JP2015228352A - 導電性粒子 - Google Patents

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博行 井関
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Abstract

【課題】樹脂中への分散性が向上した導電性粒子を提供すること。
【解決手段】少なくとも表面域が酸化スズを含む導電性粒子において、水を用いて測定されたBET比表面積BETH2O(m/g)とBETN2(m/g)との比であるBETH2O/BETN2の値を0.2以上0.7以下とした。BETH2Oが3.0m/g以上35.0m/g以下であることが好適である。また、窒素を用いて測定されたBET比表面積BETN2を15m/g以上50m/g以下とすることが好適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化スズを含有する表面域を有する導電性粒子に関する。
導電性酸化スズ粒子に関する従来の技術としては、例えば下記の特許文献1及び2に記載のものが知られている。特許文献1には、酸素欠陥型酸化スズからなり、酸素とスズとの原子比O/Snが1.75〜1.95である酸化スズ微粒子が記載されている。この酸化スズ微粒子は、アンチモンを含有していないにもかかわらず、アンチモン含有の酸化スズと同等の導電性を有し、またアンチモンを含有することに起因する特有の黒味がないと、同文献には記載されている。この酸化スズ微粒子は、スズ化合物溶液と、酸又はアルカリ性水溶液とを混合し、この反応の後にリン化合物を添加し沈殿物を生成し、この沈殿物を洗浄、乾燥、粉砕した後、大気下で焼成することで得られる。
特許文献2には、白色無機粉末基材の表面に導電層を有し、該導電層上に表面処理層を有する、アンチモンフリーの表面改質白色導電性粉末が記載されている。表面処理層には有機シラン化合物が含まれている。この表面改質白色導電性粉末は、導電性が良好であり、また導電性の経時安定性に優れていると、同文献には記載されている。
特開2007−331966号公報 特開2010−123302号公報
ところで酸化スズは、これを高温高湿環境下などの過酷な環境下に置くと導電性が劣化する傾向にあることが知られている。特に特許文献1に記載の酸化スズ微粒子は酸素欠陥型のものなので、高温高湿下で酸化が進行しやすく、導電性の劣化が起こりやすい。特許文献2に記載の表面改質白色導電性粉末は、有機シラン化合物を用いた表面改質によって、導電性の経時劣化が抑制される傾向にあるが、この表面改質に起因して、樹脂と混合するときに、樹脂の種類によっては分散性が十分でない場合がある。粉末の樹脂への分散性が十分でない場合には、該樹脂から形成された導電膜の表面平滑性が損なわれやすい。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る導電性粒子を提供することにある。
前記の課題を解決すべく本発明者が鋭意検討した結果、粒子表面の疎水度を調整することが有効であることを知見した。本発明はこの知見に基づきなされたものであり、少なくとも表面域が酸化スズを含む導電性粒子において、
吸着質として水を用いて測定されたBET比表面積BETH2O(m/g)と吸着質として窒素を用いて測定されたBET比表面積BETN2(m/g)との比であるBETH2O/BETN2の値が0.2以上0.7以下である導電性粒子を提供するものである。
本発明の導電性粒子は、これを樹脂中に分散したときの分散性が良好である。したがって、該樹脂から形成した導電膜は、その表面平滑性が良好なものとなる。また本発明の導電性粒子は、これを用いて導電膜を形成した場合、該導電膜を高温高湿下などの過酷な環境下に置いた場合であっても導電性の劣化が抑制される。また、導電性の環境依存性が小さくなる。
図1は、本発明の導電性粒子の好適な製造方法を実施するために好適に用いられる装置を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。なお以下の説明において導電性粒子とは、文脈に応じて個々の粒子を指す場合と、粒子の集合体としての粉体を指す場合とがある。本発明の導電性粒子は、少なくとも表面域が、SnOで表される酸化スズを含んでいる。表面域よりも中心側に位置する中心域は、酸化スズを含んで構成されているか、又は酸化スズ以外の物質から構成されるコア粒子からなる。導電性粒子がその中心域にコア粒子を有する場合、酸化スズを含む表面域は、コア粒子の表面に形成されている。この場合、酸化スズを含む表面域は、コア粒子の表面全域を被覆することができる。表面域は、酸化スズからなっていても良く、あるいは酸化スズ及びその他の物質を含んで構成されていても良い。
導電性粒子がその中心域にコア粒子を有する場合、該コア粒子としては、無機物の粒子及び有機物の粒子のどちらを用いても良い。無機物としては、各種元素、例えば各種金属元素の酸化物、窒化物、炭化物などを用いることができる。また各種元素、例えば各種金属元素の塩を用いることもできる。有機物としては、例えば各種の高分子材料を用いることができる。コア粒子は、水不溶性のものでも良く、あるいは水溶性のものでも良い。後述する導電性粒子の製造方法を考慮すると、コア粒子は水不溶性のものであることが有利である。好ましく用いられるコア粒子としては、例えば金属酸化物である酸化チタン、アルミナ及びシリカや、金属塩である硫酸バリウム等が挙げられる。コア粒子としては、非導電性のもの及び導電性のもののどちらを用いても良い。ここで言う非導電性とは、抵抗率が例えば105Ω・cm以上であることを言う。
コア粒子の形状としては、例えば球状や多面体状が一般的であるが、その他の形状、例えばフレーク状のものを用いても良い。なお、コア粒子の表面に位置する表面域の厚みはコア粒子の粒径よりも十分に小さいものなので、コア粒子と導電性粒子の形状は概ね同じであるとみなすことができる。
コア粒子の粒径は、導電性粒子の具体的な用途に応じて適切に選択される。例えば本発明の導電性粒子を、塗料に添加して導電性を付与する導電性フィラーに用いる場合には、コア粒子はその一次粒子径が好ましくは30〜500nmであり、更に好ましくは30〜280nmであり、一層好ましくは30〜250nmである。一次粒子径は、コア粒子を電子顕微鏡観察し、観察視野における100個以上のコア粒子の最大横断長を測定する。そしてその測定値の平均を求め、これを一次粒子径とする。
本発明の導電性粒子における表面域は酸化スズを含んでいる。表面域は酸化スズ以外の成分を含んでいても良い。表面域は、酸化スズに起因する導電性を有するものである。導電性粒子がコア粒子を有する場合、表面域は、コア粒子の表面が全く露出しないように該表面を満遍なく連続して被覆していても良く、あるいはコア粒子の表面が一部露出するように該表面を不連続に被覆していても良い。すなわち、表面の被覆率は必ずしも100%でなくても良く、好ましくは50%以上であれば良い。導電性粒子の導電性を高める観点からは、表面域は、コア粒子の表面が全く露出しないように該表面を満遍なく連続して被覆していることが有利である。
本発明の導電性粒子がコア粒子を有する場合、表面域の厚みは、導電性粒子の表面域の導電性が十分に発現する程度であれば、過度に厚くする必要はない。表面域の厚みを酸化スズの量に換算して表すと、本発明の導電性粒子に占める酸化スズの割合が15質量%以上、特に20〜60質量%となるような厚みであることが好ましい。導電性粒子に占める酸化スズの割合は、導電性粒子を全溶解させた後、ICP発光分光測定器にてスズ分量を求めた、分子量を元にして酸化スズとして換算することによって求めることができる。
本発明の導電性粒子は、表面の疎水性が調整されていることによって特徴付けられる。これによって、本発明の導電性粒子は、多くの種類の樹脂との分散性が良好になることが本発明者の検討の結果判明した。したがって、本発明の導電性粒子が分散してなる樹脂組成物においては、該組成物中に該導電性粒子が均一に分散した状態となる。このような分散状態の樹脂組成物を用いて導電膜を形成すると、該導電膜はその表面平滑性が良好なものとなる。
酸化スズを含む表面域を有する導電性粒子の表面の疎水性について本発明者が鋭意検討した結果、疎水性の程度を、窒素を用いて測定されたBET比表面積と、水を用いて測定されたBET比表面積との比率によって適切に評価し得ることが判明した。具体的には、吸着質として水を用いて測定されたBET比表面積(m/g)(以下「BETH2O」とも言う。)と、吸着質として窒素を用いて測定されたBET比表面積(m/g)(以下「BETN2」とも言う。)との比であるBETH2O/BETN2の値を用いて、導電性粒子の表面の疎水性の程度を評価し得ることが判明した。不活性ガスである窒素ガスを用いたBET比表面積の値に対して、水(水蒸気)を用いたBET比表面積の値が大きいことは、粒子の表面の親水性が高いことを意味する。逆に、窒素ガスを用いたBET比表面積の値に対して、水を用いたBET比表面積の値が小さいことは、粒子の表面の疎水性が高いことを意味する。そして、BETH2O/BETN2の値が0.2以上0.7以下である導電性粒子は、表面の親水性と疎水性とが適度にバランスし、本発明の導電性粒子の樹脂中への分散性が良好になることが判明した。BETH2O/BETN2の値が0.2に満たない場合には、疎水性が高くなりすぎてしまう。逆に、BETH2O/BETN2の値が0.7を超えると、親水性が高くなりすぎてしまう。いずれの場合であっても、本発明の導電性粒子の樹脂中への分散性が低下しやすい。樹脂中への分散性を向上させ、平滑な導電膜を形成する観点からは、BETH2O/BETN2の値は0.2以上0.67以下であることが好ましく、0.2以上0.6以下であることが更に好ましい。
BETH2O/BETN2の値は上述のとおりであるところ、BETN2の値そのものは15m/g以上50m/g以下であることが、導電性粒子の表面の疎水性を適切な状態にする観点から有利である。特にBETN2の値は、15m/g以上45m/g以下であることが好ましく、15m/g以上40m/g以下であることが更に好ましい。
一方、BETH2Oの値は3.0m/g以上35.0m/g以下であることが好ましく、3.0m/g以上30.0m/g以下であることが更に好ましく、3.0m/g以上25.0m/g以下であることが一層好ましい。
本発明の導電性粒子の樹脂中への分散性を一層良好にするためには、BETN2とBETH2Oとの差であるBETN2−BETH2Oの値を調整することも有利であることが判明した。詳細には、BETN2−BETH2Oの値(m/g)を8.0以上30以下に設定することが好ましく、8.0以上25以下に設定することが更に好ましい。
BETH2O及びBETN2は次の方法で測定される。BETH2Oは日本ベル株式会社の「ベルソープ18」を用い、BET多点法(吸着質:水蒸気、吸着温度:25℃)で測定することができる。本明細書では、測定粉末の量を1.0gとし、前処理は真空下、150℃で160分間行った。BETN2はユアサアイオニクス社製の「モノソーブ」を用い、BET1点法(吸着質:窒素、吸着温度−195.8℃)で測定することができる。本明細書では、測定粉末の量を0.3gとし、前処理は、大気圧下、105℃で10分間行った後、真空下105℃で10分間行った。
上述のBET比表面積を有する導電性粒子は、例えば、後述する導電性粒子の製造方法において、超音波を印加した状態下に水酸化スズを合成し、合成した水酸化スズから酸化スズを生成させれば良い。
本発明の導電性粒子は、BET比表面積が上述の範囲内であることに加えて、酸化スズの結晶子径が6nm以上15nm以下であることが好ましい。この結晶子径は、7nm以上15nm以下であることが更に好ましく、7nm以上13nm以下であることが一層好ましく、7nm以上10nmであることが更に一層好ましい。酸化スズの結晶子径がこの範囲内であると、本発明の導電性粒子を用いて導電膜を形成した場合に、該導電膜中での導電性粒子の充填性が高まり、該導電膜の導電性が高くなる。しかも、導電性粒子の充填性が高くなることで、導電膜を高温高湿下などの過酷な環境下に置いた場合であっても導電性の劣化が抑制される。このような範囲の結晶子径を有する酸化スズを得るためには、後述する導電性粒子の製造方法において、超音波を印加した状態下に水酸化スズを合成したり、水酸化スズを焼成して酸化スズを生成させるときの焼成雰囲気として弱還元性や非酸化性の雰囲気を採用したりして、生成する酸素欠損の量を抑制すれば良い。酸化スズの結晶子径は、次の方法で測定される。すなわち、X線回折装置Ultima IV(株式会社リガク製)を用いて測定し(条件:X−ray CuKα、40kV、50mA、測定範囲20°≦θ≦100°)、同じくリガク製の解析ソフトウェアPDXLを用いてHalder−Wagner法により算出を行った。詳細には、線源:CuKα、走査軸:2θ/θ、測定方法:FT、係数単位:Counts、ステップ幅:0.01°、係数時間:3秒、発散スリット:2/3°、発散縦制限スリット:10mm、散乱スリット:2/3°、受光スリット:0.3mm、モノクロ受光スリット:0.8mm、ICDDカード:00−046−1088の条件にて行った。
本発明の導電性粒子における表面域に含まれる酸化スズは、その結晶性が高いほど、高温高湿下での導電性の劣化が抑制された導電膜が得られることも、本発明者らの検討の結果判明した。酸化スズの結晶性は、酸化スズの結晶子径の大小を尺度として評価することができる。具体的には、結晶子径が大きいほど結晶性が高くなる。この観点からも、酸化スズの結晶子径は上述の範囲であることが好ましい。
導電性粒子の疎水性を高めるためには、粒子の表面に水を吸着し得る物質が極力存在していないことが望ましい。水を吸着し得る物質としては、導電性粒子の原料や製造方法との関係で導電性粒子中に混入しやすい物質であるIA族元素(Li,K,Na)及びIIA族元素(Mg,Ca,Ba)が、主要なものとして挙げられる。これらの元素は通常、塩の状態で粒子の表面に存在しているので水を吸着しやすい。そこで本発明においては、IA族元素及びIIA族元素の総量の割合が、導電性粒子の質量に対して、150ppm以下であることが好ましく、130ppm以下であることが更に好ましく、110ppm以下であることが一層好ましい。この値に下限値は特になく、小さければ小さいほど好ましいが、上述の上限値から10ppm程度までの範囲で、満足すべき効果が得られる。
導電性粒子に含まれるIA族元素及びIIA族元素の総量の割合を低減させるためには、種々の方法を採用することができる。例えば(イ)導電性粒子の製造過程において、粒子の洗浄を十分に行い、IA族元素及びIIA族元素を除去すれば良い。あるいは(ロ)導電性粒子の製造過程において水相中に、不活性ガス等の二酸化炭素非含有ガスをバブリングして二酸化炭素を除去することで、水不溶性ないし水難溶性のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩が生成しないようにすれば良い。また、(イ)及び(ロ)以外の方法を用いても何ら差し支えはない。
導電性粒子に含まれるIA族元素及びIIA族元素の総量の割合は、導電性粒子を酸又はアルカリで全溶解させた後に、溶液を対象としてICP分析を行うことで測定される。硫黄については、酸素気流中で導電性粒子を高温で燃焼させ、発生したガス中に含まれる硫黄の量をガス分析計を用いて測定できる。塩素については、アルゴン−酸素気流中で導電性粒子を高温で燃焼させ、発生したガス中に含まれる塩素の量をイオンクロマトグラフを用いて測定できる。
導電性粒子の疎水性を高めるためには、これまでは粒子の表面に有機表面処理剤を施す手法が一般的であった。しかし有機表面処理剤の使用は、導電性粒子の樹脂中への分散性を低下させる一因となるので有利とは言えない。そこで本発明においては、導電性粒子はその最表面に有機表面処理剤が施されていないことが好ましい。有機表面処理剤が施されていない場合であっても、本発明の導電性粒子は、導電性の経時劣化が抑制されたものになる。
これまで説明してきたとおり、本発明の導電性粒子は、樹脂中への分散性が高いものである。これに加えて、本発明の導電性粒子は、導電性の環境依存性が小さいものであることも、本発明者の検討の結果判明した。詳細には、本発明の導電性粒子は、低温低湿環境下での導電性と、高温高湿環境下での導電性とが大きく相違しないものでもある。具体的には、低温低湿環境として10℃、20%RHを採用し、高温高湿環境として35 ℃、85%RHを採用した場合、35℃、85%RHにおける体積電気抵抗R HH(Ω・cm)に対する、10℃、20%RHにおける体積電気抵抗R LL(Ω・cm)の比率R LL/R HHが、好ましくは1.0以上10.0以下を示し、更に好ましくは1.0以上7.0以下を示し、一層好ましくは1.0以上5.0以下を示す。
前記の体積抵抗率は、導電性粒子を上述の各環境に24時間馴化させた後に測定する。測定は、例えば圧粉抵抗測定システム(三菱化学PD−41)と抵抗率測定器(三菱化学MCP−T600)を用いて行う。試料15gをプローブシリンダへ投入し、プローブユニットをPD−41へセットする。油圧ジャッキによって500kgf/cmの圧力を印加したときの抵抗値を、MCP−T600を用いて測定する。測定した抵抗値と試料厚みから、圧粉抵抗(体積抵抗率)を算出する。
本発明の導電性粒子は、上述のとおり、抵抗の経時変化が小さいものでもある。具体的には、樹脂及び溶剤とともに導電性粒子を用いて形成した導電膜を60℃、90%RH下に30日間保存した後に測定した表面抵抗をR HH(Ω/□)とし、保存前の該導電膜の60℃、90%RH下での抵抗をR(Ω/□)としたとき、R HH/Rの値が、好ましくは10.0以下であり、更に好ましくは7.0以下であり、一層好ましくは5.0以下である。
表面抵抗の測定に供される導電膜は以下の方法で成膜される。容積50cmのプラスチック製容器を用意し、その中に導電性粒子7.41gを入れる。次に、この容器内にトルエンとn−ブタノールとの混合溶媒を9.64g入れる。トルエンとn−ブタノールとの容積比は7:3とする。更に、この容器内に三菱レイヨン製のアクリル系コーティング樹脂であるダイヤナールLR−167を6.41g入れる。LR−167は樹脂成分が約46質量%であり、残部がトルエンとn−ブタノールとの混合溶媒である。トルエンとn−ブタノールとの容積比は7:3である。次いでペイントシェーカー(浅田鉄鋼製)を用い、1時間及び3時間分散を行う。ペイントシェーカーの運転条件は、60Hz環境下の標準運転条件とする。分散によって得られた塗工液を、ポリエチレンテレフタレート製のOHPフィルム(株式会社内田洋行製のトランスペアレンシー OHP用フィルム)に塗工する。塗工にはバーコーター#10( テスター産業株式会社製のROD No.10)を用い、使用液量約1cmで塗膜をガラス板上に形成する。塗膜形成後、大気下に80℃で15分間にわたり乾燥を行い、導電膜を得る。
このようにして得られた導電膜の表面抵抗R HH及びRは、三菱アナリテック製のハイレスタを用いて測定される。測定にはUPプローブを用いる。測定電圧は10Vとする。保存前の導電膜の60℃、90%RH下での抵抗Rは、該導電膜を60℃、90%RH下に24時間静置して馴化した後に測定する。
本発明の導電性粒子からなる導電膜の導電性を一層高める観点から、該導電性粒子の表面域に含まれる酸化スズは、公知のドープ元素の少なくともいずれか一種を含有していても良い。例えば、Sb、Ta、W、Nb、Pなどを用いることができる。更に、周期表の第4族元素、周期表の第12族元素又は周期表の第13族元素を用いることができる。具体的には、IA族元素としてナトリウム、カリウム又はリチウムを用いることができる。IIA族元素としては、マグネシウム又はカルシウムを用いることができる。周期表の第4族元素としてはチタン、ジルコニウム又はハフニウムを用いることができる。周期表の第12族元素としては亜鉛を用いることができる。周期表の第13族元素としては、ホウ素、アルミニウム又はガリウムを用いることができる。あるいは酸化スズは、ドープ元素を含有しないドープ元素非含有のものであっても良い。ドープ元素を含有させることで酸化スズの導電性は向上するものの、アンチモンなどのドープ元素は環境負荷が大きかったり、あるいは経済性に有利でなかったりするので、酸化スズはドープ元素非含有のものであることが好ましい。
本発明の導電性粒子がコア粒子を含むか否かにかかわらず、導電膜中での導電性粒子の充填性を一層高める観点から、該導電性粒子は微粒であることが好ましい。具体的には、導電性粒子はその一次粒子径が好ましくは30〜500nmであり、更に好ましくは30〜280nmであり、一層好ましくは30〜250nmである。導電性粒子の一次粒子径は、電子顕微鏡観察し、観察視野における100個以上の導電性粒子の最大横断長を測定する。そしてその測定値の平均から求められる。導電性粒子の一次粒子径をこの範囲内とするためには、例えば、導電性粒子がコア粒子を含む場合には、該コア粒子として上述した粒径のものを用い、該コア粒子の表面に酸化スズを含有する表面域を上述の量で形成すれば良い。
次に、本発明の導電性粒子の好適な製造方法について説明する。本発明の導電性粒子は、コア粒子が媒体に分散してなり、スズ化合物が溶解した母液を循環させつつ、かつ母液のバブリングを行い溶存二酸化炭素を除去しつつ、循環経路の一部に設けられた超音波発生装置に酸又はアルカリを供給し;該超音波発生装置において該母液に超音波を照射した状態下に該スズ化合物と該酸又は該アルカリとを反応させて、該コア粒子の表面に水酸化スズの表面域が形成された前駆体を製造し;該前駆体を弱還元性雰囲気又は非酸化性雰囲気下に焼成することで、好適に製造される。図1には、この製造方法を実施するために好適に用いられる装置が示されている。以下、同図を用いて本製造方法を説明する。
図1に示す製造装置10は、母液槽11、母液槽11の底部から延びる第1循環配管12、第1循環配管12の出口側に接続された超音波発生装置13、超音波発生装置13の出口側に接続され、かつ母液槽11へ帰還する第2循環配管14を備えている。これらの部材によって、装置10には循環経路が形成される。第1循環配管12の途中には第1ポンプ15が設置されている。また第2循環配管14の途中には第2ポンプ16が設置されている。このように、製造装置10においては、循環経路の一部に母液槽11及び超音波発生装置13が直列に配置されている。
母液槽11内には撹拌翼11aが設置されている。撹拌翼11aはシャフト11bを介して槽外に設置されたモータ11cに接続している。撹拌翼11aは、モータ11cを駆動源として一定方向に回転するようになっている。
超音波発生装置13は、1又は2以上の振動子(超音波ホーン)を備えている。振動子を循環配管12,14内に設置し、これを超音波振動させることで、母液20と酸又はアルカリとを強分散させる。超音波発生装置13としては、例えば新科産業有限会社から販売されている超音波反応装置SR40L型等を用いることができる。超音波発生装置13としてはその容積が、母液層11の容積よりも十分に小さいものを用いることが好ましい。
装置10を用いた導電性粒子の製造方法について説明する。先ず母液槽11内に母液20を充填する。母液20は、コア粒子が媒体に分散してなるものである。また母液20にはスズ化合物が溶解している。媒体としては、一般的には水が用いられるが、コア粒子の種類や、表面域を形成するときの反応等に応じて適切な液体が選択される。
母液20における媒体とコア粒子との配合比率は、媒体1リットルに対してコア粒子が60〜150g、特に80〜120gであることが好ましい。両者の配合比率がこの範囲内にあると、コア粒子の表面に水酸化スズの均一な表面域が容易に形成されるからである。一方、母液20におけるスズ化合物の濃度は、スズ換算で1〜20質量%、特に3〜10質量%であることが好ましい。
スズ化合物としては、媒体の種類に応じて適切なものが用いられる。媒体として水を用いる場合には水溶性スズ化合物、例えばスズ酸ナトリウムや四塩化スズ等を用いることができる。これらのスズ化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
母液槽11内に所定量の母液20が充填されたら、母液槽11の撹拌翼11aの回転を開始してコア粒子の沈降を防止し、母液20を均質なものとする。次いで、第1ポンプ15、超音波発生装置13及び第2ポンプ16を起動して、装置10に形成された循環経路内に母液20を通し、これを循環させる。
循環経路内での母液20の循環が安定したら、母液20中に二酸化炭素非含有ガスをバブリングして、母液20中に溶存している二酸化炭素を除去する。そのようなガスとしては、例えば窒素等の不活性ガス、希ガス、酸素などが挙げられる。母液20中に二酸化炭素が溶存していると、二酸化炭素がアルカリ金属やアルカリ土類金属と反応して水不溶性ないし水難溶性の炭酸塩が生成することがあり、該炭酸塩に起因して、目的とする導電性粒子の疎水性を高めづらくなる場合がある。
このようにして、母液20のバブリングを行いつつ、該母液20を循環させながら、超音波発生装置13の供給部13aを通じて超音波発生装置13内に、表面域形成用の反応物である酸又はアルカリを供給する。酸及びアルカリは、母液20に配合されているスズ化合物を中和させて、コア粒子の表面に水酸化スズの層を生成させる。
酸又はアルカリによるスズ化合物の中和反応は非常に迅速に進行する。したがって、例えば非常に大容量の反応槽を用い、これにコア粒子が分散したスズ化合物の溶液を充填しておき、その中に酸又はアルカリを添加して中和反応を起こさせようとすると、反応槽内を撹拌したとしても、酸又はアルカリを添加した部分において中和反応が局所的に生じてしまい、コア粒子の表面に水酸化スズの表面域を均一に形成することができない。また、水酸化スズの表面域は軟質のものなので、中和反応の最中に表面域どうしが付着して粒子の凝集が起こってしまう。これに対して本実施形態によれば、超音波発生装置13は、上述のとおり母液槽11よりもはるかに小容量のものであり、しかも母液20に超音波を照射して激しく撹拌するものであるから、局所的な中和反応が生ずることが防止され、コア粒子の表面に水酸化スズの表面域を均一に形成することができる。また、超音波の照射によって緻密な水酸化スズの層が形成されやすくなり、そのことに起因して、焼成によって生成する酸化スズの結晶子径が大きくなりやすい。更に、コア粒子が極めて分散した高分散状態になるので、粒子の凝集を効果的に防止することができる。このことは、特にコア粒子として凝集の起こりやすい粒子である小粒径の粒子(例えば粒径が30〜280nmのもの)を用いた場合に有効である。しかも母液20は、循環経路内を循環しているので、超音波発生装置13に供給する酸又はアルカリの量及び/又は濃度を低くして中和反応を徐々に行うことができる。それによってもコア粒子の表面に水酸化スズの表面域を均一に形成することができる。また粒子の凝集を防止でき、粒子の分散性を高くすることができる。
スズ化合物と酸又はアルカリとの反応は超音波発生装置13において瞬時に完了するので、超音波発生装置13に供給された酸又はアルカリが未反応のまま循環経路中に流出することや、循環する母液中に酸又はアルカリが蓄積して、超音波発生装置13以外の箇所において中和反応が生ずることはほとんど起こり得ないか、又は起こったとしても、目的物の品質に影響を及ぼさない程度でしかない。
局所的な中和反応が生じることを効果的に防止する観点から、超音波発生装置13の容積はできるだけ小さいことが好ましい。一方、十分な処理量を確保する観点からは、超音波発生装置13の容積V2は大きいことが好ましい。これらのバランスを考慮すると、超音波発生装置13の容積V2は1〜3000cm3、特に10〜500cm3であることが好ましい。同様の観点から、超音波発生装置13における振動子の運転条件としては、例えば超音波周波数を10〜40kHzとし、超音波出力を300〜2000Wとすることが好ましい。
超音波発生装置13内における母液20及び酸又はアルカリの滞留時間は、短ければ短いほど、局所的な中和反応の防止の観点から好ましい。具体的には、母液槽11から流出し超音波発生装置13に流入する母液20の流速をS1(cm3/min)とし、超音波発生装置13に供給される酸又はアルカリの速度をS3(cm3/min)とした場合、超音波発生装置13の容積V2(cm3)との関係で、V2/(S1+S3)が秒換算後の値で1〜60秒、特に30〜60秒であることが好ましい。
超音波発生装置13に流入する母液の量と酸又はアルカリの量との割合は、超音波発生装置13における局所的な中和反応の防止に関連している。具体的には、超音波発生装置13に供給される酸又はアルカリの速度S3と、母液槽11から流出し超音波発生装置13に流入する母液20の流速S1との比であるS3/S1が0.01〜0.05、特に0.03〜0.05となるように両者の速度を調整することが好ましい。
処理量にもよるが、母液20の流速S1が例えば10〜1000cm3/minである場合には、酸又はアルカリの速度S3は0.3〜50cm3/minであることが好ましい。母液の循環時間に特に制限はなく、所望の厚みの表面域が形成されるまで循環を行えば良い。
酸又はアルカリの濃度は、母液20に含まれるスズ化合物の濃度が上述の範囲であることを条件として、規定度で表して1〜25N、特に5〜20Nであることが好ましい。酸としては、例えば硫酸、硝酸、酢酸などの水溶液が用いられる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水などが用いられる。
超音波発生装置13に供給される酸及びアルカリは連続的でもよく、あるいは断続的でも良い。コア粒子の表面に一層均一な水酸化スズの表面域を形成する観点からは、酸又はアルカリを連続供給することが好ましい。供給には、例えばプランジャーポンプ等を用いることができる。
水酸化スズの表面域が形成された粒子どうしの凝集を一層効果的に防止する観点から、コア粒子が分散してなる母液を母液槽11に供給して、該母液を循環するのに先立ち、コア粒子を分散処理に付すことが好ましい。また、コア粒子を予め分散処理に付すことによって、装置をスケールアップしても得られる導電性粒子にばらつきが発生しづらく、量産性を高めることができるという利点もある。分散処理は、例えば超音波発生装置13を作動させた状態で、コア粒子と水等の媒体とを含むスラリーを、装置10内を循環させることで行われる。
以上の方法によって、水酸化スズの表面域が形成された前駆体粒子のスラリーが得られる。このようにして得られた前駆体粒子のスラリーを所定時間にわたって熟成し、熟成後の該スラリーに対して再び超音波照射を行う。これによって粒子の分散を促進させるとともに、結晶の更なる成長を促進させる。その後、前駆体粒子を反応系から分離し、洗浄及び乾燥工程を経た後に焼成工程に付される。それによって酸化スズで被覆された導電性粒子が得られる。その後、必要に応じて粉砕工程に付され、所望の粒径に調整される。
前記の焼成工程は、非酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気としては、例えば窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの非酸化性かつ非還元性雰囲気、少量の水素を含有した窒素雰囲気である弱還元性雰囲気等が挙げられる。これらのうち、少量の水素を含有した窒素雰囲気を用いると、酸化スズ中に酸素欠損が適度に形成されるので好ましい。水素を含有した窒素雰囲気を用いる場合、水素の含有量は、好ましくは0.1〜10体積%、更に好ましくは1〜3体積%である。水素の含有量がこの範囲内にあると、スズを金属に還元させることなく、適度な量の酸素欠損を有する導電性の酸化スズの表面域を形成しやすいからである。
前記の焼成工程における焼成温度は、好ましくは200〜1200℃、更に好ましくは400〜600℃である。焼成時間は、好ましくは5〜180分、更に好ましくは10〜140分である。焼成温度及び時間がこれらの範囲内にあると、酸素欠損を生じさせるのに十分であり、かつ凝集を起こし難くなるので好ましい。この焼成工程を行うことにより目的とする導電性粒子が得られる。
このようにして得られた導電性粒子は、例えば紙、プラスチック、ゴム、樹脂、塗料等に添加してこれらに導電性を付与する導電性フィラーとして使用される。また、導電性粒子に樹脂等を配合した導電性ペーストや、導電性粒子に液媒体や樹脂及び表面張力調整剤等を配合した導電性インクなどの導電性組成物の形態で用いることもできる。これらの導電性組成物は、その製造過程における混合時に加わる外力に起因して、導電性粒子における表面層の一部が剥離することがある。そのような剥離が生じた場合、導電性組成物中には、本発明の導電性粒子及び酸化スズの微粒子を含む導電性混合粉が含まれることになる。この導電性混合粉及び該導電性混合粉を含む導電性組成物も、本発明の範囲内のものである。導電性混合粉に含まれる酸化スズの微粒子は、本発明の導電性粒子の表面層の一部が剥離して生じたものだから、その粒径は本発明の導電性粒子よりも小さいものである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
図1に示す製造装置において、1500cm3の純水に分散させた150gの酸化チタン粒子を、容積5000cm3の母液槽中に投入した。酸化チタン粒子は、球状のものであり、その一次粒子径は190nmであった。母液槽中に更に純水を投入し、純水の総量を1500cm3にした。そこに155gのスズ酸ナトリウムを投入し、液温を75℃まで上昇させた後、装置内を1時間にわたって循環させて予備分散を行った。予備分散においては、超音波発生装置13(新科産業有限会社製のSRT40−01Type)を作動させた。超音波の出力は570W、周波数は40kHzとした。このようにして母液を得た。この母液を、母液槽から流出する流速S1が400cm3となるように循環させながら、超音波発生装置13に20%硫酸を供給した。母液を循環させている間、母液中に窒素をバブリングし、溶存二酸化炭素を除去した。窒素のバブリング量は、20cm/minとした。また、硫酸の供給速度S3は8.0cm3/minであった。超音波発生装置13の容積は3000cm3であった。運転条件は、570W、40kHzであった。pHが2.5になるまで、硫酸を連続的に超音波発生装置13に供給した。
循環を停止した後、液のpHが2.5に維持されるように硫酸を適宜添加して1時間熟成を行った。このようにして、水酸化スズ被覆酸化チタン粒子を含むスラリーを得た。次いでこのスラリーを、その導電率が200μS/cm以下となるまでリパルプ洗浄した後、超音波照射を20分間行った。運転条件は、570W、40kHzであった。その後、スラリーを、その導電率が150μS/cm以下となるまでリパルプ洗浄し、更にヌッチェ濾過を行い、ケーキを得た。このケーキを大気中、150℃で10時間乾燥させた。次いで乾燥ケーキを粉砕し、その粉砕粉を2体積%H2/N2雰囲気下で450℃、2時間還元焼成した。これによって、ドープ元素非含有の酸化スズ被覆酸化チタン粒子を得た。粒子には、有機表面処理剤による疎水化処理を施さなかった。
〔実施例2及び3〕
以下の表1に示す条件を採用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、導電性粒子を得た。
〔実施例4〕
本実施例においては、コア粒子を使用せず、酸化スズからなる粒子を製造した。具体的には、以下の表1に示す条件を採用した。これ以外は、実施例1と同様の操作を行い、導電性粒子を得た。
〔比較例1〕
本比較例においては、母液を循環させている間、該母液のバブリングは行わなかった。また、以下の表1に示す条件を採用した。これら以外は実施例1と同様の操作を行い、導電性粒子を得た。
〔比較例2〕
本比較例においては、比較例1で得られた導電性粒子の表面に有機表面処理剤として、アミノ系シランカップリング剤であるKBM903(信越化学工業)を施した例である。有機表面処理剤の使用量は、処理前の導電性粒子の質量に対して2.0質量%とした。これ以外は比較例1と同様の操作を行い、導電性粒子を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた粒子について、BETN2及びBETH2O、導電性粒子に占める酸化スズの割合、一次粒子径、導電性粒子に占めるIA族元素及びIIA族元素の割合、体積電気抵抗R LL及びR HHを、上述の方法で測定した。更に、導電性粒子から上述の方法で形成した導電膜について、表面抵抗R HH及びRを、上述の方法で測定した。更に樹脂中への分散性を以下の方法で評価した。これらの結果を以下の表2に示す。
〔樹脂中への分散性〕
2種類の樹脂を用意した。一つは日本触媒製アミノエチル化アクリル樹脂(品種ポリメントNK−350)(以下「樹脂A」という。)であり、もう一つは三菱レイヨン製アクリル樹脂(品種LR167)(以下「樹脂B」という。)である。これらの樹脂を用いて分散性の良否を評価した。具体的には実施例比較例で得られた粒子並びに樹脂A又は樹脂Bと、前記で得られた粒子とを含む樹脂組成物から導電膜を形成し、該導電膜の表面粗さRaを測定し、その測定値の大小に基づき粒子の分散性を評価した。詳細には以下のとおりである。上述した方法で導電膜を成膜し、その表面粗度を東京精密製の表面粗さ形状測定機サーフコム130Aを用いて測定した(条件:評価長さ6.0mm、カットオフ値:0.8mm、測定速度:0.6mm/s、傾斜補正:直線、フィルタ種別:ガウシアン、λsフィルタ:無し)。
Figure 2015228352
Figure 2015228352
表2に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた導電性粒子から得られた導電膜はその表面粗さが低く、樹脂A及び樹脂Bのいずれに対しても良好な分散性を示すのに対して、比較例の導電性粒子は、樹脂の種類によっては、導電膜の表面粗さが高く、樹脂への分散性が劣ることが判る。また、各実施例で得られた導電性粒子は、比較例の導電性粒子よりも、環境依存性が小さいことが判る。更に各実施例で得られた導電性粒子から形成された導電膜は、比較例の導電性粒子から形成された導電膜よりも、導電性の経時劣化が小さいことが判る。
10 製造装置
11 母液槽
12 第1循環配管
13 超音波発生装置
14 第2循環配管
20 母液

Claims (12)

  1. 少なくとも表面域が酸化スズを含む導電性粒子において、
    水を用いて測定されたBET比表面積BETH2O(m/g)と窒素を用いて測定されたBET比表面積BETN2(m/g)との比であるBETH2O/BETN2の値が0.2以上0.7以下である導電性粒子。
  2. BETH2Oが3.0m/g以上35.0m/g以下である請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 窒素を用いて測定されたBET比表面積BETN2が15m/g以上50m/g以下である請求項1又は2に記載の導電性粒子。
  4. BETN2−BETH2Oの値(m/g)が8以上30以下である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の導電性粒子。
  5. 酸化スズの結晶子径が6nm以上15nm以下である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の導電性粒子。
  6. IA族元素及びIIA族元素の総量の割合が150ppm以下である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の導電性粒子。
  7. 35℃、85%RHにおける体積電気抵抗R HH(Ω・cm)に対する、10℃、20%RHにおける体積電気抵抗R LL(Ω・cm)の比率R LL/R HHが、1.0以上10.0以下である請求項1ないし6にいずれか一項に記載の導電性粒子。
  8. 樹脂及び溶剤とともに前記導電性粒子を用いて形成した導電膜を60℃、90%RH下に30日間保存した後に測定した表面抵抗をR HH(Ω/□)とし、保存前の60℃、90%RH下での該導電膜の抵抗をR(Ω/□)としたとき、R HH/Rの値が10.0以下である請求項1ないし7のいずれか一項に記載の導電性粒子。
  9. 粒子の最表面に有機表面処理剤が施されていない請求項1ないし8のいずれか一項に記載の導電性粒子。
  10. 請求項1ないし9のいずれか一項に記載の導電性粒子及び酸化スズの微粒子を含む導電性混合粉。
  11. 請求項1ないし9のいずれか一項に記載の導電性粒子を含む導電性組成物。
  12. 請求項10に記載の導電性混合粉を含む導電性組成物。
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