JP2015227728A - ラジアルころ軸受用保持器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対のリム部4a,4bは、それぞれ一箇所ずつ欠損部8a,8bを有する非連続の欠円環状をなし、各リム部の欠損部が周方向に対して同一の位相をなした状態で、軸方向に対して同心上に所定間隔を空けて対向配置され、複数の柱部6は、ころを保持するポケット10を形成しており、一対のリム部は、その外周部が柱部の外周部よりも縮径され、径方向に対して肉薄とされた薄肉部42a,42bと、薄肉部よりも拡径され、径方向に対して肉厚とされた厚肉部44a,44bを有し、一対のリム部の外周部のうち、その中心に対して欠損部の反対側に位置する部位(起点部40a,40b)には、薄肉部を配し、当該薄肉部は、複数の柱部に跨って周方向に連続している。
【選択図】図1
Description
かかる軸受は、内周面に円筒状の外方軌道を有する外方部材(例えば、常時非回転状態に維持される外輪やハウジング、あるいは、使用時に回転可能な歯車やローラなど)と、当該外方部材の内径側に配された内方部材(例えば、使用時に回転可能な内輪やシャフトなど)の外周面(内方軌道)と前記外方軌道との間へ転動可能に組み込まれる複数のころ(例えば、複数本のニードルなど)と、これらのころを周方向へ所定間隔(一例として、等間隔)で配して保持するとともに、前記外方部材及び内方部材へ組み付けられる保持器を備えている。そして、保持器は、所定間隔を空けて同心上に対向する一対の円環部と、これらを連結するとともに当該円環部間の領域を当該円環部の周方向に隔て、ころを挿入して回転自在に保持するためのポケットを形成する複数の柱部を備えて構成される。
この結果、例えば上述したように、外径寸法が保持器の内径寸法よりも大寸に設定された段部やフランジ状の鍔部などがシャフト外周面域に突設されている場合であっても、保持器の割れ部を拡張させること(保持器を拡径させること)で、保持器をかかる段部や鍔部と干渉させることなく、回転シャフトの内方軌道部分まで軸方向へスムーズに移動させることができる。
このように円環部(リム部)及び柱部にそれぞれ溝を設けることで、保持器に対して各円環部(リム部)の周方向両端面(欠損部における対向面)を離間させるように周方向へ力を加えた場合、円環部(リム部)及び柱部の溝を支点として、当該溝がつぶれるように保持器を弾性変形させている。これにより、割れ部を容易に拡張させること、すなわち、保持器を容易に拡径させることを可能としている。
また、特許文献2に開示された保持器においては、一対の円環部(リム部)の内周部を柱部の内周部よりも全周に亘って拡径させ、径方向に対して前記柱部よりも肉薄とすることで、割れ部を容易に拡張させること、すなわち、保持器を容易に拡径させることを可能としている。
かかる軸受は、内周面に円筒状の外方軌道を有する外方部材(例えば、常時非回転状態に維持される外輪やハウジング、あるいは、使用時に回転可能な歯車やローラなど)と、当該外方部材の内径側に配された内方部材(例えば、使用時に回転可能な内輪やシャフトなど)の外周面(内方軌道)と前記外方軌道との間へ転動可能に組み込まれる複数のラジアルころ(一例として、複数本のニードル)を備えている。なお、軸受のサイズ、内輪の有無、ころのサイズ(径や長さ)及び個数などは、軸受の使用条件や使用目的などに応じて任意に設定することが可能であるため、ここでは特に限定しない。
そして、これらのころは、軌道間(外方軌道及び内方軌道)での転動時において、各ころが相互に接触して摩擦が生じることによる回転抵抗の増大や焼付きなどを防止すべく、軸受用保持器によってそのポケット内で回転自在に保持される。なお、このような回転抵抗の増大や焼付きなどをさらに効果的に防止すべく、軸受潤滑(油潤滑やグリース潤滑)を行っても構わない。また、軸受用保持器は、転動体案内(ころ案内)、外輪案内、及び内輪案内のいずれの案内方式としても構成可能である。
図1には、相互に嵌合される凸部12aと凹部12bを係止機構として備えた保持器2の構成を例示している。この場合、割れ部20を挟んで周方向に隣り合い、対向配置された欠損部近接柱部62,64のうち、一方側(一例として、欠損部近接柱部62)には凸部12a、他方側(同、欠損部近接柱部64)には凹部12bをそれぞれ設けている。凸部12aは、欠損部近接柱部62における欠損部近接柱部64との対向面から周方向へ所定の形状及び大きさ(長さ)で突出し、凹部12bは、前記凸部12aを嵌合可能となるように、欠損部近接柱部64における欠損部近接柱部62との対向部分を、所定の形状及び大きさ(周方向への深さ)で内径側から外径側まで切り欠いている。なお、凸部12a及び凹部12bは、相互に嵌合可能であれば、これらの形状及び大きさ(長さや深さ)などは特に限定されず、保持器2の材質、大きさ(径寸法や幅)などに応じて任意に設定すればよい。また、前記係止機構は、保持器2の割れ部20(欠損部8a,8b)の再拡張を抑止することが可能であれば、相互に嵌合可能な凸部12aと凹部12bのような機構に限定されるものではなく、既知の各種機構に適宜変更可能である。
なお、一対のリム部4a,4bの内周部は、柱部6の内周部に対して縮径も拡径もされず、全周に亘って一定の径寸法(柱部6と同一の内径寸法)に設定されている。つまり、本実施形態に係る保持器2は、内輪案内の保持器として適した構成となっている。
例えば、図1には、起点部40a,40b側に1つの薄肉部42a,42bを配し、欠損部8a,8b側に1つの厚肉部44a,44bを当該薄肉部42a,42bと連続して配している。すなわち、一対のリム部4a,4bの外周部には、薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bのみが双方のリム部4a,4bで周方向に対称をなして配され、これら薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bの境界に段差46a,46bが形成される構成となっている。その際、段差46a,46b、つまり薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bの境界は、一対のリム部4a,4bが柱部6によって連結される部位(リム部4a,4bにおける柱部6上)に位置付けられている。
なお、薄肉部42a,42bは、その周方向中間部位が起点部40a,40bと略一致するように位置付けられている。また、厚肉部44a,44bは、欠損部8a,8bにおいて2分割された状態となっているが、これらを一連のものとして1つと捉えた場合、前記所定の領域に亘って連続することなる。
例えば、薄肉部及び厚肉部を2個以上(一例として、3個)ずつ配した保持器構成とすることも可能である。この場合には、起点部40a,40bに位置付けた薄肉部から周方向の両側へ略等間隔で1つずつ薄肉部を配し、周方向に隣り合う薄肉部の間に厚肉部を1つずつ配することが好ましい。すなわち、複数(一例として、同数)の薄肉部及び厚肉部が1つずつ、各リム部4a,4bの外周部に対して周方向へ交互に並んで、周方向に隣り合う薄肉部と厚肉部の境界に段差が形成される構成とすればよい。この場合、リム部4aの複数の薄肉部と、リム部4bの複数(一例として、リム部4aの薄肉部と同数)の薄肉部は、周方向に対していずれも同一の位相をなして配し、リム部4aの複数(同、当該リム部4aの薄肉部と同数)の厚肉部と、リム部4bの複数(同、リム部4aの厚肉部(薄肉部)と同数)の厚肉部もまた、周方向に対していずれも同一の位相をなして配する。つまり、薄肉部及び厚肉部は、双方のリム部4a,4bで周方向に対称をなして配すればよい。
このように、一対のリム部4a,4bの外周部を柱部6の外周部よりも縮径させるとともに、その内周部を柱部6の内周部よりも拡径させることで、厚肉部44a,44bよりも径方向の外径側及び内径側の双方から凹ませ、肉薄とした薄肉部42a,42bを有する保持器2の構成を、本発明の第2実施形態として図2に示す。本実施形態に係る保持器2は、転動体案内(ころ案内)の保持器として適した構成となっている。
また、薄肉部42a,42b及び厚肉部44a,44bを2個以上ずつ配した保持器構成とする場合、リム部4a,4bの内周部は、外周部の各縮径部位に対応して(周方向に対して同一の位相をなすように)それぞれ拡径させればよい。これにより、リム部4a,4bの内周部には、外周部と同様に、薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bが交互に配され、隣り合う薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bの境界に段差46a,46bが形成される。
なお、リム部4a,4bの内周部の拡径部位は、周方向に対して外周部の縮径部位よりも大きな幅で連続するとともに、当該縮径部位と周方向に対して重畳していれば、外周部の縮径部位に対する周方向幅は任意に設定して構わない。例えば、図4に示す本発明の第4実施形態のように、リム部4a,4bの内周部を全周に亘って連続して一律に拡径させた保持器2の構成とすることも可能である。この場合、リム部4a,4bの内周部においては、薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bが段差なく連続されている。
なお、この場合、リム部4a,4bの外周部の縮径部位は、周方向に対して内周部の拡径部位よりも大きな幅で連続するとともに、当該拡径部位と周方向に対して重畳していれば、内周部の拡径部位に対する周方向幅は任意に設定して構わない。例えば、リム部4a,4bの外周部を全周に亘って連続して一律に拡径させた構成(つまり、リム部4a,4bの外周部において、薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bが段差なく連続された構成)とすることも可能である。
例えば、これらの実施形態においては、リム部4a,4bに対して外周部の縮径部位と内周部の拡径部位をそれぞれ1箇所のみに形成し、薄肉部42a,42bを1つだけ配した構成としているが、外周部の縮径部位と内周部の拡径部位をそれぞれ複数箇所形成し、複数の薄肉部を配した構成とすることも可能である。このような構成を本発明の第6実施形態として図6に示す。
すなわち、本実施形態において、リム部4a,4bの外周部の縮径部位及び内周部の拡径部位は、起点部40a,40bを中心として周方向の両側へ分散して配されている。換言すれば、リム部4a,4bを外径側から縮径して、もしくは内径側から拡径して肉薄とした肉盗み部が周方向に分散して配されている。したがって、本実施形態においても、リム部4a,4bには、厚肉部44a,44bよりも径方向の内径側のみから肉薄となっている(肉が盗まれている)部位に、中間肉厚部48a,48bが形成され、当該リム部4a,4bの内周部には、中間肉厚部48a,48bと厚肉部44a,44bの境界に段差46a,46bが形成される(上述した第3実施形態(図3)と同様)。
加えて、外周部の縮径部位の縮径寸法と内周部の拡径部位の拡径寸法(肉盗み部の肉盗み量に相当)は特に限定されず、同一寸法ずつ縮径及び拡径してもよいし(厚肉部44a,44bよりも径方向の外径側及び内径側の双方から同一寸法で凹ませた状態(同一量で肉を盗んだ状態))、それぞれ異なる寸法ずつ縮径及び拡径させてもよい(厚肉部44a,44bよりも径方向の外径側及び内径側で異なる寸法で凹ませた状態(異なる量で肉を盗んだ状態))。例えば、起点縮径部位及び起点拡径部位においては、リム部4a,4bを外径側から縮径するとともに内径側から拡径して(外径側及び内径側の双方から肉を盗んで)肉薄としているため、リム部4a,4b自体の強度を考慮すれば、外径側及び内径側の肉盗み量にはある程度限界がある。したがって、起点縮径部位及び起点拡径部位の肉盗み量は僅かに止め、これらの周方向両側の縮径部位及び拡径部位の肉盗み量を起点縮径部位及び起点拡径部位よりも多くすることで、保持器2(端的にはリム部4a,4b)の拡径性(別の捉え方をすれば、割れ部20(欠損部8a,8b)の拡張性)を確保するとともに、保持器2の強度も確保することができる。
すなわち、本実施形態によれば、保持器2の拡径性を向上させ、最適な開き量を確保しつつ、保持器2の強度向上を同時に図ることができる利点がある。
このように、薄肉部42a,42bと厚肉部44a,44bを段差なく連続させた構成を、本発明の第7実施形態として図7に示す。本実施形態に係る保持器2は、外輪案内の保持器として適した構成となっている。
さらに、一対のリム部4a,4bの内周部及び外周部の双方を保持器2の転がり軸に対して偏心させ、当該内周部の中心を保持器2の転がり軸に対して偏心し、起点部40a,40b側へ位置付けるとともに、当該外周部の中心を保持器2の転がり軸に対して偏心し、欠損部8a,8bへ位置付けた構成としても構わない。
6 柱部
8a,8b 欠損部
10 ポケット
40a,40b 起点部
42a,42b 薄肉部
44a,44b 厚肉部
Claims (2)
- 一対のリム部と、複数の柱部を備え、
前記一対のリム部は、それぞれ一箇所ずつ欠損部を有する非連続の欠円環状をなし、各リム部の欠損部が周方向に対して同一の位相をなした状態で、軸方向に対して同心上に所定間隔を空けて対向配置され、
前記複数の柱部は、前記一対のリム部を連結するとともに当該リム部間の領域を当該リム部の周方向に隔て、転動体であるころを挿入して回転自在に保持するためのポケットを形成しており、
前記一対のリム部は、その外周部が前記柱部の外周部よりも縮径され、径方向に対して肉薄とされた薄肉部と、当該薄肉部よりも拡径され、径方向に対して肉厚とされた厚肉部を有し、
前記一対のリム部の外周部のうち、その中心に対して前記欠損部の反対側に位置する部位には、前記薄肉部が配され、
前記薄肉部は、前記複数の柱部に跨って周方向に連続していることを特徴とするラジアルころ軸受用保持器。 - 前記一対のリム部は、その内周部が前記柱部の内周部よりも拡径され、前記薄肉部が前記厚肉部よりも径方向の外径側及び内径側の双方から肉薄とされていることを特徴とする請求項1に記載のラジアルころ軸受用保持器。
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