JP2016003169A - 肥料粒子 - Google Patents
肥料粒子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016003169A JP2016003169A JP2014125222A JP2014125222A JP2016003169A JP 2016003169 A JP2016003169 A JP 2016003169A JP 2014125222 A JP2014125222 A JP 2014125222A JP 2014125222 A JP2014125222 A JP 2014125222A JP 2016003169 A JP2016003169 A JP 2016003169A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fertilizer
- particles
- resin
- shell
- metal oxide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Fertilizers (AREA)
Abstract
【課題】高温高湿環境下における防カビ性を有する肥料粒子を提供する。【解決手段】肥料成分を含有する液体肥料と、前記液体肥料を内包する樹脂製のシェルと、前記シェル内または前記シェルの表面に分散されている、光触媒機能を有する金属酸化物粒子と、を有する肥料粒子。前記樹脂は、生分解性を有することが好ましく、前記金属酸化物粒子の熱伝導率は、前記樹脂の熱伝導率よりも高いことが好ましい肥料粒子。【選択図】なし
Description
本発明は、液体肥料を内包する肥料粒子に関する。
肥料は、土壌を農作物の育成に適した状態に調整し、また農作物へ養分を供給する。このように、肥料は、農業分野において重要な役割を果たしている。肥料となる成分(肥料成分)の例には、土壌のpHを調整するためのpH調整剤、および、農作物が必要とする窒素、カリウム、リンなどの三大要素やその他の必須要素および有用要素などを含む化合物、が含まれる。肥料成分は、土壌に散布され、土中に拡散することで、土壌または農作物に作用する。
近年では、上記肥料成分が農作物の生育条件に応じた比率で配合された液体状の肥料(液体肥料)が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。当該液体肥料は、土壌での拡散性や農作物への吸収性をより高めることを目的としている。
液体肥料は、農作物への吸収性が優れている。しかしながら、液体肥料は、拡散性も非常に優れているために、土壌に保持されにくい。また、農作物には、成長過程で継続的に栄養素が供給されることが必要である。そのためには、液体肥料の施肥の頻度を高くすればよいが、その一方で、当該頻度を高めずに液体肥料を継続的に農作物に供給できる技術が望まれている。
上記の技術の一つとして、液体肥料を含有する粒子状の肥料(肥料粒子)が検討されている。当該肥料粒子には、液体肥料およびそれを保持する多孔質粒子からなる肥料粒子が知られている(例えば、特許文献3参照)。また、液体肥料およびそれを内包するポリエステル製のシェルからなる肥料粒子が一部の文献において提案されている(例えば、特許文献4参照)。前者の肥料粒子では、液体肥料は、多孔質粒子の孔を通じて徐々に土壌に放出される。後者の肥料粒子に関わる特許文献4には肥料粒子としての詳細な記載はないが、液体肥料は、シェル中を浸透して徐々に土壌に放出されるものと考えられる。
上記液体肥料を内包した肥料粒子では、液体肥料を含んでいることに起因して、夏場などの高温高湿環境下に置かれた場合に、カビが発生し、腐敗を生じやすいという問題がある。
本発明は、かかる問題に鑑みて、液体肥料を内包していながらも、高温高湿環境下における防カビ性を有する肥料粒子を提供する。
本発明に係る肥料粒子は、肥料成分を含有する液体肥料と、当該液体肥料を内包する樹脂製のシェルと、当該シェル内または当該シェルの表面に分散されている、光触媒の機能を有する金属酸化物粒子と、を有する。
本発明によれば、液体肥料を内包するシェルに上記金属酸化物粒子が接しているので、上記光触媒機能による上記金属酸化物粒子の防カビ作用が上記肥料粒子にもたらされる。よって、本発明によれば、高温高湿環境下における防カビ性を有する肥料粒子を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る肥料粒子を説明する。当該肥料粒子は、肥料成分を含有する液体肥料と、当該液体肥料を内包する樹脂製のシェルと、当該シェル内または前記シェルの表面に分散されている、光触媒機能を有する金属酸化物粒子と、を有する。
上記の構成により、高温高湿環境下において、肥料粒子の保管が可能となり、農作物の生育パターンに合致するよう放出挙動を制御することが可能になった。この効果は、以下のようなメカニズムに従って発現すると推察される。
シェル中もしくはシェルの表面に金属酸化物粒子を含有させることで、シェルの強度が向上する。また、金属酸化物粒子の特有の抗菌作用(光触媒機能)により、カビの発生が防止される。よって、肥料粒子の形状や液体肥料の成分などが維持される。さらに、金属酸化物粒子の熱伝導率が樹脂のそれよりも高い場合には、シェル全体の熱伝導性が向上する。このため、高温高湿環境下においても、シェルの熱膨張が抑制され、当該熱膨張によるシェルの破損が防止される。
以下、上記肥料粒子について詳しく説明する。
以下、上記肥料粒子について詳しく説明する。
<液体肥料>
上記液体肥料は、肥料成分を含有する液状の組成物である。液体肥料は、肥料成分のみから構成されていてもよいし、肥料成分と溶剤とから構成されていてもよい。たとえば、液体肥料は、固体の肥料成分が上記溶剤に溶解または懸濁された溶液または懸濁液であってもよいし、農作物の育成に好適に作用する有機成分を上記肥料成分として含む液体であってもよい。
上記液体肥料は、肥料成分を含有する液状の組成物である。液体肥料は、肥料成分のみから構成されていてもよいし、肥料成分と溶剤とから構成されていてもよい。たとえば、液体肥料は、固体の肥料成分が上記溶剤に溶解または懸濁された溶液または懸濁液であってもよいし、農作物の育成に好適に作用する有機成分を上記肥料成分として含む液体であってもよい。
上記溶剤は、一種でもそれ以上でもよい。当該溶剤の例には、水、および、アルコール類、ケトン類、エステル類などの有機溶剤、が含まれる。上記溶剤は、水を主成分とすることが好ましい。水を主成分とする上記溶剤の例には、水、および、水と水溶性有機溶剤との混合液であって、水をより多量に含有する混合液、が含まれる。
上記肥料成分は、肥料として植物の生育に有効に作用し得る無機または有機の成分である。当該肥料成分は、一種でもそれ以上でもよい。肥料成分は、所望の元素を所望の量、含有していればよく、上記元素の例には、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Fe、Mn、Cu、Zn、Mo、Cl、O、HおよびCの必須元素、SiおよびNaなどの有用元素、上記元素を含有する成分、および、植物の育成に好適な有機成分、が含まれる。
上記肥料成分の例には、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素(UF)、アセトアルデヒド加工尿素(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素(IBDU)、グアニール尿素(GU)などの窒素質肥料成分;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン、腐植酸リン、焼成リン、重焼リン、苦土過リン酸、ポリリン酸アンモニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン安などのリン酸質肥料成分;塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウムなどのカリウム質肥料成分;珪酸カルシウムなどの珪酸質肥料成分;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどのマグネシウム質肥料成分;生石灰、消石灰、炭酸カルシウムなどのカルシウム質肥料成分;硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガンなどのマンガン質肥料成分;ホウ酸、ホウ酸塩などのホウ素質肥料成分;鉄鋼スラグなどの含鉄肥料成分;が含まれる。
また、上記肥料成分のうちの上記有機成分の例には、抗ストレス性成分が含まれる。当該抗ストレス性成分は、例えば、天然物から抽出される。当該抗ストレス性成分の例には、糖類およびアミノ酸が含まれる。
上記糖類の例には、グリセロール、エリトリトール、エリトルロース、エリトロース、トレオース、キシロース、リボース、アラビノース、リキソース、デオキシリボース、リブロース、アラビトール、フルクトース、イノシトール、ラムノース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、グルコン酸、マンノース、アルトロース、イドース、ガラクトース、キノボース、グルカル酸、グロース、ジギタロース、ジギトキソース、シマロース、ソルボース、タガロース、タロース、フコース、プシコース、ガラクチトール、イズロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクトサミン、グルコサミン、フコサミン、マンノサミン、ムラミン酸、カードラン、マルチトール、トレハロース、メリビオース、スクロース、ラクトース、パラチノース、アガロビオース、イソマルトース、キシロビオース、ゲンチオビオース、コージオビオース、コンドロイシン、セロビオース、ソホロース、ニゲロース、ヒアロビウロン酸、マルトース、ラクツロース、ラミナリビオース、ルチノース、グルコシルスクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、セロトリオース、マルトトリオース、メレンジトース、スタキオース、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチンオリゴ糖、セロオリゴ糖、シクロデキストリン、ペクチン、デンプン、アガロース、アミロース、アミロペクチン、アラビナン、アラビノガラクタン、アルギン酸、イヌリン、ガラクタン、キシラン、キチン、キトサン、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、コロミン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、セルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、ペクチン、ペクチン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、マンナン、リケナン、レバンおよびレンチナンが含まれる。
上記アミノ酸の例には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、および、これらのアミノ酸の二量体が含まれる。当該二量体にお例には、シスチンが含まれる。
上記液体肥料における肥料成分の含有量は、例えば、肥料成分の所期の供給量に基づいて適宜に決めることが可能である。たとえば、肥料成分の濃度をより高くすると、肥料粒子からの肥料成分の放出量をより多くすることが可能である。
上記液体肥料は、本発明の効果が得られる範囲において、pH調整剤、増粘剤および酸化防止剤などの他の成分をさらに含有していてもよい。
<シェル>
上記シェルは、樹脂製である。シェルを構成する樹脂は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られる重合体を構成成分として含むことが好ましい。当該樹脂は、一種でもそれ以上でもよい。
上記シェルは、樹脂製である。シェルを構成する樹脂は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られる重合体を構成成分として含むことが好ましい。当該樹脂は、一種でもそれ以上でもよい。
当該樹脂の例には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニルおよびポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂;および、生分解性樹脂;が含まれる。
当該生分解性樹脂の例には、脂肪族ポリエステルおよび芳香族ポリエステルなどのポリエステル樹脂;4−ナイロンなどのポリアミド樹脂;ポリアスパラギン酸などのポリアミノ酸樹脂;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのポリエーテル樹脂;セルロースおよびプルランなどの多糖類;ポリビニルアルコール樹脂;および、ポリ乳酸;が含まれる。上記脂肪族ポリエステルの例には、ポリヒドロキシアルカノエートが含まれる。
上記樹脂は、肥料粒子の生分解の速度を高める観点、および、生分解による崩形性を高めて肥料粒子を徐放後には土壌から消滅させる観点から、生分解性樹脂を含むことが好ましく、生分解性樹脂のみからなることがより好ましい。具体的には、当該樹脂は、ジカルボン酸とジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルのみからなるか、当該脂肪族ポリエステルと、それ以外の生分解性樹脂とを含むことが好ましく、上記脂肪族ポリエステルのみからなることがより好ましい。
上記脂肪族ポリエステルを他の樹脂と併用する場合、当該脂肪族ポリエステルによる効果を十分に発現させる観点から、樹脂全量100質量部に対して、上記脂肪族ポリエステルの含有量が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましい。脂肪族ポリエステルの含有量が多いことは、肥料粒子の生分解の速度および崩形性を高める観点から好ましい。
上記樹脂の分子量は、大きすぎると、肥料粒子の製造における樹脂に係る取り扱い性が低下し、小さすぎると、シェルの機械的な強度が低くなり、また肥料粒子の経時的な安定性が低下する。上記取り扱い性および上記の経時的な安定性の観点から、上記樹脂の重量平均分子量は、5000〜200000であることが好ましく、5000〜100000であることがより好ましく、5000〜50000であることがさらに好ましく、10000〜50000であることがより一層好ましく、10000〜30000であることがさらに一層好ましい。
上記樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のような公知の測定方法によって求めることが可能である。
上記樹脂組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、前述した樹脂および徐放量調整剤以外のさらなる成分を含有していてもよい。当該さらなる成分の例には、殺菌剤、抗菌剤、農薬、着色剤および界面活性剤などの、肥料粒子の製造時における取り扱いの安定性を確保、向上させるための成分、が含まれる。
<金属酸化物粒子>
上記金属酸化物粒子は、シェル内またはシェルの表面に分散されている。すなわち、当該金属酸化物粒子は、シェル内に内添され、あるいはシェルに外添される。当該金属酸化物粒子は、一種でもそれ以上でもよい。
上記金属酸化物粒子は、シェル内またはシェルの表面に分散されている。すなわち、当該金属酸化物粒子は、シェル内に内添され、あるいはシェルに外添される。当該金属酸化物粒子は、一種でもそれ以上でもよい。
上記金属酸化物粒子が上記シェルに内添されるときの上記金属酸化物粒子の添加量は、シェル全量100質量部に対して0.10〜10質量部であることが好ましく、1.0〜5.0質量部であることがより好ましい。また、上記金属酸化物粒子が上記シェルに外添されるときの上記金属酸化物粒子の添加量は、シェル全量100質量部に対して0.10〜10質量部であることが好ましく、1.0〜5.0質量部であることがより好ましい。
また、上記金属酸化物粒子は、光触媒機能を有する。上記金属酸化物粒子に光が照射されることにより、表面から電子が飛び出す。このとき、電子が抜け出た穴、つまり正孔は、プラスの電荷を帯びていて、強い酸化力を持つ。この正孔が、空気中の水分にあるOH−(水酸化物イオン)などから電子を奪い、非常に不安定な状態のOHラジカルを生成する。OHラジカルは強力な酸化力を持つために近くの有機物から電子を奪い、当該ラジカル自身はより安定化する。電子を奪われた有機物中の結合は分断され、最終的には二酸化炭素や水となり、大気中に発散していく。本明細書では、このような光照射により生じた正孔がOHラジカルを生じ、近くの有機物を分解する機能を光触媒機能と言う。
上記金属酸化物粒子は、通常の樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有することが、熱膨張によるシェルの破損を防止する観点から好ましい。また、上記金属酸化物粒子の熱伝導率(λm(W/(m・K)))と上記樹脂の熱伝導率(λr(W/(m・K)))との差(λm−λr(W/(m・K)))は、上記の観点から、0.10W/(m・K)以上であることが好ましく、1.0W/(m・K)以上であることがより好ましい。
上記熱伝導率は、熱線法で測定することができる。具体的には、無限な長さを有すると仮定した均一な円筒状試料の中心に充分細いヒーター線を直線状に張り、それに一定電力を加えると、ヒーター通電後の任意の時刻t1、t2における温度T1、T2の関係は、以下の式で表される。下記式中、λは、試料の熱伝導率(W/(m・K))を表し、qは、ヒーターの単位時間における単位長さ当たりの発熱量(W)を表す。
(T2−T1)=q/(4πλ)・ln(t2/t1)
(T2−T1)=q/(4πλ)・ln(t2/t1)
上記式から理解されるように、ln(t2/t1)と(T2−T1)は直線関係にある。したがって、任意の時刻t1、t2における試料温度T1、T2を測定し、ln(t2/t1)に対して得られた(T2−T1)をプロットした時の直線の傾き、および、既知のqから、熱伝導率λが求められる。
また、当該金属酸化物粒子は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などの疎水性の表面処理剤で表面処理されていてもよい。
上記金属酸化物粒子の例には、二酸化チタン粒子、弁柄粒子、黄鉛粒子、アルミナ粒子、コバルト緑粒子、コバルト青粒子、群青粒子、酸化亜鉛粒子および酸化クロム粒子が含まれる。中でも、二酸化チタンは、周辺環境への影響が低く、使用環境下で安定であり、ハンドリング性が良好であり、さらに光化学的に有機物を分解する活性が高いことから好ましい。二酸化チタンの結晶構造は、アナタース形、ルチル形およびブルッカイト形のいずれでもよいが、中でもアナタース形であることが、光化学的に活性が高く、防腐機能を発揮しやすい観点から好ましい。
<肥料粒子の好ましい性状>
上記肥料粒子の体積平均粒径は、さまざまな農作物の栽培に適用可能とする観点から、0.1〜5000μmであることが好ましい。
上記肥料粒子の体積平均粒径は、さまざまな農作物の栽培に適用可能とする観点から、0.1〜5000μmであることが好ましい。
上記肥料粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300EX(日機装株式会社製)により測定される。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.1質量%水溶液10mLに肥料粒子10mgを加え、超音波分散機で2分間分散した後、得られた分散液を湿式セルブロックに投入し、0.04〜1000μmの測定範囲で測定を行い、得られた体積基準の粒度分布のD50(メジアン径)をその肥料粒子の体積平均粒径とする。
また、上記肥料粒子の、粒度分布のバラツキの指標となる変動係数CV値は、1〜24%の範囲であることが、肥料粒子の粒子径のバラツキに起因する徐放性の変動を抑制する観点から好ましい。
上記体積平均粒径および上記変動係数は、例えば分級によって調整することが可能である。
さらに、上記肥料粒子のシェルの平均厚みは、さまざまな農作物の育成に対応し得る適度な徐放性を実現する観点から、0.005〜1250μmであることが好ましい。
上記シェルの平均厚みは、以下のように測定される。すなわち、肥料粒子を熱硬化性のエポキシ樹脂中に固定し、当該エポキシ樹脂の塊をミクロトームによって切断して上記肥料粒子の断面を露出させ、断面が露出した肥料粒子を無作為に5点抽出し、その5点の肥料粒子のシェルの厚さの平均値を求める。得られた平均値を、上記シェルの平均厚みとする。
さらに、肥料粒子の上記体積平均粒径をX、上記平均厚みをYとしたときに、上記平均粒径Xに対する上記平均厚みYの比Y/Xは、0.05〜0.25であることが、肥料成分の徐放量の均一性を高める観点から好ましい。また上記Y/Xは、0.10〜0.23であることが、上記の観点に加えて、徐放期間を長くする観点、および、保存安定性を高める観点、からより好ましい。
<肥料粒子の製造方法>
上記肥料粒子は、公知の粒子形成法を適宜採用することによって製造することができる。上記肥料粒子の製造方法の例には、液体肥料をコアとし、上記樹脂を構成する重合性単量体をシェルとするコアシェル型の液滴を加熱、撹拌して重合反応により上記肥料粒子を製造する方法、上記樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液をシェルとするコアシェル型の液滴を脱溶剤によって溶剤を留去して上記肥料粒子を製造する方法、および、液体肥料を内包する単核構造の樹脂粒子(コアシェル粒子)を加熱、撹拌により凝集させて上記肥料粒子を製造する方法、が含まれる。
上記肥料粒子は、公知の粒子形成法を適宜採用することによって製造することができる。上記肥料粒子の製造方法の例には、液体肥料をコアとし、上記樹脂を構成する重合性単量体をシェルとするコアシェル型の液滴を加熱、撹拌して重合反応により上記肥料粒子を製造する方法、上記樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液をシェルとするコアシェル型の液滴を脱溶剤によって溶剤を留去して上記肥料粒子を製造する方法、および、液体肥料を内包する単核構造の樹脂粒子(コアシェル粒子)を加熱、撹拌により凝集させて上記肥料粒子を製造する方法、が含まれる。
コアシェル粒子の凝集によって粒子を製造する方法では、液体肥料を内包するより大きなコアシェル粒子と、液体肥料または水性媒体を内包するより小さなコアシェル粒子とを用意すると、より大きなコアシェル粒子の周囲により小さなコアシェル粒子が集まりやすく、上記肥料粒子を容易に製造する観点から好ましい。
上記コアシェル型の液滴は、例えば、液体肥料の液滴の周囲に、シェルを構成する液体成分の被膜を形成する方法を利用して作製することができる。このような方法の例には、多重管滴下法、コアセルベーション法、2次乳化法、およびその他公知の乳化分散液製造法が含まれる。中でも、2次乳化法は、シェル内に液体肥料を分散させる観点から、より好ましい。
上記液体肥料の液滴は、液体肥料の相(第1の水相;W1相)と油相(O相)とによる(W1相)/(O相)エマルション(W1/Oエマルション)を作製することにより、形成することが可能である。具体的には、W1相とO相とを混合し、攪拌によってW1相をO相中に乳化させることにより、上記液滴を形成することができる。また、上記液体肥料の液滴は、必要に応じて攪拌を施したO相にW1相を適度な大きさの液滴として滴下することによっても形成することができる。
上記O相は、上記樹脂または上記重合性単量体と、当該樹脂または当該重合性単量体を溶解または分散し、かつ、液体肥料を分散、乳化し得る溶剤と、によって構成される。上記溶剤の例には、公知のハロゲン化炭化水素、ケトン類、エーテル類、エステル類および芳香族炭化水素が含まれる。上記ハロゲン化炭化水素の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンおよび四塩化炭素が含まれる。上記ケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが含まれる。上記エーテル類の例には、テトラヒドロフラン、エチルエーテルおよびイソプロピルエーテルが含まれる。上記エステル類の例には、酢酸エチルおよび酢酸ブチルが含まれる。上記芳香族炭化水素の例には、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
上記O相は、上記樹脂および上記金属酸化物粒子を分散または溶解させる観点から、界面活性剤をさらに含有していてもよい。当該界面活性剤は、例えば、樹脂、金属酸化物粒子または溶剤の種類によって適宜に決めることが可能である。
上記W1相は、上記液体肥料によって構成される。上記O相または上記W1相は、W1/Oエマルションを安定的に形成し、かつ安定に維持するために、界面活性剤をさらに含有していてもよい。当該界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミン塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、第四級アンモニウム塩、ポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、その他のスルフォン酸塩、脂肪酸塩、および、その他の高分子界面活性剤、が含まれる。
上記界面活性剤は、O相およびW1相のいずれに含有されてもよいが、W1/Oエマルションを安定的に形成する観点から、O相に含有されることが好ましい。
続いて、液体肥料の液滴の周囲にシェルを構成する液体成分の被膜を形成する。当該被膜は、例えば、W1/Oエマルションの作製に際して、上記O相に前述の樹脂成物を溶解もしくは懸濁しておき、上記W1相の液滴の表面を覆う当該O相の膜を形成する。具体的には、上記樹脂組成物が溶解したO相によるW1/Oエマルションを、さらに別の水相であるW2相(第2の水相)に混合、撹拌して、W1/O/W2エマルションを作製する。
なお、上記第2の水相について、「水を主成分とする」とは、液体肥料におけるそれと同じ意味である。上記第2の水相の組成は、通常は、第1の水相の組成とは異なり、肥料成分を含有しない。しかしながら、第2の水相は、第1の水相と同じであってもよい。
上記コアシェル型の液滴シェルを構成している上記油相中の上記樹脂組成物を析出させる工程は、例えば、上記コアシェル型の液滴から上記溶剤を留去することによって行うことが可能である。当該溶剤の留去における加熱温度や撹拌数など諸条件は、例えば実施者の判断で、適宜選択することが可能である。
ここで、本発明の構造をより形成しやすくするために、(1)脱溶剤を途中で止め、コア部の合一を促進させてから粒子を形成すること、や、(2)脱溶剤の速度を緩やかに調整し、コア部が合一するよう粒子を形成すること、などの、肥料粒子の内部構造を制御するための工程を加えることがより好ましい。
また、上記W1相の液滴の表面を覆う膜状のシェルは、例えば、上記W1/Oエマルションに、上記シェル成分に対する貧溶剤を徐々に添加し、上記樹脂組成物のO相における溶解性を低下させて上記W1相の液滴の表面に析出させることによって作製することもできる。
前述のようにシェルを形成してなる粒子は、本発明に係る肥料粒子であり、濾過などの通常の方法によって液相から取り出される。取り出された当該肥料粒子は、必要に応じて通常の方法によって乾燥させることができる。
上記肥料粒子は公知の賦形剤や増粘剤などによって肥料粒子同士を接着させることによって造粒することができる。当該賦形剤の例には、糖、セルロース誘導体、アミノ酸、タンパク質、ポリアクリル酸誘導体、有機塩、無機塩、および、上記シェルを構成する上記樹脂を溶解しない水溶性ポリマー、が含まれる。賦形剤は、一種でも、それ以上の適宜の割合での複数種類の混合物であってもよい。
上記糖の例には、D−マンニトール、アルギン酸ナトリウム、果糖、デキストラン、デキストリン、白糖、D−ソルビトール、ラクトース、ブドウ糖、マルトース、デンプン類およびトレハロースが含まれる。
上記セルロース誘導体の例には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネートが含まれる。
上記アミノ酸の例には、グリシン、アラニン、チロシン、アルギニンおよびリジンが含まれる。
上記タンパク質の例には、ゼラチン、フィブリン、コラーゲンおよびアルブミンが含まれる。
上記ポリアクリル酸誘導体の例には、ポリアクリル酸ナトリウム、および、メタアクリル酸/アクリル酸共重合体(オイドラギット、レーム社製)、が含まれる。「オイドラギット」は、同社の登録商標である。
上記有機塩の例には、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが含まれる。
上記無機塩の例には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが含まれる。
上記樹脂を溶解しない水溶性ポリマーは、シェルを構成する上記樹脂以外の樹脂から適宜に選ばれる。当該水溶性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールが含まれる。
<効果>
以上の説明から明らかなように、上記肥料粒子は、肥料成分を含有する液体肥料と、当該液体肥料を内包する樹脂製のシェルと、当該シェル内または当該シェルの表面に分散されている、光触媒機能を有する金属酸化物粒子と、を有することから、高温高湿環境下で肥料粒子にカビが発生することを防止することができる。
以上の説明から明らかなように、上記肥料粒子は、肥料成分を含有する液体肥料と、当該液体肥料を内包する樹脂製のシェルと、当該シェル内または当該シェルの表面に分散されている、光触媒機能を有する金属酸化物粒子と、を有することから、高温高湿環境下で肥料粒子にカビが発生することを防止することができる。
また、上記樹脂が生分解性を有することは、肥料粒子の生分解の速度および崩形性を高める観点、および、環境への負荷を軽減する観点、からより一層効果的である。
また、上記金属酸化物粒子の熱伝導率が上記樹脂の熱伝導率よりも高いことは、高温高湿環境下におけるシェルの熱膨張による破損を防止する観点から、より一層効果的である。
上記肥料粒子は、植物が栽培されている土壌など栽培床に散布される。上記肥料粒子中の液体肥料は、シェルを浸透、透過して、上記肥料粒子の外部へ徐放される。当該肥料粒子を夏などの高温高湿環境下で保管しても、金属酸化物粒子による防カビ効果によって肥料粒子におけるカビの発生を防止することが可能となる。また、当該肥料粒子の高温高湿環境下での使用では、金属酸化物粒子によるシェルの強化や、肥料粒子の熱膨張によるシェルの破損の防止などから、徐放期間の前半では肥料粒子からの液体肥料の徐放が十分に抑制され、液体肥料の徐放がより必要とされる植物の成長期に、肥料粒子から液体肥料をより多く徐放することが可能となる。
[樹脂の準備]
<樹脂1の合成>
三ツ口フラスコに下記化合物を下記の量で投入し、触媒として0.5質量部のテトラブトキシチタネートを上記三ツ口フラスコに添加し、容器内の空気を減圧し、さらに上記三ツ口フラスコ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、不活性雰囲気で撹拌を行い、230℃に加温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、得られた反応生成物を空冷して反応を停止し、減圧を解除して樹脂1を得た。樹脂1は、ポリエステルであり、ポリヒドロキシアルカノエートに該当する。
パントイン酸 5質量部
γ−ヒドロキシ酪酸 55質量部
バニリン酸 40質量部
<樹脂1の合成>
三ツ口フラスコに下記化合物を下記の量で投入し、触媒として0.5質量部のテトラブトキシチタネートを上記三ツ口フラスコに添加し、容器内の空気を減圧し、さらに上記三ツ口フラスコ内の雰囲気を窒素ガスで置換し、不活性雰囲気で撹拌を行い、230℃に加温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、得られた反応生成物を空冷して反応を停止し、減圧を解除して樹脂1を得た。樹脂1は、ポリエステルであり、ポリヒドロキシアルカノエートに該当する。
パントイン酸 5質量部
γ−ヒドロキシ酪酸 55質量部
バニリン酸 40質量部
樹脂1の重量平均分子量Mwを求めたところ、20300であった。当該Mwは、GPCによって求めた。また、樹脂1の酸価AVを求めたところ、3.0mgKOH/gであった。当該AVは、滴下法によって求めた。さらに、樹脂1は、生分解性を有している。当該生分解性については、肥料粒子として土壌に散布し、30日間放置したときに、残存する肥料粒子の量が、当初の散布量に対して95質量%以下であれば、生分解性を有する、と判定し、99質量%を超える場合は、生分解性を有さない、と判定した。他の樹脂についても同様である。
さらに、樹脂1の熱伝導率を求めたところ、樹脂1の熱伝導率λrは0.31W/(m・K)であった。上記λrは、熱伝導率測定装置(例えば、岩通計測株式会社製)を用いて測定される。
<樹脂2の準備>
樹脂2として、ポリ乳酸(PLA)を準備した。樹脂2のMwは16700であり、AVは7.2mgKOH/gであり、λrは0.30W/(m・K)であった。また、樹脂2は生分解性を有していた。
樹脂2として、ポリ乳酸(PLA)を準備した。樹脂2のMwは16700であり、AVは7.2mgKOH/gであり、λrは0.30W/(m・K)であった。また、樹脂2は生分解性を有していた。
<樹脂3の合成>
まず、ポリエステルポリオールAおよびポリエステルポリオールBを準備した。ポリエステルポリオールAは、3−フェニル−2−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、12−ヒドロキシプロピオン酸およびエチレングリコールの重縮合によって得た。ポリエステルポリオールAの重量平均分子量は4200であり、水酸基価は14.3mgKOH/gである。ポリエステルポリオールBは、ヘキサンニ酸、ビスフェノールAのプロピレングリコール3モル付加物、および、エチレングリコール、の重縮合によって得た。ポリエステルポリオールBの重量平均分子量は5800であり、水酸基価は15.0mgKOH/gである。
まず、ポリエステルポリオールAおよびポリエステルポリオールBを準備した。ポリエステルポリオールAは、3−フェニル−2−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、12−ヒドロキシプロピオン酸およびエチレングリコールの重縮合によって得た。ポリエステルポリオールAの重量平均分子量は4200であり、水酸基価は14.3mgKOH/gである。ポリエステルポリオールBは、ヘキサンニ酸、ビスフェノールAのプロピレングリコール3モル付加物、および、エチレングリコール、の重縮合によって得た。ポリエステルポリオールBの重量平均分子量は5800であり、水酸基価は15.0mgKOH/gである。
次いで、下記成分を下記の量で容器に投入し、撹拌しながら70℃、3時間で反応させ、室温まで冷却し、上記容器に500質量部のヘキサンを添加して、反応生成物を40℃の温風下で24時間乾燥させ、樹脂3を得た。なお、下記ポリエチレングリコールの重量平均分子量は200であり、水酸基価は480mgKOH/gである。また、下記溶剤は、トルエンと酢酸エチルとの、重量比が1:1の混合液である。
ポリエチレングリコール 0.65質量部
ポリエステルポリオールA 3.28質量部
ポリエステルポリオールB 3.28質量部
1,4−ブタンジオール 0.65質量部
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート 1.05質量部
2,6−トリレンジイソシアネート 1.05質量部
テトラブトキシチタン 0.10質量部
溶剤 90.00質量部
ポリエチレングリコール 0.65質量部
ポリエステルポリオールA 3.28質量部
ポリエステルポリオールB 3.28質量部
1,4−ブタンジオール 0.65質量部
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート 1.05質量部
2,6−トリレンジイソシアネート 1.05質量部
テトラブトキシチタン 0.10質量部
溶剤 90.00質量部
樹脂3は、ポリウレタン(PU)であり、樹脂3のMwは8000であり、AVは20mgKOH/gであり、λrは0.12W/(m・K)であった。また、樹脂3は生分解性を有していた。
<樹脂4の合成>
三ツ口フラスコに下記化合物を下記の量で投入し、触媒として0.5質量部のテトラブトキシチタネートを上記三ツ口フラスコに添加し、上記三ツ口フラスコ内の空気を減圧し、さらに窒素ガスで置換し、不活性雰囲気で撹拌を行い、230℃に加温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、得られた反応生成物を空冷して反応を停止させ、減圧を解除して樹脂4を得た。樹脂4は、ポリエステルである。なお、下記ポリエチレングリコールの重量平均分子量は600である。
コハク酸 30質量部
1,2−プロパンジカルボン酸 33質量部
エチレングリコール 15質量部
プロピレングリコール 18質量部
ポリエチレングリコール 4質量部
三ツ口フラスコに下記化合物を下記の量で投入し、触媒として0.5質量部のテトラブトキシチタネートを上記三ツ口フラスコに添加し、上記三ツ口フラスコ内の空気を減圧し、さらに窒素ガスで置換し、不活性雰囲気で撹拌を行い、230℃に加温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、得られた反応生成物を空冷して反応を停止させ、減圧を解除して樹脂4を得た。樹脂4は、ポリエステルである。なお、下記ポリエチレングリコールの重量平均分子量は600である。
コハク酸 30質量部
1,2−プロパンジカルボン酸 33質量部
エチレングリコール 15質量部
プロピレングリコール 18質量部
ポリエチレングリコール 4質量部
樹脂4のMwは23500であり、AVは7.0mgKOH/gであり、λrは0.31W/(m・K)であった。また、樹脂4は生分解性を有していた。
<樹脂5の準備>
樹脂5として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)「スミペックス LG21」(住友化学株式会社製、「スミペックス」は同社の登録商標)を準備した。樹脂5のMwは80000であり、AVは90mgKOH/gであり、λrは0.25W/(m・K)であった。また、樹脂5は生分解性を有していなかった。
樹脂5として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)「スミペックス LG21」(住友化学株式会社製、「スミペックス」は同社の登録商標)を準備した。樹脂5のMwは80000であり、AVは90mgKOH/gであり、λrは0.25W/(m・K)であった。また、樹脂5は生分解性を有していなかった。
<樹脂6の準備>
樹脂6として、ポリ酢酸ビニルを、塩基を用いる常法によって鹸化し、ポリビニルアルコール(PVA)を得た。樹脂6のMwは7000であり、AVは3.0mgKOH/gであり、λrは0.20W/(m・K)であった。また、樹脂6は生分解性を有していた。
樹脂6として、ポリ酢酸ビニルを、塩基を用いる常法によって鹸化し、ポリビニルアルコール(PVA)を得た。樹脂6のMwは7000であり、AVは3.0mgKOH/gであり、λrは0.20W/(m・K)であった。また、樹脂6は生分解性を有していた。
樹脂1〜6の種類、Mw、AV、λrおよび生分解性を表1に示す。
[金属酸化物粒子の準備]
下記に示す金属酸化物粒子1〜9を準備した。
下記に示す金属酸化物粒子1〜9を準備した。
金属酸化物粒子1として、二酸チタン粒子(石原産業株式会社製「A−100」)を準備した。金属酸化物粒子1の結晶構造は、アナタース型であり、平均粒径は150nmである。金属酸化物粒子1の熱伝導率λmを、樹脂の熱伝導率λrと同様に測定したところ、金属酸化物粒子1の熱伝導率λmは8.5W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子2として、酸化クロム粒子(ランクセス(ドイツ)社製)を準備した。金属酸化物粒子2の熱伝導率λmは93W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子3として、黄鉛粒子(不二化成株式会社製)を準備した。金属酸化物粒子3の熱伝導率λmは35W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子4として、アルミナ粒子(昭和電工株式会社製「A−42−2」)を準備した。金属酸化物粒子4の熱伝導率λmは32W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子5として、コバルト緑粒子を準備した。金属酸化物粒子5の熱伝導率λmは100W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子6として、コバルト青粒子を準備した。金属酸化物粒子6の熱伝導率λmは100W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子7として、群青粒子(株式会社尾関製)を準備した。金属酸化物粒子7の熱伝導率λmは100W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子8として、酸化亜鉛粒子(堺化学工業株式会社製「FINEX−30S−LP2」)を準備した。金属酸化物粒子8の熱伝導率λmは25W/(m・K)であった。
金属酸化物粒子9として、弁柄粒子(株式会社尾関製)を準備した。金属酸化物粒子9の熱伝導率λmは55W/(m・K)であった。
[肥料粒子1の作製]
<O相の作製>
下記の成分を下記の量で、ホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌することで溶液を得た。
樹脂1 8.5質量部
金属酸化物粒子1 1.5質量部
酢酸エチル 90.0質量部
<O相の作製>
下記の成分を下記の量で、ホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌することで溶液を得た。
樹脂1 8.5質量部
金属酸化物粒子1 1.5質量部
酢酸エチル 90.0質量部
この溶液に、HLB10.5であるポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン106、花王株式会社製、「エマルゲン」は同社の登録商標)2質量部を溶解させ、油相(O相)を得た。O相における徐放量調整剤1の固体成分に対する含有量は、15質量%である。
<W1相の作製>
下記の成分を下記の量で、ホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌し、均一な第1の水相(W1相)を得た。
硫酸カリウム 2質量部
硫酸アンモニウム 2質量部
リン酸 1質量部
水 95質量部
下記の成分を下記の量で、ホモジナイザーを用い900rpmで30分間撹拌し、均一な第1の水相(W1相)を得た。
硫酸カリウム 2質量部
硫酸アンモニウム 2質量部
リン酸 1質量部
水 95質量部
<W1/Oエマルションの作製>
100質量部のO相を容器に投入し、ホモジナイザーを用いて1200rpmでO相を撹拌しながら、100質量部の上記W1相を20g/分の滴下速度でO相に滴下し、得られた懸濁液を、スターラーを用いて500rpmでさらに30分間撹拌し、油中水型エマルションであるW1/Oエマルションを得た。
100質量部のO相を容器に投入し、ホモジナイザーを用いて1200rpmでO相を撹拌しながら、100質量部の上記W1相を20g/分の滴下速度でO相に滴下し、得られた懸濁液を、スターラーを用いて500rpmでさらに30分間撹拌し、油中水型エマルションであるW1/Oエマルションを得た。
<W1/O/W2エマルションの作製>
別の容器に、純水500質量部と、HLBが6.3であるポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン102KG、花王株式会社製)5質量部を投入し、得られた混合液を、スターラーを用いて500rpmで10分間撹拌し、第2の水相(W2相)を得た。続けて、100質量部の前述のW1/Oエマルションを10g/分の速度でW2相に滴下し、滴下後、さらに30分間の撹拌を継続し、水中油中水型エマルションであるW1/O/W2エマルションを得た。
別の容器に、純水500質量部と、HLBが6.3であるポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン102KG、花王株式会社製)5質量部を投入し、得られた混合液を、スターラーを用いて500rpmで10分間撹拌し、第2の水相(W2相)を得た。続けて、100質量部の前述のW1/Oエマルションを10g/分の速度でW2相に滴下し、滴下後、さらに30分間の撹拌を継続し、水中油中水型エマルションであるW1/O/W2エマルションを得た。
<肥料粒子の作製>
その後、W1/O/W2エマルションが破裂を生じない程度の減圧度(5Pa)で減圧しながら、24時間撹拌を継続し、O相に含まれる有機溶剤(酢酸エチル)を留去し、W/O型のマクロカプセルが分散する分散液を得た。得られた分散液を濾布で濾し取り、得られた濾物を25℃で60時間の風乾によって乾燥させることにより、液体肥料を内包する肥料粒子1を得た。
その後、W1/O/W2エマルションが破裂を生じない程度の減圧度(5Pa)で減圧しながら、24時間撹拌を継続し、O相に含まれる有機溶剤(酢酸エチル)を留去し、W/O型のマクロカプセルが分散する分散液を得た。得られた分散液を濾布で濾し取り、得られた濾物を25℃で60時間の風乾によって乾燥させることにより、液体肥料を内包する肥料粒子1を得た。
肥料粒子1の体積平均粒径Xおよびその変動係数CVを、レーザー回折式粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300EX(日機装株式会社製)により測定したところ、Xは120μmであり、CVは20%であった。
当該体積平均粒径Xは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.1質量%水溶液10mLに10mgの肥料粒子を加え、超音波分散機で2分間分散した後、得られた分散液を湿式セルブロックに投入することにより0.04〜1000μmの測定範囲で上記測定装置によって測定された、体積基準の粒度分布のD50(メジアン径)である。
また、肥料粒子1のシェルの平均厚みYを求めたところ、30μmであった。上記平均厚みYは、肥料粒子1を熱硬化性のエポキシ樹脂に埋包し、当該エポキシ樹脂の塊をミクロトームによって切断して肥料粒子1の断面を露出させ、断面が露出した肥料粒子1を無作為に5点抽出し、その5点の肥料粒子1のシェルの厚さの平均値である。
さらに、肥料粒子1の、体積平均粒径Xに対する平均厚みYの比Y/Xは0.25であった。
[肥料粒子2〜6の作製]
樹脂1を樹脂2〜6のそれぞれに変更する以外は肥料粒子1と同様にして、肥料粒子2〜6のそれぞれを得た。肥料粒子2〜6のXは、いずれも120μmである。
樹脂1を樹脂2〜6のそれぞれに変更する以外は肥料粒子1と同様にして、肥料粒子2〜6のそれぞれを得た。肥料粒子2〜6のXは、いずれも120μmである。
[肥料粒子7〜14の作製]
金属酸化物粒子1を金属酸化物粒子2〜9のそれぞれに変更する以外は肥料粒子1と同様にして、肥料粒子7〜14のそれぞれを得た。肥料粒子7〜14のXは、いずれも120μmである。
金属酸化物粒子1を金属酸化物粒子2〜9のそれぞれに変更する以外は肥料粒子1と同様にして、肥料粒子7〜14のそれぞれを得た。肥料粒子7〜14のXは、いずれも120μmである。
[肥料粒子15の作製]
O相の作製において、金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子1と同様にして、O相を作製し、W/O型のマクロカプセルをろ別した。得られたマイクロカプセルにおける樹脂1の8.5質量部に対して1.5質量部の金属酸化物粒子1を「ヘンシェルミキサー」(日本コークス工業株式会社製)混合した。こうして、上記マイクロカプセルの表面に金属酸化物粒子1が付着してなる肥料粒子15を作製した。肥料粒子15のXは120μmである。
O相の作製において、金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子1と同様にして、O相を作製し、W/O型のマクロカプセルをろ別した。得られたマイクロカプセルにおける樹脂1の8.5質量部に対して1.5質量部の金属酸化物粒子1を「ヘンシェルミキサー」(日本コークス工業株式会社製)混合した。こうして、上記マイクロカプセルの表面に金属酸化物粒子1が付着してなる肥料粒子15を作製した。肥料粒子15のXは120μmである。
[肥料粒子16〜18の作製]
O相に金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子1と同様にして、肥料粒子16を得た。また、O相に金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子5と同様にして、肥料粒子17を得た。さらに、O相に金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子6と同様にして、肥料粒子18を得た。肥料粒子16〜18のXは、いずれも120μmである。
O相に金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子1と同様にして、肥料粒子16を得た。また、O相に金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子5と同様にして、肥料粒子17を得た。さらに、O相に金属酸化物粒子1を添加しなかった以外は、肥料粒子6と同様にして、肥料粒子18を得た。肥料粒子16〜18のXは、いずれも120μmである。
[評価]
肥料粒子1〜18のそれぞれについて、徐放性を評価した。
肥料粒子1〜18のそれぞれについて、徐放性を評価した。
<徐放性>
肥料粒子の徐放性を下記の方法によって測定し、評価した。
まず、肥料粒子1〜20のそれぞれ10gを乳鉢ですりつぶした後、蒸留水200mLと混合し、十分に撹拌して水溶液を作製した。そして、当該水溶液を1mL採取し、ガラス板にキャストし、乾燥させた。得られたサンプル中のN(窒素)、K(カリウム)、P(リン)を、レーザー誘起ブレイクダウン分光分析装置(装置名;スペクトロレーザー、三洋貿易株式会社製)を用いて定量し、各肥料粒子10gにおけるN、K、Pの初期含有量を求めた。
肥料粒子の徐放性を下記の方法によって測定し、評価した。
まず、肥料粒子1〜20のそれぞれ10gを乳鉢ですりつぶした後、蒸留水200mLと混合し、十分に撹拌して水溶液を作製した。そして、当該水溶液を1mL採取し、ガラス板にキャストし、乾燥させた。得られたサンプル中のN(窒素)、K(カリウム)、P(リン)を、レーザー誘起ブレイクダウン分光分析装置(装置名;スペクトロレーザー、三洋貿易株式会社製)を用いて定量し、各肥料粒子10gにおけるN、K、Pの初期含有量を求めた。
次いで、各肥料粒子10gと、予め35℃に調整した蒸留水200mLとを容器に投入し、放出試験用サンプルを作製した。放出試験用サンプルにおける肥料成分の溶出量を、0.5日毎に、水相中の肥料成分を上記のように定量することによって測定した。そして、25℃において各肥料粒子が含有する上記肥料成分の総量の5%を放出する日数D5と、上記肥料成分の総量の80%を放出する日数D80とを求めた。そして、D5およびD80から、肥料粒子の35℃における徐放性を、下記の基準で評価した。A〜Cのいずれかであれば、実用上問題ない。
(基準)
A:D5が10以上であり、かつD80が15以下である。
B:D5が7以上であり、かつD80が20以下である。
C:D5が5以上であり、かつD80が25以下である。
D:D5が5未満である。
(基準)
A:D5が10以上であり、かつD80が15以下である。
B:D5が7以上であり、かつD80が20以下である。
C:D5が5以上であり、かつD80が25以下である。
D:D5が5未満である。
<保存安定性>
肥料粒子1〜20のそれぞれを、ガラスシャーレに個別に投入し、35℃80%RHの環境下で30日間静置した。静置後の各肥料粒子10gを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に載せ、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)にセットし、送り幅(篩の振り幅)1mmの振動強度に調節し、10秒間振動を加えた後、篩上に残存した肥料粒子の質量mRを測定した。そして、下記式から篩上に残存した肥料粒子の割合(残存率)SRを算出し、算出された残存率より、肥料粒子の流動性を以下の基準で評価した。当該残存率は、保管による肥料粒子の凝集の発生頻度を反映している。A〜Cであれば、実用上問題ない。
(式)
SR(%)={mR(g)/10(g)}×100
(基準)
A:残存率は0%である。流動性に優れる。
B:残存率は0%より大きく3%以下である。十分に良好な流動性である。
C:残存率は3%より大きく20%以下である。実用上、問題ない流動性である。
D:残存率は20%より大きい。流動性が不十分である。
肥料粒子1〜20のそれぞれを、ガラスシャーレに個別に投入し、35℃80%RHの環境下で30日間静置した。静置後の各肥料粒子10gを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に載せ、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)にセットし、送り幅(篩の振り幅)1mmの振動強度に調節し、10秒間振動を加えた後、篩上に残存した肥料粒子の質量mRを測定した。そして、下記式から篩上に残存した肥料粒子の割合(残存率)SRを算出し、算出された残存率より、肥料粒子の流動性を以下の基準で評価した。当該残存率は、保管による肥料粒子の凝集の発生頻度を反映している。A〜Cであれば、実用上問題ない。
(式)
SR(%)={mR(g)/10(g)}×100
(基準)
A:残存率は0%である。流動性に優れる。
B:残存率は0%より大きく3%以下である。十分に良好な流動性である。
C:残存率は3%より大きく20%以下である。実用上、問題ない流動性である。
D:残存率は20%より大きい。流動性が不十分である。
<カビの発生>
肥料粒子1〜20のそれぞれをガラスシャーレに収容し、28℃、50%RHの環境下で30日間静置し、静置後のシャーレ内におけるカビの発生状態を目視にて確認し、下記基準により評価した。「−」または「+」であれば、実用上問題ない。
(基準)
−:シャーレ上にカビの生育を全く認めない。
+:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の1/4以下である。
++:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の1/4超1/2以下である。
+++:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の1/2超3/4以下である。
++++:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の3/4を超える。
肥料粒子1〜20のそれぞれをガラスシャーレに収容し、28℃、50%RHの環境下で30日間静置し、静置後のシャーレ内におけるカビの発生状態を目視にて確認し、下記基準により評価した。「−」または「+」であれば、実用上問題ない。
(基準)
−:シャーレ上にカビの生育を全く認めない。
+:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の1/4以下である。
++:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の1/4超1/2以下である。
+++:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の1/2超3/4以下である。
++++:カビの生育部分の面積がシャーレの底面積の3/4を超える。
肥料粒子の粒径X、樹脂の種類とその熱伝導率λr、金属酸化物粒子の種類、熱伝導率λm、および肥料粒子中の樹脂8.5質量部に対する含有量、樹脂の生分解性の有無、および上記評価の結果、を表2に示す。
表2から明らかなように、肥料粒子1〜15は、いずれも、高温高湿環境下での十分な防カビ性を有している。これは、いずれの肥料粒子における金属酸化物粒子も、光触媒機能を有しており、このため、カビの発生が実質的に防止されたため、と考えられる。
また、例えば肥料粒子1、5の対比から明らかなように、生分解性の有無に関わらず、金属酸化物粒子による防カビの効果が十分に得られ、また当該防カビの効果は、肥料粒子の生分解性に実質的に影響を及ぼさないことがわかる。
また、例えば肥料粒子1、15の対比から明らかなように、金属酸化物粒子による防カビの効果は、金属酸化物粒子のシェルへの添加状態が内添、外添のいずれであっても、同様に得られることがわかる。
一方、肥料粒子16〜18は、金属酸化物粒子がシェルに添加されておらず、よって、防カビの効果が得られなかった。
また、シェルの樹脂が生分解性を有する肥料粒子16、18では、保存安定性が不十分であった。これは、カビによるシェルの侵食により液体肥料がシェル内から徐々に漏出してシェルの表面に付着し、肥料粒子の流動性を低下させたため、と考えられる。
また、肥料粒子18では、徐放性が不十分であった。これは、シェルに金属酸化物粒子が含まれていないため、金属酸化物粒子のフィラーとしての機能が得られず、シェルが早期に崩壊し、液体肥料が早期に放出されたため、と考えられる。
本発明によれば、高温高湿環境下での肥料粒子でのカビの発生を防止することが可能である。このような防カビの効果は、上記金属酸化物粒子の外添によっても得られる。したがって、本発明によれば、高温高湿環境下で保管、使用される肥料粒子の利用の普及のみならず、高温高湿環境下での防カビ性が要求される液体封入樹脂カプセルに係る技術の発展および普及が期待される。
Claims (3)
- 肥料成分を含有する液体肥料と、前記液体肥料を内包する樹脂製のシェルと、前記シェル内または前記シェルの表面に分散されている、光触媒機能を有する金属酸化物粒子と、を有する肥料粒子。
- 前記樹脂は、生分解性を有する、請求項1に記載の肥料粒子。
- 前記金属酸化物粒子の熱伝導率は、前記樹脂の熱伝導率よりも高い、請求項1または2に記載の肥料粒子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014125222A JP2016003169A (ja) | 2014-06-18 | 2014-06-18 | 肥料粒子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014125222A JP2016003169A (ja) | 2014-06-18 | 2014-06-18 | 肥料粒子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016003169A true JP2016003169A (ja) | 2016-01-12 |
Family
ID=55222722
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014125222A Pending JP2016003169A (ja) | 2014-06-18 | 2014-06-18 | 肥料粒子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016003169A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190071608A (ko) * | 2017-12-14 | 2019-06-24 | 주식회사 엘지화학 | 용출 제어형 비료 |
KR20200031472A (ko) * | 2018-09-14 | 2020-03-24 | 주식회사 엘지화학 | 용출제어형 비료를 위한 광분해성 캡슐 및 이를 포함하는 용출제어형 비료 |
KR20200031471A (ko) * | 2018-09-14 | 2020-03-24 | 주식회사 엘지화학 | 용출제어형 비료를 위한 광분해성 캡슐 및 이를 포함하는 용출제어형 비료 |
US11286213B2 (en) | 2018-03-28 | 2022-03-29 | Lg Chem, Ltd. | Controlled-release fertilizers |
Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4925467B1 (ja) * | 1969-04-21 | 1974-07-01 | ||
JPH04219133A (ja) * | 1990-12-19 | 1992-08-10 | Lion Corp | マイクロカプセルの製造方法 |
JPH10212388A (ja) * | 1997-01-31 | 1998-08-11 | Kyoeisha Chem Co Ltd | 光触媒機能を持つ自己崩壊性樹脂組成物 |
JPH10259082A (ja) * | 1997-03-17 | 1998-09-29 | Dainippon Ink & Chem Inc | 緩効性カプセル肥料の製造方法 |
JPH10329261A (ja) * | 1997-06-03 | 1998-12-15 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 高分子材料無機薄膜積層品 |
JP2001114586A (ja) * | 1999-10-20 | 2001-04-24 | Mitsui Touatsu Hiryo Kk | 肥料包装体 |
JP2001226184A (ja) * | 2000-02-21 | 2001-08-21 | Asahi Kasei Corp | 安定性の改良された被覆肥料 |
JP2002066334A (ja) * | 2000-08-31 | 2002-03-05 | Seiren Co Ltd | 光触媒機能を有する耐久シート体及びその製造方法 |
JP2003226587A (ja) * | 2001-11-29 | 2003-08-12 | Isayoshi Iinuma | かき殻肥料 |
JP2004124300A (ja) * | 2002-10-02 | 2004-04-22 | Unitica Fibers Ltd | 抗菌性合成繊維及び抗菌性繊維布帛 |
JP2006321721A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Shinto Paint Co Ltd | 開花、結実促進剤 |
-
2014
- 2014-06-18 JP JP2014125222A patent/JP2016003169A/ja active Pending
Patent Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4925467B1 (ja) * | 1969-04-21 | 1974-07-01 | ||
JPH04219133A (ja) * | 1990-12-19 | 1992-08-10 | Lion Corp | マイクロカプセルの製造方法 |
JPH10212388A (ja) * | 1997-01-31 | 1998-08-11 | Kyoeisha Chem Co Ltd | 光触媒機能を持つ自己崩壊性樹脂組成物 |
JPH10259082A (ja) * | 1997-03-17 | 1998-09-29 | Dainippon Ink & Chem Inc | 緩効性カプセル肥料の製造方法 |
JPH10329261A (ja) * | 1997-06-03 | 1998-12-15 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 高分子材料無機薄膜積層品 |
JP2001114586A (ja) * | 1999-10-20 | 2001-04-24 | Mitsui Touatsu Hiryo Kk | 肥料包装体 |
JP2001226184A (ja) * | 2000-02-21 | 2001-08-21 | Asahi Kasei Corp | 安定性の改良された被覆肥料 |
JP2002066334A (ja) * | 2000-08-31 | 2002-03-05 | Seiren Co Ltd | 光触媒機能を有する耐久シート体及びその製造方法 |
JP2003226587A (ja) * | 2001-11-29 | 2003-08-12 | Isayoshi Iinuma | かき殻肥料 |
JP2004124300A (ja) * | 2002-10-02 | 2004-04-22 | Unitica Fibers Ltd | 抗菌性合成繊維及び抗菌性繊維布帛 |
JP2006321721A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Shinto Paint Co Ltd | 開花、結実促進剤 |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190071608A (ko) * | 2017-12-14 | 2019-06-24 | 주식회사 엘지화학 | 용출 제어형 비료 |
KR102510340B1 (ko) * | 2017-12-14 | 2023-03-15 | 주식회사 엘지화학 | 용출 제어형 비료 |
US11286213B2 (en) | 2018-03-28 | 2022-03-29 | Lg Chem, Ltd. | Controlled-release fertilizers |
KR20200031472A (ko) * | 2018-09-14 | 2020-03-24 | 주식회사 엘지화학 | 용출제어형 비료를 위한 광분해성 캡슐 및 이를 포함하는 용출제어형 비료 |
KR20200031471A (ko) * | 2018-09-14 | 2020-03-24 | 주식회사 엘지화학 | 용출제어형 비료를 위한 광분해성 캡슐 및 이를 포함하는 용출제어형 비료 |
KR102532793B1 (ko) * | 2018-09-14 | 2023-05-12 | 주식회사 엘지화학 | 용출제어형 비료를 위한 광분해성 캡슐 및 이를 포함하는 용출제어형 비료 |
KR102534716B1 (ko) * | 2018-09-14 | 2023-05-18 | 주식회사 엘지화학 | 용출제어형 비료를 위한 광분해성 캡슐 및 이를 포함하는 용출제어형 비료 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Mai et al. | Electrospray biodegradable microcapsules loaded with curcumin for drug delivery systems with high bioactivity | |
JP2016003169A (ja) | 肥料粒子 | |
Nazemi et al. | Synthesis and characterization of poly (lactic‐co‐glycolic) acid nanoparticles‐loaded chitosan/bioactive glass scaffolds as a localized delivery system in the bone defects | |
Aboudzadeh et al. | Fabrication and characterization of poly (D, L‐lactide‐co‐glycolide)/hydroxyapatite nanocomposite scaffolds for bone tissue regeneration | |
Ni et al. | Novel slow-release multielement compound fertilizer with hydroscopicity and moisture preservation | |
Patil et al. | Tuning controlled release behavior of starch granules using nanofibrillated cellulose derived from waste sugarcane bagasse | |
CN102772825B (zh) | 一种具有多孔壳层的plga/碳酸钙复合微球及其制备方法 | |
Giroto et al. | Controlled release from hydroxyapatite nanoparticles incorporated into biodegradable, soluble host matrixes | |
Ruphuy et al. | Spray drying as a viable process to produce nano-hydroxyapatite/chitosan (n-HAp/CS) hybrid microparticles mimicking bone composition | |
JP5257646B2 (ja) | 分散体、分散体の製造方法、リン酸カルシウム中空粒子の製造方法、リン酸カルシウム多孔質体の製造方法、リン酸カルシウム複合微粒子の製造方法、及びそれらの利用 | |
Lin et al. | 5-Fluorouracil encapsulated HA/PLGA composite microspheres for cancer therapy | |
CN104058380A (zh) | 表面多孔的椭球形离子掺杂型羟基磷灰石微球的制备方法 | |
KR102561760B1 (ko) | 항균성 고흡수성 수지의 제조 방법 | |
CN101822961A (zh) | 一种原位制备羟基磷灰石/壳聚糖核壳结构纳米球的方法 | |
Salimi et al. | Characterizations of biocompatible and bioactive hydroxyapatite particles | |
Tithito et al. | Fabrication of biocomposite scaffolds made with modified hydroxyapatite inclusion of chitosan-grafted-poly (methyl methacrylate) for bone tissue engineering | |
Chen et al. | In situ grown fibrous composites of poly (DL-lactide) and hydroxyapatite as potential tissue engineering scaffolds | |
JPH09208457A (ja) | 生体内可溶性複合体粒子 | |
CN113068401A (zh) | 粉末型止血剂组合物及其制备方法 | |
Reiad et al. | Green synthesis of antibacterial chitosan films loaded with silver nanoparticles | |
Ahmed et al. | Preparation of preformed porous PLGA microparticles and antisense oligonucleotides loading | |
Misirli et al. | Preparation and characterization of Mitomycin-C loaded chitosan-coated alginate microspheres for chemoembolization | |
JP2016003168A (ja) | 肥料粒子およびその製造方法 | |
Kim et al. | Fabrication of multifunctional alginate microspheres containing hydroxyapatite powder for simultaneous cell and drug delivery | |
Renó et al. | Optimizing the water-oil emulsification process for developing CPC microspheres |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20161221 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180118 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180123 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20180724 |