JP2015227274A - 分相ガラス及びこれを用いた複合基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、有機EL素子の光取り出し効率を高めることができ、しかも生産性に優れる分相ガラスの製造方法を提案する。
【解決手段】屈折率nが1.65以上であり、少なくとも第一の相と第二の相を含む分相構造を有し、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差が40%以下である分相ガラスであって、ガラス組成として、質量%で、SiO:30〜75%、Al:0〜35%、BaO:10〜50%を含有する分相ガラス。
【選択図】図1

Description

本発明は、分相ガラス及びこれを用いた複合基板に関し、具体的には、光散乱機能を有する分相ガラス及びこれを用いた複合基板に関する。
近年、家電製品の普及、大型化、多機能化等の理由から、家庭等の生活空間で消費されるエネルギーが増えている。特に、照明機器のエネルギー消費が多くなっている。このため、高効率の照明が活発に検討されている。
照明用光源は、限られた範囲を照らす「指向性光源」と、広範囲を照らす「拡散光源」とに分けられる。LED照明は、「指向性光源」に相当し、白熱球の代替として採用されつつある。その一方で、「拡散光源」に相当する蛍光灯の代替光源が望まれており、その候補として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明が有力である。
有機EL素子は、ガラス板と、陽極である透明導電膜と、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンスを呈する有機化合物からなる一層又は複数層の発光層を含む有機EL層と、陰極とを備えた素子である。有機EL素子に用いられる有機EL層として、低分子色素系材料、共役高分子系材料等が用いられており、発光層を形成する場合、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等との積層構造が形成される。このような積層構造を有する有機EL層を、陽極と陰極の間に配置し、陽極と陰極に電界を印加することにより、陽極である透明電極から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起されて、発光する。
有機EL素子は、携帯電話、ディスプレイ用途として検討が進められており、一部では既に実用化されている。また、有機EL素子は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の薄型テレビと同等の発光効率を有している。
しかし、有機EL素子を照明用光源に適用するためには、輝度が未だ実用レベルに到達しておらず、更なる発光効率の改善が必要である。
ガラス板と空気の屈折率差に起因して、ガラス板内に光が閉じ込められることが輝度低下の原因の一つである。例えば、屈折率n1.50のガラス板を用いた場合、空気の屈折率nは1.0であるため、臨界角はスネルの法則より42°と計算される。よって、この臨界角以上の入射角の光は、全反射を起こし、ガラス板内に閉じ込められて、空気中に取り出されないことになる。
特開2012−25634号公報
上記問題を解決するために、透明導電膜等とガラス板の間に、光取り出し層を形成することが検討されている。例えば、特許文献1には、ソーダガラス板の表面に、高屈折率のガラスフリットを焼結させた光取り出し層を形成すると共に、光取り出し層内に散乱物質を分散させることにより、光取り出し効率を高めることも記載されている。
しかし、ガラス板の表面に光取り出し層を形成するためには、ガラス板の表面にガラスペーストを塗布する印刷工程が必要になり、この工程は生産コストの高騰を招く。更に、ガラスフリット中に散乱粒子を分散させる場合、散乱粒子自体の吸収により光取り出し層の透過率が低くなる。
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、その技術的課題は、焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、有機EL素子の光取り出し効率を高めることができ、しかも生産性に優れるガラスを創案することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、高屈折率の分相ガラスを用い、その全光線透過率を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の分相ガラスは、屈折率nが1.65以上であり、少なくとも第一の相と第二の相を含む分相構造を有し、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差が40%以下であることを特徴とする。ここで、「屈折率n」は、屈折率測定器で測定したd線の値を指す。例えば、まず25mm×25mm×約3mmの直方体試料を作製し、(徐冷点Ta+30℃)から(歪点Ps−50℃)までの温度域を0.1℃/分の冷却速度で徐冷処理した後、屈折率nが整合する浸液を浸透させながら、島津製作所社製の屈折率測定器KPR−2000により測定可能である。また、第一の相と第二の相の形成に伴う光散乱は、目視で確認可能である。更に、1Mの塩酸溶液に10分間浸漬させた後の試料表面を走査型電子顕微鏡で観察すれば、各相の詳細を確認可能である。「全光線透過率」は、分光光度計(例えば、島津製作所社製UV−2500PC)により厚み方向で測定した値であり、例えば、両表面が鏡面研磨されたガラスを測定試料とすることができる。
本発明の分相ガラスは、少なくとも第一の相と第二の相を含む分相構造を有することを特徴とする。このようにすれば、有機ELデバイスに適用した場合、有機EL層からガラス板へ入射した光が、第一の相と第二の相の界面で散乱するため、光を外部に取り出し易くなり、結果として、焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、光取り出し効率を高めることができる。なお、「有機ELデバイス」には、有機EL照明のみならず、有機ELディスプレイ等が含まれる。
本発明の分相ガラスは、屈折率nが1.65以上である。従来の有機EL照明等の有機ELデバイスは、ガラス板と透明導電膜等の屈折率差が大きいことに起因して、有機EL層から入射した光がガラス板と透明導電膜等の界面で反射し、光取り出し効率が低下するという問題もあった。具体的には、透明導電膜の屈折率nは1.9〜2.0であり、有機EL層の屈折率nは1.8〜1.9であった。これに対して、ガラス板の屈折率nは、通常、1.50程度であった。そこで、上記のように屈折率nを規制すれば、ガラス板と透明導電膜等の屈折率差が小さくなるため、有機EL層から入射した光がガラス板と透明導電膜等の界面で反射し難くなり、光取り出し効率を高めることができる。
一方、分相ガラスを用いると、レイリー散乱により短波長の光が長波長の光よりも強く散乱し、有機EL素子、特に白色OLEDを作製した場合に、色の視野角依存性が大きくなり、照明用途として不適になる虞がある。そこで、本発明の分相ガラスは、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差を40%以下に規制している。これにより、上記不具合を解消することが可能になる。なお、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差は、分相粒子の粒子サイズを所定範囲に規制して、ミー散乱による散乱現象を生じさせることにより低減することができる。
第二に、本発明の分相ガラスは、分相粒子の粒子サイズが100nm以上であることが好ましい。
第三に、本発明の分相ガラスは、波長400〜700nmにおける拡散透過率が10%以上であることが好ましい。「拡散透過率」は、分光光度計(例えば、島津製作所社製UV−2500PC)により厚み方向で測定した値であり、例えば、両表面が鏡面研磨されたガラスを測定試料とすることができる。
第四に、本発明の分相ガラスは、分相ガラスが、ガラス組成として、質量%で、SiO2 30〜75%、Al 0〜35%、BaO 10〜50%を含有することが好ましい。このようにすれば、屈折率を高め易くなり、またガラス板の生産性を高め易くなる。
第五に、本発明の分相ガラスは、厚みが5〜500μmであることが好ましい。
第六に、本発明の分相ガラスは、有機ELデバイス、特に有機EL照明に用いることが好ましい。
第七に、本発明の複合基板は、分相ガラス板と基板が接合されてなる複合基板であって、分相ガラス板が、上記の分相ガラスを備えることが好ましい。
第八に、本発明の複合基板は、基板がガラス基板であることが好ましい。
第九に、本発明の複合基板は、基板の屈折率nが1.50超であることが好ましい。
第十に、本発明の複合基板は、分相ガラス板と基板がオプティカルコンタクトにより接合されていることが好ましい。
第十一に、本発明の複合基板は、有機ELデバイス、特に有機EL照明に用いることが好ましい。
[実施例1]に係る熱処理後の試料No.1を1Mの塩酸溶液に10分間浸漬させた後、得られた試料表面を走査型電子顕微鏡で観察した像である。 [実施例1]に係る熱処理後の試料No.1(板厚1.0mm)の両表面を鏡面研磨し、分光光度計により、厚み方向の全光線透過率及び拡散透過率を測定したデータである。 [実施例2]に係る複合基板(分相ガラス板の板厚0.1mm、総板厚2.1mm)について、分光光度計により、厚み方向の全光線透過率及び拡散透過率を測定したデータである。
本発明の分相ガラスは、少なくとも第一の相と第二の相を含む分相構造を有することを特徴とし、第一の相中のSiOの含有量が、第二の相中のSiOの含有量よりも多いことが好ましく、またガラス組成中にBを含む場合、第二の相中のBの含有量が、第一の相中のBの含有量よりも多いことが好ましい。このようにすれば、第一の相と第二の相の屈折率が相違し易くなり、ガラスの散乱機能を高めることができる。
本発明の分相ガラスは、屈折率nは、1.65以上であり、好ましくは1.66以上、1.67以上、1.68以上、1.69以上、特に1.70以上である。屈折率nが1.65未満になると、ガラス板と透明導電膜等の界面の反射によって光を効率良く取り出すことが困難になる。一方、屈折率nが高過ぎると、ガラス板と空気の界面での反射率が高くなり、光を外部に取り出し難くなる。よって、屈折率nは、好ましくは2.30以下、2.20以下、2.10以下、2.00以下、1.90以下、1.80以下、特に1.75以下である。
本発明の分相ガラスにおいて、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差は、好ましくは40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、特に5%以下である。波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差が大き過ぎると、レイリー散乱による散乱現象が生じていることになり、この場合、有機EL素子、特に白色OLEDを作製した場合に、色の視野角依存性が大きくなる。
本発明の分相ガラスにおいて、少なくとも一方の相(第一の相及び/又は第二の相)の分相粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以上、200nm以上、300nm以上、400〜5000nm、特に600〜3000nmである。このようにすれば、ミー散乱による散乱現象が生じ易くなり、全光線透過率の波長依存性を低減し易くなる。なお、分相粒子の粒子サイズは、ガラス組成、成形条件、徐冷条件、熱処理温度、熱処理時間等により調整することができる。
本発明の分相ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 30〜75%、Al 0〜35%、BaO 10〜50%を含有することが好ましい。以下、上記のように各成分を限定した理由を説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、質量%を意味する。
SiOの含有量は30〜75%が好ましい。SiOの含有量が多くなると、溶融性、成形性が低下し易くなり、また屈折率が低下し易くなる。よって、SiOの好適な上限範囲は75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、特に40%未満である。一方、SiOの含有量が少なくなると、ガラス網目構造を形成し難くなり、ガラス化が困難になる。またガラスの粘性が低下し過ぎて、高い液相粘度を確保し難くなる。よって、SiOの好適な下限範囲は30%以上、32%以上、34%以上、特に36%以上である。
Alの含有量は0〜35%が好ましい。Alは、耐失透性を高める成分であるが、Alの含有量が多過ぎると、分相性が低下し易くなることに加えて、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下し易くなる。また耐酸性が低下し易くなる。よって、Alの好適な上限範囲は35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、7%未満、5%以下、特に3%以下であり、好適な下限範囲は0.1%以上、0.5%以上、特に1%以上である。
BaOの含有量は10〜50%が好ましい。BaOは、アルカリ土類金属酸化物の中ではガラスの粘性を極端に低下させずに、屈折率を高める成分である。BaOの含有量が多くなると、屈折率、密度が高くなり易く、またBaOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。よって、BaOの好適な上限範囲は40%以下、30%以下、特に26%以下であり、好適な下限範囲は10%超、14%以上、20%以上、22%以上、特に24%以上である。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を導入することができる。
の含有量は0〜50%が好ましい。Bは、分相性を高める成分であるが、Bの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなることに加えて、耐酸性が低下し易くなる。よって、Bの好適な上限範囲は50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、特に2%以下であり、好適な下限範囲は0.1%以上、0.3%以上、特に0.5%以上である。
LiOの含有量は0〜30%が好ましい。LiOは、分相性を高める成分であるが、LiOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下し易くなり、また歪点が低下し易くなる。更に、酸によるエッチング工程において、アルカリ成分が溶出し易くなる。よって、LiOの好適な上限範囲は30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、1%未満、特に0.5%以下である。
NaOの含有量は0〜30%が好ましい。NaOは、分相性を高める成分であるが、NaOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下し易くなり、また歪点が低下し易くなる。更に、酸によるエッチング工程において、アルカリ成分が溶出し易くなる。よって、NaOの好適な上限範囲は30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、1%未満、特に0.5%以下である。
Oの含有量は0〜30%が好ましい。KOは、分相性を高める成分であるが、KOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下し易くなり、また歪点が低下し易くなる。更に、酸によるエッチング工程において、アルカリ成分が溶出し易くなる。よって、KOの好適な上限範囲は30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、1%未満、特に0.5%以下である。
MgOの含有量は0〜30%が好ましい。MgOは、屈折率、ヤング率、歪点を高める成分であると共に、高温粘度を低下させる成分であるが、MgOを多量に含有させると、液相温度が上昇して、耐失透性が低下したり、密度が高くなり過ぎる虞がある。よって、MgOの好適な上限範囲は30%以下、20%以下、10%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、特に1%未満である。なお、MgOを導入する場合、好適な下限範囲は0.1%以上、特に0.9%以上である。
CaOの含有量は0〜30%が好ましい。CaOは、高温粘度を低下させる成分であるが、CaOの含有量が多くなると、密度が高くなり易く、またガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。よって、CaOの好適な上限範囲は30%以下、20%以下、10%以下、8%以下、特に6%以下であり、好適な下限範囲は0.1%以上、1%以上、2%以上、特に4%以上である。
SrOの含有量は0〜30%が好ましい。SrOの含有量が多くなると、屈折率、密度が高くなり易く、またガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。よって、SrOの好適な上限範囲は30%以下、20%以下、10%以下、8%以下、特に5%以下であり、好適な下限範囲は1%以上、3%以上、特に4%以上である。
ZnOの含有量は0〜30%が好ましい。ZnOの含有量が多くなると、屈折率、密度が高くなり易く、またガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。よって、ZnOの好適な上限範囲は20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、特に1%未満である。なお、ZnOを導入する場合、好適な下限範囲は0.1%以上、特に0.9%以上である。
TiOは、屈折率を高める成分であり、その含有量は0〜20%が好ましい。しかし、TiOの含有量が多くなると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。また全光線透過率が低下する虞がある。よって、TiOの好適な上限範囲は20%以下、15%以下、10%以下、特に8%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、0.01%以上、0.1%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。
ZrOは、屈折率を高める成分であり、その含有量は0〜20%が好ましい。しかし、ZrOの含有量が多くなると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。よって、ZrOの好適な上限範囲は20%以下、10%以下、特に5%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、0.01%以上、0.1%以上、1%以上、1.5%以上、特に2%以上である。
Оは、分相性を高める成分であり、その含有量は0〜10%が好ましい。しかし、PОの含有量が多くなると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。よって、PОの好適な上限範囲は10%以下、7%以下、4%以下、3%以下、特に2%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、0.01%以上、0.1%以上、1%以上、1.4%以上、特に1.6%以上である。
質量比PО/Alは、好ましくは0.1以上、0.3以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1以上、特に1超である。このようにすれば、分相性を効果的に高めることができる。ここで、「PО/Al」は、PОの含有量をAlの含有量で除した値である。
質量比PО/Bは、好ましくは0.1以上、0.3以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1以上、特に1超である。このようにすれば、耐酸性を確保しつつ、分相性を高めることができる。ここで、「PО/B」は、PОの含有量をBの含有量で除した値である。
質量比PО/(LiO+NaO+KO)は、好ましくは0.1以上、0.3以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1以上、特に1超である。このようにすれば、高歪点を維持しつつ、分相性を高めることができる。ここで、「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量である。「PО/(LiO+NaO+KO)」は、PОの含有量をLiO+NaO+KOの含有量で除した値である。
Laは、屈折率を高める成分であり、その含有量は0〜15%が好ましい。Laの含有量が多くなると、密度が高くなり易く、また耐失透性や耐酸性が低下し易くなる。更に原料コストが上昇して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。よって、Laの好適な上限範囲は15%以下、10%以下、6%以下、特に4%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、0.01%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。
Nbは、屈折率を高める成分であり、その含有量は0〜20%が好ましい。Nbの含有量が多くなると、密度が高くなり易く、また耐失透性が低下し易くなる。更に原料コストが上昇して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。よって、Nbの好適な上限範囲は20%以下、16%以下、14%以下、12%以下、特に10%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、0.01%以上、1%以上、4%以上、6%以上、特に8%以上である。
LaとNbは屈折率を高める成分であるが、これらの成分の含有量が多くなると、密度、熱膨張係数が高くなり易く、また耐失透性が低下して、高い液相粘度を確保し難くなる。更に原料コストが上昇して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。よって、La+Nbの好適な上限範囲は35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、特に15%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、1%以上、2%以上、4%以上、6%以上、8%以上、特に10%以上である。ここで、「La+Nb」は、LaとNbの合量を指す。
質量比(La+Nb)/(SiO+Al+B)は、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.28以上、0.29以上、0.3以上、0.31以上、0.32以上、特に0.33以上である。このようにすれば、屈折率ndを1.65以上に高め易くなる。ここで、「SiO+Al+B」は、SiO、Al及びBの合量である。「(La+Nb)/(SiO+Al+B)」は、La+Nbの含有量をSiO+Al+Bの含有量で除した値である。
Gdは、屈折率を高める成分であり、その含有量は0〜10%が好ましい。Gdの含有量が多くなると、密度が高くなり過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠いて、耐失透性が低下したり、高温粘性が低下し過ぎて、高い液相粘度を確保し難くなる。よって、Gdの好適な上限範囲は10%以下、5%以下、3%以下、2.5%以下、1%以下、特に0.1%以下である。
レアメタル酸化物の含有量は合量で0〜35%が好ましい。レアメタル酸化物は、屈折率を高める成分であるが、これらの成分の含有量が多くなると、密度、熱膨張係数が高くなり易く、また耐失透性が低下して、高い液相粘度を確保し難くなる。更に原料コストが上昇して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。よって、レアメタル酸化物の好適な上限範囲は35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、特に15%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、1%以上、2%以上、4%以上、6%以上、8%以上、特に10%以上である。なお、本発明でいう「レアメタル酸化物」は、La、Nd、Gd、CeO等の希土類酸化物、Y、Nb、Taを指す。
清澄剤として、下記酸化物換算で、As、Sb、SnO、Fe、F、Cl、SO、CeOの群から選択された一種又は二種以上を0〜3%導入することができる。特に、清澄剤として、SnO、Fe及びCeOが好ましい。一方、AsとSbは、環境的観点から、その使用を極力控えることが好ましく、各々の含有量は0.3%未満、特に0.1%未満が好ましい。ここで、「下記酸化物換算」は、表記の酸化物とは価数が異なる酸化物であっても、表記の酸化物に換算した上で取り扱うことを意味する。
SnOの含有量は、好ましくは0〜1%、0.001〜1%、特に0.01〜0.5%である。
Feの好適な上限範囲は0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、特に0.02%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上である。
CeOの含有量は0〜6%が好ましい。CeOの含有量が多くなると、耐失透性が低下し易くなる。よって、CeOの好適な上限範囲は6%以下、5%以下、3%以下、2%以下、1%以下、特に0.1%以下である。一方、CeOを導入する場合、CeOの好適な下限範囲は0.001%以上、特に0.01%以上である。
PbOは、高温粘性を低下させる成分であるが、環境的観点から、その使用を極力控えることが好ましい。PbOの含有量は0.5%以下が好ましく、実質的に含まないことが望ましい。ここで、「実質的にPbOを含まない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が0.1%未満の場合を指す。
上記成分以外にも、他の成分を合量で好ましくは10%(望ましくは5%)まで導入してもよい。
本発明の分相ガラスは、以下の特性を有することが好ましい。
密度は、好ましくは5.0g/cm以下、4.5g/cm以下、特に3.6g/cm以下である。このようにすれば、有機ELデバイスを軽量化することができる。
30〜380℃における平均熱膨張係数は、好ましくは30×10−7〜100×10−7/℃、40×10−7〜90×10−7/℃、50×10−7〜85×10−7/℃、特に60×10−7〜75×10−7/℃である。近年、有機ELデバイスにおいて、デザイン的要素を高める観点から、ガラス板に可撓性が要求される場合がある。可撓性を高めるためには、ガラス板の板厚を小さくする必要があるが、この場合、ガラス板とITO、FTO等の透明導電膜の熱膨張係数が不整合になると、ガラス板が反り易くなる。そこで、30〜380℃における平均熱膨張係数を上記範囲とすれば、このような事態を防止し易くなる。なお、「30〜380℃における平均熱膨張係数」は、ディラトメーター等で測定可能である。
歪点は、好ましくは450℃以上、500℃以上、550℃以上、600℃以上、特に650℃以上である。透明導電膜を高温で形成する程、透明性が高く、電気抵抗が低くなり易い。しかし、従来のガラス板は、耐熱性が不十分であるため、透明導電膜を高温で成膜することが困難であった。そこで、歪点を上記範囲とすれば、透明導電膜の透明性と低電気抵抗の両立が可能になり、更には有機デバイスの製造工程において、熱処理によりガラス板が熱収縮し難くなる。
102.5dPa・sにおける温度は、好ましくは1600℃以下、1560℃以下、1500℃以下、特に1450℃以下である。このようにすれば、溶融性が向上するため、ガラス板の生産性が向上する。
液相温度は、好ましくは1300℃以下、1250℃以下、1200℃以下、特に1150℃以下である。また、液相粘度は、好ましくは102.5dPa・s以上、103.0dPa・s以上、103.5dPa・s以上、103.8dPa・s以上、104.0dPa・s以上、104.4dPa・s以上、特に104.6dPa・s以上である。このようにすれば、成形時にガラスが失透し難くなり、例えば、フロート法又はオーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形し易くなる。ここで、「液相温度」は、30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶の析出する温度を測定した値を指す。また「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を指す。
分相温度は、好ましくは1000℃以下、特に950℃以下である。また、分相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、特に105.0〜108.0dPa・sである。このようにすれば、熱処理温度を低下させることができる。結果として、熱処理コストを低減することができる。更に熱処理によるガラス板の軟化変形を抑制し易くなる。ここで、「分相温度」は、ガラスを白金ボートに入れ、1400℃でリメルトした後、白金ボートを温度勾配炉に移し、温度勾配炉中で30分間保持した時に、明確な白濁が認められる温度を指す。「分相粘度」は、分相温度におけるガラスの粘度を白金引き上げ法で測定した値を指す。なお、本発明の分相ガラスは、成形工程及び/又は徐冷工程でガラスが分相しないことが好ましいが、これらの工程でガラスが分相していてもよい。
波長400〜700nmにおける全光線透過率の最小値は、好ましくは20%以上、30%以上、40%以上、特に50%以上である。全光線透過率の最小値が低過ぎると、ガラス中の光を空気中に取り出し難くなる。
波長400〜700nmにおける拡散透過率の最小値は、好ましくは10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、特に50%以上である。拡散透過率の最小値が低過ぎると、ガラス中の光を空気中に取り出し難くなる。
波長400〜700nmにおけるヘーズ値の最小値は、好ましくは5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、特に90%以上である。ヘーズ値が低過ぎると、光散乱希望が不十分になり、ガラス中の光を空気中に取り出し難くなる。なお、「ヘーズ値」は、(拡散透過率)×100/(全光線透過率)で算出される値である。
本発明の分相ガラスは、平板形状を有することが好ましく、つまりガラス板であることが好ましい。このようにすれば、有機ELデバイスに適用し易くなる。平板形状を有する場合、少なくとも一方の表面に未研磨面を有すること(特に、少なくとも一方の表面の有効面全体が未研磨面であること)が好ましい。ガラスの理論強度は、非常に高いが、理論強度よりも遥かに低い応力でも破壊に至ることが多い。これは、ガラス板の表面にグリフィスフローと呼ばれる小さな欠陥が成形後の工程、例えば研磨工程等で生じるからである。よって、ガラス板の表面を未研磨にすれば、本来の機械的強度を損ない難くなるため、ガラス板が破壊し難くなる。また、研磨工程を簡略化又は省略し得るため、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
厚み(平板形状の場合は、板厚)は5〜500μmが好ましい。厚みが大き過ぎると、光散乱機能が過剰である場合、全光線透過率が低くなり、分相ガラス中の光を空気中に取り出し難くなる。よって、厚みは、好ましくは500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、特に50μm以下である。一方、厚みが小さ過ぎると、光散乱機能が低下し易くなり、分相ガラス中の光を空気中に取り出し難くなる。よって、厚みは、好ましくは5μm以上、10μm以上、20μm以上、特に30μm以上である。
平板形状を有する場合、少なくとも一方の表面(特に未研磨面)の表面粗さRaは0.01〜1μmが好ましい。表面粗さRaが大きいと、その面に透明導電膜等を形成する場合、透明導電膜の品位が低下して、均一な発光を得難くなる。表面粗さRaの好適な上限範囲は1μm以下、0.8μm以下、0.5μm以下、0.3μm以下、0.1μm以下、0.07μm以下、0.05μm以下、0.03μm以下、特に10nm以下である。
本発明の分相ガラスは、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。このようにすれば、未研磨で表面品位が良好なガラス板を製造することができる。その理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、表面になるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されるからである。なお、オーバーフローダウンドロー法以外にも、スロットダウンドロー法を採用することができる。このようにすれば、薄肉のガラス板を作製し易くなる。
上記成形方法以外にも、例えば、リドロー法、フロート法、ロールアウト法等を採用することができる。特に、フロート法は、大型のガラス板を効率良く作製することができる。
本発明の分相ガラスは、熱処理工程を経ていることが好ましい。これにより、分相ガラスの散乱現象(特にミー散乱による散乱現象)を制御し易くなり、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差を低減し易くなる。
熱処理温度は、好ましくは610℃以上、710℃以上、810℃以上、特に910℃以上である。このようにすれば、分相ガラスの散乱現象(特にミー散乱による散乱現象)を制御し易くなる。一方、熱処理温度は、好ましくは1200℃以下、1100℃以下、特に1000℃以下である。熱処理温度が高過ぎると、熱処理コストが増大することに加えて、散乱強度が強くなり過ぎて、直線透過率、全光線透過率等が低下する虞がある。
熱処理時間は、好ましくは1分間以上、特に5分間以上である。このようにすれば、分相ガラスの散乱現象(特にミー散乱による散乱現象)を制御し易くなる。一方、熱処理温度は、好ましくは72時間以下、48時間以下、24時間以下、特に60分間以下である。熱処理時間が長過ぎると、熱処理コストが増大することに加えて、散乱強度が強くなり過ぎて、直線透過率、全光線透過率等が低下する虞がある。
本発明の分相ガラスは、平板形状を有する場合、少なくとも一方の表面を粗面化面としてもよい。粗面化面を有機EL照明等の空気と接する側に配置すれば、ガラス板の散乱効果に加えて、粗面化面の無反射構造により、有機EL層から放射した光が有機EL層内に戻り難くなり、結果として、光の取り出し効率を高めることができる。粗面化面の表面粗さRaは、好ましくは10Å以上、20Å以上、30Å以上、特に50Å以上である。粗面化面は、HFエッチング、サンドブラスト等で形成することができる。また、リプレス等の熱加工により、ガラス板の表面に凹凸形状を形成してもよい。このようにすれば、ガラス表面に正確な無反射構造を形成することができる。凹凸形状は、屈折率nを考慮しながら、その間隔と深さを調整すればよい。
また、大気圧プラズマプロセスにより粗面化面を形成することもできる。このようにすれば、ガラス板の一方の表面の表面状態を維持した上で、他方の表面に対して、均一に粗面化処理を行うことができる。また、大気圧プラズマプロセスのソースとして、Fを含有するガス(例えば、SF、CF)を用いることが好ましい。このようにすれば、HF系ガスを含むプラズマが発生するため、粗面化面を効率良く形成することができる。
更に、ガラス板の成形時に、少なくとも一方の表面に粗面化面を形成することもできる。このようにすれば、別途独立した粗面化処理が不要になり、粗面化処理の効率が向上する。
なお、ガラス板に粗面化面を形成せずに、所定の凹凸形状を有する樹脂フィルムをガラス板の表面に貼り付けてもよい。なお、凹凸形状の表面粗さRaは、好ましくは10Å以上、20Å以上、30Å以上、特に50Å以上である。
本発明の複合基板は、分相ガラス板と基板が接合されてなる複合基板であって、分相ガラス板が、上記の分相ガラスを備えることを特徴とする。このようにすれば、分相ガラス板が光散乱板として機能するため、基板と複合化するだけで、有機EL素子の光取り出し効率を高めることができる。更に、分相ガラス板と基板を接合し、分相ガラス板を空気と接する側に配置すると、複合基板の耐傷性を高めることができる。
基板として、種々の材料を使用することが可能であり、例えば、樹脂基板、金属基板、ガラス基板を使用することが可能である。その中でも、透過性、耐候性、耐熱性の観点から、ガラス基板が好ましい。ガラス基板として、種々の材料が使用可能であり、例えば、ソーダライムガラス基板、アルミノシリケートガラス基板、無アルカリガラス基板が使用可能である。
ガラス基板の厚みは、強度を維持する観点から、好ましくは0.3〜3.0mm、0.4〜2.0mm、特に0.5超〜1.8mmである。
ガラス基板の屈折率nは、好ましくは1.65以上であり、好ましくは1.66以上、1.67以上、1.68以上、1.69以上、特に1.70以上である。ガラス基板の屈折率が低過ぎると、ガラス基板と透明導電膜等の界面の反射によって光を効率良く取り出すことが困難になる。一方、屈折率nが高過ぎると、ガラス基板と分相ガラス板の界面での反射率が高くなり、分相ガラス板を通して、ガラス基板中の光を空気中に取り出し難くなる。よって、屈折率nは、好ましくは2.30以下、2.20以下、2.10以下、2.00以下、1.90以下、1.80以下、特に1.75以下である。
ガラス基板の少なくとも一方の表面(特に未研磨面)の表面粗さRaは0.01〜1μmが好ましい。表面の表面粗さRaが大き過ぎると、オプティカルコンタクトで複合基板を作製し難くなることに加えて、その表面に透明導電膜等を形成する場合、透明導電膜の品位が低下して、均一な発光を得難くなる。よって、少なくとも一方の表面の表面粗さRaの好適な上限範囲は1μm以下、0.8μm以下、0.5μm以下、0.3μm以下、0.1μm以下、0.07μm以下、0.05μm以下、0.03μm以下、特に10nm以下である。
分相ガラス板と基板を接合する方法として、種々の方法が利用可能である。例えば、粘着テープ、粘着シート、接着剤、硬化剤等により接合する方法、オプティカルコンタクトで接合する方法が利用可能である。その中でも、接合信頼性の観点から、紫外線硬化樹脂により接合する方法が好ましく、複合基板の透過率を高める観点から、オプティカルコンタクトで接合する方法が好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1は、試料No.1を示している。
まず、表1に記載のガラス組成になるように、ガラス原料を調合した後、得られたガラスバッチをガラス溶融炉に供給して1400℃で7時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスをカーボン板の上に流し出し、平板形状に成形した後、歪点より室温まで10時間かけて簡易な徐冷処理を行った。最後に、得られたガラス板について、必要に応じて加工を行い、種々の特性を評価した。
密度ρは、周知のアルキメデス法で測定した値である。
平均熱膨張係数αは、30〜380℃の温度範囲においてディラトメーターで測定した値である。なお、測定試料として、φ5mm×20mmの円柱状試料(端面はR加工されている)を用いた。
歪点Psは、ASTM C336−71に記載の方法で測定した値である。なお、歪点Psが高い程、耐熱性が高くなる。
徐冷点Ta、軟化点Tsは ASTM C338−93に記載の方法で測定した値である。
高温粘度104.0dPa・s、103.0dPa・s、102.5dPa・s及び102.0dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。なお、高温粘度が低い程、溶融性に優れる。
分相温度TPは、各ガラスを白金ボートに入れ、1400℃でリメルトした後、白金ボートを温度勾配炉に移し、温度勾配炉中で30分間保持した時に、白濁が明確に認められる温度を測定したものである。
分相粘度logηTPは、分相温度における各ガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定したものである。
成形後の分相は、上記の徐冷処理後の成形試料を目視観察した際に、分相による白濁が認められたものを「○」、分相による白濁が認められず、透明であったものを「×」として評価した。
熱処理後の分相は、上記の徐冷処理後の成形試料を900℃で24時間の条件で熱処理し、得られた熱処理試料を目視観察した際に、分相による白濁が認められたものを「○」、分相による白濁が認められず、透明であったものを「×」として評価した。
屈折率nは、島津製作所社製の屈折率測定器KPR−2000により測定したd線の値である。具体的には、まず25mm×25mm×約3mmの直方体試料を作製し、(徐冷点Ta+30℃)から(歪点Ps−50℃)までの温度域を0.1℃/分の冷却速度で徐冷処理した後、屈折率nが整合する浸液を浸透させて測定した値である。
成形後のガラス板(試料No.1)を約15mm×130mmのサイズの白金ボートに投入し、その白金ボートを電気炉内に投入し、1400℃でリメルトした。なお、白金ボート内でリメルトされたガラスの厚みは約3〜5mmであった。リメルトした後、電気炉から白金ボートを取り出し、空気中で放冷した。得られたガラスについて、1000℃で24時間の条件で熱処理を行い、分相させた。更に、1Mの塩酸溶液に10分間浸漬させて、カーボン蒸着後、試料表面を電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製S−4300SE)により観察した。その結果を図1に示す。試料No.1に対し熱処理を施したものは300〜400nm程度の分相粒子を有する分相構造を有していた。
上記熱処理後の分相ガラスを約10mm×30mm×1.0mm厚のガラス板に加工した後、両表面を鏡面研磨し、分光光度計(島津製作所製分光光度計UV−2500PC)により、厚み方向の全光線透過率及び拡散透過率を測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差が20%以内であり、また波長400〜700nmにおける全光線透過率が20%以上であり、更に波長400〜700nmにおける拡散透過率が20%以上であった。
上記熱処理後の分相ガラスを約10mm×30mm×1.0mm厚のガラス板に加工し、分相ガラス板を得た。また、約10mm×30mm×2.0mm厚のガラス基板(日本電気硝子社製OA−10L:屈折率n1.52)を用意した。次に、紫外線硬化樹脂(MSアーデル株式会社製オプトクレーブUT20)を用いて、分相ガラス板とガラス基板を接合した後、分相ガラス板の表面を研磨により0.1mm厚に加工することにより、総板厚2.1mmの複合基板を得た。この複合基板について、分光光度計(島津製作所製分光光度計UV−2500PC)により、厚み方向の全光線透過率及び拡散透過率を測定した。その結果を図3に示す。
図3に示すように、上記複合基板は、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差が20%以内であり、また波長400〜700nmにおける全光線透過率が40%以上であり、更に波長400〜700nmにおける拡散透過率が20%以上であった。
[実施例1]、[実施例2]では、試料No.1を用いて、実験したが、表2の試料No.2についても、同様の実験により、同様の傾向が得られるものと考えられる。

Claims (11)

  1. 屈折率nが1.65以上であり、少なくとも第一の相と第二の相を含む分相構造を有し、波長400〜700nmにおける全光線透過率の最大値と最小値との差が40%以下であることを特徴とする分相ガラス。
  2. 分相粒子の粒子サイズが100nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の分相ガラス。
  3. 波長400〜700nmにおける拡散透過率が10%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分相ガラス。
  4. 分相ガラスが、ガラス組成として、質量%で、SiO2 30〜75%、Al 0〜35%、BaO 10〜50%を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の分相ガラス。
  5. 厚みが5〜500μmであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の分相ガラス。
  6. 有機EL照明に用いることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の分相ガラス。
  7. 分相ガラス板と基板が接合されてなる複合基板であって、分相ガラス板が、請求項1〜6の何れかに記載の分相ガラスを備えることを特徴とする複合基板。
  8. 基板がガラス基板であることを特徴とする請求項7に記載の複合基板。
  9. 基板の屈折率nが1.50超であることを特徴とする請求項7又は8に記載の複合基板。
  10. 分相ガラス板と基板がオプティカルコンタクトにより接合されていることを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の複合基板。
  11. 有機EL照明に用いることを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の複合基板。
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