生存期間(DFS)の短縮、無遠隔再発期間(DRFI)の短縮などの当技術分野で慣用される尺度を含む、患者状態の任意の尺度の悪化を意味する。不良な臨床転帰の見込みの増大は、癌再発の見込みの増大に相当する。
好ましい実施形態では、ある患者における転帰は、転移リスクまたは再発リスクとして評価される。
用語「転移リスク」は、本明細書において、被験体または個体が定義された期間内に解剖学的に離れた場所に、その被験体または個体がそれに関して処置または診断を受けたものと類似または同じ新生物性疾患を発症する機会または確率に関する、尤度または確率の評価を意味する。
用語「転移」は、本明細書において、原発癌性腫瘍の器官と直接接続されていない器官または身体部分における癌性腫瘍の成長を意味する。転移は微小転移を含むと理解され、この微小転移では、原発癌性腫瘍の器官と直接接続されていない器官または身体部分に検出できない量の癌性細胞が存在する。好ましい実施形態では、転移は肝臓転移である。
用語「再発リスク」は、本発明で用いる場合、被験体または個体が定義された期間内に、その被験体または個体がそれに関して処置または診断を受けたものと類似または同じ新生物性疾患(同じ解剖学的場所または解剖学的に離れた場所におけるイベントのいずれか)に侵されているか、または前記疾患を発症する機会または確率に関する、尤度または確率の評価を意味する。
本発明による方法は、上述の種々のマーカー遺伝子の発現レベルと1以上の臨床予後因子を組み合わせて患者の転帰を予測する可能性をさらに企図する。
予後因子は、患者がひと度結腸直腸癌を発症した場合に患者の再発率および転帰に影響を及ぼす、結腸直腸癌の自然経過に関する変数である。不良な予後と関連づけられている臨床パラメーターには、例えば、リンパ節の関与、高悪性度腫瘍が含まれる。予後因子は、患者を種々の基準再発リスクを有するサブグループに分類するためによく用いられる。好ましい実施形態では、本発明の方法で使用される臨床的予後因子は腫瘍病期であり、高い腫瘍病期は高い再発リスクを示し、または低い腫瘍病期は、その患者が低い再発リスクを呈することを示す。
好ましい実施形態では、臨床的予後因子は、AJCC分類(例えば、引用することにより本明細書の一部とされるSpringer-Verlag New Yorkにより発行されたAJCC Cancer Staging Manual, Seventh Edition (2010)参照)に従う、また、上記で定義したような、腫瘍病期である。用語「腫瘍病期」は、前述のように、腫瘍のTNM値に基づいて決定される値である。よって、病期Iは、T1 N0 M0またはT2 N0 M0に相当し;病期IIは、T3 N0 M0またはT4 N0 M0に相当し;病期IIIは、任意のT、N1〜2、M0に相当し;病期IVは、任意のT、任意のNかつM1に相当する。
よって、好ましい実施形態では、本発明は、患者の腫瘍病期の決定をさらに含んでなり、この場合、高い腫瘍病期は高い再発リスクを示し、または低い腫瘍病期は低い再発リスクを示す。
用語「低い腫瘍病期」は、本発明で用いる場合、AJCC病期IまたはIIを意味する。
用語「高い腫瘍病期」は、本発明で用いる場合、AJCC病期IIIまたはIVを意味する。
本発明に従って分析される患者は、その決定の前に腫瘍サイズの縮小を目的に1以上の療法で処置されていてもされていなくてもよい。よって、好ましい実施形態では、患者は、本発明による種々の遺伝子の発現レベルの決定の前に処置されていない。別の実施形態では、患者は、本発明による種々の遺伝子の発現レベルの決定の前に、化学療法、放射線療法または手術からなる群から選択される療法により処置される。
用語「化学療法」、「放射線療法」および「手術」は以下に詳細に定義され、本発明に関して同じ意味で使用される。
TGF−β2およびTGF−β3の発現レベルに基づく予後法
本発明の発明者らはまた、TGF−β2および/またはTGF−β3の発現レベルがCRCに罹患している患者の転帰の良好な予測子でもあることを見出した。TGF−β2および/またはTGFβ3が分泌分子であるということを考えれば、この知見は、体液中のTGF−β2および/またはTGF−β3の発現レベルを決定することにより患者の予後の決定を可能とし、本発明による予測方法に非侵襲的手段を提供する。
本発明の発明者らはまた、TGF−β2および/またはTGF−β3の発現レベルがCRCに罹患している患者の転帰の良好な予測子でもあることを見出した。TGF−β2および/またはTGFβ3が分泌分子であるということを考えれば、この知見は、体液中のTGF−β2および/またはTGF−β3の発現レベルを決定することにより患者の予後の決定を可能とし、本発明による予測方法に非侵襲的手段を提供する。
よって、別の態様において、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するための方法(以下、本発明の第2の予後法)であって、前記患者由来のサンプルにおける、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、各遺伝子の参照値に比べての前記の1または複数の遺伝子の発現レベルの増大は、不良な転帰の見込みの増大を示し、または各遺伝子の参照値に比べての前記の1または複数の遺伝子の発現レベルの減少は、良好な転帰の見込みの増大を示す。
用語および表現「転帰を予測する」、「結腸直腸癌」、「サンプル」、「患者」、「発現レベルの増大」、「発現レベルの減少」、「参照値」、「良好な転帰」および「不良な転帰」は、本発明の第1の予後法に関して詳細に記載しており、本方法に関しても同じ意味で使用される。
好ましい実施形態では、転帰が予測される患者は、結腸直腸癌と診断され、かつ、その癌の外科的切除を受けた患者である。
第1の工程において、本発明の第2の予後法は、患者由来のサンプルにおける、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる。
用語「TGFβ2」は、本発明で用いる場合、NBCIデータベースで、ヒト相同分子種では受託番号NP_001129071(アイソフォーム1)またはNP_003229(アイソフォーム2)、ラット相同分子種ではCAB42003、およびマウス相同分子種ではAAH11170として示されているトランスフォーミング増殖因子β2を意味する。用語「TGFβ2」はまた、上記配列のいずれかの天然変異体および多型形態も意味する。
用語「TGFβ3」は、本発明で用いる場合、NCBIデータベースで受託番号NP_003230として示されているヒトTGF−β3プレプロタンパク質相同分子種のアミノ酸301〜412、受託番号NP_037306として示されているラットTGF−β3プレプロタンパク質相同分子種のアミノ酸301〜412に相当するトランスフォーミング増殖因子(TGF)β3を意味する。用語「TGFβ3」はまた、上記配列のいずれかの天然変異体および多型形態も意味する。
TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定は、前記遺伝子のmRNAレベルを決定することによって、または前記遺伝子によりコードされているタンパク質のレベルを決定することによって行うことができる。あるmRNAまたはポリペプチドの発現レベルを決定するのに好適な手順は、上記で本発明の第1の予後法に関して記載されている。
さらに別の実施形態では、本発明による方法は、腫瘍生検または体液からなる群から選択されるサンプルにおいて行われる。別の実施形態では、サンプルが体液である場合、体液は血液、血漿および血清からなる群から選択される。
好ましい実施形態では、TGF−β2および/またはTGF−β3の発現レベルの決定はRT−PCRにより行われる。サンプルが腫瘍サンプルである場合のさらに別の実施形態では、TGF−β2および/またはTGFβ3の発現レベルはRT−PCRにより行われる。サンプルが体液である場合の、別の実施形態では、発現レベルは、対応するTGF−β2およびTGF−β3ポリペプチドのレベルを測定することによって決定される。
本方法は、上記遺伝子の発現レベルの決定に加えて、腫瘍病期の決定をさらに含んでなり、高い腫瘍病期は高い再発リスクを示し、または低い腫瘍病期は、その患者が低い再発リスクを呈することを示す。用語「高い腫瘍病期」および「低い腫瘍病期」は、上記で詳細に記載しており、本方法に関しても同じ意味で使用される。
好ましい実施形態では、予後法は、結腸直腸癌に罹患している患者由来のサンプルにおいて行われ、ここで、結腸直腸癌は病期IIまたは病期III結腸直腸腫瘍である。別の実施形態では、本方法は、腫瘍の外科的切除を受けた患者において行われる。
さらに別の実施形態では、本方法による患者の転帰の決定は、診断時のまたは再発リスクとしての、転移リスクを決定することにより行われる。
本発明による個別化治療法
上記で定義した予後法はまた、結腸直腸癌に罹患している患者に個別化療法を提供することも可能とする。特に、高い再発リスクを有するとみなされる患者は、手術後の付加的療法から利益を受ける可能性が最も高い。逆に、低い再発リスクを示す患者は、手術後の治療的処置を見送ることができる。
上記で定義した予後法はまた、結腸直腸癌に罹患している患者に個別化療法を提供することも可能とする。特に、高い再発リスクを有するとみなされる患者は、手術後の付加的療法から利益を受ける可能性が最も高い。逆に、低い再発リスクを示す患者は、手術後の治療的処置を見送ることができる。
F−TBRSおよびミニサインの発現レベルに基づく個別化医療
よって、別の態様において、本発明は、患者の結腸直腸癌に好適な処置を選択するための方法(以下、本発明の第1の個別化治療法)であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の放射線療法もしくは化学療法を受ける候補であることを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の放射線療法もしくは化学療法を受ける候補ではないことを示す。
よって、別の態様において、本発明は、患者の結腸直腸癌に好適な処置を選択するための方法(以下、本発明の第1の個別化治療法)であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の放射線療法もしくは化学療法を受ける候補であることを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の放射線療法もしくは化学療法を受ける候補ではないことを示す。
本発明で用いる場合、「処置」は、疾患もしくは障害、または再発性の疾患もしくは障害の1以上の症状を予防する、治癒させる、遅延させる、その重篤度を軽減する、または改善することを試みる、あるいは患者の生存をこのような処置の不在下で予想される期間を超えて延長するための、臨床介入を意味する。
用語「結腸直腸癌」は、本発明の予後法に関して詳細に記載されており、本発明による個別化方法に関しても同じ意味で使用される。
第1の工程において、本発明による第1の個別化治療法は、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる。
用語「結腸直腸癌」、「患者」、「NPR3/C5orf23遺伝子」、「CDKN2B遺伝子」、「FLT1遺伝子」、「発現レベル」、「サンプル」は上記に詳細に記載されており、本方法による方法に等しく適用される。
さらに、上述のマーカーの決定に加えて、本発明による第1の個別化治療法は、FRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、SETBP1、FLJ10357、DACT、MURCおよびCol10A1からなる群から選択される1以上のマーカーの決定をさらに含んでなってもよく、参照値に比べての前記遺伝子の1以上の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であることを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないことを示す。
好ましい実施形態では、本発明による第1の個別化治療法は、遺伝子CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FRMD6、IGFBP3およびESM1の発現レベルの決定を含んでなり、この決定は、病期II結腸直腸癌に罹患している患者由来のサンプルで行われる。
別の好ましい実施形態では、本発明による第1の個別化治療法は、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FGF1、GEM、およびMEX3B遺伝子のレベルの決定を含んでなり、前記決定は、病期III結腸直腸癌に罹患している患者において行われる。
さらに別の実施形態では、本発明による第1の個別化治療法は、表1に示される、CAF富化対EPCAM+欄に2より高いFC値を有することを特徴とする1以上の遺伝子の発現レベルの決定をさらに含んでなり、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であることを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないことを示す。
好ましい実施形態では、本発明による第1の個別化治療法は、遺伝子ANGPTL2、ANGPTL4、APBB2、BMPR2、BPGM、C13orf33、C5orf13、NPR3/C5orf23、CACHD1、CALD1、CDH6、CDKN2B、CILP、CNTN1、COL10A1、COL12A1、COL27A1、DACT1、DIXDC1、DNAJB5、DNAJC18、ELTD1、EPHA4、ESM1、FAP、FGD6、FGF1、FGF2、FLJ10357、FLT−1、FN1、FRMD4A、FRMD6、GAS1、GEM、GFPT2、GPR161、HAS2、HEY1、HIC1、HS3ST3A1、IGFBP3、IGFBP7、IL11、INHBA、KAL1、KIAA1755、KLF7、LARP6、LMCD1、LMO4、LOC100128178、LOC644242、LOC728264、LOH3CR2A、LRRC8A、MEOX1、MEX3B、MFAP2、MGC16121、MSC、MURC、NEDD9、NGF、NOX4、NPR2、NUAK1、OSGIN2、PALLD、PALM2、PDGFA、PDGFC、PDLIM4、PDPN、PGM2L1、PKNOX2、PMEPA1、PODXL、PPM1E、PTHLH、RASD1、RASGRP3、RASL12、RGS4、RNF150、RUNX1、S1PR5、SEMA6D、SERPINE1、SETBP1、SHISA2、SLC46A3、SNCAIP、SNORD114−3、SOX6、SPSB1、STK38L、SYNE1、SYTL4、TCF4、TGFB2、TIMP3、TMEM88、TNC、TNS1、TPM1、TSHZ3、TSPAN2、VEPH1、WNT2、WNT9AおよびZEB1遺伝子、および配列番号1〜13の配列を有するプローブと特異的にハイブリダイズする遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の補助放射線療法もしくは化学療法を受ける候補であることを示し、または前記遺伝子の1以上の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の放射線療法もしくは化学療法を受ける候補ではないことを示す。
用語「特異的にハイブリダイズする」は、本発明で用いる場合、高ストリンジェント条件または中ストリンジェント条件下で2つのポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを可能とする条件を意味する。「高ストリンジェント条件」および「中ストリンジェント条件」という表現は、以下で本発明のキットに関して定義され、本方法に関して等しく適用可能である。
本発明の第1の個別化治療法に使用される種々の遺伝子の発現レベルは、前記遺伝子によりコードされているmRNAのレベルを決定することにより、または前記遺伝子によりコードされているポリペプチドのレベルを決定することによって決定することができる。
第2の工程において、本発明による第1の個別化治療法は、前記遺伝子の参照値に比べて前記遺伝子の発現レベルの増大を示す患者を、外科的処置後の補助放射線療法もしくは化学療法を受ける候補と特定し、または参照値に比べて前記遺伝子の発現レベルの減少を示す患者を、手術後の放射線療法もしくは化学療法を受ける候補ではない患者として特定することを含んでなる。
用語「手術」は、本発明で用いる場合、治療または矯正をもたらすためのヒトまたは他の哺乳動物の身体に対する手または器具を使った手の方法論的行為を含むいずれの治療的手法も意味する。
本発明で用いる場合、用語「化学療法」、「化学療法薬」は、広義には、癌、腫瘍または悪性新生物の処置のための、細胞傷害薬または細胞増殖抑制薬の療法を含む化学的薬物またはそれらの組合せの使用を意味する。本発明に従い得る化学療法薬の例としては、
・アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、ストレプトゾシン、カルムスチン、ロムスチン、メルファラン、ブスルファン、ダカルバジン、テモゾロミド、チオテパまたはアルトレタミン);
・白金薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン);
・代謝拮抗薬(例えば、5−フルオロウラシル、カペシタビン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビンまたはペメトレキセド);
抗腫瘍抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アクチノマイシン−D、ブレオマイシン、マイトマイシン−Cまたはミトキサントロン);
・有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、イキサベピロン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンデシンまたはエストラムスチン);および
・トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、ジフロモテカンまたはエロモテカン)
が挙げられる。
・アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、ストレプトゾシン、カルムスチン、ロムスチン、メルファラン、ブスルファン、ダカルバジン、テモゾロミド、チオテパまたはアルトレタミン);
・白金薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン);
・代謝拮抗薬(例えば、5−フルオロウラシル、カペシタビン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビンまたはペメトレキセド);
抗腫瘍抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アクチノマイシン−D、ブレオマイシン、マイトマイシン−Cまたはミトキサントロン);
・有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、イキサベピロン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンデシンまたはエストラムスチン);および
・トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、ジフロモテカンまたはエロモテカン)
が挙げられる。
用語「放射線療法」は、内部および外部照射療法または放射免疫治療を含む多種の放射線療法、ならびにX線、γ線、α粒子、β粒子、光子、電子、中性子、放射性同位元素、および他の形態の電磁放射線を含む様々な種類の放射線の使用を意味して、当技術分野で慣用される用語である。
好ましい実施形態では、療法は術前補助療法または補助化学療法である。
用語「術前補助療法」は、本発明で用いる場合、癌に罹患している患者において、原発腫瘍の外科的切除の前に施される任意のタイプの癌処置を意味する。術前補助療法の最も一般的な理由は、より効果的な手術を助長するために腫瘍のサイズを縮小することである。術前補助療法は、放射線療法、ならびにホルモン療法、化学療法、免疫療法およびモノクローナル抗体療法などの療法、好ましくは、全身療法を含んでなる。
用語「補助療法」は、本明細書において、転移のリスクおよび/または再発の可能性のある癌に罹患している患者において、通常は原発腫瘍の外科的切除後に付加的処置として施される任意のタイプの癌処置(例えば、化学療法または放射線療法)を意味する。このような補助療法の目的は、予後を改善することである。補助療法は、放射線療法、ならびにホルモン療法、化学療法、免疫療法およびモノクローナル抗体療法などの療法、好ましくは、全身療法を含んでなる。
好ましい実施形態では、化学療法は、1以上のTGF−β阻害剤の使用を含んでなる。
本発明において「TGFβ阻害剤」は、TGFβとその受容体との間の相互作用により引き起こされるシグナル伝達を妨げることができる任意の化合物として理解される。本発明に従って使用可能なTGFβ1阻害剤としては、TGFβのその受容体への競合的またはアロステリック的結合を妨げる化合物、TGFβに結合する化合物およびTGFβの細胞内シグナル伝達を阻害する化合物が含まれる。TGFβ阻害剤の阻害能を決定するために適切なアッセイとしては、Mv−1−Lu細胞増殖アッセイにおいて阻害剤を使用することによるTGFβ生物活性のin vitro阻害、ならびにCCl4により誘発される急性肝臓傷害のモデル(WO200519244号に開示)を用いた阻害剤によるTGFβ生物活性のin vivo阻害が含まれる。TGF−βアンタゴニストに関してより詳しくは、Wojtowicz-Praga (2003)も参照。
本発明における使用に好適なTGFβ阻害剤としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
・TGFβと本来結合し阻害する可溶性タンパク質(LAP、デコリン、フィブロモジュリン、ルミカン、エンドグリン、α2−マクログロブリン)。
・リガンドとの結合をめぐってTGFβ内因性受容体と競合する、BAMBIとしての受容体。本発明では、TGFβ可溶性受容体は、生理学的にエンドグリンまたはベタグリカン(III型受容体)のタンパク質分解性プロセシングにより、またはI型およびII型TGFβ受容体の細胞外ドメインのみを発現させることによる組換え技術により得ることができる、TGFβ受容体の細胞外ドメインと理解される。
・限定されるものではないが、多重特異性、ポリクローナル、モノクローナル抗体およびそのF(ab’)2、Fabフラグメント、例えば、EP117544号明細書、Ling et al., (J. Amer. Soc. Nephrol. 14: 377-388 (2003)), McCormick et al (J. Immunol., 1999, 163:5693-5699) および Cordeiro (Curr. Opin. MoI. Ther., 2003, 5:199-203)に記載されているものを含む、阻害性抗TGFβ抗体。
・TGFβ受容体およびTGFβ受容体可溶性型に特異的なモノクローナルおよびポリクローナル抗体。
・例えば、DaCosta Bayfield (Mol. Pharmacol., 2004, 65:744-52), Laping (Curr. Opin. Pharmacol., 2003, 3:204-8)およびLaping (Mol. Pharmacol., 2002, 62:58-64)に記載されているTGF−β受容体I型キナーゼ阻害剤。
・小分子、例えば、トラニラスト(N−[3,4−ジメトキシシンナモイル]−アントラニル酸)(Wilkenson, K. A. 2000)、SB−431542(TGF−β受容体IIの阻害剤);4−(5−ベンゾール[1,3]ジオキソール−5−イル−4−ピリジン(pyrldin)−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル)−ベンズアミド水和物、4−[4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−5−(2−ピリジル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド水和物、4−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−(2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド水和物);NPC−30345(TGF−β受容体Iの阻害剤);LY364947(TGF−β受容体Iの阻害剤;4−[3−(2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン);A−83−01(TGF−β受容体I型の阻害剤;3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−フェニルチオカルバモイル−4−キノリン−4−イルピラゾール);LY2157299(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);LY550410(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);LY580276(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);LY566578(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);SB−505124(TGF−β受容体I型の選択的阻害剤;2−(5−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−2−tert−ブチル−3H−イミダゾール−4−イル)−6−メチルピリジン塩酸塩);SD−093(TGF−β受容体I型の阻害剤;Scios Inc);またはSD−208(TGF−β受容体I型の阻害剤)。
・Mittl (1996)に公開されているようなTGF−β1、TGF−β2またはTGF−β3の一部であるペプチド。
・TGF−β1、TGF−β2またはTGF−β3ペプチドの末端から数えて112個のアミノ酸を含んでなるペプチド。これらのペプチドの開始部はRXXRモチーフの後にあり、TGF−β1、TGF−β2またはTGF−β3ペプチドの末端までの113個のアミノ酸で終わり、ここで、Rはアミノ酸アルギニンであり、XXは任意のアミノ酸を表すか、またはアミノ酸無しであってもよい。
・TGF−β特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAまたはshRNA。
・TGFβと本来結合し阻害する可溶性タンパク質(LAP、デコリン、フィブロモジュリン、ルミカン、エンドグリン、α2−マクログロブリン)。
・リガンドとの結合をめぐってTGFβ内因性受容体と競合する、BAMBIとしての受容体。本発明では、TGFβ可溶性受容体は、生理学的にエンドグリンまたはベタグリカン(III型受容体)のタンパク質分解性プロセシングにより、またはI型およびII型TGFβ受容体の細胞外ドメインのみを発現させることによる組換え技術により得ることができる、TGFβ受容体の細胞外ドメインと理解される。
・限定されるものではないが、多重特異性、ポリクローナル、モノクローナル抗体およびそのF(ab’)2、Fabフラグメント、例えば、EP117544号明細書、Ling et al., (J. Amer. Soc. Nephrol. 14: 377-388 (2003)), McCormick et al (J. Immunol., 1999, 163:5693-5699) および Cordeiro (Curr. Opin. MoI. Ther., 2003, 5:199-203)に記載されているものを含む、阻害性抗TGFβ抗体。
・TGFβ受容体およびTGFβ受容体可溶性型に特異的なモノクローナルおよびポリクローナル抗体。
・例えば、DaCosta Bayfield (Mol. Pharmacol., 2004, 65:744-52), Laping (Curr. Opin. Pharmacol., 2003, 3:204-8)およびLaping (Mol. Pharmacol., 2002, 62:58-64)に記載されているTGF−β受容体I型キナーゼ阻害剤。
・小分子、例えば、トラニラスト(N−[3,4−ジメトキシシンナモイル]−アントラニル酸)(Wilkenson, K. A. 2000)、SB−431542(TGF−β受容体IIの阻害剤);4−(5−ベンゾール[1,3]ジオキソール−5−イル−4−ピリジン(pyrldin)−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル)−ベンズアミド水和物、4−[4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−5−(2−ピリジル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド水和物、4−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−(2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド水和物);NPC−30345(TGF−β受容体Iの阻害剤);LY364947(TGF−β受容体Iの阻害剤;4−[3−(2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン);A−83−01(TGF−β受容体I型の阻害剤;3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−フェニルチオカルバモイル−4−キノリン−4−イルピラゾール);LY2157299(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);LY550410(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);LY580276(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);LY566578(TGF−β受容体I型の阻害剤;Lilly Research);SB−505124(TGF−β受容体I型の選択的阻害剤;2−(5−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−2−tert−ブチル−3H−イミダゾール−4−イル)−6−メチルピリジン塩酸塩);SD−093(TGF−β受容体I型の阻害剤;Scios Inc);またはSD−208(TGF−β受容体I型の阻害剤)。
・Mittl (1996)に公開されているようなTGF−β1、TGF−β2またはTGF−β3の一部であるペプチド。
・TGF−β1、TGF−β2またはTGF−β3ペプチドの末端から数えて112個のアミノ酸を含んでなるペプチド。これらのペプチドの開始部はRXXRモチーフの後にあり、TGF−β1、TGF−β2またはTGF−β3ペプチドの末端までの113個のアミノ酸で終わり、ここで、Rはアミノ酸アルギニンであり、XXは任意のアミノ酸を表すか、またはアミノ酸無しであってもよい。
・TGF−β特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAまたはshRNA。
他の好適なTGF−β阻害剤は、Kelly and Morris (J. Immunotoxicol., 2010, 7: 15-26)に示されているように、表2に定義されているものである。
好ましい実施形態では、療法は、術前補助化学療法または補助化学療法である。
用語「術前補助療法」は、本発明で用いる場合、癌に罹患している患者において原発腫瘍の外科的切除前に施される任意のタイプの癌処置を意味する。術前補助療法の最も一般的な理由は、より効果的な手術を助長するために腫瘍のサイズを縮小することである。術前補助療法は、放射線療法、ならびにホルモン療法、化学療法、免疫療法およびモノクローナル抗体療法などの療法、好ましくは、全身療法を含んでなる。
用語「補助療法」は、本発明で用いる場合、転移のリスクおよび/または再発の可能性のある癌に罹患している患者において、通常は原発腫瘍の外科的切除後に付加的処置として施される任意のタイプの癌処置(例えば、化学療法または放射線療法)を意味する。このような補助療法の目的は、予後を改善することである。補助療法は、放射線療法、ならびにホルモン療法、化学療法、免疫療法およびモノクローナル抗体療法などの療法、好ましくは、全身療法を含んでなる。
別の態様において、本発明は、結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性のある患者を選択するための方法(以下、「本発明の第2の個別化治療法」)であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がありことを示す。
本発明で用いる場合、用語「処置」または「療法」は区別無く使用することができ、疾患もしくは障害、または再発性の疾患もしくは障害の1以上の症状を予防する、治癒させる、遅延させる、その重篤度を軽減する、または改善することを試みる、あるいは患者の生存をこのような処置の不在下で予想される期間を超えて延長するための、臨床介入を意味する。
用語「結腸直腸癌」は、本発明の予後法に関して詳細に記載されており、本発明による個別化方法に関しても同じ意味で使用される。
第1の工程において、本発明による第2の個別化治療法は、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる。
用語「結腸直腸癌」、「患者」、「NPR3/C5orf23遺伝子」、「CDKN2B遺伝子」、「FLT1遺伝子」、「発現レベル」、「サンプル」、および「療法」は上記で詳細に記載されており、本方法による方法に等しく適用される。
さらに別の好ましい方法では、本発明による第2の個別化治療法は、NPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定に加えて、FRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、SETBP1、FLJ10357、DACT、MURCおよびCol10A1からなる群から選択される1以上の遺伝子の発現レベルの決定をさらに含んでなり、ここで、前記遺伝子の1以上の参照値に比べての前記遺伝子の1以上の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であることを示し、前記遺伝子の1以上の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の放射線療法または化学療法を受ける候補ではないことを示す。
好ましい実施形態では、本発明による第2の個別化治療法は、遺伝子CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FRMD6、IGFBP3およびESM1の発現レベルの決定を含んでなり、前記決定は、病期II結腸直腸癌に罹患している患者由来のサンプルで行われる。
別の好ましい実施形態では、本発明による第2の個別化治療法は、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FGF1、GEM、およびMEX3B遺伝子のレベルの決定を含んでなり、前記決定は、病期III結腸直腸癌に罹患している患者において行われる。
これらの各遺伝子に関する用語は上記で詳細に記載され、本方法による方法に等しく適用される。
さらに別の実施形態では、本発明による第2の個別化治療法は、表1に示される、CAF富化対EPCAM+欄に2より高いFC値を有する遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す。
よって、別の実施形態では、本発明による第2の個別化治療法は、ANGPTL2、ANGPTL4、APBB2、BMPR2、BPGM、C13orf33、C5orf13、NPR3/C5orf23、CACHD1、CALD1、CDH6、CDKN2B、CILP、CNTN1、COL10A1、COL12A1、COL27A1、DACT1、DIXDC1、DNAJB5、DNAJC18、ELTD1、EPHA4、ESM1、FAP、FGD6、FGF1、FGF2、FLJ10357、FLT−1、FN1、FRMD4A、FRMD6、GAS1、GEM、GFPT2、GPR161、HAS2、HEY1、HIC1、HS3ST3A1、IGFBP3、IGFBP7、IL11、INHBA、KAL1、KIAA1755、KLF7、LARP6、LMCD1、LMO4、LOC100128178、LOC644242、LOC728264、LOH3CR2A、LRRC8A、MEOX1、MEX3B、MFAP2、MGC16121、MSC、MURC、NEDD9、NGF、NOX4、NPR2、NUAK1、OSGIN2、PALLD、PALM2、PDGFA、PDGFC、PDLIM4、PDPN、PGM2L1、PKNOX2、PMEPA1、PODXL、PPM1E、PTHLH、RASD1、RASGRP3、RASL12、RGS4、RNF150、RUNX1、S1PR5、SEMA6D、SERPINE1、SETBP1、SHISA2、SLC46A3、SNCAIP、SNORD114−3、SOX6、SPSB1、STK38L、SYNE1、SYTL4、TCF4、TGFB2、TIMP3、TMEM88、TNC、TNS1、TPM1、TSHZ3、TSPAN2、VEPH1、WNT2、WNT9AおよびZEB1遺伝子、ならびに配列番号1〜13の配列を有するプローブと特異的にハイブリダイズする遺伝子の発現レベルの決定をさらに含んでなり、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、または前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す。
用語「特異的にハイブリダイズする」は、本発明で用いる場合、高ストリンジェント条件または中ストリンジェント条件下で2つのポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを可能とする条件を意味する。「高ストリンジェント条件」および「中ストリンジェント条件」という表現は、本発明のキットに関して以下に定義され、本方法に関して等しく適用可能である。
本発明の第2の個別化治療法に使用される種々の遺伝子の発現レベルは、前記遺伝子によりコードされるmRNAのレベルを決定することにより、または前記遺伝子によりコードされているポリペプチドのレベルを決定することによって決定することができる。
第2の工程において、本発明による個別化治療法は、前記遺伝子の参照値に比べて前記遺伝子の発現レベルの増大を示す患者を、外科的処置後の療法から利益を受ける可能性のある患者と特定し、または前記遺伝子の参照値に比べて前記遺伝子の発現レベルの減少を示す患者を、外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がない患者として特定することを含んでなる。
用語「利益」は、患者の病態を改善することを意味する。有益なまたは所望の臨床結果としては、限定されるものではないが、検出可能なものと検出可能でないものの両方の、症状の解除、疾患期間の短縮、病的状態の安定化(特に、非悪化)、疾患の進行の緩徐化、病的状態の改善、処置が適用されない場合に予想される生存期間に比べての生存期間の延長、および緩解(部分的および完全の両方)が含まれる。
特定の実施形態では、患者が候補となるまたはならない外科的処置後の療法は、化学療法、放射線療法および/またはTGF−β阻害剤を含んでなる療法からなる群から選択される療法である。
用語「手術」または「外科的処置」、「化学療法」、「化学療法薬」、「放射線療法」、および「TGF−β阻害剤を含んでなる療法」は上記に詳細に記載されており、本方法による方法に等しく適用される。
TGF−β2およびTGF−β3の発現レベルに基づく個別化医療
さらに別の態様では、本発明は、患者において結腸直腸癌の好適な処置を選択するための方法(以下、「本発明の第3の個別化治療法」)であって、前記患者由来のサンプルにおけるTGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の補助放射線療法もしくは化学療法を受ける候補であることを示し、または各遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の補助放射線療法もしくは化学療法を受ける候補ではないことを示す。
さらに別の態様では、本発明は、患者において結腸直腸癌の好適な処置を選択するための方法(以下、「本発明の第3の個別化治療法」)であって、前記患者由来のサンプルにおけるTGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定を含んでなる方法に関し、ここで、前記遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの増大は、前記患者が外科的処置後の補助放射線療法もしくは化学療法を受ける候補であることを示し、または各遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの減少は、前記患者が外科的処置後の補助放射線療法もしくは化学療法を受ける候補ではないことを示す。
用語「処置を選択する」、「結腸直腸癌」、「サンプル」、「患者」、「TGF−β2」、「TGF−β3」、「発現レベルの増大」、「補助療法」、「放射線療法」、「化学療法」は上記に本発明による予後法および個別化に関して記載されており、本方法に等しく適用される。
好ましい実施形態では、本発明による第3の個別化治療法は、患者が化学療法または放射線療法を受ける候補であるかどうかを決定するために行われる。さらに別の実施形態では、化学療法は、上記のようにTGF−β阻害剤の使用に基づく。
好ましい実施形態では、本発明による第3の個別化治療法は、患者の腫瘍病期を決定することをさらに含んでなり、高い腫瘍病期は、前記患者が外科的処置後の補助放射線療法もしくは化学療法を受ける候補であることを示し、または低い腫瘍病期は、前記患者が低い再発リスクを呈することを示す。
さらに別の実施形態では、本発明による第3の個別化治療法は、結腸直腸癌が病期IIまたは病期IIIの結腸直腸腫瘍である患者において行われる。
さらに別の実施形態では、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルは、前記遺伝子のmRNAレベルを決定することにより決定される。さらにより好ましい実施形態では、mRNAレベルの決定はRT−PCRにより行われる。別の実施形態では、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定は、前記遺伝子によりコードされるタンパク質のレベルを決定することにより行われる。
別の実施形態では、前記遺伝子の発現レベルの決定が行われるサンプルは、腫瘍生検または体液からなる群から選択される。サンプルが体液である、さらにより好ましい実施形態では、体液は血液、血漿および血清からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、化学療法はTGF−β阻害剤に基づく。用語「TGF−β阻害剤」は上記に定義されている。
本発明の個別化療法
上記で定義した予後法および個別化治療法はまた、結腸直腸癌に罹患している患者に個別化療法を提供することを可能とする。特に、高い再発リスクを有すると見なされる患者は、手術後の付加的療法から利益を得る可能性が最も高い。逆に、低い再発リスクを示す患者は、手術後の付加的治療処置をなしで済ますことができる。
上記で定義した予後法および個別化治療法はまた、結腸直腸癌に罹患している患者に個別化療法を提供することを可能とする。特に、高い再発リスクを有すると見なされる患者は、手術後の付加的療法から利益を得る可能性が最も高い。逆に、低い再発リスクを示す患者は、手術後の付加的治療処置をなしで済ますことができる。
よって、別の態様において、本発明は、癌の外科的除去後に患者の結腸直腸癌の処置に使用するための療法に関し、この場合、患者は、本発明の第1、第2または第3の個別化治療法により選択される。
特定の実施形態では、療法は、化学療法、放射線療法および/またはTGF−β阻害剤を含んでなる療法からなる群から選択される。
用語「療法」、「処置」、「結腸直腸癌」、「患者」、「放射線療法」、「手術」または「外科的処置」、「化学療法」、「化学療法薬」、「放射線療法」、および「TGF−β阻害剤を含んでなる療法」は上記に詳細に記載されており、本発明の個別化療法にも等しく適用される。
本発明のキット
別の実施形態では、本発明は、F−TBRSサイン、F−TBRSに由来するミニサインを形成する遺伝子の発現レベルまたはTGF−β2および/もしくはTGF−β3の発現レベルの決定に有用なキットに関する。よって、好ましい実施形態では、本発明のキットは、NPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬を含んでなる。
別の実施形態では、本発明は、F−TBRSサイン、F−TBRSに由来するミニサインを形成する遺伝子の発現レベルまたはTGF−β2および/もしくはTGF−β3の発現レベルの決定に有用なキットに関する。よって、好ましい実施形態では、本発明のキットは、NPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬を含んでなる。
別の実施形態では、本発明のキットは、NPR3/C5orf23、CDKN2B、FLT1遺伝子、ならびにFRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、SETBP1、FLJ10357、DACT、MURCおよびCol10A1遺伝子からなる群から選択される1以上の付加的遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬を含んでなる。
別の実施形態では、本発明によるキットは、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FRMD6、IGFBP3およびESM1遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬を含んでなる。
別の実施形態では、本発明によるキットは、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FGF1、GEM、およびMEX3B遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬を含んでなる。
別の実施形態では、本発明によるキットは、表1に示される、癌関連線維芽細胞が富化された細胞集団(富化CAF)とEPCAM+との間で差次的に発現され、かつ、前記第1の細胞集団において少なくとも2倍の増加を有する遺伝子の1以上の発現レベルの決定に十分な試薬をさらに含んでなる。
別の実施形態では、前記キットは、ANGPTL2、ANGPTL4、APBB2、BMPR2、BPGM、C13orf33、C5orf13、NPR3/C5orf23、CACHD1、CALD1、CDH6、CDKN2B、CILP、CNTN1、COL10A1、COL12A1、COL27A1、DACT1、DIXDC1、DNAJB5、DNAJC18、ELTD1、EPHA4、ESM1、FAP、FGD6、FGF1、FGF2、FLJ10357、FLT−1、FN1、FRMD4A、FRMD6、GAS1、GEM、GFPT2、GPR161、HAS2、HEY1、HIC1、HS3ST3A1、IGFBP3、IGFBP7、IL11、INHBA、KAL1、KIAA1755、KLF7、LARP6、LMCD1、LMO4、LOC100128178、LOC644242、LOC728264、LOH3CR2A、LRRC8A、MEOX1、MEX3B、MFAP2、MGC16121、MSC、MURC、NEDD9、NGF、NOX4、NPR2、NUAK1、OSGIN2、PALLD、PALM2、PDGFA、PDGFC、PDLIM4、PDPN、PGM2L1、PKNOX2、PMEPA1、PODXL、PPM1E、PTHLH、RASD1、RASGRP3、RASL12、RGS4、RNF150、RUNX1、S1PR5、SEMA6D、SERPINE1、SETBP1、SHISA2、SLC46A3、SNCAIP、SNORD114−3、SOX6、SPSB1、STK38L、SYNE1、SYTL4、TCF4、TGFB2、TIMP3、TMEM88、TNC、TNS1、TPM1、TSHZ3、TSPAN2、VEPH1、WNT2、WNT9AおよびZEB1遺伝子、ならびに配列番号1〜13の配列を有するプローブと特異的にハイブリダイズする遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明のキットは、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬を含んでなる。
好ましい実施形態では、1以上の遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬は、そのキットを形成する遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬の総量の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%を占める。よって、NPR3/C5ORF23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定のための試薬を含んでなるキットの特定の場合では、前記遺伝子に特異的な試薬(例えば、NPR3/C5ORF23遺伝子、CDKN2BおよびFLT1遺伝子とストリンジェント条件下でハイブリダイズすることができるプローブ)は、そのキット中に存在するプローブの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%を占める。
さらなる実施形態では、1以上の遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬は、そのキットを形成する試薬の総量の少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を占める。
本発明に関して、「キット」は、輸送および保存を可能とするために梱包された、本発明の方法を実施するのに必要な種々の試薬を含有する製品と理解される。キットの成分を梱包するのに好適な材料としては、水晶、プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど)、ボトル、バイアル、紙、エンベロープなどが含まれる。さらに、本発明のキットは、キット内にある種々の成分の同時、逐次または個別使用に関する説明書を含み得る。前記説明書は、印刷文書の形態であっても、または電子保存媒体(磁気ディスク、テープなど)、光媒体(CD−ROM、DVD)など、被験体により読み取りが可能であるような、説明書を保存することができる電子支援の形態であってもよい。加えて、またはその代わりに、媒体は、前記説明書を提供するインターネットアドレスを含むこともできる。
「遺伝子の発現レベルの決定を可能とする試薬」という表現は、mRNAレベルの決定の手段によるか、またはタンパク質レベルの決定の手段によるかの両方で、遺伝子の発現レベルの決定を可能とする化合物または化合物セットを意味する。よって、第1のタイプの試薬は、前記遺伝子によりコードされているmRNAと特異的にハイブリダイズすることができるプローブを含む。第2のタイプの試薬は、マーカー遺伝子によりコードされているタンパク質と特異的に結合する化合物を含み、特異的アプタマーであってもよいが、好ましくは抗体を含む。
本発明のキットの特定の実施形態では、キットの試薬は、上述の遺伝子のmRNAレベルおよび/または上述の遺伝子の1以上によりコードされているタンパク質のレベルを特異的に検出することができる核酸である。上述の遺伝子と特異的にハイブリダイズすることができる核酸は、前記遺伝子のmRNA(またはそれらの対応するcDNA)のフラグメントの特異的増幅のための1対以上のプライマーオリゴヌクレオチドであり得る。
好ましい実施形態では、本発明のキットの第1の成分は、上述の遺伝子と特異的にハイブリダイズすることができるプローブを含んでなる。
用語「特異的にハイブリダイズする」は、本発明で用いる場合、高ストリンジェント条件または中ストリンジェント条件下で2つのポリヌクレオチドのハイブリダイズを可能とする条件と意味する。
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者ならば容易に決定することができ、一般に、プローブ長、洗浄温度、および塩濃度に応じた経験的計算である。一般に、長いプローブほど適切なアニーリングに高温を要し、短いプローブほど低温を要する。ハイブリダイゼーションは一般に、相補鎖がそれらの融点よりも低い環境に存在する場合の、変性したDNAの再アニーリング能に依存する。プローブとハイブリダイズ可能配列との間に望まれる相同性の程度が高いほど、使用可能な相対温度は高くなく。結果として、相対温度が高いほど反応条件をよりストリンジェントとする傾向があり、温度が低いほどストリンジェンシーは小さくなるということになる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーについてのさらなる詳細および説明としては、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照。
「ストリンジェント条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、本明細書で定義される場合、一般に、(1)洗浄に低いイオン強度および高温、例えば、50℃で0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用い;(2)ハイブリダイゼーション中に、42℃で、変性剤、例えば、ホルムアミド、例えば、50%(v/v)ホルムアミドを、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム含有)とともに用い;または(3)42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、音波処理済みサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%デキストラン硫酸を用い、42℃、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%ホルムアミド中で洗浄した後、55℃、EDTA含有0.1×SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を行う。
「中ストリンジェント条件」は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Press, 1989に記載の通りに特定することができ、上記のものより低いストリンジェントの洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度および%SDS)の使用を含む。中ストリンジェント条件の一例は、37℃、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%デキストラン硫酸、および20mg/ml変性剪断サケ精子DNAを含んでなる溶液中での一晩のインキュベーションと、その後の約37〜50℃、1×SSC中でのフィルターの洗浄である。当業者ならば、プローブ長などの因子を適合させるために必要に応じて温度、イオン強度などをどのように調整すればよいかを認識している。
本発明において同定する複数の遺伝子の発現レベルを同時に決定する場合、その発現をマイクロアレイハイブリダイゼーションで決定する総ての遺伝子のプローブを含むことが有用である。
マイクロアレイは、支持体(例えば、バイオチップ)に空間的に分布させ、安定に結合させた複数の核酸を含んでなる。これらの核酸は、発現を検出する遺伝子の特定の部分配列に相補的な配列を有し、従って、前記核酸とハイブリダイズすることができる。本発明の方法において、核酸アレイを含んでなるマイクロアレイを、試験対象の患者から単離した核酸調製物と接触させる。ハイブリダイゼーションに好適な条件で、マイクロアレイと核酸調製物とのインキュベーションを行う。次に、支持体に保持されなかった核酸を排出した後、ハイブリダイゼーションパターンを検出し、これらは分析サンプルの遺伝学的プロフィールに関する情報を提供する。これらのマイクロアレイは、サンプル中に存在する核酸の定性的および定量的両方の情報を提供することができるが、本発明は、定量的情報を提供することができるアレイおよび方法論の使用を必要とする。
本発明は、プローブのタイプに関して、また、使用する支持体のタイプに関して様々なアレイを企図する。アレイに含まれる、核酸とハイブリダイズすることができるプローブは、ハイブリダイゼーション能を維持する核酸またはそれらの類似体、例えば、ホスホジエステル結合がホスホロチオエート、メチルイミン、メチルホスホネート、ホスホルアミダート、グアニジン結合などで置換されている核酸、ヌクレオチドのリボースが別のヘキソースで置換されている核酸、ペプチド核酸(PNA)であり得る。プローブ長は、5〜50ヌクレオチド、好ましくは、7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、100ヌクレオチドであり得、10〜1000ヌクレオチドの範囲、好ましくは15〜150ヌクレオチドの範囲、より好ましくは15〜100ヌクレオチドの範囲で可変であり、一本鎖核酸であっても二本鎖核酸であってもよい。アレイは、ある特定の長さのある特定のmRNAの特異的プローブを総て含むこともできるし、またはmRNAの異なる領域から選択されたプローブを含むこともできる。各プローブは、荷電塩基を、好ましくはプローブの中央部分に有するプローブを用いて並行アッセイを行う。アレイを、アレイのプローブに相補的な配列を有する核酸を含有するサンプルと接触させ、各プローブとの、および対応するハイブリダイゼーション対照とのハイブリダイゼーションシグナルを決定する。プローブとそのハイブリダイゼーション対照のハイブリダイゼーションシグナル間に大きな違いが見られるプローブを選択する。最適化プロセスは、ハイブリダイゼーションアレイを、そのアレイのプローブに相補的な配列を含まないサンプルとハイブリダイズさせる第2ラウンドの最適化を含むことができる。この第2ラウンドの選択の後、閾値レベルよりも低いハイブリダイゼーションシグナルを有するプローブが選択される。従って、両方の制御を通過する、すなわち、最小レベルの非特異的ハイブリダイゼーションを示し、かつ、標的核酸と最大レベルの特異的ハイブリダイゼーションを示すプローブが選択される。
種々の標的遺伝子に特異的なプローブの選択は、それらが標的核酸と特異的に結合し、無関連の遺伝子とは最小のハイブリダイゼーションとなるように行う。しかしながら、20ヌクレオチドのプローブも存在し、これらは特定のmRNAにユニークなものではない。従って、前記配列に対するプローブは、無関連の遺伝子のmRNAに見られるものと同一の配列と交差ハイブリダイゼーションを示すことになる。さらに、使用する条件では標的遺伝子と特異的にハイブリダイズしないプローブも存在する(二次構造またはアレイの基質との相互作用のため)。このタイプのプローブはアレイに含まれてはならない。従って、当業者ならば、ある特定のアレイに組み込もうとするプローブは、それらをアレイに組み込む前に最適化しなければならないことを見て取るであろう。プローブの最適化は一般に、ある特定の標的ポリヌクレオチドの異なる領域に対する複数のプローブを含有するアレイを作製することによって行われる。このアレイをまず、標的核酸を単離された形態で含有するサンプルと接触させ、次に、核酸の複合体混合物と接触させる。従って、標的核酸と特異性の高いハイブリダイゼーションを示すが、複合体サンプルとのハイブリダイゼーションが高いかまったくハイブリダイズしないプローブが、本発明のアレイへの組み込みのために選択される。さらに、このアレイに、試験しようとする各プローブのハイブリダイゼーション対照を含むことができる。好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーション対照は、プローブの中央領域に変異箇所を含む。試験プローブとそのハイブリダイゼーション対照との間に高レベルのハイブリダイゼーションが見られる場合にが、そのプローブはアレイに含まれない。
本発明のマイクロアレイは、確定された病態生理学的状況を示す、ポリヌクレオチドに対する特異的プローブを含むだけでなく、一連の対照プローブも含み、これらのプローブは、正規化対照、発現レベル対照およびハイブリダイゼーション対照という3つのタイプであり得る。
正規化対照は、分析する核酸調製物に加える、標識参照配列に完全に相補的なオリゴヌクレオチドである。ハイブリダイゼーション後に正規化対照から得られるシグナルは、ハイブリダイゼーション条件、マーカー強度、検出効率、および異なるマイクロアレイ間でハイブリダイゼーションシグナルの変動をもたらし得る別の系列の因子における変動の示唆を与える。アレイの残りのプローブから検出されるシグナルは、好ましくは対照プローブにより発せられたシグナルで割って、測定値を正規化する。事実上、いずれのプローブも正規化対照として使用可能である。しかしながら、ハイブリダイゼーション効率は、ヌクレオチド組成およびプローブ長によって変動することが知られている。よって、正規化プローブはアレイ中に存在する残りのプローブを反映する範囲の長さを含むように選択することができるが、好ましい正規化プローブは、アレイ中に存在するプローブの平均長を表すものである。正規化プローブは、アレイ中に存在する残りのプローブの平均ヌクレオチド組成を反映するように設計することができる。限られた数の正規化プローブは好ましくは、それらが適切にハイブリダイズするように、すなわち、それらが二次構造を持たず、かつ、使用するアレイのいずれのプローブとも配列類似性を示さないように選択される。正規化プローブは、アレイのいずれの場所に位置していてもよく、またはアレイの構造に関連するハイブリダイゼーション効率の変動を効率的に制御するためにアレイの複数の場所に位置していてもよい。正規化対照は好ましくは、アレイの隅および/またはアレイの中央に位置する。
発現対照レベルは、分析するサンプル中で構成的に発現される遺伝子と特異的にハイブリダイズするプローブである。発現レベル対照は、細胞の生理学的状態および代謝活性の対照となるように設計される。発現レベル対照と標的核酸の発現レベルの共分散を調べることで、発現レベルの変動が発現レベルの変化によるものか、または細胞の全体的な転写速度もしくはその全般的代謝活性の変化によるものかが示される。従って、細胞の生存力に不可欠なある種の代謝産物に欠乏がある細胞の場合、対照の発現レベルと同様に標的遺伝子の発現レベルにも減少が見られることが予想される。他方、標的遺伝子と対照遺伝子の発現に関して発現増が見られる場合には、それはおそらく細胞の代謝活性の増加によるものであって、標的遺伝子の発現における差次的増加によるものではない。発現対照として使用するのに好適なプローブは、β−2−ミクログロブリン、ユビキチン、リボゾームタンパク質18S、シクロフィリンA、トランスフェリン受容体、アクチン、GAPDH、チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質(YWHAZ)およびβ−アクチンなどの、必須細胞機能を発揮するタンパク質をコードする遺伝子にような構成的に発現される遺伝子に相当する。
ハイブリダイゼーション対照は、標的遺伝子に対するプローブと発現レベル対照または正規化対照に対するプローブの両方に関するものを含めることができる。エラー対照は、1または数個のヌクレオチドに突然変異を含む、すなわち、ある特定の場所に、標的遺伝子の対応するヌクレオチドとはハイブリダイズしないヌクレオチドを含むこと以外は、標的遺伝子に対するプローブと同一のオリゴヌクレオチドであるプローブである。ハイブリダイゼーション対照は、好適なハイブリダイゼーション条件を適用して、標的遺伝子が特異的プローブとハイブリダイズするが、ハイブリダイゼーション対照とはハイブリダイズしないか、または低い効率でしかハイブリダイズしないように選択される。ハイブリダイゼーション対照は好ましくは、プローブの中央に1または数個の改変部位を含む。従って、ハイブリダイゼーション対照は、サンプルの核酸の、非特異的ハイブリダイゼーションまたは正確な相補配列を含有するものとは異なるプローブへの交差ハイブリダイゼーションの程度に関する示唆を提供する。
本発明のアレイはまた、選択された対照遺伝子の部分配列に相補的なプローブである増幅対照およびサンプル調製対照も含むことができるが、これは細菌遺伝子に対するプローブなど、試験下の生物サンプル対象には通常見られないためである。RNAサンプルに、選択された対照プローブとハイブリダイズする既知量の核酸を添加した。前記プローブに対するハイブリダイゼーションの決定は、調製中の核酸の回収程度ならびにサンプルの処理中に核酸に生じた変化の評価を示す。
ひと度、好適な特異性を示すプローブセットおよび対照プローブセットが得られれば、それらをアレイの既知の場所に配置し、これにより、ハイブリダイゼーション工程および検出工程の後に、ハイブリダイゼーションの陽性シグナルと特定の遺伝子の間の相関を、そのハイブリダイゼーションの陽性シグナルが検出されるアレイの座標から確立することが可能となる。
マイクロアレイは、フォトリソグラフィーin situ合成法(Fodor et al., 1991, Science, 767-773)の手段による何千ものオリゴヌクレオチドを備えた高密度アレイであり得る。このタイプのプローブは通常、冗長であり、すなわち、それらは検出する各mRNAについて数個のプローブを含む。好ましい実施形態では、アレイは低密度アレイ、または1平方センチメートル当たり10000未満のプローブを含むLDAである。前記低密度アレイでは、固相支持体(例えば、水晶表面、膜)の異なる場所に異なるプローブをピペットで手作業により適用する。これらのプローブを固定するために使用する支持体は、プラスチック、セラミックス、金属、ゲル、膜、水晶などを含む多様な材料から得ることができる。マイクロアレイは、当業者に公知の任意の方法論を用いて得ることができる。
ハイブリダイゼーション後、非ハイブリダイズ核酸が検出段階でシグナルを発し得る場合、このような非ハイブリダイズ核酸を除去するために洗浄工程が必要である。洗浄工程は、当業者に公知の方法および溶液を用いて行われる。
核酸の標識が直接検出できない場合には、アレイに結合した標的核酸を含んでなるマイクロアレイに、検出可能なシグナルを生じる反応を起こすのに必要な系の他の成分を結合させることができる。例えば、標的核酸がビオチンで標識されている場合、このアレイを好適な条件で、蛍光試薬コンジュゲートストレプトアビジンと接触させて、ビオチンとストレプトアビジンの間の結合が生じるようにする。このマイクロアレイを、検出可能なシグナルを生じる系とともにインキュベートした後、このアレイに非特異的に結合した分子を総て除去するために洗浄工程を行う必要がある。洗浄条件は、検出可能なシグナルを生じる、当業者に周知の系に従って、好適な条件を用いて当業者により決定される。
得られたハイブリダイゼーションパターンはいくつかの異なる方法で可視化または検出することができ、前記検出はマイクロアレイで使用される系のタイプによって決定される。よって、ハイブリダイゼーションパターンの検出は、シンチレーション計数、オートラジオグラフィー、蛍光シグナルの測定、熱量計測定、光シグナルの検出などの手段によって行うことができる。
ハイブリダイゼーションと、存在し得るその後の洗浄および処理プロセスの後、ハイブリダイゼーションパターンを検出および定量し、それに関して、アレイにおけるハイブリダイゼーションの各点に対応するシグナルを、既知数の末端標識核酸により発せられるシグナルに対応する参照値と比較して、マイクロアレイのある点でハイブリダイズされる各核酸のコピー数の絶対値を得る。
本発明の遺伝子の発現レベルが、前記1または複数の遺伝子によりコードされている1または複数のポリペプチドのレベルを測定することにより決定される場合、本発明によるキットは、前記1または複数のポリペプチドと特異的に結合することができる試薬を含んでなる。よって、一実施形態では、本発明は、NPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子によりコードされているポリペプチドに特異的な抗体を含んでなるキットに関する。
別の実施形態では、本発明のキットは、NPR3/C5orf23、CDKN2B、FLT1遺伝子に、ならびにFRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、SETBP1、FLJ10357、DACT、MURCおよびCol10A1遺伝子によりコードされているポリペプチドからなる群から選択される1以上の付加的ポリペプチドに特異的な抗体を含んでなる。
別の実施形態では、本発明によるキットは、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FRMD6、IGFBP3およびESM1遺伝子に特異的な抗体を含んでなる。
別の実施形態では、本発明によるキットは、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FGF1、GEM、およびMEX3B遺伝子に特異的な抗体を含んでなる。
別の実施形態では、本発明によるキットは、表1に示される、癌関連線維芽細胞が富化された細胞集団(富化CAF)とEPCAM+との間に差次的に発現され、かつ、前記第1の細胞集団で少なくとも2倍の増加を有する遺伝子によりコードされているポリペプチドに特異的な抗体をさらに含んでなる。
別の実施形態では、本発明によるキットは、ANGPTL2、ANGPTL4、APBB2、BMPR2、BPGM、C13orf33、C5orf13、NPR3/C5orf23、CACHD1、CALD1、CDH6、CDKN2B、CILP、CNTN1、COL10A1、COL12A1、COL27A1、DACT1、DIXDC1、DNAJB5、DNAJC18、ELTD1、EPHA4、ESM1、FAP、FGD6、FGF1、FGF2、FLJ10357、FLT−1、FN1、FRMD4A、FRMD6、GAS1、GEM、GFPT2、GPR161、HAS2、HEY1、HIC1、HS3ST3A1、IGFBP3、IGFBP7、IL11、INHBA、KAL1、KIAA1755、KLF7、LARP6、LMCD1、LMO4、LOC100128178、LOC644242、LOC728264、LOH3CR2A、LRRC8A、MEOX1、MEX3B、MFAP2、MGC16121、MSC、MURC、NEDD9、NGF、NOX4、NPR2、NUAK1、OSGIN2、PALLD、PALM2、PDGFA、PDGFC、PDLIM4、PDPN、PGM2L1、PKNOX2、PMEPA1、PODXL、PPM1E、PTHLH、RASD1、RASGRP3、RASL12、RGS4、RNF150、RUNX1、S1PR5、SEMA6D、SERPINE1、SETBP1、SHISA2、SLC46A3、SNCAIP、SNORD114−3、SOX6、SPSB1、STK38L、SYNE1、SYTL4、TCF4、TGFB2、TIMP3、TMEM88、TNC、TNS1、TPM1、TSHZ3、TSPAN2、VEPH1、WNT2、WNT9AおよびZEB1遺伝子、ならびに配列番号1〜13の配列を有するプローブと特異的にハイブリダイズする遺伝子によりコードされているポリペプチドに特異的な抗体を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明のキットは、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子に特異的な抗体を含んでなる。
この目的で、De Wildt et al. (2000) Nat. Biotechnol. 18:989-994; Lueking et al. (1999) Anal. Biochem. 270:103-111; Ge et al. (2000) Nucleic Acids Res. 28, e3, I-VII; MacBeath and Schreiber (2000) Science 289:1760-1763;WO01/40803号およびWO99/51773A1号に記載されているものなどの抗体のアレイが有用である。アレイの抗体は、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを含む、高親和性を有するリガンドと結合することができる任意の免疫薬剤、ならびにFab’、Fab、F(ab’)2、シングルドメイン抗体またはDABS、Fv、scFvなど、抗原結合部位を有する抗体と類似の分子を含む。前記抗体を調製するための技術は当業者に非常によく知られており、Ausubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al, John Wiley & Sons (1992))が記載している方法を含む。
アレイの抗体は、例えば、市販のロボットシステム(例えば、Genetic MicrosystemsまたはBioroboticsにより作製されたもの)を用いて、高速で適用することができる。アレイの基質はニトロセルロース、プラスチック、水晶であり得、または多孔質材料、例えば、アクリルアミド、アガロースもしくは別のポリマーであり得る。別の実施形態では、アレイフィルターでそれらを培養する手段により本発明のタンパク質を検出するために、特異的抗体を産生する細胞を使用することができる。抗体の発現を誘導した後、それらをフィルターの、産生細胞が位置していたアレイの場所に固定化した。抗体のアレイを標識標的と接触させることができ、標的の固定化抗体への結合レベルを決定することができる。標的が標識されない場合には、サンドイッチ型アッセイを使用することができ、この場合、支持体に固定化されたポリペプチドに結合する、ポリペプチドに特異的な第2の標識抗体が使用される。アレイの各点において、サンプル中に存在するポリペプチドの量の定量値を発現プロフィールとしてデータベースに保存することができる。抗体のアレイは2反復で作製することができ、これらを用いて2つの異なるサンプルの結合プロフィールを比較することができる。
別の態様において、本発明は、結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、または結腸直腸癌に罹患している患者が手術後の化学療法または放射線療法の候補であるかどうかを決定するための、本発明のキットの使用に関する。好ましい実施形態では、本発明によるキットの使用は、病期IIまたは病期III CRCに罹患している患者において行われる。
本発明のさらなる態様
[1]結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者において好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性のある患者を選択するための方法であって、前記患者由来のサンプルにおける、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、
前記1または複数の遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの増大が、不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の補助療法から利益を受ける可能性があることを示し、
各遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの減少が、良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の補助療法から利益を受ける可能性がないことを示す、方法。
[1]結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者において好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性のある患者を選択するための方法であって、前記患者由来のサンプルにおける、TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、
前記1または複数の遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの増大が、不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の補助療法から利益を受ける可能性があることを示し、
各遺伝子の参照値に比べての前記1または複数の遺伝子の発現レベルの減少が、良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の補助療法から利益を受ける可能性がないことを示す、方法。
[2]患者の腫瘍病期が付加的に決定され、
高い腫瘍病期が、不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
低い腫瘍病期が、良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、態様[1]に記載の方法。
高い腫瘍病期が、不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
低い腫瘍病期が、良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、態様[1]に記載の方法。
[3]前記療法が化学療法、放射線療法および/またはTGF−β阻害剤を含んでなる療法からなる群から選択される、態様[1]または[2]のいずれかに記載の方法。
[4]前記サンプルが腫瘍生検または体液からなる群から選択される、態様[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記体液が血液、血漿および血清からなる群から選択される、態様[4]に記載の方法。
[6]TGF−β2および/またはTGF−β3遺伝子の発現レベルを決定するために十分な試薬と、場合により1以上のハウスキーピング遺伝子の発現レベルの決定のための試薬とを含んでなる、キット。
[7]結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者において好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性のある患者を選択するための、態様[6]に記載のキットの使用。
以下、下記の実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は単に例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
材料および方法
臨床材料
ヒト組織サンプルは、スペイン倫理基準に従い腫瘍バンク委員会の承認を受けてデルマール病院の病理部から入手した。本試験はヘルシンキ宣言のガイドラインに従い、本試験に関しては病理検体の患者の識別は匿名を維持した。ヒト結腸正常線維芽細胞(CCD−18Co)はATCCから入手し、試験までに10代未満の培養とした。
臨床材料
ヒト組織サンプルは、スペイン倫理基準に従い腫瘍バンク委員会の承認を受けてデルマール病院の病理部から入手した。本試験はヘルシンキ宣言のガイドラインに従い、本試験に関しては病理検体の患者の識別は匿名を維持した。ヒト結腸正常線維芽細胞(CCD−18Co)はATCCから入手し、試験までに10代未満の培養とした。
p−Smad3染色に従う腫瘍サンプルの分類
デルマール病院で常法により採取した腺腫(n=25)およびCRC(n=30)サンプルを抗p−SMAD3抗体で染色した。腫瘍関連間質および上皮癌細胞における総合p−SMAD3強度または染色に従ったサンプルの定性的分類は専門の病理学者(M.I)により行った。平均染色レベルを、高、中および低の3つのカテゴリーにまとめた。腫瘍関連間質については、総ての細胞種を考慮に入れた。
デルマール病院で常法により採取した腺腫(n=25)およびCRC(n=30)サンプルを抗p−SMAD3抗体で染色した。腫瘍関連間質および上皮癌細胞における総合p−SMAD3強度または染色に従ったサンプルの定性的分類は専門の病理学者(M.I)により行った。平均染色レベルを、高、中および低の3つのカテゴリーにまとめた。腫瘍関連間質については、総ての細胞種を考慮に入れた。
腫瘍の解離および染色
デルマール病院(バルセロナ、スペイン)で処置されたCRC患者(n=8)から新たに得た腫瘍を無菌レーザーメスで細断し、100倍ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco);0.1%ヒアルロニダーゼおよび0.1%コラゲナーゼ1A(両方ともSigmaから)を含有する50%DMEM/50%F12(両方ともGibcoから)中、37℃で15〜20分間、旋回させながらインキュベートした。次に、細片をピペット操作によりホモジナイズし、連続的に18Gおよび21G針に通した。10%FBSを加えることによって酵素反応を停止させ、100μm→70μm→40μmのセルストレーナー(BD Falcon)で順次濾過することによって単細胞を採取した。細胞を遠心分離し、5mlの塩化アンモニウム(0.15M;Sigma Aldrich)に再懸濁させ、室温で5分間インキュベートして赤血球を溶解させた。HBSS(Lonza)で2回洗浄した後、細胞を1mlのブロッキング溶液:染色バッファー(SB)(HBSS+5%FBS);1%BSA;5%マウス血清中で5分間インキュベートした。次に、細胞をSB中、抗hEpcam/TROP1−APCコンジュゲート抗体(30分;1/50;R&D Systems)および抗CD45−PEコンジュゲート抗体(20分;1/10;Miltenyi Biotec)で染色した。死細胞をヨウ化プロピジウムで標識した。
デルマール病院(バルセロナ、スペイン)で処置されたCRC患者(n=8)から新たに得た腫瘍を無菌レーザーメスで細断し、100倍ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco);0.1%ヒアルロニダーゼおよび0.1%コラゲナーゼ1A(両方ともSigmaから)を含有する50%DMEM/50%F12(両方ともGibcoから)中、37℃で15〜20分間、旋回させながらインキュベートした。次に、細片をピペット操作によりホモジナイズし、連続的に18Gおよび21G針に通した。10%FBSを加えることによって酵素反応を停止させ、100μm→70μm→40μmのセルストレーナー(BD Falcon)で順次濾過することによって単細胞を採取した。細胞を遠心分離し、5mlの塩化アンモニウム(0.15M;Sigma Aldrich)に再懸濁させ、室温で5分間インキュベートして赤血球を溶解させた。HBSS(Lonza)で2回洗浄した後、細胞を1mlのブロッキング溶液:染色バッファー(SB)(HBSS+5%FBS);1%BSA;5%マウス血清中で5分間インキュベートした。次に、細胞をSB中、抗hEpcam/TROP1−APCコンジュゲート抗体(30分;1/50;R&D Systems)および抗CD45−PEコンジュゲート抗体(20分;1/10;Miltenyi Biotec)で染色した。死細胞をヨウ化プロピジウムで標識した。
蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて細胞を分離した。RNeasyキット(Qiagen)を用いてRNAを抽出した。HG−U133A 2.0遺伝子発現チップ(Affymetrix)に対するサンプルの標識およびハイブリダイゼーションは、標準的な方法論を用い、IRBトランスクリプトーム中核施設により行った。データ分析はPartekソフトウエアを用いて行った。
F−TBRS遺伝子発現サインの作製
CCD−18Co線維芽細胞を集密度60%で播種し、TGFB1(Peprotech;5ng/ml)で8時間処理した。遺伝子発現プロフィールはHG−U133および2.0 Affimetrixアレイを用いて測定し、RMAにより正規化した。2反復の実験においてTGF−βで処理した線維芽細胞において少なくとも2倍アップレギュレートされた(p<0.05)遺伝子を含んだ第1のサインを作製した。このリストをCRC患者から精製された細胞集団の発現プロフィールをフィルターにかけることによってさらに精密化した:[CD45(+)、Epcam(−):白血球画分]、[CD45(−)Epcam(+);上皮画分]および[CD45(−)Epcam(−);CAF富化画分]。F−TBRSは、CAF富化画分において他の2つの集団に比べてアップレギュレートされている(>2倍、p<0.05)遺伝子に相当する。富化倍率に関するp値は総て、モデレートt検定により得られたものである。
CCD−18Co線維芽細胞を集密度60%で播種し、TGFB1(Peprotech;5ng/ml)で8時間処理した。遺伝子発現プロフィールはHG−U133および2.0 Affimetrixアレイを用いて測定し、RMAにより正規化した。2反復の実験においてTGF−βで処理した線維芽細胞において少なくとも2倍アップレギュレートされた(p<0.05)遺伝子を含んだ第1のサインを作製した。このリストをCRC患者から精製された細胞集団の発現プロフィールをフィルターにかけることによってさらに精密化した:[CD45(+)、Epcam(−):白血球画分]、[CD45(−)Epcam(+);上皮画分]および[CD45(−)Epcam(−);CAF富化画分]。F−TBRSは、CAF富化画分において他の2つの集団に比べてアップレギュレートされている(>2倍、p<0.05)遺伝子に相当する。富化倍率に関するp値は総て、モデレートt検定により得られたものである。
データセット
ヒト結腸腺腫および癌腫に相当するデータセットは従前に記載されている(Sabates-Bellver et al., 2007; Mol. Cancer Res., 5, 1263-1275; van der Flier et al., 2007; Gastroenterology, 132, 628-632)。F−TBRSの発現を臨床疾病進行と相関させるために、本発明者らは、Gene Expression Omnibus, www.ncbi.nlm.nih.gov/geoで入手可能な、臨床追跡調査が利用可能であった原発CRCに相当する2セットのAffymetrixトランスクリプトームプロフィール(GSE17537およびGSE14333)をプールした。GSE1753729は、ヴァンダービルト大学医療センター(ヴァンダービルト、USA)で治療を受けた55名の結腸癌患者から構成される。GSE1433330は、2つの異なる病院ピーター・マッカラム癌センター(オーストラリア)およびH.リー・モフィット癌センター(USA)で治療を受けた290名のCRC患者のプールを含む。GSE17537およびGSE14333データセットに関して利用可能な注釈臨床データには、AJCC病期分類、年齢、性別および無病生存期間が含まれた。これらのコホートの種々のAJCC病期における腫瘍サンプルの表示は、上述の病院で標準治療を受けているCRC患者の自然分布に従う。データセット間の系統的バイアスを除去するために、プールを行う前に、全遺伝子の発現レベルをz−スコアに変換した。
ヒト結腸腺腫および癌腫に相当するデータセットは従前に記載されている(Sabates-Bellver et al., 2007; Mol. Cancer Res., 5, 1263-1275; van der Flier et al., 2007; Gastroenterology, 132, 628-632)。F−TBRSの発現を臨床疾病進行と相関させるために、本発明者らは、Gene Expression Omnibus, www.ncbi.nlm.nih.gov/geoで入手可能な、臨床追跡調査が利用可能であった原発CRCに相当する2セットのAffymetrixトランスクリプトームプロフィール(GSE17537およびGSE14333)をプールした。GSE1753729は、ヴァンダービルト大学医療センター(ヴァンダービルト、USA)で治療を受けた55名の結腸癌患者から構成される。GSE1433330は、2つの異なる病院ピーター・マッカラム癌センター(オーストラリア)およびH.リー・モフィット癌センター(USA)で治療を受けた290名のCRC患者のプールを含む。GSE17537およびGSE14333データセットに関して利用可能な注釈臨床データには、AJCC病期分類、年齢、性別および無病生存期間が含まれた。これらのコホートの種々のAJCC病期における腫瘍サンプルの表示は、上述の病院で標準治療を受けているCRC患者の自然分布に従う。データセット間の系統的バイアスを除去するために、プールを行う前に、全遺伝子の発現レベルをz−スコアに変換した。
in silicoバリデーション試験のため、データセットGSE33113およびGSE37892の、2つのさらなるコホートを用いた。GSE33113は、オランダ、アムステルダムのアカデミック・メディカル・センター(AMC)で収集された90名のAJCC病期II CRC患者材料のセットを含んでいた。これらの患者では広範な医療記録が保持されており、大多数で長期臨床追跡調査が利用可能であった。GSE37892のコホートは、130名の結腸癌サンプルシリーズを含んでいた(病期IIおよび病期III両方のCRC患者が存在していた)。
F−TBRSと臨床転帰の関連付け
F−TBRSと無病生存期間の関連付けに関して、本発明者らは病期IV CRCを考慮に入れなかったが、これはこれらの場合の再発が転移部位における腫瘍の不完全な外科的切除と関連していることが多いためである。本発明者らは、本発明者らのサインと関連の変数の間の関連程度を評価するためにgene set enrichment analysis(GSEA)を用いた。GSEAは、疾患再発に関してはそれらのハザード比(Coxモデルにより評価)に従い、残りの変数に関しては変化倍率に従った遺伝子のランク付けに基づいた。GSEAの出力は、エンリッチメントスコア(enrichment score)(ES)、検定する遺伝子の大きさを説明する正規化エンリッチメントスコア(normalized enrichment score)(NES)、P値および推定偽陽性率(False Discovery rate)(FDR)である。ES、NESおよびFDRは、Subramanian et al (Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2005, 102:15545-15550)で提示されている通りに得た。P値は、各サインについて10,000通りの並べ替えを用いて計算し、それらをBenjamini−Yekutieli法((Behav. Brain Res., 2001, 125, 279-284))で補正した。再発に関するこのサインの予測力を評価するために、本発明者らは平均サイン発現を計算し、その有意性を単変量Cox比例ハザードモデル尤度比検定で検定した。平均サイン発現は、各遺伝子のz−スコアを得、そのサインの全遺伝子のz−スコアの平均を求めることによって計算した。それらの平均F−TBRS発現に従って患者を3群に分けた:F−TBRS低(発現<M−SD)、F−TBRS中(発現>M−SDおよび<M)およびF−TBRS高(発現>M)(ここで、Mは全患者の平均であり、SDは標準偏差である)。本発明者らは低、中および高平均サインスコアを有する患者に関してカプラン・マイヤー生存曲線を得た。多変量Coxモデルにはまた、年齢、性別およびAJCC病期も含んだ。総ての変数が統計学的に有意となるまで、有意でない変数をモデルから段階的に排除した。統計的有意性は0.05水準で定義した。全CoxモデルのP値は、尤度比検定に基づいた。
F−TBRSと無病生存期間の関連付けに関して、本発明者らは病期IV CRCを考慮に入れなかったが、これはこれらの場合の再発が転移部位における腫瘍の不完全な外科的切除と関連していることが多いためである。本発明者らは、本発明者らのサインと関連の変数の間の関連程度を評価するためにgene set enrichment analysis(GSEA)を用いた。GSEAは、疾患再発に関してはそれらのハザード比(Coxモデルにより評価)に従い、残りの変数に関しては変化倍率に従った遺伝子のランク付けに基づいた。GSEAの出力は、エンリッチメントスコア(enrichment score)(ES)、検定する遺伝子の大きさを説明する正規化エンリッチメントスコア(normalized enrichment score)(NES)、P値および推定偽陽性率(False Discovery rate)(FDR)である。ES、NESおよびFDRは、Subramanian et al (Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2005, 102:15545-15550)で提示されている通りに得た。P値は、各サインについて10,000通りの並べ替えを用いて計算し、それらをBenjamini−Yekutieli法((Behav. Brain Res., 2001, 125, 279-284))で補正した。再発に関するこのサインの予測力を評価するために、本発明者らは平均サイン発現を計算し、その有意性を単変量Cox比例ハザードモデル尤度比検定で検定した。平均サイン発現は、各遺伝子のz−スコアを得、そのサインの全遺伝子のz−スコアの平均を求めることによって計算した。それらの平均F−TBRS発現に従って患者を3群に分けた:F−TBRS低(発現<M−SD)、F−TBRS中(発現>M−SDおよび<M)およびF−TBRS高(発現>M)(ここで、Mは全患者の平均であり、SDは標準偏差である)。本発明者らは低、中および高平均サインスコアを有する患者に関してカプラン・マイヤー生存曲線を得た。多変量Coxモデルにはまた、年齢、性別およびAJCC病期も含んだ。総ての変数が統計学的に有意となるまで、有意でない変数をモデルから段階的に排除した。統計的有意性は0.05水準で定義した。全CoxモデルのP値は、尤度比検定に基づいた。
患者の年齢、性別、病期分類および遺伝子発現に基づいて再発イベントを予測するために、SCADに基づくロジスティック回帰モデルを当てはめ(Fan & Li, 1999, Journal of the American Statistical Association, 1999, 96, 1348-1360)、非ゼロ係数の推定を用いて変数を選択した。SCADペナリゼーションパラメーターを、Rパッケージncvregに実装されているような10倍クロスバリデーションにより設定した。本発明者らは、病期II、III、また全患者についてこの分析を行ったところ、いくつかの短くかつ高い予測的遺伝子サインが得られた。
遺伝子サインと病生存期間の関連性をさらに評価するために、平均サイン発現を計算し(すなわち、そのサインの全遺伝子に関する)、補正変数として病期分類を含めた多変量Cox比例ハザードモデルを当てはめた。結果を可視化するために、本発明者らは、患者をそれらの平均サイン発現に従って階層化し、カプラン・マイヤープロットを得、ハザード比に対する効果をRパッケージpsplineに実装されているような四次罰則付きスプラインを用いた平滑関数(Eilers et al, 1996, Statistical Science, 11, 89-121)として評価した。
免疫組織化学
免疫組織化学法は、パラフィン切片に対して、ホスホ−SMAD3に対して作製された一次抗体(Rockland)を用いて行った。簡単に述べると、切片をクエン酸バッファーpH6中で10分間オートクレーブ処理した後、抗ホスホ−smad 3(1/100)とともにインキュベートした。ビオチン化二次抗体(Vector Laboratories Inc)を1:200希釈で用い、Vectastain ABCキット(Vactor Laboratories Inc)を用い、供給者の推奨の通りに検出した。
免疫組織化学法は、パラフィン切片に対して、ホスホ−SMAD3に対して作製された一次抗体(Rockland)を用いて行った。簡単に述べると、切片をクエン酸バッファーpH6中で10分間オートクレーブ処理した後、抗ホスホ−smad 3(1/100)とともにインキュベートした。ビオチン化二次抗体(Vector Laboratories Inc)を1:200希釈で用い、Vectastain ABCキット(Vactor Laboratories Inc)を用い、供給者の推奨の通りに検出した。
実施例1
CRC進行中のTGF−βシグナル伝達
CRC進行中のTGF−βシグナル伝達を調べた。結腸腫瘍サンプルの遺伝子発現プロフィールから、CRCのあるサブセットで、高いレベルのTGFB1、TGFB2およびTGFB3 mRNAが確認されたが、総ての腺腫がこれら3つのTGF−βアイソフォームに低いレベルを示した(図1)。腺腫−CRC移行の特徴には間質線維化反応、炎症および新血管新生の増大が含まれ、それらは総て、腫瘍間質内に滞留するいくつかの非癌性細胞種を含む。
CRC進行中のTGF−βシグナル伝達
CRC進行中のTGF−βシグナル伝達を調べた。結腸腫瘍サンプルの遺伝子発現プロフィールから、CRCのあるサブセットで、高いレベルのTGFB1、TGFB2およびTGFB3 mRNAが確認されたが、総ての腺腫がこれら3つのTGF−βアイソフォームに低いレベルを示した(図1)。腺腫−CRC移行の特徴には間質線維化反応、炎症および新血管新生の増大が含まれ、それらは総て、腫瘍間質内に滞留するいくつかの非癌性細胞種を含む。
TGF−βアイソフォームの細胞種特異的発現を検討するために、原発CRCから精製した特異的腫瘍細胞集団のプロフィールを得た(n=8 患者)。マーカー遺伝子発現の分析を行ったところ、EPCAM+細胞集団は上皮癌細胞が大幅に富化されており、EpCAM−/CD45+細胞集団は白血球が富化され、EPCAM−/CD45−細胞集団は癌関連線維芽細胞(CAF)が富化されていることが示された(データは示されていない)。TGFB1発現は非上皮細胞(CD45+およびCD45−の両方)で高かったが、高いTGFB2およびTGFB3 mRNAレベルはCAF富化細胞集団にのみ存在した(図2)。
腺腫およびCRCにおいてTGF−βにより標的化される細胞集団を特定するために、SMAD3のリン酸化(p−SMAD3)をTGF−β経路活性化のマーカーとして用いた。臨床材料に対する免疫組織化学分析により、腺腫の40%の上皮癌細胞にp−SMAD3の顕著な核蓄積が明らかになったが、CRCでは7%に過ぎなかった(図3)。この知見は、CRC進行中に、TGF−βシグナル伝達経路成分における不活性化突然変異が頻繁に獲得されることを表していると思われる。さらに、上皮p−SMAD3+ CRC細胞は、SMAD4における遺伝的変化のためにTGF−β転写応答が損なわれている可能性がある(Liu et al., 1997, Genes dev., 11: 3157-3167 and Alarcon, C., 2009, Cell, 139: 757-769)。CRCにおける上皮TGF−βシグナル伝達の欠如と同時に、腫瘍間質細胞は高レベルのp−SMAD3を示した(図3)。ほとんどの腺腫の間質にはp−SMAD3高陽性細胞がほとんど含まれておらず、全体的に染色が弱かったが、大きな割合のCRC(63%)が、強いp−SMAD3の核染色を伴う間質細胞が多いことを特徴としていた。これらの所見を考え合わせると、結腸腫瘍の一部は、は腺腫−癌移行時にTGF−βの発現増を受け、腫瘍間質成分がこの増加の主要な担い手であることが示唆される。CRCにおける高レベルのTGF−βは、癌細胞よりも腫瘍関連間質細胞を優先的に標的とする。
実施例2
CRCの転帰を予測可能な線維芽細胞特異的TGF−β応答サイン(F−TBRS)の同定
実施例1に示されるように、p−SMAD3は、リンパ球および内皮細胞を含む種々の腫瘍間質関連細胞の核に蓄積した。さらに、CRCにおいて最も多い間質p−SMAD3+細胞種は、線維芽細胞に特徴的な多か所の膜伸長を伴う、薄く、細長い形状を呈した。癌関連線維芽細胞(CAF)は、反応性癌間質の最大の集団であり、それらはいくつか癌腫で腫瘍の成長、浸潤および転移に関与している。CRCにおけるTGF−βにより刺激される線維芽細胞の役割を検討するため、まず、これらの細胞においてTGF−βにより調節される遺伝子セットを同定した。正常結腸線維芽細胞(CCD−18Co)をTGF−βの存在下および不在下で培養し、全遺伝子発現プロフィールを、マイクロアレイを用いて評価した。TGF−βシグナル伝達は、これらの細胞中の280の遺伝子の発現レベルをアップレギュレートしていた(391のプローブ;>2倍、p<0.05)。この遺伝子セットの細胞種特異性を、実施例1に記載の精製腫瘍細胞集団を用いて評価した。CCD−18Co線維芽細胞においてTGF−βにより誘導された391プローブのうち、127の遺伝子(175のプローブにより検出)がCAF富化細胞集団で差次的にアップレギュレートされていた(図4;表1)。これらの175のプローブ(127の遺伝子)を線維芽細胞特異的TGF−β応答サイン(F−TBRS)と呼称した。注目すべきことに、F−TBRSは、腺腫に比べてCRCで発現が高かった(データは示されていない)。この所見は、TGFB1、2および3の高いレベル、ならびにCRC進行中のp−SMAD3+ CAF量の増大と一致している(図1)。
CRCの転帰を予測可能な線維芽細胞特異的TGF−β応答サイン(F−TBRS)の同定
実施例1に示されるように、p−SMAD3は、リンパ球および内皮細胞を含む種々の腫瘍間質関連細胞の核に蓄積した。さらに、CRCにおいて最も多い間質p−SMAD3+細胞種は、線維芽細胞に特徴的な多か所の膜伸長を伴う、薄く、細長い形状を呈した。癌関連線維芽細胞(CAF)は、反応性癌間質の最大の集団であり、それらはいくつか癌腫で腫瘍の成長、浸潤および転移に関与している。CRCにおけるTGF−βにより刺激される線維芽細胞の役割を検討するため、まず、これらの細胞においてTGF−βにより調節される遺伝子セットを同定した。正常結腸線維芽細胞(CCD−18Co)をTGF−βの存在下および不在下で培養し、全遺伝子発現プロフィールを、マイクロアレイを用いて評価した。TGF−βシグナル伝達は、これらの細胞中の280の遺伝子の発現レベルをアップレギュレートしていた(391のプローブ;>2倍、p<0.05)。この遺伝子セットの細胞種特異性を、実施例1に記載の精製腫瘍細胞集団を用いて評価した。CCD−18Co線維芽細胞においてTGF−βにより誘導された391プローブのうち、127の遺伝子(175のプローブにより検出)がCAF富化細胞集団で差次的にアップレギュレートされていた(図4;表1)。これらの175のプローブ(127の遺伝子)を線維芽細胞特異的TGF−β応答サイン(F−TBRS)と呼称した。注目すべきことに、F−TBRSは、腺腫に比べてCRCで発現が高かった(データは示されていない)。この所見は、TGFB1、2および3の高いレベル、ならびにCRC進行中のp−SMAD3+ CAF量の増大と一致している(図1)。
表1:TGF−β刺激結腸線維芽細胞において差次的に調節される遺伝子のリスト。ここで、「CCD+対CCD−倍率変化」は、TGF−β刺激CAFと正常結腸線維芽細胞の間の遺伝子発現レベルの倍率変化を意味し、「CD45−/Epcam−対CD45+およびEpcam+倍率変化」は、TGF−β刺激CAFの遺伝子発現と、Epcam+(上皮)細胞およびEpcam−Cd45+細胞(白血球)における平均遺伝子発現の間の倍率変化を意味する。NA:注釈無し。
上記のデータは、腺腫からCRCへの転換が、CAFにおけるTGF−βにより駆動される転写プログラムの発現の開始が同時に起こることを示す。次に、CRCにおける間質TGF−βシグナル伝達の程度の違いが臨床疾病進行に関連するかどうかを検討した。原発腫瘍のトランスクリプトームプロフィールおよび臨床追跡調査が公的に利用可能であった、3つの異なる病院で治療を受けた340のCRC症例の代表的なプールコホート(方法を参照)調べた。gene set enrichment analysis(GSEA)により、F−TBRSと、2つの最も関連のある臨床進行パラメーター、すなわち、診断時の転移性播種(AJCC病期III+IVの組合せ 対 病期I+II;FDR<10−6)および結果としての癌再発(FDR<10−6)との強い関連が明らかになった(データは示されていない)。これらのデータは、初期から後期CRCへの移行が、CAFにおける高レベルのTGF−β誘導遺伝子を特徴とすることを暗示する。
CAFにおけるTGF−βシグナル伝達と腫瘍再発の間の関連をさらに調べるために、CRC患者コホートを、F−TBRS遺伝子の平均発現が低か中か高かに従って、3群に階層化した(図6)。これら3群の間で、相対的癌再発リスクに大きな違いが見られた。10年の追跡調査中に、F−TBRS高陽性原発腫瘍を有するCRC患者の55%が腫瘍再発を受けたが、F−TBRS低腫瘍を有する患者は全員が無病を維持した(図6)。
癌は、対象とする治療的療法を受けている病期II CRC患者のおよそ20〜30%、病期III CRC患者の30〜50%に、一般には遠隔転移の形態で再発する。F−TBRSレベルは病期IIおよび病期IIIの患者における再発に強く関連しており、両群(F−TBRS低)において、再発が見られなかった少数の患者(10%)を特定した(図7)。もちろん、病期I CRCに見られる再発が稀であったとしても(この群では、患者45名のうち2名)、高レベルの線維芽細胞特異的TGF−β駆動遺伝子を伴っていた。Cox比例ハザード多変量分析(表2)により、F−TBRS発現が、療法時に無病を維持するCRC患者の同定においてAJCC病期分類法より優れた、癌再発の非依存的予測子であることが証明された。
実施例3
CRCの転帰を予測することができるミニサインの同定
無病生存期間の良好な予測を提供する遺伝子の最小サブセットを同定するために、材料および方法に記載の通りに、F−TBRSをさらに分析した。CDKN2B、NPR3/C5orf23、およびFLT−1遺伝子により構成される3遺伝子のサブセット(ミニサイン)を、分析した全患者ならびに病期IIおよび病期IIIサブグループの患者において、再発までの期間に統計学的に有意に関連していたものとして同定した。図8はカプラン・マイヤー曲線を示し、全患者(パネルA)、病期IIの患者(パネルB)または病期IIIの患者(パネルC)において、患者の生存期間をCDKN2B、NPR3/C5orf23およびFLT−1遺伝子の平均発現に応じてプロットしたものである。
CRCの転帰を予測することができるミニサインの同定
無病生存期間の良好な予測を提供する遺伝子の最小サブセットを同定するために、材料および方法に記載の通りに、F−TBRSをさらに分析した。CDKN2B、NPR3/C5orf23、およびFLT−1遺伝子により構成される3遺伝子のサブセット(ミニサイン)を、分析した全患者ならびに病期IIおよび病期IIIサブグループの患者において、再発までの期間に統計学的に有意に関連していたものとして同定した。図8はカプラン・マイヤー曲線を示し、全患者(パネルA)、病期IIの患者(パネルB)または病期IIIの患者(パネルC)において、患者の生存期間をCDKN2B、NPR3/C5orf23およびFLT−1遺伝子の平均発現に応じてプロットしたものである。
さらに、図9に示されるように、3遺伝子発現サインの傾きは、再発リスクとの近似増分直線関係を示す。
これらの患者を腫瘍病期に応じて階層化したところ、2つのさらなるサインが、再発までの期間の統計学的に有意な予測を提供するものとして同定された。病期IIの患者では、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT−1、FRMD6、IGFBP3およびESM1により構成される発現サインが、p<0.0039で再発までの期間の予測を可能とした(図10)。病期IIIの患者では、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT−1、FGF1、GEMおよびMEX3Bにより構成される発現サインが、p<0.0001で再発までの期間の予測を可能とした(図11)。両場合とも、サイン発現は、再発リスクに対して増分および近似直線的効果を示した(図10Bおよび11B)。
さらに、本発明者らは、病期IIのCRC患者を含むGSE33113(図12)と病期IIおよび病期IIIの両方のCRC患者を含むGSE37892(図13)の、2つの独立した患者コホートにおいて、6遺伝子の予測子の関連を検討した。図12はカプラン・マイヤー曲線を示し、GSE33113の全患者(病期II)において、患者の生存期間をCDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT−1、FRMD6、IGFBP3およびESM1遺伝子の平均発現に応じてプロットしたものである(図12A)。結腸病期II予測子の平均発現の一増分(+1SD)につき、再発を受けるリスクには1.47の増加が見られる(図12B)。
図13はカプラン・マイヤー曲線を示し、GSE37892の全患者において、患者の生存期間をCDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT−1、FGF1、GEMおよびMEX3B遺伝子の平均発現に応じてプロットしたものである(図13A)。結腸病期III予測子の平均発現の一増分(+1SD)につき、再発を受けるリスクには1.52の増加が見られる(図13B)。
実施例4
TGF−β2およびTGF−β3は結腸直腸癌の再発を予測することができる
TGFB2およびTGFB3の発現レベルは、疾病再発に対して、F−TBRSを構成する遺伝子の発現レベルと同等の予測力を持っていた(図14)。
TGF−β2およびTGF−β3は結腸直腸癌の再発を予測することができる
TGFB2およびTGFB3の発現レベルは、疾病再発に対して、F−TBRSを構成する遺伝子の発現レベルと同等の予測力を持っていた(図14)。
TGFB2およびTGFB3は、結腸直腸癌の再発に関する非依存的予測子である。図15に示されるように、SCAD係数と再発パーセンテージの間には相関が見られた。
腫瘍病期は、腫瘍学者にとって診断時に得られる情報であるので、TGFB2およびTGFB3レベルの予後値を病期分類と組み合わせて評価した。この場合にも、これは、両群において、疾病再発(限局的または遠隔)のリスクが極めて低い患者群の同定を可能とする。
この所見を裏付けるデータは図15に示されており、−1.5未満のSCAD係数を有する患者は疾病再発を生じるリスクが低いことが示される。
Claims (18)
- 結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者において好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性のある患者を選択するための方法であって、前記患者由来のサンプルにおけるNPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、
方法。 - FRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、SETBP1、FLJ10357、DACT、MURCおよびCol10A1からなる群から選択される1以上の遺伝子の発現レベルの決定をさらに含んでなり、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、請求項1に記載の方法。 - CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FRMD6、IGFBP3およびESM1遺伝子の発現レベルが測定され、かつ、前記患者が病期II結腸直腸癌に罹患している患者である、請求項2に記載の方法。
- CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FGF1、GEM、およびMEX3B遺伝子の発現レベルが測定され、前記患者が病期III結腸直腸癌に罹患している患者である、請求項2に記載の方法。
- ANGPTL2、ANGPTL4、APBB2、BMPR2、BPGM、C13orf33、C5orf13、NPR/C5orf23、CACHD1、CALD1、CDH6、CDKN2B、CILP、CNTN1、COL10A1、COL12A1、COL27A1、DACT1、DIXDC1、DNAJB5、DNAJC18、ELTD1、EPHA4、ESM1、FAP、FGD6、FGF1、FGF2、FLJ10357、FLT−1、FN1、FRMD4A、FRMD6、GAS1、GEM、GFPT2、GPR161、HAS2、HEY1、HIC1、HS3ST3A1、IGFBP3、IGFBP7、IL11、INHBA、KAL1、KIAA1755、KLF7、LARP6、LMCD1、LMO4、LOC100128178、LOC644242、LOC728264、LOH3CR2A、LRRC8A、MEOX1、MEX3B、MFAP2、MGC16121、MSC、MURC、NEDD9、NGF、NOX4、NPR2、NUAK1、OSGIN2、PALLD、PALM2、PDGFA、PDGFC、PDLIM4、PDPN、PGM2L1、PKNOX2、PMEPA1、PODXL、PPM1E、PTHLH、RASD1、RASGRP3、RASL12、RGS4、RNF150、RUNX1、S1PR5、SEMA6D、SERPINE1、SETBP1、SHISA2、SLC46A3、SNCAIP、SNORD114−3、SOX6、SPSB1、STK38L、SYNE1、SYTL4、TCF4、TGFB2、TIMP3、TMEM88、TNC、TNS1、TPM1、TSHZ3、TSPAN2、VEPH1、WNT2、WNT9AおよびZEB1遺伝子、および配列番号1〜13の配列を有するプローブと特異的にハイブリダイズする遺伝子の発現レベルの決定を含んでなり、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの増大が、前記患者の不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
前記遺伝子の参照値に比べての前記遺伝子の発現レベルの減少が、前記患者の良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、
方法。 - 患者の腫瘍病期が付加的に決定され、
高い腫瘍病期が、不良な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補であること、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性があることを示し、
低い腫瘍病期が、良好な転帰の見込みの増大、前記患者が外科的処置後の補助療法を受ける候補ではないこと、または前記患者が外科的処置後の療法から利益を受ける可能性がないことを示す、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 - 前記療法が化学療法、放射線療法および/またはTGF−β阻害剤を含んでなる療法からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 予測される転帰が再発または転移の発生である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記転移が肝臓転移である、請求項8に記載の方法。
- 前記サンプルが腫瘍生検または体液からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記体液が血液、血漿および血清からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法により選択された患者における、癌の外科的処置後の結腸直腸癌の処置に使用するための療法。
- 前記療法が、化学療法、放射線療法および/またはTGF−β阻害剤を含んでなる療法からなる群から選択される、請求項12に記載の使用のための療法。
- NPR3/C5orf23、CDKN2BおよびFLT1遺伝子の発現レベルを決定するために十分な試薬と、場合により1以上のハウスキーピング遺伝子の発現レベルの決定のための試薬とを含んでなる、キット。
- FRMD6、IGFBP3、ESM1、FGF1、GEM、MEX3B、WNT2、NGF、MSC、SETBP1、FLJ10357、DACT1、MURCおよびCol10A1からなる群から選択される1以上の遺伝子の発現レベルの決定に十分な試薬をさらに含んでなる、請求項14に記載のキット。
- 前記試薬が、CDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FRMD6、IGFBP3およびESM1遺伝子、またはCDKN2B、NPR3/C5orf23、FLT1、FGF1、GEM、およびMEX3B遺伝子の発現レベルの決定に十分である、請求項15に記載のキット。
- 前記試薬が、ANGPTL2、ANGPTL4、APBB2、BMPR2、BPGM、C13orf33、C5orf13、NPR/C5orf23、CACHD1、CALD1、CDH6、CDKN2B、CILP、CNTN1、COL10A1、COL12A1、COL27A1、DACT1、DIXDC1、DNAJB5、DNAJC18、ELTD1、EPHA4、ESM1、FAP、FGD6、FGF1、FGF2、FLJ10357、FLT−1、FN1、FRMD4A、FRMD6、GAS1、GEM、GFPT2、GPR161、HAS2、HEY1、HIC1、HS3ST3A1、IGFBP3、IGFBP7、IL11、INHBA、KAL1、KIAA1755、KLF7、LARP6、LMCD1、LMO4、LOC100128178、LOC644242、LOC728264、LOH3CR2A、LRRC8A、MEOX1、MEX3B、MFAP2、MGC16121、MSC、MURC、NEDD9、NGF、NOX4、NPR2、NUAK1、OSGIN2、PALLD、PALM2、PDGFA、PDGFC、PDLIM4、PDPN、PGM2L1、PKNOX2、PMEPA1、PODXL、PPM1E、PTHLH、RASD1、RASGRP3、RASL12、RGS4、RNF150、RUNX1、S1PR5、SEMA6D、SERPINE1、SETBP1、SHISA2、SLC46A3、SNCAIP、SNORD114−3、SOX6、SPSB1、STK38L、SYNE1、SYTL4、TCF4、TGFB2、TIMP3、TMEM88、TNC、TNS1、TPM1、TSHZ3、TSPAN2、VEPH1、WNT2、WNT9AおよびZEB1遺伝子、ならびに配列番号1〜13の配列を有するプローブと特異的にハイブリダイズする遺伝子の発現レベルの決定に十分である、請求項16に記載のキット。
- 結腸直腸癌に罹患している患者の転帰を予測するため、結腸直腸癌に罹患している患者における好適な処置を選択するため、または結腸直腸癌の外科的切除後の補助療法から利益を受ける可能性がある患者を選択するための、請求項14〜17のいずれか一項に記載のキットの使用。
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