JP2015232357A - 軸力起因型トルク伝達装置 - Google Patents

軸力起因型トルク伝達装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015232357A
JP2015232357A JP2014118970A JP2014118970A JP2015232357A JP 2015232357 A JP2015232357 A JP 2015232357A JP 2014118970 A JP2014118970 A JP 2014118970A JP 2014118970 A JP2014118970 A JP 2014118970A JP 2015232357 A JP2015232357 A JP 2015232357A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotatable member
outer peripheral
engagement
axial force
shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014118970A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6182709B2 (ja
Inventor
隆康 松本
Takayasu Matsumoto
隆康 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MATSUMOTO ENGINEERING KK
Original Assignee
MATSUMOTO ENGINEERING KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MATSUMOTO ENGINEERING KK filed Critical MATSUMOTO ENGINEERING KK
Priority to JP2014118970A priority Critical patent/JP6182709B2/ja
Publication of JP2015232357A publication Critical patent/JP2015232357A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6182709B2 publication Critical patent/JP6182709B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)
  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)

Abstract

【課題】所望軸力を発生させるに必要なトルクを精度よく伝達させ得るトルク伝達装置を提供する。
【解決手段】拘束状態の第3の回転可能部材7と、これに対して回転可能な入力軸2と出力軸3を有する。入力軸2の筒状保持器10の収容孔9に、出力軸3の収容軸部11が収容される。筒状保持器10の外周壁部12に周方向で設けられた複数個の係止孔部19に係合子17が嵌入され、係合子17は、付勢手段を介して、収容軸部の有する伝達軸部15の外周係合部21に押圧される。付勢手段20は、係合子17を外周係合部21に弾性的に押圧する左右の外支持リング25,25を有する。係合子17は、入力軸2の回転により、外支持リング25に対して公転でき且つ自転できる。伝達軸部15の両側の挿入軸部16,16が左右の内支持リング29,29の挿通孔30に遊挿され、内支持リング29と、これと向き合う受部32の間にスラスト軸受35が介装される。
【選択図】図1

Description

本発明は、所望軸力を発生させるに必要なトルクを伝達させることができる軸力起因型トルク伝達装置に関するものである。
本出願人は特許文献1で、例えば図27に示す軸力起因型トルクリミッタを提案した。該トルクリミッタは、軸力の増大に伴い限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)を低減させ得る機構を具えることにより、軸力そのものを所望値に精度よく制御できて繰り返し特性に優れるものであった。本発明は、該軸力起因型トルクリミッタの基本構成とその独特の作用効果に着眼しこれを更に発展させて完成されたものであるため、先ず、該基本構成の概要を説明する。
回転要素の回転の動きをアキシャル方向の動きに変換して、負荷を引く或いは押す装置(以下、直線運動装置という)における、軸力の過負荷防止機構として従来一般に用いられているトルクリミッタとしては、回転要素の駆動部に設けられることにより、設定トルクに達すると摩擦面がスリップすることによってそれ以上のトルク伝達を不能とするように構成されたものが提供されている。その一種として、例えば特許文献2や特許文献3が開示するような摩擦面スリップ方式のトルクリミッタが提案されている。又、設定トルク値に達すると係合部材相互の係合が解除されてそれ以上のトルク伝達を不能とするように構成されたもの、例えば特許文献4が開示するような、ボールと凹部や凹溝との係合解除によってトルク伝達が遮断されるように構成された係合解除方式のトルクリミッタが提供されている。
図28は、摩擦面スリップ方式のトルクリミッタAを直線運動装置Bに組み付けたトルクリミッタ付き直線運動装置aを示すものであり、図示しない手段により回り止めされたナットbが、図示しない軸受により回転自在に支持されたネジ軸cに螺合されている。該ナットbは、該ネジ軸cの回転の動きを該ネジ軸cの軸線方向の動きに変換する要素の一例である。
そして該ネジ軸cの基端部分dに、円筒部eの一端にフランジfが周設されたハブgが固設されると共に、該円筒部eの先側部分は、外周面に雄ネジ部jが設けられてなるネジ筒部kとされている。又、該ネジ筒部kには付勢力調整ナットmが螺合されており、該円筒部eには、該付勢力調整ナットmと前記フランジfとの間で、ブッシュnを介して平歯車状の入力ギアpが回転自在に取り付けられている。該入力ギアpは、図示しないモータにより正逆回転せしめられる。そして、該入力ギアpの中央部分qがその内外から摩擦板r,rで挾持されると共に、前記付勢力調整ナットmと前記外の摩擦板rとの間に皿バネsが介装されており、該付勢力調整ナットmを所要に締め付けることにより該両摩擦板r,rによる挾持力が発生しこの挾持力によってトルクリミッタAの最大伝達トルク値が所要に設定されるようになされている。
然して、前記ナットbに作用する負荷が過大なときは、前記直線運動装置Bのネジ軸cの軸力が増大するに伴ってトルクリミッタAの伝達トルクが増大していきトルク伝達余力(トルクリミッタAの最大伝達トルクと、前記直線運動装置Bの軸力に応じたトルクとの差)が減少していく。そしてトルクリミッタAは、ついにはトルクを伝達できなくなり、前記入力ギアpが周方向にスリップ回転する。これによって、負荷側及び駆動側の装置を保護できるのである。
ところで、この種のトルクリミッタの前記最大伝達トルクの内、前記直線運動装置の軸力の発生に有効利用されるのはその一部分であり、ネジ軸cの支持部の損失トルクや、ナットbの螺合部の摩擦損失力に対応するトルクの他、加速度運動時(ネジ軸cの回転始動時)の回転部分の慣性モーメントに起因するトルク等で消費される部分も多かった。このように種々の消費トルク要因が存し、しかもこれらにバラツキが生ずることから、前記軸力の発生に有効利用されるトルクは実際には変化し易いものであった。
そして、この種のトルクリミッタを含め従来のトルクリミッタは、限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)が軸力と無関係に一定であるために、負荷が限界伝達トルク値の手前近傍の状態において、トルク差(トルクリミッタの限界伝達トルク値と負荷トルクとの差)が小さく、又、負荷トルクが限界伝達トルク値を超えた近傍の状態において、トルク差が小さかった。しかも、前記のように軸力の発生に有効利用されるトルクが変化し易いことから、所望の軸力よりも小さい軸力でトルク伝達が遮断されてしまったり、逆に、所望の軸力よりも大きい軸力に達してもトルク伝達を遮断できない場合が生ずる等、精度の良いトルク遮断を行なうのが難しい問題があった。
なお、前記直線運動装置に必要とされる軸力に達する前にトルク伝達が遮断されるのを防止するために、限界伝達トルクを高めに設定することも行なわれていた。しかしながら、限界伝達トルクをこのように高めに設定すると、結果的に、遮断時の軸力が所望軸力よりも相当高い値になってしまうことが生じた。
かかるトルク伝達の遮断は、本来は、直線運動装置の軸力が、該直線運動装置が必要とする軸力値を越えた時に速やかに行われるのが好ましいのであるが、従来のトルクリミッタにあっては、軸力が増すにつれてトルクも増大するであろうとの観点から、簡便に、トルクを利用して軸力を制御することがなされていたのである。
以上要するに従来のトルクリミッタは、限界伝達トルクが必ずしも直線運動装置の所望軸力と精度よく対応しておらず、軸力を精度よく制御することができない問題があったのである。
特許文献1に係る軸力起因型トルクリミッタは、軸力の増大に伴い、係合子が支持リング部材から受ける外力が増大していき、該係合子が前記係合軸部の外周面から受ける外力が減少する。換言すれば、軸力の増大に伴い限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)を低減させることができるという特性を有する点に着眼して構成されている。
かかることから該軸力起因型トルクリミッタによるときは、限界伝達トルクが軸力と無関係に一定であった従来のトルクリミッタとは異なり、所望軸力よりも小さい軸力でトルク伝達が遮断されてしまったり、逆に、所望軸力よりも大きい軸力に達してもトルク伝達を遮断できない場合が生ずる等の従来の問題を解消できる。又、従来の摩擦面スリップ方式のトルクリミッタにおけるような、ネジ軸の支持部の損失トルクを低減でき、加速度運動時の回転部分の慣性モーメントに起因するトルクの影響を大きく低減できる。それ故該トルクリミッタによるときは、軸力そのものを所望値に精度よく制御でき、繰り返し特性に優れる軸力起因型のトルクリミッタを提供できたのである。
ここで、該軸力起因型トルクリミッタのより具体的な構成とその作用を、特許文献1に記載の実施例に基づいて説明する。
図27において、本発明に係るトルクリミッタa1は、負荷を引く場合(例えば、緊張装置b1aとしての直線運動装置b1に応用された場合)、と負荷を押す場合(例えば、押圧装置b1bとしての直線運動装置b1に応用された場合)の双方に利用可能に構成されている。
該トルクリミッタa1は、より具体的には、負荷に繋がる直線運動装置b1に連結され且つ例えば円形孔からなる収容孔c1が設けられてなる保持器d1と、該収容孔c1内に収容され且つ軸線e1回りに回転し得る軸部f1を具えており、該軸部f1は、断面円形の係合軸部g1の、軸線e1方向で見た左右端に、挿入軸部h1,h1が同心に連設されている。そして、各挿入軸部h1,h1が、前記軸部f1とは別体の円形リング状を呈する支持リング部材j1,j1の中心部に設けられた挿通孔k1,k1に遊挿されている。そして該保持器d1の周壁部m1にその周方向に等角度で複数個設けられた係止孔部n1に係合子p1が嵌め入れられている。係合子p1は、付勢手段q1により係合軸部g1の外周面s1に弾性的に押圧される。前記挿入軸部h1は、前記のように、支持リング部材j1の挿通孔k1に遊挿され、係合子t1は、支持リング部材j1の支持部u1に点状接触し得る。該挿入軸部h1の先端に設けられた受部v1と該支持リング部材j1との間にスラスト軸受w1が介在されている。
かかることから、該トルクリミッタa1によるときは、前記軸部f1を具える軸部材y1がその軸線e1方向に引張され或いはその軸線e1方向で圧縮されて該軸部f1の軸力が増大することによって、前記係合子t1が前記支持リング部材j1,j1の何れか一方で支持され、該軸力が増大することよって、該係合子t1が該支持リング部材j1から受ける外力が増大して、該係合子t1が係合軸部g1の外周面s1から受ける外力が減少し、トルク伝達が低減する。これによって、所望遮断軸力値を、前記軸部材に必要とされる軸力を考慮して容易且つ確実に設定できることとなる。
特開2011−127691号公報 実開昭59−47127号公報 特開2001−107330号公報 特開2004−176856号公報
特許文献1に係る軸力起因型トルクリミッタは、前記のように、軸力そのものを所望値に精度よく制御でき、繰り返し特性に優れるという利点を有するものであったが、あくまでも、軸力の過負荷防止を図るトルクリミッタに過ぎなかった。
本発明は、該トルクリミッタの軸力の増大に伴い限界伝達トルクを低減させるための独特の構成を基本としつつ、出力軸に所望軸力を発生させるに必要なトルクを精度よく伝達させることができる軸力起因型トルク伝達装置の提供を課題とするものである。
前記課題に鑑み、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る軸力起因型トルク伝達装置は、同一の軸線回りに回転可能の第1の回転可能部材と第2の回転可能部材と第3の回転可能部材を具え、該第1の回転可能部材は、収容孔が設けられてなる筒状保持器を有し、前記第2の回転可能部材は、該収容孔に収容され且つ前記軸線と同心の収容軸部を有し、前記第3の回転可能部材は、前記筒状保持器の外周壁部を取り囲むリング状部を具えている。該第1、第2、第3の回転可能部材から選択された一つが入力軸とされる一方、残余の一つが出力軸とされ、且つ残りの一つは、必要であれば前記軸線回りの回転のみが可能である拘束状態に置かれるものであり、前記収容軸部は、断面円形の伝達軸部の、軸線方向で見た両端又は片端に挿入軸部が同心に突設され、該伝達軸部とは別体の球形状の係合子が、前記筒状保持器の前記外周壁部にその周方向で複数個設けられた係止孔部の夫々に嵌め入れられ、該係合子が、付勢手段を介して該伝達軸部の外周係合部に弾性的に押圧される如くなされている。前記付勢手段は、前記係合子の、前記筒状保持器の外周面で突出した外側突出部分を、前記軸線方向で見た左右側から弾性的に挟持して前記係合子を前記外周係合部に向けて弾性的に押圧させる左右の外支持リングを具え、該左右の外支持リングが前記リング状部と、少なくとも該リング状部の周方向で見て一体化されており、該左右の外支持リングの向き合う内周部には、前記外側突出部分に点状に圧接される点状圧接部が、周方向に連続して設けられている。又前記係合子は、前記入力軸が回転したときに、前記左右の外支持リングの前記内周部に対して公転でき、且つ自転できるようになされており、前記挿入軸部が、別体の円形リング状を呈する内支持リングの中心部に設けられた挿通孔に遊挿されており、該内支持リングの外周部には、前記係合子の球面と点状接触し得る支持部が周方向に連続して設けられている。又、前記内支持リングと対向して受部が設けられており、該内支持リングと該受部との間の距離は不変とされ、該内支持リングと該受部の、前記軸線と直交し且つ該軸線の周方向に連続する対向した側面間にスラスト軸受が介在されており、前記出力軸がその軸線方向で圧縮され或いはその軸線方向で引張されて該出力軸の軸力が増大することにより、前記係合子が前記内支持リングで支持されるようになされている。そして、該軸力が増大するに伴い、前記係合子が前記内支持リングから受ける外力が増大していき、該係合子が前記伝達軸部の外周係合部から受ける外力が減少するようになされており、該係合子が前記外周係合部から受ける外力が所望外力値にまで減少して前記軸力が所望軸力値に達した状態で、前記係合子と前記外周係合部との間でスリップが生じ得ることを特徴とするものである。
前記トルク伝達装置において、前記係合子を前記外周係合部に向けて弾性的に押圧させる前記付勢手段の付勢力は、付勢力調整手段によって調整可能とし、該付勢力調整手段は、前記左右の外支持リングをその向き合う方向に弾性的に押圧するように構成するのがよい。
本発明は以下の如く優れた効果を奏する。
本発明に係るトルク伝達装置は、前記出力軸がその軸線方向で圧縮され或いはその軸線方向で引張されて該出力軸の軸力が増大することにより、前記係合子が前記内支持リングで支持されるようになされており、該軸力が増大するに伴い、前記係合子が前記内支持リングから受ける外力が増大していき、該係合子が前記係合軸部の外周係合部から受ける外力が減少するようになされている。そして該係合子が該外周係合部から受ける外力が所望外力値にまで減少して前記軸力が所望外力値に達した状態で、前記係合子と前記外周係合部との間でスリップが生ずるように構成されている。
かかることから本発明によるときは、軸力の増大に伴い限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)を低減させることができるので、出力軸に所望軸力を発生させるに必要なトルクを精度よく伝達でき、繰り返し特性に優れる。それ故、前記出力軸に連結される負荷の、加速状態や減速状態、或いは停止状態における押し付けや引き付け運転を高頻度で精度よく行うことができる。
この場合、前記係合子を前記外周係合部に向けて弾性的に押圧させる付勢手段の付勢力を付勢力調整手段によって調整可能とするときは、出力軸に発生させるべき軸力に応じた必要トルクを調整できる。そして、該付勢力調整手段は、左右独立した外支持リングをその向き合う方向に弾性的に押圧する構成を採用するため、その調整を行い易い。
本発明に係るトルク伝達装置の一態様を示す断面図である。 その部分拡大図である。 その全体斜視図である。 その分解斜視図である。 その使用状態を示す側面図である。 出力軸に圧縮の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 出力軸に引張の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 本発明に係るトルク伝達装置の他の態様を説明する断面図である。 その部分拡大図である。 その全体斜視図である。 本発明に係るトルク伝達装置のその他の態様を説明する断面図である。 その部分拡大図である。 その全体斜視図である。 その分解斜視図である。 出力軸に圧縮の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 出力軸に引張の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 本発明に係るトルク伝達装置のその他の態様を説明する断面図である。 その部分拡大図である。 その全体斜視図である。 出力軸に圧縮の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 出力軸に引張の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 本発明に係るトルク伝達装置のその他の態様を説明する断面図である。 その部分拡大図である。 その全体斜視図である。 出力軸に圧縮の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 出力軸に引張の軸力が作用する場合において係合子が受ける外力の作用状態を説明する説明図である。 従来の軸力起因形トルクリミッタの構成を説明する断面図である。 従来のトルクリミッタ付き直線運動装置を示す説明図である。
図1、図8、図11、図17、図22において、本発明に係る軸力起因型トルク伝達装置(以下トルク伝達装置という)1は、軸力の増大に伴い限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)を低減させ得る機構を採用して構成されており、入力軸2を回転させることによって、出力軸3に所望軸力を発生させるに必要なトルクを伝達させることができるものであり、同一の軸線L回りに相対回転可能の第1の回転可能部材5と第2の回転可能部材6と第3の回転可能部材7を具えている。
該トルク伝達装置1の基本的構成を説明すれば、同一の軸線L回りに回転可能の第1の回転可能部材5と第2の回転可能部材6と第3の回転可能部材7を具え、該第1の回転可能部材5は、収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有し、前記第2の回転可能部材6は、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の収容軸部11を有し、前記第3の回転可能部材7は、前記筒状保持器10の外周壁部12を取り囲むリング状部13を具えている。そして、該第1、第2、第3の回転可能部材5,6,7から選択された一つが前記入力軸2とされる一方、残余の一つが前記出力軸3とされ、且つ残りの一つは、必要であれば前記軸線L回りの回転のみが可能である拘束状態に置かれるものである。
前記収容軸部11は、断面円形の伝達軸部15の、軸線L方向で見た両端又は片端に挿入軸部16,16が同心に突設され、該伝達軸部15とは別体の球形状の係合子17が、前記筒状保持器10の前記外周壁部12にその周方向で複数個設けられた係止孔部19の夫々に嵌め入れられ、該複数個の係合子17は略同一円周上に存する。そして該係合子17が、付勢手段20を介して該伝達軸部15の外周係合部21に弾性的に押圧される如くなされている。
該付勢手段20は、前記係合子17の、前記筒状保持器10の外周面22で突出した外側突出部分23を、前記軸線L方向で見た左右側から弾性的に挟持して該係合子17を前記外周係合部21に向けて弾性的に押圧させる左右の外支持リング25,25を具え、該左右の外支持リング25,25が前記リング状部13と、少なくとも該リング状部13の周方向で見て一体化されており、該左右の外支持リング25,25の向き合う内周部26,26(図2等)には、前記外側突出部分23に点状に圧接される点状圧接部27,27(図2等)が、周方向に連続して設けられている。
又前記係合子17は、前記入力軸2が回転したときに、前記左右の外支持リング25,25の前記内周部26,26(図2等)に対して公転でき、且つ自転できるようになされており、又、前記挿入軸部16が、別体の円形リング状を呈する内支持リング29,29の中心部に設けられた挿通孔30,30に遊挿されており、該内支持リング29,29の外周部には、前記係合子17の球面と点状接触し得る支持部31,31が周方向に連続して設けられている。又、前記内支持リング29と対向して受部32が設けられており、該内支持リング29と該受部32との間の距離は不変とされ、該内支持リング29と該受部32の、前記軸線Lと直交し且つ該軸線Lの周方向に連続する対向した側面33,33(図2等)間にスラスト軸受35が介在されている。
そして、前記出力軸3がその軸線方向L1で引張され或いはその軸線L方向で圧縮されて前記出力軸3の軸力が増大することにより、前記係合子17が前記内支持リング29で支持されるようになされ、該軸力が増大するに伴い、前記係合子17が前記内支持リング29から受ける外力が増大していき、該係合子17が前記伝達軸部15の係合外周面21から受ける外力が減少するようになされており、該係合子17が前記外周係合部21から受ける外力が所望外力値にまで減少して前記軸力が所望軸力値に達した状態で、前記係合子17と前記係合外周面15との間でスリップが生じ得る。
以下、該トルク伝達装置1の実施例を、前記係止孔部19に嵌め入れられている前記係合子17が前記軸線L方向での外力を受けない場合と受ける場合に分けて説明する。実施例1、実施例2は、前記係合子17が前記外力を受けない場合の実施例であり、実施例3、実施例4、実施例5は、前記係合子17が前記外力を受ける場合の実施例である。
図1〜5において本発明に係るトルク伝達装置1は、同一の軸線L回りに回転可能の第1の回転可能部材5と第2の回転可能部材6と第3の回転可能部材7を具え、該第1の回転可能部材5は、前記収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有し、該第2の回転可能部材6は、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の前記収容軸部11を有し、前記第3の回転可能部材7は、前記筒状保持器10の外周壁部12を取り囲むリング状部13を具えている。
前記第1の回転可能部材5は、本実施例においては入力軸2とされており、前記軸線Lと同心の前記収容孔9が設けられてなる前記筒状保持器10を有する。前記第2の回転可能部材6は、本実施例においては出力軸3とされており、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の前記収容軸部11を有する。又、前記第3の回転可能部材7は、本実施例においては機台36(図5)に固定状態に拘束されており、前記筒状保持器10の外周壁部12を取り囲む前記リング状部13を具え、前記軸線L回りの回転も軸線方向L1での移動もできない固定状態にある。このように、該第3の回転可能部材7が機台36に固定状態に拘束されているため、前記第1、第2の回転可能部材5,6が、該拘束状態の該第3の回転可能部材7に対して前記軸線L回りに回転可能である。
前記第1の回転可能部材5が有する前記筒状保持器10は、本実施例においては図1、図4に示すように、先端37が開放された円形孔からなる前記収容孔9が設けられてなる有底の円筒状を呈しており、その円形底部39の外面40(図1の左の側面)に、該円筒状の筒状保持器10と同心に、左端側が電動機120(図5)に連結される軸部42が突設されている。本実施例においては、該筒状保持器10の内径(前記収容孔9の径)は36mm、外径は42mmに設定されている。
又本実施例においては図1に示すように、該軸部42に、その外端43で開放された潤滑剤供給路45が前記軸線Lに沿って設けられており、該潤滑剤供給路45は前記円形底部39で円錐状に拡大されて前記収容孔9に連通されている。そして該潤滑剤供給路45の前記外端部は、前記収容孔9内に潤滑剤(例えばトラクションオイル)を充填した後に栓体(図示せず)で閉塞される。
そして前記筒状保持器10の外周壁部12には、図1、図4に示すように、該筒状保持器10の長さ方向の略中央部位において、その周方向で、等角度を置いて8個の係止孔部19が、夫々、前記外周壁部12を半径方向で貫通して設けられている。
該係止孔部19の夫々は、本実施例においては、前記軸線方向L1に稍長い楕円形状を呈しており、各係止孔部19には、前記円周方向で見たその幅寸法に略等しい径を有する球形状の係合子17が嵌め入れられるようになされている。該係合子17は、本実施例においてはセラミックス製であり、直径は12.7mmに設定されている。
本実施例において、該係止孔部19を前記軸線方向L1に稍長い楕円形状に形成しているのは、前記第2の回転可能部材(出力軸3)6が、その軸線方向L1で引張され或いはその軸線方向L1で圧縮されて該出力軸3に軸力が発生された状態において、該係合孔部19の、前記軸線方向L1で見た左右端側部分47,47(図2)が、前記係合子17と接触しないように、例えば0.5mm程度の幅を有する接触防止間隙49(図2)を設けるためである。
前記第2の回転可能部材6が有する前記収容軸部11は図1〜2、図4に示すように、丸軸状に形成されており、断面円形の伝達軸部15の、前記軸線方向L1で見た左右両端50,51に、該伝達軸部15よりも小径の断面円形を呈する左右の挿入軸部16,16が同心に突設され、該両挿入軸部16,16の先端に、前記軸線Lと同心にネジ軸部52,53が突設されている。そして、左側のネジ軸部52は、円板状部材55の中心部に設けられたネジ孔部56に螺合されることによって、左の受部32aが構成される如くなされている。又、右側のネジ軸部53は、円筒状ネジ筒部材57の軸線Lに沿って設けられているネジ孔59の左側部分59aに螺合されることによって、該円筒状ネジ筒部材57の前記右の挿入軸部16bに近い側の部分が、右の受部32bを構成する如くなされている。該左右の受部32,32は、前記軸線Lと直交し且つ該軸線Lの周方向に連続する側面33,33を、前記伝達軸部15を挟んで対向した状態で有する。
前記伝達軸部15の周面60は、その幅方向の中央部が最も深くなる円弧状周面60aとして形成されている。そして図2に示すように、前記係止孔部19に嵌め入れられた状態にある前記係合子17が、付勢手段20(図1)を介して、該円弧状周面60aの底部をなす外周係合部21に点状に弾性圧接される如くなされており、該円弧状周面の該底部(外周係合部21)の両側の部分は、図2に示すように、該係合子17と接触しない状態にある。
該付勢手段20は、本実施例においては図1〜2に示すように、前記係合子17の、前記筒状保持器10の外周面22で突出した外側突出部分23を、前記軸線L方向で見た左右側から弾性的に挾持して前記係合子17を前記外周係合部21に向けて押圧させる左右の外支持リング25,25を具え、該左右の外支持リング25,25は前記リング状部13と一体化されている。該一体化は、本実施例においては、該左右の外支持リング25,25が、該リング状部13の周方向には回り止めされてはいるが前記軸線方向L1には移動可能であることを意味している。
該左右の外支持リング25,25は、より具体的には図4に示すように、前記外周壁部12を若干の間隙を置いて取り囲む円環状を呈し、その中心部には、前記筒状保持器10を挿通させ得る挿通孔28,28を有している。又、該左右の外支持リング25,25の向き合う内周部26,26には、前記外側突出部分23に点状に圧接される点状圧接部27が、周方向に連続して設けられている。又、該左右の外支持リング25,25の両外面部の内周縁部分には周方向に連続して逆向きに突出する皿バネ受部65が設けられている。そして本実施例においては、図2、図4に示すように、該左右の外支持リング25,25の外周面66,66は、向き合う内端67,67から外端69,69に向けて、前記リング状部13の内周面70から離れるように傾斜する傾斜面部71,71を具えている。これによって該外周面66,66は、その内端側の部分72,72でのみ前記リング状部13の内周面70に当接し、それよりも外側の部分75は該内周面70に接触しないようになされており、該内周面70と該外周面66との間に逃がし間隙75が設けられている。
又図2、図4に示すように、該左右の外支持リング25,25の外周部76,76(図4)の一部分には、該外周部76,76をその全幅に亘って欠切することによって、左右対向してキ−溝77,77が設けられている。なお本実施例においては図1に示すように、前記左右の外支持リング25,25間に調整間隙79が設けられている。
そして、前記付勢手段20の付勢作用によって前記点状圧接部27で前記係合子17が受ける外力の作用線F2は、図6(A)に示すように、前記係合子17の略中心80を通るようになされている。本実施例においては、接触角θが35度に設定されている。
又本実施例においては、前記係合子17を前記外周係合部21に向けて弾性的に押圧させる前記付勢手段20の付勢力を付勢力調整手段24によって調整可能となされている。該付勢力調整手段24は、図1〜2、図4に示すように、前記左右の外支持リング25,25を左右両側から挟む左右一対の皿バネ81,81と、前記外周壁部12を取り囲むように装着される前記リング状部13の先側と基部側に設けられている左右のバネ押圧部材82,82とを具えており、該左右のバネ押圧部材82,82の対向する押圧面部83,83が、前記左右の皿バネ受部65,65で内周縁部85,85が受けられてなる前記左右の皿バネ81,81の外周縁部86,86を、その向き合う方向に押圧するようになされている。
そして該バネ押圧部材82,82の少なくとも一方は、前記リング状部13の軸線方向L1に可動であり、且つ所定位置で該バネ押圧部材82,82が固定される如くなされ、これによって、前記左右の皿バネ81,81の付勢作用が発揮されて、前記付勢力を所要に調整可能となされている。本実施例においては、左右の押圧部材82,82の一方のみが、前記リング状部13の軸線方向L1に、螺合方式で可動となされている。
前記リング状部13は、図1〜2、図4に示すように、前記外周壁部12を所要間隔を置いて取り囲む円筒状を呈しており、その基部側の内周面に突条部67が周設されている。そして該リング状部13の先側部分の内周面部は、先側の雌ネジ内周面部89とされると共に、該突条部67の内周面部は、基部側の雌ネジ内周面部90とされている。又、前記リング状部13の内周面70の前記軸線方向L1で見た中央部分には、図2に示すように、前記左右の外支持リング25,25の外周部に設けられているキ−溝77,77に嵌まり合う平行キ−91を嵌め入れるためのキ−溝92が設けられている。本実施例においては、該両キ−溝77,92に嵌着された該キ−91を介して、左右の外支持リング25,25が前記リング状部13と周方向で、回り止めされた一体化状態にある一方、該キ−溝77やキ−溝92におけるスライド作用によって前記軸線方向L1では移動可能となされている。
又、前記左右のバネ押圧部材82,82の内の、前記リング状部13の先側部分に取り付けられる左のバネ押圧部材82aは、図1に示すように、前記外周壁部12の前記円形底部側の部分93を間隙を置いて取り囲む環状部95を具える。該環状部95の内端周側面は左の押圧面部83aとされており、該左の押圧面部83aは、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記左の皿バネ81aの外周縁部86を前記左の外支持リング25aに向けて押圧し得る。
該環状部95の外周面部は、前記先側の雌ネジ内周面部89と螺合し得る雄ネジ外周面部96とされており、又、該環状部95の内周面部には、前記係合子17に近い内方側に、前記外周壁部12の外周面22に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝100が設けられると共に、該内周面部の外方側には、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を嵌め入れる欠切内周溝102が設けられている。
該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記円形底部側の部分93の外周面105に当接状態となされる。又、前記環状部95の外周面部の左端部には、前記リング状部13の先端面106に当接し得る環状鍔部107が突設されている。
又、前記右のバネ押圧部材82bは、図1〜2に示すように、前記外周壁部12の先側部分109と前記円筒状ネジ筒部材57の外周面110の左側部分を取り囲む円筒部111を具え、該円筒部111の内端周側面は右の押圧面部83bとされている。該右の押圧面部83bは、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記右の皿バネ81bの外周縁部86を前記右の外支持リング25bに向けて押圧し得る。又、該円筒部111(図1)の外周面部は、前記基端側の雌ネジ内周面部90と螺合し得る雄ネジ外周面部96とされている。そして、該円筒部111の内周面部には、前記係合子17に近い内方側に、前記外周壁部12の外周面22に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝104が設けられると共に、該内周面部の外方側は、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を支持する支持面113とされている。該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記円筒状ネジ筒部材57の外周面115に当接状態となされる。
然して図1〜2に示すように、前記左のバネ押圧部材82aの雄ネジ内周面部96を前記先側の雌ネジ内周面部89に螺合させて前記鍔部107を前記リング状部13の先端面106に当接状態として該左のバネ押圧部材82aを前記リング状部13と一体化した後、前記右のバネ押圧部材82bを、左方向に前進するように回転させることにより、前記左右の皿バネ81,81を、左の押圧面部83aと左の外支持リング25aとの間で、且つ、右の押圧面部83bと右の外支持リング25bとの間で、同時に同程度の圧縮状態となし得る。このように所要の圧縮状態とした後、前記右のバネ押圧部材82bの螺合状態が止ネジ73でロックされる。
かかる付勢力調整手段24によるときは、左右の皿バネ81,81を所要に弾性変形させて、該左右の外支持リング25,25による前記外側突出部分23の左右側からの弾性的な挾持力を増大させると、前記接触角θが設けられていることにより、前記係合子17を前記伝達軸部15の外周係合部21に所要に弾性的に押圧させることができる。この際、前記左右の外支持リング25,25間に前記調整間隙79が設けられているため、前記左右の皿バネ81,81を所要に弾性変形させる際に、該外支持リング25,25が接近しても、両者が衝突する恐れがない。しかも、前記のように逃がし間隙75が設けられているために、図2に示すように、前記左右の外支持リング25,25の外周面66,66は、その内端側の部分72,72でのみ前記内周面70に当接しており、それよりも外側の部分では該内周面70に接触していない。かかることから、該左右の外支持リング25,25が、前記キ−91に案内されて、前記リング状部13の内周面70に対して前記軸線方向L1で円滑に動くことができる。これによって、前記付勢力の調整を円滑に行うことができる。
又、前記左右の挿入軸部16,16は、図1〜2に示すように、別体の円形リング状を呈する内支持リング29,29の中心部に設けられた挿通孔30,30に遊挿状態とされている。該左右の内支持リング29,29の外周部の前記係合子17との対向側には、該係合子17の球面と点状接触し得る左右の支持部31,31が周方向に連続して設けられている。本実施例においては、該係合子17を支持し得る傾斜支持面としての支持部31が、前記挿入軸部16の先端方向に向けて周方向外側に傾斜するように設けられている。該傾斜支持面は、本実施例においては直線状の傾斜面として形成されており、前記軸線Lに対する傾斜角度は45度に設定されている。
又前記のように、前記左右の内支持リング29,29と対向して左右の受部32,32が設けられており、左の内支持リング29aと前記左の受部32aの、前記側面33,33間に、スラスト軸受(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)35が介在されている。又、右の内支持リング29bと前記右の受部32bの前記側面33,33間に、スラスト軸受(本実施例においてはスラスト王軸受35a)35が介在されている。該対向する側面33,33、33,33には、本実施例においては図2に示すように、該スラスト玉軸受35aのボ−ル117が転動し得る断面円弧状の周溝が設けられている。これによって該左右の受部32,32は、該スラスト軸受35を介して、前記左右の内支持リング29,29に対して周方向での相対回転が可能となされている。
図5は、前記第1の回転可能部材5の前記軸部42に電動機120の駆動軸が連結されると共に、前記第2の回転可能部材6に、例えばボ−ルネジ装置122aを用いてなる直線運動装置(移動部材を回転軸の回転によって、その軸線に沿って往復移動させることのできる装置)122が連結された状態を示している。そして図5においては、前記第2の回転可能部材6の前記右の受部32bを構成する前記円筒状ネジ筒部材57のネジ孔59の右側部分に、ボ−ルネジ装置122aのボ−ルネジ軸123の端部分125が螺合状態に連結されている。このように連結した状態は止ネジ74(図1)でロックされる。然して、第2の回転可能部材6が正逆回転することによって該ボ−ルネジ軸123が正逆回転できる。
図1〜2においては、前記の各係合子17が、前記伝達軸部15の外周係合部21と、前記左右の内支持リング29,29の前記左右の支持部31,31(図2)と、前記左右の外支持リング25,25の点状圧接部27,27(図2)に当接した状態にある。そして各係合子17は、前記付勢手段20を介して前記伝達軸部15の外周係合部21に弾性的に押圧された状態にある。
この状態で前記第1の回転可能部材5を前記軸線L回りに回転させると、前記係合子17の夫々は、前記左右の外支持リング25,25の前記内周部26,26を相対的に公転でき、且つ該公転に伴って自転できる。従って、前記第2の回転可能部材6が無負荷状態にあるときは、該第2の回転可能部材6は、前記係合子17の公転と前記自転に伴って前記軸線L回りに回転できる。
かかる構成を有するトルク伝達装置1によるときは、前記第2の回転可能部材6の軸力が増大するに伴い限界伝達トルクを低減させることができるのであるが、これをケ−スに分けて説明する。
[第1のケ−ス]
第1のケ−スは、図1〜2において、前記第2の回転可能部材6にその軸線方向L1で圧縮の軸力が作用する場合である。この場合において、前記係合子17が受ける外力の状態を、図6(A)(B)(C)に基づいて説明する。ここで、前記係合子17が前記左右の外支持リング25a,25bから受ける外力(係合子17の半径方向で受ける外力)を第1の外力F1、第2の外力F2とし、前記係合子17が前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第3の外力F3とし、前記係合子17が前記支持部31から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第4の外力F4とする。
図6(A)は、前記第2の回転可能部材6が無負荷状態(該第2の回転可能部材6の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図6(B)は、前記第2の回転可能部材6に、その軸線方向L1で圧縮の軸力が作用している状態を示すものであり、前記右の受部32bが前記右のスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)を介して前記右の内支持リング29bを左方向に押圧し、該右の内支持リング29bが前記係合子17を左方向に押圧する。前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25,25から受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける外力F3と、前記右の内支持リング29bの前記支持部31から受ける第4の外力F4である。
かかる軸力の作用によって前記右の内支持リング29bが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第1の外力F1が前記無負荷状態に比して増大し、前記右の外支持リング25bから受ける第2の外力F2が前記無負荷状態に比して減少し、又、前記第3の外力F3(前記係合子17が前記外周係合部21に及ぼす外力に等しい)が前記無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態は、前記第2の回転可能部材6に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そしてこの状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記右の内支持リング29bは前記軸線L回りに回転する。
そして図1〜2に示すように、前記右の挿入軸部16bの先端に一体に設けられた前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間に、前記のようにスラスト軸受35が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bに対して前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記左の挿入軸部16aの先端に一体に設けられた前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該左の受部32aは、該スラスト軸受35を介し、前記左の内支持リング29aの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって前記第2の回転可能部材6は、前記左右の内支持リング29a,29bが回転しても回転しなくても、これに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。そしてこの場合は、前記第1の回転可能部材5が強制回転されるに伴い該第2の回転可能部材6が、トルクを伝達しながら回転できる。かかることから該第2の回転可能部材6は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そのため、前記第2の回転可能部材6に連結された前記ボ−ルネジ装置122aを利用して、そのボ−ルネジナット126に所要の負荷を連結することにより、例えば、プレス装置を構成できる。
図6(C)は、前記第2の回転可能部材6の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して(換言すれば該係合子17が該外周係合部21に及ぼす外力が減少して)、該第2の回転可能部材6が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態である。この状態で、自転し且つ公転する前記係合子17の夫々と前記右の内支持リング29bとが一体化しており、且つ、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第1の回転可能部材5が回転しているが、夫々の係合子17は自転し且つ公転し、前記第2の回転可能部材6はその回転が抑制され、且つ、該第2の回転可能部材6が所望軸力を発生させている。ここに抑制とは、回転状態にある場合と回転が停止状態にある場合の双方を含むものである。「抑制」の意義については、以下において同様である。なお、夫々の係合子17は前記左右の外支持リング25,25の前記内周部26,26に対して公転し、該公転に伴って自転している。
より詳しくは、該第2の回転可能部材6の回転が抑制され、該第2の回転可能部材6の軸力に応じた必要トルクは発生している。該第2の回転可能部材6に、かかる所要軸力を与え続けることができるため、これに連結された前記ボ−ルネジ装置122a(図5)を利用して、前記ボ−ルネジナット126に所要の負荷を連結することによって、例えば、静止状態にある大質量の物体を略一定軸力で押して加速させることができる。一定の速度まで加速された後は、前記第2の回転可能部材6(出力軸3)の軸力が低減することによって、その軸力に応じた必要トルクを発生させつつ、該物体を、一定速度で移動させることができる。
本実施例においては、前記付勢力調整手段24によって、前記係合子17を前記伝達軸部15の前記外周係合部21に弾性的に押圧させるための付勢力を調整できることから、前記第2の回転可能部材6に発生させるべき軸力に応じた必要トルクを該付勢力調整手段24によって容易に調整できる。このことは、次の第2のケ−スにおいても同様である。
[第2のケ−ス]
第2のケ−スは、図1〜2において、前記第2の回転可能部材6(出力軸3)にその軸線方向L1で引張の軸力が作用する場合である。図7(A)は、前記第2の回転可能部材6が無負荷状態(該第2の回転可能部材6の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図7(B)は、前記第2の回転可能部材6に、その軸線方向L1で引張の軸力が作用している状態を示すものであり、前記左の受部32aが、前記左のスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)を介して前記左の内支持リング29aを右方向に押圧し、該左の内支持リング29aが前記係合子17を右方向に押圧している。この場合において前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25a,25bから受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける外力F3と、前記左の内支持リング29aの前記支持部31から受ける第4の外力F4である。該左の内支持リング29aが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第2の外力F2が図7(A)に示す無負荷状態に比して増大し、前記左の外支持リング25aから受ける第1の外力F1が該無負荷状態に比して減少し、又、前記第3の外力F3が該無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態は、前記第2の回転可能部材6に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そして、この状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記左の内支持リング29aは前記軸線L回りに回転する。
そして図1〜2に示すように、前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35が介在されているため、該左の受部32aは、該スラスト軸受35を介し、前記左の内支持リング29aに対して前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記右の挿入軸部16bの先端に一体に設けられた前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって前記第2の回転可能部材6は、前記左右の内支持リング29a,29bに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。この場合は、前記第1の回転可能部材5が強制回転されるに伴い該第2の回転可能部材6が、トルクを伝達しながら回転できる。かかることから該第2の回転可能部材6は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そのため、該第2の回転可能部材6に連結された前記ボ−ルネジ装置122a(図5)を利用して、そのボ−ルネジナット126に所要の負荷を連結することにより、例えばプレス装置を構成できる。
図7(C)は、前記第2の回転可能部材6の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して、該第2の回転可能部材6が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態である。この状態で、自転し且つ公転している前記係合子17の夫々と前記左の内支持リング29aとが一体化しており、且つ、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第1の回転可能部材5が回転しているが、夫々の係合子17は自転し且つ公転しており、前記第2の回転可能部材6はその回転が抑制され、且つ、該第2の回転可能部材6が所望軸力を発生させている。なお、夫々の係合子17は前記左右の外支持リング25,25の前記内周部26,26に対して公転し、該公転に伴って自転している。
より詳しくは、該第2の回転可能部材6の回転が抑制され、該第2の回転可能部材6の軸力に応じた必要トルクは発生している。該第2の回転可能部材6に、かかる所要軸力を与え続けることができるため、これに連結された前記ボールネジ装置122a(図5)を利用して、前記ボールネジナット126に所要の負荷を連結することにより、例えば、大質量の物体を略一定軸力で減速させることができる。一定の速度まで減速された後は、前記第2の回転可能部材6(出力軸3)の軸力が低減することによって、その軸力に応じた必要トルクを発生させつつ、該物体を、一定速度で移動させることができる。
本実施例に係るトルク伝達装置1は、図8〜10に示すように、実施例1に記載の前記基本構成を具えるものであるが、前記第1の回転可能部材5は、本実施例においては出力軸3とされており、前記軸線Lと同心の収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有する。前記第2の回転可能部材6は、本実施例においては入力軸2とされており、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の収容軸部11を有する。又、前記第3の回転可能部材7は、実施例1における場合と同様であり、機台36(図5)に固定状態に拘束されており、前記筒状保持器10の外周壁部12を取り囲むリング状部13を具え、前記軸線L回りの回転も軸線方向L1での移動もできない固定状態にある。このように、該第3の回転可能部材7が機台36に固定状態に拘束されているため、前記第1、第2の回転可能部材5,6が、該拘束状態の該第3の回転可能部材7に対して前記軸線L回りに回転可能である。本実施例に係るトルク伝達装置1が実施例1に係るトルク伝達装置1と相違するのは、前記第1の回転可能部材5を入力軸ではなく出力軸とし、前記第2の回転可能部材6を出力軸ではなく入力軸として用いた点であり、その他の構成は実施例1における場合と共通する点が多い。以下具体的に説明する。
前記第1の回転可能部材5が有する前記筒状保持器10は、本実施例においては図8〜9に示すように、先端37が開放された円形孔からなる前記収容孔9が設けられてなる円筒状を呈しており、該収容孔9内の、該筒状保持器10の先端側(左端側)と基端側(右端側)に夫々、左右の受部32,32が設けられている。
該筒状保持器10の先側部分の内周面部は、先側の雌ネジ内周面部127とされると共に、その基部側の内周面に突条部129が周設されると共に、該突条部129の内周面部は、基部側の雌ネジ内周面部130をされている。
そして、前記左の受部32aは、前記入力軸2を挿通させ得る挿通孔131が設けられてなる環状部132を以て構成されており、該環状部132の外周面部は、前記先側の雌ネジ内周面部127と螺合し得る雄ネジ外周面部133とされている。そして両者が螺合され締め付けられた状態で、該環状部132の外周面の左端部で周設された環状鍔部135が前記筒状保持器10の先端面136に当接するようになされている。
右の受部32bは、実施例1におけると同様構成の円筒状ネジ筒部材137を用いて構成されており、その軸線Lに沿って貫設されているネジ孔139の左側部分には、前記収容孔9内に充填された潤滑材(例えばトラクションオイル)の漏洩を防止するための栓体134が螺合されるものとなされ、該ネジ孔139の右側部分には、前記ボールネジ軸123の端部分125(図5)が螺合状態に連結される。該円筒状ネジ筒部材137の外周面の左端部には環状鍔部140が周設されており、該円筒状ネジ筒部材137の外周面部の、該環状鍔部140の右側部分には、雄ネジ外周面部141が設けられている。然して、該円筒状ネジ筒部材137の該雄ネジ外周面部141と前記基部側の雌ネジ内周面部130とを螺合し締め付けると共に、前記環状鍔部140の右側の周側面142を前記突条部129の左側の周側面143に当接させることにより、前記右の受部32bを構成できる。このようにして構成された左右の受部32,32は、前記軸線Lと直交し且つ該軸線Lの周方向に連続する側面33,33を、前記伝達軸部15を挟んで対向した状態で有する。
そして前記筒状保持器10の外周壁部12には、図8に示し、又図4に示すように、該筒状保持器10の長さ方向の略中央部位において、同一円周上で、等角度を置いて8個の係止孔部19が、夫々、前記外周壁部12を半径方向で貫通して設けられている。
該係止孔部19の夫々は、本実施例においては図8に示すように、前記軸線方向L1に稍長い楕円形状を呈しており、各係止孔部19には、前記円周方向で見たその幅寸法に略等しい径を有する球形状の係合子17が嵌め入れられるようになされている。該係合子17は、本実施例においては、12.7mm径のセラミックス製である。
本実施例において、該係止孔部19を前記軸線方向L1に稍長い楕円形状に形成しているのは、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)が、その軸線方向L1で引張され或いはその軸線方向L1で圧縮されて該出力軸3に軸力が発生された状態において、該係止孔部19の、前記軸線方向L1で見た左右端47,47(図9)が、該係合子17と接触しないように、実施例1におけると同様の接触防止間隙49(図9)を設けるためである。
前記第2の回転可能部材6が有する前記収容軸部11は、図1〜2に示すように、丸軸状に形成されており、断面円形の伝達軸部15の、前記軸線方向L1で見た左右両端に、該伝達軸部15よりも小径の断面円形を呈する左右の挿入軸部16,16が同心に突設されている。該左右の挿入軸部16,16は、前記と同様構成の左右の内支持リング29,29の挿通孔30,30に遊挿され、該右の挿入軸部16bの先端145は、図8に示すように、前記右のスラスト軸受35aの稍左側に位置されている。そして該左の挿入軸部16aには、左方向に延長する軸部146が連設されており、その左端側147が、電動機の駆動軸に連結される。
前記伝達軸部15の周面60は、その幅方向の中央部が最も深くなる円弧状周面60aとして形成されている。そして図8に示すように、前記係止孔部19に嵌め入れられた状態にある前記係合子17が、付勢手段20を介して、該円弧状周面60aの底部をなす外周係合部21に点状に弾性圧接される如くなされており、該円弧状周面60aの該底部(外周係合部21)の両側の部分は該係合子17と接触しない状態にある。
該付勢手段20は、実施例1におけると同様に構成されているため、その具体的な構成の説明は省略し、図8において、実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付している。
前記リング状部13は、図8〜9に示すように、前記外周壁部12を所要間隔を置いて取り囲む円筒状を呈しており、その基部側の内周面に突条部68が周設されている。そして該リング状部13の先側部分の内周面部は、先側の雌ネジ内周面部89とされると共に、該突条部68の内周面部は、基部側の雌ネジ内周面部151とされている。又、前記リング状部13の内周面70の前記軸線方向L1で見た中央部分には、図9に示すように、前記左右の外支持リング25,25の外周部に設けられているキー溝77,77に嵌まり合う平行キー91を嵌め入れるためのキー溝92が設けられている。本実施例においては、該キー溝92,92に嵌着された該キー91を介して、左右の外支持リング25,25が前記リング状部13と周方向で、回り止めされた一体化状態にある一方、該キ−溝77やキ−溝92におけるスライド作用によって前記軸線方向L1では移動可能となされている。
又、左右のバネ押圧部材82,82の内の、前記リング状部13の先側部分に取り付けられる左のバネ押圧部材82aは、前記外周壁部12の先側部分152を間隙を置いて取り囲む環状部95を具える。該環状部95の内端周側面は左の押圧面部83aとされている。該左の押圧面部83aは、図9に示すように、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記左の皿バネ81aの外周縁部86を前記左の外支持リング25aに向けて押圧し得る。該環状部95の外周面部は、前記先側の雌ネジ内周面部89と螺合し得る雄ネジ外周面部96とされており、又、該環状部95の内周面部には、前記係合子17に近い内方側に、図8〜9に示すように、前記外周壁部12の外周面22に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝100が設けられている。
又、前記環状部95の外周面部の左端部には、前記リング状部13の先端面106に当接し得る環状鍔部107が突設されている。そして、該環状鍔部107の内周面部の左端部には、前記入力軸2に向けてその半径方向に突出する内方突条部149が周設されており、該内方突条部149の内周面部には、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を嵌め入れる欠切内周溝152が設けられている。該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記軸部146の外周面153に当接されている。そして、該内方突条部149の外方側の側面(左の側面)には、前記軸部146を支持するラジアル玉軸受155を嵌着保持するための保持筒部156が突設されている。
又、前記右のバネ押圧部材82bは、前記外周壁部12の基部側部分の外周面159を取り囲む環状筒部160を具え、該環状筒部160の内端周側面は押圧面部83bとされている。該押圧面部83bは、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記右の皿バネ81bの外周縁部86を前記右の外支持リング25bに向けて押圧し得る。又、該環状筒部160の外周面部は、前記基端側の雌ネジ内周面部151と螺合し得る雄ネジ外周面部162とされており、該環状筒部160の内周面部には、前記係合子17に近い内方側に、前記外周壁部12の外周面22に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝100が設けられると共に、該内周面部の外方側(右側部分)は、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を支持する支持面163とされている。該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記筒状保持器10の基部側の外周面115に当接されている。
然して、前記左のバネ押圧部材82aの雄ネジ外周面部96を前記先側の雌ネジ内周面部89に螺合させて前記環状鍔部107を前記リング状部13の先端面106に当接状態として該左のバネ押圧部材82aを前記リング状部13と一体化した後、前記右のバネ押圧部材82bを、左方向に前進させるように回転させることにより、前記左右の皿バネ81,81を、左の押圧面部83aと左の外支持リング25aとの間で、且つ、右の押圧面部83bと右の外支持リング25bとの間で、同時に同程度の圧縮状態となし得る。このように所要の圧縮状態とした後、前記右のバネ押圧部材82bの螺合状態が止ネジ73(図8)でロックされる。これによって、実施例1における場合と同様、前記係合子17を前記伝達軸部15の外周係合部21に所要に弾性的に押圧させることができる。
又、前記左右の挿入軸部16,16は、別体の円形リング状を呈する左右の内支持リング29,29の中心部に設けられた挿通孔30,30に遊挿状態とされている。該左右の内支持リング29,29の外周部の前記係合子17との対向側には、該係合子17の球面と点状接触し得る左右の支持部31,31が周方向に連続して設けられている。本実施例においては該係合子17を支持し得る傾斜支持面としての支持部31が、前記挿入軸部16の先端方向に向けて周方向外側に傾斜するように設けられている。該傾斜支持面は、本実施例においては直線状の傾斜面として形成されており、前記軸線Lに対する傾斜角度は40度に設定されている。
又前記のように、前記左右の内支持リング29,29と対向して左右の受部32,32が設けられており、左の内支持リング29aと前記左の受部32aの前記側面33,33間に、スラスト軸受(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)35が介在されている。又、右の内支持リング29aと前記右の受部32bの前記側面33,33間に、スラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されている。該対向する側面33,33、33,33は、本実施例においては図8〜9に示すように、該スラスト玉軸受35aのボール117が転動し得る断面円弧状の周溝が設けられている。これによって該左右の受部32,32は、該スラスト軸受35を介して、前記左右の内支持リング29,29に対して周方向での相対回転が可能となされている。
そして、前記第1の回転可能部材5の前記円筒状ネジ筒部材137のネジ孔139に、例えばボ−ルネジ装置122a(図5)を用いてなる直線運動装置122のボールネジ軸123の端部分125が螺合状態に連結されると共に、前記第2の回転可能部材6の前記軸部146に、電動機の駆動軸が連結される。このように連結した状態は止ネジ74(図8)でロックされる。然して、前記第2の回転可能部材6が電動機によって正逆回転することによって該ボールネジ軸123が正逆回転できる。
図8においては、前記の各係合子17が、前記伝達軸部15の外周係合部21と、前記左右の内支持リング29,29の前記左右の支持部31,31と、前記左右の外支持リング25,25の前記点状圧接部27,27に当接した状態にある。そして各係合子17は、前記付勢手段20を介して前記伝達軸部15の外周係合部21に弾性的に押圧された状態にある。
この状態で前記第2の回転可能部材6(入力軸2)を前記軸線L回りに回転させると、前記第1の回転可能部材5が無負荷状態にあるときは、前記係合子17の夫々は自転でき、該自転によって、該係合子17は前記外周係合部21に対して公転できる。本実施例においては前記のように、前記第3の回転可能部材7が前記機台36に固定状態に拘束されているため、該公転によって前記第1の回転可能部材5(出力軸3)が前記軸線L回りに回転できる。
かかる構成を有するトルク伝達装置1によるときも、前記第1の回転可能部材5の軸力が増大するに伴い限界伝達トルクを低減させることができる。その基本的な考え方は実施例1で説明したところと同様である。
図11〜14において本発明に係るトルク伝達装置1は、同一の軸線L回りに回転可能の第1の回転可能部材5と第2の回転可能部材6と第3の回転可能部材7を具え、該第1の回転可能部材5は、前記収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有し、前記第2の回転可能部材6は、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の前記収容軸部11を有し、前記第3の回転可能部材7は、前記筒状保持器10の外周壁部12を取り囲むリング状部13を具えている。本実施例に係るトルク伝達装置1が実施例1に係るトルク伝達装置1と相違するのは、前記係止孔部19に前記係合子17を密接状態に嵌め入れる構成を採用した点と、それに伴ってアンギュラ玉軸受165を配設した点であり、その他の構成は実施例1におけると共通する点が多い。以下、具体的に説明する。
前記第1の回転可能部材5は入力軸2とされており、前記軸線Lと同心の収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有する。前記第2の回転可能部材6は出力軸3とされており、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の収容軸部11を有する。又、前記第3の回転可能部材7は、本実施例においては機台36(図5)に固定状態に拘束されており、前記筒状保持器10の前記外周壁部12を取り囲むリング状部13を具え、前記軸線L回りの回転も該軸線方向L1での移動もできない固定状態にある。このように、該第3の回転可能部材7が機台36に固定状態に拘束されているため、前記第1、第2の回転可能部材5,6が、該拘束状態の該第3の回転可能部材7に対して前記軸線L回りに回転可能である。
前記第1の回転可能部材5が有する前記筒状保持器10は、本実施例においては図11、図14に示すように、先端37が開放された円形孔からなる前記収容孔9が設けられてなる有底の円筒状を呈しており、その円形底部39の外面40(図11の左の側面)に、該円筒状の筒状保持器10と同心に軸部164が突設されている。該軸部164は、該筒状保持器10の外周面22に固定段差166を介して、円柱状の装着軸部167が連設されてなり、該装着軸部167の外端側の外周面部は雄ネジ外周面部169とされている。又、該装着軸部167に段差170を介して小径軸部171が連設され、該小径軸部171に、電動機に連結される連結軸が連設される。そして前記雄ネジ外周面部169には、固定リング173の雌ネジ内周面部175が螺合され、該固定リング173が止ネジ176で該雄ネジ外周面部169に固定される。このように固定された固定リング173と前記固定段差166との間には、図11に示すように、第1、第2の2個のアンギュラ玉軸受165,165を並べて1組としてなる組合せアンギュラ玉軸受が、左右方向で移動不能の介装状態となされる。そのために図11に示すように、前記装着軸部167が該組合せアンギュラ玉軸受の内輪177,177に挿入状態に装着される。
然して、後述のように前記第2の回転可能部材6にその軸線方向L1で圧縮の軸力又は引張の軸力が作用したときに、図11の右側に位置する前記第1のアンギュラ玉軸受165aは該圧縮の軸力を支持でき、図11の左側に位置する前記第2のアンギュラ玉軸受165bは該引張の軸力を支持できる。
本実施例においては図11に示すように、該軸部164に、その外端179で開放された潤滑剤供給路180が前記軸線Lに沿って設けられており、該潤滑剤供給路180は前記円形底部39で円錐状に拡大されて前記収容孔9に連通されている。そして該潤滑剤供給路180の外端部は、前記収容孔9内に潤滑剤(例えばトラクションオイル)を充填した後に栓体(図示せず)で閉塞される。
そして前記筒状保持器10の外周壁部12には、図11〜12、図14に示すように、該筒状保持器10の長さ方向の略中央部位において、その周方向で、等角度を置いて8個の係止孔部19が、夫々、前記外周壁部12を半径方向で貫通して設けられ、該係止孔部19に球形状の前記係合子17が嵌め入れられるようになされている。該係合子17は、本実施例においては、12.7mm径のセラミックス製である。該係止孔部19の夫々は、本実施例においては、該係合子17の直径に略等しい径を有した円形孔として構成されており、該係止孔部19に該係合子17が密接状態に嵌め入れられる如くなされている。
前記第2の回転可能部材6が有する前記収容軸部11は丸軸状に形成されており、断面円形の伝達軸部15の、前記軸線方向L1で見た左右両端50,51に、該伝達軸部15よりも小径の断面円形を呈する左右の挿入軸部16,16が同心に突設され、該両挿入軸部16,16の先端に、前記軸線Lと同心にネジ軸部182,183が突設されている。そして、左側のネジ軸部182は、円板状部材185の中心部に設けられたネジ孔部186に螺合されることによって、左の受部32aが構成される如くなされている。又、右側のネジ軸部183は、円筒状ネジ筒部材187の軸線Lに沿って設けられているネジ孔189の左側部分に螺合されることによって、該円筒状ネジ筒部材187の前記右の挿入軸部16bに近い側の部分が、右の受部32bを構成する如くなされている。該左右の受部32,32は、前記軸線Lと直交し且つ該軸線Lの周方向に連続する側面33,33を、前記伝達軸部15を挾んで対向した状態で有する。
前記伝達軸部15の周面60は、その幅方向の中央部が最も深くなる円弧状周面60aとして形成されている。そして図12に示すように、前記係止孔部19に密接状態に嵌め入れられた前記係合子17が、付勢手段20を介して、該円弧状周面60aの底部をなす外周係合部21に点状に弾性圧接される如くなされており、該円弧状周面の該底部(外周係合部21)の両側の部分は、図12に示すように、該係合子17と接触しない状態にある。
該付勢手段20は、本実施例においては図11〜12に示すように、実施例1におけると同様に構成されているため、その具体的な構成の説明は省略し、実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付している。
前記リング状部13は、前記外周壁部12を所要間隔を置いて取り囲む円筒状を呈しており、その基部側の内周面に突条部190が周設されている。そして該リング状部13の先側部分の内周面部は、先側の雌ネジ内周面部89とされると共に、該突条部190の内周面部は、基部側の雌ネジ内周面部90とされている。又、前記リング状部13の内周面70の前記軸線方向L1で見た中央部分には、図12に示すように、前記左右の外支持リング25,25の外周部に設けられているキー溝77,77に嵌まり合うキー91を嵌め入れるためのキー溝92が設けられている。本実施例においては、該キー溝92に嵌着された該キ−91を介して、左右の外支持リング25,25が前記リング状部13と周方向で一体化されている。該一体化は、本実施例においては、該左右の外支持リング25,25が、該リング状部13の周方向で回り止めされた一体化状態にある一方、該キ−溝77やキ−溝92におけるスライド作用によって前記軸線方向L1では移動可能となされている。
又図11〜12に示すように、前記左右のバネ押圧部材82,82の内の、前記リング状部13の先側部分に取り付けられる左のバネ押圧部材82aは、前記外周壁部12の前記円形底部側の部分93を間隙を置いて取り囲む環状部95を具える。該環状部95の内端周側面は左の押圧面部83aとされている。該左の押圧面部83aは、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記左の皿バネ81aの外周縁部86を前記左の外支持リング25aに向けて押圧し得る。該環状部95の外周面は、前記先側の雌ネジ内周面部89と螺合し得る雄ネジ外周面部96とされており、又、該環状部95の内周面部には、前記係合子17に近い内方側に、前記外周壁部12の外周面22に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝100が設けられると共に、該環状部95の外周面部の左端部には、前記リング状部13の先端面106に当接し得る環状鍔部107が突設されており、該環状鍔部107の左側面には、左方向に突出する円筒状の軸受保持筒部193が連設されている。該軸受保持筒部193の内周面には、前記装着軸部167に装着された前記組合せアンギュラ玉軸受の外輪の外周縁部195,195を嵌め入れるための嵌入溝196が設けられている。そして、該軸受保持筒部193の先端部分の内周面部は雌ネジ内周面部197とされている。
又、該軸受保持筒部193の先端部には図11に示すように、前記小径軸部171を遊挿させ得る挿通孔199が設けられた端面板200を具えた端面筒部201が連結される。そのために、該端面筒部201の外周面部は雄ネジ外周面部202とされており、該雄ネジ外周面部202が前記雌ネジ内周面部197と螺合状態とされる。そして、前記挿通孔199の内周面部には、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を嵌め入れる欠切内周溝203が設けられ、該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記小径軸部171の外周面205に当接されている。
又、前記右のバネ押圧部材82bは、図11〜12に示すように、前記外周壁部12の先側部分109と前記円筒状ネジ筒部材187の外周面206の左側部分を取り囲む円筒部111を具え、該円筒部111の内端周側面は右の押圧面部83bとされている。該右の押圧面部83bは、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記右の皿バネ81bの外周縁部86を前記右の外支持リング25bに向けて押圧し得る。又、該円筒部111の外周面部は、前記基端側の雌ネジ内周面部90と螺合し得る雄ネジ外周面部96とされている。又、該円筒部111の内周面部には、前記係合子17に近い内方側に、前記外周壁部12の外周面97に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝100が設けられると共に、該内周面部の外方側は、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を支持する支持面113とされている。該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記円筒状ネジ筒部材187の外周面207に当接されている。
然して、前記左のバネ押圧部材82aの前記雄ネジ外周面部96を前記先側の雌ネジ内周面部89に螺合させて前記環状鍔部107を前記リング状部13の先端面106に当接状態として該左のバネ押圧部材82aを前記リング状部13と一体化した後、前記左右の皿バネ81,81を介して前記外側突出部分23を前記軸線方向L1で見た左右側から弾性的に挾持して前記係合子17を前記外周係合部21に向けて弾性的に押圧させる。この際、左の皿バネ81aによる付勢力を所要に設定するために、前記左のバネ押圧部材82aの前記左の押圧面部83aと該左の皿バネ81aの外周縁部86との間に調整片(シム等)を介在させることがある。そして、右の皿バネ81bによる付勢力を所要に設定するために、前記右のバネ押圧部材82bを、図11において左方向に前進させるように回転させることにより、該右の皿バネ81bを、前記係合子17に接した状態にある前記右の外支持リング25bとの間で所要の圧縮状態とする。このようにして左右の皿バネ81,81を所要に弾性変形させると、前記のように接触角θが設けられていることにより、前記係合子17を前記伝達軸部15の外周係合部21に所要に弾性的に押圧させることができる。
又、前記左右の挿入軸部16,16は、別体の円形リング状を呈する内支持リング29,29の中心部に設けられた挿通孔30,30に遊挿状態とされている。該内支持リング29,29の外周部の前記係合子17との対向側には、該係合子17の球面と点状接触し得る左右の支持部31,31が周方向に連続して設けられている。本実施例においては該係合子17を支持し得る傾斜支持面としての支持部31が、前記挿入軸部16の先端方向に向けて周方向外側に傾斜するように設けられている。該傾斜支持面116は、本実施例においては直線状の傾斜面として形成されており、前記軸線Lに対する傾斜角度は45度に設定されている。
又前記のように、前記左右の内支持リング29,29と対向して左右の受部32,32が設けられており、左の内支持リング29aと前記左の受部32aの前記側面33,33間に、スラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されている。又、右の内支持リング29bと前記右の受部32bの前記側面33,33間に、スラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されている。該対向する側面33,33、33,33は、本実施例においては図12に示すように、該スラスト玉軸受35aのボール117が転動し得る断面円弧状の周溝が設けられている。これによって該左右の受部32,32は、該スラスト軸受35を介して、前記左右の内支持リング29,29に対して周方向での相対回転が可能となされている。
そして、前記第1の回転可能部材5の前記軸部164に電動機の駆動軸が連結されると共に、前記第2の回転可能部材6に、例えばボ−ルネジ装置122a(図5)の前記ボ−ルネジ軸123の端部分125が連結される。然して、第2の回転可能部材6が正逆回転することによって該ボ−ルネジ軸123が正逆回転できる。
図11〜12においては、前記の各係合子17が、前記伝達軸部15の外周係合部21と、前記左右の内支持リング29,29の前記左右の支持部31,31と、前記左右の外支持リング25,25の点状圧接部27,27と、前記係止孔部19の係合内周面部209の前記軸線方向で見た左右端210,211に当接した状態にある。そして各係合子17は、前記付勢手段20を介して前記伝達軸部15の外周係合部21に弾性的に押圧された状態にある。
この状態で前記第1の回転可能部材5を前記軸線L回りに回転させると、前記係合子17の夫々は、前記左右の外支持リング25,25の前記内周部26,26を相対的に公転でき、且つ該公転に伴って自転できる。従って、前記第2の回転可能部材6が無負荷状態にあるときは、該第2の回転可能部材6は、前記係合子17の該公転と該自転に伴って前記軸線L回りに回転できる。
かかる構成を有するトルク伝達装置1によるときは、前記第2の回転可能部材6の軸力が増大するに伴い限界伝達トルクを低減させることができるのであるが、これをケースに分けて説明する。
[第1のケース]
第1のケ−スは、図11〜12において、前記第2の回転可能部材6(出力軸3)にその軸線方向L1で圧縮の軸力が作用する場合である。この場合において、前記係合子17が受ける外力の状態を、図15(A)(B)(C)に基づいて説明する。ここで、前記係合子17が前記左右の外支持リング25a,25bから受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第1の外力F1、第2の外力F2とし、前記係合子17が前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第3の外力F3とし、前記係合子17が前記支持部31から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第4の外力F4、前記係合子17が前記係止孔部19の前記係合内周面部209の軸線方向L1で見た左端210から受ける外力を第5の外力F5とする。なお前記支持部31(右の支持リング29bの支持部)から受ける第4の外力F4は、前記第2の回転可能部材6が左方向に押圧されることによって、前記係止孔部19に嵌め入れられている前記係合子17が前記右側の内支持リング29bを右方向に押圧することによって生ずる。又、前記第5の外力F5は、前記のように第1のアンギュラ玉軸受165aが前記圧縮の軸力を支持する結果生ずる。
図15(A)は、前記第2の回転可能部材6が無負荷状態(該第2の回転可能部材6の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図15(B)は、前記第2の回転可能部材6に、その軸線方向で圧縮される軸力が作用している状態(前記係合子17が前記右の内支持リング29bによって右から押されている状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25a,25bから受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける外力F3と、前記右の内支持リング29bの前記支持部31から受ける第4の外力F4と、前記係合内周面部209の左端210から受ける第5の外力F5である。
かかる軸力の作用によって前記右の内支持リング29bが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第3の外力F3(前記係合子17が前記外周係合部21に及ぼす外力に等しい)が前記無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態は、前記第2の回転可能部材6に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そしてこの状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記右の内支持リング29bは前記軸線L回りに回転する。
そして図11〜12に示すように、前記右の挿入軸部16bの先端に一体に設けられた前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間に、前記のようにスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bに対して前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記左の挿入軸部16aの先端に一体に設けられた前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該左の受部32aは、該スラスト軸受35を介し、前記左の内支持リング29aの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって、前記第2の回転可能部材6が前記左右の内支持リング29a,29bが回転しても回転しなくても、これに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。この場合は、前記第1の回転可能部材5が強制回転されるに伴い該第2の回転可能部材6が、トルクを伝達しながら回転できる。かかることから該第2の回転可能部材6は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そしてこの場合は、前記係合子17が軸線方向L1の第5の外力F5を受けるため、前記第2の回転可能部材6(出力軸3)の前記軸線方向L1での動きが阻止される。かかることから、例えばボ−ルネジ装置122a(図5)を用いてなる直線運動装置を利用して負荷の位置決めを行う場合、その位置決め精度を向上させることができる。
図15(C)は、前記第2の回転可能部材6の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して(換言すれば該係合子17が該外周係合部21に及ぼす外力が減少して)、該第2の回転可能部材6が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態である。この状態で、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第1の回転可能部材5が回転しているが、前記第2の回転可能部材6はその回転が抑制され、且つ、該第2の回転可能部材6が所望軸力を発生させている。なお、夫々の係合子17は前記左右の外支持リング25,25の前記内周部26,26に対して公転し、該公転に伴って自転している。
より詳しくは、前記第2の回転可能部材6の回転が抑制され、該第2の回転可能部材6の軸力に応じた必要トルクは発生しているので、該第2の回転可能部材6は、かかる所要軸力を与え続けることができる。
本実施例においては、前記付勢力調整手段24によって、前記係合子17を前記伝達軸部15の前記外周係合部21に弾性的に押圧させるための付勢力を調整できることから、前記第2の回転可能部材6に発生させるべき軸力に応じた必要トルクを該付勢力調整手段24によって容易に調整できる。このことは、次の第2のケ−スにおいても同様である。
[第2のケース]
第2のケースは、図11〜12において、前記第2の回転可能部材6(出力軸3)にその軸線方向L1で引張の軸力が作用する場合である。図16(A)は、前記第2の回転可能部材6が無負荷状態(該第2の回転可能部材6の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図16(B)は、前記第2の回転可能部材6に、その軸線方向で引張の軸力が作用している状態(前記係合子17が前記左の内支持リング29aによって左から押されている状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25a,25bから受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける外力F3と、前記左の内支持リング29aの前記支持部31から受ける第4の外力F4と、前記係合内周面部209の右端211から受ける第5の外力F5である。この第5の外力F5は、前記のように第2のアンギュラ玉軸受165bが前記引張の軸力を支持する結果生ずる。かかる引張の軸力の作用によって前記右の内支持リング29aが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第3の外力F3が前記無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態は、前記第2の回転可能部材6に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そして、この状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記左の内支持リング29aは前記軸線L回りに回転する。
そして図11〜12に示すように、前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該左の受部32aは、該スラスト軸受35を介し、前記左の内支持リング29aに対して前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記右の挿入軸部16bの先端に一体に設けられた前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって、前記第2の回転可能部材6が前記左右の内支持リング29a,29bが回転しても回転しなくても、これに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。この場合は、前記第1の回転可能部材5が強制回転されるに伴い該第2の回転可能部材6が、トルクを伝達しながら回転できる。かかることから該第2の回転可能部材6は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そしてこの場合は、前記係合子17が軸線方向L1の第5の外力F5を受けるため、前記第2の回転可能部材6(出力軸3)の前記軸線方向L1での動きが阻止される。かかることから、例えばボ−ルネジ装置122a(図5)を用いてなる直線運動装置122aを利用して負荷の位置決めを行う場合、その位置決め精度を向上させることができる。
図16(C)は、前記第2の回転可能部材6の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して、該第2の回転可能部材6が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第1の回転可能部材5が回転しているが、前記第2の回転可能部材6はその回転が抑制され、且つ、該第2の回転可能部材6が所望軸力を発生させている状態である。なお、夫々の係合子17は前記左右の外支持リング25,25の前記内周部26,26に対して公転し、該公転に伴って自転している。
より詳しくは、前記第2の回転可能部材6の回転が抑制され、該第2の回転可能部材6の軸力に応じた必要トルクは発生しているので、該第2の回転可能部材6は、かかる所要軸力を与え続けることができる。
図17〜19において本発明に係るトルク伝達装置1は、同一の軸線L回りに回転可能の第1の回転可能部材5と第2の回転可能部材6と第3の回転可能部材7を具え、該第1の回転可能部材5は、前記収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有し、前記第2の回転可能部材6は、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の前記収容軸部11を有し、前記第3の回転可能部材7は、前記筒状保持器10の外周壁部12を取り囲むリング状部13を具えている。本実施例に係るトルク伝達装置1が実施例1に係るトルク伝達装置1と相違するのは、前記係止孔部19に前記係合子17を密接状態に嵌め入れる構成を採用した点と、それに伴ってアンギュラ玉軸受165を配設した点であり、その他の構成は実施例1におけると共通する点が多い。以下、具体的に説明する。
前記第1の回転可能部材5は、本実施例においては出力軸3とされており、前記軸線Lと同心の収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有する。前記第2の回転可能部材6は、本実施例においては入力軸2とされており、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の前記収容軸部11を有する。又、前記第3の回転可能部材7は、実施例3における場合と同様であり、機台36(図5)に固定状態に拘束されており、前記筒状保持器10の前記外周壁部12を取り囲むリング状部13を具え、前記軸線L回りの回転も該軸線方向L1での移動もできない固定状態にある。このように該第3の回転可能部材7が機台36に固定状態に拘束されているため、前記第1、第2の回転可能部材5,6が、該拘束状態の該第3の回転可能部材7に対して前記軸線L回りに回転可能である。
前記第1の回転可能部材5が有する前記筒状保持器10は、本実施例においては図17に示すように、先端37が開放された円形孔からなる前記収容孔9が設けられてなる有底の円筒状を呈しており、その底部は軸線方向L1に稍長く形成されて円柱状軸部212とされている。該円柱状軸部212には、その軸線Lに沿ってネジ孔214が設けられており、該ネジ孔214の左側部分には、前記収容孔9内に充填された潤滑材(例えばトラクションオイル)の漏洩を防止するための栓体218が螺合されるものとなされ、該ネジ孔214の右側部分には、前記ボールネジ装置122a(図5)を構成する前記ボールネジ軸123の端部分125が螺合状態に連結される。
そして該収容孔9に、該筒状保持器10の先端側(左端側)と基端側(右端側)に夫々位置させて、左右の受部32,32が設けられている。
前記筒状保持器10の外周壁部12には、図17に示し、又図4に示す場合と同様にして、該筒状保持器10の長さ方向の略中央部位において、その周方向で、等角度を置いて8個の係止孔部19が、夫々、前記外周壁部12を半径方向で貫通して設けられ、該係止孔部19に球形状の前記係合子17が嵌め入れられるようになされている。該係合子17は、本実施例においては、12.7mm径のセラミックス製である。該係止孔部19の夫々は、本実施例においては、該係合子17の直径に略等しい径を有した円形孔として構成されており、該係止孔部19に該係合子17が密接状態に嵌め入れられる如くなされている。
前記第2の回転可能部材6が有する前記収容軸部11は丸軸状に形成されており、断面円形の伝達軸部15の、前記軸線方向L1で見た左右両端50,51に、該伝達軸部15よりも小径の断面円形を呈する左右の挿入軸部16,16が同心に突設され、該両挿入軸部16,16の先端に、前記軸線Lと同心にネジ軸部182,183が突設されている。そして、右側のネジ軸部183は、円板状部材55の中心部に設けられたネジ孔部56に螺合されることによって、右の受部32bが構成されている。又、左側のネジ軸部182は、円筒状ネジ筒部材213の軸線Lに沿って設けられているネジ孔215の右側部分に螺合されることによって、該円筒状ネジ筒部材213の前記左の挿入軸部16aに近い側の部分が、左の受部32aを構成する如くなされている。そして該円筒状ネジ筒部材213は、前記筒状保持器10の先端37の稍左側に位置させて突条部217が周設されており、該突条部217の左側の部分は、円柱状の装着軸部219とされてなり、該装着軸部219の後側の外周面部は雄ネジ外周面部220とされている。
又、該装着軸部219に段差221を介して小径軸部222が連設され、該円筒状ネジ筒部材213の左側部分が電動機に連結される。そして前記雄ネジ外周面部220には、固定リング223の雌ネジ内周面部225が螺合され、該固定リング223が止ネジ226で該雄ネジ外周面部220に固定される。このように固定された固定リング223と、前記突条部217の左側の側面224との間には、図17に示すように、第1、第2の2個のアンギュラ玉軸受165,165を並べて1組としてなる組合せアンギュラ玉軸受が、左右方向で移動不能の介装状態となされる。そのために図17に示すように、前記装着軸部219が該組合せアンギュラ玉軸受の内輪177,177に挿入状態に装着される。
然して、後述のように前記第1の回転可能部材5にその軸線方向で圧縮の軸力又は引張の軸力が作用したときに、図17の左側に位置する前記第1のアンギュラ玉軸受165bは該圧縮の軸力を支持でき、図17の右側に位置する前記第2のアンギュラ玉軸受165aは該引張の軸力を支持できる。該左右の挿入軸部16,16は、前記と同様構成の左右の内支持リング29,29の挿通孔30,30(図18)に遊挿されている。そして該左右の受部32,32は、前記軸線Lと直交し且つ該軸線Lの周方向に連続する側面33,33を、前記伝達軸部15を挾んで対向した状態で有する。
前記伝達軸部15の周面60は、その幅方向の中央部が最も深くなる円弧状周面60aとして形成されている。そして図17に示すように、前記係止孔部19に密接状態に嵌め入れられた前記係合子17が、付勢手段20を介して、該円弧状周面60aの底部をなす外周係合部21に点状に弾性圧接される如くなされており、該円弧状周面の該底部(外周係合部21)の両側の部分は、図18が示すように、該係合子17と接触しない状態にある。
該付勢手段20は、本実施例においては図17〜18に示すように、実施例1におけると同様に構成されているため、その具体的な構成の説明は省略し、実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付している。又、前記リング状部13は実施例3で説明したと同様の構成を有しているため、その具体的な説明は省略し、同一構成部分には同一の符号を付している。
なお、前記左のバネ押圧部材82aに設けられた環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記小径軸部222の外周面227に当接されている。
然して、前記左のバネ押圧部材82aの雄ネジ外周面部96を前記先側の雌ネジ内周面部191に螺合させて前記環状鍔部107を前記リング状部13の先端面106に当接状態として該左のバネ押圧部材82aを前記リング状部13と一体化した後、前記左右の皿バネ81,81を介して前記外側突出部分23を前記軸線方向L1で見た左右側から弾性的に挾持して前記係合子17を前記外周係合部21に向けて弾性的に押圧させる。この際、左の皿バネ81aによる付勢力を所要に設定するために、前記左のバネ押圧部材82aの前記左の押圧面部83aと該左の皿バネ81aの外周縁部86との間に調整片(シム等)を介在させることがある。
そして、右の皿バネ81bによる付勢力を所要に設定するために、前記右のバネ押圧部材82bを、図17において左方向に前進させるように回転させることにより、該右の皿バネ81bを前記右の外支持リング25bとの間で、所要の圧縮状態とする。このようにして左右の皿バネ81,81を所要に弾性変形させると、前記のように接触角θが設けられていることにより、前記係合子17を前記伝達軸部15の外周係合部21に所要に弾性的に押圧させることができる。
又、前記左右の挿入軸部16,16は、別体の円形リング状を呈する左右の内支持リング29,29の中心部に設けられた挿通孔30,30に遊挿状態とされている。該左右の内支持リング29,29の外周部の前記係合子17との対向側には、該係合子17の球面と点状接触し得る左右の支持部31,31が周方向に連続して設けられている。本実施例においては該係合子17を支持し得る傾斜支持面としての支持部31が、前記挿入軸部16の先端方向に向けて周方向外側に傾斜するように設けられている。該傾斜支持面は、本実施例においては直線状の傾斜面として形成されており、前記軸線Lに対する傾斜角度θ1は40度に設定されている。
又前記のように、前記左右の内支持リング29,29と対向して左右の受部32,32が設けられており、左の内支持リング29aと前記左の受部32aの、前記側面33,33間に、スラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されている。又、右の内支持リング29bと前記右の受部32bの前記側面33,33間に、スラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されている。該対向する側面33,33、33,33は、本実施例においては図17〜18に示すように、該スラスト玉軸受35aのボール117が転動し得る断面円弧状の周溝が設けられている。これによって該左右の受部32,32は、該スラスト軸受35を介して、前記左右の内支持リング29,29に対して周方向での相対回転が可能となされている。
そして実施例1におけると同様にして、前記第2の回転可能部材6に、電動機の駆動軸が連結されると共に、前記第1の回転可能部材5の前記円柱状軸部212のネジ孔214に、ボ−ルネジ装置122a(図5)のボールネジ軸123の端部分が螺合状態に連結される。然して、前記第2の回転可能部材6が電動機により正逆回転することによって該ボ−ルネジ軸123が正逆回転できる。
図17〜18においては、前記の各係合子17が、前記伝達軸部15の外周係合部21と、前記左右の内支持リング29,29の前記左右の支持部31,31と、前記左右の外支持リング25,25の前記点状圧接部27,27と、前記係止孔部19の係合内周面部209の前記軸線方向L1で見た左端210と右端211に当接した状態にある。そして各係合子17は、前記付勢手段20を介して前記伝達軸部15の外周係合部21に弾性的に押圧された状態にある。
この状態で前記第2の回転可能部材6(入力軸2)を前記軸線L回りに回転させると、前記第1の回転可能部材5が無負荷状態にあるときは、前記係合子17の夫々は自転でき、該自転によって、該係合子17は前記外周係合部21を相対的に公転できる。本実施例においては前記のように、前記第3の回転可能部材7が機台36に固定状態に拘束されているため、該自転と該公転によって前記第1の回転可能部材5(出力軸3)が前記軸線L回りに回転できる。
かかる構成を有するトルク伝達装置1によるときは、前記第1の回転可能部材5の軸力が増大するに伴い限界伝達トルクを低減させることができるのであるが、これをケースに分けて説明する。
[第1のケース]
第1のケ−スは、図17〜18において、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)にその軸線方向L1で圧縮の軸力が作用する場合である。この場合において、前記係合子17が受ける外力の状態を、図20(A)(B)(C)に基づいて説明する。ここで、前記係合子17が前記左右の外支持リング25a,25bから受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第1の外力F1、第2の外力F2とし、前記係合子17が前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第3の外力F3とし、前記係合子17が前記支持部31から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第4の外力F4、前記係合子17が前記係止孔部19の前記係合内周面部209の軸線方向L1で見た右端211から受ける外力を第5の外力F5とする。なお前記支持部31(左の内支持リング29aの支持部)から受ける第4の外力F4は、前記第1の回転可能部材5が左方向に押圧されることによって、前記係止孔部19に嵌め入れられている前記係合子17が前記左側の内支持リング29aを左方向に押圧することによって生ずる。又、前記第5の外力F5は、前記のように、第1のアンギュラ玉軸受165aが前記圧縮の軸力を支持する結果生ずる。
図20(A)は、前記第1の回転可能部材5が無負荷状態(該第1の回転可能部材の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図20(B)は、前記第1の回転可能部材5に、その軸線方向L1で圧縮される軸力が作用している状態(前記係合子が前記左の内支持リング29aによって左から押されている状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25a,25bから受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける第3の外力F3と、前記左の内支持リング29aの前記支持部31aから受ける第4の外力F4と、前記係合内周面部209の右端211から受ける第5の外力F5である。
かかる軸力の作用によって前記左の内支持リング29aが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第3の外力F3(前記係合子17が前記外周係合部21に及ぼす外力に等しい)が前記無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態で、前記第1の回転可能部材5に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そしてこの状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記左の内支持リング29aは前記軸線L回りに回転する。
そして図17〜18に示すように、前記左の挿入軸部16aの先端に一体に設けられた前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間に、前記のようにスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該左の受部32aは、該スラスト軸受35を介し、前記左の内支持リング29aに対して前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記右の挿入軸部16bの先端に一体に設けられた前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって、前記第2の回転可能部材6が前記左右の内支持リング29a,29bが回転しても回転しなくても、これに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。この場合は、前記第2の回転可能部材6が強制回転されるに伴い該第1の回転可能部材5が、トルクを伝達しながら回転できる。かかることから該第1の回転可能部材5は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そしてこの場合は、前記係合子17が軸線方向L1の第5の外力F5を受けるため、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)の前記軸線方向L1での動きが阻止される。かかることから、例えばボ−ルネジ装置を用いてなる直線運動装置122aを利用して負荷の位置決めを行う場合、その位置決め精度を向上させることができる。
図20(C)は、前記第1の回転可能部材5の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して(換言すれば該係合子17が該外周係合部21に及ぼす外力が減少して)、該第1の回転可能部材5が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第2の回転可能部材6が回転しているが、夫々の係合子17と前記第1の回転可能部材5はその回転が抑制され、且つ、該第1の回転可能部材5が所望軸力を発生させている状態である。
より詳しくは、前記第1の回転可能部材5の回転が抑制され、該第1の回転可能部材5の軸力に応じた必要トルクは発生しているので、該第1の回転可能部材5は、かかる所要軸力を与え続けることができる。
本実施例においては、前記付勢力調整手段24によって、前記係合子17を前記伝達軸部15の前記外周係合部21に弾性的に押圧させるための付勢力を調整できることから、前記第2の回転可能部材6に発生させるべき軸力に応じた必要トルクを該付勢力調整手段24によって容易に調整できる。このことは、次の第2のケースにおいても同様である。
[第2のケース]
第2のケースは、図17〜18において、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)にその軸線方向L1で引張の軸力が作用する場合である。図21(A)は、前記第2の回転可能部材6が無負荷状態(該第2の回転可能部材6の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図21(B)は、前記第1の回転可能部材5に、その軸線方向L1で引張される軸力が作用している状態(前記係合子17が前記右の内支持リング29bによって右から押されている状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25a,25bから受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける外力F3と、前記右の内支持リング29bの前記支持部21から受ける第4の外力F4と、前記係合内周面部209の左端210から受ける第5の外力F5である。この外力F5は、前記のように第2のアンギュラ玉軸受165bが前記引張の軸力を支持する結果生ずる。かかる引張の軸力の作用によって前記右の内支持リング29bが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第3の外力F3が前記無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態は、前記第1の回転可能部材5に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そして、この状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記右の内支持リング29bは前記軸線L回りに回転する。
そして図17〜18に示すように、前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bに対して前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記左の挿入軸部16aの先端に一体に設けられた前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該左の受部32aは、該スラスト軸受35を介し、前記左の内支持リング29aの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって、前記第1の回転可能部材5が前記左右の内支持リング29a,29bが回転しても回転しなくても、これに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。この場合は、前記第2の回転可能部材6が強制回転されるに伴い該第1の回転可能部材5が、トルクを伝達しながら回転できる。かかることから該第1の回転可能部材5は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そしてこの場合は、前記係合子17が軸線方向L1の第5の外力F5を受けるため、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)の前記軸線方向L1での動きが阻止される。かかることから、例えばボ−ルネジ装置122a(図5)を用いてなる直線運動装置を利用して負荷の位置決めを行う場合、その位置決め精度を向上させることができる。
図21(C)は、前記第1の回転可能部材5の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して、該第1の回転可能部材5が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第2の回転可能部材6は回転しているが、夫々の係合子17と前記第1の回転可能部材5はその回転が抑制され、且つ、該第1の回転可能部材5が所望軸力を発生させている状態である。
より詳しくは、前記第1の回転可能部材5の回転が抑制され、該第1の回転可能部材5の軸力に応じた必要トルクは発生しているので、該第1の回転可能部材5は、かかる所要軸力を与え続けることができる。
図22〜24において本発明に係るトルク伝達装置1は、同一の軸線L回りに回転可能の第1の回転可能部材5と第2の回転可能部材6と第3の回転可能部材7を具え、該第1の回転可能部材5は、収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有し、前記第2の回転可能部材6は、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の収容軸部11を有し、前記第3の回転可能部材7は、前記筒状保持器10の外周壁部12を取り囲むリング状部13を具えている。本実施例に係るトルク伝達装置1が実施例1に係るトルク伝達装置1と相違するのは、前記第1の回転可能部材5を出力軸3とすると共に前記第2の回転可能部材6を入力軸2とした点と、前記係止孔部19に前記係合子17を密接状態に嵌め入れる構成を採用した点と、それに伴ってアンギュラ玉軸受165を配設した点であり、その他の構成は実施例1におけると共通する点が多い。以下、具体的に説明する。
前記第1の回転可能部材5は、本実施例においては出力軸3とされており、前記軸線Lと同心の収容孔9が設けられてなる筒状保持器10を有し、前記第2の回転可能部材6は、本実施例においては入力軸2とされており、該収容孔9に収容され且つ前記軸線Lと同心の収容軸部11を有する。又、前記第3の回転可能部材7は、機台36(図5)に固定状態に拘束されており、前記筒状保持器10の前記外周壁部12を取り囲むリング状部13を具え、前記軸線L回りの回転も該軸線方向L1での移動もできない固定状態にある。このように該第3の回転可能部材7が機台36に固定状態に拘束されているため、前記第1、第2の回転可能部材5,6が、該拘束状態の該第3の回転可能部材7に対して前記軸線L回りに回転可能である。
前記第1の回転可能部材5が有する前記筒状保持器10は、本実施例においては図22に示すように、先端37が開放された円形孔からなる前記収容孔9が設けられてなる有底の円筒状を呈しており、その底部側は、軸線方向L1に稍長く形成されて円柱状軸部212とされている。該円柱状軸部212には、その軸線Lに沿ってネジ孔214が設けられており、該ネジ孔214の左側部分には、前記収容孔9内に充填された潤滑材(例えばトラクションオイル)の漏洩を防止するための栓体218が螺合されるものとなされ、該ネジ孔214の右側部分には、前記ボールネジ装置122a(図5)を構成する前記ボールネジ軸123の端部分125が螺合状態に連結される。
そして該収容孔9に、該筒状保持器10の先端側(左端側)と基端側(右端側)に夫々位置させて、左右の受部32,32が設けられている。
前記筒状保持器10の外周壁部12には、図22に示すように、該筒状保持器10の長さ方向の略中央部位において、その周方向で、等角度を置いて8個の係止孔部19が、夫々、前記外周壁部12を半径方向で貫通して設けられており、該係止孔部19に球形状の前記係合子17が嵌め入れられるようになされている。該係合子17は、本実施例においては、12.7mm径のセラミックス製である。該係止孔部19の夫々は、本実施例においては、該係合子17の直径に略等しい径を有した円形孔として構成されており、該係止孔部19に該係合子17が密接状態に嵌め入れられる如くなされている。
前記第2の回転可能部材6が有する前記収容軸部11は丸軸状に形成されており、断面円形の伝達軸部15の、前記軸線方向L1で見た左右両端50,51に、該伝達軸部15よりも小径の断面円形を呈する左右の挿入軸部16,16が同心に突設され、該右の挿入軸部16bの先端に、前記軸線Lと同心にネジ軸部229が突設されている。そして、該ネジ軸部229が、円板状部材55の中心部に設けられたネジ孔部56に螺合されることによって、右の受部32bが構成されている。又、左の挿入軸部16aには、左方向に延長する軸部230が前記軸線Lと同心に連設されており、その左端寄り部位はネジ軸部231とされ、その左側の部分は、電動機の駆動軸に連結される連結軸232とされている。
前記伝達軸部15の周面60は、その幅方向の中央部が最も深くなる円弧状周面60aとして形成されている。そして図22に示すように、前記係止孔部19に密接状態に嵌め入れられた前記係合子17が、付勢手段20を介して、該円弧状周面60aの底部をなす外周係合部21に点状に弾性圧接される如くなされており、該円弧状周面の該底部(外周係合部21)の両側の部分は、図23に示すように、該係合子17と接触しない状態にある。
該付勢手段20は、本実施例においては図22に示すように、実施例1におけると同様に構成されているため、その具体的な構成の説明は省略し、実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付している。
前記リング状部13は、図22に示すように、前記外周壁部12を所要間隔を置いて取り囲む円筒状を呈しており、その基部側の内周面に突条部67が周設されている。そして該リング状部13の先側部分の内周面部は、先側の雌ネジ内周面部89とされると共に、該突条部67の内周面部は、基部側の雌ネジ内周面部90とされている。又、前記リング状部13の内周面70の前記軸線方向L1で見た中央部分には、前記左右の外支持リング25,25の外周部に設けられているキ−溝77,77に嵌まり合う平行キ−91を嵌め入れるためのキ−溝92が設けられている。本実施例においては、該両キ−溝77,92に嵌着された該キ−91を介して、左右の外支持リング25,25が前記リング状部13と周方向で、回り止めされた一体化状態にある一方、該キ−溝77やキ−溝92におけるスライド作用によって前記軸線方向L1では移動可能となされている。
又、前記左右のバネ押圧部材82,82の内の、前記リング状部13の先側部分に取り付けられる左のバネ押圧部材82aは、図22〜23に示すように、前記外周壁部12の先側部分を間隙を置いて取り囲む環状部95を具える。該環状部95の内端周側面は左の押圧面部83aとされており、該左の押圧面部83aは、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記左の皿バネ81aの外周縁部86を前記左の外支持リング25aに向けて押圧し得る。該環状部95の外周面部は、前記先側の雌ネジ内周面部89と螺合し得る雄ネジ外周面部96とされており、又、該環状部95の内周面部には、前記係合子17に近い内方側に、前記外周壁部12の外周面22に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝100が設けられると共に、該環状部95の外周面部の左端部には、前記リング状部13の先端面106に当接し得る環状鍔部107が突設されている。
そして、該環状部95の内周面部の左端部には、図22に示すように、前記入力軸2に向けてその半径方向に突出する内方突条部235が周設されており、該内方突条部235の内周面部234には、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を嵌め入れる欠切内周溝236が設けられている。該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記軸部230の外周面237に当接されている。
又、該内方突条部235の内方側の側面(右の側面)239には、図22〜23に示すように、前記収容孔9内に突出する状態で、前記左の受部32aを構成する受部形成リング部240が、前記軸線Lと同心に設けられている。該左の受部32aと前記右の受部32bは、前記軸線Lと直交し且つ該軸線Lの周方向に連続する側面33,33を、前記伝達軸部15を挾んで対向した状態で有する。
そして、該内方突条部235の外方側の側面(左の側面)には、前記内周面部234から外周側に稍離れた部位で、前記軸部230を支持するアンギュラ玉軸受165を嵌着保持するための保持筒部241が突設されている。該アンギュラ玉軸受165は、前記内方突条部235の左側面242に当接させて配置されており、前記ネジ軸部231に螺合する保持リング243によって、定位置に保持されている。
又、前記右のバネ押圧部材82bは、前記外周壁部12の底部側の部分と前記円柱状軸部212の左側部分の外周面を取り囲む円筒部246を具え、該円筒部246の内端周側面は右の押圧面部83bとされている。該右の押圧面部83bは、前記皿バネ受部65で内周縁部85が受けられた前記右の皿バネ81bの外周縁部86を前記右の外支持リング25bに向けて押圧し得る。又、該円筒部246の外周面部は、前記基端側の雌ネジ内周面部90と螺合し得る雄ネジ外周面部247とされている。又、該円筒部246の内周面部には、前記係合子に近い内方側に、前記外周壁部12の外周面97に当接状態となされる滑り軸受99を嵌め入れるための欠切内周溝249が設けられると共に、該内周面部の外方側は、前記潤滑剤の漏洩を防止するための環状ゴムパッキン101を支持する支持面250とされている。該環状ゴムパッキン101の内周縁部103は、前記円柱状軸部212の外周面251に当接されている。
然して、前記左のバネ押圧部材82aの雄ネジ内周面部96を前記先側の雌ネジ内周面部89に螺合させて前記環状鍔部107を前記リング状部13の先端面106に当接状態として該左のバネ押圧部材82aを前記リング状部13と一体化した後、前記左右の皿バネ81,81を介して前記外側突出部分23を前記軸線方向L1で見た左右側から弾性的に挾持して前記係合子17を前記外周係合部21に向けて弾性的に押圧させる。この際、左の皿バネ81aによる付勢力を所要に設定するために、前記左のバネ押圧部材82aの前記左の押圧面部83aと該左の皿バネ81aの外周縁部86との間に調整片(シム等)を介在させることがある。そして、右の皿バネ81bによる付勢力を所要に設定するために、前記右のバネ押圧部材82bを、図22において左方向に前進させるように回転させることにより、該右の皿バネ81bを、前記右の外支持リング25aとの間で所要の圧縮状態とする。このようにして左右の皿バネ81,81を所要に弾性変形させると、前記のように接触角θが設けられていることにより、前記係合子17を前記伝達軸部15の外周係合部21に所要に弾性的に押圧させることができる。
又、前記左右の挿入軸部16,16は、別体の円形リング状を呈する左右の内支持リング29,29の中心部に設けられた挿通孔30,30に遊挿状態とされている。該左右の内支持リング29,29の外周部の前記係合子17との対向側には、該係合子17の球面と点状接触し得る左右の支持部31,31が周方向に連続して設けられている。本実施例においては該係合子17を支持し得る傾斜支持面としての支持部31が、前記挿入軸部16の先端方向に向けて周方向外側に傾斜するように設けられている。該傾斜支持面は、本実施例においては直線状の傾斜面として形成されており、前記軸線Lに対する傾斜角度θ1は40度に設定されている。
又前記のように、前記左右の内支持リング29,29と対向して左右の受部32,32が設けられており、左の内支持リング29aと前記左の受部32aの前記側面33,33間に、スラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されている。又、右の内支持リング29bと前記右の受部32bの前記側面33,33間に、スラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されている。該対向する側面33,33、33,33は、本実施例においては図22〜23に示すように、前記スラスト玉軸受35aのボール117が転動し得る断面円弧状の周溝を有する。
そして、前記第2の回転可能部材6の前記連結部232に、電動機の駆動軸が連結されると共に、前記第1の回転可能部材5の前記円柱状軸部212のネジ孔214に、実施例1におけると同様にして、直線運動装置122としてのボ−ルネジ装置122a(図5)のボールネジ軸123の端部分が螺合状態に連結される。然して、前記第2の回転可能部材6が電動機によって正逆回転することにより該ボ−ルネジ軸123が正逆回転できる。
図22においては、前記の各係合子17が、前記伝達軸部15の外周係合部21と、前記左右の内支持リング29,29の前記左右の支持部31,31と、前記左右の外支持リング25,25の前記点状圧接部27,27と、前記係止孔部19の係合内周面部209の前記軸線方向L1で見た左端210と右端211に当接した状態にある。そして各係合子17は、前記付勢手段20を介して前記伝達軸部15の外周係合部21に弾性的に押圧された状態にある。
この状態で前記第2の回転可能部材6(入力軸2)を前記軸線L回りに回転させると、前記第1の回転可能部材5が無負荷状態にあるときは、前記係合子17の夫々は自転でき、該自転によって、該係合子17は前記外周係合部21を相対的に公転できる。本実施例においては前記のように、前記第3の回転可能部材7が機台36に固定状態に拘束されているため、該公転によって前記第1の回転可能部材5(出力軸3)が前記軸線L回りに回転できる。
かかる構成を有するトルク伝達装置1によるときは、前記第1の回転可能部材5の軸力が増大するに伴い限界伝達トルクを低減させることができるのであるが、これをケースに分けて説明する。
[第1のケース]
第1のケ−スは、図22〜23において、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)にその軸線方向L1で圧縮の軸力が作用する場合である。この場合において、前記係合子17が受ける外力の状態を、図25(A)(B)(C)に基づいて説明する。ここで、前記係合子17が前記左右の外支持リング25a,25bから受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第1の外力F1、第2の外力F2とし、前記係合子17が前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第3の外力F3とし、前記係合子17が前記支持部31から受ける外力(係合子の半径方向で受ける外力)を第4の外力F4、前記係合子17が前記係止孔部19の前記係合内周面部209の軸線方向L1で見た右端211から受ける外力を第5の外力F5とする。なお前記支持部31(左の内支持リング29aの支持部)から受ける第4の外力F4は、前記第1の回転可能部材5が左方向に押圧されることによって、前記係止孔部19に嵌め入れられている前記係合子17が前記左側の内支持リング29aを左方向に押圧することによって生ずる。又、前記第5の外力F5は、固定状態に拘束されている前記第3の回転可能部材7と結果的に一体である前記左の受部32aが前記圧縮の軸力を支持する結果生ずる。
図25(A)は、前記第1の回転可能部材5が無負荷状態(該第1の回転可能部材の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図25(B)は、前記第1の回転可能部材5に、その軸線方向L1で圧縮される軸力が作用されている状態(前記係合子17が前記左の内支持リング29aによって左から押されている状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25a,25bから受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける第3の外力F3と、前記左の内支持リング29aの前記支持部31から受ける第4の外力F4と、前記係合内周面部209の右端211から受ける第5の外力F5である。
かかる軸力の作用によって前記左の内支持リング29aが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第3の外力F3(前記係合子17が前記外周係合部21に及ぼす外力に等しい)が前記無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態で、前記第1の回転可能部材5に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そして、この状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記左の内支持リング29aは前記軸線L回りに回転する。
そして図22〜23に示すように、前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間に、前記のようにスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該左の内支持リング29aは、該スラスト軸受35を介し、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記右の挿入軸部16bの先端に一体に設けられた前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって、前記第2の回転可能部材6が前記左右の内支持リング29a,29bが回転しても回転しなくても、これに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。この場合は、前記第2の回転可能部材6が強制回転されるに伴い、該第1の回転可能部材5が、トルクを伝達しながら回転できる。かかることから該第1の回転可能部材5は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そしてこの場合は、前記係合子17が軸線方向L1の第5の外力F5を受けるため、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)の前記軸線方向L1での動きが阻止される。かかることから、例えばボ−ルネジ装置122a(図5)を用いてなる直線運動装置122を利用して負荷の位置決めを行う場合、その位置決め精度を向上させることができる。
図25(C)は、前記第1の回転可能部材5の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して(換言すれば該係合子17が該外周係合部21に及ぼす外力が減少して)、該第1の回転可能部材5が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第2の回転可能部材6が回転しているが、夫々の係合子17と前記第1の回転可能部材5はその回転が抑制され、且つ、該第1の回転可能部材5が所望軸力を発生させている状態である。
より詳しくは、前記第1の回転可能部材5の回転が抑制されているが、該第1の回転可能部材5の軸力に応じた必要トルクは発生しているので、該第1の回転可能部材5は、かかる所要軸力を与え続けることができる。
本実施例においては、前記付勢力調整手段24によって、前記係合子17を前記伝達軸部15の前記外周係合部21に弾性的に押圧させるための付勢力を調整できることから、前記第2の回転可能部材6に発生させるべき軸力に応じた必要トルクを該付勢力調整手段24によって容易に調整できる。このことは、次の第2のケースにおいても同様である。
[第2のケース]
第2のケ−スは、図22〜23において、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)にその軸線方向L1で引張の軸力が作用する場合である。図26(A)は、前記第1の回転可能部材5が無負荷状態(該第1の回転可能部材5の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図26(A)は、前記第1の回転可能部材5が無負荷状態(該第1の回転可能部材の軸力がゼロの状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、左右等しい第1、第2の外力F1,F2と、前記伝達軸部15の前記外周係合部21から受ける第3の外力F3のみであり、この時における限界伝達トルク(伝達可能な最大トルク)は最大である。
図26(B)は、前記第1の回転可能部材5に、その軸線方向L1で引張の軸力が作用している状態(前記係合子17が前記右の内支持リング29bによって右から押されている状態)を示すものであり、前記係合子17が受ける外力は、前記左右の外支持リング25a,25bから受ける第1、第2の外力F1,F2と、前記外周係合部21から受ける外力F3と、前記右の内支持リング29bの前記支持部21から受ける第4の外力F4と、前記係合内周面部209の左端210から受ける第5の外力F5である。この外力F5は、アンギュラ玉軸受165(図22)が前記引張の軸力を支持する結果生ずる。かかる引張の軸力の作用によって前記右の内支持リング29bが前記係合子17を押圧状態にあることから、前記第3の外力F3が前記無負荷状態に比して減少した状態にある。この状態は、前記第1の回転可能部材5に所要の軸力を発生させるに必要なトルクよりも限界伝達トルクが大きい状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でトルクが伝達されている。そして、この状態にあっては、前記係合子17の夫々が自転し且つ公転するに伴い、前記右の内支持リング29bは前記軸線L回りに回転する。
そして図22〜23に示すように、前記右の受部32bと前記右の内支持リング29bの、前記対向する側面33,33間に、前記のようにスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該右の受部32bは、該スラスト軸受35を介し、前記右の内支持リング29bに対して前記軸線L回りに相対回転できることとなる。又、前記左の挿入軸部16aの先端に一体に設けられた前記左の受部32aと前記左の内支持リング29aの、前記対向する側面33,33間にスラスト軸受35(本実施例においてはスラスト玉軸受35a)が介在されているため、該左の受部32aは、該スラスト軸受35を介し、前記左の内支持リング29aの回転の有無に関係なく、前記軸線L回りに相対回転できることとなる。
これによって、前記第1の回転可能部材5が前記左右の内支持リング29a,29bが回転しても回転しなくても、これに何ら影響されることなく前記軸線L回りに回転できるのである。この場合は、前記第2の回転可能部材6が強制回転されるに伴い該第1の回転可能部材5が、トルクが伝達されながら回転できる。かかることから該第1の回転可能部材5は、回転しながら所要軸力を与え続けることができる。そしてこの場合は、前記係合子17が軸線方向L1の第5の外力F5を受けるため、前記第1の回転可能部材5(出力軸3)の前記軸線方向L1での動きが阻止される。かかることから、例えばボ−ルネジ装置122a(図5)を用いてなる直線運動装置を利用して負荷の位置決めを行う場合、その位置決め精度を向上させることができる。
図26(C)は、前記第1の回転可能部材5の軸力の増大に伴い、前記係合子17が前記伝達軸部15の外周係合部21から受ける外力が減少して、該第1の回転可能部材5が必要とするトルクと限界伝達トルクが等しくなった状態であり、前記係合子17と前記外周係合部21との間でスリップが生じている。このスリップが生じている状態においては、前記第2の回転可能部材6は回転しているが、夫々の係合子17と前記第1の回転可能部材5はその回転が抑制された状態にあり且つ、該第2の回転可能部材6が所望軸力を発生させている状態である。
より詳しくは、前記第1の回転可能部材5の回転が抑制されているが、該第1の回転可能部材5の軸力に応じた必要トルクは発生している。これによって、該第1の回転可能部材5に、かかる所要軸力を与え続けることができる。
前記第1〜第5の各実施例においては、前記第3の回転可能部材7を、軸線L回りの回転も軸線方向L1での移動もできない固定状態に拘束されているが、該第3の回転可能部材7は、必要があれば、前記軸線L回りの回転が可能に構成してもよい。このように構成する場合は、実施例1、実施例3にあっては、入力軸2(前記第1の回転可能部材5)を電動機で回転させることにより出力軸3(第2の回転可能部材5)の増速比を変えることができる。一方実施例2、実施例4、実施例5にあっては、入力軸2(前記第2の回転可能部材6)を電動機で回転させることにより出力軸3(第1の回転可能部材5)の減速比を変えることができる。
実施例1〜5にあっては前記第3の回転可能部材7を拘束状態としているが、前記第1の回転可能部材5を拘束状態とし、第2、第3の回転可能部材6,7の何れか一方を入力軸2とし、その他方を出力軸3とすることもできる。或いは、第2の回転可能部材6を拘束状態とし、第1、第3の回転可能部材5,7の何れか一方を入力軸2とし、その他方を出力軸3とすることもできる。かかる構成を採用するトルク伝達装置1によるときも、各実施例において第1のケース、第2のケースで説明したところと同様に、出力軸3に所望軸力を発生させるに必要なトルクを伝達させることができる。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1) 前記収容軸部11は、前記伝達軸部15の、軸線方向L1で見た片端にのみ挿入軸部16を同心に突設することによって構成することもできる。例えば図1〜2において左側の挿入軸部16aが省略されて右側の挿入軸部16bのみが設けられるときは、本発明に係るトルク伝達装置1は、前記出力軸3にその軸線方向L1で圧縮の軸力が作用する場合にのみ機能する。又、例えば図1〜2において、右側の挿入軸部16bが省略されて左側の挿入軸部16aのみが設けられるときは、本発明に係るトルク伝達装置1は、前記出力軸3にその軸線方向L1で引張の軸力が作用する場合にのみ機能する。これらのことは、前記の実施例2〜6においても同様である。
(2) 前記左右の外支持リング25,25の内周部に設けられる前記点状圧接部27は、前記の他、直線状傾斜面の一部として構成されることもある。又、前記左右の内支持リング29,29の外周部に設けられる前記支持部31は、前記係合子17の球面と点状接触し得るものであれば、前記したものの他、湾曲面の一部として構成されることもある。又前記伝達軸部15の外周係合部21は、前記したものの他、平坦面の一部として構成されることもある。又該外周係合部21は、V字状面の左右の傾斜面の夫々の一部として構成されることもある。又、前記受部32,32の対向する側面33,33は、前記したものの他、平坦面として構成されることもある。
(3) 前記左右の外支持リング25,25の内の何れか一方は前記リング状部13と一体に構成されてもよい。この場合は、他方の外支持リングを前記軸線方向L1で移動可能に構成するのがよい。
(4) 前記左右の外支持リング25,25間に形成されている前記調整間隙79は、一旦設定した後における前記付勢力の調整を行う予定が無い場合は設ける必要がない。
(5) 前記外支持リング25,25は、前記係合子を前記外周係合部21に向けて弾性的に押圧し得る、一体の弾性体を以て構成することもできる。この場合、該一体の弾性体を、前記第1の回転可能部材5に固定状態とすることがある。或いは、前記係合子17を自転しないように保持することもある。
(6) 前記左右の外支持リング25,25の有する前記接触角θの大きさを異ならせることにより、前記出力軸の軸線方向L1で作用する圧縮の軸力の大きさと引張の軸力の大きさを異ならせることができる。
或いは、該左右の外支持リング25,25の有する接触角θが同一の場合は、前記出力軸に、予め圧縮方向の軸力や引張方向の軸力を軸力調整手段によって付与しておくことにより、圧縮の軸力と引張の軸力を異ならせることができる。
(7) 前記付勢手段20は、前記係合子17の前記外側突出部分23を左右側から弾性的に挾持して該係合子17を前記外周係合部21に向けて弾性的に押圧させ得る左右の外支持リング25,25を具えるものであるが、この付勢手段は、何らかの手段で該左右の外支持リング25,25を該外周係合部21に対して弾性的に押圧させ得るものであればよい。
例えば、該外支持リング25,25に対して、周方向に所要間隔で配設された複数個(例えば10個)のコイルバネやゴム等の弾性素材からなる圧縮バネを所要に圧縮させることによって構成することもできる。この場合、該圧縮バネの圧縮量を複数本の(例えば3本)のネジ軸によって所要に調整する手段の他、調整ネジのねじ込み量の調整によって全ての圧縮バネの圧縮量を同時に所要に調整可能に構成することもできる。
(8) 前記付勢手段20は、前記皿バネ81に代えて円環状バネ板を用いて構成することもできる。
(9) 前記第1の回転可能部材5を構成する前記筒状保持器10は、必ずしも円筒状を呈するものには特定されず、又その収容孔9も、円形孔には特定されない。
(10)前記筒状保持器10に設けられる係合子17の個数は複数個であり、前記外周壁部12の同一円周上での配置状態は、該係合子に作用する外力が釣り合う配置状態であれば必ずしも等間隔には特定されない。又係合子の径は、トルク伝達装置1の大きさに合わせて所要に設定されるものである。
(11)前記第3実施例、第4実施例、第5実施例における前記スラスト軸受35は、スラスト玉軸受35aの他、ニードルベアリングやアンギュラ玉軸受、円錐コロ軸受等のスラスト荷重を支持する軸受を以て構成できる。
(12)前記収容孔9内に充填される潤滑材としては、前記トラクションオイルの他、グリースや一般の潤滑油を用いることができ、又、オイル以外の液状潤滑材、テフロン(登録商標)の粉末等の固体潤滑材を用いることもできる。
(13)前記左右の受部32,32は、前記した入力軸2でも出力軸3でもない部材に所要に設けられることがある。例えば実施例5に係るトルク伝達装置1にあっては、拘束状態にある第3の回転可能部材7に設けられている。
(14)前記入力軸2と前記出力軸3は前記の各実施例で示したように左右側に逆向きに突出する如く設けることの他、該入力軸2と該出力軸3を、左側又は右側の何れか一方側に集約して設けることもできる。
1 トルク伝達装置
2 入力軸
3 出力軸
5 第1の回転可能部材
6 第2の回転可能部材
7 第3の回転可能部材
9 収容孔
10 筒状保持器
11 収容軸部
12 外周壁部
13 リング状部
15 伝達軸部
16 挿入軸部
17 係合子
19 係止孔部
20 付勢手段
21 外周係合部
22 外周面
23 外側突出部分
25 外支持リング
26 内周部
27 点状圧接部
29 内支持リング
30 挿通孔
31 支持部
32 受部
33 側面
35 スラスト軸受
65 皿バネ受部
75 逃がし間隙
79 調整間隙
81 皿バネ
82 バネ押圧部材
83 押圧面部
L 軸線
L1 軸線方向

Claims (2)

  1. 同一の軸線回りに回転可能の第1の回転可能部材と第2の回転可能部材と第3の回転可能部材を具え、該第1の回転可能部材は、収容孔が設けられてなる筒状保持器を有し、前記第2の回転可能部材は、該収容孔に収容され且つ前記軸線と同心の収容軸部を有し、前記第3の回転可能部材は、前記筒状保持器の外周壁部を取り囲むリング状部を具えており、
    該第1、第2、第3の回転可能部材から選択された一つが入力軸とされる一方、残余の一つが出力軸とされ、且つ残りの一つは、必要であれば前記軸線回りの回転のみが可能である拘束状態に置かれるものであり、
    前記収容軸部は、断面円形の伝達軸部の、軸線方向で見た両端又は片端に挿入軸部が同心に突設され、該伝達軸部とは別体の球形状の係合子が、前記筒状保持器の前記外周壁部にその周方向で複数個設けられた係止孔部の夫々に嵌め入れられ、該係合子が、付勢手段を介して該伝達軸部の外周係合部に弾性的に押圧される如くなされており、
    前記付勢手段は、前記係合子の、前記筒状保持器の外周面で突出した外側突出部分を、前記軸線方向で見た左右側から弾性的に挟持して前記係合子を前記外周係合部に向けて弾性的に押圧させる左右の外支持リングを具え、該左右の外支持リングが前記リング状部と、少なくとも該リング状部の周方向で見て一体化されており、該左右の外支持リングの向き合う内周部には、前記外側突出部分に点状に圧接される点状圧接部が、周方向に連続して設けられており、
    又前記係合子は、前記入力軸が回転したときに、前記左右の外支持リングの前記内周部に対して公転でき、且つ自転できるようになされており、
    又、前記挿入軸部が、別体の円形リング状を呈する内支持リングの中心部に設けられた挿通孔に遊挿されており、該内支持リングの外周部には、前記係合子の球面と点状接触し得る支持部が周方向に連続して設けられてなり、
    又、前記内支持リングと対向して受部が設けられており、該内支持リングと該受部との間の距離は不変とされ、該内支持リングと該受部の、前記軸線と直交し且つ該軸線の周方向に連続する対向した側面間にスラスト軸受が介在されており、
    前記出力軸がその軸線方向で圧縮され或いはその軸線方向で引張されて該出力軸の軸力が増大することにより、前記係合子が前記内支持リングで支持されるようになされており、
    該軸力が増大するに伴い、前記係合子が前記内支持リングから受ける外力が増大していき、該係合子が前記伝達軸部の外周係合部から受ける外力が減少するようになされており、
    該係合子が前記外周係合部から受ける外力が所望外力値にまで減少して前記軸力が所望軸力値に達した状態で、前記係合子と前記外周係合部との間でスリップが生じ得ることを特徴とする軸力起因型トルク伝達装置。
  2. 前記係合子を前記外周係合部に向けて弾性的に押圧させる前記付勢手段の付勢力は、付勢力調整手段によって調整可能となされており、該付勢力調整手段は、前記左右の外支持リングをその向き合う方向に弾性的に押圧するように構成されることを特徴とする請求項1記載の軸力起因型トルク伝達装置。
JP2014118970A 2014-06-09 2014-06-09 軸力起因型トルク伝達装置 Active JP6182709B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014118970A JP6182709B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 軸力起因型トルク伝達装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014118970A JP6182709B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 軸力起因型トルク伝達装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015232357A true JP2015232357A (ja) 2015-12-24
JP6182709B2 JP6182709B2 (ja) 2017-08-23

Family

ID=54933923

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014118970A Active JP6182709B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 軸力起因型トルク伝達装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6182709B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5715127A (en) * 1980-06-24 1982-01-26 Uni Cardan Ag Over load coupling
JP2011127691A (ja) * 2009-12-17 2011-06-30 Matsumoto Engineering:Kk 軸力起因型トルクリミッタ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5715127A (en) * 1980-06-24 1982-01-26 Uni Cardan Ag Over load coupling
JP2011127691A (ja) * 2009-12-17 2011-06-30 Matsumoto Engineering:Kk 軸力起因型トルクリミッタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6182709B2 (ja) 2017-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102052897B1 (ko) 동력 공구
EP2615323A1 (en) Electric direct-acting actuator and electric disc brake device
JP6117991B2 (ja) トロイダル無段変速機
JP2013167549A (ja) 回転慣性質量ダンパのスリップ荷重試験方法および回転慣性質量ダンパ
JP6556505B2 (ja) 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置
US11067154B2 (en) Toroidal continuously variable transmission
JP6182709B2 (ja) 軸力起因型トルク伝達装置
JP2014122648A (ja) ボールランプ機構及び直動アクチュエータ並びに電動式ディスクブレーキ装置
JP2006112524A (ja) 逆入力遮断クラッチ
JP2016217420A (ja) 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置
JP6576767B2 (ja) 逆入力遮断装置
WO2017150404A1 (ja) 逆入力遮断装置
JP4993521B2 (ja) 軸力起因型トルクリミッタ
JP2018179048A (ja) クラッチ装置
JP6374186B2 (ja) 回転伝達装置
JP2006057688A (ja) 逆入力遮断装置
JP2006057804A (ja) 逆入力遮断装置
WO2018061943A1 (ja) 逆入力遮断装置
JP2006349066A (ja) 直動装置
JP2006057802A (ja) 逆入力遮断装置
JP2017122469A (ja) ボールクラッチ及びこれを具えた減速機
JP6501224B2 (ja) プーリ装置
JP2015209883A (ja) 摩擦ローラ式変速機
WO2013058278A1 (ja) ローラクラッチ装置
WO2018216185A1 (ja) 動力伝達装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161028

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6182709

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250