JP2015224977A - 車両用加速度センサの出力補正装置 - Google Patents

車両用加速度センサの出力補正装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加速度センサの出力値の補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上する。
【解決手段】車両に搭載され該車両の加速度を検出する加速度センサ2のオフセット推定値Gosを算出し、このオフセット推定値Gosが打ち消されるようにセンサ出力値Gaに補正値を加算することで補正を行う。その際に、車両の制駆動力を指示する制駆動力指示操作子の操作状態とは無関係に、車両の加減速度を変化させる走行環境の変化状態に起因した車両の加速又は減速の方向と補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが同じときに、走行環境の変化状態に起因した車両の加減速度の変化率が大きいほど小さくなる環境感度感応値に基づき補正値の大きさを制限する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両に搭載された加速度センサの出力補正技術に関する。
従来、車両に搭載された加速度センサの出力値を補正する技術として、特許文献1に記載された技術がある。この技術は、車両が、直進走行、定速走行、および平坦路走行をしているときの加速度センサの出力値をドリフト値(オフセット値)として決定する。そして、決定したオフセット値が解消されるように、加速度センサの出力値を、その補正値を緩やかに或いは徐々に変化させて補正するものである。このように、補正値を緩やかに或いは徐々に変化させることで補正後のセンサ出力値の急激な変化を抑えて、センサ出力値を用いた制御に不都合が生じないようにしている。
特開2006−250947号公報
しかしながら、加速度センサの出力値を用いる制御が常時作動している環境下において、補正値を一定の変化率で緩やかに或いは徐々に変化させて補正を行った場合、オフセット補正が完了するまでの時間が長くなる。その結果、補正の遅れによる制御への不具合が発生する可能性がある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、加速度センサの出力値の補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上することが可能な車両用加速度センサの出力補正装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両に搭載された加速度センサのオフセット値の推定値であるオフセット推定値を算出し、オフセット推定値が打ち消されるように加速度センサのセンサ出力値に補正値を加算することで補正を行う。その際に、車両の制駆動力を指示する制駆動力指示操作子の操作状態とは無関係に、車両の加減速度を変化させる走行環境の変化状態を検出する。加えて、該走行環境の変化状態に基づき、上記補正後のセンサ出力値を用いた走行制御によって生じる車両の加速又は減速に対するドライバの感度の大きさを示す値であって、走行環境の変化によって生じる車両の加速又は減速の方向と上記補正後のセンサ出力値を用いた走行制御によって生じる車両の加速又は減速の方向とが同じときに、走行環境の変化状態が車両の加減速度の変化率が大きくなる変化状態であればあるほど小さくなる環境感度感応値を設定する。そして、環境感度感応値が大きくなるほど、センサ出力値の変化が小さくなるように補正値を制限する。
本発明の一態様によれば、上記環境感度感応値が大きくなるほど、センサ出力値の変化が小さくなるように、センサ出力値に加算する補正値の大きさを制限する。
ここで、制駆動力指示操作子の操作によらず車両の加減速度が変化する走行環境の変化は、車両に生じる加減速度に対するドライバの感度に影響を与える。つまり、車両の加減速度に対するドライバの感度が大きくなる変化状態のときは加減速度の変化に敏感になる。そのため、補正後のセンサ出力値を用いた走行制御によって生じる車両の加減速度(以下、「補正に起因した車両の加減速度」と称す)の変化に対するドライバの感度が大きくなる。また、車両の加減速度に対するドライバの感度が小さい変化状態のときは加減速度の変化に鈍感になるためセンサ出力値の補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度が小さくなる。
即ち、本発明の一態様によれば、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度の大きさに応じて、感度が大きくなるほどセンサ出力値の変化が小さくなるように補正値の制限量を大きくし、この感度が小さくなるほどセンサ出力値の変化が大きくなるように補正値の制限量を小さくすることが可能である。
その結果、ドライバに、走行環境の変化によって生じる車両の加減速度の変化と、補正に起因した車両の加減速度の変化との区別をつきにくくすることが可能となると共に、センサ出力値の補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度の大きさに応じて補正量を変化させることが可能となる。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上することが可能となる。
第1実施形態の車両用加速度センサの出力補正装置の概略構成を示す構成図である。 第1実施形態のセンサ出力補正装置の一構成例を示すブロック図である。 第1実施形態のコントローラ10の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の補正許可係数Cpと、レイトリミッタ定数RLと、制限補正値CLとの時間変化の一例を示すタイムチャートである。 センサ出力補正処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態の加速側補正時環境感度感応項マップ及び減速側補正時環境感度感応項マップの一例を示す図である。 (a)は、操舵角感応項マップの一例を示す図であり、(b)は、車速感応項マップの一例を示す図であり、(c)は、車両加速度感応項マップの一例を示す図であり、(d)は、オフセット推定値感応項マップの一例を示す図である。 アクセル操作量ACと、補正許可係数Cpと、オフセット推定値Gosと、制限補正値CLと、センサ出力値Gaと、補正後センサ出力値Gcと、センサ出力値の真値Gtとの時間変化の一例を示すタイムチャートである。 第1実施形態の効果を説明する図である。 第2実施形態のコントローラ10の構成を示すブロック図である。 第2実施形態の加速側補正時環境感度感応項マップ及び減速側補正時環境感度感応項マップの一例を示す図である。 第3実施形態のコントローラ10の構成を示すブロック図である。 第3実施形態の加速側補正時環境感度感応項マップ及び減速側補正時環境感度感応項マップの一例を示す図である。
(第1実施形態)
(構成)
図1及び図2に示すように、第1実施形態の車両用加速度センサの出力補正装置1は、車両に搭載された、加速度センサ2、車輪速度センサ5、操舵角センサ6、トルクセンサ9及びコントローラ10を含んで構成される。
以下、車両用加速度センサの出力補正装置1を、「センサ出力補正装置1」と称す。
加速度センサ2は、車両に作用する加速度を検出し、検出した加速度を示す加速度信号(電圧信号)をコントローラ10に供給する。コントローラ10は、入力した加速度信号から加速度センサ2が検出した加速度を判断する。
ここで、加速度センサ2は、そのセンサ出力にオフセット値を有している。即ち、車体に作用する加速度が0[G]の際に、出力電圧が0とならず、オフセット電圧を出力する。オフセット電圧は、温度等の周囲環境等によって変動するため、センサ出力から除去することが好ましいものである。
また、加速度センサ2は、車両前後方向の加速度、車両左右方向の加速度、車両上下方向の加速度のうち、少なくとも車両前後方向の加速度を検出するセンサである。
車輪速度センサ5は、各車輪13FL、13FR、13RL及び13RRの車輪速度Vh1、Vh2、Vh3及びVh4を検出し、その検出結果を示す車輪速度信号をコントローラ10へ入力する。車輪速度センサ5は、例えばセンサロータの磁力線を検出回路によって検出しており、センサロータの回転に伴う磁界の変化を電流信号に変換してコントローラ10へ入力する。コントローラ10は、入力した電流信号から車輪速度Vh1〜Vh4を判断する。
操舵角センサ6は、車両の備えるステアリングホイール(不図示)の回転角度である操舵角θを検出する。そして、検出した操舵角θを示す操舵角信号をコントローラ10へ入力する。
トルクセンサ9は、後述するエンジン出力軸にかかるトルクを検出し、検出したトルク(以下、「エンジントルク」と称す)を示すトルク信号をコントローラ10へ入力する。
コントローラ10は、例えばマイクロコンピュータからなり、各センサからの検出信号に基づいて後述するセンサ出力補正処理を実行し、加速度センサ2のセンサ出力値のオフセット補正を行う。そして、補正したセンサ出力値を、走行支援装置20等の加速度センサ2のセンサ出力値を制御に用いる各構成部に供給する。
ここで、オフセット補正とは、後述するオフセット推定値Gosを打ち消すように加速度センサ2のセンサ出力値を補正することである。
また、図1に示すように、車両は、走行支援装置20と、エンジン24と、エンジンコントローラ25と、自動変速機26と、ATコントローラ27と、アクセルペダル30と、ブレーキペダル32と、ディファレンシャルギア36と、カメラ50とを備えている。
走行支援装置20は、コントローラ10から供給されるオフセット補正後のセンサ出力値を用いて車両の走行支援制御を行う装置である。
ここで、走行支援制御には、VDC(Vehicle Dynamics Control)、勾配アシスト、ACC(Adaptive Cruise Control)、CACC(Cooperative ACC)等がある。
エンジン24は、第1実施形態において、ガソリンエンジンである。エンジン24は、エンジンコントローラ25からの制御指令に基づき、スロットルバルブのバルブ開度等が制御可能となっている。なお、エンジン24は、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンとしてもよい。
自動変速機26は、図示しないが、トルクコンバータと、自動変速機26内の締結要素への油圧を作り出すためのバルブユニットである油圧コントロールバルブとを備えている。油圧コントロールバルブは、変速アクチュエータとしてのシフトソレノイドと、ロックアップアクチュエータとしてのロックアップソレノイドとを有する。
そして、エンジン24の回転駆動力は、トルクコンバータを経て自動変速機26に伝達され、自動変速機26において変速制御された後、変速機出力軸(不図示)を介して駆動輪(13RL及び13RR)に伝達される。トルクコンバータには、差圧力による締結時にエンジン出力軸と自動変速機入力軸を直結するロックアップクラッチ(不図示)が内蔵されている。
ここで、図示しないが、エンジン出力軸には、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサが、トルクコンバータ出力軸には、タービン回転数を検出するタービン回転数センサが、変速機出力軸には、変速機出力軸の回転数を検出する変速機出力軸回転数センサが、それぞれ配置されている。
ATコントローラ27は、エンジン回転数センサからのエンジン回転数Ne、タービン回転数センサからのタービン回転数Nt、変速機出力軸回転数センサからの変速機出力軸回転数No等を入力する。そして、これら入力情報に基づき、シフトソレノイドへの指令による自動変速機26の変速制御や、ロックアップソレノイドに対する指令によるロックアップクラッチの締結動作及び開放動作を制御するロックアップ制御を行う。
即ち、ATコントローラ27は、ロックアップクラッチにより入出力要素間を直結したロックアップ状態にすることができるトルクコンバータを伝動系に備え、コースト走行(惰性走行)時にロックアップクラッチを締結状態にすることでフューエルカットを行う構成となっている。
また、ATコントローラ27は、ロックアップクラッチの締結動作の動作状態を示す動作状態信号L/Uをコントローラ10に入力する。例えば、締結開始、締結中、締結終了等の締結動作の動作状態を示す信号を入力する。
更に、ATコントローラ27は、トルクコンバータの増幅比(以下、「トルコン増幅比」と称す)の情報と、自動変速機26の変速ギア比の情報と、ディファレンシャルギア36のギア比(ファイナルギア比)の情報とを、コントローラ10に入力する。
エンジンコントローラ25は、不図示のアクセルセンサからのアクセル操作量AC、エンジン回転数センサからのエンジン回転数Ne、タービン回転数センサからのタービン回転数Nt、変速機出力軸回転数センサからの変速機出力軸回転数No等を入力する。そして、これら入力情報により、スロットルバルブの開度、燃料噴射量、点火時期などを調整することで、エンジン24のエンジン出力(回転数やエンジントルク)を制御する。
アクセルペダル30は、ドライバによって操作され、車両の駆動力を指示する駆動力指示操作子である。
ブレーキペダル32は、ドライバによって操作され、車両の制動力を指示する制動力指示操作子である。
ディファレンシャルギア36は、内側と外側の車輪の速度差(回転数差)を吸収しつつエンジン24からの駆動トルクを振り分けて伝える動力伝達装置である。
カメラ50は、車両前方に搭載され、車両前方の走行路面を含む領域を撮像するデジタルビデオカメラである。カメラ50は、撮像画像を、コントローラ10に入力する。
(コントローラ10)
次に、図3に基づき、第1実施形態のコントローラ10の構成を説明する。
図3に示すように、コントローラ10は、駆動トルク推定部100と、加速度推定値算出部101と、オフセット推定値算出部102と、環境変化状態検出部103と、を含んで構成される。コントローラ10は、更に、環境感度感応項算出部104と、補正信頼度算出部105と、補正許可係数算出部106と、補正値制限部107と、出力値補正部108と、道路勾配検出部109とを含んで構成される。
駆動トルク推定部100は、第1実施形態において、トルクセンサ9からのエンジン出力軸にかかるエンジントルクTsと、ATコントローラ27からの各種情報とに基づき、車両にかかる駆動トルクを推定する。そして、駆動トルクの推定値であるトルク推定値Teを、加速度推定値算出部101に入力する。
具体的に、第1実施形態の駆動トルク推定部100は、トルクセンサ9からのエンジントルクTsと、ATコントローラ27からのトルコン増幅比、変速ギア比及びファイナルギア比とを乗算することでトルク推定値Teを算出する。
なお、この方法に限らず、例えば、ホイールトルク計によって、車軸周りのトルクを計測し、その計測結果から駆動トルクを推定する構成としてもよい。
また、車両の駆動源がエンジンではなく制駆動用モータであった場合は、制駆動用モータのモータ電流と、駆動輪13RL及び13RRの車輪速度Vh3〜Vh4とに基づき、駆動トルクオブザーバを用いて駆動トルクを推定する構成としてもよい。
加速度推定値算出部101は、駆動トルク推定部100から入力されるトルク推定値Teと、車輪速度センサ5から入力される車輪速度Vh1〜Vh4とに基づき、車両に発生する加速度Gaの推定値である加速度推定値Geを算出する。
具体的に、加速度推定値算出部101は、まず、車輪速度センサ5から入力される車輪速度Vh1〜Vh4から車両の車速Vを算出する。例えば、従動輪である前輪13FL及び13FRの車輪速度Vh1〜Vh2の平均値を車速Vとして算出する。
次に、加速度推定値算出部101は、算出した車速Vから走行抵抗Rdを算出する。ここで、走行抵抗Rdは、空気抵抗成分であり、車速Vの二乗値に比例する抵抗成分である。第1実施形態の加速度推定値算出部101は、入力された車速Vの二乗値(V2)に固定のゲインKを乗じることで、走行抵抗Rdを算出する。そして、トルク推定値Teと、走行抵抗Rdと、不図示のメモリに予め記憶された車両重量Mとから、下式(1)に従って、加速度推定値Geを算出する。
Ge=(Te−Rd)/M ・・・(1)
即ち、上式(1)に示すように、加速度推定値算出部101は、トルク推定値Teから走行抵抗Rdを減算した減算結果を車両重量Mで除算することで、加速度推定値Geを算出する。
加速度推定値算出部101は、算出した加速度推定値Geを、オフセット推定値算出部102及び補正信頼度算出部105にそれぞれ入力する。また、加速度推定値算出部101は、算出した車速Vを、補正信頼度算出部105に入力する。
オフセット推定値算出部102は、加速度センサ2から入力されるセンサ出力値Gaと、加速度推定値算出部101から入力される加速度推定値Geとに基づき、下式(2)に従って、オフセット推定値Gosを算出する。
Gos=Ge−Ga ・・・(2)
即ち、上式(2)に示すように、オフセット推定値算出部102は、加速度推定値Geからセンサ出力値Gaを減算することで、オフセット推定値Gosを算出する。オフセット推定値算出部102は、算出したオフセット推定値Gosを、環境感度感応項算出部104と、補正信頼度算出部105と、補正値制限部107とにそれぞれ入力する。
環境変化状態検出部103は、第1実施形態では、車輪速度センサ5から入力される非駆動輪13FL及び13FRの車輪速度Vh1〜Vh2と、加速度センサ2から入力されるセンサ出力値Ga(実前後加速度Ga)とに基づき、車両の走行する道路の道路勾配θiを推定する。
具体的に、実前後加速度Gaと非駆動輪の加速度との差により道路(路面)勾配を推定する。この方法は、加速度センサ2は道路勾配の影響を受けるのに対し、非駆動輪の加速度は実際に車両に生じる加速度を表していることを利用したものである。
従って、環境変化状態検出部103は、非駆動輪13FL及び13FRの車輪速度Vh1及びVh2(例えば、平均値)を微分して、非駆動輪の加速度を算出し、実前後加速度Gaと非駆動輪の加速度との差を算出する。そして、この差に基づき、車両の走行する道路の道路勾配θiを推定する。第1実施形態では、道路勾配(%)を角度変換した道路勾配θi(°)を算出する。
更に、環境変化状態検出部103は、算出した道路勾配θiを微分することで道路勾配の変化速度Δθi(以下、「道路勾配変化速度Δθi」と称す)を算出する。環境変化状態検出部103は、算出した道路勾配変化速度Δθiを、環境感度感応項算出部104に入力する。
環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値算出部102から入力されるオフセット推定値Gosと、環境変化状態検出部103から入力される道路勾配変化速度Δθiとに基づき、後述する補正許可係数Cpの算出に用いられる、環境感度感応項Esを算出する。
ここで、第1実施形態の環境感度感応項Esは、道路勾配の変化状態(第1実施形態では、道路勾配変化速度Δθi)に応じて変化する、センサ出力値Gaの補正後の値を用いた走行制御によって生じる車両の加減速度の変化に対するドライバの感度の大きさを示す値である環境感度感応値の指標値である。
以下、センサ出力値Gaの補正後の値を用いた走行制御によって生じる車両の加減速度を、「センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度」と称する場合がある。
道路勾配の変化は、ドライバによるアクセルペダル30の操作状態又はブレーキペダル32の操作状態に無関係に車両に加減速度を発生させるものである。
また、第1実施形態において、環境感度感応値は、道路勾配の変化によって生じる車両の加速又は減速の方向と、センサ出力値Gaの補正後の値を用いた走行制御によって生じる車両の加速又は減速の方向とが同じときに、道路勾配の変化状態が車両の加減速度の変化率が大きくなる変化状態であればあるほど小さくなるものである。
以下、道路勾配の変化によって生じる車両の加速又は減速を、「道路勾配の変化状態に起因した車両の加速又は減速」と称する場合がある。また、センサ出力値Gaの補正後の値を用いた走行制御によって生じる車両の加速又は減速を、「センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加速又は減速」と称する場合がある。
例えば、道路勾配の変化速度が大きくなるほど、この変化状態に起因した車両の加減速度の変化が大きくなるため、ドライバの加減速度に対する感度は小さくなる。一方、道路勾配の変化速度が小さくなるほど、この変化状態に起因した車両の加減速度の変化が小さくなるため、ドライバの加減速度に対する感度は大きくなる。
即ち、ドライバの車両の加減速度に対する感度が比較的小さいときの、センサ出力値Gaの補正(以下、単に「補正」と称する場合がある)に起因した車両の加減速度の変化はドライバにとって感じにくい。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度は小さくなる。一方、ドライバの車両の加減速度に対する感度が比較的大きいときの、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度の変化はドライバにとって感じやすい。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度は大きくなる。
このことに基づき、第1実施形態では、例えば、実験によって得られた、道路勾配の変化速度に対する不特定多数のドライバの上記補正に起因した車両の加減速度の変化に対する感度のデータから、環境感度感応項のマップを予め作成する。そして、このようにして作成したマップが、センサ出力補正装置1の備える不図示のメモリに予め記憶されている。
ここで、補正に起因した車両の加減速度の変化とは、センサ出力値Gaを、オフセット推定値Gosを打ち消すように補正した場合に、その補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御(例えば、走行支援制御等の走行制御)によって車両に生じる加減速度の変化である。
また、第1実施形態では、道路勾配変化速度Δθiに起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが異なる場合に、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、道路勾配変化速度Δθiに起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが同じとなる場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
例えば、車両が、傾斜が段々と大きくなる上り坂(又は下り坂)を走行した場合、道路勾配変化速度Δθiはプラスの値となると共に車両が減速(又は加速)する。この場合に、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が加速(又は減速)する場合は、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が減速(又は加速)する場合は、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
また、例えば、車両が、傾斜が段々と小さくなる上り坂(又は下り坂)を走行した場合、道路勾配変化速度Δθiはマイナスの値となると共に車両が加速(又は減速)する。この場合に、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が減速(又は加速)する場合は、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が加速(又は減速)する場合は、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
第1実施形態では、車両が加速する側にオフセット補正を行う場合の環境感度感応項のマップである加速側補正時環境感度感応項マップと、車両が減速する側にオフセット補正を行う場合の環境感度感応項のマップである減速側補正時環境感度感応項マップとが予めメモリに記憶されている。
第1実施形態の加速側補正時環境感度感応項マップは、道路勾配変化速度Δθiがプラスの値のときに「0」よりも大きな値となり、道路勾配変化速度Δθiが「0」及びマイナスの値のときに「0」となる特性を有したマップである。
また、第1実施形態の減速側補正時環境感度感応項マップは、道路勾配変化速度Δθiがマイナスの値のときに「0」よりも大きな値となり、道路勾配変化速度Δθiが「0」及びプラスの値のときに「0」となる特性を有したマップである。
そして、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがマイナスの値である場合に、車両が加速する側にオフセット補正を行うと判定する。
ここで、第1実施形態では、オフセット推定値Gosがマイナスの値である場合、センサ出力値Gaが真値に対して低い状態となる。また、この状態のセンサ出力値Gaを真値へと近づけるように補正を行うことで、この補正に起因して車両が加速する状態となる制御が作動しているものとする。
従って、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがマイナスの値である場合に、加速側補正時環境感度感応項マップから道路勾配変化速度Δθiに対応する環境感度感応項Esを取得する。
一方、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがプラスの値である場合に、車両が減速する側にオフセット補正を行うと判定する。
ここで、第1実施形態では、オフセット推定値Gosがプラスの値である場合、センサ出力値Gaが真値に対して高い状態となる。また、この状態のセンサ出力値Gaを真値へと近づけるように補正を行うことで、この補正に起因して車両が減速する状態となる制御が作動しているものとする。
従って、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがプラスの値である場合に、減速側補正時環境感度感応項マップから道路勾配変化速度Δθiに対応する環境感度感応項Esを取得する。
環境感度感応項算出部104は、取得した環境感度感応項Esを、補正許可係数算出部106に入力する。
ここで、第1実施形態では、道路勾配変化速度Δθiと、環境感度感応項Esとは、道路勾配変化速度Δθiが大きいほど環境感度感応項Esが大きくなる関係にある。
また、第1実施形態において、環境感度感応項Esと、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度とは、環境感度感応項Esの値が大きいほど感度が小さくなり、環境感度感応項Esの値が小さいほど感度が大きくなる関係にある。
なお、この関係に限らず、環境感度感応項Esと、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度とを、環境感度感応項Esの値が大きいほど感度が大きくなり、環境感度感応項Esの値が小さいほど感度が小さくなる関係としてもよい。例えば、環境感度感応値そのものを環境感度感応項Esとしてもよい。
但し、この場合は、補正値の制限量が環境感度感応項Esの値に比例する。即ち、センサ出力値Gaを補正する時の補正値が、環境感度感応項Esの大きさに反比例した大きさに制限される。
補正信頼度算出部105は、操舵角センサ6からの操舵角θと、加速度推定値算出部101からの車速V及び加速度推定値Geと、オフセット推定値算出部102からのオフセット推定値Gosとに基づき、後述する補正許可係数Cpの算出に用いられる、補正信頼度Ccを算出する。
ここで、補正信頼度Ccは、オフセット推定値Gosの確からしさ(精度)に依存する係数である。
第1実施形態において、補正信頼度Ccは、例えば、実験データ等に基づき予め作成した、操舵角θ、車速V、加速度推定値Ge、オフセット推定値Gosにそれぞれ対応する感応項のマップの出力値の積として算出される。
具体的に、操舵角θに対する操舵角感応項Dθのマップと、車速Vに対する車速感応項Dvのマップと、加速度推定値Geに対する車両加速度感応項Dgのマップと、オフセット推定値Gosに対するオフセット推定値感応項Dosのマップとを予め作成する。そして、これらマップが、センサ出力補正装置1の備える不図示のメモリに予め記憶されている。なお、第1実施形態において、操舵角感応項Dθ、車速感応項Dv、車両加速度感応項Dg及びオフセット推定値感応項Dosは、「0〜1」の範囲の値に設定されている。
ここで、操舵角感応項Dθは、操舵角θの大きさに対するオフセット推定値Gosの精度が高いほど大きな値となり、車速感応項Dvは、車速Vの大きさに対するオフセット推定値Gosの精度が高いほど大きな値となるように設定されている。
同様に、車両加速度感応項Dgは、加速度推定値Geの大きさに対するオフセット推定値Gosの精度が高いほど大きな値となり、オフセット推定値感応項Dosは、オフセット推定値Gosの大きさに対するオフセット推定値Gosの精度が高いほど大きな値となるように設定されている。
例えば、操舵角θが、車両が直進走行時の角度範囲外にある場合、車両は旋回状態又は蛇行状態にある可能性が高く、そのときに算出されたオフセット推定値Gosの精度は比較的低くなる。一方、操舵角θが直進走行時の角度範囲内にある場合、車両は直進状態にある可能性が高く、そのときに算出されたオフセット推定値Gosの精度は比較的高くなる。
従って、操舵角感応項Dθは、予め設定した直進走行時の角度範囲において大きい値(例えば、「1」)に設定し、直進走行時の角度範囲外において小さい値(例えば、「0」)に設定する。
また、車速Vが遅すぎても速すぎても、算出されたオフセット推定値Gosの精度は比較的低くなる。従って、車速感応項Dvは、予め設定した、車速Vの影響を許容可能な車速範囲において大きい値(例えば、「1」)に設定し、この車速範囲外において小さい値(例えば、「0」)に設定する。
また、オフセット推定値Gosの精度は、車両重量Mの影響を受ける。具体的に、車両重量Mを用いて算出される加速度推定値Geの値がプラス方向及びマイナス方向に大きくなるほど、オフセット推定値Gosの精度は低くなる。従って、車両加速度感応項Dgは、予め設定した、車両重量Mの影響を許容可能な加速度の範囲(加速度0を中心とした範囲)において大きい値(例えば、「1」)に設定し、この加速度範囲外において小さい値(例えば、「0」)に設定する。
また、オフセット推定値Gosが小さいときに対してオフセット推定値Gosが大きいときは、オフセット推定値Gosの誤差がオフセット推定値Gosに対して相対的に小さくなる。そのため、オフセット推定値Gosが大きいときは、オフセット推定値Gosが小さいときに対してオフセット推定値Gosの精度が向上する。従って、オフセット推定値感応項Dosは、予め設定した、相対誤差を許容できないオフセット推定値Gosの範囲(オフセット推定値0を中心とした範囲)において小さい値(例えば、「0」)に設定し、この範囲外において外に向かうほど大きくなる値(0<Dos≦1)に設定する。
補正信頼度算出部105は、入力された操舵角θ、車速V、加速度推定値Ge及びオフセット推定値Gosに対する、操舵角感応項Dθ、車速感応項Dv、車両加速度感応項Dg及びオフセット推定値感応項Dosに基づき、下式(3)に従って、補正信頼度Ccを算出する。
Cc=Dθ×Dv×Dg×Dos ・・・(3)
即ち、補正信頼度算出部105は、上式(3)に示すように、操舵角感応項Dθ、操舵角感応項Dθ、車速感応項Dv、車両加速度感応項Dg及びオフセット推定値感応項Dosを掛け合わせることで、補正信頼度Ccを算出する。これら各感応項は「0〜1」の範囲の値となるので、補正信頼度Ccも、「0〜1」の範囲の値となる。
補正信頼度算出部105は、算出した補正信頼度Ccを、補正許可係数算出部106に入力する。
補正許可係数算出部106は、環境感度感応項算出部104からの環境感度感応項Esと、補正信頼度算出部105からの補正信頼度Ccとに基づき、下式(4)に従って、補正許可係数Cpを算出する。
Cp=Es×Cc ・・・(4)
即ち、補正許可係数算出部106は、環境感度感応項Esに補正信頼度Ccを乗算することで、補正許可係数Cpを算出する。
従って、補正信頼度Ccが大きいほど、補正許可係数Cpに対する環境感度感応項Esの寄与度が大きくなる。
補正許可係数算出部106は、算出した補正許可係数Cpを、補正値制限部107に入力する。
補正値制限部107は、補正許可係数算出部106からの補正許可係数Cpに基づき、センサ出力値Gaを補正する時の補正値を算出する。その際、第1実施形態の補正値制限部107は、センサ出力値Gaを補正する時の補正値を、直ちにオフセット推定値Gosを打ち消す値に設定せずに、補正値を制限するようになっている。
即ち、補正値制限部107は、予め設定した補正値の初期値(例えば「0」)から上限値であるオフセット推定値Gosを打ち消す値に向かって、補正値を変化させていく。このとき、補正値制限部107は、補正値の変化率Ciを、補正許可係数Cpに基づく値に制限する。
具体的に、図4中の補正許可係数Cpの時間変化L501及びレイトリミッタ定数RLの時間変化L502に示すように、補正値制限部107は、入力される補正許可係数Cpに比例したレイトリミッタ定数RLを算出する。
そして、算出したレイトリミッタ定数RLに基づき、補正値の変化率(増加率)Ciを制限する。即ち、図4中の制限補正値CLの時間変化L503に示すように、レイトリミッタ定数RLが大きいほど補正値の増加率Ciを大きくし(制限量を小さくし)、レイトリミッタ定数RLが小さいほど補正値の増加率Ciを小さくする(制限量を大きくする)。
図4の例では、時刻t1を境に、時刻t1以前のレイトリミッタ定数RLよりも、時刻t1より先のレイトリミッタ定数RLの方が小さくなっている。従って、図4に示すように、同じ変化時間Δtにおける、時刻t1以前の増加率Ci1と、時刻t1より先の増加率Ci2とは、「Ci1>Ci2」の関係となっている。
このことは、補正許可係数Cpが大きいほど、補正値の増加率Ciを大きくし、補正許可係数Cpが小さいほど、補正値の増加率Ciを小さくすることと同意である。
ここで、上式(4)に示すように、補正許可係数Cpは、環境感度感応項Esと補正信頼度Ccとの積である。
従って、ドライバが、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度変化に敏感である(環境感度感応項Esが小さい)か、又は、オフセット推定値Gosの精度が低いかの少なくとも一方のときに増加率Ciは小さくなる。つまり、環境感度感応項Esが大きくても、オフセット推定値Gosの精度が低い場合、増加率Ciは小さくなる。
一方、ドライバが、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度変化に鈍感であり(環境感度感応項Esが大きく)、かつ、オフセット推定値Gosの精度が高いときに増加率Ciは大きくなる。
補正値制限部107は、補正許可係数Cpが「0」のうちは、予め設定した補正値CLの初期値(例えば、「0」)を出力値補正部108に入力する。そして、補正許可係数Cpが「0」よりも大きな値になると、入力された補正許可係数Cpに比例するレイトリミッタ定数RLによって算出した増加率Ciで初期値又は前回の補正値CLを増加した新たな補正値CLを算出する。補正値制限部107は、算出した補正値CL(以下、「制限補正値CL」と称す)を、出力値補正部108に入力する。なお、補正値制限部107は、オフセット推定値Gosを打ち消す値(例えば、オフセット推定値Gosの符号を逆にしたもの)を制限補正値CLの上限値とする。また、制限補正値CLは、センサ出力値Gaを加速する側に補正する場合は、プラスの値となり、減速する側に補正する場合は、マイナスの値となる。
出力値補正部108は、加算器を含んで構成され、加速度センサ2から入力されたセンサ出力値Gaに、補正値制限部107から入力された制限補正値CLを加算することで、センサ出力値Gaを補正する。出力値補正部108は、補正後のセンサ出力値Gc(以下、「補正後センサ出力値Gc」と称す)を、走行支援装置20等の加速度センサ2の出力値を制御に用いる各構成部に供給する。
(センサ出力値補正処理)
次に、図5に基づき、コントローラ10において実行されるセンサ出力補正処理の処理手順を説明する。なお、センサ出力補正処理は、予め設定した周期で繰り返し実行される。
コントローラ10において、センサ出力補正処理が開始されると、まず、ステップS201に移行する。
ステップS201では、加速度推定値算出部101において、車両の加速度の推定値Geを算出し、算出した加速度推定値Geをオフセット推定値算出部102に入力して、ステップS202に移行する。
具体的に、加速度推定値算出部101は、車輪速度センサ5からの車輪速度Vh1〜Vh4に基づき車両の車速Vを算出し、算出した車速Vの二乗値に予め設定した固定のゲインKを乗算して走行抵抗Rdを算出する。そして、上式(1)に従って、駆動トルク推定部100からの車両のトルク推定値Teから走行抵抗Rdを減算し、この減算結果を車両重量Mで除算することで加速度推定値Geを算出する。
ステップS202では、オフセット推定値算出部102において、上式(2)に従って、加速度推定値算出部101からの加速度推定値Geから、加速度センサ2からのセンサ出力値Gaを減算することで、オフセット推定値Gosを算出する。そして、算出したオフセット推定値Gosを環境感度感応項算出部104、補正信頼度算出部105及び補正値制限部107にそれぞれ入力して、ステップS203に移行する。
ステップS203では、環境感度感応項算出部104において、環境感度感応項算出部104からのオフセット推定値Gos及び環境変化状態検出部103からの道路勾配変化速度Δθiに基づき、環境感度感応項Esを算出する。その後、ステップS204に移行する。
具体的に、環境感度感応項算出部104は、加速側補正時環境感度感応項マップ又は減速側補正時環境感度感応項マップのうち、オフセット推定値Gosの正負に応じたマップを選定する。そして、選定したマップから、入力された道路勾配変化速度Δθiに対応する環境感度感応項Esを取得し、取得した環境感度感応項Esを、補正許可係数算出部106に入力する。
ステップS204では、補正信頼度算出部105において、補正信頼度Ccを算出し、算出した補正信頼度Ccを、補正許可係数算出部106に入力して、ステップS205に移行する。
具体的に、補正信頼度算出部105は、操舵角感応項マップから、操舵角センサ6から入力された操舵角θに対応する操舵角感応項Dθを取得し、車速感応項マップから、加速度推定値算出部101から入力された車速Vに対応する車速感応項Dvを取得する。加えて、車両加速度感応項マップから、加速度推定値算出部101から入力された加速度推定値Geに対応する車両加速度感応項Dgを取得し、オフセット推定値感応項マップから、オフセット推定値算出部102から入力されたオフセット推定値Gosに対応するオフセット推定値感応項Dosを取得する。そして、上式(3)に従って、取得した操舵角感応項Dθ、車速感応項Dv、車両加速度感応項Dg及びオフセット推定値感応項Dosをそれぞれ掛け合わせて、補正信頼度Ccを算出する。
ステップS205では、補正許可係数算出部106において、上式(4)に従って、環境感度感応項算出部104から入力された環境感度感応項Esと、補正信頼度算出部105から入力された補正信頼度Ccとを掛け合わせて、補正許可係数Cpを算出する。そして、算出した補正許可係数Cpを、補正値制限部107に入力して、ステップS206に移行する。
ステップS206では、補正値制限部107において、補正許可係数算出部106から入力された補正許可係数Cpと、オフセット推定値算出部102から入力されたオフセット推定値Gosとに基づき、制限補正値CLを算出する。そして、算出した制限補正値CLを、出力値補正部108に入力して、ステップS207に移行する。
ここで、補正値制限部107は、入力された補正許可係数Cpに比例するレイトリミッタ定数RLを算出する。そして、算出したレイトリミッタ定数RLに基づき補正値CLの増加率Ciを算出し、算出した増加率Ciに応じた加算量を初期値又は前回の制限補正値CLに加算して新たな制限補正値CLを算出する。なお、補正値制限部107は、オフセット推定値Gosを打ち消す値(例えば、オフセット推定値Gosそのもの)を上限値として制限補正値CLを算出する。補正値制限部107は、算出した制限補正値CLを、出力値補正部108に入力する。
ステップS207では、出力値補正部108において、加速度センサ2から入力されるセンサ出力値Gaに、補正値制限部107から入力される制限補正値CLを加算して、補正後センサ出力値Gcを算出する。そして、算出した補正後センサ出力値Gcを、走行支援装置20等の各種制御部に供給して、一連の処理を終了する。
(動作)
次に、第1実施形態のセンサ出力補正装置1の動作を説明する。
イグニッションスイッチがON状態となって、センサ出力補正装置1に電源が供給されると、各種センサによって、各種車両状態の検出が開始される。そして、各種検出結果がコントローラ10に供給される。
即ち、加速度センサ2からのセンサ出力値Ga、車輪速度センサ5からの車輪速度Vh1〜Vh4及びトルクセンサ9からのエンジントルクTsがコントローラ10に供給される。加えて、操舵角センサ6からの操舵角θ、ATコントローラ27からの各種情報がコントローラ10に供給される。
コントローラ10では、駆動トルク推定部100において、入力されたエンジントルクTs、トルコン増幅比、変速ギア比及びファイナルギア比を掛け合わせることで、トルク推定値Teを算出する。駆動トルク推定部100は、算出したトルク推定値Teを、加速度推定値算出部101に入力する。
一方、加速度推定値算出部101は、入力された車輪速度Vh1〜Vh4に基づき車速Vを算出する。更に、車速Vの二乗値を算出し、この二乗値に固定のゲインKを乗算して走行抵抗Rdを算出する。そして、入力されたトルク推定値Teから、走行抵抗Rdを減算した減算結果を車両重量Mで除算することで加速度推定値Geを算出する。加速度推定値算出部101は、算出した加速度推定値Geを、オフセット推定値算出部102及び補正信頼度算出部105にそれぞれ入力する(ステップS201)。
オフセット推定値算出部102は、加速度推定値算出部101から入力された加速度推定値Geから、加速度センサ2から入力されたセンサ出力値Gaを減算して、オフセット推定値Gosを算出する。そして、算出したオフセット推定値Gosを、環境感度感応項算出部104、補正信頼度算出部105及び補正値制限部107にそれぞれ入力する(ステップS202)。
また、環境変化状態検出部103は、加速度センサ2から入力された前後加速度Gaと車輪速度センサ5から入力された従動輪の車輪速度Vh1〜Vh2の微分値の差分とに基づき道路勾配θi(角度換算値)を算出する。例えば、差分値に対してノイズ成分を除去するフィルタ処理を施して、道路勾配θiを算出する。そして、算出した道路勾配θiを微分することで道路勾配変化速度Δθiを算出し、算出した道路勾配変化速度Δθiを、環境感度感応項算出部104に入力する。
環境感度感応項算出部104は、入力されたオフセット推定値Gosがマイナスの値である場合は、図6中の実線L301で示す特性を有する加速側補正時環境感度感応項マップから、入力された道路勾配変化速度Δθiに対応する環境感度感応項Esを取得する。図6に示すように、センサ出力値Gaを加速する側に補正する場合の環境感度感応項Esは、道路勾配変化速度Δθiがプラス方向に大きいほど線形に大きくなる値に設定されている。一方、道路勾配変化速度Δθiのマイナス方向の変化に対しては「0」が設定されている。
一方、環境感度感応項算出部104は、入力されたオフセット推定値Gosがプラスの値である場合は、図6中の破線L302で示す特性を有する減速側補正時環境感度感応項マップから、入力された道路勾配変化速度Δθiに対応する環境感度感応項Esを取得する。図6に示すように、センサ出力値Gaを減速する側に補正する場合の環境感度感応項Esは、道路勾配変化速度Δθiがマイナス方向に大きいほど線形に大きくなる値に設定されている。一方、道路勾配変化速度Δθiのプラス方向の変化に対しては「0」が設定されている。
そして、環境感度感応項算出部104は、取得した環境感度感応項Esを、補正許可係数算出部106に入力する(ステップS203)。
また、補正信頼度算出部105は、図7(a)に示す特性を有する操舵角感応項マップから、操舵角センサ6から入力された操舵角θに対応する操舵角感応項Dθを取得する。図7(a)に示すように、操舵角感応項マップは、予め設定した舵角範囲である−θd〜+θdの範囲において「0<Dθ≦1」の範囲の値となるように設定されている。具体的に、−θdから「0」に向かって、急峻かつ線形に最大値の「1」に向かって変化し、その後、+θdに向かって「1」で一定となり、+θdの直前から急峻且つ線形に最小値の「0」に向かって変化する。また、−θd〜+θdの範囲外において、最小値の「0」で一定となる。
引き続き、補正信頼度算出部105は、図7(b)に示す特性を有する車速感応項マップから、加速度推定値算出部101から入力された車速Vに対応する車速感応項Dvを取得する。図7(b)に示すように、車速感応項マップは、予め設定した車速範囲であるV1〜V2の範囲において、「0<Dv≦1」の範囲の値となるように設定されている。具体的に、車速V1からV2に向かって急峻かつ線形に最大値の「1」に向かって変化し、その後、V2に向かって「1」で一定となり、V2の直前から急峻且つ線形に最小値の「0」に向かって変化する。また、V1〜V2の範囲外において、最小値の「0」で一定となる。
引き続き、補正信頼度算出部105は、図7(c)に示す特性を有する車両加速度感応項マップから、加速度推定値算出部101から入力された加速度推定値Geに対応する車両加速度感応項Dgを取得する。図7(c)に示すように、車両加速度感応項マップは、予め設定した加速度推定値の範囲である−Ged〜+Gedの範囲において、「0<Dg≦1」の範囲の値となるように設定されている。具体的に、−Gedから「0」に向かって、急峻かつ線形に最大値の「1」に向かって変化し、その後、+Gedに向かって「1」で一定となり、+Gedの直前から急峻且つ線形に最小値の「0」に向かって変化する。また、−Ged〜+Gedの範囲外において、最小値の「0」で一定となる。
引き続き、補正信頼度算出部105は、図7(d)に示す特性を有するオフセット推定値感応項マップから、オフセット推定値算出部102から入力されたオフセット推定値Gosに対応するオフセット推定値感応項Dosを取得する。図7(d)に示すように、オフセット推定値感応項マップは、予め設定したオフセット推定値Gosの範囲である−Gosd〜+Gosdの範囲において、「0≦Dos<1」の範囲の値となるように設定されている。具体的に、−Gosdから「0」に向かって、急峻かつ線形に最小値の「0」に向かって変化し、その後、+Gosdに向かって「0」で一定となり、+Gosdの直前から急峻且つ線形に最大値の「1」に向かって変化する。また、−Gosd〜+Gosdの範囲外において、最大値の「1」で一定となる。
そして、補正信頼度算出部105は、上式(3)に従って、取得した、操舵角感応項Dθ、車速感応項Dv、車両加速度感応項Dg及びオフセット推定値感応項Dosを掛け合わせて、補正信頼度Ccを算出する。補正信頼度算出部105は、算出した補正信頼度Ccを、補正許可係数算出部106に入力する(ステップS204)。
補正許可係数算出部106は、環境感度感応項算出部104から入力された環境感度感応項Esと、補正信頼度算出部105から入力された補正信頼度Ccとを乗算して、補正許可係数Cpを算出する。そして、補正許可係数算出部106は、算出した補正許可係数Cpを、補正値制限部107に入力する(ステップS205)。
補正値制限部107は、まず、補正許可係数算出部106から入力された補正許可係数Cpに比例するレイトリミッタ定数RLを算出する。次に、算出したレイトリミッタ定数RLと、オフセット推定値算出部102から入力されたオフセット推定値Gosとに基づき、制限補正値CLを算出する。
具体的には、補正値の最小値(例えば、「0」)又は前回の制限補正値CLに、レイトリミッタ定数RLによって制限された変化率Ciに応じた加算値を加算した値を、今回の制限補正値CLとして算出する。
以下、図8に基づき、具体例を示しながらセンサ出力値Gaを補正時の動作を説明する。
図8中の実線L601に示すように、時刻t1に至るまでは、車両の走行する道路の道路勾配θiが一定となっており、道路勾配変化速度Δθiが「0」となる。従って、この期間は、環境感度感応項Esが「0」となるので、図8中の実線L602に示すように、補正許可係数Cpが「0」で一定となる。
これにより、図8中の実線L602に示すように、制限補正値CLは、最小値「0」で一定となり、走行支援装置20等へと出力される補正後センサ出力値Gcは、図中実線L604及びL605に示すように、加速度センサ2のセンサ出力値Gaと同じ値となる。
その後、図8中の実線L601及びL602に示すように、道路勾配θiが急速に大きくなり、これに伴って、時刻t2に至るまで補正許可係数Cpが急速に上昇する。
補正許可係数Cpが急速に上昇すると、補正値の増加率が大きくなって、図8中の実線L603に示すように、制限補正値CLが急速に上昇する。
これにより、図8中の実線L605に示すように、走行支援装置20等へと出力される補正後センサ出力値Gcが急速に上昇する。
即ち、時刻t1〜t2の期間では、道路勾配変化速度Δθiが比較的大きくなり、ドライバは、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化と、道路勾配変化速度Δθiに起因した車両の加減速度の変化との区別がつきにくい状態となる。このような期間において、補正値を大きくすることで、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、真値への収束速度を確保している。
引き続き、時刻t2〜t3の期間では、図8中の実線L601に示すように、道路勾配θiの上昇がなだらかになり、道路勾配変化速度Δθiが小さくなる。その結果、図8中の実線L602及びL603に示すように、補正許可係数Cpが急速に小さくなっていき、これに伴って制限補正値CLの増加率が小さくなる。
これにより、図8中の実線L605に示すように、走行支援装置20等へと出力される補正後センサ出力値Gcの上昇がなだらかになる。
即ち、時刻t2〜t3の期間では、道路勾配変化速度Δθiが比較的小さくなり、ドライバは、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化に対して敏感な状態となる。このような期間において、補正量を小さくすることで、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えている。
引き続き、時刻t3〜t4の期間では、図8中の実線L601に示すように、道路勾配θiが一定となり、その後、道路勾配θiが減少している。この期間では、道路勾配変化速度Δθiが「0」又はマイナスの値となる。
ここでは、オフセット推定値Gosがマイナスの値となっているため、環境感度感応項Esの算出に加速側補正時環境感度感応項マップを用いている。図6に示すように、第1実施形態の加速側補正時環境感度感応項マップは、道路勾配変化速度Δθiが「0」及びマイナスの値のときに環境感度感応項Esが「0」となる。
従って、時刻t3〜t4の期間では、図8中の実線L602及びL603に示すように、補正許可係数Cpが「0」で一定となるため、制限補正値CLが「0」となる直前の値で一定となる(増加率Ciが「0」となる)。
これにより、図8中の実線L605に示すように、走行支援装置20等へと出力される補正後センサ出力値Gcが一定となる。
その後、時刻t3〜t4の期間では、図8中の実線L601に示すように、道路勾配θiが大きくなるため、道路勾配変化速度Δθiがプラスの値となる。従って、図8中の実線L602及びL603に示すように、補正許可係数Cpが「0」よりも大きくなり、制限補正値CLが上昇して、オフセット推定値Gosへと収束する。
これにより、図8中の実線L605に示すように、走行支援装置20等へと出力される補正後センサ出力値Gcが、センサ出力値の真値であるセンサ出力真値Gtへと近づく。
時刻t4以降は、図8中の実線L603に示すように、制限補正値CLがオフセット推定値Gosで一定となるため、図8中の実線L605に示すように、走行支援装置20等へと出力される補正後センサ出力値Gcが、センサ出力真値Gtで一定となる。
ここで、従来は、図9に示すように、道路勾配θiが一定時に、補正による加減速度の急変に起因したドライバの違和感の発生を抑えるため、図中D701に示す比較的小さな一定の増加値で、補正値を緩やかに増加させながらオフセット補正を行っていた。
これに対して、第1実施形態のセンサ出力補正装置1であれば、図9中のD702に示すように、道路勾配変化速度Δθiの大きさに応じて、補正値の増加値を可変(大きく)することが可能となる。これにより、補正による加減速度の急変に起因したドライバの違和感の発生を抑えつつ、比較的速やかにオフセット補正を行うことが可能となる。
ここで、加速度センサ2が、加速度センサに対応する。駆動トルク推定部100が、駆動トルク推定部に対応する。加速度推定値算出部101が、加速度推定値算出部に対応する。オフセット推定値算出部102が、オフセット推定値算出部に対応する。環境変化状態検出部103が、環境変化状態検出部に対応する。環境感度感応項算出部104が、環境感度感応値設定部に対応する。補正信頼度算出部105が、補正信頼度算出部に対応する。補正値制限部107が、補正値制限部に対応する。出力値補正部108が、出力値補正部に対応する。道路勾配の変化状態に応じて変化する、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度が、環境感度感応値に対応する。
(第1実施形態の効果)
(1)加速度センサ2が、車両の加速度を検出する。オフセット推定値算出部102が、加速度センサ2のオフセット値の推定値であるオフセット推定値Gosを算出する。出力値補正部108が、オフセット推定値Gosを打ち消すようにセンサ出力値Gaに補正値を加算することで補正を行う。環境変化状態検出部103が、車両の制駆動力を指示する制駆動力指示操作子(例えば、アクセルペダル30又はブレーキペダル32)の操作状態とは無関係に、車両の加減速度を変化させる走行環境の変化状態(例えば、道路勾配の変化速度Δθi)を検出する。環境感度感応項算出部104が、走行環境の変化状態に基づき、センサ出力値Gaの補正後の値(補正後センサ出力値Gc)を用いた走行制御によって生じる車両の加速又は減速に対するドライバの感度の大きさを示す値であって、走行環境の変化によって生じる車両の加速又は減速の方向と補正後センサ出力値Gcを用いた走行制御によって生じる車両の加速又は減速の方向とが同じときに、走行環境の変化状態が、車両の加減速度の変化率が大きくなる変化状態であればあるほど(例えば、道路勾配の変化速度Δθiが大きくなればなるほど)小さくなる環境感度感応値、の指標値である環境感度感応項Esを設定する。補正値制限部107が、走行環境の変化状態に基づき設定した、環境感度感応項Esに基づき、出力値補正部108がセンサ出力値Gaを補正する時の補正値の大きさを制限する。補正値制限部107が、環境感度感応値が大きくなる方向に環境感度感応項Esが変化するほどセンサ出力値Gaの変化が小さくなるように補正値の大きさを制限する。
この構成であれば、環境感度感応値が大きくなる方向に環境感度感応項Esが変化するほど小さくなり、かつ、環境感度感応値が小さくなる方向に環境感度感応項Esが変化するほど大きくなる制限補正値CLで、センサ出力値Gaを補正することが可能となる。即ち、ドライバが、補正に起因した車両の加減速度の変化に対して違和感を受けやすい状況では補正値の制限量を大きくし、違和感を受けにくい状況では補正値の制限量を小さくすることが可能となる。
その結果、ドライバに、走行環境の変化状態に起因した車両の加減速度の変化と、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化との区別をつきにくくすることが可能となる。加えて、環境感度感応項Esの大きさに応じて補正値の大きさを変化させることが可能となる。そのため、補正に起因した車両の加減速度変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上することが可能となる。
(2)走行環境の変化状態を、操作状態とは無関係に車両の加減速度を変化させる、車両の走行する道路の道路環境の変化状態及び車両の車両構成要素の変化状態の少なくとも一方を含むようにした。
例えば、道路勾配、路面曲率半径等の道路環境の変化は、車両の操作状態に関係なく車両に対して加減速度を発生させる。また、車両のロックアップクラッチの締結動作の変化等の車両構成要素の変化も、車両の操作状態に関係なく車両に対して加減速度を発生させる。
このことに基づき、道路環境の変化状態及び車両構成要素の変化状態の少なくとも一方を検出し、この変化状態に基づき、環境感度感応値を設定するようにした。
その結果、ドライバに、道路環境の変化状態及び車両構成要素の変化状態の少なくとも一方に起因した車両の加減速度の変化と、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化との区別をつきにくくすることが可能となる。加えて、環境感度感応値の大きさに応じて補正値の大きさを変化させることが可能となる。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上することが可能となる。
(3)道路環境を、車両が走行する道路の道路勾配θiとした。
ここで、車両の走行する道路の道路勾配θiの変化は、車両の操作状態に関係なく車両に対して加減速度を発生させる。
この構成であれば、車両の走行する道路の道路勾配θiの変化状態(例えば、道路勾配変化速度Δθi)に応じた適切な補正値CLでセンサ出力値Gaを補正することが可能となる。
その結果、ドライバに、道路勾配θiの変化状態に起因した車両の加減速度の変化と、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化との区別をつきにくくすることが可能となると共に、環境感度感応値の大きさに応じて補正量を変化させることが可能となる。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上することが可能となる。
(4)駆動トルク推定部100が、車両の駆動トルクの推定値であるトルク推定値Teを算出する。加速度推定値算出部101が、トルク推定値Teに基づき車両の加速度の推定値である加速度推定値Geを算出する。オフセット推定値算出部102が、加速度推定値Geから加速度センサ2のセンサ出力値Gaを減算して、オフセット推定値Gosを算出する。
この構成であれば、車両の走行状況(例えば、平坦路を定速で直進走行する等)によらずに、センサ出力値Gaのオフセット推定値Gosを算出することが可能となる。その結果、環境感度感応項Esに基づくオフセット補正を、適切なタイミングで行うことが可能となる。
(5)補正値制限部107が、出力値補正部108がセンサ出力値Gaを補正する時の補正値CLを、予め設定した初期値からオフセット推定値Gosを打ち消す値に向かって変化させると共に、該補正値CLの変化率Ciを環境感度感応項Esが、環境感度感応値が大きくなる方向に変化するほど小さくする。
この構成であれば、センサ出力値Gaの補正値の変化率Ciを、環境感度感応項Esの大きさに応じて制限することが可能となるので、環境感度感応項Esを、レイトリミッタとして作用させることが可能となる。
その結果、様々な走行状況やドライバ操作に対して、ドライバへ違和感を与えることなく適切な補正を行うことが可能となる。
(6)補正値制限部107が、走行環境の変化状態に起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが異なる場合に、センサ出力値Gaの補正を許可し、走行環境の変化状態に起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが同じとなる場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
この構成であれば、例えば、走行環境が車両が減速するように変化したとする(例えば、上り坂で道路勾配が大きくなったとする)。加えて、この走行環境の変化状態に応じた環境感度感応項Esによって制限された補正値CLによってセンサ出力値Gaを補正したとする。このような状況において、補正後のセンサ出力値Gcが車両を加速させる方向に変化する場合に、補正を許可することが可能である。
一方、例えば、走行環境が車両が減速するように変化したとする。加えて、この操作状態に応じた環境感度感応項Esによって制限された補正値CLによってセンサ出力値を補正したとする。このような状況において、補正後のセンサ出力値Gcが車両を減速させる方向に変化する場合に、補正を禁止することが可能である。
その結果、ドライバの操作状態とは無関係に走行環境の変化によって生じる、車両の加減速度を打ち消すためのドライバの操作を誘発することなくオフセット補正を行うことが可能となる。
(7)環境変化状態検出部103が、走行環境の変化速度(例えば、道路勾配変化速度Δθi)を検出する。環境感度感応項Esは、走行環境の変化速度が大きいほど補正値の制限量を小さくする値に設定されるようにした。
ここで、走行環境の変化速度が大きいほど、ドライバの加減速度に対する感度は小さくなる。
このことに基づき、環境感度感応項Esを、走行環境の変化速度が大きいほど補正値を大きくする(制限量を小さくする)値に設定されるようにした。その結果、ドライバに違和感を与えることなく、より多くの補正を行うことが可能となるため、センサ出力値の真値への収束速度をより向上することが可能となる。
(8)補正信頼度算出部105が、車両状態(例えば、操舵角θ、車速V等)、加速度推定値Ge及びオフセット推定値Gosのうち少なくとも1つに基づき、オフセット推定値Gosの確からしさに依存する係数である補正信頼度Ccを算出する。補正値制限部107が、補正信頼度Ccが大きいほど制限量が小さくなるように補正値CLを制限する。
この構成であれば、オフセット推定値Gosの信頼度(精度)によって、補正値CLの制限量をコントロールすることが可能となる。
その結果、オフセット補正の精度の向上と、オフセット補正の速度の向上との両立が可能となる。
(9)補正信頼度算出部105が、少なくとも加速度推定値Geに基づき補正信頼度Ccを算出すると共に、補正信頼度Ccを、加速度推定値Geが大きいほど補正値CLの制限量を大きくする値に設定されるようにした。
ここで、オフセット推定値の精度は車両重量Mの影響を受け、また、オフセット推定値の値が大きくなるほど車両重量Mの影響が大きくなる。
このことに基づき、補正信頼度Ccを、加速度推定値Geが大きいほど補正値が小さくなる値に設定した。
その結果、オフセット推定値Gosへの車両重量Mの影響を考慮したオフセット補正を行うことが可能となり、オフセット補正の精度向上と、オフセット補正の速度向上との両立が、より高いレベルで可能となる。
(10)補正信頼度算出部105が、少なくともオフセット推定値Gosに基づき補正信頼度Ccを算出すると共に、補正信頼度Ccを、オフセット推定値Gosが大きいほど補正値CLの制限量を小さくする値に設定されるようにした。
ここで、オフセット推定値Gosが小さいときに対してオフセット推定値Gosが大きいときは、オフセット推定値の誤差がオフセット推定値に対して相対的に小さくなるため、オフセット推定値に対する信頼度は向上する。
このことに基づき、補正信頼度Ccを、オフセット推定値Gosが大きいほど補正値CLが大きくなる値(制限量が小さくなる値)に設定した。
その結果、オフセット補正の精度向上と、オフセット補正の速度向上との両立が、より高いレベルで可能となる。
(第2実施形態)
(構成)
第2実施形態は、カメラ50からの撮像画像から車両の走行する道路の路面曲率半径Rを検出する路面曲率半径検出部110を備える点が上記第1実施形態と異なる。加えて、環境変化状態検出部103が、路面曲率半径検出部110からの路面曲率半径Rに基づき、路面曲率半径Rの変化速度ΔRを検出する点が上記第1実施形態と異なる。
更に、センサ出力補正装置1が、路面曲率半径Rの変化速度(変化率)ΔRに応じて変化する、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度の指標値である環境感度感応項Esのマップを備えている点が上記第1実施形態と異なる。更に、環境感度感応項算出部104が、この環境感度感応項マップから、入力された変化速度ΔRに対応する環境感度感応項Esを取得する点が上記第1実施形態と異なる。
以下、上記第1実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
第2実施形態では、カメラ50の撮像した車両前方の路面領域を含む撮像画像Prsが、コントローラ10に供給される。
第2実施形態のコントローラ10は、図10に示すように、上記第1実施形態の道路勾配検出部109に代えて、路面曲率半径検出部110を備えている。
路面曲率半径検出部110は、撮像画像Prsに対してエッジ抽出処理等を行って、車両が走行する道路の道路白線を検出する。そして、検出した道路白線に対して、例えば、最小自乗法を用いて円の当てはめを行い、走行路面の曲率半径Rを推定する。路面曲率半径検出部110は、推定した路面曲率半径Rを、環境変化状態検出部103に入力する。
第2実施形態の環境変化状態検出部103は、路面曲率半径検出部110から入力される路面曲率半径Rを微分することで、路面曲率半径Rの変化速度ΔR(以下、「曲率変化速度ΔR」と称す)を算出する。環境変化状態検出部103は、算出した曲率変化速度ΔRを、環境感度感応項算出部104に入力する。
第2実施形態の環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値算出部102から入力されるオフセット推定値Gosと、環境変化状態検出部103から入力される曲率変化速度ΔRとに基づき環境感度感応項Esを算出する。
ここで、第2実施形態の環境感度感応項Esは、曲率変化速度ΔRに応じて変化する、センサ出力値Gaの補正に起因した加減速度の変化に対するドライバの感度の大きさを示す値である環境感度感応値の指標値である。また、路面曲率半径Rの変化は、ドライバのアクセルペダル30又はブレーキペダル32の操作によらず、車両の加減速度を変化させる。即ち、曲率半径Rが変化すると、車両の旋回抵抗によって車両の加減速度が変化する。
また、第2実施形態において、環境感度感応値は、曲率変化速度ΔRに起因した車両の加速又は減速の方向と、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが同じときに、曲率変化速度ΔRが、車両の加減速度の変化率が大きくなる値になればなるほど小さくなるものである。
曲率変化速度ΔRが大きい場合、旋回抵抗による車両の加減速度の変化が大きくなるため、ドライバの加減速度に対する感度は比較的小さくなる。一方、曲率変化速度ΔRが小さい場合、旋回抵抗による車両の加減速度の変化が小さくなるため、ドライバの加減速度に対する感度は比較的大きくなる。即ち、ドライバの車両の加減速度に対する感度が小さいときに、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度の変化はドライバにとって感じにくいため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度は小さくなる。一方、ドライバの車両の加減速度に対する感度が大きいときに、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度の変化はドライバにとって感じやすいため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度は大きくなる。
このことに基づき、第2実施形態では、例えば、実験によって得られた、曲率変化速度ΔRに対する不特定多数のドライバの上記補正に起因した加減速度の変化に対する感度のデータから、環境感度感応項のマップを予め作成する。そして、このようにして作成したマップが、センサ出力補正装置1の備える不図示のメモリに予め記憶されている。
また、第2実施形態では、曲率変化速度ΔRに起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが異なる場合に、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、曲率変化速度ΔRに起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが同じとなる場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
例えば、車両が、路面曲率半径Rが小から大へと変化するカーブ路を走行した場合、曲率変化速度ΔRはプラスの値となると共に車両が加速する。この場合に、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が減速する場合に、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が加速する場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
また、例えば、車両が、路面曲率半径Rが大から小へと変化するカーブ路を走行した場合、曲率変化速度ΔRはマイナスの値となると共に車両が減速する。この場合に、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が加速する場合に、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が減速する場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、車両が加速する側にオフセット補正を行う場合の加速側補正時環境感度感応項マップと、車両が減速する側にオフセット補正を行う場合の減速側補正時環境感度感応項マップとをそれぞれ用意している。
但し、第2実施形態の加速側補正時環境感度感応項マップは、曲率変化速度ΔRが「0」及びプラスの値のときに「0」となり、曲率変化速度ΔRがマイナスの値のときに「0」よりも大きな値となる特性を有したマップである。
また、第2実施形態の減速側補正時環境感度感応項マップは、曲率変化速度ΔRが「0」及びマイナスの値のときに「0」となり、曲率変化速度ΔRがプラスの値のときに「0」よりも大きな値となる特性を有したマップである。
そして、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがマイナスの値である場合に、車両が加速する側にオフセット補正を行うと判定する。
ここで、第2実施形態では、オフセット推定値Gosがマイナスの値である場合、センサ出力値Gaが真値に対して低い状態となる。また、この状態のセンサ出力値Gaを真値へと近づけるように補正を行うことで、この補正に起因して車両が加速する状態となる制御が作動しているものとする。
従って、環境感度感応項算出部104は、加速側補正時環境感度感応項マップから道路勾配変化速度Δθiに対応する環境感度感応項Esを取得する。
一方、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがプラスの値である場合に、車両が減速する側にオフセット補正を行うと判定する。
ここで、第2実施形態では、オフセット推定値Gosがプラスの値である場合、センサ出力値Gaが真値に対して高い状態となる。この状態のセンサ出力値Gaを真値へと近づけるように補正を行うことで、この補正に起因して車両が減速する状態となる制御が作動しているものとする。
従って、環境感度感応項算出部104は、減速側補正時環境感度感応項マップから道路勾配変化速度Δθiに対応する環境感度感応項Esを取得する。
環境感度感応項算出部104は、取得した環境感度感応項Esを、補正許可係数算出部106に入力する。
(動作)
次に、第2実施形態のセンサ出力補正装置1の動作を説明する。
イグニッションスイッチがON状態となると、カメラ50からの撮像画像Prs、加速度センサ2からのセンサ出力値Ga、車輪速度センサ5からの車輪速度Vh1〜Vh4及びトルクセンサ9からのエンジントルクTsがコントローラ10に供給される。加えて、操舵角センサ6からの操舵角θ及びATコントローラ27からの各種情報がコントローラ10に供給される。
路面曲率半径検出部110は、カメラ50から撮像画像Prsが入力されると、該撮像画像Prsから、車両の走行する道路の道路白線を検出し、検出した道路白線に対して円の当てはめを行うことで路面曲率半径Rを推定する。路面曲率半径検出部110は、推定した路面曲率半径Rを、環境変化状態検出部103に入力する。
環境変化状態検出部103は、路面曲率半径検出部110から入力される路面曲率半径Rを微分して、曲率変化速度ΔRを算出する。環境変化状態検出部103は、算出した曲率変化速度ΔRを、環境感度感応項算出部104に入力する。
環境感度感応項算出部104は、入力されたオフセット推定値Gosがプラスの値である場合は、図11中の破線L802で示す特性を有する減速側補正時環境感度感応項マップから、入力された曲率変化速度ΔRに対応する環境感度感応項Esを取得する。図11に示すように、センサ出力値Gaを減速側に補正する場合の環境感度感応項Esは、曲率変化速度ΔRがプラス方向に大きいほど線形に大きくなる値に設定されている。
一方、環境感度感応項算出部104は、入力されたオフセット推定値Gosがマイナスの値である場合は、図11中の実線L801で示す特性を有する加速側補正時環境感度感応項マップから、入力された曲率変化速度ΔRに対応する環境感度感応項Esを取得する。図11に示すように、センサ出力値Gaを加速側に補正する場合の環境感度感応項Esは、曲率変化速度ΔRがマイナス方向に大きいほど線形に大きくなる値に設定されている。
そして、環境感度感応項算出部104は、取得した環境感度感応項Esを、補正許可係数算出部106に入力する(ステップS203)。
以降の動作は上記第1実施形態と同様となるので説明を省略する。
ここで、加速度センサ2が、加速度センサに対応する。駆動トルク推定部100が、駆動トルク推定部に対応する。加速度推定値算出部101が、加速度推定値算出部に対応する。オフセット推定値算出部102が、オフセット推定値算出部に対応する。環境変化状態検出部103が、環境変化状態検出部に対応する。環境感度感応項算出部104が、環境感度感応値設定部に対応する。補正信頼度算出部105が、補正信頼度算出部に対応する。補正値制限部107が、補正値制限部に対応する。出力値補正部108が、出力値補正部に対応する。曲率変化速度ΔRに応じて変化する、センサ出力値Gaの補正に起因した加減速度の変化に対するドライバの感度が、環境感度感応値に対応する。曲率変化速度ΔRが、路面曲率半径の変化状態に対応する。
(第2実施形態の効果)
本実施形態は、上記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(1)道路環境を、車両が走行する道路の路面曲率半径Rとした。
ここで、車両の走行する道路の路面曲率半径Rの変化は、車両の操作状態に関係なく車両に対して加減速度を発生させる。
この構成であれば、車両が走行する道路の路面曲率半径Rの変化状態(例えば、勾配変化速度ΔR)に応じた適切な補正値CLでセンサ出力値Gaを補正することが可能となる。
その結果、ドライバに、路面曲率半径Rの変化状態に起因した車両の加減速度の変化と、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化との区別をつきにくくすることが可能となると共に、環境感度感応値の大きさに応じて補正量を変化させることが可能となる。そのため、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上することが可能となる。
(第3実施形態)
(構成)
第3実施形態は、環境変化状態検出部103が、ATコントローラ27からのロックアップクラッチの締結動作の動作状態を示す動作状態信号L/Uに基づき、ロックアップクラッチの締結動作の変化状態を検出する点が上記第1及び第2実施形態と異なる。加えて、センサ出力補正装置1が、予め設定した、ロックアップクラッチの締結動作の変化状態に応じて変化する、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度の指標値である環境感度感応項Esのデータテーブルを備えている点が上記第1及び第2実施形態と異なる。更に、環境感度感応項算出部104が、このデータテーブルから、入力された動作状態に対応する環境感度感応項Esを取得する点が上記第1及び第2実施形態と異なる。
以下、上記第1及び第2実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
図12に示すように、第3実施形態では、ATコントローラ27の検出したロックアップクラッチの締結動作の変化状態を示す動作状態信号L/Uが、コントローラ10に供給される。
第3実施形態の環境変化状態検出部103は、まず、ATコントローラ27から入力される動作状態信号L/Uに基づき、ロックアップクラッチの締結動作の変化状態を検出する。具体的に、環境変化状態検出部103は、締結動作の変化状態が、ロックアップクラッチの開放状態から締結開始状態へと変化したか、締結開始後の状態から締結終了状態へと変化したかのいずれかを検出する。環境変化状態検出部103は、締結開始状態への変化を検出した場合、締結開始を示す情報を含む締結動作状態情報L/Us(以下、「締結動作状態L/Us」と称す)を、環境感度感応項算出部104に入力する。一方、環境変化状態検出部103は、締結終了状態への変化を検出した場合、締結終了を示す情報を含む締結動作状態L/Usを、環境感度感応項算出部104に入力する。
第3実施形態の環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値算出部102から入力されるオフセット推定値Gosと、環境変化状態検出部103から入力される締結動作状態L/Usとに基づき環境感度感応項Esを算出する。
ここで、第3実施形態の環境感度感応項Esは、締結動作状態L/Usに応じて変化する、センサ出力値Gaの補正によって生じる加減速度の変化に対するドライバの感度の大きさを示す値である環境感度感応値の指標値である。また、ロックアップクラッチの締結動作の変化は、ドライバのアクセルペダル30又はブレーキペダル32の操作によらず、車両の加減速度を変化させる。即ち、締結開始時には車両に減速を発生し、締結終了時には車両に加速を発生する。
また、第3実施形態において、環境感度感応値は、締結動作状態L/Usに起因した車両の加速又は減速の方向と、センサ出力値Gaの補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが同じときに、締結動作状態L/Usが、車両の加減速度の変化率が大きくなる動作状態であればあるほど小さくなるものである。
従って、ロックアップクラッチの締結開始時及び締結終了時は、ドライバの加減速度に対する感度は比較的小さくなる。即ち、ドライバの加減速度の感度が小さいときに、センサ出力値Gaを補正した場合、この補正に起因した車両の加減速度の変化はドライバにとって感じにくい。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度は小さくなる。一方、締結開始時及び締結終了時以外は、ドライバの車両の加減速度に対する感度は比較的大きくなる。即ち、ドライバの車両の加減速度に対する感度が大きいときに、センサ出力値Gaを補正した場合、この補正に起因した車両の加減速度の変化はドライバにとって感じやすい。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの感度は大きくなる。
このことに基づき、第3実施形態では、例えば、実験によって得られた、ロックアップクラッチの締結動作の変化状態(締結開始時及び締結終了時)に対する不特定多数のドライバの上記補正に起因した加減速度の変化に対する感度のデータから、環境感度感応項のテーブルを予め作成する。そして、このように作成したテーブルが、センサ出力補正装置1の備える不図示のメモリに予め記憶されている。
また、第3実施形態では、締結動作状態L/Usに起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが異なる場合に、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、締結動作状態L/Usに起因した車両の加速又は減速の方向と、補正に起因した車両の加速又は減速の方向とが同じとなる場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
例えば、ロックアップクラッチの締結動作が締結開始状態へと変化した場合、ロックアップクラッチが滑り締結状態となって車両が減速する。このとき、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が加速する場合に、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が減速する場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
また、ロックアップクラッチの締結動作が締結終了状態へと変化した場合、ロックアップクラッチが完全締結状態となって車両が加速する(空走感が生じる)。このとき、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が減速する場合に、センサ出力値Gaの補正を許可する。一方、補正後のセンサ出力値Gcを用いた制御によって車両が加速する場合に、センサ出力値Gaの補正を禁止する。
第3実施形態では、車両が加速する側にオフセット補正を行う場合の環境感度感応項のテーブルである加速側補正時環境感度感応項テーブルと、車両が減速する側にオフセット補正を行う場合の環境感度感応項のテーブルである減速側補正時環境感度感応項テーブルとをそれぞれ用意している。
第3実施形態の加速側補正時環境感度感応項テーブルは、ロックアップクラッチの締結開始時(以下、「ロックアップ開始時」と称す)に「0」よりも大きな値(正の値)となる。加えて、ロックアップクラッチの締結終了時(以下、「ロックアップ終了時」と称す)に「0」となる特性を有したテーブルである。
また、第3実施形態の減速側補正時環境感度感応項テーブルは、ロックアップ開始時に「0」となり、ロックアップ終了時に「0」よりも大きな値(正の値)となる特性を有したテーブルである。
そして、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがマイナスの値である場合に、車両が加速する側にオフセット補正を行うと判定する。
ここで、第3実施形態では、オフセット推定値Gosがマイナスの値である場合、センサ出力値Gaが真値に対して低い状態となる。また、この状態のセンサ出力値Gaを真値へと近づけるように補正を行うことで、この補正に起因して車両が加速する状態となる制御が作動しているものとする。
従って、環境感度感応項算出部104は、加速側補正時環境感度感応項テーブルから締結動作状態L/Usに対応する環境感度感応項Esを取得する。
一方、環境感度感応項算出部104は、オフセット推定値Gosがプラスの値である場合に、車両が減速する側にオフセット補正を行うと判定する。
ここで、第3実施形態では、オフセット推定値Gosがプラスの値である場合、センサ出力値Gaが真値に対して高い状態となる。また、この状態のセンサ出力値Gaを真値へと近づけるように補正を行うことで、この補正に起因して車両が減速する状態となる制御が作動しているものとする。
従って、環境感度感応項算出部104は、減速側補正時環境感度感応項テーブルから締結動作状態L/Usに対応する環境感度感応項Esを取得する。
環境感度感応項算出部104は、取得した環境感度感応項Esを、補正許可係数算出部106に入力する。
(動作)
次に、第3実施形態のセンサ出力補正装置1の動作を説明する。
イグニッションスイッチがON状態となると、カメラ50からの撮像画像Prs、加速度センサ2からのセンサ出力値Ga、車輪速度センサ5からの車輪速度Vh1〜Vh4及びトルクセンサ9からのエンジントルクTsがコントローラ10に供給される。加えて、操舵角センサ6からの操舵角θ及びATコントローラ27からの各種情報がコントローラ10に供給される。
環境変化状態検出部103は、ATコントローラ27から動作状態信号L/Uが入力されると、入力された動作状態信号L/Uに基づき、ロックアップクラッチの動作状態の変化を検出する。これにより、開放状態から締結開始状態へと変化したことを検出すると、締結開始を示す情報を含む締結動作状態L/Usを、環境感度感応項算出部104に入力する。一方、締結開始後の状態から締結終了状態へと変化したことを検出すると、締結終了を示す情報を含む締結動作状態L/Usを、環境感度感応項算出部104に入力する。
また、オフセット推定値算出部102は、算出したオフセット推定値Gosを、環境感度感応項算出部104に入力する。
環境感度感応項算出部104は、入力されたオフセット推定値Gosがマイナスの値であると判定すると、図13中のT901で示す加速側補正時環境感度感応項テーブルから、入力された締結動作状態L/Usに対応する環境感度感応項Esを取得する。図13のT901に示すように、加速側補正時環境感度感応項テーブルは、ロックアップ開始時の値として正の値を有し、ロックアップ終了時の値として「0」を有する。
一方、環境感度感応項算出部104は、入力されたオフセット推定値Gosがプラスの値であると判定すると、図13中のT902で示す減速側補正時環境感度感応項テーブルから、入力された締結動作状態L/Usに対応する環境感度感応項Esを取得する。図13のT902に示すように、減速側補正時環境感度感応項テーブルは、ロックアップ開始時の値として「0」を有し、ロックアップ終了時の値として正の値を有する。
環境感度感応項算出部104は、取得した環境感度感応項Esを、補正許可係数算出部106に入力する(ステップS203)。
以降の動作は上記第1及び第2実施形態と同様となるので説明を省略する。
ここで、加速度センサ2が、加速度センサに対応する。駆動トルク推定部100が、駆動トルク推定部に対応する。加速度推定値算出部101が、加速度推定値算出部に対応する。オフセット推定値算出部102が、オフセット推定値算出部に対応する。環境変化状態検出部103が、環境変化状態検出部に対応する。環境感度感応項算出部104が、環境感度感応値設定部に対応する。補正信頼度算出部105が、補正信頼度算出部に対応する。補正値制限部107が、補正値制限部に対応する。出力値補正部108が、出力値補正部に対応する。締結動作状態L/Usに応じて変化する、センサ出力値Gaの補正によって生じる加減速度の変化に対するドライバの感度が、環境感度感応値に対応する。締結動作状態L/Usが、車両状態の変化状態に対応する。
(第3実施形態の効果)
本実施形態は、上記第1及び第2実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(1)車両構成要素を、ロックアップクラッチとした。
ここで、車両の構成要素の1つであるロックアップクラッチの締結動作の変化は、車両の操作状態に関係なく車両に対して加減速度を発生させる。
この構成であれば、ロックアップクラッチの変化状態(例えば、締結動作の変化状態)に応じた適切な補正値CLでセンサ出力値Gaを補正することが可能となる。
その結果、ドライバに、ロックアップクラッチの変化状態に起因した車両の加減速度の変化と、オフセット補正に起因した車両の加減速度の変化との区別をつきにくくすることが可能となると共に、環境感度感応値の大きさに応じて補正量を変化させることが可能となる。そのため、補正に起因した車両の加減速度の変化に対するドライバの違和感の発生を抑えつつ、センサ出力値の真値への収束速度を向上することが可能となる。
(変形例)
(1)上記第1〜第3実施形態では、加速度推定値Geの算出を、推定トルクTeと、走行抵抗Rdとに基づき行っているが、この構成に限らない。例えば、旋回抵抗や摩擦制動力を考慮して加速度推定値Geを算出する構成としてもよい。また、これら考慮した要素に応じて、補正信頼度Ccの従属変数及びマップを変更してもよい。
(2)上記第1〜3実施形態では、加速度推定値Geの算出を、推定トルクTeと、走行抵抗Rdとに基づき行っているが、この構成に限らない。例えば、車両のすべり角や車両のピッチングによって加速度センサの値自身がずれる影響を考慮して加速度推定値Geを算出する構成としてもよい。また、これら考慮した要素に応じて、補正信頼度Ccの従属変数及びマップを変更してもよい。
(3)上記第1〜第3実施形態では、道路勾配の変化状態、路面曲率半径の変化状態、またはロックアップクラッチの締結動作の変化状態のいずれか1つを用いて環境感度感応項Esを変化させる構成としたが、この構成に限らず、これらを組み合わせて用いる構成としてもよい。
(4)上記第1〜第3実施形態では、道路勾配の変化状態、路面曲率半径の変化状態、またはロックアップクラッチの締結動作の変化状態のいずれか1つを用いて環境感度感応項Esを変化させる構成としたが、この構成に限らない。例えば、ドライバのエアコンのオンオフ操作に応じて変化させる構成としてもよい。
(5)上記第1〜第3実施形態では、オフセット推定値Gosを加速度推定値Geと加速度センサ2のセンサ出力値との差分から求める構成としたが、この構成に限らない。例えば、補正信頼度Ccが予め設定した一定閾値範囲外の時のオフセット推定値Gosとして、補正信頼度Ccが一定閾値範囲内である時の加速度推定値Gosとセンサ出力値Gaとの差分をホールドしたものを使用してもよい。
(6)上記第1〜第3実施形態では、本発明に係る車両用加速度センサの出力補正装置1を、内燃機関(エンジン)を動力源とする自動車に適用した場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、モータを駆動源とするいわゆる電気自動車や、内燃機関とモータとを備えたハイブリッド車両であっても、本願発明は適用可能である。
(7)上記第1実施形態では、加速度センサ2のセンサ出力値Gaと、車輪速度Vh1〜Vh2とに基づき、車両の走行する道路の道路勾配を推定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、車輪の前輪及び後輪の車軸部分に配置したハイトセンサのセンサ出力値と、車両内に配置したジャイロセンサのセンサ出力値とに基づき道路勾配を算出する構成とするなど、他の公知の方法で道路勾配を算出する構成としてもよい。
(8)上記第1〜第3実施形態では、環境感度感応項マップ又は環境感度感応項テーブルから、道路環境の変化状態又はロックアップクラッチの締結動作の変化状態に対応する環境感度感応項Esを取得する構成としたが、この構成に限らない。例えば、環境感度感応項マップ又は環境感度感応項テーブルを関数化し、この関数を用いた演算によって、環境感度感応項Esを得る構成としてもよい。このことは、上記第1〜第3実施形態において、補正信頼度Ccを求める際に用いる操舵角感応項Dθのマップと、車速感応項Dvのマップと、車両加速度感応項Dgのマップと、オフセット推定値感応項Dosのマップについても同様に関数化して、各値を演算によって得る構成としてもよい。
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、均等物等は本発明に含まれるものである。
1 車両用加速度センサの出力補正装置
2 加速度センサ
5 車輪速度センサ
6 操舵角センサ
9 トルクセンサ
10 コントローラ
20 走行支援装置
22 制駆動用モータ
24 エンジン
25 エンジンコントローラ
26 自動変速機
27 ATコントローラ
30 アクセルペダル
32 ブレーキペダル
36 ディファレンシャルギア
50 カメラ
100 駆動トルク推定部
101 加速度推定値算出部
102 オフセット推定値算出部
103 環境変化状態検出部
104 環境感度感応項算出部
105 補正信頼度算出部
106 補正許可係数算出部
107 補正値制限部
108 出力値補正部
109 道路勾配検出部
110 路面曲率半径検出部

Claims (12)

  1. 車両に搭載され該車両の加速度を検出する加速度センサと、
    前記加速度センサのオフセット値の推定値であるオフセット推定値を算出するオフセット推定値算出部と、
    前記オフセット推定値を打ち消すように前記加速度センサのセンサ出力値に補正値を加算することで補正を行う出力値補正部と、
    前記車両の制駆動力を指示する制駆動力指示操作子の操作状態とは無関係に、前記車両の加減速度を変化させる走行環境の変化状態を検出する環境変化状態検出部と、
    前記走行環境の変化状態に基づき、前記補正後のセンサ出力値を用いた走行制御によって生じる車両の加速又は減速に対するドライバの感度の大きさを示す値である環境感度感応値を設定する環境感度感応値設定部と、
    前記環境感度感応値設定部が設定した前記環境感度感応値を用いて前記補正値の大きさを制限する補正値制限部と、を備え、
    前記環境感度感応値は、前記走行環境の変化によって生じる前記車両の加速又は減速の方向と前記補正後のセンサ出力値を用いた走行制御によって生じる前記車両の加速又は減速の方向とが同じときに、前記走行環境の変化状態が前記車両の加減速度の変化率を大きくする変化状態であればあるほど小さくなる値であり、
    前記補正値制限部は、前記環境感度感応値が大きくなるほど、前記センサ出力値の変化が小さくなるように前記補正値の大きさを制限することを特徴とする車両用加速度センサの出力補正装置。
  2. 前記走行環境の変化状態は、前記操作状態とは無関係に前記車両の加減速度を変化させる、前記車両の走行する道路の道路環境の変化状態及び前記車両の車両構成要素の変化状態の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  3. 前記道路環境は、前記車両が走行する道路の道路勾配であることを特徴とする請求項2に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  4. 前記道路環境は、前記車両が走行する道路の路面曲率半径であることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  5. 前記車両構成要素は、ロックアップクラッチであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  6. 前記車両の駆動トルクを推定する駆動トルク推定部と、
    前記駆動トルク推定部が推定した駆動トルクに基づき前記車両の加速度の推定値である加速度推定値を算出する加速度推定値算出部と、を備え、
    前記オフセット推定値算出部は、前記加速度推定値から前記加速度センサのセンサ出力値を減算して、前記オフセット推定値を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  7. 前記補正値制限部は、前記補正値を、予め設定した初期値から前記オフセット推定値を打ち消す値に向かって変化させると共に、該補正値の変化率を、前記環境感度感応値が大きくなるほど小さくすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  8. 前記補正値制限部は、前記走行環境の変化によって生じる前記車両の加速又は減速の方向と、前記補正後のセンサ出力値を用いた走行制御によって生じる前記車両の加速又は減速の方向とが異なる場合に前記補正を許可し、前記走行環境の変化によって生じる前記車両の加速又は減速の方向と、前記補正後のセンサ出力値を用いた前記走行制御によって生じる前記車両の加速又は減速の方向とが同じとなる場合に前記補正を禁止することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  9. 前記環境変化状態検出部は、前記走行環境の変化速度を検出するようになっており、
    前記環境感度感応値は、前記変化速度が大きいほど前記補正値の制限量を小さくする値に設定されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  10. 前記車両の車両状態、前記車両の加速度の推定値である加速度推定値及び前記オフセット推定値のうち少なくとも1つに基づき、前記オフセット推定値の確からしさに依存する係数である補正信頼度を算出する補正信頼度算出部を備え、
    前記補正値制限部は、前記補正信頼度が大きいほど前記補正値の制限量を小さくすることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  11. 前記補正信頼度算出部は、少なくとも前記加速度推定値に基づき前記補正信頼度を算出するようになっており、
    前記補正信頼度は、前記加速度推定値が大きいほど前記補正値の制限量を大きくする値に設定されることを特徴とする請求項10に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
  12. 前記補正信頼度算出部は、少なくとも前記オフセット推定値に基づき前記補正信頼度を算出するようになっており、
    前記補正信頼度は、前記オフセット推定値が大きいほど前記補正値の制限量を小さくする値に設定されることを特徴とする請求項10又は11に記載の車両用加速度センサの出力補正装置。
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