JP2015227073A - 4輪駆動車のクラッチ制御装置 - Google Patents

4輪駆動車のクラッチ制御装置 Download PDF

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【課題】噛み合いクラッチの締結要求時、4輪駆動状態への遷移に要する時間の短縮を図ること。【解決手段】左右後輪19,20への駆動力伝達系に、電制カップリング12とドグクラッチ17を設けた。この4輪駆動車のクラッチ制御装置において、4WDコントロールユニット34は、電制カップリング12の締結/解放制御とドグクラッチ17の締結/解放制御を行う。この4WDコントロールユニット34は、解放状態のドグクラッチ17に対し締結要求があると、先に電制カップリング12の締結制御を行い、該締結制御の開始から、ドグクラッチ17の入出力回転数が回転同期状態になるまでの同期完了時間を推定し、電制カップリング12の締結制御の開始後、該同期完了時間とドグクラッチ17の噛み合い締結動作時間に基づいて推定するドグクラッチ17への締結指令タイミングになると、ドグクラッチ17の締結指令をドグクラッチアクチュエータ48へ出力する。【選択図】図6

Description

本発明は、副駆動輪への駆動力伝達系に、噛み合いクラッチと摩擦クラッチを備えた4輪駆動車のクラッチ制御装置に関する。
従来、後輪への駆動力伝達系に、噛み合いクラッチと摩擦クラッチを備えた前輪駆動ベースの4輪駆動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。この4輪駆動車では、2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時には、摩擦クラッチを締結した後、噛み合いクラッチへ締結指令を出力する。又、4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え時には、摩擦クラッチを解放した後、噛み合いクラッチへ解放指令を出力する。
特開2010−254058号公報
しかしながら、従来装置にあっては、2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時、摩擦クラッチを締結し、噛み合いクラッチに差回転が無くなった後、噛み合いクラッチへ締結指令を出力していた。このため、噛み合いクラッチへ締結指令を出力してから締結するまでの時間分の応答遅れが発生してしまい、4輪駆動状態へ遷移するのに時間を要する、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、噛み合いクラッチの締結要求時、4輪駆動状態への遷移に要する時間の短縮を図ることができる4輪駆動車のクラッチ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の4輪駆動車のクラッチ制御装置は、左右前輪と左右後輪のうち、一方を駆動源に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源にクラッチを介して接続される副駆動輪とし、前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置と、前記駆動分岐位置よりも下流位置とのうち、一方の位置に駆動力配分摩擦クラッチを設け、他方の位置に噛み合いクラッチを設けた。
この4輪駆動車のクラッチ制御装置において、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結/解放制御と前記噛み合いクラッチの締結/解放制御を行うクラッチ制御手段と、同期完了時間推定手段と、締結指令タイミング推定手段と、を設けた。
前記同期完了時間推定手段は、解放状態の前記噛み合いクラッチに対し締結要求があると、前記クラッチ制御手段により先に前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御を行い、該締結制御の開始から、前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転が回転同期判定閾値以下になるまでの同期完了時間を、車両状態に基づき推定する。
前記締結指令タイミング推定手段は、前記同期完了時間と、前記クラッチ制御手段により前記噛み合いクラッチの締結指令をクラッチアクチュエータへ出力したときから前記噛み合いクラッチの締結が完了するまでに要する噛み合い締結動作時間と、に基づいて前記噛み合いクラッチへの締結指令タイミングを推定する。
前記クラッチ制御手段は、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御の開始後、前記噛み合いクラッチへの締結指令タイミングになると、前記噛み合いクラッチの締結指令を前記クラッチアクチュエータへ出力する。
ここで、駆動分岐位置よりも下流位置とは、駆動分岐位置から副駆動輪に向かう駆動力伝達経路上で駆動分岐位置よりも副駆動輪側の位置をいう。
よって、駆動力配分摩擦クラッチの締結制御の開始後、噛み合いクラッチへの締結指令タイミングになると、噛み合いクラッチの締結指令がクラッチアクチュエータへ出力される。
すなわち、駆動力配分摩擦クラッチの締結制御中に、クラッチ制御手段により、予め噛み合いクラッチの締結指令がクラッチアクチュエータへ出力され、噛み合いクラッチを締結するための制御が開始される。そして、クラッチ差回転が回転同期判定閾値以下になったとき、噛み合いクラッチが締結される。これにより、噛み合いクラッチに差回転が無くなった後、噛み合いクラッチへ締結指令が出力される場合よりも、噛み合い締結動作時間分だけ噛み合いクラッチが早く締結される。
この結果、噛み合いクラッチの締結要求時、4輪駆動状態への遷移に要する時間の短縮を図ることができる。
実施例1のクラッチ制御装置が適用された後輪駆動ベースの4輪駆動車の駆動系構成を示す駆動系構成図である。 実施例1のクラッチ制御装置が適用された後輪駆動ベースの4輪駆動車の制御系構成を示す制御系構成図である。 実施例1の可動部材とドグクラッチアクチュエータを一方向から見た面を示す図である。 実施例1の「オートモード」が選択されたときのクラッチ制御で用いられる車速とアクセル開度に応じた駆動モード切り替えマップを示す基本マップ図である。 実施例1の「オートモード」が選択されたときのクラッチ制御による駆動モード(ディスコネクト2輪駆動モード・スタンバイ2輪駆動モード・コネクト4輪駆動モード)の切り替え遷移を示す駆動モード遷移図である。 実施例1の4WDコントロールユニットにて実行されるクラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。 ドグクラッチに対し締結要求があったときのアクセル開度(ACC)・電制カップリング(トランスファクラッチ)の締結トルク(TFトルク)・ドグクラッチの入力回転数と出力回転数・ドグクラッチ締結指令とドグクラッチの締結動作(実働)の各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の4輪駆動車のクラッチ制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実
施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における後輪駆動ベースの4輪駆動車(4輪駆動車の一例)のクラッチ制御装置の構成を、「4輪駆動車の駆動系構成」、「4輪駆動車の制御系構成」、「駆動モード切り替え構成」、「クラッチ制御構成」に分けて説明する。
[4輪駆動車の駆動系構成]
図1は、クラッチ制御装置が適用された後輪駆動ベースの4輪駆動車の駆動系構成を示す。以下、図1に基づき、4輪駆動車の駆動系構成を説明する。
前記4輪駆動車の後輪駆動系は、図1に示すように、エンジン1(駆動源、ENG)と、変速機2と、リアプロペラシャフト3と、リアドライブピニオン4と、リアリングギア5と、リアデファレンシャル6と、左後輪ドライブシャフト7と、右後輪ドライブシャフト8と、左後輪9(主駆動輪)と、右後輪10(主駆動輪)と、を備えている。すなわち、エンジン1及び変速機2を経過した駆動力は、リアプロペラシャフト3とリアドライブピニオン4とリアリングギア5とリアデファレンシャル6を介して左右後輪ドライブシャフト7,8に伝達され、差動を許容しながら左右後輪9,10を常時駆動する。なお、リアプロペラシャフト3の一部とリアドライブピニオン4とリアリングギア5とリアデファレンシャル6と左右後輪ドライブシャフト7,8の一部は、リアデフハウジング11に内蔵されている。
前記4輪駆動車の前輪駆動系は、図1に示すように、電制カップリング12(駆動力配分摩擦クラッチ、トランスファクラッチ)と、フロントプロペラシャフト13と、フロントドライブピニオン14と、フロントリングギア15と、フロントデファレンシャル16と、ドグクラッチ17(噛み合いクラッチ、D/C)と、左前輪ドライブシャフト18と、右前輪ドライブシャフト19と、左前輪20(副駆動輪)と、右前輪21(副駆動輪)と、を備えている。なお、リアプロペラシャフト3の一部と電制カップリング12とフロントプロペラシャフト13の一部と各プロペラシャフト3,13に駆動力を配分するチェーン式の伝達要素などは、変速機2の隣接位置に固定されたトランスファケース22に内蔵されている。また、フロントプロペラシャフト13の一部とフロントドライブピニオン14とフロントリングギア15とフロントデファレンシャル16と右前輪ドライブシャフト19の一部は、フロントデフハウジング23に内蔵されている。さらに、図1中、24は自在継手である。
すなわち、電制カップリング12とドグクラッチ17とを共に解放する2輪駆動モード(=ディスコネクト2輪駆動モード)を選択することが可能な駆動系構成としている。この電制カップリング12とドグクラッチ17を解放することにより、ドグクラッチ17より上流側の駆動系回転(フロントプロペラシャフト13等の回転)が停止することで、フリクション損失やオイル攪拌損失などが抑えられ、燃費向上が達成される。
前記電制カップリング12は、左右後輪9,10から左右前輪20,21への駆動分岐位置に設けられ、クラッチ締結容量に応じてエンジン1からの駆動力の一部を左右前輪20,21へ配分する駆動力配分摩擦クラッチである。電制カップリング12の入力側クラッチプレートは、リアプロペラシャフト3に連結され、出力側クラッチプレートは、フロントプロペラシャフト13に連結されている。この電制カップリング12としては、例えば、入力側と出力側のプレートを交互に複数配置した多板摩擦クラッチと、対向するカム面を有する固定カムピストン及び可動カムピストンと、対向するカム面間に介装されたカム部材と、を有するものを用いる。電制カップリング12の締結時は、可動カムピストンを電動モータにより回転させると、ピストン間隔を拡大するカム作用により可動カムピストンが回転角に応じてクラッチ締結方向にストロークし、多板摩擦クラッチの摩擦締結力を増すことで行う。電制カップリング12の解放時は、可動カムピストンを電動モータにより締結方向とは逆方向に回転させると、ピストン間隔を縮小するカム作用により可動カムピストンが回転角に応じてクラッチ解放方向にストロークし、多板摩擦クラッチの摩擦締結力を減じることで行う。
前記ドグクラッチ17は、電制カップリング12が設けられた駆動分岐位置よりも下流位置に設けられ、クラッチ解放により左右前輪20,21への駆動力伝達系を、左右後輪9,10への駆動力伝達系から切り離す噛み合いクラッチである。ドグクラッチ17の入力側噛み合い部材は、入力側左前輪ドライブシャフト18aに連結され、ドグクラッチ17の出力側噛み合い部材は、出力側左前輪ドライブシャフト18bに連結されている。このドグクラッチ17としては、例えば、一対の噛み合い部材のうち一方を可動部材17aとし他方を固定部材とし、可動部材17aは後述するドグクラッチアクチュエータ48(クラッチアクチュエータ)によって、固定部材に締結する締結方向と固定部材から解放される解放方向へストロークされる。これについては、後述する。
[4輪駆動車の制御系構成]
図2は、クラッチ制御装置が適用された後輪駆動ベースの4輪駆動車の制御系構成を示す。以下、図2に基づき、4輪駆動車の制御系構成を説明する。
前記4輪駆動車の制御系は、図2に示すように、エンジンコントロールモジュール31と、変速機コントロールモジュール32と、ABSアクチュエータコントロールユニット33と、4WDコントロールユニット34と、を備えている。
前記エンジンコントロールモジュール31は、エンジン1の制御ディバイスであり、エンジン回転数センサ35やアクセル開度センサ36等からの検出信号を入力する。このエンジンコントロールモジュール31からは、情報交換が互いに可能なCAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し、エンジン回転数情報やアクセル開度情報(ACC情報)が入力される。
前記変速機コントロールモジュール32は、変速機2の制御ディバイスであり、変速機入力回転数センサ38や変速機出力回転数センサ39等からの検出信号を入力する。この変速機コントロールモジュール32からは、CAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し、ギアレシオ情報(ギア比情報)が入力される。
前記ABSアクチュエータコントロールユニット33は、各輪のブレーキ液圧を制御するABSアクチュエータの制御ディバイスであり、ヨーレートセンサ40や横Gセンサ41や前後Gセンサ42や車輪速センサ43,44,45,46等からの検出信号を入力する。このABSアクチュエータコントロールユニット33からは、CAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し、ヨーレート情報や横G情報や前後G情報や各輪の車輪速情報が入力される。なお、上記情報以外に、ステアリング舵角センサ47から舵角情報が、CAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し入力される。また、左右前輪速情報の平均値を車速情報(VSP情報)とする。
前記4WDコントロールユニット34は、ドグクラッチ17と電制カップリング12の締結/解放制御ディバイスであり、各種入力情報に基づいて演算処理を行う。そして、ドグクラッチアクチュエータ48(クラッチアクチュエータ)と電制カップリングアクチュエータ49(電動モータ)に駆動制御指令を出力する。ここで、CAN通信線37以外からの入力情報源として、駆動モード選択スイッチ50、ブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチ51、リングギア回転数センサ52、ドグクラッチストロークセンサ53、モータ回転角度センサ54、出力側左前輪ドライブシャフト回転数センサ55等を有する。
前記ドグクラッチアクチュエータ48は、図3に示すように、電動モータ60と、カム変換機構70と、電動モータ60の回転をカム変換機構70へ伝達する伝達構成80と、を有する。
前記電動モータ60は、4WDコントロールユニット34によるドグクラッチ17の締結指令(駆動制御指令)に基づき回転する。
前記カム変換機構70は、電動モータ60の回転動作を直線動作に変換して、可動部材17aを締結方向と解放方向とへストロークする。このカム変換機構70は、スプリング71と、カムリング72と、カムローラ73と、チェックバネ74aが取り付けられたチェックボール74と、から構成されている。
前記スプリング71は、可動部材17aに取り付けられ、可動部材17aを締結方向へ付勢する。このスプリング71は、図3に示すように、可動部材17aにおいて固定部材側とは反対側に配置されている。
前記カムリング72は、円筒状であり、その内周側に可動部材17aが配置されている。このカムリング72は、図3の矢印a方向へ、電動モータ60により回転される。カムリング72には、図3に示すように、カム面72aと、チェックボール74が嵌るチェック溝72bが形成されている。
前記カム面72aは、図3に示すように、上下に平坦な平面部72a1,72a2と、固定部材側(締結方向側)に凹んだ凹面部72a3と、から形成されている。
前記カムローラ73は、図3に示すように、可動部材17aの外周に設けられている。このカムローラ73は、図3に示すように、カムローラ73のピン73aで可動部材17aの外周に固定され、ピン73aの外側に回転可能なローラ部73bが設けられている。カムローラ73は、可動部材17aを介して、スプリング71の付勢力により、カム面72aすなわち締結方向に押さえつけられている。このため、電動モータ60によりカムリング72を矢印a方向へ回転させると、ローラ部73bが回転し、カムローラ73は図3の矢印b方向へカム面上を移動する。これにより、電動モータ60からカムリング72に伝達される回転動作が直線動作に変換される。すなわち、図3において、カムリング72を回転させて、カムローラ73が平面部72a1から凹面部72a3まで移動する(実線c1→破線c2、破線c3)と、回転動作は締結方向への直線動作に変換される。つまり、カムローラ73がスプリング側から固定部材側へ移動することにより、回転動作は締結方向への直線動作に変換される。また、カムローラ73は可動部材17に固定されているので、可動部材17aはカムローラ73と共に締結方向へストロークする。なお、図3に示すように、カムローラ73が凹面部72a3の最も締結方向側に凹んだ部分まで移動する(破線c3)と、可動部材17aはカムローラ73と共にさらに締結方向へストロークする。そして、カムローラ73が凹面部72a3の最も締結方向側に凹んだ部分まで移動した(破線c3)ことにより、ドグクラッチ17が締結される。
反対に、図3において、カムリング72を回転させて、カムローラ73が凹面部72a3から平面部72a2.72a1まで移動すると、回転動作は解放方向への直線動作に変換される。つまり、カムローラ73が固定部材側からスプリング側へ移動することにより、回転動作は解放方向への直線動作に変換される。また、可動部材17aはカムローラ73と共に解放方向へストロークする。なお、カムローラ73は、ドグクラッチ17の解放時、図3の破線c1に位置している。
前記チェックボール74は、チェックバネ74aの付勢力によりカムリング71の径方向内側へ押さえつけられている。
ここで、チェックボール74は、ドグクラッチ17の解放時、図3に示すように、チェック溝72bに嵌っている(実線d1)。チェックボール74は、ドグクラッチ17の締結時、チェック溝72b以外のカムリング72の外周に位置する。
前記駆動モード選択スイッチ50は、「2WDモード」と「ロックモード」と「オートモード」をドライバーが切り替え選択するスイッチである。「2WDモード」が選択されると、ドグクラッチ17と電制カップリング12を解放した前輪駆動の2WD状態が維持される。「ロックモード」が選択されると、ドグクラッチ17と電制カップリング12を締結した完全4WD状態が維持される。さらに、「オートモード」が選択されると、車両状態(車速VSP、アクセル開度ACC)に応じてドグクラッチ17と電制カップリング12の締結/解放が自動制御される。ここで、「オートモード」には、「エコオートモード」と「スポーツオートモード」の選択肢があり、ドグクラッチ17を締結し、電制カップリング12を解放する「スタンバイ2輪駆動モード」が選択肢により異なる。つまり、「エコオートモード」の選択時には、電制カップリング12を完全解放状態にして待機するが、「スポーツオートモード」の選択時には、電制カップリング12を締結直前の解放状態にして待機する。
前記出力側左前輪ドライブシャフト回転数センサ55は、ドグクラッチ17の出力回転数情報を取得するためのセンサである。なお、ドグクラッチ17の入力回転数情報は、左車輪速センサ45から取得される左前輪速度である。
ここで、出力回転数は、電制カップリング12を介してドグクラッチ17に回転が伝達される側の回転数であり、入力回転数は、電制カップリング12を介さずにドグクラッチ17に回転が伝達される側の回転数である。
[駆動モード切り替え構成]
図4は、「オートモード」が選択されたときのクラッチ制御で用いられる車速VSPとアクセル開度ACCに応じた駆動モード切り替えマップを示し、図5は、駆動モード(ディスコネクト2輪駆動モード・スタンバイ2輪駆動モード・コネクト4輪駆動モード)の切り替え遷移を示す。以下、図4及び図5に基づき、駆動モード切り替え構成を説明する。
前記駆動モード切り替えマップは、図4に示すように、車速VSPとアクセル開度ACCに応じて、ディスコネクト2輪駆動モード(Disconnect)と、スタンバイ2輪駆動モード(Stand-by)と、コネクト4輪駆動モード(Connect)と、を分けた設定としている。この3つの駆動モードは、アクセル開度ゼロで設定車速VSP0の基点aから車速VSPの上昇に比例してアクセル開度ACCが上昇する領域区分線Aと、領域区分線Aとの交点bから高車速側に引いた一定アクセル開度ACC0の領域区分線Bと、により分けている。
前記ディスコネクト2輪駆動モード(Disconnect)は、アクセル開度ACCが設定開度ACC0以下であって、アクセル開度ACCがゼロの車速軸線と領域区分線Aと領域区分線Bにより囲まれる高車速領域に設定している。すなわち、アクセル開度ACCが設定開度ACC0以下であるため、駆動スリップによる左右後輪9,10と左右前輪20,21の差回転発生頻度が極めて小さいと共に、駆動スリップが発生してもスリップが緩増する4WD要求の低い領域に設定している。
前記スタンバイ2輪駆動モード(Stand-by)は、アクセル開度ACCが設定開度ACC0を超えていて、領域区分線Aと領域区分線Bにより規定される高車速領域に設定している。つまり、車速VSPが高車速域であるため、4WD要求が低いものの、アクセル開度ACCが設定開度ACC0を超えているため、駆動スリップにより左右後輪9,10と左右前輪20,21の差回転が発生すると、スリップが急増する可能性が高い領域に設定している。
前記コネクト4輪駆動モード(Connect)は、車速VSPがゼロのアクセル開度軸線と、アクセル開度ACCがゼロの車速軸線と、領域区分線Aと、により囲まれる低車速領域に設定している。つまり、発進時や車速VSPが低いもののアクセル開度ACCが高い高負荷走行等のように、4WD要求が高い領域に設定している。
前記ディスコネクト2輪駆動モード(Disconnect)が選択されると、図5の枠線C内に示すように、電制カップリング12とドグクラッチ17が共に解放された2WD走行(Disconnect)になる。このディスコネクト2輪駆動モードでは、基本的に左右後輪9,10にのみ駆動力を伝達しての前輪駆動の2WD走行(Disconnect)が維持される。しかし、前輪駆動の2WD走行中に左右後輪9,10に駆動スリップが発生し、駆動スリップ量(=前後輪の差回転量、前後輪回転速度差)が閾値を超えると、電制カップリング12を摩擦締結する。その後、回転同期状態が判定されるとドグクラッチ17を噛み合い締結し、左右前輪20,21に駆動力を配分することで、駆動スリップを抑える前後輪の差回転制御が行われる。
前記スタンバイ2輪駆動モード(Stand-by)が選択されると、図5の枠線D内に示すように、ドグクラッチ17を締結し電制カップリング12を解放する2WD走行(Stand-by)になる。このスタンバイ2輪駆動モードでは、基本的に左右後輪9,10にのみ駆動力を伝達する前輪駆動の2WD走行(Stand-by)が維持される。しかし、前輪駆動の2WD走行中に左右後輪9,10に駆動スリップが発生し、駆動スリップ量(=前後輪の差回転量、前後輪回転速度差)が閾値を超えると、予めドグクラッチ17が噛み合い締結されているため、電制カップリング12の摩擦締結のみを行う。この電制カップリング12の摩擦締結により、応答良く左右前輪20,21に駆動力を配分することで、駆動スリップを抑える前後輪の差回転制御が行われる。
前記コネクト4輪駆動モード(Connect)が選択されると、図5の枠線E内に示すように、ドグクラッチ17と電制カップリング12が共に締結された4WD走行(Connect)になる。このコネクト4輪駆動モード(Connect)では、基本的に左右後輪9,10と左右前輪20,21に対して路面状況に合わせた最適の駆動力配分(例えば、発進時制御やアクセル開度対応制御や車速対応制御等)とする駆動力配分制御が行われる。但し、4WD走行中に、ステアリング舵角センサ47やヨーレートセンサ40や横Gセンサ41や前後Gセンサ42からの情報により、車両の旋回状態が判断されると、電制カップリング12の締結容量を低下させてタイトコーナーブレーキング現象を抑える制御が行われる。
前記2WD走行(Disconnect)と2WD走行(Stand-by)と4WD走行(Connect)の切り替え遷移は、車速VSPとアクセル開度ACCにより決まる動作点が、図4に示す領域区分線Aや領域区分線Bを横切るときに出力される駆動モードの切り替え要求により行われる。各駆動モードの切り替え遷移速度については、4WD要求に応える駆動モードへの遷移速度を、燃費要求に応えるディスコネクト2輪駆動モードへの遷移速度よりも優先するように決めている。
すなわち、2WD走行(Disconnect)→2WD走行(Stand-by)の切り替え遷移速度(図5の矢印F)を速くし、2WD走行(Stand-by)→2WD走行(Disconnect)の切り替え遷移速度(図5の矢印G)を遅くしている。同様に、2WD走行(Disconnect)→4WD走行(Connect)の切り替え遷移速度(図5の矢印H)を速くし、4WD走行(Connect)→2WD走行(Disconnect)の切り替え遷移速度(図5の矢印I)を遅くしている。これに対し、2WD走行(Stand-by)→4WD走行(Connect)の切り替え遷移速度(図5の矢印J)と、4WD走行(Connect)→2WD走行(Stand-by)の切り替え遷移速度(図5の矢印K)は、同じ速い速度にしている。
[クラッチ制御構成]
図6は、4WDコントロールユニット34にて実行されるクラッチ制御処理流れを示す(クラッチ制御手段)。以下、クラッチ制御処理構成をあらわす図6の各ステップについて説明する。このフローチャートは、「オートモード」の選択時であり、かつ、駆動モードとして、電制カップリング12とドグクラッチ17が共に解放されている「ディスコネクト2輪駆動モード」が選択されているときに開始される。
ステップS1では、ドグクラッチ17に対し締結要求があるか否かを判断する。YES(締結要求有り)の場合はステップS2へ進み、NO(締結要求無し)の場合はエンドへ進む。
ここで、ドグクラッチ17に対し締結要求が出されるのは、「ディスコネクト2輪駆動モード」の選択時、「コネクト4輪駆動モード」又は「スタンバイ2輪駆動モード」へのモード遷移と判定されたときである。
ステップS2では、ステップS1での締結要求有りとの判断に続き、電制カップリング12のカップリングアクチュエータ49に対し締結指令を出力し、ステップS3へ進む。
ここで、カップリングアクチュエータ49に対する締結指令は、短時間にて電制カップリング12が完全締結状態となる急勾配指令とする。なお、この指令は、ドグクラッチ17が解放されるまで出力される。
ステップS3では、ステップS2での電制カップリング12の締結指令出力に続き、電制カップリング12の締結制御の開始からの経過時間Tのカウントを開始し、ステップS4へ進む。
ここで、経過時間Tのカウントは、電制カップリング12の締結制御の開始から起動したタイマー値をセットし、制御周期(例えば、10ms)ごとに加算することで演算される。
ステップS4では、ステップS3での経過時間のカウントの開始に続き、ドグクラッチ17の入力回転数(左前輪速度)と出力回転数(出力側左前輪ドライブシャフト回転数)の情報を取得する。
ステップS5では、ステップS4でのドグクラッチ17の入出力回転数の情報取得に続き、同期完了時間を推定する。
ここで、同期完了時間は、電制カップリング12の締結制御の開始からドグクラッチ17のクラッチ差回転ΔNが回転同期判定閾値α以下になるまでの時間である。言い換えると、電制カップリング12の締結制御の開始から、出力回転数が回転同期判定閾値αとしてのドグクラッチ17の締結が可能な締結可能回転数α1以上になるまでの時間である。なお、クラッチ差回転ΔNは、ドグクラッチ17の入力回転数から出力回転数を差し引くことで演算される。また、回転同期判定閾値αは、ドグクラッチ17の噛み合い締結が可能な回転同期状態を判定するクラッチ差回転値であり、固定値で与えても良いし、車速VSP等に応じた可変値で与えても良い。
また、同期完了時間の推定は、クラッチ差回転ΔNを演算し、この演算されたクラッチ差回転ΔN減少特性と、回転同期判定閾値αと、に基づき推定される。言い換えると、締結可能回転数α1と、ドグクラッチ17の出力回転数の上昇特性(図7の傾斜SL)と、に基づき、推定する。
ステップS6では、同期完了時間の推定に続き、ステップS5で推定した同期完了時間と、噛み合い締結動作時間と、に基づいてドグクラッチ17への締結指令タイミングを推定する。
ここで、噛み合い締結作動時間は、4WDコントロールユニット34によりドグクラッチ17の締結指令をドグクラッチアクチュエータ48へ出力したときからドグクラッチ17の締結が完了するまでに要する時間である。この噛み合い締結作動時間は、実験等により予め設定された値である。
また、締結指令タイミングの推定は、同期完了時間から噛み合い締結動作時間を減算して推定する。
ステップS7では、締結指令タイミングの推定に続き、ステップS6で推定した締結指令タイミングを更新する。
ステップS8では、締結指令タイミングの更新に続き、ステップS3からカウントを開始した電制カップリング12の締結制御の開始からの経過時間Tが、ステップS7で更新された締結指令タイミングか否かを判断する。Yes(締結指令タイミングである)の場合はステップS9へ進み、NO(締結指令タイミングではない)の場合はステップS4へ戻る。
ステップS9では、ステップS8での締結指令タイミングであるとの判断に続き、ドグクラッチアクチュエータ48に対し締結指令を出力し、ステップS10へ進む。
ステップS10では、ステップS9でのドグクラッチ17の締結指令出力に続き、ドグクラッチ17が噛み合い締結を完了したか否かを判断する。YES(クラッチ締結完了)の場合はステップS11へ進み、NO(クラッチ締結未完了)の場合はステップS9へ戻る。
ここで、ドグクラッチ17が噛み合い締結を完了したか否かの判断は、ドグクラッチストロークセンサ53からのストローク情報に基づいて行う。
ステップS11では、ステップS10でのクラッチ締結完了であるとの判断に続き、ステップS3から開始した経過時間Tのカウントをリセットし、ステップS12へ進む。
ステップS12では、ステップS11でのカウントのリセットに続き、コネクト4輪駆動モードへの遷移か否かを判断する。YES(コネクト4輪駆動モードへの遷移)の場合はエンドへ進み、NO(スタンバイ2輪駆動モードへの遷移)の場合はステップS13へ進む。
ステップS13では、ステップS12でのスタンバイ2輪駆動モードへの遷移であるとの判断に続き、電制カップリング12のカップリングアクチュエータ49に対し解放指令を出力し、エンドへ進む。
ここで、「オートモード」のうち、「エコオートモード」の選択時には、電制カップリング12を完全解放する指令とし、「スポーツオートモード」の選択時には、電制カップリング12を締結直前の解放状態を保つ指令とする。
次に、作用を説明する。
実施例1の4輪駆動車のクラッチ制御装置における作用を、「ドグクラッチアクチュエータによるドグクラッチの締結/解放制御動作」、「ドグクラッチの締結制御作用」、「ドグクラッチの締結指令タイミング制御作用」、「ドグクラッチ締結制御での他の特徴作用」に分けて説明する。
[ドグクラッチアクチュエータによるドグクラッチの締結/解放制御動作]
図3に基づき、ドグクラッチアクチュエータ48による、ドグクラッチ17の締結/解放制御について説明する。
まず、ドグクラッチ17の解放時は、図3に示すように、チェックボール74がチェック溝72bに嵌っていて(実線d1)、カムローラ73は上側の平面部72a1に位置している(実線c1)。
次に、解放状態のドグクラッチ17を締結するときは、まず、4WDコントロールユニット34によるドグクラッチ17の締結指令に基づき電動モータ60を回転させ、伝達構成80を介して電動モータ60の回転動作をカム変換機構70のカムリング71へ伝達し、カムリング71を回転させる。これにより、チェックボール74がチェック溝72bを乗り上げる(実線d1→破線d2)。その後、さらにカムリング71を回転させると、チェックボール74はチェック溝72b以外のカムリング72の外周を移動する。また、カムローラ73は、カムリング71の回転により、上側の平面部上を移動して、上側の平面部72a1から凹面部72a3まで移動する(実線c1→破線c2)。これにより、電動モータ60からカムリング72に伝達される回転動作が、締結方向への直線動作に変換される。そして、可動部材17aはカムローラ73と共に締結方向へストロークする。また、さらにカムリング72を回転させると、カムローラ73は傾斜している凹面上を移動し、凹面部72a3の最も締結方向側に凹んだ部分まで移動する(破線c2→破線c3)。これに伴い、可動部材17aはさらに締結方向へストロークする。
このように、カムローラ73が凹面部72a3の最も締結方向側に凹んだ部分まで移動した(破線c3)ことにより、ドグクラッチ17の締結が完了する。
締結状態のドグクラッチ17を解放するときは、まず、4WDコントロールユニット34によるドグクラッチ17の解放指令に基づき電動モータ60を回転させ、伝達構成80を介して電動モータ60の回転動作をカム変換機構70のカムリング71へ伝達し、カムリング71を回転させる。これにより、カムローラ73が、スプリング71の付勢力に抗して、凹面部72a3の最も締結方向側に凹んだ部分から下側の平面部72a2まで移動する(実線c3→破線c4)。これにより、電動モータ60からカムリング72に伝達される回転動作が、解放方向への直線動作に変換される。そして、可動部材17aはカムローラ73と共に解放方向へストロークする。また、さらにカムリング72を回転させると、カムローラ73は、下側の平面部72a2から上側の平面部72a1まで移動する。また、カムリング72の回転により、チェックボール74はカムリング72の外周を移動し、チェック溝72bまで移動する(実線d1)。このように、カムローラ73がドグクラッチ17の解放時の位置(実線c1)に戻り、チェックボール74がチェック溝72bへ再び嵌った(実線d1)ことにより、ドグクラッチ17の解放が完了する。
[ドグクラッチの締結制御作用]
まず、図6のフローチャートに基づき、ドグクラッチ17の締結制御処理動作の流れを説明する。例えば、「ディスコネクト2輪駆動モード」が選択されているコースト走行中、アクセル踏み込み操作を行ったことで、動作点が図4のL点からM点へ移動したとき、領域区分線Aを横切るタイミングでドグクラッチ17に対し締結要求が出される。又は、動作点が図4のP点からQ点へ移動したとき、領域区分線Bを横切るタイミングでドグクラッチ17に対し締結要求が出される。
ドグクラッチ17に対し締結要求が出されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む。ステップS2では、ドグクラッチ17の締結要求があると、直ちに電制カップリング12のカップリングアクチュエータ49に対し締結指令が出力される。ステップS3では、電制カップリング12の締結制御の開始からの経過時間Tのカウントが開始される。ステップS4では、ドグクラッチ17の入力回転数と出力回転数の情報が取得される。ステップS5では、同期完了時間が推定される。ステップS6では、ドグクラッチ17への締結指令タイミングが推定される。ステップS7では、ステップS6で推定した締結指令タイミングが更新される。そして、ステップS8では、経過時間Tが、ステップS7で更新された締結指令タイミングか否かが判断される。
しかし、経過時間Tは、カウント開始から、噛み合い締結作動時間の長さによって異なるが、すぐには締結指令タイミングにはならない。このため、カウント開始から少しの間は、ステップS7での締結指令タイミングであるという条件は成立しない。よって、経過時間Tが締結指令タイミングであるとの条件が成立するまでは、図6のフローチャートにおいて、ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む流れが繰り返される。すなわち、経過時間Tのカウント開始から、締結指令タイミングになるまでは、同期完了時間とドグクラッチ17への締結指令タイミングが繰り返し推定されると共に、該締結指令タイミングの推定毎に該締結指令タイミングが更新される。
そして、経過時間Tが締結指令タイミングであるとの条件が成立すると、図5のフローチャートにおいて、ステップS8からステップS9→ステップS10へ進み、ステップS9では、ドグクラッチアクチュエータ48に対し締結指令が出力される。すなわち、電動モータ60が回転し、伝達構成80を介して、電動モータ60の回転動作がカム変換機構70へ伝達される。そして、カム変換機構70により、電動モータ60の回転動作が直線動作に変換され、可動部材17aが締結方向へストロークされる。次のステップS10では、ドグクラッチ17が噛み合い締結を完了したか否かが判断され、クラッチ締結未完了と判断されている間は、ステップS9→ステップS10へと進む流れが繰り返される。
そして、ステップS10にてドグクラッチ17が噛み合い締結を完了したと判断されると、ステップS10からステップS11→ステップS12へ進み、ステップS11では、経過時間Tのカウントがリセットされる。そして、ステップS12では、「コネクト4輪駆動モード」への遷移か否かが判断される。「コネクト4輪駆動モード」への遷移と判断された場合は電制カップリング12の締結を維持したままでエンドへ進む。一方、「スタンバイ2輪駆動モード」への遷移と判断された場合はステップS13へ進み、ステップS13では、電制カップリング12のカップリングアクチュエータ49に対し解放指令が出力され、エンドへ進む。なお、「エコオートモード」の選択時には、電制カップリング12を完全解放する指令とされ、「スポーツオートモード」の選択時には、電制カップリング12を締結直前の解放状態を保つ指令とされる。
次に、図7のタイムチャートに基づき、ドグクラッチ17の締結制御作用を説明する。
時刻t1にて、走行中、アクセル開度ACCが立ち上がり、ドグクラッチ17に対し締結要求が出されると、電制カップリング16の締結制御を開始する。この電制カップリング12の締結制御の開始により、経過時間Tのカウントを開始すると共に、電制カップリング12の締結トルクが立ち上がりを開始する。そして、時刻t1から僅かに遅れたタイミングにて、締結可能回転数α1と、ドグクラッチ17の出力回転数の上昇特性(傾斜SL)に基づき、同期完了時間が図7では時刻t1から時刻t7までと推定される。また、この同期完了時間と噛み合い締結動作時間と、に基づいて、締結指令タイミングが図7では時刻t4と推定される。なお、経過時間Tが、推定された締結指令タイミングになるまで、締結指令タイミングを繰り返し推定すると共に、該締結指令タイミングの推定毎に該締結指令タイミングを更新する。
ここで、電制カップリング12の締結開始前は、ドグクラッチ17の出力側回転が停止しているため、クラッチ差回転ΔNが最大である。
このとき、ドグクラッチ17は解放されているので、図3に示すように、チェックボール74がチェック溝72bに嵌っていて(実線d1)、カムローラ73は上側の平面部72a1に位置している(実線c1)。なお、4WDコントロールユニット34によるドグクラッチ17の締結指令が出力されるまでは、ドグクラッチアクチュエータ48はこの状態である。
時刻t1から時刻t2の間にて、電制カップリング12の締結トルクが上昇を続けている。そして、出力回転数が、電制カップリング16の締結容量増大により上昇する。電制カップリング12の締結開始域ではドグクラッチ17の出力側回転の上昇に伴いクラッチ差回転ΔNが減少する。
時刻t2にて、電制カップリング12の締結トルクが、時刻t1から時刻t2までよりも緩やかな上昇を開始する。そして、出力回転数が、電制カップリング16の締結容量の緩やかな増大に応じて引き続き上昇し、この出力回転数上昇に伴いクラッチ差回転ΔNも引き続き減少する。このとき、経過時間Tが、推定された締結指令タイミング(時刻t4)ではないので、締結指令タイミングを繰り返し推定すると共に、該締結指令タイミングの推定毎に該締結指令タイミングを更新する。図7では、再び締結指令タイミングが時刻t4と推定される。
時刻t2から時刻t3の間にて、電制カップリング12の締結トルクが、緩やかな上昇を続け、これに応じて出力回転数が引き続き上昇し、この出力回転数上昇に伴いクラッチ差回転ΔNも引き続き減少する。
時刻t3でも、経過時間Tが、推定された締結指令タイミング(時刻t4)ではないので、締結指令タイミングを繰り返し推定すると共に、更新する。図7では、再び締結指令タイミングが時刻t4と推定される。なお、締結トルクと出力回転数が引き続き上昇し、この出力回転数上昇に伴いクラッチ差回転ΔNも引き続き減少する。
時刻t3から時刻t4の間も、時刻t2から時刻t3の間と同様に、締結トルクと出力回転数の上昇、及び、クラッチ差回転ΔNの減少が続いているため説明を省略する。なお、締結トルクと出力回転数の上昇、及び、クラッチ差回転ΔNの減少は、時刻t7まで続くので、時刻t7になるまで、説明を省略する。
時刻t4では、経過時間Tが、推定された締結指令タイミング(時刻t4)になるので、経過時間Tが締結指令タイミングであるとの条件が成立する。このため、ドグクラッチ17の締結指令をドグクラッチアクチュエータ48へ出力する。これにより、電動モータ60が始動する。
時刻t4から時刻t5の間にて、電動モータ60の始動により、電動モータ60が回転を開始し、この回転動作が伝達構成80を介してカムリング72へ伝達され、カムリング72も図3の矢印a方向へ回転を開始する。
時刻t5では、カムリング72の回転により、チェックボール74がチェック溝72bの乗り上げを開始する。
時刻t5から時刻t6の間にて、チェックボール74がチェック溝72bを乗り上げる(図3の実線d1→破線d2)。また、カムローラ73は上側の平面部上を移動している。
時刻t6では、さらにカムリング72を回転させると、カムローラ73が平面部72a1から凹面部72a3へ移動する(実線c1→破線c2)。これに伴い、可動部材17aはカムローラ73と共に締結方向へストロークする。
時刻t6から時刻t7の間にて、さらにカムリング72を回転させると、カムローラ73は傾斜している凹面上を移動し、凹面部72a3の最も締結方向側に凹んだ部分へ移動する(破線c2→破線c3)。これに伴い、可動部材17aはカムローラ73と共に締結方向へさらにストロークする。
時刻t7では、出力回転数が締結可能回転数α1以上(クラッチ差回転ΔNが回転同期判定閾値α以下)、すなわち、ドグクラッチ17の入出力回転数が回転同期状態になっている。このとき、カムローラ73が凹面部72a3の最も締結方向側に凹んだ部分まで移動した(破線c3)ことにより、ドグクラッチ17の締結が完了する。
また、電制カップリング12の締結が完了したので、締結トルクが一定になっている。なお、ドグクラッチ17の締結により、経過時間Tのカウントをリセットする。そして、時刻t7から僅かに遅れたタイミングにて、ドグクラッチ17の締結により、ドグクラッチ17の入出力回転数が同一になる。
このように、「ディスコネクト2輪駆動モード」の選択中にアクセル踏み込み操作が行われ、電制カップリング12の締結制御中に、締結指令タイミングになると、ドグクラッチの締結指令がクラッチアクチュエータへ出力される。これにより、ドグクラッチ17の入出力回転数が回転同期状態になったと同時に、ドグクラッチ17が締結される。この結果、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「コネクト4輪駆動モード」への駆動モード遷移、或いは、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「スタンバイ2輪駆動モード」への駆動モード遷移を、噛み合い締結動作時間分の応答遅れなく実行することができる。
[ドグクラッチの締結指令タイミング制御作用]
ドグクラッチ17は、クラッチ差回転の有無に関係なく締結できる駆動力配分摩擦クラッチとは異なり、クラッチ入出力回転を同期状態にして噛み合わせる噛み合いクラッチである。このため、ドグクラッチ17が解放されている「ディスコネクト2輪駆動モード」が選択されているとき、ドグクラッチ17の締結要求があると、先にドグクラッチ17の入出力回転を同期回転状態にしてから、ドグクラッチ17を締結する必要がある。
従来から行われていたドグクラッチ17の締結制御は、特開2010−254058号公報に示唆されているように、摩擦クラッチを締結し、噛み合いクラッチに差回転が無くなった後、噛み合いクラッチへ締結指令を出力していた。このため、噛み合いクラッチへ締結指令を出力してから締結するまでの時間分の応答遅れが発生してしまい、4輪駆動状態へ遷移するのに時間を要する、という課題があった。
これに対し、実施例1では、解放状態のドグクラッチ17に対し締結要求があると、先に電制カップリング12の締結制御を行う。この電制カップリング12の締結制御の開始から、ドグクラッチ17の出力回転数が締結可能回転数α1以上(ドグクラッチ17のクラッチ差回転ΔNが回転同期判定閾値α以下)になるまでの同期完了時間が推定される(図6ステップS5、図7の時刻t1)。この同期完了時間と、4WDコントロールユニット34によりドグクラッチ17の締結指令をドグクラッチアクチュエータ48へ出力したときからドグクラッチ17の締結が完了するまでに要する噛み合い締結動作時間と、に基づいてドグクラッチ17への締結指令タイミングが推定される(図6ステップS6、図7の時刻t1)。そして、電制カップリング12の締結制御の開始後、ドグクラッチ17への締結指令タイミングになると、ドグクラッチ17の締結指令がドグクラッチアクチュエータ48へ出力される構成とした(図6のステップS8→ステップS9、図7の時刻t4)。
すなわち、電制カップリング12の締結制御中に、4WDコントロールユニット34により、予めドグクラッチ17の締結指令がドグクラッチアクチュエータ48へ出力され、ドグクラッチ17を締結するための制御が開始される(図6のステップS8→ステップS9、図7の時刻t4)。そして、ドグクラッチ17の出力回転数が締結可能回転数α1以上(クラッチ差回転ΔNが回転同期判定閾値α以下)になったとき、ドグクラッチ17が締結される(図7の時刻t7)。これにより、噛み合いクラッチに差回転が無くなった後、噛み合いクラッチへ締結指令が出力される場合よりも、噛み合い締結動作時間分だけドグクラッチ17が早く締結される。
この結果、ドグクラッチ17の締結要求時、4輪駆動状態への遷移に要する時間の短縮を図ることができる。同様にスタンバイ2輪駆動モード状態への遷移に要する時間の短縮を図ることもできる。遷移するまでの応答性を満足することもできる(ステップS6のステップS13)。
[ドグクラッチ締結制御での他の特徴作用]
実施例1では、電制カップリング12の締結制御の開始から締結指令タイミングになるまで、ドグクラッチ17への締結指令タイミングを繰り返し推定すると共に、該締結指令タイミングの推定毎に該締結指令タイミングを更新する構成とした(図6のステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む流れの繰り返し、図7の時刻t1から時刻t4の間)。
したがって、ドグクラッチ17の締結要求時、精度良く、締結指令タイミングを推定することができる。
実施例1では、ドグクラッチ17は、一対の噛み合い部材からなり、一方を固定部材とし、他方を可動部材17aとした。また、ドグクラッチアクチュエータ48は、4WDコントロールユニット34によるドグクラッチ17の締結指令に基づき回転する電動モータ60と、電動モータ60の回転動作を直線動作に変換して可動部材17aを固定部材に締結する締結方向へ移動するカム変換機構70(スプリング71と、カムリング72と、カムローラ73と、チェックボール74と、から構成される)と、を有する構成とした。
すなわち、ドグクラッチ17の締結指令に基づき電動モータ60を回転させると、カム変換機構70のカムリング72が回転する。このカムリング72の回転により、チェックボール74がチェック溝72bを乗り上げ(図3の破線d2)、カムローラ73は上側の平面部72a1から凹面部73a3の最も締結方向側に凹んだ部分まで移動する(破線c1→破線c3)。
つまり、カムリング72を回転させて、カムローラ73が平面部72a1から凹面部72a3まで移動する(実線c1→破線c2→破線c3)と、回転動作は締結方向への直線動作に変換される。これにより、可動部材17aはカムローラ73と共に締結方向へストロークする。
このように、電動モータ60を回転させてから、ドグクラッチ17が締結を完了するまでには、カム変換機構70のカムリング72を回転させる分の応答遅れが発生する。
これに対し、実施例1では、電動モータ60とカム変換機構70を有するドグクラッチアクチュエータ48を用いてドグクラッチ17の締結制御が行われる場合には、図6のドグクラッチ17の締結制御を適用する。
この図6のドグクラッチ17の締結制御を適用すると、4WDコントロールユニット34により、予めドグクラッチ17の締結指令がドグクラッチアクチュエータ48へ出力され、ドグクラッチ17を締結するための制御が開始される(図6のステップS8→ステップS9、図7の時刻t4)。そして、ドグクラッチ17の出力回転数が締結可能回転数α1以上(クラッチ差回転ΔNが回転同期判定閾値α以下)になったとき、ドグクラッチ17が締結される(図7の時刻t7)。
したがって、ドグクラッチ17の締結要求時、カム機構を回転させる分の応答遅れの発生を防止することができる。
実施例1では、4輪駆動車の駆動モードとして、「ディスコネクト2輪駆動モード」と「スタンバイ2輪駆動モード」と「コネクト4輪駆動モード」と、を有し、車両状態に応じて駆動モードの切り替え制御を行う。そして、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「スタンバイ2輪駆動モード」へ切り替え遷移するとき、又は、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「コネクト4輪駆動モード」へ切り替え遷移するとき、ドグクラッチ17の締結要求を出力する構成とした。
ドグクラッチ17に対し締結要求があるとき、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「スタンバイ2輪駆動モード」へ切り替えるときと「コネクト4輪駆動モード」へ切り替えるときとでは、締結制御(若しくは結果)が異なる。すなわち、「コネクト4輪駆動モード」への切り替えは、2輪駆動状態から4輪駆動状態に切り替える駆動モードの切り替えである。一方、「スタンバイ2輪駆動モード」への切り替えは、2輪駆動状態から2輪駆動状態というように2輪駆動状態を維持したままでの駆動モードの切り替えであるため、運転者に極力違和感を与えることなく行いたいという要求がある。
これに対し、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「スタンバイ2輪駆動モード」へ切り替えるとき、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定閾値α以下となるタイミングにてドグクラッチ17の締結が開始される。
したがって、「ディスコネクト2輪駆動モード」から噛み合いクラッチの噛み合い締結を経由して「スタンバイ2輪駆動モード」へ切り替えるとき、運転者に極力違和感を与えることなく行いたいという要求に応えることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の4輪駆動車のクラッチ制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 左右前輪20,21と左右後輪9,10のうち、一方を駆動源(エンジン1)に接続される主駆動輪とし、他方を駆動源(エンジン1)にクラッチを介して接続される副駆動輪とし、
主駆動輪(左右後輪9,10)から副駆動輪(左右前輪20,21)への駆動分岐位置と、駆動分岐位置よりも下流位置とのうち、一方の位置に駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)を設け、他方の位置に噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)を設けた4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結/解放制御と噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結/解放制御を行うクラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図6)と、
解放状態の噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)に対し締結要求があると、前記クラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図6)により先に駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結制御を行い、該締結制御の開始から、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)のクラッチ差回転ΔNが回転同期判定閾値α以下(ドグクラッチ17の出力回転数が締結可能回転数α1以上)になるまでの同期完了時間を推定する同期完了時間推定手段(4WDコントロールユニット34、図6)と、
同期完了時間と、クラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図6)により噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結指令をクラッチアクチュエータ(ドグクラッチアクチュエータ48)へ出力したときから噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結が完了するまでに要する噛み合い締結動作時間と、に基づいて噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)への締結指令タイミングを推定する締結指令タイミング推定手段(4WDコントロールユニット34、図6)と、を設け、
クラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図6)は、駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結制御の開始後、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)への締結指令タイミングになると、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結指令をクラッチアクチュエータ(ドグクラッチアクチュエータ48)へ出力する(図6)。
このため、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結要求時、4輪駆動状態への遷移に要する時間の短縮を図ることができる。
(2) 締結指令タイミング推定手段(4WDコントロールユニット34、図6)は、駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結制御の開始から締結指令タイミングになるまで、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)への締結指令タイミングを繰り返し推定すると共に、該締結指令タイミングの推定毎に該締結指令タイミングを更新する(図6)。
このため、(1)の効果に加え、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結要求時、精度良く、締結指令タイミングを推定することができる。
(3) 噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)は、一対の噛み合い部材からなり、一方を固定部材とし、他方を可動部材17aとし、
クラッチアクチュエータ(ドグクラッチアクチュエータ48)は、クラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図6)による噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結指令に基づき回転する電動モータ60と、電動モータ60の回転動作を直線動作に変換して可動部材17aを固定部材に締結する締結方向へ移動するカム変換機構70(スプリング71、カムリング72、カムローラ73、チェックボール74)と、を有する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結要求時、カム変換機構70(スプリング71、カムリング72、カムローラ73、チェックボール74)を回転させる分の応答遅れの発生を防止することができる。
(4) 4輪駆動車の駆動モードとして、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)と駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)を解放する「ディスコネクト2輪駆動モード」と、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)を締結し駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)を解放する「スタンバイ2輪駆動モード」と、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)と駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)を締結する「コネクト4輪駆動モード」と、を有し、車両状態(車速VSP、アクセル開度ACC)に応じて駆動モードの切り替え制御を行う駆動モード切替制御手段(4WDコントロールユニット34)を備え、
駆動モード切替制御手段(4WDコントロールユニット34)は、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「スタンバイ2輪駆動モード」へ切り替え遷移するとき、又は、「ディスコネクト2輪駆動モード」から「コネクト4輪駆動モード」へ切り替え遷移するとき、クラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図6)に対して噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結要求を出力する(図4、図5)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、「ディスコネクト2輪駆動モード」から噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の噛み合い締結を経由して「スタンバイ2輪駆動モード」へ切り替えるとき、運転者に極力違和感を与えることなく行いたいという要求に応えることができる。
以上、本発明の4輪駆動車のクラッチ制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、トランスファケース22に各プロペラシャフト3,13に駆動力を配分するチェーン式の伝達要素を内蔵する例を示した。しかしながら、チェーン式に限らず、ギア式とする例でも良い。
実施例1では、4輪駆動車の駆動モードとして、「ディスコネクト2輪駆動モード」と「スタンバイ2輪駆動モード」と「コネクト4輪駆動モード」を有する例を示した。しかしながら、4輪駆動車の駆動モードとしては、「スタンバイ2輪駆動モード」が無く、「ディスコネクト2輪駆動モード」と「コネクト4輪駆動モード」を有する例であっても良い。
実施例1では、駆動分岐位置に電制カップリング12を設け、駆動分岐位置よりも下流位置にドグクラッチ17を設ける例を示した。しかしながら、駆動分岐位置にドグクラッチ17を設け、駆動分岐位置よりも下流位置に電制カップリング12を設ける例であっても良い。
実施例1では、同期完了時間の推定を、締結可能回転数α1とドグクラッチ17の出力回転数の上昇特性(クラッチ差回転ΔN減少特性と回転同期判定閾値α)に基づいて推定する例を示した。しかしながら、同期完了時間は、リアプロペラシャフト3とフロントプロペラシャフト13との回転数及びフロントプロペラシャフト13の上昇特性や、電制カップリング12の締結トルク(締結力)や、不図示のクラッチ油温センサから取得される電制カップリング12等のクラッチの油温などの情報に基づいて推定する例であっても良い。
実施例1では、本発明のクラッチ制御装置を、駆動源としてエンジンが搭載された後輪駆動ベースの4輪駆動車(4WDエンジン車)に適用する例を示した。しかしながら、本発明のクラッチ制御装置は、主駆動輪を左右前輪とする前輪駆動ベースの4輪駆動車に対しても適用することができる。又、4WDエンジン車以外に駆動源としてエンジンとモータが搭載された4WDハイブリッド車、駆動源としてモータが搭載された4WD電気自動車に対しても勿論適用することができる。
1 エンジン(駆動源)
2 変速機
9 左後輪(主駆動輪)
10 右後輪(主駆動輪)
12 電制カップリング(駆動力配分摩擦クラッチ)
17 ドグクラッチ(噛み合いクラッチ)
17a 可動部材
20 左前輪(副駆動輪)
21 右前輪(副駆動輪)
34 4WDコントロールユニット(クラッチ制御手段、同期完了時間推定手段、締結指令タイミング推定手段)
48 ドグクラッチアクチュエータ(クラッチアクチュエータ)
60 電動モータ
70 カム変換機構
71 スプリング
72 カムリング
73 カムローラ73
74 チェックボール74

Claims (4)

  1. 左右前輪と左右後輪のうち、一方を駆動源に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源にクラッチを介して接続される副駆動輪とし、
    前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置と、前記駆動分岐位置よりも下流位置とのうち、一方の位置に駆動力配分摩擦クラッチを設け、他方の位置に噛み合いクラッチを設けた4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
    前記駆動力配分摩擦クラッチの締結/解放制御と前記噛み合いクラッチの締結/解放制御を行うクラッチ制御手段と、
    解放状態の前記噛み合いクラッチに対し締結要求があると、前記クラッチ制御手段により先に前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御を行い、該締結制御の開始から、前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転が回転同期判定閾値以下になるまでの同期完了時間を推定する同期完了時間推定手段と、
    前記同期完了時間と、前記クラッチ制御手段により前記噛み合いクラッチの締結指令をクラッチアクチュエータへ出力したときから前記噛み合いクラッチの締結が完了するまでに要する噛み合い締結動作時間と、に基づいて前記噛み合いクラッチへの締結指令タイミングを推定する締結指令タイミング推定手段と、を設け、
    前記クラッチ制御手段は、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御の開始後、前記噛み合いクラッチへの締結指令タイミングになると、前記噛み合いクラッチの締結指令を前記クラッチアクチュエータへ出力する
    ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。
  2. 請求項1に記載された4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
    前記締結指令タイミング推定手段は、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御の開始から前記締結指令タイミングになるまで、前記噛み合いクラッチへの締結指令タイミングを繰り返し推定すると共に、該締結指令タイミングの推定毎に該締結指令タイミングを更新する
    ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
    前記噛み合いクラッチは、一対の噛み合い部材からなり、一方を固定部材とし、他方を可動部材とし、
    前記クラッチアクチュエータは、前記クラッチ制御手段による噛み合いクラッチの締結指令に基づき回転する電動モータと、前記電動モータの回転動作を直線動作に変換して前記可動部材を前記固定部材に締結する締結方向へ移動するカム変換機構と、を有する
    ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
    前記4輪駆動車の駆動モードとして、前記噛み合いクラッチと前記駆動力配分摩擦クラッチを解放するディスコネクト2輪駆動モードと、前記噛み合いクラッチを締結し前記駆動力配分摩擦クラッチを解放するスタンバイ2輪駆動モードと、前記噛み合いクラッチと前記駆動力配分摩擦クラッチを締結するコネクト4輪駆動モードと、を有し、車両状態に応じて前記駆動モードの切り替え制御を行う駆動モード切替制御手段を備え、
    前記駆動モード切替制御手段は、前記ディスコネクト2輪駆動モードから前記スタンバイ2輪駆動モードへ切り替え遷移するとき、又は、前記ディスコネクト2輪駆動モードから前記コネクト4輪駆動モードへ切り替え遷移するとき、前記クラッチ制御手段に対して前記噛み合いクラッチの締結要求を出力する
    ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。
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