JP2015228024A - レンズ形状およびアンカットレンズブランクの厚さを減少させる方法 - Google Patents

レンズ形状およびアンカットレンズブランクの厚さを減少させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アンカットレンズブランクの修正においてアンカットレンズ形状の厚さを減少させる。
【解決手段】アンカットレンズブランク60の修正レンズ設計40を提供するための、コンピュータ、具体的には非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を使用した方法に関する。さらに、アンカットレンズブランク60の元のレンズ設計10の厚さを減少させるための、コンピュータ、具体的には非一時的コンピュータ読み取り可能媒体の使用による方法を提供する。さらに、アンカットレンズブランク60の製造方法およびアンカットレンズブランク60を提供する。
【選択図】図2b

Description

本発明はアンカットレンズブランクの修正レンズ形状を提供する方法、具体的にはアンカットレンズ形状の厚さを減少させる方法に関する。さらに本発明は眼鏡レンズを製造するためのアンカットレンズブランクに関する。
近年、いわゆる個々に設計された眼鏡レンズの数が大幅に増加している。これらの個々に設計された眼鏡レンズは対象とする使用者の多くの個々のパラメータを考慮したものである。さらに低次収差だけでなく高次収差に対する補正の需要が着実に増えている。このため、「自由曲面」、すなわち対称性を阻止しない表面、で設計されるレンズが増えてきた。全面プロファイルは、例えば全領域に亘って各表面にサジッタ(sagitta)を設けることによって決定され、例えば、研削、研磨、コーティングおよび/または縁ずり加工などのために製造現場に廻される。市販の波面センサを用いて、より大きな低次波面収差を導入せずに眼用レンズを使って眼の高次収差を補正する能力およびデータ処理技術を持ち、現代的な自由曲面技術を使って適切な複雑性の眼用レンズ表面を加工することができる。
縁ずり加工、すなわち、枠に差し込むための最終形状に整えるためにレンズブランクを切断する前に、レンズはいわゆる「アンカットレンズブランク」、すなわち円形または楕円形で、すでに適合された特定の焦点屈折力を提供する凸の曲率(convex curvature)を有する前面を含むレンズブランクとして加工される。さらに、前面をコーティングすることができる。意図する光学特性は、後面を所定の自由曲面に表面処理(surfacing)することによって提供される。少なくとも表面処理ステップ、すなわち研削および研磨のステップとコーティングステップのために、アンカットレンズブランクは、被加工表面を開いたままにしてアンカットレンズブランクを確実につかむことのできる、対応するブロック片によってブロックされなければならない。さらに、表面処理に使用するツールおよび方法は、実際に加工することのできる表面の形状にある程度の制約を与えてしまう。最後に、使用者は軽量の眼鏡を好むが、ある程度審美的に有利な枠の形状は、レンズを一定の外縁厚までしか固定することができない。
従来技術では、具体的には非常に高い正または負の焦点屈折力を持つレンズに関して、レンズが非常に厚くなるという問題が知られている。この問題のために、具体的に、処方に従った所望の光学特性を提供するレンチキュラー部分と、製造およびフレーミング(framing)のための特定の視野角の外に比較的薄いマージン部分とを有するレンチキュラーレンズが提供されてきた。このようなレンチキュラーレンズの例は、例えば、非特許文献1に記載されている。
自由曲面およびこれに対応する眼鏡レンズに関する基本的な問題は、ある特定の境界の外側における表面の内の一方を修正することにより、眼用レンズの厚さプロファイルを修正することである。プラスレンズの中心厚またはマイナスレンズの縁厚を最小にし、また、レンチキュラー部とマージン部との間の境界が枠内にある場合の使用者の不快感を最小にしつつ光学ゾーンのサイズを最大にする従来の、そして「理想的な」方法では、修正表面は、境界に沿って不連続な傾斜を有する必要がある。
従来の方法は現在の後面自由曲面技術には適合しない。正屈折力レンズは複雑な前面を持つ特殊なパック(puck)を必要とし、これによって自由曲面加工のための複雑性と必要な在庫が増える。マイナスレンズは後面の表面処理と研磨を2回行う必要があるため、加工時間とコストが増える。さらにこれらの方法および表面は「より高度な技術」と認識され、審美的に好適である。
特許文献1は、つばおよびつば上にフレネル膜を有する眼用レンズの表面を決定する方法を示している。本発明はこのような表面を有する眼用レンズにも関するものである。本発明はとりわけ眼用レンズの表面を決定する方法に関し、この表面はフレネル膜と当該フレネル膜を支持するつばとを有する。このつばは幾何学的中心と、第1中心領域および環状外周領域と、回転対称性とを有する。フレネル膜、第1中心領域および外周領域は当該幾何学的中心を中心とし、第1中心領域は第1円形境界によって画定され、外周領域は第2円形境界および表面の縁で画定される。この方法は以下のステップ、すなわち(S1)第1中心領域内につばの第1曲率プロファイルを、そして外周領域につばの第2曲率プロファイルを画定するステップと、(S10)第1境界の第1半径および第2境界の第2半径を画定するステップと、(S20)つばの遷移領域に第3曲率プロファイルを決定するステップであって、この遷移領域は第1中心領域および外周領域に隣接するステップと、(S30)表面のターゲット曲率プロファイルを決定するステップであって、このターゲット曲率プロファイルは第1中心領域においてつばの第1曲率プロファイルと同一であるステップと、(S40)ターゲット曲率プロファイルとつばの曲率プロファイルとの差からフレネル膜の連続する曲率プロファイルを決定するステップと、(S50)フレネル膜の連続する曲率プロファイルを切断することによってフレネル膜を決定するステップとを含む。
国際公開第2014/060552A1号パンフレット
Clifford W. Brooks氏およびIrvin M. Borish氏による「眼鏡調整システム(System for ophthalmic dispensing)」ISBN-13:978-0-7506-7480-5、第3版、Butterworth-Heineman/Elsevier出版社、2007年、425〜429ページ
従って本発明の目的は、具体的には、球状の前面および任意の自由曲面の後面を有するアンカットレンズブランクの厚さを減少させる方法、および対応するアンカットレンズブランクを提供することである。
本発明の第1の態様によれば、コンピュータ、具体的に非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を使った、アンカットレンズブランクのために修正されたレンズ形状を提供する方法を提供し、この方法は以下のステップ、すなわち、
a)前面および後面を有するアンカットレンズブランクの元のレンズ形状を提供するステップであって、元のレンズ形状はアンカットレンズブランクの前面の元の形状および後面の元の形状を含み、アンカットレンズブランクは所定の光学特性、具体的には所定の曲率値を提供する処方を満足させるステップと;
b)境界線を決定するステップであって、具体的には後面の元の形状の曲率プロファイルを境界線内に保存するステップと;
c)境界線における後面の境界曲率を決定するステップと、
d)アンカットレンズブランクの境界線と外縁との間の後面の新しい曲率プロファイルを決定するステップであって、新しい曲率プロファイルの曲率は境界線の境界曲率と等しく、境界曲率から所定の曲率値または所定の曲率へと単調かつ連続的に遷移するステップと、
e)アンカットレンズブランクの修正レンズ形状を決定するステップであって、修正レンズ形状は前面の元の形状および後面の修正形状を含み、後面の修正形状は新しい曲率プロファイルに基づくターゲット形状への最適化手順によって決定し、ターゲット形状は具体的には境界線内に保存された元のレンズ形状の曲率プロファイルと、アンカットレンズブランクの外縁の厚さ要件とを含み、具体的には元のレンズ設計の曲率プロファイルは境界線内に保存または固定されるステップとを含む。
第1の態様に係る方法において、所定の曲率値は後面の半径曲率または前面の子午面内の曲率であり、具体的に、新しい曲率プロファイルの遷移を前面の子午面内で決定する。
具体的には、第1の態様に係る方法において、アンカットレンズブランクの外縁の所定の最小厚を最適化中の必須条件として適用する。
一般に、所定の曲率は、後面の極限曲率(extreme curvature)、具体的には最大曲率または最小曲率であってもよい。
具体的に、ステップd)およびe)を続けて、すなわちステップd)の後にステップe)を行う、またはこれらを平行して行ってもよい。
具体的に、本方法は所定曲率値として、後面の極限曲率値、具体的には最大曲率または最小曲率を提供するステップをさらに含む。具体的に、ステップb)は後面に境界線を決定するステップを含み、後面の元の形状の曲率プロファイルは境界線内に保存される。具体的に、ステップc)は後面につば点および少なくとも1つのつば直線を決定するステップを含み、各つば直線はつば点から出ており、各つば直線に対して、個々のつば直線および境界線の交点において、後面の境界曲率を決定する。具体的に、ステップd)は各つば直線に対して、交点からアンカットレンズブランクの外縁まで、個々のつば直線に沿って後面の新しい曲率プロファイルを決定するステップを含み、新しい曲率プロファイルの曲率は交点において境界曲率に等しく、境界曲率から極限曲率値へと外縁に向かって単調に遷移する。具体的には、後面の修正形状はターゲット形状への最適化によって決定し、ターゲット形状は、境界線内の後面の元のレンズ形状の最適化中に固定された曲率プロファイルと、境界線外の各つば直線の最適化中に固定された曲率プロファイルと、境界線外の後面の極限曲率値とを含み、境界線に沿った後面の曲率が連続しているという条件が最適化に適用される。
本発明の基本的な考えは、後面の元の形状を修正することである。基本的には特定の線に沿った後面の屈折力、具体的には特定の境界を越えた接線方向または半径方向の屈折力の2段階修正と、新しく特定された接曲率または半径曲率を持つ表面の再計算である。この特定の方法により、この厚さの低減を任意の元のレンズ形状、具体的には後面の任意の自由曲面プロファイルに適用することができる。
表面処理加工、具体的には研削、研磨、切削または縁ずり加工の制約を考慮し、後面の曲率を保存領域の半径方向外向きに可及的速やかに増大させてレンズの厚さを減少させるという考えである。曲率の「増大」とは、ここでは曲率の大きさが可及的速やかに極値をとることを意味する。正の焦点屈折力を持つプラスレンズに関して、曲率は最大の正の値を確実に可及的速やかにとる。負の焦点屈折力を持つマイナスレンズに関して、曲率は正または負でもある最小値をとる。「可及的速やかに」とはこの場合、極値への遷移が、製造ツールおよび使用者に生じる混乱の制限的な制約を考慮したものであることを意味している。しかしながら後面上のねじれ(kink)は回避するべきである。審美的に好適で、光学的な妨害の少ない外観を提供する、滑らかな曲率プロファイルを目標とする。視野角における光屈折力の突然の変化は起こらないので、使用者は確実に滑らかな後面形状を好むと考えられる。さらに製造工程による制約も考慮に入れることができる。新しい曲率プロファイルは一般に最適化処理および完全な後面の処方全てを決定する前に決定されるので、境界線内の光学的に保存された表面領域の曲率から極限曲率値への遷移ゾーンの拡大に対する制約を特定したり、特定のブロックツールに対して必要な最小厚を定めることができる。これらによって厚さの低減されたアンカットレンズブランクの修正レンズの設計を確実に行うことができ、最終レンズ素子の厚さの低減がさらにもたらされる。またさらに、アンカットレンズブランクは手元にある加工ツールで確実に研削、研磨、コーティングおよび縁ずり加工を行うことができるようになる。
一般に、アンカットレンズブランクの後面には点が位置する。好適には、この点は最終枠内にあり、より好適にはアンカットレンズブランクの幾何学的中心または「パック」にある。任意の方向に対して、後面の元の曲率はこの点から出る直線に沿った特定の境界半径において決定される。この特定の内境界半径(inner boundary radius)または「境界線」は関数(φ)であり、これは任意の形状をとることができ、曲率プロファイルが保存される後面の元の表面領域を特定する。換言すれば、矢状高さのプロファイルは保存されるが、保存された表面領域の光学特性が本質的に変わらないように相対的にのみ保存される。しかしながらzの絶対位置または矢状高さは、プラスレンズ、または正の焦点屈折力を持つレンズの場合、以下に説明するように、本方法において調整することができる。
各直線に沿って曲率関数が生成され、これは特定の境界線における保存された表面領域の曲率から、異なる曲率、すなわちいくつかの半径における極限曲率値へ、アンカットレンズブランクの外縁に向かって単調に遷移する。そしてその曲率または極限曲率値はアンカットレンズブランクの端部またはアンカットレンズブランクの外縁に向かって本質的に維持される。従って境界線の外には曲率遷移または遷移部の表面領域が存在し、そこにおいて曲率遷移は極値へと向かい、遷移部は境界線内の内部保存表面領域(inner preserved surface area)を囲む。しかしながら位置によって境界線は完全に囲まれる必要はない。内部保存表面領域が外側に向けて「開」となるように境界線がアンカットレンズブランクの外縁から始まってそこで終わらなければならない場合、遷移部分はもちろん実際存在する境界線に沿った内部保存表面領域のみを囲む。さらに外側では、各直線に所定の角度φで沿う曲率は外側に向かって一定でなければならない。一般に、内半径または境界線の半径はその特定の角度に沿う枠の半径よりも小さいか、同等か、または大きい。一般に角度φは設計座標系のX−Y平面内で測定される。
このような座標系において、X−Y平面は、曲率ゼロの前面上の点の接平面に平行して走るように定めることができる。修正面の断面において、および各つば直線に沿って、新しい表面は、新しい曲率プロファイルを境界線の内部特定半径を越えて外縁に向けて一体化することによって境界線内に元の表面プロファイルを拡大することによって構成される。上述の様に、一般には、内境界半径および遷移ゾーン端部の半径ならびに修正曲率は、角度φの関数とすることができる。
特許文献1ではターゲットプロファイルとステップ(S1)〜(S20)において決定されるプロファイルとの間の違いがステップ40で決定される。この違いは連続曲線プロファイルとされ、つばに適用させるために付加的なフレネルシートを切断するための基底として使用される。しかしながら、ターゲット形状への最適化による新しい曲率プロファイルに基づいて修正形状をさがし、アンカットレンズブランクの外縁に対する厚さ要件も適用される最適化手順はありそうもない。
本発明の第2の態様によれば、アンカットレンズブランクの元のレンズ形状の厚さを減少させる方法、具体的にはコンピュータ、特に非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を使った方法を提供し、この方法は以下のステップ、すなわち、
A)アンカットレンズブランクの元のレンズ形状を提供するステップであって、元のレンズ形状はアンカットレンズブランクの前面および後面の元の形状を含み、アンカットレンズブランクが所定の光学特性、具体的には処方による特性を満たすようにするステップと、
B)後面の曲率勾配の推奨最大強度(magnitude)、後面の推奨最大強度よりも大きい曲率勾配のハードリミット最大強度、推奨極限曲率値、眼球回転角度(eye rotation angle)の最小値、眼球回転角度の推奨値、それに沿ってアンカットレンズブランクから最終レンズをカットアウトする後面の枠線、枠線に沿った最大レンズ厚、および具体的にはその中に後面の元の形状が保存される境界線を含む1組のパラメータを特定するステップと、
C)修正レンズ形状の枠線に沿ったレンズの厚さが特定の最大レンズ厚以下になるまで、1組のパラメータに基づいて第1の態様およびその具体的態様(refinement)の内の1つによる修正レンズ形状を提供する方法を反復して行うステップであって、反復中、後面の曲率勾配の最大強度、境界線および所定の曲率値の内の少なくとも1つを修正するステップとを含む。
具体的には、ステップC)における反復中、1組のパラメータは以下のシーケンス、すなわち
(I)曲率勾配の推奨最大強度および推奨所定曲率値を適用し、少なくとも一部が枠線と同一の初期形状から、少なくとも推奨眼球回転角度をカバーする後面領域を囲む形状へと境界線を減少させるステップ、
(II)推奨最大強度からハードリミット最大強度へと最大曲率勾配強度を増大させるステップ;
(III)少なくとも推奨眼球回転角度をカバーする後面領域を囲む形状から少なくとも最小眼球回転角度をカバーする後面領域を囲む形状へと境界線を減少させるステップ、によって修正することができる。
この方法により、その外側、すなわち枠線に沿って縁ずり加工された最終レンズの厚さは、枠線に沿った特定の最大レンズ厚よりも大きくなることは確実にない。これは、レンズを特定のレンズ厚までしか保存することのできない特定の枠にはめ込むことが意図される場合には有利である。提案された方法に従って縁厚の減少を制御する3つの主要パラメータがある。これらのパラメータは、後面の曲率勾配と、プラスレンズ用逆レンチキュラーにとっては最大であり、マイナスレンズのつばカーブにとっては最小である後面の極限曲率値と、境界線によって表される最小眼球回転角度、すなわち境界線内の後面の表面領域積によってカバーされなければならない最小眼球回転角度とである。そして、特定の縁厚要求を満たすために、先ず推奨曲率勾配を設定し、後面の曲率極値も設定する。それから、例えば、1より小さい係数で縮小される境界線の一般的な形状を維持することにより、境界線内の表面領域のサイズを減少させる。これにより、境界線のサイズを初期のサイズから推奨される境界サイズまで減少させることができる。例えば、初期のサイズは少なくとも境界線の一部に亘る枠線まで延在するサイズであってもよい。この減少が十分でない場合、最大許容曲率勾配を推奨値から最大値に増大させることができる。これでもまだ十分でない場合、境界線によって囲まれている表面領域のサイズを推奨眼球回転角度ではなく、最小眼球回転角度のみをカバーするようにさらに減少させることができる。最後に、これでもまだ十分でない場合、予め設定されたハードリミットまで、より大きい極限曲率値を選択してもよい。
本発明の第3の態様によれば、レンズを製造する方法を提供し、この方法は以下のステップ、すなわち、第1の態様もしくはその具体的態様、または第2の態様もしくはその具体的態様の内の1つに係るアンカットレンズブランクの修正レンズ形状を提供するステップと、修正レンズ形状に従ってアンカットレンズブランクを製造するステップとを含む。
このような製造の方法により、修正レンズ形状に従ったアンカット眼鏡レンズの製造が最終的に可能となる。このようなアンカットレンズブランクは縁ずり加工中減少された厚さが維持されることと、縁ずりされた最終レンズの厚さがさらに減少されるという利点を提供する。さらに、アンカットレンズブランクは、後面の十分な制約、具体的にはアンカットレンズブランクの外縁の最大曲率勾配、 極限曲率値および厚さが設定された場合、表面処理および縁ずり加工機械類によって加工することができると保証されており、対応する最小要件はこれによって確実に満たされる。そして通常通りに製造を行うことができる、これはつまり表面を研削、研磨および、必要であればコーティングすることができるということである。さらに縁ずり加工を行うことができ、これは通常コーティングの前または後に行うことができる。
本発明の第4の態様によれば、前面および後面を含む眼鏡レンズを製造するアンカットレンズブランクを提供し、前面は回転対称面であり、後面はレンチキュラー部、マージン部およびレンチキュラー部とマージン部との間に位置する遷移部を含み、後面上の点から出る直線に沿った後面の曲率は、マージン部全体に亘る極限曲率値をとり、遷移部を通って極限曲率値に向かって単調に遷移する、具体的に、直線に沿った後面の曲率は連続している。
具体的には、後面上の点から出る直線に沿った後面の曲率は、ゼロとは異なる曲率勾配であり、極限曲率値に向かって単調に遷移する。具体的にはレンチキュラー部は非対称の、具体的には自由曲面の表面プロファイルを有する。具体的に、前面はゼロと異なる曲率を有する。具体的に、前面は凸面である。具体的に、前面は球面である。具体的に、前面は球面および回転対称面である。
具体的には、アンカットレンズブランクは1つの材料からなる単一の素子である。従ってアンカットレンズブランクは特定の波長の単一の屈折率および/またはアッベ数を有することができる。
具体的には、後面の曲率は連続している。具体的には、直線に沿った後面の曲率は連続している。具体的には、境界線に沿った後面の曲率は連続している。具体的には、境界線の外側の後面の曲率は境界線に沿った境界線内の元のレンズ形状の固定された曲率プロファイルの曲率と等しい。
従って、このアンカットレンズブランクは第3の態様に係る方法によって提供されるものと同じ利点を提供する。それは対応する製造工程の直接的な結果である。前面は非ゼロ曲率を持つ球面である。通常、前面は正の曲率を有する凸面である。後面はレンチキュラー部を含む。「レンチキュラー部」という用語は、これが元のレンズ形状による光学的に保存された表面プロファイルを持つ部分なので選択した。これは意図する最小眼球回転角度をカバーする後面の一部分であり、使用者はそれを通して見ることができる。従って、このレンチキュラー部は第1および第2の態様に係る方法による境界線によって囲まれている。レンチキュラー部はアンカットレンズブランクの外縁に延在してもよい。従って、境界線によって完全に囲まれずに、外に向かって「開」いていてもよい。好適には、このレンチキュラー部は後面上にアンカットレンズブランクの幾何学的中心を含む。レンチキュラー部において、後面の表面プロファイルは自由曲面形状である。つまり、回転対称も面対象も点対象もない。点は、好適にはアンカットレンズブランクの幾何学的中心の点によって後面上に特定することができる。直線はその点から出ていると考えてよい。ここで「直(straight)」とは前面の曲率の中心に垂直な線の周りを一定の角度で走ることを意味する。従って、例えば、点がアンカットレンズブランクの幾何学的中心である場合、各線は前面の子午線を走る。各線に沿って、後面の曲率はマージン部からアンカットレンズブランクの外縁へと、所定の曲率値、具体的には極限曲率値に向かって単調に遷移する。レンチキュラー部の端部の曲率から所定の曲率値、具体的には極限曲率値へのこの遷移は遷移部、すなわちマージン部とレンチキュラー部との間で行われる。マージン部全体には所定の曲率値、具体的には極限曲率値が存在する。従って、点がアンカットレンズブランクの幾何学的中心である場合、接曲率または半径曲率はマージン部全体に亘って同じである。ここで、「同じ」とは、通常の製造公差および光学設計の最適化の必要性を考え、本質的に同じという意味である。
一般に、点の場所を知らなくても、マージン領域、すなわち後面の自由曲面ではない部分に多数の点を選び、この多数の点の任意の方向における曲率を計算し、これらの点からどの方向において曲率が全く同じであるかを比較することが可能であろう。同じ曲率のこれらの方向に直線を引くといくつかの線になり、単一の点で交差し、その点がこの定義による点となる。
本発明の第5の態様によれば、第1の態様またはその具体的態様の内の1つによる方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含む、具体的には非一時的なコンピュータプログラム製品を提供する。
本発明の第6の態様によれば、第2の態様またはその具体的態様の内の1つによる方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含む、具体的には非一時的なコンピュータプログラム製品を提供する。
本発明の第7の態様によれば、本発明の第3の態様に係る方法によって製造されるアンカットレンズブランクを提供する。
本発明の第8の態様によれば、修正レンズ形状を提供するコンピュータシステムを提供し、これは以下の手段、すなわち、前面および後面を有するアンカットレンズブランクの元のレンズ形状を提供する手段であって、元のレンズ形状は、アンカットレンズブランクの前面の元の形状および後面の元の形状を含み、アンカットレンズブランクが所定の光学特性、具体的には処方を満たし、および具体的には所定の曲率値を提供するようにした手段;境界線を決定する手段であって、具体的には後面の元の形状の曲率プロファイルを境界線内に保存する手段;境界線における後面の境界曲率を決定する手段;アンカットレンズブランクの境界線と外縁との間の後面の新しい曲率プロファイルを決定する手段であって、新しい曲率プロファイルの曲率は境界線における境界曲率に等しく、外縁に向かって境界曲率から所定の曲率値または所定の曲率へと単調かつ連続的に遷移する手段;およびアンカットレンズブランクの修正レンズ形状を決定する手段であって、修正レンズ形状は前面の元の形状および後面の修正形状を含み、後面の修正形状は新しい曲率プロファイルに基づくターゲット形状への最適化手順によって決定し、ターゲット形状は、具体的には、境界線内の元のレンズ形状の保存された曲率プロファイルおよびアンカットレンズブランクの外縁に対する厚さ要件を含み、具体的には、元のレンズ設計の曲率プロファイルを境界線内に保存または固定する手段を含む。さらにコンピュータシステムは第2の態様のステップA)のための手段、第2の態様のステップB)のための手段および第3の態様のステップC)のための手段を含む。
本発明の第9の態様によれば、前面および後面を含む眼鏡レンズを製造するためのアンカットレンズブランクを提供し、前面は凸状の回転対称面であり、後面は対称のレンチキュラー部、マージン部およびレンチキュラー部とマージン部との間に位置する遷移部を含み、後面上の点から出る直線に沿った後面の曲率は、遷移部を通って極限曲率値に向かって単調に遷移し、直線に沿った後面の曲率は連続する。
本発明の第10の態様によれば、第1の態様およびその具体的態様の内の1つによる方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含む、具体的には非一時的なコンピュータプログラムを提供する。
本発明の第11の態様によれば、第2の態様およびその具体的態様の内の1つによる方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含む、具体的には非一時的なコンピュータプログラムを提供する。
本発明の第12の態様によれば、第1の態様またはその具体的態様の内の1つによる方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムを記憶した、機械読み取り可能な記憶媒体を提供する。第13の態様によれば、第2の態様またはその具体的態様の内の1つによる方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムを記憶した、機械読み取り可能な記憶媒体を提供する。
具体的には、第5および第6の態様によるコンピュータプログラム製品、第8の態様によるコンピュータシステム、第7および第9の態様によるアンカットレンズブランク、第10および第11の態様によるコンピュータプログラムおよび第12および第13の態様による機械読み取り可能な記憶媒体は、第1〜第3の態様による方法および第4の態様によるアンカットレンズブランクと同じ利点を提供する。
一般の技術背景に関して、眼用レンズ設計では、意図する、すなわち「ターゲットの」波面収差分布が典型的に特定される。この分布は、一般的に、眼鏡処方の屈折力とフィッテイングパラメータとの特定の組み合わせによるレンズ設計の理想的な光学性能を表す。典型的な最適化工程では、眼用レンズ素子の1つまたは複数の連続して滑らかな表面を操作することによって、光屈折率のできるだけ密接した所望の分布を達成させようとする。レンズ口径の複数の点において、モデルの眼用レンズ素子とターゲットの分布との間の光学性能の違いは、使用者におけるレンズの固定位置を表す着用位置をトレースするコンピュータ光線を使って評価される。典型的なレイ・トレーシング工程中、レンズの波面収差を選択したオーダーまで特徴付けるのに十分な、特定の物点からレンズ素子を通る多くの光線の屈折が計算される。理想的には、これらの光線は全て物距離に対応して眼の理想的な焦平面に収束するのだが、数学的に、レンズ口径の全ての点に関してこれは常に可能なわけではない。
典型的に、これらの点における光学収差の全体的な大きさを表す「メリット関数」または最小自乗法は、有限要素分析法などの数理最適化およびモデリング技法を使って、レンズ口径に亘る特定の各点において最小化される。さらに、これらのメリット関数またはこれらのメリット関数の個々の項も、視覚品質が最も重要なレンズの一定の領域における視機能を最大化するために、またはレンズ設計の性質により、特定の光学収差が避けられない領域において最適化を最小限にするために、レンズ口径に亘って異なって重み付けされる。
これに基づいてアンカットレンズブランクの「元のレンズ形状」が提供される。レンズ形状の一般的な詳細およびこのような形状を求める数理の基本は当業者に知られている。さらに、ターゲットパラメータおよび境界条件に基づく表面プロファイルのターゲット形状への最適化は当業者にとって周知である。例として、このような詳細は、R.R. Shannon氏による「光学設計の芸術学(The Art and Science of Optical Design)」、1977年、ISBN 0-521-58868-5、ケンブリッジ大学出版局、具体的には第5章「設計の最適化」から得ることができ、より詳細は、Gross氏らによる「光学システムハンドブック(Handbook of Optical Systems)」、第1〜5巻、2007年、ISBN:978-3-527-40382-0、WILEY-VCH出版社、バイムハイム、具体的には第3巻の「光学システムの収差理論と補正(aberration Theory and Correction of Optical Systems)」、具体的にはその第32章「最適化の原理(Aberration Theory)」、第33章「最適化工程(Optimization process)」および第34章「特殊な補正特徴(Special Correction Features)」から得られる。
これに加え、他覚屈折(objective refraction)技術の結果を提供する種々のメリット関数および最適化メトリクスが考えられており、当業者に周知である。これらの例は、以下の文献、例えば、米国特許第7857451号明細書の「臨床光学処方を最適化するためのシステムおよび方法(System and method for optimizing clinical optic prescriptions)」、米国特許出願公開第2012/0069297号明細書の「眼鏡処方法(Eyeglass prescription method)」、米国特許出願公開第2005/0110946号明細書の「対物レンズ自覚屈折(Objective manifest refraction)」、国際公開第03/092485号の「視覚品質のためのシャープネスメトリック(Sharpness metric for vision quality)」、米国特許出願公開第2008/0100800号明細書の「眼鏡処方法(Eyeglass prescription method)」、米国特許出願公開第2009/0015787号明細書の「視覚障害のための眼鏡処方決定装置および方法(Apparatus and method for determining an eyeglass prescription for a vision defect of an eye)」および米国特許第8205987号明細書の「眼の波面収差のために眼鏡レンズを最適化する方法(Method for optimizing a spectacle lens for the wavefront aberrations of an eye)」に記載されており、これらの各々の開示を本明細書に参照として援用し、それらの特徴の保護が求められる。コンフリクトの場合、本明細書が優先する。
「メリット関数」という用語は当業者にとって周知である。フィギュア・オブ・メリット関数としても知られるメリット関数は、特定のパラメータを選択するために最適化モデルと当てはめモデル、ここでは後面、との間の一致を測定する関数である。換言すると、メリット関数は、値、すなわちメリット関数の値を提供することにより、パラメータの選択を評価する。メリット関数は最適値に近づくと小さくなる。例えば、メリット関数の値は視覚品質の基準、またはただ単に決定された後面とターゲット形状との間の違いを表すことができる。しかしながら、より良いパラメータの選択に関しては大きくなるように設計することもできる。最適化中、パラメータは最適値(最大または最小)が得られるまで、メリット関数の値に基づいて調整され、このようにして対応パラメータへの最良適合または最適条件が生成され、メリット関数の最適値が与えられる。
他に記載のない限り、本願において使用する専門用語はDINドイツ工業規格のDIN規格EN ISO 13666の定義に対応する。
DIN規格によれば、「眼鏡レンズ」は、眼の前に装着されるが、眼に触れない眼用レンズのことを言う(DIN規格EN ISO 13666の第8.1.2章参照)。本願において、DIN規格EN ISO 13666のNo 8.4.6による完成眼鏡レンズも「眼鏡レンズ」という用語によって理解されるように意図している。従ってこれは2つの完全に加工された光学面を有する眼鏡レンズである。縁ずり加工前または加工後の眼鏡レンズであってもよい。原則として、眼鏡レンズはいわゆるアンカット眼鏡レンズ、または縁ずり加工されていない縁をもつ眼鏡レンズとして、例えば、大規模な研究所から処方に従う眼鏡商に配送される。アンカットの眼鏡レンズは一般に円形または楕円形の縁を有している。アンカットの眼鏡レンズは特定の枠のみに適合され、処方に従う眼鏡商において縁ずり加工されて最終のサイズと形状になる。
本願による「アンカットレンズブランク」という用語は、縁ずり加工前の最終形状を有する2つの表面、すなわち前面および後面を有するレンズブランクを意味するものである。コーティングはどちらの面にもしないか、片面または両面に行うことができる。また、DIN規格EN ISO 13666のNo 8.4.7による「アンカットレンズ」は、片面または両面がエッジング前にすでにコーティングされているレンズである。しかしながらこれは「レンズブランク」とも称することができる。これは円形または楕円形とすることができる。円形のレンズブランクの場合、直径は少なくとも60mm、具体的には60mm〜80mmである。楕円形のレンズブランクの場合、最小径は少なくとも60mm、具体的には60mm〜80mmである。
「光軸」という用語は、眼鏡レンズの2つの光学面に垂直な直線を意味し、この軸に沿った光は眼鏡レンズを偏向せずに通る(DIN規格EN ISO 13666のNo. 4.8参照)。
「子午線」または「表面の子午線」は、DIN規格EN ISO 13666のNo 5.7.1によれば、表面の曲率の中心を含む任意の平面を意味する。
本発明において、つば直線の走る「断面」は、ユーザによる眼鏡レンズの主要固定(fixation)方向に平行な、レンズを通る断面を意味する。レンズが光軸を有する場合、断面は子午面である。レンズが表面、具体的には曲率の中心を持つ前面を有する場合、断面は子午線である。レンズが光軸を持たない場合、断面はDIN規格EN ISO 13666のNo 5.5による幾何学的中心、すなわち、アンカットレンズブランクの形状に対する、ボックスの水平中心線および垂直中心線の交点を含むこともできる。断面は、DIN規格EN ISO 13666 No 5.11による視覚点、すなわち、眼鏡レンズの後面と照準線との交点を含むこともできる。
「照準線」は、この場合、DIN規格EN ISO 13666のNo 5.32によれば、眼の中心窩と射出瞳とを結び、入射瞳の中心から物空間に向かって連続する線を意味する。
本願において、「視覚点」とはこの場合、眼がリラックスした位置にある場合、照準線が眼鏡レンズの後面と交差する、眼鏡レンズの後面上の点を意味する。DIN規格EN ISO 13666 No 5.31によれば、これは「主要位置」、すなわち、眼が眼の高さにある物体を固定した方向でまっすぐ見た場合の、体に対する眼の位置である。フィッティングポイントの位置はアンカットレンズブランク内にあり、マーキングとして読み取りができる。
DIN規格EN ISO 13666のNo 5.23による「偏心(decentration)」とNo.5.24による「中心点」とを比較すると、No 5.23による眼鏡レンズの偏心の場合、必要とされる中心点は縁ずり加工された眼鏡レンズ形状の幾何学的ボクシング中心とは異なる。具体的には、断面はDIN規格EN ISO 13666のNo 5.24による「フィッティングポイント」、すなわち、アンカット眼鏡レンズの眼鏡レンズにおける前面の点を含んでもよい、すなわちこれはメーカの規定によって、レンズを眼の前で位置決めするための基準点として使用されるものである。フィッティングポイントは一般にアンカットレンズブランクのマーキングとして配置され、読み取り可能である。
本願において「前面」および「後面」という用語は、DIN規格EN ISO 13666に対応する。DIN規格EN ISO 13666のNo 5.8によれば、「前面」という用語は、眼から見て外方に向いた眼鏡レンズの表面を意味する。DIN規格EN ISO 13666のNo 5.9によれば、「後面」という用語は、眼の方に向いた眼鏡レンズの表面を意味する。しかしながら「前面」および「後面」という用語はそれぞれ「第1面」および「第2面」と言い換えることもできる。「第1面」または前面は、球状、具体的には回転対称、または非球状、具体的には面対称を有する、凸状の表面と定義することができる。「第2面」または後面は、非対称、具体的には自由曲面の凹状の表面と定義することができる。
「プリズム屈折力」という用語は、DIN規格EN ISO 13666のNo 10.9によれば、プリズムによる光のフレおよびプリズムによる光のフレの基底方向の両方を意味する。No 10.8によれば、「プリズム屈折力」は、光線方向の屈折による変化を意味する。プリズム屈折力が断面に関連して記載される場合、対応する断面におけるプリズム屈折力を意味する。基底位置はDIN規格EN ISO 13666のNo 10.7に定められており、例えば、TABOスキームによれば極座標に示され、弧スキームの半円度は当業者に知られている。
「屈折度数」という用語は、眼鏡レンズの焦点屈折力およびプリズム屈折力の両方を意味する(DIN規格EN ISO 13666のNo 9.3参照)。
「焦点屈折力」という用語は、特定の点における眼鏡レンズの球面屈折力および乱視屈折力の両方を意味する(DIN規格EN ISO 13666のNo 9.2参照)。「球面屈折力」および「乱視屈折力」の用語は、この場合、DIN規格EN ISO 13666の11および12に記載されている定義を意味する。
「ユーザのための」という用語は、そのユーザのために設計された眼鏡レンズの効果を意味する。「ユーザのための」このような計算は、従って、ユーザデータに基づいて行われる。具体的にはこれらのユーザデータは、眼鏡レンズに対して予想される眼回転点の位置に関連する。具体的には、眼回転点の位置は眼鏡レンズの後面からの距離として表示される。回転対称眼鏡レンズの場合、例えば、眼回転点はその光軸上の眼鏡レンズの後面から一定の距離にある。
「ユーザデータ」は、個人のユーザデータおよび標準のユーザデータの両方を指す。例えば、特定の屈折度数を持つ単焦点眼鏡レンズは標準ユーザデータのために構成することができる。個人のユーザデータは、例えば、眼鏡商によって記録され、眼鏡レンズの形状を計算するために眼鏡メーカに渡されるものである。
「ボックス」または「ボクシングシステム」は、アンカットレンズブランクの最も外側の縁に水平および垂直な接線によって形成された長方形に基づく次元および定義のシステムである。「水平中心線」は2つの水平接線から等距離にある線である。「垂直中心線」は2つの垂直接線から等距離にある線である。垂直中心線と水平中心線との交点は「幾何学的中心」とも称される。枠内の縁ずり加工された眼鏡レンズのボックスの場合、交点は「ボクシング中心」とも称される。対応する定義はDIN規格EN ISO 13666のNo.5にも見つけることができる。ボクシングシステムのより実質的な標準化はDIN規格EN ISO 8624に見つけることができる。眼鏡の「眼鏡面」は、第1、すなわち左の眼鏡レンズの垂直中心線および第2、すなわち右の眼鏡レンズの垂直中心線を含む。ボクシングシステムまたはボクシング次元のより実質的な標準化および眼鏡面はDIN規格58208-1.9にも説明されている。
「処方」は、使用者である人間の眼の収差を補正するための、光学設計によって満たされる光学値のオーダー(optical values order)として一般的に知られている。具体的に、処方は球面度数、円柱度数および軸の値または同等のパラメータを提供することができる。さらに、レンズの近用部と遠用部との間の差、ならびに関連する軸に沿った一定のプリズム屈折力を処方することができる。
後面の「つば点」はつば直線が出発する点である。これはレンズの後面の任意の点とすることができる。しかしながら好適には境界線内の表面領域内の点である。具体的にはつば点はアンカットレンズブランクの視点および/または幾何学的中心とすることができる。
「境界線」は保存される後面の外境界を決定するものである。境界線は直線ではなく、レンチキュラー部、すなわち保存される後面を囲む曲線である。閉じた線(closed line)であってもよい。しかしながらアンカットレンズブランクの外縁から始まって終わってもよい、すなわち、囲まれた領域が「開」いた半径方向外向きになるようにしてもよい。
「曲率プロファイル」は表面の相対的な曲率プロファイルを意味する。具体的には後面の曲率プロファイルは曲率、すなわち単なる表面プロファイルを含む。しかしながら、z方向の絶対位置、すなわち、前面に対する絶対位置は曲率プロファイルに含まれない。よって後面の元の形状の曲率プロファイルが「保存される」場合、後面の相対矢状高さは保存されるが、曲率プロファイルは前面に対して直線的に(translatoric manner)移動させることができる、すなわち、曲率プロファイルの各点は前面に対して、同じ方向および同じ量だけ移動させることができる。
「つば線」は上述の様に一定の角度で走り、つば点から出る真直ぐな線である。例えば、つば点がアンカットレンズブランクの幾何学的中心である場合、角度はレンズブランクの幾何学的中心線の周囲に生じる。具体的に、幾何学的中心点は前面の曲率の中心に垂直である。つば点が幾何学的中心でない場合、幾何学的中心線に平行な線はつば点を通ると考えられ、その特定の線の周りに、それに沿って各つば線が走る角度を生じさせることができる。一般につば線は直線でなくてもよい。曲がったつば線または任意の経路に沿うつば線も可能である。
「単調に」遷移するとは、曲率の第1微分または曲率勾配の算術符号が遷移中に変わらないことである。算術符号は正のみまたは負のみである。さらに曲率勾配は一定である。
さらに「遷移」とは所定の曲率値、具体的には極限曲率値が所定の曲率値、具体的には極限曲率値とは異なる曲率値から接近することを意味する。所定の曲率値は最大または最小曲率であってもよい。よって最小曲率の場合、これは具体的にはつば線に沿った後面の最小曲率である。従って、最大曲率の場合、これは具体的にはつば線に沿った後面の最大曲率である。曲率の方向は後面の点における境界線の方向とは異なる。曲率の方向は、具体的に、それぞれのつば線に沿った、アンカットレンズブランクの外縁に向かって境界線から離れていく。さらに、具体的に、境界曲率は所定の曲率値、具体的には極限曲率値とは異なる。従って、遷移は遷移ゾーンを通る曲率勾配が常にゼロではないことを意味する。単なる例として、つば線に沿った境界曲率が5ジオプトリーで、所定の曲率値、具体的には極限曲率値が15ジオプトリーである場合、曲率は5〜15ジオプトリーへ、その間減少することなく一定に増える。遷移部において、曲率勾配は正のみである。
表面上に、または線に沿って「連続する」曲率とは、対応する表面またはそれぞれの線に沿って不連続部、すなわちねじれのないことである。換言すれば、境界線に沿った境界線内の後面の曲率は境界線外の後面の曲率に等しい。これにより、連続する曲率、換言すれば滑らかな表面が保証される。もちろん製造公差によって、ねじれは鋭い不連続部(sharp discontinuity)でなく、例えば5mm以下、または2mm以下の大変小さな曲率半径を実際に含んでもよい。具体的に、連続するとは、後面の曲率半径の大きさが常に2mm以上、または常に5mm以上でなければならないということである。
アンカットレンズブランクの外縁の「厚さ要件」は、最適化工程のターゲット形状の条件または境界条件である。例えば厚さ要件はその周縁に沿ったアンカットレンズブランクの外縁の1組の最小厚の値であってもよい。これは具体的にはプラスレンズに対して適用される。さらなる例として、厚さ要件はその周縁に沿ったアンカットレンズブランクの外縁の最小厚であってもよい。よって、その周縁に沿ったアンカットレンズブランクの外縁の最小厚の値は最小厚以上でなければならない。これは具体的にはマイナスレンズに対して適用される。
このようにして上述の目的は全体的に解決される。
第1の態様に係る方法の具体的態様において、後面の曲率は連続している。
例えば、修正レンズ形状の後面の曲率は、例えばステップe)の決定中、連続と決定される。具体的には後面またはその曲率は不連続部分を含まない。後面は、例えばフレネル層のような、ねじれまたは跳躍のない具体的には滑らかな表面である。後面の連続する曲率により、例えば、アンカットレンズブランクの次の製造が容易になる。
第1の態様に係る方法の具体的態様において、アンカットレンズブランクは1つの材料からなる単一の素子である。
例えば、アンカットレンズブランクは、方法のステップにおいて、1つの材料からなる単一の素子であると決定される。1つの材料からなる単一の素子であるアンカットレンズブランクは、例えば前面および/または後面に塗布されるコーティングをさらに有することができる。これにより、例えば、アンカットレンズブランクの次の製造が簡易になる。例えば、フレネルシートをさらに取り付ける必要はない。
第1の態様に係る方法の具体的態様において、本方法は後面の極限曲率値、具体的には最大曲率または最小曲率を所定曲率値として提供するステップを含む。
第1の態様に係る方法の具体的態様において、ステップc)は後面上のつば点、および後面上の少なくとも1つのつば直線を決定するステップを含み、各つば直線はつば点から出ており、各つば直線に関して、それぞれのつば直線および境界線の交点において後面の境界曲率を決定するステップを含む。
第1の態様に係る方法の具体的態様において、ステップd)は、各つば直線に対して、アンカットレンズブランクの交点から外縁へ、それぞれのつば線に沿って後面の新しい曲率プロファイルを決定するステップをさらに含み、新しい曲率プロファイルの曲率は交点における境界曲率と等しく、外縁に向かって境界曲率から極限曲率値へと単調に遷移する。
第1の態様に係る方法の具体的態様において、後面の修正形状はターゲット形状への最適化によって決定され、ターゲット形状は以下、すなわち、
i)境界線内の後面の元のレンズ形状の、最適化中に固定される曲率プロファイル;
ii)境界線外の各つば直線の、最適化中に固定される曲率プロファイル;および
iii)境界線外の後面の極限曲率値とを含み、
最適化において、境界線に沿った後面の曲率は連続するという条件が適用される。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、つば点は元のレンズ形状による視点である、またはつば点は元のレンズ形状によるフィッティングポイントである、またはつば点は、具体的には、曲率が後面の接曲率で、各つば直線が前面の子午線を走るような、アンカットレンズブランクの幾何学的中心である。
もちろん視点はアンカットレンズブランクのフィッティングポイントおよび/または幾何学的中心である場合もある。さらに一般に、任意の具体的態様において、つば点は、前面の回転対称軸を持つ後面の交点であると定めることができる。これは具体的に、前面が球面である場合に適用される。好適には、つば点はアンカットレンズブランクの幾何学的中心である。その場合、各つば直線は前面の曲率の中心、もちろん幾何学的中心として、前面の子午線を走る。これはまた曲率、すなわち各つば直線に沿った曲率が、後面の接曲率または半径曲率であることを意味する。この形状は比較的速くセットアップされ、決定される。保存される元の形状の光学領域は通常元の形状の中心であり、この点の周囲の厚さを減少させることは通常道理にかなっている。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、最終レンズを挿入する枠の形状を提供し、枠線は、それに沿ってアンカットレンズブランクを切断して枠にはめる線によって画定し、境界線の形状は枠線の形状に対応する、具体的に、境界線内の後面領域は枠線内の後面領域よりも小さいか、同等か、または大きい。
一般に、境界線は任意の形状とすることができる。ここで「形状」とは、境界線によって囲まれた、または枠内の表面領域における2次元投影の一般的な幾何学的図形、換言すれば「影」である。境界線の形状が枠線の形状に対応するのであれば審美的に有利であることがわかった。しかしながらこれは境界線が枠線と必ずしも等しいというわけではない。境界線は枠線内の後面領域よりも小さい、同等または大きい表面を囲んでもよい。よって、一般に、境界線はそれよりも大きい、同等または小さい係数で縮小される枠線であってもよい。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、つば直線の曲率は、それが所定の曲率値、具体的には極限曲率値に到達した後、具体的にはつば直線が外縁に届くまで、所定の曲率値、具体的には極限曲率値で外縁に向かって一定したままである。
曲率を所定の曲率値、具体的には極限曲率値に維持すると、所定の曲率値、具体的には極限曲率値の同じ極限曲率を持つマージン部が提供される。これによってアンカットレンズブランクの厚さの最大減少がもたらされる。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、多数のつば直線が決定される、具体的にはこの場合、隣接するつば直線間の間隔は0.5〜10度、好適には1,2または3度である。
もちろんこれは、例えば、任意のつば直線が前面の子午線内を走る場合、そのようにして決定された分離角も子午線間の角度であるということである。この分離角は隣接するつば直線の2つの半径方向間の角度を決定する。使用する分離角は本方法のために取っておく加工リソース(processing resource)によって決めてもよい。さらに、次の最適化工程がどれだけ厳密に支持されるかによって決めてもよい。分離角が小さくなればなるほどより大きなつば表面が決定され、次の最適化工程にとってより正確な開始条件が提供される。これによって最適化がさらに制御される。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、元のレンズ形状は正の焦点屈折力を提供し、所定の曲率値、具体的には極限曲率値は最大、具体的には正の曲率値であり、最適化中、アンカットレンズブランクの外縁の所定の最小厚を必須条件としてターゲット形状に適用し、具体的には最適化中、固定されたまたは保存された曲率プロファイルを維持しながら、境界線内の後面の元のレンズ形状の固定または保存された曲率プロファイルの矢状高さを調整する。
この具体的態様は具体的にはいわゆる「プラスレンズ」、すなわち正の焦点屈折力のレンズに対応する。眼用レンズにおいては通常メニスカスレンズが使用される。このような凸凹レンズは、2つの表面の相対曲率によって正または負とすることができる。よって、負のメニスカスレンズまたはマイナスレンズは、前面よりも高い曲率を持つ凹面(後面)を有する。このような負のレンズは周縁または外縁よりも中心の方が薄い。逆に、正のメニスカスレンズまたはプラスレンズは凹面よりも高い曲率を有する凸面(前面)を有し、よって周縁または外縁よりも幾何学的中心の方が厚い。従ってプラスレンズの場合、これらのレンズは周縁に向かって薄くなる。本方法を適用すると、後面の厚さはマージン領域において周縁または外縁に向かって迅速に増大する。しかしながらこのようなプラスレンズの中心厚の減少は必ずしも本方法の最終目標ではない。よって、製造ツール、具体的にはブロッキング片を考慮すると、アンカットレンズブランクの周縁の周りの厚さに対する最小要件は必須条件であると考えられる。そして最適化中、これによって曲率プロファイルが境界線内に保たれ、新しい曲率プロファイルがつば線に沿って保たれつつ、最適化中後面が前面に向かって「移動」され、周縁の最小厚が所定の最小厚になるという効果がある。従って、修正レンズ形状のマージン領域の曲率は元のレンズ形状の曲率よりも高いので、境界線内の光学的に保存された表面領域が前面に向かって「隆起(raised)」する。このようにして中心厚が減少する。
さらなる具体的態様において、ステップe)に続いて第2の最適化を行い、この場合、さらなる最適化には初期形状として後面の修正形状を使用し、境界線内の曲率プロファイルのみを、処方または元のレンズ形状の所定の光学特性に向けて、具体的には修正レンズ形状の減少された中心厚を考慮して最適化する。
正のレンズの場合、減少された中心厚のため、そしてレンズは「本物のレンズ」であって「理想のレンズ」ではないため、減少された中心厚は境界線内の固定された曲率プロファイルの光学特性に影響を与える。これらの光学特性を回復させるために、曲率プロファイルを減少された中心厚に再調整するさらなる最適化の開始条件として固定された曲率プロファイルを使用し、さらに最適化を行うことができる。しかしながらこのような再調整は、中心厚の減少および関連する光学特性の低下が重大であると考えられる場合のみに行わなければならない。実際、光学特性を回復させるために考慮することのできる他の事柄がある。例えば、レンズを薄くする度に、前面の曲率半径を再調整する手段もある。前面は、減少した厚さを補償するために、僅かに高い曲率で研削すればよいだけである。また、外縁の所定の最小厚を、例えば実際の最小厚よりも5%、10%または20%高く設定して、前面がより高い曲率で切削される場合でも最小厚が保存されるようにするオプションがある。例えば、最小厚が1mmである場合、本方法を所定の最小厚1.1mmまたは1.2mmで実行し、前面がより高い曲率で研削された場合に最小厚1.0mmを周縁の周りに保つようにすることができる。しかしながら前面全てをより高い曲率で研削する必要があるのではなく、枠線内または境界線内の領域だけでよいので、これは必要ではないだろう。最後の手段として、元のレンズ形状の実際の中心厚よりも小さな中心厚で元のレンズ形状を計算するという代替手段がある。よって元のレンズ形状の後面は境界線内に理想的な光学特性を提供しないが、開示された方法によって厚さを減少すると、減少したレンズ厚に合う。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、元のレンズ形状は負の焦点屈折力を提供し、所定の曲率値、具体的に極限曲率値は最小、具体的に負の曲率値であり、最適化中、境界線内の後面の元のレンズ形状の固定された曲率プロファイルの矢状高さを固定する、具体的には、厚さ要件として、外縁の最小厚を最適化工程中の必須境界条件として適用する。
この場合、中心における元のレンズ形状の厚さは周縁の厚さよりも薄い。よって減少される重要な厚さは外縁または周縁の厚さである。従ってこの場合、境界線内の固定された曲率プロファイルの光学特性の再調整は必要ない。よって境界線内の元のレンズ形状の固定された曲率プロファイルの矢状高さは固定されたままである。しかしながら、周縁の周りで適切なブロッキングが行われ、外縁の周りで過度に厚さが減少されないように、外縁の最小厚さの必須条件をさらに提供してもよい。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、本方法は境界線に隣接する遷移ゾーンを外縁に向かって画定するステップをさらに含み、この遷移ゾーンにおいて、曲率は境界曲率から所定の曲率値、具体的には極限曲率値へと、アンカットレンズブランクの外縁に向かって単調に遷移し、遷移ゾーンは、具体的に、各つば線に沿った最小長さとして設定する。具体的に、遷移ゾーンはステップd)の前に画定する。
「遷移ゾーン」という用語は方法の説明において使用するが、アンカットレンズブランクの後面を説明する際に使用する「遷移部」と同等のものであると考えてよい。表面領域を境界線内に光学的に確実に保存するため、そしてさらにアンカットレンズブランクが修正レンズ形状に従っているか、具体的には後面がその修正形状に従って実際に製造されているのかを確かめるために、遷移ゾーンを画定することができる。各つば線に沿って最小長さを画定することにより、切削および研磨加工から境界線内の表面領域を保護することができる。例えば、各つば線に沿った遷移ゾーンの長さは5mmの長さを有するものとして画定することができる。実際の長さは対応する切削および研磨ツールに大きく依存する。一般に、遷移ゾーンは1〜10mmの長さ、好適には2〜8mm、具体的には、1,2,3,4,5,6,7,8mmとすることができる。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、本方法は、境界線に隣接する遷移ゾーンをアンカットレンズブランクの外縁に向かって画定するステップをさらに含み、この遷移ゾーンにおいて、曲率は境界曲率から所定の曲率値、具体的には極限曲率値へと、外縁に向かって単調に遷移し、遷移ゾーンは、各つば線に沿った曲率勾配の最大強度を画定することによって設定し、具体的に、遷移ゾーンはステップd)の前に画定する。
具体的には、マイナスレンズに関して、遷移ゾーンは曲率勾配、具体的には各つば線に沿った曲率勾配の最大強度を画定することによっても画定することができる。これにより、境界線における特定の曲率から所定の曲率値、具体的には極限曲率値への遷移を画定することができる。勾配が小さくなるとつば線に沿った遷移ゾーンは長くなり、勾配が大きくなると遷移ゾーンは短くなるが、レンズ厚のより良い減少が可能となる。勾配もまた、利用する表面処理ツールに依存する。
第1の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、ステップd)では、各々の新しい曲率プロファイルを、本質的に一定した曲率勾配、具体的には一定の曲率勾配により、境界曲率から所定の曲率値、具体的には極限曲率値への遷移に対して決定する。
遷移ゾーンの曲率勾配は本質的に一定、または具体的に、厳密に一定とすることができる。もちろん製造公差を適用する。一定の勾配を提供することにより、使用者に邪魔になる可能性の少ない、審美的に有利な形状を提供することができる。
第2の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、ステップC)は、推奨される所定の曲率値、具体的には極限曲率値よりも大きな強度を持つハードリミット所定曲率値、具体的には極限曲率値を特定するステップをさらに含み、この場合、ステップIIIに続き、最適化中、ハードリミット所定曲率値、具体的には極限曲率値を所定の曲率値、具体的には極限曲率値に適用させる。
これにより、ステップIIIの後に特定の最大レンズ厚に到達しない場合、満足いく形状となるように最後の作業を行うことができる。しかしながら警告を返して、対応するレンズ形状をマークし、例えば、製造中具体的には監視するようにする。
第2の態様に係る方法のさらなる具体的態様において、ステップC)の最後の反復における修正レンズ形状の枠線に沿った最大レンズ厚は特定の最大レンズ厚以下であり、
ステップC)の最後の2回の反復による修正レンズ形状の間でさらに反復を行い、枠線に沿った最大レンズ厚が特定の最大レンズ厚と一致するようにする。
最後の反復においてレンズの厚さが特定の最大レンズ厚よりも小さい場合、最後の2つのステップ間で反復して、最大レンズ厚と厳密に一致するようにすることができる。これによって最大眼球回転角度を実現させることができ、プライオリティを与えることができる。
第3の態様に係る方法、つまり製造方法はさらにアンカットレンズブランクの縁ずりステップ、具体的には枠線に沿った縁ずりステップを提供することができる。また、枠線に沿った減少されたレンズ厚で最終レンズが実現され、対応する最終レンズが対応する枠に確実に挿入されるようになる。
具体的には第4の態様に係るアンカットレンズブランクのさらなる具体的態様において、レンチキュラー部は非対称の表面プロファイルを有し、具体的に、この表面プロファイルは自由曲面の表面プロファイルである。
アンカットレンズブランクのさらなる具体的態様において、極限曲率値は、最小、最低、具体的には符号付きの、直線に沿った後面の曲率である、または極限曲率値は最大または最高、具体的には符号付きの、直線に沿った後面の曲率である。具体的には最小の曲率は負であることもある。具体的には、−4ジオプトリーの曲率は+2ジオプトリーを提供する曲率よりも小さいまたは低いと考えるべきである。
アンカットレンズブランクのさらなる具体的態様において、遷移部はレンチキュラー部を完全に囲む。
アンカットレンズブランクのさらなる具体的態様において、マージン部は直線に沿ってアンカットレンズブランクの外縁まで延在し、マージン部はアンカットレンズブランクの外縁の少なくとも一部に沿って円周方向に延在する。
アンカットレンズブランクのさらなる具体的態様において、マージン部はアンカットレンズブランクの完全な外縁に沿って円周方向に延在する。
アンカットレンズブランクのさらなる具体的態様において、点はアンカットレンズブランクの幾何学的中心である、または、点は視点であり、具体的に、視点の位置はレンズブランクのエングレービングに符号化される、または点はフィッティングポイントであり、具体的に、フィッティングポイントの位置はアンカットレンズブランクのエングレービングに符号化される。よって上述の第1〜第3の態様に係る方法で説明したものと同じ特徴を、本発明に係るアンカットレンズブランクを画定する構造的特徴にも適用することができる。もちろんこれは本方法に関して記載した全ての特徴に適用される。
さらに、所定の曲率値、具体的に、マージン部におけるアンカットレンズブランクの極限曲率値は10〜20ジオプトリーとすることができ、これは半径53〜26.5mmに等しい。一般に、アプリケーションにおいて、ジオプトリー曲率には屈折率1.53が使用される。よって、曲率をジオプトリーで表す場合、対応する曲率は半径
によって計算することができる。これはメートル単位の半径を提供する。アプリケーションにおける既知の1.53の屈折率を使用しての再計算は当業者にとって周知である。具体的に、符号付きの所定の曲率値または極限曲率値は14ジオプトリー以上とすることができる。具体的に、これは正の曲率半径としても表すこともできる。14ジオプトリー以上の屈折力を提供するには、基準屈折率1.53に対し、曲率半径強度は半径37.85mm以下であってもよい。具体的に、曲率は14〜18ジオプトリーとすることができる。具体的に、14,15,16,17,18,19,20ジオプトリーとすることができる。自由曲面生成器の標準ツールが半径約33mmまたは曲率約16ジオプトリーなので、好適には16ジオプトリーである。
所定の曲率値、具体的には極限曲率値のこの値はプラスレンズに適用することができる。マイナスレンズの場合、具体的には符号付きの所定の曲率値または極限曲率値は−4ジオプトリー以下とすることができる。具体的に、これは負の曲率半径として表すことができる。−4ジオプトリー以下の屈折力を提供するには、基準屈折率1.53に対し、負の曲率半径強度は132.5mm以下である。具体的に、所定の曲率値、具体的に極限曲率値は−4〜−8ジオプトリーの間、具体的に4,−5,−6,−7,−8ジオプトリーとすることができる。好適には、所定の曲率値または極限曲率値を−6ジオプトリーに設定する。曲率の勾配は1ジオプトリー/mm〜4ジオプトリー/mm、具体的には1,2,3,4ジオプトリー/mmとしてもよい。具体的に、推奨勾配は2ジオプトリー/mm、最大またはハードリミットは3ジオプトリー/mmとしてもよい。
一般に、最小眼球回転角度は20〜50度、具体的には20,25,30,35,40,45度に設定することができる。好適には、推奨眼球回転角度は45度で、最小35度である。
上記の、およびこれから以下に説明する特徴は、それぞれ記載されている組み合わせのみではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでも使用することができると理解されよう。
本発明の実施形態を図に示し、以下により詳しく説明する。
本発明の第1の態様に係る方法の実施形態を示す図である。 aは図1の方法の異なるステップの実施形態を示して説明する略図である。 bはプラスレンズとマイナスレンズの方法の異なるステップを示して説明する、さらなる概略図である。 新しい曲率プロファイルの決定を説明する図である。 新しい曲率プロファイルのさらなる決定を説明する図である。 新しい曲率プロファイルのさらなる決定を説明するさらなる図である。 新しい曲率プロファイル、具体的には一定した曲率勾配を有する遷移ゾーンを決定する異なる手法の効果を説明する図である。 aはアンカットレンズブランクの実施形態を示す図である。 bは切断線X−Xに沿った図7のアンカットレンズブランクを示す図である。 aは一般的な実施例を説明する図である。 bは一般的な実施例を説明するさらなる図である。 cは一般的な実施例を説明するさらなる図である。 プラスレンズの第1の実施例を説明する図である。 プラスレンズの実施例を説明するさらなる図である。 プラスレンズの実施例を説明するさらなる図である。 プラスレンズの実施形態を説明するさらなる図である。 プラスレンズの実施例における方法の効果を説明するさらなる図である。 クリブされた(cribbed)プラスレンズの第2の実施例を説明する図である。 クリブされたプラスレンズの実施例における方法の効果を説明するさらなる図である。 クリブされたプラスレンズの実施例における方法の結果を示す図である。 マイナスレンズの実施例を説明する図である。 マイナスレンズの実施例を説明するさらなる図である。 マイナスレンズの方法および実施例の効果を示す図である。 本発明の第2の態様に係る方法の実施形態を示す図である。 図20に係る方法の種々のサチュレーション(saturation)ステップにおける1組のパラメータを説明する図である。 第2の態様に係る方法の実施例の異なる結果を示す図である。 第2の態様に係る方法の実施例を説明するさらなる図である。 本発明の第3の態様に係る製造方法のブロック図である。
図1は本発明の第1の態様に係る方法の実施形態を示している。本方法は一般に参照符号100によって示される。
本方法は具体的にはコンピュータ利用による方法である。よって本方法は、具体的に、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を使用してアンカットレンズブランクの修正レンズ形状を提供する。修正レンズ形状では元のレンズ形状と比較して厚さが減少される。
本方法の実施を、図1および図2を参照して以下に説明する。
先ず、アンカットレンズブランクの元のレンズ形状10を提供するステップ102を実行する。元のレンズ形状10はアンカットレンズブランクの前面および後面の元の形状を含む。具体的には、元の形状は処方に従って設計される。さらに、後面の所定の曲率値を提供する。この所定の後面の曲率値は予め設定し、例えば15ジオプトリーまたは同等の半径とすることができる。具体的には、その所定の曲率値は関連する自由曲面表面加工ツールによって製造することのできる極限曲率値に従って選択されなければならない。よって、以下において、所定の曲率値は極限曲率値とも称することができる。
図2aにおいて、アンカットレンズブランク10の後面を左上に略図で示す。修正は、一番下のラインまで矢印に沿って行う。アンカットレンズブランクはレンズブランク16の周縁または外縁を有する。後面の光学特性に関連して保存されなければならない最小眼球回転角度を提供してもよいが、必要ではない。さらに後面につば点を決定する。好適には、このつば点はアンカットレンズブランクの幾何学的中心である。アンカットレンズブランクの周縁は円形または楕円形とすることができる。そしてステップ104において境界線18を決定する。具体的には後面の元の形状の曲率プロファイルを境界線18内に保存する。さらに、つば点14を後面、特定の例においては幾何学的中心に設定し、具体的に、後面の元の形状の曲率プロファイルを境界線18に保存する場合、後面に境界線18を決定する。従って図2aの右上に示すように、通常意図する最小眼球回転角度12を囲むように境界線18を引く。境界線の形状は、その中に最終レンズが挿入される枠の形状と同一であるように選択することができる。図2aの例において、境界線18のサイズは枠と同じサイズになるように選択する。境界線18内に元のレンズ形状10の曲率プロファイルを保存する。後面の元のレンズ形状の残りの部分は切断してもよい。よって元の周縁の点線26のみを示す。ここでレンズの形状を、マージン領域またはマージン部28において、曲率の極値が存在するように修正する。遷移部または遷移ゾーン24において、曲率勾配は境界線18内に保存されたレンズ形状の曲率から極限曲率値28へと遷移する。よって外側の遷移線22は遷移ゾーン24の外境界と考えることができ、境界線18は遷移ゾーン24の内境界線と考えることができる。しかしながら遷移ゾーン24、マージン部28およびその外境界線22はさらに以下のステップで決定することができる。これらは説明のためだけに、図2aの右上の例において示す。図2aの例において、元のレンズ形状は正の焦点屈折力を提供する、これはすなわち「プラスレンズ」である。
次のステップ106で、境界線18における後面72の境界曲率を決定する。具体的には後面の少なくとも1つのつば直線30〜37を決定する、この場合、各つば直線はつば点14から出ており、各つば直線30〜37に関して、境界線18におけるそれぞれのつば直線30〜37の断面点の端部における後面の境界曲率を決定する。
交点の例を参照符号29で示す。各つば直線30〜37は異なる角度φで走っている。例に示すように、アンカットレンズブランク10の周縁は円形であり、各つば線はこの円の全直径を横断する平面を走っている。例に示すように、前面は球形であり、つば点14は幾何学的中心にあり、各つば線30〜37は前面の子午線を走っている。この例において、8つのつば線は、それらの間の隔離角度が45度となるように使用される。しかしながら任意の異なる数のつば線を使用することもできる。
この場合、ステップ108において、アンカットレンズブランク60の境界線18と外縁26との間に後面の新しい曲率プロファイル38があり、この新しい曲率プロファイル38の曲率は境界線18における境界曲率と等しく、境界曲率から所定の曲率値へと、外縁16に向かって単調に、連続して遷移している。具体的には、各つば直線30〜37に関して、アンカットレンズブランクの交点29から外縁26または周縁までのそれぞれのつば線に沿った、後面の新しい曲率プロファイルを決定し、新しい曲率プロファイル38の曲率は交点29で境界曲率に等しく、境界曲率から極限曲率値へと、外縁16に向かって単調に遷移している。
図2aにおいて、この曲率は中央右に示されている。境界線18において、この曲率は交点29内にあり、つば直線の平面内の新しい曲率プロファイルの曲率、すなわち例における接曲率または半径曲率は、境界線18内の元のレンズ形状10の光学的に保存された表面領域の曲率に等しい。つまり境界線の内側および外側の曲率は境界線18に近づくにつれて等しくなる。よって、境界線に沿った曲率は連続するように決定される。これは境界線18においてねじれがないということである。さらにプラスレンズの例において、遷移ゾーン24の長さを関連する自由曲面製造ツールに基づいて設定し、修正後面が光学的に保存された面、具体的には境界線18内の自由曲面に損傷を与えずに確実に製造されるようにする。例えば半径長さ、すなわちつば線の平面内の長さ、またはつば線の子午線の長さは、具体的に、例えば5mmの値に設定する。
マージン領域28内の遷移ゾーンには、曲率の極値、例えば15ジオプトリーが提供される。これにより、以下により詳しく説明する様に、遷移ゾーンに沿った一定した曲率勾配、または遷移ゾーンに沿った少なくとも1つの本質的に一定した勾配を使い、三次多項式による近似によって、各つば線に対して新しい曲率プロファイル38を決定する。これによって各つば線30〜37の新しい曲率プロファイルが導かれる。結果を中央右に示す。境界線18内の元の形状の曲率プロファイルは、それに接続される境界線18の外側の新しい曲率プロファイルに固定される。後面の直視において、この段階では、決定、固定された後面形状は、境界線18内に光学的に保存された曲率プロファイルが体でつば線に沿った各々の新しい曲率プロファイルが1本の足を形成する「蜘蛛」のように見える。
そしてステップ110において、アンカットレンズブランクの修正レンズ形状40を決定する。この場合、修正レンズ形状40は前面70の元の形状と後面72の修正形状とを含み、後面72の修正形状は新しい曲率プロファイルに基づく最適化によって決定され、最適化中、元のレンズ形状10は境界線18内に保存される。具体的には、アンカットレンズブランクの修正レンズ形状を決定し、この場合、修正レンズ形状は前面の元のレンズ形状と後面の修正形状とを含み、後面の修正形状はターゲット形状への最適化によって決定される。ターゲット形状へのこのような最適化は、ターゲット形状またはメリット関数の使用、および最適化技術、例えば、これらのターゲット形状および/またはメリット関数に基づく自乗最適化により、当業者には周知である。
続いて行われる製造に対して、後面の完全な詳細(description)が必要である。よって、「蜘蛛の足」の間の後面をさらに決定しなければならない。さらにプラスレンズの場合、境界線内の固定曲率プロファイルの矢状高さをさらに再調整する必要がある。ターゲット形状に向けての最適化を行うが、この場合、ターゲット形状は、境界線内の後面の元のレンズ形状の曲率プロファイルを含み、この曲率はただの曲率プロファイルであり、前面からの矢状高さである必要はなく、そしてこの曲率は最適化中に固定される。さらにターゲット形状は各つば直線の曲率プロファイル、すなわち、境界線の外側の新しい曲率プロファイルを含み、この曲率プロファイルは最適化中に固定される。さらにターゲット形状は境界線の外側の後面の極限曲率値を含む。これにより、最適化を通して、境界線18内の元のレンズ形状の曲率プロファイルと、各つば線に沿って決定された新しい曲率プロファイルと、境界線の外側の極限曲率値に最も近い可能性のあるさらなる後面とを含む後面の完璧な詳細を提供することができる。マイナスレンズに関して、本方法はここで終了する。しかしながら図2aに例を示すプラスレンズの場合、極限曲率値まで、プラスレンズの場合には最大曲率まで、可及的速やかにただ曲率を増大させるだけで、周縁の周りレンズ厚は、アンカットレンズブランクの十分なブロッキングに必要とされる、予め設定された最小レンズの厚さよりも大きくなる場合がある。従って境界線18内の光学的に保存された断面の矢状高さを修正された後面形状と共に再調整して、周縁の周りで最小レンズ厚を製造に必要な最小レンズ厚にするのは不可能である。これは全て最適化工程内で行うことができるので、別途の最適化ステップを設ける必要はない。これによって境界線18内の元のレンズ曲率プロファイルは前面に向かって「隆起」し、具体的には前面上の矢状高さは減少する。よってプラスレンズの中心厚は減少する。そしてこれによって厚さの減少したプラスレンズの形状が提供される。減少されたレンズ厚を重要と考える場合、減少された厚さと本物のレンズの条件のため、境界線18内の光学特性が低下する場合には最適化ステップをさらに行ってもよい。このステップは後面の元のレンズ形状から始まって、それを再調整して元のレンズ形状の光学特性を回復させるものである。
図2bは本方法によるレンズ形状の一般的な展開をさらに簡素化して示すものである。図2bは図2aと概して関係なく、左側はプラスレンズの形状展開を示し、右側はマイナスレンズの形状展開を示す。
プラスレンズに関して、上の図から下の図まで、前面70および後面72を有するアンカットレンズブランク60の元のレンズ形状10を示しており、ここで、元のレンズ形状10はアンカットレンズブランク60の前面70の元の形状および後面72の元の形状を含み、アンカットレンズブランク60が所定の光学特性を満たすようにしている。そして、後面72上に境界線18を決定し、この場合、後面72の元の形状の曲率プロファイル20を境界線18内に保存する。そして、境界線18における後面の境界曲率72を決定する。アンカットレンズブランク60の境界線18と外縁16との間の後面72の新しい曲率プロファイル38を決定し、この場合、境界線18における新しい曲率プロファイル38の曲率は境界曲率に等しく、境界曲率から所定の曲率値へと、外縁16に向かって単調かつ連続して遷移する。プラスレンズの場合、元のレンズ形状10は正の焦点屈折力を提供し、この場合、所定の曲率値は最大曲率値であり、厚さ要件として、アンカットレンズブランク60の外縁16の最小厚に必須条件として所定値を適用する。これはz値であり、これはその周縁に沿ったレンズ形状の最小厚に到達しなければならない。そしてアンカットレンズブランク60の修正レンズ形状40を決定し、この場合、修正レンズ形状40は前面70の元の形状および後面72の修正形状を含み、後面72の修正形状を新しい曲率プロファイルに基づくターゲット形状への最適化によって決定し、ターゲット形状は境界線18内の元のレンズ形状10の保存された曲率プロファイルと、アンカットレンズブランク60の外縁16に対する厚さ要件とを含む。これによって後面の新しい曲率プロファイルが決定し、これを前面に向かって厚さ要件を満たすまで移動させる。2つの別途のステップとして示しているが、新しい曲率プロファイルの決定と前面への移動は最適化工程中にもちろん同時に行うこともできる。
マイナスレンズに関しては、上の図から下の図まで、前面70および後面72を有するアンカットレンズブランク60の元のレンズ形状10を示しており、ここで、元のレンズ形状10はアンカットレンズブランク60の前面70の元の形状および後面72の元の形状を含み、アンカットレンズブランク60が所定の光学特性を満足させるようにしている。そして後面72の境界線18を決定し、この場合、後面72の元の形状の曲率プロファイル20を境界線18内に保存する。そして、境界線18における後面72の境界曲率を決定する。アンカットレンズブランク60の境界線18と外縁16との間の後面72の新しい曲率プロファイル38を決定し、この場合、境界線18における新しい曲率プロファイル38の曲率は境界曲率に等しく、境界曲率から所定の曲率値へと、外縁16に向かって単調かつ連続して遷移する。マイナスレンズの場合、元のレンズ形状10は負の焦点屈折力を提供し、この場合、所定の曲率値は最小曲率値であり、また、厚さ要件として、境界線18内の後面72の元のレンズ形状10の固定曲率プロファイルの矢状高さを固定し、外縁16の最小厚を最適化工程中の必須境界条件として適用する。よって、修正形状の厚さは厚さ要件として適用される境界条件による厚さ以上となる。そこで、アンカットレンズブランク60の修正レンズ形状40を決定し、この場合、修正レンズ形状40は前面70の元の形状および後面72の修正形状を含み、後面72の修正形状をターゲット形状への新しい曲率プロファイルに基づく最適化工程によって決定し、ターゲット形状は境界線18内の元のレンズ形状10の保存された曲率プロファイルと、アンカットレンズブランク60の外縁16の厚さ要件とを含む。こうして後面の新しい曲率プロファイルを決定する。もちろん、後面の最小曲率は、境界線から外縁への遷移中、曲率が正の曲率から負の曲率に変化するように、負に設定してもよい。
交点から各つば線に沿った極限曲率値(または最大半径)への「一定した」または本質的に一定した曲率勾配を持つつば曲率またはレンチキュラー(lentics)を決定する、本質的に異なる2つの方法がある。いわゆる「簡単な」方法と「複雑な」方法との唯一の違いは、一定した勾配をどれだけ厳密に保証できるかということである。簡単な方法は遷移ゾーンにおいて三次多項式を使用するたけであるが、複雑な方法は一定の曲率勾配を持つ断面の(非常に)厳格な計算を用いる。
以下に、まず簡単な方法を説明する。
各つば線に沿った、換言すれば特定の角度θの接曲率Tの方程式は、第2導関数に比例し、第1導関数に比例しない:
ここでZrおよびZrrは表面Z(r,θ)の半径に沿った第1および第2導関数である。rに関する導関数をとると、接曲率勾配となる。
本質的に平らな曲線に関して、曲率勾配は第3導関数に正比例する。従って、単純な三次多項式は一定の曲率プロファイルを有する。大きな傾斜を有する三次多項式に関して、勾配は一定ではないが、少なくとも1つの点において特定することができる。Zrrrを解くと次の様になる:
境界線を越える特定のタンジェンシャルパワー勾配を与える三次項を加えることにより、二次補間に簡単な修正を行うという考えである。境界の場所をr=0とすると、境界における所望の勾配はg=Tr(0)となり、1つの線に沿った多項式の拡張は以下の様になる。.

ここで、a、bおよびcはインターフェースまたは交点における元のレンズ設計の元の関数から決定され、dは方程式(3)から得られる;
上述の方程式において、gは1/rの単位を持つ。勾配Gをジオプトリー/mmで表すと、g=G/530となり、rをミリメートルで測定する(定数530は屈折率を1.53とした場合のものである)。
図3のグラフは初期勾配Gに対する種々の値で、r=25mmを越えて延びる6つのジオプトリーサークル(diopter circle)の結果を示す。曲線50は一定の勾配を持つ線を示す。線52は上記に従って決定された線を示す。負の勾配に対して3次近似は良好に作用するが、勾配は増えない。これは曲率の傾斜が勾配の増大に伴って大きくなり、傾斜の非線形効果がより重要になるからである。
複雑な方法を以下に説明する。
曲率勾配を完全に制御するための基本事項が欧州特許出願公開第0271920号明細書、「累進屈折力眼鏡レンズ(Progressive power opthalmic lens)」およびそのパテントファミリーに記載されている。この文献には眼経路(eyepath)を構成する「縮曲線の伸曲線」法が記載されている。唯一の修正は傾斜ゼロの点で積分を開始しないことである。図4を説明のために使用する。曲線上の各点(r,z)に関して、その点における「接触」円の曲率の中心に関連する点(rc,zc)がある。
クリティカルアイテム(critical item)である角度θは下記の数式によって計算できることができる。
この場合、r=0(数学的記述を簡素化するための延長の始点)においてtanθ0=dz/drである。そこで曲率プロファイルが好適には連続して積分可能なやり方で特定されると、角度を決定することができる。具体的には曲率が一定の勾配を持つ場合、
となり、従って、
となる。
次にこれらの角度を(ジオメトリから導出された)rcおよびzcの方程式に挿入する。
接線の積分の解は、例えば、積分方程式を解くための商業的に利用可能な数値的アプローチなどの適切な解法によって決定しなければならない。R,rcおよびzcがわかると、伸開線は単なる動く円(moving circle)となる;
本式において、±はRの反対の符号となる。符号規約(sign convention)は、正のサジッタ(sagitta)が正の曲率を与える円である。
積分に関しては、ガウス−ルジャンドル求積法の種々のオーダーを適用した。積分を近似するために2,3および4点の合計を使用したG= +/−1のプロットを図5に示す。2点のみの合計56は、最大曲率(例えば典型的な切削ツールの最大曲率を超える)において、3および4点の合計54からわずかにドリフトしている。
簡単な方法と複雑な方法との違いは実際のアプリケーションにおいては重要でない。高いマイナスレンズのための円滑なつばは高い負の勾配、すなわち使用者が許容できる限り高い勾配を使用する。大量の歪みがあるだろうが、この点に関して、使用者がレンズのその領域をのぞいてみる機会はほんの少ししかない。その場合、勾配が厳密に一定していることはさして重要ではない。プラスレンズのアプリケーションの場合、表面は、通常、枠または枠線の縁を越えてしか修正されず、屈折力または曲率はツールによって許容される最大値まで素早く増大する。従って「いくつかの」三次多項式が最大曲率に十分迅速に到達することができる限り、一定しない勾配は問題にならない。よってさらなる例において、マイナスレンズの例のみを比較する。
図6のプロットは円滑なつばの例に関するものである。レンズはMitsui MR8 Elan HD +2.50に、処方−7およびCT1.5mmを追加したものである。上の列の3つのマップは、1mm間隔で等高線のつけられた、3つの異なるバージョンのレンズ厚を示している。左のマップは光学的に最適化された元のレンズ形状である。2つの輪郭線は枠の形状と円滑なつばを開始させるために選択された楕円形の境界を示す。線58は枠線である。線18は境界線である。中心の「一定の勾配」のプロットは、-2ジオプトリー/mmの勾配で、一定の勾配法を使って計算されたつば曲線が後面に適用された後の厚さである。右の「3次拡大」マップは、単純な3次拡大法を使用したもので、初期勾配は同じく−2ジオプトリー/mmである。
下のグラフはレンズの3つの異なるバージョンの結果のオーバーレイである。最大縁厚は3つのレンズ全ての170度子午線に沿って生じている。その子午線に沿った後側頂点屈折力は、一定の勾配法に関しては屈折力の線形増加を示し、3次法(cubic method)に関してはそれほど真直ぐな線ではない。縦線は枠の広がりを示す。同じ子午線に沿ったレンズ厚のプロットは、2つのつば表面法に類似性を示す。最後に右のグラフは枠の周りのレンズ厚を示す。元の枠の最大縁厚は8.04mmで、一定勾配法ではこれが6.78に下がったが、3次拡大では最大で6.85だった。
同じ初期勾配を使用し、3次法においては約5%減少しているが、これはもちろん3次法の初期勾配を5%上げて調整することによって補償することができる。従って3次法の実行は完全に一定した勾配の方法より大幅に簡単であるが、後面の曲率プロファイルへの制御は僅かに少なくなる。
図7aは本発明に従って提供されるアンカットレンズブランク60を示す。これは周縁または外縁16を有し、これは円形または楕円形とすることができ、図7の例においては円形である。つば点は上述の様に幾何学的中心14とすることができる。図7に示す後面上において、境界線18は保存領域62をカバーし、この保存領域は自由曲面、すなわち対称を持たない表面曲率プロファイルを持つ境界線18内の後面の表面領域である。対称は点対称でも面対称でも回転対称でもない。さらに境界線18を囲むマージン部66がある。マージン部では、極限曲率値が各つば線の平面に適用される。図7に示す例では、各子午線において曲率は予め設定された極限曲率値に対応する極値をとる。マージン部66と境界線18との間に遷移部64がある。遷移部64では、曲率は境界線18内の自由曲面の曲率から極限曲率値へと遷移する。極限曲率値へと単調に遷移する。これはプラスレンズの場合、曲率が連続的に増大するということである。マイナスレンズの場合、曲率は連続的に減少する。マイナスレンズの場合、極限曲率値は負となることもある。遷移ゾーンの長さを図7aの例では半径方向に特定し、遷移ゾーンの拡大が所定の半径長さをとり、切削ツールまたは表面処理ツールが境界線18内の自由曲面に損傷を与えないようにすることができる。
図7bは図7aの切断線X−Xに沿った断面を示す。アンカットレンズブランクの前面は球状である。従って幾何学的中心に対して回転対称であり、1つの曲率を有する。後面は参照符号72で示す。境界線18は最小眼球回転角度12が境界線18内となるように選択する。眼74の回転中心は計算に使用される基準の眼に従って決定することができる。アンカットレンズブランクの製品は一定した曲率76を持つマージン部28を有する。図7aおよび図7bの例において、これは、前面の各子午線において、接曲率がマージン部全体に亘って一定しており、同じ値をとることを意味している。
図8a〜図8cは、本発明によるアンカットレンズブランクを決定する一般的な例を示す図である。これは処方+6.00ジオプトリーのCR39によって製作されたレンズ、すなわち正の焦点屈折力を有するプラスレンズの例である。丸いアンカットレンズブランクは直径65mmであるのに対し、縁ずり加工された最終レンズは、ブランクの中心の50mm径の円内にはめ込まれる。この円はその中にレンチキュラー部を持つ境界線を形成する。従って後面上の点はアンカットレンズブランクの幾何学的中心である。その点から出る各々の直線は子午線である。各線に沿った曲率は接曲率である。65mmレンズには最小縁厚0.5mmが必要である。そしてその結果として生じる従来の加工によるレンズの中心厚は7.097mm、後面曲率は1.92ジオプトリーであり、本例の全ての表面の曲率には屈折率1.530を使用する。一般に、ジオプトリーは「D」と略して表す。
本例において、自由曲面切削ツールの半径は17mmである。従って後面接曲率は530/17(すなわち31ジオプトリーを僅かに上回る)よりも急ではない。この設計には最大で30ジオプトリーが設定される。境界線に沿った1.92Dの内径50mmの表面とマージン部にさらに出る30D極限曲率値との間の長さ5mmの遷移ゾーンは、レンチキュラー部とマージン部とをつなぐ、曲率勾配(30 - 1.92)/5 = 5.616 D/mmの遷移ゾーンとなる。この修正後面を使用すると、同じ8Dの前面と0.5mmの縁厚で、中心厚が6.295mmに減少する。
しかしながら、レンチキュラー部内の減少された中心厚もレンズの後面の頂点屈折力を+5.97Dへと僅かに下げる。補正は必要に応じて考えても良い。補正はいくつものやり方によって行うことができる。一貫性を持たせるため、後面の内部の曲率を1.89Dに下げて屈折力の減少を補正し、勾配を(30 - 1.89)/5 = 5.622 D/mmに上げる。あるいは修正された後面から0.03ジオプトリー球面の矢状高さを減じてもよい。これらの変更によって中心厚は6.326mmへと僅かに増えるが、処方に合わせるために光学屈折力を補正する。
図8a〜図8cのチャートは従来加工によるレンズと上述の逆レンチキュラー部を含むレンズとを比較したものである。図8aは2つのレンズの後面のサジッタ値(sag値)を各表面のマップとして示し、また、それらのsag値を1つの、すなわち任意の子午線に沿って比較したグラフを示す。中心、すなわちr=0において、sag値は従来の表面および本発明による逆レンチキュラーのどちらの場合もゼロである。修正表面はr=25 mmの境界線を過ぎるとすぐに従来の表面から分岐している。
図8bは表面の中心に垂直なZ方向で測定したレンズ厚の、同じ1組のプロットである。修正レンズの中心厚はより薄いが、どちらのレンズも縁において規定の0.5mmを満たしている。
そして図8cは1組のレンズの接曲率をジオプトリーで示したものである。後面が球状のため、従来のレンズには輪郭線がないが、修正レンズの曲率は25mm境界線を過ぎると、30mm半径における30D極限曲率値に到達するまで非常に速く上昇する。設けられたスケールでは、曲率の0.003Dの差は目立たない。
下記の表は上述の図に関する値を示したものである:
図9〜図13は、本発明によるアンカットレンズブランクのプラスレンズの例を示す。
自由曲面生成器で表面を切削する場合にはいくつかの制約ある。1つの「ハード」リミットは切削ツールの半径である。標準ツールの場合、半径は約33mm、または曲率16ジオプトリーである。あまり明確に定義されていない制限は、複雑な表面を忠実に再現するための研磨能力である。加工に直接関係のない制限は他にもある。発生器に送られる表面の表示は、典型的には、長方形格子上の3次スプラインである。このグリッドは急に湾曲した境界上にリンギング(ringing)、すなわち「ステップ状の」アーチファクト(”stepwise” artifact)を生じさせることがある。そして最終的に、境界が枠内にある場合、レンズの光学屈折力の突然の変化に簡単に耐えることのできない使用者がいる。これらの検討事項は全て、本発明による後面接曲率の2段階調整(two-stage adjustment)、すなわち、境界における曲率値からある特定の最大(プラスレンズの場合)または最小(マイナスレンズの場合)曲率への曲率勾配を有する遷移ゾーンによって対処することができる。
図9〜図13の一般的な正レンズの処方例として、良好な光学特性を維持するため、境界線18内のゾーンとぼやけた外部ゾーンとを分離させる枠状の境界を持つ後面累進レンズがある。図9のプロットは、処方(Rx)= +5.00D / 3.00 加入度数(add)、前面8ジオプトリー、実際に使用される材料の屈折率が1.660であるレンズの表面高さ、平均曲率、非点収差および後面の接曲率を示す。アプリケーションにおいて、「ジオプトリー」単位の全ての曲率は屈折率1.530で提供される。最小縁厚1mmを70mmのパック(puck)径に亘って強制的に維持するには、レンズの中心厚が7.62mmでなければならない。
切断および研磨の制約を考慮して、後面の曲率を可及的速やかに増大させてレンズの厚さを減少させるという考えである。例えば後面の接曲率が15ジオプトリーに制限される場合、境界線18内のゾーンを切削および研磨加工から保護するには5mmの遷移ゾーンが必要である。凸境界の外側のあらゆる場所に特定のタンジェンシャルパワーを生成することは、数学的に可能である。この場合、最小自乗最適化プログラムを使って修正面を計算し、境界線内の曲率プロファイルの表面高さおよび境界線外のタンジェンシャルパワーを特定した。修正面の表面高さおよび接曲率を図10に示す。
境界線18の外の修正接曲率の2段階の性質を単に強調するために、図11のグラフにおいて、垂直の子午線に沿って元の表面および修正表面の接曲率をプロットした。
修正した後面形状および元の前面形状を使い、さらなる次の最適化において後面の屈折力を調整して厚さの変化に対する処方を補償すると、同じ1mmの最小縁厚を適用して、中心厚は6.69mmとなり、0.93mmの減少となる。完全球体である70mmパックの厚さのマップと境界線の周りの厚さのグラフを図12および図13に示す。
一般に、境界線18は最終カットアウトのアウトラインまたは枠線58を表さない。境界線18を枠よりも大きくて、光学ゾーンのためのバッファを大きくしてもよい。あるいは境界線の一部または全体を枠ゾーンまたは枠線の内側に配置して、具体的にはマイナス屈折力レンズにおいて、厚さを減少するため、周縁のいくつかの歪みをトレードオフしてもよい。
図14〜図16は、90度(すなわち垂直)における処方+5 sphere /-4cylの単焦点レンズの次の例を示す。この場合、8D、屈折率1.499のパックを、図14に枠線58で示す枠の一時的な縁を数ミリだけ越えて直径65mmにクリブする。最小縁厚が1mm以上に保たれるようにパックを切断する。パックの最上部と底部で最小縁厚となる高い乱視度数( cyl)の配向のため、中心厚を6.54mm残しておく。
図15のプロットは修正後の結果を示す。線18はその内側に元の表面が保存された境界を示す。この場合、境界線18は全体的に枠線58の外側にあり、一時的な最端側のパックの外側に外れる。遷移ゾーンを越えて接曲率が15ジオプトリー(明細書内において「D」と略して表示)に増える、2mm幅の遷移ゾーンを使用した。このパックの最上部の厚さが同じ1mmで、処方を回復させるために曲率を調整した後の中心厚は5.51mmとなり、1.03mmの減少となった。図16は90度の子午線に沿った65mmパック全体の断面を示す。
図17〜図19はマイナスレンズの例を示す。縁厚を減少させるには境界を越えて後面の曲率を減少させる必要があり、従って切断ツールの曲率は制約とはならない。また、同じ2段階戦略を適用する。この例において、タンジェンシャルパワー勾配の強度は遷移ゾーンの一定した長さを有するのではなく、制限される。勾配は、例えば、周縁の歪みに対する使用者の耐性によって決定することができる。最終的に一定する接曲率は、審美性から負(凸)とすることができ、パックの縁が届かない場合がある。
図17に示す一対のプロットはラップされた(wrapped)大きな非共軸スポーツレンズのレンズ厚および接曲率を示す。80mmのポリカーボネートのパックは8ジオプトリーの前面を有する。処方はsph -3、-2 cyl、90度(垂直)、枠ラップ角15度である。
線58は枠の縁を示し、境界線18は縁厚減少のために選択された境界のアウトラインを示す。この境界は、レンズの光学的に保存された断面に、より小さい、フルレンズに類似した形状のレンズの外観を与えるために選択された。レンズの最大縁厚は修正しない状態で9.2mmである。
以下の例において、接曲率勾配2D/mmを特定の境界18を越えて適用し、後面曲率を−6D凸に制限した。結果を図18に示す。修正後面を使ったレンズの最大縁厚は図19に示すように6.75mmに減少される。
図20は、方法130、具体的にはこれもまたコンピュータ、特に非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を使ってアンカットレンズブランクの元のレンズ形状の厚さを減少させる実施形態を示す。この方法を開始するとアンカットレンズブランクの元のレンズ形状が再度提供され、元のレンズ形状はアンカットレンズブランクの前面および後面の元のレンズ形状、具体的には処方による形状を含む。
そしてステップ134において、あるパラメータ、つまり後面の曲率勾配の推奨最大強度、推奨最大強度よりも大きな後面の曲率勾配のハードリミット最大強度、推奨極限曲率値、眼球回転角度の最小値、眼球回転角度の推奨値、それに沿って最終レンズをアンカットレンズブランクからカットアウトする後面上の枠線、枠線に沿った最大レンズ厚、およびその内部に後面の元の形状が保存される境界線を含む1組のパラメータを特定する。
そして、図1に関連する、本発明の第1の態様に係る上述の方法を実行する。この方法は反復して行う、つまり、ステップ136の各反復において一度実行する。修正レンズ形状の各決定後、枠線に沿った最大厚を決定して特定の最大レンズ厚と比較し、修正レンズ形状の枠に沿った最大レンズ厚が特定の最大厚以下の場合、比較のステップ138は「はい(Y)」となり、ステップは終了する。そうでなければステップ140において、これに沿って、方法100を実行するパラメータを修正する。具体的には、後面の曲率勾配最大強度、境界線18および所定の曲率値のうちの少なくとも1つを修正する。具体的には、これらの修正に際して、以下によって特定の修正シーケンスが設けられる。これらのシーケンスは、比較のステップで「いいえ(N)」となった場合、ステップ138に従って実行する。
先ず、曲率勾配の推奨最大強度および推奨極限曲率値を適用する。そして後面上の境界線を、枠線と少なくとも一部分が同じである初期形状から、少なくとも推奨眼球回転角度のみをカバーする後面領域を囲む形状へと減少させる。境界線は、少なくとも1つの点においてそれが推奨眼球回転角度表面領域にぶつかるまで減少させる。境界線の形状は任意の形状としてよく、眼球回転角度によってカバーされる表面領域は本質的に円形なので、境界線は他の子午線内におけるものよりも大きい眼球回転角度をカバーする。よって境界線は「少なくとも」推奨眼球回転角度をカバーする。しかしながら1つの半径方向または1つの子午線において、それは推奨眼球回転角度と同一である。
これで十分でない場合、最大曲率勾配強度を推奨最大強度からハードリミット最大強度へと増大させる。
これでも尚十分でない場合、境界線を少なくとも推奨眼球回転角度をカバーする後面領域を囲む形状から少なくとも最小眼球回転角度を囲む後面領域を囲む形状へと減少させる。
最終的にこれでも十分でない場合、推奨値に一定に保たれてきた極限曲率値をハードリミットに増やしてもよい。しかしながらこの場合には警告をユーザに返さなければならない。
本方法を図21〜図23の例に沿ってさらに説明する。
縁厚の減少を制御する主要パラメータは3つ、すなわち、勾配、最大許容後面曲率(プラスレンズの逆レンチキュラーに対して最大、マイナスレンズのつば曲率に対して最小)、および境界によって表される最小眼球回転角度がある。さらなる説明に使用する図17〜図19の例において、光学的に保存されるゾーンは、フィッティング断面(fitting cross)の一時的な側面に対して約40度の眼球回転である。レンズの最大縁厚を特定することが望ましい。一般に、これは上述の3つのパラメータを全て調整することによって実現することができる。下記の例は、特定の最大縁厚からパラメータを決定する多くのやり方のうちの1つを示す。
これら3つのパラメータの各々には推奨値とハードリミット値があると仮定する。本例において、推奨勾配を2D/mmと設定し、最大を3D/mmに制限する。推奨値とハードリミット値の両方の最小後面曲率は−6D、境界の推奨眼球回転角度は45度、最小は35度である。縁厚の要求を満たすには、パラメータを以下のシーケンス、すなわち、1)推奨勾配および最小曲率を設定し、境界サイズを枠サイズから推奨境界サイズに減らす、2)勾配を推奨から最大に増やす、3)境界を推奨から最小に減らす、4)特定の最大縁厚がまだ達成できない場合、ハードリミット値を使って警告を返す、で修正することができる。
上述のレンズに関して、下記の曲率は、上述の図21のシーケンスの7つのサンプルケースのパラメータおよび最大縁厚を示している。
次の図22は、数とレンズとの関係を説明するためだけに、最大縁厚グラフ上にレンズの断面をオーバーレイしたものである。断面は20度の子午線、レンズの最も広くて最も厚い部分に沿っている。
次の例において、レンズオーダーは最大縁厚6.5mmを指定している。そのレベルは最大縁厚グラフの水平の赤い線によって表されている。その関数の簡単な補間は、垂直線の位置において、その縁厚に関連する眼球回転の近似値37.9度を与える。その角度に関連する他のパラメータは最大勾配3D/mmおよび最小後面曲率−6ジオプトリーのみである。他のパラメータによる、その一時的な広がりを持つ境界を使ったレンズ厚および接曲率を図23にプロットする。組み合わせると中心厚6.94mmのレンズになる。これが6.50に十分近いといえない場合、反復する。
最後に、図24は参照符号150で示すレンズの製造方法を示す。開始後、第1の態様による方法100および/または第2の態様による方法130を実行する。その後、修正レンズ形状に基づき、アンカットレンズブランク60を製造する製造ステップ152を行う。続いてアンカットレンズブランク60をステップ154に進めてさらに加工する。ステップ154は、具体的には、眼鏡商に出荷する最終形状に向けてレンズをアンカットレンズブランクからカットアウトする縁ずり加工を含んでもよい。
本方法はこれで終了する。
具体的に、本発明は下記の節(clause)による実施形態を含む:
節1: アンカットレンズブランク(60)の修正レンズ形状(40)を提供するためのコンピュータ利用による方法(100)であって、以下のステップ、すなわち、
a)前面(70)および後面(72)を有するアンカットレンズブランク(60)の元のレンズ形状(10)を提供するステップ(102)であって、元のレンズ形状(10)は、アンカットレンズブランク(60)の前面(70)の元の形状および後面(72)の元の形状を含み、アンカットレンズブランク(60)が所定の光学特性を満足させるようにするステップと、
b)後面(72)上に境界線(18)を決定するステップ(104)であって、後面(72)の元の形状の曲率プロファイルを境界線(18)に保存するステップと、
c)境界線(18)における後面(72)の境界曲率を決定するステップ(106)と;
d)アンカットレンズブランク(60)の境界線(18)と外縁(16)との間に後面(72)の新しい曲率プロファイル(38)を決定するステップ(108)であって、境界線(18)における新しい曲率プロファイル(38)の曲率は、境界曲率と等しく、境界曲率から所定の曲率値へと外縁(16)に向かって単調かつ連続的に遷移するステップと、
e)アンカットレンズブランク(60)の修正レンズ形状(40)を決定するステップ(110)であって、修正レンズ形状(40)は前面(70)の元の形状および後面 72)の修正形状を含み、後面(72)の修正形状を新しい曲率プロファイルに基づくターゲット形状への最適化によって決定し、ターゲット形状は境界線(18)内の元のレンズ形状(10)の保存された曲率プロファイルおよびアンカットレンズブランク(60)の外縁(16)の厚さ要件を含むステップとを含む方法。
節2: 節1に記載の方法において、元のレンズ形状(10)は正の焦点屈折力を提供し、所定の曲率値は最大曲率値であり、厚さ要件として、アンカットレンズブランク(60)の外縁(16)の最小厚の所定値を必須条件として適用することを特徴とする方法。
節3: 節2に記載の方法において、必須条件を、最適化工程中、境界線(18)内の後面(72)における元のレンズ形状(10)の保存された曲率プロファイルにおける矢状高さを、保存された曲率プロファイルが維持されながら調整されるように適用することを特徴とする方法。
節4: 節2または3に記載の方法において、第2の最適化をステップe)に続いて行い、このさらなる最適化は後面(72)の修正形状を初期形状として使用し、境界線(18)内の曲率プロファイルのみを元のレンズ形状(10)の所定の光学特性に向けて最適化することを特徴とする方法。
節5: 節1に記載の方法において、元のレンズ形状(10)は負の焦点屈折力を提供し、所定の曲率値は最小曲率値であり、厚さ要件として、境界線(18)内における後面(72) の元のレンズ形状(10)の固定された曲率プロファイルの矢状高さを固定し、外縁(16)の最小厚を最適化工程中の必須境界条件として適用することを特徴とする方法。
節6: 節1〜節5の何れか1節に記載の方法において、方法は、境界線(18)に隣接する遷移ゾーン(24)を外縁(16)に向かって画定するステップをさらに含み、遷移ゾーン(24)において、曲率は境界曲率から所定の曲率値へと、アンカットレンズブランク(60)の外縁(16)に向かって単調に遷移し、遷移ゾーン(24)を最小長さとして設定することを特徴とする方法。
節7: 節1〜節6の何れか1節に記載の方法において、方法は、境界線(18)に隣接する遷移ゾーン(24)をアンカットレンズブランク(60)の外縁(16)に向かって画定するステップをさらに含み、遷移ゾーン(24)において、曲率は境界曲率から所定の曲率値へと、外縁(16)に向かって単調に遷移し、遷移ゾーン(24)を曲率の勾配の最大強度として設定することを特徴とする方法。
節8: 節1〜節7の何れか1節に記載の方法において、最終レンズを挿入する枠の形状を提供し、それに沿ってアンカットレンズブランク(60)を切断して枠内に収めるようにする線によって枠線(58)を画定し、境界線(18)の形状は枠線(58)の形状に対応することを特徴とする方法。
節9: 節1〜節8の何れか1節に記載の方法において、後面(72)の曲率は連続することを特徴とする方法。
節10: 節1〜節9の何れか1節に記載の方法において、アンカットレンズブランク(60) は1つの材料からなる単一の素子であることを特徴とする方法。
節11: アンカットレンズブランク(60)の元のレンズ形状(10)の厚さを減少させる、コンピュータ、具体的には非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を使用した方法(130)であって、以下のステップ、すなわち、
A)アンカットレンズブランク(60)の元のレンズ形状(10)を提供するステップであって、元のレンズ形状(10)はアンカットレンズブランク(60)の前面(70)および後面(72)の元の形状を含み、アンカットレンズブランク(60)が所定の光学特性を満足させるようにしたステップ(132)と、
B)後面(72)の曲率勾配の推奨最大強度、推奨最大強度よりも大きい、後面(72)の曲率勾配のハードリミット最大強度、推奨所定曲率値、眼球回転角度(12)の最小値、眼球回転角度(12)の推奨値、それに沿ってアンカットレンズブランク(60)から最終レンズをカットアウトする後面(72)の枠線(58)、枠線(58)に沿った最大レンズ厚および後面(72)の元の形状がその中に保存される境界線(18)を含む1組のパラメータを特定するステップ(132)と、
C)1組のパラメータに基づいて節1〜節10の何れか1項に従い、修正レンズ形状(40)の枠線(58)に沿ったレンズの厚さが特定の最大レンズ厚以下になるまで修正レンズ形状(40)を提供する方法を反復して行うステップ(136)であって、反復中、後面の曲率勾配の最大強度、境界線(18)および所定の曲率値のうちの少なくとも1つを修正するステップとを含む方法。
節12: 節11に記載の方法において、ステップC)の反復(136)中、1組のパラメータを以下のシーケンス、すなわち、
I)曲率勾配の推奨最大強度および推奨所定曲率値を適用して、境界線(18)を少なくとも一部が枠線(58)と同一である初期形状から少なくとも推奨眼球回転角度(12)をカバーする後面(72)領域を囲む形状へと減少させるステップ、
II)最大曲率勾配強度を推奨最大強度からハードリミット最大強度へと増大させるステップ、
III)境界線(18)を、少なくとも推奨眼球回転角度(12)をカバーする後面(72)領域を囲む形状から少なくとも最小眼球回転角度(12)をカバーする後面(72)領域を囲む形状へと減少させるステップ
に従って修正することを特徴とする方法。
節13: 節11または節12に記載の方法において、ステップC)は推奨所定曲率値よりも大きな強度を持つハードリミット所定曲率値を特定するステップをさらに含み、シーケンスのステップIII)に続いて、最適化中、ハードリミット所定曲率値を所定曲率値として適用することを特徴とする方法。
節14: レンズを製造する方法(150)であって、節1〜節13の何れか1節に記載のアンカットレンズブランク(60)の修正レンズ形状(40)を提供するステップ(100, 130)と、 修正レンズ形状(40)に従ってアンカットレンズブランク(60)を製造するステップとを含む方法。
節15: 眼鏡レンズを製造するためのアンカットレンズブランク(60)であって、前面(70)および後面(72)を含み、前面(70)は凸状の回転対称面であり、後面(72)はレンチキュラー部(62)、マージン部(28)およびレンチキュラー部(62)とマージン部(28)の間に位置する遷移部(24)を含み、後面(72)の点(14)から出る直線(30-37)に沿った後面の曲率(72)はマージン部(28)全体に亘って極限曲率値をとり、遷移部(24)を通って極限曲率値へと単調に遷移し、直線(30-37)に沿った後面の曲率(72)は連続するレンズブランク。
節16: 眼鏡レンズを製造するためのアンカットレンズブランク(60)であって、前面(70)および後面(72)を含み、前面(70)は凸状の回転対称面であり、後面(72)は非対称のレンチキュラー部(62)を含み、マージン部(28)および遷移部(24)はレンチキュラー部(62)とマージン部(28)との間に位置し、後面(72)の点(14)から出る直線(30-37)に沿った後面の曲率(72)は、遷移部(24)を通って極限曲率値に向かって単調に遷移し、直線(30-37)に沿った後面(72)の曲率は連続するレンズブランク。
節17:節15または節16に記載のアンカットレンズブランクにおいて、極限曲率値は直線(30-37)に沿った後面(72)の最小曲率、または極限曲率値は直線(30-37)に沿った後面(72)の最大曲率であることを特徴とするアンカットレンズブランク。
節18: 節15〜節17の何れか1節に記載のアンカットレンズブランクにおいて、遷移部(24)はレンチキュラー部(62)を完全に囲むことを特徴とするアンカットレンズブランク。
節19: 節15〜節18の何れか1節に記載のアンカットレンズブランクにおいて、マージン部(28)は直線(30-37)に沿ってアンカットレンズブランク(60)の外縁(16)まで延在し、マージン部(28)はアンカットレンズブランク(10)の外縁(16)の少なくとも一部に沿って円周方向に延在することを特徴とするアンカットレンズブランク。
節20: 節19に記載のアンカットレンズブランクにおいて、マージン部(28)はアンカットレンズブランク(10)の外縁(16)全体に沿って円周方向に延在することを特徴とするアンカットレンズブランク。
節21: 節1〜節14の何れか1節に記載の方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品。
節22: 節1〜節14の何れか1節に記載の方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムの保存された機械読み取り可能な記憶媒体。

Claims (16)

  1. アンカットレンズブランク(60)の修正レンズ形状(40)を提供するためのコンピュータに実装された方法(100)であって、以下のステップ、すなわち、
    a)前面(70)および後面(72)を有するアンカットレンズブランク(60)の元のレンズ形状(10)を提供するステップ(102)であって、前記元のレンズ形状(10)は、前記アンカットレンズブランク(60)の前記前面(70)の元の形状および前記後面(72)の元の形状を含み、前記アンカットレンズブランク(60)が所定の光学特性を満足させるようにするステップと、
    b)前記後面(72)上に境界線(18)を決定するステップ(104)であって、前記後面(72)の元の形状の曲率プロファイルは前記境界線(18)内で保存されるステップと、
    c)前記境界線(18)における前記後面(72)の境界曲率を決定するステップ(106)と;
    d)前記アンカットレンズブランク(60)の前記境界線(18)と外縁(16)との間に前記後面(72)の新しい曲率プロファイル(38)を決定するステップ(108)であって、前記境界線(18)における前記新しい曲率プロファイル(38)の曲率は、前記境界曲率と等しく、該境界曲率から所定の曲率値へと前記外縁(16)に向かって単調かつ連続的に遷移するステップと、
    e)前記アンカットレンズブランク(60)の修正レンズ形状(40)を決定するステップ(110)であって、前記修正レンズ形状(40)は前記前面(70)の元の形状および前記後面(72)の修正形状を含み、該後面(72)の修正形状を前記新しい曲率プロファイルに基づくターゲット形状への最適化によって決定し、該ターゲット形状は、前記境界線(18)内の前記元のレンズ形状(10)の保存された曲率プロファイルおよび前記アンカットレンズブランク(60)の前記外縁(16)の厚さ要件を含むステップとを含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記後面(72)の曲率は連続することを特徴とする方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記アンカットレンズブランク(60)は1つの材料からなる単一の素子であることを特徴とする方法。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の方法において、前記元のレンズ形状(10)は正の焦点屈折力を提供し、前記所定の曲率値は最大曲率値であり、前記厚さ要件として、前記アンカットレンズブランク(60)の前記外縁(16)の最小厚の所定値を必須条件として適用することを特徴とする方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、前記必須条件を、前記最適化工程中、前記境界線(18)内の前記後面(72)における前記元のレンズ形状(10)の前記保存された曲率プロファイルにおける矢状高さを、前記保存された曲率プロファイルが維持されながら調整されるように適用することを特徴とする方法。
  6. 請求項4または5に記載の方法において、第2の最適化をステップe)に続いて行い、さらに前記さらなる最適化は前記後面(72)の前記修正形状を初期形状として使用し、前記境界線(18)内の前記曲率プロファイルのみを前記元のレンズ形状(10)の所定の光学特性に向けて最適化することを特徴とする方法。
  7. 請求項1〜3の何れか1項に記載の方法において、前記元のレンズ形状(10)は負の焦点屈折力を提供し、前記所定の曲率値は最小曲率値であり、厚さ要件として、前記境界線(18)内における前記後面(72)の前記元のレンズ形状(10)の固定された曲率プロファイルの矢状高さを固定し、前記外縁(16)の最小厚を前記最適化工程中の必須境界条件として適用することを特徴とする方法。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の方法において、該方法は、前記境界線(18)に隣接する遷移ゾーン(24)を前記外縁(16)に向かって画定するステップをさらに含み、前記遷移ゾーン(24)において、曲率は前記境界曲率から前記所定の曲率値へと、前記アンカットレンズブランク(60)の前記外縁(16)に向かって単調に遷移し、前記遷移ゾーン(24)を最小長さとして設定することを特徴とする方法。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の方法において、該方法は、前記境界線(18)に隣接する前記遷移ゾーン(24)を前記アンカットレンズブランク(60)の前記外縁(16)に向けて画定するステップをさらに含み、前記遷移ゾーン(24)において、前記曲率は前記境界曲率から前記所定の曲率値へと、前記外縁(16)に向かって単調に遷移し、前記遷移ゾーン(24)を前記曲率の勾配の最大強度として設定することを特徴とする方法。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の方法において、最終レンズを挿入する枠の形状を提供し、それに沿って前記アンカットレンズブランク(60)を切断して前記枠内に収めるようにする線によって枠線(58)を画定し、前記境界線(18)の形状は該枠線(58)の形状に対応することを特徴とする方法。
  11. アンカットレンズブランク(60)の元のレンズ形状(10)の厚さを減少させる、コンピュータに実装された方法、具体的には非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を利用することによる方法(130)であって、以下のステップ、すなわち、
    A)アンカットレンズブランク(60)の元のレンズ形状(10)を提供するステップであって、元のレンズ形状(10)はアンカットレンズブランク(60)の前面(70)および後面(72)の元の形状を含み、アンカットレンズブランク(60)が所定の光学特性を満足させるようにしたステップ(132)と、
    B)後面(72)の曲率勾配の推奨最大強度、該推奨最大強度よりも大きい、後面(72)の曲率勾配のハードリミット最大強度、推奨所定曲率値、眼球回転角度(12)の最小値、眼球回転角度(12)の推奨値、それに沿ってアンカットレンズブランク(60)から最終レンズをカットアウトする後面(72)の枠線(58)、枠線(58)に沿った最大レンズ厚および後面(72)の元の形状がその中に保存される境界線(18)を含む1組のパラメータを特定するステップ(132)と、
    C)1組のパラメータに基づき、請求項1〜10の何れか1項に従い、修正レンズ形状(40)の枠線(58)に沿ったレンズ厚が特定の最大レンズ厚以下になるまで修正レンズ形状(40)を提供する方法を反復して行うステップ(136)であって、反復中、後面の曲率勾配の最大強度、境界線(18)および所定の曲率値のうちの少なくとも1つを修正するステップとを含む方法。
  12. 請求項11に記載の方法において、ステップC)の前記反復(136)中、1組のパラメータを以下のシーケンス、すなわち、
    I)前記曲率勾配の前記推奨最大強度および前記推奨所定曲率値を適用して、前記境界線(18)を少なくとも一部が前記枠線(58)と同一である初期形状から少なくとも前記推奨眼球回転角度(12)をカバーする前記後面(72)領域を囲む形状へと減少させるステップ、
    II)前記最大曲率勾配強度を前記推奨最大強度から前記ハードリミット最大強度へと増大させるステップ、
    III)前記境界線(18)を、少なくとも前記推奨眼球回転角度(12)をカバーする前記後面(72)領域を囲む形状から少なくとも前記最小眼球回転角度(12)をカバーする前記後面(72)領域を囲む形状へと減少させるステップ
    に従って修正することを特徴とする方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法において、ステップC)は前記推奨所定曲率値よりも大きな強度を持つハードリミット所定曲率値を特定するステップをさらに含み、シーケンスのステップIII)に続いて、最適化中、前記ハードリミット所定曲率値を前記所定曲率値として適用することを特徴とする方法。
  14. レンズを製造する方法(150)であって、請求項1〜13の何れか1項に記載のアンカットレンズブランク(60)の修正レンズ形状(40)を提供するステップ(100, 130)と、 前記修正レンズ形状(40)に従って前記アンカットレンズブランク(60)を製造するステップとを含む方法。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載の方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品。
  16. 請求項1〜14の何れか1項に記載の方法のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムの保存された機械読み取り可能な記憶媒体。
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