JP2015500001A - 組換えprpk−tprkb及びその使用 - Google Patents

組換えprpk−tprkb及びその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】組換えPRPKタンパク質、組換えTPRKBタンパク質及び組換えPRPK/TPRKB複合体の提供。【解決手段】本発明は、真核細胞発現系を用いて発現させた組換えPRPKタンパク質、組換えTPRKBタンパク質又は組換えPRPK/TPRKB複合体を提供する。また、本発明は、真核細胞発現系を用いて組換えPRPK、組換えTPRKB又は組換えPRPK/TPRKB複合体を発現させることを含む、組換えPRPK、組換えTPRKB又は組換えPRPK/TPRKBを調製する方法も提供する。また、本発明は、組換えPRPK、組換えPRPK又は組換えPRPK/TPRKB複合体を用いてPRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体を調節する剤を同定する方法も提供する。【選択図】なし

Description

本願は、2011年12月14日出願の米国仮特許出願第61/570,420号の優先権を主張するものであり、該出願の全内容を、本明細書を構成するものとしてここに援用する。
本発明は、真核細胞発現系を用いて発現させた組換えPRPKタンパク質、組換えTPRKBタンパク質及び組換えPRPK/TPRKB複合体に関する。
レナリドミド(レブリミド(登録商標)、セルジーン社製)は、経口投与可能なサリドマイドのアナログであり、多発性骨髄腫や骨髄異形成症候群の患者への使用が米国食品医薬品局によって認可されている。2009年にはレブリミド(登録商標)の売上高は17億米国ドルに達し、2010年の売上高は20億米国ドルを超えると予想されており、レブリミド(登録商標)は、過去5年間に市場に導入されたオンコロジー製品の内で最も成功した製品の一つである。
レナリドミドは、直接的な抗腫瘍作用を有し、腫瘍細胞微小環境のサポートを阻害し、免疫調節の役割を果たすと共に、抗血管新生特性や免疫調節/抗炎症特性を示す。しかし、サリドマイドの催奇形作用はよく知られているため、レブリミド(登録商標)は、先天性欠損の危険性を説明する「ブラックボックス警告」を伴ったFDA指示のリスク軽減プログラムの下で販売されている。サリドマイドの催奇性に関与するタンパク質標的はセレブロンであることが公表された(非特許文献1及び非特許文献2)が、免疫調節薬(IMiD)の抗癌標的は未だ不明である。
Ito et al.,Science 327:1345−1350(2010) Y.X.Zhu et al.,第13回国際骨髄腫ワークショップO−05(2011)
PRPK及びTPRKBは、古細菌及び酵母からヒトに至るまで進化的に保存されているが、特にヒトにおいては、これらのタンパク質の機能についてごく僅かしか分かっていない。酵母及び古細菌において、Bud32及びCgi121(それぞれPRPK及びTPRKB)は、Kae1及びPcc1と呼ばれる2種の他のタンパク質と共にKEOPSと称される機能的複合体を形成することが既に示されている。酵母KEOPS複合体は、テロメア維持及び転写調節に必要とされる。KEOPS複合体は、複数起源(主として古細菌)のタンパク質からなるが、その構造は結晶学により研究された。構造に基づく配列アライメントにより、Bud32(PRPK)は、タンパク質キナーゼの構築特性を有するものの、基質認識に通常関与する活性化ループを欠く、異型キナーゼであることが示された。PRPK及びTPRKBはヒト細胞株で共発現する。PRPK及びTPRKBは、ヒトにおいてp53に関連するタンパク質である。PRPKはTP53調節キナーゼタンパク質であり、TPRKBはp53関連タンパク質キナーゼ結合タンパク質である。しかし、ヒトKEOPS複合体の形成やその生物学的機能については報告されていない。
本発明は、その一実施形態において、組換えPRPK、組換えTPRKB、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを調製する方法であって、真核細胞発現系を用いて組換えPRPK、組換えTPRKB、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを発現させることを含む方法を提供する。また、本発明は、真核細胞発現系を用いて発現させた組換えPRPKタンパク質、組換えTPRKBタンパク質、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログも提供する。一実施形態においては、組換えPRPKタンパク質、組換えTPRKBタンパク質、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを90%以上の純度で単離する。
本発明は、他の実施形態において、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログと相互作用する(例えば、それを調節する)剤を同定する方法を提供する。該方法は、真核細胞発現系によって発現させた組換えタンパク質である、PRPK又はそのホモログとTPRKB又はそのホモログとを含む系を用意することと、試験剤を用意することと、該試験剤と該系を接触させることと、該試験剤と組換えPRPK又はそのホモログ及び組換えTPRKB又はそのホモログの内の少なくとも1種との相互作用を検出することとを含む。
本発明は、更に他の実施形態において、PRPK(TP53RKとしても知られる)、TPRKB又はそれらのホモログと相互作用する(例えば、それを調節する)剤を同定する方法を提供する。該方法は、真核細胞発現系によって発現させた組換えタンパク質である、PRPK、TPRKB又はそれらのホモログを含む系を用意することと、試験剤を用意することと、該試験剤と該系を接触させることと、該試験剤と組換えPRPK、組換えTPRKB又はそれらの組換えホモログとの相互作用を検出することとを含む。
幾つかの実施形態においては、このような剤を同定する方法のいずれかは、複数の試験剤を用意することを含む。幾つかの実施形態においては、複数の試験剤の内の二以上の試験剤メンバーは少なくとも1種の共通する構造要素又は部分を共有する。幾つかの実施形態においては、複数の試験剤の内の二以上の試験剤メンバーはコア構造要素を共有する。また、本発明は、該組換え体によって同定される剤、モジュレーター、試薬、化合物及び組成物も提供する。
本発明の好ましい実施形態においては、真核細胞発現系はバキュロウイルス−昆虫細胞発現系である。
本発明は、更なる実施形態において、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体及びそれらのホモログの内の少なくとも1種をコードするポリヌクレオチドが組み込まれたバキュロウイルスベクターを提供する。また、本発明は、該バキュロウイルスベクターを含む培養昆虫細胞も提供する。また、本発明は、該培養昆虫細胞を含むバキュロウイルス−昆虫細胞発現系も提供する。
本願では各種特許公報を参照するが、これらの全てを本明細書を構成するものとしてここに援用する。
ポマリドマイドベースのアフィニティー試薬で捕捉したPRPK及びTPRKB。PRPK及びTPRKBは感受性細胞株(Jeko−1)からのみ捕捉され、PRPK及びTPRKBはHeLaS3細胞からは捕捉されなかった。 Sf9細胞における組換えヒトPRPK及びTPRKBタンパク質。 Sf9細胞から精製された組換えヒトPRPK及びTPRKBタンパク質。 LC/MS解析によって確認されたビオチニルポマリドマイド誘導体の合成。 PRPK/TPRKB複合体の表面プラズモン共鳴解析。
最近、レナリドミド及びそのアナログがPRPK/TPRKB複合体と相互作用し、その活性に影響を及ぼすことが分かった。PRPK及びTPRKBは創薬研究における有望なツールである。しかし、この技法の場合、PRPK及びTPRKBタンパク質の発現が一過性に過ぎないため、十分量の精製PRPK及びTPRKBタンパク質を得て、ハイスループット薬物スクリーニング系を確立する上で困難を伴う。
ヒト細胞株においてPRPK及びTPRKBタンパク質が一過的に共発現したことが報告されている。一過性細胞発現系は、PRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体を調節する剤を同定するために利用することができる。しかし、この系においては、発現の低下に起因して、剤が細胞由来の不純な成分を介してPRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体と結合できるため、望まない剤が同定されてしまう。また、一過性細胞発現系の場合、PRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体を調節する剤を効率良くスクリーニングするのに十分な量のタンパク質又はその複合体を得ることができないことも問題である。従って、安定した細胞発現系が好ましい。
本発明者らは、バキュロウイルス−昆虫細胞発現系等の真核細胞発現系を用いることによって、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの各組換え体が高収量且つ高純度で安定して発現することを見出すと共に、真核細胞発現系によって発現させたPRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの各組換え体は、PRPK、TPRKB、それらのホモログ、PRPK/TPRKB複合体又はそのホモログと相互作用する化合物(即ち、レナリドミドアナログの候補)を同定するのに有用であることを見出した。真核細胞発現系によって発現させた組換え体により、本発明に係る剤を同定する方法、スクリーニング方法及び検出段階を効率良く且つ正確に行うことができる。
従って、本発明は、その一実施形態において、組換えPRPK、組換えTPRKB、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを調製する方法であって、真核細胞発現系を用いて組換えPRPK、組換えTPRKB、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそれらの組換えホモログを発現させることを含む方法を提供する。また、本発明は、真核細胞発現系を用いて発現させた組換えPRPKタンパク質、組換えTPRKBタンパク質、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそれらの組換えホモログも提供する。
本発明は、他の実施形態において、PRPK/TPRKB複合体又はそのホモログと相互作用する(例えば、それを調節する)剤を同定する方法を提供する。該方法は、真核細胞発現系によって発現させた組換えタンパク質である、PRPK又はそのホモログとTPRKB又はそのホモログとを含む系を用意することと、試験剤を用意することと、該試験剤と該系を接触させることと、該試験剤と組換えPRPK又はそのホモログ及び組換えTPRKB又はそのホモログの内の少なくとも1種との相互作用を検出することとを含む。
本発明は、更に他の実施形態において、PRPK(TP53RKとしても知られる)、TPRKB又はそれらのホモログと相互作用する(例えば、それを調節する)剤を同定する方法を提供する。該方法は、真核細胞発現系によって発現させた組換えタンパク質である、PRPK、TPRKB又はそれらのホモログを含む系を用意することと、試験剤を用意することと、該試験剤を該系と接触させることと、該試験剤と組換えPRPK、組換えTPRKB又はそれらの組換えホモログとの相互作用を検出することとを含む。
[定義]
アミノ酸:本明細書で用いる用語「アミノ酸」とは、広義において、ポリペプチド鎖に取り込むことができる如何なる化合物及び/又は物質をも意味する。幾つかの実施形態においては、アミノ酸は一般式H2N−C(H)(R)−COOHを有する。幾つかの実施形態においては、アミノ酸は天然のアミノ酸である。幾つかの実施形態においては、アミノ酸は合成アミノ酸又は非天然アミノ酸であり、幾つかの実施形態においては、アミノ酸はD−アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸やN−アルキルアミノ酸、乳酸)であり、幾つかの実施形態においては、アミノ酸はL−アミノ酸である。「標準的なアミノ酸」とは、天然のペプチドに通常存在する20種類の標準的なL−アミノ酸のいずれかを意味する。「標準的でない又は通常でないアミノ酸」とは、合成によって調製したか天然源から得たかに関わらず、標準的なアミノ酸以外の如何なるアミノ酸をも意味する。本明細書で用いる「合成アミノ酸又は非天然アミノ酸」は化学的に改変されたアミノ酸を包含し、その例としては、塩、アミノ酸誘導体(例えば、アミド)及び/又は置換体が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸(例えば、ペプチド内のカルボキシ末端及び/又はアミノ末端アミノ酸)の改変は、メチル化、アミド化、アセチル化、及び/又はペプチドの活性に悪影響を及ぼさずにその循環半減期を変化させることができる他の化学基による置換によって行うことができる。通常でない又は非天然アミノ酸の例としては、シトルリンやオルニチン、ノルバリン、4−(E)−ブテニル−4(R)−メチル−N−メチルスレオニン(MeBmt)、N−メチル−ロイシン(MeLeu)、アミノイソ酪酸、スタチン及びN−メチル−アラニン(MeAla)が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸がジスルフィド結合に関与する場合もある。用語「アミノ酸」は「アミノ酸残基」と交換可能に用い、遊離アミノ酸及び/又はペプチドのアミノ酸残基を指す場合がある。当該用語が用いられている文脈から、遊離アミノ酸又はペプチドの残基のどちらを指すかは明らかであろう。
抗体:本明細書で用いる用語「抗体」とは、天然のものであろうと、全合成又は部分合成によって作出されたものであろうと、如何なる免疫グロブリンをも意味する。当該用語には、特異的結合能力を維持する全ての抗体誘導体も包含される。また、当該用語は、免疫グロブリン結合ドメインと相同又は殆ど相同である結合ドメインを有する如何なるタンパク質をも網羅する。このようなタンパク質は天然源に由来してもよく、部分合成又は全合成によって作出されていてもよい。抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。抗体は、ヒトクラス:IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEのいずれかを含む如何なる免疫グロブリンクラスのメンバーであってもよい。本明細書においては、用語「抗体断片」及び「抗体の特徴的部分」は交換可能に用いられ、全長未満の抗体の如何なる誘導体をも意味する。一般に、抗体断片は、全長抗体の特異的結合能力の少なくとも大部分を保持している。抗体断片の例としては、FabやFab’、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFv二重特異性抗体及びFd断片が挙げられるが、これらに限定されない。抗体断片は如何なる手段によっても作出することができる。例えば、抗体断片は、無傷抗体の断片化によって酵素的又は化学的に作出することができ、及び/又は、部分抗体配列をコードする遺伝子から組換えによって作出することができる。或いは又は更には、抗体断片は全合成又は部分合成によって作出することができる。抗体断片は必要に応じて単鎖抗体断片を含むことができる。或いは又は更には、抗体断片は、例えば、ジスルフィド結合によって互いに連結した複数鎖を含むことができる。抗体断片は必要に応じて多分子複合体を含むことができる。機能性抗体断片は通常、少なくとも約50個のアミノ酸を含み、より通常には、少なくとも約200個のアミノ酸を含む。
操作された:一般に、用語「操作された」とは、人手によって操作された様相を意味する。例えば、ポリヌクレオチドにおいて、天然では互いに連結されていない二以上の配列が人手によって処理されて、操作されたポリヌクレオチド内で互いに直接連結された場合、該ポリヌクレオチドは「操作された」と考えられる。例えば、本発明の幾つかの実施形態においては、操作されたポリヌクレオチドは、天然では第1のコード配列とは作動的に関連するが第2のコード配列とは作動的に関連しないことが分かっているが、人手によって第2のコード配列と作動的に関連するように連結された制御配列を含む。
発現:本明細書において、核酸配列の「発現」とは、次の各事象の一以上を意味する:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による);(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、エディティング及び/又は3’末端形成による);(3)RNAのポリペプチド又はタンパク質への翻訳;(4)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。
宿主細胞:本明細書で用いる「宿主細胞」は、本開示に従って操作される細胞である。本明細書で用いる「改変宿主細胞」は、他の同一親細胞及び/又は特定の基準細胞(例えば、野生型細胞)と比べて、本開示に従って改変、操作又は処理されている任意の宿主細胞である。
導入する:細胞又は生物への核酸の導入に関して本明細書で用いる用語「導入する」は、最も広い意味を有し、例えば、形質転換法(例えば、塩化カルシウム介在形質転換やエレクトロポレーション、微粒子銃)による導入を包含すると共に、形質導入や抱合、接合、交配等の他の方法による導入も包含するものとする。幾つかの実施形態においては、ベクターを用いて核酸を細胞又は生物に導入する。
インビトロ:本明細書で用いる用語「インビトロ」とは、多細胞生物内ではなく、人工環境内(例えば、試験管や反応容器、細胞培養等)で生じる事象を意味する。
インビボ:本明細書で用いる用語「インビボ」とは、非ヒト動物等の多細胞生物内で生じる事象を意味する。
単離:本明細書で用いる用語「単離」とは、(1)(天然において及び/又は実験的設定において)当初産生した際に関係する成分の少なくとも一部から分離された、及び/又は(2)人手によって作出、調製及び/又は製造された、物質及び/又は実体物を意味する。単離された物質及び/又は実体物は、それが当初関係していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、又は100%から分離することができる。幾つかの実施形態においては、単離された剤は約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%を超えるか、実質的に100%か、又は100%純粋である。本明細書においては、ある物質が他の成分を実質的に含まない場合、該物質は「純粋」である。本明細書で用いる用語「単離細胞」とは、多細胞生物に含まれない細胞を意味する。
改変:本明細書において、用語「改変」は、人手によって操作された実体物(例えば、細胞や生物)を指すのに用いることができる。例えば、幾つかの実施形態においては、改変は、改変を受けていない他の同一基準生物に対して宿主生物の特性を適切に変化させる任意の化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変であることができるか、又はそれを含むことができる。多くの実施形態においては、改変は遺伝的改変を含む。幾つかの実施形態においては、改変は少なくとも1種の化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変を含み、幾つかの実施形態においては、改変は一を超える化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変を含む。一を超える改変を用いるある様相においては、該改変は、化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変の任意の組み合わせ(例えば、一以上の遺伝的、化学的及び/又は生理学的改変)を含むことができる。
モジュレーター:本明細書で用いる用語「モジュレーター」とは通常、活性の変化又は誘発をもたらす化合物を意味する。例えば、モジュレーターの存在は、ある活性の大きさをモジュレーターが存在しない場合と比べて増加又は低下させることができる。ある実施形態においては、モジュレーターは、一以上の活性の大きさを低下させる阻害剤又は拮抗剤である。ある実施形態においては、阻害剤は一以上の生物活性を完全に妨げる。ある実施形態においては、モジュレーターは、少なくとも1種の活性の大きさを増加させる活性化剤又は作動剤である。ある実施形態においては、モジュレーターの存在によって、その非存在下では生じない活性がもたらされる。本明細書で用いる「阻害する」、「低下させる」、「防止する」、「拮抗する」、又は本明細書で用いるこれらの用語の如何なる変形も、生物活性の測定可能な減少を意味する。幾つかの実施形態においては、その低下は、対照に対する生物活性の10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の低下である。本明細書で用いる「刺激する」、「増加させる」、「作動させる」、又は本明細書で用いるこれらの用語の如何なる変形も、生物活性の測定可能な増加を意味する。幾つかの実施形態においては、その増加は、対照に対する生物活性の10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の増加である。モジュレーターは「サイレントモジュレーター」であってもよく、この場合、モジュレーターは対象となる標的と相互作用する(例えば、結合する)が、該標的の活性の誘発又は変化をもたらさない。
源生物:本明細書で用いる用語「源生物」とは、本発明に従ってレシピエント又は宿主細胞に導入しようとするポリヌクレオチド、ポリペプチド又は他の化合物(例えば、異種核酸)を天然に含有又は産生する生物である。幾つかの実施形態においては、選択すべき特定の源生物は本開示の実施に対して重要ではない。それに関する考えとしては、例えば、可能性のある源と宿主生物が進化においてどの程度密接に関連しているか、また、源生物と他の源生物(即ち、他の関連する核酸及び/又はポリペプチドを選択する源生物)がどの程度関連しているかということを挙げることができる。複数の異なる異種核酸を宿主細胞に導入及び/又は宿主細胞で発現しようとする場合、異なる配列は異なる源生物に由来してもよく、同一の源生物に由来してもよい。ほんの一例を挙げると、幾つかの場合においては、本開示の目的を達成するため、個々のポリペプチドは複合タンパク質活性の個々のサブユニットを示す場合もあり、及び/又は、個々のポリペプチドは他のポリペプチドと共に機能する必要がある場合もある。幾つかの実施形態においては、このようなポリペプチドが同一の源生物に由来するか、及び/又は、宿主細胞で一緒に発現された際に適切に機能するに十分な関連があることが望ましい場合が多い。幾つかの実施形態においては、このようなポリペプチドが異なる、更には関連もしない源生物に由来することもある。異種ポリペプチドを宿主細胞で発現しようとする場合、宿主細胞のコドン優先度に合わせて調整された該ポリペプチドをコードする核酸配列を用いる、及び/又は、宿主細胞内で活性な調節要素にコード配列を連結させることが望ましいことが多いことが更に理解されよう。ある実施形態においては、所定のポリペプチドをコードする遺伝子配列が宿主細胞自身に由来する(即ち、異種ではない)場合であっても、該遺伝子配列を最適化する。例えば、対象となるポリペプチドをコードする遺伝子配列が所定の宿主細胞から単離された場合でも、該遺伝子配列が宿主細胞株での発現に最適化されたコドンではないことがある。このような実施形態においては、宿主細胞のコドン優先度に合うように該遺伝子配列を更に最適化することができる。当業者であれば、宿主細胞のコドン優先度を知り、本明細書に記載の及び/又は当該技術分野で公知の方法及び試薬を用いてそれに合わせることができるであろう。
治療:本明細書で用いる用語「治療」(“treat”、“treatment”又は“treating”)は、特定の疾患、障害及び/又は病態の一以上の症状又は徴候を、一部又は完全に緩和、改善、軽減、阻害、防止、遅延させ、その重症度を低下させ、及び/又はその発生率を低下させるのに用いる如何なる方法をも意味する。治療は、疾患に伴う病態を発症する危険性を低下させる目的で、該疾患の徴候を示さない及び/又は該疾患の初期徴候のみを示す対象に対して施すことができる。
ベクター:本明細書で用いる「ベクター」とは、連結された他の核酸を輸送することが可能な核酸分子を意味する。幾つかの実施形態においては、ベクターは、真核細胞及び/又は原核細胞等の宿主細胞内において該ベクターが連結された核酸の染色体外複製及び/又は発現を可能とする。作用的に連結された遺伝子の発現を導くことが可能なベクターを本明細書では「発現ベクター」と称する。
一過性細胞発現系:本明細書で用いる「一過性細胞発現系」とは、所望の標的細胞内で対象となる形質転換遺伝子の一時的な発現を比較的短期間に亘ってもたらす発現系を意味する。
安定細胞発現系:本明細書で用いる「安定細胞発現系」とは、所望の標的細胞内で対象となる形質転換遺伝子の長期的な発現をもたらす発現系を意味する。この系は、必ずしも宿主染色体への遺伝子の組込みを示すものではなく、次世代には引き継がれない。
調節する:本明細書で用いる用語「調節する」とは通常、ある活性の大きさをモジュレーターが存在しない場合と比べて増加又は低下させることを意味する。本明細書で用いる「阻害する」、「低下させる」、「防止する」、「拮抗する」、又は本明細書で用いるこれらの用語の如何なる変形も、生物活性の測定可能な減少を意味する。幾つかの実施形態においては、その低下は、対照に対する生物活性の10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の低下である。本明細書で用いる「活性化する」、「刺激する」、「増加させる」、「作動させる」、又は本明細書で用いるこれらの用語の如何なる変形も、生物活性の測定可能な増加を意味する。幾つかの実施形態においては、その増加は、対照に対する生物活性の10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の増加である。また、用語「調節する」は「潜在的に調節する」も包含し、この場合、化合物又はモジュレーターは対象となる標的と相互作用する(例えば、結合する)が、該標的の活性の誘発又は変化をもたらさない。
本明細書で用いる用語「相互作用する」は、検出可能な分子間の関連性や関係性、例えば、化合物と標的タンパク質又は標的タンパク質複合体との相互作用や、モジュレーターと標的タンパク質又は標的タンパク質複合体との相互作用を包含することを意味する。幾つかの実施形態においては、用語「相互作用する」は、化合物又はモジュレーターが対象となる標的(例えば、標的タンパク質や標的タンパク質複合体)の活性を増加又は低下させる状況を指す。他の実施形態においては、用語「相互作用する」は、化合物又はモジュレーターが対象となる標的と結合するが、該標的の活性の誘発又は変化をもたらさない状況も包含し得る。
以下、本明細書全体を通して用いられる具体的な官能基、化学用語及び一般用語の定義をより詳細に説明する。本発明の目的に関し、化学元素の同定は「Handbook of Chemistry and Physics」第75版内表紙の元素周期律表(CAS編)に従うが、具体的な官能基の一般定義は同書に記載されている。更に、有機化学の一般原理、具体的な官能性部分及び反応性については、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999;Smith及びMarch「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Edition,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001;Larock,「Comprehensive Organic Transformations」,VHC Publishers,Inc.,New York,1989;Carruthers,「Some Modern Methods of Organic Synthesis」,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
特に明記しない限り、本明細書に示す構造は、その構造のあらゆる異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何(又は立体配座)異性体)、例えば、不斉中心に関するR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、及びZ及びE立体配座異性体を包含することを意味する。従って、本発明化合物の単一の立体化学的異性体のみならず、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何(又は立体配座)異性体の混合物も本発明の範囲内である。特に明記しない限り、本発明化合物の全ての互変異性体も本発明の範囲内である。更に、特に明記しない限り、本明細書に示す構造は、特定の同位体に富む1種以上の原子が存在することのみが異なる化合物を包含することをも意味している。例えば、水素が重水素又は三重水素に置き換えられているか、或いは炭素が13Cリッチ又は14Cリッチの炭素に置換された構造の化合物も本発明の範囲内である。この種の化合物は、例えば、本発明による分析ツールとして、バイオアッセイにおけるプローブとして、又は治療剤として有用である。
特定のエナンチオマーが好ましい場合、幾つかの実施形態においては、対応するエナンチオマーを実質的含まない形で提供することができ、これは「光学的に富化された」と称することもできる。本明細書において「光学的に富化された」とは、当該化合物の一方のエナンチオマーの比率が極めて高い構成を有することを意味する。ある実施形態においては、当該化合物の少なくとも約90重量%が好ましいエナンチオマーで構成される。他の実施形態においては、当該化合物の少なくとも約95重量%、約98重量%又は約99重量%が好ましいエナンチオマーで構成される。好ましいエナンチオマーは、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及びキラルな塩の形成と結晶化を含む当業者に知られたいずれかの方法によってラセミ混合物から単離するか、又は不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacquesら、「Enantiomers,Racemates and Resolutions」(Wiley Interscience,New York,1981);Wilenら、Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.、「Stereochemistry of Carbon Compounds」(McGraw−Hill,NY,1962);Wilen,S.H.、「Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions」、p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。
[本発明のタンパク質に関する情報]
PRPKはNCBI:NP_291028.3として登録されているTP53調節キナーゼである。本明細書においては、上述のPRPKタンパク質の天然変異体や人工改変変異体も、対応する機能を保持している限りPRPKと称することができる。
TPRKBはNCBI:NP_057142.1として登録されているTP53RK結合タンパク質である。本明細書においては、上述のTPRKBタンパク質の天然変異体や人工改変変異体も、対応する機能を保持している限りTPRKBと称することができる。
PRPK/TPRKB複合体:PRPKは、IL−2で活性化された細胞溶解性T細胞において上方制御される転写産物として先ず同定された(Abeら、J.Biol.Chem.276:44003〜44011(2001))。PRPKがキナーゼ活性を保有し、p53のSer15をインビトロでリン酸化し得ることが示唆された(Facchinら(2003)FEBS Letters 549:63)。組換えPRPKのキナーゼ活性は、PRPKを細胞ライセートとプレインキュベートしない限り観察されなかったが、この結果はPRPKが他の細胞成分によって調節され得ることを示唆する。PRPKとTPRKBとの間の物理的相互作用は、インビトロで証明され(Miyoshiら、(2003)Biochem.Biophys.Res.Commun.303:399〜405)、またPRPKがAktにより活性化され得るという証拠があり(Facchinら、Cell Mol Life Sci 64:2680〜2689(2007))、これが、癌に関連する重要な調節経路の一部となり得ることを示唆している。CTAG2及びCTG1B等、LAGE3のヒトホモログは、癌及び精巣において特異的に発現する癌/精巣抗原として知られており、癌の免疫療法の標的である(Caballeroら、Cancer Sci(2009)100,2014)。
本明細書で用いる「PRPKホモログ」又は「PRPKのホモログ」は、PRPKの相同タンパク質を包含し得る。幾つかの実施形態においては、「PRPKホモログ」の例としては、PRPKの配列との配列同一性が少なくとも70%、80%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列を有し、TP53調節キナーゼ活性を有するPRPKの天然変異体や人工改変変異体が挙げられる。本明細書で用いる「TPRKBホモログ」又は「TPRKBのホモログ」は、TPRKBの相同タンパク質を包含し得る。幾つかの実施形態においては、「TPRKBホモログ」の例としては、TPRKBの配列との配列同一性が少なくとも70%、80%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列を有し、p53関連タンパク質キナーゼ結合活性を有するTPRKBの天然変異体や人工改変変異体が挙げられる。
本明細書で用いる「PRPK/TPRKB複合体のホモログ」は、PRPKホモログとTPRKBホモログとの複合体、PRPKとTPRKBホモログとの複合体、及びPRPKホモログとTPRKBとの複合体を包含し得る。
本明細書で用いる用語「ホモログ」とは、元のタンパク質及び/又は遺伝子に対して機能及び/又は配列が同様のタンパク質及び/又は遺伝子を有する、相同タンパク質及び/又は相同遺伝子(DNA及び/又はRNA配列)の形質を意味する。相同タンパク質及び/又は遺伝子は、元のタンパク質及び/又は遺伝子と同一の起源に由来してもよく、異なる起源に由来してもよい。幾つかの実施形態においては、ホモログは、元のタンパク質及び/又は遺伝子の配列との同一性が少なくとも70%、80%、90%、95%又は99%の配列を有し、該配列にコードされる相同タンパク質は、元のタンパク質に相当する機能を有する。本明細書で用いる用語「ホモログ」は、タンパク質及び/又は遺伝子の種とは無関係である。
[PRPK、TPRKB及びPRPK/TPRKB複合体の組換え体]
本発明者らは、バキュロウイルス−昆虫細胞発現系等の真核細胞発現系を用いることによって、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの組換え体が高収量且つ高純度で安定して発現することを見出した。真核細胞発現系以外の細胞発現系を用いると、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログが不安定又は無機能な状態で調製されるため、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを調節する剤のスクリーニングには適していない。真核細胞発現系によって、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを調節する剤のスクリーニングを行うことができる。幾つかの実施形態においては、哺乳動物細胞、昆虫細胞及び酵母細胞を真核細胞発現系に用いることができる。バキュロウイルス−昆虫細胞発現系が好ましい。
幾つかの実施形態においては、組換えPRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログをコードするポリヌクレオチドをベクターに組み込んで細胞発現ベクターを構築した後、該発現ベクターを標的細胞にトランスフェクトして形質転換細胞を調製する。組換えPRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログをコードするポリヌクレオチドをバキュロウイルスベクターに組み込んでバキュロウイルス発現ベクターを構築した後、該発現ベクターを昆虫細胞にトランスフェクトして形質転換細胞を調製することが好ましい。この形質転換細胞を培養することによって、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの組換え体が高収量で得られる。
一実施形態においては、PRPK/TPRKB複合体又はそのホモログを構成する各タンパク質をそれぞれ異なる細胞株で発現させることができる。或いは、同一細胞で共発現させることができる。該タンパク質を同一細胞で共発現させることが好ましい。他の実施形態においては、PRPK/TPRKB複合体又はそのホモログを構成する各タンパク質を同一細胞株の異なる細胞で逐次的に又は並行して発現させることができるが、並行発現が好ましい。
一実施形態においては、組換えPRPK/TPRKB複合体又はそのホモログを構成する各タンパク質をそれぞれ異なる昆虫細胞株で発現させてもよく、同一細胞株の異なる細胞で発現させてもよく、同一の昆虫細胞で共発現させてもよい。該タンパク質を同一の昆虫細胞で共発現させることが好ましい。
例えば、PRPK又はTPRKBをコードするポリヌクレオチドを公開データベースの情報に従って化学的に合成してもよく、PRPK又はTPRKBをコードするcDNAをRT−PCR等のいずれかの公知の技法によってヒト細胞からクローン化してもよい。部位特異的変異誘発等の如何なる生物工学技法を用いてもPRPK又はTPRKBのホモログを構築することができる。PRPK及び/又はTPRKB又はそれらのホモログをコードするポリヌクレオチド又はcDNAは、FlagタグやグルタチオンS−トランスフェラーゼタグ、N末端6ヒスチジンタグ(Hisタグ)等のタグに作動可能に結合することができるが、該ポリヌクレオチド又はcDNAを真核生物ベクターにクローン化して真核生物発現ベクターを構築する。cDNAをクローン化し発現ベクターを構築するための手順は、発現ベクターの供給元からのユーザーズ・マニュアルに従って行うか、或いは、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(2001)に記載されたように行う。このようにして構築した発現ベクターを真核細胞に感染させ、所定の培養条件下、所定の期間培養を行う。
好ましい一実施形態においては、組換えタンパク質の発現に用いる真核細胞発現系はバキュロウイルス−昆虫細胞発現系である。バキュロウイルス−昆虫細胞発現系の例としては、組換えPRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログをコードするポリヌクレオチドを組み込んだバキュロウイルスベクターを含む培養昆虫細胞を挙げることができる。好ましくは、昆虫細胞の例としては、Sf9細胞やSf21細胞、HiFiveが挙げられ、バキュロウイルスベクターの例としては、pBacPAK8及びpBacPAK9(クロンテック)やpVL1392(フナコシ)、4pFastBac Dual、5pDEST8、pDEST10、pDEST20、pFastBac 1、pFastBac HT、pMT/BiP/VS−His、pAc5.1/V5−His、pMT−DEST48、pMT/V5−His−TOPO、pMT/V5−His、pMIB/V5−His、pIB/V5−His−DEST、pIB/His、pIB/V5−His−TOPO、pIB/V5−His、pIZ/V5−His、pIZT/V5−His(インビトロジェン)が挙げられる。バキュロウイルスベクターpBacPAK9と昆虫細胞株Sf9又はSf21との組合わせがより好ましい。
His−PRPKはTPRKBの非存在下ではSf9細胞内で不安定であるため、His−PRPKとTPRKBの共発現は、高純度のPRPK/TPRKB複合体を大量に得る上で好ましい。His−Trapカラム(GEヘルスケア)に結合している殆ど全てのHis−PRPKはTPRKBと複合体を形成し、単量体のTPRKBはHis−Trapカラムに結合することができないため、His−Trapカラムを用いてHis−PRPK/TPRKB複合体を効率良く精製することができる。従って、Hisタグや他のタグ(例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼタグやFLAGタグ)をPRPKに融合させることは、アフィニティーカラムによって高純度のPRPK/TPRKB複合体を得る上で好ましい。
[PRPK/TPRKB複合体モジュレーターの同定及び/又は特性評価]
また、本発明は、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを調節する剤を同定する方法も提供する。本発明の方法は、その幾つかの実施形態において、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログと結合する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログのモジュレーターをスクリーニングする。本発明の方法は、その幾つかの実施形態において、基準剤の親和性と比べた場合、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログと1mM未満の範囲内の親和性で結合する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログのモジュレーターをスクリーニングする。本発明の方法は、その幾つかの実施形態において、発癌状態又は癌性状態の症状を治療する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログのモジュレーターをスクリーニングする。本発明の方法は、更に他の実施形態において、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの発現及び/又はレベルを調節する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログのモジュレーターを同定する。
本発明の方法は、その幾つかの実施形態において、ハイスループットスクリーニング方法を包含する。本発明は、そのある実施形態において、本発明の方法により同定された剤を包含する。
本発明の全てのスクリーニング方法は、有効剤が発見できない可能性がある事実が存在するにせよ、それ自体が有用であることが理解できるであろう。本発明は、有効剤を発見する方法だけでなく、試験剤をスクリーニングするための方法を提供する。
[スクリーニング]
幾つかの実施形態においては、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログのモジュレーターのスクリーニングが用いられる。幾つかの実施形態においては、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログのモジュレーターのハイスループットスクリーニングが用いられる。幾つかの実施形態においては、このようなスクリーニングでは、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログと結合する物質を同定する。
本発明のハイスループットアッセイにおいては、1日で最大数千種の試験剤のスクリーニングが可能である。マイクロタイタープレートの各ウェルを用いて、選択された試験剤毎に別個のアッセイを実施することができ、また、濃度及び/又はインキュベーション時間の効果を観察する場合には、試験剤1種に対しそれぞれ5〜10ウェルで検査することができる。このように、1枚の標準マイクロタイタープレートで96種の試験剤をアッセイすることができる。1536ウェルプレートを用いる場合、1枚のプレートで容易に約100〜約1500種の異なる試験剤をアッセイすることができる。1日で多数のプレートをアッセイすることができ、最大約6,000種、20,000種、50,000種、又は100,000種を超える種々の試験剤のアッセイスクリーニングが可能である。
スクリーニングでは固相反応を利用しているので、対象となる生物標的は、例えばタグを介して、共有結合及び/又は非共有結合により、直接的又は間接的に固体成分と結合することができる。タグは、種々の成分のいずれかを含むことができる。一般に、タグを結合する物質(タグ結合剤)は、固体支持体に固定され、タグを付加された対象分子は、タグ及び/又はタグ結合剤の相互作用により固体支持体と結合される。
文献に詳述されている公知の分子相互作用に基づき、多くのタグ及び/又はタグ結合剤を用いることができる。例えば、タグが天然の結合剤を有する場合、例えば、ビオチン、プロテインA及び/又はプロテインGは、適切なタグ結合剤(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、免疫グロブリンのFc領域等)と併せて用いることができる。ビオチン等の天然の結合剤を有する分子及び/又は適切なタグ結合剤に対する抗体は、広く入手可能である(シグマ・イムノケミカルズ、1998年カタログ、ミズーリ州セントルイス)。
同様に、ハプテン性化合物及び/又は抗原性化合物のいずれかを適切な抗体と組み合わせて用い、タグ/タグ結合剤ペアを形成することができる。数千種の特異的抗体が市販され、多くの追加的な抗体が文献に記載されている。例えば、通常の一配置において、タグは、第1の抗体であり、タグ結合剤は、第1の抗体を認識する第2の抗体である。抗体−抗原相互作用に加えて、受容体−リガンド相互作用は、タグ及び/又はタグ結合剤ペアとして適切であり、その例としては、トランスフェリン、c−kit、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体及び/又は抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリー等(例えば、Pigottら、The Adhesion Molecule Facts Book I,1993を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、毒及び/又は毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、オピエートやステロイド等)、細胞内受容体(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイド、ビタミンD及び/又はペプチド等、種々の小分子リガンドの効果を媒介する)、薬物、レクチン、炭水化物、核酸(直鎖状及び/又は環状ポリマー立体配置)、タンパク質、リン脂質及び/又は抗体は、種々の細胞受容体と相互作用することができる。
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド及び/又はポリアセテート等の合成ポリマーは、適切なタグ及び/又はタグ結合剤を形成することができる。当業者には明らかなように、他の多くのタグ/タグ結合剤ペアは、本明細書に記載のアッセイ系において有用である。
ペプチド、ポリエーテル等の一般的なリンカーは、タグとして用いることができ、約5〜200アミノ酸のポリGly配列等のポリペプチド配列を含むことができる。このようなフレキシブルなリンカーは当業者に公知である。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、シアウォーター・ポリマーズ社(アラバマ州ハンツビル)から入手可能である。これらのリンカーは、アミド結合、スルフヒドリル結合及び/又はヘテロ官能基結合を必要に応じて有する。
タグ結合剤は、現在利用できる種々の方法のいずれかを用いて固体基質に固定される。固体基質は通常、基質の全体及び/又は一部を、タグ結合剤の一部分と反応性の表面に化学基を固定する化学試薬に曝露することにより、誘導体化及び/又は官能性を持たせる。例えば、長鎖部分との結合に適切な基としては、アミン、ヒドロキシル、チオール及び/又はカルボキシル基が挙げられる。アミノアルキルシラン及び/又はヒドロキシアルキルシランを用いて、ガラス表面等の種々の表面に官能性を持たせることができる。このような固相バイオポリマーアレイの構築は、文献に詳述されている(例えば以下を参照、ペプチド等の固相合成について記載するMerrifield,1963,J.Am.Chem.Soc.85:2149;ピンにおける固相成分の合成について記載するGeysenら、1987,J.Immun.Meth.102:259;セルロースディスクにおける種々のペプチド配列の合成について記載するFrankら,1988,Tetrahedron 44:6031;Fodorら,1991,Science,251:767、Sheldonら,1993、Clinical Chemistry 39(4):718、及びKozalら,1996,Nature Medicine 2:753、これらは全て固体基質に固定されたバイオポリマーのアレイについて記載している。)。タグ結合剤を基質に固定するための非化学的なアプローチとしては、熱、UV照射による架橋等の他の一般的な方法が挙げられる。
[インビトロアッセイ]
本発明は、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログのモジュレーターをスクリーニングするためのインビトロ方法を提供する。例えば、幾つかの実施形態において、方法は一般に、(1)PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを含む系を用意する段階と、(2)試験剤を用意する段階と、(3)該試験剤を該系と接触させる段階と、(4)該試験剤によるPRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの調節を測定及び/又は検出する段階とを含む。
通常、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログを用意し、試験剤と直接的に及び/又は間接的に接触させる。次いで、試験剤によるPRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの調節を検出及び/又は測定する。その後、適切な剤を単離及び/又は解析することができる。ライブラリーのスクリーニングに用いられる、当業者に公知のハイスループットアッセイ手段は市販されており、本明細書に記載されている。
幾つかの実施形態において、インビトロアッセイは結合アッセイを含む。候補物質の生物標的(例えば、PRPKやTPRKB、PRPK/TPRKB複合体、それらのホモログ)への結合は、結合に本来的に伴う立体的相互作用、アロステリック相互作用及び/又は電荷−電荷相互作用により阻害され得る。生物標的は、溶液中に遊離していても支持体に固定されていてもよく、及び/又は細胞中に及び/又は細胞表面上に発現していてもよい。生物標的及び/又は試験剤を標識することによって結合の検出が可能となる。生物標的は標識種であることが多く、標識によって結合を妨害及び/又は増強する機会が減少する。試験剤の1種が標識された競合的結合形式を実施することができ、遊離の標識対結合標識の量を測定すれば、結合への効果を決定することができる。
幾つかの実施形態において、結合アッセイは、生物標的の試験剤への曝露や生物標的と試験剤との結合の検出を伴う。結合アッセイは、インビトロで(例えば、言及した成分のみを実質的に含む試験管内で、無細胞抽出物において、及び/又は実質的に精製された成分において)行うことができる。また、或いは更に、このアッセイはインサイト及び/又はインビボで(以下で更に詳述する通り、例えば、細胞内、組織内、器官内及び/又は生物内で)行うことができる。
ある実施形態においては、試験剤を生物標的と接触させ、その効果を検出する。1種のアッセイにおいては、例えば、試験剤をPRPKタンパク質と接触させ、PRPKタンパク質との結合を試験する。TPRKB、PRPK/TPRKB複合体、又はPRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体のホモログに対しても同様のアッセイを行うことができる。PRPK、TPRKB及びそれらのホモログの断片、部分、相同体、変異体及び/又は誘導体を用いることができることは理解されよう。
幾つかの実施形態においては、固定化されていない試験剤を用い、固体支持体に固定化された生物標的と結合する剤を同定するためのアッセイを用いて、生物標的と試験剤が互いに結合するか否か及び/又はどの程度結合するかを決定する。或いは、試験剤を固定化して、生物標的を固定化しないこともできる。このようなアッセイを用いて、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログと結合可能な剤を同定することができる。
一実施形態においては、生物標的を認識する抗体(例えば、PRPK抗体)を固体支持体(例えば、プロテインAビーズ)と結合する。この抗体を生物標的と接触させ、この標的は固定化された抗体と結合する。次いで、得られた複合体を試験剤(精製タンパク質、細胞抽出物、コンビナトリアルライブラリー等)と接触させる。試験剤が生物標的と相互作用する場合、試験剤は固体支持体へと間接的に固定化される。固体支持体における試験剤の存在は、当該技術分野で公知の如何なる標準的技法(例えば、ウエスタンブロッティングが挙げられるが、これに限定されない)によってアッセイすることができる。この種のアッセイは当該技術分野において「免疫沈降」アッセイとして知られている。
一実施形態においては、生物標的(例えば、PRPKやTPRKB、PRPK/TPRKB複合体、それらのホモログ)をアガロースビーズ等のビーズ上に固定化する。ある実施形態においては、PRPK、TPRKB、それらのホモログ及び/又はそれらの特徴的部分は、細菌、酵母、昆虫及び/又は高等真核生物の細胞株においてGST融合タンパク質として発現させ、及び/又はグルタチオン−アガロースビーズを用いて粗細胞抽出物から精製する。対照として、GST融合タンパク質ではない試験剤と固定化された生物標的との結合を生物標的の非存在下で決定する。次いで、試験剤と固定化された生物標的との結合を決定する。この種のアッセイは当該技術分野において「GSTプルダウン」アッセイとして知られている。また、或いは更には、試験剤を固定化し、生物標的を固定化しなくてもよい。
成分の1種を固定化するための様々なアフィニティー精製系、例えば、Ni−NTAアガロース及び/又はヒスチジンのタグを付けた成分を用いてこの種のアッセイを行うことができる。
生物標的と試験剤との結合は、当該技術分野で周知の種々の方法によって決定することができる。例えば、固定化されていない成分を(例えば、放射性標識、エピトープタグ及び/又は酵素−抗体コンジュゲートで)標識することができる。或いは、結合は免疫学的検出技法によって決定することができる。例えば、反応混合物をウエスタンブロットし、固定化されていない成分を検出する抗体によってブロットをプローブで探索できる。或いは又は更には、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を利用して結合をアッセイすることができる。
[使用方法]
本発明は、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログに関連する疾患、病態又は障害を治療する方法を提供する。本発明は、その幾つかの実施形態において、細胞増殖に関連する疾患、病態又は障害を治療する方法を提供する。ある実施形態においては、このような方法は、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの調節を伴う。ある実施形態においては、このような方法は、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの活性化を伴う。ある実施形態においては、このような方法は、PRPK、TPRKB、PRPK/TPRKB複合体又はそれらのホモログの阻害を伴う。
本発明は、その幾つかの実施形態において、PRPK/TPRKB複合体及び/又はそのいずれかのサブユニット又は成分を調節する剤と細胞とを接触させることを含み、対照と比較した細胞増殖の減少を検出する段階を必要に応じて更に含む、細胞増殖を阻害する方法を提供する。
以下の代表的な実施例は、本発明の説明を補助することを意図するものであって、本発明の範囲を制限することを意図するものでもなく、そう解釈されるべきでもない。実際、実施例を含む、本明細書に引用する科学文献及び特許文献の参照を伴う本明細書の内容全体から、本明細書に記載されている以外の本発明の種々の改変及び更なる多くの実施形態は当業者に明らかであろう。更に、本明細書に引用された参考文献の内容が、当該分野の技術水準の説明の一助となるように本明細書に援用されていることは理解されるべきである。
以下の実施例には、本発明を種々の実施形態及びその均等物で実施できるようにするための重要な付加的な情報、例示及び手引きが含まれている。しかし、これらの実施例が本発明を限定するものではないことは理解されるであろう。現在知られており、及び/又は今後開発される本発明の変形も、本明細書に記載され、特許請求の範囲で請求される本発明の範囲内にあると考えられる。
一般的な細胞培養。細胞株JeKo−1はATCCより入手し、供給者指定の培地要件により37℃、5%CO2のインキュベーターで維持した。凍結保存PBMCはアスタート・バイオロジクスより入手し、解凍して供給者指定の培地要件で維持した。
[参照例1]
ポマリドマイドベースのアフィニティー試薬の合成
(S)−メチル2−(ベンジリデンアミノ)−6−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ヘキサノエート(2)の合成。撹拌子を備えた丸底フラスコ内でNε−Z−L−リジンメチルエステル塩酸塩(1g、3.022mmol)及びMgSO4(0.253g、2.1mmol)にDCM(4.3mL)を加えた。この懸濁液にトリエチルアミン(0.5mL、3.63mmol)、次いでベンズアルデヒド(0.3mL、3.022mmol)を10分間に亘って添加した。反応物を室温で20時間撹拌した後、濾過した。次いで、固体をDCMで洗浄した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過して濃縮することにより2を無色油として得た(1g、87%)。これを更に精製することなく次の段階に用いた。Rf=0.68(9:1 DCM:MeOH)。
ベンジル(4−(3−(ベンジリデンアミノ)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(3)の合成。2(4g、10.4mmol)及びアクリルアミド(1.11g、15.7mmol)のTHF(40mL)溶液にカリウムtert−ブトキシド(1.23g、11.0mmol)を0℃で少量ずつ15分間に亘って添加した。3.5時間後、混合物の反応をNH4Cl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過して濃縮し、3を得た(3.6g、82%)。これ以上の精製は行わなかった。Rf=0.33(95:5 DCM:MeOH)。
ベンジル(4−(3−アミノ−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート塩酸塩(4)の合成。3(3.6g、8.54mmol)のTHF(21mL)溶液に4MのHCl水溶液を0℃で少量ずつ添加した。混合物を室温に戻し、5時間に亘って撹拌した。反応中に形成した白色の析出物を濾過し、THFで洗浄した。再結晶を2回行うことにより4を白色固体として得た(2.88g、91.2%)。1H NMR (400 MHz, DMSO) a 11.30 (s, 1H), 8.62 (br s, 3H), 7.46 - 7.15 (m, 5H), 4.97 (m, 2H), 3.59 (m, 2H), 2.98 (m, 2H), 2.76 (m, 1H), 2.58 (m, 1H), 2.24 - 1.97 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.74 (m, 1H), 1.21 (m, 1H)。
ベンジル(4−(3−(4−ニトロ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(5)の合成。4(0.326g、0.881mmol)、3−ニトロフタル酸無水物(0.211g、1.093mmol)及び酢酸ナトリウム(0.097g、1.181mmol)の混合物に酢酸(4.0mL)を添加し、得られた混合物を130℃で一晩撹拌した。20時間後、混合物を重炭酸ナトリウムで慎重に中和し、DCMで抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過して濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5 DCM:MeOH)で精製することにより5を白色固体として得た(0.241g、54%)。
ベンジル(4−(3−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(6)の合成。アルゴン中、5(0.24g、0.472mmol)のエタノール(15mL)懸濁液にラネーニッケル(W.R.Grace and Co.Raney(登録商標)4200、H2O中スラリー)を添加した。次いで、水素バルーンを用いて混合物を水素で飽和させた。1.5時間後、混合物をアルゴンでフラッシュし、EtOHを用いて濾過して濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5 DCM:MeOH)で精製することにより6を淡黄色固体として得た(0.112mg、49%)。Rf=0.38(95:5 DCM:MeOH)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ10.97 (s, 1H), 9.09 (s, 1H), 9.04 (s, 1H), 7.71 - 7.52 (m, 2H), 7.49 - 7.18 (m, 5H), 7.10 (m, 1H), 5.07 - 4.85 (m, 2H), 2.96 (m, 2H), 2.55 (m, 2H), 2.44 (m, 1H), 2.22 (m, 2H), 2.02 (m, 1H), 1.40 (m, 2H), 1.22 (m, 2H). MS (ESI) m/z C25H27N4O6 [M+H]+の計算値: 479.5, 実測値: 479.9。
4−アミノ−2−(3−(4−アミノブチル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン塩酸塩(7)の合成。アルゴン雰囲気中、2%HClを含むエタノール(60mL)に6(0.111g、0.232mmol)を溶解した溶液に活性炭担持パラジウム(0.025g)を添加した。次いで、水素バルーンを用いて混合物を水素で飽和させた。4時間後、混合物をアルゴンでフラッシュし、エタノール及びメタノールを用いて濾過した。分取HPLCにより7を淡黄色固体として得た(0.055g、69%)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ8.31 (s, 1H), 7.52 - 7.34 (m, 1H), 6.94 (m, 2H), 6.53 (br s, 2H), 2.74 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.65 (m, 1H), 2.63 - 2.56 (m, 1H), 2.54 (m, 1H), 2.44 (m, 1H), 2.31 (m, 1H), 2.21 (m, 1H), 2.02 (m, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.48 - 1.38 (m, 1H), 1.26 (m, 2H). MS (ESI) m/z C17H21N4O4 [M+H]+ の計算値: 345.4, 実測値: 345.7。
8(ポマリドマイドベースのアフィニティー試薬)の合成。アフィゲル−10(15μmol/mLゲル、50%スラリー)のイソプロパノール懸濁液約2mLをコニカルチューブに移し、遠心分離することによって沈渣(1.04mL)を得た。イソプロパノールを除去して、アフィゲル−10をDMSO(3×5mL)で洗浄した。次いで、7(0.002g、0.00525mmol)及びトリエチルアミン(0.007mL、0.0525mmol)のDMSO(2.2mL)溶液を添加し、得られた混合物を密封し、ローテータを用いて室温で転動させた。16時間後、コニカルチューブの遠心沈殿を行い、DMSO上清中の7の存在の有無をLC−MSで確認した。7は観測されなかったため、混合物にトリエチルアミン(0.015mL、0.105mmol)及びエタノールアミン(0.006mL、0.10503mmol)を添加し、得られた混合物をローテータを用いて室温で転動させた。20時間後、SS−0007896を遠心沈殿させ、溶媒を除去し、樹脂をDMSO(3×5mL)及びイソプロパノール(3×5mL)で洗浄し、−20℃のイソプロパノール中で保管した。
[参照例2]
標準小分子アフィニティクロマトグラフィーによる標的の発見
バッファーB(50mM HEPES、pH7.5、5%グリセロール、1.5mM MgCl2、150mM NaCl、1mM Na3VO4、25mM NaF、0.4%ノニデットP−40、1mM DTT及び10〜25mLのバッファーBにつき1個のコンプリート・ミニEDTAフリープロテアーゼ阻害剤錠剤)(2mL)に溶解することにより、プルダウン試料当たり2×108個のJeko−1、Jurkat又はHS−Sultan細胞又は5×107個のHeLaS3細胞から細胞ライセートを調製した。ライセートを氷上で30分間インキュベートした後、液体N2及び37℃ウォーターバスを用いて、ポリプロピレンチューブにおいて2回の凍結融解を行った。試料を1800rpmで5分間、4℃で遠心分離した。上清を55,000rpmで1時間、4℃で超遠心した。上清を回収し、対照アフィゲル試薬(アフィゲルエタノールアミン又はアフィゲル−PEGリンカー)(10μL)と共にローテータにおいて4℃で30分間インキュベートすることによりプレクリア(pre-cleared)した。プレクリアしたライセートを氷上の90μm孔径フリットを備えるモビコール(Mobicol)1mLカラムに移し、0.1rcfで10秒間遠心分離して、ライセートからアフィゲルビーズを分離した。プレクリアしたライセート及び過剰なポマリドマイドによるインキュベーションは、20倍過剰の競合物質濃度(500μM最終濃度)にて、ローテータにおいて4℃で30分間行った。次いで、対照又はポマリドマイドベースのアフィゲル試薬(10μL)を各試料に添加し、プルダウンを4℃で1時間行った。90μm孔径フリットを備えるモビコール(Mobicol)1mLカラムにライセート及びアフィゲル試薬を移し、アフィゲルビーズをバッファーB(800μL)で3回、バッファーA(0.4%ノニデットP−40を含まないバッファーB)(800μL)で2回洗浄した。カラムを0.1rcfで30秒間遠心分離して、残留洗浄バッファーを完全に除去した後、下側の栓を閉じた。カラムを1.5mL低結合エッペンドルフチューブ内に置き、10mM DTTを含む40μLの2×SDSサンプルバッファーにおいて50℃で30分間加熱し、結合したタンパク質をアフィゲル試薬から溶出させた。次に、カラムを開け、1600rpmで15秒間遠心分離することにより、溶出液を低結合エッペンドルフチューブに回収した。試料を4〜12%SDS−PAGEゲルにアプライして分離した後、銀染色(SilverQuestキット、インビトロジェン、カリフォルニア州カールズバッド)を行った。過剰のポマリドマイド競合物質と競合するが、DMSOとは競合しないバンドを切り出し、ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター質量分析コア施設(Beth Israel Deaconess Medical Center Mass Spectrometry Core Facility)(マサチューセッツ州ボストン)においてLC/MS/MS解析により同定を行った(図1参照)。
[実施例1]
Sf9細胞におけるヒトPRPK及びTPRKBタンパク質の複合体
ヒトPRPK(NM_033550.3)のcDNAを、TEVプロテアーゼ切断部位を有するグルタチオンS−トランスフェラーゼタグ(GST−タグ)、TEVプロテアーゼ切断部位を有する6×ヒスチジンタグ(His−タグ)又はFLAG−タグの存在下又は非存在下でpBacPAK9ベクター(クロンテック)にクローン化した。また、ヒトTPRKB(NM_016058.2)のcDNAも、TEVプロテアーゼ切断部位を有するGST−タグ、TEVプロテアーゼ切断部位を有するHis−タグ、His−タグ又はFLAG−タグの存在下又は非存在下でpBacPAK9ベクターにクローン化した。GST−タグ融合PRPK(GST−PRPK)、His−タグ融合PRPK(His−PRPK)、FLAG−タグ融合PRPK(PRPK−FLAG)、PRPK、GST−タグ融合TPRKB(GST−TPRKB)、His−タグ融合TPRKB(His−TPRKB及びTPRKB−His)、FLAG−タグ融合TPRKB(TPRKB−FLAG)及びTPRKBをコードする組換えバキュロウイルスを、BacPAKバキュロウイルス発現系(クロンテック)を用い、同社のユーザーマニュアルに従って構築した。
GST−PRPK及びHis−TPRKBをコードする組換えバキュロウイルス又はGST−PRPK及びTPRKB−Hisをコードする組換えバキュロウイルスを次の比率、5:1、2:1、1:1、1:2でSf9昆虫細胞(インビトロジェン)に共感染させた。感染したSf9細胞を、0.1%プルロニックイオン(インビトロジェン)、1×硫酸カナマイシン(インビトロジェン)及び10%FCSを含むグレース昆虫培地(インビトロジェン)中、27℃で3日間又は4日間培養した。細胞を回収し、超音波処理によって溶解バッファー(50mM HEPES、pH7.5、200mM Li2SO4、5%グリセロール、0.5%CHAPS、1×コンプリートEDTAフリー(ロシュ)、10mM 2−メルカプトエタノール)に溶解させた。遠心分離(15krpm×30分間、4℃)を行った後、上清を粗ライセートとして回収した。グルタチオン−セファロース4Bビーズ(GEヘルスケア)を粗ライセートに添加し、回転させながら4℃で1時間インキュベートした。1×サンプルバッファー(45mM Tris−Cl、pH6.8、715mM 2−メルカプトエタノール、1.5%SDS、3%グリセロール、0.00375%ブロモフェノールブルー)を添加して結合タンパク質を溶出させた。SDS−PAGE及び抗GST抗体(GEヘルスケア)又は抗Hisタグ抗体(シグマ)を用いたウェスタンブロットによって粗ライセートと結合タンパク質を解析した。
インキュベーションを3日間及び4日間行った後、PRPKタンパク質及びTPRKBタンパク質の両方がSf9細胞で発現した。GST−プルダウン実験の結果から、GST−PRPK及びHis−TPRKB/TPRKB−Hisタンパク質が昆虫細胞内で複合体をうまく形成していたことが分かった(図2参照)。
[実施例2]
ヒトPRPK及びTPRKBタンパク質の複合体の精製
上述のセクションで示したように、BacPAKバキュロウイルス発現系によって、His−PRPK及びTPRKBをコードする組換えバキュロウイルスを作出した。Sf9細胞においてHis−PRPKとTPRKBの複合体を形成するため、Sf9細胞をHis−PRPK及びTPRKBをコードする組換えバキュロウイルスに共感染させた後、0.1%プルロニックイオン、1×硫酸カナマイシン及び10%FCSを含むグレース昆虫培地中、27℃で3日間培養した。3日間の培養後、感染したSf9細胞を回収し、溶解バッファー(50mM HEPES、pH7.5、200mM Li2SO4、5%グリセロール、0.5%CHAPS、1×コンプリートEDTAフリー(ロシュ)、10mM 2−メルカプトエタノール)中で細胞を超音波処理して全細胞ライセートを調製した後、40000×gで30分間遠心分離を行った。上清をHis−アフィニティーカラム、HisTrap(GEヘルスケア)及びTALON(クロンテック)にアプライして、His−PRPKとTPRKBの複合体を含む画分を得た。これらの画分をHis−タグを付けたTEVプロテアーゼ(インビトロジェン)と共に4℃で一晩インキュベートした後、TALONカラムにアプライして該プロテアーゼを除去した。TALONカラムのフロースルー画分を陽イオン交換カラムであるMonoS(GEヘルスケア)にアプライして、PRPKとTPRKBの複合体を含む画分を得た。精製を行っている間、SDS−PAGEとそれに続くクーマシーブリリアントブルー染色によってPRPK及びTPRKBタンパク質をトレースした。Quick Start Bradford Dye Reagent(バイオ・ラッド)を用いてタンパク質濃度を決定し、12.5%SDS−PAGEとそれに続くクーマシーブリリアントブルー染色によって純度のレベルを解析した(図3参照)。6LのSf9細胞培養物から全部で72mgの精製タンパク質を得た。
[実施例3]
バキュロウイルス発現系における発現増加
異なる真核細胞で発現させたPRPK/TPRKB複合体の収量を求めた。即ち、HEK293F(ヒト胚性腎臓由来細胞株、インビトロジェン)と共に哺乳動物発現ベクターを用いた真核細胞系においてPRPK−FLAGとTPRKB−FLAGを共発現させるか、又は、バキュロウイルス発現システムを用いてSf9昆虫細胞株でHis−PRPKとTPRKBを共発現させて発現レベルを求めた。精製タンパク質の量は、BCA Protein Assay Kit(サーモ・サイエンティフィック)又はQuick Start Bradford Dye Reagent(バイオ・ラッド)を用いて求めた。PRPK/TPRKB複合体の収量は、HEK293Fでは50〜70μgタンパク質/200mL培養物であり、昆虫細胞では10mg/L培養物を超えた。従って、バキュロウイルス発現系は、哺乳動物発現系と比べて30倍効率が良い。
[実施例4]
ポマリドマイド誘導体のビオチン化
ポマリドマイドベースのアフィニティー試薬(7)をメタノールに1mg/mLの濃度で溶解させた溶液に、水(34mM)に溶解させた0.85倍モル過剰のNHS−PEO4−ビオチン(ピアース・バイオテクノロジー)を添加した。反応混合物を室温で4時間、振盪を継続しながらインキュベートした。ネガティブコントロール実験として、同じ反応を(7)の代わりにエタノールアミンを用いて行った。薄層クロマトグラフィー法及び液体クロマトグラフィー−質量分析法によって反応の進行を確認した。
分子量が618.1のビオチン化ポマリドマイド誘導体(9)をLC/MSで1.21分に検出した(図4参照)。
[実施例5]
表面プラズモン共鳴解析
ポマリドマイドとPRPK/TPRKB複合体との相互作用のリアルタイム解析をBiacore2000システム(GEヘルスケア)(流量:5μL/分)によって行った。ストレプトアビジンコートされたセンサーチップ(GEヘルスケア)を1MのNaCl及び50mMのNaOHによって1分間、2回活性化した。Biacore HBS−EPバッファー{0.01M HEPESバッファー(pH7.4)、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P20}に溶解したビオチン化ポマリドマイド(9)を4分間灌流させた。未反応ストレプトアビジンをブロックするため、ビオチン化エタノールアミンを10分間、2回灌流させた。適切なRU応答を観察することによって固定化の成功を確認した。PRPK/TPRKB複合体を灌流させ、固定化ポマリドマイドと1分間相互作用させた。固定化フリーポマリドマイド誘導体とPRPK/TPRKB複合体との相互作用を観察した。センサーチップは、HBS−EPバッファーを1分間灌流させて解離を行い、0.5%(v/v)のDMSO及び0.01%のSDSを含むHBS−EPバッファーを2分間注入して再生させた(図5参照)。
[均等物及び範囲]
以上、本発明の特定の非限定的な好ましい実施形態について説明した。当業者であれば、通常の実験を行うだけで、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は確認することができるであろう。当業者であれば、添付の請求項で定義された本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、本記載に対する種々の変更や改変を行うことができることは理解されよう。
本発明は、正確に群の一メンバーが所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は関連する実施形態を包含する。また、本発明は、群の二以上のメンバー又は全メンバーが所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は関連する実施形態も包含する。更に、本発明が、一以上の請求項又は明細書の関連部分由来の一以上の限定、要素、条項、説明用語等が他の請求項に導入されている全ての変形、組み合わせ、及び並べ替えを包含することは理解されたい。例えば、他の請求項に従属する請求項は、同じ基本請求項に従属する他の請求項の中に見出される一以上の限定を含むように改変することができる。更に、請求項が組成物を記載している場合、特に明記されない限り、又は矛盾や不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、本明細書に開示の目的のいずれかのために組成物を用いる方法が包含され、本明細書に開示の製造方法又は当該技術分野で公知の他の方法のいずれかに従って組成物を製造する方法が包含されることは理解されたい。例えば、本明細書に記載又は当該技術分野で公知の位置のいずれか、及び/又は該記載又は公知の原因のいずれかによる接着の発生、進行及び/又は再発を阻害するために、本発明の組成物のいずれかを用いることができることは理解されたい。また、本明細書に記載又は当該技術分野で公知の位置のいずれか、及び/又は該記載又は公知の原因のいずれかによる接着の発生、進行及び/又は再発を阻害するために、本明細書に開示の組成物調製方法に従って製造された組成物のいずれかを用いることができることも理解されたい。更に、本発明は、本明細書に開示の組成物調製方法のいずれかに従って製造された組成物を包含する。
要素がリストとして、例えば、マーカッシュ群の形式で表される場合、要素の各下位群も開示され、任意の要素が群から除去可能であることは理解されたい。「含む(comprising)」という用語はオープンであるものとし、追加の要素又は段階を包含することが可能なことにも留意されたい。一般に、本発明又は本発明の様相が特定の要素、特徴、段階等を含むと言及された場合、本発明の特定の実施形態又は様相は、そのような要素、特徴、段階等で構成されるか、又は本質的にそれらで構成されることも理解されたい。簡潔にするため、このような実施形態は本明細書にその通りの言葉で具体的には記載されなかった。従って、一以上の要素、特徴、段階等を含む本発明の各実施形態においては、本発明は、このような要素、特徴、段階等で構成されるか、又は本質的にそれらで構成される実施形態も提供する。
範囲が与えられている場合、終点は含まれる。更に、特に明記されない限り、又は文脈及び/又は当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態に記載の範囲内の任意の具体的な値を、文脈で特に明記されない限り、該範囲の下限の単位の1/10まで想定可能であることは理解されたい。特に明記されない限り、又は文脈及び/又は当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、該範囲内の任意の下位範囲を想定することができるが、下位範囲の終点は該範囲の下限の単位の1/10と同じ正確さで表されることも理解されたい。
更に、本発明のある特定の実施形態は、任意の一以上の請求項から明示的に除外される場合があることを理解されたい。本発明の組成物及び/又は方法の任意の実施形態、要素、特徴、用途又は様相(例えば、任意の誘導体や任意の分子量範囲、任意の架橋剤、任意の結合ヒドロゲル前駆体の種類、生物活性剤又は特定の剤の任意のクラス、任意の物質組成、任意の投与経路又は投与位置、組成物を投与する任意の目的等)は、任意の一以上の請求項から除外することができる。簡潔な記載とするため、一以上の要素、特徴、目的又は様相が除外された実施形態の全てを本明細書に明確に記載しているわけではない。
ベンジル(4−(3−アミノ−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート塩酸塩(4)の合成。3(3.6g、8.54mmol)のTHF(21mL)溶液に4MのHCl水溶液を0℃で少量ずつ添加した。混合物を室温に戻し、5時間に亘って撹拌した。反応中に形成した白色の析出物を濾過し、THFで洗浄した。再結晶を2回行うことにより4を白色固体として得た(2.88g、91.2%)。 1 H NMR (400 MHz, DMSO) δ 11.30 (s, 1H), 8.62 (br s, 3H), 7.46 - 7.15 (m, 5H), 4.97 (m, 2H), 3.59 (m, 2H), 2.98 (m, 2H), 2.76 (m, 1H), 2.58 (m, 1H), 2.24 - 1.97 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.74 (m, 1H), 1.21 (m, 1H)。

Claims (21)

  1. 組換えPRPK/TPRKB複合体、組換えPRPK及び組換えTPRKBから成る群から選択される組換えタンパク質であって、真核細胞発現系を用いて発現させた組換えタンパク質。
  2. 前記組換えタンパク質は組換えPRPK/TPRKB複合体である、請求項1に記載の組換え体。
  3. 前記組換えタンパク質は組換えPRPKである、請求項1に記載の組換え体。
  4. 前記組換えタンパク質は組換えTPRKBである、請求項1に記載の組換え体。
  5. 前記真核細胞発現系はバキュロウイルス−昆虫細胞発現系である、請求項1に記載の組換え体。
  6. 前記バキュロウイルス−昆虫細胞発現系は、PRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体をコードするポリヌクレオチドが組み込まれたバキュロウイルスベクターを含む培養昆虫細胞である、請求項5に記載の組換え体。
  7. 組換えPRPK/TPRKB複合体、組換えPRPK及び組換えTPRKBから成る群から選択される組換えタンパク質を調製する方法であって、
    真核細胞発現系を用いて組換えPRPK/TPRKB複合体、組換えPRPK及び組換えTPRKBから成る群から選択される組換えタンパク質を発現させることを含む方法。
  8. 前記組換えタンパク質は組換えPRPK/TPRKB複合体である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記組換えタンパク質は組換えPRPKである、請求項7に記載の方法。
  10. 組換えタンパク質は組換えTPRKBである、請求項7に記載の方法。
  11. 前記真核細胞発現系はバキュロウイルス−昆虫細胞発現系である、請求項7に記載の方法。
  12. 前記バキュロウイルス−昆虫細胞発現系は、PRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体をコードするポリヌクレオチドが組み込まれたバキュロウイルスベクターを含む培養昆虫細胞である、請求項11に記載の方法。
  13. PRPK/TPRKB複合体、PRPK又はTPRKBを調節する剤を同定する方法であって、
    真核細胞発現系によって発現させた組換えタンパク質である、PRPK/TPRKB複合体、PRPK又はTPRKBを含む系を用意することと、
    試験剤を用意することと、
    前記試験剤と前記系を接触させることと、
    前記試験剤と組換えPRPK及び組換えTPRKBの内の少なくとも1種との相互作用を検出することとを含む方法。
  14. 前記系は組換えPRPK/TPRKB複合体を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記系は組換えPRPKを含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記系は組換えTPRKBを含む、請求項13に記載の方法。
  17. 前記真核細胞発現系はバキュロウイルス−昆虫細胞発現系である、請求項13に記載の方法。
  18. 前記バキュロウイルス−昆虫細胞発現系は、PRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体をコードするポリヌクレオチドが組み込まれたバキュロウイルスベクターを含む培養昆虫細胞である、請求項17に記載の方法。
  19. PRPK、TPRKB又はPRPK/TPRKB複合体の内の少なくとも1種をコードするポリヌクレオチドが組み込まれたバキュロウイルスベクター。
  20. 請求項19に記載のバキュロウイルスベクターを含む培養昆虫細胞。
  21. 請求項20に記載の培養昆虫細胞を含むバキュロウイルス−昆虫細胞発現系。
JP2014526320A 2011-12-14 2012-12-14 組換えprpk−tprkb及びその使用 Pending JP2015500001A (ja)

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