JP4340544B2 - プロテインキナーゼをアッセイするための方法および試薬 - Google Patents

プロテインキナーゼをアッセイするための方法および試薬 Download PDF

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Description

本発明はプロテインキナーゼ、特にセリン/トレオニンプロテインキナーゼ活性の測定、及びプロテインキナーゼ活性の制御物質のスクリーニングに有用な方法及び試薬に関する。
プロテインキナーゼにより触媒されるタンパク質に対するリン酸の付加と脱離は、細胞活動のほとんどすべてを調節している。近年、関節炎、癌、糖尿病、心疾患、高血圧症および卒中等の多くの疾患や病理が、タンパク質の異常なリン酸化を原因として、またはその結果として起こることが明らかとなりつつある。こうした理由から、製薬産業において種々のプロテインキナーゼ及びホスファターゼの活性を調節する薬の開発が主要な優先事項となっている。こうした関心はサイクロスポリン、すなわち臓器移植を可能とし、プロテインホスファターゼを阻害する免疫抑制薬(プロテインホスファターゼ2B/カルシニューリン)(非特許文献1)、とその後継でありプロテインキナーゼを阻害するラパマイシン(「哺乳類を対象とするラパマイシン」、mTOR)(非特許文献2)の発見により高まった。また、ab1チロシンキナーゼの阻害薬であるグリーベック(STI571)は2001年5月にアメリカ食品医薬品局によって臨床用途での使用が認可された。この化合物は慢性骨髄性白血病(CML)の治療にめざましい効果があり、ab1は染色体の再配列により活性のある形態に変化する((非特許文献3)の概要)。グリーベックは特定のプロテインキナーゼの阻害を目的として開発された初めての薬である。
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(プロテインキナーゼに関して例示するならば)薬を発見する課程の第一段階の一つとして、あるプロテインキナーゼの「最重要な」阻害物質を特定するために化合物ライブラリをスクリーニングすることが挙げられる。従来、そのようなプロテインキナーゼ阻害物質に対する「処理能力の高いスクリーニング」では、放射標識したリン酸(32P及び33P)のペプチド及びタンパク基質への取り込みに基づいて化合物の効果を測定する方法がとられる。しかしながら、そのような放射活性によるアッセイ法の欠点は、コンビナトリアルケミストリー及び合併・買収による化合物ライブラリの統合の結果、化合物ライブラリが極端に大きくなる(100万成分以上)ことである。結果として、これらのアッセイ系を稼働するには高レベルの放射活性が必要となるため、産業的にはそれに代わる非放射性のアッセイ系の開発が注目されるようになっている。そこで注目される非放射性のアッセイ法の一つが、キナーゼ反応による産物を認識するリン酸特異的な抗体の使用である。最も簡単な方法はホスホセリンまたはホスホチロシン残基のどちらかを含むペプチドを認識するリン酸特異的な抗体を使用するものである。確かにそのような抗体はタンパク質チロシンキナーゼのアッセイに極めて有効である。しかしながら、セリン/トレオニン特異的なプロテインキナーゼまたはホスファターゼについては、ホスホセリンまたはホスホトレオニンを含むペプチドを認識する十分に良好な抗体が得られていないため、同程度なアッセイ法を開発するに至っていない。したがって、それぞれのリン酸化物質に対するリン酸特異的な抗体の開発が必要である。
我々は多種の様々なプロテインキナーゼに対して、最も優れた基質であると考えられる合成ペプチド基質を作製した。これらのペプチドはリン酸化部位を含む共通のエピトープ(例えば7残基のエピトープ)を持ち、これが有力なリン酸特異的な抗体の標的となる。このような基質を用いることで、多種のプロテインキナーゼを共通のフォーマットでスクリーニングすることができる。例えば、この基質はプロテインキナーゼの制御物質の同定、もしくはプロテインキナーゼの同定またはキャラクタリゼーションに用いることができる。
多くのプロテインキナーゼのリン酸化残基、例えばセリン残基は、特定のアミノ酸モチーフ内にある。例えば、PKA及びPKGはArg−Arg−Arg−Xaa−Ser−配列にあるセリンをリン酸化し(非特許文献5)、またPKB、SGK、MAPKAP−K1及びS6K1はArg−(またはLys)−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−Ser−モチーフにあるセリンをリン酸化する(非特許文献6及び7)。一方、MAPKAP−K2、MAPKAP−KIIIおよびCaMKIIは、Hyd−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−Ser−モチーフを認識する。ここでHydはバルキーな疎水性残基である(非特許文献8)。また、これらのプロテインキナーゼのほぼすべては、リン酸化サイトのC末端バルキーな疎水性残基が隣接することを好む。
意外にも我々は、共通のC末端を有するペプチドが数種の異なるキナーゼサブファミリーに属する多種のプロテインキナーゼによって十分にリン酸化されることを見いだした。実際、多くの場合においてそのようなペプチドは十分に、時にはあるプロテインキナーゼのアッセイに常法として用いられる基質よりも十分にリン酸化される。これは予期しないことであった。なぜなら、そのようなペプチドが適した構造を持っているとは予期できなかったからであり、また、先行技術は特定のキナーゼに対する特定のペプチドについて言及しているからである(例えば(非特許文献4)参照)。また、C末端エピトープは多くのプロテインキナーゼのアッセイに用いることができる一リン酸−5特異的な抗体の産出に用いることができる。C末端エピトープの配列はN末端エピトープよりも好ましく、N末端エピトープは最適ではないこといことがわかった。
特に、我々はPKBによりリン酸化されるグリコーゲン合成酵素キナーゼ3のセリンを取り囲む配列について共通する7残基エピトープを含む一般的なペプチド(実施例1の表1参照)(非特許文献9)を見いだし、設計した。そのようなのエピトープは、リン酸化残基のC末端に強い配列特異性を持たないプロテインキナーゼ、例えばPKAファミリー(例えばPKG、ROCKII、及びPKCのアイソフォームなど)、PKBファミリー(例えばSGK、MSK、MAPKAP−K1及びS6K並びにPKBのアイソフォーム)またはMAPKAP−K2ファミリー(MAPKAP−K3、PRAK、CHK1、CHK2、AMPK及びCaMKII)もしくはCK1のアイソフォーム並びにサブファミリー、のアッセイに特に適している。
実施例1及び表1で挙げられる3種のペプチドは実施例1で検討されたプロテインキナーゼと密接に関係するすべてのアイソフォーム及び同一のキナーゼサブファミリーのすべてではないとしてもほとんどの基質として用いることができると考えられる。
また、同様なC末端エピトープを持つペプチドも、リン酸化サイトのN末端側の特定モチーフを認識するプロテインキナーゼのアッセイに用いることができると考えられる。例えば、CK1(カゼインキナーゼ1とも呼ばれる)は、あるホスホセリン残基から3残基C末端側のセリン残基をリン酸化する(非特許文献10)。従って、Xaa−pSer−Xaa−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−Gly型のペプチドをリン酸化する(すなわち、実施例1において検討したのと同じC末端エピトープを持つ)。従って、このエピトープを持つペプチドを用いれば、少なくとも50、おそらくは100以上のプロテインキナーゼをアッセイすることができると考えられる。
PKCは前記のエピトープを有するペプチドを用いることで完全にアッセイすることができるが(表1)、この基質はこのプロテインキナーゼをアッセイするのに今まで用いられてきた他の基質に劣るものである。なぜなら、PKCはリン酸化部位よりN末端の基礎的な残基に加えて、リン酸化部位よりもC末端側の基礎的な残基を好み(非特許文献5)、それはエピトープには含まれないためであると考えられる。AGCファミリーなど、PKCのアイソフォームと関連するプロテインキナーゼに対する好ましいエピトープは、ペプチド基質RRRLSFAEPGのセリンで始まる7のアミノ酸を有する、または、のみからなる。
また、ここに挙げる結果によれば、リン酸化部位のC末端側にある特定のモチーフや残基に対して厳格な要求のあるプロテインキナーゼを、共通するエピトープがペプチドの特異性に係わる部分のN末端側にあるペプチド基質を用いてアッセイできるかもしれない。例えば、MAPキナーゼ及びエクリン依存性プロテインキナーゼは、リン酸化部位C末端側にプロリン残基が隣接することを絶対的に要求するが(非特許文献5)、これは実施例1で試験したプロテインキナーゼにとっては否定的な決定基である。同様に、CK2はリン酸化部位のC末端側に連続する数個の酸性残基を要求し、DNA依存性プロテインキナーゼはC末端のグルタミン酸を要求する(非特許文献5)。しかしながら、ここに挙げる結果によれば、共通のN末端エピトープを持つ第2のペプチド基質は、リン酸化において特定のC末端を要求する多くのプロテインキナーゼをアッセイするのに有用であると考えられる。
本発明の第1の側面は、2以上のプロテインキナーゼ基質ポリペプチドを有するキットであり、前記基質ポリペプチドはそれぞれ特異性決定部位(各キナーゼ基質ポリペプチドにより異なる)と、リン酸化可能部位を有し、各ポリペプチドの前記リン酸化可能な部位はアミノ酸配列LSFAEPGを有し、リン酸化の状態に依存して、抗体である、同一の特異的な結合相手と結合でき、前記特異的な結合相手は、単独のホスホチロシン残基、ホスホセリン残基またはホスホトレオニン残基に特異的な抗体ではない。ポリペプチドのリン酸化可能部位は同一のアミノ酸配列を持つことが特に好ましい。しかし、リン酸化可能部位がリン酸化される残基を含みリン酸化の状態に依存する共通の結合部位(例えばエピトープ)を共有している限りにおいては、該アミノ酸配列は必要不可欠ではない。従って、例えば抗体である結合相手は、ホスホセリン、ホスホトレオニンまたはホスホチロシンに対して産生/選択された抗体ではない(対照的にホスホセリン、ホスホトレオニンまたはホスホチロシン残基を有するより長いアミノ酸配列に対して産生/選択されたものである)。
また、本発明の側面は、2以上のポリペプチドを有するキットであり、前記ポリペプチドは第1の側面のキットにおいて定義される2以上のプロテインキナーゼ基質ポリペプチドであり、そのうちの少なくとも1のポリペプチドのリン酸化可能部位はリン酸化されている。そのようなリン酸化されたポリペプチドは、プロテインホスファターゼの基質として有用である。
前記基質ポリペプチドはその長さがそれぞれ40、30、20、19、18、17、16、15または14個未満のアミノ酸であることが好ましい。前記基質ポリペプチドはその長さが13、12、11、10あるいは9個のアミノ酸であることが特に好ましい。小さいペプチドは費用と簡便性の面から好ましい。
プロテインキナーゼ基質ポリペプチドはプロテインキナーゼの基質である。即ちプロテインキナーゼ、好ましくはセリン/トレオニンプロテインキナーゼによるリン酸化が可能である。基質ポリペプチドのリン酸化可能部位は、プロテインキナーゼによりリン酸化が可能なチロシン、より好ましくはセリンまたはトレオニンを有する。特異性決定部位(リン酸化可能部位と重複してもよい。例えばリン酸化可能なチロシン、セリンまたはトレオニン残基のC末端および/またはN末端に隣接する残基を含むことができる)は、プロテインキナーゼによるリン酸化を受けるコンセンサス配列と一致するアミノ酸配列を有する。チロシン、セリンまたはトレオニン残基は、(例えばリン酸化されたときに)エピトープの一部を構成する。例えば抗体である結合相手は、このエピトープに対して産生/選択されている。
特異性決定部位及び共通のリン酸化可能部位を有する基質ポリペプチドの原理は、セリン/トレオニンプロテインキナーゼだけでなくチロシンプロテインキナーゼに対しても適用されると考えられる。しかしながら、抗ホスホセリンまたは抗ホスホトレオニン抗体が高い親和性/特異性を欠いているのとは対照的に、抗ホスホチロシン抗体は高い親和性/特異性を持つことから、セリン/トレオニンプロテインキナーゼに関してより有益なものになると考えられる。
前述したコンセンサス配列はArg−Arg−Arg−Xaa−Ser、Arg(またはLys)−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−Ser、Hyd−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−Ser、またはXaa−pSer−Xaa−Xaa−Serであることが好ましい。それぞれの場合において、コンセンサス配列はそのC末端のセリン(コンセンサス配列を認識するプロテインキナーゼによりリン酸化されるセリン)がリン酸化可能部位のセリンとなるように位置している。リン酸化可能部位がアミノ酸配列LSFAEPG(0、1、2、3、4、または5の残基(セリンを除く)が保存的に置換されている配列を含む)を持つことがより好ましい。従って、リン酸化可能なセリン残基のN末端側に隣接するロイシン残基は、上記のコンセンサス配列においてセリン残基のN末端側に隣接する「Xaa」残基に相当する。特に好ましい実施例では、プロテインキナーゼ基質ポリペプチドは以下に論ずるような本発明におけるポリペプチドである。
「保存的な置換」とは、Gly/Ala、Val/Ile/Leu、Asp/Glu、Asn/Gln、Ser/Thr、Lys/ArgまたはPhe/Tyrといった組み合わせを指す。保存的に置換された残基が存在しないことが好ましく、保存的に置換された残基の数が1、2、3、4または5の少ない順で好ましい。
共通するリン酸化可能部位は抗原性であり、リン酸化できる残基を含んでいなければならない。基質ペプチドに対するプロテインキナーゼのKmは1mM未満であることが好ましく、800、600、500、400、300、200もしくは100μM(昇順に好ましい)がより好ましい。基質ペプチドに対するプロテインキナーゼのKmは、該プロテインキナーゼのアッセイに通常用いられる基質に対するKmの2.5、10、20もしくは30倍以下(降順に好ましい)が好ましい(例えば実施例1)。基質ペプチドに対するプロテインキナーゼのVmaxは、該プロテインキナーゼのアッセイに通常用いられる基質に対するVの少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90または100%が好ましい(例えば実施例1)。当然のことながら、重要なのはKmとVmaxの組み合わせである。基質ペプチドは妥当な時間内にリン酸化されるべきであり、例えばアッセイの完了に何時間もかかるものは特に有益であるとはいえない。アッセイに要する時間は30分未満が好ましいが、15、10または5分(もしくはそれ以下)がより好ましい。アッセイは、確実で、コストとの関係から酵素基質を大量に必要としないこともまた重要である。
前記キットは、例えばポリクローナルまたはモノクローナル抗体といった特異的な結合相手をさらに有していてもよい。好適な抗体の調整方法は当業者により知られているであろう。好適な方法は実施例1及び2に記載されている。
例えば抗体である特異的な結合相手は、2μg/ml(イムノブロット)または10〜20μg/ml(改良ELISA)で使用した場合、<10ngのリン酸化した(もしくはリン酸化していない)基質ペプチド(例えば実施例1に示すようにキャリアポリペプチドと複合させた場合)を認識できることが好ましい。特異的な結合相手の結合係数(K)は、リン酸化した(またはリン酸化していない)基質ポリペプチド(または共有のリン酸化可能部位またはそのエピトープ)に対して、10−4から10−16Mであることが好ましく、10−6から10−10が好ましい。「リン酸化の状況に応じた結合」とは、基質ポリペプチド(または上記の共有するエピトープ)がリン酸化可能部位でリン酸化された場合は特異的な結合相手が結合可能であるが、基質ポリペプチド(または上述の共有するエピトープ)がリン酸化可能部位でリン酸化されていない場合は特異的な結合相手が結合できないことを意味する。従ってリン酸化された基質ポリペプチドとリン酸化されていない基質ポリペプチドの間で、特異的な結合相手に対する親和性が少なくとも5、10、20、50、100、200、500、1000、2000または5000倍の差があることが好ましい。実際、実施例1及び2に記載の方法(例えばリン酸化ペプチドアフィニティーカラムと非リン酸化ペプチドアフィニティーカラムを使ったアフィニティー精製)で精製/選択した特異的な結合相手は、結合において必要な親和性及び特異性を持つと予想される。
特異的な結合相手は、抗体全体(通常、特異性及び簡便性からモノクローナル抗体だが、ポリクローナル抗体であってもよい)またはその一部(例えばFabまたはF(ab’)断片)、もしくは合成抗体またはその一部であるかそれらを有する。抗体の一部分のみを有する特異的な結合相手(例えば以下に示す)は、より速い反応速度/平衡または良好な溶解性から有利である。また、補体結合などの抗体全体の効果または影響は除去される。Fab、Fv、ScFvおよびdAb抗体断片はすべて大腸菌により発現及び分泌させることができるので、容易に大量生産することができる。
特定の抗原に対する好適なモノクローナル抗体は、例えば非特許文献11及び12などに記載の公知の方法により調製することができる。二重特異的な抗体は細胞融合、一価の断片の再集合または抗体の化学的な結合により調製することができる。二重特異的な抗体の調製方法は、非特許文献13に開示されている。
抗体の可変H(V)及び可変L(V)ドメインは、抗原認識に関係しており、この事実はプロテアーゼによる消化実験により最初に認められた。そして、げっ歯目抗体の「ヒト化」によりさらに確認された。げっ歯目由来の可変領域をヒト由来の不変領域と融合させて作られた抗体は、母体となったげっ歯目抗体の抗原特異性を保持している(非特許文献14)。
この抗原特異性は可変領域により付与されるものであり、不変領域からは独立していることが、1以上のすべての可変領域を含む抗体をバクテリアで発現させた実験によって知られている。これらの分子はFab様の分子(非特許文献15)、Fv分子(非特許文献16)、VとVの組となるドメインが柔軟なオリゴペプチドを介して結合している一本鎖Fv(ScFv)分子(非特許文献17)及び孤立したVドメインを含む単一ドメイン抗体(dAbs)(非特許文献18)を含んでいる。抗体断片の合成に関する技術の一般的概要については、非特許文献19に記載されている。
「ScFV分子」とは、VとVの組となるドメインが柔軟なオリゴペプチドを介して結合した分子を意味する。
完全体の抗体、及びF(ab’)断片は「2価」である。「2価」とは、抗体及びF(ab’)断片が2の抗原結合部位を持つことを意味する。対照的に、Fab、Fv、ScFv及びdAb断片は1価であり、1の抗原結合部位を持つ。完全なイムノグロブリンを断片化するとF(ab’)断片が生成することが、非特許文献20に開示されている。
抗体としては、IgGクラスの抗体が好ましい。
本発明の他の側面は、アミノ酸配列LSFAEPG(すなわちリン酸化されていないセリンを含む)によって作られたエピトープに対して特異的な抗体である。本発明の他の側面は、アミノ酸配列LpSFAEPG(すなわちリン酸化セリンを含む)によって作られたエピトープに対して特異的な抗体である。
「特異的」とは、抗体はLSFAEPGから作られるエピトープには結合するがLpSFAEPGから作られるエピトープには結合しない、またはその逆であることを意味する。
「抗体」という用語には、抗原結合部位を有する合成抗体及び完全な抗体の断片及び変異体(例えば前述)が含まれる。
本発明の他の側面は長さ40、30、20、19、18、17、16、15または14個未満のアミノ酸のプロテインキナーゼ基質ポリペプチドであり、前記ポリペプチドはグリコーゲン合成酵素キナーゼ3の断片ではなく、前記ポリペプチドはアミノ酸配列LSFAEPGを有し、さらにプロテインキナーゼのコンセンサス配列に相当するアミノ酸配列(前記配列LSFAEPGと重複してもよい)を有する特異性決定部位を有し、前記コンセンサス配列に相当する配列は前記プロテインキナーゼが前記ポリペプチドを配列LSFAEPGのセリン残基をリン酸化することができるように前記配列LSFAEPGに関連して配置している。基質ポリペプチドの長さは13、12、11、10または9のアミノ酸であることが特に好ましい。コンセンサス配列に相当するアミノ酸配列は配列LSFAEPGのN末端まで続いていることが好ましい。
コンセンサス配列が、Arg/Lys−Arg/Lys−Arg/Lys−Xaa−ser、Arg/Lys−Xaa−Arg/Lys−Xaa−Xaa−Ser、Hyd−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−ser、またはXaa−pSer−Xaa−Xaa−serである実施例が特に好ましい。それぞれの場合において、コンセンサス配列のC末端セリン(コンセンサス配列を認識するプロテインキナーゼによりリン酸化されるセリン)は、LSFAEPG配列のセリンである。
Hyd−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−Ser中のArg以外のアルギニンは、リジンであってもよい。
従ってポリペプチドは、アミノ酸配列Arg−Arg−Arg−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−Gly、Arg−Xaa−Arg−Xaa−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−Gly、Hyd−Xaa−Arg−Xaa−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−GlyまたはXaa−pSer−Xaa−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−Glyを有することが好ましい。
ポリペプチドがアミノ酸配列Arg−Arg−Arg−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−Gly、Arg−Ala−Arg−Thr−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−GlyまたはLys−Lys−Leu−Asn−Arg−Thr−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−Glyである実施例が特に好ましい。
本発明の他の側面は、上述の側面によるポリペプチドであるが配列LSFAEPGのセリンはホスホセリンに置換されている。
本願では、IUPAC−ITJB生化学命名法に基づく3文字及び1文字のアミノ酸コードを用いている。ポリペプチドの配列は慣習にならいN末端からC末端の順で示している。ここでXaaは任意のアミノ酸を示す。アミノ酸はL−アミノ酸であることが好ましく、特に例えばPP(T/N)KモチーフであるSIMはL−アミノ酸のみからなることが特に好ましい。SIMに隣接、例えばPP(T/N)Kモチーフに隣接しているアミノ酸残基(10〜20残基など)はL−アミノ酸であることが好ましいが、D−アミノ酸残基であってもかまわない。
ポリペプチドは下記の実施例1に示すような例えば分子生物学的手法または自動ペプチド化学合成法などの公知の方法により作成してもよい。
ペプチドは、非特許文献21及びそこでの参照において開示されている固相ペプチド合成のFmocポリアミドモードにより合成してもよい。N−アミノ酸基は9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基により一時的に保護される。この塩不安定な保護基は20%ピペリジンのN、N−ジメチルホルムアミド溶液の作用により反復的に開裂する。側鎖の官能性は、そのブチルエーテル(セリン、トレオニン及びチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸及びアスパラギン酸の場合)、ブチロキシカルボニル誘導体(リシン及びヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、及び4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルフォニル誘導体(アルギニンの場合)として保護してもよい。ここで、グルタミンまたはアスパラギンがC末端基である場合、4,4’−ジメトキシベンズヒドリル基が側鎖アミノ官能性を保護するのに用いられる。固相支持体は、ジメチルアクリルアミド(主鎖モノマー)、ビスアクロイルエチレンジアミン(架橋剤)及びアクリロイルサルコジンメチルエステル(機能化剤)の3種のモノマーから構成されるポリジメチル−アクリルアミドポリマーを素材とする。ペプチド−樹脂間の開裂可能な結合剤としては、酸に不安定な4−ヒドロキシメチル−フェノキシ酢酸誘導体が用いられる。すべてのアミノ酸誘導体は、あらかじめ作られた対称形の無水物誘導体として添加される。但し、アスパラギン及びグルタミンは逆N,N−ジシクロヘキシル−カルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを介したカップリング法を用いて添加される。すべてのカップリング及び保護解除反応はニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸もしくはisotinテスト法により制御される。合成が完了すると、50%スカベンジャー混合物を含む95%トリフルオロ酢酸で処理してペプチドを樹脂支持体より開裂させ、同時に側鎖保護基を取り除く。スカベンジャーとしては一般にはエタンジオール、フェノール、アニソール及び水が使われるが、合成されたペプチドを構成するアミノ酸に従って正確に選択される。減圧蒸発によりトリフルオロ酢酸を除去したのち、ジエチルエーテルと共に粉砕して粗ペプチドを得る。使用したあらゆるスカベンジャーは水相の凍結乾燥による簡便な抽出処理により取り除かれ、粗ペプチドはスカベンジャーフリーとなる。ペプチド合成のための試薬は、カルビオケム−ノバビオケム社(イギリス)、ノッティンガム NG7 2QJ、イギリスにより市販されている。精製は限外クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び(主に)逆相高性能液体クロマトグラフィーなどの1もしくは組み合わせにより行われる。ペプチドの分析は薄層クロマトグラフィー、逆相高性能液体クロマトグラフィー、酸加水分解によるアミノ酸分析、及び高速原子衝突質量分析法により行ってよい。
一方、ポリペプチドは公知のリコンビナント核酸の発現により合成してもよい。配列コードを含む発現ベクターの作製には、例えば適当な転写または翻訳制御といった公知の方法を用いることができる。
本発明のポリペプチドをエンコードするDNAを修飾するには非特許文献22により開示されるポリメラーゼ連鎖反応を用いる方法が最も望ましい。この方法によれば、酵素により増幅されるDNAは、増幅したDNAに取り込まれる2の特異的なオリゴ核酸プライマーと隣接する。前記の特異的なプライマーは、公知の方法による発現ベクターへのクローニングに用いることのできる制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含んでいる。
所望のポリペプチドをエンコードする核酸は、好適なホストにおいて発現され、ポリペプチドが生産される。従ってポリペプチドをエンコードするDNAは、公知の方法に従って使用されてよいが、ポリペプチドの発現と産生のための適当なホスト細胞を確立することを目的として本発明に開示される内容に基づき適宜変更してもよい。そのような方法としては、特許文献1〜10に開示されるものを含み、これらはすべて本願に組み入れられる。
本発明のリコンビナントDNAにより形質転換されたホスト細胞は、本願に開示される方法に基づいて公知の方法により適当な条件下で十分な時間をかけて培養され、ポリペプチドが発現して回収できるようになる。
ポリペプチドは、リコンビナント培養細胞より回収され、硫安またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、水酸化アパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーによって精製される。より好ましくは、精製には高性能液体クロマトグラフィー(“HPLC”)が用いられる。
発現系としては多くが知られている。例えば、リコンビナントバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換されたバクテリア(例えば大腸菌及び枯草菌)、例えば酵母発現ベクターにより形質転換された酵母(例えば出芽酵母)、例えばウイルス発現ベクター(例えばvaculoウイルスにより形質転換された昆虫の細胞系、例えばウイルスまたはバクテリア発現ベクターをトランスフェクションされた植物細胞系、及び例えばアデノウイルス発現ベクターをトランスフェクションされた動物細胞系が挙げられる。
当然ながら、ペプチド様の化合物も有用である。つまり、「ポリペプチド」または「ペプチド」には、ペプチド結合(−CO−NH−)で結合されたアミノ酸残基の分子だけでなくペプチド結合が逆転している分子も含まれる。そのようなレトロインバーソペプチド様化合物は、例えば本願に組み入れられる非特許文献23に開示される公知の方法により作成することができる。この方法では、側鎖の配向ではなく主鎖を含んだ変更を含む疑似ペプチドを作製する。非特許文献23においてMeziereら(1997)は、これらの疑似ペプチドは少なくともMHCクラスII及びTヘルパー細胞応答に対して有用であるとしている。レトロインバーソペプチドはCO−NH結合の代わりにNH−CO結合を含んでおり、タンパク分解に耐性がある。
同様に、アミノ酸残基のCα原子間の空間を保持する適当な結合物質を用いている場合は、ペプチド結合は全く不要である。結合物質の部分の荷電分布と平面性がペプチド結合と実質的に同じであれば、特に好ましい。
当然ながら、ペプチドのN及びC末端は適切に保護され、細胞外タンパク分解性の消化に対する感受性を抑制している。
従って、当然ながら例えばアミノ酸配列LSFAEPGを有するような基質ポリペプチドは、好ましいとは言えなくとも、上述したようにペプチド様化合物である。
本発明の他の側面では、本発明のポリペプチドまたは本発明のリン酸化ポリペプチドが、プロテインキナーゼまたはホスファターゼのアッセイに用いられる。本発明の他の側面では、本発明の抗体が、プロテインキナーゼまたはホスファターゼのアッセイに用いられる。
本発明の他の側面は、試料中のプロテインキナーゼのスクリーニング方法であり、本発明のポリペプチドまたはリン酸化ポリペプチドもしくは本発明のキットのポリペプチドを試料に反応させ、前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうか、及び任意でどの程度リン酸化されたかを測定することを有する方法である。
試料は細胞抽出液または分画した細胞抽出液であってよい。例えば、ポリペプチドは精製プロトコルにおいてキナーゼまたはホスファターゼ活性を測定するために用いることができる。本発明の他の側面は、プロテインキナーゼの活性をアッセイする方法であって、本発明のポリペプチドをプロテインキナーゼに反応させる工程と前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうか、及び任意でどの程度リン酸化されたかを測定する工程を有する方法である。
本発明の他の側面は、第1のプロテインキナーゼと第2のプロテインキナーゼの活性をアッセイする方法であって、第1のプロテインキナーゼを本発明の第1の側面であるキットの第1のポリペプチドに反応させる工程と、第2のプロテインキナーゼを本発明の第2の側面である第2のポリペプチドに反応させる工程、及び前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうか、及び任意でどの程度リン酸化されたかを測定する工程を有する方法である。キットのポリペプチドが上記の本発明のポリペプチド、即ちアミノ酸配列LSFAEPGを有するポリペプチドである実施例が特に好ましい。
この方法は、プロテインキナーゼの基質特異性の測定またはキャラクタリゼーションに用いることができる。基質特異性のキャラクタリゼーションでは、プロテインキナーゼを1以上の本発明のポリペプチド、または本発明のキットの1以上のポリペプチド(すなわち同じリン酸化可能な(またはリン酸化された)部位を持つ1以上の基質ポリペプチド)と反応させる。
従って本発明の他の側面は、プロテインキナーゼの基質特異性のキャラクタリゼーション方法であって、プロテインキナーゼを本発明の第1の側面であるキットの第1のポリペプチドに反応させる工程と、本発明の第1の側面であるキットの第2のポリペプチドに反応させる工程と、前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうか、及び任意でどの程度リン酸化されたかを測定する工程を有する方法である。キットの特異的なポリペプチドが上記の本発明のリン酸化されていないポリペプチド、即ちアミノ酸配列LSFAEPGを有するポリペプチドである実施例が特に好ましい。
これはプロテインキナーゼの活性を測定するための基質ポリペプチドを選択するのに有用である。さらに基質ポリペプチドは、プロテインキナーゼに対するコンセンサス配列に基づいて特定のプロテインキナーゼに対して選択されてもよい。これは、プロテインキナーゼの、選択した基質との反応性、及び他の1以上の基質との反応性を比較することにより確認してもよい。
本発明の方法は、例えば試験化合物の存在下におけるプロテインキナーゼの反応性を測定するために用いることができる。従って、前記方法はさらにプロテインキナーゼを試験化合物に反応させる工程、及び試験化合物の存在及び非存在下でのプロテインキナーゼの活性を測定する工程を有していてもよい。プロテインキナーゼの活性に影響する化合物(基質特異性に影響する物質を含んでもよい)を選択してもよい。
本発明の上記の側面により同定されるまたは得られる試薬(及び以下に記すスクリーニング法の側面)は薬らしい化合物または薬らしい化合物の先導化合物であってよい。従って前記方法は、医薬様の化合物または薬らしい化合物の先導化合物を同定するための方法であってよい。
「薬らしい化合物」という語句は公知であり、医療使用に好適な特性を持ちうる化合物という意味を持ち、例えば薬物の有効成分である。従って、例えば、薬らしい化合物は有機化学的な方法により合成される分子であってよく、それは分子生物学または生化学的な方法により合成されるものよりもよりも好ましい。また、小さい分子であることが好ましく、5000ダルトン未満で水溶性であってよい。薬らしい化合物は、付加的な特徴として特定のタンパク質またはタンパク質群と選択的な相互作用を示すものであってよく、生物学的利用能および/または標的の細胞膜を透過できるものであってよいが、当然ながらこれらの特徴は不可欠ではない。
「先導化合物」という語句も同様に公知であり、それ自体は薬として使用するには好適ではないが(例えば目的とする標的に対する効果が弱い、作用が非選択的である、不安定である、溶解性が低い、合成が困難である、毒性が強すぎるまたは生物学的利用能が低いといった理由による)、より望ましい特性を持った他の化合物を設計する出発点となるような化合物を意味する。
本発明の方法において同定される化合物はそれ自体薬として有用であるか、またはより効果的な化合物の設計や合成のための先導化合物であってよい。
当然ながらプロテインキナーゼまたはホスファターゼの生体内での活性を調節できる化合物を同定することが好ましい。従って、当然ながらこの方法に使用される試薬や条件は、前記プロテインキナーゼまたはホスファターゼと、その基質間の相互作用が生体内と実質上同じとなるように選ばれる。
本発明の方法によるアッセイ(特にエピトープLSFAEPGを有するポリペプチドを使用する場合)にとって好ましいプロテインキナーゼとしては、リン酸化される残基のC末端側の配列に強く影響されないものが挙げられ、例えばPKAファミリー(例えばPKG、ROCKIIおよびPKCのアイソフォームなど)、PKBファミリー(例えばPKB、SGK、MSK、MAPKAP−K1及びS6Kのアイソフォームなど)またはMAPKAP−K2ファミリー(MAPKAP−K3、PRAK、CHK1、CHK2、AMPK及びCaMKII)もしくはCK1のアイソフォームとサブファミリーが挙げられる。実施例の一つでは、化合物によりプロテインキナーゼの活性が低下している。その化合物は、例えば実質上可逆的もしくは不可逆的にプロテインキナーゼの活性部位に結合しているのかもしれない。もしくはその化合物は、プロテインキナーゼの活性部位ではないがプロテインキナーゼがその基質と結合するのを妨げるような部位に結合しているのかもしれない。またその化合物は、アロステリック効果によりプロテインキナーゼの活性を低下させるように結合しているのかもしれない。アロステリック効果はプロテインキナーゼ活性に本来的に備わっている調節方法であり、例えば「上流活性化因子」によるプロテインキナーゼの活性化などである。
また、他の実施例では化合物によりプロテインキナーゼの活性が上昇している。その化合物は、例えばプロテインキナーゼの活性部位ではないがプロテインキナーゼがその基質と結合するのを補助するような部位に結合しているのかもしれない。またその化合物は、アロステリック効果によりプロテインキナーゼの活性を上昇させるように結合しているのかもしれない。アロステリック効果はプロテインキナーゼ活性に本来的に備わっている調節方法であり、例えば「上流活性化因子」によるプロテインキナーゼの活性化などである。
共通の基質は、例えば基質とプロテインキナーゼの結合に対する化合物の効果の測定といった結合アッセイにも有用である。
ポリペプチド基質のリン酸化は公知の放射活性を用いた方法により、または上述したような実施例1に用いられる方法により評価してよい。しかしながら、非放射性の方法を用いるのが好ましい。特に、非放射性の方法において、基質ポリペプチドと特異的な結合相手間のリン酸化の状態に特異的な相互作用は、基質ポリペプチドのリン酸化の検出及び量的な評価に利用することができる。チロシンリン酸化基質については好適なテクニックが公知であり(抗リン酸化チロシン抗体を用いる)、これを本発明に応用してもよい。蛍光を用いる方法(またはそれほど好ましくはないが放射性の方法)を用いることが好ましい。
例えば、相互作用は以下に論ずるようなあらゆるタンパク質/タンパク質相互作用の測定/検出方法によって測定してよい。好適な方法としては、公知のELISA法、及び蛍光標識された2の物質の結合をその蛍光標識が近接したときの相互作用を測定することにより検出するという公知の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)法が挙げられる。表面プラズモン共鳴法もまた用いることができる。特許文献11及び12に開示される技術は、本発明に基づいて応用すれば用いることができる。蛍光偏光法(FP)及び蛍光相関分光法(FCS)を用いてもよい。
基質ペプチドおよび/または結合相手(例えば抗体)の複合体も有用である。例えば、蛍光、ヨウ素またはビオチン標識複合体などである。
当然ながら、高い処理能力を発揮できるスクリーニング法が特に好ましい。非放射性の方法が好ましいが、公知のSPA系(シンチレーション近接アッセイ、アマシャムインターナショナル)を用いてもよい。例えば、基質ポリペプチドはSPAビーズに固定してもよい。
当然ながら、本発明のスクリーニング法は、(例えば)糖尿病、グリコーゲン代謝の欠陥、癌(黒色腫を含む)、炎症性の症状、例えば卒中、血栓症あるいは血栓傾向などの虚血状態(例えば、抗血栓剤として有用)などの治療に有用である。
本発明のスクリーニング法により同定された「薬らしい化合物」及び「先導化合物」は、さらにスクリーニングすることにより糖尿病、グリコーゲン代謝の欠陥、癌(黒色腫を含む)、炎症性の症状、例えば卒中、血栓症あるいは血栓傾向などの虚血状態の治療に有用であるかどうかが決定される。追加して行われるスクリーニングとしては、必要に応じて血糖レベル、腫瘍の成長または血液凝固の程度/時間に対する化合物の効果などが挙げられる。これは典型的にはげっ歯目を用いて行われる。
本発明の他の側面は、本発明の方法により同定された化合物のプロテインキナーゼまたはホスファターゼの活性の調節への利用である。そうした化合物は、プロテインキナーゼ活性の制御物質として新規であることが好ましい。
以下、本発明を限定的ではない図及び実施例を参照しながら詳細に説明する。
ここに参照されるあらゆる文献は本願に組み入れられる。
実施例1:多数のセリン/トレオニン特異的プロテインキナーゼの非放射性のアッセイ方法
試料と方法
試薬とペプチド
Ro318220、K252c及びRottlerinはカルビオケム−ノバビオケム社(ラホーヤ、CA、アメリカ)より購入した。Y2は化学合成により得た。また、UCN01はダンディー大学生命科学校のCarl Smythe博士のご厚意により頂いた。ヒストンH1はライフテクノロジーズ(パースリー、スコットランド、イギリス)より購入した。ペプチドはすべてGraham Bloomberg博士(ブリストル大学生化学学科、イギリス)及び本学のF.B.Caudwell氏の合成による。
ペプチドはPerseptive Biosystems9050またはApplied Biosystems Pionnerにより合成することができる(例えば非特許文献24参照)。
操作手順と品質管理: ペプチドは合成後、メタノール及びジクロロメタンで洗浄し、最低3時間減圧下で乾燥させる。ペプチドは適当なスカベンジャーを含むTFA(トリフルオロ酢酸)により樹脂から開裂させる。スカベンジャーは配列に従って選択され、水、フェノール、エタンジオール、チオアニソール及びトリイソブチルシランを含んでいてよい。また通常90:10の比(ここで90はTFAの%)で用いられる。その後、TFA部分をエバポレートし、ペプチドをジエチルエーテルで沈殿させ、洗浄、ペレット化、乾燥した後、凍結乾燥する。必要に応じて逆相HPLCにより精製を行う。C18カラムから、0.1%TFAを含む水/アセトニトリル勾配によって溶出させる。精製ペプチドの質量は、MicromassQuattroを用いて熱スプレー質量分析法により測定する。
プロテインキナーゼの原料と精製(詳細は(非特許文献4)参照)
AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK、S.Hawley博士及びD.G.Hardie博士提供)、cGMP依存型プロテインキナーゼ(PKG、ヴュルツブルグ大学(ドイツ)のSusanLohmann博士及びUlrichWalter博士のご厚意による提供)、及び環状AMP依存型プロテインキナーゼの触媒サブユニット(PKA、C.Smythe博士提供)は、それぞれラット肝臓、ウシ肺及びウシ心臓より単離したものである。これらを除きその他のプロテインキナーゼは、すべてGST融合またはHisタグタンパクのどちらかとして発現させた(本学科のMsC.Clark氏、MsF.Douglas氏、A.Paterson博士、またはMsG.Wiggiri氏による)。発現させたタンパク質は、ラットRho依存型プロテインキナーゼ(ROCK−II)及びキナーゼ1a(MAPKAP−K1a、RSKともいう)を活性化するラット有糸分裂因子活性型プロテインキナーゼ(MAPK)を除き、すべてヒト配列と同等である。GST融合タンパクはGSH−アガロース(アマシャムファルマシアバイオテック、アマシャム、イギリス)で、またHisタグタンパクはNi−NTAアガロース(Qiagen)を用いて、ほぼ取扱説明書に従って精製した。本研究で用いられたすべてのプロテインキナーゼは、カルモジュリン依存プロテインキナーゼII(CaMKII)のα−アイソフォーム、MAPKAP−K3及びPKGを除き、アップステートバイオテクノロジー社(レイクパラシッド、NY、アメリカ)より購入可能である。
大腸菌により発現させたプロテインキナーゼ
以下の酵素はGST融合タンパクとして大腸菌により発現させた。細胞外シグナル調節型プロテインキナーゼ−2(ERK2)およびストレス活性化プロテインキナーゼ−2a(SAPK2a、p38とも呼ばれる)。MAPKAP−K2、MAPKAP−K3、CaMKII(カルビオケム−ノバビオケム社)およびチェックポイントキナーゼ2(CHK2)。CHK2は全長生成物の精製を補助するために、C末端側の端部に補足的にHisタグを含む。ERK2はRaf活性化MAPKキナーゼ1(MKK1)により活性化した、またSAPK2a/p38は、MKK6の構成性の活性突然変異体を用いて活性化した。MKK1とMKK6もGST融合タンパク質として大腸菌により発現させた。
Sf21細胞により発現させたプロテインキナーゼ
以下の酵素はSf21細胞により発現させた。チェックポイントキナーゼ1(CHK1)およびp38調節/活性化キナーゼ(PRAK)プロテインキナーゼBα(PKBα)、MAPKAP−K1a、及び血清およびグリココルチコイド誘導キナーゼ1(SGK1[S422D])、N末端59残基を欠く)、有系分裂促進物質、およびストレス活性化プロテインキナーゼ(MSK1)、p70のリボソームのS6キナーゼ1(S6K1[T412E])、C末端104残基を欠く)、c−Raf、プロテインキナーゼC(PKC(PKCα、カルビオケム−ノバケム社)、ラットROCKII[1−543])。
プロテインキナーゼの活性化
MAPKAP−K2およびMAPKAP−K3はMgATP及び細胞外シグナル調節型プロテインキナーゼ−2(ERK2)により、ERK2はMAPKキナーゼ−1(MKK1)により、MKK1はRafにより、SAPK2a/p38はMKK6により、PRAKはSAPK2a/p38により、PKBα、SGK1及びS6K1はPDK1により活性化した。
抗体
以下の結果に記載する、3種の一般的なペプチド基質に含まれる共通した7残基であるリン酸化したモチーフ(LpSFAEPG)を認識する抗体を、ペプチドLpSFAEGC(ここでpSはリン酸セリンを表す)に対して産生させた。C末端のシステイン残基は、キーホールリンペットヘモシアニンと結合できるように追加したものである。ペプチド−タンパク複合をディアグノスティックスコットランド(カールーク、イギリス)社のヒツジに注射し、抗血清をプロテインG−セファロース(アマシャムファルマシアバイオテック)により精製した(本学のJ.Leitch博士による)。抗体は、イムノブロットに対しては2μg/mlの濃度で、また改良ELISA法におけるリン酸化ペプチドの検出には10−20μg/mlの濃度で使用した。ウサギ抗ヤギ抗体のペルオキシダーゼ複合体は、ピアス(タッテンホール、チェシア、イギリス)より購入し、1/10,000に希釈して使用した。
キナーゼのアッセイ
すべてのプロテインキナーゼアッセイは、時間に対してリニアであった。標準的なペプチド基質を用いたアッセイについては前述している(非特許文献4)。本実施例で紹介される一般的な3のペプチドを使ったアッセイは、すべて以下の同じ緩衝液を用いて行われた。非標識のまたはビオチン標識した基質ペプチドを、0.1mM(γ32P)ATPの存在下で、50μlの反応液中で30度10分間アッセイした。放射性のアッセイは、反応液の40μlをリン酸セルロース紙にスポットし、続いて75mMリン酸溶液に浸漬することで停止させた。リン酸セルロース紙はすべてリン酸で3回、アセトンで1回洗浄し、乾燥させて放射活性を測定した。非放射性のアッセイは、終濃度が20mMとなるようにEDTAを加えて停止させ、Tween20を0.1%含む等量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した後、反応により捕獲されたペプチドを洗浄済みのストレプトアビチンでコートした96穴プレート(EquilonA/S、Vedbaek、デンマーク)で60分間ビオチン化した。そのプレートを0.1%Tween、PBSで6回洗浄(各5分)し、その後一般的なリン酸特異的抗体(上記参照)に対して産生された抗体(10〜20μg/ml)を60分間反応させた(上記参照)。プレートを0.1%Tween、PBSで6回洗浄(各5分)し、ペルオキシダーゼ複合抗ヤギ抗体(ピアス)をプレートに反応させてリン酸特異的な抗体の結合を検出した。プレートはさらに上記と同様に6回洗浄し、結合を増感化学ルミネッセンス(アマシャムファルマシアバイオテック)を用いて富士フイルムLAS−1000 CCDカメラで可視化した。シグナルはLAS−1000IRソフトウェア(富士フイルム)により量的評価した。
結果と考察
一般的なペプチド基質の作製
上述のように、多くのプロテインキナーゼは特定のアミノ酸モチーフ状のセリン残基をリン酸化する。我々は、多くのプロテインキナーゼをアッセイでき、単リン酸特異的な抗体を産生するのに使用できそうな、共通のC末端エピトープを持つ多数のペプチドを試験した。その結果、表1に示すような、PKBによりリン酸化されるグリコーゲン合成酵素キナーゼ3を取り囲む配列に関連する共通した7残基を含む3の包括的ポリペプチドの作製に至った。標準的な放射性のフィルター結合アッセイによると、これらの3のポリペプチドの1以上が数種の異なるキナーゼサブファミリーに分類される16のプロテインキナーゼにより十分にリン酸化された。実際、多くの場合、これらの3のペプチドが十分にリン酸化されていることが明らかとなったほか、通常のアッセイに常用される基質よりも十分にリン酸化される場合もあった。
表1:種々のポリペプチドによるペプチドのリン酸化における速度論のパラメータ
PKBα、SGK1、MSK1、S6K1、PKA、PKG、ROCKII、MAPKAP−K2、MAPKAP−K3、PRAK、CHK1およびCHK2は、50mMトリス/塩酸pH7.5、0.1のmM EGTA、0.1%(v/v)のβ−メルカプトエタノール、0.01%(w/v)のBrij−35中で、AMPKは50mMのHepes pH7.4、1mMのジチオスレイトール、0.02%のBrij−35および0.2mMのAMP中で、PKCαは20mM Hepes pH7.4、0.03%のトリトンX−100、0.1mMのCaCl、0.1mg/mlのフォスファチジルセリンおよび10μg/mlのジオレオイル−sn−グリセロール中で、及びCaMKIIは50のmM Hepes、pH 7.4、5mMのCaCl、0.03mg/mlのカルモジュリン中でアッセイした。この実施例中で作製した3の包括的ペプチドに対するVmax値は各プロテインキナーゼの標準的なペプチド基質に対するものである。標準的なペプチド基質(一字のアミノ酸コード)は、−GRPRTSSFABG(PKBα、SGK1)、LRRASLG(MSK1、S6K1、PKA)、KEAKEKRQEQIAKRRRLSSLRASTSKSGGSQK(ROCK−IIおよびPKG)、KKLNRTLSVA(MAPKAP−K2およびMAPKAP−K3)、KKLRRTLSVA(PRAK)、KKKVSRSGLYRSPSMPENLNRPR(CHK1とCHK2)、HMRSAMSGLHLVKRR(AMPK)、MHRQETVDCLK(CaM−KII)、ヒストンH1(PKC)である。
Figure 0004340544
Figure 0004340544
PKCはペプチドArg−Arg−Arg−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro Gly(表1)を用いて完全にアッセイすることができたが、この基質はこのプロテインキナーゼのアッセイに用いられてきた他の基質よりも劣っていた。これは、PKCがリン酸化部位のN末端に加えてC末端にも塩基性の残基を好み、それはこのエピトープには存在しないためである(非特許文献5)。
共通のC末端エピトープに対するリン酸特異的な抗体の作製
本研究の主な目的は、簡潔に言えば、非放射性であり多数のプロテインキナーゼに応用できるアッセイ法による、プロテインキナーゼの「高い処理能力のスクリーニング」である。このために、我々は3の包括的基質に共通なリン酸化エピトープ(LpSFAEPG)を認識できるリン酸特異的な抗体を作製した(方法を参照)。この抗体は<10ngの複合リン酸ペプチド抗原を認識する(図1)。リン酸化した状態の3の包括的基質ペプチドを認識する抗体の能力は、競合実験により確証した。この実験では、リン酸化ペプチド抗体は7残基のリン酸−ペプチド抗原による前反応だけでなく、各リン酸化された一般的なペプチド基質による前反応によっても無力化された。対照的に、リン酸化されていない状態の同様なペプチドは、抗体を無力化することができなかった(図1)。
多種のプロテインキナーゼに対する非放射性アッセイ法の開発
続いて、3の包括的ペプチドを上記のリン酸特異的な抗体と共に用いて、表1に示す一連のプロテインキナーゼに対するELISA法を基礎とした非放射性の簡便なアッセイ法を構築した(方法参照)。アッセイは標準的な放射性のフィルター結合アッセイと平行して行い、またペプチドの10%未満がリン酸化されるような直線的な反応速度となる状態で行った(図2)。その結果、非放射性のアッセイは標準的な放射性のアッセイと同様な精度を持ち、用いたプロテインキナーゼに対する公知な阻害物質の存在下では両者で同等な程度に阻害が認められた(非特許文献5)。
結論
この実施例では、多種のプロテインキナーゼに対する高い処理能力のスクリーニングに好適な非放射性の簡便なアッセイ法について述べた。3種のペプチドは今回実験したプロテインキナーゼに深く関連するあらゆるアイソフォームの基質として、またおそらくすべてではなくもほぼすべての同じキナーゼサブファミリーに属するプロテインキナーゼの基質として用いることができると考えられる。また、同じC末端エピトープを持つペプチドもまた、リン酸化部位のN末端側にある特定のモチーフを認識する他のプロテインキナーゼのアッセイに用いることができると考えられる。例えば、CK1(カゼインキナーゼ1と呼ばれる)は、あるリン酸セリン残基から3残基C末端側のセリン残基をリン酸化する(非特許文献10)。即ち、Xaa−pSer−Xaa−Leu−Ser−Phe−Ala−Glu−Pro−Gly型のペプチドをリン酸化することができる。従って我々の方策は、少なくとも50、おそらく100以上のプロテインキナーゼに応用することができると考えられる。今回開発したアッセイ法は、リン酸化部位のC末端側のモチーフもしくは残基に厳格な要求があるプロテインキナーゼには利用することができない。例えば、MAPキナーゼ及びサイクリン依存型プロテインキナーゼはリン酸化部位に隣接するC末端側にプロリン残基が必ず必要であり(非特許文献5)、これは本実施例のプロテインキナーゼにとっては否定的な決定基となる。同様に、CK2はリン酸化部位のC末端側に数個の連続した酸性基が必要であり、またDNA依存プロテインキナーゼはC末端グルタミン酸が必要である(非特許文献5)。しかしながら、ここに示す結果によれば、共通のN末端エピトープを持つ2番目のペプチド基質はリン酸化において特定のC末端モチーフを要求する多数のプロテインキナーゼのアッセイに有用である。
実施例2
モノクローナル抗体の作製ペプチドを、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)であるキャリアタンパクと結合させることができる。キャリアタンパク(たとえばKLH)は、約10mg/mlとなるようにPBSに溶解させる。m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)のジメチルホルムアミド溶液を調製する。0.1体積のMBSを、部分的に高濃度とならないよう撹拌しながらキャリアタンパク溶液に滴下する。1mlの10mg/mlペプチド溶液を添加する。活性化したキャリアと結合しなかったペプチドをPBSを用いてP10カラムで分離する。
モノクローナル抗体を非特許文献25に記載される方法を用いて作製する。ハイブリドーマの作製に続いて、培養液上清から産生したIgGをプロテインA結合マトリックスのクロマトグラフィーにより精製する。続いて、リン酸特異的な抗体を以下のプロトコルを用いて免疫アフィニティー精製により精製する。
常法によりリン酸化ペプチドのアフィニティーカラムを作製する。また、常法により脱リン酸化されたペプチドのアフィニティーカラムを作製する。作製した“リン酸”カラムを1xTSB/Tween20 0.1%で1回洗浄する。抗体血清(例えば40ml)を1xTSB/Tween20 0.1%3倍に希釈して、0.2μmのフィルターでろ過する。希釈した血清をカラムに2度流す。カラムを20mMトリスpH7.5+0.4MNaClでOD595nmが0.003未満となるまで洗浄する(結合していない抗体/タンパクを除去するため)。200μlの1.5MトリスpH8、0を入れた1.5mlエッペンドルフへ50mMグリシンpH2.5で溶出させて、1mlの画分とする。画分のタンパク濃度をブラッドフォード法により確認する。タンパク濃度が高い画分(>0.2mg/ml)を回収する。4度で一晩静置する。タンパク濃度を再度測定する。
“脱リン酸”カラムをカラム体積の2倍の1xTBS/Tween20 0.1%で洗浄する。カラムに上記の画分を流す。溶出液を回収する。これがリン酸化した形態のペプチドに特異的な抗体となる。タンパク濃度を測定し、−200度で保存する。“リン酸”及び“脱リン酸”カラムをカラムの2倍の体積の1%SDSで洗浄する。カラムを20%エタノール中で保存する。再利用に際しては、1xTBS/Tween20 0.1%で洗浄する前に、10xTBS/Tween20 1%で洗浄する。
実施例3
化合物のスクリーニング法
相同FRET分析法を用いて、対象とする化合物をビオチン化ペプチド基質、酵素及びユーロピウム標識抗体にストレプトアビジンAPCを含む緩衝液中で反応させた。ペプチドのリン酸化によりユーロピウム標識抗体が基質に結合し、ユーロピウムがAPCと近接する。その結果、ユーロピウムからAPCへの電子転移が可能となり、励起波長610nm、放射波長660nmにて測定することができる。
エピトープLpSFAEPGを認識するリン酸特異的な抗体の産生。ウシ血清アルブミンと複合化したペプチドLpSFAEPGCの一部(10ngまたは100ng)をニトロセルロース膜にスポットし、右側に示すペプチドの存在または非存在下において、リン酸ペプチド抗原に対して産生されたリン酸特異的抗体によりイムノブロットを行った。“S”の直前の“p”はペプチドのセリンがリン酸化された状態であることを示す。 新規なELISA法を基礎とするプロテインキナーゼ系のアッセイと標準的な放射性フィルター結合アッセイの比較。図示するプロテインキナーゼを、ペプチド基質PARTLSFAEPG(A)、KKLNRTLSFAEPG(B)及びRRRLSFAEPG(C)を用いて図示するキナーゼ阻害物質の存在または非存在下においてELISA法(白ヌキのグラフ)または標準的な放射性のアッセイ(黒グラフ)によりアッセイした。結果を4の測定結果(2の独立した実験)について、標準誤差として阻害物質が存在しない状態のコントロールと共に示す。他の実験についても同様の結果が得られた。

Claims (22)

  1. 2以上のプロテインキナーゼ基質ポリペプチドを有する部品からなるキットであって、
    前記基質ポリペプチドはそれぞれ特異性決定部位(各キナーゼ基質ポリペプチドにより異なる)と、リン酸化可能な部位を有し、各ポリペプチドの前記リン酸化可能部位はアミノ酸配列LSFAEPGを有し、リン酸化の状態に依存して、抗体である、同一の特異的な結合相手と結合でき、前記特異的な結合相手は、単独のホスホチロシン残基、ホスホセリン残基またはホスホトレオニン残基に特異的な抗体ではない、キット。
  2. 請求項1に記載のキットにおいて、前記ポリペプチドのリン酸化可能部位は同一のアミノ酸配列を有するキット。
  3. 2以上のポリペプチドを有する部品からなるキットであって、前記ポリペプチドは請求項1または2に定義される2以上のプロテインキナーゼ基質ポリペプチドであり、前記ポリペプチドのリン酸化可能部位の少なくとも1はリン酸化されているキット。
  4. 請求項1から3の何れかに記載のキットであって、前記各ポリペプチドはその長さがそれぞれ40、30、20、19、18、17、16、15または14個未満のアミノ酸であるキット。
  5. 請求項4に記載のキットであって、前記各ポリペプチドはその長さがそれぞれ13、12、11、10または9個のアミノ酸であるキット。
  6. 請求項1から5の何れかに記載のキットであって、前記プロテインキナーゼ基質ポリペプチドはセリン/トレオニンプロテインキナーゼに対する基質であるキット。
  7. 請求項1から6の何れかに記載のキットであって、さらに特異的な結合相手を有するキット。
  8. アミノ酸配列LSFAEPGにより構成されるエピトープに特異的な抗体。
  9. アミノ酸配列LpSFAEPGにより構成されるエピトープに特異的な抗体。
  10. 長さが40、30、20、19、18、17、15または14個未満のアミノ酸のプロテインキナーゼ基質ポリペプチドであって、
    前記ポリペプチドはグリコーゲン合成酵素3の断片ではなく、前記ポリペプチドはアミノ酸配列LSFAEPGを有し、さらにプロテインキナーゼに対するコンセンサス配列と一致するアミノ酸配列(前記配列LSFAEPGと重複してもよい)を有する特異性決定部位を有し、前記コンセンサス配列と一致する配列は、前記プロテインキナーゼが前記ポリペプチドにおける前記配列LSFAEPGのセリン残基をリン酸化できるように前記配列LSFAEPGに関連して配置している、ポリペプチド。
  11. 請求項10に記載のポリペプチドであって、前記ポリペプチドは長さが13、12、11、10または9個のアミノ酸であるポリペプチド。
  12. 請求項10または11に記載のポリペプチドであって、前記コンセンサス配列に相当するアミノ酸配列は配列LSFAEPGのN末端まで続いているポリペプチド。
  13. 請求項10から12の何れかに記載のポリペプチドであって、前記コンセンサス配列が、Arg/Lys−Arg/Lys−Arg/Lys−Xaa−Ser、Arg/Lys−Xaa−Arg/Lys−Xaa−Xaa−Ser、Hyd−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−ser、またはXaa−pSer−Xaa−Xaa−Serであるポリペプチド。
  14. 請求項10から13の何れかに記載のポリペプチドであって、前記配列LSFAEPGのセリンはホスホセリンに置換されているポリペプチド。
  15. 請求項10から14の何れかに記載のポリペプチドまたはリン酸化ポリペプチドを、プロテインキナーゼ活性のアッセイに用いる前記ポリペプチドの利用方法。
  16. 請求項またはに記載の抗体を、プロテインキナーゼ活性のアッセイに用いる前記抗体の利用方法。
  17. プロテインキナーゼを含むかもしれない試料に対してプロテインキナーゼをスクリーニングする方法であって、
    請求項11から15何れかに記載のポリペプチドを試料に反応させる工程と、前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうかを測定する工程を有する方法。
  18. プロテインキナーゼの活性を評価する方法であって、
    請求項10から13の何れかに記載のポリペプチドを前記プロテインキナーゼに反応させる工程と、前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうかを測定する工程を有する方法。
  19. 第1のプロテインキナーゼと第2のプロテインキナーゼの活性を評価する方法であって、
    請求項1に記載のキットの第1のポリペプチドを前記第1のプロテインキナーゼに反応させる工程と、請求項1に記載のキットの第2のポリペプチドを前記第2のプロテインキナーゼに反応させる工程と、前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうかを測定する工程を有する方法。
  20. プロテインキナーゼの活性を評価する方法であって、
    請求項2に記載のキットの第1の(リン酸化されていない)ポリペプチドを前記プロテインキナーゼに反応させる工程と、前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうかを測定する工程を有する方法。
  21. プロテインキナーゼの基質特異性をキャラクタライズする方法であって、
    請求項1に記載のキットの第1のポリペプチドを前記プロテインキナーゼに反応させる工程と、請求項1に記載のキットの第2のポリペプチドを前記プロテインキナーゼに反応させる工程と、前記ポリペプチドがリン酸化されたかどうかを測定する工程を有する方法。
  22. 請求項17から21のいずれか一項に記載の方法であって、どの程度リン酸化されたかを測定する工程をさらに有する方法。
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