(実施形態1)
以下では、本実施形態の電源装置10について、図1ないし図6を参照しながら説明する。図中において、同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、本実施形態を構成する各要素は、複数の要素を一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現してもよい。
本実施形態の電源装置10は、図1ないし図3に示すように、実装基板2と、実装基板2を収容する金属製のケース3と、実装基板2とケース3との間に配置される透光性のシート材4と、実装基板2とシート材4との間に充填される充填樹脂5とを備えている。実装基板2は、入力電力を所定の出力電力に変換する電力変換回路を構成している。シート材4は、電気絶縁性を有している。充填樹脂5は、上記電力変換回路からの熱をケース3に熱伝導させることができるように構成されている。上記電力変換回路は、充填樹脂5で覆われる第1電子部品1aと、充填樹脂5で覆われない第2電子部品1bとを備えている。実装基板2は、ケース3と対向する表面2aaにおいて、第1電子部品1aが実装される第1領域2a1と、第2電子部品1bが実装される第2領域2a2とを有している。以下では、ケース3と対向する実装基板2の表面2aaを、第1表面2aaともいう。ケース3は、シート材4を介して、第1領域2a1と対向する第1貫通孔3baと、第2領域2a2と対向する第2貫通孔3bbとを有している。
電源装置10は、第1領域2a1の充填樹脂5の充填状態を確認可能な第1貫通孔3baと、第2領域2a2に充填樹脂5が達していないことを確認可能な第2貫通孔3bbとをケース3に備えた比較的簡単な構成で、より信頼性を高くすることが可能となる。
以下では、本実施形態の電源装置10の具体的構成について、より詳細に説明する。
電源装置10は、たとえば、外部の商用交流電源からの交流の入力電流を所定の直流の出力電流に変換する電力変換回路を備えた構成とすることができる。上記電力変換回路は、図示していないが、整流平滑部と、定電流電源部とを有するスイッチング電源で構成することができる。整流平滑部は、端子台から供給される交流の入力電流を整流した後に、平滑化した直流電流を出力する。定電流電源部は、整流平滑部から出力された直流電流を所定の定電流値に保って出力する。電力変換回路では、フィードバック回路を利用して、所定の定電流値の直流電流を出力できるように構成されている。整流平滑部は、たとえば、ダイオードやコンデンサを用いて構成することができる。定電流電源部は、たとえば、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子、トランス、チョークコイル、コンデンサやマイクロコンピュータなどの制御素子を利用して構成することができる。フィードバック回路では、たとえば、制御素子からの指令によって、スイッチング素子のデューティー比を制御することにより、所定の定電流値に保つことができるように構成されている。電源装置10は、複数個の電子部品1を用いて、上記電力変換回路を構成している。本実施形態の電源装置10では、複数個の電子部品1のうち、充填樹脂5で覆われる電子部品1を第1電子部品1aと称し、充填樹脂5で覆われない電子部品1を第2電子部品1bとも称している。本実施形態の電源装置10では、電子部品1は、広義に解釈し、上記電力変換回路の構成に電気的に使用可能な部品をいう。電子部品1は、たとえば、コンデンサ、ダイオード、抵抗、トランジスタ、スイッチング素子や制御素子などが挙げられる。また、電子部品1としては、たとえば、電流ヒューズ、トランス、チョークコイルや端子台なども挙げられる。
電子部品1は、電子部品1の図示していないリードを実装基板2に設けた貫通孔に挿通して、実装基板2の導体と半田付けにより固定させるスルーホール実装により、実装基板2に実装させることができる。電子部品1は、半田を溶融した半田漕に実装基板2を浸すことにより半田付けを行うフロー方式で、実装基板2にスルーホール実装させることができる。また、電子部品1は、実装基板2における電子部品1の搭載面に半田ペーストを印刷した後、電子部品1を半田ペーストに載せてから熱を加えて半田付けを行うリフロー方式で実装基板2に表面実装させることができる。
電子部品1は、図1および図3に示すように、その機能に伴って、複数の電子部品1のうち、実装基板2とケース3との間に配置可能な比較的小型の電子部品1と、比較的小型の電子部品1と比較して比較的大型の電子部品1とを備えている。以下では、比較的小型の電子部品1を小型電子部品1cと称し、比較的大型の電子部品1を大型電子部品1dとも称す。小型電子部品1cとしては、たとえば、ダイオード、抵抗、スイッチング素子や制御素子などが挙げられる。大型電子部品1dとしては、たとえば、コンデンサ、トランス、チョークコイルや端子台などが挙げられる。大型電子部品1dは、実装基板2の第1表面2aaと反対の第2表面2abに実装している。小型電子部品1cは、実装基板2の第1表面2aaだけでなく、第2表面2abにも実装できる。電子部品1は、実装基板2の第1表面2aaに実装された複数の小型電子部品1cのうち、比較的発熱量が大きい電子部品1と、比較的発熱量が大きい電子部品1と比較して発熱量の小さい電子部品1とを備えている。以下では、比較的発熱量の大きい電子部品1を高発熱電子部品1eと称し、比較的低発熱の電子部品1を低発熱電子部品1fとも称す。高発熱電子部品1eとしては、たとえば、スイッチング素子が挙げられ、低発熱電子部品1fとしては、たとえば、抵抗や制御素子などが挙げられる。
実装基板2は、上記電力変換回路を構成する複数個の電子部品1を実装可能とされている。実装基板2は、たとえば、長尺状の矩形平板の外形形状とすることができる。実装基板2は、図示していないが、絶縁性基体と、絶縁性基体上に形成された所定形状の導体とを備えている。実装基板2は、第1表面2aaおよび第2表面2abのそれぞれに複数個の電子部品1が実装されている。実装基板2は、第1表面2aaに所定形状の導体を備えている。また、実装基板2は、第2表面2abに所定形状の導体を備えている。実装基板2は、絶縁性基体の厚み方向に貫通する図示していない貫通配線を備えている。貫通配線は、第1表面2aaに設けた所定形状の導体と、第2表面2abに設けた所定形状の導体とを電気的に接続している。実装基板2の第1表面2aaや第2表面2abには、導体を電気的や機械的に保護するため、合成樹脂などからなる保護膜が適宜に形成されていることが好ましい。実装基板2は、第1表面2aaや第2表面2ab上に設けられた導体と、電子部品1とを、半田、AuSnや銀ペーストなどの接合材料を用いて接合することができる。実装基板2は、所定形状の導体や貫通配線を介して、複数個の電子部品1を電気的に接続させて上記電力変換回路を構成している。絶縁性基体の材料としては、たとえば、ガラスエポキシ樹脂を用いることができる。導体の材料としては、CuとAgとの積層膜などの金属材料を用いることができる。実装基板2は、絶縁性基体にガラスエポキシ樹脂を用いたガラスエポキシ樹脂基板だけに限られず、紙フェノール基板、金属ベース基板やセラミック基板などを用いてもよい。セラミック基板としては、アルミナセラミック基板や窒化アルミニウム基板などを用いることができる。
実装基板2は、スルーホール実装により、大型電子部品1dが第2表面2abに実装されている。実装基板2は、表面実装により、小型電子部品1cが第1表面2aaに実装されていることが好ましい。実装基板2は、第1表面2aaにおいて、比較的発熱量の大きいスイッチング素子などの高発熱電子部品1eと、高発熱電子部品1eと比較して発熱量の比較的小さい制御素子などの低発熱電子部品1fとが離間して配置されている。
実装基板2は、充填樹脂5を介して、上記電力変換回路からの熱をケース3の外部に効率よく放熱できるように、第1表面2aaにおいて、第1電子部品1aを実装する第1領域2a1が規定されている。電源装置10では、充填樹脂5で覆われる第1電子部品1aに高発熱電子部品1eを選択している。実装基板2は、第1表面2aaにおいて、第2電子部品1bを実装する第2領域2a2が規定されている。電源装置10では、充填樹脂5で覆わない第2電子部品1bに低発熱電子部品1fを選択している。実装基板2は、第1表面2aaにおいて、予め第1領域2a1と第2領域2a2とを適宜に設定すればよい。実装基板2は、第1表面2aaにおいて、複数の第1領域2a1を設定することができる。実装基板2は、第1表面2aaにおいて、複数の第2領域2a2を設定してもよい。電源装置10では、第1電子部品1aを覆った充填樹脂5でシート材4との接着を行う構成とすることもできる。実装基板2は、充填樹脂5によるシート材4との接着性を安定化させるため、第1表面2aaにおいて、長手方向の両端それぞれに第1領域2a1が設けられていることが好ましい。実装基板2は、第1表面2aaにおいて、一対の第1領域2a1の間に第2領域2a2が設けられていることが好ましい。第1領域2a1は、たとえば、矩形状に設定することができるが、矩形状だけに限られず、充填樹脂5の樹脂材料の粘性や電子部品1の配置などに応じて、楕円形など適宜の形状とすることができる。同様に、第2領域2a2は、たとえば、矩形状に設定することができるが、矩形状だけに限られず、実装基板2の形状や電子部品1の配置に応じて楕円形など適宜の形状とすることができる。
ケース3は、上記電力変換回路が形成される実装基板2を収納可能としている。ケース3は、たとえば、有底角筒状の外形形状に形成することができる。ケース3は、長尺状の実装基板2が収納可能なように長尺状に形成されている。ケース3は、実装基板2の第1表面2aaと対向する底部3cを有している。ケース3は、底部3cの周囲を囲むように、第1側壁部3eと、第2側壁部3dとを有している。第1側壁部3eは、実装基板2の長手方向に沿って設けられている。第2側壁部3dは、実装基板2の短手方向に沿って設けられている。ケース3は、底部3cと、一対の対向する第1側壁部3eと、一対の対向する第2側壁部3dとで、凹部3aを構成している。ケース3は、底部3cと第1側壁部3eと第2側壁部3dとを、一体的に形成されている。ケース3は、一対の第2側壁部3dの一方に、電子部品1である端子台が外部に露出できるように、切り欠き部3daを備えている。ケース3は、図示していないが、凹部3a内に突出する突起と、爪とを第1側壁部3eに備えた構成とすることができる。ケース3は、突起と爪とを適宜に備えることで、シート材4、充填樹脂5を介して、実装基板2を凹部3aの所定の位置に固定させることができる。ケース3は、実装基板2の上記電力変換回路で生じた熱を外部に効率よく放熱できるように、樹脂材料と比較して、熱伝導性に優れた金属材料により構成されていることが好ましい。
電源装置10は、一般に、スイッチング電源におけるスイッチング素子のような高発熱電子部品1eからの熱がそのままコンデンサなどの他の電子部品1に熱伝導されると、他の電子部品1の寿命が短くなる場合がある。また、電源装置10は、高発熱電子部品1eからの熱によって、他の電子部品1の動作が不安定になる虞がある。そのため、電源装置10では、上記電力変換回路を構成する高発熱電子部品1eからの熱を、充填樹脂5によりシート材4を介してケース3に熱伝導させて放熱性の向上を図っている。ケース3の材料としては、たとえば、ステンレス、鉄合金や銅合金などの金属材料を用いることができる。ケース3は、平板状の金属板を打ち抜き加工や折り曲げ加工を施すことにより形成することができる。
ケース3は、第1領域2a1の充填樹脂5の充填状態を確認可能な第1貫通孔3baが底部3cに設けられている。第1貫通孔3baは、底部3cの厚み方向に貫通している。ケース3は、第2領域2a2に充填樹脂5が達していないことを確認可能な第2貫通孔3bbが底部3cに設けられている。第2貫通孔3bbは、底部3cの厚み方向に貫通している。第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、それぞれ1ないし複数個設けることができる。第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、平面視において、円形状に形成することができる。第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、円形状に形成されるだけでなく、図4に示すように長方形状に形成してもよい。
また、第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、図5に示すような、細長いスリット状に形成してもよい。スリット形状の第1貫通孔3baは、予め矩形状に設定した第1領域2a1の一端縁に沿って設けられることで、円形形状の第1貫通孔3baと比較して、充填樹脂5の充填状態の確認を比較的容易に行うことができる。スリット形状の第2貫通孔3bbは、円形形状の第2貫通孔3bbと比較して、充填樹脂5の充填状況を比較的広範囲に渡って確認することができる。第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、平面視において、楕円形状、正方形状、ひし形状や多角形状など種々の形状に形成することもできる。第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、ケース3の形成時における金属板の打ち抜き加工により、適宜に形成することができる。
また、電源装置10では、第1貫通孔3baと第2貫通孔3bbとは、形状又は大きさの少なくとも何れか一方が互いに異なることが好ましい。図6に示す電源装置10では、予め矩形状に設定した第1領域2a1の一端縁に沿って細長く設けたスリット形状の第1貫通孔3baと、第2電子部品1b全体を確認可能な円形状の第2貫通孔3bbを備えている。電源装置10は、第1貫通孔3baと第2貫通孔3bbとの形状又は大きさの少なくとも何れか一方が互いに異なることで、第1貫通孔3baか第2貫通孔3bbかの違いの判別を比較的簡単に行うことができる。第1貫通孔3baの開口面積は、第2貫通孔3bbの開口面積より大きくてもよいし、小さくてもよい。第1貫通孔3baの開口面積は、第2貫通孔3bbの開口面積よりも小さくすることで、シート材4を介した充填樹脂5とケース3との接触面積の低減を抑制し、ケース3における放熱性の低下を抑制することができる。第2貫通孔3bbの開口面積は、第1貫通孔3baの開口面積よりも大きくすることで、第2電子部品1bが充填樹脂5で覆われているか否かの判別を容易にすることができる。
電源装置10では、第1貫通孔3baと第2貫通孔3bbとは、試験指の挿入を禁止する大きさに形成されていることが好ましい。ここでは、試験指は、日本の電気用品安全法の別表第四1(2)ハに規定された擬似指としている。第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、孔の形状や大きさを適宜に設定することで、試験指が入らない大きさにすることができる。電源装置10は、第1貫通孔3baと第2貫通孔3bbとを試験指の挿通を禁止する大きさとすることで、電源装置10のケース3が外部に露出する場合でも、人が誤って上記電力変換回路に触れることがないような構成とすることができる。試験指は、図示していないが、円筒形の本体の先端が球形をした人の指を模した形状をしている。試験指の本体は、直径がφ12mmで、長さが80mmの円柱形の外形形状をしている。試験指は、先端から10mmまでを、先端を頂点とする約37°の角度で形成されており、先端から20mmまでを、先端を頂点とする14°の角度で形成されている。電源装置10は、通常の使用状態において、試験指に加える力を30Nとしても、試験指が第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbを介して、上記電力変換回路と触れないように構成している。第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbは、試験指が入らない大きさであれば、図2に示す円形形状、図4に示す長方形状、図5に示すスリット形状や図6に示すように異なる大きさや形状など適宜に形成されていればよい。
シート材4は、実装基板2と金属ケース3との間に配置され、実装基板2と金属ケース3との電気的な絶縁性を高めることが可能に構成されている。シート材4は、透光性と電気絶縁性を備えている。シート材4は、実装基板2の大きさに合わせて、実装基板2の長手方向より若干長く形成されていることが好ましい。シート材4は、一対の側面部4eと、底面部4cとで、断面視がC字形状の外形形状とされている。シート材4は、底面部4cと金属製のケース3の底部3cとを密着させ、側面部4eと金属製のケース3の第1側壁部3eとを密着させることができるように構成することができる。シート材4は、樹脂材料を用いてシート状に形成することで、透光性と絶縁性とを確保することができる。シート材4は、樹脂シートを折り曲げ加工により、C字形状に形成させてもよいし、一体成形によりC字形状に形成させてもよい。シート材4は、実装基板2がケース3の突起と爪との間で保持されるように配置されると、実装基板2により充填樹脂5を介してケース3側に押圧されて固定される。
シート材4は、第1貫通孔3baを介して、ケース3の外部から第1領域2a1の充填樹脂5の充填状態を確認できる限り、可視光に対して透明な構成だけに限られない。シート材4は、第1貫通孔3baを介して、ケース3の外部から第1領域2a1の充填樹脂5の充填状態を確認できる限り、乳白色などに着色していてもよい。同様に、シート材4は、第2貫通孔3bbを介して、ケース3の外部から第2領域2a2に充填樹脂5が達していないことを確認できる限り、可視光に対して透明な構成だけに限られない。シート材4は、第2貫通孔3bbを介して、ケース3の外部から第2領域2a2に充填樹脂5が達していないことを確認できる限り、着色していてもよい。シート材4は、第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbを介して、ケース3の外部から充填樹脂5の有無の確認を行いやすいように、凹凸を有していてもよい。凹凸は、シート材4にエンボス加工を施して形成することができる。凹凸は、底面部4cにおける実装基板2と対向する第3表面4aaに設けることができる。シート材4の第3表面4aaに設ける凹凸は、充填樹脂5の塗布時において、充填樹脂5が不要に拡がることを抑制することもできる。凹凸は、シート材4の底面部4cにおける第3表面4aaと反対の第4表面4abに設けることもできる。シート材4の材料としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
充填樹脂5は、ケース3側のシート材4と実装基板2の第1表面2aaとの間に充填することで、実装基板2からの熱がシート材4を介してケース3に熱伝導することが可能なように構成されている。充填樹脂5の材料としては、たとえば、ウレタン樹脂やシリコーン樹脂を用いることができる。充填樹脂5は、熱伝導性を高めるため、放熱性フィラーを含有させてもよい。放熱性フィラーの材料は、たとえば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムや酸化珪素などを用いることができる。充填樹脂5は、放熱フィラーの含有量を適宜に調整することで、所定の粘性に調整することもできる。充填樹脂5は、所定の粘性に調整することで、電源装置10の組立工程において、実装基板2とシート材4との間で第1領域2a1を超えて第2領域2a2にまで充填樹脂5が不要に拡がることを抑制することができる。充填樹脂5は、シート材4を介して、第1貫通孔3baや第2貫通孔3bbからの存在の有無を判別しやすいように、シート材4とは異なる色の着色材や蛍光物質を含有させてもよい。
以下では、比較例の電源装置と比較して、本実施形態の電源装置10について説明する。
比較例の電源装置では、第2貫通孔3bbを備えていないこと以外は、本実施形態の電源装置10と同様に、スイッチング電源を構成している。比較例の電源装置では、実装基板2のケース3と対向する第1表面2aaに、電子部品1として、スイッチング素子と、制御素子とが実装されている。
ところで、電源装置では、充填樹脂5が制御素子たるマイクロコンピュータの複数の端子間を覆うと、端子間の寄生容量に起因して、外来のノイズに対する耐性が低下して誤動作する虞がある。特に、電源装置は、フィードバック回路によって、スイッチング素子のデューティー比を制御して所定の電力を安定的に出力させるスイッチング電源を構成する場合、スイッチング素子のオンオフ駆動に伴ってノイズが発生する虞もある。そのため、電源装置は、充填樹脂5で覆われる第1領域2a1と、充填樹脂5で覆われない第2領域2a2とを区別できるように、実装基板2をケース3に組み付けることで、放熱性能と耐ノイズ性能とを確保することができる。
しかしながら、比較例の電源装置は、充填樹脂5が覆われた第1領域2a1を確認する第1貫通孔3baを設けただけの場合、実装基板2とケース3とを組み付ける前に第2領域2a2に充填樹脂5が達していないか否かを確認することが難しい。電源装置では、ケース3に充填樹脂5が覆われた第1領域2a1を確認する第1貫通孔3baを設けた構成だけの場合、第2領域2a2に充填樹脂5が達していないことを確認するため、実装基板2とケース3とを組み付けた後に解体して確認する必要がある。電源装置では、ケース3に充填樹脂5が覆われた第1領域2a1を確認する第1貫通孔3baを設けた構成だけの場合、いずれの場合も作業効率が悪くなる傾向にある。
本実施形態の電源装置10は、第1領域2a1と対向する位置に合わせて、第1貫通孔3baをケース3に設けられている。電源装置10は、実装基板2をケース3に組み付けた状態において、充填樹脂5で覆われた第1領域2a1を第1貫通孔3baから容易に確認することができる。そのため、電源装置10は、高発熱電子部品1eからの熱を効率よく、ケース3の外部に放出されるように組み立てられているかを確認することができる。また、電源装置10は、第2領域2a2の位置に合わせて、第2貫通孔3bbがケース3に設けられている。電源装置10は、実装基板2をケース3に組み付けた状態において、充填樹脂5が達していないことを第2貫通孔3bbから容易に確認することができる。これにより、電源装置10は、充填樹脂5が電子部品1を不必要に被覆して、電子部品1がノイズに対して耐性が低く、信頼性が低下していないか否かを確認することができる。
以下では、電源装置10の組立工程について図7を用いて説明する。
電源装置10の組立工程にあたっては、最初にケース3の凹部3aに沿って、断面視がC字状のシート材4を収容する。組立工程では、図7中において、ケース3とシート材4との間の白抜きの矢印の向きに沿って、シート材4がケース3の凹部3aに挿入される。
次に、組立工程では、図示していないノズルから充填樹脂5の樹脂材料をシート材4上に吐出させる。充填樹脂5の樹脂材料は、予め実装基板2に設定された第1領域2a1に対向する位置に吐出される。充填樹脂5の樹脂材料は、放熱フィラーが含有されて、所定の粘度に調整されチキソトロピー性を有している。充填樹脂5の樹脂材料は、所定の粘性を有することで、シート材4上に盛り上がった状態となる。充填樹脂5の樹脂材料は、チキソトロピー性を有しているため、シート材4上に吐出させた状態では、シート材4に不要に拡がらないようにしている。
充填樹脂5の樹脂材料は、所定の粘性を有することで、第1領域2a1上に盛り上がった状態となっている。第1領域2a1は、実装基板2に設けた第2電子部品1bを避けるように設けられていることが好ましい。組立工程では、充填樹脂5の樹脂材料が塗布されたシート材4に、実装基板2を載せ置く。組立工程では、図7中において、実装基板2と充填樹脂5との間の白抜きの矢印の向きに沿って、実装基板2がケース3側に押圧されることで、充填樹脂5の樹脂材料が実装基板2の第2表面2abとシート材4とに密着するように押し広げられる。
組立工程では、実装基板2とケース3とを所定の距離に配置させた状態で、充填樹脂5の樹脂材料を硬化させる。組立工程では、充填樹脂5の樹脂材料を加熱など適宜の硬化方法により、シート材4と実装基板2とが接着され、ケース3と実装基板2とを熱的に接合させることができる。実装基板2は、シート材4との距離を所定の間隔で保持できるように、スペーサを介在させてもよい。
続いて、組立工程では、ケース3の底部3cにおける第1貫通孔3baおよび第2貫通孔3bbからシート材4を介して、充填樹脂5の充填状態を確認する。組立工程では、組立作業者の目視によって、充填樹脂5の充填状態が所望の状態か否かの確認をすることができる。また、組立工程では、画像センサからの信号を画像処理するコンピュータによって、充填樹脂5の充填状態が所望の状態か否かを確認させてもよい。組立工程では、シート材4を介して、第1貫通孔3baから充填樹脂5が第1領域2a1で第1電子部品1aを覆っていなければ、組み立てられた電源装置10を不良品として、組立ラインから電源装置10を取り除く。また、組立工程では、シート材4を介して、第2貫通孔3bbから充填樹脂5が第2領域2a2で第2電子部品1bを覆っていれば、組み立てられた電源装置10を不良品として、組立ラインから電源装置10を取り除く。組立工程では、組立作業者の目視などで、第1貫通孔3baから第1領域2a1で充填樹脂5が第1電子部品1aを完全に覆っており、且つ第2貫通孔3bbから第2領域2a2に充填樹脂5が達していないことを確認すれば、電源装置10を良品と判定できる。これにより、組立工程では、比較的簡単に、より信頼性の高い電源装置10を組み立てることができる。
組立工程では、シート材4に充填樹脂5を塗布する代わりに、充填樹脂5の樹脂材料が第1電子部品1aを覆うように別途に実装基板2に塗布して、実装基板2をシート材4に押圧させてもよい。組立工程では、たとえば、図示していないノズルから所定量の充填樹脂5の樹脂材料を実装基板2に吐出させる。実装基板2は、第2表面2abの予め規定した第1領域2a1にのみ、充填樹脂5の樹脂材料を塗布されていればよい。
この組立工程でも、上述の組立工程と同様に、比較的簡単な構造で、より信頼性の高い電源装置10を組み立てることができる。
(実施形態2)
本実施形態の光源ユニット20は、実施形態1の電源装置10からの給電により光源が発光できるように構成されている。以下では、本実施形態の光源ユニット20および照明器具30について、図8ないし図11を用いて説明する。図中においては、同じ部材に対して、同じ番号を付して重複する説明を省略する。
光源ユニット20は、図8に示すように、発光面側において、光源21と、光源21が取り付けられる支持部材24と、光源21を覆うように支持部材24に取り付けられるカバー23とを備えている。光源ユニット20は、図9に示すように、発光面と反対側に電源装置10を備えている。光源ユニット20は、ケース3の凹部3aの開口を塞ぐように、電源装置10が支持部材24に固定されている。電源装置10は、図示していない螺子などを利用して、電源装置10と支持部材24とを固定することができる。
光源21は、長尺の平板状に形成された配線基板22を有している。配線基板22は、複数の固体発光素子21aが長手方向に沿って配列されている。光源21は、図示していない電線を介して、電源装置10と電気的に接続されている。固体発光素子21aは、配線基板22の長手方向に沿って、第5表面22aaに等間隔に並べて実装されている。固体発光素子21aは、給電により発光することが可能な半導体発光素子である。固体発光素子21aは、たとえば、発光層に青色光が放射可能なLEDチップを備えた構成とすることができる。固体発光素子21aは、蛍光体が含有された透光性材料の封止部材を備えていることが好ましい。固体発光素子21aは、たとえば、LEDチップからの青色光と、封止部材に含有された蛍光体からの黄色光との混色により、白色光などを放射させることができる。固体発光素子21aは、配線基板22の導電体を用いて、複数個の固体発光素子21aを電気的に直列接続、並列接続や直並列接続させてもよい。配線基板22は、複数個の固体発光素子21aを配線基板22の長手方向に配列できるように、長尺の板状に形成されている。配線基板22は、たとえば、所定形状の導電体が形成されたセラミック基板を用いることができる。配線基板22の導電体は、たとえば、Auなどを用いることができる。配線基板22は、セラミック基板だけに限られず、ガラスエポキシ樹脂基板や金属ベース基板などを用いることもできる。
カバー23は、配線基板22を覆う断面視がC字状の長尺な形状に形成されている。カバー23は、断面視において、両端側から中央側に行くほど突出量が大きくなるような凸状の曲面部23aを有している。カバー23は、配線基板22を支持する支持部材24で保持される。カバー23は、透光性の樹脂材料により形成することができる。
支持部材24は、配線基板22の長手方向に沿って長尺状に形成されている。支持部材24は、断面視がC字状の長尺な板状に形成されている。支持部材24は、カバー23側に向かって突出する側部24bが、支持部材24の長手方向に沿って設けられている。支持部材24は、支持部材24の主部24aに配線基板22の裏面側を配して、一対の側部24bの間に配線基板22を配置している。支持部材24は、主部24aと、主部24aの両端部から所定の角度で立ち上がる一対の側部24bとを一体に形成している。側部24bは、固体発光素子21aから側方に放射される光を、カバー23側となる前方に反射させる機能を備えている。支持部材24は、一対の側部24bが主部24aから離れるにしたがって外側に開くように、配線基板22に対して傾斜している。側部24bは、固体発光素子21aと対向する表面側が、固体発光素子21aから放射される光を前方へ反射する反射面24baを構成している。支持部材24は、たとえば、支持部材24の主部24aの一部を切り起こすことで形成された爪24dにより、光源21を固定することができる。支持部材24は、図10に示すように、長手方向における両端寄りの位置において幅方向の一端側に延びる一対の引掛金具26と、幅方向の他端側に配置される一対の引掛ばね25とを有している。支持部材24は、鋼板などの金属板の折り曲げ加工により、形成されている。支持部材24は、熱伝導度の高い材料として、たとえば、アルミニウム材料を用いて形成することができる。支持部材24は、アルミニウム材料の板材の折り曲げ加工によって形成することができる。
光源ユニット20は、外部の商用交流電源と接続するために、第1コネクタ10aを備えていることが好ましい。第1コネクタ10aは、光源ユニット20側に設けた電源装置10の端子台に接続されており、器具本体31側の第2コネクタ33aと抜き差しが自在に可能に構成されている。光源ユニット20は、第1コネクタ10aと、第2コネクタ33aとが差し込まれて電気的に接続されることで、電源装置10を介して、外部の商用交流電源側から固体発光素子21aへ給電可能に構成されている。
次に、光源ユニット20を備えた照明器具30について説明する。
本実施形態の光源ユニット20は、たとえば、直管形蛍光管の代替として、長尺状の照明器具30の器具本体31に適宜に取り付けることができるように構成されている。光源ユニット20は、長尺状の照明器具に用いられるだけに限られず、矩形状の照明器具や種々の形状の照明器具に用いることができる。
照明器具30は、光源ユニット20と、器具本体31とを備えている。器具本体31は、吊りボルト32aに固定され、天井材50の下面に直付けされる。光源ユニット20は、器具本体31に対して着脱可能に取り付けられる。
器具本体31は、長尺状で且つ扁平な箱状に形成されている。器具本体31は、板金に曲げ加工を施すことで形成される。器具本体31は、平面視が矩形状の凹所31aを長手方向に沿って設けられている。器具本体31は、天井材50と反対に凹所31aを配置する。器具本体31は、光源ユニット20を凹所31aに収容する。器具本体31は、凹所31aの両側に傾斜部31bが設けられている。傾斜部31bは、凹所31aの開口端縁から延出している。傾斜部31bは、外側に向かって天井材50側へ傾斜するように構成している。凹所31aの底板31aaには、電源線53を通すための第1孔31baが設けられている。底板31aaには、両端寄りの位置に吊りボルト32aを通す第2孔31bbが設けられている。底板31aaの下面には、電源線53を接続する器具端子台33が取り付けられる。
以下では、照明器具30の組立工程について説明する。
作業者は、天井裏に先行配線された電源線53を器具本体31の第1孔31baに通す。さらに作業者は、室内側に露出する吊りボルト32aを第2孔31bbに通した後、吊りボルト32aにナット32bをねじ込んで器具本体31を固定する。その後、作業者は、電源線53を器具端子台33に接続して、器具端子台33から導出した電線に設けられた第2コネクタ33aと、電源装置10に電気的に接続された第1コネクタ10aとを接続する。
照明器具30の組立工程では、器具本体31の側板31cに設けられた挿通孔31caに光源ユニット20の引掛金具26を引っ掛けた後、引掛ばね25を器具本体31の他方の側板31cに設けられた引掛部31dに引っ掛ける。光源ユニット20は、引掛金具26を支点として光源ユニット20を持ち上げるように回転させられると、引掛ばね25が引掛部31dに引っ掛かったままで元の状態に戻る。光源ユニット20は、引掛ばね25のばね力で光源ユニット20が器具本体31に保持されて、照明器具30の天井への施工が完了する。