JP2015229729A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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裕子 西脇
Hiroko Nishiwaki
裕子 西脇
岡崎 秀一
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秀一 岡崎
栄一 中田
Eiichi Nakada
栄一 中田
中島 義夫
Yoshio Nakajima
義夫 中島
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Abstract

【課題】耐擦過性及び耐ブロンズ性に優れた画像を記録することが可能なインクを提供する。
【解決手段】樹脂粒子を含有するインクジェット用のインクである。樹脂粒子が、α−オレフィン重合体に由来するユニット(X)と、α,β−エチレン性不飽和酸単量体に由来するユニット(A)と、前記α,β−エチレン性不飽和酸単量体以外のα,β−エチレン性不飽和単量体に由来するユニット(B)とを有する共重合体により形成され、共重合体の重量平均分子量が、400,000以上1,000,000以下であり、共重合体の酸価が、20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であり、共重合体の全質量を基準とした、ユニット(B)の含有量(質量%)が、15.0質量%以上40.0質量%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録技術の進歩により、一般家庭においても比較的容易かつ安価に、銀塩写真やオフセット印刷で実現されているような高精細で高発色性を有する画像を記録することが可能になってきている。
色材として染料を含有する染料インクを用いると、粒状性がなく良好な画像を得ることができるが、耐光性、耐水性、及び耐ガス性などの堅牢性に劣るという課題がある。このため、近年では、色材として顔料を含有する顔料インクが用いられるようになってきている。このような顔料インクとしては、記録媒体への顔料の定着性や、画像の耐擦過性などの堅牢性をより向上させることを目的として、水溶性の樹脂により分散された顔料を含有するインクが広く使用されるようになっている。
樹脂により分散された顔料を含有するインクで記録した画像は、指の爪などによる軽い擦れに対して記録層が削れにくく、耐擦過性がある程度向上している。しかし、指の爪などで画像を強く擦った際の十分な耐擦過性を有するものではなかった。さらに、近年、ポスターなどのように画像が屋外に掲載される場合がある。このように画像を屋外に掲載する際には、ハンドリング時に記録媒体同士が擦れたりするため、これまで以上に優れた耐擦過性が要求されている。
また、記録媒体において凝集した顔料の表面からは、顔料本来の色とは異なる色が反射されて見える、いわゆるブロンズ現象が生じやすいといった課題が生じている。このようなブロンズ現象を抑制すべく、例えば、水溶性の樹脂により分散された顔料を含有するインクを用い、このインクにより記録された画像上に水溶性樹脂を含有するクリアインクを付与する方法が提案されている(特許文献1)。
ところで、様々な工業製品に利用可能なプラスチックとしてポリオレフィン樹脂が知られている。ポリオレフィン樹脂は、比重が軽く、成形性、耐薬品性、及び耐水性などに優れる樹脂である。しかし、ポリオレフィン樹脂は極性が低いため、塗装や接着が困難な樹脂であることが知られている。そこで、酸などで変性して極性を付与した酸変性ポリオレフィン樹脂によってポリオレフィン樹脂の表面を処理することが知られている。また、このような酸変性ポリオレフィン樹脂をインクや塗料のバインダー、又は接着剤として用いることが知られている(特許文献2及び3)。さらに、変性ポリプロピレンエマルジョンを含有するクリアインクが提案されている(特許文献4)。
特開2009−197211号公報 特開2009−40920号公報 特開2005−126615号公報 特開2003−335058号公報
特許文献1で提案された方法においては、ガラス転移温度が25℃以上の水溶性樹脂を含有するクリアインクでオーバーコートすることで、耐擦過性が向上し、ブロンズ現象の発生が抑制された画像が得られるとしている。しかし、画像の耐擦過性は不十分であった。
特許文献2で提案されたインクに配合される酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量が小さいために記録物に残りにくいものであった。このため、画像の耐擦過性は不十分であるとともに、耐ブロンズ性についても満足しうるものではなかった。また、特許文献4で提案された変性ポリプロピレンエマルジョンを含有するクリアインクを用いた場合であっても、得られる画像の耐擦過性は未だ不十分であった。
さらに、特許文献3で提案されたインクに配合される酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量がある程度大きいが、ポリオレフィン基材に対する密着性や耐水性を考慮して変性量が少なかった。このため、この酸変性ポリオレフィン樹脂を含有するインクをインクジェット記録に用いた場合には、十分な耐擦過性及び耐ブロンズ性を有する画像を記録することが困難であった。
したがって、本発明の目的は、耐擦過性及び耐ブロンズ性に優れた画像を記録することが可能なインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、樹脂粒子を含有するインクジェット用のインクであって、前記樹脂粒子が、α−オレフィン重合体に由来するユニット(X)と、α,β−エチレン性不飽和酸単量体に由来するユニット(A)と、前記α,β−エチレン性不飽和酸単量体以外のα,β−エチレン性不飽和単量体に由来するユニット(B)とを有する共重合体により形成され、前記共重合体の重量平均分子量が、400,000以上1,000,000以下であり、前記共重合体の酸価が、20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であり、前記共重合体の全質量を基準とした、前記ユニット(B)の含有量(質量%)が、15質量%以上40質量%以下であることを特徴とするインクが提供される。
本発明によれば、耐擦過性及び耐ブロンズ性に優れた画像を記録することが可能なインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明における各種の物性値は特に断りのない限り25℃における値である。以下、インクジェット用のインクのことを「インク」と記載することがある。
<インク>
本発明のインクは、樹脂粒子を含有するインクジェット用のインクである。本発明のインクは、色材を含有しない、クリアインクであってもよく、この場合、インクは無色、乳白色、ないしは白色であることが好ましい。クリアインクとする場合は、純水で50倍(質量倍)に希釈したインクの吸光スペクトルが、400nm乃至800nmの範囲においてピークを有さず、かつ400nm乃至800nmの範囲におけるabs値が1.0以下であることが好ましい。以下、本発明のインクジェット用のインクを構成する成分について詳細に説明する。
(樹脂粒子)
本発明のインクは、ポリオレフィン系の共重合体により形成された樹脂粒子を含有する。前記共重合体は、α−オレフィン重合体に由来するユニット(X)、α,β−エチレン性不飽和酸単量体に由来するユニット(A)、及び前記α,β−エチレン性不飽和酸単量体以外のα,β−エチレン性不飽和単量体に由来するユニット(B)を有する。
ユニット(X)を構成するα−オレフィン重合体は、エチレン単位、プロピレン単位などのα−オレフィン単位を主構成単位とする。このα−オレフィン重合体は、エチレンの単独重合体やプロピレンの単独重合体であってもよく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、及び4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンの共重合体であってもよい。共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの共重合体の組み合わせなどを挙げることができる。
樹脂粒子を構成する共重合体の重量平均分子量は、400,000以上1,000,000以下であり、好ましくは600,000以上900,000以下である。重量平均分子量が上記範囲内である共重合体で形成された樹脂粒子を用いることで、耐擦過性及び耐ブロンズ性に優れた画像を記録可能なインクを得ることができる。樹脂粒子を構成する共重合体の重量平均分子量が400,000未満であると、十分な量の樹脂粒子が画像上に残らないため、所望の耐擦過性及び耐ブロンズ性を得ることができない。一方、共重合体の重量平均分子量が1,000,000を超えると、酸変性したα−オレフィン重合体であっても膜化しにくくなり、得られる画像の耐擦過性が向上しない。
α−オレフィン重合体の重量平均分子量は、200,000以上990,000以下であることが好ましく、400,000以上800,000以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であるα−オレフィン重合体を用いることで、重量平均分子量が前述の範囲内である共重合体を得ることができる。
ユニット(X)を構成するα−オレフィン重合体の密度は、850kg/m3以上940kg/m3以下であることが好ましい。密度が上記範囲内であるα−オレフィン重合体を用いることで、より優れたブロンズ抑制効果を得ることができる。α−オレフィン重合体の密度が850kg/m3未満であると、α−オレフィン重合体自体及び樹脂粒子の強度が低下してしまい、耐擦過性が低下する傾向にある。一方、α−オレフィン重合体の密度が940kg/m3を超えると、樹脂粒子を構成する共重合体の屈折率が上昇し、顔料の表面で反射される光量が増加しやすくなる。このため、顔料本来の色とは異なる色の反射量が増加し、ブロンズ現象が生じやすくなる傾向にある。
樹脂粒子を構成する共重合体中のユニット(X)の含有量は、樹脂粒子全質量を基準として、55.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。共重合体中のユニット(X)の含有量が55.0質量%未満であると、α−オレフィン重合体の量が少なすぎてしまい、画像の耐擦過性が不十分となる場合がある。一方、共重合体中のユニット(X)の含有量が80.0質量%を超えると、共重合体中のユニット(A)及びユニット(B)の割合が相対的に減少するため、膜化が進行しにくくなり、画像の耐擦過性が低下する場合がある。なお、α−オレフィン重合体は公知の方法で重合することができる。
樹脂粒子を構成する共重合体の酸価は、20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好ましい。共重合体の酸価が20mgKOH/g未満であると、液媒体中の樹脂粒子の分散性が不十分となる傾向にある。一方、共重合体の酸価が80mgKOH/gを超えると、画像の耐擦過性が低下する傾向にある。
重合によりユニット(A)の構成成分となるα,β−エチレン性不飽和酸単量体は、酸基(アニオン性基)を有する単量体である。α,β−エチレン性不飽和酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのカルボン酸基を有する単量体及びその誘導体;スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン、ビニルスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体及びその誘導体;2−ホスホン酸エチル(メタ)アクリル酸エステル、ビニルホスホン酸などのリン酸基を有する単量体及びその誘導体を挙げることができる。α,β−エチレン性不飽和酸単量体は、塩、無水物であってもよい。α,β−エチレン性不飽和酸単量体の塩としては、上記の単量体のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩などを挙げることができる。α,β−エチレン性不飽和酸単量体のなかでも、α−オレフィン重合体との共重合性の観点から、水素引き抜きによるグラフト化反応が進行しやすい無水マレイン酸が好ましい。
重合によりユニット(B)の構成成分となるα,β−エチレン性不飽和単量体は、α,β−エチレン性不飽和酸単量体以外のもの、すなわち、酸基を有さないα,β−エチレン性不飽和単量体である。以下、「酸基を有さないα,β−エチレン性不飽和単量体」のことを、単に「α,β−エチレン性不飽和単量体」と記載することがある。α,β−エチレン性不飽和単量体の具体例としては、脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;芳香族基を有する単量体;(ポリ)アルキレンオキサイド基を有する単量体などを挙げることができる。
脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどを挙げることができる。芳香族基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、α−メチルスチレンなどを挙げることができる。(ポリ)アルキレンオキサイド基を有する単量体の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのα,β−エチレン性不飽和単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のインクに用いる樹脂粒子は、インクが記録媒体に付与された後、樹脂粒子同士が変形及び融着して膜化する。このため、樹脂粒子を形成する共重合体は、樹脂粒子の膜化に寄与する必須成分としてα,β−エチレン性不飽和単量体に由来するユニット(B)を有する。樹脂粒子が膜化しないと、樹脂粒子を構成する共重合体の分子量が大きいため、分子同士の滑り性が高くなり、画像の耐擦過性が低下する場合がある。
また、本発明のインクに用いる樹脂粒子を構成する共重合体は、一般的なインクジェット用のインクに用いられる樹脂粒子を構成する共重合体よりも分子量が大きいため、分子の運動性が低く、変形や融着が起きにくい傾向にある。このため、共重合体の全質量を基準とした、ユニット(B)の含有量(質量%)は、15.0質量%以上40.0質量%以下であることを要する。ユニット(B)の含有量が15.0質量%未満であると、樹脂粒子の膜化が進行しにくくなる。一方、ユニット(B)の含有量が40.0質量%を超えると、膜化は進行するが、共重合体中のユニット(X)の量が相対的に減少するため、画像の耐擦過性が低下する。
α,β−エチレン性不飽和単量体としては、その単独重合体のガラス転移温度が−20℃以下の単量体が好ましい。このようなα,β−エチレン性不飽和単量体に由来するユニット(B)を有する共重合体を用いることで、樹脂粒子の膜化が特に進行しやすくなり、画像の耐擦過性をより向上させることができる。単独重合体のガラス転移温度が−20℃以下の単量体の具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、及び(メタ)アクリル酸n−ラウリルなどを挙げることができる。
樹脂粒子を形成する共重合体は、本発明の効果を損なわない限り、α,β−エチレン性不飽和酸単量体やα,β−エチレン性不飽和単量体以外の「その他の単量体」に由来するユニットを有していてもよい。使用可能なその他の単量体としては、重合可能な二重結合を2以上有する架橋性不飽和単量体などを挙げることができる。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、60nm以上300nm以下であることが好ましく、100nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の体積平均粒子径が60nm未満であると、記録媒体の内部に浸透する樹脂粒子の割合が増加するとともに、記録媒体の表面上に残存する樹脂粒子の割合が減少する。このため、耐擦過性及び耐ブロンズ性が低下する場合がある。一方、樹脂粒子の体積平均粒子径が300nmを超えると、記録ヘッドの吐出口やインク流路に樹脂粒子が付着しやすくなる。このため、インクジェット用のインクに要求される吐出安定性が低下する場合がある。
なお、樹脂粒子の体積平均粒子径は、例えば、インクから分取した樹脂粒子を純水に分散させて、含有量を0.02%程度とした液体を測定試料とし、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を使用して測定することができる。動的光散乱方式の粒度分布測定装置としては、例えば、商品名「UPA−EX150」(日機装製)などを使用することができる。また、測定条件は、例えば、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5などとすればよい。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の樹脂)
本発明のインクには、上記の樹脂粒子以外にもその他の樹脂を含有させることができる。その他の樹脂は、樹脂粒子をさらに安定して分散させるための分散剤として添加してもよく、画像の耐マーカー性などの堅牢性を向上させる成分として添加してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、アクリル酸系樹脂などを挙げることができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの塩などを挙げることができる。また、ロジンなどの天然樹脂を用いることもできる。これらの樹脂は、塩基を溶解した水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であってもよく、乳化重合やソープフリー重合で得られた樹脂で形成された樹脂粒子であってもよい。なかでも、その他の樹脂としては、前述のα,β−エチレン性不飽和酸単量体及びα,β−エチレン性不飽和単量体を用いて得られる樹脂が好ましい。
インク中のその他の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以下であることが好ましい。また、樹脂粒子の含有量(質量%)と、その他の樹脂の含有量(質量%)の合計は、インク全質量を基準として、0.3質量%以上7.0質量%以下であることが好ましい。
(樹脂粒子の製造方法)
本発明のインクに含有させる樹脂粒子は、α,β−エチレン性不飽和酸単量体及びα,β−エチレン性不飽和単量体によってα−オレフィン重合体を変性させて得ることができる。α−オレフィン重合体の変性は、例えば、溶液法、溶融法、及び混練法などの公知の方法によって行うことが可能である。
溶液法は、軟化点以上の温度に加熱して有機溶剤に溶解させたα−オレフィン重合体と、α,β−エチレン性不飽和酸単量体及びα,β−エチレン性不飽和単量体とを、有機過酸化物などのラジカル発生剤の存在下で反応させる方法である。溶融法は、軟化点以上に加熱して溶融させたα−オレフィン重合体と、α,β−エチレン性不飽和酸単量体及びα,β−エチレン性不飽和単量体とを混合し、有機過酸化物などのラジカル発生剤存在下で反応させる方法である。混練法は、α−オレフィン重合体、α,β−エチレン性不飽和酸単量体、α,β−エチレン性不飽和単量体、及び有機過酸化物などのラジカル発生剤の混合物を、混練機を使用してα−オレフィン重合体の軟化点以上の温度で混錬する方法である。混練機としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などを使用することができる。
α,β−エチレン性不飽和酸単量体、α,β−エチレン性不飽和単量体、及びラジカル発生剤の添加方法としては、一括添加、溶液に希釈して添加、分割添加、及び滴下による連続式の添加など適宜選択することができる。また、添加順序も適宜選択することができる。α−オレフィン重合体の変性反応は多段で行ってもよい。α−オレフィン重合体の変性反応を多段で行う際には、各反応器及び方法を適宜組み合わせて使用することができる。また、反応終了後に減圧工程を設け、残留したα,β−エチレン性不飽和酸単量体、α,β−エチレン性不飽和単量体、ラジカル発生剤及びその分解物、有機溶剤などを除去することもできる。
ラジカル発生剤として用いる有機過酸化物は、その骨格中に炭素原子を有する過酸化物が好ましい。なかでも、水素引き抜き効果を有するラジカルを発生させることが可能な過酸化物が好ましい。有機過酸化物の具体例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アルキルパーオキシカーボネートなどを挙げることができる。これらの有機過酸化物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶液法によりα−オレフィン重合体を変性させる際に用いる有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、へプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロへプタン、メチルシクロヘプタンなどの飽和脂環式炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアルキレート類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのジアルキレングリコールアルキルエーテルアルキレート類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチルなどのエチレン性の二重結合を含まないエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのエチレン性の二重結合を含まないケトン類;n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジオキサンなどのエチレン性の二重結合を含まないエーテル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
α−オレフィン重合体を変性させる際の反応温度については特に限定されない。但し、α,β−エチレン性不飽和酸単量体、α,β−エチレン性不飽和単量体、及び有機過酸化物などが均一に分散するように、α−オレフィン重合体が溶融又は有機溶剤に溶解する温度以上で変性させることが好ましい。具体的には、100℃以上で変性させることが好ましい。また、有機過酸化物によるα−オレフィン重合体の分子量の低下を抑制するため、あまり高温で変性させないことが好ましい。具体的には、200℃以下で変性させることが好ましい。
α−オレフィン重合体を変性させる際の圧力については特に限定されないが、0.10MPa以上10MPa以下とすることが好ましく、0.11MPa以上5MPa以下とすることがさらに好ましい。適度な加圧下で変性させることで、ラジカル重合の停止反応や成長反応を抑制することができ、所望の変性をさせることができるために好ましい。これは、反応温度を下げても溶融や溶解が進行し、得られる共重合体の分子量の低下を抑制することができるためである。
重合反応によって得られた共重合体を分散媒中に分散させれば、樹脂粒子を含む分散液を得ることができる。例えば、得られた共重合体を溶融させて塩基性化合物を加えた後、分散媒をさらに加えて乳化させることで樹脂粒子の分散液を得ることができる。得られた分散液には、安定性を調整するための安定剤を添加することができる。安定剤としては、ニトロソフェニルヒドロキシ化合物類、フォスファイト化合物類、ペンタエリスリトールエステル類などの化合物を挙げることができる。これらの安定剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
乳化方法としては、メカニカル法及び転相法などがある。メカニカル法は、高温下で溶融させた共重合体と、塩基性化合物、有機溶剤、及び水とを混合し、ホモジナイザーを通して水中油型エマルションを製造する方法である。転相法は、高温下で溶融させた共重合体と、塩基性化合物、有機溶剤、及び一部の水とを混合して油中水型エマルションを形成させた後、反転水を添加して水中油型エマルションに相転移させる方法である。また、高剪断型の回転式乳化分散機を用いて水中油型エマルションを形成させるメカニカル法を用いることもできる。
なかでも、メカニカル法と転相法を組み合わせた方法が好ましい。具体的には、得られた共重合体を有機溶媒に溶解させた後、予め水溶液化しておいた界面活性剤及び塩基性化合物を投入する。次いで、プロペラ式撹拌機にて液体が均一になるまで1〜120分予備分散させた後に、高剪断型の回転式乳化分散機を用いて乳化させる。そして、残留する有機溶媒を減圧濃縮して除去することで、樹脂粒子を含む分散液を得ることができる。また、上記のメカニカル法と転相法を組み合わせた方法を加熱条件下で実施すると、有機溶媒への共重合体の溶解性を高めることができるため好ましい。但し、温度が高すぎるとユニット(X)の含有量が減少する場合があるため、150℃以下とすることが好ましい。
塩基性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、プロパノールアミン、2−メチル−2−アミノプロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのアミン類を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。塩基性化合物の使用量は特に限定されない。具体的には、樹脂粒子の分散液のpHが6〜11となる量が好ましく、pHが7〜9となる量がさらに好ましい。分散液のpHを6〜11とすると、樹脂粒子を構成する共重合体中のカルボン酸基などのアニオン性基が中和され、安定に分散させることができる。
分散媒としては、有機溶剤のみ、又は、水と有機溶剤の混合溶媒を用いることができる。混合溶媒中の水の含有量は、ユニット(X)100.0質量部に対して、50.0質量部以下であることが好ましく、0.0質量部以上であることが好ましい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどのセロソルブ類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレングリコール類;グリセリンなどの多価アルコール類を挙げることができる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のインクに用いる樹脂粒子を構成する共重合体は、分子量が大きい。このため、分散媒中での樹脂粒子の分散状態を安定化させるために、界面活性剤を乳化剤として用いることが好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などを用いることができる。なかでも、ノニオン性界面活性剤を用いると、安定的に乳化させることができるために好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、ポリアルキレンオキサイド構造を有するものが好ましい。より具体的には、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを挙げることができる。界面活性剤の使用量は、共重合体100.0質量部に対して、0.01質量部以上50.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上20.0質量部以下であることがさらに好ましい。
樹脂粒子の分散液中の樹脂(固形分)の含有量は特に限定されない。但し、取り扱い性を考慮すると、樹脂(固形分)の含有量は1.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上50.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることが好ましい。水としては、脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他の添加剤)
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。インク中の常温で固体の水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、必要に応じて、その他の水溶性樹脂、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、キレート化剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(色材)
本発明のインクは、色材を含有しない、いわゆるクリアインクであってもよいし、色材を含有するインクであってもよい。色材としては、従来公知の顔料を用いることができる。顔料としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドンなどの有機顔料などを用いることができる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、インク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものなどを挙げることができる。また、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量のインクの全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部を備えたインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジであってもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式などを挙げることができる。本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<α−オレフィン重合体の合成>
特開平11−100406号公報の「実施例1」に記載の流動床反応器を用いた気相重合により、α−オレフィン重合体を合成した。具体的には、重合圧力(全圧)を表1に示す値、ガス線速uを25cm/sec、平均滞留時間を表1に示す値、及び排出ガス組成をプロピレン:1−ブタン:水素:窒素(モル比)=91.0:3.78:0.02:5.20として合成した。表1には、乾式自動密度計(商品名「アキュピック1330−03」、マイクロメリティックス製)を使用して気体置換法により測定したα−オレフィン重合体の密度を示す。また、表1には、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定したα−オレフィン重合体の重量平均分子量も示す。
Figure 2015229729
<樹脂粒子の製造>
(樹脂粒子P1)
撹拌機を備えた半流通式オートクレーブにα−オレフィン重合体PP3 100.0部及びトルエン400.0部を入れた。約5分間窒素置換した後、圧力を0.3MPaとし、系内の温度が120℃になるように加熱撹拌した。一方、無水マレイン酸6.5部、n−ラウリルメタクリレート43.5部、及びジ−t−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」、日本油脂製)6.0部をトルエン200.0部に溶解させた混合液を調製した。調製した混合液の全量を、系内の圧力及び温度を保持した状態で30分毎に5回に分けて添加した後、加熱撹拌しながら120℃で2時間反応させた。系内の温度を50℃に下げた後、圧力0.1MPaに減圧してから反応液を大量のメチルエチルケトン中に投入して共重合体を析出させた。析出した共重合体をメチルエチルケトンで数回洗浄して未反応の単量体を除去した後に減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィンを得た。
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた1000mLセパラブルフラスコに、酸変性ポリオレフィン80.0g及びトルエン400.0gを入れ、60℃に加熱して酸変性ポリオレフィンのトルエン溶液を調製した。調製した酸変性ポリオレフィンのトルエン溶液に、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(商品名「エマルゲン106」、花王製)2.0g及び酸価に対して中和当量の0.8当量となる量の水酸化カリウムを溶解させた脱イオン水400.0gを加えた。系内の温度を50℃に保持した状態で十分混合した。高剪断型回転式乳化分散機(商品名「クレアミックスCLM0.8S」、エムテクニック製(ローターR−2、スクリーンS>2.0−24))を使用し、ローター回転数18000rpmで20分間乳化させた後、減圧して残留するトルエンを除去した。ろ過して1μm以上の未乳化物を除去し、樹脂粒子P1の水分散液を得た。得られた樹脂粒子P1の水分散液中の樹脂粒子P1の含有量は20.0%であった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した樹脂粒子P1の重量平均分子量は750,000であり、酸価は50mgKOH/gであった。
(樹脂粒子P2〜P26)
表2−1に示すα−オレフィン重合体の種類及び単量体組成としたこと以外は、前述の樹脂粒子1の製造方法と同様にして、酸変性ポリオレフィンをそれぞれ得た。さらに、得られた酸変性ポリオレフィンをそれぞれ用いたこと以外は、前述の樹脂粒子1の製造方法と同様にして、樹脂粒子P2〜P26の水分散液を得た。得られた水分散液中の樹脂粒子P2〜P26の含有量は、いずれも20.0%であった。得られた樹脂粒子P1〜P26の各種物性値を表2−2に示す。なお、表2−1中の略号の意味を以下に示す。また、α,β−エチレン性不飽和酸単量体以外のα,β−エチレン性不飽和単量体についてはガラス転移温度を括弧内に示す。
iBA:アクリル酸i−ブチル(−22℃)
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル(−60℃)
2EHMA:メタクリル酸2−エチルヘキシル(−10℃)
LMA:メタクリル酸ラウリル(−65℃)
AA:アクリル酸
Ml−A:無水マレイン酸
Figure 2015229729
Figure 2015229729
比較例となる2−エチルヘキシルアクリレートと、アクリル酸の共重合体は、以下のようにして合成した。撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル400.0部を入れ、窒素ガスを導入しながら80℃まで昇温させた。2−エチルヘキシルアクリレート46.0部、アクリル酸4.0部、及びt−ブチルパーオキサイド0.8部をエチレングリコールモノブチルエーテル100.0部に溶解させて得た混合液を、30分毎に5回に分けて添加した。加熱撹拌しながら80℃で2時間反応させた後、得られた反応液を大量のメチルエチルケトン中に投入して共重合体を析出させた。析出した共重合体をメチルエチルケトンで数回洗浄して未反応の単量体を除去した後、減圧乾燥して共重合体を合成した。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した共重合体の重量平均分子量は750,000であり、酸価は62mgKOH/gであった。
さらに、得られた共重合体を用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、樹脂粒子P26の水分散液を得た。得られた樹脂粒子P26の水分散液中の樹脂粒子の含有量は20.0%であった。
<クリアインクの調製>
(実施例1〜20、比較例1〜7)
以下に示す各成分を混合した後、ポアサイズが2.5μmであるメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて加圧ろ過してクリアインク1〜26を調製した。なお、ポリエチレングリコールは数平均分子量1,000のものを用いた。また、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。また、「ProxelGXL(S)」は、アビシア製の防黴剤である。このようにして得られた実施例の各クリアインクは無色、乳白色、ないしは白色であり、色材を含有しないものである。また、実施例の各クリアインクは、純水で50倍(質量倍)に希釈したクリアインクの吸光度を測定した際に、400nm乃至800nmの範囲においてピークを有さず、かつ400nm乃至800nmの範囲におけるabs値が1.0以下であった。
・樹脂粒子の水分散液 25.0部
・グリセリン 10.0部
・ポリエチレングリコール 5.0部
・トリメチロールプロパン 5.0部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0部
・アセチレノールE100 0.5部
・ProxelGXL(S) 0.2部
・イオン交換水 51.3部
<顔料分散液の調製>
顔料20.0部、樹脂水溶液(固形分の含有量:20.0%)50.0部、及び水60.0部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を80%としたビーズミルに入れ、回転数1,800rpmで5時間分散させた。ビーズミルとしては、商品名「LMZ2」(アシザワファインテック製)を用いた。顔料としては、ピグメントブルー15:3を用いた。また、樹脂水溶液としては、酸価210mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和して得た水溶液を用いた。分散後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離して凝集成分を除去した。イオン交換水で希釈して、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液を得た。
<顔料インクの調製>
(顔料インク1)
以下に示す各成分を混合した後、ポアサイズが2.5μmであるメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて加圧ろ過して顔料インク1を得た。
・顔料分散液 20.0部
・グリセリン 10.0部
・ポリエチレングリコール 5.0部
・トリメチロールプロパン 5.0部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0部
・アセチレノールE100 0.5部
・ProxelGXL(S) 0.2部
・イオン交換水 56.3部
(顔料インク2)
以下に示す各成分を混合した後、ポアサイズが2.5μmであるメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて加圧ろ過して顔料インク2を得た。
・顔料分散液 8.0部
・樹脂粒子P3の水分散液 25.0部
・グリセリン 7.0部
・ポリエチレングリコール 5.0部
・トリメチロールプロパン 5.0部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0部
・アセチレノールE100 0.5部
・ProxelGXL(S) 0.2部
・イオン交換水 46.3部
<評価>
各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジを、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9500」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に1滴当たりの質量が3.5ナノグラムであるインク滴を8滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。このインクジェット記録装置により、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101」、キヤノン製)に、5cm×5cmのベタ画像を含むパターンを記録して記録物を得た。得られた記録物を常温で24時間保存した後、以下に示す耐擦過性及び耐ブロンズ性について評価した。なお、顔料インク1及びクリアインクは、カートリッジホルダーのシアンインク及びグリーンインクのポジションにそれぞれセットした。また、顔料インク1を記録デューティ80%で付与した後に、顔料インク1を付与した領域に重なるようにクリアインク1〜26を記録デューティ40%でそれぞれ付与し、8パス片方向で画像を記録した。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
(耐擦過性)
記録物の表面(ベタ画像の表面)に未記録の記録媒体の裏面を重ね、未記録の記録媒体を5往復させて記録物の表面と未記録の記録媒体の裏面を擦り合わせた。その後、記録物の表面を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。結果を表3に示す。
A:記録物にほぼキズがついていなかった。
B:記録物にキズがついていたが、軽微であった。
C:記録物に目立つキズがついていた。
(耐ブロンズ性)
記録物の表面(ベタ画像の表面)からの反射光の色付きを目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロンズ性を評価した。結果を表3に示す。
A:反射光にほぼ色づきがなかった。
B:反射光に多少の色づきはあったが、気にならない程度であった。
C:反射光に目立つ色づきがあった。
Figure 2015229729
<顔料インク2の評価>
樹脂粒子を含有するインクである顔料インク2を充填したインクカートリッジを、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9500」、キヤノン製)に搭載した。記録デューティの定義は上記と同様とした。このインクジェット記録装置により、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101」、キヤノン製)に、記録デューティが100%である5cm×5cmのベタ画像を含むパターンを8パス片方向で記録して記録物を得た。得られた記録物を常温で24時間保存した後、前述の耐擦過性及び耐ブロンズ性について評価した。その結果、耐擦過性の評価結果は「A」であり、耐ブロンズ性の評価結果は「A」であった。

Claims (6)

  1. 樹脂粒子を含有するインクジェット用のインクであって、
    前記樹脂粒子が、α−オレフィン重合体に由来するユニット(X)と、α,β−エチレン性不飽和酸単量体に由来するユニット(A)と、前記α,β−エチレン性不飽和酸単量体以外のα,β−エチレン性不飽和単量体に由来するユニット(B)とを有する共重合体により形成され、
    前記共重合体の重量平均分子量が、400,000以上1,000,000以下であり、
    前記共重合体の酸価が、20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であり、
    前記共重合体の全質量を基準とした、前記ユニット(B)の含有量(質量%)が、15.0質量%以上40.0質量%以下であることを特徴とするインク。
  2. 前記α,β−エチレン性不飽和単量体が、ガラス転移温度が−20℃以下の単量体を含む請求項1に記載のインク。
  3. 前記α−オレフィン重合体の密度が、850kg/m3以上940kg/m3以下である請求項1又は請求項2に記載のインク。
  4. 前記共重合体の全質量を基準とした、前記ユニット(X)の含有量(質量%)が、55.0質量%以上80.0質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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