本発明に係る遊技機の実施形態について説明する。なお、遊技機の一種であるメダルを遊技媒体とする回胴式遊技機(以下、「スロット機」と称す)を一例として説明し、その後に変形例や他の種類の遊技機について説明する。
[具体的な構成]
本発明に係る具体的な形態について図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。以下において、遊技機としてメダルを遊技媒体とする回胴式遊技機の具体例を挙げて説明するが、それらの具体例には限定されず、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜に遊技機の設計は変更されてもよい。
〔実施形態1〕
実施形態1の遊技機について説明する。なお、以下においては、遊技機の構造的な構成と電気的な構成と各種の制御処理とについて順次に概説した後に、本実施形態の特徴部分について纏めて説明する。
(構造的な構成)
本実施形態1のスロット機の全体構造について説明する。図1は前面扉を閉じた閉鎖状態を表すスロット機の斜視図であり、図2は前面扉を開けた開放状態を表すスロット機の斜視図である。また、図3は前面扉の構成の一例を表す正面図であり、図4は筐体内部の構成の一例を表す模式的な正面図である。なお、図2及び図4において、各種の配線は省略されている。
本実施形態のスロット機100は、図1〜図6に示されたように、筐体101と、前面扉102と、図柄の変動表示を行う図柄表示変動ユニット103と、投入される現物メダルの受け入れや返還を行う投入メダル取扱装置104と、遊技者の持ちメダルとしてスロット機100に預入されているクレジットメダルの枚数を表示するクレジット数表示装置105と、クレジットメダルを賭けるベット操作装置106と、現物メダル又はクレジットメダルにより遊技者が賭けたベットメダルの枚数(以下、「ベット数」とも称す)を表示するベット数表示装置107と、クレジットメダルやベットメダルの精算を行わせるための精算操作装置108と、現物メダルの貯留及び放出を行うホッパ装置109と、クレジットメダルやベットメダルの精算時の精算報知やエラー発生時のエラー報知や遊技進行に伴う音系演出報知を行う音響装置110と、スロット機100の動作を統括的に制御する主制御基板301を有する主制御装置131及び入賞を補助するための報知や趣向性を向上させる演出を制御するサブ制御基板302を有するサブ制御装置と、外部電力に基づいて所定の電圧の内部電力を生成して供給する電源基板300を有する電源ユニット112とを備えている。更に、スロット機100は、図柄表示変動ユニット103における図柄変動を開始させるための変動開始操作装置113と、図柄変動を停止させるための変動停止操作装置114と、遊技者が単位遊技で獲得したメダル(以下、「獲得メダル」とも称す)の枚数を表示する獲得数表示装置115と、通常遊技状態と異なるビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態において残りゲーム数や獲得したメダルの総数等の遊技進行状況を表示する遊技進行表示装置116と、精算報知やエラー報知や遊技進行に伴う光系演出報知を行う発光装置117と、エラー報知や遊技進行に伴う表示系演出報知を行う補助表示装置118と、スロット機100を各種のエラー状態から復帰させるためのリセット操作装置119と、電源基板300への外部電力の供給を制御する電源操作装置(図示せず)と、確率設定の設定値の変更及び確認表示を許可するための設定操作許可装置122と、確率設定の設定値を表示する確率設定表示装置(図示せず)と、打ち止めに関する遊技形態を変更するための打ち止め変更操作装置(図示せず)と、自動精算に関する遊技設定を変更するための自動精算変更操作装置(図示せず)と、を備えている。以下、スロット機100を構成する要素について個別に説明する。
筐体101は、前面の開放された箱型形状であり、スロット機100の外殻を構成する。筐体101は、天板101a、底板101b、背板101c、左側板101d及び右側板101eからなり、それらが接着剤やネジ等によって接合されている。なお、遊技ホール等への設置の際には、筐体101と遊技ホール内のスロット機固定構造物(通称:「島装置」)とが釘やネジ等の固定部材によって固定される。
前面扉102は、筐体101の前面側に取り付けられており、筐体101に対して開閉可能である。前面扉102にはキーシリンダを備えた施錠装置132が設けられており、その施錠装置によって、前面扉102を筐体101に対して開閉できない施錠状態にできる。施錠装置132は、より具体的には、所定の操作キー(図示せず)が挿入されるキー挿入孔を有するキーシリンダ132a(図3参照)と所定の操作キーによる操作に連動して作動する施錠機構とを備えている。キーシリンダ132aのキー挿入孔の入口は、前面扉102の前面側に露出されている。キー挿入孔に所定の操作キーを挿入して所定の操作を施すことによって、施錠装置132が解錠状態となり前面扉102の開放が行えるようになる。一方、開放された前面扉102を閉じることによって、施錠装置132は自動的に施錠状態となる。なお、前面扉102を開閉可能に取り付ける機構や前面扉102を筐体101に対して施錠する機構は、他の構成であってもよい。また、スロット機100は筐体101と筐体101に対して開閉可能な前面扉102とを備える構成であるが、スロット機100の内部が露出できる構成であれば他の構成であってもよい。
前面扉102は、図1及び図2に示されたように、遊技者に遊技状態を報知するための遊技パネル151と、現物メダルを投入するためのメダル投入口152と、現物メダルを放出するメダル放出口153と、メダル放出口153から放出されたメダルを受け取る受け皿154と、機種名や遊技に関わるキャラクタ等が描かれたプレート155とを備えている。また、前面扉102には、音響装置110(図2参照)からの音響を外部に出力する音響出力口156と、補助表示装置118の表示を透視するための補助表示透視窓157とを備えている。また、前面扉102には、受け皿154の左方に手前側下方に反転自在な灰皿158が設けられている。
前面扉102の遊技パネル151は、図3に破線で示されたように、図柄表示変動ユニット103(図2参照)の前方に位置し、左リール171L、中リール171M及び右リール171Rを透視可能とする図柄透視部161を有している。遊技者は、図柄透視部161を通して、それぞれ、左リール171L、中リール171M及び右リール171Rの外表面に描かれた図柄の一部を視認できる。スロット機100では、図示しないが、左リール171L、中リール171M及び右リール171Rの各々に描かれた図柄のうち全体が視認できる図柄の個数は3個である。つまり、全てのリール(171L,171M,171R)が停止している状態において、遊技者は、9個(=3[図柄個数]×3[図柄透視窓数])の図柄の全体を視認できる。
前面扉102の遊技パネル151には、図3に一点鎖線で示されたように、各種の組合せラインL1〜L5が形成されている。各組合せラインL1〜L5は、遊技パネル151の表面において左リール171L、中リール171M及び右リール171Rの前方に亘って描かれており、水平方向に沿って平行である中段の組合せライン(以下、「中段ライン」と略記する)L1、上段の組合せライン(以下、「上段ライン」と略記する)L2及び下段の組合せライン(以下、「下段ライン」と略記する)L3と、斜め方向に沿った右下がりの組合せライン(以下、「右下がりライン」と略記する)L4と、斜め方向に沿った右上がりの組合せライン(以下、「右上がりライン」と略記する)L5とで構成されている。本実施形態では、組合せライン数が5本である場合について説明したが、本発明において、組合せライン数は、4本以下又は6本以上であってもよい。
また、遊技パネル151を通して、クレジット数表示装置105、遊技進行表示装置116及び獲得数表示装置115による表示が視認される。
図柄表示変動ユニット103は、筐体101に固定されており、図2又は図4に示されたように、左リール171Lを含む左リール装置170Lと、中リール171Mを含む中リール装置170Mと、右リール171Rを含む右リール装置170Rとを備えている。各リール装置170L,170M,170Rは、上部固定板及び下部固定板によって一体化されている。各リール171L,171M,171Rは円筒形状であり、その中心軸を回転軸として回転できるように支持されている。左リール171L、中リール171M及び右リール171Rは、それらの全ての回転軸が略水平方向に延びる同一線上に位置するように、水平方向に並べて配置されている。左リール171L、中リール171M及び右リール171Rの各々は、互いに独立して回転できる。
ここで、各リール装置170L,170M,170Rの構造について説明する。なお、左リール装置170L、中リール装置170M及び右リール装置170Rは、実質的に同一の構造であるために、左リール装置170Lの構造についてのみ詳細に説明する。図5(a)〜図5(c)において、無端状の図柄ベルト175L,175M,175Rが、平面状に展開された状態で示されている。なお、図5(a)〜図5(c)において、説明の便宜上、各図柄ベルト175L,175M,175Rの左側には、図柄ごとに1〜21までの配列番号を付している。
左リール装置170Lは、左リール171Lと、左リール171Lを回転させる左ステッピングモータを含むリール駆動装置と、左リール171Lに固定された基準点(以下において、「リール基準点」とも称す)を検出するリールインデックスセンサと、左リール171Lに固定された光遮断板(センサカット板)とを備えている。光遮断板の配置された位置がリール基準点の位置に相当する。
左リール171Lは、外周が円形であるかご状のリール骨格と、リール骨格の外周上に巻きつけられた無端状の左図柄ベルト175L(図5(a)参照)と、リール骨格の中心に形成されたボス部にねじ等によって取り付けられた円盤形状のボス補強板とを備える。左リール171Lの外周面となる左図柄ベルト175Lの表面には、図5(a)に示されたように、識別情報としての複数種類の図柄が、印刷等によって複数個(本実施形態では21個)描かれている。左図柄ベルト175Lは、その左右両側に長手方向に沿って形成された一対のシール部がリール骨格に貼付されることによって、リール骨格に無端状に巻きつけられた状態を維持する。なお、図柄の種類等に関しては、別途に、図5(a)〜図5(c)を参照して詳細に説明する。
左リール171Lを回転駆動する左ステッピングモータは、その回転軸が水平方向となるように、ネジ等によって支持プレートに取り付けられている。左ステッピングモータの回転軸は、ボス補強板に接続されており、左ステッピングモータの回転軸の回転に連動して左リールが回転する。これによって、左図柄ベルト175Lが円周面に沿って周回する。左ステッピングモータは、所定数のパルス信号(励磁信号又は励磁パルスとも言われ、)を受信することによって、左ステッピングモータの回転軸を1回転させる。本実施形態のように、左図柄ベルト175Lがその長辺方向(周回方向)に等間隔に配列させた21個の図柄を含む場合、左ステッピングモータの回転軸を「21」の整数倍である504個のパルス信号の送信によって一回転させる。この場合、任意の図柄から次の図柄へ切り替えるために必要なパルス数は24パルス(=504[パルス信号数]÷21[図柄])である。このパルス信号の受信回数によって左ステッピングモータの回転軸の回転角度、つまり、左リール171Lの相対的な回転角度が特定される。なお、以下においては、左ステッピングモータを駆動するためのパルス信号を「駆動信号」とも称する。
リールインデックスセンサは、一対の発光素子及び受光素子を備えている。発光素子と受光素子とは、所定の間隔を隔てて左リール171Lの半径方向に並ぶように、支持プレートに固定されている。発光素子が検査光を放出し、受光素子が発光素子からの検査光を受光する。光遮断板は、左リールのボス補強板に固定された基端部と、基端部に対して略直角に屈曲した先端部とを有しており、左リール171Lの回転に伴って周回する。先端部は、左リール171Lが一回転するごとに、発光素子と受光素子との間隙を通過するように配置されており、その間隙を通過する際に、発光素子から受光素子への検査光を遮断する。この先端部の通過による検査光の遮断を検出することによって、筐体101に固定された受光素子の位置(以下において、「固定基準点」とも称す)と左リール171Lに固定された先端部の回転位置とが同一でること、つまり、固定基準点の位置とリール基準点の回転位置とが同一であることを検知できる。リール基準点検出装置からは、検査光の遮断が検出されるごとに、位置検出信号が主制御基板301に送信される。これによって、主制御基板301では、この位置検出信号の検知に基づいて、リール基準点が固定基準点を通過したことを確認できる。
リール基準点の回転位置は、リール基準点が固定基準点を通過したことの検出と、固定基準点に対するリール基準点との相対的な回転角度の特定とによって決定される。つまり、リール基準点の絶対的な回転位置は、リール基準点検出装置からの位置検出信号を受信した後にリール駆動装置に送信されたパルス信号の個数によって特定できる。したがって、主制御基板301は、位置検出信号が入力された時点からのパルス信号の送信数を計測することによって、リール基準点に位置する基準図柄から何番目の図柄が固定基準点を通過しているかを特定でき、また、固定基準点に所定の図柄を停止させるためには左ステッピングモータにパルス信号を更に何回送信すればよいかを決定できる。これによって、左リール171Lにおける所定の図柄を目的の位置に正確に停止させることができる。
上記においては、左リール171Lについて説明したが、中リール171M及び右リール171Rの各々についても左リール171と実質的に同一である。本実施形態では、各リール171L,171M,171Rにおいて各図柄ベルト175L,175M,175Rが無端状に貼付された円筒形状のリール骨格を回転させる構成であるが、無端状の図柄ベルトを周回させることができる構成であれば他の構成であってもよい。
ここで、左リール171Lの左図柄ベルト175L、中リール171Mの中図柄ベルト175M及び右リール171Rの右図柄ベルト175Rの各々に描かれる図柄について、図5(a)〜図5(c)を参照しながら説明する。図5(a)〜図5(c)に示されたように、左図柄ベルト175L、中図柄ベルト175M及び右図柄ベルト175Rの各々には、「赤7」図柄(例えば、左図柄ベルト175Lにおける第11番の図柄)と、「青7」図柄(例えば、左図柄ベルト175Lにおける第18番の図柄)と、「黄7」図柄(例えば、左図柄ベルト175Lにおける第4番の図柄)と、「リプレイ」図柄(例えば、左図柄ベルト175Lにおける第10番の図柄)と、「スイカ」図柄(例えば、左図柄ベルト175Lにおける第7番の図柄)と、「ベル」図柄(例えば、左図柄ベルト175Lにおける第2番の図柄)と、が含まれている。また、左図柄ベルト175Lには、「赤チェリー」図柄(第1番の図柄)と、「青チェリー」図柄(第8番の図柄)と、「黄チェリー」図柄(第15番の図柄)とが含まれ、中図柄ベルト175M及び右図柄ベルト175Rには、「チェリー」図柄(例えば、中図柄ベルト175Mにおける第4番の図柄)が含まれている。本実施形態においては、左図柄ベルト175L、中図柄ベルト175M及び右図柄ベルト175Rの各々における図柄数が21個である場合を例示したが、図柄数は20個以下であってもよいし、22個以上であってもよい。
本実施形態では、「赤7」図柄のみを含む3つの図柄の組合せ又は「青7」図柄のみを含む3つの図柄の組合せがいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(ビッグボーナス役の入賞)には、ビッグボーナス遊技状態に移行する。また、「黄7」図柄のみを含む3つの図柄の組合せがいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(レギュラーボーナス役の入賞)にレギュラーボーナス遊技状態に移行する。また、「リプレイ」図柄のみを含む3つの図柄の組合せがいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(通常リプレイ役の入賞)や少なくとも1つの「リプレイ」図柄及び少なくとも1つの「ベル図柄」を含み、かつ「リプレイ」図柄と「ベル図柄」のみを含む図柄の組合せがいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(特殊リプレイ役の入賞)には、再遊技状態に移行する。また、「スイカ」図柄のみを含む図柄の組合せがいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(スイカ役の入賞)、「ベル」図柄がいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(通常ベル役の入賞)、「ベル」図柄がいずれかの中段組合せラインに沿って確定表示された場合(特殊ベル役の入賞)、「赤7」図柄、「青7」図柄又は「黄7」図柄と「ベル」図柄と「ベル」図柄をこの順序で含む図柄の組合せがいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(3択ベル役の入賞)、「赤チェリー」図柄、「青チェリー」図柄又は図柄「赤チェリー」図柄を含む図柄の組合せがいずれかの有効ラインに沿って確定表示された場合(3択チェリー役の入賞)には、それぞれ所定の枚数のメダルが払い出される。
本実施形態では、通常リプレイ役、特殊リプレイ役、通常ベル役及び特殊ベル役は、完全入賞役である。通常リプレイ役、特殊リプレイ役、通常ベル役及び特殊ベル役を構成する各図柄は、一般的なスロット機における最大5図柄未満のスベリ停止制御によっていずれかの有効ラインに停止させることができるように、左図柄ベルト175L、中図柄ベルト175M及び右図柄ベルト175Rの全てにおいて少なくとも4図柄以下の間隔で配置されており、また、そのように停止制御される。なお、2種類の完全入賞役に同時当選した場合には、それらのいずれか1種類が入賞する。一方、ビッグボーナス役、レギュラーボーナス役、スイカ役、3択ベル役及び3択チェリー役は、非完全入賞役である。
スロット機100においては、現物メダルを用いた遊技モードと現物メダル及びクレジットメダルを併用した遊技モードとが選択的に行える。この選択は遊技者によって行われる。以下においては、現物メダルのみを用いる遊技モードを「ダイレクトモード」と称し、現物メダル及びクレジットメダルを併用する遊技モードを「クレジットモード」と称する。ダイレクトモードのときには、最大規定数を超えて投入される余剰のメダルは返還され、入賞時に獲得するメダルは現物メダルで払い出される。一方、クレジットモードのときには、最大規定数を超えて投入される余剰のメダルや入賞時に獲得するメダルは、クレジット数が最大クレジット数(本実施形態では50枚)に到達するまでクレジットメダルとして預入され、クレジット数が最大クレジット数に到達した場合には、クレジットメダルとして預入できなかった枚数分だけ投入されたメダルの返還や現物メダルでの払い出しが行われる。
精算操作装置108(図6参照)、遊技者によって操作される精算スイッチを備えている。精算スイッチは、前面扉102の前面側に露出するように設けられており、クレジットモードにおいて精算スイッチが操作されると、メダルの精算が行われる。本実施形態では、メダルの精算においてクレジット数と同数の現物メダル及びベット数と同数の現物メダルがホッパ装置109(図2参照)から排出される。また、クレジットメダルの精算と共に、遊技モードがダイレクトモードに変更される。本実施形態では、精算操作装置108が、ダイレクトモードとクレジットモードとを選択するモード切換装置を兼務している。具体的には、精算スイッチが1つの操作ボタンを有する一点接触式のボタンスイッチであり、操作ボタンの押下に応じてダイレクトモードとクレジットモードとが交互に選択される。本実施形態では、精算操作装置108に遊技モードの切換機能を兼務させたが、モード切換操作装置を別途に設けてもよい。また、本実施形態では、遊技モードはダイレクトモード又はクレジットモードであるが、本発明においては、遊技モードがクレジットモードのみであってもよい。
クレジット数表示装置105(図6参照)は、クレジットモードが選択されている場合に、遊技者の持ちメダルとしてスロット機100の内部に預入されたクレジットメダルの枚数(クレジット数)を表示する。クレジット数表示装置105は、前面扉102の裏面側に設けられており、遊技者は、遊技パネル151を通してクレジット数表示装置105の表示内容を視認できる。クレジットモードが選択されている場合には、クレジットメダルが有ればその枚数が表示され、また、クレジットメダルが無くても「0」が表示される。一方、ダイレクトモードが選択されている場合には、クレジット数表示装置105はオフ状態(消灯状態)であり、いかなる表示も行わない。したがって、クレジット数表示装置105の表示状態がオン状態及びオフ状態のいずれであるかによって、遊技者は、現在の遊技モードがダイレクトモード及びクレジットモードのいずれであるかを識別できる。本実施形態においては、クレジット数表示装置105による表示は2つの7セグメント表示器を用いて行われるが、液晶表示装置等の他の表示装置によって行われる構成であってもよい。また、本実施形態においては、クレジット数表示装置105を備えるが、補助表示装置118等にクレジット数を表示させクレジット数表示装置を個別には備えない構成であってもよい。
投入メダル取扱装置104は、図2に示されたように、前面扉102の裏面側に設けられており、前面扉102のメダル投入口152(図1及び図3参照)から投入された現物メダルが通過するセレクタ190と、セレクタ190からホッパ装置109に通じる貯留用通路を形成する通路部材と、セレクタ190からメダル放出口153(図3参照)に通じる放出用通路を形成する通路部材と、貯留用通路を介してセレクタ190からホッパ装置109に導かれる現物メダルの通過を検出する投入メダル検出装置203(図6参照)とを備える。なお、投入メダル検出装置203は、セレクタ190の内部に設けられている。なお、通路部材には、セレクタ190からメダル放出口153に至るまでの途中に、ホッパ装置109から放出されるメダルを取り込むメダル取込口が形成されている。
セレクタ190は、メダルの受付状態に応じて、投入される現物メダルを貯留用通路及び放出用通路のいずれかに振り分ける。具体的には、メダルの受付状態が許可状態である場合(以下、「受付許可状態」とも称す)には、投入される現物メダルを貯留用通路に導き、メダルの受付状態が禁止状態である場合(以下、「受付禁止状態」)には、投入される現物メダルを放出用通路に導く。受付禁止状態としては、例えば、図柄表示が変動している場合、再遊技に当選している場合、ダイレクトモードにおいて別途数が最大規定数である場合、クレジットモードにおいてベット数が最大規定数でクレジット数が最大クレジット数である場合、メダルの精算中である場合が挙げられる。セレクタ190から貯留用通路に導かれた現物メダルは、最終的に、ホッパ装置109へ導かれ、ホッパ装置109に貯留される。一方、セレクタ190から放出用通路に導かれた現物メダルは、最終的に、メダル放出口153を通して受け皿154に導かれる。
メダルの受付許可状態において、メダル投入口152から3枚のメダルを投入すれば、遊技モードに関わらず単位遊技においてベットできるメダルの最大枚数(以下、「最大規定数」とも称す)のベットが完了する。ダイレクトモードの場合には、最大規定数を超える余剰のメダルが投入されれば、セレクタ190が余剰のメダルを放出用通路へ導くことによって、余剰のメダルは前面扉102のメダル放出口153から受け皿154へ返還される。一方、クレジットモードの場合には、最大規定数を越える余剰のメダルが投入されれば、最大クレジット数(本実施形態では50枚)を超えるまではセレクタ190が余剰のメダルを貯留用通路へ導くことによって余剰のメダルはクレジットメダルとして預入され、クレジット数が預入された余剰のメダル数だけ増加する。なお、クレジット数が最大クレジット数に到達した場合には、セレクタ190が投入されたメダルを放出用通路へ導くこととなり、最大クレジット数を超える余剰のメダルは返還される。なお、クレジットモードの場合には、メダルのベットを以下のようにベット操作装置106(図6参照)を用いても行うことができる。
ベット操作装置106(図6参照)は、図1又は図3に示されたように、ベット操作部213を備えており、クレジットメダルを用いてメダルをベットする際に遊技者によって操作される。ベット操作部213は、遊技者によって操作されるベットスイッチと、ベットスイッチの内部に設けられたベットランプとを備えている。ベットスイッチは、前面扉102の前面側に露出するように設けられたボタンスイッチである。ベット操作部213は、ベットスイッチの操作に応じてベット信号を生成する。ベットスイッチが操作されると、クレジット数が最大規定数だけ減少して、上段ラインL2、下段ラインL3、右下がりラインL4及び右上がりラインL5が有効化される。以下において、メダルのベットによって有効化された組合せラインを「有効ライン」とも称する。ベット操作部213のLEDランプは、ベットスイッチが有効に操作できる状態であってベット数が最大規定数に達していない場合に点灯する。なお、ベットスイッチが有効に操作できない場合としては、例えば、クレジット数が最大規定数未満である場合、既に最大規定数のメダルがベットされている場合、図柄表示変動ユニット103における図柄表示が変動している場合及び再遊技図柄が入賞した次の遊技の場合等が挙げられ、このような場合には、ベット操作部213のLEDランプは消灯している。なお、本実施形態では、単位遊技において最大規定数は3枚であるが、本発明においては、最大規定数は2以下又は4以上であってもよく、また、有効ライン数の最大値は、遊技状態に応じて変更されてもよい。
ベット数表示装置107(図6参照)は、遊技パネル151の裏面側に設けられており、1枚のメダルがベットされている場合を表す1ベット表示ランプ(図示せず)と、2枚のメダルがベットされている場合を表す2ベット表示ランプ(図示せず)と、3枚のメダルがベットされている場合を表す3ベット表示ランプ(図示せず)とを備えており、遊技者は、遊技パネル151を通して簡便にメダルのベット数を視認できる。
変動開始操作装置113は、図柄表示変動ユニット103(図2参照)における図柄変動を開始させるための装置であって、遊技者によって操作されるスタートスイッチを備えている。スタートスイッチは、前面扉102から前面側に突出するように設けられたレバースイッチである。変動開始操作装置113は、スタートスイッチの操作に応じて変動開始信号を生成する。スタートスイッチの操作に応じて、左リール171L、中リール171M及び右リール171Rは一括して(同時である必要はない)回転を開始する。これによって、図柄表示変動ユニット103(図2参照)における図柄変動が開始される。変動開始操作装置113は、スタートスイッチを所定の位置に復帰させる付勢部材(図示せず)を更に備えており、スタートスイッチは、遊技者によって操作されても自動的に所定の状態に復帰する。
変動停止操作装置114は、図柄表示変動ユニット103(図2参照)における図柄変動を停止させるための装置であって、左リール171Lを停止させるための左リール停止操作部231と、中リール171Mを停止させるための中リール停止操作部232と、右リール171Rを停止させるための右リール停止操作部233とを備えている。左リール停止操作部231は、遊技者によって操作される左ストップスイッチを有しており、左ストップスイッチは、前面扉102の前面側に露出するように設けられたボタンスイッチである。中リール停止操作部232及び右リール停止操作部233は、左リール停止操作部231の場合と同様に、それぞれ、中ストップスイッチ及び右ストップスイッチを備えている。左ストップスイッチ、中ストップスイッチ及び右ストップスイッチは、それぞれ、左リール171L、中リール171M及び右リール171Rの配置箇所に対応するように配置されている。変動停止操作装置114の各リール停止操作部231,232,233は、各ストップスイッチに対応するLEDランプを更に備えており、LEDランプは点灯によって有効に操作できる状態であることを報知する。本実施形態では、各ストップスイッチはボタンスイッチであるが、レバースイッチ等の機械的スイッチやタッチパネル等のセンサスイッチであってもよい。
ホッパ装置109は、図2又は図4に示されたように、現物メダルを貯留する貯留タンク241と、貯留タンク241のメダルを入賞時やクレジットメダルの精算時に放出する放出装置242とを備えている。貯留タンク241は、メダル投入口152(図1及び図3参照)から投入され、セレクタ190によって貯留用通路に導かれたメダルを貯留する。貯留タンク241には誘導プレートが設けられており、誘導プレートの高さ以上に貯留タンク241にメダルが誘導されてきた場合には、誘導プレートを介して予備タンクへメダルが排出される。なお、予備タンクに貯留されたメダルは、前面扉102を開放することによって人為的に取り出される。放出装置242は、メダル放出板と、メダル放出板を駆動する駆動モータと、メダルの放出を検出する放出メダル検出センサを含む放出メダル検出装置247(図6参照)とを備えている。駆動モータでメダル放出板を回転させることによって、貯留タンク241に貯留されたメダルが放出される。放出メダル検出装置247は、放出メダル検出センサによって現物メダルの放出を検知して、放出メダル検出信号を生成する。放出装置から放出された現物メダルは、放出メダル検出センサで検知された後に、放出用通路を構成する通路部材に設けられた受入口に誘導され、最終的に、前面扉102のメダル放出口153から受け皿154に放出される。
発光装置117は、図1及び図3に示されたように、前面扉102の前面側の上部に設けられた上部ランプを備えており、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする。発光装置117は、遊技の光演出を行ったり、遊技状態を報知したり、エラーの発生やクレジットメダルの精算を報知したりする。なお、発光装置117を構成するランプの位置や数は特に以上で説明したものに限られない。
音響装置110は、図4に示されたように、前面扉102の音響出力口156(図1及び図3参照)の位置に対応させて前面扉102の裏面側に設けられた左右一対のスピーカを備えている。音響装置110は、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技状態やエラーの発生やメダルの精算を報知したりする。音響装置110は、音響を可変音量で出力できる。なお、本発明においては、音響装置110を構成するスピーカの位置や数は特に以上説明したものに限られない。
補助表示装置118は、図6に示されたように、前面扉102の補助表示透視窓157(図1及び図3参照)の位置に対応して前面扉102の裏面側に設けられている。補助表示装置118は、遊技の進行に伴う表示演出を行ったり、遊技者や管理者に各種情報を報知したりする。本実施形態では、補助表示装置118として液晶表示装置を備え、表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を図っている。なお、本発明においては、補助表示装置は、ドットマトリックス表示装置、画像の描かれたリール型表示装置等の他の表示装置であってもよい。
筐体101の内部においてホッパ装置109の左方に配置された電源ユニット112は、電源基板300(図6参照)と、リセット操作装置119(図6参照)と、電源操作装置121(図示せず)と、設定操作許可装置122(図6参照)と、打ち止め設定操作装置(図示せず)と、自動精算設定操作装置(図示せず)とを含んでいる。
電源基板300は、電源ユニット112の内部に配置されており、電源基板300は、外部電力に基づいて所定の電圧の内部電力を生成して、その内部電力を主制御基板301やサブ制御基板302等の各種装置に供給する。なお、電源基板300については、電気的な構成の説明において再度詳細に説明する。
リセット操作装置119は、電源ユニット112の表面に露出するように設けられたリセットスイッチ(明示せず)を備えており、リセットスイッチの操作に応じて、リセット信号を生成し、各種のエラー状態をリセットすることとなる。
電源操作装置121は、電源ユニット112の表面に露出するように設けられた電源スイッチ(明示せず)を備えており、電源スイッチの操作によって電源基板300へ外部電力を供給するか否かを制御できる。
設定操作許可装置122は、電源ユニット112の表面に露出するように設けられた設定キースイッチを備えており、設定キーによる操作に応じて設定許可信号を生成する。設定操作許可装置は、ホール管理者等がメダルの出玉率(機械割)の調整を行う際に、その調整操作を許可するための装置である。ホール管理者等は、設定キーを設定キースイッチに挿入して操作することにより、スロット機100の確率設定(当選確率設定処理)の変更や再設定や確認表示ができるようになる。なお、確率設定の変更においては、リセット操作装置119のリセットスイッチ及び変動開始操作装置113のスタートスイッチが援用される。
打ち止め設定操作装置(図示せず)は、電源ユニット112の表面に露出するように設けられた打ち止めスイッチを備えており、打ち止めスイッチによって打ち止め状態に設定されている場合に打ち止め信号を生成する。打ち止めスイッチは、ホール管理者等によって操作され、ビッグボーナスの終了後にスロット機100の動作を自動的に停止させるか否かを選択するスイッチである。打ち止めスイッチがオン状態であり、かつ遊技モードがクレジットモードである場合には、ビッグボーナスの終了後に、クレジットメダルが遊技者の意思に関わらず自動的に精算されると共に遊技が続行できなくなり、リセットスイッチによるリセット操作が行われるまで遊技のできない状態が継続される。一方、打ち止めスイッチがオフ状態である場合には、ビッグボーナスの終了後に、クレジットメダルは自動的に精算されず、遊技も続行できる。
自動精算設定操作装置(図示せず)は、電源ユニット112の表面に露出するように設けられた自動精算スイッチ(図示せず)を備えており、自動精算スイッチによって自動精算状態が選択されている場合に自動精算信号を生成する。自動精算スイッチは、管理者によって操作され、ビッグボーナスの終了後にクレジットメダルを自動的に精算するか否かを選択するスイッチである。自動精算スイッチがオン状態であり、かつ遊技モードがクレジットモードである場合には、ビッグボーナスの終了後にクレジットメダルが遊技者の意思に関わらず自動的に精算される。一方、自動精算スイッチがオフ状態である場合には、ビッグボーナスの終了後における自動的なクレジットメダルの精算は行われない。なお、上記の打ち止めスイッチがオフ状態であっても自動精算スイッチがオン状態であれば、ビッグボーナスの終了後にはクレジットメダルは自動的に精算される。
スロット機100は、制御装置として、遊技進行を統括的に制御する主制御基板301(図4及び図6参照)を内包した主制御装置141(図2及び図4参照)と、主制御基板301による遊技進行の制御を補助するサブ制御基板302(図6参照)を内包したサブ制御装置142(図2参照)とを備えている。
主制御装置141は、図4に示されたように、筐体101の背板101cに取り付けられており、図柄表示変動ユニット103の上方に位置する。主制御基板301は、各種の演算を行うCPU311、遊技プログラムを記憶したROM312及び遊技の進行に応じて必要なデータを一時的に記憶するRAM313を有するMPU310と、各種機器との連絡をとる入出力ポートと、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含んでいる。主制御基板301は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスペースとそのボックスベースの開ロ部を覆うボックスカバーとを備えており、ボックスベースとボックスカバーとが封印ユニットで開封不能に連結されることによって封印されている。
サブ制御装置142は、図2に示されたように、前面扉102の裏面側に固定されており、補助表示装置118の背面に位置している。サブ制御基板302は、主に、発光装置117や音響装置110、補助表示装置118の動作を制御する。サブ制御基板302は、主制御基板301と同様に、MPUと、各種機器との連絡をとる入出力ポートと、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等(図示せず)を含んでいる。MPUのROMには、発光装置117、補助表示装置118及び音響装置110等を制御する制御プログラム、発光装置117の制御に用いる発光パターンデータ、音響装置110の制御に用いる音量データや音声パターンデータ及び補助表示装置118の制御に用いる表示パターンデータ等が記録されている。
本実施形態のスロット機100の電気的な構成について説明する。図6は、スロット機100の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
スロット機100は、図6に示されたように、電源基板300と、主制御基板301と、サブ制御基板302とを備える。電源基板300は、主制御基板301、サブ制御基板302、発光装置117、音響装置110、補助表示装置118等に所定の内部電力を供給する。主制御基板301は、スロット機100の主たる遊技性の決定や遊技媒体の投入時の制御やメダルの払い出しの制御等を行う。サブ制御基板302は、主に、主制御基板301からの各種コマンドに基づいて、発光装置117、音響装置110、補助表示装置118等の制御を行う。以下、各装置について詳述する。
電源基板300は、電源回路300aと、停電監視回路300bとを備えている。電源回路300aは、外部電力に基づいて少なくとも1種類の所定の電圧の内部電力を生成する。例えば、電源回路300aにおいて、交流24ボルトの外部電力から直流12ボルトの機器系の安定化駆動電力及び直流5ボルトの制御系の安定化駆動電力が生成される。なお、上述の電源操作装置がオン状態の場合には、外部電力が電源基板300に供給されるが、電源操作装置がオフ状態の場合には、外部電力は電源基板300に供給されない。
停電監視回路300bは、電源回路300aからの機器系の安定化駆動電力を監視し、機器系の駆動電圧が所定の電圧(本実施形態では10ボルト)未満まで低下した状態(以下、「停電状態」とも称する)である場合には停電信号を生成する。停電状態としては、例えば、外部電力自体の供給停止、外部電力自体の電圧不足及び外部電力自体の電流不足等による外部電力の異常状態、電源操作装置121のオフ状態に起因して電源基板300への外部電力の供給が遮断されている内部遮断状態、電源基板300には正常な外部電力が供給されているが電源基板300の故障等によって機器系の駆動電圧が低下している状態が挙げられる。なお、停電信号は、主制御基板301に対しては停電監視回路300bから直接入力されるが、サブ制御基板302に対しては、主制御基板301を介して間接的に入力される。主制御基板301のMPU310ではこの停電信号を受信することにより後述する停電時処理が実行され、サブ制御基板302のMPUにおいても主制御基板301からの停電情報を随時に確認して停電に関する処理を行っている。
電源回路300aは、バックアップ回路(図示せず)を備えており、停電状態になった場合でも、バックアップ回路から制御系の安定化駆動電力として使用される5ボルトの電力(以下、「バックアップ電力」とも称する)が出力されるように構成されている。このバックアップ電力が出力される時間として、主制御基板301におけるバックアップ処理(S203:図8参照)及びサブ制御基板302におけるバックアップ処理(S2210:図22参照)を実行するのに十分な時間が確保されている。
主制御基板301は、CPU(中央演算処理装置)311、ROM312及びRAM313を備えたMPU(マイクロプロセッシングユニット)310を備えている。ROM312は、CPU311によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶し、RAM313は、CPU311がROM312内に記憶されている各種の制御プログラムを実行するために必要な各種のデータを一時的に記憶する。主制御基板301には、図示はしないが、更に、割込み回路、カウンタ回路、タイマ回路、データ送受信回路等の各種の処理回路を備えている。また、MPU310には、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路(図示せず)や、入出力ポート314などが内部バスを介して接続されている。
RAM313は、各種のデータ等を一時的に記憶するための作業領域の他にバックアップ領域を備えており、停電状態においても電源回路300aから供給されるバックアップ電力によって少なくともバックアップ領域に記録された情報を保持できる構成となっている。バックアップ領域には、少なくとも後述するRAM判定値としてのチェックサム値の補数が記録されるが、停電発生時におけるスタックポインタの値や、各レジスタの値、I/Oの値等の情報が記録される構成としても良い。復電時には、バックアップ領域に保持された情報に基づいてスロット機100の状態が停電発生前の状態に復帰できるようになっている。バックアップ領域ヘの書き込みはバックアップ処理(S203:図8参照)によって停電発生時に実行され、バックアップ領域に書き込まれた各値の復帰は復電時のメイン処理(S410:図11参照)において実行される。なお、MPU310のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電時に、停電監視回路300bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電の発生に伴う停電フラグを設定する停電割込み処理が即座に実行される。
主制御基板301の入力側には、各種のセンサを備えた装置や各種のスイッチを備えた装置が電気的に接続されており、これらの装置から出力される各種のセンサの検出状態や各種のスイッチ状態に応じた出力信号は、入出力ポート314を介してMPU310へ入力される。入出力ポート314に接続される装置としては、例えば、変動開始操作装置113、変動停止操作装置114、投入メダル検出装置203、ベット操作装置106と、精算操作装置108と、ステッピングモータやリールインデックスセンサを含むリール装置170L,170M,170Rと、放出メダル検出装置247、リセット操作装置119と、設定操作許可装置122とが挙げられる。
主制御基板301に入力される信号としては、例えば、投入メダル取扱装置104の投入メダル検出装置203からの上流メダル検出信号及び下流メダル検出信号、ベット操作装置106からの1ベット信号、2ベット信号及び最大ベット信号、精算操作装置108からの精算信号、変動開始操作装置113からの変動開始信号、変動停止操作装置114からの左停止信号、中停止信号及び右停止信号、左リール装置170L等の各種のリール装置からの位置検出信号、リセット操作装置119からのリセット信号、設定操作許可装置122からの設定表示信号及び設定変更信号、打ち止め変更操作装置からの打ち止め信号、放出メダル検出装置247からの放出メダル検出信号が挙げられる。
主制御基板301の出力側には、各種の表示装置や各種の駆動装置や各種の制御装置等が電気的に接続されており、これらの装置に対する制御信号は、入出力ポート314を介して出力される。クレジット数表示装置105、ベット数表示装置107、ホッパ装置109、獲得数表示装置115、遊技進行表示装置116、各種のリール装置(170L,171M,170R)のリール駆動装置、セレクタ190の経路切換部193、サブ制御基板302、ホール管理装置等の外部装置に情報を送信する外部集中端子板126等が入出力ポート314を介して接続されている。
主制御基板301から出力される信号としては、クレジット数表示装置105へのクレジット数表示信号、ホッパ装置109への放出制御信号、獲得数表示装置115への獲得数表示信号、遊技進行表示装置116への遊技進行表示信号、ベット数表示装置107へのベット表示信号、各種リール装置170のリール駆動装置(左ステッピングモータ等)への駆動信号(パルス信号)が挙げられる。
サブ制御基板302は、主制御基板301と同様に、CPU、ROM、RAM等が一体化されたMPU(図示せず)と、割込み回路、カウンタ回路、タイマ回路、データ送受信回路等の各種の処理回路(図示せず)を備えている。また、MPUには、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路(図示せず)や、入出力ポートなどが内部バスを介して接続されている。サブ制御基板302は、主制御基板301からのコマンドに基づいて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118を制御する。なお、サブ制御基板302は、遊技を統括管理する主制御基板301との関係では、主制御基板301に対して補助的な制御を実行する。サブ制御基板302が、入賞を補助するための報知、遊技進行に伴う演出等に関与する音響装置110、発光装置117、補助表示装置118等に対する実質的な制御を行うことによって、主制御基板301の処理負担を軽減している。
主制御基板301内のMPU310により実行される制御処理について説明する。MPU310の制御処理は、外部電力の供給再開や電源スイッチのオン操作等による復電に伴って起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。なお、割込み処理としては、NMI端子における停電信号の受信に応じて割込みをかける停電割込み処理と、タイマによる時間計測によって定期的に割込みをかけるタイマ割込み処理とがある。
まず、停電割込み処理について説明する。図7は、主制御基板301における停電割込み処理の一例を表すフローチャートである。停電状態が発生した場合、電源基板300の停電監視回路300bで停電信号が生成され、主制御基板301に対して出力される。主制御基板301においては、MPU310のNMI端子が停電信号を受信し、停電信号の受信に応じて停電フラグを設定する割込み処理(以下、「停電割込み処理」と称する)が実行される。
停電割込み処理においては、まず、MPU310において使用しているレジスタのデータをRAM313内のバックアップ領域に退避させる(レジスタ退避処理S101)。レジスタ退避処理S101の後に、停電フラグが設定される(停電フラグ設定処理S102)。停電フラグは、RAM313内の特定のエリア(停電フラグ格納エリア)に保持され、停電状態の発生を表す情報である。停電フラグ設定処理S102後に、レジスタ退避処理S101においてRAM313のバックアップ領域に退避させたレジスタのデータをMPU310のレジスタに復帰させる(レジスタ復帰処理S103)。レジスタ復帰処理S103の完了によって停電割込み処理が終了する。なお、MPU310の使用中のレジスタのデータを破壊せずに停電フラグ設定処理S102が行える場合には、レジスタ退避処理S101及びレジスタ復帰処理S103を省くことができる。
次に、タイマ割込み処理について説明する。図8は、主制御基板301におけるタイマ割り込み処理を表すフローチャートである。主制御基板301においては、定期的にタイマ割込み処理が行われる。本実施形態においては、タイマ割込み処理は、実質的に1.49ms[ミリ秒]の周期で行われる。
タイマ割込み処理において、まず、MPU310内において後述するメイン処理(図11参照)における通常処理で使用している全てのレジスタの値が、RAM313のバックアップ領域に格納される(レジスタ退避処理S201)。レジスタ退避処理S201の後に、停電フラグが設定されているか否かが確認される(S202)。停電フラグが設定されている場合には、バックアップ処理S203が実行される。
ここで、バックアップ処理S203について詳細に説明する。図9は、主制御基板301におけるタイマ割込み処理内で実行されるバックアップ処理を表すフローチャートである。
バックアップ処理S203では、図9に示されたように、まず、リングバッファに蓄積されている各種のコマンドの送信が終了しているか否かが判定される(S301)。それらのコマンドの送信が終了していない場合には、バックアップ処理が一旦終了されて、制御がタイマ割込み処理に復帰する。なお、これは、バックアップ処理の開始前に、コマンドの送信を完了させるための制御である。一方、それらのコマンドの送信が完了している場合には、MPU310のスタックポインタの値が、RAM313内のバックアップ領域に保存される(スタックポインタ保存処理S302)。スタックポインタ保存処理S302の後に、後述するRAM判定値がクリアされると共に、入出力ポート314における出力ポートの出力状態がクリアされて図示しない全てのアクチュエータがオフ状態になる(停止処理S303)。
停止処理S303の後に、RAM判定値が新たに算出されてバックアップ領域に保存される(RAM判定値保存処理S304)。RAM判定値は、RAM313のワーク領域におけるチェックサム値の2の補数である。ここで、チックサム値の2の補数とは、2進数表現においてチェックサム値の各桁(ビット)を反転した場合に生成される値である。この場合、RAM313のチェックサム値とRAM判定値との排他的論理和(「FFFF」)に1加算した値は「0」である。
RAM判定値保存処理S304の後に、RAM313へのアクセスが禁止される(RAMアクセス禁止処S305)。その後は、内部電力の完全な遮断によって処理が実行できなくなるのに備えて、無限ループに入る。なお、例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤って設定される場合等を考慮して、図示しないが、無限ループに入る前には停電信号がまだ入力されているか否かが確認される。停電信号が入力されていなければ、内部電源が復旧していることになるために、RAM313の書き込みが許可されると共に停電フラグが解除され、タイマ割込み処理に復帰する。一方、停電信号が継続して入力されていれば、そのまま無限ループに入る。
このように、バックアップ処理S203の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理が優先される。コマンドの送信処理終了後にバックアップ処理を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中でバックアップ処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果、停電時の処理に関するプログラムを簡略化してROM312の小容量化を図ることができる。
電源基板300の電源回路300aは、停電状態が発生した後においても、停電割込み処理及びバックアップ処理を完了するために十分な時間にわたって、制御系の駆動電力として使用されるバックアップ電力を出力する。このバックアップ電力によって、停電割込み処理及びタイマ割込み処理のバックアップ処理が行われる。本実施形態では、停電発生後の30ms[ミリ秒]の間、バックアップ電力が出力され続けるようになっている。
タイマ割込み処理の説明に戻り、図8に示されたように、判定処理S202において停電フラグが設定されていないと判定された場合には、誤動作の発生を監視するためのウォッチドッグタイマが初期化され、MPU310自身に対して割込み許可が出される(割込み終了宣言処理S204)。割込み終了宣言処理S204の後に、左駆動停止フラグ、中駆動停止フラグ及び右駆動停止フラグを参照して、各リール171L,171M,171Rを回転させるために左ステッピングモータ172L等の各ステッピングモータに駆動信号が送信される(ステッピングモータ制御処理S205)。具体的には、左駆動停止フラグが設定されていなければ、左リール171Lの左ステッピングモータに駆動信号を送信する。中リール171M及び右リール171Rについても左リール171Lの場合と同様である。
ステッピングモータ制御処理S205の後に、入出力ポート314に接続された各種の装置におけるスイッチの状態変化が監視される(スイッチ読込処理S206)。スイッチ読込処理S206の後に入出力ポート314に接続された各種の装置におけるセンサの状態変化が監視される(センサ監視処理S207)。センサ監視処理S207の後に、各種のカウンタの値や各種のタイマの値が演算される(タイマ演算処理S208)。タイマ演算処理S208の後に、差枚数(ベット総数と獲得総数との差分)を集計するためにベット数や獲得メダル数が、外部集中端子板126へ出力される(差枚数カウント処理S209)。
差枚数カウント処理S209の後に、リングバッファに蓄積された各種のコマンドが、サブ制御基板302に送信される(コマンド出力処理S210)。コマンド出力処理S210の後に、クレジット数表示装置105、獲得数表示装置115等に表示されるセグメントデータが設定される(セグメントデータ設定処理S211)。セグメントデータ設定処理S211で設定されたセグメントデータがクレジット数表示装置105等の所定の表示装置に送信される(セグメントデータ表示処理S212)。クレジット数表示装置105等の表示装置は、受信したセグメントデータに対応する数字、記号などを表示する。
セグメントデータ表示処理S212の後に、入出力ポート314から各種の出力装置へ制御データやサブ制御基板302へのコマンドが出力される(ポート出力処理S213)。
ここで、ポート出力処理S213について図10を参照して説明する。図10は、ポート出力処理S213を表すフローチャートである。ポート出力処理S213において、各種の処理において設定された制御データが順次に出力される(通信情報出力処理S1001)。次に、各種の処理において設定されたサブ制御基板302へ送信すべきコマンドがあるか否かが判定される(S1002)。サブ制御基板302へ送信すべきコマンドがない場合には、本ポート出力処理S213が終了する。
一方、サブ制御基板302へ送信すべきコマンドがある場合には、電源供給の開始後の第1回目のコマンド送信であるときには、CPU311の固体識別情報(以下において、「固有ID」とも称す)が取得され、第2回目以降のコマンド送信であるときには、主制御基板301に搭載されたハードウェアの乱数カウンタからその値が変換初期情報として取得される(変換初期情報取得処理S1003)。変換初期情報に対して16ビットに対応する線形帰還シフト演算を実行して第1変換情報を生成し(変換情報更新処理S1004)、送信すべきコマンドの上位ワードと第1変換情報との排他的論理和演算を実行して上位ワードを変換する(上位ワード変換処理S1005)。また、第1変換情報に対して変換情報更新処理S1004と同一の16ビットに対応する線形帰還シフト演算を実行して第2変換情報を生成し(変換情報更新処理S1006)、送信すべきコマンドの下位ワードと第2変換情報との排他的論理和演算を実行して下位ワードを変換する(下位ワード変換処理S1007)。これにより、サブ制御基板302へのコマンドは2ワード(32ビット)のコマンドであるために、コマンドの全体が変換されることとなる。下位ワード変換処理S1007の後に、変換初期情報と、変換された上位ワードと、変換された下位ワードとが順次にサブ制御基板302に送信される(サブ通信情報出力処理S1008)。なお、コマンドの変換態様及び伝達態様については、特徴部分の説明において改めて詳細に説明する。
タイマ割込み処理の説明に戻り、ポート出力処理S213の後に、レジスタ退避処理S201においてバックアップ領域に退避させた各レジスタのデータがそれぞれMPU310内の対応するレジスタに復帰される(レジスタ復帰処理S214)。レジスタ復帰処理S214の後に、次回のタイマ割込みが許可される(割込み許可処理S215)。以上の処理を経て一連のタイマ割込み処理が終了する。
主制御基板301におけるメイン処理について説明する。図11は、主制御基板のメイン処理を表すフローチャートである。主制御基板301のメイン処理は、停電状態から復帰した場合に実行される。
主制御基板301のメイン処理では、まず、スタックポインタの初期値が設定される(スタックポインタ設定処理S401)。スタックポインタ設定処理の後に、割込み処理を許可する割込みモードが設定される(割込みモード設定処理S402)。割込みモード設定処理S402の後に、MPU310内のレジスタ群やI/O装置等に対する各種の設定等が行われる(レジスタ設定処理S403)。
レジスタ設定処理S403の後に、設定操作許可装置122の設定キースイッチに対して所定の操作(設定キースイッチに設定キーが挿入されていると共に所定の角度だけ回転させる操作)がなされているか否かが判定される(S404)。設定キースイッチに対して所定の操作がなされていると判定された場合には、所定の複数種類の確率設定(本実施形態では「設定1」〜「設定6」の6段階設定)のうちから選択される1つの確率設定の設定値を保持する所定の領域を除くRAM313の全領域のデータが、強制的にクリアされる(強制的RAMクリア処理S405)。強制的RAMクリア処理S405の後に、設定キーが回転された状態で挿入されている場合には、現在の設定値の変更(設定の変更)が行われ、一方、設定キーが挿入されているだけの場合には、現在の設定値の再設定(設定の打ち直し)が行われる(確率設定選択処理S406)。確率設定選択処理S406の後に、通常遊技処理へ移行する。なお、確率設定選択処理S406の詳細については、メイン処理の後に説明する。
判定処理S404において設定キースイッチに対して所定の操作がなされていないと判定された場合には、選択されている確率設定の設定値が所定の範囲(「1」〜「6」)内の値であるか否かが判定される(S407)。なお、停電状態の発生時から停電状態からの復帰時までの間に、RAM313が機械的又は電気的に破壊される等の異常事態が発生しない限り、設定値は所定の範囲内の値しかとらない。設定値が所定の範囲内の値である場合には、停電フラグが設定されているか否かが判定される(S408)。停電フラグが設定されている場合には、RAM313のワーク領域のチェックサム値が新たに算出され、新たなチェックサム値が正常であるか否かが判定される。新たなチェックサム値が正常とは、新たなチェックサム値と停電状態の発生前のチェックサム値が同一であること、つまり、新たなチェックサム値とRAM313のバックアップ領域に保持されているRAM判定値との排他的論理和に1加算した値が「0」であることを意味する。この値は、新たなチェックサム値と停電状態の発生前のチェックサム値とが同一である場合には「0」となり、異なる場合には「0」以外となる。停電状態の発生時から停電状態からの復帰時までの間に、RAM313が機械的又は電気的に破壊される等の異常事態が発生しない限り、この値は「0」以外にはならない。
判定処理S407において確率設定の設定値が所定の範囲内の値でないと判定された場合、判定処理S408において停電フラグが設定されていないと判定された場合、又は、判定処理S409において新たなチェックサム値とRAM判定値との論理和が「0」以外であると判定された場合には、割込み処理が禁止される(割込み禁止設定処理S415)。割込み禁止設定処理S415の後に、入出力ポート314の全ての出力ポートがクリアされて、入出力ポート314に接続された全てのアクチュエータがオフ状態になる(全出力ポートクリア処理S416)。全出力ポートクリア処理S416の後に、エラーの発生が報知される(エラー報知処理S417)。なお、このエラー報知状態は、設定キースイッチに設定キーが挿入された状態で電源復帰されるまで継続する。
判定処理S409において新たなチェックサム値が正常であると判定された場合には、バックアップ領域に保存されたスタックポインタの値がMPU310のスタックポインタに書き込まれ、スタックポインタの値が停電状態の発生前の値に復帰する(スタックポインタ復帰処理S410)。これによって、停電状態からの復帰後において、停電状態の発生により中断された処理から再開できるようになる。スタックポインタ復帰処理S410の後に、停電状態からの復帰を表す復電コマンドがサブ制御基板302に送信される(復電コマンド送信処理S411)。
復電コマンド送信処理S411の後に、打ち止め変更操作装置の打ち止めスイッチの状態及び自動精算スイッチの状態が、RAM313の所定の領域に格納される(遊技形態設定処理S412)。
遊技形態設定処理S412の後に、各種の装置のセンサの値が初期化される(センサ初期化処理S413)。センサ初期化処理S413の後に、停電フラグが解除される(停電フラグ解除処理S414)。停電フラグ解除処理S414の後に、スタックポインタの示す停電状態の発生前の番地における処理から再開される。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理におけるバックアップ処理S203(図8参照)の後の割込み終了宣言処理S204が実行される。
ここで、確率設定選択処理S406について詳細に説明する。図12は、確率設定選択処理の一例を表すフローチャートである。本実施形態において、確率設定の設定値は、「1」〜「6」のいずれかである。同一ベット数で遊技する際において、設定値が「1」から「6」に向かって大きくなるに従って、一般的に、機械割(ベットメダルの総数に対する獲得メダルの総数の期待値)の高い乱数テーブルが選択される。また、同一設定値においては、一般的に、ベット数が多くなるほど機械割の高い乱数テーブルが選択される。
確率設定選択処理S406は、まず、設定操作許可装置122における設定キースイッチがオン状態であるか否かが判定される(S501)。具体的には、設定操作許可装置122から出力される設定変更信号の受信が受信されているか否かが判定される。なお、設定変更信号の受信は、タイマ割込み処理のスイッチ読込処理S206において行われる。設定キー挿入後における設定キーの所定の角度の回転操作が検出されていなければ本処理は終了し、通常遊技処理(図13参照)に移行することとなる。一方、設定キーの回転操作が検出されていれば、割込み許可を設定する(割込み許可設定処理S502)。この割込みの許可設定は、以下において、変動開始操作装置113のスタートスイッチやリセット操作装置119のリセットスイッチの操作を読み込むために必要である。割込み許可設定処理S502の後に、現在の設定値を読み込む(設定値読み込み処理S503)。設定値読み込み処理S503の後に、読み込まれた設定値が正常な値(「1」〜「6」までの整数)であるか否かが判定される(S504)。設定値が正常な値でない場合には、設定値を強制的に所定の初期値(本実施形態では、「1」)に変更する(設定値初期化処理S505)。一方、設定値が「1」〜「6」の値である場合には、設定値初期化処理S505をスキップする。その後、現在の設定値を確率設定表示装置に表示させる(設定値表示処理S506)。設定値表示処理S506の後に、変動開始操作装置113のスタートスイッチが操作されたか否かが判定される(S507)。具体的には、変動開始操作装置113出力される変動開始信号が受信されているか否かが判定される。
スタートスイッチが操作されていない場合には、リセットスイッチが操作されたか否かが判定される(S508)。リセットスイッチが操作されていない場合には、設定値表示処理S506に戻り、確率設定の変更を終了するためのスタートスイッチの操作又は確率設定を変更するためのリセットスイッチの操作の入力を待つ。一方、リセットスイッチが操作されていれば、設定値が更新される(設定値更新処理S509)。設定値更新処理S509の後に判定処理S504に戻る。なお、本実施形態において、リセットスイッチの操作に応じて、設定値は所定の範囲内でループする(「1」→「2」→・・・→「6」→「1」→・・・)。
判定処理S507においてスタートスイッチが操作されたと判定された場合には、S501の処理と同様に設定キースイッチがオン状態であるか否かが判定される(S510)。設定キースイッチがオン状態である場合には、設定キースイッチがオフ状態となるまで、判定処理S501をループさせて待つ。一方、設定キースイッチがオン状態でない場合には、割込み禁止を設定する(割込み禁止処理S511)。割込み禁止処理S511の後に、現在の設定値をRAM313の所定の領域に保存する(設定値保存処理S512)。設定値が保存されている領域以外のRAM313の全領域をクリアする(RAMクリア処理S513)。RAMクリア処理S513の後に、通常遊技処理(図13参照)が実行されることとなる。
通常時の遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について、図13を参照しながら説明する。図13は、主制御基板301のMPU310で実行される通常処理を表すフローチャートである。
主制御基板301の通常遊技処理は、メイン処理における確率設定選択処理S406(図12参照)の後に実行される。通常遊技処理では、図13に示されたように、まず、割込み許可を設定する(割込み許可設定処理S601)。割込み許可設定処理S601の後に、遊技形態を決定する打ち止めスイッチの状態及び自動精算スイッチの状態がRAM313に格納される(遊技形態設定処理S602)。なお、遊技形態設定処理S602は、メイン処理における遊技形態設定処理S412(図11参照)と同一の処理である。
遊技形態設定処理S602の後には、下述のループ処理に移行する。なお、以下においては、連続遊技中である場合について説明する。
RAM313において単位遊技ごとに変化する情報を保持する領域のデータをクリアする(遊技情報クリア処理S603)。具体的には、前回の遊技に関連する情報をクリアする。クリアされる情報としては、例えば、乱数に関連する情報、リール装置の制御に関連する情報、入賞に関連する情報及びエラーに関連する情報が挙げられる。入賞に関連する情報には、入賞図柄、入賞ライン及び獲得メダル数等の情報が含まれる。
遊技情報クリア処理S603の後に、変動開始操作装置113からの変動開始信号(変動開始情報)が入力されるまで、所定の処理を行いながら待機する(変動待機処理S604)。ここで、変動待機処理S604について、図14を参照しながら詳細に説明する。図14は、変動待機処理S604の一例を表すフローチャートである。
変動待機処理S604では、まず、遊技監視タイマが設定される(遊技監視タイマ設定処理S701)。ここで、遊技監視タイマが設定されるとは、そのタイマの値がリセットされ、かつそのタイマによる新たな時間計測がスタートすることを意味する。遊技監視タイマは、遊技間隔を測定するタイマであって、遊技者によって遊技されていない時間が所定の時間を経過した場合に、補助表示装置118の画像を所定の画像(デモストレーション画像)に移行させるために用いられる。
遊技監視タイマ設定処理S701の後に、前回の遊技で再遊技に入賞したか否かが判定され、再遊技に入賞していた場合には、自動的に、前回の遊技のベット数と同数のメダルが自動的にベットされる(自動ベット処理S702)。
自動ベット処理S702の後に、投入メダル検出装置203においてメダルの受入エラーが発生しているか否かが確認され、受入エラーが発生している場合には、音響装置110、発光装置117、補助表示装置118等にエラーを報知させるためのセレクタエラーコマンドが設定される(セレクタエラー報知処理S703)。具体的には、エラーの発生を表すセレクタエラーフラグが設定されているか否かが判定され、セレクタエラーフラグが設定されている場合には、セレクタエラーコマンド(エラーコマンドの一種)が、リングバッファに格納される。また、メダルの受付禁止状態において、投入メダル検出装置203から上流メダル検出信号や下流メダル検出信号を受信した場合にも、セレクタエラーコマンドがリングバッファに格納される。なお、リングバッファに格納されたセレクタエラーコマンドは、その格納後に実行されるタイマ割込み処理のコマンド出力処理S210においてサブ制御基板302に出力される。また、以下において、リングバッファに格納される各種のコマンドは、セレクタエラーコマンドの場合と同様に、それらの格納後に実行されるタイマ割込み処理のコマンド出力処理S210においてサブ制御基板302に出力される。
セレクタエラー報知処理S703の後に、ホッパ装置109でエラーが発生しているか否かが判定され、ホッパ装置109でエラーが発生している場合には、音響装置110、発光装置117、補助表示装置118等にエラーを報知させるためのホッパエラーコマンドが設定される(ホッパエラー報知処理S704)。具体的には、ホッパ装置109への放出制御信号の送信後の所定の時間内に放出メダル検出装置247からの放出メダル検出信号が受信されるか否かが判定され、放出メダル検出信号が受信されない場合には、ホッパエラーコマンド(エラーコマンドの一種)が、リングバッファに格納される。また、放出制御信号が送信されていない場合において放出メダル検出信号が受信された場合にも、ホッパエラーコマンドがリングバッファに格納される。
ホッパエラー報知処理S704の後に、精算操作装置108からの精算信号が受信されている場合には、クレジットメダル及びベットメダルの精算が行われる(精算処理S705)。精算処理S705においては、必要に応じて、ベットメダルの精算の開始を表すベット精算開始コマンド、ベットメダルの精算の終了を表すベット精算終了コマンド、クレジットメダルの精算の開始を表すクレジット精算開始コマンド、クレジットメダルの精算の終了を表すクレジット精算終了コマンド等のメダル放出コマンドが、適宜に、リングバッファに格納される。
ここで、精算処理S705について図15を参照しながら詳細に説明する。図15は、精算処理S705の一例を表すフローチャートである。
精算処理S705において、図15に示されたように、まず、精算操作装置108からの精算信号(精算情報)が受信されているか否かが判定される(S801)。精算信号が受信されていない場合、精算処理S705を終了する。精算信号が受信されている場合には、遊技モードがクレジットモードであるか否かが判定される(S802)。遊技モードがクレジットモードである場合には、クレジット数が0であるか否か(クレジットメダルの有無)が判定される(S803)。クレジット数が0でない場合には、クレジットメダルが精算される(クレジットメダル精算処理S804)。一方、クレジット数が0である場合には、クレジットメダル精算処理S804がスキップされる。判定処理S803においてクレジット数が0であると判定された場合及びクレジットメダル精算処理S804の後に、ベット数が0であるか否か(ベットメダルの有無)が判定される(S805)。ベット数が0でない場合には、ベットメダルの精算が行われる(ベットメダル精算処理S806)。一方、ベット数が0である場合には、ベットメダル精算処理S806がスキップされる。ベットメダル精算処理S806の後及び判定処理S802において遊技モードがクレジットモードでないと判定された場合には、遊技モードがクレジットモードからダイレクトモード又はダイレクトモードからクレジットモードに変更される(モード変更処理S807)。ダイレクトモードに変更された場合には、クレジット数表示装置105がオフ状態(消灯状態)になる。
クレジットメダル精算処理S804において、1枚のメダルの排出を指示する放出制御信号がクレジット数と同数だけホッパ装置109(図2参照)に送信される。ホッパ装置109では、放出制御信号の受信ごとにメダルを排出する。なお、放出メダル検出装置247では、ホッパ装置109からのメダルの放出を1枚ずつ検出して、その検出ごとに放出メダル検出信号を生成する。また、クレジットメダル精算処理S804では、放出制御信号の送信から放出メダル検出信号の受信までの時間をホッパ監視タイマで測定し、ホッパ監視タイマによる測定時間が所定の時間を越えた場合には、ホッパエラーフラグを設定する。これによって、最終的にホッパ装置109が空になった場合等にホッパエラーが報知されることとなる。ベットメダル精算処理S806は、クレジットメダル精算処理S804と同様の処理である。
変動待機処理S604の説明に戻り、精算処理S705の後に、図14に示されたように、投入メダル検出装置203からの出力信号(上流メダル検出部からの上流メダル検出信号、下流メダル検出部からの下流メダル検出信号)に基づいて、現物メダルの受入が確認される(メダル受入確認処理S706)。具体的には、所定の許容通過時間内に、上流メダル検出信号のみが受信されている第1通過条件と、上流メダル検出信号及び下流メダル検出信号の双方が受信されている第2通過条件と、下流メダル検出信号のみが受信されている第3通過条件と、上流メダル検出信号及び下流メダル検出信号の双方が受信されていない第4通過条件とがこの順序で順次に満たされた場合にのみ、メダルの受入を容認する。その他のタイミング又は順序で上流メダル検出信号又は下流メダル検出信号が検出された場合には、エラーを報知するためのセレクタエラーフラグを設定する。なお、上記の条件を満たすか否かは、メダル受入確認処理S706が複数回実行されることによって判断される。また、上流メダル検出信号及び下流メダル検出信号のいずれもが受信されていない場合には、本処理がスキップされる。なお、メダルの受入を容認するか否かは、本処理を一回だけ行うことによって判定されるのではなく、本処理が繰返し行われることによって最終的に判定される。
メダル受入処理S707の終了後に、ベット数が最小規定数未満であるか否かが判定される。ベット数が最小規定数(本実施形態では最大規定数と同一)未満である場合には、セレクタエラー報知処理S703からメダル受入処理S707までが繰り返される。一方、ベット数が最小規定数未満でない場合には、変動開始操作装置113のスタートスイッチからの変動開始信号が受信されているか否かが判定される。変動開始信号が受信されていない場合には、セレクタエラー報知処理S703から判定処理S708までが繰り返される。一方、変動開始信号が受信されている場合には、セレクタ190の経路切換ソレノイドが駆動され、かつ受付禁止コマンドが設定される(メダル受付禁止処理S710)。以上の処理過程(S701〜S710)を経て、変動待機処理S604が完了する。
通常遊技処理の説明に戻り、変動待機処理S604の後に、図13に示されたように、変動開始操作装置113のスタートスイッチが操作された際にハードウェア的にラッチされた乱数カウンタの値が読み出されてRAM313に格納される(乱数作成処理S605)。スタートスイッチが操作された際に乱数カウンタをハードウェア的にラッチすることによって、スタートスイッチの操作と乱数値の取得とを時間的に同期させている。なお、ソフトウェアで乱数カウンタの値を読み出すこともできるが、この場合には、変動開始操作装置113の操作から乱数値の取得までの時間が、ハードウェア的にラッチする場合よりも不均一になる。
乱数作成処理S605の後に、確率設定、ベット数及び遊技状態に応じた乱数テーブルを参照して、乱数作成処理S605で取得した乱数値に応じた当選役が決定され、当選役の種別に応じた当選フラグ(例えば、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、チェリー当選フラグ、ベル当選フラグ、スイカ当選フラグ、再遊技当選フラグ)が設定され、当選役の種別を表す当選役コマンドと確率設定の設定値を表す設定値コマンドとが設定される(内部抽選処理S606)。当選役として、例えば、ビックボーナス役(以下、「BB」とも称す)、レギュラーボーナス役(以下、「RB」とも称す)、各種の小役(チェリー役、ベル役、スイカ役)、再遊技役及びハズレ役が挙げられる。なお、一回の遊技において複数種類の当選役が選択されてもよい。
内部抽選処理S606の後に、当選役、ベット数及び遊技状態に基づいて、ROM312に保持された手動停止制御テーブル群から図柄表示変動ユニット103の各リール装置170L,L170M,170Rの制御に用いる1つの手動停止制御テーブルが参照停止制御テーブルとして選択され、参照停止制御テーブルのテーブル番号がRAM313の所定の領域に格納される(回転初期化処理S607)。当選役がハズレ以外のときには、この参照停止制御テーブルに従って、当選役を入賞させる有効ライン等が決まり、また、当選役に応じた図柄がその有効ライン上以外を通過中に各リール装置(170L,L170M,170R)に対応するストップスイッチが操作された場合に、当選役を所定の有効ラインに可能な限り入賞させるために所定の範囲(最大4図柄)内で余分にリールを回転させるスベリ制御が行われる。当選役がハズレの場合にも、他の当選役を入賞させないために、同様のスベリ制御が行われる。この参照停止制御テーブルは、必ず参照されるわけではなく、本実施形態では、変動停止操作装置114の3つの停止操作部(231,232,233)が所定の順序(例えば、「左リール停止操作部231→中リール停止操作部232→右リール停止操作部233」及び「左リール停止操作部231→右リール停止操作部233→中リール停止操作部232」の順序)で操作された場合に参照され、他の操作順序の場合には、手動停止制御テーブル群からの参照停止制御テーブルの再選択や他の制御方法によって又はそれらを援用して所定の図柄パターンを停止させる。
回転初期化処理S607の後に、図柄変動待機処理S608が実行される。図柄変動待機処理S608では、まず、図柄変動監視タイマによる測定時間が所定の規定時間(例えば、4.1秒)以上であるか否かが判定される。ここで、「図柄変動監視タイマ」は、前回の図柄表示変動ユニット103における図柄変動開始時点からの経過時間を測定するタイマである。図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間未満である場合には、規定時間の経過を待つ状態(以下、「変動待機状態」と称する)であることを表す変動待機コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。なお、変動待機状態であることが変動待機状態表示装置(図示せず)によって遊技者に報知される。その後、図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間以上となるまで、変動待機状態の報知が行われたまま、図柄変動監視タイマによる測定時間が所定の規定時間以上であるか否かの判定が繰り返される。一方、図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間以上である場合には、図柄変動監視タイマがリセットスタートされ、規定時間待機状態の報知を停止し、所定の規定時間が経過した状態であることを表す規定時間経過コマンド(内部状態コマンドの一種)と、外部集中端子板に出力するためのベット数コマンドとがリングバッファに格納される。その後、RAM313の所定の領域における図柄表示変動ユニット103の各ステッピングモータ(左ステッピングモータ等)の制御に関連する情報が回転開始用に初期設定される。なお、各ステッピングモータの実際の駆動は、タイマ割込み処理のステッピングモータ制御処理S205で制御される。
図柄変動待機処理S608の後に、図柄表示変動ユニット103における各リール171L,171M,171Rの回転を制御する回転制御処理S609が実行される。ここで、回転制御処理S609について、図16を参照しながら詳細に説明する。図16は、回転制御処理S609の一例を表すフローチャートである。
回転制御処理S609において、RAM313の所定の領域における各リール装置170L,170M,170Rの回転に関する情報が初期化され、全てのリール171L,171M,171Rが回転中であることを表す全リール回転コマンド(リール回転情報コマンドの一種)と図柄表示変動ユニット103において図柄表示変動状態であることを表す図柄変動状態コマンド(内部状態コマンドの一種)とがリングバッファに格納される(回転開始処理S1101)。回転開始処理S1101の後に、所定の停止待機時間が経過するまで待機する(図柄停止待機処理S1102)。図柄停止待機処理S1102における「所定の停止待機時間」は、各リール171L,171M,171Rの回転開始から一定速度の定常回転に至るまでに要する平均時間と概ね同一の時間である。図柄停止待機処理S1102の後に、全てのリール171L,171M,171Rの回転が定常回転であるか否かが判定される(S1103)。具体的には、それらの回転が定常回転であるか否かは、最後に回転を開始したリールに対応するリール基準点検出装置からの位置検出信号が受信されているか否かで判定されており、その位置検出信号が受信されている場合にはそれらの回転は定常回転であると判断し、その位置検出信号が受信されていなければいずれかのリールの回転は定常回転でないと判断している。それらの回転が定常回転でない場合には、判定処理S1103が繰り返し実行される。なお、本実施形態では全てのリール(171L,171M,171R)は同時に回転を開始する。
判定処理S1103において全てのリールの回転が定常回転であると判定された場合には、ベット操作部213の最大ベットスイッチが操作されたか否かが判定され、操作されていない場合には実質的に何らの処理も実行せず、一方、操作されている場合には、ナビゲーションコマンドがリングバッファに格納される(ナビゲーション変更入力監視処理S1104)。ナビゲーション変更入力監視処理S1104の後に図柄変動を停止させる処理が実行される。
変動停止操作装置114の左リール停止操作部231からの左停止信号(変動変更情報の一種)が受信されているか否かが判定される(S1105)。左停止信号が受信されていない場合には、中リール停止操作部232からの中停止信号(変動変更情報の一種)が受信されているか否かが判定される(S1106)。中停止信号が受信されていない場合には、右リール停止操作部233からの右停止信号(変動変更情報の一種)が受信されているか否かが判定される(S1107)。右停止信号が受信されていない場合、つまり、左停止信号、中停止信号及び右停止信号のいずれもが受信されていない場合には、ナビゲーション変更入力監視処理S1104が実行される。
判定処理S1105において左停止信号が受信されていると判定された場合には、左駆動フラグが設定されているか否かが判定される(S1108)。「左駆動フラグ」は、左リール171Lが回転しているか停止しているかを識別するフラグであり、左リール171Lの回転開始の際に設定される。左駆動フラグが解除されている場合は、左リール171Lが実質的に停止していることを表し、左駆動フラグが設定されている場合は、左リール171Lが実質的に回転していることを表す。左駆動フラグが解除されている場合には、ナビゲーション変更入力監視処理S1104が実行され、一方、左駆動フラグが設定されている場合には、左リール停止処理S1109が実行される。左リール停止処理S1109において、まず、回転初期化処理S607で選択された参照停止制御テーブルを参照して、左リール171Lを回転させる左ステッピングモータが停止される。左ステッピングモータの停止後に、左駆動フラグが設定され、停止リール数がインクリメントされ、左リール171Lが停止していることを表す左リール停止コマンド(リール回転情報コマンドの一種)及び左リール171Lの停止図柄を表す左リール図柄コマンド(停止図柄コマンドの一種)がリングバッファに格納される。「停止リール数」は、停止しているリールの個数を表し、回転開始処理S1101において「0」にリセットされる。
ここで、左リール装置170Lの左ステッピングモータを停止させる際の制御について詳細に説明する。現在の駆動信号送信数(図柄表示情報の一部)に基づいて、参照停止制御テーブルが参照されて駆動信号(駆動情報)の送信回数が決定される。ビッグボーナス役、レギュラーボーナス役、各種の小役及び再遊技役のいずれかの当選フラグが設定されている場合には、当選フラグの設定されていない役が成立することがない限りにおいて、可能な限り有効ラインのいずれかに沿って当選役の図柄パターンが停止するように、送信回数が決定される。例えば、下段ラインL3に沿って「スイカ」図柄が並ぶという小役に当選し、「スイカ」図柄が上段を通過するタイミングで左リール停止操作部231が操作された場合には、下段に停止するように図柄2つ分だけ左リール171Lを滑らせる。なお、滑らせることのできる範囲は予め決められており、左リール停止操作部231の操作のタイミングによっては、下段に「スイカ」図柄が停止しないこともある。この場合においても、中段又は上段に「スイカ」図柄を停止できる場合には、予定入賞ラインに関わらず、中段又は上段に「スイカ」図柄を停止するように制御される。「駆動信号送信数」は、左ステッピングモータへ送信された駆動信号の送信数を表しており、その値は、左リール装置170Lのリールインデックスセンサからの位置検出信号の受信に応じて「0」にリセットされる。なお、具体的には、左リール停止処理S1109では、駆動信号送信数を参照しながら、決定された送信回数分の駆動信号の送信が終了したことを確認して左駆動フラグ(「駆動変更情報」の一種)を解除する。なお、図8に示されたタイマ割込み処理のステッピングモータ制御処理S205においては、左駆動フラグの解除を確認して駆動信号の送信を停止する。これにより、送信回数を決定した後に、駆動信号が、左ステッピングモータにその回数だけ繰り返し送信される。
左リール停止処理S1109の後に、停止リール数が3であるか否かが判定される(S1110)。停止リール数が3でない場合、つまり、少なくとも1つのリールが回転中である場合(図柄変動中)には、参照停止制御テーブルの変更が必要であるか否かが判定される(S1111)。未停止のリールの停止において参照停止制御テーブルの変更が必要な場合には、参照停止制御テーブルが手動停止制御テーブル群から選択された他の手動停止制御テーブルに変更される(制御テーブル変更処理S1112)。制御テーブル変更処理S1112においては、左リール171Lの停止位置と共に中リール171M及び右リール171Rのうちの既に停止しているリールの停止位置が参照される。参照停止制御テーブルの変更が必要な場合としては、例えば、当選役以外の役が入賞する場合が挙げられる。
判定処理S1106において中停止信号が受信されていると判定された場合には、中駆動フラグが設定されているか否かが判定される(S1113)。「中駆動フラグ」は、左駆動フラグの場合と同様に、中リール171Mが回転しているか停止しているかを識別するフラグである。中駆動フラグが解除されている場合には、ナビゲーション変更入力監視処理S1104が実行される。一方、中駆動フラグが設定されている場合には、停止リール数が0であるか否かが判定される(S1114)。停止リール数が0でない場合には、中リール停止処理S1116が実行される。一方、停止リール数が0である場合には、手動停止制御テーブル群のうち所定の手動停止制御テーブルが参照停止制御テーブルとして再設定され(制御テーブル再設定処理S1115)、制御テーブル再設定処理S1115の後に、中リール停止処理S1116が実行される。なお、中リール停止処理S1116は、左リール停止処理S1109の場合と同様の処理である。中リール停止処理S1116において、まず、参照停止制御テーブルを参照して、中駆動フラグ(「駆動変更情報」の一種)が設定されて中リール装置170Mにおける中ステッピングモータが停止される。中ステッピングモータを停止させる際の制御は、左ステッピングモータを停止させる際の制御と概ね同一である。中ステッピングモータの停止後に、停止リール数がインクリメントされ、かつ、中リール171Mが停止していることを表す中リール停止コマンド(リール回転情報コマンドの一種)及び中リール171Mの停止図柄を表す中リール図柄コマンド(停止図柄コマンドの一種)がリングバッファに格納される。
中リール停止処理S1116の後に、停止リール数が3であるか否かが判定される(S1117)。停止リール数が3でない場合には、未停止のリールの停止において参照停止制御テーブルの変更が必要であるか否かが判定される(S1118)。参照停止制御テーブルの変更が必要な場合には、参照停止制御テーブルが手動停止制御テーブル群から選択された他の手動停止制御テーブルに変更される(制御テーブル変更処理S1119)。制御テーブル変更処理S1119においては、中リール171Mの停止位置と共に左リール171L及び右リール171Rのうちの既に停止しているリールの停止位置(停止図柄)が参照される。
判定処理S1107において右停止信号が受信されていると判定された場合には、右駆動フラグが設定されているか否かが判定される(S1120)。「右駆動フラグ」は、左駆動フラグ及び中駆動フラグの場合と同様に、右リール171Rが回転しているか停止しているかを識別するフラグである。右駆動フラグが解除されている場合には、ナビゲーション変更入力監視処理S1104が実行される。一方、右駆動フラグが設定されている場合には、停止リール数が0であるか否かが判定される(S1121)。停止リール数が0でない場合には、右リール停止処理S1123が実行される。一方、停止リール数が0である場合には、手動停止制御テーブル群のうち所定の手動停止制御テーブルが参照停止制御テーブルとして再設定され(制御テーブル再設定処理S1122)、制御テーブル再設定処理S1122の後に、右リール停止処理S1123が実行される。なお、右リール停止処理S1123は、左リール停止処理S1109と同様の処理である。右リール停止処理S1123において、まず、選択されている手動停止制御テーブルを参照して、右駆動フラグ(「駆動変更情報」の一種)が設定されて右リール装置170Rにおける右ステッピングモータが停止される。右ステッピングモータを停止させる際の制御は、左ステッピングモータを停止させる際の制御と概ね同一である。右ステッピングモータの停止後に、停止リール数がインクリメントされ、かつ、右リール171Rが停止していることを表す右リール停止コマンド(リール回転情報コマンドの一種)及び右リールの停止図柄を表す右リール図柄コマンド(停止図柄コマンドの一種)がリングバッファに格納される。
右リール停止処理S1123の後に、停止リール数が3であるか否かが判定される(S1124)。停止リール数が3でない場合には、未停止のリールの停止において参照停止制御テーブルの変更が必要であるか否かが判定される(S1125)。参照停止制御テーブルの変更が必要な場合には、参照停止制御テーブルが手動停止制御テーブル群から選択された他の手動停止制御テーブルに変更される(制御テーブル変更処理S1126)。制御テーブル変更処理S1126においては、右リール171Rの停止位置と共に左リール171L及び中リール171Mのうちの既に停止しているリールの停止位置(停止図柄)が参照される。
通常遊技処理の説明に戻り、回転制御処理S609の後に、図13に示されたように、入賞図柄判定処理S610が実行される。入賞図柄判定処理S610において、まず、有効ラインごとの図柄パターンが入賞図柄パターンであるか否かが判定され、当選フラグの成立している役が入賞しているか否かと、当選フラグの成立している役以外が入賞していないこととが検査される。本実施形態では、4つの組合せラインL2〜L5(図3参照)の全ての図柄パターンが検査される。当選役以外の役が1つでも入賞している場合には、入賞エラーの発生を報知させるためのエラー処理が実行される。一方、当選役のみが入賞している場合には、入賞した全ての当選役に対応する入賞フラグ(例えば、ビッグボーナス入賞フラグ、レギュラーボーナス入賞フラグ、チェリー入賞フラグ、ベル入賞フラグ、スイカ入賞フラグ、再遊技入賞フラグ)が設定される。また、入賞した各当選役に対応する獲得メダル数が最大獲得メダル数を超えない範囲内において加算されることによって、最終的に獲得メダル数が決定される。更に、入賞図柄判定処理S610においては、入賞役の種類の情報を含む入賞役コマンド、入賞ラインの種類の情報を含む入賞ラインコマンド及び入賞エラーの情報を含む入賞役エラーコマンドがリングバッファに格納される。
入賞図柄判定処理S610の後に、獲得メダル払出処理S611が実行される。獲得メダル払出処理S611において、図17に示されたように、まず、獲得メダル数が0であるか否かが判定される(S1201)。獲得メダル数が「0」である場合には、獲得メダル払出処理S611が終了する。一方、獲得メダル数が「0」でない場合には、獲得メダルの払出予定数が獲得メダル数と同一の値に設定され(払出予定数設定処理S1202)、払出数が「0」にクリアされる(払出数クリア処理S1203)。払出数クリア処理S1203の後に、遊技モードがクレジットモードであるか否かが判定される(S1204)。
判定処理S1204において遊技モードがクレジットモードであると判定された場合には、クレジット数が上限値であるか否かが判定される(S1205)。クレジット数が上限値未満である場合には、払出数のインクリメントが行われ(払出数変更処理S1206)、その後、クレジット数のインクリメントが行われ、クレジット数変更コマンドがリングバッファに格納される(クレジット数変更処理S1207)。その後、払出数が払出予定数と同一であるか否かが判定される(S1208)。払出数が払出予定数と同一である場合には、獲得メダル払出処理S611処理が終了する。一方、払出数が払出予定数未満である場合には、判定処理S1205に戻る。
判定処理S1204において遊技モードがクレジットモードでないと判定された場合及び判定処理S1205においてクレジット数が上限値に到達したと判定された場合には、獲得メダルの払出の開始を表す獲得メダル払出開始コマンドがリングバッファに格納される(払出開始コマンド設定処理S1209)。払出開始コマンド設定処理S1209の後に、払出制御処理S1210が実行される。払出制御処理S1210において、1枚のメダルの排出を指示する放出制御信号が、排出数が排出予定数と同数になるまでホッパ装置109(図2参照)に送信される。ホッパ装置109では、放出制御信号の受信ごとにメダルを払出する。放出メダル検出装置247では、ホッパ装置109からのメダルの放出を1枚ずつ検出して、放出メダル検出信号を生成する。クレジットメダル精算処理S804では、放出制御信号の送信から放出メダル検出信号の受信までの時間をホッパ監視タイマで測定し、ホッパ監視タイマによる測定時間が規定放出時間を越えた場合には、ホッパエラーフラグが設定される。これによって、最終的に、ホッパ装置109が空になった場合等にホッパエラーが報知される。
排出制御処理1210の後に、払出数のインクリメントが行われる(払出数変更処理S1211)。払出数変更処理S1211の後に、払出数が払出予定数と同一であるか否かが判定される(S1212)。払出数が払出予定数と同一である場合には、獲得メダルの払出の終了を表す獲得メダル払出終了コマンドがリングバッファに格納され(払出終了コマンド設定処理S1213)、獲得メダル払出処理S611が終了する。一方、払出数が払出予定数未満である場合には、払出制御処理S1210に戻る。
通常遊技処理の説明に戻り、獲得メダル払出処理S611の後に、図13に示されたように、再遊技判定処理S612が行われる。再遊技判定処理S612では、入賞図柄判定処理S610において再遊技が入賞していると判定されている場合に、内部状態を再遊技に設定する等の各種の処理が行われる。また、次回の遊技が再遊技であることを表す再遊技コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。
再遊技判定処理S612の後に、役物作動中処理S613が行われる。役物作動中処理S613では、ビッグボーナス及びレギュラーボーナス等の役物作動中の処理が行われる。ここで、役物作動中処理について、図18を参照しながら詳細に説明する。
役物作動中処理S613では、内部状態がビッグボーナスであるか否かが判定される(S1301)。内部状態がビッグボーナスである場合には、更に、内部状態がJACゲームであるか小役ゲームであるかが判定される(S1302)。JACゲームでない場合には、JACゲームへの移行契機となるJACIN図柄パターン(本実施形態では再遊技図柄の3つ揃いで兼用)が有効ライン上に表示されたか否かが判定される(S1303)。JACIN図柄パターンが有効ライン上に表示されている場合には、JACゲームに関する初期化が行われる(JAC開始処理S1304)。JAC開始処理S1304では、内部状態がビッグボーナス中のJACゲームに設定され、JAC数及びJAC成立数がそれぞれ所定の値に設定される。一方、有効ライン上にJACIN図柄パターンが表示されていない場合には、JAC開始処理S1304がスキップされる。
判定処理S1302において内部状態がJACゲームであると判定されている場合には、JACゲーム数を1だけ減少させる(JAC数更新処理S1305)。JAC数更新処理S1305の後に、JAC図柄パターン(本実施形態では再遊技図柄の3つ揃いで兼用)が有効ライン上に表示されているか否かが判定される(S1306)。JAC図柄パターンが有効ライン上に表示されている場合には、JAC成立数を1だけ減少させる(JAC成立数更新処理S1307)。一方、JAC図柄パターンが有効ライン上に表示されていない場合には、JAC成立数更新処理S1307をスキップする。その後、JAC数又はJAC成立数が0であるか否かが判定される(S1308,S1309)。JAC数又はJAC成立数が0である場合には、内部状態が小役ゲームに変更される(JAC終了処理S1310)。一方、JAC数及びJAC成立数が0でない場合には、JAC終了処理S1310をスキップする。
上記の処理S1302〜S1310の所定の過程を経た後に、入賞図柄判定処理S610(図13参照)で算出された獲得メダル数が獲得総数に加算され、獲得総数が更新される(獲得総数更新処理S1311)。なお、獲得総数は、ビッグボーナスの開始時に下述する役物作動判定処理S614(図13参照)において初期化されている。獲得総数更新処理S1311の後に、獲得総数が獲得規定数以上であるか否かが判定される(S1312)。獲得総数が獲得規定数より大きい場合には、ビッグボーナスの終了処理が行われ(BB終了処理S1313)、ビッグボーナス後のRT遊技状態であるRT2遊技状態に移行させる処理が行われる(RT2移行処理S1314)。RT2移行処理S1314においては、内部状態がRT2遊技状態に設定されると共に、RT2遊技状態であることを表すRT2遊技状態コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。一方、獲得総数が獲得規定数未満である場合には、BB終了処理S1313及びRT2移行処理S1314がスキップされる。上記の処理過程を経て役物作動中処理S613が終了する。
判定処理1301において内部状態がビッグボーナスでないと判定された場合には、内部状態がレギュラーボーナスであるか否かが判定される(S1315)。内部状態がレギュラーボーナスでない場合には、本処理が終了する。一方、内部状態がレギュラーボーナスである場合には、JACゲーム数を1だけ減少させる(JAC数更新処理S1316)。JAC数は、レギュラーボーナスの開始時に下述する役物作動判定処理S614(図13参照)において所定数に初期化されている。なお、レギュラーボーナスにおけるJAC数は、ビッグボーナスにおけるJAC数と異なっていてもよい。JAC数更新処理S1316の後に、JAC図柄パターン(本実施形態では再遊技図柄の3つ揃いで兼用)が有効ライン上に表示されているか否かが判定される(S1317)。JAC図柄パターンが有効ライン上に表示されている場合には、JAC成立数を1だけ減少させる(JAC成立数更新処理S1318)。JAC成立数は、レギュラーボーナスの開始時に下述する役物作動判定処理S614(図13参照)において所定数に初期化されている。なお、レギュラーボーナスにおけるJAC成立数は、ビッグボーナスにおけるJAC成立数と異なっていてもよい。一方、JAC図柄パターンが有効ライン上に表示されていない場合には、JAC成立数更新処理S1318をスキップする。その後、JAC数又はJAC成立数が0であるか否かが判定される(S1319,S1320)。JAC数又はJAC成立数が0である場合には、内部状態が小役ゲームに変更され(JAC終了処理S1321)、レギュラーボーナス後のRT遊技状態であるRT1遊技状態に移行させる処理が行われる(RT1移行処理S1322)。RT1移行処理S1322においては、内部状態がRT1遊技状態に設定されると共に、RT1遊技状態であることを表すRT1遊技状態コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。一方、JAC数及びJAC成立数が0でない場合には、JAC終了処理S1321及びRT1移行処理S1322をスキップする。上記の処理過程を経て役物作動中処理S613が終了する。
通常遊技処理の説明に戻り、役物作動中処理S613の後に、図13に示されたように、役物作動判定処理S614が行われる。役物作動判定処理S614では、図19に示されたように、ビッグボーナス(BB)に当選したことを表すビッグボーナスの当選フラグが設定されているか否かが判定される(S1401)。ビッグボーナスの当選フラグが設定されている場合、ビッグボーナスが入賞したことを表すビッグボーナスの入賞フラグが設定されているか否かが判定される(S1402)。ビッグボーナスの入賞フラグが設定されている場合には、ビッグボーナスを開始するための処理を実行する(BB開始処理S1403)。一方、ビッグボーナスの入賞フラグが設定されていない場合には、BB開始処理S1403をスキップする。
判定処理S1401においてビッグボーナスの当選フラグが設定されていなければ、レギュラーボーナス(RB)に当選したことを表すレギュラーボーナスの当選フラグが設定されているか否かが判定される(S1404)。レギュラーボーナスの当選フラグが設定されている場合、レギュラーボーナスが入賞したことを表すレギュラーボーナスの入賞フラグが設定されているか否かが判定される(S1405)。レギュラーボーナスの入賞フラグが設定されている場合には、レギュラーボーナスを開始するための処理を実行する(RB開始処理S1406)。一方、レギュラーボーナスの入賞フラグが設定されていない場合には、RB開始処理S1406をスキップする。上記の処理過程を経て役物作動判定処理S614が終了する。
役物作動判定処理S614の後に、ビッグボーナス後に突入したRT1状態及びレギュラーボーナス後に突入したRT2状態が終了条件を満たしているか否かが判定されて、終了条件を満たしている場合には、内部状態を通常遊技状態に設定し、通常遊技状態であることを表す通常遊技状態コマンド(内部状態コマンドの一種)をリングバッファに格納する。具体的には、RT1状態は、RT1状態における所定の規定回数(例えば、100回)の単位遊技の終了や特殊リプレイの入賞によって終了する。一方、RT2状態は、3択チェリー役のいずれかの入賞によって終了する。
RT遊技状態終了処理S615の後に、遊技進行表示処理S616が実行される。遊技進行表示処理S616では、内部状態がビッグボーナスやレギュラーボーナスである場合には、JACゲームの残りゲーム数や1回のビッグボーナスにおける獲得メダルの総数等の遊技進行表示装置116に表示するデータが設定される。これによって、遊技進行表示装置116には、遊技進行情報が表示される。なお、内部状態が通常遊技状態である場合には、遊技進行表示装置116はオフ状態であり、何も表示しない。
これより、サブ制御基板302のMPUにより実行される制御処理について説明する。MPUの制御処理は、外部電力の停電からの復帰や電源のオン等による電源復帰に伴い起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。MPUにおける割込み処理としては、定期的なタイマ割込み処理と、主制御基板301からのコマンドの受信に応じて実行されるコマンド割込み処理とがある。
タイマ割込み処理は、概ね1msの周期で実行される。タイマ割込み処理では、まず、割込みフラグが読み込まれる(割込みフラグ読み込み処理)。割込みフラグ読み込み処理の後に、割込みフラグが有効であるか否かが判定される。具体的には、CPUに対する各種の割込みのうちのタイマ割込みであることを確認する。割込みフラグが有効である場合には、割込みタイマカウンタのインクリメントが行われて割込みタイマカウンタが更新される(割込みタイマカウンタ更新処理)。割込みタイマカウンタ更新処理の後に、タイマ割込みに関する割込みフラグが解除される(割込みフラグクリア処理)。これによって、サブ制御基板302のCPUに対する次回のタイマ割込み処理が実行できるようになる。なお、割込みフラグが有効でないと判定された場合は、他の割込み処理であるために、割込みタイマカウンタ更新処理及び割込みフラグクリア処理がスキップされる。
コマンド割込み処理について、図20を参照しながら詳細に説明する。図20は、サブ制御基板302におけるコマンド割込み処理を表すフローチャートである。コマンド割込み処理は、主制御基板301からのコマンドの送信に応じて実行される。
コマンド割込み処理では、まず、主制御基板301からのストローブ信号が正常であるか否かが判定される(S2101)。ストローブ信号が正常であれば、コマンドデータ(通信ヘッダ情報)を取得する(コマンドデータ取得処理S2102)。コマンドデータ取得処理S2102の後に、その内容が正常であるか否かが判定される(S2103)。コマンドデータが正常である場合には、主制御基板301のポート出力処理S213(図8及び図10参照)で変換されたコマンドを含む通信情報を受信し(コマンド受信処理S2104)、コマンド受信処理S2104の後に、リトライカウンタ値が所定のリトライ最大値に変更される(リトライカウンタ値最大化処理S2105)。
判定処理S2101においてストローブ信号が正常でないと判定された場合には、リトライカウンタ値が所定のリトライ最大数に変更される(S2106)。また、判定処理S2103においてコマンドデータが正常でないと判定された場合には、リトライカウンタ値が変更される(リトライカウンタ更新処理S2107)。この変更においては、リトライカウンタ値が1だけ増加する。リトライカウンタ値を変更する処理(S2105,S2106,S2107)の後に、リトライカウンタ値が最大値であるか否かが判定される(S2108)。リトライカウンタ値が最大値である場合には、割込みフラグを読み込む(割込みフラグ読込処理S2109)。割込みフラグ読込処理S2109の後に、リトライカウンタの値が初期値(「0」)にクリアされる(リトライカウンタクリア処理S2110)。リトライカウンタクリア処理S2110の後に、割込みフラグが解除される(割込みフラグクリア処理S2111)。割込みフラグの解除によって、次回のコマンド割込み処理が実行できるようになる。
リトライカウンタ値が最大値でない場合、つまり、ストローブ信号は正常であるがコマンドデータが正常でない場合には、割込みフラグ読込処理S2109、リトライカウンタクリア処理S2110及び割込みフラグクリア処理S2111がスキップされる。なお、所定のタイミングでのコマンドデータの取得は、リトライカウンタ値が所定のリトライ最大値に到達するまで繰り返される。
ここで、コマンド受信処理S2104について、図21を参照して説明する。図21は、コマンド受信処理S2104を表すフローチャートである。コマンド受信処理S2104において、主制御基板301から入力ポートに順次に送信されてきた通信情報をRAMの所定の領域に格納する(通信情報格納処理S2601)。次に、受信した通信情報の第1ワードの情報から変換初期情報が抽出される(変換初期情報抽出処理S2602)。通信情報から抽出された変換初期情報に対して16ビットに対応する線形帰還シフト演算を実行して第1変換情報を生成し(変換情報更新処理S2603)、受信した通信情報コマンドの第2ワードの情報と第1変換情報との排他的論理和演算を実行して第2ワードの情報を変換する(上位ワード変換処理S2604)。これにより、コマンドの上位ワードの情報が抽出される。また、第1変換情報に対して変換情報更新処理S2603と同一の16ビットに対応する線形帰還シフト演算を実行して第2変換情報を生成し(変換情報更新処理S2605)、受信した通信情報コマンドの第3ワードの情報と第2変換情報との排他的論理和演算を実行して第3ワードの情報を変換する(下位ワード変換処理S2606)。これにより、コマンドの下位ワードの情報が抽出され、サブ制御基板302へのコマンドは2ワード(32ビット)のコマンドであるために、コマンドの全体が抽出されることともなる。なお、コマンドの変換態様及び伝達態様については、特徴部分の説明において改めて詳細に説明する。
サブ制御基板302のMPUで実行されるメイン処理について、図22を参照しながら詳細に説明する。図22は、サブ制御基板のメイン処理の一例を表すフローチャートである。
メイン処理では、まず、電源基板300からの内部電力の供給に応じて、サブ制御基板302自身の初期化及びサブ制御基板302に接続された補助表示装置118等の周辺装置の初期化が行われる(初期化処理S2201)。初期化処理S2201の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S2202)。ここで、システム状態は、供給電圧が所定の電圧以下であることを表す電圧低下状態と、サブ制御基板302及びサブ制御基板302に接続された周辺装置が初期化中であることを表す初期化状態と、供給電圧が所定の電圧であって通常遊技を行えることを表す通常状態とを含意する。なお、初期化状態は、初期化処理S2201中に選択される。
判定処理S2202においてシステム状態が電圧低下状態であると判定された場合には、後述するバックアップ処理S2210が実行される。一方、システム状態が電圧低下状態でない場合には、割込みタイマカウンタの値に変更があるか否かが判定される(S2203)。割込みタイマカウンタの値に変更がある場合には、割込みタイマカウンタが更新される(割込みタイマカウンタ更新処理S2204)。割込みタイマカウンタ更新処理S2204において、割込みタイマカウンタの値は1だけ減少する。割込みタイマカウンタ更新処理S2204の後に、後述する短周期タイマ処理S2205が行われる。短周期タイマ処理S2205の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S2206)。システム状態が電圧低下状態でない場合には、主制御基板301からの何らかのコマンドが受信されているか否かが判定される(S2207)。コマンドが受信されている場合には、受信されているコマンドの種類を確認して、コマンドの種類に応じて報知態様を選択する受信コマンド確認処理S2208が行われる。一方、コマンドが受信されていない場合には、受信コマンド確認処理S2208がスキップされる。受信コマンド確認処理S2208の後に、演出の詳細を決定する乱数のベース値が更新される(乱数ベース値更新処理S2209)。乱数ベース値更新処理S2209の後は、判定処理S2202に移行する。システム状態が電圧低下状態でない場合には、上記の各処理(S2202〜S2209)が順次に繰り返し実行される。
判定処理S2202及び判定処理S2206においてシステム状態が電圧低下状態であると判定された場合には、レジスタデータやスタックデータが外部RAMに保存される(バックアップ処理S2210)。バックアップ処理S2210の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S2211)。システム状態が電圧低下状態である場合には、判定処理S2211が繰り返し実行される。一方、電圧低下状態でない場合には、電圧低下状態の解消がノイズ等による誤作動でないことを確認するために所定の時間(本実施形態においては30ms)待機する(ウェイト処理S2212)。ウェイト処理S2212の後に、再度、システム状態が電圧低下状態であるか否かを再度判定する(S2213)。システム状態が電圧低下状態である場合には、判定処理S2211に戻る。一方、システム状態が電圧低下状態でない場合には、内部電力の供給が正常に再開したと判断して、メイン処理を起動するための処理を行う(起動処理S2214)。起動処理S2214の後に、初期化処理S2201に戻り、メイン処理が再開される。
サブ制御基板302のメイン処理における短周期タイマ処理S2205について、図23及び図24を参照しながら詳細に説明する。図23は、短周期タイマ処理を表すフローチャートである。図24は、短周期タイマ処理中において実行される長周期タイマ処理を表すフローチャートである。
タイマ割込み処理が実質的に1msごとに実行されることによって、短周期タイマ処理S2205も実質的に1msごとに実行される。短周期タイマ処理2205では、図23に示されたように、まず、起動時コマンド確認処理S2301が実行される。起動時コマンド確認処理S2301では、起動処理S2214の実行後の2秒以内に主制御基板301から何らかのコマンドを受信しているか否かが確認される。主制御基板301から何らのコマンドも受信していない場合には、主制御基板301の起動が正常に行われなかったと判断してエラー発生を報知する処理が行われる。一方、主制御基板301から何らかのコマンドを受信している場合には、本処理を終了し、デバイス制御処理S2302に移行する。
デバイス制御処理S2302では、受信コマンド確認処理S2208において受信が確認された各種のコマンドに応じて、出力用のデータバッファに蓄積されたデータに基づいて、補助表示装置118、音響装置110、発光装置117等の駆動制御が行われる。具体的には、補助表示装置118に対して、演出表示の出力を指示する演出表示制御信号、エラー表示の出力を指示するエラー表示制御信号等の表示制御信号が送信される。また、音響装置110に対して、演出音声の出力を指示する演出音声制御信号、エラー音声の出力を指示するエラー音声制御信号、精算音声の出力を支持する精算音声制御信号等の音声制御信号と、演出音量を指示する演出音量制御信号、エラー音量を指示するエラー音量制御信号、精算音量を指示する精算音量制御信号等の音量制御信号が送信される。また、発光装置117に対して、演出光の出力を指示する演出光制御信号、エラー光の出力を指示するエラー発光制御信号、精算光の出力を指示する精算発光制御信号等の発光制御信号が送信される。
システム状態変更処理S2303では、システム状態に変化があるか否かが判定され、判定結果に応じて、電圧低下状態を表す電圧低下フラグ及び初期化状態を表す初期化中フラグが設定又は解除される。システム状態に変化があればその変化に応じた処理が実行される。なお、電圧低下フラグ及び初期化中フラグが解除されている場合には、システム状態は通常状態であるとみなされ、本処理は終了する。システム状態変更処理S2303の後に、メダル精算処理S2304が実行される。
メダル精算処理S2304では、クレジットメダルの精算中を表すクレジット精算フラグやベットメダルの精算中を表すベット精算フラグ等の精算フラグが設定されている場合に報知態様を決定する。なお、クレジット精算フラグは、受信コマンド確認処理S2208において、クレジット精算開始コマンドの受信に応じて設定され、クレジット精算終了コマンドの受信に応じて解除される。ベット精算フラグは、同様に、ベット精算開始コマンドの受信に応じて設定され、ベット精算終了コマンドの受信に応じて解除される。
メダル精算処理S2304の後に、降格回避特典数A及び降格回避特典数Bが更新される(降格回避特典管理処理S2305)。具体的には、降格回避特典管理処理S2305では、通常遊技状態においてスイカ役に当選している場合に降格回避特典を付与するか否かが抽選によって決定され、この抽選に当選した場合には、降格回避特典数Aが「1」だけ増加する。一方、降格回避特典が利用された場合には、降格回避特典数Aが「1」だけ減少する。また、ビッグボーナス遊技状態において3択チェリー役が入賞した場合に降格回避特典数Bが「1」だけ増加する。一方、降格回避特典が利用された場合には、降格回避特典数Bが「1」だけ減少する。
降格回避特典管理処理S2305の後に、第1のビッグボーナス役及び第2のビッグボーナス役の当選に応じて、予め、ビッグボーナス遊技状態1(BB遊技状態1:図27参照)及びビッグボーナス遊技状態2の後に、RT遊技状態1及びRT遊技状態2(図27参照)のいずれに移行させるかと、RT遊技状態1及びRT遊技状態2においてAT2状態への昇格条件を満たした場合にART遊技状態B1〜ART遊技状態B3のいずれに移行させるかとが、抽選によって決定される(移行先振分抽選処理S2306)。具体的には、電子的な抽選によって、RT遊技状態1に対応する第1の規定回数A又はRT遊技状態2に対応する第2の規定回数BがART遊技状態B1〜ART遊技状態B3への昇格条件の規定回数として選択され、また、ART遊技状態B1〜ART遊技状態B3に対応する第1の規定回数B1〜ART遊技状態B3に対応する第1の規定回数B1〜第3の規定回数B3がART遊技状態B1〜ART遊技状態B3の継続遊技回数として選択される。なお、移行先振分抽選処理S2306において第1のビッグボーナス役と第2のビッグボーナス役とで移行先の振分確率に特に差異は設けていない。
移行先振分抽選処理S2306の後に、3択ベル役の入賞を補助する情報を報知するAT1状態及び3択チェリー役の入賞を回避させる情報を報知すると共に3択ベル役の入賞を補助する情報を報知するAT2状態の継続管理処理やAT1状態における特殊リプレイ役の当選に基づく報知制御処理が実行される(AT状態中処理S2307)。具体的には、AT状態中処理S2307では、AT1状態(ART遊技状態A)における主制御基板301からの通常遊技状態を表す内部状態コマンドの受信の検知に基づいてAT1状態を終了させる。なお、この内部状態コマンドは、主制御基板301のRT遊技状態終了処理S615におけるRT1状態から通常遊技状態への移行判定に基づいて送信される。また、AT1状態において、特殊リプレイ役の入賞回避特典が利用できるときであって、ベット操作部213が押下操作されたことを表す押し順報知フラグが設定されている場合には、6種の特殊リプレイ役のうちの一種と通常リプレイ役とが同時当選したことを表す特殊リプレイ役当選情報を特殊リプレイ役の入賞を回避して通常リプレイ役を入賞させるための押し順情報に変更するための処理が実行される。なお、押し順報知フラグは、後述の特典利用コマンド処理S2520において設定される。
一方、AT2状態(ART遊技状態B1〜B3)は、移行先振分抽選処理S2306で決定された規定回数の単位遊技が終了した場合に終了する。なお、主制御基板301におけるRT遊技状態終了処理S615においては、RT1状態の終了とは判定されていない。これによって、RT遊技状態1又はRT遊技状態2に戻ることとなる。なお、本実施形態においては、移行先のRT遊技状態として前回と同一のRT遊技状態が選択され、また、ART遊技状態B1〜B3に再度移行する場合にも移行先のRT遊技状態として前回と同一のART遊技状態が選択される。
AT状態中処理S2307の後に、AT1状態及びAT2状態に移行させるか否かが判定される(AT状態開始判定処理S2308)。具体的には、AT状態開始判定処理S2308では、レギュラーボーナス遊技状態(図27参照)の終了に伴うRT1状態への移行に応じて主制御基板301から送信されるAT1状態を表す内部状態コマンドの受信の検知に基づいてサブ制御基板302においてもAT1状態に移行させる。これによってRT1状態とAT1状態とが複合したART遊技状態A(図27参照)となる。また、ビッグボーナス遊技状態(図27参照)の終了に伴うRT2状態において、3択チェリー役が入賞していない状態での規定回数の単位遊技の終了に伴うAT2状態への移行に応じて主制御基板301から送信されるAT2状態を表す内部状態コマンドの受信の検知に基づいてサブ制御基板302においてもAT2状態に移行させる。これによって、RT2状態とAT2状態とが複合したART遊技状態B(図27参照)となる。なお、規定回数の単位遊技の終了前に3択チェリー役が入賞した場合にはAT1状態には移行させない。また、RT2状態であるがAT2状態ではないRT遊技状態1(図27参照)及びRT遊技状態2(図27参照)において、チェリー役の入賞回避特典が利用できるときであって、ベット操作部213が押下操作されたことを表す成立役報知フラグが設定されている場合には、3択チェリー役の何れかに当選したことを表す3択チェリー役当選情報を当選したチェリー役の情報に変更するための処理が実行される。なお、成立役報知フラグは、後述の特典利用コマンド処理S2520において設定される。
電圧監視処理S2309では、電源基板300から供給される内部電力の電圧が所定の電圧以下であるか否かが判定され、内部電圧が所定の電圧以下の場合には、電圧低下フラグが解除されていれば電圧低下フラグが設定され、一方、内部電圧が所定の電圧以下でない場合には、電圧低下フラグが設定されていれば電圧低下フラグが解除される。電圧監視処理S2309の後に、後述する長周期タイマ処理S2310が実行される。
長周期タイマ処理S2310の後に、補助表示装置118、音響装置110、発光装置117等を制御するためのデータが更新される(報知データ変更処理S2311)。報知データ変更処理では、補助表示装置118にエラー表示報知、演出表示報知及び精算表示報知を行わせるための表示データや音響装置110にエラー音響報知、演出音響報知及び精算音響報知を行わせるための音響データ(音量データ及び音声データ)が更新され、更新された表示データや音響データが出力用のデータバッファに格納される。
ここで、長周期タイマ処理S2310について詳細に説明する。長周期タイマ処理S2310では、図24に示されたように、長周期タイマカウンタの値に短周期タイマカウンタの値が加算され、長周期タイマカウンタが更新される(長周期タイマカウンタ加算処理S2401)。長周期タイマカウンタ加算処理S2401の後に、長周期タイマカウンタの値が10以上であるか否かが判定される(S2402)。判定処理S2402によって、概ね短周期タイマカウンタの10回の更新ごとに、以下の処理が実行されることになる。短周期タイマカウンタの更新が概ね1msごとに行われるために、以下の処理は、概ね10msごとに実行されることになる。
判定処理2402において長周期タイマカウンタの値が10未満であると判定された場合には、本処理は終了する。一方、長周期タイマカウンタの値が10以上である場合には、長周期タイマカウンタの値が10だけ減少され、長周期タイマカウンタの値が更新される(長周期タイマカウンタ減算処理S2403)。長周期タイマカウンタ減算処理S2403の後に、サブ制御基板302のROMに保持されている各種の発光装置(発光装置117等)に対する複数の発光パターンを含む発光データテーブルから所望の発光パターンのデータを取り出し、出力用のデータバッファに格納する(発光パターンデータ更新処理S2404)。なお、格納されたデータは短周期タイマ処理S2205におけるデバイス制御処理S2302によって出力される。
発光パターンデータ更新処理S2404の後に、発光演出と音響演出とを同期させるための処理が実行される(発光・音響同期処理S2405)。発光・音響同期処理S2405の後に、音声演出が行われている状況下において、遊技者によって何らかの入力が行われることなく所定の時間(本実施形態では30秒)以上にわたって放置されている場合には、音声演出の音量が小音量に変更される(音響フェードアウト処理S2406)。また、遊技者によって何らかの入力が行われることなく、所定の時間(本実施形態では50秒)以上経過しているかを確認して、デモストレーションフラグを設定する(デモストレーション開始確認処理S2407)。なお、デモストレーションフラグの設定によって、補助表示装置118において所定のデモストレーション演出が開始されることとなる。デモストレーション開始確認処理S2407の後に、音量変更操作装置(図示せず)における音量調節スイッチ(図示せず)の音量設定が確認され、音響装置110に対するエラー報知時や精算報知時や演出時の基準音量が更新される(音量設定処理S2408)。上記の処理過程(長周期タイマカウンタ加算処理S2401〜音量設定処理S2408)を経て、長周期タイマ処理S2310が終了する。
また、受信コマンド確認処理S2208(図22参照)について、図30及び図31を参照しながら詳細に説明する。図25及び図26は、受信コマンド確認処理S2208の一例を表すフローチャートである。なお、図25は、受信コマンド確認処理S2208の前半部分を表し、図26は、その後半部分を表している。
受信コマンド確認処理S2208では、受信されているコマンドの種類が判別される(S2501)。
停止図柄コマンドが受信されている場合には、停止する図柄の種類や停止図柄の組合せ等に応じて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等の所定の装置による停止図柄の種類の報知等が行われる(停止図柄コマンド処理S2502)。
ホッパエラーコマンドやセレクタエラーコマンド等のエラーコマンドが受信されている場合には、エラーコマンドの種類や各種の乱数に応じて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等の所定の装置によるエラー報知の種類の選択等が行われる(エラーコマンド処理S2503)。
初期化コマンドが受信されている場合には、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等のサブ制御基板302に接続されている各種の装置の初期化が行われる(初期化コマンド処理S2504)。
再遊技コマンド、ビッグボーナスコマンド、レギュラーボーナスコマンド等の内部状態コマンドが受信されている場合には、内部状態コマンドの種類や各種の乱数に応じて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択等が行われる(内部状態コマンド処理S2505)。
ビッグボーナス役当選コマンド、レギュラーボーナス役当選コマンド、再遊技役当選コマンド、各種の小役の当選コマンド等の抽選結果コマンドが受信されている場合には、抽選結果コマンドの種類(当選役)や各種の乱数に応じて、演出の種類の選択等が行われる(抽選結果コマンド処理S2506)。
ビッグボーナス入賞コマンド、レギュラーボーナス入賞コマンド、各種の小役の入賞コマンド等の入賞図柄コマンドが受信されている場合には、入賞図柄コマンドの種類や各種の乱数に応じて、各種のLED、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(入賞図柄コマンド処理S2507)。
設定変更コマンドが受信されている場合には、確率設定操作装置等の操作に基づく設定値の報知等が行われる(確率設定値処理S2508)。
入賞図柄パターンの表示された有効ラインに応じた入賞ラインコマンドが受信されている場合には、入賞ラインコマンドや各種の乱数に応じて、各種のLED、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による入賞演出の種類の選択が行われる(入賞ラインコマンド処理S2509)。
定常回転コマンド、各種リールの停止コマンド等の回胴回転情報コマンドが受信されている場合には、回胴回転情報コマンドの種類や各種の乱数に応じて、各種のLED、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(リール回転情報コマンド処理S2510)
獲得メダル数コマンドが受信されている場合には、獲得メダル数に応じて、各種のLED、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(獲得メダル数コマンド処理S2511)。
1ベットコマンド、2ベットコマンド、最大ベットコマンド、ベット数増加コマンド等のベットコマンドが受信されている場合には、ベットコマンドの種類に応じて、各種のLED、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(ベットコマンド処理S2512)。
クレジット数増加コマンド、クレジット数変更コマンド等のクレジットコマンドが受信されている場合には、クレジットコマンドの種類に応じて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(クレジットコマンド処理S2513)。
JAC最大ゲーム数コマンドが受信されている場合には、JAC最大ゲーム数コマンドに応じて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(JAC最大ゲーム数コマンド処理S2514)。
JACIN数コマンドが受信されている場合には、JACIN数コマンドに応じて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(JACラウンド数コマンド処理S2515)。
設定変更コマンドが受信されている場合には、確率設定表示装置等による確率設定値の表示等が行われる(確率設定値情報処理S2516)。
獲得メダル払出開始コマンド、獲得メダル払出終了コマンド、ベット精算開始コマンド、ベット精算終了コマンド、クレジット精算開始コマンド、クレジット精算終了コマンド、クレジット自動精算開始コマンド、クレジット自動精算終了コマンド等のメダル放出コマンドが受信されている場合には、メダル放出コマンドに基づいて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による精算報知の種類の選択等が行われる(メダル放出コマンド処理S2517)。
主制御基板301で決定された演出に関連する演出情報コマンドが受信されている場合には、演出情報コマンドの種類や各種の乱数に基づいて、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による演出の種類の選択が行われる(演出情報コマンド処理S2518)。
ベット数コマンド等のメダル情報コマンドが受信されている場合にはメダル情報コマンドに応じて、外部集中端子板126、発光装置117、音響装置110及び補助表示装置118等による情報報知の種類の選択が行われる(メダル情報コマンド処理S2519)。
ナビゲーションコマンドが受信されている場合には、ART遊技状態Aにおいて降格回避特典が利用できる場合には、通常リプレイ役及び特殊リプレイ役のうち通常リプレイ役を入賞させる左リール171L、中リール171M及び右リール171Rの停止順序を補助表示装置118で報知させるために押し順報知フラグが設定され、また、ART遊技状態B1、ART遊技状態B2及びART遊技状態B3のいずれかのART遊技状態において降格回避特典が利用できる場合には、3種類のチェリー役のうちのいずれの色のチェリー役が成立しているかを補助表示装置118で報知させるために成立役報知フラグが設定される(特典利用コマンド処理S2520)。
ここで、スロット機100の遊技性について簡単に説明する。図27は、遊技進行に伴う遊技状態移行を概念的に表すブロック図である。
図27に示されたように、通常遊技状態においてレギュラーボーナス役([黄7図柄・黄7図柄・黄7図柄])に入賞すると、遊技状態は、通常遊技状態からレギュラーボーナス遊技状態(図中のRB遊技状態)に移行する。その後、レギュラーボーナス遊技状態が終了すると、通常遊技状態よりもリプレイ役の当選確率のみが高確率となったRT1状態と、3択ベル役に当選している場合にいずれのベル役に当選しているかが補助表示装置118等において完全に報知されるAT1状態とが複合したART遊技状態Aに移行する。ここで、「3択ベル役」とは、赤ベル役[赤7図柄,ベル図柄,ベル図柄],青ベル役[青7図柄,ベル図柄,ベル図柄],黄ベル役[黄7図柄,ベル図柄,ベル図柄]の3種類のベル役の総体を意味し、3種類のベル役が同時に当選して1種類のベル役が必ず入賞する役である。ART遊技状態Aにおいて特殊リプレイ役[リプレイ役図柄,ベル図柄,リプレイ役図柄]が入賞した場合や規定回数A(例えば100)の単位遊技が終了した場合に、RT1状態及びAT1状態が終了して、遊技状態がART遊技状態Aから通常遊技状態に移行する。
また、通常遊技状態において第1ビッグボーナス役([赤7図柄・赤7図柄・赤7図柄])及び第2のビッグボーナス役([青7図柄−青7図柄−青7図柄])に入賞すると、それぞれ、ビッグボーナス遊技状態1(図中のBB遊技状態1)及びビッグボーナス遊技状態2(図中のBB遊技状態2)に移行する。なお、ビッグボーナス遊技状態1とビッグボーナス遊技状態2とは実質的に同一の遊技状態である。ビッグボーナス遊技状態1又はビッグボーナス遊技状態2が終了すると、遊技状態が通常遊技状態よりもリプレイ役の当選確率のみが高確率となったRT2状態であるRT遊技状態1又はRT遊技状態2に移行する。なお、RT遊技状態1及びRT遊技状態2のいずれの遊技状態へ移行するかは、第1ビッグボーナス役及び第2ビッグボーナス役の当選時に抽選によって決定される。RT遊技状態1及びRT遊技状態2は単位遊技当たりの期待払出枚数は同一である。RT遊技状態1及びRT遊技状態2において、それぞれ、第1の規定回数(例えば30回)及び第2の規定回数(例えば50回)の単位遊技を終了する前に非完全入賞役である3択チェリー役(赤チェリー役[赤チェリー図柄,*,*],青チェリー役[青チェリー図柄,*,*],黄チェリー役[黄チェリー図柄,*,*];*印は任意の図柄を意味する)のいずれかのチェリー役が入賞した場合には、RT2状態が終了して、遊技状態がRT遊技状態1〜2から通常遊技状態に移行する。一方、RT遊技状態1及びRT遊技状態2において、それぞれ、3択チェリー役のいずれもが1度も入賞することなく第1の規定回数及び第2の規定回数の単位遊技が終了した場合には、RT2状態にAT状態が重複したART遊技状態B1,ART遊技状態B2又はART遊技状態B3に移行する。なお、3種類のART遊技状態B1〜B3のいずれの遊技状態へ移行するかは、第1ビッグボーナス役及び第2ビッグボーナス役の当選時に抽選によって予め決定される。RT遊技状態1とRT遊技状態2とでは、単位遊技当たりの期待払出枚数は同一であるが、規定回数の相違によって3種類のART遊技状態B1〜B3のいずれかの遊技状態への昇格確率が異なっている。
ART遊技状態B1,ART遊技状態B2及びART遊技状態B3の各々において、ART遊技状態Aと同様に3択ベル役のうちいずれのベル役に当選しているかが完全に報知されると共に、通常ベル役と特殊ベル役とに同時に当選している場合には、図28に示されたように、補助表示装置118等においてリール171L,171M、171Rの停止順序を指示する情報が報知される。報知された停止順序に従ってリール171L,171M、171Rを停止させた場合には、有効ラインとはならない中段ラインL1にベル図柄が整列して特殊ベル役に入賞し、報知された停止順序とは異なる順序でリール171L,171M、171Rを停止させた場合には、中段ラインL1以外のラインにベル図柄が整列して、特殊ベル役よりも払い出し枚数の少ない通常ベル役が入賞する。また、3択チェリー役のいずれかに当選した場合には、チェリー役の入賞によってRT2状態が終了することを防止するために、いずれのチェリー役に当選しているかが完全に報知される。ART遊技状態B1、ART遊技状態B2及びART遊技状態B3において、それぞれ、第1の規定回数B1(例えば、50回)、第2の規定回数B2(例えば100回)及び第3の規定回数B3(例えば300回)の単位遊技が終了した場合には、AT2状態が終了して、遊技状態がART遊技状態B1〜B3からRT遊技状態1及びRT遊技状態2のうち前回選択されたRT遊技状態に移行する。ART遊技状態B1〜B3では、単位遊技当たりの期待払出枚数は同一であるが、規定回数の相違によってART遊技状態への移行当たりの期待払出枚数は異なっている。なお、図27には示さないが、ART遊技状態B1,ART遊技状態B2及びART遊技状態B3の各々において、当選したチェリー役の完全な報知によってチェリー役の入賞を阻止できるにも関わらず、いずれかのチェリー役を誤って入賞させてしまった場合にはRT状態2が終了して単なるAT2状態となり、その後の規定回数の単位遊技の終了に伴うAT2状態の終了に応じて通常遊技状態に移行する。
(本発明の特徴部分の構成)
本発明の主たる特徴部分である主制御基板301とサブ制御基板302との間の情報の伝達態様及びそれらに関連する構成について纏めて詳細に説明する。
スロット機100は、既述のように、スロット機100を統括的に制御する主制御基板301と、主制御基板301からのコマンドに基づいて音響装置110、発光装置117及び補助表示装置118を制御するサブ制御基板302とを備えており(図10参照)、主制御基板301及びサブ制御基板302の各々は電源遮断後においても一定の期間(1週間程度)に亘って内部情報を維持できるバックアップ機能を有している。
また、スロット機100において、既述のように、遊技状態として左リール171L、中リール171M及び右リール171Rの停止順序を音響装置110、発光装置117及び補助表示装置118で報知することによって特定の当選役の入賞を支援するAT状態(AT1状態及びAT2状態)を含んでおり、AT状態への移行(図28及び図27参照)は主制御基板301において判断され(RT遊技状態終了処理S615)、主制御基板301からのAT1状態コマンド又はAT2状態コマンド(内部状態コマンドの一種)に基づいてサブ制御基板302においてもAT1状態又はAT2状態に対応する制御が開始されるが(AT状態開始判定処理S2308)、AT状態中における入賞を支援する報知やAT状態の継続の管理についてはサブ制御基板302において独立して行われる(AT状態中処理S2307)。したがって、主制御基板301からサブ制御基板302へ送信されるコマンドにはメダルの獲得に影響を及ぼすコマンドが含まれている。
主制御基板301及びサブ制御基板302の各々は16ビットを単位動作制御ビットとして作動する。また、主制御基板301及びサブ制御基板302との間で16ビットを単位通信制御ビットとして各種の情報が伝達される。主制御基板301からサブ制御基板302へ送信される各種のコマンドは2ワード(32ビット)のコマンドであるために、一回の情報伝達において複数回に分けて連続的にワードデータが送信されたり受信されたりすることになる。また、主制御基板301からサブ制御基板302へ送信される各種のコマンドは、コマンドに対応する情報そのものが伝達されるのではなく、コマンドに対して所定の変換を行った状態で伝達される。
以下において、主制御基板301からサブ制御基板302への伝達態様について図29〜図32を参照して詳細に説明する。図29は、主制御基板及びサブ制御基板においてコマンドを変換するために生成される変換情報の概念的な生成態様を表す説明図であり、図30は、変換情報の具体的な生成態様を表す模式的な説明図であり、図31は、主制御基板301におけるコマンドの変換態様を表す模式的な説明図であり、図32は、サブ制御基板302におけるコマンドの抽出態様を表す模式的な説明図である。
主制御基板301において、サブ制御基板302へコマンドを送信する必要が生じた場合に、当該コマンドは、変換初期情報から図29(A)に示された生成多項式で特定される図29(B)に示されたビット演算(以下において、「線形帰還シフト演算」と称する)により生成される2つの変換情報に基づいて所定の変換をうけ、変換後のコマンドがサブ制御基板302へ送信されることとなる。また、サブ制御基板302において、変換後のコマンドを受信すると、主制御基板301における変換初期情報と同一の情報と線形帰還シフト演算と同一の演算により生成される2つの変換情報に基づいて所定の変換をうけ、変換後のコマンドが主制御基板301における変換前のコマンドに戻されることとなる。
具体的には、図31に示されたように、電源供給の開始後における初回のコマンド通信においては、CPU311から固有IDが取得されて変換初期情報R(1)として設定され(変換初期情報取得処理S1003:図10参照)、変換初期情報R(1)に対する線形帰還シフト演算により第1変換情報R(2)が生成され(変換情報更新処理S1004:図10参照)、更に、第1変換情報R(2)に対する線形帰還シフト演算により第2変換情報R(3)が生成される(変換情報更新処理S1006:図10参照)。
まず、第1変換情報及び第2変換情報の生成態様について説明する。図29(B)に示された線形帰還シフト演算は、演算前の第0ビット(D0)の値を第15ビット(D15)の新たな値とし、演算前の第1ビット(D1)〜第10ビット(D10)の値をそれぞれ1ビットだけ右シフトさせて第0ビット(D0)〜第9ビット(D9)の新たな値とし、演算前の第11ビット(D4)と演算前の第0ビット(D0)との排他的論理和の値を第10ビット(D10)の新たな値とし、演算前の第12ビット(D11)の値を1ビットだけ右シフトさせて第11ビット(D12)の新たな値とし、演算前の第13ビット(D10)と演算前の第0ビット(D0)との排他的論理和の値を第12ビット(D9)の新たな値とし、演算前の第14ビット(D11)と演算前の第0ビット(D0)との排他的論理和の値を第13ビット(D10)の新たな値とし、演算前の第15ビット(D11)の値を1ビットだけ右シフトさせて第14ビット(D10)の新たな値とする演算である。結果的には、図30(A)に示された演算前の値に対して、演算後の値は、演算前の第0ビット(D0)の値(「a」)が「0」の場合には図30(B)に示されたように、値になり、一方、演算前の第0ビット(D0)の値(「a」)が「1」の場合には図30(C)に示された値になる。なお、図30において「a」〜「i」の各々は「0」又は「1」であり、横棒が付された「a」〜「i」の各々はその反転値を表している。
図30(B)に示されたように、演算前の値における第0ビット(D0)の値(「a」)が「0」であれば、演算後の値は、演算前の値を1ビットだけ右にビットシフトして第15ビット(D15)に「0」を設定する1回の右シフト演算を行った場合を表す丸括弧内の値と同一である。また、図30(C)に示されたように、演算前の値における第0ビット(D0)の値(「a」)が「1」であれば、演算後の値は、演算前の値に対する1回の右シフト演算後の値(丸括弧内の上段の値)と生成多項式に対応付けられたタップ値(丸括弧内の下段の値)との排他的論理和をとった値と同一である。なお、「タップ値」とは、生成多項式における各Xの指数部で指定されるビットの値を「1」とし、その他のビットの値を「0」とする値である。なお、生成多項式においては最下位ビットを第1ビットとした場合の標記であるが、本形態では最下位ビットを第0ビットとした標記を採用しているために、生成多項式における各Xの指数部で指定されるビット番号は「1」だけ大きくなようにずれている。
「0」以外の値を初期値として生成多項式(X16+X14+X13+X11+1)に対応する線形帰還シフト演算を繰り返して行えば、「0」以外の値(65535[=216−1]個)を重複することなく順次にとって初期値に戻る周期乱数列Rが生成されることとなる。
つまり、変換初期情報R(1)に対して、変換初期情報R(1)の第0ビットの値が「0」であれば、CPU311において基本演算として用意されている右シフト演算を一回だけ行えば、第1変換情報R(2)が生成され、一方、変換初期情報の第0ビットの値が「1」であれば、右シフト演算を1回だけ行った後にタップ値との排他的論理和をとれば、第1変換情報R(2)が生成される。また、第1変換情報に対して同一の演算を行うことによって、第2変換情報R(3)が生成される。
次に、第1変換情報R(2)及び第2変換情報R(3)によるコマンドの変換態様について説明する。図31に示されたように、コマンドの上位ワードCH(上位16ビット)と第1変換情報R(2)との排他的論理和をとることにより上位ワードCHが変換されて変換上位ワードCH−1となり(上位ワード変換処理S1005:図10参照)、コマンドの下位ワードCL(下位16ビット)と第2変換情報R(3)との排他的論理和をとることにより下位ワードが変換されて変換下位ワードCL−2となる(下位ワード変換処理S1007:図10参照)。これによって、コマンドの全体が変換されることとなる。なお、以下において、変換後のコマンドを変換コマンドとも称する。
次に、変換コマンドをサブ制御基板302へ送信する送信態様について説明する。初回のコマンド通信において、変換初期情報R(1)と変換コマンドとを含む通信情報がサブ制御基板302(図31において「サブ」と略記)へ送信される。具体的には、単位通信制御ビットが16ビットであるために、通信ヘッダ情報(図示せず)に引き続き、通信情報を構成する変換初期情報R(1)と変換上位ワードCH−1と変換下位ワードCL−2とがこの順序で連続して送信される(サブ通信情報出力処理S1008:図10参照)。以上の過程を経て、初回のコマンド通信における送信が完了する。
初回以降のコマンド通信においては、主制御基板301に搭載されたハードウェアカウンタであって当選役を決定するための抽選に用いられる乱数カウンタから値が取得されて、取得値が「0」でない場合には変換初期情報R(i)として設定さる(変換初期情報取得処理S1003:図10参照)。但し、乱数カウンタからの取得値が「0」である場合には「0」以外の値が取得されるまで乱数カウンタからの値の取得が繰り返される。これにより、初回以降のコマンド通信においては、ランダムな値が変換初期情報として設定されることとなる。以降は、初回のコマンド通信と同様に、変換初期情報R(i)に対する線形帰還シフト演算により第1変換情報R(i+1)が生成され(変換情報更新処理S1004:図10参照)、第1変換情報R(i+1)に対する線形帰還シフト演算により第2変換情報R(i+2)が生成される(変換情報更新処理S1006:図10参照)。また、変換初期情報R(i)と第1変換情報R(i+1)により変換された変換上位ワードCH’−1と第2変換情報R(i+2)により変換された変換下位ワードCL’−2とを含む通信情報が送信される。
上記において、説明の便宜上、変換初期情報R(1),R(i)、第1変換情報R(2),R(i+1)及び第2変換情報R(3),R(i+2)は個別にRAM313に記憶されておりコマンドの全体の変換が行われた後に送信されるかのように記載されているが、時系列に沿って説明すれば、RAM313の所定の領域に記憶された変換初期情報R(1),R(i)の送信が開始された後に、当該所定の領域の値が第1変換情報R(2),R(i+1)に書き換えられると共に第1変換情報R(2),R(i+1)に基づいてコマンドの上位ワードCH,CH’の変換が実行される。そして、変換初期情報R(1),R(i)の送信の完了を待って変換上位ワードCH−1,CH’−1の送信が開始される。同様に、第1変換情報R(2),R(i+1)の送信が開始された後に、当該所定の領域の値が第2変換情報R(3),R(i+2)に書き換えられると共に第2変換情報R(3),R(i+2)に基づいてコマンドの下位ワードCL,CL’の変換が実行され、第1変換情報R(2),R(i+1)の送信の完了を待って変換上位ワードCL−1,CL’−1の送信が開始される。
サブ制御基板302においては、図32に示されたように、変換初期情報R(i)、変換上位ワードCH’−1及び変換下位ワードCL’−1を含む通信情報を受信すると(通信情報格納処理S2601:図21参照)、通信情報から変換初期情報R(i)が抽出されて変換初期情報R(i)として設定され(変換初期情報抽出処理S2602:図21参照)、変換初期情報R(i)に対する線形帰還シフト演算により第1変換情報R(i+1)が生成され(変換情報更新処理S2603:図21参照)、更に、第1変換情報R(i+1)に対する線形帰還シフト演算により第2変換情報R(i+2)が生成される(変換情報更新処理S2605:図10参照)。
最後に、第1変換情報R(i+1)及び第2変換情報(i+2)によるコマンドの変換態様について説明する。図32に示されたように、変換上位ワードCH’−1と第1変換情報R(i+1)との排他的論理和をとることにより変換上位ワードCH’−1が変換されてコマンドの上位ワードCH’となり(上位ワード変換処理S2604:図21参照)、変換下位ワードCL’−1と第2変換情報R(i+2)との排他的論理和をとることにより変換下位ワードCL’−1が変換されてコマンドの下位ワードCL’となる(下位ワード変換処理S2606:図21参照)。これによって、変換コマンドの全体が再変換されてコマンドが抽出されることとなる。
上記において、説明の便宜上、通信情報の全体の受信後に、変換初期情報R(i)、第1変換情報R(i+1)及び第2変換情報R(i+2)が生成されてRAM313の個別の領域に記憶され、その後に、コマンドが抽出されるかのように記載されているが、時系列に沿って説明すれば、変換初期情報(i)を受信すると、RAM313の所定の領域の値が書き換えられ、第1変換情報R(i+1)が生成されて当該所定の領域の値が更に書き換えられ、変換上位ワードCH’−1の受信を待つ。変換上位ワードCH’−1を受信すると、第1変換情報R(i+1)に基づいて変換上位ワードCH’−1の変換が実行されると共に第2変換情報R(i+2)が生成されて当該所定の領域の値が書き換えられ、変換下位ワードCL’−1の受信を待つ。同様に、変換下位ワードCL’−1を受信すると、第2変換情報R(i+2)に基づいてコマンドの変換下位ワードCL’−1の変換が実行される。
上記のスロット機100であれば、主制御基板301からサブ制御基板302へ伝達されるコマンドそのものの情報が送受信されるのではないために、主制御基板301からサブ制御基板302へ送信される通信情報から各種のコマンドを識別することが困難になり、安全に各種のコマンドを伝達できる。これにより、AT1状態コマンドやAT2状態コマンド等のようにメダルの払い出しに関して遊技者にとって有利な状態にするコマンドをサブ制御基板302に不正に送信することにより、有利に遊技を進めて過剰にメダルを獲得するような不正行為も抑制できる。このため、遊技者にとって有利な状態にするためのコマンド等を含む犯罪者に知られたくないコマンドを、その通信ごとに異なる値を組み合わせたコマンドに変換して通信することができる。
また、スロット機100であれば、主制御基板301からサブ制御基板302へ伝達される各種のコマンドが2つの変換情報に基づいて分割的に変換されるために、通信情報から各種のコマンドを識別することが更に困難になる。また、2つの変換情報が共通の変換初期情報を元にして異なる値に生成されるので、コマンドの通信に必要なデータ量は抑制しつつ、変換元となるコマンドを複雑に変換して不正目的の解析を困難にすることができる。
また、スロット機100であれば、変換コマンドから変換前のコマンドを抽出するために必要な第1変換情報及び第2変換情報そのものが送受信されるのではないために、各種の変換情報を変換コマンドと共に送信する場合に比べて安全に各種のコマンドを伝達できる。
また、スロット機100であれば、初回のコマンド通信に対する変換初期情報としてCPU311の固有IDを用いるために、主制御基板301の立ち上げ時であって乱数カウンタが動作を開始していない場合であってもコマンドを送信できる。更に、通常、CPU311の固有IDとして「0」が設定されることはないために、確実に、変換初期情報として機能することとなる。また、CPU311の固有IDを用いて変換情報を生成するので、同一メーカーの同一機種であっても、共通のコマンドを異なるコマンドに変換して通信することができる。このため、例えば、隣り合って設置される多数のスロット機100等、複数のスロット機100からから送信される同一のコマンドを各々異なるコマンドに変換して通信することができる。
また、スロット機100であれば、主制御基板301及びサブ制御基板302における各種の変換情報の生成、並びに、主制御基板301におけるコマンドの変換及びサブ制御基板302における変換コマンドの変換において、ビット演算のみを用いているために、加減乗除の演算等のビット演算以外の演算を行う場合に比べて極めて高速に演算でき、主制御基板301におけるコマンドの送信及びサブ制御基板302における変換コマンドの受信の遅延を極めて良好に抑制できる。
〔実施形態2〕
実施形態2のスロット機は、実施形態1のスロット機100が主制御基板301からサブ制御基板302への情報通信において、連続する2回の情報通信に対する変換初期情報がランダムに設定される構成であったのに対して、連続する2回の情報通信に対する変換初期情報が所定の関連性を有する構成である。
以下においては、スロット機100と実質的に同一の構成部分については同一参照符号を付すこととして重複する記載を省略し、スロット機100との相違箇所について図33〜図38を参照して詳細に説明する。図33及び図34は、それぞれ、主制御メイン処理及びポート出力処理を表すフローチャートであり、図35及び図36は、それぞれ、初期化を伴う電源供給の開始後の初回のコマンド通信におけるコマンドの変換態様及び抽出態様を表す説明図であり、図37及び図38は、それぞれ、初期化を伴わない電源供給の開始後の初回のコマンド通信におけるコマンドの変換態様及び抽出態様を表す説明図である。
実施形態2のスロット機において、実施形態1のスロット機100に対して、図33に示されたように、主制御基板301のメイン処理において、確率設定選択処理S406の後に、変換初期情報設定処理S418と初期化コマンド設定処理S419とが新たに実行される。変換初期情報設定処理S418においては、CPU311の固有IDが取得されて変換初期情報として設定され、また、初期化コマンド設定処理S419においては、変換初期情報をサブ制御基板302に伝達するために、変換初期情報を含む初期化コマンド(1ワードのコマンド)が設定される。また、実施形態1のスロット機100のポート出力処理S213に代えて図34に示されたポート出力処理S213’が実行される。ポート出力処理S213’においてはサブ制御基板302へのコマンドが2ワードであるか1ワードであるかを判定する判定処理S1009が新たに実行されると共に、実施形態1のポート出力処理S213における変換初期情報取得処理S1003(図10参照)は実行されない。これらの変更により、2ワードのコマンドは、実施形態1と同様に変換初期情報から生成される各種の変換情報により変換されてサブ制御装置302に送信されることとなるが、1ワードのコマンドは、変換されずにサブ制御装置302に送信される。
確率設定の変更が行われ、RAMに記憶されている情報が初期化される場合に、サブ制御基板302への変換初期情報の伝達が一度だけ実行される。また、サブ制御基板302へのコマンドが2ワードのコマンドである場合には、実施形態1と同様に変換されたコマンドが送信されることとなり、1ワードのコマンドである場合には、各種の変換情報によって変換されることなく送信される。
ここで、主制御基板301からサブ制御基板302への伝達態様について電源供給の開始時に初期化や設定変更が行われる場合とそれらが行われない場合とを順次に説明する。
まず、スロット機へ電源の供給が開始され、主制御基板301において、バックアップされているRAM313の各種の情報が初期化されると共に確率設定の変更が行われると(S404:Y,強制的RAMクリア処理S405,確率設定選択処理S406)、図35及び図36に示されたように、CPU311から固有IDが取得されて変換初期情報R(1)として設定される(変換初期情報取得処理S418:図33参照)。その後、1ワード用の送信ヘッダ(図示せず)に引き続き、変換初期情報R(1)が送信される(S1009:N,S1008)。
まず、電源供給の開始時に電源供給の開始後における初回の2ワードコマンド通信において、実施形態1の場合と同様に、変換初期情報R(1)から線形帰還シフト演算により第1変換情報R(2)及び第2変換情報R(3)が生成され、第1変換情報R(2)及び第2変換情報R(3)によりコマンドの上位バイトCH及び下位バイトCLが変換される。そして、サブ制御基板302へは、2ワード用の送信ヘッダに引き続き、変換上位バイトCH−1及び変換下位バイトCL−1が送信される。なお、実施形態1の場合と異なり、変換初期情報R(1)は、予め送信済みであり、変換上位バイトCH−1及び変換下位バイトCL−1と共には送信されない。
第2回の2ワードコマンド通信において、図35に示されたように、初回の2ワードコマンド通信に対する第2変換情報R(3)に対して線形帰還シフト演算が実行されて第2回の2ワードのコマンド通信に対する第1変換情報R(4)が生成されると共に第1変換情報R(4)に対して線形帰還シフト演算が実行されて第2変換情報R(5)が生成される。また、実施形態1の場合と同様に、第1変換情報R(4)及び第2変換情報R(5)によりコマンドの上位バイトCH’及び下位バイトCL’が変換され、変換上位バイトCH’−1及び変換下位バイトCL’−1がサブ制御基板302へ送信される。
サブ制御基板302において、図36に示されたように、電源供給の開始に伴い主制御基板301から送信された変換初期情報R(1)を記憶する。初回の2ワードコマンド通信において、予め送信されている変換初期情報R(1)に対して線形帰還シフト演算が実行されて初回の2ワードのコマンド通信に対する第1変換情報R(2)が生成されると共に第1変換情報R(2)に対して線形帰還シフト演算が実行されて第2変換情報R(3)が生成される。その後は、実施形態1の場合と同様に、第1変換情報R(2)及び第2変換情報R(3)により主制御基板301から送信されてくる変換上位バイトCH’−1及び変換下位バイトCL’−1を第1変換情報R(2)及び第2変換情報R(3)により変換してコマンドの変換上位バイトCH−1及び変換下位バイトCL−1が抽出される。初回の2ワードコマンド通信において、主制御基板301における場合と同様に、初回の2ワードコマンド通信に対する第2変換情報R(3)に対して線形帰還シフト演算が実行されて第2回の2ワードのコマンド通信に対する第1変換情報R(4)が生成されると共に第1変換情報R(4)に対して線形帰還シフト演算が実行されて第2変換情報R(5)が生成されることとなる。
以上のように、電源供給の開始時に初期化や設定変更が行われる場合には、主制御基板301からサブ制御基板302へ初回の2ワードコマンド通信に先立ち予め一度だけ変換初期情報R(1)を送信することによって、主制御基板301とサブ制御基板302との間で変換初期情報の共通化を図り、その後は、主制御基板301とサブ制御基板302とで個別に各種の変換情報の生成が制御されることとなる。
スロット機へ電源の供給が開始され、主制御基板301において、バックアップされているRAM313の各種の情報の初期化及び確率設定の変更が行われないと(S404:N,強制的RAMクリア処理S405及び確率設定選択処理S406のスキップ)、図37及び図38に示されたように、前回の電源遮断の直前の2ワードコマンド通信に対する第2変換情報R(j)が電源供給の開始後の初回の2ワードコマンド通信に対する変換初期情報として利用される。なお、変換初期情報はサブ制御基板302へ送信されない。
また、サブ制御基板302においても、図37及び図38に示されたように、前回の電源遮断の直前の2ワードコマンド通信に対する第2変換情報R(j)が電源供給の開始後の初回の2ワードコマンド通信に対する変換初期情報として利用される。なお、主制御基板301及びサブ制御基板302において、変換初期情報の設定態様が異なること以外は、電源供給の開始時に初期化や設定変更が行われる場合と同様に動作する。
本実施形態2のスロット機であれば、上記の実施形態1のスロット機100と同様の効果を奏する。更に、主制御基板301とサブ制御基板302とで各回の2ワードコマンド通信に対する各種の変換情報が独立して管理されるために、主制御基板301以外からサブ制御基板302に仮に正しい通信情報が不正に送信されたとしても、主制御基板301から正規の通信情報が送信された際にサブ制御基板302において当該通信情報から正しくコマンドを抽出できないこととなり、サブ制御基板302に不正にコマンドが送信されたことを検知できる。
上記の実施形態1においては、コマンド通信ごとの変換初期情報として当選役を決定する乱数カウンタを援用する構成について説明したが、主制御基板301に搭載されている他のハードウェアカウンタやハードウェアタイマ等やMPU310やCPU311に内在しているハードウェアカウンタやハードウェアタイマを援用する構成とすることもでき、また、変換初期情報を更新するために新たにハードウェアカウンタやハードウェアタイマを設ける構成とすることもできる。
上記の実施形態2においては、変換初期情報としてCPU311の固有IDを用いる構成について説明したが、スロット機ごとに異なる他の内部情報に基づいて変換初期情報を設定する構成とすることもでき、また、実質的に絶え間なく値が変化するように利用されているカウンタの値に基づいて変換初期情報を設定する構成とすることもできる。また、スロット機の個体ごとに異なる値が設定される構成であることが好ましいが、スロット機の個体ごとに異ならない値が設定される構成であってもよい。
上記の実施形態1及び実施形態2においては、演出や入賞を補助するサブ制御基板302へのコマンドに対して所定の変換を行ったコマンドを送信する構成について説明したが、他の制御基板、例えば、メダル等の遊技媒体の払い出しを制御する払出制御基板を有する遊技機における払出制御基板への払出コマンドや貸出コマンド等のコマンドに対して所定の変換を行ったコマンドを送信する構成とすることもできる。
上記の実施形態1及び実施形態2においては、メダルを遊技媒体とする回胴式遊技機のコマンド通信において、所定の変換を行ったコマンドを送信する構成について説明したが、球体を遊技媒体とする回胴式遊技機や弾球遊技機におけるコマンド通信に対して適用する構成とすることもできる。更に、遊技機と通信可能な装置との通信に対して適用する構成とすることもでき、例えば、封入式の弾球遊技機のように、通常遊技において遊技媒体が遊技機の外部に払い出されず、電子的に遊技球の貯留数を増減させる構成であり、電子的に貯留された遊技球を精算する精算装置との通信に対して適用する構成が挙げられる。
〔実施形態3〕
実施形態3のスロット機は、実施形態1のスロット機100が第1変換情報及び第2変換情報の生成において変換初期情報に対する固定回数の線形帰還シフト演算により生成される構成であったのに対して、線形帰還シフト演算の演算回数を変換初期情報の一部の情報に基づいて動的に変化させる構成である。
以下においては、スロット機100と実質的に同一の構成部分については同一参照符号を付すこととして重複する記載を省略し、スロット機100との相違箇所について図39及び図40を参照して詳細に説明する。図39は、コマンドの変換態様を表す説明図であり、図40は、変換初期情報と第1変換情報及び第2変換情報並びに変換上位ワード及び変換下位ワードとの相関を表す説明図である。
変換初期情報の第0ビットの値に基づいて変換初期情報から第1変換情報を生成するための線形期間シフト演算の回数を変化させ、また、変換初期情報の第1ビットの値に基づいて変換初期情報から第1変換情報を生成するための線形期間シフト演算の回数を変化させる。具体的には、変換初期情報の第0ビットが「0」である場合には、上記の実施形態1の場合と同様に変換初期情報に対して1回の線形帰還シフト演算により生成される値が第1変換情報となり、変換初期情報の第0ビットが「1」である場合には、変換初期情報に対して2回の線形帰還シフト演算により生成される値が第1変換情報となる。また、変換初期情報の第1ビットが「0」である場合には、上記の実施形態1の場合と同様に第1変換情報に対して1回の線形帰還シフト演算により生成される値が第2変換情報となり、変換初期情報の第1ビットが「1」である場合には、変換初期情報に対して2回の線形帰還シフト演算により生成される値が第2変換情報となる。
例えば、変換初期情報の下位2ビットが「11」である場合には、図39に示されたように、変換初期情報の値R(i)に対する線形帰還シフト演算により生成される値R(i+1)に対して更に線形帰還シフト演算を行うことにより、第1変換情報としての値R(i+2)が生成される。また、第1変換情報の値R(i+2)に対する線形帰還シフト演算により生成される値R(i+3)に対して更に線形帰還シフト演算を行うことにより、第2変換情報としての値R(i+4)が生成される。これにより、第1変換情報としての値R(i+2)によりコマンドの上位ワードCH’が変換された変換上位ワードCH’−2と、第2変換情報としての値R(i+4)によりコマンドの下位ワードCL’が変換された変換下位ワードCL’−4とを含む通信情報が主制御基板301から送信されることとなる。また、当該通信情報を受信したサブ制御基板302においては、通信情報に含まれる変換初期情報から第1変換情報としての値R(i+2)及び第2変換情報としての値R(i+4)が生成され、値R(i+2)に基づいて通信情報に含まれる変換上位ワードCH’−2からコマンドの上位ワードが復元され、値R(i+4)に基づいて通信情報に含まれる変換上位ワードCH’−2からコマンドの上位ワードが復元される。
なお、図40に示されたように、変換初期情報の下位2ビットが「00」である場合には、上記の実施形態1の場合と同様に、第1変換情報及び第2変換情報として、それぞれ、値R(i+1)及び値R(i+2)が用いられ、値R(i+1)に基づいて変換された変換上位ワードCH’−1と値R(i+2)に基づいて変換された変換下位ワードCL’−2とを含む通信情報が送信されることとなる。また、変換初期情報の下位2ビットが「01」である場合には、第1変換情報及び第2変換情報として、それぞれ、値R(i+2)及び値R(i+3)が用いられ、値R(i+2)に基づいて変換された変換上位ワードCH’−2と値R(i+3)に基づいて変換された変換下位ワードCL’−3とを含む通信情報が送信されることとなり、変換初期情報の下位2ビットが「10」である場合には、第1変換情報及び第2変換情報として、それぞれ、値R(i+1)及び値R(i+3)が用いられ、値R(i+1)に基づいて変換された変換上位ワードCH’−1と値R(i+3)に基づいて変換された変換下位ワードCL’−3とを含む通信情報が送信されることとなる。
本実施形態3の構成であれば、通信情報に含まれる変換初期情報から変換上位ワードをコマンドの上位ワードCH’に正常に変換するための第1変換情報や変換下位ワードをコマンドの下位ワードCL’に正常に変換するための第2変換情報を推測することが上記の実施形態1の場合よりも困難となるために、主制御基板301からサブ制御基板302へ送信される通信情報から各種のコマンドを識別することが更に困難になり、各種のコマンドを更に安全に伝達できる。
上記の実施形態3においては、変換初期情報の第0ビット(最下位ビット)の値に基づき第1変換情報を生成するための線形帰還シフト演算の繰り返し回数を「1」又は「2」とすると共に変換初期情報の第1ビットの値に基づき第2変換情報を生成するための線形帰還シフト演算の繰り返し回数を「1」又は「2」とする場合について説明したが、各変換情報の生成において繰り返し回数が異なる限りにおいて他の回数を設定する構成とすることができ、また、参照するビットは他のビットの値に基づいて変化させる構成とすることができる。なお、繰り返し回数を最小回数に設定する構成とした場合には、第1変換情報及び第2変換情報の生成に伴う制御処理の負担及び時間の増加を最小限に留めることができる。また、変換情報を生成するために少なくとも必要な線形帰還シフト演算においてキャリービットとして取り出される第0ビット(線形帰還シフト演算におけるシフト側の先端のビット)の値に基づいて付加的な線形帰還シフト演算の必要性を判断する構成とした場合には、特定のビットの値を導出するための他の演算が不要であり、第0ビット以外のビットの値に基づいて変換情報を生成するための線形帰還シフト演算の必要性を判断する場合よりも制御処理が簡素化できる。
また、上記の実施形態3においては、第1変換情報及び第2変換情報の双方の生成において、変換初期情報の一部の情報に基づいて線形帰還シフト演算の繰り返し回数を変化させる構成について説明したが、少なくとも一方の生成に対して線形帰還シフト演算の繰り返し回数を変化させる構成とすることができる。
上記の実施形態3においては、上記の実施形態1に対して第1変換情報及び第2変換情報を変換初期情報の一部の情報に基づいて動的に変化させる構成を適用する場合について説明したが、上記の実施形態2に対して適用することもできる。但し、実施形態2に適用する場合には、初回以外の2ワードコマンド通信に対しては、「変換初期情報」及び識別文字「i」をそれぞれ「前回の2ワードコマンド通信における第2変換情報」及び識別文字「j」と読み替えることとする。なお、上記の実施形態2の構成において複数回の2ワードコマンド通信の傍受に基づく第1変換情報及び第2変換情報の推測の困難性については上記の第1の実施形態よりも劣るために、上記の実施形態3のように第1変換情報及び第2変換情報を動的に変化させる構成を適用することが更に好ましい。
以下、上記した各種の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、理解の容易のために上記の各種の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜に示すこととするが、当該括弧書き等で示した具体的な構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用することができる。
従来の典型的な遊技機において、始動入賞装置への遊技球の入賞を契機として抽選が行われ、表示装置の表示画面にて絵柄の変動表示が行われる。また、抽選の結果が当選である場合には表示画面にて特定絵柄の組み合わせ等が最終停止表示され、遊技者にとって有利な利益遊技状態へ移行する。この利益遊技状態には、特別遊技状態における継続ラウンド数や特別遊技状態の後に通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態を付随させるか否か等が異なる複数種類の遊技態様が設定されている。上記の遊技機において遊技態様を多様化させているものの、遊技の興趣向上を図る観点から未だ改良の余地がある。
<特徴A1>
発明A群に係る遊技機は、
第1の制御装置(例えば、主制御基板301)と、前記第1の制御装置と通信可能な第2の制御装置(例えば、サブ制御基板302)とを備える遊技機であって、
前記第1の制御装置は、通信ごとに更新される基礎情報(例えば、変換初期情報)から生成される複数種類の特定情報(例えば、第1変換情報及び第2変換情報)に基づいて所定の条件の成立に伴う指示情報(例えば、コマンド)を変換することにより変換指示情報(変換コマンド)を生成し、前記基礎情報と前記変換指示情報とを含む通信情報を前記第2の制御装置へ送信する情報送信手段(例えば、ポート出力処理S213)を含み、
前記第2の制御装置は、前記第1の制御装置からの前記通信情報を受信し、当該通信情報に含まれる前記基礎情報から生成される複数種類の特定情報に基づいて前記通信情報に含まれる前記変換指示情報を変換することにより前記指示情報を抽出する情報受信手段(例えば、コマンド受信処理S2104)を含む、
ことを特徴としている。
特徴A1の構成であれば、第1の制御装置から第2の制御装置へ伝達される指示そのものが送受信されるのではないために、第1の制御装置から第2の制御装置へ実際に送信される通信情報から各種の指示情報を識別することが困難になり、安全に各種の指示情報を伝達できる。これにより、遊技者にとって有利な状態にする指示情報を第2の制御装置に不正に送信して過剰にメダルを獲得するような不正行為も抑制できる。また、第1の制御装置から第2の制御装置へ伝達される各種の指示情報が複数の特定情報に基づいて分割的に変換されるために、通信情報から各種の指示情報を識別することが更に困難になる。また、変換指示情報から変換前の指示情報を抽出するために必要な複数種類の特定情報そのものが実際に送受信される通信情報に含まれるわけではないために、各種の特定情報が通信情報に含まれる場合に比べて安全に各種の指示情報を伝達できる。
<特徴A2>
特徴A1に記載の遊技機において、
前記情報送信手段は、
前記基礎情報を更新する基礎情報更新手段(例えば、乱数カウンタ及び変換初期情報取得処理S1003)と、
前記基礎情報更新手段で更新される前記基礎情報から所定のビット演算(例えば、線形帰還シフト演算)を繰り返して前記複数種類の特定情報の各々を生成する特定情報生成手段(例えば、変換情報更新処理S1004及び変換情報更新処理S1006)と、
前記特定情報生成手段で生成される前記複数種類の特定情報に基づいて前記指示情報を変換して、前記変換指示情報として前記複数種類の特定情報の各々により変換された部分を含む複合変換指示情報を生成する変換手段(例えば、上位ワード変換処理S1005及び下位ワード変換処理S1007)と、
前記通信情報として前記基礎情報更新手段で更新された前記基礎情報及び前記複合変換指示情報を含む通信情報を生成する通信情報生成手段(例えば、サブ通信情報出力処理S1008)と、
前記通信情報生成手段で生成される前記通信情報を送信する通信情報送信手段(例えば、入出力ポート314)と、
を含み、
前記情報受信手段は、
前記通信情報送信手段から送信される前記通信情報を受信する通信情報受信手段(例えば、通信情報格納処理S2601)と、
前記通信情報受信手段により受信した前記通信情報に含まれる前記基礎情報から前記所定のビット演算を繰り返して前記複数種類の特定情報を生成する特定情報再生手段(例えば、変換初期情報抽出処理S2602、変換情報更新手段S2603及び変換情報更新手段S2605)と、
前記特定情報再生手段で生成される前記複数種類の特定情報に基づいて前記通信情報受信手段により受信した前記通信情報に含まれる前記複合変換指示情報を変換することにより前記指示情報を抽出する指示情報抽出手段(例えば、上位ワード変換処理S2604及び下位ワード変換処理S2606)と、
を含む、
構成であることが好ましい。
特徴A2の構成であれば、第1の制御装置及び第2の制御装置における各種の特定情報の生成においてビット演算のみを用いているために、加減乗除の演算等のビット演算以外の演算を行う場合に比べて極めて高速に演算でき、第1の制御装置における指示情報の送信の遅延及び第2の制御装置における変換指示情報の受信の遅延を極めて良好に抑制できる。
<特徴A3>
特徴A2に記載の遊技機において、
前記第1の制御装置は、少なくとも1種類の利益役の当否を抽選するための乱数カウンタを含み、
前記基礎情報更新手段は、通信ごとに前記乱数カウンタの値を取得して前記基礎情報に設定する、
構成であることが好ましい。
特徴A3の構成であれば、基礎情報を更新するための乱数カウンタとして利益役の当否を抽選するために乱数カウンタを援用しているために、第1の制御装置や第2の制御装置等の構造を複雑にすることなく基礎情報を簡便に更新できる。
<特徴A4>
特徴A2に記載の遊技機において、
前記第1の制御装置は、
固有識別番号(例えば、固有ID)を有する中央演算装置(例えば、CPU311)と、
少なくとも1種類の利益役の当否を抽選するための乱数カウンタと、
を含み、
前記基礎情報更新手段は、初回の通信において前記中央演算装置の固有識別番号の少なくとも一部を取得して前記基礎情報に設定し、初回以降の通信ごとに前記乱数カウンタの少なくとも一部の値を取得して前記基礎情報に設定する、
構成であることが好ましい。
特徴A4の構成であれば、初回の通信に対する基礎情報として中央演算装置の固有識別番号を用いるために、第1の制御装置の立ち上げ時であって乱数カウンタが動作を開始していない場合であっても確実に指示情報を伝達できる。更に、通常、中央演算装置の固有識別番号として「0」が設定されることはないために、基礎情報として確実に機能することとなる。また、各回の通信において基礎情報をランダムな値に設定できるために、通信情報から各種の指示情報を識別することが更に困難になる。
<特徴B1>
第1の制御装置(例えば、主制御基板301)と、前記第1の制御装置と通信可能な第2の制御装置(例えば、サブ制御基板302)とを備える遊技機であって、
前記第1の制御装置は、基礎情報(例えば、変換初期情報)から生成される第1の特定情報(例えば、第1変換情報)に基づいて所定の条件の成立に伴う指示情報(例えば、コマンド)を変換することにより生成される変換指示情報(変換コマンド)を含む通信情報を前記第2の制御装置へ送信する情報送信手段(例えば、ポート出力処理S213’)を含み、
前記第2の制御装置は、前記第1の制御装置からの前記通信情報を受信し、通信ごとに更新される第2の基礎情報から生成される特定情報に基づいて前記通信情報に含まれる前記変換指示情報を変換することにより前記指示情報を抽出する情報受信手段(例えば、コマンド受信処理S2104)を含み、
前記情報送信手段は、前回の通信に対応する第1の特定情報から少なくとも1回の所定の演算に基づいて今回の通信に対応する前記基礎情報を生成し、今回の通信に対応する前記基礎情報から少なくとも1回の前記所定の演算(例えば、線形帰還シフト演算)に基づいて今回の通信に対応する前記第1の特定情報を生成し、
前記情報受信手段は、前回の通信に対する第2の特定情報から前記情報送信手段における前記所定の演算と同一回数の同一演算に基づいて今回の通信に対応する前記基礎情報を生成し、当該基礎情報から前記情報送信手段における前記所定の演算と同一回数の同一の演算に基づいて前記第2の特定情報を生成し、
前記第1の制御装置における前記第1の基礎情報と前記第2の制御装置における前記第2の基礎情報とを共通化する基礎情報共通化手段(例えば、変換初期情報設定処理S418及び初期化コマンド設定処理S419)を含む、
ことを特徴としている。
特徴B1の構成であれば、第1の制御装置から第2の制御装置へ伝達される指示そのものが送受信されるのではないために、第1の制御装置から第2の制御装置へ実際に送信される通信情報から各種の指示情報を識別することが困難になり、安全に各種の指示情報を伝達できる。これにより、遊技者にとって有利な状態にする指示情報を第2の制御装置に不正に送信して過剰にメダルを獲得するような不正行為も抑制できる。また、変換指示情報から変換前の指示情報を抽出するために必要な特定情報を各通信において変換指示情報と共に送信する必要が無いために安全に各種の指示情報を伝達できる。また、第1の制御装置と第2の制御装置とで各回の通信に対する特定情報が独立して管理されるために、主制御基板301以外から通信情報が不正に送信されたとしても、その後に第1の制御装置から通信情報が送信されればサブ制御基板302において当該通信情報から正しく指示情報を抽出できないこととなり、第2の制御装置に通信情報が不正に送信されたことを検知できる。
<特徴B2>
特徴B1に記載の遊技機において、
前記基礎情報共通化手段は、
前記第1の制御装置において前記第1の基礎情報に所定の初期情報を設定する初期情報設定手段と(例えば、変換初期情報設定処理S418)、
前記初期情報設定手段で設定される前記第1の基礎情報を前記第2の制御装置へ送信する初期情報送信手段(例えば、ポート出力処理S213’)と、
前記第2の制御装置において前記第1の制御装置から送信される前記第1の基礎情報を受信する初期情報受信手段(例えば、コマンド割込み処理)と、
前記第2の制御装置において前記第1の制御装置から送信される前記第1の基礎情報を前記第2の基礎情報に設定する初期情報共通設定手段(例えば、通信情報格納処理S2601)と、
を含む、
構成であることが好ましい。
特徴B2の構成であれば、確実に、第1の制御装置における第1の基礎情報と第2の制御装置における第2の基礎情報とを共通化できる。
<特徴B3>
特徴B2に記載の遊技機において、
前記第1の制御装置は、少なくとも1種類の利益役の当否を抽選するための乱数カウンタを含み、
前記初期情報設定手段は、電源供給の開始に伴う前記第1の制御装置の立ち上げにおいいて、前記乱数カウンタの少なくとも一部の値を前記所定の初期情報として取得する、
構成であることが好ましい。
特徴B3の構成であれば、基礎情報を更新するための乱数カウンタとして利益役の当否を抽選するために乱数カウンタを援用しているために、第1の制御装置や第2の制御装置等の構造を複雑にすることなく基礎情報を簡便に更新できる。
<特徴B4>
特徴B2に記載の遊技機において、
前記第1の制御装置は、固有識別番号(例えば、固有ID)を有する中央演算装置(例えば、CPU311)を含み、
前記初期情報設定手段は、電源供給の開始に伴う前記第1の制御装置の立ち上げにおいて、前記中央演算装置の前記固有識別番号を前記所定の初期情報として取得する、
構成であることが好ましい。
特徴B4の構成であれば、初回の通信に対する基礎情報として中央演算装置の固有識別番号を用いるために、第1の制御装置の立ち上げ時であって乱数カウンタが動作を開始していない場合であっても確実に指示情報を伝達できる。更に、通常、中央演算装置の固有識別番号として「0」が設定されることはないために、基礎情報として確実に機能することとなる。また、各回の通信において基礎情報をランダムな値に設定できるために、通信情報から各種の指示情報を識別することが更に困難になる。
<特徴B5>
特徴B2に記載の遊技機において、
前記第1の制御装置は、
少なくとも1種類の利益役の当否を抽選するための乱数カウンタと、
内部状態を初期化する初期化手段と、
を含み、
前記初期情報設定手段は、電源供給の開始に伴う前記第1の制御装置の立ち上げにおいて、前記初期化手段により前記内部状態を初期化した場合に前記乱数カウンタの少なくとも一部の値を前記所定の初期情報として取得し、前記内部状態が初期化されない場合に前回の電源供給の遮断の直前の通信に対応する第1の特定情報から前記情報送信手段における前記所定の演算と同一回数の同一演算に基づいて前記所定の初期情報を生成する、
構成であることが好ましい。
特徴B5の構成であれば、基礎情報を更新するための乱数カウンタとして利益役の当否を抽選するために乱数カウンタを援用しているために、第1の制御装置や第2の制御装置等の構造を複雑にすることなく基礎情報を簡便に更新できる。
<特徴B6>
特徴B2に記載の遊技機において、
前記第1の制御装置は、
固有識別番号を有する演算装置と、
前記内部状態を初期化する初期化手段と、
を含み、
前記初期情報設定手段は、電源供給の開始に伴う前記第1の制御装置の立ち上げにおいて、前記初期化手段により前記内部状態を初期化した場合に前記演算装置の前記固有識別番号の少なくとも一部を取得して前記基礎情報に設定し、前記内部状態が初期化されない場合に前回の電源供給の遮断の直前の通信に対応する第1の特定情報から前記情報送信手段における前記所定の演算と同一回数の同一演算に基づいて前記所定の初期情報を生成する、
構成であることが好ましい。
特徴B6の構成であれば、初回の通信に対する基礎情報として中央演算装置の固有識別番号を用いるために、第1の制御装置の立ち上げ時であって乱数カウンタが動作を開始していない場合であっても確実に指示情報を伝達できる。更に、通常、中央演算装置の固有識別番号として「0」が設定されることはないために、基礎情報として確実に機能することとなる。また、各回の通信において基礎情報をランダムな値に設定できるために、通信情報から各種の指示情報を識別することが更に困難になる。
<特徴C1>
発明C群に係る遊技機は、
第1の制御装置(例えば、主制御基板301)と、前記第1の制御装置と通信可能な第2の制御装置(例えば、サブ制御基板302)とを備える遊技機であって、
第1の制御装置は、基礎情報(例えば、変換初期情報や前回の2ワードコマンド通信における第2変換情報)に基づいて生成され所定の通信(例えば、2ワードコマンド通信)ごとに更新される少なくとも1種類の特定情報に基づいて所定の条件の成立に伴う指示情報(例えば、コマンド)を変換することにより生成される変換指示情報を含む通信情報を前記第2の制御装置へ送信する情報送信手段(例えば、ポート出力処理S213’)を含み、
前記第2の制御装置は、前記第1の制御装置からの前記通信情報を受信し、前記少なくとも1種類の特定情報に基づいて前記通信情報に含まれる前記変換指示情報を変換することにより前記指示情報を抽出する情報受信手段(例えば、コマンド受信処理S2104)を含み、
前記情報送信手段と前記情報受信手段とにおいて、前記少なくとも1種類の特定情報は、前記基礎情報に対する所定の演算(例えば、線形帰還シフト演算)により生成され、
前記所定の演算の回数は、前記基礎情報の少なくとも一部の情報(例えば、変換初期情報や前回の2ワードコマンド通信における第2変換情報の下位2ビットの値)に基づいて決定され、当該少なくとも一部の情報の相違により変化する、
ことを特徴としている。
なお、「所定の通信ごとに更新される」とは、第1の制御装置と第2の制御装置との各回の通信において更新される場合や、特定の種類の通信において更新される場合や、所定回数ごとに更新される場合を含意する。
特徴C1の構成であれば、第1の制御装置から第2の制御装置へ伝達される指示そのものが送受信されるのではないために、第1の制御装置から第2の制御装置へ実際に送信される通信情報から各種の指示情報を識別することが困難になり、安全に各種の指示情報を伝達できる。これにより、遊技者にとって有利な状態にする指示情報を第2の制御装置に不正に送信して過剰にメダルを獲得するような不正行為も抑制できる。また、変換指示情報から変換前の指示情報を抽出するために必要な特定情報を各通信において変換指示情報と共に送信する必要が無いために安全に各種の指示情報を伝達できる。また、各種の指示情報の変換に利用される特定情報の生成において基礎情報に対する所定の演算の回数を変化させたために、各通信における演算回数が変動する。これにより、基礎情報に対する固定回数の所定の演算によって生成する場合よりも特定情報を推測することが困難となるために、第1の制御装置から第2の制御装置へ送信される通信情報から各種のコマンドを識別することが更に困難になる。また、特定情報の生成における所定の演算の回数の決定に基礎情報の一部の情報を用いるために、通信に必要な情報量を増やすことなく特定情報を生成できる。
<特徴C2>
特徴C1に記載の遊技機において、
前記情報送信手段は、前記少なくとも1種類の特定情報としての複数種類の特定情報に基づいて変換指示情報を生成し、前記通信情報として前記変換指示情報と共に前記基礎情報を送信し、
前記情報受信手段は、前記通信情報に含まれる前記基礎情報から生成される前記複数種類の特定情報に基づいて前記指示情報を抽出する、
構成であることが好ましい。
特徴C2の構成であれば、第1の制御装置から第2の制御装置へ伝達される各種の指示情報が複数の特定情報に基づいて分割的に変換されるために、通信情報から各種の指示情報を識別することが更に困難になる。また、変換指示情報から変換前の指示情報を抽出するために必要な複数種類の特定情報そのものが実際に送受信される通信情報に含まれるわけではないために、各種の特定情報が通信情報に含まれる場合に比べて安全に各種の指示情報を伝達できる。
<特徴C3>
特徴C1に記載の遊技機において、
前記情報送信手段は、前記基礎情報としての第1の基礎情報に基づいて前記少なくとも1種類の特定情報を所定の通信ごとに更新し、
前記情報受信手段は、第2の基礎情報に基づいて前記少なくとも1種類の特定情報を前記所定の通信ごとに更新し、
前記第1の制御装置における前記第1の基礎情報と前記第2の制御装置における前記第2の基礎情報とを共通化する基礎情報共通化手段(例えば、変換初期情報設定処理S418及び初期化コマンド設定処理S419)を含む、
構成であることが好ましい。
特徴C3の構成であれば、変換指示情報から変換前の指示情報を抽出するために必要な特定情報を各通信において変換指示情報と共に送信する必要が無いために安全に各種の指示情報を伝達できる。また、第1の制御装置と第2の制御装置とで各回の通信に対する特定情報が独立して管理されるために、第1の制御装置以外から通信情報が不正に送信されたとしても、その後に第1の制御装置から通信情報が送信されれば第2の制御装置において当該通信情報から正しく指示情報を抽出できないこととなり、第2の制御装置に通信情報が不正に送信されたことを検知できる。
なお、特徴C1の記載の遊技機に対して、上記の発明A群に記載された構成及び発明A群に付随して説明した構成を適宜に組み合わせた構成とすることができ、また、上記の発明B群に記載された構成及びそれに付随して説明した構成を適宜に組み合わせた構成とすることができる。