(実施形態1)
以下では、本実施形態の電源装置10について、図1ないし図5を参照しながら説明する。図1は、図2のXX断面における各部材の位置関係を説明するため、模式的に図示した断面図としている。図中において、同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、本実施形態を構成する各要素は、複数の要素を一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、一の部材の機能を複数の部材で分担して実現してもよい。
本実施形態の電源装置10は、図1および図2に示すように、実装基板2と、実装基板2を収容する凹所3aaを有するケース3とを備えている。電源装置10は、実装基板2とケース3との間に配置されるシート材4と、実装基板2とシート材4との間に充填される充填樹脂5とを備えている。実装基板2は、入力電力を所定の出力電力に変換する電力変換回路を構成できるように形成されている。ケース3は、金属製としている。シート材4は、電気絶縁性を有している。充填樹脂5は、上記電力変換回路からの熱をケース3に熱伝導させることができるように構成されている。
上記電力変換回路は、長尺状の本体部1a1の一端からリード1a2が突出する電子部品1を少なくとも備えている。以下では、上記電力変換回路を構成する電子部品1のうち、長尺状の本体部1a1の一端からリード1a2が突出する電子部品1を第1電子部品1aと称し、第1電子部品1a以外の電子部品1を第2電子部品1bと称することもある。第1電子部品1aのリード1a2は、電子部品1の端子を構成している。実装基板2は、ケース3と対向する第1表面2aaとは反対の第2表面2abに本体部1a1が載せ置かれている。実装基板2は、リード1a2と電気的に接続されている。実装基板2は、図2に示すように、平面視において、電子部品1の本体部1a1に対応する位置に、実装基板2の一側縁2caから窪んで実装基板2の厚み方向に貫通する凹状部2cを有している。充填樹脂5の一部5bは、凹状部2cを介して、第2表面2abに載せ置かれた本体部1a1と、ケース3の凹所3aaにおける内側面3aとに接触して本体部1a1を固定している。
本実施形態の電源装置10は、凹状部2cを介して、実装基板2の第1表面2aa側と第2表面2ab側とに設けられた充填樹脂5により、電子部品1の本体部1a1を固定させる比較的簡単な構造で、より信頼性を高くすることが可能となる。
以下では、本実施形態の電源装置10の具体的構成について、より詳細に説明する。
電源装置10の上記電力変換回路は、たとえば、外部の商用交流電源からの交流の入力電流を所定の直流の出力電流に変換する構成とすることができる。上記電力変換回路は、図示していないが、整流平滑部と、定電流電源部とを有するスイッチング電源で構成することができる。整流平滑部は、端子台から供給される交流の入力電流を整流して、平滑化した直流電流を出力する。定電流電源部は、整流平滑部から出力された直流電流を所定の定電流値に保って出力する。電力変換回路では、フィードバック回路を利用して、所定の定電流値の直流電流を出力できるように構成されている。整流平滑部は、たとえば、ダイオードやコンデンサを用いて構成することができる。定電流電源部は、たとえば、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子、トランス、チョークコイル、コンデンサやマイクロコンピュータなどの制御素子を利用して構成することができる。定電流電源部は、整流平滑部からの入力に重畳するリップルを除去するため、電解コンデンサを使用することができる。電解コンデンサは、容量を比較的簡単に大きくすることができる。フィードバック回路では、たとえば、制御素子からの指令によって、スイッチング素子のデューティー比を制御することにより、所定の定電流値に保つことができるように構成されている。電源装置10は、複数個の電子部品1を用いて、上記電力変換回路を構成している。
本実施形態の電源装置10では、電子部品1は、広義に解釈し、上記電力変換回路の構成に電気的に使用可能な部品をいう。電子部品1は、たとえば、コンデンサ、ダイオード、抵抗、半固定抵抗器、トランジスタ、スイッチング素子や制御素子などが挙げられる。また、電子部品1としては、たとえば、電流ヒューズ、トランス、チョークコイルや端子台なども挙げられる。
電子部品1は、電子部品1の端子を実装基板2に設けたスルーホールに挿通して、実装基板2の導体と半田付けにより固定させるスルーホール実装により、実装基板2に実装させることができる。電子部品1は、半田漕において、溶融した半田の噴流に実装基板2を接触させることにより半田付けを行うフロー方式で、実装基板2にスルーホール実装させることができる。また、電子部品1は、実装基板2における電子部品1の搭載面に半田ペーストを印刷した後、電子部品1を半田ペーストに載せてから熱を加えて半田付けを行うリフロー方式で実装基板2に表面実装させることができる。
電子部品1は、図1および図2に示すように、その機能に伴って、複数の電子部品1のうち、実装基板2とケース3との間に配置可能な比較的小型の電子部品1と、比較的小型の電子部品1と比較して比較的大型の電子部品1とを備えている。以下では、比較的小型の電子部品1を小型電子部品1cと称し、比較的大型の電子部品1を大型電子部品1dとも称す。小型電子部品1cとしては、たとえば、ダイオード、抵抗、半固定抵抗器、スイッチング素子や制御素子などが挙げられる。大型電子部品1dとしては、たとえば、電解コンデンサ、トランス、チョークコイルや端子台などが挙げられる。ここで、電解コンデンサは、円柱状の本体部1a1を有している。電解コンデンサは、本体部1a1から突出する端子を有している。言い換えれば、電解コンデンサは、長尺状の本体部1a1の一端から端子となるリード1a2が突出する構造でもある。したがって、電解コンデンサは、第1電子部品1aであり、且つ大型電子部品1dでもある。大型電子部品1dは、実装基板2の第2表面2abに実装している。小型電子部品1cは、実装基板2の第1表面2aaだけでなく、第2表面2abにも実装できる。電子部品1は、実装基板2の第1表面2aaに実装された複数の小型電子部品1cのうち、比較的発熱量が大きい電子部品1を備えている。比較的発熱量が大きい電子部品1としては、たとえば、スイッチング素子が挙げられる。
実装基板2は、上記電力変換回路を構成する複数個の電子部品1が実装できるように形成されている。実装基板2は、たとえば、長尺状の矩形平板の外形形状とすることができる。実装基板2は、図示していないが、絶縁性基体と、絶縁性基体上に形成された所定形状の導体とを備えている。実装基板2は、第1表面2aaおよび第2表面2abのそれぞれに複数個の電子部品1が実装されている。実装基板2は、第1表面2aaに所定形状の導体を備えている。また、実装基板2は、第2表面2abに所定形状の導体を備えている。実装基板2は、絶縁性基体の厚み方向に貫通する図示していない貫通配線を備えている。貫通配線は、第1表面2aaに設けた所定形状の導体と、第2表面2abに設けた所定形状の導体とを電気的に接続している。実装基板2の第1表面2aaや第2表面2abには、導体を電気的や機械的に保護するため、合成樹脂などからなる保護膜が適宜に形成されていることが好ましい。実装基板2は、第1表面2aaや第2表面2abに設けられた導体と、電子部品1の端子とを、半田、AuSnや銀ペーストなどの接合材料を用いて接合することができる。実装基板2は、所定形状の導体や貫通配線を介して、複数個の電子部品1を電気的に接続させて上記電力変換回路を構成できるように形成されている。絶縁性基体の材料としては、たとえば、ガラスエポキシ樹脂を用いることができる。導体としては、CuとAgとの積層膜などを用いることができる。実装基板2は、絶縁性基体にガラスエポキシ樹脂を用いたガラスエポキシ樹脂基板だけに限られず、紙フェノール基板、金属ベース基板やセラミック基板などを用いてもよい。セラミック基板としては、アルミナセラミック基板や窒化アルミニウム基板などを用いることができる。
実装基板2は、スルーホール実装により、大型電子部品1dや小型電子部品1cが第2表面2abに実装されている。実装基板2は、表面実装により、小型電子部品1cが第1表面2aaに実装されていることが好ましい。実装基板2は、充填樹脂5を介して、上記電力変換回路からの熱をケース3の外部に効率よく放熱されるように、第1表面2aaにおいて、充填樹脂5により小型電子部品1cが被覆されている。電源装置10では、充填樹脂5で覆われる電子部品1に相対的に発熱量の大きい小型電子部品1cを選択している。電源装置10では、充填樹脂5で覆わない電子部品1に発熱量の大きい電子部品1と比較して発熱量の小さい電子部品1を選択している。電源装置10では、小型電子部品1cを覆った充填樹脂5でシート材4との接着を行う構成とすることもできる。実装基板2は、充填樹脂5をケース3との間に充填させるため、第1表面2aaにおいて、たとえば、充填樹脂5の樹脂材料を矩形状に塗布させることができる。実装基板2は、充填樹脂5の樹脂材料を矩形状に塗布させるだけに限られず、充填樹脂5の樹脂材料の粘性や電子部品1の配置などに応じて、楕円形など適宜の形状で塗布させてもよい。
実装基板2は、図3に示すように、平面視において、一側縁2caから窪んで、実装基板2の厚み方向に貫通する凹状部2cが設けられている。凹状部2cは、電源装置10の組立工程において、実装基板2とシート材4との間に配された充填樹脂5の樹脂材料を、実装基板2の第1表面2aa側から第2表面2ab側に溢れさせることが可能に構成されている。電源装置10は、凹状部2cから溢れた樹脂材料を利用して、電子部品1の本体部1a1を実装基板2やケース3などに固定させることができる。凹状部2cは、平面視において、矩形状に切り欠かれた形状に形成している。凹状部2cは、平面視において、矩形状に切り欠かれた形状だけには限られない。凹状部2cは、平面視において、半円形形状、半楕円形状や一側縁2caから段階的に窪んだ多段階形状などに形成してもよい。実装基板2は、1つの凹状部2cを有する構成だけに限られず、複数の凹状部2cを有していてもよい。凹状部2cは、実装基板2の成形と同時に形成することができるし、予め矩形状などに形成した実装基板2に切り欠き加工などを施して形成することもできる。
ケース3は、上記電力変換回路を構成できるように形成された実装基板2を、収納できるように構成されている。ケース3は、たとえば、有底角筒状の外形形状に形成することができる。ケース3は、長尺状の実装基板2が収納可能なように長尺状に形成されている。ケース3は、実装基板2の第1表面2aaと対向する底部3cを有している。ケース3は、底部3cの周囲を囲むように、第1側壁部3eと、第2側壁部3dとを有している。第1側壁部3eは、実装基板2の長手方向に沿って設けられている。第2側壁部3dは、実装基板2の短手方向に沿って設けられている。ケース3は、底部3cと、一対の対向する第1側壁部3eと、一対の対向する第2側壁部3dとで、凹所3aaを構成している。ケース3は、底部3cと第1側壁部3eと第2側壁部3dとを、一体的に形成されている。ケース3は、図4に示すように、一対の第2側壁部3dの一方に、電子部品1である端子台が外部に露出できるように、切り欠き部3daを備えている。ケース3は、図示していないが、凹所3aa内に突出する突起と、爪とを第1側壁部3eに備えた構成とすることができる。ケース3は、突起と爪とを適宜に備えることで、シート材4、充填樹脂5を介して、突起と爪とで実装基板2を挟み持たせ、凹所3aaの所定の位置に実装基板2を固定させることができる。ケース3は、実装基板2の上記電力変換回路で生じた熱を外部に効率よく放熱できるように、樹脂材料と比較して、熱伝導性に優れた金属材料により構成されていることが好ましい。
電源装置10は、一般に、スイッチング電源におけるスイッチング素子のような比較的に発熱量の大きい電子部品1からの熱がそのままコンデンサなどの他の電子部品1に熱伝導されると、熱伝導された電子部品1の寿命が短くなる場合がある。また、電源装置10は、発熱量の大きい電子部品1からの熱によって、他の電子部品1の動作が不安定になる虞がある。そのため、電源装置10では、発熱量の大きい電子部品1からの熱を、充填樹脂5によりシート材4を介してケース3に熱伝導させて放熱性の向上を図っている。ケース3の材料としては、たとえば、ステンレス、鉄合金や銅合金などの金属材料を用いることができる。ケース3は、平板状の金属板に打ち抜き加工や折り曲げ加工を施すことにより形成することができる。本実施形態の電源装置10では、充填樹脂5がケース3の凹所3aaにおける内側面3aと接触するとは、広義に解釈し、充填樹脂5が内側面3aと直接接触する場合でもよいし、間接接触する場合でもよい。
ケース3は、図示していないが、ケース3の内側面3aと充填樹脂5とを直接接触させる場合において、充填樹脂5を接触させる内側面3aに凹凸や複数の溝を備えた構成としてもよい。ケース3は、内側面3aに凹凸や複数の溝を備えた構成とすることで、充填樹脂5の硬化前の樹脂材料がケース3の内側面3aに沿って不要に拡がることを抑制することができる。また、電源装置10では、内側面3aの凹凸や複数の溝が、ケース3と充填樹脂5との接触面積を増やして、接合強度を向上させることもできる。さらに、電源装置10では、内側面3aの凹凸や複数の溝が、ケース3と充填樹脂5との接触面積を増やして、放熱効率を向上させることもできる。
シート材4は、実装基板2と金属製のケース3との間に配置され、実装基板2とケース3との電気的な絶縁性を高められるように構成されている。シート材4は、実装基板2の長手方向より若干長く形成されていることが好ましい。シート材4は、一対の側面部4eと、底面部4cとで、断面視がC字形状の外形形状とされている。シート材4は、底面部4cとケース3の底部3cとを密着させ、側面部4eとケース3の第1側壁部3eとを密着させることができるように構成することができる。シート材4は、樹脂材料を用いることで、絶縁性を確保することができる。シート材4は、樹脂材料からなる樹脂シートを用いて形成することができる。シート材4は、樹脂シートの折り曲げ加工により、C字形状に形成させてもよいし、樹脂材の一体成形でC字形状に形成させてもよい。シート材4の材料としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂材料を用いることができる。シート材4は、電源装置10の組立工程において、実装基板2がケース3の突起と爪との間で保持されるように配置されると、実装基板2により充填樹脂5を介してケース3側に押圧される。
シート材4は、シート材4の側面部4eと充填樹脂5とを直接接触させ、ケース3の内側面3aと充填樹脂5とを間接接触させてもよい。シート材4は、実装基板2の第2表面2ab側において、シート材4の側面部4eと充填樹脂5とを直接接触させる場合、電子部品1の本体部1a1と対応する側面部4eに凹凸や複数の溝を備えていてもよい。シート材4は、本体部1a1を固定する充填樹脂5の硬化前の樹脂材料が側面部4eに沿って不要に拡がることを抑制することができる。また、電源装置10では、側面部4eの凹凸や複数の溝は、シート材4と充填樹脂5との接触面積を増やして、シート材4と充填樹脂5との接合強度を向上させることもできる。
シート材4の凹凸は、シート材4の樹脂材料にエンボス加工を施して形成することができる。凹凸は、凹状部2cと対向する側面部4eの表面だけに設けてもよいし、側面部4eと底面部4cとを含むシート材4全体の表面4aaに設けてもよい。
充填樹脂5は、シート材4と実装基板2の第1表面2aaとの間に充填されることで、実装基板2からの熱がシート材4を介してケース3に熱伝導することができるように構成されている。充填樹脂5の材料としては、たとえば、ウレタン樹脂やシリコーン樹脂を用いることができる。充填樹脂5は、熱伝導性を高めるため、放熱性フィラーを含有させてもよい。放熱性フィラーの材料は、たとえば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムや酸化珪素などを用いることができる。充填樹脂5の樹脂材料は、放熱性フィラーの含有量を適宜に調整することで、所定の粘性に調整することもできる。充填樹脂5は、所定の粘性に調整することで、電源装置10の組立工程において、実装基板2とシート材4との間で充填樹脂5の樹脂材料が不要に拡がることを抑制しつつ、凹状部2cから溢れた樹脂材料で電子部品1の本体部1a1を固定させることができる。
以下では、比較例の電源装置と比較して、本実施形態の電源装置10を説明する。
図6および図7に示す比較例の電源装置は、凹状部2cの代わりに、貫通孔2eを実装基板2に備えた以外、図1および図2に示す本実施形態の電源装置10と同様に、スイッチング電源を構成している。図6は、図7のXX断面における各部材の位置関係を説明するため、模式的に図示した断面図としている。比較例の電源装置は、実装基板2の第2表面2abにおける中央部において、電子部品1として、電解コンデンサが実装されている。
電源装置では、複数個の電子部品1が実装基板2に実装され上記電力変換回路を構成されている。電源装置は、複数個の電子部品1のうち、第1電子部品1aとして、比較的に本体部1a1が大きく自重が重い電解コンデンサを有している。第1電子部品1aは、円柱状の本体部1a1の一端から突出するリード1a2がL字状に折り曲げられた後、実装基板2の第2表面2abに本体部1a1が載せ置くように、リード1a2を実装基板2のスルーホールに挿通させてスルーホール実装されている。
電源装置では、実装基板2の第2表面2abに第1電子部品1aがある場合、電源装置の運搬や設置に伴う振動により、第1電子部品1aの本体部1a1と実装基板2とが相対的に変位する場合がある。電源装置では、本体部1a1と実装基板2とが相対的に変位する場合、実装基板2に接合されたリード1a2に繰り返し加わるストレスで、リード1a2に断線が生ずる虞がある。また、電源装置では、リード1a2に繰り返し加わるストレスで、リード1a2と実装基板2の導体とを接合する半田のクラックや半田の剥離などの不具合が生ずる虞もある。
電源装置では、図示していないが、第1電子部品1aを樹脂により実装基板2に固定することで、リード1a2の断線を抑制することが可能となる。しかしながら、電源装置は、組立工程において、実装基板2の第2表面2abに樹脂を塗布する工程を設けると、樹脂を塗布する工程や樹脂を硬化させる工程の追加が必要で、製造時間が掛かるという問題が生ずる。そのため、電源装置では、充填樹脂5を利用して、実装基板2に第1電子部品1aを固定することも考えられる。比較例の電源装置では、実装基板2の厚み方向に貫通する貫通孔2eを設けている。比較例の電源装置は、組立工程において、実装基板2の第1表面2aa側から貫通孔2eを通して第2表面2ab側に溢れた充填樹脂5の樹脂材料を利用して、本体部1a1を充填樹脂5の一部位5cで実装基板2に固定させることができる。比較例の電源装置では、振動が第1電子部品1aに加わった場合でも、第1電子部品1aの本体部1a1と実装基板2との相対的な変位が抑制され、リード1a2の断線を抑制することができると考えられる。また、比較例の電電装置では、充填樹脂5の一部位5cを利用して、本体部1a1を実装基板2に固定させているため、組立工程を比較的簡単とすることができる。
ところで、電源装置は、複数の電子部品1のうち、電子部品1の内部が密閉されていない構造の非密閉型電子部品1gを有する場合もある。非密閉型電子部品1gとしては、たとえば、半固定抵抗器などが挙げられる。非密閉型電子部品1gは、半固定抵抗器の場合、充填樹脂5の樹脂材料が半固定抵抗器の接点間に入れば、半固定抵抗器の抵抗値が変化するなど電気特性が変化する不具合が生ずる虞がある。
比較例の電源装置は、非密閉型電子部品1gを充填樹脂5の樹脂材料で固定する第1電子部品1aから離して実装基板2に実装することで、樹脂材料による非密閉型電子部品1gの不具合を抑制することができる。
しかしながら、電源装置では、より小型化が求められており、実装基板2に実装される電子部品1の実装スペースも限られている。また、電源装置は、非密閉型電子部品1gを第1電子部品1aの周囲から離して実装する場合、実装基板2の小型化に制約が生じる。さらに、電源装置は、非密閉型電子部品1gを第1電子部品1aの周囲から離して実装する場合、複数個の電子部品1を電気的に接続させる配線の設計が複雑になる傾向にある。
電源装置10は、実装基板2の第2表面2abにおいて、第1電子部品1aを、凹状部2cを塞ぐように実装基板2の一側縁2caに近接する部分に実装している。実装基板2は、平面視において、本体部1a1の長手方向が実装基板2の一側縁2caに沿うように第1電子部品1aを配置させている。第1電子部品1aは、本体部1a1を実装基板2の第2表面2ab上に載せ置かせ、本体部1a1の一端から突出するリード1a2をL字状に折り曲げて、実装基板2の導体とスルーホール実装により電気的に接続させている。
電源装置10は、組立工程において、ケース3の凹所3aaに収容するように、実装基板2を、予め充填樹脂5の樹脂材料が塗布されたシート材4に押圧して組み立てる。電源装置10は、組立工程において、硬化前の充填樹脂5の樹脂材料が凹状部2cを介して、実装基板2の第1表面2aa側から第2表面2ab側にケース3の内側面3aに沿って溢れる。電源装置10では、溢れた充填樹脂5の樹脂材料がケース3の内側面3a側と、第1電子部品1aの本体部1a1とに接して第1電子部品1aを固定している。
電源装置10は、平面視において、実装基板2の凹状部2cから第2表面2ab側に溢れた充填樹脂5の樹脂材料が、本体部1a1を介して凹状部2cと反対側に流出しないように構成している。凹状部2cは、凹状部2cの大きさや実装基板2における位置を適宜に調整することで、実装基板2の第2表面2abにおいて、組立工程で充填樹脂5の一部5bを構成する樹脂材料が拡がる方向を所望の方向に誘導させることもできる。これにより、凹状部2cは、充填樹脂5の樹脂材料の接触による不具合が生ずる非密閉型電子部品1gに樹脂材料が接触することを抑制することもできる。凹状部2cは、平面視において、溢れた充填樹脂5の樹脂材料が長尺状の本体部1a1の長手方向の両端を超え、本体部1a1を介して、凹状部2cと反対側の実装基板2の第2表面2abに回り込みにくい形状とすればよい。凹状部2cは、実装基板2の第2表面2abにおいて、本体部1a1の長手方向から充填樹脂5が回り込み難くするため、平面視において、矩形状に切り欠かれた端部を面取りさせた形状とすることもできる。
凹状部2cは、一側縁2caに沿った長さが、本体部1a1の一側縁2caに沿った長さよりも短く形成されていることが好ましい。電源装置10は、凹状部2cを本体部1a1の一側縁2caに沿った長さよりも短くすることで、組立工程において、凹状部2cから溢れた充填樹脂5の樹脂材料が第2表面2abで非密閉型電子部品1gなど他の電子部品1と接触することを抑制することができる。
電源装置10では、平面視において、充填樹脂5の樹脂材料が溢れる範囲を、凹状部2cが設けられた、第1電子部品1aの本体部1a1とケース3の内側面3a側とで挟まれた範囲に制限している。電源装置10は、平面視において、凹状部2cが設けられた、第1電子部品1aの本体部1a1とケース3の内側面3a側とで挟まれた範囲を除く実装基板2の第1表面2aaの全体に、他の電子部品1を制限なく実装することが可能となる。電源装置10は、比較例の電源装置と比較して、実装基板2に実装する電子部品1の実装スペースを有効に利用することが可能となる。
以下では、電源装置10の組立工程について図5を用いて説明する。
電源装置10の組立工程にあたっては、最初にケース3の凹所3aaに沿って、断面視がC字状のシート材4を収容する。組立工程では、図5中において、ケース3とシート材4との間の白抜きの矢印の向きに沿って、シート材4がケース3の凹所3aaに挿入される。
次に、組立工程では、図示していないノズルから充填樹脂5の樹脂材料をシート材4上に吐出させる。充填樹脂5の樹脂材料は、予め実装基板2に設定された領域に対向する位置に吐出される。充填樹脂5の樹脂材料は、放熱性フィラーが含有されて、所定の粘度に調整されている。充填樹脂5の樹脂材料は、放熱性フィラーが含有されることでチキソトロピー性を有している。充填樹脂5の樹脂材料は、所定の粘性を有することで、シート材4上に盛り上がった状態となる。充填樹脂5の樹脂材料は、チキソトロピー性を有しているため、シート材4上に吐出させた状態では、シート材4に不要に拡がらないようにしている。
組立工程では、充填樹脂5の樹脂材料が塗布されたシート材4に、実装基板2を載せ置く。組立工程では、図5中において、実装基板2と充填樹脂5との間の白抜きの矢印の向きに沿って、実装基板2がケース3側に押圧されることで、充填樹脂5の樹脂材料が実装基板2の第1表面2aaとシート材4とに密着するように押し拡げられる。
組立工程では、実装基板2がケース3側に押圧されることで、凹状部2cを介して、実装基板2の第1表面2aaからケース3の内側面3aと平行なシート材4の側面部4eに沿って、充填樹脂5の樹脂材料が第2表面2ab側に溢れる。電源装置10は、組立工程において、溢れた樹脂材料が本体部1a1と側面部4eとに接するように、実装基板2とケース3とを形成している。また、電源装置10は、平面視において、樹脂材料が本体部1a1を超えて凹状部2cと反対側に流出しないように、凹状部2cの大きさ、凹状部2cの形状、充填樹脂5の樹脂材料の粘度、樹脂材料の量を適宜に設計している。さらに、電源装置10は、組立工程において、実装基板2をケース3側に押圧する力を適宜に調整している。
組立工程では、実装基板2とケース3とを所定の距離に配置させた状態で、充填樹脂5の樹脂材料を硬化させる。組立工程では、加熱など適宜の硬化方法により充填樹脂5の樹脂材料を硬化させることにより、実装基板2とシート材4とが充填樹脂5で接着される。電源装置10は、実装基板2とシート材4とが充填樹脂5で接着されることで、シート材4を介して、ケース3と実装基板2とが熱的に結合される。組立工程では、充填樹脂5の樹脂材料の硬化に伴い充填樹脂5の一部5bが本体部1a1を内側面3a側に固定させる。
これにより、組立工程では、比較的簡単に、より信頼性の高い電源装置10を組み立てることができる。
組立工程では、シート材4に充填樹脂5を塗布する代わりに、充填樹脂5の樹脂材料が第1電子部品1aを覆うように別途に実装基板2に塗布して、実装基板2をシート材4に押圧させてもよい。組立工程では、たとえば、図示していないノズルから所定量の充填樹脂5の樹脂材料を実装基板2に吐出させる。
本実施形態の電源装置10は、充填樹脂5の樹脂材料を実装基板2に塗布してから組み立てても、充填樹脂5の樹脂材料をシート材4に塗布してから組み立てる場合と同様に、比較的簡単な構造で、より信頼性の高くすることができる。
(実施形態2)
本実施形態の光源ユニット20は、実施形態1の電源装置10を備え、電源装置10からの給電により光源21が発光できるように構成されている。以下では、本実施形態の光源ユニット20および照明器具30について、図8ないし図11を用いて説明する。図中においては、同じ部材に対して、同じ番号を付して重複する説明を省略する。
光源ユニット20は、図8に示すように、電源装置10からの給電により発光する光源21と、光源21を支持する支持部材24と、光源21を覆うように支持部材24に取り付けられるカバー23とを備えている。光源ユニット20は、図9に示すように、支持部材24が電源装置10を支持している。
光源ユニット20は、凹状部2cを介して、実装基板2の第1表面2aa側と第2表面2ab側とに設けられた充填樹脂5により、電子部品1の本体部1a1を固定させる電源装置10を備えた比較的簡単な構造で、より信頼性を高くすることが可能となる。
光源21は、長尺の平板状に形成された配線基板22を有している。配線基板22は、複数の固体発光素子21aが長手方向に沿って配列されている。光源21は、図示していない電線を介して、電源装置10と電気的に接続されている。固体発光素子21aは、配線基板22の長手方向に沿って、第3表面22aaに等間隔に並べて実装されている。固体発光素子21aは、給電により発光することが可能な半導体発光素子である。固体発光素子21aは、たとえば、青色光が放射可能なLEDチップを備えた構成とすることができる。固体発光素子21aは、蛍光体が含有された透光性材料の封止部材を備えていることが好ましい。固体発光素子21aは、たとえば、LEDチップからの青色光と、封止部材に含有された蛍光体からの黄色光との混色により、白色光などを放射させることができる。固体発光素子21aは、配線基板22の導電体を用いて、複数個の固体発光素子21aを電気的に直列接続、並列接続や直並列接続させてもよい。配線基板22は、長尺の板状に形成されている。配線基板22は、長尺の配線基板22の長手方向に沿って、複数個の固体発光素子21aを配列している。配線基板22は、たとえば、所定形状の導電体が形成されたセラミック基板を用いることができる。配線基板22の導電体は、たとえば、Auなどを用いることができる。配線基板22は、セラミック基板だけに限られず、ガラスエポキシ樹脂基板や金属ベース基板などを用いることもできる。
カバー23は、配線基板22を覆う断面視がC字状の長尺な形状に形成されている。カバー23は、断面視において、両端側から中央側に向かって凸状の曲面部23aを有している。カバー23は、配線基板22を支持する支持部材24で保持される。カバー23は、透光性の樹脂材料により形成することができる。カバー23の内側には、支持部材24側に突出する突壁部23cが設けられている。突壁部23cには、それぞれ内向きに突出する支持片23fが突出している。
支持部材24は、配線基板22の長手方向に沿って長尺状に形成されている。支持部材24は、断面視がC字状の長尺な板状に形成されている。支持部材24は、カバー23側に向かって突出する突出部24bが、支持部材24の長手方向に沿って設けられている。支持部材24は、支持部材24の主部24aに配線基板22の裏面側を配置して、一対の突出部24bの間に配線基板22を配置している。支持部材24は、主部24aと、主部24aの両端部から所定の角度で立ち上がる一対の突出部24bと、突出部24bから突出部24bと直交する方向に沿って延出する側部24cとを一体に形成している。突出部24bは、固体発光素子21aから側方に放射される光を、カバー23側となる前方に反射させる機能を備えている。支持部材24は、一対の突出部24bが主部24aから離れるにしたがって外側に開くように、配線基板22に対して傾斜している。突出部24bは、固体発光素子21aと対向する表面側が、固体発光素子21aから放射される光を前方へ反射する反射面24baを構成している。支持部材24は、たとえば、支持部材24の主部24aの一部分を切り起こすことで形成された爪24dにより、光源21を固定することができる。支持部材24は、図10に示すように、長手方向における両端寄りの位置において幅方向の一端側に延びる一対の引掛金具26と、幅方向の他端側に配置される一対の引掛ばね25とを有している。支持部材24は、鋼板などの金属板の折り曲げ加工により、形成されている。支持部材24は、熱伝導度の高い材料として、たとえば、アルミニウム材料を用いて形成することができる。支持部材24は、アルミニウム材料の板材の折り曲げ加工によって形成することができる。
光源ユニット20は、ケース3の凹所3aaの開口を塞ぐように、電源装置10が支持部材24に固定されている。電源装置10は、図示していない螺子などを利用して、電源装置10と支持部材24とを固定することができる。光源ユニット20は、外部の商用交流電源と接続するために、第1コネクタ10aを備えていることが好ましい。第1コネクタ10aは、電源装置10の端子台に接続されており、器具本体31側の第2コネクタ33aと抜き差しが自在に可能に構成されている。光源ユニット20は、第1コネクタ10aと、第2コネクタ33aとが差し込まれて電気的に接続されることで、電源装置10を介して、外部の商用交流電源側から固体発光素子21aへ給電可能に構成されている。
次に、光源ユニット20を備えた照明器具30について説明する。
本実施形態の光源ユニット20は、たとえば、直管形蛍光管の代替として、長尺状の照明器具30の器具本体31に適宜に取り付けることができるように構成されている。光源ユニット20は、長尺状の照明器具に用いられるだけに限られず、矩形状の照明器具や種々の形状の照明器具に用いることができる。
照明器具30は、光源ユニット20と、光源ユニット20が取り付けられた器具本体31とを備えている。照明器具30は、凹状部2cを介して、実装基板2の第1表面2aa側と第2表面2ab側とに設けられた充填樹脂5により、電子部品1の本体部1a1を固定させる電源装置10を有する比較的簡単な構造で、より信頼性を高くすることが可能となる。
器具本体31は、吊りボルト32aに固定され、天井材50の下面に直付けされる。光源ユニット20は、器具本体31に対して着脱可能に取り付けられる。
器具本体31は、長尺状で且つ扁平な箱状に形成されている。器具本体31は、板金に曲げ加工を施すことで形成される。器具本体31は、平面視が矩形状の凹部31aを長手方向に沿って設けられている。器具本体31は、天井材50と反対側に凹部31aを配置させる。器具本体31は、光源ユニット20を凹部31aに収容する。器具本体31は、凹部31aを構成する一対の側板31cを備えている。一対の側板31cのうち、一方の側板31cは、光源ユニット20の引掛金具26を引っ掛ける挿通孔31caが形成されている。一対の側板31cのうち、他方の側板31cは、光源ユニット20の引掛ばね25を引き掛ける引掛部31dが形成されている。器具本体31は、凹部31aの両側に傾斜部31bが設けられている。傾斜部31bは、凹部31aの開口端縁から延出している。傾斜部31bは、外側に向かって天井材50側へ傾斜するように構成している。凹部31aの底板31aaには、電源線53を通すための第1孔31baが設けられている。底板31aaには、凹部31aの長手方向の両端寄りの位置に、吊りボルト32aを通す第2孔31bbが設けられている。底板31aaの下面には、電源線53を接続する器具端子台33が取り付けられる。
以下では、照明器具30の組立工程について説明する。
作業者は、天井裏に先行配線された電源線53を器具本体31の第1孔31baに通す。さらに作業者は、室内側に露出する吊りボルト32aを第2孔31bbに通した後、吊りボルト32aにナット32bをねじ込んで器具本体31を固定する。作業者は、電源線53を器具端子台33に接続する。その後、作業者は、器具端子台33から導出した電線に設けられた第2コネクタ33aと、電源装置10に電気的に接続された第1コネクタ10aとを接続する。
照明器具30の組立工程では、器具本体31の側板31cに設けられた挿通孔31caに光源ユニット20の引掛金具26を引っ掛けた後、引掛ばね25を器具本体31の他方の側板31cに設けられた引掛部31dに引っ掛ける。光源ユニット20は、引掛金具26を支点として光源ユニット20を持ち上げるように回転させられると、引掛ばね25が引掛部31dに引っ掛かったままで元の状態に戻る。光源ユニット20は、引掛ばね25のばね力で光源ユニット20が器具本体31に保持されて、照明器具30の天井への施工が完了する。