JP2015232358A - 車両のダンパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低周波数の振動では大ヒスを発生させ、高周波数の振動では小ヒスを発生させることができる車両のダンパ装置を提供する。
【解決手段】第1回転部材と第2回転部材との間で、第1弾性体が接続されるとともに、ヒステリシス機構と第2弾性体とが直列に接続され、且つ、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間で、前記第1弾性体と、前記ヒステリシス機構および前記第2弾性体とが並列に接続されている。低周波数の振動の場合、角加速度が小さいためにヒステリシス機構18を構成する中間プレートの慣性力は小さくなり、ヒステリシス機構18の摩擦面にかかる力が大きくなってヒステリシストルクが発生する。一方、高周波数の振動の場合、角加速度が大きくなるためにヒステリシス機構18の摩擦面にかかる力が小さくなりヒステリシストルクは発生しない。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両のダンパ装置に掛かり、特に、ダンパ装置に備えられるヒステリシス機構の構造に関するものである。
車両においてエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路には、トルク変動を吸収するダンパ装置が設けられている。また、そのダンパ装置を構成するディスクプレートとハブとが相対回転した際に、摩擦によるヒステリシストルクを発生させることで振動を低減(減衰)するヒステリシス機構を備えたものが知られている。特許文献1のダンパ装置もその1つである。特許文献1のダンパ装置にあっては、捩れ角が所定値未満の領域で低ヒステリシストルクを発生させ、捩れ角が所定値以上の領域で高ヒステリシストルクを発生させている。
特開2009−19746号公報 特開2008−133867号公報 特開2005−9534号公報 特開平11−280844号公報 特開平1−275920号公報 特開2010−203558号公報
ところで、エンジン始動停止時のショック、サージ等の捩り共振は、一般に低周波数域で発生し、この捩り共振を低減するため大きなヒステリシストルク(以下、大ヒス)が求められる。一方、エンジンが低回転速度で回転中に発生するこもり音やジャラ音は捩れ共振の発生する周波数よりも高い周波数で発生し、このこもり音やジャラ音を低減するには、小さなヒステリシストルク(以下、小ヒス)が求められる。このように、ダンパ装置の捩れ角が変わらない場合であっても、入力される振動の周波数に応じて求められるヒスの大きさが異なるが、特許文献1のダンパ装置にあっては、捩れ角に応じてヒスを変更するものであり、これら捩れ共振の低減とこもり音およびジャラ音の低減とを両立することが困難であった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、低周波数では大ヒスを発生させ、高周波数では小ヒスを発生させることができる車両のダンパ装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、第1発明の要旨とするところは、(a)回転軸心まわりに回転可能な第1回転部材と、(b)その第1回転部材に対して相対回転可能な第2回転部材と、(c)その第1回転部材と第2回転部材との間に捩れがない状態で配置されている第1弾性体と、(d)前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置されているヒステリシス機構とを備え、(e)前記第1回転部材と前記第2回転部材との間で、前記ヒステリシス機構と第2弾性体とが直列に接続され、且つ、(f)前記第1回転部材と前記第2回転部材との間で、前記第1弾性体と、前記ヒステリシス機構および前記第2弾性体とが並列に接続されていることを特徴とする。
このようにすれば、低周波数の振動の場合、角加速度が小さいのでヒステリシス機構を構成する部材の慣性力は小さくなり、ヒステリシス機構の摩擦面に力がかかる。そして、その摩擦面にかかる力が所定値を超えると摩擦面で摺動が生じ、ヒステリシストルクが発生する。一方、高周波数の振動の場合、角加速度が大きくなるため、ヒステリシス機構を構成する部材の慣性力が大きくなり、ヒステリシス機構の摩擦面にかかる力が小さくなる。従って、ヒステリシス機構の摩擦面で摺動することも殆どないので、ヒステリシストルクも殆ど発生しない。この場合には、実質的に第1回転部材と第2回転部材とが、第1弾性体および第2弾性体に接続された状態となり、第1弾性体および第2弾性体の減衰によって振動が低減(吸収)される。よって、エンジン始動停止時のショックやサージ等の低周波数の捩れ振動は、ヒステリシス機構において発生するヒステリシストルクによってその振動が低減され、こもり音やジャラ音など捩れ共振の周波数よりも高い周波数で発生する振動は、第1弾性体および第2弾性体の減衰によって振動が低減されることで、これら周波数の異なる振動の低減を両立することができる。
また、第1発明の車両のダンパ装置において、前記第1回転部材が、前記ヒステリシス機構に接続され、そのヒステリシス機構が、前記第2弾性体を介して前記第2回転部材に接続されていてもよい。このように構成されると、第1回転部材と第2回転部材とが、ヒステリシス機構、第2弾性体の順番で直列に接続され、且つ、第1回転部材と第2回転部材とが第1弾性体によって接続されるので、低周波数および高周波数の振動低減を両立できるダンパ装置を実現することができる。
また、第1発明の車両のダンパ装置において、前記第2弾性体は、前記第1弾性体よりも前記回転軸心の径方向内側に配置されていてもよい。このように配置されることで、第2弾性体が回転軸心の径方向外側に配置された場合に比べて、装置が径方向に大きくなることが防止される。
また、第1発明の車両のダンパ装置において、前記ヒステリシス機構は、前記第1弾性体および前記第2弾性体よりも前記回転軸心の径方向内側に配置されていてもよい。このように構成されることで、ヒステリシス機構が第1弾性体および第2弾性体よりも回転軸心の径方向外側に配置された場合に比べて、装置が径方向に大きくなることが防止される。
また、第1発明の車両のダンパ装置において、前記第2弾性体および前記ヒステリシス機構が、前記第1弾性体よりも前記回転軸心の径方向外側に配置されていてもよい。このように構成されることで、第2弾性体を低弾性にできるなどダンパ装置の設計の自由度が高くなる。
また、第1発明の車両のダンパ装置において、前記第2弾性体を介して伝達可能な最大トルクは、前記ヒステリシス機構で発生するヒステリシストルクよりも大きくなるように設定されていてもよい。このようにすれば、ヒステリシス機構で発生するトルクによって第2弾性体が線間密着することを防止することができる。また、高周波数の振動が伝達された場合にも第2弾性体によって振動を低減することができる。
本発明が適用されたダンパ装置の正面図である。 図1のダンパ装置の断面図である。 図1のダンパ装置の動力伝達経路を簡略化したモデルで示す図である。 図1のダンパ装置の捩れ特性のシミュレーション結果である。 本発明の他の実施例であるダンパ装置の正面図である。 図5のダンパ装置の断面図である。 図5のダンパ装置の動力伝達経路を簡略化したモデルで示す図である。 本発明のさらに他の実施例であるダンパ装置の断面図である。 本発明のさらに他の実施例であるダンパ装置の正面図である。 図9のダンパ装置の断面図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたダンパ装置10の正面図を示し、図2は、図1のダンパ装置10を切断線Aで切断した断面図である。なお、ダンパ装置10は、上下方向および左右方向において略対称に構成されているので、図1においては周方向の一部(第1象限および第2象限の一部)のみ示されている。また、図1のダンパ装置10は、図2において矢印B方向から見た矢視図であって、且つ、後述する第1プレート12a(第1ディスクプレート12a)が取り外された状態を示している。
ダンパ装置10は、図示しないエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に配置され、エンジン等のトルク変動を吸収しつつ動力を伝達する装置である。ダンパ装置10は、図示しないエンジンから動力が伝達されるディスクプレート12と、図示しない駆動輪に動力伝達可能に接続されているハブ14と、回転方向においてディスクプレート12とハブ14との間に捻れがない状態で配置されている複数個の第1コイルスプリング16と、ディスクプレート12とハブ14との間に配置されるヒステリシス機構18と、ヒステリシス機構18とハブ14との間に配置されている複数個の第2コイルスプリング22とを、含んで構成されている。ダンパ装置10にあっては、ヒステリシス機構18および第2コイルスプリング22が、ダンパ装置10の回転軸心Cの径方向において第1コイルスプリング16よりも径方向内側に配置されている。なお、ディスクプレート12が本発明の第1回転部材の一例であり、ハブ14が本発明の第2回転部材の一例であり、第1コイルスプリング16が本発明の第1弾性体の一例であり、第2コイルスプリング22が本発明の第2弾性体の一例である。
ディスクプレート12は、回転軸心Cを中心にして回転可能な一対の第1ディスクプレート12a(以下、第1プレート12a)および第2ディスクプレート12b(以下、第2プレート12b)から構成されている。第1プレート12aおよび第2プレート12bは、何れも円盤形状を有しており、外周部がリベット24によって相互に連結されることで相対回転不能とされている。また、第1プレート12aおよび第2プレート12bには、それぞれ第1コイルスプリング16を収容するための収容穴26a、26bが周方向において等角度間隔で複数個(本実施例では4個)形成されている。
ハブ14は、回転軸心Cを中心にしてディスクプレート12に対して相対回転可能に設けられている。ハブ14は、内周側に配置されている円筒形状の円筒部14aと、その円筒部14aから回転軸心Cの径方向に伸びる複数個のフランジ部14bとを備えて構成されている。
円筒部14aの内周部には、図示しない回転軸とスプライン嵌合するためのスプライン歯28が形成されている。フランジ部14bは、例えば周方向に等角度間隔で4個形成されており、周方向において隣り合うフランジ部14bの間に、第1コイルスプリング16がそれぞれ配置されている。
第1コイルスプリング16は、ディスクプレート12とハブ14との間に配置され、これらを動力伝達可能に作動的に接続している。第1コイルスプリング16は、図2に示すように、軸方向において第1プレート12aおよび第2プレート12bに挟み込まれた状態で、収容穴26a、26bによって形成されている空間に収容されている。また、第1コイルスプリング16は、図1に示すように、隣り合うフランジ部14bの間にスプリング保持部30を介して保持されている。なお、第1コイルスプリング16は、ダンパ装置10にトルクが伝達されない場合において捩れが生じない状態で配置されている。また、本実施例では、第1コイルスプリング16は、周方向において等角度間隔で4個配置されており、第1コイルスプリング16の内部には、円柱状のクッション32が設けられている。
上記のように構成されることで、ディスクプレート12とハブ14とが、第1コイルスプリング16を介して動力伝達可能に接続される。例えば、ディスクプレート12側からトルクが伝達される場合、第1コイルスプリング16の一端がディスクプレート12によって押圧させられ、その第1コイルスプリング16の他端がハブ14のフランジ部14bを押圧する。このとき、第1コイルスプリング16は、トルクに応じて弾性変形しつつ動力を伝達する。
第1コイルスプリング16の内周側において、第1プレート12aとハブ14のフランジ部14bとの間には、第1プレート12a側からフランジ部14b側に向かって軸方向に、コーンスプリング36、ヒスプレート34、中間プレート20、およびスラストベアリング38が順番に配置されている。
前記中間プレート20、ヒスプレート34、およびコーンスプリング36によって、ヒステリシストルクを発生させるためのヒステリシス機構18が構成される。ヒステリシス機構18は、回転軸心Cの径方向において第1コイルスプリング16および第2コイルスプリング22よりも内周側(径方向内側)であって、且つ、軸方向において第1プレート12aとスラストベアリング38との間に配置されている。
ヒスプレート34は、円環板状に形成されており、回転軸心Cの径方向の内側から軸方向に突き出す回り止め突起34a、および回転軸心Cの径方向の外側から軸方向に突き出す回り止め突起34bが、周方向に複数個形成されている。これら、回り止め突起34aおよび回り止め突起34bは、それぞれ第1プレート12aに形成されている嵌合穴と嵌合することで、第1プレート12aとヒスプレート34とが相対回転不能とされている。
コーンスプリング36は、軸方向において第1プレート12aとヒスプレート34との間に予荷重状態で配置されている。ヒスプレート34の軸方向においてコーンスプリング36と反対側(背面側)には、中間プレート20がヒスプレート34に対して摺動可能に配置されている。また、軸方向において中間プレート20とフランジ部14bとの間には、スラストベアリング38が配置されており、フランジ部14bと中間プレート20との間で生じるスラスト力を受けている。なお、スラストベアリング38は、例えばスラストころ軸受など、スラスト方向の荷重を受けつつ中間プレート20とフランジ部14bとの間の相対回転を許容するものであればその構成は特に限定されない。
上記のように構成されることで、コーンスプリング36が、ヒスプレート34を中間プレート20に向かって軸方向に押圧するため、ヒスプレート34がコーンスプリング36の弾性復帰力に応じた付勢力で中間プレート20に押し付けられる。そして、中間プレート20とヒスプレート34とが相対回転すると、中間プレート20とヒスプレート34との間の摩擦面(接触面、摺動面)で摺動することによりヒステリシストルクが発生する。従って、第1プレート12aと中間プレート20とが摩擦によって動力伝達可能に接続されている。
中間プレート20は、軸方向においてヒスプレート34とスラストベアリング38との間に配置されている。中間プレート20は、ヒスプレート34およびスラストベアリング38と当接する円板部20aと、その円板部20aの外周部に接続され第2コイルスプリング22を保持するばね保持部20bとを含んで構成されている。
円板部20aは、円板形状を有しており、軸方向の一方においてヒスプレート34と摺動する摺動面が形成されている。
ばね保持部20bは、周方向において等角度間隔で複数個(本実施例では4個)形成されており、第2コイルスプリング22を収容する収容穴42が形成されている。この収容穴42に第2コイルスプリング22が収容されている。また、ばね保持部20bの収容穴42の両端には、周方向に沿って伸びる周方向溝46が形成されている。これら収容穴42と周方向溝46とは連続して形成されている。
ハブ14には、軸方向に突き出す円弧状の突起48が形成されている。突起48は、ばね保持部20bの周方向溝46に係合する位置に形成されている。すなわち、突起48は、回転軸心Cの径方向において周方向溝46と同じ位置であり、周方向において第2コイルスプリング16を挟んだ両側に形成されている。
上記のように構成されることで、中間プレート20とハブ14とが第2コイルスプリング22を介して作動的に接続され、中間プレート20に伝達されたトルクが、第2コイルスプリング22を介してハブ14に伝達される。詳細には、中間プレート20にトルクが伝達されると、ばね保持部20bが第2コイルスプリング22の一端を押圧し、さらに第2コイルスプリング22の他端が突起48を押圧することでハブ14にトルクが伝達される。なお、第2コイルスプリング22を介して伝達可能な最大トルクは、ヒステリシス機構18で発生するヒステリシストルクよりも大きな値に設定されている。これより、第2コイルスプリング22の線間密着が防止される。
軸方向において第2プレート12bとハブ14のフランジ部14bとの間には、スラストベアリング50が配置されている。スラストベアリング50は、例えばスラストころ軸受などで構成されており、スラスト方向の荷重を受けつつ、第2プレート12bとハブ14との相対回転を許容している。
上記のように構成されるダンパ装置10にあっては、ディスクプレート12とハブ14との間が、第1コイルスプリング16を介して接続されるとともに、直列に接続されたヒステリシス機構18および第2コイルスプリング22を介して接続される。
図3に、ダンパ装置10の動力伝達経路を簡略化したモデルで示す。図3において、I1が図示しないフライホイール等を含むディスクプレート側の慣性モーメントに対応し、I2がハブ側の慣性モーメントに対応し、I3が中間プレート20の慣性モーメントに対応し、K1が第1コイルスプリング16のばね剛性(弾性率)に対応し、K2が第2コイルスプリング22のばね剛性(弾性率)に対応している。
図3に示すように、ディスクプレート12とハブ14とが、第1コイルスプリング16を介して接続され、これと並列にして、ディスクプレート12とハブ14とが、ヒステリシス機構18および第2コイルスプリング22を介して直列に接続されている。これより、ディスクプレート12が、第1コイルスプリング16を介してハブ14に接続されて構成される第1の動力伝達経路L1と、ディスクプレート12が、ヒステリシス機構18および第2コイルスプリング22を介してハブ14に接続されて構成される第2の動力伝達経路L2とが形成される。これら第1の動力伝達経路L1と第2の動力伝達経路とは、並列に形成されている。従って、ディスクプレート12に伝達された動力は、第1の動力伝達経路L1および第2動力伝達経路L2を介してハブ14に伝達される。
ところで、エンジン始動停止時のショックやサージ等に起因する低周波数の捩れ共振が発生した場合には、その共振を減衰するため比較的大きなヒステリシストルクが必要となる。一方、エンジンが低回転で作動している状態で発生する、こもり音やジャラ音など捩れ共振よりも高い周波数で発生する振動を低減する際には、小さなヒステリシストルクが必要となる。
図4に、ダンパ装置10の捩れ特性のシミュレーション結果を示す。図4において横軸が捩れ角θ(rad)を示し、縦軸がトルクT(Nm)を示している。シミュレーションにあっては、中間プレート20の慣性モーメントI3が、ディスクプレート側の慣性モーメントI1ないしハブ側の慣性モーメントI2の1000分の1程度に設定され、ばね剛性K2がばね剛性K1の2分の1程度に設定されている。この値は、実車に搭載可能な範囲で設定されている。
図4において外側のループが10Hzで加振した場合の捩れ特性を示し、内側のループが40Hzで加振した場合の捩れ特性を示している。図4からもわかるように、低周波数である10Hzで加振したときに発生するヒステリシストルクが大きく(大ヒス)、高い40Hzで加振したときに発生するヒステリシストルクが小さく(小ヒス)なっている。このように、低周波数の捩れ振動が発生した場合に得られるヒステリシストルクが大きくなり、これよりも高い周波数の捩れ振動が発生した場合に得られるヒステリシストルクが小さくなり、上述した周波数に応じて変化する、必要とされるヒステリシストルクを満足する結果が得られた。
上記のように、低周波数の振動が発生した場合に大きなヒステリシストルクが得られ、高周波数の振動が発生した場合に小さなヒステリシストルクが得られる理由について説明する。
低周波数の捩れ振動が発生した場合、角加速度が小さくなるため、中間プレート20の慣性力は小さくなる。この背反としてヒステリシス機構18の摩擦面にかかる力は大きくなり、そのトルクが所定値を超えると摩擦面で摺動が生じ、摩擦力によるヒステリシストルクが発生する。
一方、高周波数の捩れ振動が発生した場合、角加速度が大きくなるため、中間プレート20の慣性力も大きくなる。この背反として、ヒステリシス機構18の摩擦面にかかる力が小さくなるため、ヒステリシス機構18において摺動しなくなる。すなわち、実質的にヒステリシス機構18が直結された状態となり、ディスクプレート12とハブ14とが、第1コイルスプリング16および第2コイルスプリング22に接続された状態となる。従って、高周波数の捩れ振動が発生した場合には、ヒステリシストルクが小さくなる。なお、図4に示す高周波数の捩れ振動が発生した場合の僅かなヒステリシストルクは、シミュレーションの際に第1コイルスプリング16および第2コイルスプリング22の減衰項を追加したためである。
これより、慣性モーメントI1〜I3、ばね剛性K1、K2を適宜調整することで、例えばエンジン始動停止時のショックやサージ等の低周波数の捩れ共振が発生した場合に大きなヒステリシストルクが発生し、こもり音やジャラ音など高周波数の捩れ振動が発生した場合に小さなヒステリシストルクが発生するように調整することが可能となる。従って、ダンパ装置10において、低周波数の捩れ振動の低減と、高周波数の捩れ振動の低減とを両立することが可能となる。
上述のように、本実施例によれば、低周波数の振動の場合、角加速度が小さいのでヒステリシス機構18を構成する中間プレートの慣性力は小さくなり、ヒステリシス機構18の摩擦面に力がかかる。そして、その摩擦面にかかる力が所定値を超えると摩擦面で摺動が生じ、ヒステリシストルクが発生する。一方、高周波数の振動の場合、角加速度が大きくなるため、中間プレート20の慣性力が大きくなり、ヒステリシス機構18の摩擦面にかかる力が小さくなる。従って、ヒステリシス機構18の摩擦面で摺動することも殆どないので、ヒステリシストルクも殆ど発生しない。この場合には、実質的にディスクプレート12とハブ14とが、第1コイルスプリング16および第2コイルスプリング22に接続された状態となり、第1コイルスプリング16および第2コイルスプリング22の減衰によって振動が低減(吸収)される。よって、エンジン始動停止時のショックやサージ等の低周波数の捩れ振動は、ヒステリシス機構18において発生するヒステリシストルクによってその振動が低減され、こもり音やジャラ音など捩れ共振の周波数よりも高い周波数で発生する振動は、第1コイルスプリング16および第2コイルスプリング22の減衰によって振動が低減されることで、これら周波数の異なる振動の低減を両立することができる。
また、本実施例によれば、第2コイルスプリング22を介して伝達可能な最大トルクは、前記ヒステリシス機構18で発生するヒステリシストルクよりも大きくなるように設定されているので、ヒステリシス機構18で発生するトルクによって第2コイルスプリング22が線間密着することを防止することができる。また、高周波数の振動が伝達された場合にも第2コイルスプリング22によって振動を低減することができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、本発明の他の実施例であるダンパ装置60の正面図であり、前述の実施例の図1に対応している。また、図6は、図5のダンパ装置60を切断線Cで切断した断面図であり、前述の実施例の図2に対応している。なお、図5のダンパ装置60は、図6において矢印D側からみた矢視図であって、且つ、後述する第1プレート62aが取り外された状態を示している。
ダンパ装置60は、ディスクプレート62と、ディスクプレート62に対して相対回転可能なハブ64と、回転方向においてディスクプレート62とハブ64との間に捻れがない状態で配置されている第1コイルスプリング66と、ディスクプレート62とハブ64との間に配置されている第2コイルスプリング72およびヒステリシス機構68とを、含んで構成されている。ダンパ装置60にあっては、ヒステリシス機構68および第2コイルスプリング72が、ダンパ装置60の回転軸心Cの径方向において第1コイルスプリング66よりも径方向内側に配置されている。なお、ディスクプレート62が本発明の第2回転部材の一例であり、ハブ64が本発明の第1回転部材の一例であり、第1コイルスプリング66が本発明の第1弾性体の一例であり、第2コイルスプリング72が本発明の第2弾性体の一例である。
ディスクプレート62は、回転軸心Cを中心にして回転可能な一対の第1ディスクプレート62a(以下、第1プレート62a)および第2ディスクプレート62b(以下、第2プレート62b)とから構成されている。第1プレート62aおよび第2プレート62bは、何れも円盤形状を有しており、リベットによって相対回転不能に連結されている。
ハブ64は、回転軸心Cを中心にしてディスクプレート62に対して相対回転可能に設けられている。ハブ64は、内周側に配置されている円筒形状の円筒部64aと、その円筒部64aから回転軸心Cの径方向に伸びる複数個のフランジ部64bとを備えて構成されている。第1コイルスプリング66は、ディスクプレート62とハブ64との間に配置され、これらを動力伝達可能に作動的に接続している。
ヒステリシス機構68は、ヒステリシストルクを発生させるものであり、中間プレート70と、ヒスプレート86と、コーンスプリング88とを、含んで構成されている。
本実施例のダンパ装置60では、第1プレート62aとヒステリシス機構68を構成する中間プレート70とが第2コイルスプリング72を介して動力伝達可能に接続され、さらにヒステリシス機構68とハブ64とが摩擦面を介して動力伝達可能に接続されている。第1プレート62aとハブ64との間には、第1プレート62a側からフランジ部64b側に向かって軸方向に、スラストベアリング78、中間プレート70、ヒスプレート86、およびコーンスプリング88が順番に配置されている。
ディスクプレート62の第1プレート62aと中間プレート70との間に、スラストベアリング78が配置されており、スラスト方向の荷重を受けている。また、第1プレート62aには、軸方向に伸びる突起80が周方向に複数個形成されている。図5に突起80の形状を破線で示す。図5の破線に示すように、突起80は、周方向に沿って円弧状に形成されている。
中間プレート70は、内周側に配置される円板部70aと、その円板部70aの外周部に接続され第2コイルスプリング72を保持する複数個のばね保持部70bとを含んで構成されている。円板部70aは、円環板状に形成されており、スラストベアリング78とヒスプレート86との間に配置されている。
ばね保持部70bには、第2コイルスプリング72を収容するための収容穴82が形成され、この収容穴82に第2コイルスプリング72が収容されている。また、収容穴72の両端には、周方向に沿って伸びる周方向溝84が連続して形成されている。この周方向溝84に前記第1プレート62aの突起80が係合している。これより、第1プレート62aに伝達されたトルクが、第2コイルスプリング72を介して中間プレート20に伝達される。具体的には、第1プレート62aの突起80が第2コイルスプリング72の一端を押圧し、第2コイルスプリング72の他端が中間プレート70を押圧することでトルクが伝達される。このようにして、第1プレート62aと中間プレート70とが第2コイルスプリング72を介して動力伝達可能に接続される。
軸方向においてスラストベアリング78とハブ64との間に、中間プレート70、ヒスプレート86、およびコーンスプリング88から構成されるヒステリシス機構68が配置されている。ダンパ装置60においては、ヒステリシス機構68が、回転軸心Cの径方向において第1コイルスプリング66および第2コイルスプリング72よりも径方向内側に配置されている。
ヒスプレート86は、円環板状に形成されており、回転軸心Cの径方向の内側および外側から軸方向に突き出す回り止め突起86aおよび回り止め突起86bが、周方向に複数個形成されている。この回り止め突起86aおよび回り止めs突起86bが、ハブ64に形成されている嵌合穴と嵌合することで、ヒスプレート86とハブ64とが相対回転不能とされている。
コーンスプリング88は、軸方向においてヒスプレート86とハブ64との間に予荷重状態で配置されており、ヒスプレート86を中間プレート70に向かって軸方向に押圧する。中間プレート70とヒスプレート86とは、摺動可能に当接しており、中間プレート70とヒスプレート86との間に所定値を超えるトルクが伝達されると中間プレート70とヒスプレート86との間に滑りが生じることでヒステリシストルクが発生する。このように、中間プレート20がヒスプレート86との摩擦面(摺動面、接触面)を介してハブ64に接続されている。従って、第1プレート62aが、第2コイルスプリング72およびヒステリシス機構68(中間プレート70、ヒスプレート86、コーンスプリング88)を介してハブ64に直列に接続されている。
上述したように、ディスクプレート62の第1プレート62aと中間プレート70とが、第2コイルスプリング72およびヒステリシス機構68を介して直列に接続されている。また、ディスクプレート62とハブ64とが、第1コイルスプリング66を介して接続されている。
図7に、ダンパ装置60の動力伝達経路を簡略化したモデルで示す。図7からもわかるように、ディスクプレート62とハブ64とが第1コイルスプリング66を介して接続され、ディスクプレート62とハブ64とが第2コイルスプリング72およびヒステリシス機構68を介して直列に接続されている。また、ディスクプレート62とハブ64との間で、第1コイルスプリング66と、第2コイルスプリング72およびヒステリシス機構68とが並列に接続されている。
本実施例のダンパ装置60を前述したダンパ装置10と比較すると、ディスクプレート62とハブ64との間で、第2コイルスプリング72およびヒステリシス機構68の連結の順番が逆になっているだけである。上記のように構成されるダンパ装置60においても、基本的な作動原理は前述したダンパ装置10と変わらないため、前述した実施例のダンパ装置10と同様の効果が得られる。なお、詳細な作動については、前述した実施例と同様であるあためその説明を省略する。
上述のように、本実施例のダンパ装置60によっても前述した実施例のダンパ装置10と同様の効果を得ることができる。
図8は、本発明のさらに他の実施例であるダンパ装置100の断面図である。本実施例のダンパ装置100にあっては、第1コイルスプリング106の内周側に、第2コイルスプリング114a、114bが軸方向に並んで配置されている。以下、ダンパ装置100の構造について説明する。
ダンパ装置100は、ディスクプレート102と、ディスクプレート102に対して相対回転可能なハブ104と、回転方向においてディスクプレートとハブとの間に捻れがない状態で配置されている第1コイルスプリング106と、ディスクプレート102とハブ104との間に配置されている一対のヒステリシス機構108a、108bと、一対の中間プレート112a、112bとハブ104との間に配置されている一対の第2コイルスプリング114a、114bとを、含んで構成されている。なお、ディスクプレート102が本発明の第1回転部材の一例であり、ハブ104が本発明の第2回転部材の一例であり、第1コイルスプリング106が本発明の第1弾性体の一例であり、第2コイルスプリング114a、114bが本発明の第2弾性体の一例である。
ディスクプレート102は、回転軸心Cを中心にして回転可能な一対の第1ディスクプレート102a(以下、第1プレート102a)および第2ディスクプレート102b(以下、第2プレート102b)とから構成されている。第1プレート102aおよび第2プレート102bは、それぞれ円盤形状を有しており、リベットよって相対回転不能に連結されている。
ハブ104は、回転軸心Cを中心にしてディスクプレート102に対して相対回転可能に設けられている。ハブ104は、内周側に配置されている円筒形状の円筒部104aと、その円筒部104aから等角度間隔で回転軸心Cの径方向に伸びる複数個のフランジ部104bとを備えて構成されている。
第1コイルスプリング106は、ディスクプレート102とハブ104との間に配置され、これらを動力伝達可能に接続している。
また、本実施例のダンパ装置100にあっては、ディスクプレート102が、ヒステリシス機構108aおよび第2コイルスプリング114aを介してハブ104に直列に接続されているとともに、ディスクプレート102が、ヒステリシス機構108bおよび第2コイルスプリング114bを介してハブ104に直列に接続されている。
第1コイルスプリング106の内周側において、第1プレート102a側からフランジ部104b側に向かって軸方向に、コーンスプリング116a、ヒスプレート118a、中間プレート112a、およびスラストベアリング120aが順番に配置されている。上記中間プレート112a、コーンスプリング116a、およびヒスプレート118aによってヒステリシス機構108aが構成される。
ヒスプレート118aは、前述のダンパ装置10と同様に、第1プレート102aに回り止めされることで第1プレート102aに対して相対回転不能とされている。コーンスプリング116aは、ヒスプレート118aと第1プレート102aとの間に予荷重状態で配置されており、ヒスプレート118aを中間プレート112aに向かって押圧する。中間プレート112aとヒスプレート118aとの摩擦面(摺動面、接触面)は、摺動可能に構成されており、中間プレート112aとヒスプレート118aとが摺動することで摩擦力が発生するように構成されている。このようにして、ヒステリシストルクを発生させるヒステリシス機構108aが構成される。
中間プレート112aとフランジ部104bとの間には、スラストベアリング120aが配置されている。スラストベアリング120aは、中間プレート112aとフランジ部104bとの間で発生するスラスト力を受けつつ、中間プレート112aとフランジ部104aとの間の相対回転を許容する。
中間プレート112aの外周部には、ばね保持部122aが形成されており第2コイルスプリング114aを保持している。また、ハブ104のフランジ部104bには、突起124aが形成されており、ばね保持部122に形成されている周方向溝126aに係合している。上記のように構成されることで、中間プレート112aが第2コイルスプリング114aを介してハブ104に接続される。なお、中間プレート112aとハブ104とを第2コイルスプリング114aを介して接続する機構は、前述したダンパ装置10と同じものである。
これより、第1プレート102aとハブ104との間が、ヒステリシス機構108aを構成するヒスプレート118aおよび中間プレート112a、および第2コイルスプリング114aを介して直列に接続される。
また、第1コイルスプリング106の内周側において、第2プレート102b側からフランジ部104b側に向かって軸方向に、コーンスプリング116b、ヒスプレート118b、中間プレート112b、およびスラストベアリング120bが順番に配置されている。上記中間プレート112b、コーンスプリング116b、およびヒスプレート118bによってヒステリシス機構108bが構成される。
ヒスプレート118bは、前述のダンパ装置10と同様に、第2プレート102bに回り止めされることで第2プレート102bに対して相対回転不能とされている。コーンスプリング116bは、ヒスプレート118bと第2プレート102bとの間に予荷重状態で配置されており、ヒスプレート118bを中間プレート122bに向かって押圧する。中間プレート112bとヒスプレート118bとの摩擦面(摺動面、接触面)は、摺動可能に構成されており、中間プレート112bとヒスプレート118bとが摺動することで摩擦力が発生するように構成されている。このようにして、ヒステリシストルクを発生させるヒステリシス機構108bが構成される。
中間プレート112bとフランジ部104bとの間には、スラストベアリング120bが配置されている。スラストベアリング120bは、中間プレート112bとフランジ部104bとの間で発生するスラスト力を受けつつ、中間プレート112bとフランジ部104bとの間の相対回転を許容する。
中間プレート112bの外周部には、ばね保持部122bが形成されており、第2コイルスプリング114bを保持している。また、ハブ104のフランジ部104bには、突起122bが形成されており、ばね保持部122bに形成されている周方向溝126bに係合している。上記のように構成されることで、中間プレート122bが第2コイルスプリング114bを介してハブ104に接続される。
これより、第2プレート102bとハブ104との間が、ヒステリシス機構108bを構成するヒスプレート118bおよび中間プレート112b、および第2コイルスプリング114bを介して直列に接続される。
上記のように構成されるダンパ装置100であっても、前述したダンパ装置10に対して、さらにディスクプレート102とハブ104との間に、ヒステリシス機構108bおよび第2コイルスプリング114bが直列に接続されることで形成される動力伝達経路が1つ追加されるだけであり、基本的な作動原理は変わらないので前述の実施例と同様の効果が得られる。また、ダンパ装置100に伝達されるトルクを、第1コイルスプリング106および第2コイルスプリング114aに加えて第2コイルスプリング114bで受け持つことができるため、各コイルスプリングに伝達されるトルクが低減される。従って、各コイルスプリングを回転軸心Cの径方向において内周側に配置することができるため、ダンパ装置100を径方向に小型化することもできる。また、各コイルスプリングの剛性を小さく設定することもできる。
図9は、本発明のさらに他の実施例であるダンパ装置140の正面図であり、図10は、ダンパ装置140を切断線Fで切断した断面図である。なお、図9は、図10において矢印E方向から見た矢視図であって、且つ、後述する第1プレート142aが取り外された状態を示している。本実施例のダンパ装置140にあっては、ディスクプレート142とハブ144とを接続する第2コイルスプリング154およびヒステリシス機構152a、152bが、ダンパ装置140の回転軸心Cの径方向において第1コイルスプリング146よりも外側(径方向外側)に配置されている。以下、ダンパ装置140の構造について、図9、10を用いて説明する。
ダンパ装置140は、ディスクプレート142と、ディスクプレート142に対して相対回転可能なハブ144と、回転方向において捩れがない状態で配置されている第1コイルスプリング146と、第1コイルスプリング146の外周側に配置される一対のヒステリシス機構152a、152bと、ヒステリシス機構152a、152bを構成する中間プレート150の内周に配置される第2コイルスプリング154とを、含んで構成されている。なお、ディスクプレート142が本発明の第1回転部材の一例であり、ハブ144が本発明の第2回転部材の一例であり、第1コイルスプリング146が本発明の第1弾性体の一例であり、第2コイルスプリング154が本発明の第2弾性体の一例である。
ディスクプレート142は、回転軸心Cを中心にして回転可能な一対の第1ディスクプレート142a(以下、第1プレート142a)および第2ディスクプレート142b(以下、第2プレート142b)から構成されている。第1プレート142aおよび第2プレート142bは、何れも円盤形状を有しており、リベットによって相対回転不能に連結されている。
ハブ144は、回転軸心Cを中心にしてディスクプレート142に対して相対回転可能に設けられている。ハブ144は、内周側に配置されている円筒形状の円筒部144aと、円筒部144aから等角度間隔で回転軸心Cの径方向に伸びる複数個のフランジ部144bとを備えて構成されている。
第1コイルスプリング146は、ディスクプレート142とハブ144との間に配置され、これらを動力伝達可能に接続している。また、ディスクプレート142とハブ144との間が、直列に接続されているヒステリシス機構152a、152bおよび第2コイルスプリング154を介して接続されている。以下、ヒステリシス機構152a、152bおよび第2コイルスプリング154の構造について説明する。
ダンパ装置140では、ダンパ装置140の回転軸心Cの径方向において第1コイルスプリング146よりも径方向外側に、ヒステリシス機構152a、152bおよび第2コイルスプリング154が配置されている。ヒステリシス機構152aは、中間プレート150、ヒスプレート160a、およびコーンスプリング162aから構成されている。また、ヒステリシス機構152bは、中間プレート150、ヒスプレート160b、およびコーンスプリング162bから構成されている。
中間プレート150は、円環形状を有しており、第1コイルスプリング146の外周側であって、第1プレート142aと第2プレート142bとの間の間隙に配置されている。また、中間プレート150の内周部であって軸方向の中央には、フランジ部144bの個数だけ扇形状の切欠156が形成されている。切欠156は、周方向において所定の長さを有し、軸方向において第2コイルスプリング154の外径(コイル外径)よりも僅かに大きく切り欠かれている。また、ハブ144のフランジ部144bの回転軸心Cの径方向端部には、その径方向において切欠156によって形成される空間まで伸びる突起158が形成されており、この突起158がこの空間に収容されている。
前記突起158は、ダンパ装置140にトルクが伝達されない状態で、切欠156によって形成される空間に対して周方向の中央に配置されている。そして、突起158の周方向の両端と切欠156の周方向の端部との間に、それぞれ第2コイルスプリング154が配置されている。上記のように構成されることで、中間プレート150とハブ144とが第2コイルスプリング154を介して動力伝達可能に接続される。
中間プレート150の軸方向の両端とディスクプレート142との間には、ヒステリシス機構152a、152bを構成するヒスプレート160a、160bおよびコーンスプリング162a、162bが配置されている。詳細には、軸方向において第1プレート152aと中間プレート150との間には、ヒステリシス機構152aを構成するヒスプレート160aおよびコーンスプリング162aが配置されている。ヒスプレート160aは、円環板状に形成されており、ヒスプレート160aの内周部および外周部には、軸方向において第1プレート142a側に向かって伸びる回り止め突起166aが周方向に複数個形成されている。この回り止め突起166aが第1プレート142aに形成されている嵌合穴と嵌合することで、第1プレート142aと中間プレート150とが相対回転不能とされている。
軸方向において第1プレート142aとヒスプレート160aとの間に、コーンスプリング162aが予荷重状態で配置されている。コーンスプリング162aは、ヒスプレート160aを中間プレート150に向かって軸方向に押圧する。ヒスプレート160aと中間プレート150との間の摩擦面(摺動面、接触面)は、摺動可能に構成されており、ヒスプレート160aと中間プレート150とが摩擦面の間で摺動することで摩擦力が発生するように構成されている。上記のようにヒステリシス機構152aが構成されている。
軸方向において第2プレート142bと中間プレート150との間には、ヒステリシス機構152bを構成するヒスプレート160bおよびコーンスプリング162bが配置されている。ヒスプレート160bは、円環板状に形成されており、ヒスプレート160bの内周部および外周部には、軸方向において第2プレート142b側に向かって伸びる回り止め突起166bが形成されている。この回り止め突起166bが第2プレート142bに形成されている嵌合穴と嵌合することで、第2プレート142bと中間プレート150とが相対回転不能とされている。
軸方向において第2プレート142bとヒスプレート160bとの間に、コーンスプリング162bが予荷重状態で配置されている。コーンスプリング162bは、ヒスプレート160bを中間プレート150に向かって軸方向に押圧する。ヒスプレート160bと中間プレート150との間の摩擦面(摺動面、接触面)は、摺動可能に構成されており、ヒスプレート160bと中間プレート150とが摩擦面の間で摺動することで摩擦力が発生するように構成されている。上記のようにヒステリシス機構152bが構成されている。
また、ディスクプレート142の内周部において、第1プレート142aとフランジ部144bとの間には、スラストベアリング164aが配置されている。スラストベアリング164aは、第1プレート142aとフランジ部144との間で発生するスラスト荷重を受けつつ、これらの相対回転を許容する。ディスクプレート142の内周部において、第2プレート142bとフランジ部144bとの間には、スラストベアリング164bが配置されている。スラストベアリング164bは、第2プレート142bとフランジ部144bとの間で発生するスラスト荷重を受けつつ、これらの相対回転を許容する。
上記のように構成されるダンパ装置140においても、ディスクプレート142とハブ144の間で、ヒステリシス機構152a、152bおよび第2コイルスプリングが直列に接続されており、前述した実施例のダンパ装置10(図3)と同じ動力伝達経路を有することから、前述の実施例のダンパ装置10等と同様の効果を得ることができる。また、ヒステリシス機構152a、152bおよびおよび第2コイルスプリング154が、第1コイルスプリング146の外周側に配置されることで、第2コイルスプリング154のバネ剛性を低くできるなど設計の自由度も高くなる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば前述の実施例のダンパ装置100では、ダンパ装置10と同様に、第1プレート102aが、ヒステリシス機構108a、第2コイルスプリング114aの順番でハブ104に直列に接続されるとともに、第2プレート102bが、ヒステリシス機構108b、第2コイルスプリング114bの順番でハブ104に直列に接続されている。この構成において、さらにダンパ装置60のように接続の順番を変更することもできる。具体的には、ダンパ装置100において、第1プレート102aが、第2コイルスプリング114a、ヒステリシス機構108aの順番でハブ104に直列に接続されるとともに、第2プレート102bが、第2コイルスプリング114b、ヒステリシス機構108bの順番でハブ104に直列に接続されても構わない。或いは、ダンパ装置100において、第1プレート102aが、ヒステリシス機構108a、第2コイルスプリング114aの順番で直列に接続される一方、第2プレート102bが、第2コイルスプリング114b、ヒステリシス機構108bの順番で接続されても構わない。
また、前述の実施例のダンパ装置140では、ディスクプレート142がヒステリシス機構152a、152b、第2コイルスプリング154の順番でハブ144に直列に接続されている。この構成において、さらにディスクプレート142が、第2コイルスプリング154、ヒステリシス機構152a、152bの順番で直列に接続されていても構わない。
また、前述の実施例のダンパ装置10、60、100、140では、ヒスプレートを軸方向に押圧する弾性部材としてコーンスプリングが使用されていたが、コイルスプリングやゴムなどヒスプレートを軸方向に押圧する部材であれば特に限定されない。
また、前述の実施例のスラストベアリング38等は、例えばスラストころ軸受から構成されるとしたが、例えばニードルベアリングなどスラスト荷重を受けるものであれば特に限定されない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、60、100、140:ダンパ装置(車両のダンパ装置)
12、102、142:ディスクプレート(第1回転部材)
14、104、144:ハブ(第2回転部材)
16、66、106、146:第1コイルスプリング(第1弾性体)
18、68、108a、108b、152:ヒステリシス機構
22、72、114a、114b、154:第2コイルスプリング(第2弾性体)
62:ディスクプレート(第2回転部材)
64:ハブ(第1回転部材)

Claims (6)

  1. 回転軸心まわりに回転可能な第1回転部材と、
    該第1回転部材に対して相対回転可能な第2回転部材と、
    該第1回転部材と第2回転部材との間に捩れがない状態で配置されている第1弾性体と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置されているヒステリシス機構とを備え、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間で、前記ヒステリシス機構と第2弾性体とが直列に接続され、且つ、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間で、前記第1弾性体と、前記ヒステリシス機構および前記第2弾性体とが並列に接続されている
    ことを特徴とする車両のダンパ装置。
  2. 前記第1回転部材が、前記ヒステリシス機構に接続され、
    該ヒステリシス機構が、前記第2弾性体を介して前記第2回転部材に接続されている
    ことを特徴とする請求項1の車両のダンパ装置。
  3. 前記第2弾性体は、前記第1弾性体よりも前記回転軸心の径方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1または2の車両のダンパ装置。
  4. 前記ヒステリシス機構は、前記第1弾性体および前記第2弾性体よりも前記回転軸心の径方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の車両のダンパ装置。
  5. 前記第2弾性体および前記ヒステリシス機構が、前記第1弾性体よりも前記回転軸心の径方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1または2の車両のダンパ装置。
  6. 前記第2弾性体を介して伝達可能な最大トルクは、前記ヒステリシス機構で発生するヒステリシストルクよりも大きな値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の車両のダンパ装置。
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