JP2015229600A - 肥料粒子およびその製造方法 - Google Patents

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正浩 松岡
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雅晴 白石
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Abstract

【課題】長期にわたって安定して、かつ液体肥料中の複数種の肥料成分を均等に徐放することが可能な肥料粒子を提供する。
【解決手段】肥料成分を含有する液体肥料と、前記液体肥料を内包するシェルと、を含み、前記シェルは、多糖および多糖誘導体の一方または両方を含む高分子組成物によって構成され、前記多糖および多糖誘導体の重量平均分子量は、4万〜130万である、肥料粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体肥料を内包する肥料粒子およびその製造方法に関する。
肥料は、土壌を農作物の育成に適した状態に調整し、また農作物へ養分を供給する。このように、肥料は、農業分野において重要な役割を果たしている。肥料となる成分(肥料成分)の例には、土壌のpHを調整するためのpH調整剤、および、農作物が必要とする窒素、カリウム、リンなどの三大要素やその他の必須要素および有用要素などを含む化合物、が含まれる。肥料成分は、土壌に散布され、土中に拡散することで、土壌または農作物に作用する。
近年では、上記肥料成分が農作物の生育条件に応じた比率で配合された液体状の肥料(液体肥料)が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。当該液体肥料は、土壌での拡散性や農作物への吸収性をより高めることを目的としている。
液体肥料は、農作物への吸収性が優れている。しかしながら、液体肥料は、拡散性も非常に優れているために、土壌に保持されにくい。また、農作物には、成長過程で継続的に栄養素が供給されることが必要である。そのためには、液体肥料の施肥の頻度を高くすればよいが、その一方で、当該頻度を高めずに液体肥料を継続的に農作物に供給できる技術が望まれている。
上記の技術の一つとして、液体肥料を含有する粒子状の肥料(肥料粒子)が検討されている。当該肥料粒子には、液体肥料およびそれを保持する多孔質粒子からなる肥料粒子が知られている(例えば、特許文献3参照)。また、液体肥料およびそれを内包するポリエステル製のシェルからなる肥料粒子が一部の文献において提案されている(例えば、特許文献4参照)。前者の肥料粒子では、液体肥料は、多孔質粒子の孔を通じて徐々に土壌に放出される。後者の肥料粒子に関わる特許文献4には肥料粒子としての詳細な記載はないが、液体肥料は、シェル中を浸透して徐々に土壌に放出されるものと考えられる。
特開2007−145614号公報 特開2011−105541号公報 特開平06−285358号公報 特開2003−175092号公報
農作物は、成長期に多くの養分を必要とする。農作物によっては生育にかなりの日数を要するものもあり、従って、肥料粒子も長期間の徐放性能が求められることがある。引用文献3、4に記載された肥料粒子では、生育に長期間を要する農作物を生育させるには、徐放期間が不足であった。
また、農作物の栽培では、徐放される肥料成分のバランスも重要である。たとえば、液体肥料中の複数種の肥料成分のそれぞれが均等に徐放されることが望ましい場合がある。
本発明は、長期にわたって安定して、かつ液体肥料中の複数種の肥料成分を均等に徐放することが可能な肥料粒子を提供する。
本発明に係る肥料粒子は、肥料成分を含有する液体肥料と、当該液体肥料を内包するシェルと、を含む。当該シェルは、多糖および多糖誘導体の一方または両方を含む高分子組成物によって構成され、上記多糖および多糖誘導体の重量平均分子量は、4万〜130万である。
また、本発明に係る上記の肥料粒子を製造する方法は、液体肥料が高分子組成物によって内包されている肥料粒子を製造する方法であって、上記高分子組成物および溶剤を含有する油相によって、上記液体肥料を含む第1の水相の液滴を覆い、当該第1の水相の液滴をコアとするコアシェル型の液滴を作製する工程と、当該コアシェル型の液滴シェルを構成している上記油相中の上記高分子組成物を析出させる工程と、を含む。上記高分子組成物は、多糖および多糖誘導体の一方または両方を含み、当該多糖および多糖誘導体の重量平均分子量は、4万〜130万であり、当該多糖および多糖誘導体は、上記油相に溶解もしくは分散している。
本発明によれば、液体肥料を内包するシェルが、多糖および多糖誘導体を含む高分子組成物で構成されていることから、長期にわたって安定して、かつ液体肥料中の複数種の肥料成分を均等に徐放することが可能な肥料粒子を提供することができる。
本実施形態に係る肥料粒子の製造に用いられる二重管滴下装置の一例の構成を概略的に示す図である。
以下、本発明の一実施の形態に係る肥料粒子を説明する。当該肥料粒子は、肥料成分を含有する液体肥料と、当該液体肥料を内包するシェルと、を含み、当該シェルは、多糖および多糖誘導体の一方または両方(以下、「多糖類」とも言う)を含む高分子組成物によって構成されている。
上記のように、上記高分子組成物でシェルが構成されると、肥料粒子からの液体肥料の徐放期間を長くすることができ、かつ、複数種の肥料成分のそれぞれを均等に放出することが可能となる。そのメカニズムは、以下のように推定される。
シェル中に内包されている液体肥料の溶剤(後述の水性媒体)は、シェルを構成する高分子組成物を可塑化させる。多糖類は、水酸基などの極性の高い官能基による親水性と、主鎖や導入された親油性との両方を兼ね備えるので、高分子組成物中の多糖類と液体肥料との相互作用が高められる。これにより、液体肥料中の水性、非水性のいずれの肥料成分も、多糖類に対して、配位などの何らかの結合状態を形成し、例えば多糖類によって被覆された状態を形成する。そして、このような相互作用によって、肥料成分は、例えば、シェル中で、多糖類との相互作用による結合と脱離とを繰り返しながら、シェル中をゆっくりと移動する。このため、上記肥料粒子では、肥料成分の種類に依らず前述のメカニズムが働き、いずれの肥料成分の徐放期間も長くなると共に、ほぼ同一となる。
また、上記多糖類にその他の樹脂を併用して上記高分子組成物を構成する場合では、多糖類による上記の相互作用は、他の樹脂に対して十分に少量であっても発現する。したがって、上記高分子組成物で構成されたシェルでは、上記多糖類がシェル中に存在することになり、多糖類の湿潤による接着が実質的に防止される。このため、上記高分子組成物でシェルを構成することは、肥料粒子同士の付着を防止し、肥料粒子の流動性が好適に確保される。
また、上記のメカニズムは、シェルの外側からの化学的な刺激に対しても適用されることが推測される。例えば、土壌などの栽培床に肥料粒子を散布すると、当該シェルは、栽培床中の微生物による分解活動を受ける。シェルを構成する高分子化合物や樹脂などは、例えば、微生物が産出する酵素などの分解性化合物によって生分解されるが、当該分解性化合物に対しても、シェル中の多糖類が上記のメカニズムで作用し、シェルの生分解の進行が多糖類の存在によって抑制される、と考えられる。このため、上記肥料粒子は、十分な保存安定性と十分な生分解性との両方を兼ね備え得る、と考えられる。
<液体肥料>
上記液体肥料は、肥料成分を含有する液状の組成物である。液体肥料は、肥料成分のみから構成されていてもよいし、肥料成分と溶剤とから構成されていてもよい。たとえば、液体肥料は、固体の肥料成分が上記溶剤に溶解または懸濁された溶液または懸濁液であってもよいし、農作物の育成に好適に作用する有機成分を上記肥料成分として含む液体であってもよい。
上記溶剤は、一種でもそれ以上でもよい。当該溶剤の例には、水、および、アルコール類、ケトン類、エステル類などの有機溶剤、が含まれる。上記溶剤は、水を主成分とすることが好ましい。水を主成分とする上記溶剤の例には、水、および、水と水溶性有機溶剤との混合液であって、水をより多量に含有する混合液、が含まれる。
上記肥料成分は、肥料として植物の生育に有効に作用しうる無機または有機の成分である。当該肥料成分は、一種でもそれ以上でもよい。肥料成分は、所望の元素を所望の量、含有していればよく、上記元素の例には、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Fe、Mn、Cu、Zn、Mo、Cl、O、HおよびCの必須元素、SiおよびNaなどの有用元素、上記元素を含有する成分、および、植物の育成に好適な有機成分、が含まれる。
上記肥料成分の例には、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素(UF)、アセトアルデヒド加工尿素(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素(IBDU)、グアニール尿素(GU)などの窒素質肥料成分;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン、腐植酸リン、焼成リン、重焼リン、苦土過リン酸、ポリリン酸アンモニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン安などのリン酸質肥料成分;塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウムなどのカリウム質肥料成分;珪酸カルシウムなどの珪酸質肥料成分;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどのマグネシウム質肥料成分;生石灰、消石灰、炭酸カルシウムなどのカルシウム質肥料成分;硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガンなどのマンガン質肥料成分;ホウ酸、ホウ酸塩などのホウ素質肥料成分;鉄鋼スラグなどの含鉄肥料成分;が含まれる。
また、上記肥料成分のうちの上記有機成分の例には、抗ストレス性成分が含まれる。当該ストレス性成分は、たとえば、天然物から抽出される。当該抗ストレス性成分の例には、糖類およびアミノ酸が含まれる。
上記糖類の例には、グリセロール、エリトリトール、エリトルロース、エリトロース、トレオース、キシロース、リボース、アラビノース、リキソース、デオキシリボース、リブロース、アラビトール、フルクトース、イノシトール、ラムノース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、グルコン酸、マンノース、アルトロース、イドース、ガラクトース、キノボース、グルカル酸、グロース、ジギタロース、ジギトキソース、シマロース、ソルボース、タガロース、タロース、フコース、プシコース、ガラクチトール、イズロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクトサミン、グルコサミン、フコサミン、マンノサミン、ムラミン酸、カードラン、マルチトール、トレハロース、メリビオース、スクロース、ラクトース、パラチノース、アガロビオース、イソマルトース、キシロビオース、ゲンチオビオース、コージオビオース、コンドロイシン、セロビオース、ソホロース、ニゲロース、ヒアロビウロン酸、マルトース、ラクツロース、ラミナリビオース、ルチノース、グルコシルスクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、セロトリオース、マルトトリオース、メレンジトース、スタキオース、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチンオリゴ糖、セロオリゴ糖、シクロデキストリン、ペクチン、デンプン、アガロース、アミロース、アミロペクチン、アラビナン、アラビノガラクタン、アルギン酸、イヌリン、ガラクタン、キシラン、キチン、キトサン、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、コロミン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、セルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、ペクチン、ペクチン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、マンナン、リケナン、レバンおよびレンチナンが含まれる。
上記アミノ酸の例には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、および、これらのアミノ酸の二量体が含まれる。当該二量体にお例には、シスチンが含まれる。
上記液体肥料における肥料成分の含有量は、例えば、肥料成分の所期の供給量に基づいて適宜に決めることが可能である。たとえば、肥料成分の濃度をより高くすると、肥料粒子からの肥料成分の放出量をより多くすることが可能である。
上記液体肥料は、本発明の効果が得られる範囲において、pH調整剤、増粘剤および酸化防止剤などの他の成分をさらに含有していてもよい。
<シェル>
上記シェルは、高分子組成物で構成されている。当該高分子組成物は、上記多糖類を含む。当該高分子組成物は、当該多糖類のみから構成されていてもよいし、他の樹脂をさらに含有していてもよい。
上記多糖類の重量平均分子量は、所期の徐放性能を得る観点から、4万〜130万である。上記重量平均分子量が4万未満であると、各肥料粒子の徐放量がばらつくことがあり、また肥料粒子の保存安定性が不十分となることがある。上記重量平均分子量が130万を超えると、各肥料粒子の徐放量がばらつくことがある。上記重量平均分子量は、上記の観点から、4万〜100万であることがより好ましい。
上記重量平均分子量(Mw)は、下記式で定義され、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。下記式中、Miはi番目の溶出時間における分子量を表し、Hiはi番目の溶出時間における高さを表す。
(式)
Mw=Σ(Mi×Hi)/Σ(Hi)
上記GPCでは、例えば、カラムには東ソー株式会社製TSKgel−α4000およびTSKgel−α6000)が、検出器には株式会社島津製作所製RID−10Aが、そして、移動層溶媒には、50mMのリチウムブロミド(純正化学製)を溶解させたジメチルスルホキシド(純正化学製、高速液クロ用)が、用いられる。GPCにおける測定温度は、例えば50℃であり、Mwは、例えば、検量線を用いた外挿法によって求めることができる。当該検量線は、例えば、分子量スタンダードとしてデキストラン(アルドリッチ社製、ピークトップ分子量=401300、123600および43500)を用いて作製される。Mwの算出には、例えば、分子量計算ソフトウェア(株式会社島津製作所製L Csolution GPC)が用いられる。
上記多糖類は、前述したように、多糖または多糖誘導体である。本発明において、多糖誘導体とは、多糖の水酸基に官能基を導入した化合物を言う。上記多糖類は、一種でもそれ以上でもよい。
上記多糖の例には、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グリコーゲン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカンおよびアルギン酸が含まれる。
上記多糖類誘導体の例には、例えば多糖がデンプンであるデンプン誘導体であれば、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、メチルデンプン、エチルデンプンなどのエーテル化デンプン;酢酸エステルデンプン、脂肪酸エステルデンプンなどのエステル化デンプン;および、アセチル化酸化デンプンなどのアセチル化デンプン;が含まれる。また上記多糖誘導体の例には、セルロース誘導体、キチン誘導体およびキトサン誘導体などの、デンプン以外の多糖の同様の誘導体、が含まれる。
中でも、デンプンやセルロースなどの、グルコースの重合体の主鎖を有する多糖類は、徐放期間を長くする観点から好ましい。
上記多糖誘導体の疎水性は、置換度で表される。上記置換度は、多糖の一構造単位が有する全ての水酸基のうち、エステル化などによって置換基に置換された水酸基の数の平均値を言う。多糖は、通常、最大で3つの水酸基を有するので、置換度の最大値は3.0である。多糖誘導体は、導入された置換基にもよるが、一般に、置換度が1.5以下であると親水性を、置換度が1.5以上であると疎水性を示す。
上記多糖誘導体は、十分に疎水化されているものが好適に利用できる。例えば、上記多糖誘導体の置換度は、1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。このように、水酸基が置換基で十分に置換された多糖誘導体は、十分な疎水性を有し、徐放期間を長くする観点、および、各肥料成分を均等に徐放する観点、から好ましい。
上記置換度は、例えば、NMRを用いて、あるいは、重量既知の多糖誘導体を過剰のヨウ化水素酸により分解し、生じたヨウ化アルキルを定量することにより算出することによって、求めることができる。また、上記置換度は、置換度が異なる二種類以上の多糖誘導体の混合によって調整することが可能である。
上記多糖類以外の他の樹脂は、多糖類以外の他の公知の樹脂から適宜に決められる。当該他の樹脂は、例えば、合成高分子化合物および天然高分子化合物から適宜に選ばれ、一種でもそれ以上でもよい。上記他の樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン−α−オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;アクリル系樹脂およびスチレン−アクリル樹脂などのアクリル系樹脂;ポリ乳酸、ポリエステルおよびポリヒドロキシアルカノエートなどのポリエステル系樹脂;ポリエーテル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;および、フェノール樹脂、アルキッド樹脂および尿素樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリビニルアルコール樹脂などが含まれる。
上記高分子組成物における上記多糖類の含有量は、0.1〜100質量%の範囲で、シェルにおける多糖類の上記相互作用を十分に発現させることが可能である。上記高分子化合物が上記他の樹脂をさらに含有する場合では、上記含有量は、上記他の樹脂の特性と上記多糖類の上記相互作用との両方を発現させる観点から、0.5〜50質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。上記多糖類の含有量は、例えば、フェノール硫酸法によって求めることが可能である。
上記高分子組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、前述した多糖類および他の樹脂以外のさらなる成分を含有していてもよい。当該さらなる成分の例には、殺菌剤、抗菌剤、農薬、着色剤、および、界面活性剤などの肥料粒子の製造時における取り扱いの安定性を確保、向上させるための成分、が含まれる。
<肥料粒子の好ましい性状>
上記肥料粒子の体積平均粒径は、さまざまな農作物の栽培に適用可能とする観点から、0.1〜5000μmであることが好ましい。
上記肥料粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300EX(日機装株式会社製)により測定される。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.1質量%水溶液10mLに肥料粒子10mgを加え、超音波分散機で2分間分散した後、得られた分散液を湿式セルブロックに投入し、0.04〜1000μmの測定範囲で測定を行い、得られた体積基準の粒度分布のD50(メジアン径)をその肥料粒子の体積平均粒径とする。
また、上記肥料粒子のシェルの平均厚みは、さまざまな農作物の育成に対応し得る適度な徐放性を実現する観点から、0.005〜1250μmであることが好ましい。
上記シェルの平均厚みは、以下のように測定される。すなわち、肥料粒子を熱硬化性のエポキシ樹脂中に固定し、当該エポキシ樹脂の塊をミクロトームによって切断して上記肥料粒子の断面を露出させ、断面が露出した肥料粒子を無作為に5点抽出し、その5点の肥料粒子のシェルの厚さの平均値を求める。得られた平均値を、上記シェルの平均厚みとする。
さらに、肥料粒子の上記体積平均粒径をX、上記平均厚みをYとしたときに、上記平均粒径Xに対する上記平均厚みYの比Y/Xは、0.05〜0.25であることが、肥料成分の徐放量の均一性を高める観点から好ましい。また上記Y/Xは、0.10〜0.23であることが、上記の観点に加えて、徐放期間を長くする観点、および、保存安定性を高める観点、からより好ましい。
<肥料粒子の製造方法>
上記肥料粒子は、高分子組成物および溶剤を含有する油相によって、液体肥料を含む第1の水相の液滴を覆い、上記第1の水相の液滴をコアとするコアシェル型の液滴を作製する工程と、上記コアシェル型の液滴シェルを構成している上記油相中の上記高分子組成物を析出させる工程と、を含む方法によって製造することが可能である。当該方法によれば、上記液体肥料が上記高分子組成物によって内包されている肥料粒子が製造される。
上記コアシェル型の液滴は、例えば、液体肥料の液滴の周囲に、シェルを構成する液体成分の被膜を形成する方法を利用して作製することができる。
上記液体肥料の液滴は、液体肥料の相(第1の水相;W相)と油相(O相)とによる(W相)/(O相)エマルション(W/Oエマルション)を作製することにより、形成することが可能である。具体的には、W相とO相とを混合し、攪拌によってW相をO相中に乳化させることにより、上記液滴を形成することができる。また、上記液体肥料の液滴は、必要に応じて攪拌を施したO相にW相を適度な大きさの液滴として滴下することによっても形成することができる。
上記O相は、前述した高分子組成物と、当該高分子組成物を溶解または分散し、かつ、液体肥料を分散、乳化し得る溶剤と、によって構成される。上記溶剤の例には、公知のハロゲン化炭化水素、ケトン類、エーテル類、エステル類および芳香族炭化水素が含まれる。上記ハロゲン化炭化水素の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンおよび四塩化炭素が含まれる。上記ケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが含まれる。上記エーテル類の例には、テトラヒドロフラン、エチルエーテルおよびイソプロピルエーテルが含まれる。上記エステル類の例には、酢酸エチルおよび酢酸ブチルが含まれる。上記芳香族炭化水素の例には、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
上記O相は、上記多糖類を分散、溶解させる観点から、界面活性剤をさらに含有していてもよい。当該界面活性剤は、例えば溶剤の種類などによって適宜に決めることが可能である。
また、上記多糖類を上記O相に溶解させる観点から、上記多糖類は、上記多糖誘導体であることが好ましい。上記多糖誘導体は、上記O相に均一に相溶しやすい。このため、本実施の形態における前述の相互作用が、シェルの局所的な部分でなくシェル全体で発現し得る。
また、上記多糖類を均一にO相に相溶させる観点から、上記高分子組成物における上記多糖類以外の樹脂は、ポリエステルおよびポリウレタンの一方または両方であることが好ましい。このように他の樹脂を適宜に選ぶことによって、多糖類のO相における相溶性を高めることが可能である。
なお、上記多糖類のシェルにおける存在状態は、以下のように測定される。まず、肥料粒子を熱硬化性のエポキシ樹脂中に埋包し、当該エポキシ樹脂の塊をミクロトームによって切断して上記肥料粒子の断面を露出させ、該肥料粒子のシェルの断面を、透過型走査顕微鏡を用いて100,000倍の倍率で観察し、シェル中の観察される構造によって判定する。シェルの断面に非相溶な島状のドメインが存在しなければ、上記多糖類は、シェル中に相溶した状態で存在している、とみなせる。
上記W相は、上記液体肥料によって構成される。上記O相または上記W相は、W/Oエマルションを安定的に形成し、かつ安定に維持するために、界面活性剤をさらに含有していてもよい。当該界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミン塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、第四級アンモニウム塩、ポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、その他のスルフォン酸塩、脂肪酸塩、および、その他の高分子界面活性剤、が含まれる。
上記界面活性剤は、O相およびW相のいずれに含有されてもよいが、W/Oエマルションを安定的に形成する観点から、O相に含有されることが好ましい。
続いて、液体肥料の液滴の周囲にシェルを構成する液体成分の被膜を形成する。当該被膜は、例えば、W/Oエマルションの作製に際して、上記O相に前述の受遺組成物を溶解もしくは懸濁しておき、上記W相の液滴の表面を覆う当該O相の膜を形成する。具体的には、上記高分子組成物が溶解したO相によるW/Oエマルションを、さらに別の水相であるW相(第2の水相)に混合、撹拌して、W/O/Wエマルションを作製する。
なお、上記第2の水相について、「水を主成分とする」とは、液体肥料におけるそれと同じ意味である。上記第2の水相の組成は、通常は、第1の水相の組成とは異なり、肥料成分を含有しない。しかしながら、第2の水相は、第1の水相と同じであってもよい。
上記コアシェル型の液滴シェルを構成している上記油相中の上記高分子組成物を析出させる工程は、例えば、上記コアシェル型の液滴から上記溶剤を留去することによって行うことが可能である。たとえば、上記W/O/WエマルションのO相に含まれる溶剤を留去することで上記高分子組成物を析出させることにより、上記高分子組成物による、上記W相の液滴の表面を覆う膜状のシェルが形成される。上記O相中の上記溶剤は、例えば、減圧および加熱の一方または両方により、上記W/O/Wエマルションから留去する。
また、上記W相の液滴の表面を覆う膜状のシェルは、例えば、上記W/Oエマルションに、上記シェル成分に対する貧溶媒を徐々に添加し、上記高分子組成物のO相における溶解性を低下させて上記W相の液滴の表面に析出させることによって作製することもできる。
前述のようにシェルを形成してなる粒子は、本発明に係る肥料粒子であり、濾過などの通常の方法によって液相から取り出される。取り出された当該肥料粒子は、必要に応じて通常の方法によって乾燥させることができる。
上記肥料粒子は公知の賦形剤や増粘剤などによって肥料粒子同士を接着させることによって造粒することができる。当該賦形剤の例には、糖、セルロース誘導体、アミノ酸、タンパク質、ポリアクリル酸誘導体、有機塩、無機塩、および、上記熱可塑性樹脂を溶解しない水溶性ポリマー、が含まれる。賦形剤は、一種でも、それ以上の適宜の割合での複数種類の混合物であってもよい。
上記糖の例には、D−マンニトール、アルギン酸ナトリウム、果糖、デキストラン、デキストリン、白糖、D−ソルビトール、ラクトース、ブドウ糖、マルトース、デンプン類およびトレハロースが含まれる。
上記セルロース誘導体の例には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネートが含まれる。
上記アミノ酸の例には、グリシン、アラニン、チロシン、アルギニンおよびリジンが含まれる。
上記タンパク質の例には、ゼラチン、フィブリン、コラーゲンおよびアルブミンが含まれる。
上記ポリアクリル酸誘導体の例には、ポリアクリル酸ナトリウム、および、メタアクリル酸/アクリル酸共重合体(オイドラギット、レーム社製)、が含まれる。「オイドラギット」は、同社の登録商標である。
上記有機塩の例には、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが含まれる。
上記無機塩の例には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが含まれる。
上記熱可塑性樹脂を溶解しない水溶性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールが含まれる。
<効果>
本実施の形態に係る肥料粒子は、肥料成分を含有する液体肥料と、上記液体肥料を内包するシェルとを含み、上記シェルが上記多糖類を含む高分子組成物によって構成され、上記多糖類の重量平均分子量が4万〜130万であることから、長期にわたって安定して、かつ液体肥料中の複数種の肥料成分を均等に徐放することが可能である。
また、上記多糖類がグルコースの重合体の主鎖を有することは、徐放期間を長くする観点からより一層効果的である。
また、上記多糖類が多糖の水酸基の少なくとも一部をエーテル化、エステル化、アルキル化またはアセチル化した化合物であることは、肥料粒子の徐放期間を長くする観点、および、肥料成分の徐放量の均一性を高める観点、からより一層効果的である。
また、上記高分子組成物中の上記多糖類の含有量が上記高分子組成物に対して0.1〜100質量%であることは、肥料粒子の徐放期間を長くする観点、および、肥料成分の徐放量の均一性を高める観点、から効果的である。
また、上記肥料粒子の製造方法は、高分子組成物および溶剤を含有する油相によって、液体肥料を含む第1の水相の液滴を覆い、上記第1の水相の液滴をコアとするコアシェル型の液滴を作製する工程と、上記コアシェル型の液滴シェルを構成している上記油相中の上記高分子組成物を析出させる工程と、を含み、上記高分子組成物が上記多糖類を含み、上記多糖類の重量平均分子量が4万〜130万であり、上記多糖類が上記油相に溶解もしくは分散している。よって、上記製造方法は、長期にわたって安定して、かつ液体肥料中の複数種の肥料成分を均等に徐放することが可能な肥料粒子を提供することができる。
また、上記製造方法において、上記多糖類が上記油相に溶解していることは、液体肥料のより長い、そしてより均等な徐放を実現する観点、からより一層効果的である。
上記肥料粒子は、植物が栽培されている土壌など栽培床に散布される。当該粒子状肥料は、複数種の肥料成分を均等にかつ長期にわたり徐放する。よって、上記肥料粒子は、各肥料成分を経時的に所期の量で植物に供給することができる。上記肥料粒子中の液体肥料は、シェル(上記高分子組成物)を浸透、透過して、上記肥料粒子の外部へ徐放される。
[多糖類の準備]
下記表1に示される多糖類1〜16を用意した。多糖類1〜3、13および14は、コーンスターチ(和光純薬工業株式会社製)をDMSO(非水有機溶媒)に懸濁させ撹拌しながら温度上昇させ、重炭酸ソーダ(触媒)、ラウリン酸ビニルを添加し、反応後水道水中に流し込み、撹拌しながら粉砕、洗浄して多糖類脂肪酸スターチを作製した。分子量、置換度については有機溶媒、昇温温度等の作製条件を変更することで調整した。
多糖類4の酢酸スターチは多糖類1のラウリン酸ビニルを酢酸ビニルに変更して作製した。
多糖類5はメチルスターチでありコーンスターチをエーテル化剤水溶液の存在下でアルカリと反応させて作製した。
多糖類6は、脂肪酸エステルセルロースであり、多糖類1と同様のエステル化により作製した。当該脂肪酸はラウリル酸である。
多糖類7は、酢酸セルロース(和光純薬工業株式会社製)である。
多糖類8は、脂肪酸エステルキトサンであり、多糖類1と同様のエステル化により作製し、当該脂肪酸はラウリル酸である。
多糖類9は、スターチであり、多糖類10は、セルロースであり、多糖類11は、キトサンであり、多糖類12は、キチンである。
多糖類1〜16における重量平均分子量Mwは、前述したGPCによる方法を用いて求めた。また、多糖類1〜8、13〜16における置換度DSは、これらの多糖類のそれぞれをヨウ化水素酸により分解し、生じたヨウ化アルキルを定量することにより、算出によって求めた。MwおよびDSを表1に示す。
Figure 2015229600
[樹脂の準備]
樹脂1〜4を用意した。樹脂1は、ポリ乳酸(PLA)である。樹脂1の重量平均分子量Mwは16700であり、酸価AVは7.2mgKOH/gである。樹脂2は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA、エバフレックスP1203(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、「エバフレックス」は同社の登録商標)である。樹脂3は、ポリエステル(PE)である。樹脂3は、スベリン酸、1,6−オクタンジオールおよびポリエチレングリコール(PEG)600の重縮合によって得た。樹脂3のMwは20100であり、酸価AVは7.0mgKOH/gである。
樹脂4は、ポリウレタン(PU)である。樹脂4は、以下のように調製した。
<ポリウレタンの準備>
まず、ポリエステルポリオールAおよびポリエステルポリオールBを準備した。ポリエステルポリオールAは、3−フェニル−2−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、12−ヒドロキシプロピオン酸およびエチレングリコールの重縮合によって得た。ポリエステルポリオールAの重量平均分子量は4200であり、水酸基価は14.3mgKOH/gである。ポリエステルポリオールBは、ヘキサンニ酸、ビスフェノールAのプロピレングリコール3モル付加物、および、エチレングリコール、の重縮合によって得た。ポリエステルポリオールBの重量平均分子量は5800であり、水酸基価は15.0mgKOH/gである。
次いで、下記成分を下記の量で容器に投入し、撹拌しながら70℃、3時間で反応させ、室温まで冷却し、上記容器に500質量部のヘキサンを添加して、反応生成物であるポリウレタン(PU)を40℃の温風下で24時間乾燥させ、ポリウレタン(PU)を得た。下記ポリエチレングリコールの重量平均分子量は200であり、水酸基価は480mgKOH/gである。また、下記溶剤は、トルエンと酢酸エチルとの、重量比が1:1の混合液である。
ポリエチレングリコール 0.65質量部
ポリエステルポリオールA 3.28質量部
ポリエステルポリールB 3.28質量部
1,4−ブタンジオール 0.65質量部
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート 1.05質量部
2,6−トリレンジイソシアネート 1.05質量部
テトラブトキシチタン 0.10質量部
溶剤 90.00質量部
[肥料粒子1の作製]
<O相の作製>
下記の成分を下記の量で、ホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌することで溶液を得た。
多糖類1 1.00質量部
ポリ乳酸 9.00質量部
酢酸エチル 90.00質量部
この溶液に、HLB10.5であるポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(レオドールTW−O106V、花王株式会社製)2質量部を溶解させ、油相(O相1)を得た。
<W相の作製>
下記の成分を下記の量で、ホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌し、均一な第1の水相(W相)を得た。
硝酸カリウム 1質量部
リン酸 1質量部
トレハロース 2質量部
水 96質量部
<W/Oエマルションの作製>
100質量部のO相1を容器に投入し、ホモジナイザーを用いて1200rpmでO相を撹拌しながら、100質量部の上記W相を20g/分の滴下速度でO相1に滴下し、得られた懸濁液をスターラーを用いて500rpmでさらに30分間撹拌し、油中水型エマルションであるW/Oエマルションを得た。
<W相/O相/W相エマルションの作製>
別の容器に、純水500質量部と、HLBが6.3であるポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン102KG、花王株式会社製)5質量部を投入し、得られた混合液を、スターラーを用いて500rpmで10分間撹拌し、第2の水相W相を得た。続けて、100質量部の前述のW/Oエマルションを10g/分の速度でW相に滴下し、滴下後、さらに30分間の撹拌を継続し、水中油中水型エマルションであるW/O/Wエマルションを得た。
<肥料粒子の作製>
その後、W相/O相/W相エマルションが破裂を生じない程度の減圧度(5Pa)で減圧しながら、24時間撹拌を継続し、O相1に含まれる有機溶剤(酢酸エチル)を留去し、W/O型のマクロカプセルが分散する分散液を得た。得られた分散液を濾布で濾し取り、得られた濾物を25℃で60時間の風乾によって乾燥させることにより、液体状肥料を内包する肥料粒子1を得た。
肥料粒子1の体積平均粒径Xを、レーザー回折式粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300EX(日機装株式会社製)により測定したところ、76μmであった。当該体積平均粒径Xは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.1質量%水溶液10mLに10mgの肥料粒子を加え、超音波分散機で2分間分散した後、得られた分散液を湿式セルブロックに投入することにより0.04〜1000μmの測定範囲で上記測定装置によって測定された、体積基準の粒度分布のD50(メジアン径)である。
また、肥料粒子1のシェルの平均厚みYを求めたところ、16μmであった。上記平均厚みYは、肥料粒子1を熱硬化性のエポキシ樹脂に埋包し、当該エポキシ樹脂の塊をミクロトームによって切断して肥料粒子1の断面を露出させ、断面が露出した肥料粒子1を無作為に5点抽出し、その5点の肥料粒子1のシェルの厚さの平均値である。
さらに、肥料粒子1の、体積平均粒径Xに対する平均厚みYの比Y/Xは0.21であった。また、上記塊中の肥料粒子1の断面を電子顕微鏡で観察し、多糖類1がシェル中に均一に相溶していることを確認した。
さらに、肥料粒子1の収率は、72%であった。当該収率は、下記式から求めた。下記式中、M1は、一部(例えば5%)の肥料粒子の乾燥重量(g)であり、M2は、当該一部の肥料粒子の製造に用いた高分子組成物の重量(g)である。
(式)
収率(%)=(M1/M2)×100
[肥料粒子2〜33の作製]
O相1に代えて表2および表3に示されるO相2〜33のそれぞれを用いる以外は肥料粒子1と同様にして、肥料粒子2〜33を得た。
肥料粒子2について、Xは82μmであり、Yは18μmであり、Y/Xは0.21であり、収率は71%であった。また、多糖類2はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子3について、Xは86μmであり、Yは16μmであり、Y/Xは0.19であり、収率は70%であった。また、多糖類3はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子4について、Xは92μmであり、Yは17μmであり、Y/Xは0.18であり、収率は72%であった。また、多糖類4はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子5について、Xは91μmであり、Yは21μmであり、Y/Xは0.23であり、収率は74%であった。また、多糖類5はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子6について、Xは90μmであり、Yは22μmであり、Y/Xは0.24であり、収率は75%であった。また、多糖類6はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子7について、Xは87μmであり、Yは22μmであり、Y/Xは0.25であり、収率は73%であった。また、多糖類7はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子8について、Xは92μmであり、Yは22μmであり、Y/Xは0.24であり、収率は72%であった。また、多糖類8はシェル中で均一に相溶していた。
肥料粒子9について、Xは98μmであり、Yは15μmであり、Y/Xは0.15であり、収率は74%であった。また、多糖類9はシェル中で均一に分散していた。肥料粒子10について、Xは85μmであり、Yは15μmであり、Y/Xは0.18であり、収率は75%であった。また、多糖類10はシェル中で均一に分散していた。肥料粒子11について、Xは93μmであり、Yは19μmであり、Y/Xは0.20であり、収率は74%であった。また、多糖類11はシェル中で均一に分散していた。肥料粒子12について、Xは78μmであり、Yは16μmであり、Y/Xは0.21であり、収率は73%であった。また、多糖類12はシェル中で均一に分散していた。
肥料粒子13について、Xは78μmであり、Yは15μmであり、Y/Xは0.19であり、収率は86%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子14について、Xは76μmであり、Yは14μmであり、Y/Xは0.18であり、収率は85%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子15について、Xは79μmであり、Yは11μmであり、Y/Xは0.14であり、収率は74%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
肥料粒子16について、Xは80μmであり、Yは18μmであり、Y/Xは0.22であり、収率は72%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子17について、Xは62μmであり、Yは11μmであり、Y/Xは0.17であり、収率は55%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
肥料粒子18について、Xは96μmであり、Yは22μmであり、Y/Xは0.23であり、収率は45%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子19について、Xは78μmであり、Yは16μmであり、Y/Xは0.21であり、収率は47%であった。また、多糖類9はシェル中で均一に分散していた。肥料粒子20について、Xは76μmであり、Yは15μmであり、Y/Xは0.20であり、収率は48%であった。また、多糖類10はシェル中で均一に分散していた。
肥料粒子21について、Xは73μmであり、Yは14μmであり、Y/Xは0.19であり、収率は71%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子22について、Xは86μmであり、Yは17μmであり、Y/Xは0.20であり、収率は72%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子23について、Xは85μmであり、Yは15μmであり、Y/Xは0.18であり、収率は72%であった。また、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子24について、Xは92μmであり、Yは14μmであり、Y/Xは0.l5であり、収率は70%であった。また、多糖類9はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子25について、Xは91μmであり、Yは16μmであり、Y/Xは0.18であり、収率は72%であった。また、多糖類10はシェル中で均一に相溶していた。
肥料粒子26について、Xは86μmであり、Yは21μmであり、Y/Xは0.24であり、収率は82%であった。肥料粒子27について、Xは78μmであり、Yは18μmであり、Y/Xは0.23であり、収率は85%であった。肥料粒子28について、Xは82μmであり、Yは17μmであり、Y/Xは0.21であり、収率は84%であった。肥料粒子29について、Xは83μmであり、Yは21μmであり、Y/Xは0.25であり、収率は83%であった。肥料粒子26〜29では、シェル中の多糖類の状態の観察はしていない。
肥料粒子30について、Xは86μmであり、Yは19μmであり、Y/Xは0.22であり、収率は86%であった。また、多糖類13はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子31について、Xは85μmであり、Yは15μmであり、Y/Xは0.18であり、収率は72%であった。また、多糖類14はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子32について、Xは78μmであり、Yは18μmであり、Y/Xは0.23であり、収率は74%であった。また、多糖類15はシェル中で均一に相溶していた。肥料粒子33について、Xは80μmであり、Yは16μmであり、Y/Xは0.20であり、収率は71%であった。また、多糖類16はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子34の作製]
<O相およびW相の作製>
下記成分を下記の量でホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌することで溶解させて油相(O相)を得た。また、肥料粒子1のW相と同じ第1の水相(W相)を用意した。
多糖類1 0.50質量部
ポリ乳酸 9.50質量部
レオドールTW−O106V 2.00質量部
酢酸エチル 90.00質量部
<W/Oエマルションの作製>
100質量部の上記O相を容器に投入し、ホモジナイザーを用いて1500rpmでO相を撹拌しながら、100質量部の上記W相を1.0g/分の滴下速度でO相に滴下し、得られた懸濁液を、スターラーを用いて500pmでさらに30分間撹拌し、油中水型エマルションであるW/Oエマルションを得た。
<W/O/Wエマルションの作製>
別の容器に、肥料粒子1のW相と同じ第2の水相(W相)を(500)質量部用意した。スターラーを用いて500rpmでW相を撹拌しながら、100質量部の上記W/Oエマルションを0.5g/分の速度で上記W相に滴下し、滴下後、さらに30分間の撹拌を継続し、水中油中水型エマルションであるW/O/Wエマルションを得た。
<肥料粒子の作製>
/O/Wエマルションが破裂を生じない程度の減圧度(5Pa)で減圧しながら、24時間撹拌を継続し、上記O相に含まれる有機溶剤を留去し、W/O型のマイクロカプセルが分散する分散液を得た。得られた分散液を濾布で濾し取り、得られた濾物を25℃で60時間の風乾によって乾燥させることにより、液体肥料を内包する肥料粒子を得た。得られた肥料粒子を肥料粒子34とする。肥料粒子34のXは0.1μmであり、Yは0.02μmであり、Y/Xは0.20であり、収率は86%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子35の作製]
相滴下時のホモジナイザーの攪拌速度を1100rpm、W相の滴下速度10g/分、W/O/Wエマルションの作製時におけるW/Oエマルションの滴下速度を5g/分、にそれぞれ変更した以外は、肥料粒子32と同様にして、肥料粒子35を得た。肥料粒子35のXは9.2μmであり、Yは1.8μmであり、Y/Xは0.20であり、収率は84%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子36の作製]
相滴下時のホモジナイザーの攪拌速度を800rpm、W相の滴下速度20g/分、W/O/Wエマルションの作製時におけるW/Oエマルションの滴下速度を10g/分、にそれぞれ変更した以外は、肥料粒子32と同様にして、肥料粒子36を得た。肥料粒子36のXは630μmであり、Yは102.7μmであり、Y/Xは0.16であり、収率は72%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子37の作製]
<O相、W相およびW相の用意>
肥料粒子1のW相と同じ油相(O相)、第1の水相(W相)および第2の水相(W相)をそれぞれ用意した。
<W/O/Wエマルションの作製>
図1に示されるような二重管滴下装置(内管の管径(ri):0.5mm、外管の管径(ro):1.0mm)の内管に上記W相を、外管に上記O相を装填した。一方で、400rpmの攪拌速度で攪拌されている上記W相に、上記二重管滴下装置から、W相およびO相を、いずれも0.5g/分の滴下速度で同時に滴下し、W/O/Wエマルションを得た。
なお、上記二重管滴下装置は、図1に示されるように、外管1と、外管1の内側に配置された内管2とを有する。外管1と内管2は二重管構造を構成している。内管2の開口部は、外管1の開口部の内側にあり、外管1の開口部よりもわずかに突出している。外管1および内管2には、それぞれの管に液体を定量的に流すためのシリンダ3、4がそれぞれ接続されている。
<肥料粒子の作製>
/O/Wエマルションが破裂を生じない程度の減圧度(5Pa)で減圧しながら、24時間撹拌を継続し、O相に含まれる有機溶剤を留去し、W/O型のマイクロカプセルが分散する分散液を得た。得られた分散液を濾布で濾し取り、得られた濾物を25℃で60時間の風乾によって乾燥させることにより、液体肥料を内包する肥料粒子を得た。得られた肥料粒子を肥料粒子37とする。肥料粒子37のXは1010μmであり、Yは190.4μmであり、Y/Xは0.19であり、収率は81%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子38の作製]
上記二重管滴下装置に代えて、内管の管径が2.0mm、外管の管径:3.5mmの二重管滴下装置を用い、W相およびO相の滴下速度をいずれも30g/分に変更した以外は、肥料粒子37と同様にして、肥料粒子38を得た。肥料粒子38のXは4960μmであり、Yは885.2μmであり、Y/Xは0.18であり、収率は69%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子39の作製]
<O相およびW相の用意>
下記の成分を下記の量で、ホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌することで溶解させて油相(O相)を得た。また、肥料粒子1のW相と同じ第1の水相(W相)を用意した。
多糖類1 0.50質量部
ポリ乳酸 9.50質量部
酢酸エチル 90.00質量部
<W/Oエマルションの作製>
55質量部の上記O相を容器に投入し、1.4質量部のレオドールTW−O106Vを添加し、ホモジナイザーを用い800rpmで撹拌しながら、145質量部の上記W相を20g/分の滴下速度でO相に滴下し、得られた懸濁液を、スターラーを用い600rpmでさらに30分間撹拌し、油中水型エマルションであるW/Oエマルションを得た。また、肥料粒子1のW相と同じ第2の水相(W相)を用意した。
<肥料粒子の作製>
上記のW/OエマルションおよびW相を用いる以外は、肥料粒子1と同様にして、肥料粒子39を得た。肥料粒子39のXは81μmであり、Yは4.2μmであり、Y/Xは0.052であり、収率は85%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子40の作製]
/Oエマルションの作製におけるO相の量を75質量部、レオドールTW−O106Vの添加量を1.7質量部、W相の滴下量を125質量部、スターラーの攪拌速度を600rpmにそれぞれ変更した以外は、肥料粒子39と同様にして、肥料粒子40を得た。肥料粒子40のXは78μmであり、Yは7.6μmであり、Y/Xは0.10であり、収率は78%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子41の作製]
/Oエマルションの作製におけるO相の量を125質量部、レオドールTW−O106Vの添加量を1.9質量部、W相の滴下量を75質量部、スターラーの攪拌速度を800rpmにそれぞれ変更した以外は、肥料粒子39と同様にして、肥料粒子41を得た。肥料粒子41のXは85μmであり、Yは19.1μmであり、Y/Xは0.22であり、収率は76%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
[肥料粒子42の作製]
/Oエマルションの作製におけるO相の量を135質量部、レオドールTW−O106Vの添加量を1.8質量部、W相の滴下量を65質量部、スターラーの攪拌速度を800rpmにそれぞれ変更した以外は、肥料粒子39と同様にして、肥料粒子42を得た。肥料粒子42のXは76μmであり、Yは18.7μmであり、Y/Xは0.25であり、収率は75%であり、多糖類1はシェル中で均一に相溶していた。
肥料粒子1〜33のO相の組成を表2および表3に示す。表中、「POE−AE」は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王株式会社製「エマルゲン705」、「エマルゲン」は同社の登録商標)である。また、表中、「TCE」は、テトラクロロエチレンを表す。さらに、表中の数値の単位は、質量部である。
Figure 2015229600
Figure 2015229600
また、肥料粒子1〜42における、多糖類の高分子組成物中の含有量CPS(質量%)、X、Y、Y/X、収率、および、シェル中の多糖類の状態、を表4および表5に示す。
Figure 2015229600
Figure 2015229600
[評価]
肥料粒子1〜42のそれぞれについて、徐放性および保存安定性を評価した。
<徐放性>
肥料粒子の徐放性を下記の方法によって測定し、評価した。
まず、肥料粒子1〜42のそれぞれ10gを乳鉢ですりつぶした後、蒸留水200mLと混合し、十分に撹拌して水溶液を作製した後、当該水溶液を1mL採取し、ガラス板にキャストし、乾燥させた。得られたサンプル中のN(窒素)、K(カリウム)、P(リン)を、レーザー誘起ブレイクダウン分光分析装置(装置名;スペクトロレーザー、三洋貿易株式会社製)を用いて定量し、各肥料粒子10gにおけるN、K、Pの初期含有量を求めた。
また、別途、カラムとしてShodex SUGAR KS−801(8.0mmI.D.×300mm)を装着した高速液体クロマトグラフ測定装置(装置名;Prominence、島津製作所製)を用いて、上記水溶液中のトレハロースを定量することにより、各肥料粒子10gにおけるトレハロースの初期含有量を求めた。
次いで、各肥料粒子10gと、予め28℃に調整した蒸留水200mLを容器に投入し、放出試験用サンプルを作製した。放出試験用サンプルにおける肥料成分の溶出量を、0.5日毎に、水相中の肥料成分を上記のように定量することによって測定し、各肥料粒子が含有する上記の各肥料成分の80%を28℃において放出する日数D80を求めた。
さらに、上記肥料成分のD80のうち、最も短い期間の肥料成分のDs80と、最も長い期間の肥料成分のDl80との差dを下記式より求め、肥料粒子における徐放する肥料成分の選択性を以下の基準で評価した。A〜Cであれば、実用上問題ない。
(式)
d=Dl80−Ds80
(基準)
A:dが0.5日以内である。
B:dが1〜1.5日である。
C:dが2〜2.5日である。
D:dが3日以上である。
<保存安定性>
肥料粒子1〜42のそれぞれを、ガラスシャーレに個別に投入し、35℃80%RHの環境下で30日間静置した。静置後の各肥料粒子10gを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に載せ、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、送り幅(篩の振り幅)1mmの振動強度に調節し、10秒間振動を加えた後、篩上に残存した肥料粒子の質量mを測定した。そして、下記式から篩上に残存した肥料粒子の割合(残存率)SRを算出し、算出された残存率より、肥料粒子の流動性を以下の基準で評価した。当該残存率は、保管による肥料粒子の凝集の発生頻度を反映している。A〜Cであれば、実用上問題ない。
(式)
SR(%)={m(g)/10(g)}×100
(評価基準)
A:残存率は0%である。流動性に優れる。
B:残存率は0%より大きく3%以下である。十分に良好な流動性である。
C:残存率は3%より大きく20%以下である。実用上、問題ない流動性である。
D:残存率は20%より大きい。流動性が不十分である。
肥料粒子1〜42における、各肥料成分のD80、dおよびその評価、並びに、保存安定性、を表6および表7に示す。
Figure 2015229600
Figure 2015229600
表6および表7から明らかなように、肥料粒子1〜25および32〜42は、いずれも、例えば14.5〜24日という十分に長い期間で肥料成分を十分に均一に放出する。また、肥料粒子1〜25および32〜42は、いずれも、十分な保存安定性を有している。その一方で、肥料粒子26〜29は、いずれも、肥料粒子1〜25に比べて、肥料成分の選択性が不十分であり、肥料成分を均等に放出する観点から不十分である。以上より、シェルを構成する高分子組成物に多糖類を配合することによって、肥料成分のそれぞれを長期にわたって均一に徐放する肥料粒子をもたらされることが分かる。
また、肥料粒子32、33では肥料成分の徐放の選択性が十分に良好であるのに対して、肥料粒子32、33とは多糖類の重量平均分子量が異なる肥料粒子30、31では、いずれも、肥料成分の徐放性の選択性が不十分である。以上より、多糖類の重量平均分子量を4万〜130万にすることによって、より好ましくは、4万〜100万とすることによって、肥料成分のそれぞれを長期にわたって均一に徐放する肥料粒子をもたらされることが分かる。
また、例えば、肥料粒子1と肥料粒子8との対比や、肥料粒子9と肥料粒子11との対比などから明らかなように、多糖類がグルコースの重合体の主鎖を有することが、徐放期間を長くする観点からより効果的であることが分かる。
また、例えば、肥料粒子9と肥料粒子1〜5との対比や、肥料粒子19と肥料粒子18との対比などから明らかなように、上記多糖類が多糖の水酸基の一部をエーテル化またはエステル化した化合物であることが、肥料粒子の徐放期間を長くする観点、および、肥料成分の徐放量の均一性を高める観点、からより一層効果的であることが分かる。
また、例えば、肥料粒子13〜18や肥料粒子19、20などから明らかなように、上記高分子組成物中の多糖類の含有量が当該高分子組成物に対して少なくとも0.1〜100質量%の範囲で、肥料粒子の徐放期間を長くする観点、および、肥料成分の徐放量の均一性を高める観点、からより効果的であり、当該含有量が1〜20質量%であることが、上記の観点からより一層効果的であることが分かる。
また、例えば、肥料粒子34〜38から明らかなように、肥料粒子の体積平均粒径Xが少なくとも0.1〜5000μmの範囲で、上記の優れた効果が得られることが分かる。
また、例えば、肥料粒子18と肥料粒子21〜23との対比から明らかなように、上記高分子組成物において、合成樹脂を多糖類と併用しても、多糖類を単独で使用した場合と同等の徐放性能および保存安定性が得られることが分かる。また、例えば、肥料粒子21〜23と肥料粒子1との対比から明らかなように、上記高分子組成物において、生分解性の高いポリ乳酸を多糖類と併用しても、生分解性が比較的低い合成樹脂を多糖類と併用した場合と同等かそれ以上の徐放性能および保存安定性が得られることが分かる。
また、例えば、肥料粒子39〜42から明らかなように、肥料粒子の体積平均粒径Xに対するシェルの平均厚みYの比率Y/Xが、0.05〜0.25であることが、肥料成分の徐放量の均一性を高める観点から効果的であり、0.1〜0.25であることが上記の観点からより効果的であり、0.15〜0.23であることが、上記の観点に加えて、徐放期間を長くする観点、および、保存安定性を高める観点、からより一層効果的である。
本発明によれば、十分に長い徐放期間で、各肥料成分を均一に徐放される。また、本発明によれば、生分解性樹脂の一種でもある多糖類によってシェルが構成され、しかも十分な保存安定性が肥料粒子にもたらされる。したがって、本発明によれば、肥料成分の均一な徐放が望ましい植物の栽培への利用の普及のみならず、液体中の有機成分および無機成分のいずれをも同じ速度で放出する、液体封入樹脂カプセル技術の発展および普及が期待される。
1 外管
2 内管
3、4 シリンダ

Claims (7)

  1. 肥料成分を含有する液体肥料と、前記液体肥料を内包するシェルと、を含み、
    前記シェルは、多糖および多糖誘導体の一方または両方を含む高分子組成物によって構成され、
    前記多糖および多糖誘導体の重量平均分子量は、4万〜130万である、
    肥料粒子。
  2. 前記多糖および多糖誘導体は、グルコースの重合体の主鎖を有する、請求項1に記載の肥料粒子。
  3. 前記多糖誘導体は、前記多糖の水酸基の少なくとも一部をエーテル化、エステル化、アルキル化またはアセチル化した化合物である、請求項1または2に記載の肥料粒子。
  4. 前記高分子組成物中の前記多糖および多糖誘導体の含有量は、前記高分子組成物に対して0.1〜100質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の肥料粒子。
  5. 前記肥料粒子の体積平均粒径は、0.1〜5000μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の肥料粒子。
  6. 高分子組成物および溶剤を含有する油相によって、液体肥料を含む第1の水相の液滴を覆い、前記第1の水相の液滴をコアとするコアシェル型の液滴を作製する工程と、前記コアシェル型の液滴シェルを構成している前記油相中の前記高分子組成物を析出させる工程と、を含む、前記液体肥料が前記高分子組成物によって内包されている肥料粒子を製造する方法であって、
    前記高分子組成物は、多糖および多糖誘導体の一方または両方を含み、
    前記多糖および多糖誘導体の重量平均分子量は、4万〜130万であり、
    前記多糖および多糖誘導体は、前記油相に溶解もしくは分散している、
    肥料粒子の製造方法。
  7. 前記多糖および多糖誘導体は、前記油相に溶解している、請求項6に記載の肥料粒子の製造方法。
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